杉の床、薪ストーブがもたらす落ち着いた空間のある家【住まいの設計】
T邸は、ビルや店舗が建ち並ぶ大通りから少し入った住宅地の一角に建ちます。
JRのターミナル駅から徒歩数分の立地なので、将来周りが建て込む可能性も大いに考えられる場所。
すでに南と西には隣家が迫り、東の隣地ではマンションの建設も始まっていました。
どうすれば快適な住まいができるのか……?
これが今回の設計の大きなテーマとなりました。
■ 光と風を呼び込む、東と西に配した2つの庭
群馬県に暮らすTさんは、夫婦と高校生の息子さんの3人家族。
これまでTさん一家が暮らしていたのは夫の実家で、両親が亡くなったあとその古家を引き継ぎ、手直ししながら住み続けてきました。
しかし、子どもが成長するにつれて手狭になり、建て替えようにも土地が狭く、限界があったといいます。
どうしようかと悩んでいたとき、チャンスが巡ってきました。
今の敷地の半分が売りに出たのです。
もともと残り半分は駐車場として所有していた土地で、隣地を買い足せば、車道から距離を置いた場所に、より広い家が建てられるというわけです。
しかし、将来にわたって建物が建たないのは北側だけという悪条件の土地。
そんな難問を解決してくれるのは建築家しかいないと、縁あって出会った佐久間徹さんに設計を依頼しました。