映画『マエストロ:その音楽と愛と』が2023年12月8日(金)より一部劇場で公開予定。ブラッドリー・クーパーが監督・脚本・主演を務める。レナード・バーンスタインと家族の愛の物語映画『マエストロ:その音楽と愛と』は、今尚語り継がれる不朽の名作『ウエスト・サイド物語』の音楽を手掛けた指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインと、彼の妻であり女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインによる激動の生涯を描いた愛の物語。人生を“音楽”に生きた二人の愛を、大胆かつ情熱的に描き出す。監督・脚本・主演はブラッドリー・クーパー監督・脚本・主演を務めるのは、『世界にひとつのプレイブック』や『アメリカン・スナイパー』など数多くの作品で名演をみせ、『アリー/スター誕生』や『ジョーカー』などアカデミー賞ノミネート作品の製作にも携わってきたブラッドリー・クーパー。プロデューサーにはブラッドリー・クーパーに加え、スティーヴン・スピルバーグとマーティン・スコセッシという“映画界のレジェンド”も名を連ねる。キャリー・マリガンなど豪華俳優陣が集結また、映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャリー・マリガンが妻フェリシア・モンテアレグレを演じるほか、マット・ボマー、マヤ・ホークら豪華俳優陣が集結。さらに、若き頃から年老いるまでのレナードを熱演したブラッドリー・クーパーの特殊メイクは、映画『スキャンダル』などでアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した、日本出身のメイクアップ・アーティストのカズ・ヒロが手掛けた。各分野の第一線で活躍するスターが勢揃いし、“ハリウッドの渾身作”として注目を集める『マエストロ:その音楽と愛と』。ぜひ、劇場で見届けてみて欲しい。第96回アカデミー賞主要3部門ノミネートなお本作は、第96回アカデミー賞にて、作品賞、主演男優賞、主演女優賞の主要3部門を含む全7部門にノミネートされている。オリジナル・サウンドトラックなお、ブラッドリー・クーパー自らが選曲したという『マエストロ:その音楽と愛と』のオリジナル・サウンドトラックは、バレエ《ファンシー・フリー》をはじめとする初期の作品から、《ウエスト・サイド・ストーリー》のような誰もが知っている作品まで、バーンスタインの生涯を語る上でかかせないレパートリーを網羅。演奏は、注目の若手指揮者、ヤニック・ネゼ=セガン率いるロンドン交響楽団が担当した。【作品詳細】映画『マエストロ:その音楽と愛と』公開日:2023年12月8日(金)※2023年12月20日(水)~Netflixで配信。監督:ブラッドリー・クーパー脚本:ブラッドリー・クーパー、ジョシュ・シンガー出演:ブラッドリー・クーパー、キャリー・マリガン、マット・ボマー、マヤ・ホーク、サラ・シルヴァーマン、ジョシュ・ハミルトン、スコット・エリス、ギデオン・グリック、サム・ニヴォラ、アレクサ・スウィントン、ミリアム・ショア■「マエストロ:その音楽と愛と(オリジナル・サウンドトラック)」2,750円発売日:2023年12月1日(金)
2023年11月27日ブラッドリー・クーパー監督・脚本・主演でレナード・バーンスタインの生涯を描くNetflix映画『マエストロ:その音楽と愛と』より本予告と日本版キービジュアルが解禁された。これまで『世界にひとつのプレイブック』、『アメリカン・スナイパー』など数多くの作品で名演を魅せるほか、『アリー/スター誕生』や『ジョーカー』などアカデミー賞ノミネート作品の製作にも携わり、名作を通して世界中の人々を魅了してきたブラッドリー・クーパー。本作はそんなクーパーが『アリー/スター誕生』に続き監督・脚本・主演を務めるほか、スティーヴン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシがプロデューサーを務めた話題作。『ウエスト・サイド物語』の音楽を手掛けるなど音楽界の巨匠として知られる指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインと、女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインがともに歩んだ激動の生涯をふり返り、大胆で情熱的な2人の愛の物語を描く。この度解禁された本予告では、バーンスタインの雄大で美しい楽曲とともに、2人が出会い、互いに惹かれ合っていく様子、そして生じる複雑な苦難と、壮絶な時の流れを映し出す。映像では、レナードとフェリシアの生涯にわたる愛の物語の片鱗を、時代ごとにモノクロとカラーで映像を使い分けて切り取る。背中合わせで語らう姿や肩を組んで歩く様子、楽し気なダンスなど幸せに満ち溢れた2人の過去に対し、時が経つとそこには、剣幕な表情を浮かべたり、洋服を着たままプールの中で思いを巡らすフェリシアと、震えながら涙を押し殺すレナードなどが映し出され、決して穏やかな幸せだけではない2人の深い物語が伺える。そんな中どの時代においても、フェリシアが真っすぐな目で見つめる先にいるのは、情熱的な指揮で音楽を奏でるレナードの姿だった…。“音楽”に生きた2人の愛の物語に期待が膨らむ映像となっている。さらに併せて解禁された日本版キービジュアルでは、情熱的に指揮を振るバーンスタインの姿が捉えられている。クーパーは「子供の頃、家で流れていたのはオペラやクラシック音楽で、特にレナード・バーンスタインのレコードを何度も繰り返し聴いていた。本作を作らねばという想いは、実際にこのプロジェクトに出会う何年も前から、心の奥底で静かに燃え続けていたんだ。そして、レナードとその家族について1年にわたるリサーチを終えた後、最も興味深く感動的だったのは、レナードとフェリシアの結婚生活であることに気付いた。それは型破りでありながらも本物の愛が存在し、限りなく惹きつけられるものだった。これこそが僕が描きたかった物語そのものだ。僕のキャリアにとって最高の喜びとなった」と、本作にかける熱い想いを告白している。そんな本作には、キャリー・マリガン(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)にマット・ボマー(「ホワイトカラー」)、マヤ・ホーク(「ストレンジャー・シングス 未知の世界」)ら豪華キャストが名を連ねる。プロデューサーのスピルバーグは「ブラッドリーが『アリー/スター誕生』のアーリーカットを見せてくれたときから、彼の映画監督としての才能を確信するのに時間はかかりませんでした」とクーパーの才能への信頼を語っている。さらに、劇中ではクーパーが若き頃から年老いるまでのレナードを熱演しているが、特殊メイクを担当しているのは映画『スキャンダル』などでアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した、日本出身のメイクアップ・アーティストのカズ・ヒロ。各分野の第一線で活躍するスターが勢揃いし、“ハリウッドの渾身作”として早くも世界中で注目を集めている本作は、12月8日(金)より日本の一部劇場での公開も予定。本年度の映画賞を席捲することも期待されている。Netflix映画『マエストロ:その音楽と愛と』は12月20日(水)よりNetflixにて独占配信。(シネマカフェ編集部)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2023年11月08日『マエストロ:その音楽と愛と』でメイクを担当したメイクアップアーティストのカズ・ヒロが、主演のブラッドリー・クーパーを主人公レナード・バーンスタインに変身させるまでの苦労を「Variety」誌に明かした。特殊メイクに高い評価を受け、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』『スキャンダル』でアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞の受賞歴があるカズ・ヒロ。本作で特に大変だったのは、ブラッドリー演じるバーンスタインの晩年(70代)のメイクで、毎日午前1時にメイクアップチームと集合していたこと。晩年のバーンスタインに扮したブラッドリーは、「ほとんどの部分を覆った」メイクをしており、それに5時間以上かかったという。主演と監督を兼任したブラッドリーは撮影時、スタッフを呼ぶ前に自分のメイクを終え、撮影の準備を行うことを希望した。そのため、メイクチームは通常より2時間早く呼ばれることとなり、カズ・ヒロは「かなりキツかったですね」と語っている。バーンスタインの特殊メイクは「年を取るごとに、いろんな要素を付け加えていかなければならない」そうだ。20代の彼を再現するには2時間半で済んだとのこと。苦労の甲斐があり、カズ・ヒロのメイクはバーンスタインの子どもたちから絶賛を受けている。『マエストロ:その音楽と愛と』は12月20日(水)よりNetflixで独占配信スタート、12月一部劇場公開。(賀来比呂美)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2023年10月04日レナード・バーンスタイン(音楽)、スティーヴン・ソンドハイム(作詞)、アーサー・ローレンツ(脚本)、そしてジェローム・ロビンス(オリジナル演出・振付)という4人の天才が集い、1957年のブロードウェイに生み落としたミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』。以来60年以上にわたり、世界各地で繰り返し上演されている“不朽の名作”の幾たび目かの来日公演が、本日7月5日(水)に東急シアターオーブで開幕する。Photo:Johan-Persson今や来日ミュージカルの会場としてすっかりお馴染みとなった同劇場は、2012年の開場時にも、また2017年の5周年時にも本作を招聘。だが今回来日するのはまた別の、昨年末に生まれたばかりの新しいプロダクションだ。演出を手掛けたのは、俳優・演出家として多数のソンドハイム作品に携わってきた経歴を持つロニー・プライス。そして振付は、ロビンスのスタイルを熟知しており、本作との縁も深いフリオ・モンヘ。彼らがオーディションで選び抜いたキャストから成るカンパニーは、昨年末よりドイツはミュンヘンを皮切りに大規模なワールド・ツアーをスタートさせており、日本で3都市(東京・高崎・大阪)を回ったあとも世界各地での公演を予定している。Photo:Johan-Persson日本のIHIステージアラウンド東京で、まず海外キャストが、次いで日本キャストが、客席が360度回転する劇場に合わせた新たな見せ方に挑んだデイヴィッド・セイント演出版(2019~2020)。本場ブロードウェイで、映像を多用した演出や、コンテンポラリー・ダンス界を牽引するアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルによる振付が良くも悪くも話題を呼んだイヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出版(2020)。そして巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督が手掛け、アニタ役のアリアナ・デボーズにアカデミー賞をもたらした再映画化版(2021)……。ここ数年の主だったものに絞っても、これだけのプロダクションがある“不朽の名作”の歴史に、果たしてロニー・プライス演出版はどんなページを刻んでくれるのだろうか。文:熊田音子<公演情報>ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』日程:2023年7月5日(水)~7月23日(日)会場:東京・東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)高崎公演(7/31~8/2)、大阪公演(8/5・6)公演あり生演奏・英語上演・日本語字幕あり原案:ジェローム・ロビンス脚本:アーサー・ロレンツ音楽:レナード・バーンスタイン作詞:スティーブン・ソンドハイムオリジナルプロダクション・演出・振付:ジェローム・ロビンス演出:ロニー・プライス 振付:フリオ・モンへ出演:トニー:ジェイドン・ウェブスターマリア:メラニー・シエラアニタ:キラ・ソルチェベルナルド:アントニー・サンチェスリフ:タイラー・ハーレイ他Photo:Johan-Persson<ストーリー>物語の舞台は1950年代のニューヨークのマンハッタン、ウエスト・サイド。 そこでは夢を求めてアメリカにやってきた移民たちが暮らし、差別や偏見に満ちた社会のなかで若者たちは敵対するグループとの縄張り争いに明け暮れていた。 なかでも特に激しく敵対し、抗争を繰り広げていたのが、ポーランド系移民で構成される“ジェッツ”とプエルトリコ系移民の“シャークス”だった。 そんな中、“ジェッツ”の元リーダーであるトニーと、“シャークス”のリーダーの妹マリアが出会い、瞬く間に激しい恋に落ちる……チケット情報: SIDE STORYis presented through special arrangement with Music Theatre International (MTI), New York, NY, USA.All authorized performance materials are also supplied by MTI.
