三島由紀夫の異色のSF小説を原作に、リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛らが“宇宙人”として覚醒する家族を演じる『美しい星』。吉田大八監督が現代社会に生きる人間の姿を描く本作の、謎に満ちた予告映像と新たなポスタービジュアルが解禁となった。“当たらない”お天気キャスターの父・重一郎、野心溢れるフリーターの息子・一雄、美人すぎてまわりから浮いている女子大生の娘・暁子、心の空虚をもて余す主婦の母・伊余子。そんな大杉一家が、ある日突然、火星人、水星人、金星人、地球人(?)として覚醒。“美しい星・地球”を救う使命を託される。ひとたび目覚めた彼らは生き生きと奮闘を重ねるが、やがて世間を巻き込む騒動を引き起こし、それぞれに傷ついていく。そして一家の前に1人の男が現れ、地球に救う価値などあるのかと問いかけるが…。このほど解禁された予告映像は、リリーさん演じるお天気キャスターである重一郎をはじめとして、その息子・一雄(亀梨和也)、娘・暁子(橋本愛)、妻・伊余子(中嶋朋子)が“宇宙人一家”として覚醒し、それぞれに行動を起こす様を描いたもの。覚醒した彼らは、その手に地球を救う使命があると信じ、それぞれに行動を起こすが、なかでも、出演番組内でオカシな言動をとるようになった気象予報士の重一郎は一躍、お茶の間の人気者に。ところが、謎の男(佐々木蔵之介)に「地球に救う価値はありますか?あるなら証明してみろ」と追い詰められる重一郎。重一郎は「円盤を呼ぶこと」がその証明と、空へむけて必死にメッセージを送るものの、力尽きて倒れてしまう。「お父さんが火星人だっていうなら、お母さんも最後までつきあいたいの」という伊余子のひと言に、一丸となって最後の行動に出る一家。そのとき、家族にはいったい何が見えるのか――。三島由紀夫の異色のSF小説を大胆にアレンジした、吉田監督ならではのスタイリッシュな映像に期待が高まるのはもちろんのこと、佐々木さん演じる“謎の男”に追い詰められ、倒れてしまう重一郎を支え、一丸となって行動に出る一家の絆など、「人間賛歌」のメッセージが込められた、見応え満点の映像となっている。また、併せて公開された本ポスタービジュアルでは、大きく描かれた地球を背景に、主人公・重一郎が“火星人のポーズ”をキメる、堂々たる姿が披露されている。宇宙人としての“覚醒”の先にいったい何が見えたのか…。現代社会とそこに生きる「人間」の姿を、冷徹に、そして深い愛情を込めて切り取った、奥行きあるドラマとなる本作。まずはこちらの予告映像から、そのかつてない魅力を味わってみて。『美しい星』は5月26日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:美しい星 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2017「美しい星」製作委員会
2017年03月17日リリー・フランキーが主演を務め、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介ら豪華俳優陣で三島由紀夫の異色SF小説を映画化する『美しい星』。本作の劇中曲として、『千年女優』『パプリカ』や「ベルセルク」シリーズの音楽で知られるアーティスト・平沢進の名曲「金星」が提供されていることが判明。橋本さんが惹かれるミュージシャン役の注目俳優・若葉竜也とデュオの相方役の樋井明日香が歌声を披露していることが分かった。大杉重一郎(リリー・フランキー)は予報が“当たらない”ことで有名なテレビ気象予報士。悪くない仕事、悪くない暮らし、悪くない家族関係(妻・息子・娘)、悪くないはずの人生。そんなある日、重一郎はあるものと遭遇する。それは空飛ぶ円盤!?「自分は火星人。世界を救うためにこのホシに遣わされたのだ」。重一郎のなかに“火星人”が覚醒する。そして、息子の一雄(亀梨和也)が水星人、娘の暁子(橋本愛)が金星人として次々目覚める。それぞれの母星から使命を受け取った家族は、それぞれのやり方で世界を救おうと奮闘しだすが、やがて様々な騒動に巻き込まれ、傷ついていくーー。三島文学の中でも異色のSF小説を現代設定に大胆脚色し、『紙の月』『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督がメガホンをとった本作。自分たちは宇宙人であると覚醒した平凡な家族が、「美しい星・地球」を救う使命があると信じ、それぞれに奮闘しはじめる物語。今回、その独創的世界を紡ぐ劇中曲が平沢進の「金星」に決定。平沢さんは80年代を席巻したテクノポップバンド「P-MODEL」にて活動後、2000年以降は『千年女優』(’02)『パプリカ』(’06)といった今敏監督のアニメーション作品や「ベルセルク」シリーズ、ゲーム音楽などで独自の音楽世界を提供し、熱狂的なファンを獲得。近年では「P-MODEL」がアニメ「けいおん!」の元ネタでは?という話題がネットを賑わせている。撮影中、主演のリリーさんは「リアルタイムで聴いていた」と話しており、吉田監督もまた「ぼくのものの考え方の半分くらいを作った人」と尊敬してやまないアーティストだ。そんな平沢さんの「金星」は、1989年のソロ転向時に発表した曲。その繊細でイマジナブルな歌詞と異国情緒あふれるメロディーは、劇中で大杉家の長女・暁子(橋本さん)がストリート・ミュージシャンの竹宮薫(若葉さん)に出会い、一瞬で彼に激しく惹かれるという設定に劇的な説得力を与えている。「金星」は竹宮とその相方・イズミ(樋井さん)のデュオの持ち歌という設定になっており、2人は美しい歌声と演奏を披露している。<以下、コメント>■平沢進自分が演奏し、歌った楽曲がスクリーンから流れてくるのを聞くのは慣れていますが、今回のような経験は初めてです。奇妙で得体の知れない現実感を味わいました。まるで知らない国で迷子になり、自分の庭に埋めたはずの種が知らない民家の窓辺で花咲いているのを目撃したような感じです。■吉田大八(脚本・監督)平沢進さんは、僕が高校生のころからずっと聴いてきて、ものすごく影響を受けたミュージシャンです。だから金星人の暁子が竹宮と出会うきっかけを歌と決めた瞬間、その歌は平沢さんの名曲「金星」以外にありえない!と興奮しました。大好きな曲がズバリのタイトルなんだから、それは当然そうなりますよね(笑)。そして歌詞まで勝手にシナリオに書き込んで、なんとかお許しが出るように祈ってました。ホントにそういうミーハーな理由です。(談)■橋本愛(大杉暁子役)最初にシナリオを読ませていただいた時に「金星」は監督がオリジナルで書いた曲だと思って、よくこんな絶妙な歌詞を書けるなあと思っていたら既存の楽曲で、それから平沢さんのオリジナルを聴いて、すごくはまりました。映画の冒頭でライブを観に行くシーンで、若葉さんが「金星」を歌っていて、好きな歌を生で聴けて、やっぱり音楽っていいなあって思ったのが印象に残っています。■若葉竜也(竹宮薫役)平沢進さんの「金星」という名曲を歌うというのは、相当なプレッシャーでした。平沢さんの唄う金星を何度も何度も聴き込んで、歌詞とメロディーはもちろん、ブレスのタイミング、歌詞の強弱も頭に叩き込んだ上で、竹宮として平然と、そしてサラッと歌いきりました。吉田大八監督からのチクチクとさりげないプレッシャーを感じながら、必死に食らいついた『美しい星』です。『美しい星』は5月26日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年02月28日新国立劇場が30代の演出家を迎えて送るシリーズ「かさなる視点―日本の戯曲の力―」。第1弾は、近年高い評価を得てきた演出家・谷賢一が三島由紀夫の長編戯曲『白蟻の巣』に挑む。2月中旬に行われた通し稽古に足を運んだ。【チケット情報はこちら】三島がブラジルを訪れた経験を基に執筆し、昭和30年に刊行された本作。日本で名家に生まれるも没落し、ブラジルのコーヒー農園の経営者に収まった刈屋義郎(平田満)と妙子(安蘭けい)の夫婦、住み込み運転手で過去に妙子と心中未遂事件を起こした百島(石田佳央)とその事件を知りつつも彼と結婚した若き妻・啓子(村川絵梨)、農園の経営を任されている大杉(半海一晃)、女中・きぬ(熊坂理恵子)の6人が表面上は穏やかに暮らす邸宅。啓子のある“企み”に刈屋が乗ったことから、少しずつ屋敷を覆う空気、彼らの関係性が変化してゆく。谷はこの戯曲を選んだ理由として「感情の火柱が非常に太く、それがぶつかり合い、火花を散らしている」とその魅力を語ったが、登場人物たちの会話には表面上、奇妙な静けさが漂っている。この空気を担っているのが、平田演じる“旦那様”刈屋と安蘭が演じる妻の妙子の佇いである。刈屋は、妻と若き運転手の過ちを、彼特有の“寛大さ”で許しており、まるで何事もなかったかの様に、妙子と百島、啓子らとテーブルを囲む。妙子はどこか定まらない視点とじっとりとした口調が特徴的で、自らを「もう死んだ女」と語り、生ける屍のようにただ、そこにいる。妙子は夫の赦しを「寛大さの牢獄」と表現するが、谷は「優しさ、許し、寛大さがもたらす息苦しさ、辛さ、呪縛は、個人主義的に現代を生きる我々に響くテーマになる」と語る。そんなこの家の空気に唯一、まともに刃向かっている存在であり、刈屋をして「あんたは生きているよ」と言われるのが、百島の若き妻・啓子だ。彼女は百島と妙子の間の過去にもがき苦しみ、それを何でもない事の様に笑い話として話す刈屋に激しく詰め寄り、ある“策”を弄する。彼女の激情が、止まっていた時を動かし、少しずつそれぞれの心情、本音が蠢き、“牢獄”を飛び出していくが……。全編を通して印象的なのは俳優陣の声!刈屋の無関心と同義の諦念、妙子の死人の様な口調、啓子の激情、夫・百島の迷い、いつか再び日本の地を踏む事を叶わぬ“夢”として語る大杉…。それぞれの感情が見事なまでに彼らの声に乗せられて、“美しき不協和音”とも言えるような奇妙な音色を奏でる。昭和30年に書かれた戯曲は旧字体で書かれており、会話も決して現代の口語的とは言えないのだが、実際に通し稽古で展開される俳優陣のやり取りは、古臭さも不自然さも全く感じさせず、静かに、しかし、生き生きとした感情が伝わってくる。「三島特有の美しい言葉は魅力ですが、言葉はあくまでも氷山の一角。その裏に漂うドロドロとした感情、ピリピリとした関係性が伝われば」――そんな谷の言葉通り、ブラジルの明るい太陽の下で、たっぷりと湿気を含んだ、べっとりとした感情の戦いが繰り広げられていた。公演は3月2日(木)に開幕。取材・文・撮影:黒豆直樹
