2021年10月24日 06:00
還暦過ぎてホテル社長に「女は教育不要」を跳ねのけた元専業主婦
ここでもわずか3年で、営業開発担当副支配人に抜擢されるまでに。その後も、ラグジュアリーホテルとして名高いシャングリ・ラ東京に転職。そして18年。薄井さんは日本コカ・コーラにヘッドハンティングされる。
しかし、新型コロナウイルスの流行により失職。61歳の時だった。そんな薄井さんが次に選んだのは、スーパーのレジ打ちだった。
「レジ打ちって、思ってた以上に、私が体験したなかでもいちばん大変な仕事だった。
会計だけでもすごく大変。現金、カード、電子マネー、扱い方がみんな違う。そのうえ、ポイントカードも。それらを全部、覚えないと、仕事にならないんですよ」
職場で出会った同僚のなかには、“埋もれる才能”と思える人材も。
「その難しいレジ打ちを苦もなくこなす人がいる。『ああ、もったいないな』『この人、もう一歩踏み出せば、違う世界があるのにな』って人が、いっぱいいた」
主婦たちの可能性に気づいた、ちょうどそのころだった。海外のエージェントを通して、外資系企業から「日本で新規開業するホテルの経営を任せたい」というオファーが舞い込んだのだ。それが冒頭で紹介した、「LOF HOTEL Simbashi」