『パタリロ!』の主人公パタリロはマリネラ王国の国王さまなので、けっこう政治や経済の話が出てくるんです。
マリネラは世界有数のダイヤモンド産出国だというのも、うまい設定です。映画『ブラッド・ダイヤモンド』でも扱われたように、宝飾品だけではなく工業品としても価値の高いダイヤには、黒い陰謀が渦巻いているらしいですね。
そのため、イギリスの諜報機関MI6のやり手エージェントで美少年キラーのバンコランらといったハードボイルドな人たちが登場するのも納得。たまには無茶な設定のこともありますが。『ガラスの仮面』の舞台をやるためにエージェントがマリネラに集合するとか。
落語やミステリの要素も盛り込む偏差値の高さ
(c)Dax Ward
内容も情報たっぷりで、ぱっと思いつくだけでも「絶対零度」「ルビーとサファイアは同じ鉱物」あたりは『パタリロ!』で知りました。塩が小麦粉よりも吸湿性が高いとかね。
情報の早さも尋常じゃなくて、「サブリミナル」なんてテレビで騒ぎ出す10年くらい前からすでに『パタリロ!』で読んでました。
ギャグの根底に流れるのは落語のようだし、大人になって読んでみると「非常に偏差値の高い作品なんだな」