2017年02月24日三島由紀夫が残した最高傑作戯曲の一つ「黒蜥蜴」が、来年1月より上演されることが決定。主演“黒蜥蜴”役には中谷美紀、“明智小五郎”役には井上芳雄を迎えることも明らかになった。世界的宝石商・岩瀬庄兵衛は、愛娘・早苗の誘拐と岩瀬家の秘宝「エジプトの星」強奪を予告する女盗賊・黒蜥蜴に怯え、探偵・明智小五郎に警護を依頼した。岩瀬父娘は大阪のホテルに姿を隠したが、隣室には岩瀬の店の顧客、緑川夫人が泊っていた。実は彼女こそ黒蜥蜴だったのだ。黒蜥蜴は部下の雨宮を使って早苗をまんまと誘拐したものの、明智は機敏な処置で早苗を奪い返したのだった。それから半月後、厳重な警備が敷かれた岩瀬邸から、早苗が忽然と姿を消した。黒蜥蜴が家政婦ひなの手引きで、再び早苗を誘拐した。明智が駆けつけたとき、早苗と引換えに、「エジプトの星」を持参せよ、という紙が残っているきりだった。指示通り岩瀬は「エジプトの星」を黒蜥蜴に渡したが、早苗は戻らなかった。黒蜥蜴は早苗の美しさに魅せられていた。一方、そんな黒蜥蜴にひそかに恋焦がれている雨宮は、黒蜥蜴が明智を恋していることに気づき、嫉妬を感じる。その頃明智は、一度は黒蜥蜴の手にかかって殺されたと見せかけ、部下の一人に変装して本拠地に忍び込んでいた。彼もまた、純粋な美に生きる黒蜥蜴に恋していた。黒蜥蜴を捕える自信はあったが、世間の秩序の彼方に己れの倫理と美意識を築きあげている彼女を、一番深く理解し愛しているが故に葛藤する明智。本拠地には人間剥製の美術館があった。早苗もその一つに加えられようとしていた…。「黒蜥蜴」は、美貌の女盗賊“黒蜥蜴”と名探偵“明智小五郎”が繰り広げる耽美と闇の世界。怪奇小説を世に送り出した江戸川乱歩の傑作を、三島由紀夫が戯曲化した究極のエンターテインメントだ。今回主演の“黒蜥蜴”役には「ケイゾク」「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」など様々なドラマや映画に出演する中谷さん、黒蜥蜴の好敵手であり運命の恋人、探偵“明智小五郎”役にミュージカル界で活躍し、「わたしを離さないで」や、大河ドラマ「おんな城主 直虎」などドラマ出演も増えている井上さんが決定。さらに演出は、日本でも「テレーズ・ラカン」や「ナイン」、「ETERNAL CHIKAMATSU」など、数多くの作品を手掛けている英国人演出家・デヴィッド・ルヴォーが担う。今回の出演にあたって中谷さんは、「三島さんが巧みに描かれた文章を表現することは容易なことではないですし、とても大きな劇場で演じるということに恐れを抱き、逡巡もしたのですが、やはり心が動いてしまい、出演させていただくことを決めました」と出演決定理由を語り、ルヴォー氏演出だということで参加を決めたと言う井上さんは、「過去に『ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~』での経験が素晴らしかったので、いつかまたご一緒したいという気持ちがあり、来日するたびに顔を見せに行き、『いつかまた一緒にやりたい』と言い続けてきました」と今回は念願の出演だと語っている。ルヴォー氏が1988年の初来日以来、日本で演出をし続けたいと願い、日本に魅了されている理由を、三島由紀夫作品と歌舞伎に出会ったことだと話す。黒蜥蜴についてルヴォー氏は、「まず目を見張るような絶世の美女でなければなりません。同時にある種の緊張感を持ち、何かに駆り立てられている女性で、謎めいており、この人のことを知りたいと、周囲に思わせる磁力の持ち主」、明智小五郎についても「完全にアウトサイダーであり、ハンフリー・ボガードのようなハードボイルドですが、まっとうなモラルも併せ持っています」と語っており、中谷さんと井上さん共に相応しい役どころだとコメントしている。舞台「黒蜥蜴」は2018年1月より日生劇場(東京)、2月上旬より梅田芸術劇場メインホール(大阪)にて上演予定。(cinemacafe.net)
2017年02月06日毎年上演される美輪明宏演出・主演による舞台が、今年は、三島由紀夫作、近代能楽集より『葵上・卒塔婆小町』に決まった。美輪×三島の幽玄的な世界が7年ぶりに立ち上がるとあって早くも期待が膨らむ。しかも、この演目の上演はこれが最後になるかもしれないと美輪は言う。その覚悟と作品への思いを聞いた。【チケット情報はこちら】美輪による『葵上・卒塔婆小町』を、三島は切望していたのだという。実現したのは、三島が亡くなった後の1996年。今度で5度目、7年ぶりの上演となる。不思議なことに、上演を決めた途端、未発表だった三島の肉声テープが見つかるというどこか因縁めいた出来事もあった。「それが亡くなられる9か月前のインタビューを録音したもので、演技論や小説のことなど、私によくおっしゃっていた話がそのまま入っていたんです。この舞台の宣伝のために出てきたとしか思えません(笑)」。そもそも三島が自身の作品を美輪に託したのは、その行間までをも表現し得る稀有な存在として認めたからだ。当初、なかなか当たらなかった三島の芝居は、美輪が『黒蜥蜴』に主演して、大評判を取るようになった。そこで次に三島が美輪に望んだのが、「近代能楽集」である。その短編戯曲集の中から、嫉妬心にかられて生霊となって不倫相手のもとに現れる女を描いた、小野小町と深草少将の伝説をもとに100歳の老婆の哀しい運命を描いた、この2作ならと美輪は答えた。「近代能楽集の中でも、このふたつはいちばん普遍性があると思ったからです。の描く不倫なんて、ギリシャ悲劇の時代から変わりません。美しく生まれついたがゆえに自分を美しいと言った男は死に、100年ごとに生まれ変わるという運命を背負うことになるはまさに“正負の法則”です。両方とも、愛、美、死、無常といったこの世の法則に則ったことが描かれているんです」。では、100歳の老婆から美しい小町へと早替りする美輪の演技術にも驚かされるはずだ。が、「腰を曲げて、歯の抜けたしゃべり方をする老婆からスッと美女になるのは、体力的にも大変なんです。これが最後になるかもしれないと思っています」と美輪。だからこそ、「三島という天才から託されたものを伝えていきたいと思います」と気持ちも募る。恐ろしくも切なく美しくドラマティックに。天才に信頼された美輪だから描けるエンターテインメントである。近代能楽集より『葵上・卒塔婆小町』は、3月26日(日)東京・新国立劇場中劇場より上演。その後各地を周る。取材・文:大内弓子
2017年02月02日主演のリリー・フランキーを始め、亀梨和也、佐々木蔵之介ら豪華キャストが出演する映画『美しい星』。この度、本作の特報映像が解禁された。ある日突然、自分たちは宇宙人であると覚醒した平凡な家族。彼らはその手に「美しい星・地球」を救う使命があると信じ、それぞれに奮闘しはじめる――。大杉重一郎は予報が“当たらない”ことで有名なテレビ気象予報士。悪くない仕事、悪くない暮らし、悪くない家族関係(妻・息子・娘)、悪くないはずの人生。そんなある日、重一郎はあるものと遭遇する。それは空飛ぶ円盤!?「自分は火星人。世界を救うためにこのホシに遣わされたのだ」重一郎のなかに“火星人”が覚醒する。覚醒は止まらない。息子の一雄が水星人、娘の暁子が金星人として次々目覚める。それぞれの母星から使命を受け取った家族はそれぞれのやり方で世界を救おうと奮闘しだすが、やがて様々な騒動に巻き込まれ、傷ついていく…。三島由紀夫が1962年に発表した異色の同名SF小説を原作に、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化。前々から映画化したいと思っていたと言う監督は、「映画監督になりたいというより、『美しい星』を監督したいと思っていました」と熱を込めて語ており、本作では、映画の舞台を現代に置き換えるという大胆不敵な脚色に挑んだ。キャストには、主役の“当たらない”ので有名なお天気キャスター・大杉重一郎(火星人)役のリリーさんを始め、その長男でフリーターの一雄(水星人)役に亀梨さん、長女で美貌の女子大学生・暁子(金星人)役に橋本愛、専業主婦の妻・伊余子(地球人)に中嶋朋子、大杉一家に近づく謎の代議士秘書・黒木克己役に佐々木さんが出演する。このほど到着したのは、大杉家の家族がある日突然、宇宙人として覚醒する様が描かれる特報映像。父の重一郎は火星人、長男の一雄は水星人、妹の暁子は金星人に。地球の為に、地球の為にとうるさい3人に苦言を呈するのは重一郎の妻・伊予子。なぜか彼女は地球人のままだ。そして、「地球に救う価値はありますか?」と地球を背景に意味深なナレーションが投げかけられ映像終了。一体今後どのように展開していくのか?またどんな結末を迎えるのだろうか…?『美しい星』は5月、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2017年01月13日世界有数のアート都市でもある東京では、2017年も刺激的な展覧会が目白押し!エルメス財団が運営する銀座メゾンエルメス フォーラムや東京都写真美術館、岡本太郎美術館などエッジの効いたアート作品に触れられる場所が至るところにある。その他、横浜、金沢、青森でも魅力的な展示が開催中。アートに触れて、心身をリフレッシュしよう!■オブジェと身体の共犯、銀座メゾンエルメス フォーラムで「曖昧な関係」展世代や国籍、表現方法の異なる3人のアーティストの作品を通して、作品と身体との間に生まれる関係性について考察した「曖昧な関係」展が、2月26日まで銀座エルメス フォーラムで開催される。気鋭の現代アーティストが生み出す珠玉の作品をお見逃しなく。■森山大道、ホンマタカシ、畠山直哉らが様々な視点から“東京”の街を切り取った写真展東京都写真美術館が“東京”をテーマに収蔵品で構成するコレクション展「TOPコレクション 東京・TOKYO」を1月29日まで開催する。「東京を表現、記録した国内外の写真作品を収集する」という収集方針の一つのもと、荒木経惟、森山大道らの作品を展示する。■ターナー賞受賞、15人の建築家集団アセンブルの展覧会が表参道でスタート現代美術界で最も重要な賞の1つといわれるターナー賞を受賞した建築家集団のアセンブル(Assemble)を紹介する「アセンブル_共同体の幻想と未来」展が、2月12日まで東京・表参道のEYE OF GYREにて開催中。建築に留まらず活動する彼らの作品に触れてみよう。■舘鼻則孝が岡本太郎記念館をジャック!「舘鼻則孝 呪力の美学」展開催東京芸術大学の卒業制作「ヒールレスシューズ」がレディー・ガガの目にとまり、一躍アートシーンに躍り出た舘鼻則孝の展覧会「舘鼻則孝 呪力の美学」が、3月5日まで東京・南青山の岡本太郎記念館にて開催中。岡本太郎記念館をジャックした最大規模の展覧会となる。■「篠山紀信展 写真力」が横浜美術館で開幕、ゆずや草笛光子など新出展作を含む約120点を公開全国25会場を巡回し75万人を超える人々を魅了してきた「篠山紀信展 写真力THE PEOPLE by KISHIN」が2月28日まで横浜美術館にて開催される。ジョン・レノン(John Lennon)、三島由紀夫、勝新太郎など著名人の写真の他、東日本大震災を映した作品も公開。■金沢21世紀美術館で「工芸とデザインに境目はあるか」を探る展覧会開催。監修は深澤直人「工芸」と「デザイン」の曖昧さに注目した「工芸とデザインの境目」展が、3月20日まで金沢21世紀美術館で開催される。プロダクトデザイナー深澤直人が監修を務め、「プロセスと素材」「手と機械」などのテーマから、工芸とデザインの境界を浮き彫りにしてゆく。■写真家トーマス・ルフが東京に続き金沢へ。東京展でも未発表の新作を含む約160点を公開現代の写真表現をリードしてきた写真家のトーマス・ルフによる日本初の回顧展となる「トーマス・ルフ展」が東京に続き、12月10日から17年3月12日まで石川県の金沢21世紀美術館にて開催される。初期作品から代表作「Portrats」などを含む大規模な展示となる。■ヨーガン レールが最後に残したメッセージ。海辺のゴミで制作した光のオブジェなど約140点を十和田市現代美術館で公開衣服、インテリア用品、家具、キッチンウェアなど、ライフスタイル全般のデザイナーとして知られるヨーガンレール(Jurgen Lehl)。没後初の回顧展となる「On the Beach ヨーガン レール 海からのメッセージ」が、2月5日まで青森の十和田市現代美術館で開催される。
