2018年8月26日 11:00
寺越友枝さん「息子を守るためにオルガン、サバ缶も北朝鮮へ…」
「武志に再会してからは、どぶの中に手を突っ込んでも金もうけせないかんと思うた。万景峰号が就航しとったときは、片道5万円で乗せてもろうたけど、就航がなくなってからは飛行機や。武志家族への土産代や、渡す金も入れたら、一回の渡航で60万〜70万円は必要や。武志から、『これを買いたいからお金を送ってください』ちゅう手紙も届く。そのたびに5万円は送らんならん。そやさかい私は、北朝鮮には66回も行っとるが、普通の旅行はしたことないがよ」
友枝さんが必死になってお金や物資を運ぶのには、こんな親心があった。
「武志らの生活をちょっとでもラクにしてやりたいんや。北朝鮮では日本製が重宝されるさかい、人にやっても喜ばれる。
売ってもお金になる。この間も、日本製のカフスボタンを持って行ったら、武志の嫁は、孫の担任にプレゼントしとった。そしたら孫の勉強をよう見てくれるんやて。孫にパソコンも買うてやった。パソコンがあったら、つらい肉体労働をせんでも、事務仕事がもらえるんや」
何度訪朝して息子に会えても、そのつど、別れはやってくる。
「数回目の訪朝のことや。帰る前日に武志と一緒の部屋で眠とったら、私のすぐ横に武志が来るがよ。