学生出産、看護師を経て48歳で出家…“駆け込み寺”の庵主さん「自分を好きになる方法」
この後、有料老人ホームの活動を通じて知り合った柴田久美子さん(日本看取り士会会長)に誘われ、島根県・隠岐の離島で柴田さんが設立した看取りの施設「なごみの里」にて看護師として働いた。
多くの看取りの現場も体験して7年後に福岡に戻り、再び座禅会に熱心に通い始める。やがて戒壇院の住職からも強く勧められ、2010年11月3日に得度し、晴れて僧侶となる。48歳だった。
「子供たちも独立していたし、で丸坊主になるのも、なんの抵抗もありませんでした。私の決意を知ってましたから、出家のときも、娘や孫、母まで駆けつけてくれました」
そこから岐阜県の天衣寺にて、俗世とのつながりを一切断ち、雲水(修行僧)として3年半の厳しい修行を重ねた。そして、
「同期の尼僧さんが挨拶回りをするというのに同行して姫路方面に来て、ふらりと不徹寺の山門をくぐった瞬間、『ここだ!』と、まさに直感が降りてきたんです」
30年近く僧が不在の無住状態となっていたこの寺に、まさに導かれるようにしてたどり着いた。
「2016年11月、私が正式に庵主を務めるようになったとき、ここはを持たない地域の寺で、訪れる人もほとんどいませんでした。