オードリー・ヘプバーン主演の映画でも知られるフレデリック・ノットの名サスペンス劇『暗くなるまで待って』が、深作健太演出で上演される。盲目の主婦スージーの家に、ひょんなことから麻薬の隠された人形が持ち込まれ、これを奪おうとする男達を相手にスージーが孤軍奮闘する物語だ。【チケット情報はこちら】スージーが相手にする悪党のひとり、ロートを演じる加藤和樹は「2007年に日本で上演された舞台を観て、“なんだこの芝居は!”と衝撃を受けたんです。ロート役は浦井健治さんがやっていらして、“この人、すごいな!”と思って。いつかこのお芝居をやりたいという願いが叶って、嬉しいです」と目を輝かせる。加藤にとって、2010年、2017年の『罠』でもタッグを組んだ深作が演出を手がけることも大きいという。「健太さんはいつも、役者に寄り添い、一緒に考えてくださる。同じペースで歩んでいける演出家なんです。健太さんが初めて舞台の演出を手がけた『罠』では、稽古が“よーい、スタート!”で始まり、演技が終わったら“カット!”とおっしゃったのが、今でも忘れられません(笑)。その後、僕はミュージカルにも出演し、健太さんはオペラの演出もなさり…と、お互い経験を重ねて再会するたび“健太さんはこんなカードを出してくるんだ!じゃあ自分はあのカードを出してみよう”というふうに、良い関係性が築けています」『暗くなるまで待って』は、その『罠』と同じワン・シチュエーション・プレイのサスペンス。「決め事が多くなり、1個でもボタンをかけ違ったらおしまい。大変ですが、良い緊張感にもなるはずです。視覚的なものに加えて、サスペンスの醍醐味なのが、会話。膨大な情報を、台詞でお客様に与えていかなければなりません。この台詞は立てなければならないとか、でも立て過ぎるとわざとらしくなる、とか、そういったところに難しさもやり甲斐もありますが、相手役に言葉をきちんと届けることができれば、お客様にも伝わると思っています」加藤がロートのような悪人を演じるのは珍しい。「ここまでの極悪人は初めてかもしれません。役者が役の1番の理解者でないといけないので、彼がどんな人間で、どういう私生活を送っているのかを考えていく必要がある。見た目だけでなく中身も彼として舞台上で立っていられることが目標ですね」台詞をどう届けるか、役をどうとらえるかを語るその口ぶりからは、役者としての充実がうかがえる。「20代後半くらいの頃、演出家の白井晃さんとの出会いもあって、“自分と役を別物に考えるのではなく、自分のベースに自分の言葉として出てくるものが役になるんだ、役者って難しいことをやってるんだな”と気づいて。そこから面白くなってきました。来年は僕も34歳。これまでやってきたことを生かして、若さだけではないものを表現したいです」公演は2019年1月25日(金)から2月3日(日)まで東京・サンシャイン劇場で上演。その後、大阪、愛知を周る。ぴあでは10月9日(火)午前11時まで東京公演のプレイガイド最速先行受付中。取材・文:高橋彩子
2018年10月02日片岡仁左衛門が、芸術祭十月大歌舞伎で『助六曲輪初桜』で主役・花川戸助六を、東京では仁左衛門襲名以来20年ぶりに演じる。公演に先立って、合同取材会が開かれた。【その他の画像はこちら】蛇の目傘を手に花道から颯爽と登場し、その場にいる全ての花魁たちからキセルを差し出される、江戸一の色男・助六は、顔、声、姿と三拍子揃う仁左衛門にはうってつけの役どころ。かつて上方役者ながら自身の襲名披露にこの演目を選んだのも、自然なことにすら思えてしまう。「立役の役者はほとんどがやりたい役でしょうね」と仁左衛門は語る。「よく、大阪の役者、江戸の役者と言いますが、私は日本の役者。全てやりたかった。だから“新しい仁左衛門はこういう路線を行きますよ”ということで選んだんです。今は私が、助六を演じる最年長かなあ? この歳で勤められるのも有難いし、勤めておかないともう勤められなくなるし。千秋楽を迎えてもまだ課題は残っていると思いますけれども、私としては集大成の心構えで臨みたいですね」「十八世中村勘三郎七回忌追善」と銘打つ今年の十月大歌舞伎。これまで仁左衛門の助六では必ず相手役・揚巻を勤めてきた坂東玉三郎は母・満江役に回り、新たに中村七之助が揚巻役に。実は助六の兄である白酒売新兵衛役には、中村勘九郎が扮する。「中村屋さんの家と『助六』は、私にとって繋がりが非常に深いんです。この演目を私が初演した時(1983年)は中村屋の十七代目のおじ様(中村勘三郎)に教えていただいて、その次にやった時(1991年)には十八代目(勘三郎、当時は勘九郎)が白酒売で出てくれました。十八代目は“自分も助六をやりたい”“やる時には兄ちゃん教えてよ”と。それが実現できなかった残念さ。今回は、勘九郎くんに思いを繋げて、傍で観ていてほしいと思いますし、七之助くんには、大和屋さん(玉三郎)の指導を受けて、ゆくゆくは揚巻役者になってほしい。そう期待しています」仁左衛門といえば、華・様式美とリアルな心理描写の両方を見事に造形する役者。彼はどのようにこの芝居と向き合うのだろうか。「私が台詞において1番大事にしているのは、言葉を伝えるのではなく思いを伝えること。言葉に気持ちを乗せれば、台詞回しも変わってきますから。この助六は心理を深く掘り下げるというものではないけれど、かと言って上辺だけ、華やかさだけではダメ。その兼ね合いが大事ですよね。お客様に楽しんでいただくために、まずは役者が気持ちよく演じることが大事だとも思っています」来年で、初舞台から70年。「短かったような、長かったような。大先輩の域に行き着けていない自分が恥ずかしい」と語るが、瑞々しさを湛えながら豊かな実りを見せるその芸は、いよいよ見逃せないものとなっている。公演は10月1日(月)から25日(木)まで、東京・歌舞伎座にて。取材・文:高橋彩子
2018年10月02日様々な振付家がバレエ化している『シンデレラ』。だが、男性による白鳥・黒鳥によるあのメガヒット作『白鳥の湖』を生んだ振付家マシュー・ボーンによる『シンデレラ』はひと味違う。物語の舞台は第二次世界大戦下のロンドン。ナチス・ドイツがイギリスに対して行った大規模な空襲、「ロンドン大空襲」の中、シンデレラと英国空軍のパイロットの恋が進行するのだ。【チケット情報はこちら】「『シンデレラ』は、1995年に初演した私の『白鳥の湖』の後に振り付けた最初の作品。1997年に初演され、2010年に改訂して今に至るのですが、パーソナルな家族の繋がりを描いている点や、戦時中という設定を、私自身、とても気に入っています」と、マシュー・ボーンは語る。「この作品は、戦時中に家族をロンドンに集めていた私の祖父母に捧げたものです。大空襲を生き延びた私の両親は、あの頃の話をするのが好きでした。当時の興奮、恐怖、そして、友情……。みんな亡くなってしまいましたが、この作品には、私の家族だけでなく、戦時中に犠牲となった全ての人々、そして戦時中に愛を見つけ、あるいは失なった人々の精神が息づいていると思います」ボーンと美術・衣裳のレズ・ブラザーストンはこの作品に、自身の持つ映画愛を込めたという。バレエでしばしばグロテスクに描かれるシンデレラの継母も、このプロダクションでは映画女優並みに華麗でファッショナブルだ。「レズは細かく時代考証を行い、1940年代の日常着と映画スターの衣裳を織り交ぜました。そもそも人の醜さとは、外面ではなく内面から表れるもの。我々が描く継母や義理の姉妹や兄弟は皆、利己的で思いやりがないですが、彼らには変わる力があるのだし、きっとそうなることでしょう!」ボーンもブラザーストンもロンドン出身だけあって、舞台は真に迫る美しさ。シンデレラは、怪我をして彼女の家に避難してきたパイロットと恋に落ち、エンジェルの導きによって舞踏会で再会するのだが、その舞踏会が開かれるのは実在のナイトクラブ、カフェ・ド・パリ。この他、ロンドンの街路やテムズ川など、ロンドンの様々な名所が描かれる。ラストでは、パディントン駅を舞台に、シンデレラ・ストーリーが一回性のものではなく繰り返されるものであることを示す演出も。「私は、この物語が戦時下で繰り広げられたたくさんのエピソードや関係性の一つに過ぎないことを表すために、舞台を鉄道駅に設定しました。エンジェルはここで、夢に近づくために少しだけ助けが必要な孤独な魂の持ち主を、再び探し始めるのです」世界的な振付家が特別な思いを注いだ『シンデレラ』をお見逃しなく。公演は10月3日(水)から14日(日)まで、 東京・東急シアターオーブにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子MATTHEW BOURNE’S CINDERELLA. Andrew Monaghan ’Harry’, Ashley Shaw ’Cinderella’ and The Company. Photo by Johan Persson
