【TOKYO MER感想 第2話/ネタバレあり】未熟な新人がプロフェッショナルの集団にいるということ
そして思いもよらぬ事態で比奈は単独で手術を行うことになるのだが、その手術のテンポが実に『遅い』のである。
第1話、第2話の序盤と、私たち視聴者が喜多見の手術の速いテンポを見慣れたからこそ、はっきりと遅さが分かる。
しかし、比奈の迷いや未熟さ、それでももがきながら患者を救おうとする懸命さが際立ち、ここもまた、うなる演出だった。
周囲の連携が光る『TOKYO MER』第2話
高度な技術と判断力を必要とする専門職を育成する現場はどのようにあるべきか。厳しい判断を孤独に耐えながら下すための訓練とはどのようなものか。
それは繰り返し、成功と同じくらいの失敗を経験し、苦い思いに耐えながら会得するものだろう。
未熟な比奈に寄り添うように手術前に二度深呼吸をうながし、手術の準備に足りないものを喚起し「任せてください」と力強く応える、菜々緒演じるすご腕看護師・蔵前のたたずまいが実によい。
そしてチーフの喜多見は、比奈が決定的なミスに至る前に駆けつけて、「新人としての芽」をつぶさぬようにしっかり守る。
賀来賢人演じる厚労省医系技官の音羽は、組織の中で生きる自分自身の弱さやずるさを比奈のそれと重ねてしまい、おそらく彼女を案じてはいるのだろうが、きつくあたってしまう。