「生々しい芝居を撮りたい」 月川翔監督が語る『劇場版 そして、生きる』
と決めた。
俳優陣に話したのは「作りこみ過ぎず、生々しい芝居を撮りたい」ということと「言い淀んでもいいから、勝手に芝居を止めないでほしい」ということ。こうしたディレクションが顕著に表れているのが、瞳子と清隆がつき合うことになる告白シーン。ごく普通の恋愛映画であれば“華”というべき告白シーンだが、本作ではキラキラした雰囲気などほとんど感じさせない。
「岡田さんの脚本を読んで、ここでキラキラ感を求められているわけではないだろうと。日常で実際に起こることってそんなに劇的じゃないですから。普段なら坂口くんのキラキラした寄りを撮って、それにときめく有村さんの表情を映して……という流れですが、そうじゃなく、会話の中で『つい告白しちゃった』という感じにしたかったんです」
同世代の女優の中でも群を抜いた演技力を持つと評される有村だが、月川は「本人は心外かもしれないけど、決して器用なタイプではない。だから技術でこなすんじゃなく実際にその場でその人物を生きないと出てこない。
それが観る者を感動させるんだと思う」と語る。
一方の坂口の魅力は“自然体”。映画『君と100回目の恋』に続いての仕事となったが「前の現場では、泣きの芝居で何とか感情を出そうとしていたけど、今回は、自然と滲み出てくるものを待っている感じがありました。