くらし情報『アフリカに「医」を届ける医師 内戦スーダンの村人たちとの交流秘話』

2023年6月11日 06:00

アフリカに「医」を届ける医師 内戦スーダンの村人たちとの交流秘話

しかし、実際に生活を始めると、治安面で怖い目に遭うことはなく、街は活気にあふれ、人懐っこいスーダン人も多くて、生活にも慣れていきました」

医療面においては、現在でも人口の50%以上が2時間以内に医療施設にたどり着けず、40%以上が清潔な水を利用できず、60%以上が十分な衛生設備を使用できないという厳しい状況だという。

「外務省の医務官として視察した医療現場では、コレラやマラリアで死んでいく子どもが多い現状を目の当たりにしました。地方のある病院では患者が収まりきらず、屋外の木の下にベッドを置いたり、一つのベッドで2〜3人が寝ている。別の診療所で子どもの患者のおなかを触診すると、肝臓と脾臓が腫れていました。リーシュマニア症というサシチョウバエが媒介する、致死率の高い病気だったんです」

だが、こうした現状を目の当たりにしても、2国間援助を停止している日本の外務省医務官の立場では、手を差し伸べることはできなかった。

医師である以上、目の前の患者を救いたい思いが募ってくる。迷いながらも、外務省を辞職し、自分が思う医療活動をするという決意にたどり着いた。

佳代さんも夫の決断に賛同した。

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