学生出産、看護師を経て48歳で出家…“駆け込み寺”の庵主さん「自分を好きになる方法」
近所の老師から、『よくぞ、この貧乏寺に来てくれた』と喜ばれたのを覚えてます(笑)。では、私は何をしていたかというと、読経などのおつとめと、あとは千坪の庭がありますから掃除したり、壊れた壁を修理したりでした」
黙々と作務をこなす姿を目にした近所の住人と挨拶を交わすようになると、やがて気取りのない人柄にふれた人たちが、「うちの主人が」「うちの子が」と立ち話や相談をするようになっていく。
「さらに座禅会や写経会を開いたり、娘に聞いてSNSを始めたあたりから、日本中の女性たちが電話してきたり、訪ねてきたり。コロナ禍のときも、うちは催事をストップしませんでしたから、むしろこの時期に多くの声がかかるようになりました」
いまや、現代の駆け込み寺の主として、多くの女性たちの悩みや孤独を受け止める日々だ。
「私はいつも、まずお相手の話をじっくり聞くことから始めますが、ほとんどの悩みに共通しているのが、過去の自分に縛られていること。
『あのときなんでこんなことをしたんだろう』『なぜあんなことを言ったのか』と。よくないとわかっていても、ついつい考えてしまう、というやつですね」
そんなとき、庵主さんはこう語りかける。