くらし情報『心神喪失なら無罪?「刑事責任能力」を弁護士が徹底解説』

心神喪失なら無罪?「刑事責任能力」を弁護士が徹底解説

と判断し、刑法39条2項に基づき刑を減軽した上で有罪を言い渡したものもあります。

例えば、さいたま地裁平成30年12月20日(平29(わ)1469号)判決は、殺人罪等に問われた被告人について、「本件において、被告人が当時心神耗弱状態にあったことは当事者間に争いがないが、当裁判所も、被告人は本件各犯行当時、統合失調症により心神耗弱状態にあったと認定する。

すなわち、B医師の公判供述を中心とする関係証拠によれば、

『被告人は、本件当時、罹患していた統合失調症の影響により・・・嫉妬妄想、被害妄想を抱いており、その重大な影響の下で、本件各犯行に及んだものと認められる一方で、上記妄想が犯意の形成に影響を与えたとはいえ、夫婦間の嫉妬の感情に起因して夫への敵意が生じ、相手を傷つける行動に及ぶこと自体は正常心理でも了解できるものであるし、被告人自身の犯行後の行動をみても、ある程度正常な現実認識や比較的冷静な思考の下に行動を取っている側面もあることなどからすれば、被告人の善悪の判断やこれに従って行動する能力が完全に失われていたともいえない』

として、心神耗弱であると判断しています。

なお、被告人が統合失調症に罹患しているという医師による鑑定が、裁判所を拘束するかどうかについて、最高裁判所昭和58年9月13日判決(判タ513号168頁)

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