ご存知のとおり『論語』とは、2,500年前に活躍した中国の思想家・孔子の言行録。高校生のとき、誰しも授業で習ったことがあるはずです。とはいえ、その成り立ちや内容について詳しく知っている方は、意外に少ないかもしれません。魯(ろ)という国に生まれた孔子は、故郷で政治の仕事をしたのちに、弟子たちと放浪の旅に出ました。ところが、自分を雇ってくれる人はいないかと諸国を巡るも、なかなか職が得られず、13年もの歳月を経て魯の国に戻ることになるのです。しかし、孔子がなくなったあと、その言葉は弟子や孫弟子によって一冊の書物にまとめられることになりました。つまり、それが『論語』。■『論語』は中国古典『四書』のひとつ!『論語』をはじめ『大学(だいがく)』『中庸(ちゅうよう)』『孟子(もうし)』の4冊は「四書」と呼ばれ、儒教の基本経典として重用されてきたもの。一般的には「論理」や「道徳」を学ぶために古典として紹介されることが多いと思います。しかしそれだけでなく、学び方や考え方、コミュニケーション、人間関係などさまざまなことがらに対し、広く深い知恵が得られるという側面も。だからこそ、ここに書かれていることは、現代にも活かせるのだといいます。前置きが少し長くなりましたが、そこでご紹介したいのが、『まんがでわかる論語』(齋藤孝著、備前やすのり・まんが、あさ出版)。表紙からもわかるとおり、どこから見てもまんがです。しかし、これはれっきとした『論語』本。音楽コンクールを目指す高校生を主人公にしたまんがを通じ、『論語』の言葉をわかりやすく解説したユニークな書籍なのです。『論語』には難しそうなイメージがあるかもしれませんが、なにしろメインはまんがなのですから、肩肘を張ることなく柔軟に受け入れることができるはず。とはいえ、まんがの内容をここで紹介することはできません。そこで『論語』に詳しい著者による解説部分から、年齢に関連した有名なフレーズを引き出してみたいと思います。■孔子は15歳で学問を究めることを決意「吾れ十有五にして学に志す。(為政第二—四)」いまさらいうまでもないことかもしれませんが、これは「私は15歳で学に志した」という意味。ちなみに「学に志す」とは、「これをしっかり勉強して、世の中に貢献しよう」と思って志を立てるということ。15歳で学問を究めることを決めたとは、ずいぶん早い決心のようにも思えます。が、それはともかく、「志す」、すなわち、なにかをやろうと思い立つということは非常に大事だと著者もいいます。なお、この言葉にはさらに有名な続きがあります。「三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(みみしたが)う。七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず」これは、「30歳になり自分の考えをしっかりとさせ、世に訴えることができるようになった。40歳になり迷うことがなくなった。50歳になり天命を知った。60歳になり他の人のいうことにも耳を傾けて、素直でいられるようになった。70歳にして心の欲するままに行動するようになったけれども、ルールを踏み外すようなことはしない」ということ。■「学問を志して迷わない」という気持ち15歳から70歳まで一気に、しかも、これほどシンプルな言葉で自分の人生を要約してしまう。その要約力自体が素晴らしいと評する著者の意見には、大きく共感できます。しかし、それ以上に重要なのは、「学問を志して迷わない」という強い気持ちがその中心にあること。いまの日本においても40歳を「不惑」といいますが、それも『論語』からきているもの。たとえば「不惑の歳になったのに、まだ迷っている」などと使ったりします。昔は『論語』が常識だったので、「不惑」といえば『論語』に基づいていると誰もが知っていたわけです。そこで、その言葉を日常生活に活かし、適切な場面で引用していたのです。*そう考えれば、いま『論語』を確認する場は学校の漢文の授業くらいしかないかもしれません。しかし、そこにある言葉に時代を超えた普遍性があることが事実。だからこそ本書を通じて、いまふたたび『論語』のメッセージを再確認してみるのもいいかもしれません。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※齋藤孝(2016)『まんがでわかる論語』あさ出版
2016年03月22日【ママからのご相談】小学校に入学する息子は、ひらがなが書けません。やらせようと厳しくし過ぎてしまったのがいけなかったと後悔しています。他の子どもは書けているので、スタート地点ですでに出遅れている感じです。ほとんど書けない状態で入学させるのが不安です。●A. 学びが楽しいことを知ってもらうことが一番重要です。こんにちは。学習塾で幼児クラスを担当していたことのあるメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。お子さんがまだ文字が書けないこと、他のお子さんとの差があると感じているために、相談者様は焦りを感じられているのですね。まず知っていただきたいことがあります。公立小学校の場合、新1年生に求められるのは、自分の名前をひらがなで読めることです。そして、今大切なのは、「学ぶことが楽しい」という気持ちを奪わないで入学させることではないかと思っています。