5人のプロ将棋棋士がコンピュータ将棋ソフトと団体戦で戦う「将棋電王戦FINAL」の第4局・村山慈明七段 対 ponanzaの対局が4日、奈良県・薬師寺にて行われた。第4局は、4日20時48分、「第2回将棋電王トーナメント」第2位の将棋ソフト・ponanzaが村山七段を破り、コンピュータ側が2連勝。全5局のうちプロ棋士側が2勝、コンピュータ側が2勝と並び、両陣営勝ち越しをかけて第5局が行われることになる。将棋は、村山七段が相横歩取りと呼ばれる作戦で決戦を挑んだが、ponanzaはこれを拒否して穏やかな流れに持ち込んだ。ponanzaは序盤の駒組みで一歩リードすると、徐々に優位を拡大。劣勢の村山七段は勝負に出たが、ponanzaが冷静に対応して押し切った。手数は97手で、消費時間は村山七段が4時間56分(残り4分)、ponanzaが3時間57分(残り1時間3分)。なおponanzaは、団体戦の「第2回将棋電王戦」「第3回将棋電王戦」「将棋電王戦FINAL」と3大会連続で出場している唯一の将棋ソフトで、3戦全勝となる。終局後の会見で村山七段は「相横歩取りは、練習では激しい将棋になることが多かった。本譜は練習でほとんど指されず、研究していない形になってしまった。いい将棋が指せなくて残念です」と肩を落とし、ponanzaの開発者・山本一成氏は「力が出やすい展開になって、序盤の分かれは悪くないのではと思っていた。両者勝ち越しをかけて第5局を戦うのは初めて。つなげることができたと思う」と語っていた。4月11日まで開催される「将棋電王戦FINAL」は、「第2回将棋電王トーナメント」上位5つのソフトと現役のプロ棋士5人による団体戦で、これまで開催された前3回はすべて総合成績でコンピュータが勝利。今回は「FINAL」と銘打ったとおり、人間対コンピュータの最後の団体戦となり、プロ棋士側は若手中心の対コンピューター適性が高いと思われる棋士で構成されている。持ち時間は人間側、コンピュータ側ともに5時間。プロ棋士側には前回大会同様、対局するソフトが事前提供された。また、対局におけるソフト側の指し手は、デンソーの子会社であるデンソーウェーブの新たなロボットアーム「電王手さん」が導入されている。最終局となる第5局の阿久津主税八段 対 AWAKEの対局は、4月11日東京・将棋会館で行われる。
2015年04月04日6月公開の人気ホラーシリーズ最終章『呪怨 -ザ・ファイナル-』に、おのののかが出演することが発表になった。彼女にとって本格的な映画出演は初となる。その他の画像本シリーズは清水崇監督がオリジナルビデオで発表し、劇場版が大ヒット。清水監督が手がけたハリウッド版も大ヒットするなど、日本のホラー映画を代表するシリーズのひとつに成長した。『…ザ・ファイナル』は前作『…終わりの始まり』に続いて落合正幸が脚本と監督を務め、平愛梨演じる主人公が、妹が勤務していた小学校の生徒・佐伯俊雄の居場所を捜索する過程で、想像を絶する恐怖を体験する様を描く。おのが演じるのは、女子高生の玲央(れお)で、“俊雄”という母を亡くした親戚の少年を預かったことで、呪怨の世界に巻き込まれていく役どころだ。おのは「誰もが知っている呪怨シリーズ、しかもその最後の作品に出演できるなんて最初は信じられませんでした。現在絶賛撮影中ですが、落合監督を筆頭にスタッフの皆さんの力を借りながら、まさに体当たりで演技しています。今まで皆さんに見せてきた私とは全く違う、恐怖全開の“おのののか”、ぜひ映画館でご覧ください!」とコメントしている。『呪怨 -ザ・ファイナル-』6月20日(土) 新宿バルト9ほか全国公開
2015年03月18日博物館の展示物が真夜中に動きだし、大騒動を繰り広げるアドベンチャー大作の最終章『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』で主演を務めるベン・スティラーのインタビュー映像が公開になった。本シリーズは大ヒットを飛ばし続けているが、ストーリーは「続編をやるなら存在意義が必要だった」という。スティラーはなぜ、新作への出演を決めたのだろうか?インタビュー映像本作の舞台はニューヨーク自然博物館。ここには展示物を動かす不思議な石板があり、夜に見学者がいなくなると展示物たちは館内を自由に動き回っている。しかし、その石板に異変が発生。警備員のラリーは、異変の謎を解くべく、仲間や息子のニックと共にイギリスの大英博物館へと向かう。1作目ではニューヨーク自然博物館、2作目ではスミソニアン博物館、そして本作では世界最大級の大英博物館が舞台になっているが、スティラーは「別の博物館に行って新しい冒険をするだけでは新鮮さがなく、続編を作る意味がない」と言い切る。そんな彼が製作陣と考え出したアイデアが“別れ”だった。本作では石板に異変が起こり、ラリーと博物館の展示物たちはそれぞれ“別れ”を意識する。さらに、ラリーの息子ニックは成長し、親元から巣立とうとしている。シリーズはついに最終章を迎えるが、スティラーは「永遠に一緒にいられると思っていた仲間たちにラリーは別れを告げなくてはならない」と予告する。ラリーは本当に博物館の展示物たちと別れてしまうのだろうか? それともアッと驚く展開が起こり、深夜の大騒ぎは続くのだろうか? 世界中の映画ファンから愛されてきた人気シリーズ最終章の結末が気になるところだ。『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』3月20日(金) 全国ロードショー
