くらし情報『寺越友枝さん「息子を守るためにオルガン、サバ缶も北朝鮮へ…」』

2018年8月26日 11:00

寺越友枝さん「息子を守るためにオルガン、サバ缶も北朝鮮へ…」

私は、『武志、どうした。おまえ胸が苦しいがやろ?お母さんに本当のこと言え。なんで北朝鮮に来たがや』と聞いた。武志はつらそうに黙っとる。だから今度は、布団に手を入れて武志の胸や手をさすってやった。明日、この子を置いて帰らないかんと思うたら、涙が出てな……。こんなに子離れができんのは、私くらいか思うて、帰りの船で一緒になった在日朝鮮人の男性に聞いたら、『僕も夕べ、母と一緒の布団で眠りました』と言うんや。『苦労させた、かわいそうなことした』言うて、お母ちゃんに足やら腹やら、ずっとさすられとったって。
それを聞いて、私も普通の母親なんや、と思うたわ」

経済制裁の影響か、この5年で、北朝鮮の状況は変化していた。

「もともと貧しい国やったが、今まで嫁と子どもにもあった配給の米が、この前行ったら武志にしか配られんようになっとった。1カ月10キロや。それを、武志夫婦や子ども、孫8人で分けおうて食べとった。水も貴重やさかい、米をとぐのも2回まで。そのとぎ汁も捨てずに皿を洗うんや。今、平壌で電動自転車がはやっとるいうから買うてやったけど、大きな荷物を持ってる人を見たら運んでやるんやて。そしたら、きゅうりの1本でも鶏肉の1枚でも、もらえるやろ。

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