楽しくなければ、子どもはやろうという気が起きませんからね。●まずは席に着く練習からひらがなが書けなかったり、数字がよくわからなかったりするお子さんの場合、イスにちゃんと座ることができない ことがあります。きちんと座ることができれば、目の前の課題に取り組みやすいので、まずは座る練習からしてみましょう。最初にどのくらい座れるでしょうか。その時間を計って、お子さんと共有しましょう。座れたことをほめれば、そこから楽しくなっていきます。座れたら、その短い時間で文字カードを見せたり、紙芝居や絵本などを読んであげたりと、文字に関する何かをしてみてください。途中で立ってしまった場合は、そこでストップさせます。「今日はこれでおしまい、終わりにしましょう」でいいです。そして、少しでもできたこと、座れたことをほめてあげれば、着実に前進します。幼児クラスで教えていたときは、1日に何回もやり出す子もいたくらいです。ひらがなや数字を最初から無理に書かせようとはしないこと も大切です。頭に文字が入っていない段階で書かせようとしても書けるようにはなりません。まずは文字のインプットです。●読み聞かせをたくさんする文字のインプットは、たくさん絵本を読むこと、看板などの文字を見て何が書いてあるか教えること、そしてお子さんの名前を文字で見せることが効果的です。インプットをするときに、私がよくやっていたのが、「つくえ」「いす」など家にある物に名前をつけて貼ったことです。こうしておけば、自分の目・親からの発音を耳で捉えることができます。五感を使いながら楽しく頭に入れてあげる ことが大切です。入学前準備で、たくさんの物に名前を書きますよね。それを見せて読んであげることも学びの一つになります。自分だけの物を持つことは子どもにとってうれしいことですから、興味を示すと思います。●楽しさを教えると覚えるドリルを買ってきてさせることも悪い方法ではありません。ただし、集中力はそんなに持続しません。だから、お子さんが席を立ったときが終わり、という決まりを相談者様の中で持っておくといいでしょう。何度も同じ文字の反復練習をさせてしまうと、つまらないと感じてしまうため、勉強が嫌になってしまう可能性があります。プリントやドリルに向かって、丸をもらえる楽しさや、「がんばって書けたね!」という相談者様のほめ言葉があれば、学習は楽しいものなのだと知ることができます 。ここがとても大切な点です。----------入学までそんなに時間がないので、怒ったりやらせようとしたりするのが、早い方法のように感じるかもしれません。でも、これは本当に逆効果なんです。一番は、大好きなお母さんにほめられることです。そうすれば、あっという間に文字を修得できるようになります。子どもの成長はめざましいものです。だから、怒るよりほめる!これを実践してみましょう。きっとできるようになります!ご相談ありがとうございました。【参考文献】・『「言葉の力」は家庭で伸ばす―今日からできる最強メソッド(齋藤孝の実践母親塾)』齋藤孝・著●ライター/桜井涼(フリーライター)
2016年03月16日舘鼻則孝による文楽公演「TATEHANA BUNRAKU : The Love Suicides on the Bridge / Nomadic Nights」が、3月23日、24日にフランスにあるカルティエ現代美術財団で開催される。300年以上の歴史を誇る日本の伝統芸能である文楽は、三業(太夫、三味線、人形遣い)で成り立つ三位一体の人形劇。ユネスコ無形文化遺産にも登録された日本の重要無形文化財となっている。今回開催される公演では、遊女の履く下駄から着想を得た「ヒールレスシューズ」の作り手として世界的に知られる、日本人現代美術家の舘鼻則孝が舞台監督を担当。文楽人形遣いの名手である三世桐竹勘十郎をはじめとした同公演のためだけに結成された特別な一座で、3人の遊女が織りなす短編3幕を上演する。なお、舘鼻は舞台美術や衣装も担当しており、日本の伝統工芸士とともに緻密に作り上げられた舞台や衣装、小道具なども注目の舞台となっている。【イベント情報】「TATEHANA BUNRAKU : The Love Suicides on the Bridge / Nomadic Nights」会場:カルティエ現代美術財団住所:261 Boulevard Raspail, 75014 Paris, France会期:3月23日、24日時間:19:45~20:30
2016年03月11日ビジネスの現場では、人に「教える」機会は少なくないもの。また、面倒だからといって、それを避けるわけにもいかないでしょう。とはいえ現実的に、それはなかなか困難なことでもあります。そこでぜひ読んでおきたいのが、『たった1日でできる人が育つ! 「教え方」の技術』(齋藤孝著、PHP研究所)。大学教授として若い人と20年以上つきあってきた著者が、新入社員もできない人も「戦力」に変えるためのメソッドを公開した書籍。本書で著者は、誰もが「教師」になる必要性のある時代において、上司・先輩は必要なことをより短時間で部下や後輩に伝えなければ、仕事が回らなくなってきていると指摘しています。■最低限のことは教えよう大きな要因として考えられるのは、職場にパソコンが普及したこと。その結果として生産性が大きく向上したわけですが、そのぶん個人の仕事量は大きく増えることにもなりました。