大好きな彼の地以前のコラムでも書きましたが、私は娘が未就学時代を過ごした関西が大好きです。主人の転勤に伴って初めて訪れた土地での初めての子育て(当然障害児育児も初めて)には、確かに様々な苦労がありました。でも15年以上経った今も“出来たらまたあの土地に戻って暮らしたい”と思うほど、そこで出会った人たちは、皆温かく、私達親子に優しく接してくれました。6年間過ごしたその土地での思い出。お昼ごはんに誘ってくれた近所のおばあさん娘が3才~5才の頃、主人が単身赴任になり、私は自閉症の娘と二人きりで暮らしていました。近くに親戚もいなかったので、週末は家族で過ごす親子が多い中、私と娘はいつも二人で公園で遊んでいました。遊ぶと言っても当時の娘はほとんど独り遊びしかせず、会話も十分にできませんでした。反応がなかったり、会話が一方通行な相手に話しかけ続けるのはとても虚しいものです。そんなある日、近所に住む顔見知りのおばあさんが「うちにお昼ごはんを食べに来ない?」と声をかけてくれました。おばあさんの「子どもが小さかった頃、私の夫も単身赴任してたのよ。うちには娘さんと同じ年頃の孫もいるし、一緒にお昼を食べましょうよ」との誘いに、私は(図々しすぎないかしら?)思いつつもお宅にお邪魔をしました。娘とお孫さんが仲良く遊ぶことは当然ありませんでしたが、それでもおばあさんと同居している娘さん、お孫さんと一緒に食べた“ぶっかけそうめん”はとても美味しく、私はその味が今でも忘れられません。またあるときは...ママ友たちが助けてくれて娘のインフルエンザが私にうつり、娘と二人で寝込んでいたときには、幼稚園のママ友が食事を作って玄関先に届けてくれました。Upload By 荒木まち子夕方に男の人の声で『外から見ているよ』といういたずら電話が何度もあったときには、「怖かったらうちに泊まりにおいで」と誘ってくれたママ友もいました。娘が便器にトイレットペーパーを詰まらせ水が溢れてしまったときにはご近所のママ友がラバーカップを貸してくれました。Upload By 荒木まち子次の転勤で関東に引越した後、東日本大震災が起こりました。そのときは私からお願いしたわけでもないのに、幼稚園時代の友達が関西から水や食料を送ってきてくれました。どれも当時は入手困難なものだったので、とても有難く思いました。その優しさは『土地柄』だけではなかった!私はそれらの優しさやおおらかさはずっと関西という土地柄ゆえと思っていました。でも後にそれだけではないとわかりました。私が暮らしていたのは阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた地域でした。辛い経験したことがある人たちだからこそ、困っている人に対して自分ができる範囲で精いっぱい手助けをする精神が根付いている。そしてさらりと「困ったときはお互いさま」と言えるのだと気がついたのです。今住んでいる地域でも広がった、困ったときの助け合い東日本大震災の後、今住んでいる地域でもおむつやおしりふきなどが手に入りづらかった時期には、ママ友同士でシェアをしたり、ホームベーカリーを持っている人が手作りパンを配ったりとお互いに助け合いをしていました。そして今COVID-19が猛威を振るうなか、私達は様々な不便を強いられています。小さい子どもや障害児・者がいる家庭、病気や介護が必要な人がいる家庭、妊婦や高齢者がいる家庭、受験生がいる家庭、収入が減った家庭、などなど、それぞれの悩みと苦労があると思います。特例子会社に勤めて3年目の娘も、自粛要請の影響で出勤日数の調整が行われ自宅で過ごす時間が増えてきています。数年かかってやっと定着した生活のリズムも乱れ始めています。「自分が今できること」をして、恩を送りたいもしかしたら今後、行政の支援や取り組みなどが鈍ってくることもあるかもしれません。でも、もしもそうなったとしてもお互いに助け合いの気持ちを持って支え合いながらこの困難を乗りきることを願いながら、微力ながら私も「自分が今できること」をしていこうと思っています。かつて私達親子を支え助けてくれた人たちに直接恩返しをすることはできないかもしれませんが、私も「困ったときはお互いさま」と笑顔で言える人になって、恩を送っていきたいです。最後に私が今このサイトを通してできることは自分の障害児育児体験談を書くことや、読んだ方のガス抜きになるような漫画を描くことぐらいしかありませんが、様々なストレスを抱える発達ナビユーザーの皆さんの「生き抜くための息抜き」のお手伝いが少しでもできたなら幸いです。
2020年05月08日新型コロナウイルスに関する報道がされ始めたころ、多くの人が現在の状況を予想していなかったのではないでしょうか。全国の小中学校と高校、特別支援学校への臨時休校の要請から始まり、主要7都府県への緊急事態宣言、そして全国に緊急事態宣言が拡大され、またその期間が延長されようとしています。新型コロナウイルスの影響で、大きく生活が変わり、夫婦間の問題や子育てのこと、仕事に関してなどさまざまな悩みごとを抱えている方もいらっしゃるかと思います。厚生労働省は、「生活を支えるための支援のご案内」として、現在おこなわれている助成金や事業などについてまとめ、随時更新しています。今回はそのなかにある、相談窓口についていくつかご紹介します。 心の健康について相談したいとき 精神保健福祉センター等精神保健福祉センターでは、保健師や精神保健福祉士などの専門職が、面接や電話などにより悩みの相談を受け付けています。精神保健福祉センターは、各都道府県(指定都市)に設置されています。 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」「こころの耳」は、こころの不調や不安に悩む働く方や、手助けをするご家族の方、職場のメンタルヘルス対策に取り組む事業者の方などの支援や、役立つ情報の提供を目的に作られた、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。職場のメンタルヘルスに関する情報提供や、産業カウンセラーなどが メールや電話で健康相談を受け付けています。 DVや子育ての悩みについて相談したいとき DV相談ナビ配偶者や恋人からの暴力(DV)に悩んでいることをどこに相談すればよいかわからないという方のために、全国共通の電話番号:0570-0-55210に電話をすると、発信地などの情報から最寄りの相談機関の窓口に電話が自動転送され、最寄りの相談窓口に相談できます。携帯電話やPHS、公衆電話からも利用できますが、相談は各機関の相談受付時間内に限られています。 児童相談所・児童相談所虐待対応ダイヤル最寄りの児童相談所や児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いち・はや・く)」では、子育ての悩み、虐待の相談などについて、電話相談を受け付けています。 児童相談所虐待対応ダイヤルは通話無料です。児童相談所には、児童相談所相談専用ダイヤル:0570-783-189(なやみ・いち・はや・く)もあり、こちらは有料となっています。 生きづらさを感じるなどのさまざまな悩みについて相談したいときよりそいホットライン等よりそいホットラインでは、電話、FAX、チャットやSNSによる相談に専門の相談員が対応してくれます。悩みの内容は、暮らしの悩みごとやDV・性暴力などの相談、 外国語による相談をしたい方 など多岐にわたっています。まずは、0120-279-338(岩手県、宮城県、福島県からは、0120-279-226)に電話してください。 長引く自粛生活で、明らかにストレスフルな生活を送っている方もいれば知らず知らずのうちにストレスを蓄積させてしまっている方もいらっしゃると思います。思いもよらない悩みごとが出てきてしまったという方もいらっしゃるでしょう。小さな悩みごとでもひとりで抱え込まないことが大切です。誰かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなるかもしれません。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年05月04日まだまだ収束の兆しが見えないコロナ禍。感染による肺炎症状の恐ろしさと共に外に出られない、先が見えない状況が続くことで「コロナうつ」も増えている。「皆様いかがお過ごしですか?『元気のパワースポット』と呼ばれる僕ですが(笑)、新型コロナウイルスの影響で家族が住むロンドンに帰ることができなくなり、大好きな飲み会も自粛中。想像以上にこのウイルスは手ごわいなあと思っているこのごろです」そう話すのは、元気健康長寿を目指す「デュークウォーキング」を確立。最期まで自分の足で生きる人生のよろこび「ぴんしゃんウォーキング」や、歩くことで道徳を伝える「歩育(ほいく)」を提唱すべく、日本全国のみならず世界で活躍中のデューク更家さん。「でも、決して気落ちはしていません。今回は、『STAY HOME』を守りながら、コロナうつを撃退するウォーキングを特別に考案しました!」体が元気でないと、心もついていかないもの。「その中でも、僕は東洋医学でいう『気血水』を巡らせることが重要やと思います」とデュークさん。「今回のメソッドは姿勢の悪さや下半身の筋力の衰えなど、現代人や読者世代の皆様が潜在的に抱えている問題を解消します。さらに不安がもたらす息苦しさを解消して、停滞してしまった魂も、活性化!