2015年03月06日エムディーエスは、同社の展開する「Moleskine(モレスキン)」シリーズより、複数のチャプター(章)で構成され、テーマや用途別で使い分けが可能なスリムサイズの機能派ノート「チャプターズジャーナル」を発表した。発売日は2月23日。全国のモレスキンアトリエで先行販売された後、3月18日に一般の店舗で販売される。価格は、スリムポケットサイズが550円、スリムミディアムサイズが850円、スリムラージサイズが1,250円(いずれも税抜)。同製品は、1冊の中に複数のチャプターを設け、テーマやタスクなど内容や用途によって使い分けが可能な機能派ノート。各チャプターは16ページずつで構成され、それぞれ最初のページに設けたカラータイトルページ部分に番号を付け、チャプター毎にタイトルを書き込めることで検索性を高めている。また、最終チャプターはミシン目が入ったノートになっており、切り離してメモとして活用するこもできる。1冊でスマートに情報管理ができるため、これまで複数のノートを使い分けしていた人にも適しているということだ。また、同製品は従来のサイズよりも横幅を15~20mmスリムにしており、バッグや洋服のポケットに入れてもかさばりにくい。サイズは、スリムポケット(H140mm×W75mm)、スリムミディアム(H180mm×W95mm)、スリムラージ(H210mm×W115mm)の3サイズ展開。中紙は横罫とドット罫の2種類を用意し、文字や図形、イラストなどさまざまな用途に対応できる仕様。また、180度フラットに開く製本方法を採用したり、タスク管理に役立つToDoリストを付属しているなど、機能面も充実。なお、カラーは落ち着きのある、プラムパープル、ミストグリーン、オールドローズ、トーニーオリーブの4色を展開する。
2015年02月18日全米で圧倒的なヒットを記録している超人気シリーズ最終章の第1弾『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』の予告編映像が公開になった。故郷と愛する家族を守るために命がけの戦いを繰り広げてきた主人公カットニスが、最終章ではついに人々を抑圧する独裁国家に反旗をひるがえして戦いを挑む。『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』予告編映像『ハンガー・ゲーム』は全世界でベストセラーになっているスーザン・コリンズの小説を基にしたアクション大作。富裕層が支配する独裁国家で、国民を服従させるために実施されるサバイバル・ゲーム“ハンガー・ゲーム”に身を投じることになった少女カットニス(ジェニファー・ローレンス)の戦いが描かれる。『…レジスタンス』では、スノー大統領率いる独裁国家とカットニスが参加する反乱軍の息つまる駆け引きが展開。共にゲームを戦ったピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)を政府に捕虜にされ、怒りと哀しみにもがきながら戦いに身を投じるカットニスの姿が描かれる。このほど公開された予告編の冒頭で語られる通り、カットニスは革命もゲームも望んでいない。彼女は妹を助けるために命がけのゲームに参加することになり、熾烈なサバイバル戦を勝ち抜いてきた。しかし、崩壊したゲーム会場から救出され、反乱軍の秘密基地に収容された彼女は愛する故郷が政府の攻撃によって崩壊したことを知り、反乱軍のシンボルになることを決意する。最終章は“ゲーム”ではなく、レジスタンスと政府軍の戦いが描かれるが、息詰まるアクション、カットニスの激動のドラマ、キャラクターのスリリングな駆け引きは健在だ。カットニスを演じるジェニファー・ローレンスは「カットニスがリーダーになることに興奮したわ。でも彼女は英雄になりたいと思っているわけじゃなく、1作目では妹や家族や自分を守りたかっただけ。原作の3冊目では、自分が持つ影響力や、この戦いを率いるという選択肢があることに気付き始め、成長していく」と語っており、最新作はこれまでのシリーズの魅力を維持したまま、新展開に突入することになりそうだ。『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』6月TOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』2015年冬、全国ロードショー