2018年09月28日ディズニーの名曲を、ブロードウェイなどで活躍する歌手たちと一流オーケストラとのライブ演奏で送る「ディズニー・オン・クラシック~まほうの夜の音楽会2018」。9月22日(土)の開幕に先立って、ゲネプロが行われた。【チケット情報はこちら】毎秋に開催され、年によって変わる様々な趣向も人気のこのコンサート。今年は、去る4月に35周年を迎えた東京ディズニーリゾートの“35周年テーマソング”である〈Brand New Day〉で、第一部が華やかに開幕。さらに、初の試みとして、今からちょうど90年前の1928年に作られた、ミッキーマウスの正式な映画デビュー作『蒸気船ウィリー』を、オーケストラの演奏と共に上映。いたずら好きのミッキーの冒険が、映像と音楽で綴られるさまがとにかく楽しい。牛や鳥の声は歌手たちが表現!続いて、2002年の「ディズニー・オン・クラシック」誕生以来15年以上、タクトを振っている指揮者ブラッド・ケリーも「ディズニー・オン・クラシック史上、最も豪華なセレクション」と語る「アラン・メンケン・セレクション」。『リトル・マーメイド』より、人魚姫アリエルが人間に憧れ夢をふくらませる〈パート・オブ・ユア・ワールド〉、『美女と野獣』から、ベルとビーストの愛がゆっくりと花開いていく〈美女と野獣〉、『ポカホンタス』のヒロイン・ポカホンタスがジョン・スミスに自然界の魅力を説く〈カラー・オブ・ザ・ウィンド〉、異なる世界に生まれ育ったラプンツェルとフリンが巡り会い、新たな世界を謳う『塔の上のラプンツェル』の〈輝く未来〉、アラジンとジャスミンが空飛ぶ絨毯の上で愛を語り合う『アラジン』の〈ホール・ニュー・ワールド〉……。改めて、アラン・メンケンの楽曲が、その豊かに広がる音楽でもって夢や希望を雄弁に描いていることがよくわかるだろう。第一部のフィナーレは、「オーケストラと光のコンチェルト」。東京ディズニーシーのアクアスフィア・プラザで流れる、冨田勲作曲のデイタイムの音楽だ。明るい光の中を散策するような美しい曲にしばし酔いしれる。第二部では、映画『ヘラクレス』をフィーチャー。語り部のミューズ達が歌うゴスペル調の音楽に誘われ、ゼウスとヘラの息子として生まれながら、冥府の神ハデスの謀略によって人間界に落とされたヘラクレスの物語が展開。怪力を持て余し自信が持てずにいたヘラクレスが、やがて愛を知り真の英雄へと成長するさまが、スクリーンの前での歌手達の生き生きとした歌&演技と、オーケストラの瑞々しい音色によって体現される。舞台と客席が一体となって盛り上がる演出も。なお、今回でブラッド・ケリーは「ディズニー・オン・クラシック」を卒業し、ジャズを中心とした新しいディズニーコンサート「ディズニー・ワールド・ビート!」を始動する。16年間の集大成と言うべき珠玉のコンサートをじっくりと味わいたい公演は9月22日(土)東京・文京シビックホールを皮切りに、全国で上演。取材・文:高橋彩子
2018年09月27日栗山民也演出、高畑淳子、鶴見辰吾、若村麻由美出演の三人芝居『チルドレン』。34歳のイギリス人劇作家ルーシー・カークウッドが2016年に発表し、今年のトニー賞演劇作品賞にもノミネートされた注目作だ。その日本初演に向けてギアを上げつつある稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】物語の舞台は、大地震をきっかけに津波と原発事故が起きた町。元物理学者の夫婦、ヘイゼル(高畑)とロビン(鶴見)が暮らすコテージに、20年以上前に原子力発電所で夫婦の同僚だった女性ローズ(若村)が訪れる。久々に再会した3人の胸には、様々な思いが去来しーー。この日の稽古は、劇の終盤。ひとしきり、互いを懐かしみ、はしゃぎ、複雑な気持ちに襲われ……と、幾つもの感情を通過した3人の今を象徴するかのように、部屋には夕日が差し込み、波の音が静かに響く。しっとりとした雰囲気の中、ある重要な決心を語り、ヘイゼルとロビンにも決断を迫るローズ。「発展途上国の半分の人間は電気なしでやっている」「あなたたちに電力を使う権利はないわ」と言う彼女の言葉が、他のふたりに、そして観る者に深く突き刺さる。過去の責任をどう取り、未来にどのようなものを残すのか。次の世代のために、今の世代には何ができるのか。ナチュラルな日常会話を通して、普遍的な命題が、強く痛切に訴えかけられていく。高畑はヘイゼルの表向きの強さと裏腹の脆さを体現。鶴見のロビンには女性たちに愛される男の魅力と悲哀が滲む。若村は陰影のある演技でローズの孤独や決意を表していく。3人が紡ぎ出す心の機微は、細やかで豊かだ。酸いも甘いも噛み分けた彼ら大人が、旧知の人間を相手に、ある瞬間には、子供のようにムキになり、狼狽し、生への執着をむき出しにする。3人揃っている時とひとり欠けてふたりになった時で雰囲気が変わるのも、リアルで面白い。そして、何気ない会話から、各自が隠し、あるいは封印して自分でも忘れかけていた優越感や劣等感、罪悪感などが浮かび上がる。人は誰しも、傍から見る以上に繊細で入り組んでいるのだ。三者三様の立場や思いに私達はうなずき、彼らの会話に共感を覚えながら、大きな決断に至るまでを見守ることになる。その一挙手一投足、言葉ひとつ表情ひとつたりとも見逃せない。台詞劇の醍醐味にあふれた作品の開幕は間もなくだ。公演は9月8日(土)埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホールより。その後、 全国を周る。取材・文:高橋彩子
2018年09月07日大地震により津波と原発事故が起きた町を舞台に、夫婦であるヘイゼルとロビン、そして夫婦の元同僚のローズが織りなすドラマ『チルドレン』。ロンドンはウエストエンドで注目を集めた本作の日本初演を前に、ヘイゼル役の高畑淳子とロビン役の鶴見辰吾に話を聞いた。【チケット情報はこちら】ふたりが口をそろえるのは、気鋭の劇作家ルーシー・カークウッドの戯曲の魅力だ。「登場する3人は皆、変な人達(笑)。ロビンは女好きだし、ヘイゼルは異常に几帳面だし、ローズはローズでかなり、おかしな人で。そうした俗物たちの日常が巧みに描かれると同時に、ふとした瞬間には詩的だったりハッとさせられたりするのが、素晴らしいんです」と言う高畑に、鶴見も「僕は劇の途中で登場するので、しばらく高畑さんのヘイゼルと若村(麻由美)さんのローズの会話を聞く時間があるのですが、本当に面白い。その後の僕ら夫婦のやりとりもリアルですよね。しかも、ただその場その場を楽しく盛り上げるだけでなく全てに意味があり、何かしらの伏線になり得るんです」とうなずく。高畑、鶴見ともに、栗山民也の演出は既に経験済み。信頼を寄せる演出家だ。「”栗山マジック”があるんですよ。『アドルフに告ぐ』(2015年)でご一緒した時には、”ある公演の稽古に来なくなったダンサーがいて、どうしたのかと思ったら、舞台に合わせて何日もご飯を食べないとどうなるのかを試すうちに倒れてしまい、保護された”という話をなさって我々を追い込んだ(笑)。栗山さんらしいなあと思いました」と鶴見。「ロジカルに攻めるかと思えば、意外とシンプルに”そこでエビ反りしてみようか”みたいなこともおっしゃるしね。実際にエビ反ってみるとそこがすんなり流れたりするんです。それでうまくいくなら、幾らでもエビ反りますよ!お客さんに届けるためならできることは全てしたいですから」と高畑。経験豊かなふたりにとっても、本作は大きな挑戦の場だという。「僕は60歳過ぎで孫もいる役は初めて。実年齢よりずっと上なので大丈夫だろうかと最初は不安だったんです。でも本を読んでみて、そうしたことはすっ飛ばして演じられると確信しました。本を読み直すたび、お稽古をするたび、発見が出てくるでしょうし、その発見のどこを淘汰するかという作業も必要になる。大変ではありますが、右往左往した時間が多ければ多いほど、豊かな芝居になると思うので、そこを楽しみにしたいですね」(鶴見)「私は普段、共演者の声も聞かないうちに台詞を覚えるのは、邪道だと思っているのですが、今回はそうもいかない!と早めに準備しました。読んでぱっとわかる芝居ではないから、どうなるんだろうという不安は正直あります。でも、大人3人がガチで日常を演じながら、作品の抱えているものをぶつけ合えたら、観たことのない芝居になる予感がする。そのためにも稽古場では、色々なことを探して試したいと思います」(高畑)公演は9月8日(土)埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホールより。その後、 全国を周る。取材・文:高橋彩子
2018年09月04日初代中村吉右衛門の芸と精神を受け継ぐべく、2006年に始まった「秀山祭」が今年も開催される。初代の孫で養子でもある二代目吉右衛門を囲む合同取材会が開かれた。歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎 チケット情報「今回で秀山祭は11回目。初心に戻って1から始めようという気持ちで、播磨屋ゆかりの『俊寛』と『天衣紛上野初花』を選ばせていただきました」と吉右衛門は語る。『俊寛』は、鬼界ヶ島に流された僧都・俊寛の物語。都から赦免船が来て、俊寛、康頼、成経ら流人は船に乗るが、成経の恋人である島の娘・千鳥だけ乗船を許されない。俊寛は罪人として島に残る道を選んで千鳥を船に乗せ、去っていく彼らを見送る……。吉右衛門にとって「初代が練り上げ、魂を込めた作品。もしスポンサーが出てくだされば、パリ、ローマ、ロンドンなどにもって行きたい。いずれも流刑地がありますから、よく分かっていただけることでしょう」と語るほど思い入れの深い作品だ。「近松の名作だと私は思います。播磨屋は(原作である)文楽も竹本(義太夫節)も大事にしておりますが、竹本に乗って、踊りではないけれども踊りのように体を動かさねばならないところが多いお芝居です。その一方で、心理描写は現代的。島に残って千鳥を乗せるために上使を殺さなければならない場面などは、その心理を竹本や三味線と息が合わせて表現する型になっております。