手軽に実践してもらえるよう「時短」も念頭に置いていますので、お家にいる時間を楽しむ『もう一つの手段』としてぜひ取り入れてみてくださいね」■バーテブラ・ウォーキング肋骨、肩のコリをほぐし可動域を広げる。肩甲骨を動かし、背骨(バーテブラ)の血を巡らせることでコロナうつによる息苦しさを解消。〈エクササイズ編〉【1】手首を交差して、両手の手のひらを合わせる。指先は下を向いた状態をキープ。【2】手のひらを合わせたまま両腕をまっすぐ上に伸ばす。【3】肘を直角に曲げる。両手はしっかりと握り、頭の後ろへ。【4】3で握った手をもう一度合わせ、腕を上へまっすぐ伸ばす。肋骨と肩甲骨ごと引き上げるように意識。肩甲骨まわりの筋肉がほぐれることで自然と深い呼吸ができるようになる。【5】3と同様にもう一度肘を直角に曲げる(両手は握る)。【6】右斜め上に向かって両腕を伸ばす。左の体側をしっかり伸ばすように意識する。【7】もう一度3のポジションへ。4と同様に両腕をまっすぐ上げ、また3のポジションへ戻す。今度は6と反対に、左斜め上に向かって両腕を伸ばす。毎回3のポジションへ戻り、まっすぐ上へ→右上へ→まっすぐ上へ→左上へ→まっすぐ上へのサイクルを10回ほどおこなう。〈ウォーキング編〉【8】右腕は手のひらを前に向けた状態で斜め上に上げ、左腕は手の甲を前に向けて、右腕と直線を作るように体から離す。【9】右脚を踏み出すと同時に、右手のひらで肩甲骨の間にある「身柱」を、左の手の甲でおへそのちょうど後ろ側にあたる背中の「命門」のツボを軽くたたいて刺激する。滞りがちな背中の血流をUP!【10】反対側も左腕を手のひらを前に向けた状態で斜め上に上げ、右腕は手の甲を前に向けたら同様に。「シュン、シュン」とリズムよく呼吸をしながら5歩。両腕を1歩ごとにかえて1〜10を2回で1セット。朝、晩1セット(計2セット)おこなう。「コロナうつになるとストレスによって姿勢が悪くなり、肩甲骨が横に広がって胸を閉じてしまいます。これが原因で、息苦しさを訴える人が続出中!そこで、凝り固まった肋骨や肩をほぐして肩甲骨を動かすのがこのエクササイズの特徴。背中のツボを刺激して血流も促進するので、深い呼吸が取り戻せます。副交感神経が刺激され、リラックス効果も抜群で気が晴れるでー」「女性自身」2020年5月5日号 掲載
2020年04月30日「新型コロナウイルスの影響で日本のハイパーインフレの危機はさらに増したと言えるでしょう。ハイパーインフレになれば円の価値が暴落し、みなさんの貯金は紙クズになってしまいます」そう語るのは、経済評論家の藤巻健史氏。モルガン銀行東京支店の元支店長で、参議院議員を務めた経験も持つ(以下、「」内は藤巻氏)。いったいなぜ、ハイパーインフレの可能性が高まっているのか――。「私がいま一番恐れていることは日本銀行の崩壊なんです。崩壊と聞くとみなさんビックリされるでしょうし『日銀が潰れるわけない』と思われるかもしれませんが、実は中央銀行が潰れることはあります。日本銀行法にも解散の規定があるぐらいで、本質的に解散を想定しているんです。実際に、第二次世界大戦後のドイツは通貨の価値が下落し、中央銀行を潰して新たな中央銀行を作り、ドイツマルクという新しい通貨を作ったという例があります」日銀はいま、世界的に見ても異例の金融政策を行っているのだという。「日銀は異次元の量的緩和をするため、まず株を買い始めました。金融政策のために株を買っている中央銀行は、世界中どこにもありません。今回のコロナ禍でアメリカの中央銀行であるFRBもいろいろと大胆なことをやりましたが、いまだに株の購入はやっていません。株を買ってその値段が下がれば、債務超過になってしまいます。だから各国の中央銀行は株には手を出さなかったわけです。ところが日銀は、今年中には日本一の株主になってしまうほど株を買い続けています」こうした日銀の金融政策は、どのような事態を招く可能性があるのか。「いまの日銀は金利が少しでもあがると途端に債務超過に陥ってしまうギリギリのところです。金利があがるのを抑えるために株や国債を買いあさっているわけですが、これはまさに薄氷の上を歩いている状態です」安倍首相が4月7日に打ち出した総額108兆円の緊急経済対策で、39兆円の財政出動が必要となっていた。さらに1人あたり10万円の一律給付が決まり、財政支出は48兆円を超えることに。新型コロナへの莫大な財政出動・経済対策で、日本のハイパーインフレ危機はさらに近づいたのだと藤巻氏は語る。「コロナウイルスへの影響で世界中の国々が積極的に財政出動しているので、赤字国債を発行することになるでしょう。そうなれば、やはり金利が上がってしまいます。赤字国債を中央銀行が買うことによって、いつまで金利の上昇を抑えきれるかが問題となるわけです。しかし、日本の場合は日銀がこれまでにも国債を”爆買い”してきたため、各国の中央銀行に比べて日本の債務超過は目前。債務超過により円の価値が暴落し、ハイパーインフレがやってくる……というシナリオは十分ありえます。新型コロナウイルスの影響で日本のハイパーインフレの危機はさらに近づいたと言えます」藤巻氏は家計の防衛策として「預金をドルに替える」「住宅ローンを固定金利に変える」という2つの方法を提案する。「ハイパーインフレが起きれば円は大暴落します。そうすると、ドルが手に入らなくなってしまうので、原油は買えないし、農産物は買えないし、マスクだって買えなくなるわけです。そんな円の大暴落へのリスク回避として、世界の基軸通貨であるドルを持っておくことは大事です。また、住宅ローンについては固定金利に変えてしまったほうがいいと思います。いますぐに変動金利から切り替えると、固定の方が金利は高いので少し損をすることになりますが、いずれやってくるハイパーインフレ時代への保険だとして割り切ってもいいのではないかなと思います」
2020年04月29日●邦題「可能の王国」に込めたメッセージ「自分の周りの世界が好きになれなかったら? もし世界が、大きな失望でしかなかったら?」社会科クラスのシモネット先生(ケビン・スペイシー)は、小学生たちにこう問い掛けた上で、「それなら嫌いな部分をクルリと変えてしまえ」「君たちならできる。不可能を可能に。君たち次第だ」と鼓舞する。シモネット先生からの課題「世界を変える方法を考え、それを実行してみよう!」に対して、ハーレイ・ジョエル・オスメント演じる11歳の少年・トレバーは、「世の中はクソだから」という理由で、「自分が受けた善意をその相手ではなく別の3人へと渡す」という“Pay It Forward”を思いつく。果たして、トレバーは「クソな世の中」を変えられるのか――。キャサリン・ライアン・ハイドの原作をもとに映画化された映画『Pay It Forward』。日本では『ペイ・フォワード 可能の王国』として2001年2月3日に公開され、国内興行収入は16億円を記録した。同年6月に公開された主演作『A.I.』が96億円、ハーレイ・ジョエル・オスメントの出世作ともいわれる『シックス・センス』(99)の76億円と比較すると、大ヒットとはいえない成績だった。この『ペイ・フォワード』が19年の時を経て、再び注目を集めている。新型コロナウイルス感染拡大の影響により社会活動の自粛が余儀なくされる中、ツイッター上では、「こんな時だからこそペイフォワードの精神で」と助け合いを望む声があふれる。映画の魅力を伝える人やオススメする人、原作の思想を広めようとする人。また、自ら行動を起こす人もいれば、「ペイフォワード」を掲げて医療従事者への支援を展開する企業も。各々の価値観に委ねられた“ペイフォワード”が人と人との結びつきを強め、未曾有の国難を懸命に切り抜けようとする人々の姿が浮かび上がる。この現象を、同作の関係者はどのように受けとめているのか。ワーナー・ブラザースに問い合わせたところ、日本公開当時に宣伝部だった中村香織氏、加々見綾子氏が電話取材に応じてくれた。邦題に込められた同社の思い、そして公開から19年後に起きた1つの“奇跡”が明らかになった。○■19年を経て「映画をやっていてよかった」――中村さんは当時宣伝部で、ポスターや予告編制作などのクリエイティブ部門を担当されていたそうですね。中村:私もこの作品にはすごく思い入れがあります。なんとかヒットさせたいと思って、黄色だったアメリカ版ポスターのキーカラーを作品のピュアな部分が伝わるように白にして、コピーも変えました。トレバーの考えは、一言で説明できません。「善意を3人に送る」というのをそのまま伝えてしまうと、説教臭いと思われてしまうのでそこをそのまま売りにするのは難しい。そこで、「一人の少年をきっかけに世界が変わる」現象そのものを伝えるため、「きっかけはここにある」というのをコピーにしました。通常、映画は現実から離れて非現実的な世界を楽しむものですが、この作品は観た人の中に入り込んで価値観を変えてしまう力があるので、「今見るべき必然性がある」ということも伝えたくて。そうやってすごく力を入れたのですが……。――結果が伴わなかった。中村:本当は興行収入30億円、それ以上いってほしかったのですが、16億円止まり。その数字自体は決して失敗ではないのですが、私たちが狙った数字ではなかったので、すごく落胆して残念に思った記憶があります。「こういう作品を広めるために映画に携わっている」という思いもあったので……。そういう苦い思い出があるだけに、今回の取材を通して今でも観てくださる方がたくさんいらっしゃると知って、20年かかって満たされる思いもあるんだ……と。