起業家を目指していた弁護士が語る「依頼者の本音を聞き出すこと」の重要性とは?
大切なのは、依頼者にとって何が幸せかという問題を一緒に考えていきながら、その人の意向に沿って、できる限りの解決法を提示することだと思っています。
■肉親同士の争いとなる「相続問題」はニーズを汲み取ることが円満解決の秘訣
__どんな時に、このような信条が大切だなと感じますか?
やはり、高齢化社会のなかで増えている相続問題では、この考えが特に重要になりますね。被相続人が亡くなる前の、相続人同士の交流度合いによっても、トラブルが複雑化します。
当事者同士だけで協議していると、遺産分割の話だけではなく、親の介護は誰がやったかとか、孫の学費を工面してもらったといったような今までの恨み辛みが噴出することや、ちょっとした感情のいざこざが生じることで、全然話が進まないというケースが多いのです。弁護士が間に入るだけで、依頼者本人のニーズに加えて、相手側のニーズも聞き取ったうえで、相続人全員にそれぞれメリットがあるような解決案を提示できます。確かに、弁護士は人間関係にはあまり立ち入らないのですが、実際にヒアリングを重ねると当事者同士の利害は共通していることが多く、法律の力を用いて、円満に解決できることも多くあります。