サカイクがお届けする新着記事一覧 (19/34)
フィジカルはないが足元の技術を買われ全国レベルのジュニアユースに昇格できたけど、一度もAチームにあがれない。自分自身もサッカーをしているので苦しんでいる息子の努力はわかるが、なんて声をかければいいかわからない。中学生に過保護かもしれないけど、最善の対応を教えて、と苦悩するお父さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、親、子それぞれのためにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<自分は下手だからと卑屈になってモチベが落ちないか心配です問題<サッカーパパからのご相談>中学2年生の父です。サイトに「ジュニアサッカー」とあったので、ジュニアユースも対象かと思ったのですが、主に中学にあがる前の保護者が対象のようですね。中学生にもなって親が出てくるなんて過保護だと思われるかもしれませんが、相談させていただけますでしょうか。息子は全国に行くレベルのクラブのジュニアユースに在籍しています。小学生から所属しており、「速い」「高い」といったフィジカルを全く持ち合わせていませんが足元の技術を買われ、ジュニアユースに昇格しました。現在中学2年ですが、Bチームで一度もAに上げてもらえません。私自身もサッカーを未だにしている為、息子が日々努力しているのはわかります。そういった息子に日々どういう言葉をかけたら良いか悩んでいます。息子が小学生の頃は、サッカーに対してはかなり厳しく言って来ました。しかし、中学生になりBチームで苦しんでいる息子に対して本当に最善の言葉がみつかりませんし、とても苦しいです。何か参考になる対応を教えていただけませんでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。お父さんの苦悩が伝わってきて、読んでいるこちらも苦しくなるようなご相談です。小学生までは厳しく言ってきた、と書かれているので、今まではお父さんは息子さんのサッカーに介入されてきたのですね。■親の言うことに耳を貸さない時期。見守りに徹してでも、もう中学2年生で親の言うことには耳を貸さない思春期です。お子さんのサッカーにタッチするのは難しいでしょう。「何か参考になる対応を」と書かれています。お父さんの私への要求はもしかしたら、息子さんを励ます金言などでしょうか。もしそうであればがっかりさせてしまうかもしれません。結論から申し上げると、見守りに徹することです。■友達との揉め事を見てたのに何も言わなかった父のエピソード高校女子サッカーの強豪・京都精華学園高校で監督を務めていらっしゃる越智健一郎先生のお父様とのお話を紹介します。お父様はすでにになり指導の一線からは退かれましたが、男子の高校サッカーで強豪チームを育て上げた方です。つまり、親子二代教員であり、男女の違いはありますが全国大会上位へ駒を進めるチームの監督というわけです。越智先生がサッカー少年だった頃。近くの空き地で、毎日のように友達と延々と一対一に明け暮れていました。サッカーが楽しくて夢中になっていました。しかし、子どもなのでちょっとしたいざこざや、いさかいがあります。ある日、ちょっとしたことで揉めてしまい、友達が被っていたニット帽をむんずとつかんで、地面に叩きつけてしまいます。バシッと投げつけた瞬間、越智少年が見たのは、金網の向こうに自転車にまたがったお父様の姿でした。一部始終を見届けていたのは明らかです。それなのに、何も言わずじっと見つめていました。動揺して先生が目をそらすと、次に見やった時はもうお父様はもうそこにいませんでした。ニット帽を投げつけたところを見られ家に帰りづらくなったけれど、あまり遅くなれば逆に叱られる。観念して帰宅したそうです。「ただいま」家に戻った息子の顔を見ても、お父様は何も言いません。家族の食卓が始まり何事もなかったように一日が終わりました。(お父さん、絶対、金網の向こうで見てたよな)でも、結局翌日になっても何も言われませんでした。■保護者は子どもが自発的に動いていくための介助者的役割越智少年は、何も言わないお父様の態度があったからこそ、自分の行いを振り返ります。こうして、善悪や人としてどうあるべきかを学ぶのです。そして、そのときのことをこう振り返ります。「教師は怒ること、教えることが仕事じゃない。子どもが自分で感じて、理解して、成長していくために、自発的に動いていくための介助者的役割なのかなって、何十年も経って思い知らされます」A先生は教師の矜持としてこの出来事をとらえていますが、これは教師のみならず保護者にも通じるもの。子どもが主体的に自分の課題や問題に立ち向かえるよう、介助する。それこそが親の役割なのだと思います。コーチや子どもに寄り添う大人のマインドセット(心構えみたいなもの)は、昭和の時代まではスパルタ的に強く引っ張っていく、リードしてくようなイメージでした。先日亡くなった石原慎太郎氏が1969年代に『スパルタ教育』という本を著しているほどです。この本を家の本棚から見つけ、ああ、父親がすごく叩き始めたのはこの本の影響なんだと理解した記憶があります。■中学時代、親に「こうすべきだ」と言われ素直にありがとうと思えたかご相談者のお父さんも、もしかしたら親御さんからそのような教育を受けてきたのではないでしょうか。しかし、時代は大きく変わりました。現在は「サーバントリーダーシップ」といって、大人は子ども(生徒や選手)にサーバント(使用人)のように彼らが「こうしたいんだけど、どうかな?」と言ってきたときに大きな力になる。それが目の前の子を大きく成長させるカギだと言われています。皆さん「何を言えばいいですか?」「どうふるまえば?」と言葉を知りたがります。でも、それぞれご自身の中学時代を振り返ってください。親や教師から、ああしろ、こうすべきだ、おまえはここを直せと言われましたよね。その時に、そうだね、そうします。大人の皆さん、本当にありがとう!なんて思ったことがありますか?少なくとも私はありません。ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが、自分の言葉で子どもが変わるなんて思わないほうがいいでしょう。たかだか数十年長く生きてきたからといって、私たち大人にそんな力はありません。しかも、私たちが子どもだったころとは全く違う世の中を彼らは生きているのです。■本来なら小学生年代でも親は出ない方がいい(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)お父さんは「中学生にもなって親が出てくるなんて過保護」と書かれていますが、本来なら小学生から親は出ないほうがいいと私は思っています。また、息子さんは一生懸命自分の境遇と向き合っているようです。あっぱれではないですか。したがって、お父さんはまず、彼の努力を認め褒めましょう。「おまえ、Bにいてもこんなに努力してすごいね」「お父さんならとっくにあきらめてるよ。続けてるだけですごい」そんなふうに、へーっと感心していればいい。「やったことは無駄にならないよ」などと間違っても言わないでください。彼の苦しみは、彼しかわかりません。もうすぐ中学3年生。今が、お父さんの子離れの交差点です。立ち止まらず、おろおろせず、前を進んでください。その姿に、息子さんは必ず勇気をもらうはずです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2022年02月15日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は苦手意識を持っている選手も多い「胸」でのコントロール、いわゆる「胸トラップ」を身につける楽しみながらできるトレーニングをご紹介します。試合中浮き球が飛んできた時に胸でボールを受けてコントロールすることがあります。しかし、痛かったり、怖かったりして最初は苦手意識を持つ人も多いもの。 今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、胸トラップができるようになる方法を紹介。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、胸でのコントロールに自然と慣れて、胸トラップの苦手克服をすることができます。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親がボールを持ち、数メートル離れて対面して立つ2.最初は手でボールを手でキャッチ3.肘を張るように手を横にして、より胸に近い位置でキャッチ4.優しく山なりに投げたボールを片方の胸に当てて落とす5.胸に当てて落とす動きに慣れてきたら、少しずつ距離を離してみる【トレーニングのポイント】・子どもの胸に向かって優しい山なりのボールを投げる・相手を交わしやすいよう、動きの幅を大きく取る・最終的に、前方向に運び出すプレーなので、ゴールは少し前に設置・プレッシャーをかけに来た親を交わすイメージで行う・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年02月15日「JFAグラスルーツ宣言」に賛同するチームを認定し、つながりを作ることで、グラスルーツの環境改善を目指すJFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度。引退なし、補欠ゼロ、障がい者サッカー、女子サッカー、施設の確保、社会課題への取り組み、という6つのテーマに、それぞれ賛同するチームが認可を受けています。今回グラスルーツ推進グループの松田薫二さんと荒谷潤さんがお話を聞いたのは、千葉県浦安市に拠点を置くフットサルチーム・バルドラール浦安デフィオの監督兼選手として活動する泉洋史さん。後編では今まで誰もやっていない取り組みを行なっている泉さんの原動力や、今後の展望などを伺いました。(取材・文・インタビュー写真:松尾祐希写真提供:バルドラール浦安)試合中のベンチの様子(提供:バルドラール浦安)<<前編:チャレンジしたくてもできない状況があった。障がいのある子どもたちを主体にチャレンジフットサルに取り組むバルドラール浦安デフィオ<グラスルーツ推進6つのテーマ>■デフサッカーの日本代表や、熱意を持った人が集まった松田:どのような形でメンバーを集めて行ったのでしょうか?泉:最初はデフサッカーの協会でも取り上げていただき、バルドラール浦安に下部組織ができたことを報じてもらいました。ほとんどは健常者のチームで継続的に戦ったことがないメンバーでしたが、元々個人で健常者のチームに入ってもうまくいかずに続かない選手もかなりいたんです。そうした過去の経験も含め、デフを主体としたチームで健常者のリーグ戦に出場することは難しいと思われていましたが、実際にデフサッカーの日本代表クラスの人たちが加入の意思を示してくれましたし、挑戦したいという想いを持った人が集まってくれました。■どんな障がいがあってもフットサルを楽しんでもらいたいのに、閉鎖的だった松田:そこから他の障がいの人が入ってきたと思うのですが、どういう経緯で加入に至ったのでしょうか?泉:僕は浦安の特別支援学級で働いていたのですが、そこでサッカーがやりたくても部活に入れないという例を見聞きしていたんです。特に自閉症や知的障がいの方が多かったので、そこからもう1つの取り組みであるチャレンジフットサルを2015年頃に立ち上げたんです。当時デフィオは聞こえる人と聞こえない人の限定チームみたいになっていて、違和感を覚えていたんです。元々どんな障がいがあってもフットサルを楽しんでもらいたい考えがあり、いろんな人を取り込もうとしているのに、デフィオは閉鎖的な感じになっていたので変えたかったのです。そうした想いを抱いている時に、1人の知的障がいの方が練習参加したいと言ってくれたんです。彼は現在も在籍しているのですが、一緒にやっていく中でコミュニケーションを密にしたり、シンプルに伝え合えば、どんな障がいがあっても一緒にプレーできると実感できたんです。それがきっかけになって、デフだけではなく、いろんな障がいのメンバーがよりチャレンジできる場として、デフィオを捉えられるようになりました。■障がいの有無や重さに関係なくは入れるチームになっていった松田:そこから知的障がいの人たちが増えたのでしょうか?泉:すぐには増えませんでしたが、いろんな障がいの人が集まるチームにしたいという想いは持ち続けていました。その状況から裾野が広がるきっかけになったのが、特別支援学校のサッカー部と繋がったことです。市川大野の特別支援学校と接点ができ、サッカー部の子を対象にフットサルクリニックを実施したんです。そこで練習に行かせてもらい、卒業後にチャレンジできる場があることを伝え、そこから何人かデフィオに入ってきてくれました。知的障がいのメンバーが増えていき、より一層インクルーシブなチームになり、だんだん浸透して、認知されるだけではなく、障がいの有無や重さに関係なく入れるチームになっていきました。■特別支援学校に通う生徒にとって卒業後の受け皿でいたい松田:特別支援学校に通う生徒にとって、卒業後の受け皿にもなっているんですね。泉:そうでありたいですね。デフのメンバーは自分たちでつながって、各地にチームを作れるのですが、知的障がいのメンバーはそれが難しい側面があります。特別支援学校の障がい種別の割合では、知的障がい者を対象とする学校が7割〜8割になっていると思います。知的な障がいはありながらも、身体は健康でエネルギーに溢れる若者にスポーツに取り組む場は必要だと考えているので、僕たちは受け皿になりたい。最初はチャレンジフットサルから入り、もっとやりたいとなればデフィオに入ってもらうのが理想です。なので、そういうピラミッドは作りたいですね。松田:精神障がいの方も加入されていますが、どういう経緯で入ってこられたのでしょうか?泉:チームの存在が認識されたことで、聴覚障がいの方と知的障がいの方の交流試合が行われるようになったんです。横のつながりができたことで誘う機会が増え、知ってもらう契機になりました。千葉県3部リーグで戦っていることや、メンバーがデフサッカーのW杯に出場している経歴も含め、ちょっとずつ関心を高めることができた結果だと思います。■これまでに誰もやってない取り組みを行う原動力松田:今まで誰もやっていない取り組みを行なっている泉さんの原動力を教えて下さい。泉:自分はトップリーグでプレーしたかったという想いを持ちながら、夢を叶えられませんでした。ただ、自分の中では本気のチャレンジが自分なりにできたと思っているんです。目標には届かなかったですけど、その時に特別支援学校の教員をやるという夢もあり、その二つの本気の想いがあって新たなチャレンジに繋がる原動力になったと感じています。やりたい事を本気でチャレンジしたからこその経験が、自分だからできる楽しさや、新しいチャレンジをして新しい人と出会う楽しみになりました。自分の想いを形にできた時の喜びもモチベーションになっています。■自分と特徴が違う人に対して最初から違和感を持っていなかった松田:障がいのある人にいきなり向き合うことはそう簡単ではないと思いますが、向き合う上で影響を与えた出会いなどはあったのでしょうか?泉:自分の祖父が車椅子を使って生活をしていたからなのかもしれません。徐々に神経が麻痺する病気を患っていて、体が動かなくなる姿を見てきました。母がそれを介護していたんですが、祖父の繋がりで子どもの頃に失語症の人たちのコミュニティーで遊ぶ機会があったんです。なので、自分と特徴が違う人に対して最初からそんなに違和感は持っていませんでした。教員の勉強をする中でも自分の行動が誰かのためになるという喜びを学んだのですが、人生の中で実際に感じてきたからこそ、今の選択をしているのだと思います。■最初はインサイドキックもできず「辞めたい」と言っていたメンバーが......松田:デフィオやチャレンジフットサルを通じて、一番嬉しかった経験談を教えて下さい。泉:一番は市川大野の特別支援学校のサッカー部から上がってきたメンバーの成長ですね。彼らは知的障がい者なのですが、最初はインサイドキックができない状況で入ってきて、「辞めたい」「辛い」と言いながらも、なんとか続けてくれました。どんなメンバーでも良さがあります。「それぞれが特徴を生かして、チームの勝利に挑戦する」という言い方をよくするのですが、そのメンバーが得点を取って3部リーグの試合に勝つことができました。その時が一番嬉しかったですね。今思い出しても泣きそうになるんですけど、本当に嬉しくて、彼が頑張ったこともそうなのですが、周りのメンバーも認めてくれたんです。できることを信じてくれて、仲間も生かしてくれた。それで得点が取れて勝てた。なので、障がいの有無に関わらず、お互いの良さを高めていけると感じました。それを感じた瞬間が一番嬉しかったですね。松田:できないことにフォーカスするのではなく、できることにフォーカスしてお互いが理解して戦う。そこは障がい者サッカーにあって、健常者が忘れているところなのかもしれませんね。泉:多様性を強みにまで昇華させられれば、デフィオの価値が上がるというか、存在意義がもっと出てくるはずです。アプローチの方法を示し、違いを受け入れて戦うことができる点を証明したい。そこまで魅力を高められれば良いですね。■多様性を活かし勝利を追求していくバルドラール浦安デフィオの監督兼選手として活動する泉洋史さんチームの活動や今後の展望を語ってくれました(C)松尾祐希松田:今抱えている課題や将来に向けての目標はありますか?泉:デフィオは勝利を目指すという目標に関して言えば、3部でなんとかやっている段階です。まだまだ多様性を強さに発展させられてはいないんです。障がいのあるメンバーがゴールを決めた。数試合勝利できた。などはありますが、県リーグ3部の中で継続的に勝利し、2部への昇格争いはできていません。多様性を強さに変えていければ、一般のチームに対しても魅力溢れるチーム作りのロールモデルになっていけると考えています。現在はなかなか勝てていませんが、、ブレずに多様なメンバーと共に勝利を目指していきます。
2022年02月14日「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」を運営し、育成年代のサッカーの本質を伝える活動をしているKEI IMAIさんに、子どものサッカーを「習い事」と捉えることについて聞きました。子どもにサッカーをやらせたい親御さんはたくさんいます。親同士で、「習い事なにやってるんですか?」という会話になると、「水泳と、英語とサッカーと...」このように返すお母さんさんお父さんは結構いると思います。でも、長くサッカーをしてきた身として、サッカーを指導してきた身としてもお伝えしたいのは、サッカーを習い事と思わないでほしいということです。今回は、子どもにサッカーをさせたい、サッカーを楽しんでほしいと思っている親御さんが心得ていてほしいことをお伝えします。(構成・文:KEI IMAI)【関連リンク】子どもが心からサッカーを楽しむために大切にしてほしい親の心得「サカイク10か条」■どうして「習い事」と捉えない方がいいのかどうして「習い事」と思わないでほしいのかというと、サッカーを教わる、教えてもらうという受け身の姿勢が、サッカーというスポーツの本質から遠ざけてしまうからです。サッカーは教わるものではありません。楽しい、プレーしたい、もっと上手くなりたいという気持ちを育み、子ども自らの主体性を引き出すことが我々大人の役目です。子どもは、何のためにサッカーをするのでしょうか。サッカーを楽しむためです。そしてサッカーを通じて仲間と繋がり、成長します。■上手くするために育むべきものは好奇心と主体性では、どうしたら成長できるのかというと、自分がやりたいと思って決めたことで、これまで出来なかったことができるようになること、そうなるまでに楽しくも苦しみが伴うことを知ることです。勝つことの喜びを、負けることの悔しさを知ることです。これらをサッカーで経験し、もっと上手くなりたい、もっと成長したいと子どもたち自身が思えることがとても大切なことです。ですから、サッカーを習い事としてやらせないでほしいんです。強制しないでほしいのです。サッカーを上手くさせたいという気持ちはコーチたちも同様です。だからこそ、育むべきは子どもの好奇心であり主体性です。サッカーって面白い、楽しい!と思わせて、「上手くなりたい」という気持ちを育み、上手くなるための環境をつくるのがサッカークラブの役目です。「上手くなりたい」という気持ちは、強制によって育まれるものではありません。サッカーという真剣な遊びの中で育まれていきます。サッカーの本質は遊びです。サッカーがしたいと思わないと、当然サッカーは上手くなりません。サッカーをしなきゃいけない......、と思いながらプレーしたところで上手くなりません。■夢中でサッカーをしている子どもが上手くなる元陸上選手の為末大さんは著書『生き抜くチカラ: ボクがキミに伝えたい50のことば』の中で「努力は夢中には勝てない」という言葉を残しました。私自身の子供の頃をふり返ってみると、夢中でプレーした積み重ねが成長に繋がっていたことがわかります。楽天大学の学長である仲山進也さんと元東京ヴェルディで活躍された菊原志郎さんの共著『サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質 才能が開花する環境のつくり方』にはこう書いてありました。ーー夢中で試行錯誤ができる子とできない子の違いって、何でしょう?主体性ですかね。こういう練習は、子ども同士でやるのが一番楽しいんですよね。大人がいると、どうしても大人の視線やミスを気にして伸び伸び練習できないですから。JFAアカデミーのときは、「今日は、コーチは何も言わないよ。失敗してもいいから自分たちで考えて、仲間と力を合わせていろいろやってごらん」という「ノーコーチングデー」を設定してました。出典:サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質 才能が開花する環境のつくり方より夢中でサッカーができる、試行錯誤できる環境が一番成長に繋がります。どんなに最先端の練習メニューも、夢中でプレーする子どもたちの前では無力です。夢中になる仕掛けが上手い大人が子どもを成長させます。魔法の練習メニューは存在しませんが、魔法のコーチングは存在するということです。子どもたちの気持ちをノセる指導者の元で子どもたちは伸びていきます。■サッカーを強制し、プレーを矯正するチームは少なくない長くジュニアサッカーを見てきましたが、未だに子どもたちにサッカーを強制し、プレーを矯正してしまうチームが少なくありません。ジュニアユース、ユースに上がり競技志向になっていけば多少そのようなアプローチがあるのも理解できます。しかしサッカーを始めたばかりの子どもに強制や矯正することは不要だと思います。チームを見極めるためには、練習だけではなく、ぜひ試合も観てほしいです。試合中、コーチがどんな声掛けをしているか、どんな振る舞いをしているか見てください。偉そうにふんぞり返って、子どもたちにコーチングとは程遠い怒号が聞こえてきたら要注意かもしれません。もちろん時には厳しさも大事です。でも、試合での指導者の態度は見極める上で参考になると思います。■信じて任せること、先回りして教えてしまうことで失ってしまうものチームに子どもを預けたら、親御さんは余計な口を出さないことです。子どもに「もっと練習しなきゃ」とか「なんでシュートしないんだ」など、余計な口を出して気持ちを壊さないようにすることが大事です。成長が早い子も遅い子もいます。周りができることができなくても焦らずに、見守ることが重要です。また、よく見かけるのが答えを先回りして教えてしまうことです。先回りして教えてしまうと、教わる側が自分で発見する喜び、成長する喜びを失ってしまいます。成長のタイミングも成長の仕方も人はそれぞれ異なります。だからこそ難しく、面白いんです。教えるのが上手い人は、決して教えすぎません。その子が自ら考え、自分でその技術を獲得するための余白をちゃんと残します。先回りして教えてしまうことで失ってしまうことを理解しなければいけません。子どもがサッカーを楽しくプレーするために、サッカーを習い事にせず、好奇心と主体性を育み、夢中になれるように、信じて任るようにしていただけたら良いなと思います。★この記事はサカイク10か条の項目第1、2、3、5項に該当しますKEI IMAI桐蔭横浜大学サッカー部時代に風間八宏氏にサッカーの本質を学んだ後、育成年代(主にジュニア)の指導に5年ほど携わる。その後半年間、中南米をサッカーしながら旅をし帰国。ブログ「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」を運営し、サッカー育成年代の取材、指導者や現役選手にインタビューをしサッカーの本質を伝える活動をしている。筆者Facebookアカウント>>筆者Twitterアカウント>>