トレバー少年じゃないですけど、正直な話をすれば、「こういう作品がヒットしないのか。所詮、社会はそんなもの」と自分を納得させるしかなかった。それが今になって花咲いて、「映画をやっていてよかった。社会のせいにした当時の自分は間違っていた」と思いますね。これも1つの奇跡というか、『ペイ・フォワード』が教えてくれたことです。○■「いま私たちが生きている世界」は変えられる――2001年公開時、社会に影響を与えたような出来事は起こりましたか?中村:世の中に大きなうねりを作り出すまでには至りませんでした。去年、『ジョーカー』に関わりましたが、そこまでいくと「社会現象になった」と言えるかもしれませんが……。一人でも多くの人に届いてほしいと願うように、祈るように仕事をしていた覚えがあります。――『ジョーカー』のキャッチコピーは「本当の悪は笑顔の中にある」ですが、正反対の物語でしたね。では、サブタイトルの「可能の王国」はどのような経緯で決まったのでしょうか?中村:「ペイ・フォワード」はキーワードとしてそこまで覚えにくい言葉ではないのですが、日本人にとっては馴染みのない言葉です。「恩や善意の先送り」という意味ですが、そのまま直訳してもわかりにくいので、当時の上司が「“可能”という言葉はキーワードだよね」と言ったことがヒントになりました。ケビン・スペイシー演じるシモネット先生が「もし世界を変えるとしたら何をする?」と生徒に聞くと、生徒たちは「変えるなんてありえない」「無理」という、でも先生は「もし可能だったら?」と聞くんです。その瞬間、失望だらけの世界が可能性に輝きだす。「もしかしたら、いま私たちが生きている世界は変えられる?」と。観た後に、「自分たちの世界のことでもある」と自分ごととして捉えたもらいたかったんです。――サブタイトルにそんな意味が込められていたとは! 願いが今、人々に届いていますね。中村:そうですね。新型コロナウイルスで世界は大変な苦境に立たされていますが、この状況だからこそ、夢物語ではない『ペイ・フォワード』の真意が伝わるのではないでしょうか。『ペイ・フォワード』は、「自分の中の可能性」とも向き合わせてくれる映画です。そのきっかけをツイッターを通してあらためて伝えてくださっているみなさま、本当にありがとうございます。●タイトルに隠されたもう1つの秘話――貴重なお話、ありがとうございました。さて、加々見さんはハーレイ・ジョエル・オスメントの来日を担当されていたと聞きました。当時のことは覚えていますか?加々見:19年前の話なので……実は私も昨日の夜、観直してみたんですよ! 実は、あれからずっと観てなかったので。いやぁ……良い映画ですね(笑)!――観て下さって、ありがとうございます(笑)。加々見:当時、字幕などを担当する制作部門から宣伝部に異動した頃で、メインの業務は企業タイアップの獲得でした。今よりもずっとバイリンガルのスタッフが少なかったので、制作と宣伝の中で必要とされるところを手伝いました。来日もその一つです。――彼は当時小学生ですよね。加々見:そうですね。学校がある時期の来日は必ず家庭教師を連れてこないといけないので、お父様と家庭教師の女性が一緒にいらっしゃいました。午前中は勉強の時間なので取材はNG。ホテルの部屋で3時間くらいは勉強していたと思います。お父様もすごくほのぼのした優しい印象の方でした。オスメントくんは、本当に良い子でしたよ。悪さも何もせず。彼ぐらいのキャリアだと調子に乗ってしまう子もいたと思いますが、あの子の場合はご両親もすごく真面目な方で。きっと良いご家庭なんだろうなと思った記憶があります。オスメントくんは『シックス・センス』があれだけヒットしたのに、そのことを分かっているのか分かっていないのか。天才なのにそんな素振りも一切なく、普通の子でしたね。――彼の発言で覚えていることはありますか?加々見:ごめんなさい! 19年も前のことなので、さすがに覚えてないんですよね(笑)。でも、すごく良い印象だったのは覚えていますし、他の方もそうなんですけど、2~3日一緒に過ごしていると帰る時にさびしくなるんですよね。オスメントくんの滞在期間は、2泊4日か、3泊5日ぐらいだったと思います。午前中は家庭教師との勉強の時間。午後はホテルに取材部屋を設けて、紙媒体やテレビの取材を受けてもらいました。――取材では、どのような受け答えをする方でしたか?加々見:映画の中でのイメージに近かったと思います。はにかみながらこたえて、ちゃんとポイントはついている。映画の中で伝えたいこと、これからの自分のことなどを真面目に答えていました。きっとその頃には海外の方でも相当取材を受けていたはずなので、慣れていたのかもしれませんね。――そういえば、トレバー少年の父で酒癖の悪いリッキーは、ジョン・ボン・ジョヴィが演じていたんですね。加々見:私もすっかり忘れていて、出てきてビックリしました(笑)。当時は、それで大騒ぎしたんですよ。「えっ!? 出るの!?」とみんなで驚いて。あまり良い役でもないし、少ししか出ないので、それはかなりの衝撃でした。○■「みなさんの心の中」にある“明るい未来”とは――その他に思い出に残っていることはありますか?加々見:中村も言っていましたが、タイトルで苦戦したのを覚えています。日本語に訳したタイトルにするのか、原題の「Pay It Forward」を「ペイ・イット・フォワード」とするのか。カタカナ表記にすると、長いだけで意味は通じないのではという心配もありました。深い意味のある日本語の案もあったんですけど、ピンと来るものがなかったんですよね。最終的には、「ペイ・イット・フォワード」の「イット」は、日本人にとってはなくていいものと判断し、「ペイ・フォワードはどうですか?」と提案したら、「なるほど」と賛同を得られました。いちばんしっくり来るタイトルに決まったという記憶があります。――「Pay It Forward」は、アメリカでは一般的なフレーズなんですか?加々見:アメリカに長いこと住んでいたんですけど、この作品に携わるまで知らなかったフレーズでした。意味を知ればすぐに理解できて、そんなに難しくない言葉ですし、おそらくですが、この作品がきっかけで世の中に広まったのではないでしょうか。現在、アメリカでは通信会社大手・ベライゾンが、ビリー・アイリッシュも参加した「ペイ・イット・フォワード・ライブ」というプログラムを展開中です。もともとあった言葉なのかもしれませんが、今だからこそ一般化しつつあると思いました。映画はアメリカでも大ヒットしたわけではないので、みなさんの心の中に残っていたということなのかもしれません。――それぞれの価値観に委ねられた善意は、現実世界でも確かに存在していましたね。加々見:新型コロナウイルスによるこの状況はありがたいことでもなんでもないですが、全世界が同じ悩みを抱えているのは、人類にとってこれまで経験してこなかったことだと思います。個人的には、再び原点に戻るというか、リセットされているような気がしていて。今まで当たり前のようにあったもの、自分にとって大切なものを再認識させられているというか。こういうときだからこその助け合いじゃないですけど、「良いことをしていこう」と思っている人が増えているのは、未来にとってはすごく明るい出来事ですよね。ソーシャルがみんなの強みになっていますし、一番の頼りにもなっています。レディ・ガガや星野源さんの試みも、ペイ・フォワード的な思いが含まれているのではないでしょうか。こうやって、いろいろな形で世界が1つになっていくのは本当にすばらしいことですよね。私も久しぶりに観たら、「まさに今観るべき映画じゃん!」と思ってしまいました。(C) 2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
2020年04月29日新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、ダウンタウン・松本人志(56)の発信力がこれまで以上に強まっている。松本は今年の3月末から、以前にも増してツイッターを更新し続けてきた。芸人を巻き込んだ『IPPONグランプリ』風の大喜利企画や、相方・浜田雅功(56)の花嫁写真も。ユーモラスなツイートを交えながら、SNSで世間に外出自粛を呼びかけてきた。結果、今月13日にはフォロワー数が有吉弘行(45)を超えて芸能人ナンバーワンに。26日段階で747万人に達している。そんななか、26日にも自身のツイッターを更新。この日、松本のレギュラー番組である『ワイドナショー』(フジテレビ系)が放送された。だが自身の出演はなく、3週連続で過去6年間の傑作選がOAされていた。すると松本はツイッターで《いつ再開かなぁ~》とコメント。《ガキの使い。ダウンタウンなう。ダウンタウンDX。ワイドナショー。水曜日のダウンタウン。松本家の休日。探偵ナイトスクープ》と自身のレギュラー番組名を列挙し、最後には《クレイジーあっ!》とツイート。ヤラセ問題で昨年打ち切りになった『クレイジージャーニー』(TBS系)に触れるなど、ユーモアを交え投稿した。この松本のツイートにネット上では《今の松ちゃんを早くテレビで見たい…》《ワイドナショーはリモート出来るんじゃないですか?》《今世間は大変な事になってるけど…この状況を松本さんや東野さんに語ってほしい…》などの反響が続々と寄せられている。テレビ番組が続々と休止を余儀なくされ、外出自粛の日々も続いている。そんな中で松本の笑いを交えたメッセージは、これまで以上に多くの人に届くようになっているようだ。