今回、(竹本)葵太夫さんが通して語ってくださるので、とても有難く嬉しい気持ちです」本作に主演し、これまで数々の名演を見せている吉右衛門だが、20年ほど前、演じながら特別な体験をしたという。「最後、船を見送っていると、上の方から(仏・菩薩が人々を苦役から救って彼岸に送る)弘誓の船のようなものが降りてくるのが見えたんです。弘誓の船が来るということは、そのまま死んでいくこと。私は、この芝居での俊寛は息絶え、解脱して昇天していくのではないかと思いました。以来、幕が閉まる寸前に上方を見上げるようにしています」一方、『河内山』は、松江侯に妾となるよう強要され、屋敷から帰してもらえずにいる質店上州屋の娘のお藤を、お数寄屋坊主の河内山宗俊が見事に奪還するまでを描く、爽快な物語だ。「庶民の味方である悪人の、巨悪に対する生き様を描いたお芝居でです。お客様に喜んでいただいて、最後は溜飲を下げていただく。講談だったものを舞台として立体的にお見せするわけですから、それでつまらないものになるなら私は役者としてやっていけません(笑)。初代がもっと面白くやっていたのは分かっているのですが、少しでも近づけたらと。楽しんで演じたいですね」他にも魅力ある演目が並ぶ秀山祭を「多彩な顔ぶれ、多彩な狂言」と表現した吉右衛門。中村福助の5年ぶりの舞台復帰についても、「誠に慶事」と喜びを表した。「秀山祭は私が生きている理由。今後20回、30回と続けていけたらと思っています」9月2日(日)から26日(水)まで東京・歌舞伎座にて。取材・文:高橋彩子
2018年08月22日ダンス&ボーカルグループ・AAAの宇野実彩子が出演する薬用 ホワイトニング歯磨き「アスプラッシュ」のWEBCM『眩しい笑顔編』が1日、公開された。同CMで宇野は、意中の男性とのデートに心を躍らせる、恋する女性を演じる。デート前にメイクを直して鏡の前で微笑んだり、待ち合わせの場所で彼を見つけ思わず笑顔になったり、うれしそうに彼と手をつないだり、愛らしい宇野の魅力あふれる内容になっている。CMソングは、宇野本人が作詞を手掛けたオリジナル。宇野は「答えのない曖昧な恋模様に皆さんの経験や感情を重ねていただけたら嬉しいです」と話している。また、美しく白い歯をキープするために日頃から注意しているそうで「コーヒーが大好きですが、白い歯を保つために、朝晩と、食後や撮影前に歯磨きをして着色を防いでいます。日頃から鏡で歯の状態のチェックは欠かさずやっています」とのこと。自信のある体のパーツを聞かれると「背中ですかね。続けている背筋のトレーニングの効果がやっと出てきているような気がします」と明かした。
2018年08月01日歌舞伎座の八月納涼歌舞伎が、今年も開幕する。第一部で『心中月夜星野屋』、第二部で『東海道中膝栗毛』、第三部で『盟三五大切』に出演する中村七之助の取材会が開かれた。【チケット情報はコチラ】「『八月納涼歌舞伎』はうちの父(十八世中村勘三郎)と(十世坂東)三津五郎のおじ様、それに(中村)福助、(中村)芝翫のおじが舞台上でも舞台裏でも闘って続けてきたもの。特に、父と三津五郎のおじ様の魂に顔向けができない1か月にはしたくない」と七之助は言う。その思いが、『心中月夜星野屋』上演に深く関わっている。「父と三津五郎のおじ様の納涼歌舞伎は、第一部からお客様でいっぱいのイメージ。もう一度そうなるために、去年、兄(中村勘九郎)と僕で第一部の演目を考え、僕は(坂東)玉三郎さんの演出で(市川)中車さんと『刺青奇偶』をやらせていただいたところ、お客様がどんと入ってくださって。今年もこの流れを消さないように、そして、中車さんとまたやりたかったので、2年前に上演した(笑福亭鶴瓶の落語が原作の)『廓噺山名屋浦里』で脚本を手がけてくれた小佐田(定雄)さんに相談し、落語『星野屋』を歌舞伎にすることになりました」落語が原作というと、これまで八月納涼歌舞伎では怪談物を上演することが多かったが、『山名屋浦里』に続いて、よりコメディ色の強い作品が登場する。「第一部にふさわしく、軽い気持ちで楽しく観られるものを選びました。ひとりで語る落語と、役者が演じる歌舞伎とでは、やはり違います。落語と同じオチが歌舞伎でうまく幕になるとは限らないし、歌舞伎は視覚的に楽しませる分、落語より狭まる部分もあるかもしれない。巧い噺家だと、座布団に座って長屋の話をするだけで長屋のにおいまでして来るのに対して、歌舞伎は視覚的に分かってしまう怖さがある一方、動きや掛け合いで楽しませることもできます。そこをどう魅せるか、これから小佐田さんとの相談や稽古で詰めていきます」『東海道中膝栗毛』は、十返舎一九の原作を奔放に賑やかに発展させた作品。一昨年、昨年と、形を変えながら上演され、七之助は昨年から出演している。「まだ何も聞いていないのですが、去年は芝居に絡む役ではなかったので、今回はもっと作品に絡みたいと言いました。俳優祭的なところもありますが、お客様が喜ばれるし、歌舞伎の幅の広さがわかる演目だと思います」『盟三五大切』では、芸者の小万に初役で挑む。「僕はコクーン歌舞伎で1番好きなのがこの『盟三五大切』。憧れの(中村)福助のおじが演じていた小万をやれるのは嬉しいですね。小万は、ただただ好きな三五郎のために(薩摩)源五兵衛を騙してしまう女性なので、あまり悪い人には見せたくない。色気たっぷりに演じたいですね。父と芝翫のおじがWキャストで源五兵衛を演じた時、印象が全然違ったんです。(源五兵衛役の松本)幸四郎さんと私と(三五郎役の中村)獅童さんの3人ならではの舞台にしたいですね」公演は8月9日(木)から27日(月)まで、東京・歌舞伎座にて。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2018年07月25日ダンス、テクノロジーアート、音楽など、ジャンルを越えて活躍するアーティスト梅田宏明が、Hiroaki Umeda+Somatic Field Project『1-resonance』公演を行い、2009年初演の『1.centrifugal』と、タイトル未定の新作、そして自身の2015年初演のソロ『Intensional Particle』の3作を上演する。【チケット情報はこちら】「約3年前、僕が開発したメソッドを日本の若いダンサー達と共有するために『Somatic Field Project』というプロジェクトを始めたんです。1度それを公演という形で、日本でお見せしたいと考えました」と梅田は語る。『1.centrifugal』は、フィンランド人と日本人ダンサー達によって日本で初演されたもの。梅田にとって初めて自身以外に振り付けた作品で、踵と骨盤と胸の3点を軸にバランスを取る彼独自のメソッドを活用し、遠心力を意味するタイトル通り、回るような動きで構成している。「僕のメソッドはダンスのテクニックではなく、いかに無駄なく動けるかという、身体の使い方。まずは力を抜くことから始め、次に踵での床の立ち方、そして骨盤、胸……と力のかけ方を訓練していくんです。2009年以降、色々な国や身体の人に使い、非常に有効だと感じてきました。『1.centrifugal』はこのメソッドの“基本編”です。これに対して新作は、跳ねるような動きなど色々な質感を加えながら、音楽を奏でるように動く“発展編”。ダンサーには、自分を人間だと思わないでほしいと言っています。社会生活で培った人間的な動きを排除し、マテリアルとして動いてもらいたい。個性を押し出すのではなく、抑えたところからにじみ出るものを拾いたいからです」上記2作には出演しない梅田を観ることができるのは、ソロ『Intensional Particle』だ。目がくらむような音と映像の洪水の中、切れ味鋭い驚異的な梅田の動きが展開する。「将来的に僕は、身体を越えたところで振付を扱えないかと考えているのですが、そのプロセスとして、踊りと映像を極めて近い存在として振り付けていこうというコンセプトで創りました。映像には自然な力の流れみたいなものを表したかったので、よく物理などで使われる、力を表現する数式を使ってグラフィックを描いたり、センサーを使って僕の筋肉の動きをデータにし、映像に反映させたりもしています」海外では、ダンスだけでなく音楽など様々なフェスティバルで引っ張りだこの梅田。「僕にとって日本は、実験し、自分のアートを育む場所。最近、振付家のワークショップなども始めました。一方、海外には、マーケットも価値基準も広く色々なものが受け入れられやすいという長所がある。僕はダンスというよりトータルで観客の感覚に訴え、それがどのような体験になるかを重視しているので、日本の観客にも自由に感じに来てほしいです」本公演は、6月30日(土)・7月1日(日)に東京・あうるすぽっとにて。取材・文:高橋彩子