2017年01月07日横浜美術館で「篠山紀信展 写真力THE PEOPLE by KISHIN」が開催されます。期間は2017年1月4日(水)から2月28日(火)です。篠山紀信の50年余年にわたる歴史の中から、彼自身が厳選した約120点の写真が展示されます。大迫力の大型パネル!美術館で「体感する」篠山紀信の写真写真家・篠山紀信の50余年にわたる膨大な仕事の中から彼自身が選んだ写真約120点が集結。大型パネルに仕立てられ、美術館の空間に展示されます。手元でひらく本のサイズでなく、メートル単位の巨大な大きさに仕立てられた写真の数々は圧巻です。ダイナミックな作品は観る人の思い出を生き生きと呼び覚まし、展示室を新たな出会いの場へと変えていきます。美術館の大空間と、圧倒的インパクトのある写真との対決、「写真力」対「空間力」の世界を堪能しましょう。5つのセクションで作品を味わおう●GOD鬼籍に入られた人々ジョン・レノン、三島由紀夫、勝新太郎、美空ひばりなど、多くの人にその死が惜しまれ、今もなお人々の心の中に生き続ける著名人が集められたセクションです。写真を撮る行為そのものが相手をリスペクトすることだと語る篠山紀信は、相手の最良の姿を写真にする姿勢を一貫して堅持しています。モデルが瞬間的にみせる絶妙なしぐさなど、決定的な偶然が作用した写真の美を堪能しましょう。●STARすべての人々に知られる有名人山口百恵、吉永小百合、AKB48、松田聖子など、1970年代から現在まで、その時々のグラビアや写真集を彩ったスターたちが題材のセクション。「写真は時代の映し鏡」と語る篠山紀信の仕事のベースはここにあります。撮影された時のモデルの顔つきやファッション、構図などから、撮影のコンセプトやストーリーがにじみでる作品です。スターたちのあのころのイメージに、観る人自身の過去を重ねることもできるでしょう。●SPECTACLE私たちを異次元に連れ出す夢の世界東京ディズニーランド、歌舞伎など、現実の中にありながら、そこには日常を超えた世界が展開する場も、篠山紀信の重要なレパートリーの一つです。観客が一人もいないディズニーランドに独自キャラクター「シノラマン」に扮して潜入した篠山紀信。そこで写したキャラクターたちの「休日」は、誰もが知るディズニーランドの、誰も知らないもうひとつの夢の世界です。複数の写真をつなげる篠山紀信独自のパノラマ写真「シノラマ」も見どころの一つ。複数のカメラを同時にリリースしたり、自在に遠近を使い分けて奥深い世界観を表現したり、制作の手法はさまざまです。情感豊かで新しい写真の世界を味わいましょう。●BODY裸の肉体-美とエロスと闘い樋口可南子、宮沢りえ、浅岡ルリ子などが被写体となっているヌード作品。写真にとって、ヌード作品は発明以来の重要なモチーフです。1968年に発表された「The Birth」をはじめとして、さまざまなヌードを手がけてきた篠山紀信。単身、集団、女、男、大都会、大自然。モデルとロケーションの組み合わせひとつひとつが濃密な絵巻となって、それぞれの時代に新たな美学が提示されてきました。その中でも、篠山紀信選りすぐりのショットを集めたセクションです。●ACCIDENTS2011年3月11日-東日本大震災で被災された人々の肖像2011年3月11日の東日本大震災で被災された人々を写した作品です。人知を超えた一瞬の大震災で家族、大切な人を失い、家をなくした数多くの人々。普通ではない理不尽を体験した人々の表情を、その時代を、写真家として残さないわけにはいかなかったと篠山紀信は語っています。写真は、話を聞いて心を開いてくれたと思う人にのみ同意を求め、撮影されました。背景をぼやかし、ピントを人物に集中させた写真は、大震災を人と人、人と場のつながりからとらえた作品です。開催されるコンテンツをチェックしよう●篠山紀信のアーティスト・トーク写真家・篠山紀信によるアーティスト・トークが開催されます。日程:2017年1月7日時間:15:00~16:30(開場14:30)会場:横浜美術館レクチャーホール定員:240名※当日13時30分より総合案内で整理券が配布されます。●学芸員によるギャラリートーク学芸員によるギャラリートークが開催されます。日程:2017年1月28日、2月11日、2月25日時間:15:00~15:30会場:企画展展示室●夜の美術館でアートクルーズ閉館後の美術館を参加者だけで独占できる特別な展覧会です。学芸員の解説とともに贅沢な時間を楽しみましょう。申し込みはウェブサイトの専用申込みフォームで可能です。日程:2017年2月4日時間:19:00~21:00会場:企画展展示室定員:18歳以上・60名参加費:3,000円コレクション展も合わせてチェック!横浜美術館では、「篠山紀信展 写真力」の開催に合わせて「写真」に焦点を当てた特集展示を行います。商業写真発祥の地・横浜に設立された美術館として、写真をコレクションの大きな柱に掲げて収集活動を行ってきた横浜美術館。横浜美術館開館以来の試みとして、全館での写真展示が行われます。「写真力」のチケットを持っている人は当日に限り、コレクション展を無料で観覧できます。ぜひ合わせて観覧してみてください。●昭和の肖像-写真でたどる「昭和」の人と歴史1926年から1989年の長きに渡った「昭和」の時代。関東大震災からの復興に始まり、二度に渡る世界大戦、敗戦からの再びの復興、高度経済成長を経てバブルへ。日本の歴史の中で最も揺れ動いた「昭和」を無数の写真とともに振り返ります。いきいきとした表情をうつしだす人物のポートレート、風景や風俗写真など興味深いものばかりです。●“マシン・エイジ”の視覚革命-両大戦間の写真と映像第一次・第二次大戦間はアメリカで「マシン・エイジ」(機械の時代)と称されます。この間に飛躍的進化と爆発的普及を遂げた写真と映像。この時代だからこその写真・映像芸術について、2つのメディアの関係性に焦点をあてながら振り返ります。●関連イベントもチェック●アーティストトーク沖縄在住の女性写真家、石川真生氏によるアーティストトークです。講師: 石川真生(写真家)日時: 2017 年2 月24 日(金) 18:30~20:00(開場18:00)会場: 横浜美術館レクチャーホール申込み・参加費: 不要(240 席)、無料●ギャラリートークさまざまな切口で学芸員やエデュケーターが作品の見どころや楽しみ方を紹介します。日時: 2017 年1月13日、1月27日、2月10日、2月24日いずれも金曜日、14:00~14:30会場: コレクション展展示室申込み・参加費: 不要、無料(当日有効の観覧券が必要)イベント概要名称:篠山紀信展 写真力THE PEOPLE by KISHIN開催期間:2017年1月4日(水)~2月28日(火)開催場所:横浜美術館開催時間:10:00~18:00※2月23日(木)は16:00、2月24日(金)は20:30まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:木曜日※ただし1月5日、2月23日は開館チケット:一般1,500円(1,300円)、大学・高校生900円(700円)、中学生600円(400円)、小学生以下無料、65歳以上1,400円※()内は2017年1月3日(火)までの前売り価格※65歳以上は要証明書、美術館券売所でのみ対応公式サイト:名称:横浜美術館コレクション展2016年度第3 期開催期間:2017年1月4日(水)~2月28日(火)開催場所:横浜美術館開館時間 10:00~18:00 (入館は閉館の30 分前まで)※2月23日(木)は10:00~16:00、2月24日(金)は10:00~20:30休館日 木曜日 *2017年1月5日、2月23 日を除く観覧料 一般 500(400)円 大学・高校生300(240)円 中学生100 (80)円 ※小学生以下無料※企画展ご観覧当日に限り、企画展の観覧券でコレクション展もご覧いただけます。
2016年12月27日お笑いコンビ・メイプル超合金のカズレーザーが、あす27日(23:20~24:20)に放送されるテレビ朝日系単発バラエティ番組『メイプルマナミの極めびと人生相談』で、歌手で俳優の美輪明宏と熱く語り合う。この番組は、常人には計り知れない才能を持つ"極めびと"の悩みを、カズレーザーが解決していくというもの。ナースを束ねる看護師長として相方の安藤なつ、クリニックの実権を握る院長の愛人ナースとして橋本マナミが共演する。今回来院するのは、三島由紀夫や江戸川乱歩など数多くの文化人との交友関係を持つ美輪。「言葉遣いが乱れている」と悩みを打ち明け、「タメ口文化」や「日本語の省略化」が、「人間関係の乱れ」、ひいては世の乱れの原因になっていると主張する。さらに、若者や、テレビに出ている芸能人の言葉遣いなどについて見解を示すが、これに対してカズレーザーは「言葉は進化するもの」だと反論する。また、美輪は「洋服が、黒やグレーなど暗い色づかいのものが主流となっている」ことが、世の中を乱している原因なのではないかとの考えも披露。全身真っ赤なドレスで登場した美輪と、学生時代から赤い服を着ることをポリシーとしているカズレーザーが、色に対するこだわりについて、熱く語り合う。同番組には、巨大ネット掲示板・2ちゃんねるの創設者・西村博之氏も出演。「ネットにウソがはびこっている。ウソをつけば儲かる仕組みになってしまっている」と悩みを相談する。
2016年12月26日新国立劇場にて来春「かさなる視点-日本戯曲の力-」と銘打ち、近代演劇の礎となった昭和30年代に発表された3本の戯曲を、30代の3人の演出家の手で上演することが決定した。三島由紀夫の『白蟻の巣』を演出する谷賢一、安部公房の『城塞』を上演する上村聡史、田中千禾夫の『マリアの首-幻に長崎を想う曲-』の演出を務める小川絵梨子、同劇場の芸術監督を務める宮田慶子が出席しての取材会が行われた。【チケット情報はこちら】宮田は“国立”の劇場として「日本の戯曲を大切にしたいとずっと思っていた」と語る。2010年の芸術監督就任から「JAPAN MEETS…-現代劇の系譜をひもとく-」シリーズでは近現代の海外戯曲の新訳などを上演してきたが、満を持しての国内の名作の上演。「脂の乗った30代の演出家たちが、あの時代の日本の戯曲にどう向き合うか見てほしい」と期待を寄せた。3作品は、いずれも昭和30年代に発表されており、宮田はこの時代を「戦後10年以上が経って、焦土から復興を遂げ、そろそろ高度経済成長が始まる頃であるけど、戦争の跡と新しい時代の狭間で軋んでいた時代」と語る。『白蟻の巣』は三島の初長編戯曲。ブラジルの農園を舞台にした人間ドラマで、戦後の空虚感が色濃く描き出される。谷は「当時の現実にベッタリとへばりつく必要はない。34歳の僕がいま読んでピンと来た、現代と重なる部分を立てるような形で演出していきたい」と意気込みを口にした。『城塞』は、ある一家の姿を通して安部公房が戦争責任を問うた作品だが、上村は「“戦後”をテーマに掲げて上演したい」と語る。「いま、グローバルな価値観と、民族性や国民性といったドメスティックに根付いている日本人のローカルな価値観が軋み始めている印象があり、不穏な音を立てている気がしています。演劇でそのこととどう対峙できるか? 敗戦後の再生の陰で変わらなかった日本人の精神、戦争責任の所在に目を向けることで、その軋みをひも解く糸口になるのではないか? いま、上演されて真価が発揮される作品だと思います」と自信をのぞかせた。小川は宮田から、被爆地・長崎を舞台にした『マリアの首』を勧められ、目を通して「直感で、やってみたいと思った」と明かす。これまで翻訳劇が多かったこともあり「挑戦であり、プレッシャーや不安もあるし、難しい作品だと思います」とも。本作に挑む上でとっかかりとして挙げたのが「当時、大人とは言えないまでも、既に息づいていた」75歳の自身の父親の存在。「市井の人々の話であり、生活臭をちゃんと描くことが大事だと思っています。そこにあった“ニオイ”を私も体感したい」と語った。同世代の演出家が、同じ時期に発表された名作を演出するということで「比べられる(苦笑)」(小川)、「一生懸命、ケンカしたい(笑)」(谷)など、互いを意識する発言も。「次の時代を拓き、日本の演劇界を引っ張っていく三人」(宮田)がどのように“戦後”に挑むのか?楽しみに待ちたい。公演は3月から5月まで順次上演。いずれも新国立劇場小劇場にて。取材・文・撮影:黒豆直樹
