2020年2月21日 11:00
『ねんとな』話題の“僧医”を発見、45歳で僧侶が医学部入った理由
お釈迦様がおっしゃられたような、“生老病死”の苦しみに直面した人たちに寄り添うのが仏教ですが、まずは体の苦しみを取り除かなければ、どんな言葉も、心に届かないことを痛感しました。また、死の前には恐れや不安、肉体的な苦痛があり、死後は家族が悲嘆にくれ続ける。肉親の死に直面したことで、こうした連続した苦しみにも、寄り添い続けなければならない、と気づかされたのです」
そして宗門のトップとして、看護大学の客員教授を2年ほど務めたりもし、現場の医療従事者との意見交換を重ねることに。
「『患者さんの相談に乗ってあげてください』とよく言われました。でも、医学的知識がまったくないから、どの程度の苦しみなのか、今後どうなるかわからないのです。トータルとしての“人”に関わるためには、宗教者として心や魂に寄り添うだけではなく、何よりも体のことがわからなければならないーー。こう思い、“行動する僧侶”として医師になることを決意しました」
45歳で、3,000人を預かる本山のトップが医学生をめざす……。その決意には、さまざまな方面から反対する声も少なくなかった。
しかし、対本さんの決断に共感し、応援する人たちからは浄財が集まり、帝京大学医学部への進学がかなった。