2015年02月06日博物館の展示物が真夜中に動きだし、大騒動を繰り広げるアドベンチャー大作の最終章『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』の予告編映像が公開になった。予告編映像本作の舞台はニューヨーク自然博物館。ここには展示物を動かす不思議な石版があり、夜に見学者がいなくなると展示物たちは館内を自由に動き回っている。しかし、その石版に異変が発生。ベン・スティラー演じる警備員のラリーは、異変の謎を解くべく、仲間や息子のニックと共にイギリスの大英博物館へと向かう。このほど公開された予告編にはラリーをはじめとするシリーズの人気キャラクターが次々に登場。しかし、エジプト王の石板は少しずつ力を失いつつあることがしめされる。そこで彼ら大英博物館に向い、ランスロットら新たな仲間に出会うが、再びトラブルが発生。巨大恐竜の骨に追いかけられ、多頭の蛇に襲われる。本作の最大の魅力は、個性豊かなキャラクターと、息もつかせぬアクションシーンだが、毎作、心に残る感動エピソードも用意されている。最新作ではラリーの息子が成長したことで、ラリーは息子を“守る”立場から、子離れして“見守る”立場へ移ろうとしている。ショーン・レヴィ監督は「本作では父と息子のテーマを支柱に、第1作が持っていたものに立ち返ることを目指したんだ。それにもちろん、いままでにない最大のスペクタクルを取り入れている。そして、“別れ”というコンセプトがさまざまな場所で展開されるんだ。変化を受け入れ、愛していたものと別れることの難しさを描いているんだ」と言い、映像ではラリーが父親的な役割を果たしてきたテディ・ルーズベルトから「親の役目は終わった。ニックはもう一人前だ」と諭される。新作では、シリーズを続けてきたからこそ描ける深い人間ドラマと、シリーズ最大のアクションがギッシリとつまった作品なりそうだ。『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』3月20日(金) 全国ロードショー
2015年01月07日TVアニメシリーズの「空白の1年」を描き、もう1つのギアスを巡る物語となる劇場版アニメーション『コードギアス 亡国のアキト』の第3章「輝くもの天より堕つ」、第4章「憎しみの記憶から」の上映日が発表された。『コードギアス 亡国のアキト』は、大ヒット作『コードギアス 反逆のルルーシュ』のスピンオフ作品としてスタート。舞台をユーロピア共和国連合に移し、新たな主人公・日向アキトが、超大国・ブリタニア帝国に戦いを挑む姿を描いており、監督は『天空のエスカフローネ』『ノエイン もうひとりの君へ』で知られる赤根和樹氏。キャラクターデザイン原案をCLAMP、キャラクターデザインは木村貴宏が担当し、そのほかメカデザイン、脚本など、豪華クリエイター陣が顔を揃えている。2013年9月には第2章「引き裂かれし翼竜」が公開されたが2014年内の公開はなく、公式からの続報が待たれていた。第3章「輝くもの天より堕つ」は2015年5月2日より、第4章「憎しみの記憶から」は2015年7月4日より上映。物語の詳細は明かされていないが、『コードギアス 亡国のアキト』の公式サイトでは特報が配信され、今回の発表に合わせて先行場面カットも公開されている。また、2013年に発売された『コードギアス 反逆のルルーシュ 5.1ch Blu-ray BOX』と『コードギアス 反逆のルルーシュ R2 5.1ch Blu-ray BOX』の初回限定商品と同仕様、同価格となる「特装限定版」の発売も决定。発売日は、『コードギアス 反逆のルルーシュ 5.1ch Blu-ray BOX 特装限定版』が2015年5月27日、『反逆のルルーシュ R2 5.1ch Blu-ray BOX 特装限定版』が2015年9月25日。価格はともに30,000(税別)。(C)SUNRISE/PROJECT G-AKITO Character Design(C)2006-2011 CLAMP・ST
2014年12月19日日本でも大ヒットした『きっと、うまくいく』と最新のアクション大作『チェイス!』で、2本続けて映画超大国インドの興行記録を更新してしまったのがボリウッドが誇るトップスター、アーミル・カーン。ビル・ゲイツやスピルバーグからもラブコールを送られる世界のカリスマが初来日。取材に応じて肉声を聞かせてくれた。その他の写真『チェイス!』でアーミルが演じたのはサーカス団の団長。しかし裏の顔は改造バイクを操って大金を盗み出す凄腕の泥棒。一本の映画でアクション、手品、サーカス芸にタップダンスと、いくつものスキルを披露して驚かせてくれる。「この映画を選んだのは、自分にとって新しい挑戦だと思ったから。スピーディなアクションであると同時に、ハートを感じるエモーショナルな物語でもある。脚本を読んで、父親の死を見てしまった少年が復讐のために泥棒になるという冒頭から惹き込まれたよ」オファーを受けるにあたり、アーミルは撮影前に一年間の準備期間を要求。本物のサーカスアーティストに見えるように体脂肪を極限まで落とし、シルク・ド・ソレイユばりの曲芸シーンの大半もスタントなしでやってのけた。怒りや破壊衝動といった負の感情と、生きる喜びを謳歌する気持ちが交錯する複雑な演技も求められたが、一番大変だったのはダンスだと笑う。「インドのスターはみんなダンスが得意だと思うだろうけど、僕は簡単なステップを覚えるのも四苦八苦。心のままに踊るのは大好きだし、ジーン・ケリーやフレッド・アステアのファンだからタップのシーンがあると聞いたときは喜んだ。てっきり優雅に軽快なタップを踏むと思い込んでいたら、最新のモダンタップのスピードやパワーってすごいんだね(笑)。こんなの絶対にできない!って慌てたよ」それでもシドニーに一か月滞在して世界的タップダンスカンパニー“タップ・ドッグス”に弟子入り。みごとパワフルなダンスシーンを踊り切った。そのストイックな姿勢や社会問題に熱心に取り組む活動から、インドでは“Mr.パーフェクト”の異名を取るほど尊敬を集めている。「その呼び名については楽しんでるよ。僕自身は全然パーフェクトじゃないけどね(笑)。実際完璧な人間なんていないし、完璧じゃないからこそ人間は美しいんだと思ってる。インドではすぐ役者にレッテルを貼りたがるんだ。ただ僕はアクションやラブストーリーといったジャンルでは括れないいろんなタイプの映画に挑戦してきたから、メディアも困って“Mr.パーフェクト”って言い出したんじゃないかな?」『チェイス!』12月5日(金)TOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー取材・文:村山章
