道行く人に無視されて、困っていたおじさん そこへ男性配達員がやってきて…?
いいんです、気にしないで下さい!」
「そうなのか…なにもお礼ができなくて申し訳ない、せめてこれで飲み物でも買って。暑いからね。本当に有難う」
汗をかいた配達員さんは頭を下げて笑顔で挨拶し、また台車を押して去っていった。私はおじさんに聞いてみた。
「どうされたんですか?」
「ここに来る前に自転車で転倒してしまって、どうも骨をやってしまったようで痛みがひどくて整形外科を探してたんだ。ぼくはネットで検索した△△という整形外科に向かって歩こうとしてたけれど、それがどこにあるかあの配達員さんに聞いたら、そこは遠いって言うんだ。足を引きずりながらこの炎天下でそこまで歩くのは大変だ、すぐ近くのイオンの中にも整形外科がある、って教えてくれてね。僕を心配して、台車まで持ってきてくれたんだよ。
ちょうど手が空いたところだから、これでよければ押していけます、って。彼は、子育て中で出掛けるのが難しいお母さんに生活品を届けたり、重いものを持つのが難しい高齢の人へ届け物をして「ありがとう」って言われたりして、この仕事は人助け、親切そのものと感じ始めたらしい。だから、困っているぼくを見過ごさすに声をかけて助けてくれたんだ」