2022年02月10日上手な子は上の学年の試合に同行させてもらえるけど、息子は留守番組。ほんの2~3人留守番させるなら連れてってくれてもいいのに。本人も「自分は下手で出たら負けちゃうから当然だけど、ちょっと悔しい」と。子どもが卑屈になったらどうするの!?「お前は下手だから試合に出れない」と友達に言われたら?どうモチベーションをあげればいい?と悩むお母さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<月謝を払っているのにスクールコーチが何も教えてくれません問題<サッカーママからのご相談>10歳の子どもがサッカーの少年団に入っています。上手な同級生は上の学年に同行し試合に出してもらってますが、息子は留守番組です。同行している子はパパコーチの子で、少年団以外にもサッカーを習っているので上手なのは当然なのですが、わずか二人くらいを留守番組にしたりするなら、連れて行ってくれてもいいのでは......と思います。息子は「自分は下手なんだし、出たら負けちゃうんだから上手な子が行くのは当然。でもちょっと悔しいかな」と言っています。練習は楽しんで行ってますが、親の私がどんなモチベーションでいたらよいのか、モヤモヤしています。上手な子だけが選ばれる、自分は下手だから、と息子の気持ちがどんどん卑屈になったらどうしようとか、友達から「お前は下手だから試合にでれないって言われたらどうしよう」とか私が悩んでしまってます。子どものモチベーションを下げさせないためにどんな心でいればいいのか、どんな風に声をかければいいのか、などアドバイスをいただければと思います。<島沢さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。短いご相談文の中から推察してお答えするので、若干ずれがあるかもしれません。そこは最初に断っておきますね。そのうえで、結論から申し上げます。このケース、一番の処方箋はお母さんが息子さんのサッカーから距離を置くことです。■問題は子どものモチベーションでなく、自分のモチベーションが下がっていることでは息子さんは「自分は下手なんだし、出たら負けちゃうんだから上手な子が行くのは当然。でもちょっと悔しいかな」と言いつつも、練習は楽しんで通っていると書かれています。「親の私がどんなモチベーションでいたらよいのかモヤモヤする」とありますね。そこを考えると、実は息子さんではなく、お母さんの問題のような気がします。「子どものモチベーションを下げさせないためには?」との相談のようでありながら、実は子どものサッカーに対するご自分のモチベーションが下がっている。それが不安で仕方ないのではありませんか。■子どもは楽しく練習しているのに、起きてもいないことで親が不安になっている状況ご相談文の冒頭で、留守番組の二人だけが置いて行かれることに対し、不満を述べられています。面白くない気持ちはよくわかります。私も息子が小学3年のとき、上の学年に呼ばれて遠征に行ったら1試合も出られず戻ってきたことがあります。試合中に先輩のプレーを見ずに砂に絵を描いていたから「もう出さない」とコーチに言われたそうです。ですが、息子は自分の学年ではないし、大して気にしてもいませんでした。ただ単に「一日中ベンチにいて面白くなかった。自分の学年の練習に行きたかった」と言っただけでした。まあ、そうだろうなと私も思いました。上の学年は人数も多く、下の学年が出て、その学年の子どもは少ししか出られないことが問題になっていました。息子さんは自分の学年の活動があるのだからそれでOKな気がします。だから本人も楽しく練習しているのでしょう。それなのに、お母さんは、彼の気持ちが卑屈になったらどうしようとか、友達から「下手だから試合にでれないって言われたらどうしよう」と、まだ起きてもいないことを心配しています。もしかしたら、他のこともあいまって、お母さん自身の不安感情が高まっているのかもしれません。少し気分を静めて、パートナーと話し合ってみるなどして、ご自分の気持ちの揺れと向き合ってみてはいかがでしょうか。■親に信用されてないと感じると子どもは落ち込むもし本気で息子さんの精神状態が心配でたまらないのならば、もう少し自分の子どもに自信を持ちませんか?この連載でも以前に申し上げましたが、親が「転ばぬ先の杖」を立てようとすると子どもを不安にします。自分は楽しいと言ってるのに、卑屈になったらどうしようとお母さんが心配していることを感じた子どもは、自分が信用されていないことに落ち込みます。つまり「最も近くにいる母親にこんなに心配されてしまうダメな僕」と思ってしまいます。試合に出られない彼の悔しさに「残念だったね。悔しいね。一緒に連れて行ってくれればいいのにね」と共感することは重要です。ただし、子どもの気持ちに親が同化してはいけません。そこでは「いいじゃん。学年の試合があるしね。また頑張ればいいよ。楽しくサッカーできればいいね」と寄り添ってあげてください。しかも冒頭で伝えたように、息子さんは楽しんで通っています。そこを認めてあげましょう。■「試合に出さないなら辞めさせます」親が立腹して子どもの意思を無視するケースも(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以前、都内で少年サッカーのコーチをしている方が、こんな事例を教えてくれました。4年生が大会に出たら、相手が強くて、二人だけ試合に出せなかったそうです。すると、その日当番だったその子のお母さんが「試合に出ないのなら当番なんかしないほうがよかった。もうやめさせます」と言ってきたそうです。コーチは陳謝し、その子にも「今度はチャンスがあるから」と説得したら、子どものほうはうなずいたそうです。入ってまだ数か月でしたが、サッカーを好きになっていました。ところが、お母さんは聞き入れません。「みんな出られると言われたから入れたのに」と言って、息子さんの手を引っ張って帰ってしまいました。「子どものほうはやめたくなかったと思う。歯を食いしばって泣くのを我慢していました。でも、母親にやめたくないと言えないわけです」歯を食いしばっているのを、お母さんは「ほら、この子もこんなに悔しがっている」と言ったそうです。親が子どもをコントロールできると考えないほうがいいです。声掛けとか、何か話をしてやる気が出るものではありません。日ごろから、できるだけ子どもの選択を尊重して任せましょう。「ま、いっか。サッカーをするのは私じゃない。この子なんだし」そのようにぜひ割り切ってください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2022年02月09日「JFAグラスルーツ宣言」に賛同するチームを認定し、つながりを作ることで、グラスルーツの環境改善を目指すJFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度。引退なし、補欠ゼロ、障がい者サッカー、女子サッカー、施設の確保、社会課題への取り組み、という6つのテーマに、それぞれ賛同するチームが認可を受けています。今回グラスルーツ推進グループの松田薫二さんと荒谷潤さんがお話を聞いたのは、千葉県浦安市に拠点を置くフットサルチームバルドラール浦安デフィオの監督兼選手として活動する泉洋史さん。グラスルーツ推進パートナーとしてどんな活動をしているか伺いました。(取材・文:松尾祐希写真提供:バルドラール浦安)チャレンジフットサルでの集合写真(提供:バルドラール浦安)<グラスルーツ推進6つのテーマ>■障がいのある子たちを主体としたチャレンジフットサルなどの活動も松田:バルドラール浦安の下部組織としてデフィオは活動されていますが、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか。泉:私たちはインクルーシブのチームとして活動しています。2014年に立ち上がったチームで、今は聴覚障がい者、知的障がい者、精神障がい者、視覚障がい者、健常者が在籍しています。その中で私たちのチームは主に2つの活動を行っています。1つ目は健常者のリーグにチャレンジする競技活動。2つ目は障がいのある子どもたちを主体としフットサル教室を主催する社会貢献活動です。私たちは競技と社会貢献の両方をやっていきたいと考えています。■チャレンジしたくてもできない状況があった2014年のチーム立ち上げ当初(提供:バルドラール浦安)松田:なぜデフィオやチャレンジフットサルの取り組みをされようと思われたんですか?泉:障がいのある方がチャレンジしたくてもできない状況があると知ったからです。聴覚障がいの方がプレーするデフサッカーの存在を知り、一般的な健常者のチームではなかなか馴染めないという声や、健常者のリーグにエントリーしたくても耳が聞こえない理由で受理されない事例があったみたいなんです。そうした現状を変えたいという気持ちでチームを立ち上げました。また、元々自分はバルドラール浦安のセカンドチームでトップ昇格を目指してプレーしつつ、特別支援学校の教員免許を取るために学校へ通っていたんです。そこで耳が聞こえない友人ができ、それがきっかけで聴覚障がい者のフットサルがあるというのを知りました。バルドラール浦安でトップチームを目指してやっていく夢を追いながら、仕事では特別支援学校の教員になりたい。自分が持っている二つの夢が合わさった世界があるかもしれないと気が付き、そこから関心を持つようになったんです。いろんなイベントに足を運び、チャレンジがしたくてもできない人がいることを知りました。今後の活動目標として、障がいがある人と健常者が一緒にプレーできる場をもっと作りたいと思うきっかけになりました。■聞こえる人、聞こえない人をセパレートしたら意味がないと思った松田:その中でバルドラールの下部組織としてチームを作られたのはどういう経緯だったのでしょうか?泉:実はバルドラールでチームを作ろうとは思っておらず、イベントで知り合った方々と一緒に、チームを作ろうという構想を立てていました。ただ、タイミング的にはFリーグでの挑戦を終えてからと思っていました。しかし、引退を決めた時にトップチームのコーチ就任を打診され、チームを立ち上げるのであれば、このコーチの経験が活きると思ったので、1年間やらせてもらいました。そこで経験を積んだので、いよいよチームを立ち上げようとなった時にその想いをクラブの方に伝えたら、浦安で立ち上げないかと言ってもらったんです。松田:バルドラールのどなたと話されたのですか?泉:バルドラールで当時監督をやっていた岡山さんと話していく中で、今経験していることを活かし、障がい者スポーツとフットサルが連携できるチームを作りたいと相談しました。そこで賛同を得て、最初は東京などで立ち上げる話をしていたんです。そこから塩谷社長とお話する機会がありました。自分としては障がいのある方がチャレンジできる場を作りたかったし、クラブとしてもFリーグのクラブとして社会貢献を行うメリットがあると考えていました。素人みたいなプレゼンだったかもしれませんが、社長に伝えたらやってみるかといってもらえました。ただ、チームを立ち上げていく中で、自分としてはデフメンバー主体としつつ、いろんな人が関われる場にしたいという想いがあったんです。もちろん、デフの人だけにしても良かったのですが、セパレートしたら意味がないと思っていました。ただ、聞こえる人はあくまでサポートとしての位置付けで、デフの人が主体になるチーム。そこからさらに高みを目指せるチームをイメージして作りました。■「健常者と戦う所に価値を求めている」正直な気持ちが受け入れられた松田:現在、デフィオは健常者とともに千葉県リーグの3部に所属しています。参加するための過程はかなり大変だったのでは?泉:そうですね。自分は前例を調べ、どこで断られたとか、どこでうまくいかなかった理由を聞いていたので、申請が通らない可能性があると思っていました。ですが、エントリーをして代表者会議があった時に、「実は僕たちは耳が聞こえないメンバーが大半で、コミュニケーションの部分で工夫が必要なチームです。健常者と一緒に戦うところに価値を求めているのでお願いします」という気持ちを話させてもらったところ、拍手をもらったんです。自分としては「なにそのチーム?」って思われると考えていたのですが、後から考えれば、バルドラール浦安の中にチームを作らせてもらったことも大きかったと感じます。皆さんが全く知らないチームではないので、スムーズにエントリーできたのかもしれません。■聞こえないことでの工夫を、「こうすればできるんだ」というチャレンジとして見せたい松田:実際に健常者の人たちと同じリーグを戦ってみての難しさはありましたか?泉:リーグに加盟した当初、ホイッスルが聞こえづらいのに一緒にできるの?という疑問を持たれていたんです。他のチームの方などはあまり言葉にされていませんが、実際にはあったと思うんです。でも、デフのメンバーはプレーを見て判断できますし、聞こえていなくても周りがサポートをしてきました。聞こえていなければ、ベンチから身振り手振りでサインを送ったり、手話も使って伝えたんです。一見大変に見えるところをデフィオなりに工夫してきました。やっぱり、健常者と同じステージで戦うことに価値がある。一般の人にこうすればできるんだとか、こんなチャレンジがあるんだと思ってもらいたいんです。僕自身も最初はこのチャレンジを躊躇していましたが、自分たちを見て新しいことを始めるきっかけにしてくれたら嬉しいですね。なので、リーグ戦を戦う上で色んな壁に当たりましたが、常にポジティブに考えて難しいことも工夫して乗り越えようという想いで取り組んでいます。■試合で笛を吹く際は、サポートできる体制をとっている松田:例えば、リーグ戦ではチームから第1審判以外のレフリーを出す必要があります。そこはどのようにされていたんですか?泉:デフィオのメンバーも審判の資格を取りに行きました。知り合いを通じて、講習会に手話通訳の方に来てもらい、補助することで審判資格を取得してもらいました。実際に試合で笛を吹く際は、自分も近くにいて、何かあったらサポートする体制を取っていました。3部の場合は第2審判と第3審判とタイムキーパーを努めますが、フットサルは第1審判と第2審判でジャッジをするので役割は大きいです。難しい部分もありますが、一緒の条件でオフィシャル業務も行っています。
2022年02月08日「IMGアカデミーでは文武両道が当たり前という考えがあり、通っている生徒のことをStudent Athleteと呼んでいます。アスリートだけでもなく、生徒だけでもないですよ、と。」50カ国以上から1200人が集まり、スポーツのスキルだけでなく社会を構成する1人の人間としての教育に取り組むアメリカのIMGアカデミー。前編ではベースとなる教育プログラムで教えられる内容について紹介しました。後編である本稿では、実際に留学した学生の変化などを紹介。この組織で得られる経験や価値について、前編に引き続きIMGアカデミーの長期留学アドバイザー・藤村有沙さんにお話を聞きます。(取材・文:竹中玲央奈)(写真はサッカー少年のイメージ)サカイクキャンプで導入しているライフスキルの詳細はこちら>><<前編:人間形成が競技者としての成長を促す。IMGアカデミーが示す"ライフスキル"の重要性■学業に厳しいのは"生徒の可能性を広げる"ためIMGアカデミーでは学校での授業の出席状況や成績が、スポーツ活動にも影響を及ぼします。前編でも紹介したように、授業の無断欠席は現場のコーチにも話が通じ「『あなたは今日学校に来なかったので、トレーニングはでられませんよ』と通達される生徒もいる」(藤村さん)とのこと。しかし、授業に"出ている"だけ良いということではありません。「試験で平均以上を取れないと、スポーツでの活動に参加できなくなります。期間は次に平均以上の点数を取るまで。IMGアカデミーでは『勉強をして当たり前』という考えがあります。なぜかと言うと、全ての生徒の可能性を広げるためです。40年間、この姿勢で取り組んでいるんです」■授業に遅刻しても先生に注意されることはない一方、興味深いのが授業に出ることを"強制"することがないという点です。「例えば、寝坊をして授業に間に合わなくても先生から連絡がくることはありません。全ては自分の責任です。日本のように親や先生にリマインドされることはないんです。『休めばスポーツが出来なくなって、授業の成績も悪くなる。それはあなたが選んだことで、あなたの責任だからね』と。そういうスタンスでもあります」■進路相談や目標から逆算した取り組みの提示などサポートが充実「1200名の生徒に対して、生徒をあらゆる面からサポートするスタッフが900名ほど在籍しています。まず生徒それぞれにアドバイザーがついており、競技における技術での成長を教えてくれる人がいれば、進路についての相談にのってくれる担当もいます。例えば学校生活の中で、もともと目指していたプロアスリートになるのが難しいとわかったり、違う進路に向かいたいと思ったときにどうすべきか。また、大学でスポーツを続けるにあたってレベル的にどこがたりないか。そして、その目標から逆算した取り組みややるべきことを提示することも特徴です」■海外で教育を受けることで育つ自主性と多様性「1年過ごして返ってくるだけでだいぶ姿が変わってきます。留学前には感じられなかった自信に満ち溢れた姿で帰ってくるんです。それは、本人が口に出さなくても見るだけで変化がわかるほどです」藤村さんは多くの留学生の出国前と帰国後の姿を見ていますが、その中でも変化は明確にあると言います。「キャンパスには先生方が常にいて、相談できるリソースはかなりあるんです。その中でどう使うか。日本人の子は引っ込み思案ですが、『わからないなら助けを求めていい』と教える環境がありますし、自律性も求められるんです。保護者の方もその部分や思考力、考え方の面が変わったと言いますね。」バスケ留学をしたある日本人の生徒は当初、英語でのコミュニケーションに苦しみ現地の仲間にからかわれることもあったそうです。しかし「確かに自分は英語はうまくないかもしれないけど、日本語と英語の2つを喋ることができる。母国語の英語だけを話している他の生徒より難しいことにチャレンジしているんだ」と考え、競技中や学校生活での自己主張・表現にはずみがついたとのこと。■社会で生きる力を学べるプログラムもこれだけにとどまらず、幅広い国籍やバックボーンの仲間と触れることで感性や考え方が育まれるそうです。「アメリカの軍隊に参加して実際に行われているトレーニングを体験したり、メキシコ山奥の村に行き、生徒でグループを組んで家造りをするワークショップなどもライフスキルのプログラムには組まれています。競技以外でもグループで同じことに取り組み、学ぶことも重要視しています。コミュニティでどう過ごしどう学ぶか。スポーツ以外でどう自分が活躍できるか、適応できるか、というところを学び試す場所もあるんです。一流のアスリートになるためではなく、社会で生きるための力を学べるプログラムとも言えます」■"競技外の人間形成"が長期にわたり信頼される理由サッカーだけでなく、野球やバスケ、テニスなどで上の世界を目指している多国籍の仲間がいて、彼ら彼女らを始め多くの人から様々な考え方を学べるIMGアカデミーは、いち教育機関として大きな魅力があります。最先端のシステムや理論で競技力向上に励むことができるのはもちろんですが、それに並列して重要視されている "競技外の人間形成" のプログラムが、長期間に渡って信頼され地位を築いている要因と言えるでしょう。いつか日本からもサッカーの分野でIMGアカデミーを経由し、競技でも人間性でも手本となるアスリートが出てくることを期待しましょう。お話を聞かせてくれたIMGアカデミーの藤村有沙さん(後ろの写真はアメリカのIMGアカデミーの施設)