2016年12月05日写真家の篠山紀信の巡回展「篠山紀信展 写真力THE PEOPLE by KISHIN」が、17年1月4日から2月28日まで横浜美術館にて開催される。12年の開幕以来、全国25会場を巡回し75万人を超える人々を魅了してきた「篠山紀信展 写真力THE PEOPLE by KISHIN」。巡回スタートから5年を経て横浜で開催される同展では、美術館の空間を5つのセクションに分け、篠山の50余年に渡る膨大な作品の中から篠山自らが選んだ写真作品約120点を大型パネルに仕立てて展示する。「GOD」のセクションでは、有名人の肖像作品が仕事の中心を占めてきた篠山による、多くの人にその死が惜しまれ、今も人々の心の中に生き続ける著名人の肖像作品を展示。ジョン・レノン(John Lennon)、三島由紀夫、勝新太郎、美空ひばり、大原麗子などの作品が展開される。「STAR」のセクションでは、山口百恵、吉永小百合、AKB48、松田聖子、小林旭、南沙織、舟木一夫、長崎茂雄、ピンク・レディー、北野武などの著名人を写した作品が展示される。また、「SPECTACLE」では複数の写真を横につなげる篠山独自のパノラマ写真「シノラマ」を公開。東京ディスニーランドや、後藤久美子が遊ぶメルヘンの舞台軽井沢、歌舞伎、草間彌生などのインスタレーション作品がラインアップされる。「BODY」では、18歳の宮沢りえをはじめ、樋口可南子や浅丘ルリ子、舞踏家のウラジーミル・マラーホフ(Vladimir Malakhov)などのヌード写真を展示。単身や集団、女や男、ダンサーやアスリート、スタジオや室内、大都会や大自然など、様々な種類のヌード写真が並べられる。また、「ACCIDENTS」では、東日本大震災で被災された人々の肖像作品を出展。日本社会全体を揺るがした大震災を、人と人、人と場のつながりからとらえた写真作品となっている。その他、今回は横浜展のための特別セレクションとして、横浜出身の草笛光子や、横浜・伊勢佐木町の途上ライブから出発したゆずなど、横浜にゆかりの深い著名人の作品なども新たに加えて展示される予定だ。さらに、17年1月7日の15時から16時30分までは、篠山本人を迎えてアーティストトークを開催。17年1月28日、2月11日、25日には15時から15時30分まで学芸員によるギャラリートークが、17年2月4日には19時から21時まで、閉館後の美術館を参加者だけで独占できる特別な鑑賞会「夜の美術館でアートクルーズ」が行われる。なお、17年4月5日まで箱根の彫刻の森美術館で開催されている「篠山紀信展写真展KISHIN meets ART」との連動企画として、それぞれのチケットを提示すると相互の観覧料が割引となるサービスも行われている。【イベント情報】「篠山紀信展 写真力THE PEOPLE by KISHIN」会場:横浜美術館住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1会期:17年1月4日~2月28日時間:10:00~18:00(2月23日は16:00まで、24日は20:30まで、入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,500円、高大生900円、中学生600円、小学生以下無料休館日:木曜日(ただし1月5日、2月23日は開館)
2016年12月03日主演・リリー・フランキー、共演に亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子を迎え贈る映画『美しい星』。この度、新たなキャストとして佐々木蔵之介の出演が明らかになった。大杉重一郎は予報が“当たらない”ことで有名なテレビ気象予報士。悪くない仕事、悪くない暮らし、悪くない家族関係(妻・息子・娘)、悪くないはずの人生。そんなある日、重一郎はあるものと遭遇する。それは空飛ぶ円盤!?「自分は火星人。世界を救うためにこのホシに遣わされたのだ」。重一郎のなかに“火星人”が覚醒する。覚醒は止まらない。息子の一雄が水星人、娘の暁子が金星人として次々目覚める。それぞれの母星から使命を受け取った家族はそれぞれのやり方で世界を救おうと奮闘しだすが、やがて様々な騒動に巻き込まれ、傷ついていく――。原作は、三島由紀夫が1962年に発表した異色の同名SF小説。刊行当時「平凡な家族が、ある日突然“宇宙人”に覚醒する」という前衛的過ぎる設定で世間を大いに戸惑わせるも、熱狂的ファンを獲得していき、現在58刷495,000部のロングセラーとなっている。監督には、『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞最優秀監督賞・最優秀作品賞を受賞した吉田大八。「映画を撮り初める前から『美しい星』を映画にしたいと思っていました。映画監督になりたいというより、『美しい星』を監督したいと思っていました」と熱を込めて語る吉田監督は、本作で、映画の舞台を現代に置き換えるという大胆不敵な脚色に挑む。キャストには、“当たらない”ので有名なお天気キャスター・大杉重一郎(火星人)にリリーさん、長男・一雄(水星人)に亀梨さん、長女・暁子(金星人)に橋本さん、専業主婦の妻・伊余子(地球人)に中嶋さんが出演。新キャストとして発表された佐々木さんが演じるのは、大杉一家に近づく謎の代議士秘書・黒木克己役。ある日フリーターの一雄と出会い秘書にスカウトし、やがて大杉家との距離を縮めていく…という役どころだ。果たして黒木は敵か味方か?彼の目的は何なのか?そして彼は人間なのか宇宙人なのか…?映画青年だった吉田監督と同様、演劇青年だった佐々木さんも、大学在学中に原作を読んで夢中になり長らく愛読書としてきた一人。「当時は人間役を演じることの方が少なく、未知の宇宙生物なども多々演じて来ました。劇団名にも『惑星』が付いていました」と当時をふり返り、「奇跡なのか…運命なのか…本作品で吉田大八監督と初めて仕事をします。人間離れした吉田組のスタッフ・キャストにより、至高の三島由紀夫作品となりました。来年5月の全『宇宙』一斉ロードショー、お楽しみに!」とメッセージを寄せた。また吉田監督は、佐々木さんを前々からなんとなく怪しいと思っていたと明かし、「撮影を通じてそれは確信に変わっていき、興奮しました。 小さな頭や長い手足のことを言っているのではありません。眼です。蔵之介さんの眼は、いわゆる『目高』についていながら、はるか宇宙の彼方からこの星を俯瞰で見下ろしているような、眼です。と思ったらWikipediaにも同じようなことが書いてあったので、やっぱり間違いない」とコメント。「映画にとってはたいへん幸運なことでした」と出演を喜んだ。『美しい星』は2017年5月、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年11月25日「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの最新作『インフェルノ』。この度、数々の謎を解き明かしてきたトム・ハンクス演じるロバート・ラングドン教授の、天才的な頭脳の秘密が分かる特別映像が到着した。ロン・ハワード監督が贈る、『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に続くシリーズ第3弾『インフェルノ』。ダ・ヴィンチの名画に隠された暗号の謎を解き、ガリレオの暗号の謎を暴いてヴァチカンを救った宗教象徴学者ラングドン教授が、本作では人類滅亡の恐ろしい計画を企てている生化学者ゾブリストが詩人ダンテの叙事詩「神曲」<地獄(インフェルノ)篇>に隠した、暗号の謎に挑む。このほど到着した映像では、彼の活躍を演じるトム本人がふり返り、「インディ・ジョーンズとシャーロック・ホームズを足して2で割った感じだ」とラングトンを例えている。ラングトンは芸術、歴史、建築、地政学、文化など、ありとあらゆる知識と、ずば抜けたひらめき・推理力も持ち合わせ、さらに過酷な謎に体を張って挑む勇敢な心も持っており、これまでのシリーズでは天才的な頭脳と驚異的なアクションを披露している。そんな彼の人並み外れた能力の秘密をさらに明かしてくれたのが、シリーズ全作品を手掛けるハワード監督。「ラングトンは天才だ」と語る監督は、ラングトンの凄さが“記憶力”にあると明かしている。映像の中盤では、モナリザの絵画に浮かび上がる文字を、瞬時にすべて記憶してくラングドン教授の姿が映し出される。その秘密について監督は「大学の教授だが、映像記憶という能力がある」と解説。この映像記憶は、目で見たものをそのまま写真のように脳に記憶できる能力。歴史上の人物では、ダ・ヴィンチや三島由紀夫なども持っていたとされており、瞬時の光景を鮮明に思い出せるため、本をそのまま暗記できたり、その場の状況を緻密に絵に書き起こせたりするという。特殊能力を持ち、華麗な謎解きを見せてきたラングドン教授だが、なんと今回はその天才的な頭脳を万全に発揮できないピンチ。本作のラングドンは頭にケガを負い、状況を全くつかめない記憶喪失となっているのだ。シリーズで最も追い詰められるラングドン教授について監督は「ラングドンは自分のイメージとはかけ離れた“ある能力”を認めざるを得なくなる」と意味深なコメントも残している。持ち前の天才的な頭脳が使えない中、命を狙われながら人類存亡のために謎に挑むラングトンが、一体自身のどんな能力を見出すのか必見だ。『インフェルノ』は10月28日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年10月19日ヴェルディ、プッチーニなどのイタリアオペラを始め、三島由紀夫の小説をオペラ化した『金閣寺』や、軽妙洒脱なオペレッタ『チャールダーシュの女王』、ミュージカル『三銃士』でも、シャープで洞察的な演出が大きな話題を呼んだ演出家・田尾下哲。数多ある演出の可能性から「原典」と「スコア」の分析を重要視し、入念なプランによって全体を構成していく手法は、多くのプロダクションで優れた演劇効果を上げている。モーツァルトの『後宮からの逃走』はテーマ的にもとても難しい、という田尾下さんのコメントからインタビューははじまった。オペラ『後宮からの逃走』全3幕 チケット情報「ドイツ語の翻訳をドラマトゥルクの庭山由佳さんと見ていって、原語をそのまま日本語のセリフに移し換えて上演するのは大変難しいことに気づきました。テーマが、宗教差別や人種差別を扱っているので、いわゆる今日的な状況では『不適切な表現』が数多く出てくるのです。ですから、ドイツ語で理解した上で原作にある偏見を洗い流した台本を編み直しました。演出プラス、上演台本を担当するという形になっています」通のオペラファン以外は、ストーリーを知らない観客も少なくない『後宮からの逃走』。物語の神髄を伝えるために重要な役として浮上してきたのが、黙役であるトルコ太守セリムだという。俳優の宍戸開さんが演じる。「オペラの序曲で、セリムが南アフリカ時代にどういう目にあい、どういう人間関係を経験して今に至るかを、パントマイムや合唱の方の芝居で表現する予定です。モーツァルトのオペラで、これほど黙役が大きい意味をもつものは存在しないんですよ。歌わない役の「赦し」がこのオペラの大きなテーマになっている…だからこそ婚約者への貞節を誓うコンスタンツェの信念の強さが意味をもつんです。セリムが許すことで、心の中で犠牲にしなければならなかったもの…たとえば復讐心といったものを表していかなければと思います。「赦す」って、生ぬるいことではないんですよ」指揮者の川瀬賢太郎さんは、長い間年上の指揮者としか仕事をしてこなかった田尾下さんにとって、一回りも年下世代のマエストロ。川瀬さんからの質問には、こんな答えが。「どこで演出のアイデアを考えるか? というと、場所は関係なく楽譜を見ているときに色々思いつきます。特にオーケストラのフルスコアを見ていると色々なイメージが湧くんですよ。モーツァルトで一番好きなオペラは、『フィガロの結婚』で、次に川瀬さんとやりたいのも『フィガロ』がいいですね。(田尾下さんは天然ですか?の質問には)どちらかというと計算ずくです。アシスタント時代が長かったので、人を言葉で傷つけないように意識的に振る舞うことを心がけています。いつも冷えピタシートを貼っているのは…片頭痛のせいです。脳がオーバーヒートすると頭痛が起こるので…でも、友人のすすめで先日MRIを撮影して、異常がないとわかってから、片頭痛も起こらなくなりました(笑)」11月11日(金) から11月13日(日)まで東京・日生劇場にて。取材・文:小田島久恵
