7浪して医学部、国家試験に2回落ちて53歳で医師になった女性「それでも諦めなかった理由」
若い男性医師と私とふたりでいて、明らかに私が前にいるのにスルーされて、男性医師にだけ『先生、お疲れさまです』と。“こんな年とって医者になってどうするの”ということのようでしたが、やっぱり落ち込みました」
研修を終えると、自分の体験を生かせるとの思いから産婦人科を選択。その後は、救急医療も行う基幹病院や自毛植毛を扱うクリニックなどを経て、コロナ禍の2022年には、医師不在となっていた愛知県幸田町の日高医院へ。
「薄毛治療の自毛植毛に関わったというのは、私自身がかつて抜毛症に苦しんだ過去があったからです。やがて、大病院から地域医療まで体験するなかで、以前から関心のあった在宅診療への思いが強くなって、2023年春に名古屋大学病院の研修登録医となりました」
そして現在、平日は冒頭のクリニックを含め、3つの名古屋大学病院の関連医療施設で勤務。
「土日のほとんども、医療アルバイトの日々です。休んでいる時間はありません。いまだ奨学金の返済の真っただ中で、ようやく半分を返せたところでしょうか。
ただ、以前と違うのは、子供たちも自立して、自分のことを振り返る余裕が少しできました。
つくづく思うのは、自らの役割に気づいて一歩踏み出すことの大切さ。