撮影/高橋那月
中村倫也というものを使って自由に遊んでくれたらいい
「自分の中にいろんな自分がいる、という感覚はすごくありますね。たぶんそれが人よりも強いんだと思います」
ささやくような、低くて甘い声でそう自分について話す。俳優・中村倫也の最新主演映画『水曜日が消えた』。本作で中村は、幼い頃の交通事故が原因で、曜日ごとに7人の人格が入れ替わる青年を演じている。
設定こそ特殊だが、私たちも日常のいろんな場面でいろんな自分の顔を使い分けている。そう考えれば、とても普遍性のある話のように感じたと感想を伝えると、中村も「それは、僕も観終わったあとに思ったことです」と頷いて、こんなふうに自分の内面を語ってくれた。
「今まで生きてきて、いろんな場面で出てくる、ちょっとした自分の違いってあるじゃないですか。それに、後悔したり、戸惑ったり、なんなのこれって悩んだり、時にはその違いを利用してみたり。
特に若い頃なんかは、自分の中にいるいろんな自分に振り回されたこともあったけど、今となってはまあそれもしょうがねえなと思っています」
表に立つ人間は、いろんな面を勝手に切り取られ、自由に編集・加工される。中村倫也にしても「カメレオン俳優」