2020年04月27日外出自粛期間が続き、すでに人々の間では“コロナ疲れ”“コロナうつ”といった言葉も広まっている。コロナ禍長期化は今後、日本にどのような影響を及ぼすのだろうか?NPO法人「医療ガバナンス研究所」の上昌広理事長は言う。「おそらく5月の連休明け以降も、緊急事態宣言は継続されると思います。さらにハーバード大学の研究グループが指摘するように’22年まで、外出自粛要請が断続的に続くのではないでしょうか。感染をおそれて病院での診療を敬遠する方も増えています。たとえば私がチームでやっているナビタスクリニック・グループも、3月は昨年に比べて患者数が4割減です。今後は倒産する医療機関も増えていくと思います」病院ですら倒産すると、上理事長が指摘するように、経済の専門家たちによれば、コロナ禍長期化の日本経済への打撃はかなり深刻なものになるという。「景気ウォッチャー調査で特に影響が顕著となる順番としては、(1)旅行・交通関連、(2)百貨店、(3)飲食関連、(4)レジャー施設、となります。旅行業界でいえば3月に日本を訪れた外国人旅行者数は、前年同月と比べて93%減です。また’08年のリーマン・ショックの際は1年間で失業者は113万人増加しました。当時に比べて非正規雇用者が増えていますので、今回の失業者数はそれを上回る可能性があります。リーマンのときに最も大きな影響を受けたのは大企業製造業でした。しかし今回は中小のサービス業が影響を受けていますので、倒産件数もリーマン時を上回る増加になるかもしれません」(第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣さん)また経済評論家・岩崎博充さんは、株価暴落の可能性を指摘する。「東芝は7万6千人の従業員を対象にして、4月20日から5月6日まで国内の全拠点を休業すると発表しました。しかし2週間程度ならともかく、そういった状態が緊急事態宣言の延長により長期化するとどうなるでしょうか?大企業だから内部留保があるとはいえ、2カ月も続けば、それを相当取り崩してしまうことになるでしょう。それ以降は、株券や債券を現金化し、社員の給料に充てていかなくてはいけません。内部留保の取り崩しは、大なり小なりほかの企業も抱えている問題で、今後は株や債券の暴落が始まります。私の予想では7月ごろからその動きが目立ってくると思います」さらにコロナ禍長期化は私たちの日常生活も直撃するという。各国で続けられている移動制限が農業従事者の移動や食料品の流通も妨げ、生産や流通にも影響を及ぼす可能性があるというのだ。4月1日には世界保健機関や世界貿易機関のトップたちが世界的な食料不足が発生する恐れがあるとも、警告している。資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫さんはこう語る。「国内の食料を確保するため、ロシアやカザフスタンのように、すでに輸出規制に踏み切っている国も出ています。たとえば日本は小麦の9割を輸入に頼っており、輸入元はアメリカ・カナダ・オーストラリアなどです。どの国もコロナ問題を抱えており、今後、輸出規制を採択する可能性も出てきます。するとこれらの国から思うように輸入できなくなり、日本国内での食料品の不足や値上がりも目立ってくることになるのです」すでに日本の食料輸入量には陰りも見え始めているという。「たとえば小麦やチーズ、それにアジやサバ、タコといった一部の水産物の輸入量が昨年の同時期に比べて、かなり減少しています。すべてがコロナの影響というわけではないかもしれませんが、各国でサプライチェーン(製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、配送、販売、消費といった一連の流れ)の混乱が発生しているようです」(食品問題評論家・垣田達哉さん)そうしたサプライチェーンの混乱が生じているのは食料品ばかりではない。未来調達研究所取締役で調達・購買コンサルタントの坂口孝則さんは衣料品について指摘する。「日本のアパレル業界も大きな影響を受けています。ある程度の高級ブランドであれば、日本でデザインし、イタリアなどヨーロッパで高品質の布地を調達、それを人件費が安いベトナムやインドネシアなどの東南アジアで縫製するというグローバルなサプライチェーンがあるのです。それがイタリアから高品質の布地が入ってこなくなったり、さらに東南アジアでも工場が閉鎖されたりと、各地でサプライチェーンが寸断されようとしています」1人の油断が、地域そして国内での新型コロナウイルス拡大感染を許し、ひいては国際的に悪影響を……。コロナ収束のめどがたち、緊急事態宣言が1日も早く解除されるためにも、一人一人の自覚が求められている。「女性自身」2020年5月5日号 掲載
2020年04月23日4月7日、新型コロナウイルス感染者数に歯止めがかからない現状から、安倍晋三総理大臣が東京・神奈川など7都道府県に対し緊急事態宣言を発令しました。国民に在宅してもらうことで人との接触を減らし、感染拡大を防ぐ狙いから出された緊急事態宣言。しかし内容や法的根拠を元に「どこまで人の行動を制限できるのか」については、理解されていない感があります。そこでパロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に緊急事態宣言について解説していただきます。 緊急事態宣言とは?櫻町弁護士:「「緊急事態宣言」とは、感染症が流行した際、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「新型インフル等特措法」とします)に基づき、政府対策本部長(=内閣総理大臣)が行う宣言及び公示のことをいいます。少し長くなりますが、どのように規定されているかみてみましょう。【新型インフル等特措法】第16条政府対策本部の長は、新型インフルエンザ等対策本部長(以下「政府対策本部長」という。)とし、内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは、そのあらかじめ指名する国務大臣)をもって充てる。第32条政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第5項及び第34条第1項において「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。附則第1条の21新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。第3項において同じ。)については、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律(略)の施行の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、第2条第1号に規定する新型インフルエンザ等とみなして、この法律及びこの法律に基づく命令(告示を含む。)の規定を適用する。2(略)3(略)【新型インフル等特措法施行令】第6条1法第32条第1項の新型インフルエンザ等についての政令で定める要件は、当該新型インフルエンザ等にかかった場合における肺炎、多臓器不全又は脳症その他厚生労働大臣が定める重篤である症例の発生頻度が、感染症法第6条第6項第1号に掲げるインフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められることとする。2法第32条第1項の新型インフルエンザ等緊急事態についての政令で定める要件は、次に掲げる場合のいずれかに該当することとする。一感染症法第15条第1項又は第2項の規定による質問又は調査の結果、新型インフルエンザ等感染症の患者(当該患者であった者を含む。)、感染症法第6条第10項に規定する疑似症患者若しくは同条第11項に規定する無症状病原体保有者(当該無症状病原体保有者であった者を含む。)、同条第9項に規定する新感染症(全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限る。)の所見がある者(当該所見があった者を含む。)、新型インフルエンザ等にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者(新型インフルエンザ等にかかっていたと疑うに足りる正当な理由のある者を含む。)又は新型インフルエンザ等により死亡した者(新型インフルエンザ等により死亡したと疑われる者を含む。)が新型インフルエンザ等に感染し、又は感染したおそれがある経路が特定できない場合二前号に掲げる場合のほか、感染症法第15条第1項又は第2項の規定による質問又は調査の結果、同号に規定する者が新型インフルエンザ等を公衆にまん延させるおそれがある行動をとっていた場合その他の新型インフルエンザ等の感染が拡大していると疑うに足りる正当な理由のある場合新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)については、「肺炎の発生頻度が季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められること」、かつ、「感染経路が特定できない症例が多数に上り、かつ、急速な増加が確認されており、医療提供体制もひっ迫してきていること」から、新型インフル等特措法施行令6条の要件が満たされているとして、令和2(2020)4月7日、政府対策本部帳である安倍首相が、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨を宣言し、公示がなされました(官報「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言に関する公示」())。 