2022年02月07日これまで関東・関西で4回に渡って開催し、好評を得ているのが、小学校高学年向けに行うサカイク主催の「GKスペシャルキャンプ」です。日本代表のシュミット・ダニエル選手、大迫敬介選手ら多くのJリーガーを指導してきた澤村公康コーチの指導を2泊3日で学べるのが、キャンプの特徴で、未来の守護神たちが確かな成長を遂げてきました。今回は、愛知県に住む矢野匠海くんが感じたGKキャンプに3度参加し、感じた変化を聞きました。(取材・文:森田将義)【春休み開催】元JクラブGKコーチが指導「GKスペシャルキャンプ」>><<過去の参加者たちの声、GK指導を受けたシュミット・ダニエル選手のコメントなど■「もっと上手くなりたい」から参加を決意保育園の頃に友だちから誘われてサッカーを始めた匠海くんは小学生になり、サッカースクールとフットサルでプレー。2年生になるとそれだけでは物足りず、近所のサッカーチームでもプレーを始めました。3年生に上がったタイミングで、「仲間と仲良くプレーするのが楽しかった」とGKへの転向を志願しましたが、ミニゴールでプレーしていた低学年とは違い、ゴールのサイズが大きくなったため、始めた当初は思うようにシュートを止められなかったと振り返ります。最初は同学年のライバルがスタメンを掴んでいましたが、幼少期に磨いた足元の技術を期待され、5年生になったタイミングでスタメンを獲得。「もっと上手くなりたい」と考えていたタイミングで、お父さんから教えて貰ったのが、サカイクGKキャンプでした。■しっかりキャッチするための具体的なコツを学べた初参加となった2020年の夏のGKキャンプは、匠海くんにとって刺激的な3日間になりました。日々の練習はライバルとの2人でチームのGKコーチから教わったメニューに取り組むのが基本的な流れ。ですが、GKキャンプでは澤村コーチらがGK指導のプロが自らシュートを打ち、アドバイスを貰えます。また、シュートを止める度に誉めるなど、選手のやる気を引き出す指導も一流。「単純なトレーニングですが、単純さの中に駆け引きがあった。『こうすれば、もっと良くなるよ』といったアドバイスも貰えるので、凄く勉強になりました。ただキャッチ出来れば良いのではなく、しっかりキャッチするための具体的なコツを学べました」。■「声の質」などコーチングの細部まで教わった「元々セービングが得意ではなかったけど、ボールを止める喜びを学べたし、1個のボールに集中できるようになった。自分の中で変化を見つけられたのでもっと行ったら、もっと成長出来ると思った」。そう振り返る匠海くんが、2度目のGKキャンプに参加したのは、2020年の冬。緊張で他の参加者に話しかけられなかった1回目とは違い、自ら積極的に話しかけ、県外の選手と仲良くなれたそうです。心にも余裕が生まれ、コーチが言ってくれる言葉も頭に残るようになりました。元々、匠海くんは声の大きさには自信があるため、コーチングを武器にしたいと考えていましたが、なかなか機会がなく、YouTubeで勉強するしかありませんでしたが、澤村コーチに「声の質」などコーチングの細部まで教わる事が出来ました。また、自身がプレーしていない際も、小学6年生のキャッチングの丁寧さや、コーチングの声や質を見て盗み、成長のヒントを掴みました。■一番変化したのはメンタル面、試合中下を向かないようになった6年生になった昨夏には、3回目のGKキャンプに参加。「最高学年なので、年下の子も多い。恥ずかしいプレー、イージーなミスはしないように気持ちでプレーしました」と振り返る匠海くんは、GKキャンプの特徴である普段家ではしない洗濯だけでなく、ミーティングやサッカーノートへの記入も前向きに取り組みました。3回のGKキャンプによって感じる一番の変化はメンタル面。他の選手と比べ小柄な匠海くんは、高い位置へのシュートを苦手としており、失点が続くと気落ちしがちでした。GKキャンプでも複数失点し、試合後に落ち込んでいると澤村コーチにメンタル面の重要性を教えて貰ったのが、印象に残っていると言います。「試合中に下を向いていたら、プレーに集中できない。チームが悪くなるので、試合中は下を向かないようになった」。■親が感じた息子の変化「責任感を持ってGKをやれるようになった」「苦手な所は気持ちでカバーするしかない。届かない球にあと少しで届くというのはよくあるので、止められるという気持ちがあれば変わってくる」と考えられるようになったのもGKキャンプによる変化です。お父さんは「参加してから、責任感を持ってGKをやれるようになった。今までは控えめだったけど、GKというポジションは自分が前に出て、しっかり先頭に立って統率していかければいけないシーンもある。そうしたシーンで責任を持ってプレーできるようになった」と成長を話します。■自信を無くしている子が「もう一度頑張ってみよう」と思えるキャンプ「どれだけ技術があっても、勇気がなければボールは獲れない。GKは非常にメンタルが大事なポジションで、澤村さんは特にGKのメンタルを凄く強化してくれるコーチだと感じています」と話すお父さんはお互いに高め合えればと考え、過去3回のGKキャンプいずれも、知り合いのGK友だちを誘っています。「澤村コーチは凄く盛り上げるのが上手なので、GKをもうやりたくないと自信を無くしている子が、もう一度頑張ってみようと思うには非常に良いキャンプだと思いました。気持ちが落ちている子こそ積極的に参加してもらいたい」(お父さん)。「技術面だけでなく、心から高まっていくキャンプでメンタル的に凄く刺激がある。良いライバルや仲間がいると競い合えるので仲間で行くのが良いと思います」(匠海くん)。■上手くなりたい、自分を変えたいGKの参加を待っていますそう声を揃えるGKキャンプは2022年3月31日(木)から4月2日(土)に千葉県のアルビンスポーツパークで開催予定です。上手くなりたい、自分を変えたいと思っている小学生はぜひ、参加してみてください。【春休み開催】元JクラブGKコーチが指導「GKスペシャルキャンプ」>>
2022年02月04日2022年1月4日、大阪のJグリーン堺で東口順昭選手のGKクリニック「MASAAKI HIGASHIGUCHI GOALKEEPER CLINIC」が開催されました。クリニックは2部構成で実施。1部は小学生、2部は中学生のカテゴリーで行われました。東口選手の他に、ガンバ大阪のGK加藤大智選手とMF奥野耕平選手、関西でGKスクールを主催する安部航平コーチも参加。選手と子どもたちが一緒になってトレーニングをし、間近でアドバイスを受けるなど、貴重な時間を過ごしました。ここでは、参加者の感想をお届けします。(取材・文:鈴木智之)<<関連記事:現役Jリーガー・ガンバ大坂GK東口順昭選手がクリニックで子どもたちに語ったこと■GKの基礎を上手くしたいタムラ セイジュくん小学5年生(GKを始めたきっかけは)幼稚園のときに、お兄ちゃんがGKをしていて、おもしろそうだったので始めました。好きなGKはドンナルンマです。体が大きくて反応が速く、キャッチも上手いからです。(GKクリニックに参加した理由は)基礎を上手くしたいのと、東口選手に会えるからです。実際に会ってみて、迫力がありました。コーチングの声が大きくて、「左を切れ」とか、具体的に言っていたのが勉強になりました。(東口選手へ)今日はたくさんのことを教えてくれて、ありがとうございました。明日からの練習に生かして、プロ選手になれるようにがんばります。練習でキャッチをしたとき、東口選手に「ナイスキーパー!」と言われてうれしかったです。■自分に足りないところが分かったマツカ ショウイチくん小学6年生GKは小学1年生のときに始めました。それまではフィールドプレーヤーだったのですが、あるとき「GKやりたい人?」と聞かれて、手を挙げてやってみたら、結構止めることができたので、コーチに「GKやってみない?」と言われたのがきっかけです。GKは楽しいです。ナイスセーブをしたり、PKで自分が止めて試合に勝つとうれしいです。好きなGKは東口選手とキム・ジンヒョン選手。東口選手はコーチングが具体的でわかりやすくて、言葉でしっかり伝えているところがいいなと思います。ガンバの試合もよく見に行っていて、スタジアムでは東口選手に注目して見ています。(GKクリニックに参加した理由は)プロ選手が意識していることを教えてもらって、自分のプレーに生かしたかったからです。参加してみて、自分に足りないところ、例えばコーチングだったら、もう少しわかりやすくできるなとわかりました。東口選手は身長が大きいし、もし自分がシュートを打つ立場だったら、威圧感があるので、なかなかシュートを打てないと思いました。練習中は優しくて、明るく声をかけてくれたのでうれしかったです。(東口選手へ)忙しい中、このような機会を作ってくれて、ありがとうございます。東口選手に「ナイスキーパー!」と言ってもらえたことで、またサッカーがやりたいと思いました。褒められてうれしかったので、自分のチームの選手が良いプレーをしたときに「ナイスディフェンス!」と、すぐに声をかけたいと思います。■キャッチしてボールがこぼれても、すぐに捕ればいいという助言をもらったノボリオ アヤノさん小学5年生GKは小学4年生から始めました。最初はチームの中で交代でGKをしていたのですが、やってみたら楽しかったので、続けています。やっぱり、シュートを止めたときがうれしいです。(参加した理由は)ガンバ大阪と東口選手が好きだからです。東口選手はギリギリのボールを止めるプレーがすごいと思います。間近で見て、上手くて迫力がありました。練習は一つひとつの説明がわかりやすくて、楽しかったです。(印象に残ったことは)最初のトレーニングで東口選手とペアを組めたことです。あとは、体の後ろでボールをキャッチすると、こぼしたらゴールに入ってしまう。それよりも前でキャッチして、こぼれたとしても、すぐに捕ればいいと言われたのが参考になりました。GKをこれからも続けて、あこがれの東口選手のように、どんなボールでも止められるGKになりたいです。(東口選手へ)今回は教えてくださって、ありがとうございました。前にボールを弾くことを意識して、これからのプレーに生かしていきたいです。ここからは、中学生の部に参加した子どもたちの感想を紹介します。■今後の参考になる「コーチング」のアドバイスがあったクラモト ダイキくん中学3年生GKを始めたのは、中学1年生のとき。東口選手にあこがれて始めました。スマホのカバーも東口選手のグッズです。東口選手は一つひとつのプレーがカッコいいです。なかでも、ハイボールの捕り方がきれいだと感じたので、近づけるように真似をしています。(参加したきっかけは)東口選手のLINEライブを見たからです。参加して、楽しかったです。トレーニングでは、細かいところまで教えてもらえたので勉強になりました。コーチングに関して、「わかりやすく、はっきり伝える」と言っていたのが印象に残っています。(東口選手へ)今回、教えてもらったことを参考に、これからがんばっていきます。■どこに気を付けてプレーするか、を学べたアベ コタロウくん中学3年生GKを始めたのは、小学5年生です。もともとフィールドプレーヤーだったのですが、足をケガしたことがきっかけで、GKをすることにしました。好きな選手は東口選手です。土壇場のプレーがすごいと思います。今日、実際に会ってみたら優しい雰囲気でした。1対1の場面で止めたときに、褒めてもらえたのがうれしかったです。練習でやった最終ラインの裏へのボールや、前後の動きなど、どこに気をつけてプレーするかを、質疑応答で教えてもらえたので参考になりました。(東口選手へ)普段スタジアムなど、遠くから見ている選手に教えてもらえてうれしかったし、楽しかったです。ありがとうございました。■プロは雲の上の存在だけど、分かりやすい指導で楽しい時間を過ごせたシミズ ハヤトくん中学2年生GKは小学4年生からやっています。シュートを止めたときに達成感があります。東口選手はGKとしての技術だけでなく、倒れてもプレーを続けるガッツもすごいと思います。近くで見て、大きくて速いなと思いました。声が大きくて、わかりやすく教えてくれて、接しやすかったです。(参加した理由は)東口選手に教えてもらえるので参加しました。セービングで斜め前に跳ぶと教えてもらったことは、意識してやっていきたいです。東口選手のプレーを見て、この位置に足を踏み込んでいるんだなとわかったので、プレーの参考にしたいです。(東口選手へ)プロ選手は雲の上の存在なので、緊張するかなと思ったのですが、わかりやすく、楽しく練習ができて良かったです。学んだことを生かして、もっと上手くなりたいです。多くの参加者が「東口選手に会う前は緊張していたけど、会ってみると優しかった」「ナイスキーパーと褒められて、うれしかった」と話していました。あこがれの選手のプレーを間近で見て、アドバイスをもらい、大きな刺激を受けたようです。この経験をこれからのプレーに生かして、がんばっていってほしいものです。東口選手の最新情報などは東口選手公式Instagramでチェックしよう>>イベントの様子はONE CLIP株式会社 公式Instagramでも配信中>>
2022年02月02日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。優勝したセンアーノ神戸ジュニアは「止める・蹴る」の技術レベルの高さが注目されました。大木宏之監督の育成は、低学年から自分たちで決めさせるなど、主体性を育てる点に特徴があります。最近では練習試合を減らし、紅白戦を増やしているというやや意外な話も。今大会だけではなく、中学以降も大事になるサッカーのベース、必要なスキルなど育成年代で大事なことなどを伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心佑、吉田孝光)優勝したセンアーノ神戸ジュニア(写真:吉田孝光)■11人制は1人当たりのスペースが大きい今大会は、グループリーグからR16まで無失点で4連勝、準々決勝では0-0と苦しみましたがPK戦で勝ち上がりました。最終日第一試合となった準決勝で今大会初失点を喫し一旦は0-2とリードされたが粘り強く戦い同点として再びPK勝ちで決勝進出。決勝では持ち前の攻撃力を爆発させる大勝で見事優勝を果たしました。R16勝利後インタビュー――今大会にはどういう思いで臨まれましたか?大木宏之監督(以下、大木)ジュニアユース年代の11人制は、ジュニアの8人制とは大きく違う点がいっぱいあります。特に1人当たりのスペースが大きいため、しっかり技術を発揮したサッカーを目指してやってきました。対戦する相手もいいチーム、いい選手ばかりなので、練習の成果をしっかり発揮できるように意識しました。――試合前に選手に向けて選手たちに3つのことをお話しされていましたが?大木自分たちのサッカーは、中盤に落ちて、受けて、出し入れしながら前進するサッカー。前を向くということを意識しよう、と言いました。僅差になるのが分かっていたので、シュートチャンスを逃さずにやろう。ゲームの流れの中で最後はお互いのいい声、仲間を信じてポジティブに声を掛けてサッカーしよう。という3つのことを話してゲームに臨みました。――クラブの育成として主体性を大事にされていると聞きますが、できていましたか?大木そうですね。今大会の試合途中も、フリーキックを誰が蹴るか、ゴールキックを誰が蹴るかとか、常に選手が自分たちで決めていました。今日選手を一人入れ替えたんですが、それも選手と相談して決めました。■「笑顔でいい声かけをして、仲間のいいプレーを盛り上げよう」と言ったセンアーノ神戸の大木監督は、試合前選手たちに「仲間のいいプレーを盛り上げよう」と声をかけたそう(写真:吉田孝光)優勝後インタビュー――優勝おめでとうございます。準決勝、決勝の感想をお願いします。大木ありがとうございます。準決勝の相手YF NARATESOROさんとはよく練習試合をしていて、個人個人は知っているんですが、11人制では見ていないので前半バタついちゃった所がありました。何とかPKで勝ち上がれたのは幸運でしたね。決勝のトリプレッタさんは準決勝を見たところ、早いし大きいし力強いなと。ウチの前線の選手は大きくないので相手と同じことをやっても難しいと思い、決勝は自分たちの良さをしっかりと出したサッカーを徹底しようと言いました。――準決勝では後半の序盤で0-2とリードされましたが?大木この子たちにとって勝負のかかった大きな大会でのゲームはこれが最後だと思っていたので、「今日一日みんな笑顔でいい声かけをして、仲間のいいプレーをどんどん盛り上げていこう、勝っても負けてもそういう試合をしよう」と言い続けていました。それを準決勝も決勝も子どもたちに意識させて。勝ち負けは後からついてくる、と。続けていたら結果勝てるかもしれないよと。戦術的には、ウチは狭い距離感でずっとトレーニングを積んでいるので、そういうボールの動かし方を徹底して、相手のFWが一枚だったから、ウチは2枚にしてボールを保持してやるようにということは言いましたね。■止める、蹴るは中学以降でも大事な要素――センアーノの選手たちは「止める・蹴る」が実にしっかりしていますね。大木ありがとうございます。「止める・蹴る」は大事にしたいと思っています。中学、高校でもサッカーを続ける中で、絶対に大事になってくる要素なので。私たちは、自分たちでボールを持って主導権をもってやる方が絶対に上手くなると思って続けてきたので、それを徹底して今日もやりました。――ゴールがなかなか取れない試合が続きましたが、決勝では大量得点でした。その理由は?大木ふっ切れたのかも知れないですね。昨日は1点しかとってないですから。あと、今日戦術を変えたんです。後ろのところを1枚多くしてちゃんとボール保持して方向を変えてからやろうと。昨日は数的同数の状態でやっていたんですが、そうするとプレッシャーを掛けられちゃってどうしても逃げたり、後手になったので、そこを思い切って変えたのが功を奏したのかなと思います。――距離感も連係もよかったですね。大木試合前のウォーミングアップでも狭いコートでのゲームを最近ずっとやっているので、そういったことを11人制になってもしっかりできるようにということで、いい距離感でボールを動かして、最後前を向けたら突破のパス、ドリブルをやろうと。■練習でやってきたことをブレずにできたのは成長――選手たちが大人になる頃、未来のサッカーがどんなものか分かりませんが、「止める・蹴る」は絶対必要でしょうね。大木そうですね。今川崎フロンターレさんがすごく個々の選手も伸びているし、評価されて代表にも行っています。このさきどんなスタイルが流行るかはわかりませんが、フロンターレさんの方向性がベースになるのかなと。日本人はどうしてもフィジカルで海外の選手に勝てるわけがないので。そういった技術や判断の部分は大事にしていきたいなと思います。小学生年代で体の大きな子であっても、中学・高校へ行って彼らがどうなるかの方が大事なので。――今大会を通じて選手の成長を感じた点は?大木11人制で勝負がかかる緊迫感のあるゲームをするにつれて、自分らがこれまでの練習でやってきたことが通用するんだというのを実感できたんじゃないでしょうか。特に準決勝の後半から自信をもってやれるようになって、決勝も途中ちょっとバタついたところもありましたが、それ以外はブレずにやれたので、そこは成長かなと思っています。――昨年の大会の経験者がいたのは強みでしたか?大木昨年大会の経験者が5人いまして、それも大きかったかもしれません。でも、いいチームがいっぱい出ていたので、まさか優勝できるとは思っていませんでしたね、目指してはいましたが。PKでの勝ち上がりが2つあるのでね(笑)。■「自分たちの試合」を見てサッカーの理解を深めるようにしている――センアーノでは幼少期から自分たちで戦い方を決めたりしていると聞きます。選手を見ていてサッカーの理解の部分が優れていると感じるんですが、映像等の情報の伝え方などは?大木海外の映像とかはYouTubeなどの動画を見ている子も多いので、あえて見せたりはしないですが、"サッカー脳"的に言うと、自分たちの試合映像を見て良かった点、改善したらよくなるなと思う点をサッカーノートに書かせるようにしています。自分たちの映像を見ることで、試合の振り返りができるので、それに僕がコメントを加えたりはしています。あと、小さい頃からできる限り自分たちでポジションを決めたりもさせています。最近はトレーニングマッチをできるだけ減らして、紅白戦を極力入れるようにしています。トレマだとフリーズできないですが、紅白戦だとフリーズして見れるので、自分で考えることができるんです。あまり止めると子どもらは嫌がるので、そこのさじ加減は指導者の腕の見せ所になるんですが(笑)。ゲームをやって改善点を考えるわけですが、試合展開が進むと指導者も流してしまう。今日ここは教えたいな、伝えたいなというところは絞って、小3くらいからは紅白戦でフリーズさせて、子どもらにどうだと問いかけて、考えさせて、それを他の子も聞いていますからね。そういう取り組みは最近2年くらいやっています。試合中の一場面をメモしても、試合後には子どもらはもう忘れてしまってますから。フリーズで難しいのは、プレーを止めすぎると子どもらは面白くないところです。「なんで止めるの?」と言われますからね。止めるタイミングもチャンスの場面だと、「えっ?」ってなりますし。できるだけ流れを止めないようにしながらやるので難しい。指導者も力をつけないといけませんので、常に学び続けています。■低学年から自分たちでポジションや戦い方を決める――低学年から自分たちでポジションとか戦い方を決める方法が、チームの強さにつながっているのかなと感じますが、その方法の良さは?大木試合中声で指図しても届かないので、自分らで判断してプレーできるのがいいですし、中学・高校になればサッカー脳が高くないと、やっぱり通用しないと思うのでね。指導者が変われば考え方も違いますが、サッカーの原理・原則は変わらないので、そこはキッチリ押さえさせて、その中で何を選ぶかを子どもたちに考える習慣をつけさせています。――低学年だと難しいんじゃないか、教えた方がいいんじゃないかという意見には?