2022年4月7日 07:00
阿部寛&北村匠海が語る父親「この世界に入る後押しをしてくれたのは、父の言葉だった」
(阿部)
阿部自らも年を重ねたことで、さらに父親への愛情も深まった。
「最近は親父と散歩をするのが楽しみで。そこでいろんな昔話をするんです。やっぱり自分の話を聞いてほしいんですよね、あの年になると。普段は兄貴が親父の世話をしてくれている分、親父の話の聞き役になるのも、たまに遊びに来る僕の役目。それに僕自身が親父の歴史を自分の中に刻んでおきたいという気持ちが強くて、親父とよく話すようにしています」(阿部)
そう父のことを語る阿部の目元には、優しい笑い皺が浮かんでいる。
「おふくろが亡くなったときも親父が一生懸命看病していて。最期を迎えるときに、おふくろに感謝の言葉を伝えたんですよ。
その姿に、子どもには見せない2人の歴史というか愛情を感じちゃってね。それからというもの、芝居でもなまじ簡単に『愛している』と言えなくなりました。愛なんてものはそんな簡単に口できるものじゃないんだと、親父とおふくろから教えてもらった気がします」(阿部)
見守ってくれることが当たり前すぎて、親に感謝の言葉を口にする機会はそう多くない。だからこそ、映画を通して伝えてみるのもいいかもしれない。あなたの子どもに生まれて良かった、と――。
『とんび』は4月8日(金)より全国公開。
撮影/鬼澤礼門、取材・文/横川良明
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