4月7日の宣言の時点において、対象となる区域は「埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県」、期間は「令和2(2020)年5月6日まで」となっています。そして、緊急事態宣言が発せられた場合には、「新型インフルエンザ等緊急事態措置」、すなわち、「国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関がこの法律の規定により実施する措置」(新型インフル等特措法2条3号)が講じられることになります。具体的には、緊急事態宣言の対象区域となった都道府県の知事は、・住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請すること(新型インフル等特措法45条1項)・学校、社会福祉施設(略)、興行場(略)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請すること(同条2項)・施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示すること(同条3項)ができます。なお、施設管理者等への「指示」は、「施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないとき」であって、「特に必要があると認めるときに限り」行うことができるものであり、指示が可能な場合は限定的となっています。そして、こうした要請や指示をした場合、都道府県知事はその旨を公表しなければなりません(新型インフル等特措法45条4項)。緊急事態宣言の対象区域において、具体的にどのような措置が講じられているかをみると、例えば東京都の場合は以下のようになっています(東京都「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等」)」。・新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第1項に基づき、医療機関への通院、食料の買い出し、職場への出勤など、生活の維持に必要な場合を除き、原則として外出しないこと等を要請事業者に対し:・特措法第24条第9項に基づき、施設管理者もしくはイベント主催者に対し、施設の使用停止もしくは催物の開催の停止を要請。これに当てはまらない施設についても、特措法によらない施設の使用停止の協力を依頼・屋内外を問わず、複数の者が参加し、密集状態等が発生する恐れのあるイベント、パーティ等の開催についても、自粛を要請休止を要請する施設(新型インフル等特措法施行令第11条):・遊興施設等(キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、バー、個室付浴場業に係る公衆浴場、ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、ライブハウス 等)・大学、学習塾等 (大学、専修学校、各種学校などの教育施設、自動車教習所、学習塾 等 ※ 床面積の合計が1,000㎡を超えるものに限る。)・運動、遊技施設(体育館、水泳場、ボーリング場、スポーツクラブなどの運動施設、 又はマージャン店、パチンコ屋、ゲームセンターなどの遊技場 等)・劇場等(劇場、観覧場、映画館又は演芸場)・集会・展示施設(集会場、公会堂、展示場/博物館、美術館又は図書館、ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。) ※ 床面積の合計が1,000㎡を超えるものに限る。 )・商業施設(生活必需物資の小売関係等以外の店舗、生活必需サービス以外のサービス業を営む店舗 ※ 床面積の合計が1,000㎡を超えるものに限る。) ※なお、上に挙げた各施設以外についても、東京都知事は「床面積の合計が1,000㎡以下の下記の施設については、同1,000㎡超の施設に対する施設の使用停止及び 催物の開催の停止要請(=休業要請)の趣旨に基づき、適切な対応について協力を依頼」として、施設の使用/催物開催の停止や、感染防止対策を講じた上での営業を求めています。以上のように、新型インフル等特措法に基づく緊急事態宣言が発せられた場合でも、都道府県知事がなし得るのは「要請」であり、施設管理者等が要請に応じない場合に限り施設の使用停止等を「指示」できるとするのが、新型インフル等特措法の仕組みです。したがって、欧米の各国においてなされているような、国民(住民)の外出を法的に「禁止」することはできません。あくまで、(生活の維持に必要な場合等を除いて)外出しないことを要請できるにとどまります。また、要請に反して外出した場合でも、罰則はありません」 まとめ海外のように「外出を禁止しなければならなくなる」という声がありますが、日本の法律では現状難しい様子。緊急事態宣言で事態が収束するよう願いたいですね。 *取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けていますコロナ禍で発令された緊急事態宣言法的根拠や制限範囲を弁護士が解説はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。コロナ禍で発令された緊急事態宣言法的根拠や制限範囲を弁護士が解説はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2020年04月17日「近ごろ、コロナ疲れからイライラする人が増えていますよね。そんなときは特に、自分と違う意見をもった人に対して『許せない!』という感情がわいて、SNSを中心に攻撃を始めたり……。私はこれを『正義中毒』と呼んでいます」こう指摘するのは、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)の著者で脳科学者の中野信子さんだ。「たとえば有名人の不倫問題にしても、“みんなのルール”を破るなんて許せない、と強い怒りの感情が暴走し、心ない言葉でたたきのめしてしまう。自分の生活には関係ない、見ず知らずの人に対してもです」私たちは、この正義中毒の状態に簡単に陥ってしまうという。「その根っこにあるのは“不安”です。不安が攻撃という行動に駆り立てる。今の時代、攻撃の輪はSNSによってすぐに広がり、そのなかで『それは責めすぎだ』という人が現れれば、今度は『そういうおまえこそ悪い!』と、新たな標的をつくっていくのです」100年に一度といわれる非日常にある今。「不安になって当然なの。10人いればそれぞれ意見が違うように、不安の感じ方も、対処法だって、一人ひとり違うものです」そう語るのは、精神科医のTomyさん。けっして否定しない、知恵のあるツイートが人気で、Twitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』は、この半年間でフォロワー数が16万人に急増。著書『1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)も4万部を突破した。「日ごと、コロナウイルスの感染者が増えるこの時期、“大丈夫だと思わない”ことも大事なんです。日本の場合、『過剰に不安がるな』という人も多いですよね。でも、この状況下で自分に『大丈夫だ』と言い聞かせることは、逆にストレスにもなりえますから」近ごろ急増している“イライラ案件”。その対処法をTomyさんが教えてくれた。■有名人の不倫騒動にイライラ「本当に許せないのか、あるいは誰かを攻撃してストレス発散しているのかーーほとんどの人が『あのさわやかイケメンが不倫!最悪〜、祭りだ〜』という発散のほうだと思うの。騒ぎたい人は騒げばいい。芸能人も、それを承知のうえでその仕事をしている人が多いでしょうし。でもね、ひとつ伝えておくと、やみくもに人を攻撃していると、やがて必ず自分に返ってくる。『あいつはそういうヤツだ』と、まわりの人に避けられる日がくるかもしれない、ってことを忘れないで」(Tomyさん・以下同)■子どもの休校や自粛にイライラ「同じ場所に閉じ込められることは、私も苦手だしイライラするわ。ただ、コロナに関しては、人に感染させない、そして感染しない、が大前提です。外出が難しい今、できないことはあきらめるしかないけれど、今あるバリエーションの中から楽しむことはできるはず。ジムに行けないのなら、ユーチューブの動画を見ながらトレーニングをしてもいいし。ヨガ教室に行けないのなら、お風呂場をスタジオ代わりにホットヨガをするとか……お気に入りのアロマをたいて電気を消せば、オシャンティな気分になれるわよ。子どもが騒がしいのなら、この際、好きな動画やアニメを思う存分見せるのも手よね。子どもは好きなものへの集中力がすごいから」とはいえ、今回のコロナショックは、収束が見えないことこそが、私たちを不安で支配している。「でも、人間は環境やストレスに慣れてゆく力を持っています。さらに極論をいえば、みんないつかは死ぬんです。それがいつかわからないだけのこと。誰も明日のことはわからない。だからこそ、見えない先のことを不安に思うより、今日一日のことだけを考えませんか。今できることの中から、今日一日の楽しみ方やリラックス方法を見つけられるといいわね。久しぶりの友達に連絡をするもよし、手間ひまかけて家族と一緒に料理を作るもよし。なかでも、古典の名作を読むことはおすすめです。どんな時代にも通用してきた作品なわけだから、私たちが得られるものも多いはずよ」「女性自身」2020年4月28日号 掲載