2018年06月15日ドレスキャンプ(DRESSCAMP)とパフォーマンスグループ「AAA」の宇野実彩子によるコラボレーションコレクションが、2018年7月末より、全国の取扱い店などで販売される。コラボレーション第2弾となる今回は、ドレスキャンプのオリジナルグラフィックに宇野実彩子のイニシャル「M.U」を入れたバッグやウォレット全6型が登場する。大人ポップな「パステルカラーシリーズ」は、淡いピンクとベージュの2色展開。普段使いにぴったりなサイズ感の2WAY ショルダーバッグ、アクセントにタッセルの引き手が付いたショルダーバッグとハーフウォレット、トートバッグが揃う。さらに、男性にも愛用してもらいたいという想いのもとデザインされた「ブラックシリーズ」もリリース。1泊分の荷物が入るボストンバッグ、タッセルの引き手が付いたクラッチバッグの2型が展開される。【詳細】「Misako Uno x DRESSCAMP」発売日:2018年7月末販売店舗:SHIFFON Venus Fort店ほか全国取扱い店、量販店、ドン.キホーテ、Shiffon オンラインストアなど価格:・ボストンバッグ 11,880円(税込)・クラッチバッグ 7,560円(税込)・2WAY ショルダーバッグ 11,880円(税込)・トートバッグ 9,720円(税込)・ショルダーバッグ 9,720円(税込)・ハーフウォレット 7,560円(税込)■先行予約予約開始日:2018年6月7日(木)12:00~ Shiffon オンラインストアにて
2018年06月10日ダンス&ボーカルグループ・AAAの宇野実彩子が8日、東京ドームで行われたプロ野球交流戦、巨人VS西武戦の始球式に登場。美脚あらわなショートパンツのユニフォーム姿で、ノーバウンド投球にはならずもストライクゾーンへときれいな投球を披露した。始球式を行ったAAAの宇野実彩子ほとんど野球経験のない宇野は、この日に備えて、ツアーの合間を見つけて投球練習をしてきた。本番では、ワンバウンドながらきれいにキャッチャーが構えるストライクゾーンに。投球を終えた宇野は「とても緊張したけど、楽しかった。素敵なユニフォームを着られて、ジャイアンツの一員になれた気分です。投球自体は(点数をつけるとしたら)60点ぐらいかな」と話した。アーティストとして東京ドームでライブ経験のある宇野は、「戦う場所という感じ。やっぱりライブ時とは全く雰囲気が違いますね」とも話した。始球式が行われたのは、読売巨人軍が主催する女性ファンサービスイベント「ジャイアンツ・ガールズナイト」。宇野がファッションページを務める女性ファッション誌『CanCam』との初コラボ企画で、試合には、CanCam読者100人を無料招待。グラウンドでの記念撮影や宇野着用の女性用レプリカユニホームのプレゼントなど、さまざまなファンサービスが行われた。
2018年06月08日1984年生まれのイギリス人劇作家ルーシー・カークウッドが2016年に発表した三人芝居『チルドレン』が、栗山民也演出で日本初演される。舞台は、巨大地震の影響で大津波が起き、原発事故が起きた町。津波で浸水した家を離れて避難した核技術者同士の夫婦ヘイゼル(高畑淳子)とロビン(鶴見辰吾)のコテージに、かつての同僚ローズ(若村麻由美)が、ある提案を胸にやって来る…。初めての本読みを翌日に控えた高畑、鶴見、若村に聞いた。「イギリスって本当に演劇好きな国だなあと感じます」と作者の劇作術にうなるのは、高畑。「私達が演じるのは、人生の酸いも甘いも知り尽くした60代の日常。その会話を楽しんでもらいつつ、そこにいくのか!という展開がとてもドラマティックなんです」一方、鶴見は日本での上演の意義に注目する。「この戯曲は福島のことを考えて書かれたと思うのですが、我々が逆輸入で演じることで、より広い視野で、エネルギーの問題や人生、子供の教育などについて、演劇を見る面白さと共にお客さんに考えていただけたら嬉しいです」若村も「多面的で多層的な本です」と目を輝かせる。「私は3.11を機に、今日を大事にしなければという思いが強くなりましたが、この作品には、今を生きる私達の問題が詰め込まれている。自分だったら・・・という感覚でご覧いただければと思います」それぞれ共演経験がある高畑、鶴見、若村だが、三人一緒の舞台は初めて。「三人芝居には、ひとりが外れるとすぐ重心が変わる面白さがあります。ヘイゼルとロビンとローズは三角関係なのに、男性がいないと女性同士に共通する感情が湧くんですよね」と若村が言えば、「同じ青春時代を過ごした三人の空気が醸し出せたらいいよね。そして三人だからこその化学変化を出したい。高畑さん、若村さん、僕のこんな部分が出ちゃった、というのを見せられれば」と鶴見が意気込み、「演出の栗山さんがちゃんと見ていてくださるから、私達は大いに探して試したいですね。実際、わからないことがあっても恐れずに探せる三人だと思う」と早くも手応えを感じている様子。「色々なことが日常にまぶされているから、読みながら涙が止まらなくなってしまう場面もあります。“妙齢”な人達の話だと思って観ていたらとんでもないところに連れて行かれた、という感じになればと思います」(高畑)「観たあとに、このお芝居について誰かと話したくなる、しかもその日だけではなく何日も余韻の残る作品だと思うので、ぜひ友達や恋人や親子で観ていただき、たくさん喋ってほしいですね」(若村)「恋愛ドラマだったり科学的な話だったりと、人によって見え方にバリエーションがある芝居にしたいです。芝居を観ることって、物事の捉え方が変わるような大きな経験ですから、特に若い人の人生の指針になる舞台にできたら最高ですよね」(鶴見)公演は9月8日(土)埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホールより。その後、 全国を周る。取材・文:高橋彩子
2018年06月04日元AKB48の高橋みなみが、5月30日に渋谷 TSUTAYA O-EASTで行われた「高橋みなみのこれ何?フェス2018」に出演した。このイベントは、高橋がパーソナリティを務めるラジオ番組『高橋みなみの「これから、何する?」』(TOKYO FM/月曜~木曜13:00~)が開催したもの。イベントのオープニングに登場した高橋は、「みんな若くない?」と客層の若さに驚いた様子。そして「番組スタートからまる2年経ち、3年目に突入しました! そしてたくさんの皆様のおかげでこうやってフェスを開催することができました! ありがとうございます! ぜひ最後までお付き合いください」と感謝の言葉を語った。その後、スペシャルトークゲストの人気YouTuberユニット・カイワレハンマーが登場すると、会場から黄色い歓声が上がり、高橋が「こんなにファンいるの? 私もこんな歓声浴びたことないよ!」と驚く場面も。イベントのトリには、Creepy Nutsが登場。途中水をこぼしてしまうアクシデントも、「イベントの大トリを務めさせていただいているのですが、今私はステージで床を拭いています」と笑いを誘う。そして高橋が「Creepy Nutsでした! ありがとうございました!」と締めくくろうとしたところ、Creepy Nutsは「いやいやこれ誰のフェスですか!まだたかみなさん歌ってないですよ!」と発言し、高橋みなみとコラボで曲を披露する流れに。高橋の楽曲「いつか」を披露した。また同イベントにはこの他にも、Awesome City Club、緑黄色社会、モーリー・ロバートソンなどが出演した。
2018年06月01日萩尾望都の漫画にインスパイアされた野田が、萩尾と共に脚本を手がけ、劇団夢の遊眠社で1986年に発表した名作『半神』が、中屋敷法仁演出で新たに上演される。【チケット情報はこちら】主人公は結合双生児のシュラとマリア。シュラが、高い知能を持つが醜く愛を知らないのに対して、マリアは、知能は低いが美しく誰からも愛されている。しかし、ふたりを切り離し、どちらかひとりを生き永らえさせなければ、彼女達の命は共に尽きてしまうことが判明し……。今回、シュラに扮するのは桜井玲香。乃木坂46のキャプテンとして活躍しながら、舞台出演も重ねている。「アイドルとして活動していると、自分の個性や存在感を出す上で悩むことも多いのですが、それがシュラの悩みや苦しみともどこかリンクします。同い年の女の子とずっと一緒に演じるのはこれが初めて。さわちゃん(爽子)が良い子だったので安心しています(笑)」一方、マリア役は藤間爽子だ。祖母・藤間紫が創始した日本舞踊・紫派藤間流の次期家元として研鑽を積みながら、女優として活動。阿佐ヶ谷スパイダースへのメンバー入りも決まる中、今回、現代劇での初舞台を踏む。「初舞台で不安もありますが、楽しみたいです。誰からも愛されるアイドルである桜井さんがシュラで、私がマリア。私はどちらかと言うとアクがあるタイプなのですが、それを封印し、桜井さんから愛される秘訣を学びたいですね」年齢に加え、身長もほぼ同じだというふたり。中屋敷は「おふたりとも舞台女優で、違う芸能をなさっています。そして、どちらも集団でやる芸能であり、愛される責任のある仕事だという共通点がある。野田戯曲は、答えを僕らが提示するのではなく、お客さんに投げかけるものだと思うので、おふたりが、自分の面白さや可愛さを見てほしいというパフォーマーではなく、素直な体と素直な声を持っていることがとても頼もしいです」と述べる。ふたりも「日本舞踊をやっているさわちゃんはやっぱり所作がきれい。女性らしい所作を学びたいです」(桜井)、「日本舞踊は基本的に重心が下ですが、ダンスは上。乃木坂46の皆さんのダンスを見ると、どうしてあんなに早く動けるのだろう?と気になります」(爽子)と、お互いに刺激を受けている様子。初演から32年。2018年に、この作品はどう響くだろうか。「僕は演劇の楽しみって、人間の残酷さに気付くのではなく、自分の残虐性に出会うことだと思うんです。『半神』も、さっと読むと美しいけれど、その奥から気持ち悪いもの、グロテスクなものが飛び出してきます。一方で、劇中で化け物として登場するガブリエルにしろスフィンクスにしろ、神に通じる存在なので美しいはず。シュラとマリアも単純な美醜で分けず、価値観を揺さぶるかたちにしたいですね。今なお現代的なこの戯曲を、新作のように上演したいと考えています」(中屋敷)『半神』は7月12日(木)から16日(月)まで東京・天王洲銀河劇場にて。一般発売は6月10日(日)より。なお、ぴあでは5月29日(火)午後11時59分までプレリザーブを実施中。取材・文:高橋彩子
