そういうやつなんです」
重心の高さは、他の役との対比で決まるわけではなく、あくまでその役の置かれたシチュエーションによって決定されるという。
「みんなそうだと思うんですけど、目の前にいる人の雰囲気やトーンによって重心が上がったり下がったりする。だから、たとえば“月曜日”がこうだから“火曜日”はこうしようとか、そういうのはないです。もちろん7役あるので、違う音色じゃなくちゃいけないって住み分けを考えて、逆算して考えながらつくったキャラクターもあるけど。だからって、他のキャラクターと違えばいいのかと言ったら、そうじゃないので」
本作で中村が見せたいのは、演じ分けではない。その役がどのように生活しているのか、佇まいから自然と浮き上がってくることだ。
「演じ分けていますということが前に出ないようにしなきゃいけないという気持ちはありましたね。特にこの映画は、役の生活感が重要。ひとつひとつの役をひとりの人物として生活レベルまで落とし込んでいくことが大事だった。だから、それぞれの役の最初の撮影のときなんかは、自分でもすごくアンテナの感度を高めながらやったのを覚えています。やっぱり演じているとわかるんですよ、自分が嘘をついているかどうかって。