2020年04月16日「新型コロナウイルスに感染してしまうことを不安に感じ、体調が悪くても通院を躊躇している患者が多くいます。4月5日、厚労省はこのような現状を受け、オンライン診療を初診患者でも利用できるように許可しました。これにより、オンライン診療に対応している医療機関の診察を、誰でも自宅で受けられるようになるのです」そう語るのは、ナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二さん。コロナ禍が収束するまでの特例措置とはいえ、規則の緩和を評価しているという。同クリニックでは、2月から「新型コロナウイルス感染症オンライン相談室」を始めている。これは、感染の疑いがある症状を訴えている人に向けたサービスだ。「軽い風邪症状でも安易な通院は許されず、発熱患者をむしろ敬遠する病院もあるので、患者はどうしていいのかわからない。そんな人たちのため、相談室では通常と同じ問診をしています。血圧や心拍数を測ることはできませんが、“様子を見ていても大丈夫”“近所のかかりつけ医に行ったほうがいいですよ”とアドバイスはできる。医師に話を聞いてもらうことは、患者さんの安心につながると思っています」今回の厚労省によるオンライン診療の利用可能者の拡大は、“病院に行きたくない”という人たちが、不調をうったえたときに手軽に利用できることを意味する。「専用のWEBサイトにアクセスしたり、スマホのオンライン診療アプリをダウンロードしたりすることから始めます。薬の処方に関しては、患者さんが希望する調剤薬局に医療機関から処方箋をFAXやメールなどで送付。患者さんは調剤薬局に薬を取りに行く、という流れが主流になるでしょう」薬の処方に関しては、かかりつけ医に電話で処方箋を出してもらう、という方法もある。厚労省は、慢性疾患などで処方薬が必要な場合、電話などを用いた診療で、医療機関が薬局に処方箋を送付し、患者が通院せずに薬を受け取れるようにする指針を出している。こうしたサービスを利用し、3カ月ほどのまとまった量を処方してもらい、病院に行く回数を減らすことも可能になっている。「オンライン診療の場合、急ぎでないときは薬を調剤薬局から郵送してもらうこともできます。スマホがあればできますから、使い方をマスターしておくことは大事でしょう」『Die革命医療完成時代の生き方』(大和書房)の著者で医師の奥真也さんは、オンライン診察が手軽に受けられるようになった現状を歓迎するいっぽうで「まだ課題も残されている」と語る。「その手軽さゆえ、患者は診断に納得するため、ドクターショッピング(解決しない症状に対し、病院や医師を次々と替えて受診すること)をすることも考えられます」信頼できる“オンラインかかりつけ医”に出会うことができるまで、患者側は二重、三重に受診することになり、医療制度全体の効率が悪くなる。オンライン診療に対応した医療機関リストが、厚労省から示される方向になるとされるが、結局のところ、かかる医療機関は自分の判断で選ばなくてはならない。「残念ながら、規制緩和をビジネスチャンスと捉え、エビデンスのない健康食品や必要のない点滴などをすすめる、“もうけ主義”の医師がいることも事実です。受診を検討する医師について『専門医』や『認定医』などの肩書を持っているか、ホームページを参考にしてみるのも手でしょう」規制の緩和を受けて間もないだけに、オンライン診療において十全な環境を整えている病院はまだ多くはない、と奥さん。そして最も大きな課題は、患者が抱えている“新型コロナウイルスに感染したかもしれない”という不安に対し、感染の有無を完全には判断できないことだ。「まだまだ知見のたまっていないウイルスであるし、オンラインでは検査ができないため、主として問診から得られる情報で判断するしかありません。しかしそれでも院内感染のリスクなく、医師と話すことで患者さんの安心につながるのですから、課題をクリアしながら、オンライン診療を進めることは重要です」(奥さん)「女性自身」2020年4月28日号 掲載
2020年04月15日「緊急事態宣言が出て、勤務先の店長に『うちも営業できないから、休んで』と言われました。収入が減って不安なんです……」(40代主婦)新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月7日、安倍晋三首相は7都府県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)に緊急事態宣言を発令した。飲食店などが次々に「臨時休業」と店を閉める中、パート勤めの主婦は仕事を休むことで、収入が減少する悩みを抱えている。総務省が’20年2月に発表した「労働力調査」によると、全国でパート・アルバイト勤めをしている45歳以上の女性は約700万人。「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長は、「まず自分の休みが、次の3つのどの状況にあてはまるかの確認が必要です」と語る。(A)自分から「休みます」と自主的判断で休む場合。(B)店や会社の事業主から「休んで」「(就業日数を)減らして」と、強制的に言われた場合。(C)事業主の判断とは違い、都道府県知事からの休業要請(緊急事態宣言などによるものを含む)などで営業できなくなった場合。次に確認することは、パートで働く人が「休んでも」収入が補償される3つの制度。社会保険労務士の加藤治さんが解説してくれた。【1】年次有給休暇(有給休暇)「パート勤務でも、条件を満たせば有給休暇がとれます。この場合、パート代は『満額補償』となります」(加藤さん)休む理由のうち(A)(B)(C)いずれにおいても年次有給休暇制度は有効。自分がどれほど有給日数を所持しているかを勤務先に確認しよう。【2】休業手当「直近3カ月の平均賃金の60%以上の手当が出ます。ただし、あくまで会社側から休暇をとることが要請された場合のみ。自主的な事由で休みをとった場合は、この対象にはなりません」さらに、(C)のように緊急事態宣言を受け勤務先が当面の間“閉鎖状態”になった場合は、休業手当をもらえない可能性もある、と加藤さん。「そして週に○日、○時間勤務、といった就業条件を明記した『雇用契約書』が必要になります。知り合いのお店で働いている、というような人は同契約書がない場合もありますから、そのときは勤務シフト表などを見せて勤務先に交渉してみましょう」【3】新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金対策となる特別有給休暇小学校などに通う子どもが臨時休校で自宅にいるか、子どもが新型コロナウイルスに感染してしまった親・親族のためのもので、「半日単位」「時間単位」での休暇も助成金の対象になる。パート主婦にとっては、勤め先の飲食店やデパートなどが閉鎖することで“失業危機”に陥りかねない状況。前出の川上さんは「休暇で得られる時間を最大限有効に使うべき」とも話す。「コロナ禍が収束しても、経営の立ち行かない企業や飲食店もあるはず。時間が空いたときには、自分がいまの仕事以外に、何ができるかを探してみるのもいいかもしれません」(川上さん)収入を守る3つの制度は、新しい可能性を広げるチャンスをくれるものでもあるのだ。「女性自身」2020年4月28日号 掲載
2020年04月15日●口をそろえて「辞めちゃう人が出てきそう」新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまな職業が打撃を受けているが、その中でも死活問題に直面しているのが、まだテレビでの活躍が少ない若手のお笑い芸人たちだ。メインの活動の場であるライブが休止を余儀なくされ、アルバイトの仕事もないという状況が続いている。それでも、いつか来る活動再開に向けて、SNSを使った発信やネタ作りなど、前向きに日々を過ごしているのだという。お笑いコンビ・こじらせハスキーの橋爪ヨウコ(太田プロダクション)に、話を聞いた――。○■舞台に立てない不安テレビへの露出が少ない若手芸人たちがネタを披露し、芸を磨く場でもあるライブ。この会場はまさに“3密”の典型で、現在は一切開催されていない。「50人とか100人規模のお客さんの小さなライブは、やらなくてもいいと感じる方も多いと思うんですけど、芸人は舞台に立ってないと、しゃべる間や、頭の回転、瞬発力が衰えてしまうんじゃないかと、すごく不安になるんです。私たちには大事なものなので、『あ、なくなっちゃう…』と思いましたね」と振り返る橋爪。それでも、大阪のライブハウスでクラスターが発生したというニュースを知って、まだライブ開催が続いている状況の中で、いち早く出演自粛を申し出たという。また、新宿ゴールデン街のバーで一日店主のアルバイトをしていたが、こちらも休止。