よく幼なじみにも言われるんですよ、変わらないねって。だから、たとえ僕が今のように世の中から知られていなかったとしても、あの状況になったら同じように遊んでいたんじゃないですか、きっと」
中村倫也の言葉には、人を惹きつける力がある。それは、鼓膜を撫でるような美声によるものだけではない。高校のときから哲学好きで、自分とは何か考えることも多かったという。日の目を見ない頃も、スポットライトの中心に立つ今も、変わらずに常に思索し続けることで濾過された人間性が、彼の言葉を特別なものにしている。だから、最後に聞いてみた。中村倫也は、そんな自分自身のことが好きですかと。
「嫌いではないですね。
自分に対して『なんやの?』と思うときももちろんあるし、あきらめていることもいっぱいありますけど、どうしたって自分にはこの2本の足しかないから、それで歩くしかないみたいな感じで。ないものはないんだから、そういう地に足のついた歩みをするしかないってことがもうわかっている。年々思考がシンプルになっているんで、楽っちゃ楽ですよ」
掴みどころがないようで、実はすごくわかりやすいような。だけど、そう易々と手の内におさまってくれない気もする。