2023年07月05日ある年齢以上のクラシックファンが、ショスタコーヴィチ(1906-1975)の「交響曲第5番」と聞いて頭に浮かぶのは、レナード・バーンスタイン(1918-1990)がニューヨーク・フィルハーモニックを指揮した1979年の東京文化会館でのライブ録音ではないだろうか。超熱演型のバーンスタインがさらに燃え上がったこのライブ録音は、今も語り継がれる伝説の名演だ。そのバーンスタイン最後の弟子、佐渡裕が同曲に挑むとなればこれは気になる(2022年5月13,14,15日:兵庫県立芸術文化センター)。カップリングには、20世紀アメリカを代表する作曲家コープランド(1900-1990)の「クラリネット協奏曲(クラリネット:ラスロ・クティ)」とバーンスタインの「プレリュード、フーガとリフス」が選ばれているのも意味深い。20世紀を代表する3人の作曲家の作品が21世紀の今どのように響くのか。佐渡裕率いる兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)の熱演に期待したい。●公演概要5月13日(金)、14日(土)、15日(日)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール「兵庫芸術文化センター管弦楽団 第133回定期演奏会 佐渡裕 ショスタコーヴィチ5番」
2022年04月18日ららら♪クラシックコンサート第10弾は、2019年秋のVol.6に続く「ミュージカル特集」。日本ミュージカル界を代表する実力派スターたちと読売日本交響楽団(指揮・角田鋼亮)との豪華共演でミュージカルの魅力に迫る。今回は「ミュージカル界の巨匠たち」をテーマに、『ウエスト・サイド・ストーリー』のレナード・バーンスタイン、『キャッツ』『オペラ座の怪人』のアンドリュー・ロイド・ウェバー、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』のクロード=ミシェル・シェーンベルク、『エリザベート』『モーツァルト!』のM.クンツェ&S.リーヴァイなどによる名作ミュージカルの人気楽曲をお届けする。高橋克典の楽しいトークもお楽しみに。現在完売となっているチケットを、緊急事態宣言解除に伴い、4月1日10時から売り止めていた座席を開放し、追加販売を行う。ぜひお見逃しなく。・出演新妻聖子、中川晃教、ソニン、上原理生、咲妃みゆ管弦楽:読売日本交響楽団指揮:角田鋼亮司会:高橋克典、金子奈緒
2021年03月30日1990年の創設から31回目となるパシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)2021の開催概要が発表された(7月23日〜8月1日:札幌コンサートホールkitara他)。「世界の若手音楽家の育成」を趣意・目的に掲げる国際教育音楽祭PMFが、コロナ禍にあっても可能な限り、創設者レナード・バーンスタインの理念と音楽教育を堅持しながら「未来につなげるPMF」を目指して開催されることは嬉しい限りだ。2021年のPMFは、海外在住のPMFアカデミー生に対し、5月から6月にかけてオンライン教育プログラムを実施し、その模様を公式ウェブサイトで配信するなどオンラインを積極活用。7月には約25のコンサートが予定され、国内の音楽家で結成する「PMFオーケストラJAPAN」が2つのプログラムによって音楽祭を盛り上げる。※パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)は、1990年、『ウエストサイド・ストーリー』の作曲者として知られる世界的な指揮者、レナード・バーンスタイン(1918〜90)が、ロンドン交響楽団とともに札幌で創設した国際教育音楽祭だ。これまで約30年にわたり、世界77カ国・地域に延べ3,600人以上の優秀な音楽家を輩出し、未来のクラシック音楽シーンを担う人材の育成に貢献してきている。■PMF2021開催概要【会期】・オンラインによる国際教育(配信は7月中を予定)・国内修了生等による演奏会 7月23日(金)〜8月1日(日)10日間【会場】札幌コンサートホール Kitara、札幌芸術の森、函館、苫小牧、奈井江、ほか 公演数 約25公演(予定)【チケット】2021年6月5日(土)午前10:00 より発売予定【主催】公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会、札幌市 共催 公益財団法人札幌市芸術文化財団(札幌コンサートホール Kitara)
2021年03月27日この秋予定されていた「ベートーヴェン生誕250周年&アイザック・スターン生誕100周年に捧ぐ〜」という素敵なサブタイトルが付けられた五嶋みどりのこのコンサートは、コロナ禍によって残念ながら中止となってしまった。今や“世界のミドリ”となった五嶋みどりの“今”を聴く絶好のチャンスだっただけに残念至極。その彼女の名を一躍有名にしたのが、奇しくも今年没後30年を迎えた指揮者&作曲者のレナード・バーンスタインとの共演だった。20世紀のアメリカ音楽界を支えてきたスターンとバーンスタインは、数多くの若手音楽家に手を差し伸べ、育ててきたことでも有名だ。五嶋みどりこそはその代表格。ベートーヴェンの名作を通じてスターンやバーンスタインへの感謝の思いを綴る姿は、まさに“特別”の言葉がふさわしい。その五嶋みどりによる最新アルバム、ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」の録音セッション映像がアップされた。ファンならずともこれは垂涎!■アルバム情報『ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、ロマンス(2曲)(UHQCD)』2020.10.14 発売¥2,800+税WPCS-13834<収録内容>ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品611.第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ2.第2楽章:ラルゲット3.第3楽章:ロンド(カデンツァ(全3楽章):フリッツ・クライスラー)4.ベートーヴェン:ロマンス(ヴァイオリンと管弦楽のための)ト長調作品405.ベートーヴェン:ロマンス(ヴァイオリンと管弦楽のための)ヘ長調作品50五嶋みどり(ヴァイオリン)ルツェルン祝祭弦楽合奏団ダニエル・ドッズ(リーダー)詳細は以下参照●五嶋みどり
2020年10月31日20世紀アメリカが生んだ名指揮者にして作曲家レナード・バーンスタイン(1918-1990)が、名門ウィーン・フィルと共に取り組んだベートーヴェンの全交響曲演奏会は、ニューイヤー・コンサートでも有名なウィーン楽友協会大ホールをメインに、ウィーンが誇る世界的な劇場に於いて1977年~1979年にかけて行われた。ライブ収録されたこれらのコンサートは、1980年のレコード・アカデミー大賞(音楽之友社選定)を受賞。1982年には、序曲、ミサ曲などを含めて制作されたTVシリーズが、エミー賞(1982)にノミネートされるなど、クラシック史上屈指の名演として有名だ。「ベートーヴェン生誕250年」「レナード・バーンスタイン没後30年」の節目の年となる今年12月。この歴史的なライブ映像が、スクリーンで一挙上映されることになった(9曲を5つのプログラムに編成して上映)。指揮台から飛び上がるほど情熱的でエネルギッシュなバーンスタインの指揮に応えて、燃えに燃えるウィーン・フィルの名手たちの演奏はまさに圧巻。ベートーヴェンの交響曲の魅力を余すところなく伝える至福の400分が目前だ。www.tk-telefilm.co.jp/9●開催日程(東京)12月1日(火)~ 12月18日(金)東京都写真美術館ホール※休映日12/7,12,14(札幌)12月19日(土)~ 12月25日(金)シアターキノ(福岡)12月19日(土)~ 12月25日(金)KBCシネマ(大阪)12月25日(金)~ 1月7日(木)テアトル梅田(名古屋)12月26日(土)~1月15日(金)名演小劇場※休映日12/31,1/1・その他全国主要都市にて順次開催*上映スケジュールなど詳細は、各会場のHPにて発表(c)Unitel●上映作品詳細・交響曲第1 番ハ長調Op.21(1978)・交響曲第2 番ニ長調Op.36 (1978)・交響曲第3 番変ホ長調Op.55「英雄」(1978)・交響曲第4 番変ロ長調Op.60 (1978)・交響曲第5 番ハ短調Op.67「運命」(1977※ウィーン・コンツェルトハウス・交響曲第6 番ヘ長調Op.68「田園」(1978)・交響曲第7 番イ長調Op.92 (1978)・交響曲第8 番ヘ長調Op.93 (1978)・交響曲第9 番ニ短調Op.125「合唱つき」(1979)※ウィーン国立歌劇場*独唱:ギネス・ジョーンズ(S)、ハンナ・シュヴァルツ(A)、ルネ・コロ(T)、クルト・モル (Bs)※以外はウィーン楽友協会大ホールにて収録●鑑賞料金各プログラム当日券2,800円均一 / 前売券2,500円均一(各税込)※前売券1枚につき、A~Eいずれかのプログラムを上映期間中1回のみ有効A.1番&3番「英雄」 30 分/57 分B.2番&5番「運命」 40 分/39 分C.4番&6番「田園」 39 分/49 分D.7番&8番 43 分/30 分E.9番「合唱付」 76 分
2020年10月17日元乃木坂46の桜井玲香が、レナード・バーンスタインの没後30年を記念したコンサート『NO STAGE NO LIFE! ミュージカルを止めるな!』に出演する。『NO STAGE NO LIFE! ミュージカルを止めるな!』は、『ウエスト・サイド・ストーリー』、『キャンディード』、『踊るニューヨーク』、『ワンダフル・タウン』といったミュージカルの作曲家であり、偉大なる指揮者でもあるレナード・バーンスタインの没後30年を記念したコンサート。さまざまなライブやイベントが中止になってしまった2020年だからこそ、舞台を愛する人に「喜び」のひとときを取り戻してほしいという思いが込められた公演だ。出演は桜井のほか、石丸幹二、サラ・オレイン、ジョン・健・ヌッツォ、鈴木玲奈、田代万里生、森崎ウィン、山本耕史、渡辺謙。錚々たるメンバーに対して、桜井は自身のインスタグラムで「少し緊張しますが……。素敵なコンサートになる予感。皆様是非、劇場でお待ちしております!!」とコメントしている。■『NO STAGE NO LIFE! ミュージカルを止めるな!』日程:2020年10月24日18時30分、25日13時会場:東急シアターオーブ(渋⾕ヒカリエ11F)
2020年10月03日レオナルド・バーンスタインの伝記映画『Maestro』に、キャリー・マリガンの出演が決まった。監督と主演はブラッドリー・クーパーで、マリガンの役はバーンスタインの妻フェリシア。映画はバーンスタインの人生を30年にわたって語るもので、ふたりの恋愛は大きな軸になる。バーンスタインの子供たちは、マリガンが自分たちの母を演じると聞いて大喜びしたそうだ。撮影は来年春、スタートの予定。Netflixが世界配信をする。クーパーは『アリー/スター誕生』で監督デビュー。今作は2本目の監督作となる。マリガンの最近作は、今年のサンダンス映画祭で上映された犯罪コメディ『A Promising Young Woman』。文=猿渡由紀