2018年05月28日パスザバトン表参道店内のパスザバトンギャラリー(PASS THE BATON GALLERY)では、美術家でありイラストレーターの元永彩子による展覧会「piece of old tale」を、5月24日から6月17日まで開催。私たちのまわりにひろがるいつものシーンを、独自の視点とインスピレーションにより描き、マニアックな世界観をつくりだすアーティスト・元永彩子。繊細な線と丁寧な配色で描かれる、普通のようでそうではない、どこか少しだけ不可思議で魅力的なその世界は、「きっとこれは私たちのいつもの世界のどこかに存在する。」と、見る側の想像力を掻き立てる。本展は、そんな彼女がPASS THE BATONのためだけにイラストを描きおろしたオリジナルアイテム「piece of old tale」の発売を記念した、スペシャルエキシビション。世界の8つの童話のシーンを切り取って描かれたオリジナルのイラストで表現される童話の世界は、彼女の少しの想像力というエッセンスを加えることで、登場する動物にユーモアとアイロニーを与え、それぞれのストーリーを雄弁に語らせ、心を和ませる。貝の火(2,600円)今回発売されるのは、使用には支障がないものの日本の厳しい基準により販売されなかった業務用食器を使用したテーブルウエア。5月24日からパスザバトン表参道にて先行販売開始、6月1日からはパスザバトン丸の内、京都祇園店、オンラインにて販売される。また本展の会期中は、植物標本やテーブルクロス、楽譜、ハンカチ、人形用の着物、本の扉、つぎはぎの布、衣服のパターン紙などのアンティークに、人や動物を構成したドローイングや刺繍作品の展示も行う。【イベント情報】piece of old tale会期:5月24日〜6月17日会場:PASS THE BATON GALLERY住所:東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館 B2F パスザバトン表参道店内時間:11:00~21:00(日曜・祝日は20:00まで)
2018年05月22日尾上菊五郎が「團菊祭五月大歌舞伎」の夜の部『弁天娘女男白浪』で、音羽屋のお家芸である弁天小僧菊之助を演じる。4月、菊五郎の取材会が開かれた。【チケット情報はこちら】「初めてやらせていただいたのが昭和40年、22歳の時。その後、(菊五郎)襲名もこの演目でやりましたし、節目節目に、様々な劇場でやらせていただきました」と、菊五郎は振り返る。弁天小僧菊之助といえば、婚礼間近の娘として登場し、男であることが発覚して片肌を脱ぐ“見あらわし”で有名。女方と立役の両方が求められるその芸を、菊五郎はメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手に引っ掛けて「今流行りの二刀流の究極」と評する。今では押しも押されもせぬ当たり役だが、演じながら悩んだ時期もあったという。「最初は、煙管や赤い鹿の子の布をどう出すか、お金をどこに入れるかといった手順、あとは捨て台詞も難しくて、つい現代語のようにペラペラペラペラと言ってしまい、あとで台詞がなくなって困ったこともあります(笑)。それでも怖いもの知らずで、30代までは勢いでやっていたけれど、40代に入り、あまりに何度もやらせていただくので、悩んでしまって。立役がよくなってくると女方が気になるし、女方を一生懸命やると今度立役が……となるんです。完成品ではありませんから、今回も、色々勉強することになるでしょう」「白浪五人男」の通称でも知られる本作。日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸の5人の盗賊が並ぶ「稲瀬川勢揃の場」も、本作の見どころのひとつだ。「古い歌舞伎座で五人男をやった時、“10年後にやって、誰も抜けてないだろうなあ”と言ったら“そんなことないよ”と答えた夏雄ちゃん(市川團十郎)が一番先に逝き、それから寿(坂東三津五郎) も逝って、非常に寂しい思いをしました。今回、新しい歌舞伎座の五年祭にあたり、この辺りで一遍やろうかなと。(市川)左團次さんのようにずっと一緒にやってくださっている方もいる一方、(尾上)松緑も(尾上)菊之助も揃うし、(市川)海老蔵くんの日本駄右衛門も初めてだと思う。鳶頭も(故・尾上)松助がやっていたから(息子の尾上)松也にやらせます。(芸の継承を)意識して配役を決めました」若い世代に伝えたいことを問われると、「言葉の間(ま)と、歌舞伎の江戸っ子言葉。“ひゃく“と言わず“しゃく”と言うわけですが、あんまり“しゃくがにしゃくと……”と言われるとゾッとしちゃう。昔の江戸っ子はそう言ったかもしれないけど、歌舞伎としてお客さんの前でやる場合の発音はひゃとしゃの間くらいだと思います。若い人達には、映像だけではなく、一緒に演じることで、感じを覚えておいてほしいですね」今75歳。少年である弁天小僧を演じるにあたり、姿勢に気を使い、体重も落としていると語る。円熟味と若々しさが同居する珠玉の芸を味わいたい。團菊祭五月大歌舞伎は、5月2日(水)から26日(土)まで、歌舞伎座にて。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2018年05月02日「飲むエステ」が新登場人気エステティシャン 高橋ミカがプロデュースする「飲むエステ」が、高橋ミカ公式ミッシーリストにて販売が開始された。エイジング世代をサポートする美容成分(マルチビタミン&ビタミンC、コラーゲン、乳酸菌など)をバランス良く配合。ヨーグルト味で、飲みやすく、続けやすいアイテムとなっている。1箱15包入りで、通常価格は3,200円(税抜き)。お得な3個セットは、10%オフの8,640円(税抜き)で購入することができる。3月31日まで送料無料。送料無料で毎月自宅に届く「毎月お届けコース」は、毎月1回1箱が届いて、1ヶ月あたり2,880円(税抜き)。飲む美容液で、内側から美しさを磨いてみてはいかがだろうか。高橋ミカのプロフィール高橋ミカは、大手エステティックサロンにて経験を積んだ後、27歳で独立。2004年9月に「ミッシィボーテ」をオープンさせ、多くの著名人や芸能人を顧客にもつ。「ミッシィボーテ」を主宰する他、化粧品のプロデュースや、美容講座の講師としても活躍。テレビなどへの出演も多い。著書には「4STEP毒素排出マッサージ」、「高橋ミカの美人の掟」、「毒素排出マッサージ」、「腸美人ダイエット」などがある。(画像は高橋ミカ公式ミッシーリストより)【参考】※高橋ミカ公式ミッシーリスト※高橋ミカ オフィシャルブログ
2018年04月04日表参道ロケット(ROCKET)にて、独特のデザインが人気のバッジブランド「アッチコッチバッチ(Acchi Cocchi Bacchi)」のポップアップショップが4月13日から18日まで開催される。同ブランドは、「日常でも非日常でも、ここにいてもどこにいても、旅を感じていたい」というコンセプトで2010年より本格的に活動をスタート。タイ、アフガニスタン、インド、中国を中心に、トルクメニスタン、メキシコ、グアテマラ、トルコ、イランなど、世界中の衣装や装飾品などをパーツに用いて作られたバッチは、制作者である高橋彩子(Saeko Takahashi)自身が買い付けたもので、一つひとつ丁寧に作られたハンドメイドだ。本展では、その500点以上の一点もののバッチの展示・販売を行う。デザイナーの「誰かが使い古したものや、手に余ってしまったもの、泣く泣く売りに出したものなど、その背景に思いを馳せながら、今この場所でふざけたバッチとなり、またどこかへ行き、一回り、遠回りして、あるべき場所に戻って欲しい」という思いのもと、“環”をテーマにした個性的でエキゾチックな空間とバッジを楽しめる。【イベント情報】Acchi Cocchi Bacchi EXHIBITHION「環」会期:4月13日〜4月18日会場:表参道 ROCKET住所:東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ同潤館3F時間:11:00〜21:00※4月15日 11:00〜20:00、4月18日 11:00〜18:00
