おとな向け映画ガイド 今週のオススメはこの3作品。
赤い糸、レッドカード、真っ赤なルージュ、朝焼け、燃えたぎる血の色……。または、一線を越えていく決断の象徴?
吹雪の夜、街道沿いのボックスで思いつめたように塔子(夏帆)が電話をしているシーンで始まります。かたわらに鞍田(妻夫木聡)。通り過ぎていったトラックの荷台から、赤い布切れが、風に舞い、白い雪道に落ちます。そしてふたりは、無言のまま凍てついた道に車を走らせます。それはまるで「道行き」のようです。このただならぬ緊迫感。映画は、この夜間走行と回想が交互に描かれていきます。
育ちのいい商社マンの夫、可愛い娘がいて、夫の両親と同居する住まいは郊外の大きな戸建て。何不自由のない専業主婦・塔子が、10年ぶりにかつて愛した鞍田と再会し、彼の勤める設計事務所で働き始めます。生き生きと仕事に精をだすうちに、実は気詰まりな姑との関係、気は良いけれど自分本位な夫(間宮祥太朗)との生活に疑問が生まれ、距離を感じ始めます。シングルマザーに育てられた自分は、幸せな家庭という幻想を求めていただけなのか?本当の自分はどこに?相手の鞍田もまた、ある秘密をかかえています。そして、ふたりは再び恋の深みにおちてゆきます。