2014年12月04日昨年にインド映画最大のヒット作として上陸し、日本でもヒットした『きっと、うまくいく』の主演スター、アーミル・カーンの最新作『チェイス!』が公開される。全編をシカゴで撮影し、陸・水・空を激走する前代未聞のバイクアクションで魅せる超大作の監督、ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ監督が初来日。取材に答えてくれた。その他の写真インド史上最高の製作費がつぎ込まれ、歴代興収記録も塗り替えた『チェイス!』だが、アーチャールヤ監督にとってはまだ2作目。ただし大作だからといってプレッシャーは感じなかったという。「実はこの映画は毎回主人公が変わる『DHOOM』というシリーズの第三弾。僕は一作目から脚本を手掛けていて、シリーズである以上、新しい挑戦をしないといけないと思っていた。今回はアクション以上にエモーショナルなドラマを描くことが重要だった。監督として強固なビジョンを持っていれば、あとは優れたスタッフやキャストとコラボレーションをすればいいんだよ」確かに怒涛のカーチェイスや、シルク・ド・ソレイユを思わせる大掛かりなサーカスなどスペクタクルな見せ場は満載。それと同時に胸を締め付けられる切なさが心に残る仕上がりだ。ただ、映画全体に大きなトリックが仕掛けられていて、説明しようとするとすぐにネタバレに抵触してしまう紹介が難しい作品でもある。「監督としては、観客により楽しんでもらうためにネタバレは避けたい。一方でただのアクション映画じゃないことも伝えたい。冒頭の10分を観てもらえば、これが父と息子の話だとわかってもらえると思う。偉大なマジシャンだった父親が、子供の前で命を絶ってしまう。そこから壮大な復讐のドラマが始まるってところまでは喋ってもらって大丈夫だよ」ひとつのジャンルで括れないほど盛りだくさんなインド映画ならではのサービス精神を継承しつつ、ハリウッドと比べても遜色がないスペクタクルと感動を約束してくれる本作。「物語の先になにが待っているのか、観客のみなさんに発見してもらうためのミステリーです」と結んだ監督が仕掛けたトリックを、どうか劇場で解き明かしていただきたい。『チェイス!』12月5日(金)TOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー取材・文:村山章
2014年12月01日来春に公開されるクエンティン・タランティーノ監督の最新作『ジャンゴ 繋がれざる者』。本作で注目を集めそうなのが、タランティーノとは初タッグとなるレオナルド・ディカプリオの怪演だ。その他の写真思えばレオナルド・ディカプリオくらい困難なキャリアを強いられたスターもいない。天才子役からの脱皮というお決まりの難関は大前提として、歴史的大ヒット作『タイタニック』の主演俳優というレッテルからはどうあがいても永遠に絶対に逃れられないからだ。あれだけの代表作に取り憑かれた以上、タイプキャストに甘んじてスターの座にしがみつくか、敢えてメインストリームに背を向けるか、成功に溺れて身を持ち崩すか、普通に考えると三択しかない。しかしながらレオはいずれの道も選ばず、スコセッシやスピルバーグ、リドリー・スコットら巨匠中の巨匠と組むことで、着実に王道のキャリアを積み重ねてきた。そんなレオが、満を持して極悪非道な憎まれ役に初挑戦するのが西部劇『ジャンゴ 繋がれざる者』。奴隷同士を殺し合わせるのが無類の楽しみという牧場主カルヴィン・キャンディに扮している。ただしレオは、過去に一度、悪役に挑戦しかけたことがある。2005年に公開された『シン・シティ』で、ロリコンの猟奇殺人者イエロー・バスタードを演じるとウワサされたのだ。結局レオはオファーを断ったが、いま考えればあの時点では正しい決断だったろう。もし出演していれば「『タイタニック』のレオが性犯罪者に!」とセンセーショナルに騒ぎ立てられ、レオも作品も得をしない結果に終わったことは想像に難くない。しかしいまのレオは38歳の演技派スター。わざわざ奇矯な役でアピールする必要がないからこそ、好き放題に悪役が演じられるはず。監督のタランティーノも「レオが演じるのは映画史上でもまったく存在しなかった役だ!」と得意のビッグマウスでハードルを上げまくっている。強烈な悪役はアカデミー賞にも愛される。レオの怪演次第では、念願のオスカー像を手にする日が近いかも知れない。『ぴあ Movie Special 2012-2013』より文:村山章『ジャンゴ 繋がれざる者』3月1日(金)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