2016年10月12日2016年1月に亡くなったアーティスト、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の大回顧展「DAVID BOWIE is」が、2017年1月8日(日)から、東京・天王洲の「寺田倉庫G1ビル」で開催!2013年にイギリスからはじまった巡回展が、いよいよ日本にやってきます。「20世紀で最も影響力のあるアーティスト」といわれる、デヴィッド・ボウイの50年にわたるクリエイティビティの軌跡をたどりましょう。「DAVID BOWIE is」の見どころミュージシャン、アーティストとして活躍し、ファッションなどアートや文化にも多大な影響を与えたデヴィッド・ボウイ。「DAVID BOWIE is」では、そんなデヴィッド・ボウイの多岐にわたる活動を300点以上の展示品、音、映像を駆使して紹介しています。●『スターマン』「ポップ・ミュージックの流れを変えた」といわれるパフォーマンスが、1972年にイギリスBBCの音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」でデヴィッド・ボウイが披露した『スターマン』。スターマンの衣装と「トップ・オブ・ザ・ポップス」の映像により、当時の衝撃を再体験することができます。●ファッションデヴィッド・ボウイは世界の一流デザイナーとコラボレーションして、斬新なファッションを生み出し続けました。山本寛斎、アレキサンダー・マックイーン、ジョルジオ・アルマーニ、エディ・スリマンらによる衣装展示は見逃せません。ミュージック・ビデオで見た、あの衣装が展示されているかも!?●JAPAN日本文化からインスピレーションを得、親日家としても知られていたデヴィッド・ボウイ。歌舞伎の化粧法や早変わりをライブ・パフォーマンスに取り入れていました。デヴィッド・ボウイを40年以上撮影してきた鋤田正義の写真、山本寛斎がデザインした漢字柄のマント、デヴィッド・ボウイが描いた三島由紀夫の肖像画など、日本とのつながりを感じる展示がおこなわれます。●音と映像で「音楽を展示」音と映像をフルに使ったマルチメディアにより、デヴィッド・ボウイの「音楽を展示」します。入場者1人ひとりにヘッドフォンが提供され、インタビュー音源を聞きながら展示を観賞。スクリーンでのライブ・パフォーマンス体験など、五感でデヴィッド・ボウイの世界へと没入することができますよ。日本だけのスペシャルコーナー!1983年に公開された映画「戦場のメリークリスマス」(監督・大島渚)の名場面が上映されます。さらに映画で共演した北野武氏、坂本龍一氏の撮り下ろしインタビュー映像も。「David Bowie Meets Japan」と題し、映画を通じてデヴィッド・ボウイの美学やクリエイティビティを感じられる構成になっています。また、会場では日本限定のグッズも販売される予定。貴重なグッズを手に入れましょう。大回顧展「DAVID BOWIE is」がスタートする2017年1月8日(日)は、存命ならばデヴィッド・ボウイ70歳の誕生日。比類なき表現者、デヴィッド・ボウイの世界にぜひ触れてください。チケットの先行発売は2016年10月3日(月)からはじまっています。亡くなったあとも人々をインスパイアし続けるデヴィッド・ボウイの大回顧展は、ファンならずとも必見です!■イベント概要名称:大回顧展「DAVID BOWIE is」開催期間:2017年1月8日(日)~4月9日(日)会場:寺田倉庫G1ビル所在地:東京都品川区東品川二丁目6番10号開館時間:10:00~20:00 (最終入場19:00)※金曜日のみ10:00~21:00 (最終入場20:00)休館日:毎週月曜日 ※1月9日、3月20日、3月27日、4月3日は開館前売り料金:一般2,200円 (当日券2,400円)、中高校生1,000円(当日券1,200円)、 ※小学生以下は入場無料。限定オリジナルグッズ付きチケット5,000円 (当日券は扱いなし)公式サイト:
2016年10月10日古典はもちろん、バレエを原作とする『ジゼル』や、人気漫画『ガラスの仮面』内の劇を能にした『紅天女』などの新作能にも積極的に取り組む、能楽観世流シテ方で人間国宝の梅若玄祥が、自身の企画する「至高の華」で能『弱法師』を上演する。讒言を鵜呑みにした父に家を追放され、天王寺で盲目の乞食になった俊徳丸が、訪ねて来た父と再会を果たす物語だ。世阿弥の長男・観世元雅によって書かれたあと上演が途絶えるも、江戸中期に復曲されて今に至るが、今回は現行版ではなく、世阿弥自筆本に基づく版で上演される。その理由を、玄祥はこう語った。「至高の華」チケット情報「30代のころ、演出家の堂本正樹さんや能楽師の大槻文蔵さんと、 “能劇の座”という会で色々な曲の発掘や演出の見直しなどをしていて、この世阿弥自筆本での上演もやりました。現行版の『弱法師』は、削って削って、ただ舞台に弱法師が座っているだけという“能的”なものになっていますが、世阿弥自筆本は、天王寺の僧たちや弱法師の妻も登場するなど“演劇的”で“現代的”。ではどちらの版がいいかというと、両方です。昔はこうだった、で終わらせず、現行版とは違う、もうひとつの『弱法師』を完成させなければならないのです」玄祥がこの版でシテの俊徳丸を勤めるのは、“能劇の座”の後、今回が恐らく4回めだという。「現行版と違ってこの版では、弱法師が妻と連れ立って登場し、天王寺のガイドをして生活しているという経済状況が見えます。その分、最初に演じた時は内面性の点で浅くなりがちだったかもしれません。だからこそ繰り返し上演することに意味があります。非常に役者の技量が問われるので、存在感が必要な俊徳丸の父・高安左衛門の役を、今回、(狂言方和泉流で人間国宝の)野村万作先生にお願いし、快くお受けいただきました」通常とは勝手が異なる部分が多く困難を伴うにもかかわらず、敢えて上演するのは、玄祥の使命感の表れだ。「僕は(2014年に)人間国宝の認定をいただいた時、伝承を作っていかなくてはいけないのだなと思ったのです。人間国宝は個人的な栄誉ではなく、伝承する仕事を承ることを意味しますから。能はずっと伝承されてきましたが、それだけに頼らず、それらを踏まえた上での自分にとっての伝承を、今後、何十年何百年と残るようにしていくことが僕の課題。できるかどうかは別として、思いは残さなくてはなりません。今回の公演は、その手始めとなりそうです」15世紀に書かれた能だが、今なお、この物語は人の心をつかむ。「俊徳丸は思いがけない不幸に見舞われますが、実際、人生では何が起きるかわかりませんよね。だからこそ、三島由紀夫も戯曲化したのでしょう。最後は親子が再会するハッピーエンドですが、そこには元雅の、父・世阿弥に対する思いが表れているのかもしれません。演劇的な分、初めて能をご覧になる方にもわかり易く、飽きずに観ていただけると思います」公演は9月22日(木・祝)東京・国立能楽堂にて。取材・文:高橋彩子
2016年09月08日コンビニ店員であることがアイデンティティー、そんな女性の日常を描いた『コンビニ人間』で、第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さん。なんと、ご自身もコンビニ店員であるという…。――ご自身も、大学生の頃からコンビニでアルバイトしてきたわけですが。村田:そうです。私は小さい頃から何をやらせても不器用で、しかも内気で人見知りなので、家族から「沙耶香は社会に出られるんだろうか」と言われていました。それで大学生の頃、近所にコンビニが建ったので、そこでバイトをしてみようと思って。すでに人間関係ができあがっているところに後から入っていく勇気はなかったのですが、お店がオープンする時から参加できるならハードルが低い気がしたんです。やってみたら、私ほどマニュアルを読み込んだり研修を受けたりする人があまりいなくて「村田さん頑張ってるね」と声をかけられたりして、溶け込めた気がしました。コンビニは男女の扱いの違いもないので、男の子とフランクに喋れたのもよかったですね。いろんな意味で、世界に溶け込めた気がするので、コンビニにはすごく感謝しています。最初にアルバイトしていた時の人たちとはいまだに付き合いがありますよ。結婚している人もしていない人もいますが、たまにその6人くらいで集まって飲んだりしています。グループでLINEもしているんですが、受賞した時は「村田さんがニュースに出ていて笑った」って書いてありました。「普通にすげー」って(笑)。――専業作家にならずにバイトを続けているのはどうしてですか。村田:わりと暇なお店をバイト先に選ぶせいか、私が働くお店は結構閉店しちゃうんです。それを機に専業になろうかなと思うんですが、執筆が進まなくて、またバイトを始める…ということを繰り返してきました。週3日バイトをしているんですが、コンビニで働いている日のほうがめちゃめちゃ執筆が進むんです。原稿を待たせている編集さんにも「コンビニで働く日を増やしてください」と言われます(笑)。バイトもせずにずっと家にいると、ゴロゴロしながら空想に没頭してしまうんですよね。それは小説を書く状態とは程遠くて。コンビニで働くなど、強制的にリアルな世界に自分を連れていかないと執筆できないようです。――あれ、前はお仕事場を持って通っていましたよね。村田:持っていました。仕事場があればもっと働くんじゃないかと思って。でも、「あの部屋に行って小説を書かなきゃいけない」と思うと、出社拒否みたいになってしまって(笑)。結局引き払いました。家賃は安かったんですけれど、あれは人生最大の無駄遣いでした。――小説を書き始めたのは?村田:小3か小4ですね。紙を四つ折りにしてホチキスで留めて、漫画や小説を書いて友達と交換するのが流行っていたんです。私は双子の女の子がバラバラに引き取られる、といった話を書いていました。そこから、だんだん友達に見せる用の小説と自分だけ用のものを書き分けるようになっていきました。でも高校時代に山田詠美さんの作品に出会って、こんな美しい文章に触れるのははじめてだと思って。あまりにも山田さんの文章への憧れが強くて、自分が書くなんて無理だと思って、書けなくなってしまいました。大学も文学部芸術学科という、演劇や絵や小説などの実技が学べるところに進学したんですが、やっぱりスランプのまま。それで、芥川賞作家の宮原昭夫先生が横浜文学学校という小説の講座を開いていることを知って、参加してみたんです。宮原先生が本当に素晴らしくて、参加している人も純粋に書くことを楽しんでいて。私はそれまで小説は素晴らしくて高尚なものと思い込みすぎていたようです。先生が「ヘタでもいいから名刺代わりに作品を出しなさい」と言ってくださって、それでまた書けるようになっていきました。その頃に書いた2作目の小説を『群像』に応募して、卒業後に受賞しました。――それが2003年に群像新人文学賞優秀作となった「授乳」ですね。そしてデビューが決まり、今、作家生活13年目です。初期の頃からセックスや家族に対する価値観を揺るがすものが多く、最近では10人産めば1人殺してもいい社会を描いた『殺人出産』など、テーマや設定に度肝を抜かれるものも多いですね。村田:振り返ってみると、本当に自由に書いてきたんだなと思います。それでここまでお仕事をいただけてきたことが奇跡です。スピルバーグ監督がインタビューで演技について訊かれた時に「笑われることを恐れない勇気を持つことだ」とおっしゃっていて、小説も本当にそうだなと思って。たぶん「また村田がバカなことをやっているな」と笑っちゃう人もいるかもしれませんが。◇むらた・さやか1979年、千葉県生まれ。玉川大学文学部卒業。2003年「授乳」が群像新人文学賞優秀作となりデビュー。'09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、'13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、本年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した。◇芥川賞受賞作『コンビニ人間』は、コンビニに勤めて18年、未婚、恋愛経験なしの女性・古倉恵子が主人公。本人は現状に満足しているが、周囲からは結婚や就職の心配をされる日々。新人の白羽は婚活目的でバイトを始めたというが、仕事のやる気も見せず言い訳と愚痴ばかり。恵子に対しても、はなから見下した態度をとるのだが…。文藝春秋1300円※『anan』2016年9月7日号より。写真・千倉志野インタビュー、文・瀧井朝世
