20歳の誕生日に浮かれる男性 母に「産んでくれてありがとう」とメールをすると…?
母親からすぐ返信がありました。
「産まれてきてくれてありがとう。母親らしいことなにもしてあげられなくてごめん」
その文章を見た途端、まぶたが奥から熱くなり、視界がぼやけ出しました。
さらに細かく、母親との記憶が蘇ってきます。私が悪さをし、母親が学校に呼び出されても、私の話を最後まで聞いてくれたこと。わたしがテストで恥ずかしい点をとっても、部活で失敗しても、「元気で生きてくれていればそれでいいんだよ」と言ってくれたこと。
いくつもの記憶が、断片的に頭の中に次から次へと湧いてきます。そして、驚くべきことに、それらはすべて愛で溢れており、私の心を温かく包んでいくのです。
うつむくと、大粒の涙がぼたぼたと地面を濡らします。
私が産まれて20年経ったと言うことは、母親は私を産んで20年経ったということです。
今日は私の誕生日ですが、同時に母親の母親としての誕生日でもあるのです。
母親は私の世話をする対価として、誰かに大金を積まれたのでしょうか。それともなにか大きな見返りがあるのでしょうか。いいえ、そんなものはなにひとつありません。
私は、自分が自分1人で大きくなったと思っていたことが急に恥ずかしくなりました。