孤独の苦しみに過去の自分重ね…「赤ちゃん食堂」創設者がママたちに手を差し伸べる理由
周囲の飲食店が休業を余儀なくされるなか、うちはごはんも出すわけですから。それでも、開業と同時に地域のお母さんたちが、もうわんさかと押し寄せるんです。最近のママはSNSなどでの情報収集には長けていますから」
赤ちゃん食堂は6組入ると満席。いまは予約を断ることのほうが多いという。よりたくさんの親子をサポートするために、もっと広い場所が欲しいと考えているそうだ。
しかし、赤ちゃん食堂のテーブルで笑い声がはじける一方で、「ここに顔すら出せない」という母親たちの深刻な現状があることを菊地さんは実感している。
「ふだんは平気な顔で生活しているママでも、うちに電話やメールをしてくるときは本音で『つらくて、苦しくて、赤ちゃんに手をかけてしまいそうになる』という人もいます。貧困の問題も深刻です。
紙オムツ代がなくて家の中ではオムツなしで育てているとか、ミルクを薄めて飲ませているなどの声も少なくありません」
それぞれの悩みを抱えた母親たちが一様に口にする「寝られない、食べられない、喋れない」。
「そんなママたちの姿が、10代のころや、大学生で出産して子育てしながら助産師を目指していたときの自分と重なるんです。