2016年09月01日ミハラヤスヒロ(MIHARA YASUHIRO)は17SSシーズンからロンドンにコレクションの場所を移した。そして、6月17日にコレクションが発表された1週間後、イギリスEU離脱の国民投票が行われた。デザイナーである三原康裕がロンドンコレクションに発表の場を移したことと、イギリスのEU離脱を結びつけるのは、安易だろうか。今回のインタビューは、先日発表されたコレクションについて掘り下げるだけではない。彼はロンドンでは語ることができなかった心の内を、赤裸々に語ってくれた。そこからは、彼が見据えるファッションの未来を垣間見ることができるだろう。ーー今回はロンドンに場所を移されてから、初めてのコレクションでした。どのような思いや意図があったのでしょうか?具体的な話をする前に、コレクションやテーマ設定へのアプローチからお話しする必要があります。今回は「自分が今の時代に何を感じているか」という、自問から入りました。ここ最近は、政治でも経済でも、あらゆるものの考え方や価値観がビジネスライクになってしまったなと感じています。また、アジアであったり、ロシアも中国も資本主義的な傾向になっていく中、皆が絶対であろうと思った資本主義経済が破綻を起こすのではないかという危機感もありました。つまり、イギリスやヨーロッパだけではなく、世界中の政治経済や文化の“近代化からこれまで”を、線でなぞるようなコレクションにしてみたいと思いました。ーー前々回はダダやニューオブジェクティビティーなど、20世紀前半の芸術活動がテーマとしてありましたよね。特に戦前のアートムーブメントに焦点を当てました。カメラが誕生した1800年代後期、写真のように絵を描く人たちは窮地に追い込まれました。絵画が写真によって駆逐されていった時代ですね。しかし、その後アートは力強く変わっていくことになります。印象派であったり、ピカソのような天才を生み出したり、変革の時代を経験します。それから100年程の時を経た現在は、“アートの転換期”に近い過渡期にあるのかと感じています。テクノロジーの進化、インターネットの出現、そしてSNSの隆盛。僕らは今、渦中にいるから分かりづらいですが、いろんなアート、文化がこれによって変化を遂げつつあると感じています。先日、ロンドンコレクションで披露されたミハラヤスヒロ17SSファーストルックーー今回のコレクションは、ハンドペイントや切りっぱなしのデニム、馬蹄のネックレスなど、DIY的なハンドメイド感の残るアイテムも多く見られました。ショーの後、多くの人はアメリカのユースカルチャーがテーマだと思ったかもしれませんね。ですが実は、今回のコレクションは『Rebel Youth』という一冊の写真集からスタートしたんです。カールハインツ・ワインバーガー(Karlheinz Weinberger)という写真家による、1950年代のスイスやドイツの若者たちを追った写真集です。第2次世界大戦後のヨーロッパの若者たちが、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)やジェームズ・ディーン(James Dean)らに影響されて、アメリカナイズされていく過程を切り取っています。興味深かったのが、その子たちは当時のアメリカをそのままコピーしたのではなくて、自分なりにそれを表現していたところです。それこそ、古びた看板や馬蹄、国旗などを再利用してDIY的に作っているんです。だからすごく“いびつ”なんですよね。ーーその“いびつさ”が意味するところとは何でしょう?僕が今回のコレクションで本当に表現したかったのは、“歪曲した不安さ”にあります。当時のアメリカナイズされたヨーロッパの文化であったり、若者ならではの反骨精神や、不完全な情動の美しさ、といったものです。要するに、これは日本でも起きた現象なんです。三島由紀夫が切腹したのは、アメリカの文化が入ってくる中で、日本特有の文化や価値観を失っていく世間や時代に警笛を鳴らしたとも言えます。ーーつまり、青年たちの反骨精神を湛えた“目線”で、今の世界を見つめ直したということでしょうか?若者は常に、何かしら世の中に反抗したいとい気持ちを持っているものです。世界情勢や経済の不安定さなど、なんとも思わずに生きていこうとしますから。僕はそういう姿勢に共感を覚えるとともに、それをコレクションで発表するということは一種の“アンチテーゼ”になり得ると思いました。コマーシャルになり過ぎてしまっている世の中やファッションに対して、疑問を呈すると言いますか。それを向こうのジャーナリストには言えなかったですけどね(笑)。アンチテーゼとは言わずに、代わりに写真家の名前だけ告げました。でも、勘のいい人は分かっていたでしょうね。ただ、コレクションルックを見て、こういうメッセージがあるからどうのこうのっていうより、もっと直感的に面白さを感じることが重要だと思っています。そこにはいろんな比喩が隠されているけど、もっとフィジカルに感じていいと思います。後半「三原康裕が描く、“ジェンダーレス”の先にある未来”」へ続く。
2016年08月03日お笑い芸人の小籔千豊(42)が、7日に放送されたフジテレビ系情報番組『ノンストップ!』(毎週月~金9:50~11:25)で、"絵本のマイルド化"を批判した。この日は、ブタとオオカミの立場を逆転させた絵本『3びきの かわいい オオカミ』(冨山房)を特集。同書は現在品切れの書店もあり、大手通販サイトでは最大1カ月待ちという人気ぶり。発売されたのは1994年とかなり前だが、最近ツイッターの感想がきっかけで人気に火がつき、2週間ほどで6,000部を発行したという。同書は3匹のオオカミが親元を離れて自立していく話。そんなオオカミたちをことあるごとに邪魔するのが、手段を選ばないバイオレンス大豚だ。オオカミたちがせっせと建てたレンガの家はハンマーで打ち砕き、コンクリートの家は電気ドリルで破壊。鋼の家になると、今度はダイナマイトを使って吹き飛ばしてしまう。同番組では絵本情報サイト「絵本ナビ」の意見をもとに、同書の人気の背景には「絵本のマイルド化」があると解説。『桃太郎』では「"鬼退治"が暴力的過ぎる」という声を受けて結末を「鬼と話し合いの末で解決」とし、『さるかに合戦』の敵討ちは「教育上問題」という指摘から「猿は反省して平和に暮らす」という結末に改変され、こういった流れと逆行する"過激さ"が同書にはあるという。小籔は『桃太郎』の結末を改悪と受けとめ、「なんじゃそら! やっつけ! 解決するかそんなもん!」と意見。「世の中でマイルドにしていくのは絵本だけですか? ハードボイルドのやつもあれば三島由紀夫の『金閣寺』も。『金閣寺』は金閣寺を燃やす話ですやん? そんないっぱいありますからね。何を言うとんねんという話ですよ」と主張し、「何やったら、絵本をそういうふうにしようか言うた人を、僕が退治しに行きましょか? 向こうは話し合いで来るでしょうけどね」と臨戦態勢で、スタジオの笑いを誘った。また、同書の"過激さ"には「子どもにメッセージを伝えにくい……」と困惑しつつも、「オオカミだけが悪いと思ってしまうのは間違いで、豚が悪い場合もある」と立場を変えることによって気づくことがあるという点で評価をしていた。
2016年06月07日映画『ふきげんな過去』が2016年6月25日(土)に公開される。主演は小泉今日子×二階堂ふみ、監督は異才の劇作家と称される前田司郎。五反田団を主宰し、演劇・小説・ドラマ・映画など、ジャンルを飛び越え活躍するマルチプレイヤー前田司郎。本作は、三島由紀夫賞、向田邦子賞受賞、岸田國士戯曲賞など錚々たる賞も受賞している彼によるオリジナル脚本の人間ドラマだ。自分が本当の母親だという叔母・未来子の出現によって、退屈していた女子高生の果子は、眩い生き生きとした世界を見てしまう。そんな二人のひと夏の物語を描く映画は、『毎日かあさん』以来5年ぶりの主演となる小泉今日子と、日本映画界の若きミューズ・二階堂ふみというタッグによって実現した。■ストーリー物語の舞台は北品川の食堂「蓮月庵」。果子(二階堂ふみ)は、毎日が死ぬほど退屈でつまらない。けれどそこから抜けだして他に行くこともできず無為な夏を過ごしていた。ある日、果子たち家族の前に、18年前に死んだはずの伯母・未来子(小泉今日子)が、突然戻ってきて告げる。「あたし生きてたの」。戸籍も消滅している前科持ちの未来子。そして自分が本当の母親だというが・・・。【作品情報】『ふきげんな過去』公開日:2016年6月25日(土) テアトル新宿他全国ロードショー出演:小泉今日子、二階堂ふみ、高良健吾、山田望叶、兵藤公美、山田裕貴/、大竹まこと、きたろう、斉木しげる、黒川芽以、梅沢昌代、板尾創路監督・脚本:前田司郎音楽:岡田徹©2016「ふきげんな過去」製作委員会
2016年05月29日小泉今日子と二階堂ふみがW主演で最強タッグを組んだ『ふきげんな過去』。この度、新たに注目若手俳優・山田裕貴がイケメンだけどちょっとおバカなバンドマン役として出演していることが明らかになった。また、併せて山田さんの場面写真も到着した。「あたし生きてたの」。大都会と下町が隣接する北品川の食堂で暮らす果子(二階堂ふみ)の前に、突然、18年前に死んだはずの伯母・未来子(小泉今日子)が戻ってきて、そう告げる。ある事件を起こして前科持ちになってしまった未来子の登場に慌てふためく家族と、自分の部屋に居候する図々しい彼女に苛立ちを隠せない多感な女子高生の果子。ただやり過ごすはずだった退屈な夏が、自分が本当の母親だという未来子の出現によって、特別な時間に変わる。いまにも世界を爆破してしまいそうな未来子に反発しながらも、2人はひと夏をともに過ごす――。「三島由紀夫賞」をはじめ、錚々たる賞を受賞し、劇団「五反田団」を主宰する異才の天才劇作家・前田司郎が、オリジナル脚本で人間ドラマに挑んだ本作。自分が本当の母親だという未来子の出現によって、退屈していた女子高生の果子は、眩い生き生きとした世界を見てしまう。そんな2人のひと夏の物語。主演には、強烈な魅力を放つ2人の女優、小泉さんと二階堂さんを迎え、高良健吾、板尾創路、大竹まこと、きたろうらも出演している。そして今回新たに出演が決定したのは、先日『オオカミ少女と黒王子』で菜々緒にナンパするチャラ男役の出演で話題となっていた山田さん。本作では、イケメンなのにちょっとおバカなバンドマン・ヒサシ役として出演し、二階堂さん演じる果子のことが大好きなのに全く相手にされず、冒頭から全編通して振り回され、“ふきげんな”果子をますますイラつかせてしまう“三枚目キャラ”に挑戦しているようだ。一見山田さんとは正反対と思われるそんな役どころだが、「僕自身はたぶん三枚目キャラです。この役どころのちょっとおバカな人間は等身大なのです(笑)」と謙遜気味に話した。以前、前田監督のワークショップに参加し、初めて山田さんに会った前田監督は「イケメン風の芝居をするのではと思ったのに、すごく面白いお芝居を見せてくれました。そのとき、是非僕の映画に出てほしいなと思いました」と彼の芝居の持ち味を高く評価。山田さんもまた「今回この映画でご一緒出来ることがとてもとても嬉しかったです」と喜びを示した。また、8月からは監督が作・演出を手掛ける舞台「宮本武蔵(完全版)」で初の主演を務めるなど、2人の相性は抜群のよう。さらに山田さんは、自身の父が主演の小泉さんのファンであることを明かし「自分のいつか共演したいと思っていた小泉今日子さんや高良健吾さん、二階堂ふみちゃんといった豪華なキャストの面々とお芝居ができたこと、本当に嬉しく思います」とコメント。また、「二階堂さんとの撮影が多かったのですが、打ち上げで『信頼できる俳優さんでした』と言って頂けて、僕の中では本当に嬉しいお言葉だったので覚えているのですが、たぶん二階堂さんは『そんなこと言いました?』って僕をいじると思います(笑)。そんなやり取りができるぐらい、楽しい撮影現場になっていたんではないかと思います」と仲の良さをアピールした。最近は様々な役どころに挑戦し、活躍の幅を広げる中、本作でも「また新たな一面を見せられる」と語る山田さん。前田監督が作り出すその世界で、彼の新たな魅力が開花していることは間違いないようだ。『ふきげんな過去』は6月25日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年04月28日写真家・篠山紀信氏が、俳優・渡辺謙主演の映画『怒り』(9月17日公開)のポスターを撮り下ろしたことが、このほど明らかになった。メインキャスト7人を写したビジュアルが、公開された。本作では、『悪人』(10年)の原作・吉田修一氏と監督・李相日氏が再タッグ。吉田氏の同名小説を原作として、SNSやスマートフォンなどの発達により、簡単に他人を疑ってしまう不信の時代に「"信じる"とは?」という根源的な問いを、一つの殺人事件をきっかけに投げかける。千葉の漁村で娘と暮らすしがない父親を演じる渡辺のほか、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡といった豪華俳優陣が出演する。本作の公開は「一つの事件になる」と踏んだプロデューサー・川村元気氏の発案によって、今回の撮影が実現。「7人を、日本が世界に誇る天才・篠山紀信が撮影することによって、新たな化学反応が生まれる」と考えた川村氏は、「"俳優7人"ではなく"登場人物7人"を撮ってほしい。俳優ではなく役のままの顔が見たい」と依頼し、篠山氏はすぐに快諾した。俳優の中から「役」がいなくなる前にシャッターを切るため、早朝や深夜、本編終了直後に都内スタジオでポスター撮影を敢行。その結果、篠山氏だけでなく、被写体となる俳優陣やスタッフまでも「こんな顔、見たことがない」と口をそろえる写真が出来上がった。三島由紀夫やジョン・レノン&オノ・ヨーコのほか、山口百恵、宮沢りえなど"時代の顔"とも呼べる人物の一瞬を切り取ってきた篠山氏のキャリアの中で、初となった今回のコラボレーション。自身にとっても刺激的な撮影だった様子で、「渾身の紀信!」と自らを評したという。篠山氏は、「役を引きずったままの役者をスタジオで撮影をするのは初めての経験」と感慨深げ。「スタジオで撮影しているのに、どこかドキュメンタリーのようで、今まで何度も撮影している役者の見たことのない顔を撮影できた」「これだけの役者が集まってくると、不思議な力が湧いてくるポスターになった」と自信を見せ、「面白く、ぜいたくな時間でした」と告げた。主演の渡辺は、「ファインダーをのぞく紀信さんが『見た事無い顔だなぁ』と。うれしい言葉を頂いた!」と歓喜。川村プロデューサーは、「俳優たちも、篠山さんなら、ということで撮影中にスタジオまで来て、役のままで撮影に応じてくれました」と背景を明かし、「果たして、見事な『7人の怒り』がそこに写し出されたと思っています」と胸を張っている。(C)2016「怒り」製作委員会