大木いきなり何もない状態から「やってごらん」というやり方はしません。戦い方はこういうのもあるよ、違うのもあるよと伝えていきながら、じゃあ今日はみんなでやってみようかと。そんな風に前提を提示してから子どもたちに決めさせ、そのやり取りを「今、何を話してるんだろう」と僕らがのぞき見している感じです。特に低学年だと子どもたちは勝ちたいので、上手い子が真ん中やったり、前線やったりして、GKは誰もやりたがらない。そういうこともあるんですが、そうなったら、「それでいいの?みんなが出てみんなプレーして勝った方が楽しいんじゃないかな?」と声をかけたりします。――MVPに選ばれた片山君の良さは?大木彼は幼稚園からウチでやっている選手です。憧れの選手にマラドーナを挙げていましたが、小柄なのを自覚しているので、俊敏性を活かしてドリブラーになりたいんだと思います。そこは彼の良さだと思っていますが、彼にはアタッキングサードで前を向いたら色んなことを自分でやっていいからと言っています。ゴール前でキレのあるドリブルのできる選手になってほしいなと思います。シュートをもっと決めてくれると、更にいい選手になるのは間違いないです。MVPを獲得した背番号10・主将の片山祥汰くんにも話を聞きました。■間で出し入れして、相手が食いついたところで裏に入れるのを意識していた小柄ながらも当たり負けせずドリブルでボールを運ぶ技術が高く、決勝では2点を決めた片山祥汰くん(写真:吉田孝光)――優勝おめでとうございます。大会通じて何点取りましたか?片山ありがとうございます。今日は2点、全部で7点か8点くらいだと思います。いちおうチーム得点王です。――朝の準決勝と午後の決勝で違いました?片山会場の雰囲気とか相手の気持ちとかが全然違いました。――準決勝の相手YF NARATESOROとは同点でしたね(PK決着でセンアーノが勝ち上がり)片山0-2になったときも自分たちのサッカーができれば逆転できるという思いで、みんながチーム一丸となってやれて同点に追いつけたと思うし、だから勝てたと思うので良かったです。――対戦相手と比べても小柄な選手が多いと思うんですが?片山自分たちはみんな身体が小さいので、つないでやろうと言っています。空中戦では負けてしまうのでフィジカルコンタクトにならないように、ワンタッチ、ツータッチでプレーしてたくさん点がとれました。――どういうふうに戦おうという狙いでしたか?片山間で受けたり、そこで出し入れして相手が食いついたところで裏に入れるとか、そういう意図をもってやっていました。――どのくらいできましたか?片山90点くらいです。――去年の大会にも出場していましたが、去年と今年の違いは?片山11人制をいろんな相手とやらせてもらったりして、その中での戦術とかを頭に取り入れていくのを結構早くからやっていたから勝てたと思います。他の選手たちにも3日目の試合終了後にインタビューしたのでお送りします。■選手たちのあこがれの選手、クラブOB香川選手の名前は......選手たち左から片山祥汰くん、津田颯太くん、濱吉一太朗くん、國吉晴向くん、久保祐貴くん(写真:浅尾心佑)――試合(対戦相手:バディサッカークラブ)の感想と、憧れの選手を教えてください背番号10片山祥汰(進路:セレッソ大阪西U-15)最初はちょっと押したり押されたりの厳しい展開だったけど、後半うまくボールを中盤で奪ってカウンターでいい感じでタテに運んで点を取ったので、よかったです。1点取ってから結構ラクになりました。憧れの選手はディエゴ・マラドーナ(元ナポリ等、元アルゼンチン代表)です。身長が小さくても負けずにドリブルで相手を翻弄するところがかっこいいから、自分も身長が大きくないのでプレーの参考になります。背番号3津田颯太(進路:セレッソ大阪西U-15)みんなよりいっぱい声を出して、みんなで楽しく試合ができるようにこれからも頑張りたいです。憧れの選手はセンターバックのファンダイク(リヴァプール)です。背番号11濱吉一太朗(進路:ヴィッセル神戸U-15)始めの方は相手に押されることが多かったけど、後半自分らが1点を決めてそのあと最後まで集中して守り切れて勝てたのは良かったです。憧れの選手はアレクサンダー・アーノルド(リヴァプール)です。背番号8國吉晴向(進路:セレッソ大阪西U-15)試合前に自分たちのサッカーで翻弄しようということで、入りは押されることが多かったけど、途中から自分たちのサッカーができて勝ててよかったです。憧れの選手はグティ(元レアルマドリード)です。YouTubeなどの動画で存在を知りました。背番号7久保祐貴(進路:ベガルタ仙台ジュニアユース)立ち上がりから球際で相手に激しく行って、点を取ってからも緩むことなくできたので良かったです。憧れの選手はモハメド・サラー(リヴァプール)です。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、11人制での試合になります。8人制から11人制への移行期で、幅やスペースの使い方などを課題に挙げるチームがたくさんあります。この大会のために準備してきたとはおっしゃっていましたが、センアーノ神戸ジュニアが見せたボールスキルや戦い方は、大いに参考になるものだと思います。準決勝から決勝までの試合が動画で20見れますので、ぜひご覧になってみてください。ワールドチャレンジ2021結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年02月01日去る12月25日に「監督が怒らない大会」が横須賀市の横須賀アリーナ(体育館)で開催され、元バレーボール選手の益子直美さんと、元Jリーガーで現在は横浜F・マリノスのアンバサダーやサッカー解説者としても活動していつ波戸康弘さんがゲストとして参加しました。この大会は、体罰などが問題化している昨今のスポーツ指導において、勝利することだけにとらわれず、まずはスポーツを楽しみ、できなかったことができるようになったり、褒められたりすることで自己肯定感を養っていけるようなワクワクできるスポーツ環境や地域のスポーツ振興の推進を図るという意図で開催されました。参加チームは、この大会の理念に賛同してくれた横須賀市内で活動するサッカーチーム8チーム(2、3年生)で、監督・コーチたちは選手待機エリアから「いいよ、いいよ」「前線からプレスに行こう」「(失点を)気にしない、気持ち切り替えよう」などのポジティブな言葉で鼓舞する姿が見られました。大会を主催した、スポーツ界の持続可能な発展を目指すSPORTS SUPPORTERS NETWORK(SSN)代表の岩橋さんは、以前から益子直美さんが行っている「監督(指導者)が怒ってはいけない大会」に共感していて、自分たちがサッカーでイベントを開催する際に益子直美さんをお迎えして、「怒鳴らないで選手の自主性に任せる指導」の理念をサッカー大会を通して選手、指導者へ伝えたいと思っていたそうです。大会のあとは波戸康弘さんによるサッカークリニックと、益子直美さんによる指導者、保護者向けセミナーを同時開催。サッカークリニックでは、「視野の広さを確保してドリブルをする」をテーマに、ボールを置く位置や体の向きなどを波戸さんが説明しました。お手本を見た後実践した子どもたちは「確かに~。(前が)よく見えるようになった」など、喜びの声を上げていました。会議室で行われた益子直美さんのセミナーには指導者と保護者の方々が参加しました。益子さんは、学生時代に暴力暴言指導を受け、引退するまでバレーが楽しくなかったというご自身の経験や、「教えられる」指導を受けてきたので実業団に入ってから自分で考えてプレーすることができなかった経験から、子どもたちが自ら楽しんで挑戦しながら伸びてほしいという思いを持ち、現在は「監督が怒らない大会」を開催しています。セミナーでは、益子さんが学生時代や全日本の合宿で理不尽に叩かれた写真や映像が流されると、参加者たちからは「ひどい......」との声が漏れました。「このような指導を受けて、やる気が出ると思いますか」と質問すると、全員が「出るわけない」と回答。そういったエピソードを見ながら、参加者のみなさんは、自分で考えて楽しんでプレーするためには、チャレンジを誉めること、ポジティブな声掛けが大事だということを、改めて実感されたようでした。また、理不尽に殴られ怒られる指導を受け「バレーを楽しいと思えなかった」という益子さんを救ってくれたのは、お母さんだったというお話も。チームのエースで、国の代表にも選ばれるほどの実力があるわが子にはどうしても期待してしまう親御さんもいると思いますが、辞めたいと考えていた時、益子さんのお母さんは「そんな指導を受けるバレーなんてやめてしまいなさい」とおっしゃったのだそうです。その言葉に救われ一時はバレーから離れた益子さんでしたが、お母さんのその言葉があったから、バレーを再開することを決断できたのだそう。「その時母が『続けなさい』と言っていたら、私は母に対して心を閉ざしていたと思いますし、バレーも続かなかったと思います」と親がわが子を理解し、いい関係性があったからこそ、と語る益子さんの言葉に、参加した保護者のかたは大きくうなずいていました。セミナー終了後は、益子さんに個別で質問する指導者や親御さんもいて、子どものスポーツに関わる大人としてどうあればいいかを改めて意識する貴重な機会となったようでした。このような考えや活動が今後もサッカー界で広がっていくことを期待したいものです。
2022年02月01日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。準優勝のFCトリプレッタ渋谷ジュニア海老根監督と3位YFNARATESOROの杉野監督に、大会に参加した意義や11人制サッカーについて伺いました。U-12といえば普段は8人制でプレーしていますが、ワールドチャレンジは11人制の大会。杉野監督は8人制と11人制についての問題提起をしてくれました。(取材・文:貞永晃二、写真:吉田孝光)準決勝ディアブロッサ高田FC U-12対FCトリプレッタ渋谷ジュニア(写真:吉田孝光)■普段対戦する機会のないチームとの試合で選手たちも成長FCトリプレッタ渋谷ジュニアは、東京都渋谷区を拠点に活動するチームで、今大会は、グループリーグから決勝トーナメントのR16、準々決勝と5戦連続無失点勝利。準決勝で初失点を喫するが快勝し決勝進出。決勝では敗れ準優勝となりました。――大会に参加された狙いは?海老根宏監督全少出場を目指してやっていたんですが、東京都の大会で敗退してしまいました。今年は日程が変わったり、予選の状況が変わったりでしたが、タイミングよくこの大会の予選が最後残っていたので、世界一を目指そうという狙いの中で出させてもらいました。海外のチームが来れないのは残念でしたが、普段対戦する機会のない関西のチームや全国でやったことのないチームと対戦できて、選手も毎試合すごく成長してくれているなと感じられましたし、参加してよかったなと思います。■ピッチが大きくなりスペースと時間ができる中での守備を練習してきた――R16まで無失点ですが、守備力に自信ありですか?海老根点がそんなに取れないのでしっかり守備をしているということでもあるのですが(笑)。この年代だと普段は8人制かつハーフコートでやっているので、ワーチャレではピッチが大きくなってスペースと時間ができる中でボールの奪い方、奪う場所、タイミング、そこから攻撃を、という部分を出場が決まってからずっと合言葉のようにやってきました。試合をやるにつれて徐々に連係も良くなってきて、粘り強い守備から攻撃ができているのかなと思っています。――11人制への準備は?海老根1か月弱です。トレーニングとウチのジュニアユースとのトレーニングマッチをやらせてもらいました。なかなか東京ではグラウンドがないとか、出場する近辺のチームとかとはできなかったので。こういう大会がない年は、基本的に8人制のまま終了してしまい、11人制は中学に行ってからとなります。ウチのジュニアユースへ進む子が多いですが、このチームから2人がFC東京、大宮アルディージャへ進みます。(青木智史くん、中嶋翼空くん)。クラブとしては当然みんなジュニアユースへ上がってほしいんですが、チャレンジしたいという子にはさせています。ウチからFC東京U-15へ行った梶浦勇輝くんがU-18からトップ昇格するのは嬉しく思っています。■見ていて楽しめる、応援してもらえるチームを目指している――チームのコンセプトは?海老根個々のスキルアップはもちろん、チームとして見ていて楽しめる、応援してもらえるチームになろうというのがベースにあります。幼稚園の頃からずっとやってる子が多くてスタメンの内8人が7~8年一緒にボールを蹴っている仲間です。この大会が小学生年代最後の大会になっちゃいますが、みんな一致団結して頑張れてる要因なのかなと。――トリプレッタの選手の特徴はどんなところでしょう?海老根技術的に優れている部分と、球際の早さと強さがよく評価されています。止める・蹴るは当たり前ですが、球際、切り替え、運動量をベースに、球際へ行けるスピード感、こぼれ球へ行ける早さとかを徹底しています。小学生でも大人でも必要とされることだから今から身に付けて行こうと。中学・高校へ行っても評価してもらえるところです。――カテゴリーにユースがあるのはいいですね。海老根高3まではウチでやれるのは魅力の一つだと思います。「ここでやりたい」とJクラブの誘いを断る子もいます。中高一貫で大学まで行ける学校へ進んで、サッカーはウチでやるという子もいます。いろんなニーズに応えられるように門を広げていないと難しい時代ですね。大会3位のYFNARATESOROは準決勝で、センアーノ神戸ジュニアと対戦。11人制にも難なく対応できるスキルとサッカーの理解の高さなど、ハイレベルな試合を見せてくれましたが、PK決着で3位決定戦に回りました。「止める」「蹴る」といった基礎を大事にし、選手個人が主体性をもってプレーすることにこだわるYFNARATESORO杉野航監督に、今大会を振り返ってもらいました。■試合を重ねるごとに11人制にスムーズに移行していけた3位決定戦YF NARATESORO対ディアブロッサ高田FC U-12(吉田孝光)――準決勝は2-0からの逆転負けでしたが、内容は良かったと感じました。杉野航監督そうですね。試合の入りも悪くなかったし、2点目追加点をとれたところも悪くなかった。ちょっとだけ気持ちが下がったというか、守りに入っちゃったところ、重心が下がったところから相手にズルズルと行かれたので......。サッカーの難しさを経験できましたね。――ここまでの試合を振り返ってください。杉野初戦試合を負けたところから、試合をやるごとに11人制にスムーズに移行していけています。勝ち上がれた結果、他のチームより試合数を多くさせてもらえて、この子らのジュニアユースにつながると思うので、1試合でも多くできるのはありがたいです。この舞台(パナスタ)で真剣勝負をやらせてもらえるのは何よりだと思っています。■8人制サッカーをやりすぎている――11人制への準備期間はありましたか?杉野全少と日程的にかぶっていたから、基本的にはできていないです(笑)。試合も紅白戦と中学生と練習試合をした程度で、この大会に向けてという形ではできていないです。――大会の意義をどう感じていますか?杉野もちろん海外のチームが来て、世界レベルを体感するというのが、本来の目的だとは思いますが、今回みたいに来日していなくても選手の成長につながるようないい体験はできました。サッカーは11人でやるものなのですが、ウチも含めて「8人制をやりすぎている」のかな、という印象があるので、指導者として8人制がゴールではないし、目的ではないということを忘れずに取り組まないといけないと感じられるだけでも意義があるのかなと思います。――8人制をやりすぎているとは?杉野ボールを蹴る、つなぐは上手いチームは多かったですが、ただそれがゴールに向かっていない。ボール中心にポジショニングは取れるけど、ボール以外のところが取り切れていないとか。サッカーの本質的なところが、やっぱり11人になった時に少しボケるのかなと。ボケるというか、たぶん8人ででき切れていない。少し悪い言い方かもしれませんが、器が小さい、スケールが小さくなりがちなので、そこは8人制をやりすぎないようにしないといけないなという反省はあります。■8人制だから損する子、11人制だから輝ける子もいる――11人制につながるように8人制をやれていない?杉野やれていないところも多かったり、どうしても違う部分があったり。8人制で必要とされるものと11人制で必要とされるものが、少し離れている部分もあるので、どうしても個人的には11人制に移行する時期がいつなのかも含めて、早めるべきかもしれないと思っています。小6は11人でいいんじゃないかな、(8人制の集大成である)全少がゴールじゃなくてもいいのかなと......。もう少しスケールを大きくしてあげられるんじゃないかなという気がします。11人制だからこそ輝ける子もいるし、8人制では損をする子もいたりするので。できるだけそうならないようにしているけれど、そういう子もいるという現状があるかなと思うので。■8人制では小さい子は使いにくい!?――8人制では小さい子は使いにくいと言われる監督さんもおられました。杉野そうですね。上手く使っているチームももちろんありますけど、全少ベスト4とかを見ていると、なかなかね。11人制ではゴールまでが遠いし、人数も多いので、8人制だと1人かわされたらゴール前までいってしまっておそらく得点機会になってしまう。11人だともう少し人数もいますし、普段よりもドリブルで抜いているエリアから残り半分あるので、そこでドリブルの使い方を覚えないといけなかったり。でも11人でやる方が個人的には楽しいです。楽と言ったらおかしいですが、メリハリがとれればポジションによっては楽ができる。8人制だと基本的にはみんな動いていないといけないですから。そこで特徴が出しにくい。それこそ小さい子、ちょっと足の遅い子、運動量はないけど別のことができる子は8人制だとなかなか難しい。ジュニア年代を8人制でやっていく中で、ジュニアユースへの進路のこととかあって、8人制ではなかなか活躍の場が少なかったけど、こいつは11人制ならもっと重宝されるんじゃないかという選手もいますから、そういうのも伝えたりします。逆もいますしね。――今大会で選手の成長を感じた部分はありますか?杉野弱さが見える選手もいれば、成長が見える選手もいて、11人制への適応とかを含めると進んでいるので、ゲームをこなして良くなりますし、そのゲームがトレーニングマッチじゃなくてこういう真剣勝負の場で、お客さんに見てもらえる。こういう中でプレーして発揮できたものは自信につながるので、これから先にもつながるのかなというのが感想です。ボール奪取の上手さが光ったYFNARATESORO背番号76大田ありすさんにも話を聞きました。■全力でやったつもりだけど、後悔が残った状況を読むスキルに長けていて、ボール奪取が抜群に上手だった大田ありすさん。夢はプロ選手になること(写真:吉田孝光)――3位で終わりましたが、大会の感想は?大田みんなで優勝しようと言っていて、3位になっちゃったけど、準決勝でもっとできることがあったなと思いました。全力で走る部分で終わったあと後悔があったから。自分では全力でやったつもりだけど、今思うともっとできたと思ったから、そこは悔いが残っています。――ポジションはずっと今のところ?中盤は楽しい?大田始めた頃はトップとか前の方をやっていたけど、小4くらいから真ん中になりました。中盤はめっちゃ楽しいです。――憧れの選手と今後の目標、進路を教えてください。大田憧れの選手はイニエスタ選手です(笑)。今は守備が中心ですけど、攻撃もできるようになることが目標です。進路はINAC神戸(テゾーロ)です。――ロングヘアと進路から、澤穂希さんにあこがれているのかと思いました。大田もちろんあこがれの選手です。将来はプロ選手になりたいです。――大会前と後で自分が成長したなと思う点はありますか?大田今日はなかなかシュートが打てなかったけど、昨日は点がとれました。それでちょっと自信がついたと思うので、そこが成長したところかなと思います。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、11人制での試合になります。8人制から11人制への移行期で、幅やスペースの使い方などを課題に挙げるチームがたくさんあります。中学以降、11人制のサッカーでも輝ける選手になるためにどんなことが必要なのか、杉野監督の言葉をヒントにしていただければと思います。ワールドチャレンジ2021結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年01月31日現役Jリーガーが、子どもたちにGKの実技指導を行う――。新年早々、夢のような企画が実現しました。それが「 MASAAKI HIGASHIGUCHI GOALKEEPER CLINIC」です。ここでは、小学生を対象に行われたトレーニングの様子をお届けします。(取材・文:鈴木智之)■テーマは「GKの楽しさを感じる」J1通算350試合出場100完封という偉業を成し遂げた、東口順昭選手。鋭い反応でゴール前に立ちはだかり、相手のシュートを止め続けてきました。そんな東口選手が自身初のGKクリニックを開催するとあって、たくさんの子どもたちが参加しました。このクリニックには、ガンバ大阪のGK加藤大智選手とMF奥野耕平選手、関西でGKスクールを主催する安部航平コーチも参加。開始前、東口選手は「僕たちと一緒に、楽しんで学んでいきましょう」とあいさつし、トレーニングがスタートしました。小学生の部、テーマは「GKの楽しさを感じる。いまから覚える上キャッチ」です。東口選手や加藤選手、奥野選手も子どもたちと一緒に参加し、相手の動きを真似するウォーミングアップやボールをキャッチする練習など、コーディネーションや空間把握のトレーニングを交えながら進んでいきます。■ボールをキャッチする時の構え方、コツ続いて、2人組でのキャッチトレーニングを実施。下から投げたボールを上からキャッチする動作を繰り返します。ここでは、東口選手と加藤選手がデモンストレーションを披露。安部コーチからは「東口選手と加藤選手の頭の位置、手の角度、開始姿勢、構えを見てみよう」とアドバイスが送られていました。