2018年5月22日 17:00
ムスコ飯の原点となった母の愛情たっぷり手料理(辻仁成「ムスコ飯」エッセイ)
とにかくよく食べるんです、息子くん。昨夜はサーモン250gをホイル焼きにして、それを250gのスパゲッティの上にかけて出したところ、完食。14歳、恐るべき胃袋です。今朝はごはん1膳とコロッケと焼き魚を出したのですが、「お腹が痛い」と仕事部屋にやって来て訴えました。「食べすぎじゃないか?」と言いましたところ「そうじゃなく、足りないから空きすぎてお腹が痛いんだ」というじゃありませんか(笑)。そこでサンドイッチを作って食べさせたのですが、なんとも納得できてない様子で、「昼まで持つかな」と呟きながら登校しました。成長期の男の子って、こんなものなんですかね?
思わず自分の中学生の頃を思い出してしまいました。確かにごはん3膳は毎回食べていました。
2人兄弟でしたから、母は弟と私の分を毎日せっせと作り続けたのです。その量たるや、すごかったことでしょう。弟は野球部、私は柔道部でしたからね。40数年前、母の得意料理はハンバーグでした。それが本当に美味しくて自慢だった。当時、まだハンバーグは国民食ではなかったので、みんなに羨ましがられたものです。ものすごく愛情たっぷりの食事でした。そんな昔に手の込んだものを、グラタンやシチューやポークソテーなんかを、よく拵えてくれたものです。