2016年04月14日記念すべき2000号の発行を迎えたanan。創刊当初は、いったいどんな雑誌だった?その頃は生まれていないライターのユキ&ノブコが、’70年代初頭の、創刊号から104号までをじっくり調査。ネタ、文体、写真…突っ込みどころが満載で、困る!創刊号が発売されたのは’70年3月。価格は1冊160円。中を開くと、カラーページとモノクロページがある構造は、今とさほど変わらない様子…ですが、ファッションはいきなりパリ&ロンドン!編集部の並々ならぬやる気が伝わってきます。またすごいのが、モノクロの読み物ページに参加している執筆陣。フランス文学者にして小説家の澁澤龍彥が書く「赤頭巾ちゃん」、三島由紀夫による色気についてのエッセイなど、ラインナップもすごいうえに、内容も非常に知的。しかし、さらに驚かされるのが編集部が書いている原稿の文体!!なぜかカタカナを多用していて、「考えたことあるでショ」「相談しなくちゃダメヨ」「サァサァハリキッテ」てな文体が山盛り。今そんな原稿を書いたら、編集長に怒られるのはもちろん、読者からも総スカンを喰らいそう…。勢いと情熱がほとばしっている創刊号。では中身をひもといていくわヨ(←当時のマネ・笑)。■当時のananには値段の表記なし!その凄すぎる理由は…提携していた雑誌からパリの最先端モードを紹介しつつ、日本スタッフも負けじとパリとロンドンでロケを敢行。でも、どこを見てもブランドや値段の表記がない…?それもそのはず、この当時はおしゃれな既製服が少なかったので、編集部がデザイナーに頼んで、掲載用に服を作っていたのです!創刊から約2年、服作りを手がけたのは、その後ブランド『PINK HOUSE』で一世を風靡した、デザイナーの金子功氏。ちなみにモデルを務めた立川ユリさんは、後に金子さんとご結婚されました。あらいい話ネ~。■創刊当時の推しメンはまさかの?石坂浩二さん!昨今、“アンアンといえばイケメンが出てる雑誌”と言ってもらうことも多いですが、スタッフのイケメン好き精神は創刊号ですでに生まれていた模様。取り上げていたのは、高級住宅地の田園調布育ち、中学校から慶應という石坂浩二さん。ハンサムなルックスに加え、醸し出す知的な雰囲気に当時の女子は大熱狂だったそう。確かにこの号の写真を見ても、なんだか頭が良さそうで素敵。それからもう一人、映画スターのロバート・レッドフォードも登場。こちらは残念ながら撮りおろしではなく、映画のスチール中心。※『anan』2016年4月20日号より。取材、文、写真・重信 綾ほか
2016年04月13日創業30周年を迎えた映画会社「GAGA株式会社」のラインアップ発表会が3月23日(水)に開催され、新規事業としてアニメーション事業への参入などが発表されると共に公開を控える『海よりもまだ深く』の是枝裕和監督、『溺れるナイフ』の山戸結希監督らが出席した。昨年の27作品から8作品増えて、今年は過去最多の35作が紹介された。最初に挨拶に立った依田巽会長兼社長CEOは、同社の方針として、洋画作品の輸入配給・邦画製作と配給をコアビジネスと位置付けつつ、さらにサブカル、教育としてのアニメ、2.5次元作品の映画化などを新たなビジネスとして掲げた。注目作品としては、同社にとっては2011年の『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』以来となるアクション大作『ゴッド・オブ・エジプト』。『セッション』のデイミアン・チャゼル監督の最新作で音楽とダンスで描くラブストーリー『LA LA LAND』(原題)、グザヴィエ・ドランの新作『IT’S ONLY THE END OF THE WORLD』(原題)など、ジャンルも規模も様々な多彩な作品が名を連ねる。また、詳細は近日公表される予定だが、アニメーション事業への参入も発表された。邦画作品では「GAGA+」レーベルの作品として、過去に幾度となく映像化されてきた人気少女漫画の映画化となる『イタズラなKiss THE MOVIE』(PART1/PART2)が秋に公開。『そして父になる』、そしてアカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞に輝いた『海街diary』の是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より公開となる。阿部寛を主演に迎え、台風の夜にひとつ屋根の下で過ごすことになったかつて家族だった者たちの姿を描く本作。阿部さんは、作家崩れの探偵で、従来の作品ではなかなか見せることのなかったダメ男っぷりを見せている。壇上に上がった是枝監督は、撮影を前に阿部さんに対し「今回の役が、これまでで一番だらしなく、情けなく、背中が丸まった男です」と説明したという。『歩いても 歩いても』でも是枝作品の主演を務めている阿部さんだが、監督は「少し若いけどほぼ同世代。共に子供ができる前に一度、ご一緒したけど、2人とも父親になって50代を迎え、もう一度やりたいと思った」と起用の理由を明かした。それ以外の邦画では、ジョージ朝倉の伝説的少女漫画を小松菜奈、菅田将暉という旬の2人を主演に迎えて映画化する『溺れるナイフ』が11月に公開。山戸結希監督は、『おとぎ話みたい』で公開館のテアトル新宿の実写・レイトショー作品における1週目の動員記録を13年ぶりに更新し注目を集め、『5つ数えれば君の夢』も称賛を浴びており、「乃木坂46」や「神聖かまってちゃん」のミュージックビデオでも話題を呼んでいる。登壇した山戸監督は、すでに終わった撮影を「青春映画の撮影現場も青春そのものでした」とふり返り、主演の小松さん、菅田さんについて「すでに巨匠の監督の作品にも出ていますが、巨匠の監督ではなく私だから2人にできることは何か?映画は、真っ暗闇で憧れている人の姿を大きなスクリーンで見られるもの。2人に憧れている人は、2人にどんな姿でスクリーンに映ってほしいのか?を考えました」と本作でしか見られない2人の姿を焼き付けたことに自信を見せる。「日本中の女の子が無視できない作品、世界中の女の子に届く作品にしたいと思って作りました!」と力強く語った。また2017年5月の公開作品として、三島由紀夫の作品群の中でも珍しいSF小説を、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化する『美しい人』も控える。宇宙人に“覚醒”した一家を描いており、リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中島朋子が家族を演じる。ビデオメッセージを寄せた吉田監督は「とてつもないエンターテイメント作品になる」と自信をのぞかせていた。(photo / text:Naoki Kurozu)
2016年03月24日東京から東海道新幹線で約1時間、三島由紀夫のペンネーム由来の一つとも言われる三島駅に到着した。都心からも程近い静岡県の東部にあたるこの町は、過ごしやすい温暖な気候と、昭和の面影が残る町並み、一駅足を伸ばせば温泉街のある熱海と、パノラマの富士山を望める新富士がある味わい深い町。そんな静岡県東部をもっとよく知るために出かけた旅の一部を今回から全3回にわたって綴りたい。まずは静岡県長泉町にある「クレマチスの丘」へ。クレマチスの丘は、美術館、文学館、レストラン、ショップ、季節ごとのクレマチスが咲く庭園が点在する複合文化施設。広大な敷地内は、フランスの画家ベルナール・ビュッフェの作品を所蔵する「ルナール・ビュッフェ美術館」、作家・井上靖の「井上靖文学館」とそれらに隣接する「駿河平自然公園」があるビュッフェ・エリアと、杉本博司が設計を手掛けた「IZU PHOTO MUSEUM」、クレマチスの庭園に併設された「リストランテ プリマヴェーラ」などのレストランがあるクレマチスガーデン・エリアと大きくふたつのエリアに分かれている。中でもとりわけ印象に残る場所は、クレマチスガーデン・エリア側にある「ヴァンジ彫刻美術館」。芝生の上に寝転んだり、椅子に腰掛けてパノラマに広がる伊豆や箱根の山々を眺めていれば優に丸一日が過ぎてしまうようなのんびりした時間が流れ、その心地良さを思わず誰かに共有したくなる魅力的な場所である。「ヴァンジ彫刻美術館」エントランスを抜けてすぐの作品《レリーフ 風景の中の人物》2002年イタリアを代表する具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの世界唯一の個人美術館であるこの施設には、現在、屋内と屋外を合わせて47点の彫刻と、デッサン・版画11点のデッサン・版画が展示されている。ヴァンジは、人間の多面的な心の在りようを形にした表情豊かな彫刻が特徴だそうで、一方から見た時と、そのまた反対側から見た時では全く別の表情や輪郭をしているという。また、屋外に佇むこれらの彫刻には触れることも出来る。《竹林の中の男》1994年反対側から見ると違った表情を見ることができる館内にも、たっぷりと余白を使い作品が点在する。《紫の服の男》1989年《コートを着た女》2006年館内は自由に撮影可だそうこれら常設の展示のほか企画展も行っており、4月2日からはキギ(KIGI)の個展「KIGI キギ in Clematis no Oka」がスタートする。そして初夏になれば、美術館の庭園内にあるクレマチスガーデンに、這沢(はいざわ)やヘメロカリスなど一年で最も多くのクレマチスの品種が咲き誇るといい、また再び訪れたくなる話を聞いてしまった。2月の足元にはクロッカスがクレマチスの丘静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1055-989-8787開館時間:1月 10:00~16:30 2月、3月 10:00~17:00 4月、5月、6月、7月、8月 10:00~18:00 9月、10月 10:00~17:00 11月、12月 10:00~16:30 ※入館は閉館30分前まで休館日:水曜日、年末年始入館料はHP参照