東口選手は「まずはボールの正面に入ること。両手を顔の前に出し、ボールの上側を抑えるようにして捕ろう。体の前にボールを落としても、すぐにキャッチできるので大丈夫。後にそらすと失点に直結する。片足を一歩前に踏み出すぐらいの気持ちでやってみよう」と、実技を交えて説明していきます。子どもたちはアドバイスを生かし、真剣に取り組んでいきます。その様子を東口選手が見て回り「いいね!」「前で捕ろう」など、子どもたちに声をかけていました。■グラウンダーのボールキャッチで気を付けること続いては「グラウンダーのボールキャッチ」。ここでも東口選手と加藤選手がデモンストレーションを行い、「ボールの正面に入り、しっかり腰を落とすこと。ボールの方向に合わせて片方の足をたたみ、ボールをこぼさないように前に倒れよう。余裕があれば、地面に倒れなくてもOKだよ」と、丁寧に説明していきます。ここからは、取り組んできた「上キャッチ」をゲーム形式でトレーニング。「5対5のハンドバスケ」では、東口選手や加藤選手、奥野選手が子どもたちと一緒にプレーし、実技を披露するとともに、「勝つためにはどうすればいい?」と投げかけながら、トレーニングを盛り上げていました。そして、プロのすごさを見せつけたのが「シュートストップ」のトレーニング。東口選手は奥野選手のシュートを、無駄のない足運びで素早く移動し、正面でキャッチしていました。その後は、東口選手がシュート役になり、子どもたちが守るゴールにキックを繰り返していきます。子どもたちも、プロ選手のキックを受けられるとあり、緊張しながらも精一杯プレー。東口選手に「ナイスキーパー!」と褒められる子もたくさんいました。■味方への指示だし(コーチング)で大切なことこのクリニックの特徴は、現役選手のデモンストレーションです。味方とともにゴールを守るトレーニングでは、味方への指示出し(コーチング)を、実際の試合と同じトーンで行っていました。プロ選手の声の出し方、ボリュームなど、普段は見ることのできないプレーに、子どもたちは目を輝かせていました。東口選手は「一番大事なのは、絶対に入れさせへんという気持ち。ゴール前に攻め込まれても、味方とコミュニケーションを取ることができれば守れる。味方に対して、自分がどうやって守りたいかをしっかり伝えよう」とアドバイスを送っていました。■東口選手から子どもたちへのアドバイス充実したトレーニングの最後は、東口選手への質疑応答です。子どもたちから「どうすればゴールキックが飛ぶようになりますか?」と聞かれ、次のように答えていました。「自分も小学生のときは、ゴールキックが飛ばなかった。練習するしかないけど、足の甲の硬いところで蹴るといい。僕がペナルティエリアの外までボールが届くようになったのは、中学生ぐらい。練習していたら飛ぶようになるので、足のどこにボールを当てるかを意識して、練習しよう」ほかにも「試合中はどんなことを考えていますか?」という質問には、「試合中は勝つために、自分に何ができるかを常に考えています。たとえば、味方が攻撃をしているときは、守備の選手にカウンターの準備をさせるとか。大切にしているのが、絶対にシュートを入れさせない気持ち。それが一番大事だと思います」と答えていました。質疑応答の最後に、東口選手は「どうすれば上手くなるかを考えながら練習することが、一番大事。コーチに言われたことだけをするのではなく、この練習にはどんな意味があるのかを考えて、実践して、自分で変えていく。そうやって練習をするとどんどん上手くなるので、がんばってください」と、真剣な表情でメッセージを伝えていました。■GKクリニック第二回も開催予定トレーニング後、東口選手は「子どもたちに、GKの楽しさを伝えることができたと思います。協力してくれたスタッフのおかげもあって、良いトレーニングができました。この経験を次回に生かして、どんどん良いものにしていきたい」と、充実した表情で話してくれました。東口選手のGKクリニックは、2回目も予定しているそうです。興味のある方は東口選手と所属事務所(ONE CLIP)のSNSをフォローしてみてください。次回の記事では、GKクリニックに参加した、子どもたちの感想を紹介します。東口選手の最新情報などは公式Instagramでチェックしよう>>
2022年01月25日Jクラブのスクール入会時、「選手コースはビシビシやるけど、スクールは楽しくやっている」と方針説明があった。それでも上手くなりたくて入会したけど、何も教えてくれない。スクール生はただの養分なの?人によっては選手コースより高い月謝を払っているのに教えてもらえないのは不憫で......。と嘆くお母さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<威嚇するS級コーチのもとに卒業までいさせていいのか問題<サッカーママからのご相談>うちの子(12歳・小6)はJクラブのスクールに通い、チームはスポーツ少年団でやっています。少年団の練習プラスでもっとサッカーが上手くなりたいという気持ちからスクールに入る事にしました。スクールに入る時に、スクール担当の元プロのコーチが言った「スクールは緩く楽しくやっています。選手コースはビシビシやってます」という言葉に残念に思いましたが、上手くなりたくて目的を持って入りました。しかし「コーチは何も教えてくれない」と息子は残念がっております。親から見てもスクールと選手コースへの熱意が違うのが明らかです。月謝を払って通っている、ましてコースによっては選手コースよりも高い月謝を払うにも関わらずその様な対応に疑問に思います。ただの経営の為の金集め?なのかと思うと上手くなりたくてスクールに入ってる息子が可哀想になります。近くにスクールがない田舎なので選択肢がなくて悩んでます。どうしたらいいでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。最初に断っておきます。私はこれからお母さんに若干厳しいことを言います。■最近は教え込む指導をしなくなっている「コーチは何も教えてくれない」と息子は残念がっていて、親から見てもスクールと選手コースへの熱意が違う、と書かれています。これは恐らく、その通りなのでしょう。実は現在の少年サッカーの指導は、まだ過渡期です。ひと昔の手取り足取り教えこんでコーチが指示したようにプレーさせるのではなく、「自分で考えさせる」「子どもの選択を尊重する」という新しい考え方への転換が見られます。ただし、自分で考えさせるにも、ベースの部分を与えて、そこから一緒に考えていくかたちがよいのですが、その過程を飛び越えて「自分で考えろ」と放置してしまうケースもあるようです。もっと学んでほしいなと思うのですが、そのあたりが成熟していないようです。若いコーチでも自分で学んだり、良い師に恵まれて参考にしている人もいますが、多くは自分が教えられたように教えてしまいます。■子どもの伸びる時期はそれぞれ、もっと長い目でみるようにしようその逆で、子どもが楽しくプレーしてサッカーを好きになってもらうことを第一に考えながら、問いかけて考えさせる指導をしているコーチも多数いらっしゃいます。そのひとりで首都圏のスクールやクラブで指導するコーチは以前、親御さんたちから「スクールでドリブルを上手くしてほしい」と要望を受けたり、「入れたのにちっとも伸びない」とクレームがあることを嘆いていました。そして「子どもが伸びる時期はそれぞれで、スクールに通い始めるとすぐにうまくなる子もいれば、もっとあとになって技術の向上が見られる場合もある。長い目で見てほしい」とも話していました。■「教えてくれないと上手くなれない」という考えでは成長できないお子さんが通っているJクラブのジュニアコーチが単に放置しているのか、楽しくサッカーをしながら子どもの成長を見ているのかは私もわかりません。ただ、ひとつ言えるのは、「コーチが何か教えてくれないとうまくなれない」と考えてしまうと成長できないということです。サッカーにしてもほかのスポーツにしても、指導者は環境を整えるためにその場にいると考えてください。親御さんのほうが「うまくしてくれない」「熱心に教えてくれない」と、相手に何か求めるばかりでは、お子さんも「僕がうまくならないのはコーチのせいだ」と思うようになるかもしれません。しかも「上手くなりたくてスクールに入ってるのに可哀想」とお母さんが思ってしまうと、子どもは余計に他罰的になります。「選手コースはビシビシやってます」と話したようですが、思わず本音が出たのでしょう。「ビシビシ」の意味はわかりませんが、もしかしたら全国優勝するためとか、プロにするためにビシビシ鍛えています、ということかもしれません。クラブ側は「スクールは緩く楽しくやっています」と最初に説明しているのですから、「何も教えてくれない」と言ってしまうのは少し違うかなと思います。こう話すと、島沢さんはJクラブの肩を持つのかと感じるかもしれませんが、そういうことではありません。■今の状態は「高いお金を払って塾に行かせているのに成績が上がらない」と嘆くのと同じ私は、お母さんに「親子ともに受け身のままでは、良いことは起きませんよ」と伝えたいのです。誰かに何かを期待する。教えてくれるのを待っていては、サッカー以外の勉強にしろ、どんなことも伸びていくことはできません。お母さんは月謝を払っているのに、と書き、費用対効果の低さを嘆いています。これは高いお金を払って塾に行かせているのに成績が上がらないと嘆くお受験に熱心なママたちと似ています。また「選手コースよりも高い月謝を払うにも関わらず、その様な対応を疑問に思う」とのことですが、選手コースの子どもはある程度ふるいにかけられていて、活躍をクラブから期待されている。そのために特別な料金設定になっているとも考えられます。ただの経営の為の金集めだったとして、それを私たちが論じても、クラブ側が決めることなのでお母さんの力では何ともなりません。自分の力の及ばないところはばっさり切り捨てる。そして自分と向き合う。相手に変わって欲しいと念じるよりも、自分たちが変わったほうが絶対に効率的です。これはスポーツ心理学でもよく言われることです。ここはアッサリと「受け身では何も解決しないよね」と、親子ともに思考を180度変えてみてはいかがでしょうか。■払った金額の見返りを期待するより、子どもを伸ばすために意識したいこと(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)もう12歳。小学6年生ですよね。スクールに行くときに「今日はこんなことを試してみよう」とか「どうしたらいいのかコーチに聞いてみよう」といった探究心があるといいなと思います。高いお金を払ってその見返りを期待するのではなく、そんなふうに意欲的な子どもに育ててください。「プレーするのは君だからね」という姿勢を、まずはお母さんが持つことが肝要です。子どものために良い環境を用意するのは大事なことです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2022年01月25日1月22日、23日に小机競技場(22日)、日産スタジアム(23日)で開催された小学生年代の全国大会「JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会」。毎年5月に開催される「チビリンピック」の中の大会でしたが、新型コロナウイルスの影響で今大会は1月の開催となりました。ともに初優勝を狙ったオオタフットボールクラブ(岡山県)とジンガ三木スポーツクラブ(兵庫県)が決勝で対決し、4-0でオオタフットボールクラブが大会初優勝。優勝したオオタフットボールクラブ(岡山県)JA全農から優勝チームに兵庫県産三田米コシヒカリ200キロ、黒毛和牛三角バラ・ロース焼き肉用10キロ、準優勝チームに同米150キロ、同肉10キロ、3位チームに同米100キロ、同肉5キロが贈呈されました。6年生にとっては、小学生年代最後の大きな大会ということもあり、どのチームも持てる力を存分に発揮し、真剣に戦う姿を見せてくれました。普段対戦することのない地域のチーム、地域予選を勝ち上がってきた同年代のトップレベルのチームとの対戦は、選手たちにいい刺激となったのではないでしょうか。<大会結果>優勝:オオタフットボールクラブ準優勝:ジンガ三木スポーツクラブ3位:ヴィッセル神戸 U-12、三菱養和サッカークラブ巣鴨ジュニアトーナメント表はこちら>>今回参加していないチームも、同年代のプレーを観ることは選手としての成長につながりますので、お時間のある時に動画でご確認ください。準決勝、決勝戦の様子(日刊スポーツYouTubeチャンネル)はこちら>>★キャンペーン情報★2月6日まで、抽選でコシヒカリまたは黒毛和牛が当たるお得なプレゼントキャンペーン実施中です詳細はこちらでご確認ください>>なお、2022年大会の予選は3月から開始の予定となっております。
2022年01月25日「IMGアカデミー」をご存知でしょうか?アメリカ合衆国フロリダ州ブレイデントンに構え、広大な敷地には55面のテニスコート、9面の野球場、16面のサッカー場を始め、最新鋭のトレーニングセンターなどアスリートが競技力を高めるために必要な設備を備えています。テニスの錦織圭選手が育った場所、と言えばピンとくる方も多いでしょう。彼の存在ゆえに"テニスプレーヤーの育成所"というイメージも強いかと思いますが、サッカーや野球をはじめあらゆるスポーツのコースが存在し、日本から留学する生徒もいます。そして、この組織の特徴は「スポーツだけを学ぶ」場所ではないということです。もちろん、入学する生徒のほとんどは一流のスポーツ選手になることを目的に競技力の向上を求めています。ただ、IMGアカデミーでは競技力やスキルを高めるだけでなく、競技外でも活躍できる人材育成のための教育も実施。人間形成が競技者としての成長を促すという、「ライフスキル」を高めるためのプログラムを実施しています。サカイクキャンプは2017年から同様の考え・メソッドを取り入れていますが、トップアスリートの育成と輩出に長く寄与してきたIMGアカデミーでは、実際にどういった教育が行なわれているのでしょうか。同校の東京支部で長期留学アドバイザーを務める藤村有沙さんに話を聞きました。(取材・文:竹中玲央奈)お話を聞かせてくれたIMGアカデミーの藤村有沙さん(後ろの写真はアメリカのIMGアカデミーの施設)サカイクキャンプで導入しているライフスキルの詳細はこちら>>■競技レベルを高めるためには人間性が大事「『テニスの学校、プロを出すための学校でしょう?』と言われますが、あくまでも私立の中高一貫校です。」藤村さんが語るように、日本ではテニスをはじめとした"アスリート養成学校"のような立ち位置だと考えられています。ですが、実際はそうではありません。競技レベルを高めるため、単なるトップアスリートを育てることではなく、人間性や社会性を含めて"競技外"でのスキルを高めることも大きな目的。競技ではもちろん、その前提として社会において一目置かれるための人材育成をする場所、と表現することもできるでしょう。■競技スキルや身体づくりだけでなく、社会で活躍するリーダーシップも学ぶそういった考えのもと、IMGアカデミーが持つ独自の教育プログラムが「Athletic and Personal Development(APD)」です。40年以上の歴史の中で培ってきたもので、これが同校の価値を体現するものだと藤村さんは話します。「アスリートとしてだけでなく社会で活躍するリーダーとして成長できる総合的なトレーニングを行ないます。スポーツのみならず、色々な可能性を与えたいという考えがあるんです。アスリートとしての能力を育てることはもちろん取り組みつつ、アカデミックな部分を高めるためのプログラムも用意しています。具体的に言うと、身体作りに関するトレーニング方法や各々の競技におけるスキル向上を学ぶことはもちろん、怪我をした後のケアやしないための体作りを学ぶスポーツ医療、栄養学やストレスやプレッシャーをコントロールするためのメンタルトレーニングを学ぶ機会もあります。それらに加えてリーダーシップやライフスキルを学ぶセクションがあるのがこのプログラムの最大の特徴です。」■『Student Athlete』という呼称体作りの部分では"支える側" でもあるATやPTの分野についての実習もあり、選手としても重要である勝負の試合においてベストパフォーマンスを発揮するため、自信をつけるためのメンタルコンディショニング(ゴルフの分野では"ルーティーン"の準備を教えるそうです)についても学習。加えて興味深かったのが、現代のスポーツ選手には切っても切り離せない"SNSの使い方" やメディア対応についての授業もあるとのこと。「自らSNSで情報を伝える際、どういう形が適切なのかを学ぶこともそうですし、プロのアスリートになったら必ずテレビでインタビューを受けることもありますよね。そのときにどういう受け答えが良いのか、ということも学べます」(藤村さん)そして、IMGアカデミーの強みである"人間形成" の分野である"ライフスキル"や"リーダーシップ"のプログラムについては藤村さんはこう話します。「基本はコミュニケーション力の醸成です。チームにおいてどのように自分が引っ張っていくか。リーダーとしてどう導くかを学ぶ。指示をする側に立つのか、聞く側に学ぶのか。また、人をリスペクトする部分やタイムマネジメントのところについてもプログラムが組まれています。ここはスポーツに限らず、普段の学校生活・学問に取り組むにあたって必要な部分ですね。IMGアカデミーでは文武両道が当たり前という考えがあり、通っている生徒のことをStudent Athleteと呼んでいます。アスリートだけでもなく、生徒だけでもないですよ、と。『あなたはStudent Athleteですよ。スポーツも勉強もしなければいけませんよ』と伝えるんです。例えば、授業を無断欠席した場合はスポーツのトレーニングに参加できません。授業を持つ先生とスポーツトレーニングを担当するコーチが蜜に連絡をとっており、その部分も共有されます。」■開校時から持ち続ける文武両道のマインド今でこそ文武両道という言葉が当たり前になり、実際のサッカーの育成現場でも「人間形成」を掲げるチームが増えてきました。実際にプレーをする選手を見ても、一昔前ほど「サッカーだけやっていれば良い」という意識の選手は減ったように思えます。IMGアカデミーはこのマインドを40年前の開校時から持ち、教育現場に落とし込んできたのです。では、学生は実際にどのように変化をするのでしょうか。後編ではその点について焦点を当てていきます。
2022年01月24日練習では鳥かごや相手に合わせてパスができるのに、試合になるとドリブルしかしない独りよがりなプレーになってしまう子がいる。しつもん形式で問いかけてみても、拗ねてしまい何も話さなくなる。勝気な性格な子にどう声かけをすればいい?とお悩みのお父さんコーチ。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、子どもたちとの向きあい方、お勧めの声掛けなどをアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<個々は上手いのに組織的なプレーができず勝てない。試合に勝つためには圧をかけて教え込むことも必要?<お父さんコーチからのご質問>こんにちは。私はU-9でお父さんコーチをさせてもらっています。相談したいのは、チームのキャプテンでボールも一番強く蹴れる、足も速く少し性格もきつめな子の事です。練習の時には鳥かごやパス練習でも相手に合わせてパスができるのですが いざ試合や試合形式になるとドリブルしか出来なくなり、転がってきたボールもただ前にどかんと蹴ってしまう様になります。本人に「今、周りの味方が見えたかな?適当に蹴っていないかな?」と質問する形で聞いても、すねてしまうのか、頭が真っ白になるのか、何も話さなくなりプレーを続けさせても足が止まってしまいます。普段が勝ち気な性格な為、どう声かけをしてあげたり、どう接してあげたら良いか悩んでいます。色々な性格の子への対応のアドバイス頂ければ幸いです。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。ご相談にあるような「拗ねてしまう子ども」は、大雑把に分けると上手な子どもの中に多いかもしれません。ある程度のことはすぐにマスターしてしまうため、その「ある程度」を超えた自分ができないことに直面すると、そこからが逃げてしまうようです。「やめた」「やりたくない」「面白くない」と言って、へそを曲げてしまいます。■できないことに直面してへそを曲げたときの対応法そうなった場合、指導者が粘り強く話しかける必要があります。例えば、できないことにイライラして何も話さなくなり、足が止まることがあります。そこで「どうしてやめちゃうの?勝ったり負けたりするのがスポーツだよ。次に勝てばいいんじゃない?」と言って、サッカーとの向き合い方を示してはどうでしょうか。例えば、スポーツだからこそ、どんな人とも試合ができる。負けたからと言って何か罰があるわけじゃない。だからチャレンジ精神が育つわけで、いくら失敗してもいい。どうしたらうまくできるのか?どうしたら成功するか?といったアプローチをしてください。そんなことを学ぶのがスポーツです。■どんな話になら食いつくのかを探っていく教えている対象が9歳なので、ギャングエイジの年齢です。グループで集まっていろいろなことをやりたくなって、エネルギッシュに動きたい時期でもありますが、自分の思い通りにならないとぷいっとやめてしまう。そんな子どもが増えているようにも感じます。そんな実情があるからこそ、大人がじっくりと向き合ってあげなくてはいけません。チームはどうしたらいいのか。サッカーはどんなスポーツなのか。さまざまな話をする中で、どんな話に食いつくかを見ながら話してあげると、何か糸口が見つかるかもしれません。どうしたらいいかわからなくてコーチまで黙ってしまわないように、その子のことがわからないからこそ、その子の考えていることを聞き出す必要があります。■嫌そうにしたら、少し方法を変えて個人的に話すなどのアプローチも私が指導している中学生の中にも、そういう子たちがいます。