飲食店が密集するゴールデン街は、1店舗のスペースが狭く、「近い距離で不特定多数の人と会いますし、いろんなお店をハシゴするお客さんも多いので、もし自分が感染してたらうつしちゃダメだと思って、3月半ばにはお休みをいただきました」。さらに、「お店のお客さんからいろんな情報を聞いて、『新型コロナは思ってた以上に危ないな…』と感じるようになったんです。それも、お笑いライブを早めに休もうと思ったきっかけでした」と明かす。その後、「人と対面しないアルバイトも探してみたんですけど、不可能でした」と道がふさがれ、「無収入」という現状に。橋爪の場合、家賃は直前に支払いを済ませ、群馬の実家から野菜など食料を送ってもらっているため、なんとかしのいでいる状況とのことだ。○■フリーランス助成金、芸人は…飲食店のアルバイトは他の業種に比べて時間の融通がきくため、多くの若手芸人がやっていたが、この状況で軒並み収入が絶たれている状況。「もともとお金がないところで無収入になって、生活が厳しいっていう仲間が結構多くて、みんな今焦ってます」という。政府は、フリーランスへの助成金政策を打ち出しているが、お笑い芸人については「すごく微妙なところなんです。芸人は、月によって収入が全然違ったりするので、『今月はこれだけ仕事をするはずだった』という見込みが分からないんですね。だから、制度の対象になるのか、いろんな芸人と話をするんですけど、『もらえるらしい』と『難しいらしい』という話があって…」と情報が錯綜。「アルバイト先が潰れてしまった人もいるので、収入の証明をもらうにはどうすればいいのか悩んでる人もいます」という問題もある。○■最大の不安は賞レース芸人仲間とグループLINEなどで互いの状況を確認すると、「実家に帰ったという話は聞かないですし、スーパーに買い物も行かないほど、みんな全然家から出てないです。お金がないというのもありますけど、外出はいけないことだというのを、結構芸人たちは自覚を持っていますね」と、不要不急の移動自粛が意識されているようだ。そんな芸人たちにとって最も大きな不安は、賞レースのスケジュールだという。『M-1グランプリ』『R-1ぐらんぷり』『キングオブコント』『女芸人No.1決定戦 THE W』という4大大会は、予選やそれに向けたネタ作りの期間を含めると、年間を通して芸人たちのモチベーションになっている。例年では、6月に『キングオブコント』の予選が始まるが、「お客さんじゃなく、(放送)作家さんにネタを見せることになるのか、そもそも開催できるのか…と話しています」と心配の声が高まっている。「みんな口をそろえて、『芸人を辞めちゃう人が出てきそうだな』と言っています。まだ、実際に辞めたという話は聞いてないですけど、アルバイトもできない状況ですし、それだけ、賞レースは大きい存在なんです」●LINE上でネタ作り、SNSで積極発信橋爪はコンビとして活動してきただけに、「もともと不安定な職業とは理解していたんですけど、1人になるとここまでやることがなくなっちゃうんだな…と思いました」と心境を吐露。そんな中でも、今できることを見つけて活動している。まず、相方のドイツみちこと、LINE上でネタ作り。「貧乏芸人の悲しい性なんですが、私もドイツも、家の壁が薄くて声が出せないので(笑)、通話ではなく、テキストでネタ合わせをして作ってます。今まで1つのネタにこんなにゆっくり時間をかけることはできなかったんですが、いつもは作ったネタをライブで披露して、お客さんの反応を見て判断していたので、(方向性が)合っているのかどうか、不安があります」。ピン芸人は、1人でネタが披露できるというメリットがあるが、「コンビでもZOOM(ビデオ会議アプリ)でやった漫才をYouTubeにアップしてる芸人がいたりします」。しかし、こじらせハスキーの場合、「相方がすごいアナログ人間なので、ZOOMができなくて…(笑)。今、いろいろやり方を考えています」と試行錯誤しているようだ。また橋爪は、「SHOWROOM」や「ツイキャス」で生配信を実施しているほか、「note」で近況を報告し、ファンとの交流も図っている。「本当に今の時代で良かったなと思います。私がお笑いを始めた頃だと、ブログもないし、Twitterもないし、何もできなかったので、家にいて発信できるものがこれだけあるというのが分かって、ありがたいなって思いました」。○■「若手芸人はみんな元気そうです」苦境の中でも、「若手芸人はみんな元気そうです。ライブ以外にやれることをみんな模索して、『やらなきゃ!』っていう気持ちになってますね。お笑いの勉強や、趣味や特技を習得する時間にしてる人もいるし、私は節約レシピを考案したりしてます(笑)。今は無収入だけど、もしかしたらこれが新しいことで稼げるチャンスかもしれないし、こうやって人間はいろんな知恵をつけていくんだなと思いました(笑)」といい、「不安だけど、希望はあります」と前向きな声を聞かせてくれた。このコロナ禍が収まったらやりたいことを聞いてみると、「やっぱりお笑いライブですね」と即答。「『スナックこじらせ』というスナックネタで2時間やるソロライブを2月1日にやって、今後も定期的にやる予定だったんですけど、それが全くできなくなってしまったので、ぜひやりたいですね」と意欲を示し、それに向けたネタ作りにも余念がない。また、篠原涼子主演のドラマ『ハケンの品格』(日本テレビ系、スタート日未定 水曜22:00~)に、舞台となる営業企画課の社員として出演する約10人の芸人キャストの1人でもある橋爪。すでに撮影を行っており(※現在は休止中)、「篠原さんが除菌ブロッカーをくださったり、勝地涼さんは撮影初日で芸人全員の名前を覚えてきてくださって、『ライブとかどうなの?』『打ち上げでみんなのネタ見たいよね』と言ってくれて、泣きそうになったんですけど(笑)、本当にすてきな現場なので、早く再開してほしいです」と、期待に胸を膨らませていた。●橋爪ヨウコ1985年生まれ、群馬県出身。14年に、ドイツみちことお笑いコンビ「こじらせハスキー」を結成し、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)などに出演。ピンでも『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ)に出演し、1日12時間のテレビ視聴をノルマと課す超テレビっ子。マイナビニュースでコラム「こじらせハスキー・橋爪ヨウコの三度の飯よりテレビが好き!」連載中。ツイッター「@dumeko」ブログ「橋爪ヨウコの群馬大好きなんさー」YouTube【こじらせハスキー公式ちゃんねる】
2020年04月14日お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志が11日、自身のツイッターを更新。新型コロナウイルスの影響で、一週間以上ほぼ家にいると明かした。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ番組のスタジオ収録やロケが相次いで中止に。松本は「一週間以上ほぼ家にいます…」と明かし、「普段の生活に戻れたらオレ頑張る」とつづった。松本は、7日にも「いよいよ。とうとう。ヒマヒマ。」とつぶやき、新型コロナウイルスの影響について触れていた。
2020年04月11日「トイレットペーパーはマスクと同じ原料だから、これから製造できなくなる。製造元も多くが中国なので、輸入がストップする」新型コロナウイルスの感染者が日に日に増え、不安感と連動するように、ちまたでは不確実な情報が拡散されている。冒頭のような“デマ”がネットでは出回り、ドラッグストアから一斉にトイレットペーパーが消えたのも、記憶に新しいだろう。しかしいま出回っているのは、必需品についてのデマだけではない。ともすれば“命の危険”にもつながるような、医療についての誤情報が出回っている。「ネット上では『○○をすれば新型コロナウイルスには感染しない』という“ニセ医学”が出回っています。この騒動に乗じて注目を集めたいのか、医師免許所持者でさえ、首をかしげたくなることを言いだしているんです」こう話すのは、『“意識高い系”がハマる「ニセ医学」が危ない!』(扶桑社)の著書をもつ、五本木クリニック院長の桑満おさむ先生。ちまたでささやかれる“医療のウワサ”を集め、論文をもとに真偽を確かめる“ニセ医学バスター”としてブログを投稿している。ウイルス対策として出回ったデマを、桑満先生に斬ってもらった。【1】ビタミンDに予防効果がある「青魚などに含まれるビタミンDの摂取は、インフルエンザ予防に効果あり」とする論文が発表されている。“新型コロナウイルスにも効果てきめん”とうたうサプリメントや健康食品も……。「医学論文があるので、強気で主張している医師はいます。ただし現段階で、新型コロナウイルスへの効果は確認されておらず、十分な裏付けはなし。英国の公衆衛生庁は、研究結果に対して批判的なコメントを寄せていますし、日本の公的機関である国立健康・栄養研究所も、根拠なしと注意勧告を出していますから、ビタミンDで感染予防をしようと思わないほうがいいでしょう」(桑満先生・以下同)【2】「正露丸」がウイルスの成分を破壊する大幸薬品が発売する医薬品「正露丸」を巡って、3月2日に、かつて衆議院議員に立候補経験のある人物が自身のツイッターで“新型コロナウイルスに効く”と拡散。(ツイートは現在削除済み)《正露丸の主成分が、コロナウイルスの「外膜タンパク質(エンベロープ)」を破壊する》という趣旨の説明をしていたが……。