2012年12月20日イギリスの劇作家であるウィリアム・シェイクスピアが生んだ名作の数々は、実は別人が書いていた? そんな大胆な仮説をベースに、その“大本命”とされる貴族作家の知られざる半生と恋、そして陰謀を描いた歴史ミステリー『もうひとりのシェイクスピア』を、国内の著名な映画評論家たちがこぞって「本気で面白い!」と大絶賛していることが関係者への取材で明らかになった。その他の写真『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』などの名作を書いたのは実は別人だった…、という“シェイクスピア別人説”に秘められた謎を重厚なタッチで描きだす本作。作品のクオリティを評価する声はもちろんだが、評論家たちを驚かせているのは本作のメガホンを執ったのがハリウッドきっての“破壊者”ローランド・エメリッヒ監督である点だ。これまで『インデペンデンス・デイ』『デイ・アフター・トゥモロー』『2012』といったVFX満載の超大作でメガヒットを飛ばす一方、評論家受けはイマイチという印象も強いエメリッヒ監督。実際、本作の宣伝スタッフによると「エメリッヒ監督に、歴史ミステリーを描けるの?」と懐疑的だった評論家も少なくなかったという。ところが試写を観終わった評論家たちは「ローランド・エメリッヒ監督なのに…」と戸惑いと驚きを口にし、その後は「ストーリーの面白さが一級品」「本気で面白い!」「ただの破壊者かと思っていたが、こんなに知的とは」と異口同音に作品を絶賛。先入観を見事にひっくり返し、キャラ変更ともいえるエメリッヒ監督の見事な手腕に映画評論家の北川れい子さんも「エメリッヒがこんなタイプの映画を撮るなんてびっくり。でも面白かった!冒頭から引き込まれた」と拍手をおくっている。「エメリッヒが、こんなドロドロの愛憎ドラマを撮るとは思ってもみませんでした。シェイクスピア別人説と王室の陰謀劇をうまくミックスしていて、娯楽性もたっぷり」(高橋諭治氏)、「思っていたより、かなり面白かった。某編集さんから観てみてと言われて、“エメリッヒかよ”と思いながら大分舐めて観に来たので(笑)、観て良かった」(村山章さん)と多くの評論家が太鼓判を押す本作。実はエメリッヒ監督にとって、本作の実現は10年来の企画であり、“シェイクスピア別人説”を25年も研究する脚本のジョン・オーロフ氏とタッグを組み、緻密に練り込まれたストーリーを完成させた。なぜ真の作者がその名前を永久に封印したのか…。その謎を解き明かすエメリッヒ監督の“意外な”一面をこの冬、スクリーンで確認してみては?『もうひとりのシェイクスピア』12月22日(土)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2012年12月13日『死ぬまでにしたい10のこと』の主演女優として知られ、監督デビュー作『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』が絶賛を浴びたカナダの才媛サラ・ポーリー。待望の監督第2作『テイク・ディス・ワルツ』を完成させた彼女が、新作への思いを語った。その他の写真『テイク・ディス・ワルツ』は、幸せなはずの結婚生活を送るヒロインが、別の男性に心惹かれてしまい、抑えきれない感情や欲望に揺れ動く姿を、詩情あふれる映像で綴った人間ドラマ。“不倫”や“三角関係”といったキーワードで括ることも可能だが、パートナーとの関係において誰もが感じる不安や戸惑いを怖いくらいリアルに切り取っており、的確過ぎる人間観察に震えがくる傑作に仕上がっている。『アウェイ・フロム・ハー』でも“試される夫婦愛”を描いていたポーリーは、「“長きにわたる人間関係”というテーマにすごく惹かれる」と告白する。「結婚したカップルに何が起きるのか?誰かとの関係はずっと続くのか?なぜ私たちは人生に何かが欠けていると感じ、埋めてくれる相手を探してしまうのか?興味深かったのは、多くの人がこの映画を『精神的に未熟』だと批判したこと。主人公には素晴らしい夫がいるのに、捨てようとするなんてけしからんって(笑)。でも一方で『もっと早く別れるべきだった』と言う人もいれば、夫が犯している大きな間違いに気づく人もいる。本当にいろんな感想があって、観た人が語り合ってくれていることが嬉しいの」主人公のマーゴを演じたのは、ポーリーが「彼女しかいない」と白羽の矢を立てたミシェル・ウィリアムズ。「実は自分で脚本を書いたくせに、マーゴがどんな人物なのかつかみかねていた。でもミシェルはまるで演技なんかしてないみたいに、自然にマーゴになりきっていた。ミシェルの演技を通じてようやくマーゴを理解することができたわ」コメディが主戦場のセス・ローゲンも、マーゴの夫役でミシェルに負けない名演技を披露している。特に別れ話を切り出されたときのクローズアップは圧巻で、ポーリーは2時間半もローゲンの表情を撮り続けた。「セスにはただ『ミシェルと話してちょうだい、ミシェルがあなたに別れ話をするから』って伝えただけだった。さすがに疲労困憊してたけど、あの状況に置かれた人に湧き上がるすべての感情を表現してくれた。そしてミシェルも、カメラの横でボロ泣きしながらずっと素晴らしい演技を続けてくれていたの。『ああ、今の彼女を撮影してないなんて!』って後ろめたい気分になったわ(笑)」監督として新たな到達点に立っただけでなく、ミシェルとローゲンからキャリア最高のパフォーマンスを引き出したポーリーはまだ33歳。そのとてつもない才能の輝きを感じるには、映画館が打ってつけの場所であることは間違いない。取材・文:村山章『テイク・ディス・ワルツ』8月11日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