2020年09月23日ブラッドリー・クーパーが『アリー/スター誕生』から初めてとなる監督・主演作『Maestro』(原題)で、キャリー・マリガンがヒロインを務めることになったという。「The Wrap」が報じた。『Maestro』は、1990年に亡くなった作曲家・指揮者・ピアニストのレナード・バーンスタインの伝記映画。ブラッドリーはレナードを演じ、キャリーはレナードの妻でチリ出身の女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレを演じる。バーンスタイン夫妻は1946年のパーティーで出会い、1951年に結婚。3人の子どもをもうけたが、波瀾万丈で複雑な結婚生活を送った。今作では、夫妻の結婚生活が主に描かれる模様。2人の長女ジェイミーは「『Maestro』で、キャリー・マリガンが私たちの母親を演じてくれるのが楽しみで仕方ありません。キャリーはフェリシア(母)のユニークなウィット、温かさ、エレガントな美しさ、深い感情をとらえて演じてくれることでしょう。私たちはキャリーが醸し出すおとぎ話のような、ヨーロッパらしい優雅さも大好きなんです。母にもそういうところがあったので」と語り、キャリーに太鼓判を押す。ブラッドリーも「何年も前に舞台でキャリーを見て、とても惹きつけられました。それ以来、一度だって彼女の芝居を見逃したことはありません」とキャリーのファンだったことを明かし、ともに働けることを喜んでいる。共同執筆、プロデューサーも担当するブラッドリーは、『アリー/スター誕生』の製作後3年以上に渡ってバーンスタインの3人の子どもたちに話を聞くなどして今作の準備を進めてきた。撮影は来春開始予定。(Hiromi Kaku)
2020年09月23日本来ならばちょうど今頃、夏の札幌を彩るクラシックの祭典PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)が華やかに開催されているはずだった。過去30年間1度も途絶えることなく開催されてきたPMFは、世界屈指の国際教育音楽祭としてその名を知られる存在だ。創設者である指揮者で作曲家のレナード・バーンスタイン(1918-90)の遺志を継いだ音楽祭からは、これまでに数多くの優れたミュージシャンを世に送り出したことも特筆される。そのPMFは、今回新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて残念ながら中止となってしまったが、今年度の会期(7月10日〜8月3日)に合わせて、オンラインでPMFの魅力を感じる「PMF Connects 〜2020 Summer Festival〜」の無料配信が発表された。その内容は、これまで行われてきたコンサートの中から厳選された映像や録音の配信のほか、昨年で30回を迎えたPMFの歴史を振り返るPMF30周年記念誌の初公開など、期間限定で様々なコンテンツが楽しめる。この機会にぜひPMFの魅力を再確認してほしい。そして来年のPMFにつながる糧となってほしい。「PMF Connects 〜2020 Summer Festival〜」 特設ウェブページ配信期間7/10(金)13:00 〜 8/3(月)【日】 【英】
2020年07月11日アジア初のドキュメンタリー映画祭としてスタートした<山形国際ドキュメンタリー映画祭2019>(以後ヤマガタ)が10日開幕した。1989年から2年に1度の隔年で開催され、いまでは世界の映画人と人とが集うドキュメンタリー映画の祭典に。昨年8月には、米国アカデミー賞の公認映画祭に認定された。16回目となる今回は記念すべき30周年となる。この日の開会式は、世界から集まった来日ゲストや映画関係者、観客を合わせ、400人を超える人々が集まり会場は大盛況。まず、山形交響楽団金管8重奏の演奏とともに、これまでヤマガタに来場した監督たちの映像をスライドショーで上映。レナード・バーンスタインの『ウエストサイド物語』やエンニオ・モリコーネの『ニュー・シネマ・パラダイス』などの演奏にのせながら、フレデリック・ワイズマン、ペドロ・コスタ、原一男ら名だたる映画作家たちの姿が次々と映し出され、映画祭30年の歩みを振り返った。そして迎えたオープニング上映は、今年1月に死去した詩人で伝説の映画監督であるジョナス・メカスの作品『富士山への道すがら、わたしが見たものは…』の16ミリフィルムを追悼上映。本作には、1991年にメカス監督が山形を訪れた際の映像が収められている。上映前に、メカス監督が山形を訪れた際、案内役を務めた農業詩人の木村迪夫さんが登壇。当時、行われたシンポジウムでのメカス監督とのエピソードを語った。木村さんはメカス監督との対話で印象に残っていることが3点あるとのこと。1つ目は故郷についてのことで、「メカスさんはリトアニアの小さな村で暮らしていたが、悪いことがひとつもなかったという。愉しいこと、美しいことでいっぱいだったと言っていた。対して、自分は戦争で父と叔父をなくし、貧困の中で育った。周囲からは貧しいということで蔑まれたりと、悲しい思い出しかない。いつか村の人たちを見返してやると反逆の精神があった。だから、故郷をそう思えるメカスさんがうらやましかった」と明かした。2つ目は、自身の出身地ということだったそう。「メカスさんは、『地方性』ということを強調されていた。メカスさんはリトアニアからニューヨークへ移ってからも、リトアニア語で詩を書き、それをリトアニアの言葉で朗読していた。ルーツを大切にしていた。対して、私はさきほどの反骨心もあって、山形弁はぜったいに使わないと決めていた」とこちらも正反対であったことを明かした。最後の3つ目は創作について。メカス監督は「詞は内側から発する言葉で、映像は外側から発する言葉。したがって、とても近い存在ではないか」と語っていたという。木村さんはこれらが原点にあり「メカスさんの牧歌的で、美しく叙情的でロマンチックな作品の魅力は、これらの点が原点にあるのではないか」とメカス作品の魅力を紐解き、「今日、久々に映像を見れることを楽しみにしている」とメカス監督に思いを寄せた。こうして開会式は終了。本日11日から本格的に映画祭はスタートする。今回の応募作は130の国と地域から過去最多の2371作品。目玉となる「インターナショナル・コンペティション部門」には15作品が選ばれている。ドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマン監督の新作『インディアナ州モンロヴィア』や『鉄西区』『苦い銭』のワン・ビン監督の8時間を超える長編『死霊魂』といった話題作から、若い新鋭監督の作品まで、世界で起きているさまざまな事象や問題をとらえたドキュメンタリー映画が並ぶ。アジアの新鋭作家に開かれた「アジア千波万波部門」では、長編第1作『鉱ARAGANE』が本映画祭で特別賞を受賞した小田香監督の『セノーテ』、巨匠、アッバス・キアロスタミ監督を父に持つバフマン・キアロスタミ監督の『エクソダス』など、注目の新鋭監督たちの顔が揃う。また、いろいろな意味で、いまはアジアをめぐる状況が変化しているとき。隣国でいまなにが起きているのかを知る機会にもなるに違いない。世界中を魅了する映画と映画作家を生み出し続けるイラン映画の魅力の根源に迫る「リアリティとリアリズム:イラン60s-80s」といった映画ファンとしては見逃せない特集や、日本のいまがみえる「日本プログラム」など、多種多様な企画や特別上映も組まれている。会期は17日(木)まで。映画と出合い、人と出会い、うまいものと出会えるのが本映画祭。興味をもったらぜひ足を運んでほしい。取材・文・写真:水上賢治
2019年10月11日7月27日、宝塚歌劇月組の梅田芸術劇場メインホール公演ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN(オン・ザ・タウン)』が開幕した。20世紀を代表する指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインが20代だった1944年、同い年の振付家ジェローム・ロビンスとタッグを組んだ衝撃作。後に『ウエスト・サイド・ストーリー』を生み出すふたりの才能の片鱗が煌めく出世作だ。宝塚歌劇月組 梅田芸術劇場メインホール公演 ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』チケット情報「恋だ!」「観光だ!」と24時間を期限にニューヨークに上陸した水兵3人の恋の珍道中を描いた物語。潤色・演出の野口幸作が現代性を盛り込んだ新演出、新振付で活気溢れるドラマに再構成する。水兵トリオには、トップスターの珠城りょう、本作で月組カムバックを果たす鳳月杏、そして暁千星。ヒロインをトップ娘役の美園さくらが務める。全編を通して感じるのは、圧倒的な音楽の素晴らしさだ。<♪ニューヨークニュヨーク憧れの街!>と冒頭からトランペットが勢いよく破裂音を響かせ、観客の心までいやおうなく弾ませる。ニューヨークガールたちの群舞は躍動感と色彩に溢れ、劇場を瞬時に都会の喧騒と華やかさで包み込む。その後も1曲ごとに起承転結のドラマがあり、まるでオムニバスのドラマをみるよう。感情の起伏を視覚化するようなダンスはスピーディーかつ個性的で、トリオやソロで届けられる歌声はアップテンポなラテン調あり、交響曲のように優美なバラードあり。さらに、タカラジェンヌたちの客席降りや本編後にはショーまで付いて、五感を満たす宝塚ならではの演出に大興奮間違いなしの約3時間だ。三者三様の恋模様も楽しい。“野獣担当”の鳳月杏は本能的な愛の一撃を食らわせ、応じる人類学者役の夢奈瑠音(海乃美月と役替わり)は理性が崩壊した瞬間が見もの。暁千星は恋に奥手な年下男子をキュートに好演。彼を翻弄する強気なお色気タクシードライバー役の白雪さち花(夢奈瑠音と役替わり)は、難曲を歌い上げる歌唱と表現力が圧巻。そんな妄想やデフォルメされた場面が多いなか、作品の軸を担うのが主演の珠城りょうだ。心情溢れるバラード「孤独な街」「神様の奇跡」を感動的に歌い上げ、一目惚れから始まる正当派の恋模様を丁寧に紡ぐ。ヒロインの美園さくらは美脚が映えるバービースタイルで、歌やダンスを可憐に披露。真面目が過ぎて笑えるなどコメディエンヌとしても新境地を開く。他にも個性的な役柄が続々登場。ハプニング続きの展開からも目が離せない。底抜けに明るいラブ・コメディだが、第二次世界大戦中に開幕した初演当時を思えば、また違った感慨にも襲われる。つらい現実をひととき忘れさせる、エンタテインメントの底力を思わずにはいられない。名作に触れられるまたとない機会だ。公演は8月12日(月)まで梅田芸術劇場メインホールにて上演中。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2019年07月29日作曲家・編曲家のシド・ラミンが、7月1日(現地時間)にニューヨークの自宅で亡くなった。死因は自然死。100歳だった。「Variety」誌が報じた。ラミンは第二次世界大戦中、軍で働いていたときに編曲やバンドの指揮を始めた。終戦後も同様に、「ザ・スリー・サンズ」やトランペット奏者のロイ・エルドリッジの曲に関わった。1953年、幼なじみだったレナード・バーンスタインに声を掛けられ、ブロードウェイ・ミュージカル「ワンダフル・タウン」の管弦楽作曲(オーケストレーション)を担当。以降バーンスタインのパートナーとして様々な音楽に携わった。ミュージカル版の「ウエスト・サイド物語」(1957)の編曲も、バーンスタインからの強い要望により引き受けたという。この作品ではアーウィン・コスタルとオーケストレーターを務め、5年後には映画版『ウエスト・サイド物語』でアーウィンらと4人で、アカデミー賞のミュージカル音楽賞を獲得している。同作でグラミー賞も受賞した。私生活では1949年に歌手でモデルのグロリア・ブレイトと結婚。息子のロン・ラミンも作曲家として活躍しており、テレビ、映画、コンサート向けの音楽を作っている。(Hiromi Kaku)■関連作品:ウエスト・サイド物語 1961年12月より公開© 1961 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