「外膜タンパク質を破壊するのはアルコール成分ですが、正露丸の中には含まれていません。『外膜タンパク質』のような、聞きなれない専門用語を盛り込むのも、ニセ医学に見られる特徴です」正露丸はあくまで、パッケージに表記されている「下痢」や「食あたり」などの症状への服用にとどめておこう。【3】子宮を温めると、ウイルスへの免疫がつく現役の医師がユーチューブに、「子宮を温めるだけで女性はコロナウイルスにかかりにくくなる」と題した動画をアップした。紹介されている“子宮温熱療法”は、温めたタオルを下腹部に当てると子宮が温まり、血流がよくなって、免疫力が高まるという方法。「じつは、体温が上がると免疫も上がることを明確に示した論文はありません。人体の免疫システムは、わからないことだらけなんです。この動画については、ほかの医師も指摘していますが、体温を上げると免疫が上がるのではなく、免疫を上げるために体温が上がる、というのが正しいところです」医師が発言しているからといってうのみにするのは誤り、と桑満先生は警告する。「専門ではない分野に関して、独自のアイデアを披露する医師もいます。真偽を見分けるのはとても難しいですが、“画期的だから”といって妄信しないこと」【4】お湯を飲めばウイルス感染は防げる「新型コロナウイルスには耐熱性がなく、27度の温度で死ぬ。お湯を飲めば防げる」というメッセージが、LINEなどで多く出回った。家族や友人、知人から送られてきたため、信じて実行した人も多かったようだ。「体温よりも低い温度で、ウイルスを不活性化できるわけがありません。じっさい、感染したときの症状は高熱を伴うケースも多いわけです。不安が増しているいま、身近な人から聞いたり、“医療関係者から聞いた話”と言われたりすれば、内容を信じ込んでしまうのが、この時期の恐ろしさですね」桑満先生は、いまむやみに新しい情報には飛びついてはいけないと忠告する。「新型コロナウイルスの情報は世界で共有するために、論文がすぐに掲載される傾向にあります。それはとても有意義なことですが、これから再検証され、精査されていくもの。どんな情報が発信されたとしても、効果があるんだと思い込むのは早すぎます。結局、感染予防にいちばん有効なのは、『手洗い』『密閉・密集した空間に行かない』『人と密着しない』ことです」「女性自身」2020年4月21日号 掲載
2020年04月10日新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、世界各地のディズニーランドは休園中だ。ウォルト・ディズニー・カンパニーの取締役会長を務めるボブ・アイガー氏が、金融ニュースサイト「Barron’s」のインタビューで、パンデミック終息後のパーク運営について語っている。インタビューによると、入場時に行われている荷物チェックに加えて、体温測定を義務づける可能性について示唆している。アイガー氏は「通常の状態に戻すためには、安全であると人々に感じてもらう必要があります。最終的にはそれはワクチンという形で実現されると思いますが、開発されるまでは基本的に、より精密な検査や制約に頼っていくことになるでしょう」とBarron’sに持論を展開。そして、「例えば、現在パークに入場する人全てに行っている荷物チェックと同様に体温測定を導入することも考えられます」と語った。
2020年04月10日「トイレットペーパーはマスクと同じ原料だから、これから製造できなくなる。製造元も多くが中国なので、輸入がストップする」新型コロナウイルスの感染者が日に日に増え、不安感と連動するように、ちまたでは不確実な情報が拡散されている。冒頭のような“デマ”がネットでは出回り、ドラッグストアから一斉にトイレットペーパーが消えたのも、記憶に新しいだろう。しかしいま出回っているのは、必需品についてのデマだけではない。ともすれば“命の危険”にもつながるような、医療についての誤情報が出回っている。「ネット上では『○○をすれば新型コロナウイルスには感染しない』という“ニセ医学”が出回っています。この騒動に乗じて注目を集めたいのか、医師免許所持者でさえ、首をかしげたくなることを言いだしているんです」こう話すのは、『“意識高い系”がハマる「ニセ医学」が危ない!』(扶桑社)の著書をもつ、五本木クリニック院長の桑満おさむ先生。ちまたでささやかれる“医療のウワサ”を集め、論文をもとに真偽を確かめる“ニセ医学バスター”としてブログを投稿している。そんな、桑満先生がコロナ禍での“ニセ医学”を見抜く「NGワード」を教えてくれた。【1】除菌効果がある「まず、ウイルスは細菌ではありませんから“除菌”ではウイルスを取り除くことになりません。また除菌という言葉もよく耳にしますが、医学用語ではないのです」(桑満先生・以下同)【2】ウイルスを「死滅」させる「ウイルスは生き物ではなく、物質に近いもの。わかりやすく『退治する』『やっつける』などと表現することはありますが、正しくは『不活性化』といいます。ウイルスを生き物と捉えて、もっともらしく説明するのが“ニセ医学”の特徴です」【3】医師の奥さんが言っていた話だけど/○○さんから聞いた話だけど「不確かな情報に惑わされる古典的なパターンですね。人づてに聞いたという情報は、出どころがあいまいなことが多く、ニセ情報の可能性大。誰が言ったかではなく、どういう根拠に基づいているかが大事なのです」【4】ちゃんとしたデータがある「その反対意見のデータもたくさんあるのが、医学の世界。数カ月前に出たばかりの新型コロナウイルスに対して、100%正しいと判断できるデータはまだ出ていません」【5】医療関係者が実践している「もっともらしく聞こえますが、命に関わる情報です。臨床的証拠がない限り、“間違いない”と無条件に信頼するのはやめたほうがいいでしょう」ネットで拡散される感染予防法については、これからも常に疑ってかかろう。「女性自身」2020年4月21日号 掲載
2020年04月10日コロナ・エキストラビールが展開するリゾート・フェスティバル「コロナ サンセット フェスティバル(CORONA SUNSETS FESTIVAL)」が今年も開催。2016年7月2日(土)・3日(日)の2日間、沖縄・美らSUNビーチで行われた。2014年、スペイン・イビザで産声をあげた「コロナ サンセット フェスティバル」。開放感あふれるビーチという絶好のロケーションのなか、極上の音楽を堪能する。そんなほかのフェスとは異なる世界観が注目を集め、瞬く間にその人気は世界中へと広まった。2015年に日本初上陸。今年も、沖縄県内でも有数のサンセットスポットとして知られる豊崎海浜公園の美らSUNビーチが会場として選ばれた。通常チケットに加え、コロナ飲み放題となるVIPテーブルチケットも用意。クラプトンやピロウトーク、ドノヴァン・フランケンレイター、ムーディーマンなどの出演者が、オーディエンスを沸かせた。サウンドと共に欠かせないのがフェス・ファッション。近年はチョーカーやフラッシュタトゥーなど、フェスならではのアクセサリー使いが人気となっている。今回は会場がビーチというもあり、ビキニ姿の女子も多く見かけた。そんな会場のファッションをレポート。夏を感じるカラフルな「ビキニ」は、ビーチフェスの鉄板スタイル。タイダイ柄やパームツリー、ストライプなど様々なデザインが見受けられる。トップスとボトムスで、あえて違うデザインを合わせるのも旬な着こなし。もちろん足元はビーサンを合わせて。アクセサリーとして、細めチョーカーを合わせれば一気にフェス仕様に。定番スタイルとも言える「デニム」は、トップスに派手なロックTシャツやアロハシャツを合わせた南国風コーデが目を引く。ダメージ加工やミニ丈をチョイスしてアクティブに楽しんで。ヘアはフィッシュボーンやお団子、シニヨンなどまとめ髪アレンジも人気だった。「マキシドレス」「マキシスカート」で大人っぽく決めるのもおすすめ。ペイズリー柄やフラワープリントでリゾート感を演出して。また、それぞれの着こなしにマストハブなサングラスは、ラウンド型が断然人気になっている。ミラーレンズやカラーレンズを選べば、さらに個性的なルックに。今夏、フェスファッションの参考にしてみては。【イベント詳細】コロナ サンセット フェスティバル開催日時:2016年7月2日(土)・3日(日)13:00開場、14:00開演。2日(土)は23:00、3日(日)は21:00まで。会場:美らSUNビーチ野外音楽特設ステージ住所:沖縄県豊見城市字豊崎5-1参加費:・1日券 4,000円 (当日券:5,000円) / 2日通し券 6,000円・VIP 100,000円 (1枚で4名入場)■出演者UA(ウーア)、Laid Back(レイド・バック)、Felix Da Housecat(フェリックス・ダ・ハウスキャット)、Claptone(クラプトン)、PillowTalk(ピロウトーク)、Donavon Frankenreiter(ドノヴァン・フランケンレイター)、MOODYMANN(ムーディーマン)・Kenny Dixon JrDaM-Funk(デイム・ファンク)、LENNO、平井大、Naoki Serizawa、SAIRU、Spinna Bill with HOME GROWN BAND、DJ REN【問い合わせ先】ローソンチケットインフォメーションTEL:0570-000-777(平日 10:00~20:00)
2016年05月19日