2012年08月07日『あの頃ペニー・レインと』の名匠キャメロン・クロウ監督がマット・デイモンと初コンビを組んだ『幸せへのキセキ』が6月8日(金)に公開。ガンで妻を亡くしてしまった平凡な男と子供たちが、「動物園を買って再建する!」という無謀なチャレンジを通して再生していくヒューマンドラマだが、これは実際に起きたストーリー。まったくの素人から突然動物園オーナーになった原作者、ベンジャミン・ミーが実体験と映画について語った。その他の写真もともとは新聞に日曜大工のコラムを寄稿するフリーライターだったミーは、「動物園を買うなんて、狂気の沙汰だと思った」と笑う。「ところが閉園中だった動物園を見に行って、250匹もいる動物たちに恋をしてしまったんだ。それに買い手がつかなければ、ほとんどの動物が処分されると決まっていた。そのときに、こう考えたんだ。僕にはアフリカで起きている悲劇を止めることはできないが、目の前の動物たちを救うことはできるんじゃないかって」地元イギリスのテレビ番組で紹介されたり、ミー自身が体験記を出版したりしたことで、彼の一家はたちまち有名になり、ハリウッドから映画化話が舞い込むようになった。「大金をオファーされて舞い上がったよ!でも土壇場でこう言ったんだ。もう10万ドルもらえないなら契約はしないぞって。エージェントは『早くイエスって言えよ!』って感じだったけど、動物園をやっていくための請求書が山のようにたまっていたからね(笑)」物語の舞台がアメリカになり、妻が亡くなったタイミングが変わっているなど、映画化にあたって様々な脚色がなされているが、「僕の本も映画も根底にあるエッセンスは同じ」とミーは太鼓判を押す。「ある家族が力を合わせてなにかを乗り越えるというポジティブな物語なんだ。ただ映画と違って、僕の兄弟も息子も動物園にまつわる冒険をすごく応援してくれたんだけどね。でも映画にはすごく満足しているし、マット・デイモンは本当に素晴らしい。この映画を観るたびに、観客が彼の演技に惹きこまれていくのがわかるんだ。マットが演じているのが僕だっていう現実には、いつまで経っても慣れないよ」多くのトラブルを乗り越えて開園にこぎつけた動物園の経営は今のところ順調で、絶滅危惧種の保護や野生に戻す試みにも積極的に取り組んでいるという。『幸せへのキセキ』が公開されることで、ミーの“ダートムーア動物公園”を訪れる日本人も増えるに違いない。取材・文:村山章『幸せへのキセキ』6月8日(金)全国ロードショー
2012年06月05日いよいよ25日(金)より大ヒットシリーズ最新作『メン・イン・ブラック3』が公開。“宇宙人ジョーンズ”としてもおなじみの名優トミー・リー・ジョーンズが今回もエージェントKを演じているが、さらに“若かりし日のK”役でジョシュ・ブローリンがシリーズ初参戦。近年、活躍が目覚ましいブローリンがインタビューに答えた。その他の写真「トミーは僕がすごく尊敬している歴史的名優で、とにかくトミーに気に入ってもらいたかった」とK役のプレッシャーを口にするブローリン。「前の2作を50回は観返したよ。難しかったのは、リサーチしようにもKの過去に関する資料なんてどこにも存在していないこと。僕にはいつも“ちゃんと演じられるのか?”っていう恐怖感があって、どんな役も1000%準備して臨むんだけど、今回はまるで完成図のないパズルみたいだった。印象深かったのは最初に若いKが言葉を発する時の撮影。僕もスタッフもちゃんと“Kの声”に聞こえるか不安だったんだけど、監督のバリー(・ソネンフェルド)が涙ぐんでいてね。OKが出たから、どうやら嬉し涙だったみたいだね(笑)」コーエン兄弟、ガス・ヴァン・サントら作家性の強い監督の映画に立て続けに出演してきたブローリンが、大メジャーの娯楽大作『MIB3』を選んだのは意外な気もするが、本人曰く「あらゆる映画ジャンルの大ファンだから」とのこと。「アート映画やタフガイのイメージに捉われるつもりはないし、僕自身はロマンチックコメディも『スーパーバッド/童貞ウォーズ』も『エイリアン』も同等に好きなんだ。それにバリーは僕のオールタイムベストの1本でもある『ゲット・ショーティ』の監督だから不安はなかったよ」次回作は日本のコミックが原作で、韓国で映画化された『オールド・ボーイ』のリメイク。「もちろん1000%でやらせてもらうよ!」と全力投球宣言も飛び出した。40歳目前でブレイクした遅咲きスターだが、快進撃はまだまだ続きそうだ。取材・文:村山章『メン・イン・ブラック3』5月25日(金) TOHOシネマズ日劇ほか日米同時公開