2019年07月04日ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」の来日公演が2019年夏、東京・豊洲の「IHI ステージアラウンド東京」にて行われる。公演期間は2019年8月19日(月)から10月27日(日)まで。ミュージカルの金字塔「ウエスト・サイド・ストーリー」シェイクスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」に着想を得たミュージカルの金字塔「ウエスト・サイド・ストーリー」は、1950年のニューヨーク、マンハッタンのウエストサイドを舞台に、敵対するグループの一員と恋に落ちてしまった若者の淡く切ない恋を描いた作品。世界中から多くの人々が夢と富を求めて集まったきた1950年代のニューヨーク。ヨーロッパがルーツの白人移民と、カリブ海諸国からのヒスパニック系移民、“人種のサラダボウル”とも形容されるニューヨークの原点ともいえるこの時代に、彼らはそれぞれのグループを作り、互いに敵対し合っていた。しかし、そこで運命の出会いを果たしたのが、物語の主人公であるヨーロッパ系移民のトニーとヒスパニック系移民のマリアだ。多くの人々を巻き込み、悲劇の連鎖を生む、許されない愛。それでも、シェイクスピアとはまた異なる、どんなに絶望しても立ち上がる若者の姿を描いた「ウエスト・サイド・ストーリー」ならではの物語が、初演から60年以上を経ても本作が色あせない理由のひとつとなっている。客席が360°回転、日本で唯一の客席回転劇場で来日公演会場の「IHI ステージアラウンド東京」は、1,300人を収容する客席が360°回転する、日本で唯一の客席回転劇場。その円形客席をステージと巨大なスクリーンがぐるりと取り囲む壮大な劇場システムを持つステージアラウンドに、世界中で再演を重ねている「ウエスト・サイド・ストーリー」が上陸する。ステージアラウンドならではのステージセット&演出も今回は、このユニークなシステムを活かすためにステージセットを組み、新たな演出もプラス。これまでに「ウエスト・サイド・ストーリー」を劇場で観たことがある人も、まだ観たことのない人も、本場ブロードウェイのスピード感、ダンス、そして「マリア」「アメリカ」「トゥナイト」をはじめとする名曲の数々を、ステージアラウンドならではの迫力ある構成で楽しめる貴重な機会となっている。なお、チケットは2019年4月7日(日)よりステージアラウンド FCにて順次先行発売、その後5月18日(土)より一般販売がスタートする。開催概要ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」※生演奏/英語上演/日本語字幕あり日程:2019年8月19日(月)〜10月27日(日)会場:IHI ステージアラウンド東京(東京都江東区豊洲 6-4-25)チケット:全席指定 15,000円(税込) ※未就学児入場不可先行販売:2019年4月7日(日) ステージアラウンド FCより順次先行開始<ステージアラウンドFC先着先行>受付期間:4月7日(日)12:00~4月12日(金)23:59一般発売:5月18日(土) (予定) ※後日詳細発表原案:ジェローム・ロビンス脚本:アーサー・ローレンツ音楽:レナード・バーンスタイン作詞:スティーブン・ソンドハイム初演時演出&振付:ジェローム・ロビンス演出:デイヴィッド・セイント振付リステージング:フリオ・モンゲエグゼクティブ・プロデューサー:ケヴィン・マッコロム(Alchemation)、ロビン・デ・レビータ(Imagine Nation)、吉井久美子(John Gore Organization)【問い合わせ先】ステージアラウンド専用ダイヤルTEL:0570-084-617(10:00~20:00)
2019年04月06日兵庫県立芸術文化センターの佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2019 ミュージカル『オン・ザ・タウン』の製作発表記者会見が、2月7日、大阪市内で行われた。『オン・ザ・タウン』は『ウェスト・サイド・ストーリー』などの作品で知られ、2018年に生誕100年を迎えたアメリカの作曲家・指揮者レナード・バーンスタインが、1944年に発表した彼のミュージカル第1作。24時間の休暇を許されて大都会ニューヨークへ上陸した3人の水兵の恋と冒険を、陽気な歌とダンス、そしてほろ苦い別れを散りばめて描き出したブロードウェイの黄金期を彩る作品のひとつである。佐渡プロデュースオペラが本格的なミュージカルの上演に取り組むのは今回が初めて。兵庫公演に続いて東京公演も行う。佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ ミュージカル『オン・ザ・タウン』チケット情報演出、装置・衣裳デザインを担当するのは英国を代表する演出家アントニー・マクドナルド。佐渡プロデュースオペラには2007年の『魔笛』、2016年の『夏の夜の夢』に続く登場である。舞台上にニューヨークの地図を配し、1940年代の絵葉書のようなパネルを背景に大都会の華やかさを再現するという。キャストは昨年夏と秋にロンドンでオーディションにより選出され、英国ロイヤル・オペラなどで活躍の幅を広げるチャールズ・ライスを筆頭に第一級の歌手、ダンサーが顔を揃える。元英国ロイヤル・バレエのプリンシパル、アシュリー・ペイジによる振り付けも見逃せない。記者会見に登場した佐渡裕は、「今年は僕の師であるバーンスタインの傑作をお届けします。この『オン・ザ・タウン』は当時26歳だったバーンスタインの才能が溢れんばかりの作品です。彼はこの作品で作曲家としての大きな成功を収めました。指揮者としてのバーンスタインは多くの人々の記憶に残り、また『ウェスト・サイド・ストーリー』の作曲家としてのバーンスタインというのも繰り返し語られて来ましたが、それ以外のバーンスタイン、非常に多才なメロディメーカーであった彼の存在は今後ますます大きくなっていくだろうし、そうした彼の姿が最初に現れたこの作品を今年は紹介したいと思いました。これまでさまざまな形で上演されて来ましたが、英語歌唱、フルオーケストラでの上演は日本国内では初めてです。この歴史的なプロダクトを持って兵庫、そして東京の皆さまにお会いできることをうれしく思います」と語った。公演は7月12日(金)より、兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで全8回、7月25日(木)より、東京文化会館大ホールにて全4回を行う。チケット一般発売は2月24日(日)10:00より。取材・文:逢坂聖也
2019年02月19日トム・ハンクス主演作の『ビッグ』(1988)、ロバート・デ・ニーロ主演作の『レナードの朝』(1990)などを監督したペニー・マーシャルが、糖尿病の合併症により亡くなった。享年75。「People」誌などが伝えた。ペニーは2016年に亡くなったゲイリー・マーシャル監督の妹で、ゲイリー監督作の『ニューイヤーズ・イブ』などに出演。女優としては70年代から80年にかけて主演した「ラバーン&シャーリー」が特に人気を博した。約60年もの間、ショービジネスで活躍したペニー。交流のあった多くのセレブたちがSNSで哀悼の意を表している。『シンデレラマン』(2005)を監督し、ペニーとともにプロデューサーを務めたロン・ハワード監督は、「安らかに眠ってください。彼女はおもしろくて賢かった。シットコムのスターから、Aリスト級の監督にいとも簡単に転身してみせたんだ。どちらの役割でも大きな影響力をもたらした。いつもリラックスしていて愉快で、気取らない人だった。彼女と出会い、一緒に働けたのはラッキーだったよ」とふり返った。ビリー・クリスタルは「ペニーが亡くなったと聞いて悲しく思う。最高のコメディエンヌで素晴らしい監督で大切な友だちだった」と嘆いた。そのほか、ラッセル・クロウ、ロバート・デ・ニーロ、エリザベス・バンクス、ロージー・オドネルなどがペニーをお悔やみのメッセージを送った。(Hiromi Kaku)
2018年12月19日2018年は、指揮者・作曲家・教育者として活躍した20世紀を代表する音楽家レナード・バーンスタイン(1918-1990)生誕100年のメモリアルイヤー。というわけで、1年を通してバーンスタイン作品に親しむ機会がとても多い年だった。札幌で開催されている「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)」の創設や、「広島平和コンサート」の開催など、日本との絆がとても強いバーンスタインの“最後の弟子”として名高いのが、日本を代表する指揮者・佐渡裕だ。その佐渡が、恩師バーンスタインのメモリアルイヤーの締めくくりにバーンスタイン作品を指揮するとなれば、これは聴き逃がせない。演奏は、佐渡との共演によって数々の名演奏を残してきた吹奏楽団「シエナ・ウィンド・オーケストラ」だ。実は佐渡裕自身が吹奏楽出身であることから、オーケストラ(管弦楽)の指揮と並行して吹奏楽に力を入れているのは有名な話。この名コンビが奏でる熱いバーンスタインに期待したい。当日は、バーンスタインの名作「ディヴェルティメント」や「シンフォニック・ダンス」吹奏楽編曲版のほか、クリスマスにちなんだ作品も楽しめる。バーンスタインイヤーの締めくくりはこうありたい。
2018年12月13日ジェームズ・ガン監督が解雇されてから、製作が無期延期となっている『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の3作目(以下、『GotG3』)に、新たな監督候補が浮上した。同シリーズでロケット役の声優を務めてきたブラッドリー・クーパーだ。ブラッドリーは現在、監督デビュー作『アリー/ スター誕生』を主演のレディー・ガガとプロモーション中。すでにヴェネチア国際映画祭などではお披露目を果たし、評論家から高い評価を獲得している。オスカーを含む賞レースにも参戦が期待され、監督の才能を開花させたブラッドリーに、ディズニーが「『GotG3』の監督に」と声を掛けているのではないかといううわさが拡がった。そこで、アイルランドのニュースサイト「JOE」がこのうわさについてブラッドリーに尋ねてみると、「監督するかって?脚本を書いていない作品を監督するなんて、想像もつかないよ。始め方さえも分からない」と寝耳に水という表情を見せたという。ブラッドリーは『アリー/ スター誕生』の脚本家の1人に名を連ねており、次に監督するといわれているレナード・バーンスタインの伝記映画も同様だ。ガン監督が解雇されるまで、『GotG3』はガン監督が執筆した脚本に沿って製作が進められることになっていた。解雇以降、この脚本が今後使用されるかに関しては、先日監督の弟が「彼ら(ディズニー)は、兄が書いた脚本を使用する意図が明らかにある」とツイートしている。「JOE」が「次の作品は、バーンスタインの映画ですよね?」と改めて確認すると、ブラッドリーは「うん、まぁ、そうだなぁ、そのうちわかるよ」と濁したそうだ。いまはまだ言えないことがあるのかもしれない。(Hiromi Kaku)■関連作品:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 2014年9月13日より全国にて公開© 2014 Marvel. All Rights Reserved.
