「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
――ええ。それを聞いて、そういうこともちゃんと考えながら演じられているのはスゴいと思いましたね。
松岡はホン(脚本)の読み方がすごく客観的で冷静なんですよ。そこに自分のできることをまず思いっきりぶつけてきて、やり過ぎだったら俺が抑えたり、「間がもう少し欲しい」って言ったりしたんですけど、彼女を見ているのは楽しかったですね。
最初のうちは、僕が思っていることと全然違うことをしてくるので、不安もあったんですよ。
――行定さんが不安になることもあるんですね(笑)。
でも、それが、だんだん楽しくなってくるんです。「次はどうするのかな~、松岡くん?」とか「どこに座りたい?」って聞いて、僕の方が彼女に合わせて考えを変えていくようなやり方をしていましたから。
それに対して、山崎の方は言われたことの中でやるタイプだったから、さっきも言ったように、ふたりの関係性はものすごくよくて。松岡は頭の回転が速くて、演出意図も瞬時に汲み取るので、このふたりがやっていることを撮りこぼしちゃいけないというある種の緊張感がありましたよね。
――ふたりのシーンで、ほかに撮影中に印象的だった出来事はありますか?
冒頭のカフェのシーンで、永田が「アイスコーヒー、2つ」