学生出産、看護師を経て48歳で出家…“駆け込み寺”の庵主さん「自分を好きになる方法」
5年近くも真剣に死生学を学んできても、そんなもんは何の役にも立たんと知り愕然としたんです」
35歳で正看護師の資格を取得。老人ホームで働く一方、ホスピスでのボランティアをするうちに、もっと日本人の死生観を学びたいと、母校の九産大に再入学して民俗学を学び始めた。そして1999年春、人生の転機が訪れる。
「卒論も執筆がうまくいかずモヤモヤした思いで過ごしていたとき、太宰府の観世音寺の前を通りかかったんです」
いつもは通り過ぎていた道だったが、なぜかその日は車を降りた。
「立派な本堂ではなく、吸い寄せられるように奥へと行くと、ほーっ、こんな所にも小さなお寺が、ほーっ、院というんやと、そんな出合いでした」
さらに、ふと門前の掲示板に目が留まる。
「座禅会のお知らせがあって、参加費500円だと。そのとき、なぜかすんなりと、『次の日曜は参加しよう』と思ったんです。これが、私のお坊さんとしての第一歩でした」
■見つけた運命の場所。
気づけば、日本中の女性が集う寺に
「お坊さんへの第一歩で、戒壇院で座禅をしても、モヤモヤとした気持ちが一気に晴れることはありませんでした。ただ、心が静まっていく感覚はたしかにあって、私はハマっていくんですね」