2018年10月01日「『オペラ座の怪人』は’80年代に舞台で初めて上演され、当時の最高技術を駆使した意表を突く演出で世間を驚かせました。’02年に映画化されてから10数年たった現在もなお、舞台、映画ともにミュージカル作品の最高峰に立つのも、その革新的な演出方法にあると僕は思います」こう語るのは、俳優の石丸幹二(53)。’90年に劇団四季『オペラ座の怪人』でデビュー。’07年に退団後は映像分野でも活躍する。『マンマ・ミーア』の10年ぶりとなる続編『マンマ・ミーアヒア・ウィー・ゴー』(全国公開中)が早くも大ヒット♪近年、ミュージカル映画の成功ぶりが目覚ましいが、舞台とは違う魅力とは?「映画と舞台の違いを挙げると、舞台はオーケストラピットに入る人数も、役者の人数も限りがありますが、映画はフルオーケストラで100人もの編成で音を出すことが可能。なおかつ、役者の数にも制限がないためダイナミックな群舞を見せられるという点も映画ならではの魅力ですね」(石丸・以下同)そんな、ミュージカルを知り尽くした石丸がミュージカルの素晴らしさを満喫できる、おすすめ作品を紹介してくれた。■『ウエスト・サイド物語』石丸が“ベスト・オブ・ミュージカル”に選んだ作品がこれ!2つの若者グループの抗争と悲恋の物語。「舞台でトニー役を演じたときはレナード・バーンスタインの名曲を歌えることが何よりもうれしかった。後世に残る名作です」■『サウンド・オブ・ミュージック』ジュリー・アンドリュース主演のハリウッド大作。修道女見習いの家庭教師が、母親を亡くした一家と音楽で絆を深める作品。「『ドレミの歌』や『エーデルワイス』など誰もが知る楽曲の数々。戦時下の悲劇も描かれた名作です。子どもたちをまとめる女性の強さは男性にはないもので、描き方も秀逸!」■『ロシュフォールの恋人たち』理想の人との出会いを夢見る若者たちの恋の物語。「『シェルブールの雨傘』のミシェル・ルグランの曲がロマンチックで、双子の姉妹役を演じるカトリーヌ・ドヌーヴと彼女の実姉の歌声にキュンとした(笑)。ジーン・ケリー、ジョージ・チャキリスらの群舞は見ごたえ十分!」■『ノートルダムの鐘』容姿は醜いが純粋で優しい青年の物語。「教会の尖塔に住み、下界を知らない鐘つきの主人公カジモドがピュアな心の持ち主として描かれていて、メッセージ性の強い作品。『美女と野獣』など、ディズニー映画を代表する作曲家、アラン・メンケンの楽曲が素晴らしい」
2018年09月01日音楽家レナード・バーンスタインの生誕100周年を記念して、最後の愛弟子、佐渡裕が指揮を務める「ウエスト・サイド 物語シネマティック・フルオーケストラ・コンサート」。同公演が8月4日(土)に東京、9日(木)に大阪で開催される。【チケット情報はコチラ】「ウエスト・サイド 物語シネマティック・フルオーケストラ・コンサート」は、舞台上の大スクリーンで映画『ウエスト・サイド物語』の全編を上映し、目の前でフルオーケストラの生演奏をあわせるシンクロライブ。音楽家レナード・バーンスタインは劇中で歌われる『トゥナイト』、『マリア』、『サムホエア』、『アメリカ』、『マンボ』、『クール』、『ワンハンド・ワンハート』、『クインテッド』など数々の名曲を作曲。1962年にアカデミー賞ミュージカル映画音楽賞をはじめ、10部門を受賞。現在のミュージカル映画に大きな影響を与えた。8月25日(土)に生誕100周年を迎えるレナード・バーンスタイン。今回、同公演の会場のロビーにて、彼の記念品の展示が決定。1990年のレナード・バーンスタイン ジャパンツアーのGジャンや、彼のスーツケース、また、実際に使用していた鉛筆(作曲用の黒鉛筆と指揮の楽譜書き込み用、赤鉛筆と青鉛筆)などが展示される。チケットは発売中。■バーンスタイン生誕100周年記念佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート8月4日(土) 東京国際フォーラム ホールA(東京都)【1】開演12時【2】開演18時8月5日(日) 東京国際フォーラム ホールA(東京都) 開演12時8月9日(木) フェスティバルホール(大阪府)開演18時30分指揮:佐渡裕管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団英語上映・日本語字幕あり/開演約10分前に佐渡裕のオープニングトークあり※未就学時のご入場はできません。※上演時間:約3時間(休憩1回含む)
2018年08月03日こんにちは、アートディレクターの諸戸佑美です。読者の皆さんは、音楽や芸術好きの方々も多いと思うのですが、最近どんな音楽を良く聴かれていますか?【シネマの時間】第31回は、世界を魅了する魂のピアニスト フジコ・ヘミングのドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』をご紹介させていただきます。苦難を乗り越え、60代に一夜にして世界に見出された遅咲きのシンデレラ、フジコ・ヘミング!80代になった今でも日本、ヨーロッパ、北米南米など世界中で年間約60本の演奏活動を続け、チケットは即完売、新たなオファーも絶えない奇跡のピアニストです。本作は、映画はもとより数多くの音楽映像やドキュメント作品、コンサートの総合演出なども手掛ける小松荘一良監督が、企画から立ち上げ、パリ・NY・LA・ブエノスアイレス・ベルリン・東京・京都といった世界を巡るフジコを2年間に渡って撮影したドキュメンタリー映画。情感溢れるダイナミックな演奏シーンとともに、お気に入りのアンティークに囲まれたパリや東京などのご自宅で、愛する動物たちとともに暮らす姿、知られざる家族・恋についてなど、本作でしか見られないフジコ・ヘミングの素顔が解き明かされています。多くの人々を魅了してやまないフジコの音楽は、どんな人生・ライフスタイルから生まれてくるのでしょうか?今回、小松荘一良監督に制作秘話など貴重なお話をたっぷりと伺っています。どうぞお楽しみいただければ幸いです!■映画『フジコ・ヘミングの時間』小松荘一良監督特別インタビュー!ーー本日はどうぞよろしくお願いいたします。私もフジコ・ヘミングさんのことが好きなのですが鑑賞させていただき素晴らしい作品だと思いました。まずはフジコさんと小松監督の出会いからお聞かせください。ありがとうございます。出会いは、2013年の春にあるTVのドキュメンタリーの企画がありまして、その時初めて出会いました。僕は、ロックやポップスやダンスが多くクラシックはあまり知らなかったのですが、1999年のフジコさんの一番最初のドキュメンタリーを見てたんですね。すごく良い作品だったし、いろいろ調べるうちにこの人でやってみようと思いました。一番最初にはじめましてとコンサート会場に会いに行ったときに、向こうから演奏が終わってスタッフに囲まれて廊下を歩いて来られて、僕が挨拶をしたら、ふっと目をそらしてはにかんだんですよ(笑)。ーー初対面ですしね。恥ずかしかったのかもしれませんね。はい。初対面ですし、モジモジとされて少女みたいでした。本当に可愛らしい人だなと思って。初めましてということでケーキを持って行ったんですけどそのお礼もちゃんとしてくれたりして。それからは基本的にずっと1対1のやりとりをさせていただいています。ーー最初に企画を立ててアポイントを取って、はじめましてという感じですか?はい、もちろん。イベンターやコンサート主催者に電話をかけて、こういう状況でとお話しをして。じゃあ後はご本人とお会いして直接決めてくださいと言われて、はじめましてと、そこからなんですよ。ーーすごいですね。ちょっとウマが合ったのかもしれないし、色々な話を伺って面白いと思ったんですが、そのドキュメンタリーがどうしても地上波だから、結局今までのフジコさんのドキュメンタリーと同じような艱難辛苦話の焼き直しを求められたんですね。僕が取材をしていたときは、もっと違うところがあってチャーミングさもあったりして。注目を浴びた頃の姿ではなく、もっと今の姿を描きたかったんです。でもお陰で良い関係性ができたのでいつかまたできたらいいな、ちゃんとしたものが作れたらいいなと、年に何回か一緒にお茶を飲んでお話を聞いたりしていたときに、南米にもツアーに行くということを聞いたんです。僕は、フジコさんの国内ツアーしか見たことがないので、海外ではどういう生活をしてるんだろうか、どういう人たちと関わってるんだろうか、何を食べているんだろうかとかすごく興味が湧いて、そこを改めて撮りたいなと思った。まずは、知り合いのTV局に企画を持って行ったりして、だんだんとやっていくうちにやっぱり映画でということになったんです。ーーTVは様々な制約がありそうです。はい。もっと自由にしたいというところがあった。その当時のフジコさんに密着して、その時代を伝えたいという思いもありました。現在こうなんですよと。1999年のあの貧しい時から一夜にしてシンデレラになったというところは、みんなファンの方はすでにものすごく詳しいじゃないですか。でもそれから20年近く経ってるんですよ。フジコさんは、現在アーティストとしてすごく活動的になっているのでそのあたりを見せたいし、カッコイイし、少女の部分もある、すごく毒舌なところもあるし、気位が高いし、ずっこけたりとその辺がね、面白いの。それにとてもTVも見てるので世情に詳しいんですよ。ーーなるほど。そんな思いがあって映画で作ることになったわけですね。今回、映画には、世界中で演奏するフジコさんの姿やパリや東京やロサンゼルスやベルリンなどの素敵なご自宅やライフスタイルが観れたことが感激でした。フジコさんは、日々の暮らしやライフスタイルをとても大切にされていて、しかもピアニストとしてとてもストイックですね。そうですよね。あのストイックさは、おそらくお母さんの影響で。すごく厳しかったらしいので、そうしないとピアノを上手くなれないよ、みたいなことを少女時代に躾けられて、それを未だにずっと守ってるように僕は思えています。家に関してももちろん皆さん、家が綺麗で憧れると思うのですが、あれはフジコさんが自分で作った世界観のような気がしています。東京のご自宅も友人たちが来て「海外にいるようだわ」と言われるのをすごく嬉しそうにしてらっしゃって。少女時代から構築してきた夢があって、パリの家はこうしよう、どこどこではこうしようと常にイメージしているのかと想像します。家族の写真などすべて共通するものも置いてたりして、お洒落を超えたものがあって、アンティークやノスタルジックなものがすごく好きで、それは、自分の家族に対してヒストリーに対して愛情を持ってるんだろうなと思います。ーー出ていってしまったお父様に対しても愛情深く大切に思っていて、表現者でデザイナーのお父様にリスペクトしている関係性を小松監督がとても優しい目線で捉えていて、フジコさんも素敵なんですが小松監督がじっくりと人間関係を構築してすごくあたたかい映像になっているのにとてもグッときました。ありがとうございます。フジコさんはとても人見知りがある方だし、僕が撮る以上は優しくしようと思うんですけど、愛おしいですよね。最初はお父さんとのこともわからなかったんですがだんだんわかってくるわけですよ。壁に貼られた写真も最初は飾りかなと思っていたんですが1個1個にストーリーがあって、聞いていくうちになるほどなと思って。何十年も前のことをすごく覚えていたりとかするんです。文句を言いながらも置いてたりとかして。その身体の中の時を超えたヒストリーみたいなのを感じるなと思ったのでそこをシーンにしているんです。ーー14歳の頃に描かれた絵日記も素晴らしいですね。よく残してらっしゃったなと思って。すごく上手で、今回『暮しの手帖』にも掲載されたりと。ね、絵日記もすごいですよね。あれもあの『暮しの手帖』の出版社(朝ドラ『とと姉ちゃん』のモデルになった出版社)で、絵日記をまとめたものを作りたくて、がんばって動いてようやく実現しました。あれはきちんとした形で出したかったんです。絵日記を見つけた時にこの映画のテーマが変わりました。オーソドックスなものでなくて時を超えれるなと思って。フジコさんの歴史をただ言葉で聞くんじゃなくて、14歳の絵日記の中に全てのフジコさんが入っている。1946年の過去と2018年の現在が繋がったというか、僕は今、80代のフジコさんと話しているけど、14歳のフジコさんに見えるときもあるわけなんです。ーーご自分でも今でも16歳の気分だと仰る場面があって。