20歳の誕生日に浮かれる男性 母に「産んでくれてありがとう」とメールをすると…?
ですが、20歳を迎えたということはとても特別なことのように思えたのです。
授業を終え、部活までの間1人になった私は、狭い部室で椅子に腰掛け、今までの自分の人生を振り返っていました。
携帯電話の着信音に気付き、画面を確認すると、すぐに母親からのメールだと気がつきました。高揚感や大人になった達成感が自分の心のほとんどを占めており、親の存在を忘れていました。「そういえば親がいたな」くらいにしか思っていなかったのです。
過保護な親から、またお節介なメールが来たのかな、と思いメールを開きました。
短く、シンプルな文章でした。
「お誕生日おめでとう」
母親から誕生日を祝うメールが来たことにまず驚きました。
今まで母親に誕生日を祝われたことがなかったのです。
私は気持ちがたかぶっていたこともあり、普段なら絶対言わないような言葉で返信しました。
「産んでくれて、ありがとう」
送った後、なんだか恥ずかしくなってきましたが、もう送ったメールは取り消せません。今まで、母親にしてもらったことを、思い返してみました。物心ついた頃から、母親は毎日ご飯を作り、私が高校生の時はお弁当も作り、買い物をし、洗濯をし、家の掃除をしてくれていました。