2016年03月17日現在、画家・金子國義の1周忌に合わせた回顧展「金子國義 終わりと始まり」が、東京・渋谷にあるBunkamura 1階のメインロビーフロアにて開催されている。1967年に「花咲く乙女たち」で画壇デビューした金子は、「不思議の国のアリス」「お遊戯」「マダム・エドワルダ」など文学の影響を色濃く受けた作品を数多く発表。澁澤龍彦、三島由紀夫、高橋陸郎、唐十郎、四谷シモン、コシノジュンコらとともに芸術の最前線をリードしていた。昨年2月には、Bunkamura Galleryにて自伝の出版を記念した展示「美貌の翼」を開催したものの、その約1ヶ月後に帰らぬ人となってしまった。金子の1周忌に合わせて開催される同展では、油彩、版画、書籍などを一堂に展示・販売。また、同展開催を記念した最新画集『イルミナシオン』も発売される。なお、同書はオールカラー208ページとなっており、金子の生涯を辿ることができるものになっている。なお、開催期間は23日まで。【展覧会情報】「金子國義 終わりと始まり」会場:Bunkamura 1階 メインロビーフロア住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1会期:3月12日~23日時間:10:00~19:30入場無料
2016年03月15日三島由紀夫の最後の戯曲『ライ王のテラス』が、演出・宮本亜門、主演・鈴木亮平で、47年ぶりに上演されている。世界遺産「バイヨン寺院」を建設したカンボジア王の物語に三島が託したものは何だったのか。3月4日に開幕したばかりの舞台の模様を報告する。舞台『ライ王のテラス』チケット情報この戯曲が誕生したのは、三島がアンコールトムを訪れたことがきっかけだ。カンボジア最強の王と語り継がれるジャヤ・ヴァルマン七世の美しい彫像を目にした三島はすぐに、その完璧な肉体が病に冒されていく物語を着想したという。ゆえに、王を演じる鈴木に求められたのは、まずは肉体の美しさだった。幕が開くと、その期待は否応なく高まる。宮本が自らカンボジアでオーディションをして選んだダンサーたちが民族的な舞踊を見せながら、王が見事に戦勝した様子が影絵を使って語られるのだ。カンボジアの音楽が流れ、劇場が中世のカンボジアの空気に包まれるなか現れる凛々しい王の影。そしていよいよ、第二王妃(倉科カナ)と第一王妃(中村中)が待つところに、彫像のような肉体に仕上げた鈴木が登場する。説得力は十分である。しかし、真骨頂はそこからである。民のためにと「バイヨン寺院」の建設を始めるとともに病魔に冒される王。第二王妃は献身的に支え続けるも、王の美しさが蝕まれていくことに耐えられないと彼を避ける第一王妃が王の苦悩を深くする。舞台ではもちろん肉体自体を変えることはできない。にもかかわらず、その存在に何とも言えない心もとなさがにじむ。健やかで自信にあふれた大きな王から、瞬時に見せた鈴木のその変化。“演じる”ということが見せてくれるものの力を、改めて感じることができる。王の肉体が崩壊していくに従って、観世音菩薩を模したバイヨンが完成していく様を、三島は、自分の全存在を芸術作品に移譲して滅びてゆく芸術家の人生に重ねたのだそうだ。舞台の上で、なぜ自分は病になったのかと自問自答する王の姿は、人は何のために生きるのかと、観客に問いかけてくるようでもある。王の病を利用して国の転覆を目論む宰相(神保悟志)や、愛する息子が苦しむ姿を見ていられないと毒殺を企てる王太后(鳳蘭)の人間の業にも、揺さぶられる。宮本曰く、「人間の本質を見たくないところまでえぐり出す」という三島文学の魅力を、まさにナマの肉体が体現した舞台であった。公演は3月17日(木)まで、東京・赤坂ACTシアターにて。取材・文:大内弓子
2016年03月08日三島由紀夫の最後の戯曲『ライ王のテラス』が、演出・宮本亜門、主演・鈴木亮平で、47年ぶりに上演されている。世界遺産「バイヨン寺院」を建設したカンボジア王の物語に三島が託したものは何だったのか。3月4日に開幕したばかりの舞台の模様を報告する。舞台『ライ王のテラス』チケット情報この戯曲が誕生したのは、三島がアンコールトムを訪れたことがきっかけだ。カンボジア最強の王と語り継がれるジャヤ・ヴァルマン七世の美しい彫像を目にした三島はすぐに、その完璧な肉体が病に冒されていく物語を着想したという。ゆえに、王を演じる鈴木に求められたのは、まずは肉体の美しさだった。幕が開くと、その期待は否応なく高まる。宮本が自らカンボジアでオーディションをして選んだダンサーたちが民族的な舞踊を見せながら、王が見事に戦勝した様子が影絵を使って語られるのだ。カンボジアの音楽が流れ、劇場が中世のカンボジアの空気に包まれるなか現れる凛々しい王の影。そしていよいよ、第二王妃(倉科カナ)と第一王妃(中村中)が待つところに、彫像のような肉体に仕上げた鈴木が登場する。説得力は十分である。しかし、真骨頂はそこからである。民のためにと「バイヨン寺院」の建設を始めるとともに病魔に冒される王。第二王妃は献身的に支え続けるも、王の美しさが蝕まれていくことに耐えられないと彼を避ける第一王妃が王の苦悩を深くする。舞台ではもちろん肉体自体を変えることはできない。にもかかわらず、その存在に何とも言えない心もとなさがにじむ。健やかで自信にあふれた大きな王から、瞬時に見せた鈴木のその変化。“演じる”ということが見せてくれるものの力を、改めて感じることができる。王の肉体が崩壊していくに従って、観世音菩薩を模したバイヨンが完成していく様を、三島は、自分の全存在を芸術作品に移譲して滅びてゆく芸術家の人生に重ねたのだそうだ。舞台の上で、なぜ自分は病になったのかと自問自答する王の姿は、人は何のために生きるのかと、観客に問いかけてくるようでもある。王の病を利用して国の転覆を目論む宰相(神保悟志)や、愛する息子が苦しむ姿を見ていられないと毒殺を企てる王太后(鳳蘭)の人間の業にも、揺さぶられる。宮本曰く、「人間の本質を見たくないところまでえぐり出す」という三島文学の魅力を、まさにナマの肉体が体現した舞台であった。公演は3月17日(木)まで、東京・赤坂ACTシアターにて。取材・文:大内弓子
2016年03月08日国分太一と真矢ミキがMCを務める「白熱ライブ ビビット」で毎週月曜に放送しているコーナー「密着!ビビット」に、3月7日(月)、主演舞台「ライ王のテラス」に出演中の俳優・鈴木亮平が登場!30kgにもおよぶ体重増減もいとわない役作りをはじめ、何に対してもとことんこだわる、ストイックな鈴木さんの素顔に密着していることが分かった。幼少から“俳優”になることが夢だったという鈴木さんは、履歴書を送ってもなしのつぶてだったことから、自らプロフィールを作成し芸能プロダクションや制作会社を回ることを決意。50社ほど通ったところ、モデルの仕事を紹介され、芸能界デビューに至ったという。鈴木さんは当時をふり返りながら、「モデルをやりながら俳優の道を狙ってたわけですよ。虎視眈々と」と話す。鈴木さんといえば、高校時代にはアメリカに1年間留学しており英語も堪能、世界遺産にも詳しく博学なことでも知られている。アルバイト経験も豊富で、NHKほか、甲子園でのビール売り、駐車場の警備員、翻訳などさまざまな職種を経験してきた。その幅広い経験を生かして、今後は海外でも仕事をしたいと目を輝かせて語る。そんな前向きで明るい性格の鈴木さんだが、その好青年ぶりに加えて注目を集めているのは、そのストイックな役作りへの姿勢。当人は“普通のこと”で「特別なことはしていない」と語るが、演じる役によって自らの体重を操作することからも芯の強さが伺える。昨年4月期に放送したTBS日曜劇場「天皇の料理番」では76kgから56kgに減量し、その直後には映画『俺物語!!』では56kgから87kgまで増量。なぜそこまでするのか、つらくはないのかという質問には、「それだけ、台本が素晴らしかったので、大きな意味では苦にはならなかったですね」と笑う。現在は、3月4日(金)に初日を迎えた三島由紀夫原作の主演舞台「ライ王のテラス」に出演中。完璧な肉体を持ったカンボジアの王役という設定に合わせ、稽古場には筋トレグッズを常備。ちょっとでも時間ができると、身体を鍛えて肉体を作っていたのだとか。そんな鈴木さんが最近はまっているのが、南インド料理の豆カレーで、ナンも大好きだという。番組ではカレーを食べながら鈴木さんの素顔に迫るほか、舞台稽古や舞台初日の様子に密着。今後の目標は「自分が死ぬときに“あ~いい人生だった”と思える俳優になること」と語る鈴木さん。その渾身の舞台をはじめ、出世作のまさかの続編『HK/変態仮面アブノーマル・クライシス』でも、さらにスケールアップした姿を見ることができそうだ。「白熱ライブ ビビット」は3月7日(月)8時~放送。(text:cinemacafe.net)
2016年03月07日ドラマ『天皇の料理番』では体重20キロを減らす過酷なダイエットに挑戦し、かと思えば映画『俺物語!!』では40日間で30キロ増やすなど、演じる役に合わせて極限まで肉体作りを行うことで知られる俳優・鈴木亮平さん。傍から見ると「何もそこまで…」と心配になってしまいますが、そこには鈴木さんの「演技」に対する熱い熱い想いが隠れていました。***――毎回、役に合わせた体作りが大きく取り上げられますが、逆に、そればかりが取り上げられることに対しては、どう思われているんでしょう。鈴木:僕は精神と肉体、その両方が混じり合っての人間であって、そこを分けては考えていないんですよね。そのどっちをもできるだけ役に近づけるのが俳優の仕事だと思っているので、僕の役への準備として体の話ばかりになるのは寂しいですよね。ただ、そこに興味を持って観に来てくれる方がいるのは、もちろんありがたいことです。――逆に、肉体を近づけることで役への理解が深まるということもあるわけですか?鈴木:そうですね。頭で理解するよりも、必然的に変わる部分の方が大きいんじゃないかと思います。体が大きくなれば声の響き方も変わってきますし、考え方もおおらかになったりしますから。でも一番は、自分をこの役だって信じ込ませるためにやっている気がします。病人の役なのに太っていたら、それ絶対違うじゃんってどっかで自分にツッコんじゃうと思うんですよ。それが一番嫌だし、そこに手を抜けば、演じながらも後悔すると思うんです。そういう意味では自己満足かもしれませんが。――ご自身が一番自分に厳しいんでしょうね。鈴木:明らかに芝居が変わってくるんですよ。何もしなくても、自分が病人だってところにポンといけちゃう人もいると思うんですが、僕は自分を病人だと信じ込むところまでいかないと入れないんです。今回の役は、周囲から「美しい体」と言われる王様ですが、もしそこで自分がブヨブヨだったら、セリフを言われる度に恥ずかしくならなきゃいけない。でもそこで体を作っていれば、そのセリフに酔うことができるわけです。ただ、皆さんが話題にしてくださるほど特別なことをやっているわけではないんですよ。役に合わせて肉体改造するのは、海外では当たり前にやられていることですし、僕は衣装や髪型を変えるのと同じように体型を変えるのも俳優の仕事だと思っています。――特殊メイクじゃダメですか?鈴木:うーん(笑)、別に嫌ってるわけじゃないんで、技術的にそれで違和感がなければとは思うんですが…。あとは自分を信じ込ませるという部分がやはり大きいですね。――体型が動きや考え方を左右するというのは理解できるのですが、そうなると、私生活への影響も大きいということですよね。鈴木:そりゃ大きいです(笑)。正直、辛いこともありますしね。ただ僕、仕事とプライベートを別のものとして考えてはいないんですよね。俳優であることが、僕が生きることと直結している、というのかな。やりたくてやっていることだから、それに向かって24時間努力しているのは苦じゃないし、自分にとって普通のことなんです。そういうことをウェルカムで受け入れていくのも楽しいんですよ。◇すずき・りょうへい1983年生まれ、兵庫県出身。モデルを経て’06年に俳優デビュー。’14年にドラマ『花子とアン』のヒロインの夫役で注目を集め、昨年のドラマ『天皇の料理番』で演じた主人公の兄役が話題に。出演映画『海賊とよばれた男』の公開も控える。弊誌連載「中学英語で世界一周!」も好評。◇information鈴木さん主演の舞台『ライ王のテラス』は、3/4~17まで赤坂ACTシアターにて上演。アンコール・トムから着想を得た三島由紀夫が、史実にフィクションを交えて書き上げた戯曲を、長きにわたり今作の上演を熱望していた宮本亜門が演出する。ホリプロチケットセンター TEL:03・3490・4949※『anan』2016年3月9日号より。写真・森滝 進(まきうらオフィス)スタイリスト・小林聡一郎インタビュー、文・望月リサ
2016年03月02日