2021年11月14日 06:00
「つっぱり棒」作る3代目社長 夫婦二人三脚で業界トップを守る
なぜ、つらい思いをしてる人に追い打ちをかけるようなことを、しなきゃならないのか。そこで怯んでいては仕事にならないのも、わかってはいるんですけど……」
この取材を機に「自分は向いてないのかも」という思いが頭をもたげ始める。さらに、入社3年目には県庁担当を任されることに。
「それもグチャグチャで。記者クラブの幹事社を担当させられたり、統一地方選と衆院選があったりで、しっちゃかめっちゃかでした」
記事中の固有名詞を間違えるなど軽率なミスを繰り返し、ミスしたことを上司にきちんと報告することすら、できなくなっていく。
「仕事から逃げようとする自分がいました。もはや、メンタルもやられかけていて。それで、転職を考え始めたころ、実家の母から電話があったんです。
『お父さんの会社を手伝ってほしい』って」
その少し前、父・康雄さんが心筋梗塞を患っていた。母・敬子さん(68)によれば、康雄さんの手術は成功したものの、この先も以前のように仕事ができるかわからないから助けてあげて、と。
しかし、ここで竹内さんは逡巡する。
「じつは私、親にも記者の仕事がうまくいってないと、話していたので。もしかすると両親が私を心配して、助け舟を出そうとしてるのかと。