思春期なのもあいまってか、こちらが何か言うと嫌な顔をします。どうして今のプレーしたの?と聞くだけで、嫌そうな顔です。きっと、子どもたちは私に怒られていると思っているのでしょう。どうして蹴っちゃったの?と聞くと「だってどこにもパスを出せなかったから」と他罰的になってしまいます。私が粘ると「もう無理!」と言います。こういうときにそのまま指導を続けてしまうと、子どもは興奮したままなので事態はよくなりません。したがって、ちょっとだけ違うトレーニングに変えます。一度水分補給をするなどして、その時間で個人的に話したりします。さっきのプレーはどうだった?と問いかけてみます。それでもまだ少しばかり嫌な顔ですが、直後にあった一時の興奮は冷めています。そうやって、少しずつ同じようなことを繰り返します。いいプレーをしたときは「お、いいね。いつもそんなふうにまわりを見られるといいよね」と認めます。そこが大事です。スモールステップで認めていくと、子どもたちも達成感を持てます。やったぞと思えて自尊感情が高まれば、自分が聞きたくないアドバイスや、答えたくない問いかけも素直に聞けるようになります。■普段とは違う2割のプレーをほめてあげるこの話の対象は中学生で、相談の方が教える年代とは異なりますが、対応は同じでいいのです。鳥かごでうまくパス回しができない。試合形式になるとドリブルしかできない。そんな彼がズバッと一本のパスを通したときに「いいぞ」と言ってあげるのです。試合の8割ドリブルしたとしていても、それとは違う2割のプレーをほめてあげることが大事です。まだそれだけしかできないの?などと言ってはいけません。小さな上達を認めながら、コーチは毎回見てくれている、といった感覚や安心感をもってもらいます。たとえパスが通らなくても「誰にパスしたの?」と聞いてあげます。子どもは「あいつにパスした」と答えれば、「じゃあ、次はパスするときその子の名前を呼んで読んであげたら?」といったアドバイスができます。池上正さんの指導を動画で見る>>■コーチングの師匠を見つけるのも一つの方法(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)コーチとして学びを深めたいと思ったら、ご自分のお手本にしたいと思えるようなコーチングの師匠を見つけてはどうでしょうか。まずはその人の模倣をし、少しずつ自分のスタイルを作り上げればいいのです。私は40歳になったくらいのとき、ある場所で指導していたら、ジェフやサンガで一緒に仕事をした祖母井秀隆さんをご存知な人が私に話しかけてくださいました。「立ち振る舞いや言葉使いが、祖母井さんとそっくりですね」それを聞いたとき、私は非常にうれしかったです。私自身、ドイツで指導を学ばれた祖母井さんを師と仰ぎ、彼から多くを学んできました。そんなふうに、コーチングの礎になるような人につくことも考えてはいかがでしょうか。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年01月21日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。この大会は、本国バルセロナの選手たちが来日して出場していましたが、新型コロナウイルスの影響で昨年に引き続き日本で活動するバルサアカデミージャパン選抜が出場しました。今大会は、グループリーグを1勝2敗で敗退し、下位トーナメントで1勝1敗という結果でしたが、FCバルセロナ公認のアカデミーの日本選抜チームとしてどんな心構えで挑んだのか、どんな課題や成長が見えたのかなどを伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)3日目バルサアカデミージャパン選抜対福山ローザス・セレソン(写真:浅尾心祐)■失点原因は「知識」がついてくれば改善できる――大会の感想をお願いします。青木亮輔監督(以下、青木)選手たちは試合を通してプレーの判断の部分はすごくよくできていて、成長していたのですが、実際は勝負のところで点を決められなかったり、いやな形で失点してしまったりとか、そこで対応できなかったところが正直悔しいところです。失点したセットプレーでの守り方の部分とかは単純にどう守ればいいのかわかっていないので、今後もっとこういう経験をする中で学んでくる部分かなと。そういう知識の部分も身についてくれば、改善できる部分だと思います。子どもたちは毎試合毎試合いい経験ができているなとすごく感じています。ただまあこの負けを経験として次につなげて欲しいなとすごく感じますし、バルサアカデミー選抜としてもそこは、もっともっと次に勝てるような準備が必要だなと実感しているところです。■バルサのトップチームの試合を観てプレーのイメージを膨らませていた――グループリーグ敗退で何人かの選手は号泣していましたが、切り替えられましたか?青木子どもたちにとってグループリーグ敗退というのは、悔しくてなかなか切り替えは難しいと思いますけど、みんなでご飯を食べに行ったりしましたし、今朝も試合まで時間があったので、ミーティングとバルサのトップチームの試合を見て、こういうことをやろうねとイメージを持たせて、また持たせられるような準備をしてきたので、プレーの部分はすごく良かったと思っています。もっと一緒に試合をしたいなという気持ちです。■「バルサ」だからと相手が真剣になってくれるのはありがたい――バルサという名前を背負っていることで、対戦相手からの負けないぞという気持ちを感じた部分は?青木たぶん試合を見てもらえば分かるとは思うんですが、多少なりともありました。どのチームもスカウティングした時よりもちょっと気合が入っているとか、ハードワークしてくるとか、一生懸命に戦ってくれるので、そういうところで対応できるようにならないといけないなと。それでやりにくい部分もありますが、僕らコーチにとっても刺激になるし、子どもたちにも前向きな経験ができたと思っています。ただ勝たせてあげたかったなとは感じています。勝ちに来たので、こういう結果になったのは本当に悔しいです。■初めての11人制でもグラウンドを大きく使う意識ができていた――大会で得たものは?青木初めての11人制の中で、グラウンドを大きく使う点では1・2試合目ではなんとなくプレーしていたのが、意図をもってグラウンドを大きく使うことを意識しながらできていた点は選手それぞれの成長だったかなと思います。(敗れた)徳島ヴォルティス戦もチャンスはこっちの方が明らかに多かったですが決めきれずに、malva fc U-12と対戦した3試合目も決めきれず最後に失点するという、2試合とも同じ形になってしまったので、正直そこに関しては監督というかこちら側の裁量の部分もあったなと。そこも含めて指導者としてもっともっとレベルアップしていきたいなと思っています。あとは子どもたちもタイトなグループというか、グループ自体のレベルも高くてすべての試合で緊張感があったので、一試合でも早く点が入って落ち着いてサッカーができればもっともっと成長できたなと感じていて、それが今、点がとれなかったために慌てた試合になってしまったという感じです。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、普段参加する地域(市、都道府県)の大会では対戦する機会のないチームと試合をして刺激を受けるのも一つの魅力。FCバルセロナのアカデミーという事で、対戦相手が本気で戦ってくれるのが選手たちにもいい刺激になると話した青木監督。楽しくも真剣な試合経験することで、できたことや今後の課題も見つけながら選手たちは成長していくことでしょう。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年01月20日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「相手との1対1で、インサイドの足裏を使ってボールを左右に運び出して交わせない」というお悩みを改善するトレーニングをご紹介します。試合中相手と1対1になった時に、相足のインサイドを使ってボールを大きく運び出し、交わす場面があります。しかし、初心者にはどのタイミングでボールを動かすのか、その判断が難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合中ドリブルしているときに相手が寄せてき1対1なっても落ち着いてインサイドを使って相手を交わすことができるようになります。親は難しい動きはありません。【やり方】1.子どもがボールを持ち、数メートル離れて対面して立つ2.子どもはインサイドの足裏を使ってボールを軽く左右どちらかに蹴り出し、止める3.インサイドで方向を変えて持ち出す→ボールを止めたら元の位置に戻る、を繰り返す4.親は相手DF役としてボールを奪いに行き、子どもはそれを交わす5.動きに慣れてきたら、ゴールを用意するなどアレンジしてみる【トレーニングのポイント】・インサイドの足裏で転がしたあと、止めやすい位置に蹴る・ボールは常に自分がコントロールできる場所に置く・プレッシャーをかけに来た親を交わすイメージで行う・親をよく見て引き付けてからコントロール・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年01月19日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジには、Jリーグの育成組織やスクール選抜なども参加しました。ガンバ大阪ジュニアもその一つ。ガンバ大阪アカデミー組織の豊中スクールで構成されたチームで出場し、グループリーグを1勝1分1敗で突破。あと一歩で憧れのパナスタに行けるところで、センアーノ神戸ジュニアに敗れてしまいましたが、ボールコントロールのうまさや攻撃の意図などを見せてくれました。Jクラブのアカデミーとして、この大会への出場にどんな意義を感じているのか、監督と選手に伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)3日目ガンバ大阪ジュニア対センアーノ神戸ジュニア(写真:浅尾心祐)■トップチームの本拠地、憧れのパナスタを目指したが......――大会に参加する意義をどう考えていますか?去石侑矢監督(以下、去石)6年生の大きな大会としては最後の大会になるので、せっかくホームでやらせてもらえることになっているので、パナスタに来れるように、優勝できるようにと準備して頑張ってきましたが、残念ながら負けてしまいました。――グループリーグもけっして好調とは見えませんでしたが?去石そうですね。ずっと8人制の試合が多く、11人制の準備はなかなかできていませんでした。ただそれを言い訳にせずにやろうとやっていましたが、8人制でやっていることを11人制でそのままやりたかった。そういう形は見えたんですが、なかなかフィジカルの高い相手とかに苦戦して思うようにゲームが進められなかったかなと。――(負けた)センアーノ戦の感想は?去石対戦経験もあって、センアーノさんは上手で、いい選手がたくさんいる中で上手さでは負けたくなかったのでボールを握りたかったんですが。なかなか守備のところがはまらなくて僕たちの得意な攻撃がなかなかできなかったです。■ガンバ大阪として見ている人を魅了するサッカーを見せたい――この年代の指導についてのお考えを聞かせてください。去石まず一番は楽しさというのを忘れずにやりたいんですが、その中でもガンバ大阪というチームなので、少しでも面白いサッカー、見ている人を魅了するサッカーをしたいというのが常々あるので、練習のところから遊び心を持ってというのを意識して教えています。――11人制になるときにいろんなチームで幅と深さの使い方が課題になっていますが?去石守備のところではすごく感じました。間延びしたり、スペースを守り切れなかったりというのがありましたが、攻撃ではそんなに。8人制でやっているようないい距離感でやろうと言っていました。絶対その中でも空いてくるから、そこはどこかのタイミングで使えるようにと伝えていました。■選手自身が感じる4日間を通して成長した点選手にも話を聞きました。――ゴールキーパーをしているのはお父さん(藤ヶ谷陽介:ガンバ大阪ジュニアユースGKコーチ)の影響ですか?藤ヶ谷陽歩(以下、藤ヶ谷)はい。小さい頃はフィールドをしていて、4年生くらいからGKを始めました。――今大会に参加した感想を教えてください。藤ヶ谷いろんな県から来たチームがいて、強かったし楽しめました。――中学以降の進路は決まっていますか?藤ヶ谷中学はガンバ大阪ジュニアユースに進みます。――将来の目標を教えて下さい。藤ヶ谷プロ選手になって、ガンバのエンブレムをつけてパナスタで試合がしたいです。――今大会を通じて成長したなと思える点はありますか?藤ヶ谷コーチングのところ、ポジション取りとかです。――センアーノ神戸の印象は?藤ヶ谷前半の守備は良かったけど、後半は崩れていって失点しました。最後もシュートも打てなかったです。――どんなチームにしたいですか?藤ヶ谷攻撃的なチームで、どんどん勝っていきたいです。――憧れている選手は?藤ヶ谷いっぱいいるけど、東口(順昭・ガンバ大阪)選手や谷(晃生・湘南)選手です。あとお父さんです(笑)。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、普段参加する地域(市、都道府県)の大会では対戦する機会のないチームと試合をして刺激を受けるのも一つの魅力。今回お話を伺った藤ヶ谷選手もこの大会でいい刺激を受けたようです。4日間の大会を通じて成長した自信を胸に、今後もサッカーを真剣に楽しんでほしいものです。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年01月18日一人ひとりの実力は相手チームと負けてないのに、パスやポジショニングなど組織的なプレーが上手くできず、試合に勝てない子どもたち。楽しく、真剣にやることが大事だと思って指導してきたけど、考えさせて導くコーチングだけでなく、勝たせるためにちょっと圧をかけて教え込むことも必要?と悩むお父さんコーチ。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、指導において大事なこと、組織的なプレーができるようになるアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドリブルで相手の逆を作る動きが苦手な子どもたち。相手の動きを予想できるようにするお勧めの練習は?<お父さんコーチからのご質問>息子がいるU-9でサポートしてるパパさんコーチ5か月の者です。自分も小中と地域の社会人リーグでサッカーをしていました。自分なりに色々見て調べてサッカーのスキルをあげてきたつもりです。指導者としては初めてだらけのことなので、池上さんを参考にさせて子ども達に色々声を掛けてあげています。しかし試合になり強いチームと戦うと、個々の実力は負けてはないと思うのですがパスやポジショニングや組織的な部分で負けてしまい子ども達のモチベーションが下がってしまいます。僕は「サッカーは楽しくやるスポーツだよ!まずは練習から楽しく真剣にやろう」と言っています。試合に勝つ事は、やる気やモチベーションに繋がると思いますが、多少の圧力をかけてまでもコーチングだけではなく、ティーチングを行うべきなのでしょうか?<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。主たる悩みがはっきりとわからないのですが、最後に「多少の圧力をかけてまでもコーチングだけではなく、ティーチングを行うべきか」と書かれているので、教え込むというか、子どもに何かを「やらせる」イメージをお持ちなのかもそれません。■時としてティーチングは必要サッカーの指導において、時としてティーチングは必要です。小学生の間に知っておいたほうがいいことが9歳でもあります。特にこの年代からは、サッカーはこんなスポーツなんだという理解を深めなくてはなりません。上手な子どもがひとりでドリブルで抜いて行ってゴールするのではなく、みんなで協力し合ってゴールまでつないでいく。守るときも、誰かが抜かれたら責めるのではなく、仲間の失敗をカバーする。それがサッカーだということを伝えることもコーチの役目です。具体的には「味方をサポートするとしたら、どこの場所がいいかな?」とか「どこに動いたらボールがもらえるかな?」といった声掛けです。そういったことは、この連載のほかの回でもずっと伝えています。味方のサポートをしないと、サッカーにならないよということを教えてください。負けていると思われる「組織的な部分」こそ、まさしくサッカーの根本です。まずは、サッカーってこういうものだよと理解させるところからスタートしてください。■全員が賢いプレーをする川崎フロンターレジュニアの試合を参考にしてでは、仲間と協力してゴールするとはどういうことなのか。例えば、今年度の全日本少年サッカー大会は、JFATV(日本サッカー協会のYouTubeチャンネル)でほとんどの試合を観ることができます。そのなかで私がお勧めしたいのは川崎フロンターレのジュニアチームの試合です。彼らは体格が大きいわけではないし、スーパーな選手もいません。ただ、全員が賢いプレーをします。確か中盤の選手たちは5年生だったと思います。ご相談者様が指導なさっている子たちと2歳違いくらいです。2年後にあのような動きを目指すとしたら、今からポジショニングやサポートを認知するトレーニングをしてほしいと思います。やっていけば必ず変化が起きるでしょう。川崎フロンターレの試合も!JFA 第45回全日本U-12サッカー選手権大会のフルマッチなど動画はこちら>>※JFAのサイトに飛びます■選手権でも「良い判断」ができなくてフィジカル勝負になるチームが多い今よりずっとコロナが落ち着いていたころ、私が主宰している交流サイトのオフ会を行いました。その際に全国高校選手権を観ておられますか?とコーチの方々に尋ねたら「観ていない」「面白くなかった」という声が多かったです。選手たちがいい判断ができないので、体がぶつかるフィジカル勝負が多かったようです。素早い判断でプレーすれば、相手とコンタクトしなくてもかわせるはずです。コーチの方からも「そこが残念だった」という声が聞かれました。高校生でこうなってしまうのは、小学生からの育成で仲間とプレーする重要性、サポートの意味を教えられていないことも一因でしょう。■オシムさんが語った、組織的なプレーをするために大事なこと前述したように、全少で組織的なプレーをするチームはフロンターレくらいでした。それ以外は、ボールが来たら蹴ってしまったり、スーパーな子どもに頼ってしまうチームが目につきました。オフ会では「日本では、リスペクトとコレクティブが別々に理解されているけれど、これはつながっているんですよ」と話しました。皆さんもご存知のように、リスペクトは「尊重する」、コレクティブは「組織的」という意味です。私がジェフ時代にたくさん勉強させていただいたオシムさんは、こう話していました。「味方が動いているから使ってあげる。動いた味方を尊重するからパスを出す。そうすると、サッカーは組織的なものになる。リスペクトとコレクティブはつながっている。同じものなんだ。選手も、コーチも、そういう感覚を持たないといけない」■大人が何も言わなくても、子どもたちは当然勝ちたいものいかがでしょうか。日本のサッカー指導者たちが、そういう理解をしてくれると、サッカーの見方や育成は変わってくると思います。そして、このようなことが海外でいう「スポーツ教育」なのです。ところが、日本のスポーツ教育は「頑張る・耐える・やり抜く」といった精神論がいまだ主役です。コーチが伝えていくべきことは何か。それをもっと勉強していただく必要があります。最後に私のチームのことを伝えます。先日、今年初めて試合をしました。ほかのチームは人数も多く、そこから選ばれた子が出てきます。練習も試合もたくさんやっています。一方、私のチームは練習を週2回。試合は月に1回か2回です。それでも、4年生、5年生が、ハーフラインからシザースパスを5本通してゴール前まで持ち込みます。私は組織的なサッカーを教えています。もちろん勝敗などまったくこだわっていません。教えている子たちがどんなレベルで、いまどこまで到達しているか。次にどの様な課題を出すべきか。そういったことを観ながら練習を進めます。課題を見つけるために試合をします。結果にもこだわるべきだという指導者は多いですが、大人が黙っていても子どもは当然勝ちたいに決まっています。じゃあ、そのために練習で何をしたらいいかな?と、一緒に考えてあげるのがコーチの役目です。池上正さんの指導を動画で見る>>■たくさん失点をしても子どもたちが「楽しい」と言う理由(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)私のチームの選手は試合が終わると、一人ひとり保護者の前で感想をしゃべります。その日は1分け3敗。いっぱい失点しましたが、子どもたちは「楽しかった」「こんなことができた」「パスがうまくいった」などと非常にうれしそうでした。私は同時に保護者にこんな話をします。「どうでしたか?お父さんやお母さんが見ていると、(たくさん失点したので)そうは感じませんよね?もっと頑張ったらと思いますね?でも、子どもたちは楽しいんですよ」親御さんたちは、もっと頑張ってほしいのにという顔をされています。でも、回を重ねると、出来なかったことよりも、子どもが出来たことに注目し始めます。圧力をかけるとか、やらせなくてはと考えず、「大事なことを子どもに伝える」という姿勢を持ってください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年01月14日みなさん新年の目標は立てましたか?目標は立てることが目的ではなく、実現するために行動することが大切。そうはわかっていても、それがなかなかに難しいものです。新年に立てた目標をもとに今年1年がんばる気持ちを持ち続けてもらいたい。そのために親子でできることを、スポーツメンタルコーチングをもとに数多くのアスリートをサポートしている柘植陽一郎さんに教えていただきました。(取材・文:小林博子)<<前編:目標は具体的に立てることが大切!