宅間孝行×田中美佐子の手で蘇る“のり平芝居”、東京喜劇として
という境地にいたる。
宅間作品のファンで長年彼の舞台を鑑賞してきた田中は、その魅力を「楽しく笑いながら観て、最後は泣ける」と捉え、宅間主宰のタクフェス『流れ星』(2019年)に主演した。演出家としての宅間は、笑いへの飽くなき探究心を覗かせる厳しい一面があるという。その姿勢は萩本欽一や志村けん、翻ってのり平にも通じるらしく「お笑いの師匠方ってしっかりとした“芝居”を求めるんです。その中で生まれる笑いはトレーニングを積み重ねた結晶なんですよ。だから奔放なアドリブのように見せることだってできるの。宅間さんの現場も同じでしたね」と振り返る。
師匠方の近くで笑いの真髄を目の当たりにしてきた田中に宅間は絶大な信頼を寄せ、再び主演の座を託した。
「美佐子さんは最初から全力で“アホ”に徹してくれるから、他のキャストも引っ張られてどんどんよくなるんですよ」「特に“顔”がね」と目配せすると、田中は「表情筋がどうなろうと構わないくらい必死ですから!」「でも実際はイヤよ?だって女優だもの」と即答し、報道陣の爆笑をさらった。
公演は、2021年1月29日(金)〜2月14日(日)に東京・明治座にて。ぴあでは、座席指定できるチケットを販売中だ。
取材・文:岡山朋代