2012年05月24日“映像の魔術師”と呼ばれる鬼才ターセム・シン監督が、ギリシャ神話の世界を独自の解釈で映像化した『インモータルズ-神々の戦い-』がブルーレイ&DVD化。息を飲む映像美、『300〈スリーハンドレッド〉』にも通じる荒々しいバトル、そしてマッチョなイケメンが居並ぶこの話題作を、“独自の美学”なら決して負けない歌舞伎町のオカマバー“ひげガール”のオネエさま方にぶった斬っていただいた。その他の写真「ギリシャ神話といえば『聖闘士星矢』世代」というパメラ・アンダーヘアーさんは、「ギリシャ彫刻みたいなボディばかり出てきたんで、ぜんぶ美味しくいただきました!」とご満悦の様子。20代の愛染ひかるさんも「いい男たちが血と汗を飛び散らせて戦ってるから、こっちまでヘンな汁が出ちゃいましたー」と笑顔がこぼれる。ただし還暦オネエの米山ババ子さんからは、「上半身は堪能したけど、できたら下半身も……」とオトコの裸にとことん貪欲なR指定発言が飛び出していた。英雄となって戦う主人公テセウスを演じたのはヘンリー・カヴィル。『スーパーマン』の新作にも主演する注目の新鋭イケメンだが、オネエさま方の評価は決して高くない。パメラさんは「いかにも正統派な感じだけど、キレイ過ぎてつまらない」と一刀両断だ。一方、ギリシャ神話の真の主役ともいえるオリンポスの神々については、パメラさんとひかるさんが「美形ぞろいだし神々同士で絡み合ってほしい!」「それいい!キュンキュンきちゃう!」と妄想炸裂の大盛り上がり。パメラさんはさらに「ゼウスとアテナが絶対怪しい、近親相姦かも~」と嬉しそうに指摘。ギリシャ神話に詳しいババ子さんも「それは大いにあり得るわね」と賛同する。「とにかくオカマ的にはごちそうだらけ(笑)」という『インモータルズ』だが、「女性にも男性にも絶対におススメ」とパメラさんは言う。「最近の女って“欲しがる子”が多いからね。あと草食系なんて言われる男子はこういうガツガツした男たちを見て勉強して欲しいわけ。そうなったら、この映画に出てくる巫女みたいに、アタシの操も捧げてアゲル!」捧げられたいかどうかは別として、神々と人間たちの荒ぶる姿から、なにか得られるものがあることは間違いない。取材・文:村山章撮影:星野洋介『インモータルズ-神々の戦い-』3D&2Dブルーレイ+デジタルコピー(3枚組) 6,090円(税込)2Dブルーレイ+デジタルコピー(2枚組) 3,990円(税込)DVD 3,360円(税込)発売元・販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント発売中(c)2010 War of the Gods, LLC. All Rights Reserved.(c)2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
2012年04月16日昨年、世界、日本で大ヒットした製作費180億円のアクション超大作『ワイルド・スピードMEGA MAX』が早くもブルーレイ&DVD化。本作に出演しているヴィン・ディーゼルら文字どおり“ワイルド”な男優たちについて、新宿歌舞伎町のオカマバー“ひげガール”の皆さんに意見を聞いた。その他の写真『ワイルド・スピード』シリーズといえば、ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカーら出演陣のワイルドっぷりも大きな見どころ。さらに最新作の『…MEGA MAX』では“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンまで参入してマッチョ&ワイルド指数は高まるばかり。そこで本作の男優陣について、“オトコを見る目”では右に出る者はいないと言っても過言ではない(!?)“ひげガール”の面々に率直な感想を聞いてみた。映画通でもあるオデヲンさんは、本作でプロデューサーも兼ねているヴィン・ディーゼルの多才ぶりに注目。「ヴィン・ディーゼルはただマッチョなだけじゃなくて、プロデュースや脚本、監督もできる才能の持ち主でしょ。プロデュース能力に長けてる男はデートも素晴らしいの。一事が万事よ。大衆の心をつかむのも、女の心をつかむのも一緒なのよ!」まだうら若いミリンダさんは、ヴィン・ディーゼルのマッチョな肉体にクギ付けだったと告白する。「あの筋肉には惚れ惚れしちゃった!ヴィンヴィンしててアタシのタイプなんで、一生に1回でいいから抱かれたい(笑)」。オデヲンさんも「ヴィンってエッチも上手そうよね」と同調する。ポール・ウォーカーについては「見た目はタイプなんだけど、きっとエッチは大味だと思う。一度肌を合わせたらもうそれでいいって感じ」とオデヲンさんからまさかのポイ捨て宣言!一方、還暦オネエの米山ババ子さんは「ポールの裸が見たい!」と欲望を顕わににしつつも、「彼とはデートで静かにお話をしてみたいの」と純な乙女心を吐露。ミリンダさんも「ポールはロマンチックなところに連れて行ってくれそう」と評価しており、個性派のヴィンとは対照的な正統派ハンサムであるポールの需要も決して負けてはいないようだ。オネエさまがたの意見を総括すると、エッチはヴィン・ディーゼル、顔ならポールという赤裸々な結論に。この見立てに納得できるかどうかは、彼らの魅力が詰まった『…MEGA MAX』を観て確認していただくのが一番だろう。取材・文:村山章撮影:星野洋介『ワイルド・スピード MEGA MAX』スタンダードエディションブルーレイ 3,990円(税込)/DVD 3,360円(税込)ワイルド・スピード ペンタロジー(5部作)ブルーレイ 8,190円(税込)/DVD 6,090円(税込)発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント発売中(C)2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