その方法は?■地道な努力とわくわくする未来を並べて貼っておく「目標を立てたままにしないためには、目標設定の段階でつくった4枚の紙を子ども部屋やリビングなど、毎日目にするところに貼っておきます。4枚セットで貼る意味はわくわく感をキープするため。実際に毎日のスケジュールの中で目標達成のために取り組むことが書かれているのは最後の4枚目だけなのですが、日々の努力は地道なことが多いので、それだけだとモチベーションを保つことが難しくなってしまいがちに。1日1日の積み重ねの努力の先にキラキラとした未来があることを毎日目で確認できるといいですね」(柘植さん)前編で作った4枚の目標設定シートには、そんな意味もあるようです。まずはそんな工夫が施された目標シートであるだけでも、「立てて終わり」の目標では終わらないコツが満載なわけです。4枚の紙には、憧れや目標とする選手やいつか立ちたいスタジアムなどの写真やイラストを貼っておいても、わくわく感の上乗せになりおすすめとのことです。子どもと一緒に五感を総動員して心が動くような工夫をしてみてください。■進捗管理で軌道修正実際に目標に向かって始動し始めたら「進捗管理」も行いましょう。思っていたよりも「できる」が増えていたり、当初に目標としていたよりも高いレベルの自分になりたくなったりすることは、自分の現在地を理解するためにもとても良いことです。目標や過程の変更は、それを決めてからすぐでもあり得ることで、柘植さんがサポートしているアスリートの中には毎日組み替えている人もいるほどだとか。想定していなかった新しい景色が見えたら、そこからスケジュールを変更。その時点にできるこれからのベストを新たに考えてください。■親は同じ方向を並んで見つめて「子どもとの関わり方としては、サッカーでいうなら"コーナーに追い詰める"ではなく"一緒にコーナーに回って背後からサポートする"という方法をぜひしてもらいたい」と柘植さんは話します。具体的には「なんでできないの」などといった問いかけ方や態度が"コーナー追い詰め型"だとしたら、「できなかったね。ではどうやったらできると思う?」と、一緒に考えるのが"一緒にコーナーに回る型"。向かい合わせで話すのではなく、並んで同じ方向を見て話すというイメージです。ご自宅でもテーブルに向かい合わせではなく、並んで座って子どもが見ている景色を背後から一緒に見るような、そんな空気観がかもしだせるとベストだそうです。前述した進捗管理では、目標や日々のタスクがどんどん変わるケースも考えられますが、親御さんが「有言実行」や「初志貫徹」にこだわりすぎると「あの時、ああ言ってたのにもう変えたの?」などといった「コーナー追い詰め型」の言葉がけをしたくなってしまうかもしれません。そんな時こそ「一緒にコーナーに回る型」を意識してみてください。そして、きっと本人も何か感じていることがあるだろうし、もっと素敵な未来を創っていきたいと思っているはず、この時点からまた未来に向けてベストの取り組みは何かについて一緒に考えてみよう、そのように捉えてみることで今までと違う何かが動き出すかもしれません。■「自己効力感」が育まれ、もっとサッカーが好きになるここまで、目標設定とそれを実現するためのノウハウをご紹介してきました。そうやって自分が決めた目標に向かって日々努力できるようになることは、サッカーの上達のみならず、勉強や社会に出てからも役に立つスキルです。そして「自己効力感」も育まれます。自己効力感とは、ある目標に対して「やってみたい」「自分ならできる気がする」と思える力のこと。前編では、日々の取り組みをスケジュールに書き込む際に「『量』と『質』をうまく組み合わせると良い」と解説しましたが、それはこの自己効力感が生まれるか否かに関わるからでもあります。日々の取り組みの中で、こんなことができた、あんなこともできた、と思えることが自己効力感の向上にもつながるのですが、『量』と『質』のどちらか一方でもできたと思えるようにしておきたいのです。小さな成功体験をつみ重ねて成長を実感でき、自己効力感が高まっていきます。そんな毎日を経て「次は練習でこんなことをやってみたい。たぶんできる!」「明日の練習が楽しみだ」という気持ちも増し、どんどん前のめりになっていくことでしょう。柘植さんに教えていただいた方法で作った目標設定を道しるべに、今年は親子でサッカーにとりくんでみませんか。夢中で練習するその先には、わくわくしながら考えた目標よりもきらめく未来が待っているに違いありません。柘植陽一郎(つげ・よういちろう)一般社団法人フィールド・フロー代表 スポーツメンタルコーチ専門はメンタル、コミュニケーション、チームビルディング。2006年より本格的にアスリートのサポートを開始。メンタルスキル指導とは一線を画す「メンタルコーチング」を用いて、2008年北京五輪・2012年ロンドン五輪で金メダリストや指導者をサポート。2011年~2014年までソチ五輪で3つのメダルを獲得したスノーボードナショナルチームを、2016年リオ五輪で48年ぶりの4位入賞の女子体操では、コーチと選手をサポート。その他ラグビートップリーグチームやサッカー日本代表選手、プロ野球など、プロ・オリンピック代表から部活動まで様々な世代・競技を幅広くサポートする。日本と韓国にてスポーツメンタルコーチ養成講座を開講。著書に「最強の選手・チームを育てるスポーツメンタルコーチング」(洋泉社)、「成長のための答えは、選手の中にある」(洋泉社)
2022年01月13日子どもたちに蹴りを寸止めして「ビビってんじゃねーよ」、ボールを頭めがけて蹴るなど威嚇行為や暴言がひどいコーチ。親たちが苦言を呈しても、「親に言われても変える気はない」「誰にアピールしなきゃいけないのか考えろ」と改善する気なし。S級を持っててトレセンでも偉い立場らしいけど、こんなコーチのもとにいて大丈夫?とのご相談。暴力暴言は脳の萎縮につながるだけでなく、生きづらさの原因にも。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<1学年上の子にいじめられている。行かない選択をしていいのか問題<サッカーママからのご相談>6年生の息子が所属しているクラブチームの代表兼コーチの暴言や威嚇行為に悩んでいます。もともと息子の学年は強くないので、代表は興味がないので練習を一切見ませんでした。下の学年に力を入れていて、いつも下の学年の練習をみている感じでした。ことの発端は今年の四種リーグ戦です。6年生にとっては最後の大きい大会なのに6年生を3人5年生を5人出したのです。交替も5年生で、ほかの6年生は一試合も出れませんでした。さすがに何故出さないのかや、練習をもっと見て欲しいと親たちが抗議しましたが、「自分は見ているの信じてほしい」というのでその場はとりあえずおさめました。しかしその3日後に行われた6年生と代表とのミーティングが酷かったらしく、「親に何を言われても俺は変える気はないから嫌ならやめてもらってかまわない」「誰にアピールしなきゃいけないのかよく考えろ」「6年は頑張っても元が下手だから強くはならないから」など言われたそうです。最初は言葉の暴力だけでしたが、いまは蹴りを寸止めして『ビビッてんじゃねーよ』など言ったり、ボールを頭めがけて思いっきり蹴ってきたりと威嚇がひどくなってきています。息子にも「お前なんて通用しない」とも言ってきます。しかも自分がトレセンに推薦したのに「今度は落としてやる」と言われました。どうやらS級ライセンスも持っていてトレセンでも偉い立場にいるようですが、こういう人が指導者で良いのでしょうか?この代表の下であと3か月続けて行くか迷っています。<島沢さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。「S級コーチがそんなことをするなんて信じられません」などとは言いません。どういったプロセスでS級を付与されたのかはわかりませんが、ご自分がプレーをやって見せたり、技術を教えることには長けている方なのかもしれません。■コーチがしていることは「威嚇」ではなくすでに「暴力」ただし、お母さんのお話がすべて事実であれば、私の感覚ではこの方は指導者失格だと思います。「蹴りを寸止めして『びびってんじゃねーよ』など言ったり、ボールを頭めがけて思いっきり蹴ってきたり」お母さんは「威嚇」と表現していますが、これは間違いなく暴力です。スポーツ界は2013年4月に暴力根絶宣言をしています。このコーチにS級ライセンスを与えた日本サッカー協会も同様に宣言しています。それなのに、今でも一部の指導者は、手を上げなければ、つまり拳で殴ったり、平手打ちをするなど直接手をくださなければ暴力ではないと考えている方もいます。なかには、「何か言われても、暴力だと思わなかったと言えばいいんだ」とおっしゃる方もいると聞きます。決して良いことでないとわかっていてやっているわけです。■暴力暴言は脳を委縮させ、更には生きづらさの原因にもこの暴力について、少しだけ意識を高めて考えてみてもらえないでしょうか。デリケートな子どもの脳は幼少期に厳格な体罰や暴言などを受けることで変形し、発達の遅れや記憶力低下につながってしまう――現在の脳科学ではそんなこともわかっています。「日常的に親から暴力や暴言を受けて育った子どもの脳は萎縮したり、変形したりして発達が損なわれてしまう。それが原因となり、子どもは将来生きづらさを抱える可能性がある」と、著名な小児精神科医の先生から聞きました。したがって昨年、厚生労働省は親がしつけと称して体罰をふるうことを禁止しました。親でさえやってはいけないことです。さらにいえば、小学校の先生がこのようなことをやっていたことが発覚すれば、場合によっては懲戒免職です。なぜ、サッカーのコーチだけが許されてしまうのでしょか。また、「最初は言葉の暴力だけでしたが、いまはと威嚇がひどくなってきています」とあります。言葉の暴力が具体的にどんなものか書かれていませんが、息子さんに代表の方が言った「お前なんて通用しない」とか、トレセンに推薦したのに「今度は落としてやる」といったものも「暴言」にあります。上述した体罰根絶宣言では、暴言が暴力に含まれることは明記されています。■小学生の間は楽しむことが一番、できれば今の環境を離れよう小学生の間は、楽しくサッカーをすること、サッカーを心から好きになるよう指導していくことが肝要です。このことは日本サッカー協会から指導者に通達されています。ところが、ご相談に書かれている代表の方はそれとは異なり、スパルタ式で子どもたちを威嚇し、暴力をふるい、こころを傷つけています。このようなスポーツ環境に長く置いてしまうと、前述したように脳は大きな負のダメージを受けてしまいます。本来なら運動によって脳は活性化するので、サッカーをすることは子どもの脳にプラスに働くはずです。身体的な暴力はないものの、言葉による暴力を受けてきた人の脳の調査では、「おまえなんて生まれなければよかった」「死ねばいい」などの暴言を受けていた人は、そうでない人と比べて会話機能をつかさどる脳の聴覚野が変形することも証明されています。一部のコーチが暴力をふるっているのなら、クラブの代表の方に相談することを勧めますが、代表の方がそうされているためクラブ内で解決するのは難しそうです。ここはできれば、すぐに辞めて違うチームに預かってもらうか、もう最上級生であと少しなので、次にプレーするジュニアユースのチームで練習させてもらうなどサッカーをできる環境を細々でも確保することを考えてみてはいかがでしょうか。チームには加入せず、スクールだけで中学まで練習してもいいでしょう。■次の被害を生まないために、サッカー協会の窓口に連絡するなど行動を起こそうそして、できれば日本サッカー協会の暴力相談窓口に相談したほうがいいでしょう。その際、匿名では日本の暴力相談窓口は対応してくれません。特に、お母さんがトレセンで「選ばない」と発言したことや、試合に出してくれないことを強調してしまうと、相談を受けた方によっては「親の逆恨み」と受け取ってしまうかもしれません。私は対応しないことの言い訳のように聞こえますが、これまでそんなケースが多かったから疑心暗鬼になるのかもしれません。そういったことを踏まえて、連絡を取ることをお勧めします。辞めてしまえば......、早く忘れたい、と思われる保護者が多いのですが、次の被害を生まないためにも行動することを検討してください。■お子さんが「自分がダメだから......」と考えてしまわないよう、心のケアを(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そして何より重要なのは息子さんのこころのケアです。息子さんは何も悪くないこと。暴力や暴言をするコーチから離れるべきであることをぜひ伝えてください。暴力の被害者の多くは「自分がダメな選手だから、代表を怒らせてしまう」と考えがちです。手法が旧い指導者は激しく怒った後に「お前には期待しているよ」とやさしい言葉をかけ、それを「フォローしているから自分はいいコーチだ」と思い込んでいます。しかし、子どもはどちらのコーチが本当の姿なのか混乱します。混乱し自分を責めてしまい心を病んだりするケースは少なくありません。アメとムチはとても旧いやり方です。自分だけで悩まず、ほかの保護者やご家族で話し合ってみましょう。よき方向に向かうことを祈っています。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2022年01月12日1月3日から6日の日程で開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジには、Jリーグの育成組織やスクール選抜なども参加しました。湘南ベルマーレアカデミー選抜もその一つ。湘南ベルマーレはジュニア部門を設けておらず、登録チームとしては活動していません。普段はそれぞれの所属クラブでプレーしている子どもたちが、ベルマーレのスクールにも参加し、この大会には強化特待クラスからの選抜メンバーで参加しています。今大会は、グループリーグを2勝1敗で突破、決勝トーナメントでも初戦は5-0で快勝しましたが、準々決勝で0-1で惜敗。Jクラブのスクールとして、この大会への出場にどんな意義を感じているのか、監督と選手に伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)2日目湘南ベルマーレアカデミー選抜対センアーノ神戸ジュニア(写真:浅尾心祐)■戦いながらチームになっていく――大会に参加する意義をどう考えていますか?太田隆一監督(以下、太田)コロナ禍の中で大きな大会が無くなっている状況で、この大会は毎年参加させてもらってます。子どもたちが夢見る大会、憧れる大会なので、参加できて感謝しています。11人制でのプレーをほぼやっていない中で、戦いながらチームになっていくという良い場所なので、今回も同じように一人ひとりの良さが出ていていいんじゃないかなと思います。私自身は3回目の参加です。――決勝トーナメントではどう戦いますか?太田まだ子どもたちも緊張していたり、力を発揮できていない子もいたりするので、そこは少しずつでも力を発揮して一体感をもって戦えたらいいなと思います。■出場チームのレベルの高さが刺激になる選手たちにも話を聞きました。――大会参加の印象は?門倉颯希(かどくらそうま背番号4)、右サイドバックです。自分のやっているチームとは違って、日本全国のチームの選手と比べてみて、全然レベルの差があるなと思いました。水島蓮(みずしまれん背番号10)全チームレベルが高くて自分への刺激になるし、ここから自分の特長を出していけばいいと思いました。――憧れや目標の選手は?水島日本では山田直輝選手(湘南)とか、海外ではグリーリッシュ(マンチェスターシティ)です。――大会のここからの目標は?門倉やっぱり、優勝を目指して頑張りたいです。水島目の前の試合には勝って優勝を目指したいです。このインタビューのあと、準々決勝でディアブロッサ高田FC U-12に惜敗してしまいましたが、普段は別のチームでプレーしている子たちとは思えないほどの連携など、随所に光るプレーを見せてくれた湘南ベルマーレアカデミー選抜。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、普段参加する地域(市、都道府県)の大会では対戦する機会のないチームと試合をして刺激を受けるのも一つの魅力。今回お話を伺った選手たちもこの大会でいい刺激を受けたようです。ピッチ内外での出来事を通してクラブのスローガン「たのしめてるか。」を体現していたように見えました。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年01月12日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの昨年大会で4位に入ったエコノメソッドスクール選抜。今回は予選リーグでセンアーノ神戸ジュニア、湘南ベルマーレアカデミー選抜に敗れ、パルアリーレ福島に勝利したもののグループ3位で、上位リーグへの進出は叶いませんでしたが、随所に「らしさ」を見せていました。普段は別々のスクール(関東4校、関西4校)でプレーをしている選抜チームならではの難しさもあったようですが、大会を通じてどんな戦いを心がけて来たのか、など監督と選手に伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)3日目エコノメソッドスクール選抜対札幌ジュニアFC(写真:浅尾心祐)■選抜チームならではの難しさ――この大会をどう位置付けされていますか?佐藤泰成監督(以下、佐藤)エコノメソッドという同じフットボールのスタイルを自分たちで体現していきたいという選手たちが一応選抜という形で集まっています。それぞれ異なるチームで学んでいることもあるし、自分たちがやりたいサッカーをピッチの中でやれるかどうかというのを高いレベルで試すという、すごくいい機会、大会だと思っています。――今大会に向けて選手たちに伝えたことは?佐藤今も選手たちに言ったことですが、それぞれの武器があると思っているので、その武器をピッチ上で表現するということ。挑戦をぜひやってほしいと一番最初に話しました。挑戦するには勇気を持つ必要があるので、挑戦しやすいように他のチームメイトも常にサポートしてあげる姿勢をチームとして持っていこうねと話しました。――ここまでの試合を終えて手ごたえはどうでしょうか?佐藤尻上がりによくなってきたかなと。選抜チームなので最初はお互いのいいところを見つけるのが難しい中で、試合を重ねるにつれていいところも分かってきたし、自分の新しい武器に気づいてきたこともあるし、11人制に徐々に慣れてきた中で少しずつ良くなってきて、今日得点も前半後半でとれたので、すごくいい形で最後の一戦に望めるのかなと思います。――昨年参加された結果を受けて今大会に向けた取り組みはされましたか?佐藤去年はベスト4と聞いていますが、選手も違うし相手も違うので、去年以上を狙いたいという気持ちはあったし、選手は頑張ったとは思います。ただ、結果は結果だし、自分たちがやれることをやれたのかやれなかったのかにフォーカスしてやろうねと常に話していたので、みんな悔しい気持ちはあると思いますが、それでも自分たちが正しいと思うことをやっていこうと頑張ってきました。■判断と実行と認知というのを基に高いレベルまでやっていきたい――今大会の選手は全体的に大きい選手が多いと感じますが、フィジカルの差は感じられますか?佐藤それはあると思います。エコノメソッドで日本人が世界で戦うためにどうやったらいいのかを考えて、スペインとかに近いフィジカルの部分はあるし、その中で自分たちは判断と実行と認知というのを基に高いレベルまでやっていきたいということで集まっているメンバーなので、フィジカル的に優れたメンバーが集まっているかというとそうではないかもしれませんが、それでも自分たちの武器を出して精一杯戦う姿勢はできたと思います。――エコノメソッドでは認知、判断の部分にすごくフォーカスした指導が特徴ですが、それは出せたと?佐藤出せたと思います。近い距離でボールを受ける時でも、背後の認知だとかスクールやキャンプでやっている部分がしっかり出せたと思います。エコノメソッドの詳細はこちら>>■大会の4日間を通じてピッチ内外で成長――この期間ですぐには形になっていないかもしれませんが、選手として成長を感じた部分は?佐藤ピッチ内、外で感じます。もちろんピッチ内で徐々に見えるものは増えてきているし、普段は8人制でピッチも半分なので、単純に言うと"倍"のスペースを見なければいけないので、それも徐々に見えてくるようになっているし、ピッチ外では初対面の時には分からなかったそれぞれのパーソナリティも少しずつ見えてきているし、かかわり方や馴染み方も少しずつ良くなっているなと思います。――最終戦に向けて佐藤常に気持ちは変わらないので、勝利にはもちろんこだわるけれど、自分たちのサッカーを貫こうというのは変えずに最後はみんなでいいサッカーをして得点をたくさん獲れればいいし、結果は結果だが自分たちのやれることにフィーカスしたいと思います。■エコノメソッドスクールを選んだ理由選手たちにも話を聞きました。――みなさんがエコノメソッドに選んだ理由と好きな選手を教えてください。背番号13・上原桜太(うえはらおうた)スペイン人コーチ、通訳からサッカーを学べると思って入りました。好きな選手はチャビ・エルナンデス(FCバルセロナ監督)です。背番号5・前田樹流生(まえだじるあ)スペインサッカーを好きだったし、キャンプの時に総合MVPになったので入ろうかと思ったし、スペイン人コーチも優しかったからです。好きな選手はイニエスタ(ヴィッセル神戸)です。背番号9・長谷川昂星(はせがわこうせい)スペインサッカーが好きだったし、ジュニアユースで強いチームに行けるようになりたくて来ました。進路はグランデ・アメージング・アカデミーに決まりました。背番号20・渡部大心(わたべだいな)憧れている先輩(中3)がエコノメソッドに通っていたから、上手くなりたいと思って通い始めました。好きな選手はデブライネかクリスティアーノ ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)です。背番号18・大森功誠(おおもりこうせい)近場のチームでやっていましたが、もっとレベルの高いところへ行った方がいいと思ってネットで調べて体験練習に参加したら、ここなら上手くなれると感じて決めました。好きな選手はネイマール(パリ・サンジェルマン)です。■選手たちが「自分の成長を感じた」ところ――今大会で自分が成長したなと思うところを教えてください上原僕は体が小さいのでこの大会の選手はほとんど大きいので、自分は球際の部分が強くなったかなと思うし、スライディングや体を捨てたプレーができるようになったり、体負けもしなくなったりして、そこは成長したなと感じました。前田認知の部分と3人目のもらい方、使い方のところが成長できたと思います。メンタル面、1対1の強さが成長できたと思います。長谷川大会に来る前とでは対人の強さがよくなったと思います。渡部いつもはFWだけど、ここでインサイドハーフをしてその動き方が分かったのが成長した点だと思います。大森ワールドチャレンジの参加を通じて11人制の大事な試合に出られたので、今後に生かせそうだと思いました。チームで協力して勝ちたいという気持ちが強く持てるようになったと思います。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>エコノメソッドの詳細はこちら>>