2018年03月26日女優の高橋ひとみが24日、東京・日比谷のHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEで書籍『高橋ひとみのスタイルブック Hitomi Bon!』(発売中 1,512円税込 主婦の友インフォス刊)の発売記念イベントを行った。書籍『高橋ひとみのスタイルブック Hitomi Bon!』の発売記念イベントを行った高橋ひとみ同書は、女優として活躍している高橋ひとみの初めてとなるスタイルブック。128ページにわたり、高橋のリアルな私服やセルフコーディネートの写真が散りばめられており、高橋の魅力を徹底的に紹介している。同書を作りにあたって「グチャグチャのクローゼットを整理して、編集部に持っていきました。量にしたら2トントラックにダンボール40箱とスーツケースに目一杯。運び出した時は、近所で『とうとう離婚したんだ』と言われるぐらい心配されました(笑)」と苦笑いの高橋だが、初めてのスタイルブックには「本当に自分の? と思うぐらいの出来過ぎで、『毎日こんなの着ているのかしら?』と思うぐらい格好良く撮っていただいたし、昔の寺山修司さんの写真も掲載されていて泣きそうになりましたね。大満足です」と胸を張った。さらに「誰でも真似しやすい感じのお洋服でシンプルなものばかり。皆さんに気軽に着れるものばかりですから、身近に感じてもらえると思います」とアピールした。高橋は2013年11月に一般男性と結婚して、今年で結婚生活5年目を迎える。「なるべく一緒に歩いて見せつけています、仲良く手もつなぎますよ」とラブラブな様子だが、「今は禁酒しなさいと言われていて、この前も3杯飲んで怒られました。飲む人の気持ちが分からないんですよ。お誘いが少なくなっちゃいました」と夫への不満を吐露。「お酒を飲みながら世間の方とお話がしたいじゃないえすか。夫婦だけの会話だけだと狭くなりますし、お誘いがあったら『行っておいで!』と言ってくれたらパーフェクトなんですけどね」と夫に理解を求めていた。
2018年03月25日Kバレエカンパニーのプリンシパル、浅川紫織が今年11月の『ロミオとジュリエット』を最後に引退することになり、芸術監督の熊川哲也と浅川による記者会見と、その浅川も主演する今月末の『白鳥の湖』の公開リハーサルが開かれた。【チケット情報はこちら】浅川は引退のタイミングについて「いつ決意した、ということではなく、6年前に大きな怪我をした時から、明日歩けなくなるかもしれない、踊れなくなるかもしれない、という状況でした。カンパニーのプリンシパルとしては、自分だけが歩けなくなるまで踊ればいいという考えにはなれません。責任がある中でこの流れになりました」と語る。生え抜きのプリンシパルの退団に、熊川は「(引退は)ダンサーには必ず訪れる、避けられないことですが、これからさらに成熟して素晴らしい演技が期待できる時期だけに、切ない気持ち、複雑な思いがあります」と悲しみを隠さない。「本人が葛藤して決めたことなので、親心として、11月までの公演を成功させて大きな花束をあげたい」。その熊川から「『白鳥の湖』初演(2003年)の前、ダンサーを求めてイングリッシュ・ナショナル・バレエのスタジオに視察に行き、浅川という、17歳の輝く成熟したダンサーに出会ったことは今も脳裏に焼きついています。容姿、脚、精神など、トップバレリーナに必要不可欠な条件を備えたダンサーだった。バレエは過酷なアートで、崩れた形も魅力的な絵画や彫刻などと違い、美しく夢を与えなければならない。加えてアジア人というハードルもある。それらをいとも簡単に超えたのが浅川。僕にとって誇りであり芸術活動の結晶です。全ての芸術のモデルに当てはまってもおかしくない存在だと思う」と絶賛され、浅川が涙ぐむひとコマも。16年間の在籍での忘れられない瞬間を問われ、「たくさんあるのですが、1番は入団して初めて立った『白鳥の湖』初日の拍手。その場に自分がいるというあの感動を忘れることは一生ありません」と答えた浅川。その思い出の『白鳥の湖』で浅川が主役のオデット/オディールを踊るのも、今月末が最後となる。「オデットとオディールは私が大切に踊ってきた役。この舞台を去る時期に踊れることは幸せです。自分の全てを投じるにふさわしい作品とキャラクターなので、できることをお見せして感動を届けたいと思います」。公開リハーサルでは、オデット役の浅川紫織とジークフリート王子役の宮尾俊太郎、そしてロットバルト役の石橋奨也が、第2幕冒頭を披露。王子とオデットの、驚きと戸惑いに満ちた出会いから、次第に心を通わせていくまでが、しっとりと描かれる。中でも浅川の落ち着いた気品あふれる踊りが印象的。指先から足先まで神経の行き届いたその動きは、残された時間を慈しんでいるようにも見えた。Kバレエカンパニーによる『白鳥の湖』は東京・オーチャードホールで3月21日(水・祝) から25日(日)まで上演。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2018年03月16日KAAT神奈川芸術劇場の若手舞踊公演「SUGATA」の最終公演が行われる。『二人三番叟』『雙生隅田川』チケット情報中村鷹之資、中村玉太郎ら若手歌舞伎俳優の研鑽の場として、衣裳も化粧もなしの“素踊り”での新作舞踊劇を上演してきたこの企画も、今回が最終回。『二人三番叟』と、勘十郎作・演出・振付『雙生隅田川(ふたごすみだがわ)』を上演する。公演を前に、記者懇親会が開かれ、勘十郎、鷹之資、玉太郎、種之助が出席した。勘十郎は、「今回は“卒業公演”として、新たな課題に取り組んでもらいます。舞踊で『二人三番叟』が踊れるのは一人前の証拠。今後の課題をみつけるためにもしっかりと踊ってもらいます。『雙生隅田川』は三代目市川猿之助さん、今の猿翁さんが復活上演なさった演目で、今回は舞踊劇として上演します。どこの劇場でみたものよりも面白かった、と言われるような舞台を目指したい」と語る。鷹之資は「この3年間、色々な踊りや立ち回り、押し戻し等を経験させていただき、『新説西遊記』シリーズの猪八戒ではお客様に笑っていただく難しさも学びました。資料や先輩方の舞台を拝見して勉強するのとは違い、実際に舞台に出て演じてみないとわからないことは多いので、貴重な経験となりました。三番叟は大変難しい曲ですし、『雙生隅田川』では、今回は初めて早替りにも挑戦させていただきます。瞬時に主従の役柄を演じ分けるという大きな課題に全力で向き合いたいと思います」玉太郎は「『新説西遊記』シリーズでは沙悟浄としてお客様の笑いも誘うという、普段経験できないことをさせていただきました。そして今回は三番叟という大役と、吉田少将行房の家来である小布施主税役。(後者は)侍なので、品もあるようにしたいです。義太夫のところも演技力が問われるので、力を入れて取り組みたいです。このSUGATAのシリーズで、お芝居のことを自発的に考えるようになりました。3年間で学んだことを、いつか本興行で活かせる日がくるとよいなと思います」初参加の種之助は、「大人になる前の時期に出演させていただいたのが、ご宗家演出の『趣向の華』という公演。長い立ち回りや、ちょうど先月やった切腹も、最初に経験させていただいたのがその公演でした。おこがましいようですがその恩返しの気持ちもあり、また僕自身としては、女方にも挑戦させていただくので一緒に勉強する気持ちで臨みます。鯉魚の精は宗家の演出に出来る限り応えたいと思います。お客様に、この公演を観たことを誇りに思ってもらえるような舞台にしたいです」研鑽の場とは言いながら、純粋に楽しめるスペクタクルが展開するのも「SUGATA」の魅力。勘十郎や尾上菊之丞ら名手の踊りも観られるほか、口上や早替り、宙乗りも。白熱の舞台に期待しよう。公演は3月24(土)から27日(火)までKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオにて。取材・文:高橋彩子
2018年03月14日イギリスが生んだ鬼才マーティン・マクドナーの最新作『ハングマン』が日本初演される。演出は、これまでに『ウィー・トーマス』『ピローマン』『ビューティー・クイーン・オブ・リナーン』と、3作のマクドナー作品を手がけた長塚圭史だ。舞台『ハングマン』チケット情報長塚はマクドナー作品の魅力をこう語る。「マクドナーは非常に古典的な演劇の手法を取りながら、彼自身も観客も今までに出会わなかったような感情に陥ることを目指して書いていると思います。非現実的で、キャラクターもひとつひとつ“盛って”いるのですが、そこからリアリズムが出てくる。リアリズムとファンタジーの粉と粉のかけ具合が見事なんです」1971年生まれのマクドナーは長塚にとって「ある種、同世代の劇作家」。「『ウィー・トーマス』の日本初演時には彼も観に来たのですが、僕と映画の話などで盛り上がり、国は違うけれど同じものを見ているという感覚になりました。『ピローマン』以降、彼がぱったり書かなくなり、映画のほうに行き始めた時は『せっかく劇作家なのに!』と無性に腹が立って(笑)。最近、『スリー・ビルボード』というとんでもなく良い映画を撮って『これがやりたかったのか』と思いましたけど」『ハングマン』はそのマクドナーが約8年ぶりに書いた新作だ。死刑制度が廃止された1965年、イギリス北部の町オールダムで絞首刑執行人=ハングマンだったハリーが経営するパブに、ロンドン訛りの謎の男ムーニーが現れたことから、物語は奇妙な方向へと転がっていく。「翻訳の小川(絵梨子)さんとも話しているのですが、『ハングマン』には解明できないところがいくつもある。どこまでが本当でどこまでが嘘なのかわからないまま終わる、大人っぽい作品です。絞首刑の終わりという時代を取り上げて、現代に繋がる世界の矛盾や得体の知れなさを描いたのは、流石だなと思います」ただし、日本で上演する上での難しさもある。「マクドナー作品ではしばしば、地域性が笑いに変えられる。少し馬鹿にしているようなところもあります。この『ハングマン』も、英語で上演すると、イギリス北部の訛りとロンドン訛りの違いに可笑しさが表れるのですが、日本語ではそうもいきません。それを俳優の居住まいや振る舞いでどう表現できるかが鍵になりそうです」具現化する出演者は、田中哲司、大東駿介、秋山菜津子ら、個性豊かな実力派俳優陣。「イギリスのパブという、日本人にはややこしい設定だからこそ、実際のパブ以上にパブというか(笑)現実以上に現実に近づけるつもりで作りたいですね。マクドナー作品には色々な要素があるけれど、作る側はコメディーとしてできるだけバカバカしく作って、お客さんがその先にある風刺や批評性を受け取ってもらえればいいのではないかと僕は思っています。腕の良い役者さんたちと、作品に描かれた笑いや間合いを共有し、この戯曲の面白さを大いに伝えたいですね」5月16日 (水)から東京・世田谷パブリックシアターにて上演。取材・文:高橋彩子
