そんな時期に見た、2本の映画が大きな転機となった。
「1本は『告発』(’95年)という映画。貧しい少年が妹のためにわずか5ドルを盗んだ罪で25年の刑期が言い渡されて、極悪人が収容されるアルカトラズ刑務所に」
主人公は刑務所でいじめを受け、ついには囚人を殺してしまう。
「そこで弁護士が登場、逆に刑務所内での虐待の事実をつまびらかにしアルカトラズ刑務所を告発。そして、ついには閉鎖に追い込むという実話を基にした物語」
もう1本の映画が『ショーシャンクの空に』だ。妻とその愛人を殺した容疑で刑務所に入れられた銀行員の、ショーシャンク刑務所での過酷な生活が描かれている。
「絶望的な状況のなか、自暴自棄にならず、有能な銀行員としての知恵をフル回転させて立ち回り、仲間や看守の信頼を得ていきます。少しずつ偶然が重なって、脱獄という目的を達成。
噓みたいな展開ですが、とてもリアルに描かれていて、難局でも自分の頭脳で乗り越えていく主人公にくぎ付けになりました」
大渕さんも、自分で道を切り開くための知識やスキルを身につけたいと思い立った。
「法律や裁判を扱った映画が好きだったことと、親戚に法曹関係者がいたことが重なり、弁護士になりたいという道を見つけることができました」