あの繋がりが見えた瞬間に、わあ、すごくロマンチックだなぁと、そしてそれを感じさせる力が音楽だったりするじゃないですか。僕は、フジコさんの「月の光」という曲が特に好きなんですが、あの曲が時代を超えて行く感じがしました。ドビュッシーの「月の光」という曲は、フランスの詩人・ヴェルレーヌの幻想的な詩から作られたそうなのですが、フジコさんてそんな幻想的な感じがするなと思ってて。ーーそうですね。魔法が使えるような気がします。そうそうそう。だから特にフランスのパリで演奏するシーンはちょっとそういう感じに作ってみたんです。あんまりドキュメンタリーではやらない手法なんでしょうけど。僕はそういうのが好きであえて入れてみました。ーー幻想的でファンタジックで。パリもそうだしベルリンもそうだし、京都のお宅も宮大工の方が造った素敵な家で、あの空間自体がすごくドラマティックで絵になっているように感じました。おとぎ話のような世界を自分で構築してる気がして。フジコさんは、パリも似合うんですが京都も似合うんです。ーー本当にお似合いですよね。また、東京のご自宅もより一層良く見えて、フジコさんの側にいる動物たちも犬も猫もみんな穏やかな顔をしていて幸せそうです。本当に童話の中の主人公みたいです。おとぎ話の人のドキュメンタリーと思ったらいいのかな。フジコさんは、可愛らしくてチャーミングでそれでいて豪快で、ストイックだし孤高、人を嫌いと言いながらも人がすごく好きで、それ以上に動物たちが好きなんだろうなと思います。それとすごいのは、いくつになっても明日を夢見てる、来年を夢見てるのはパワフルですよね。ーーそうですね。映画の中のフジコさんの話す言葉一つひとつにも名言がいっぱいあって、観ながらメモをとったりしました。80代で年間60公演、世界中を演奏して回って、本当に素晴らしいと思います。そうなんですよ。素晴らしいバイタリティーです。特に日本では、年を重ねていくとこうでなければならないという風潮があるじゃないですか、それに囚われてないからそれが魅力なんだと思います。僕たちもそういうところを見てちょっと刺激を受けたりしたいなと思います。ーーそうですね。監督は、どういった部分で一番影響を受けましたか?やっぱり、やりたいことは、やりたい時にやっていくことなんだろうなと思うし、日本人てどうしても横並びで人に合わせていくんだけど、フジコさんはそういう風潮に背を向けて生きている。子どもの頃は、時代背景もあるんですけれど外国人だからとイジメにもあったりした。でも今ではそういうことを乗り越えて、自分を大切に自分の好きなように生きていきたいということを通してるじゃないですか。そうするともちろんいろんな辛いこともあるんでしょうけれど、年齢に関係なく自分の人生を自分らしく生き生きとして生きていけると思います。特に高齢化社会になってる中で、私はもう60、70代だから地味な服を着て年齢を考えてこうしようではなくてね。ーー服装もお洒落を楽しんでらっしゃって素敵ですよね。フジコさん自体が絵になっているように感じます。そうそう。だから皆さんもそうなるといいなと思う。お洒落は若者だけの特権じゃないことを、フジコさんから学びたいですよね。ーー恋に関しても子どものことに関しても映画の中でお話をされていて素敵だなと思いました。「今、恋してるの」「2年ぐらいいい感じであればいいんじゃない」と仰って。はい。素敵ですよね。いくつになっても素敵だなと思った人に恋するのは自然なことなんだと。あと、僕は映画では言わなかったんですけど、フジコさんが好きになる人というのは、お父さんの面影がある方たちのように思いました。ーーそうなんですか。お父さま、カッコイイですよね。2枚目でね。そうなんですよ(笑)。ーーお母さんも美人で。そうそう。なんか、そういった何かを追い求めてるんだろうなと勝手に空想したりするんです。ーー小さい時に別れてしまっているので面影を追うところがあるのかもしれませんね。そうですね。そこらへんが興味深いと思うのと、やっぱり恋はしていきたいですよね。ーーはい。あんな言葉がサラッと言えちゃうのが大人だなと思いました。あれくらい軽やかに人生を楽しんで、フジコさんの言葉だと思うと深みがあります。最近、恋愛するのが難しいという人たちもいるので。恋をしたいというのは、いろんな人たちが言ってると思うんだけど、年齢を重ねると、いろんな雑音が入ってくるじゃないですか。そこにパッと切れるくらいの言葉で「2年ぐらい楽しければいいじゃない、片思いでもワクワクすればいいじゃない」と言うのは僕はすごく素敵なことだと思いました。子どもの話はね、あそこまで話してくれるとは思ってなかったので驚きました。ーー女の人がそこまで心の内を話すのは、信頼関係があるから話せたんですね。とても切なかったですね。全ての夢を叶えているようでいて基本的な家族を作らなかったし、悲しくなったり寂しく思ったりすることもあるけれど、クヨクヨしないんだなと思って。様々な哀しみを乗り越えてる強さや優しさがある。あの場面は多くの人に救いのある場面だと思いました。1930年代から生きてる人って、世の中が変わってるときでもあり、かなり波乱万丈じゃないですか。特にハーフの人にとっては、外国人排斥からアメリカ寄りの外国人が優遇される時代になっていくし、貧乏な日本だったのがだんだん豊かになってきて、いろんなことをいろんな風に経験してるから、人間的な大きさを感じます。ーーそうなんですよね。ちょっともう想像できないようなことを明るく。劇中フジコさんが「楽しいことばっかりあって悲しいことがないのはちょっとどうかと思うの。センチメンタルなのもいいじゃない」という場面が好きです。ね、そういったことが演奏の音色になっているのかなと思ったりするんですよ。ーー本当ですね。生き様ですか。それがラ・カンパネラでも「生き様が、演奏に現れるのよ。誰にも負けないわ」みたいな場面もあって。はい。それは自分も体感したことがあって1999年フジコさんが60代に一番売れたCDがあるのですが、最近のCDと聴き比べてみると前の方がテンポも早いしタッチも強い感じなんですけど今の方が味わい深く心に染みる感じがあります。ーー是非、多くの人に聴いてもらいたいですね。映画では、昨年の12月のオペラシティでの演奏も納まってるんですよね。はい。入ってる音は、基本的には近年の音で1999年の最初の頃の演奏とは違う、今のフジコさんが入っています。ーーそれが見どころ聴きどころでもありますよね。小松監督だからこその選曲で。そうですね。フジコさんが仰っているんですが「モーツァルトやドビュッシーを知らない人達が聴いても良い音楽だと思ってもらえるように私は弾きたいの」と、僕もそう思っていて「月の光」だったり「ラ・カンパネラ」だったり感動した曲を集めました。クラシックが苦手な人もちょっと聴いてこの曲いいじゃんって思ってもらえるように。ーーそうですね。全然知らない方にも聴いてほしいと思うし、この映画を観てほしいと思います。この空気の中に漂っていてくれるといいなと思います。静かで大きな事件は起こらない映画なんですけど。ーーいえいえ、充分、ドラマチックなフジコさんの人生を知ることのできる映画だと。引きで見るとドラマチックなんですが、近くで寄って見ると別に話しているだけで大きな事件が起こるわけじゃないですか。通常だと事件を起こすんですよ。ドキュメンタリーの1つの手管として演出側としても用意したりするんです。誰かと誰かを合わせたりしたりしていくことが、よくある商業ドキュメンタリーのやり方なんですけども、今回はあえてそれを絶対しなかった。だから友達に会いに行ったり友達が来たりするシーンは、あれは全て自然なんですよ。ーーあれ、自然なんですか。はい。呼んでません。ーーたまたまなんですか、画家のお友達も……。すごいですね。リアルに本当のことだったし、ベルリンに行くって言うのも本人が決めたんです。ーーそうだったんですか。ライフスタイルの素敵さだとか、パリや日本などにあるどの家もこだわりがあってとても素敵で憧れます。それは、きっと家もフジコさんの作品なんだろうなと思います。自分が呼吸し、生きて、座る場所というのは、ホテルだと味気ないからと海外でも演奏のために家を買ってるんです。家は、インテリアの一つひとつをとっても自分の美的センスのあったもの、自分が居心地良くなるものを置いている。あの空気感の中で佇んでるのがやっぱり空想できるし、ご本人がとても好きなんでしょうね。ーーさすがプロフェッショナルな芸術家ですね。何を誰と食べるかからインテリア、調度品、ファッション、歩いてる姿、側にいる猫も犬も可愛いし、全てが絵になります。本当にすごいなと思うのが耳が聞こえなくなった時点で落ち込んでダメになったとしてもおかしくないのに、変わらずきちんと毎日ピアノの練習をして、毎年演奏会をやって、コツコツと、そうすることでどこかでちゃんと見てくれてる人がいた。それで60代でフジコブームになった。精神力の強さに驚かされます。そうですね。絶対的な自信なんでしょうね。たとえこの世で見出されなくても、毎日4時間の練習をして努力をしていれば、天国では必ず出番があると信じていた。ーーすごいですよね。撮影は2年間どのようにされたんですか?365日一緒にいたわけじゃないんですが、基本的に何かあるときはずっと一緒にいました。ーースタッフについてお聞かせください。フジコさんが好きだとか、フジコさんのファンだとか、自分の親がフジコさんのコンサートを聴きに行っていてチラシが毎年来てるとか。いつも仕事をしている人たちに声をかけてみたらたまたま色んな縁があって不思議でした。日活の中でも担当プロデューサーもフジコさんについて詳しい人だったり、宣伝部もフジコファンが多いんです。お産のときに聴いていたなんて人もいて(笑)。日活チームみんなちょっと詳しいんですよ。ーーとても強力であたたかいチームですね。そうなんです。フジコさんの魅力を改めて語らなくても良かったのが一番楽でした。ーーそうですね。最初からツーカーでわかってもらえる。はい。最初のスタートは本当に小さなものだったんですけども、やっぱりフジコさんの魅力だったり、何かしら縁があってたくさんの人たちが集まってきて、結果的に今のような映画になったんです。ーー小松監督の力もありますね。いえいえ(笑)。それが多分映画の醍醐味だと思うんですよ。どの時代のどの作品も何か作りたいという衝動のようなものがあって、その被写体、モチーフが正しければ人たちは集まってくるし、映画は大変なことばかりで基本的には辛いことが多いんですが、それを超えた後に、こうやってこういうものができたりすると(パンフレットを手に取って見せて)、嬉しいと思ったりするし。ちょっと不思議な縁の連鎖に恵まれました。宣伝のところで協力していただけた黒柳徹子さんやミュージシャンの方たち、テレビ番組で取り上げていただいたディレクターさんが、実は小学校の時にフジコさんのコンサートに連れていってもらったことがあると嬉しそうに話してくれたりとか。フジコさんのことが好きだったりする人たちが集まってくれて、静かな映画なんですけどちょっと大きなスポットを当てていただいてるなと思っています。ーーすごく嬉しいですね。それでは最後の質問なんですが、改めて小松監督から見たたくさんの人たちを惹きつけるフジコさんの魅力とは?フジコさんの魅力は、世界を股にかけるピアニストでありながら、永遠の少女の感性を持っているところだと思います。老いていく部分に対してものすごく喧嘩を売っているところもカッコイイですね。ーー気持ちは16歳だと仰ってましたね。はい。いくつになっても純粋な心を持って世間を見ているというか、綺麗な心を持って目の前のことを見ている感じが、なかなかできることではないんだろうなと思うんです。ーー本当に素晴らしいですね。映画のご成功をお祈りしております。本日は貴重なお話をありがとうございました。■フジコ・ヘミング&小松荘一良監督の経歴フジコ・ヘミング(本名/ゲオルギー・ヘミング・イングリット・フジコ)プロフィール東京音楽学校(現・東京芸術大学)出身のピアニスト、大月投網子とロシア系スェーデン人画家/建築家ジョスタ・ゲオルギー・ヘミングを両親としてベルリンに生まれる。(年齢非公表)。5歳の時、帰国。以来母の手ひとつで東京に育ち、5歳から母、投網子の手ほどきでピアノを始める。また10歳から、ロシア生まれドイツ系ピアニスト、レオニード・クロイツアー氏にも師事。クロイツアー氏は、「フジコはいまに世界中の人々を感激させるピアニストになるだろう」と絶賛した。青山学院高等部在学中、17歳でデビュー・コンサートを果たす。