2018年03月13日パフォーマンスグループ、AAAの宇野実彩子が3日、東京・渋谷のSHIBUYA TSUTAYAで写真集『about time』(発売中 2,592円税込 小学館刊)の発売記念イベントを行った。写真集『about time』の発売記念イベントを行った宇野実彩子人気グループ、AAAのボーカルとして活躍している宇野実彩子が、約2年ぶりとなる写真集をリリース。"大人の恋"をテーマにした同写真集は、昨年11月に訪れたというアメリカ・ニューヨークでロケが行われ、ファンから愛される眩しい笑顔はもちろん、初めて見せるセクシーな仕草も収録されるなど、宇野の魅力が凝縮された1冊となっている。ロケ地となったニューヨークでの撮影について宇野は「怒涛のスケジュールだったんですが、ニューヨークで撮りたいという思いが強かったので、限られた時間の中、スタッフさんと協力してグッと集中した撮影期間でした。1人でセントラルパークを歩いた時はニューヨークに酔いしれましたね」と振り返り、「私は32歳ですが、大人の女性としての自信を持っていられました。そんな私の今が、この写真集に閉じ込められています」と写真集を紹介。中にはセクシーな仕草も披露しているが、「女性も男性も楽しでもらえると思いますよ。大人の女性の色気を感じ取ってもらいたいと思います」とセクシーアピールも忘れなかった。"大人の恋"がテーマの同写真集。それにちなみ、自身の恋愛観を問われて「色々思いますけど、一番求めるものは生き抜いていく強さかなと思っています。見た目とか性格とか、分かりやすいことはありますけど、一緒に過ごしていくのなら、どんなことがあっても生き抜いてく強ささえあれば幸せなんじゃないかなと思いますね」と相手に対する条件をあげた宇野。そんな彼女に「イケメンじゃなくてよい?」と報道陣が投げ掛けると「それはどうでしょうね(笑)。イケメンに越したことはないと思いますけど、年々キャパを広げている感じはありますね(笑)」と話していた。
2018年03月04日畠中恵の人気小説『アイスクリン強し』(講談社文庫刊)が、村上大樹の演出で舞台化される。若き西洋菓子職人の皆川真次郎と、旧旗本出身の警官達からなる“若様組”、そして大商人・小泉琢磨の娘・沙羅が織りなす青春ドラマだ。2016年には本作の前日譚が『若様組まいる』として舞台になっている。戯曲は現在準備中だが、皆川真次郎を演じる玉城裕規と、小泉琢磨を演じる粟根まことに、原作を読んでの印象や舞台への抱負を聞いた。【チケット情報はこちら】本作の舞台は明治23年の東京。「真次郎が開いている洋菓子店“風琴屋”を若様達がたまり場にしている事から、真次郎も様々な無理難題に巻き込まれていきます。まだ西洋のお菓子が珍しい時代なので、お金ではなくスイーツで取引ができたり、人の心を懐柔したりするのが原作の魅力です」と玉城は語る。若者たちに無理難題をふっかける大人のひとりが小泉琢磨だ。「私が演じる小泉は、明治の新しい風を利用して成り上がった、成金実業家。可愛い娘の未来のためにも色々なことを考えている男です。明治という時代に振り回されるイケメン達が、魅力的なドタバタ喜劇、青春活劇を展開することでしょう」と、粟根は小泉さながらにほくそ笑む。舞台では、玉城が菓子を作る場面もあるかもしれない。「イメージを膨らませるために、まずはスイーツより簡単なものから料理を作ってみることにしたんです。家では香味ペーストで野菜炒めを作ったりしています!」と言う玉城に、粟根も「できれば客席にも甘い匂いを漂わせたいよね。実際には漂わなかったとしても、演技で漂うように見せたい。終演後、お客さんが劇場近くのスイーツショップに寄らずにはいられない気分にするのが目標です」と頷く。明治時代といえば、長く続いた江戸時代が終わり、新しい体制や価値観が次々に生まれた激動の時代だ。「僕はスマホのやり方がよくわからなくて周りに教えてもらうようなタイプなので(笑)、時代の急激な変化の中にいる人々の気持ち、わかります。色々な事件が起きてわちゃわちゃしてスイーツで解決する楽しいお話ですが、僕はやはり、そうした時代の流れやその後に起きる戦争のことも気になってしまう。そうした状況下でどうやって生きていくかといったことを、どこかで感じさせられたらと思っています」(玉城)「スマホを含めて新しい物好きの私は、小泉と重なります。ただ、私自身は東西冷戦が終わって世界が平和になった時代に育ったのですが、その頃よりも今はきな臭くなってきて、平和だった江戸時代から侵略戦争に入っていく前触れの時代だった明治23年に似ている気がする。自由を活かせる人とそうでない人がいるのも、今と同じですよね。その中で若者達はどうするのか。今よりも国が若くて勢いがあった頃の話なので、そのエネルギーも表現したいですね」(粟根)公演は、4月27日(金)から5月6日(日)まで池袋サンシャイン劇場にて。全キャストサイン入りの原作本やポスタープレゼント抽選会イベントも決定。詳細は公式サイトにて。一般発売は3月3日(土)10時より。取材・文:高橋彩子
2018年03月02日「AAA宇野実彩子」美しすぎるすっぴんを公開!人気グループ「AAA」のメンバー宇野実彩子が、インスタグラムですっぴんカットを初公開し、美しすぎるすっぴん!と話題を呼んでいます。話題の写真は、3月1日に発売される宇野実彩子の写真集「about time」からの先行公開カット。写真集の発売を控えて、自分のインスタグラムで5日前からカウントダウン式で公開していた中の1枚。「#実はすっぴん」「#ほんとだよ」のハッシュタグを付けて投稿されたすっぴんカットに、「可愛すぎる」「綺麗すぎる」「信じがたいくらい美しい」「女神」などファンは悶絶! 透明感のある素顔に絶賛の嵐となりました。30代の宇野が語る「大人の恋」も収録。「about time」は宇野実彩子にとって30代初の写真集となり、全編ニューヨークで撮り下ろしたこだわりの作品です。ティファニーなどラグジュアリーブランドも協力し、「大人の恋」をテーマに、本人が初めて「恋」について赤裸々に語ったロングインタビューも収録されています。写真集発売イベントは3月3日にSHIBUYA TSUTAYAにて開催予定。その後京都・大阪・名古屋と順次予定しているのだそう。気になる方はHPで最新情報をチェックしてみてください。
2018年02月28日ダンス&ボーカルグループ・AAAの宇野実彩子が28日、自身のインスタグラムで初のすっぴんカットを公開し、反響を呼んでいる。すっぴんカットは、3月1日に発売される宇野の写真集『about time』からの先行公開カット。写真集では初のすっぴん姿も収められるとされていたが、このたびお披露目された。投稿では「いよいよ明日発売です」とコメントし、「#実はすっぴん #ほんとだよ」とハッシュタグを添えた。このすっぴん姿に、ファンからは「可愛すぎる」「綺麗すぎる」「すっぴんが美しすぎる、、、」「信じがたいくらい美しい」「女神」「え!すっぴんなんですか!!!」「すっぴんでこれはきれすぎ!」「スッピンに見えない!!綺麗すぎる!!!」など、絶賛の声や驚きの声が寄せられている。この写真集は宇野にとっては30代初の写真集で、全編ニューヨーク撮り下ろし。ティファニーなどラグジュアリーブランドも協力し、「大人の恋」をテーマに「恋」について赤裸々に語ったロングインタビューも収録されている。写真集の発売を控え、宇野は5日前から写真集の先行カットをインスタグラムでカウントダウン式で公開中だ。
2018年02月28日クラシック音楽家の登竜門、日本音楽コンクール。昨年の第85回では、ピアノ、バイオリン、チェロ、声楽、ホルン、作曲の6部門で675人が腕を競った。来たる3月、各部門の1位に輝いた俊英たちの演奏会が行われる。【チケット情報はこちら】優勝者たちの中で、初出場・最年少ながらピアノ部門本選でプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番という難曲を弾き、見事優勝したのが、17歳の吉見友貴。その堂々たる演奏姿が印象的だったが、本人はひたすら冷静だったのか、それとも見えない力に引っ張られるような感覚があったのだろうか?「どちらも感じました。3次予選まではラウンドが進む毎に調子が上がり、気持ち良かったですね。プロコフィエフを本格的に練習したのは3次が終わってからでしたが、必死で頑張りました」この本選で、吉見は初めてオーケストラと協奏曲を弾いた。「最初、オケに合わせようとしたらどんどんテンポが遅くなってしまい(笑)、指揮者の梅田俊明さんから『ソリストが引っ張っていくように』と助言をいただいて。でも、指揮者の方のもと、大勢のオケの方々と一緒に音楽を作るのはすごい快感で楽しかったです。本番は正直、無我夢中で何も覚えていません。とにかく音楽に全てを捧げるような気持ちで、1音1音心を込めて弾きました。ああいう気持ちになることは今までなかったかもしれません」まさに1音1音、豊かに鮮やかに響いていた吉見のピアノ。