2021年12月19日 06:00
仕事就けず娘と心中も考えた“無戸籍者”のSOS 支援NPOが見た貧困
独立した息子は『誇らしい肝っ玉母ちゃん』と言うし、今、大学で教職取得に挑む娘は、母親の活動に興味が出てきたようで、レポートのためのインタビューみたいなこともやってましたね」
市川さんの夫の真さん(52)は語る。夫婦の夢は、「ちょっとおしゃれな健康志向のレストランを出すこと」だそうだ。
同時に、市川さん本人には無戸籍支援での夢、いや具体的な行政への要望がある。
「役所に『無戸籍課』を作って、相談しやすいよう専用窓口を整えてほしい。無戸籍の人たちは、自分は悪くないのに、恥ずかしさやうしろめたさを抱えてはるんです。まあ、さんざん役所の悪口も言いましたけど、私たちの活動は、行政のみなさんの協力なしにはできんことですから。だから互いが歩み寄り、1人でも多くの人がこの問題に耳を傾けてくれるような環境作りができるといいです」
市川さんの活動ぶりが知れ渡り、先日は、ある地方の市の担当者から「子供の出生届を出したくないと言う母親の話を聞いてやってもらえないか」との相談を受けた。この、まさかの行政側からの依頼には、驚いたというが。
「すぐにその2人の幼子を持つお母さんと話をさせてもらって、なんとか解決できました。