また、東京芸大在学中には、NHK毎日コンクール入賞、文化放送音楽賞など多数受賞。その後28歳でドイツへ留学。ベルリン音楽学校を優秀な成績で卒業。その後長年にわたりヨーロッパに在住し、演奏家としてのキャリアを積む。その間、ウィーンでは後見人でもあったパウル・バドゥーラ=スコダに師事。今世紀最大の作曲家・指揮者の一人と言われる、ブルーノ・マデルナにウィーンで才能を認められ、彼のソリストとして契約するなどレナード・バーンスタインほか世界的音楽家からの支持を獲る。しかし「一流の証」となるはずのリサイタル直前に風邪をこじらせ、聴力を失うというアクシデントに見舞われる。失意の中、ストックホルムに移住。耳の治療の傍ら、音楽学校の教師の資格を取得し、以後はピアノ教師をしながら、欧州各地でコンサート活動を続ける。1999年リサイタルとNHKのドキュメント番組 ETV特集『フジコ~あるピアニストの軌跡~』が大反響を呼び、デビューCD「奇蹟のカンパネラ」をリリース。クラシック界異例の大ヒットを記録した。日本ゴールドディスク大賞のクラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを4回受賞。モスクワ・フィル、ロイヤル・フィルなど世界各地の著名オーケストラと共演。彼女と共演した際、世界的チェリスト ミッシャ・マイスキーは「あなたの芸術を賞賛します」と形容している。その他共演した多くのアーティストたちから絶賛されている。現在、ヨーロッパをはじめ、北米、南米、ロシアなど世界中からリサイタルのオファーが絶えない。年間約60本近くの公演活動で多忙を極める中、猫や犬をはじめ動物愛護への関心も深く、長年チャリティー活動も続けている。小松莊一良(こまつそういちろう) プロフィール映画監督・演出家。1964年、米LA生まれ。広島県呉市で育つ。高校時代より自主映画製作を始め、第4回ふくおか映画祭 作品賞・脚本賞受賞。大阪芸術大学映像学科入学後、さらに自主映画製作で注目され、第一回集英社ヤングジャンプ・ビデオフェスティバルなど国内外のコンテストでグランプリを受賞。27歳の時、異色の音楽ダンス映画『ハートブレイカー 弾丸より愛を込めて』で商業映画デビュー。ドラマの他にも、ミュージックビデオやライブ作品などの音楽映像も数多く、吉川晃司、藤あや子、VAMPS、湘南乃風、東京スカパラダイスオーケストラ、ケイティー・ペリー、コンパイ・セグンド(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)、WOWOW『氣志團万博』などを手がける。ドキュメンタリー作品でも一貫して音楽やダンスをモチーフにこだわり、ストリートダンサーの生態をリアルに描いた長編ドキュメント『∞~MUGEN』(05)などがある。2018年初夏、企画から立ち上げた劇場映画『フジコ・ヘミングの時間』が公開。■映画『フジコ・ヘミングの時間』作品紹介6月16日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー公式ホームページ:fuzjko-movie.com監督・企画・構成・撮影・編集:小松荘一良出演:フジコ・ヘミング、大月ウルフ音楽:フジコ・ヘミングナレーション:三浦透子エグゼクティブ・プロデューサー;新井重人企画プロデュース:千葉広二プロデューサー:小室直子撮影監督:青木正サウンドトラック・プロデューサー:西尾勇哉ミキシング・エンジニア:坂元達也ライン・プロデューサー;佐藤裕武、小松上花宣伝プロデューサー:宮嵜永子製作プロダクション:祭製作:日活、ユニバーサルミュージック、祭り、スピントーキョー、読売新聞社助成:文化庁文化芸術振興費補助金制作年:2018年制作国:日本上映時間: 115分/カラー配給・宣伝:日活©2018「フジコ・ヘミングの時間」フィルムパートナーズ【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年06月19日あの感動が帰ってくる!レナード・バーンスタイン生誕百年の今年、最後の愛弟子・佐渡裕渾身のオーケストラ・サウンドによって鮮烈に蘇る最高傑作。8月、佐渡が指揮する『ウエスト・サイド物語』シネマティック・ フルオーケストラ・コンサートが東京と大阪で6年ぶりに上演される。【チケット購入はこちらから】デジタル音声処理により、音楽部分だけを消した映画全編に、オケの生演奏をシンクロさせるコンサート。「映像や歌にぴったり合わせるのはものすごく大変。職人技の連発です。でもね、ただ合わせるだけではなく、『ここは勢いで行って多少ズレてもいい部分』とか、オケとそういう瞬時のやりとりもあって、映画とライブ感がちゃんと共存するのが面白い」『ウエスト・サイド』の音楽の魅力を、「あんなに印象に残るナンバーばかりなのに、それが実は非常に理屈で書かれていること」という。たとえば、「ソ-ド-ファ#」という音程関係が、全編を巧みに貫く。それが「どこか不良っぽくて人を惹きつける」と同時に、その不協和な音程が、トニーの死によって抗争が収まったかに見えるラスト・シーンでは、そんな安直な平和の到来に疑問を投げかけるかのように鳴り響く。「でも、そんな理屈を知らなくても虜にさせるのがすごい。バーンスタインの音楽にはさまざまなジャンルの音楽が共存している。ジャズの自由さ、クラシックの重厚さ、ラテン音楽のノリ。それをオケをフル活用して聴かせてくれる。欲張りバーンスタインのなせるわざですね」。『ウエスト・サイド』は、まさにそんな魅力が凝縮した、バーンスタインの最高傑作だ。1990年の夏、来日中に体調を崩して帰国するバーンスタインを佐渡は空港に見送った。「ついにユタカにビッグ・グッバイを言わなければならない時が来た」と言う師に、なぜかどうしても別れを言えなかったという。その3か月後、バーンスタインは急逝する……。6年前の前回公演。「音楽=レナード・バーンスタイン」というエンドロールに、客席から静かな拍手が自然に湧き起こったのは、小さな奇跡のようで感動的だった。会場のライヴ・スクリーンに大写しされた佐渡も感極まっているように見えた。「そりゃ、映像に合わせるの、めちゃくちゃ大変でしたから」と笑うが、けっしてそれだけではなかったはずだ。1987年にタングルウッド音楽祭でバーンスタインに師事。翌年から3年間、アシスタントを務めた。「あの頃の僕の興味は指揮者としてのバーンスタインだったし、彼の作品について直接教わったのは実はほんの少し。今にして思えばつまらない自分でした。でもだからこそ今、バーンスタインのいろいろな作品を紹介したいし、初めて聴く人にも興味を持ってもらえる道筋を作らなきゃいけない。それが、最後にそばにいたことへの恩返しであり、使命だと思っています」バーンスタインの魂を、佐渡裕というひとりの音楽家を通して共有する。それを味わえるのが、佐渡が振る東京と大阪のこのコンサートだ。クラシック界最後のカリスマの生誕百年を、佐渡とともに噛み締めたい。取材・文:宮本明
2018年06月18日スリリングな犯罪劇、クレイジーなカーチェイス、応援したくなるラブストーリー、それらすべてにリンクする劇中音楽、メロディに合わせて動き、歩き、車を操るチャーミングなアンセル・エルゴート!とびっきり素敵な要素がたっぷり詰め込まれた『ベイビー・ドライバー』は、主人公の若き天才ドライバー、その名も“ベイビー”を演じたアンセルにとっても「たくさんのワクワクが詰まっている作品」だったという。「脚本を読んだとき、本当にワクワクさせられたんだ。物語と音楽が密接につながっているのも完全にユニークだったしね。ベイビーは強盗団の運転手をし、耳の不自由な里親と暮らしている。そんな彼を演じるのは、運転をし、手話を使い、アクションをし、音楽に合わせた動きもマスターするということ。そのすべてが挑戦だったし、撮影前の1か月間はサマーキャンプ状態だったよ。運転のレッスン、手話のレッスン、パルクールを取り入れたアクションのレッスン、振り付けのレッスンを1日12時間受け続ける毎日だった」。事故の後遺症で耳鳴りに悩まされるベイビーにとって、iPodから流れる音楽こそが治療薬。運転をするときも音楽は欠かせない。その設定を活かし、劇中のベイビーや彼の車はiPodの曲とシンクロした動きを見せるのだが、「僕も彼と同じように、運転中は基本的に音楽をかけている。撮影前の僕は、そこそこのドライバーだったけどね(笑)」とアンセルは明かす。「ニューヨーク市内からロングアイランド付近までを問題なく運転できるレベルかな。ただ、マニュアル車を運転したことはなかったから、撮影のために学ぶ必要があった。おかげでドリフトもできるようになったよ。もちろん、音楽つきでね。毎日って忙しいものだから、1枚のアルバムを最初から最後まで聴く時間を持つのが意外と難しい。僕にとって車の中は、音楽を集中して聴けるパーフェクトな空間なんだ。聴きそびれていたアルバムを聴いたりしてね。いい曲が流れたら、ちょっと踊ったりもするかも(笑)」。ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの「ベルボトムズ」を聴きながらベイビーがミッションに臨む冒頭に始まり、劇中にはエドガー・ライト監督セレクトの様々なナンバーが。アンセルの「いい曲」は、それらとも「だいぶマッチしている」と言う。「クイーンはもともと大ファンだったし、バリー・ホワイトもアルバムごと僕のiPodに入っている。それに、いままでに聴いた中で最も好きな曲の1つが、コモドアーズの『イージー』。だからエドガーが本編に取り入れてくれたのだけど。すごくいいなと思ったのは、幅広い選曲でありながら、全部の曲がタイムレスな魅力を持っているところ。さらに面白いのは、それぞれのアーティストの一番のヒット曲を使っているわけではないところだよね。クイーンだったら、『ボヘミアン・ラプソディ』じゃなくて『ブライトン・ロック』。B面セレクトな感じが好きだな」。音楽について語り始めると、目の輝きが増すのも納得。アンセルはミュージシャンでもあり、2015年には“DJアンソロ”として日本の音楽フェスにも参加した。しかし、オペラ演出家の母を持ち、9歳からバレエを習っていたともいうアンセル。クラシックな家庭で育った彼がいまやDJとなり、『ベイビー・ドライバー』の楽曲たちを愛するのはなかなかの方向転換にも思える。「父もクラシックやジャズが好きだしね。たしかにクラシックな家庭だったよ。子どもの頃は、レナード・バーンスタインやジョージ・ガーシュウィンのアルバムを父からプレゼントされた。『ラプソディ・イン・ブルー』を聴きながら眠るような子どもだったね(笑)。そうやって慣れ親しんだメロディは、いつまで経っても忘れないものだよ。ただ、いい音楽にジャンルは関係ないのもたしかで、音楽がほかのアートと違うのは、その人がその曲にいつ出会ったのかが大きく関わってくるところ。年齢によって好みも変わるだろうしね。だから、僕も若者としてまずはヒップホップに目覚め(笑)、次はEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)に没頭し、好みが広がっていった。でも、両親が僕に音楽を愛する気持ちを教えてくれたのは間違いないよ。頭の中にいつも音楽が流れているのは、両親のおかげだと思う」。「頭の中にいつも音楽が流れている」とは、さすがは“ベイビー”。「ヒットしたから続編!とスタジオはビジネスに走りがちだけど、エドガーは作るべき作品じゃなければ作らない人だろうから」と前置きした上で、続編にも意欲を見せる。一方、『ベイビー・ドライバー』はいわば“車が踊るミュージカル”だったが、キャストが歌って踊る正統派のミュージカルにも興味があるそう。実際、アンセルは美声の持ち主でもある。「実は、ミュージカルはすごくやりたいと思っていることの1つなんだ。映画でも、舞台でもね。近いうちに、出演できる日が来たらいいな」。(text:Hikaru Watanabe/photo:You Ishii)