「同じ高さの同じ音でもそれぞれ感情が違う。どんな響き、どんなハーモニーなのかということには、かなり気を使って練習しています」とするその響きは今後、彼の強みになりそうだ。一般家庭に生まれた吉見がピアノと出会ったのは、5歳の時、友達の家にあったピアノを見て「習いたい」と言ったという。以来、他の習い事には見向きもせず、ピアノひと筋。「演奏会やコンクールを聴きに行くと、同じピアノでも人によって鳴らす音が違い、音楽が違う。そこが魅力だと思うんです。今の僕の課題は“深み”を出すこと。それが何なのかは難しいところですが、ひとつの手がかりとして勉強もしていますし、色々な曲や作曲家に触れながら、人間的な部分を含め成長していきたいです」まずは3月の演奏会を聴衆は待っている。吉見が弾くのはチャイコフスキーの協奏曲第1番の1楽章。「チャイコフスキーはプロコフィエフと同じロシアではあっても全然違う作曲家。ロマンティックですし、民謡のメロディや土臭さも表現しなくてはなりません。何か演奏に繋がればと思い、バレエの映像も観ました。コンクールまでは結果を出すために完璧を目指して弾いていましたが、今は音楽そのものを追究したい。チャイコフスキーの魅力を自分なりにお客様に伝えたいと思います」「第86回日本音楽コンクール受賞者発表演奏会」は3月2日(金)東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにて開催。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2018年02月19日KAAT神奈川芸術劇場の2018年度のラインアップ発表会が行われた。ラインアップには20作以上の作品が並ぶ。チケット情報最初にKAAT芸術監督の白井晃は「“普通“を見直すのが舞台の先鋭性。アーティストが社会をどう見ているのか、話し合いながらラインアップを決めました」。その白井が演出するエンダ・ウォルシュの『バリーターク』については「何もわからないまま日常が繰り返されるうち、彼らがいる場所がわかってくる。『ゴドーを待ちながら』の現代版のような内容」と言う。KAATと松井周の個人ユニットであるサンプルとの共同制作『グッド・デス・バイブレーション考』は、深沢七郎の小説「楢山節考」にインスパイアされた作品。松井は「近未来で姥捨山と言えば安楽死ではないか。琵琶法師のような感覚で、語りが歌になったり物語の中に歌が出るような話にできれば」と語る。KAAT×地点『山山』は、『忘れる日本人』に続いて松原俊太郎が書き下ろす作品。松原は「山をふたつにすると可愛いし、『~~したいのはやまやまですが』などの表現は“使える”。ふたつの山をモニュメントとして提示したい」。白井いわく「福島を連想させる世界」で、提携公演『忘れる日本人』との連続公演だ。森山開次『不思議の国のアリス』は、昨年の舞台の再演で、今回は全国ツアーに赴く。森山は「出演者6名は第一線の強者ばかり。その全力で真剣勝負のパフォーマンスを、全国の子供たち、そして大人たちに発表できることを嬉しく思う」とした。長塚圭史の上演台本で白井が演出するのが『華氏451度』。白井は「映像文化が中心になっていくことを予見し、本が焼かれるさまを書いたこの作品を今回、さらに拡大解釈していきます」と述べた。一方、長塚が演出するのは『セールスマンの死』だ。「大変優れた戯曲で、時間の流れも特殊。家族の話であり老いの話であり夢の話です。この戯曲がこの時代にどう響くか、向き合いたい」と意欲を見せる。ソフォクレス『オイディプス王』の演出に挑むのは杉原邦生。「青年の王が堕ちるさまを描きたい。オイディプスは最後に目を潰すが、お客さんも観終わったあとに目を潰したくなるような、そしてその先に希望や光が見える作品にしたい」と意気込んだ。糸井幸之介の上演台本・演出・音楽で上演されるのは、木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻(仮)』。主宰で補綴・監修の木ノ下裕一は「糸井さんが作る“妙~ジカル”は日本の歌物語や義太夫に近い。『合邦』は、日本が古くから歌い継いできた、日本芸能の中でも重要な演目。その現代性を糸井さんとのタッグで新たに創作したい」と語った。全演目は以下の通り。取材・文:高橋彩子
2018年02月16日今年も高橋一生から目が離せない。最新版の広辞苑にも「朝ドラ」という言葉が掲載されたが、その朝ドラことNHK連続テレビ小説『わろてんか』にも出演中、当初から、ヒロインをはさんだ三角関係における、噛ませ犬的役割を担ってきたが、折り返し地点を過ぎ、いよいよワンチャンの可能性も見えてきたような、見えてこないような状況で、高橋は、映画づくりに燃えながら、何かにつけヒロインを支えてしまう男(伊能栞)を、情感込めて演じている。この栞のモチーフになっている実在の人物のひとりが、『嘘を愛する女』を配給している東宝の創始者・小林一三である。そして、『嘘を愛する女』でも高橋は、またまた、ヒロイン(長澤まさみ)を助けてしまう男(役名:小出桔平)として登場する。キャリアウーマン(プレスシートにはこう書いてある)の川原由加利は、困っているときに手を差し伸べてくれた小出桔平と、あるとき、偶然再会。彼を家に住まわせるようになる。仕事が忙しい彼女のために、桔平はご飯を作るなど、何かとお世話する。いわゆる、"慰めて抱きしめる"ビューネくん(化粧品のCM)みたいな癒やしキャラで、そのうえ、金縁・丸メガネでお医者さん(研究医なのでまだそれほど収入がない)。わたしのうちにもこんな高橋一生がいてほしい~と思って見ていたら、彼が突如、くも膜下出血で意識不明になってしまう。そのせいで、名前も経歴もすべて「嘘」だったことがバレてしまう。小出桔平はいったい何者なのか? 由加利は、桔平の残したヒントに導かれるように、瀬戸内の島々を旅して回る。そこで、知る、衝撃の真実。ババーン! 涙!これが、映画の骨子である。このへんまでは、予告編でも描かれていて、ここから少々ネタバレをするが許してほしい、そうしないと、この映画における高橋一生の凄さが伝えられないからだ。○ベッドで寝ているシーンの多い高橋一生映画の大半は、長澤まさみの、小出桔平(仮名)の真実を探すロードムービー的なもので、高橋一生は、ほとんどベッドで寝ている。むしろ、長澤まさみと捜査旅行をする探偵役の吉田鋼太郎のほうが出演時間が長いのではないかと思えるほどだ。吉田鋼太郎もかっこいい。中江和仁監督は「『殺人の追憶』のソン・ガンホをイメージしたいと吉田さんに伝えました」とプレスシートのインタビューで語っているほどで、ほんとうに大活躍だ。なんということだろうか! 我々は騙されたのだろうか。映画のタイトルが『嘘を愛する女』だけに? と劇場でぎりぎりぎりとなるのは、ちょっと待ってほしい。見た人は共感してもらえると思うのだが、これが不思議と、高橋一生ロスにならない。どんなに寝ていようと、どんなに吉田鋼太郎が熱演しようと、どんなに長澤まさみががんばろう(長澤まさみのやさぐれたキャリアウーマンっぷりもすごくいい)と、この映画は、高橋一生に支配されている(ここ二重線を引いて読んでほしい)。そこが、この映画と高橋一生の凄さであり、とっても企みに満ちた映画だと思う。どれだけ、高橋一生に支配されているか、まだ観るか迷っている人はぜひ、確認してほしい。少なくとも、ヒロインと同じような気持ちで、高橋一生(桔平)が何者であるか、最後まで旅するような気持ちで観ることができる(瀬戸内の風景も素敵です)。○台詞がなくても饒舌さて、高橋一生である。いつも穏やかにうっすら微笑んでいるにもかかわらず、なぜか、憂いが拭えない雰囲気を醸す高橋一生だからこそ、この謎の男が演じられる。今度は、目を閉じてしまったその顔にまで、憂いを含んだ秘密をのぞき見てしまう。監督は、プレスシートで「台詞がなくても表情や雰囲気だけで、何か背負っている陰のある人に見せたかった」と、それが高橋にハマったと語っている。とはいえ、そんなに寝ているばかりなのか? そうでもない。秘密にまつわる、あんなシーン、こんなシーンもあるし、なんといっても、ヒロインとの出会い、家でのイチャイチャなどが、かなりたっぷり描かれている。そこでの、ゆるいトップスの襟からのぞく首筋と鎖骨の窪みは、台詞以上に饒舌であり、秘密を隠している。ちなみに、吉田鋼太郎の助手を演じているDAIGOのロン毛でメガネのオタクのような風貌は、高橋一生が、かつて『池袋ウエストゲートパーク』(00年)に出演していたときを思い出させる。当時は、色もの枠だった彼が今や、恋愛映画の王子様役とは感無量。主題歌の作詞は坂元裕二、歌は松たか子と、高橋の代表作になったドラマ『カルテット』(17年)の脚本家と共演者。やっぱり、『嘘を愛する女』は隅から隅まで、高橋一生色の映画なのである。■著者プロフィール木俣冬文筆業。『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)が発売中。ドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書『挑戦者たちトップアクターズ・ルポルタージュ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』、構成した書籍に『庵野秀明のフタリシバイ』『堤っ』『蜷川幸雄の稽古場から』などがある。最近のテーマは朝ドラと京都のエンタメ。
2018年01月27日