2012年02月08日イラクの独裁者サダム・フセインの息子、ウダイ・フセインの悪逆非道を、ウダイの影武者になることを強制された男の視点から描いた衝撃作『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』(1月13日(金)公開)。その影武者を務めた本人であり、映画の原作者でもあるラティフ・ヤヒア氏が、ウダイと過ごした悪夢の日々と、祖国イラクへの想いを語った。その他の写真2006年に処刑されたサダム・フセインだが、そのサダムでさえ「生まれてきたときに殺しておけばよかった」と嘆いたというのが長男のウダイ。ラティフ氏は、拷問、レイプ、殺人とやりたい放題を尽くしたウダイを「人間性のカケラもない人物だった」と断言する。「サダム・フセインとならいい思い出があるし、クサイ(ウダイの弟)ともいい関係を築くことはできた。しかしウダイの影武者だった4年半で、1分たりともウダイとの楽しい瞬間など存在しなかった。映画では主演のドミニク・クーパーがウダイの姿をほぼ100%正確に演じているけれど、ウダイの残虐行為については半分も描けてはいない。本当に起きたことをそのまま描けば、観客は5分と座っていられないからね」ラティフ氏自身も、確たる理由もなくウダイから日常的に拷問を受け、亡命を決意するに至った。当時のトラウマを克服し、「映画みたいに馬に乗って逃亡はしなかったよ」と笑えるようになった一方で、イラクの現状に絶望に近い感情を抱いている。「2003年のアメリカの侵攻ですべてが変わった。アメリカはサダムを一方的に悪人と言うが、サダムが国民のために中東一の道路網を作り、住宅環境やインフラを改善し、医療や教育のシステムを改革したことも事実なんだ。ユニセフでさえもサダムを中東で最高の内政家だと評価していた。イラクの国民も、尊厳と教養を兼ね備え、訪問者を歓迎するのが大好きな幸せな人たちだった。しかしすべてが破壊された今では、わずかな米ドルを得るために親兄弟や友人同士が殺し合うようになってしまった。生まれ育った家も米軍の爆撃でなくなったし、もう自分がイラクに戻ることは考えられないよ」現在のラティフ氏はアイルランドで暮らし、人権擁護団体のメンバーとして活動を行っている。「20年前に西側に亡命したときには、独裁政権のイラクと違って人権や言論の自由が約束されていると信じていた。しかしCIAに協力しなかったことで私は拷問にかけられ、書いた本は発禁にされ、いまだにどこの国の市民権も得られていない。結局どこの国もシステムが違うだけで、民衆に真の自由は与えられてはいないんだ」と語気を荒げる。「今も正義とは何なのかを探し求めている最中」と語るラティフ氏の壮絶人生。せめてその一端に、本作を通して触れていただきたい。取材・文:村山章『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』2012年1月13日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー(C)Filmfinance VI 2011 - All Rights Reserved
2012年01月12日全世界売上1億部を突破した人気小説を映画化した“トワイライト・サーガ”の最終章にあたる『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』の特報映像がこのほど公開され、禁断の恋を描いた人気シリーズの“終わりの始まり”が明らかになった。『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』特報“トワイライト・サーガ”は、ヴァンパイアの青年エドワード(ロバート・パティンソン)と人間の女性ベラ(クリステン・スチュワート)の許されぬ恋を描いたラブ・ストーリー。最終作はステファニー・メイヤーの原作のエピソード、テイストをより忠実に映画化するべくシリーズ初の2部作で製作する。これまでのシリーズで幾度も困難を乗り越えて、ついに永遠の愛を確認しあったエドワードとベラ。『ブレイキング・ドーン Part 1』の特報ではそんなふたりがついに永遠の愛を誓う結婚式のシーンで幕を開ける。静かに見つめ合い幸福そうな表情を浮かべるふたりを捉えたシーンから一転、映像は深刻なトーンに。ベラの体に宿った新しい命はなぜに“不滅の子”と呼ばれるのか? そしてこの妊娠は人間界、ヴァンパイア界にどんな影響を及ぼすのか? 最終章はクライマックスにふさわしく大きな見せ場と危機が次々と描かれるという。本作は海外では熱狂的なファンを数多く生み出してきたものの、日本では“大ブレイク”と呼べるほどのヒットを記録していなかった。しかし、新作映画が公開される度に熱烈なシリーズのファン“トワイライター”が増加。前作『エクリプス/トワイライト・サーガ』は日本でのシリーズ最高興収を記録しており、最終章の『ブレイキング・ドーン』の動向にも注目したいところだ。『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』2012年2月25日(土) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2011年08月02日