2022年01月07日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021の最終日。準決勝、3位決定戦、決勝が行われました。4強に入ればパナソニックスタジアム吹田で試合ができるので、大会に参加した選手たちはそれを目標に3日間頑張ってきました。そして憧れの場所でプレーできる4チームは表彰式でカップを持ち上げるべく、最後まで一生懸命にボールを追いかけました。(取材・文:貞永晃二)準決勝進出を決めたFCトリプレッタ渋谷ジュニア(青いユニフォーム)(写真:浅尾心祐)■準決勝は大接戦と圧勝の2試合YF NARATESORO2-2、PK2-3センアーノ神戸ジュニア準決勝第1試合は関西勢対決。10分、NARATESOROが佐竹海力(さたけかいり)君の華麗なドリブル突破からのシュートで先制し、後半5分にも滝川颯馬(たきがわそうま)君のゴールで2点差をつけました。反撃に出るセンアーノは11分に村上翔二郎(むらかみしょうじろう)君が追撃のヘディングゴール。さらに15分に片山祥汰(かたやましょうた)君がミドルを決めて同点に追いつきました。ともに3点目を奪おうと攻め合いますが決着はつかずPK方式の結果、センアーノ神戸ジュニアが決勝へと駒を進めました。センアーノ神戸のトレーニング紹介はこちら>>ディアブロッサ高田FC U-12 1-4 FCトリプレッタ渋谷ジュニア準決勝第2試合。幸先よく2分に小田原稜玖(おだわらりく)君が決めて先制したトリプレッタは、畳みかけるように8分に青木智史(あおきさとし)君のヘッド、14分に小田原君の2点目で0-3とディアブロッサを圧倒します。それでも17分、ディアブロッサは永添功樹(ながそえこうき)君が1点を決め反撃を開始しますが、トリプレッタはその後しっかり守備を整えて、試合は一進一退で進み、後半に入ってもその流れが続くと31分、トリプレッタの荒川湊介(あらかわそうすけ)君の得点が試合を決め、結局1-4でFCトリプレッタ渋谷ジュニアが決勝進出を果たしました。FCトリプレッタのトレーニング紹介はこちら>>■3位決定戦は旧知の相手との奈良県勢対決YF NARATESORO対ディアブロッサ高田FC U-12の対戦。準決勝で敗れた者同士の一戦は、ともに決勝を逃した失望に疲れも加わった試合のはずでしたが、そんな様子は一切感じさせません。奈良県内でしばしば対戦し。相性ではNARATESOROが上回っていた自信がアドバンテージになったのか、前半8分と18分に決め2-0とすると、後半14分ディアブロッサに1点を返されたが、スコアはそのまま動かずYF NARATESOROが3位を決めました。得点者―YF NARATESORO:橋本陽有(はしもとひゆ)、鎌田一寿(かまたいっす)ディアブロッサ高田FC U-12:細見篤生(ほそみあつき)■センアーノ神戸ジュニアが優勝決勝は意外にも大差がつく試合にセンアーノ神戸ジュニア6-1FCトリプレッタ渋谷ジュニア今大会の76試合目となる決勝戦は、やはりグループリーグで強さを見せていた2チーム同士、ともに攻守にバランスの取れたチーム同士とも言えるでしょう。2度のPK方式を乗り越えてきたセンアーノ神戸、対するはグループリーグからの全6試合を無失点で貫いたFCトリプレッタ渋谷ジュニアの対戦です。先手を取ったのはセンアーノ。15分、中央から仕掛けて、決めたのは國吉晴向(くによしはる)君。トリプレッタにとっては今大会での初失点でした。テクニカルなドリブルとスルーパス、そしてスペースを突くロングパスを駆使して主導権を握ったセンアーノは22分に片山祥汰君が追加点、25分には久保祐貴(くぼゆうき)君がPKを決めて3-0として前半を終えました。後半、攻撃の手を緩めないセンアーノは33、34分に久保君、近藤蒼太(こんどうそうた)君の連続ゴールで大量5点リードとし、ほぼ勝敗は決しました。48分に片山君が決めて6-0に。終了間際の50分にトリプレッタは藤安正充(ふじやすまさみつ)君が見事な得点で一矢を報いますがそこまで。終了の笛が響きました。表彰式では、センアーノ神戸ジュニアの片山祥汰君が大会MVPに選ばれました。動画で見て自分と同じで身長が高くないマラドーナが好きになったという片山君。ゴールにアシストに大活躍した小柄な背番号10がとても大きく見えました。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>センアーノ神戸のトレーニング紹介はこちら>>FCトリプレッタのトレーニング紹介はこちら>>
2022年01月07日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021の3日目。いよいよノックアウト方式の決勝トーナメントを迎えました。時折小雪が舞う寒い一日でしたが、パナソニック吹田スタジアムで行われる準決勝、決勝を目指して激しい戦いが繰り広げられました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)準決勝進出を決めたFCトリプレッタ渋谷ジュニア(青いユニフォーム)(写真:浅尾心祐)■PK決着で上位進出を決めたチームも3日目はグループリーグの1位、2位が対戦する決勝トーナメントのRound of 16のあと、準々決勝を行い、大会ベスト4が決まりました。グループリーグの3、4位が参加する下位トーナメントも行われました。Round of 16。グループリーグを3連勝し、合計17ゴールと得点力の高さを見せつけていた東京ヴェルディジュニアが久保竜彦監督率いる大和ハウスFUTURESに0-1で屈しました。3連勝で突破してきた残りの2チーム、センアーノ神戸ジュニアとFCトリプレッタ渋谷ジュニアは、それぞれガンバ大阪ジュニア、DREAM FCの大阪勢を相手にともに1-0で辛勝し準々決勝へ進出。他の対戦カードでは、バディサッカークラブ、ディアブロッサ高田FC U-12、湘南ベルマーレアカデミー選抜は大勝しましたが、YF NARATESOROは1-0勝利、プリモ大阪は、0-0の後。PK方式でヒヤヒヤする準々決勝決定となりました。■さあ、準々決勝!憧れのパナスタへ3日間の試合会場となったOFA万博フットボールセンターから常に威容が望めるパナソニック吹田スタジアム。あそこで戦うにはこの準々決勝で勝利しなければならない。俄然、試合はヒートアップし、どの試合も攻撃時にはゴールへの意欲に溢れ、守備時には絶対にゴールを割らせないぞと、両ゴール前では攻撃側、守備側ともに体を張ったプレーを見せ、どのゲームも大接戦となりました。結果としてはYF NARATESORO、センアーノ神戸ジュニア、 ディアブロッサ高田FC U-12、 FCトリプレッタ渋谷ジュニア が憧れのスタジアムで準決勝以降を戦う権利を手中にしました。明日の最終日、優勝を手にするのはどのチームでしょうか。ライブ配信もございますので是非ご覧ください。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>ライブ配信詳細はこちら>>
2022年01月06日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021の2日目に首位で予選突破を決めたあざみ野FC。あざみ野FCは横浜市青葉区に1980年創設のクラブ。子どもたちだけでなく家族一緒にサッカーを楽しめるクラブとして活動しています。現在はU-6からU-12の7つのカテゴリーに約160人が毎週末サッカーを楽しんでいます。OBにJリーガーとなった選手が多数いるクラブとしても知られています。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)2日目あざみ野FC(青)対エスフェローザ八千代(写真:浅尾心祐)■週末と祝日しか活動していない――この大会への過去の出場は?林和泉監督(以下、林)初めてです。街クラブの関東予選を勝ってきました。選手たちがよく頑張りました。――OBにJリーガーが多いことが知られていますね。林そうですね。今一番頑張っているのは山根視来ですね。それから高木3兄弟、水沼宏太、金井貢史、高丘陽平ですかね。――彼らが育った理由をどう思われていますか?林われわれは週末と祝日しか活動していないんですが、サッカーを好きにさせること、あとは親子で週末を楽しむというのがクラブの理念です。指導はわれわれ勤め人だから週末の活動になるんです。いわゆる街クラブで、「負けず嫌いな街クラブ」という感じです。■プロにならないと入れないスタジアムで試合がしたい――今大会にはどんな思いで参加されていますか?勝ちにはこだわらない?林いやこの大会は最後の思い出として勝ちたいです。(ベスト4進出で)パナソニック吹田スタジアムでやりたいです。プロにならないと入れないスペースですからね。――選手起用は全員出すお考えでしょうか?林初戦は全員出しました。第2戦は全員だそうとしたけれど、プレーが切れなくて2人出せなかったです。状況的にそれは仕方ないと、みんな納得してくれました。■出場チームみんな個人個人が上手いキャプテンの小田浩資くんにもお話を伺いました。――大会に参加した印象は?小田浩資(以下、小田)全国から強豪が勝ち上がってきていて、自分たちは関東代表という立場で出ていますが、みんな予想通り個人個人が上手いなという印象です。――ポジションと身長は?小田センターバックで、158か159cmです。林チームで3、4番目ですかね。――身長や体格で難しい時期ですね。林体のバランスが崩れますからね。ただ11人制なので、体のちっちゃい子も、テクニックはあるけどスピードがない子も8人制だと使いづらいんですが、11人制だと生かせる道があるので。8人、11人どちらも良さがあるんですけどね。日頃はもちろん8人制ですが、この大会の出場にあたり付け焼刃ですが近隣の(年上の)ジュニアユースと11人制でやらせてもらったりしてきました。■8人制とはスペースと広さ、走る量も違う――小田君、11人制は全然違いますか?小田スペースと広さが大きくて、ゴールの大きさも違って、走る量も違うので結構最初は戸惑いました。林それでもよく2試合無失点でね。――ロングシュートを打てという指示は?小田はい、出ています。林でもなかなか入らないね(笑)――大会の目標と将来について教えてください小田優勝しか狙っていません。将来はもちろんプロサッカー選手になって、プレミアリーグでセンターバックとして活躍したいと思っています。プレミアはDAZNでいつも見ています(笑)。林彼は川崎フロンターレのジュニアユースに進みます。川崎は近いんです。横浜といっても北の方なので、横浜よりも渋谷が近い地域ですから。小田主将は話し方もしっかりしていて一言一言を考えながら話せる選手でした。3試合目を小田君に注意しながら観戦しましたが、カバーリングとラインコントロールに長けていて、リーダーとして周りの選手への指示の声掛けがしっかりできていた印象です。勝ち上がってパナスタでのプレーを経験できれば最高の経験になるでしょう。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>
2022年01月05日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021の2日目。午前中から晴天に恵まれましたが、雲が広がり午後途中から小雨、本降りとなり同時に気温も下がり肌寒い中で試合は進みました。しかし、選手たちは元気に勝利を目指しファイト溢れるプレーを見せてくれました。グループリーグも終わり、各グループの1、2位は決勝トーナメントへ、3、4位は下位トーナメントに進むことになります。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)湘南ベルマーレアカデミー選抜対センアーノ神戸(写真:浅尾心祐)■劇的な勝利、久保監督は無敗で決勝トーナメントへ。播戸監督も嬉しい初勝利2日目はまずE~Hグループは2、3試合目を戦い、その後A~Dグループが残りの3試合目を戦うというタイムスケジュールでした。Eグループでは、センアーノ神戸ジュニアが3連勝。首位で決勝トーナメント進出となりました。湘南ベルマーレアカデミー選抜は2戦目でエコノメソッド スクール選抜と対戦し前半終了近くと後半早々に決めて2点リードを奪いましたが、エコノメソッド スクール選抜が意地を見せて瞬く間に同点に追いつきます。しかし試合終了間際の劇的な内田龍吾選手の決勝ゴールで勝利し決勝トーナメント行きを決め、結局2位で突破を決めました。Fグループでは、FCトリプレッタ渋谷ジュニアが見事な3連勝で首位通過。2位はガンバ大阪ジュニアが SOLTILO SELECTと同勝点4で並びながら得失点差で2位通過となりました。Gグループでは、バディサッカークラブが首位、DREAM FC が2位となりましたが、その差は勝点1のみ。この2チームが地力を見せて抜け出しました。Hグループでは、あざみ野FCが3戦目を前に首位で決勝トーナメント進出を決めていましたが、3戦目を前に奈良クラブジュニアが勝点2、FC琉球 U-12とエスフェローザ八千代の両チームが勝点1という激しい2位争いのグループでした。3戦目で奈良クラブがあざみ野FCに勝利し2位に滑り込みました。Aグループは2位以上を決めていた東京ヴェルディジュニアとプリモ大阪が対戦し、快勝した東京ヴェルディジュニアが首位、2位がプリモ大阪となりました。ここでは連敗スタートだった大和ハウスDREAMSがGullid Asakura を降し、播戸竜二監督に初勝利をプレゼントしました。Bグループでは、連勝で2日目を迎えた久保竜彦監督率いる大和ハウスFUTURESは同じく連勝のディアブロッサ高田FC U-12と引き分けて2勝1分けでグループリーグを終え、得失点差で首位がディアブロッサ高田FC U-12、大和ハウスFUTURESは2位となりました。Cグループは、2試合を終えて4チームすべてが勝点3という大混戦グループでしたが、3戦目を勝ったYF NARA TESOROが首位、2位がmalva fc U-12という結果になりました。malva fc U-12は バルサアカデミージャパン選抜との対戦でしたが、終了間際まで0-0が続き、そのまま引き分け終了なら勝点4で並び、バルサアカデミージャパン選抜が得失点差で上回るところでしたが、試合終了寸前で播磨隼佑選手の起死回生のドラマティックゴールで2位通過を勝ちとりました。あまりにも悔しい敗戦にバルサアカデミージャパン選抜には立ち上がれないほど号泣する選手がいました。それだけ必死に頑張った選手を称えたいと思います。最後にDグループでは、首位はフォルテFC。福山ローザス・セレソン を降した FCオーパスワンが2位で決勝トーナメントの切符を手にしました。第3日は1月5日、いよいよ決勝トーナメントに突入します。Round of 16の8試合、さらに準々決勝4試合が行われます。また、グループリーグで3,4位となったチームは下位トーナメントを行います。会場は同じOFA万博フットボールセンターです。以下、第2日の試合結果●Aグループ東京ヴェルディジュニア 6-1 プリモ大阪Gullid Asakura FC 0-3 大和ハウスDREAMS●Bグループアルビレックス新潟U-12 0-3 シルクロードサッカークラブディアブロッサ高田FC U-12 0-0 大和ハウスFUTURES●Cグループ徳島ヴォルティスジュニア 0-3 YF NARATESOROmalva fc U-12 1-0 バルサアカデミージャパン選抜●Dグループ松本山雅FC U-12 0-0 フォルテFC福山ローザス・セレソン 0-3 FCオーパスワン●Eグループ湘南ベルマーレアカデミー選抜 3-2 エコノメソッド スクール選抜パルアリーレ福島 0-5 センアーノ神戸ジュニア湘南ベルマーレアカデミー選抜 0-2 センアーノ神戸ジュニアパルアリーレ福島 0-4 エコノメソッド スクール選抜●Fグループガンバ大阪ジュニア 1-1 SOLTILO SELECT札幌ジュニアFC 0-2 FCトリプレッタ渋谷ジュニアガンバ大阪ジュニア0-1 FCトリプレッタ渋谷ジュニア札幌ジュニアFC 0-2 SOLTILO SELECT●Gグループレノファ山口FC U-12 1-1 バディサッカークラブDREAMFC 2-0 MFC.VOICEレノファ山口FC U-12 3-0 MFC.VOICEDREAMFC 0-2 バディサッカークラブ●HグループFC琉球 U-12 0-0 奈良クラブジュニアあざみ野FC 2-0 エスフェローザ八千代FC琉球 U-12 0-4 エスフェローザ八千代あざみ野FC 0-1 奈良クラブジュニアワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>
2022年01月05日1月3日(月)に開幕したU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021。毎年海外クラブを招いて同年代の世界レベルと本気で対戦できる大会です。新型コロナウイルスの影響で2年連続の国内チーム同士の対戦となりましたが、子ども達は各地域予選を勝ち抜いてきた精鋭同士の戦いを楽しんでいます。「大和ハウスDREAMS」の監督を務める播戸竜二さんが子どもたちに伝えたコンセプトを伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)「大和ハウスDREAMS」の監督を務める播戸竜二さん(写真:浅尾心祐)■やってみて監督の大変さを理解した――選手との合流は?播戸昨日(1/2)昼頃合流して、15時と17時に2試合練習試合をして負けて、勝ってという感じでした。――今回監督をされた経緯は?播戸話をいただいたので、こういう大会があるのは知っていましたが、自分は監督をするというイメージは今まで持っていなかったので、チャレンジという感じで。将来的に自分が監督になりたいという思いがそこまでない中で、今回の話をもらって監督を実際やってみたらどういう気持ちになるのかを確かめてみたかったのはありました。監督というのはチームにずっといないとなかなかできないことですから。急に集まって試合をした子どもたちも大変だと思いますし、それをどう上手くまとめてどういうふうに持っていくかというのも(やってみて)つくづく監督って大変だなと思いました(笑)。コーチとも初対面でしたが、選手たちともいい関係性を1日で作れていると思いますし、1試合目は負けてしまいましたが(インタビューは初戦直後)、あと2試合勝って決勝トーナメントへ行こうと話しています。なによりこういう場所で試合ができて、いつもと違う選手たちと、いつもと違う監督と試合をするのは子どもたちにはすごくいい経験になると思いますので、いい大会だなと思うし、自分にもいい経験になっています。■子どもたちに伝えた、戦うための3つのこと――どういう戦い方をしたいと?播戸チームとして3つあって、1つはチームとして全体で戦うこと、1人で勝手なことをしないで全体として戦うこと。2つ目にチャレンジすること。シュートであったりパスであったり、いろんなことにチャレンジして前向きにプレーして欲しいということ。3つ目は戦うということ。目の前の相手、敵に負けない1つの試合に負けないという戦う気持ちを見せて欲しい。この3つのコンセプトの元で昨日からやってきています。――前・後半で選手を総入れ替えされましたが? 今後も同じやり方ですか?播戸どうしようかなと思って。セレクトのチームだし、みんな試合に出たいと思っているし。昨日言ったのは、1試合目はこういう感じで、2試合目からはちょっと考えるねと。ただこの形でいいかなとは感じています。■今回の監督経験は人生においてもいい経験――監督を経験して得たものは?播戸こういう雰囲気でやったり、監督の経験はなかったので、自分としては人生においてもサッカーに携わる中でもいい経験になったかなと。監督というのがどんなものか分からなかったんですが、こういうふうなものなんだな、大変なことなんだな、簡単じゃないなと思いました(笑)。いろいろなことがある中でチームを作る大変さが分かったので、今後自分が監督を志すのか、違う方へ行くのか分からないですが、間違いなくいい経験になります。――ちなみに指導者ライセンスは?播戸B級までは持っています。今のところ、A級を取りに行く気はないです。本当に(指導者になるという)情熱があって真剣に目指している人がやるべき仕事だと思いますし、そこまでの気持ちがないというわけじゃないですが、どちらかといえば、マネージメント、経営という方へチャレンジしたい思いがあるので、いろいろ勉強したいという感じです。(今回の監督経験は)見るだけでなく、実際中へ入ってやれるというのはすごくいい体験だと思います。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>
2022年01月04日