2017年08月21日初来日中の、両腕のないホルン奏者フェリックス・クリーザーが日本ホルン協会の主催で開いたトークライブを聞いた(6月13日・ヤマノミュージックサロン新宿)。【チケット情報はこちら】生まれつき両腕のないクリーザーは、ホルンを足で操作する。しかし配布されたプログラムに「そのことにフォーカスするのではなく、同じホルンを、音楽を愛するものとして、それらを通した喜びについて語り合う会にしたい」(日本ホルン協会会長・樋口哲生氏)とあったように、音楽に注目してほしいというのは本人の望みでもあるだろう。とはいえ、どのように演奏しているのかは気になるところ。楽器はごく一部をカスタマイズしている以外は通常のモデルのままだ。足を使うため、当然ながら座って吹く。マウスピースが口もとに来るように、特製のスタンドに楽器を固定する。そして通常は左手の人差し指、中指、薬指で押さえる3本のレバーを、左足の第1~3趾で操作する。足首の筋がとても発達しているように見える。動画投稿サイトには彼の映像もアップされているので、百聞は一見にしかず。ぜひ一度ご覧になることをお勧めしたい。この日披露したベートーヴェンのホルン・ソナタからも芳醇な音色と起伏に富んだ歌い口が聴こえてきて、ホルン奏者としての彼の卓越した美点が、けっしてその奇跡のような足技によるフィンガリングだけにあるのでないことがすぐにわかる。「ホルンの魅力をたくさんの人に伝えたい」というクリーザー。そのためにドイツでもこうしたトークライブやテレビ出演の機会を積極的に活用しているとのこと。その意味では、ハンディを乗り越えるどころか、それをプラスの要素に転じているとさえ言える。言葉を慎重に選ぶ必要があるが、好奇の目に晒されることも厭わないぐらい、ホルンを愛する気持ちは強い。1991年ドイツのゲッティンゲン生まれ。4歳の時に「ホルンが吹きたい」と宣言したというが、その理由やきっかけは自分でもわからないのだそう。「僕も不思議なんだ。両親は法律家で、もしかしたらホルンという楽器の存在さえ知らないぐらいだから。ひょっとしたらテレビで見て気に入ったのかもしれない。でもまったく記憶にないんだ」。音楽教室では木琴を勧められたが、頑なに「ホルン!」と言い張るので、教室の先生がついに根負けしたそう。ドイツではすでにベルリン・クラシックス・レーベルから、ソロと協奏曲の2枚のCDをリリース。昨年夏のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭では、名誉あるレナード・バーンスタイン賞を受賞している。また、今回の来日に合わせて自伝『僕はホルンを足で吹く』も邦訳出版された(ヤマハ・ミュージック・メディア刊)。6月24日(土)には東京交響楽団の定期演奏会でハイドンとモーツァルトの協奏曲を吹く(秋山和慶指揮)。間違いなく現在最もホットな若手演奏家の一人だ。公演のチケットは発売中。取材・文:宮本明
2017年06月15日劇団四季『ウェストサイド物語』が2月14日、東京・四季劇場[秋]で開幕した。映画でもおなじみ、世界で愛される定番のミュージカルだが、劇団四季は今般、演出にジョーイ・マクニーリーを迎え、“新演出”で上演。1974年からコンスタントに上演され続けていた劇団四季版『ウェストサイド物語』が、新たな装いで登場する。劇団四季版『ウェストサイド物語』チケット情報『ウェストサイド物語』は、『ロミオとジュリエット』をベースに場所をNYのウェストサイドに移し、敵対するふたつの若者グループの抗争と対立、そしてその中に生まれた悲恋を描くもの。『トゥナイト』『アメリカ』『クール』といった、誰もが耳にしたことのあるレナード・バーンスタインの名曲群、エネルギッシュで個性的なジェローム・ロビンス振付のダンスなどが物語と見事に融合し、ミュージカル界屈指の傑作として半世紀以上、世界中で上演され続けている。新演出を手がけるマクニーリー氏は、『ウェストサイド物語』のクオリティを守るために、ジェローム・ロビンス財団から選ばれた数少ない“公認振付師”のひとり。今回彼は、作中に流れるスピリットは変えることなく、社会からつまはじきにされている若者たちの爆発しそうなエネルギーを凝縮したかのように、エネルギッシュに、スピーディに、作品を作り上げた。その演出に応えるかのように、俳優たちも感情を爆発させ、切ないほどにパワフルな熱演を見せる。『ウェストサイド物語』らしさはそのままに、まぎれもなく新世紀版のステージとなっていた。無事初日を開けたマクニーリー氏は「四季の皆さんに、この作品を次の世代に受け継ぐ機会をいただき、光栄に思っています。今回、『ウェストサイド物語』の新時代を四季のメンバーと共に拓きました。『ウェストサイド物語』はこの50年間、多くの方々にとって、それぞれの人の心に残る作品となってきた歴史ある作品です。人々は、最初に観た記憶を、ずっと持ち続けているものです。同様に、今回のお客様はこの先この公演の記憶をずっと持ち続けるでしょう」とコメントを発表。伝説のミュージカルが、新たな伝説の1ページを作るその瞬間を、お見逃しなく。公演は5月8日(日)まで、同劇場にて。チケットは発売中。
2016年02月16日帽子デザイナーのレナード・プランク(REINHARD PLANK)が11月28日、1日限りのライブパフォーマンスを東京・神楽坂のラカグ(la kagu)2階のレクチャースペース・sokoで開催する。レナード・プランクは、無造作に見えるフォルムながら、モードからトラッド、カジュアルまで幅広いテイストに溶け込むデザインの帽子を生み出すデザイナー。今回開催されるイベントでは、レナード・プランクが帽子のアレンジやリメイク実演を行い、来場者一人ひとりのために帽子を製作していく。なお、当日は、ウィメンズ、メンズ、キッズのハットを用意。独創的かつ芸術的な帽子がどのように作り上げられるのかを実際に体感する事が出来る貴重な機会となっている。また、イベント当日にレナード・プランクの商品を購入すると、先着でサプライズギフトがプレゼントされる予定だ。【イベント情報】「REINHARD PLANK LIVE PERFORMANCE」会場:ラカグ2階のレクチャースペース・soko住所:東京都新宿区矢来町67会期:11月28日時間:第1部13:00~15:00、第2部16:00~19:00
2015年11月25日Apple関連のニュースブログThe Loopの編集長であるJim Dalrymple氏がApple MusicのトラブルでCDからiTunesに取り込んだ4700曲を失ったという衝撃的な投稿が数週間前に大きな話題になった。一体どんなことをしてすべてを失ってしまったのか、原因ははっきりしないのだが、どうもiTunes MatchとApple MusicのiCloudミュージック・ライブラリ機能のトラブルであるようだ。ほかにも、iCloudミュージック・ライブラリでクラウドにマッチさせた曲が他のアルバムの曲に置き換わったなど、特にクラウドライブラリ機能に関してApple Musicを巡るさまざまなトラブルが報告されている。サービスのバグ、iTunesのわかりにくいインタフェースによる操作ミスなど、原因の指摘もさまざまで、このように何が起こるかわからない状態ではApple Musicに手を出せないと思う人も多いだろう。ちなみに、筆者はDalrymple氏と同じようにiTunes Macthも使用しているが、長年使って肥大化したiTunesライブラリではなく、Apple Musicの開始を機に新しいライブラリを用意して、まずは試用感覚で使い始めた。いくらか混乱はあったものの、CDから取り込んだ音楽が消えてしまうというような惨事には見舞われず、iTunesが12.2.1にアップデートされた後は順調にApple MusicとiTunes Matchを共存できている。逆に、iTunes Matchも契約しているためか、別のアルバムの曲に同期されるというような問題は起こっていない。Kirk McElhearn氏によると、AppleはApple Musicライブラリの音楽マッチにオーディオ・フィンガープリントを用いずに、シンプルにメタデータだけでマッチさせている。そうであれば、メタデータ情報の書き方によっては通常のスタジオ録音盤に、ベスト盤の曲が入り込むといったことが起こっても不思議ではない。McElhearn氏はメタデータ頼みのApple Musicのクラウドライブラリ機能に立腹していて、iTunes Matchでオーディオ・フィンガープリントを用いているのだから「Apple Musicでも使うべきだった!」とダメ出ししている。それは一理なのだが、筆者はこれを機にCDや音楽ファイル、音楽サービスの曲に付与する情報をもっと充実させるように意識を改める必要もあると思う。これは今回のApple Musicのトラブルに限らず、Apple Musicを使い始めるずっと前から感じていたなのだが、これまでのメタデータで提供されている情報は、ストリーミングやクラウドライブラリを用いた音楽の新たな楽しみ方を提供できるチャンスをつぶしてしまっている。典型的な例がストリーミングサービスにおけるクラシックの検索である。例えば、ベートーベンの交響曲第9番を聞きたい場合、「ベートーベン」や「交響曲第9番」で検索すると大量の作品が結果に並ぶ。作曲者や作品に対して録音が多すぎて、カジュアルな音楽ファンはこの時点でお手上げである。レナード・バーンスタイン指揮に絞り込んだとしても、バーンスタインはニューヨーク・フィル、ウィーン・フィル、そしてベルリンの壁崩壊後にさまざまなオーケストラの混成メンバーによる演奏も指揮している。さらに検索を難しくしているのが、あやふやなアーティスト欄だ。今日の音楽サービス内の楽曲は「アーティスト」「曲」「アルバム」を軸に整理されているが、この場合のアーティストは誰なのか? バースタイン? ベートーベン?、それともオーケストラ? ソロイストもアーティストにふさわしいが、ニューヨーク・フィル盤だけで複数の有名なソロイストが存在する。ほかにも、タイトルに英語と別の言語が混在していたりして、ストリーミングサービス内に目的の1枚が存在するのに見つからない(存在しないも同然)ということになってしまう。これはアーティストやレコード会社にとってもったいないことである。Appleは「iTunes Store Music Data Standards and Style Guide」という音楽データ入力のガイドラインを公開している。60ページのボリュームで、クラシックにも7ページが費やされている。ローカルのiTunesライブラリで管理しているすべての曲が、このガイドラインに従っていたらiCloudミュージック・ライブラリのミスマッチは大幅に減少すると思う。検索でも絞り込みやすくなる。それでも、ストリーミング音楽サービスを楽しむには物足りない。すでに3000万曲以上を超え、日々増え続けているストリーミング型音楽サービスから、自分が楽しめる新しい音楽を効率的に見つけるのは至難の業だ。だから、プレイリストの共有やキュレーション、おすすめ機能が重視されている。GoogleやSpotifyは機械学習を生かしてユーザーの好みに合う曲をオススメし、Apple Musicは音楽のエキスパートが専門知識を生かしたプレイリストを提供している。「T・ボーン・バーネットがプロデュースした作品集」「Beckのソフトな一面」「ツインドラムの名曲」など、筆者のApple MusicのFor Youには日々ユニークなプレイリストが表示される。これを毎朝チェックするのが楽しみだ。こうした曲の聴き方はCD時代やダウンロード販売時代には味わえなかったものである。同時にこうした音楽の聴き方を自分でも作成したいとも思う。例えば、メタデータにプロデューサ欄があったら、特定のプロデューサがプロデュースした作品を簡単に集められるし、バンドメンバーと担当楽器が記録されていたら特定のギタリストやベーシストが関わった作品だけを集められる。歌詞に含まれる語句で絞り込むのも面白そうだし、ビートや曲調を指定できたら気分に応じたBGMを自分で作成できるだろう。Apple MusicでもSpotifyでも「Bill Bruford」と検索して表示されるのは主にソロ名義の作品だけである。でも、「Bill Bruford」なんて検索する人の中には、Yes、King Crimson(聞き放題サービスには未登場)、Genesis、UK、Earthworks、Anderson Bruford Wakeman Howeなど、ビル・ブラッドフォードのドラムを通じてプログレの歴史に触れようとする人が少なくないはずだ。いつかは筆者のFor Youに「ビル・ブラッドフォードが叩いた作品集」というプレイリストが届くと思う。でも、自分でもそんなプレイリストを簡単に作れてこそ、3000万曲以上の曲をさらに楽しめると思うのだが、どうだろうか?
2015年08月10日