心神喪失なら無罪?「刑事責任能力」を弁護士が徹底解説
は、
『被告人の精神状態が刑法三九条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であって専ら裁判所に委ねられるべき問題であることはもとより、その前提となる生物学的、心理学的要素についても、右法律判断との関係で究極的には裁判所の評価に委ねられるべき問題である』
としているので、裁判所は、医師による鑑定に拘束されず、裁判所が独自に判断をすることができます。
ただし、最高裁判所平成20年 4月25日判決(判タ1274号84頁)は、
『生物学的要素である精神障害の有無及び程度並びにこれが心理学的要素に与えた影響の有無及び程度については、その診断が臨床精神医学の本分であることにかんがみれば、専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には、鑑定人の公正さや能力に疑いが生じたり、鑑定の前提条件に問題があったりするなど、これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り、その意見を十分に尊重して認定すべきものというべき』
としているので、医師による鑑定を『採用し得ない合理的な事情』がなければ、その鑑定を尊重すべきであり、そうであれば、統合失調症に罹患していると鑑定があれば、原則的には、それを前提に心神喪失かどうかを判断する、ということになります」