日本でベーシックインカムは実現できるか?導入のメリット・デメリットを金融の専門家が解説
ベーシックインカムがどれだけ優れた制度でも、満額支給スタート方式ではこれまでの世の中の仕組みを根底から変えてしまうインパクトがあります。いきなり全面的にスタートすれば、社会に混乱を招く恐れがあるのです。
年金・子供手当方式
65歳以上の高齢者と、15歳未満の子供に給付金を支給するところからスタートする方法。支給金額は、毎月10万円や15万円のように最低限の生活を保障する金額にします。
ベーシックインカムを導入すると、「働く人がいなくなる」という主張があります。ですから、働く必要がない非生産年齢人口の退職者から支給を開始するのです。年金や子供手当の代わりとしても考えられます。
そして、状況を見ながら対象年齢を拡大していきます。
年金支給開始年齢を65歳から引き下げ、子供手当を15歳から引き上げていくのです。
失業給付方式
こちらは失業中の人に給付する方法。ベーシックインカムはすべての国民に給付されますが、就業者にお金が給付されることはムダだと思う人もいるでしょう。そこで、失業者のみに給付すれば良いだろうという考え方です。
現在の失業保険給付制度では、失業保険に加入していなければ給付を受けられませんし、給付も3カ月や6カ月と短いので、あくまでも短期間での再雇用を前提とした制度です。