くらし情報『「若い読者から『この主人公、大嫌い』と言われたことが。世代間ギャップですかね(笑)」 #窪美澄さん 2』

2022年9月28日 03:40

「若い読者から『この主人公、大嫌い』と言われたことが。世代間ギャップですかね(笑)」 #窪美澄さん 2

窪さんの実体験から物語が立ち上がっていった

――5編目の「星の随に」は、父親の再婚相手との関係に悩む小学生の男の子と高齢の女性との交流を描いた作品です。

窪さんこの小説は私の実体験がモデルになっているんです。すでに新型コロナの流行が始まっていたころ、当時、住んでいたマンションのエントランスで小学生の男の子が泣いていたんですね。そのエントランスでは子どもが遊んでいることが多いので、初めは友だちと喧嘩でもしたのだろうと思っていたんです。でも、尋常ではない泣き方でしたし、彼はひとりだったんですね。

どうしようかと迷ったのですが、思い切って声をかけてみたんです。そしたら、お父さんに叱られて部屋を出るように言われた、と言うんです。「どうして叱られたの?」と尋ねると「僕が騒ぐと赤ちゃんが泣いちゃうから」って、しゃくりあげて涙を流すんです。


ずっとエントランスにいるわけにもいきませんし、「おばちゃんが一緒に行って謝ってあげるから、お部屋に戻ったほうがいいよ」って言ったんです。すると、彼は「僕のお母さんは隣りの駅に住んでるんだけど、なかなか会えないんだ」って、少しだけ身の上話を打ち明けてくれたんです。

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