しかもいまは時代の流れが速いので、新しい仕事もどんどん増える一方です。ではそんな状況下、職場に新しい人が入ってきたとしたらどうなるでしょうか? それは新卒の場合もあるでしょうし、異動で他部署から移ってくる場合も考えられるはずです。しかしどうであれ、たとえその人がどれだけ優秀だったとしても、経験知がなければ力を発揮することは不可能。そこで、最低限のことは部署で教える必要性が生まれます。■見て覚える時代ではないそうはいってもインストラクターがいるわけではありませんから、誰かが自分の仕事と並行して教えなければなりません。ただでさえ忙しいのに仕事が上乗せされるわけですから、かかるエネルギーもプレッシャーもかなりのものであるはず。そしてもうひとつの問題は、いまはもう新人が「見て覚える」時代ではないことだといいます。職人や芸の世界ならともかく、一般的な職場においては、上司や先輩の言動を見て主体的に判断・行動できるタイプは減っているわけです。だから、「見ていれば覚えるだろう」では、新人にとってはストレスになるだけ。「なんも教えてもらえない」と上司や先輩への不満を募らせるばかりだということです。重要なのは、「まずは基本的なことをていねいに教えてほしい。そうすれば、ちゃんとできるようになる」というタイプが多いこと。この点について著者は、「最近の若い人は真面目なので、うまく教えれば順調に成長するものだ」と断言しています。つまり仕事の種類が増えたうえに、「ていねいに教えてほしい」という若者が増えた。そんな状況下では、この2つの要素をクリアする必要があるということ。上司や先輩は、効率よく、細やかに教えることが求められるというわけです。■2つの基本的な「心構え」そしてそんな観点に立った場合、職場で「教える」ということについては、持つべき2つの基本的な“心構え”があると著者はいいます。まずひとつ目は、「教える」ことは「業務の一環」であると覚悟を決めること。部下や後輩が入ってきたり、その指導係を任されたりすることを「面倒だ」と感じる人は少なくないでしょう。たしかにそれは時間を必要としますし、大きなストレスの原因にもなります。まして上の世代は、「自分が新人のころはそんなに教えてもらわなかった」と、ていねいに教えることを「不必要」と考えがちでもあります。(1)伝承し続けることしかし、その根底にあるのは「教えることは業務外のサービスである」という意識なのではないかと著者は指摘します。そして、「だとすれは、明らかに時代を読み違えている」とも。以前がどうであれ、いまはかなり変わってきているのです。会社組織のなかで重要なのは、毎年のように人が入れ替わるなかで、ノウハウや技術などを伝承し続けることにほかなりません。そうでなければ組織の意味がないわけなので、そこに費やすエネルギーを惜しんではいけないわけです。(2)教える循環をつくることただし、特定の誰かが教育の全責任を負う必要はなく、大切なのは全員が役割を分担し、「教える循環をつくる」ことだといいます。つまり、これがふたつ目の“心構え”。たとえば学校の部活には、3年生が2年生に教え、2年生が1年生に教えるという循環があるものです。会社でも同じように、入社2年目の時点で新入社員の教育係を務められるようになれば、3年目以上の社員の負担はかなり軽減されるはず。このように「教える」という行為を血液のように循環させることが、組織にとっての生命線になるという考え方です。*経験に基づく著者の言葉には、強い説得力があります。そんなこともあり、教え方で悩んでいる人にとっては、大きく役立つ内容だといえそうです。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※齋藤孝(2015)『たった1日でできる人が育つ! 「教え方」の技術』PHP研究所
2016年03月08日いまの時代、どんな職業ついたとしてもコミュニケーション力は大切です。大人になってからいきなり身につけようと思っても、かなりの労力がかかってしまうもの。子どものうちから、遊びの中で身につけていくことがいちばんの方法だといえるでしょう。明治大学文学部教授の齋藤孝さんは、著書『遊ぶ力は生きる力齋藤式「感育」おもちゃカタログ』(光文社)のなかで、「大学生を見ているとよくわかりますが、いい遊び体験をたくさんしてきた人は間違いなくコミュニケーション上手になります」と語っています。そこで今回は同書のなかから、子どもの成長に必要な「家庭の遊びルール12条」をご紹介したいと思います。これらのルールを取り入れて、子どもにいい遊び体験をたくさんさせてみましょう。■1:「思いっきり」を体感させて「前のめりパワー」を身につける遊びで「思いっきり」の充足感や達成感が得られれば、濃密な時間が堪能できます。「思いっきり」をたくさん味わっておくと、勉強でも部活でも仕事でも、常に最良の姿勢で取り組むことが可能。「前のめりパワー」が身につくはずです。■2:家族で一緒に遊ぶ「思いっきり」の姿勢を教えるには、大人も一緒に遊んで楽しむことが大切です。家族と楽しく遊べば、子どもはそこで得た遊びの経験値を友達づきあいにも応用できてきます。■3:子ども→おもちゃ→親の「三角形を作る」子どもと自然にコミュニケーションを取りたいなら、「なにかを媒介して三角形をつくる」こと。たとえば子どもとアニメ番組を一緒に見たら「どのキャラが好きなの?」と聞いてみる。向き合うのではなく、ベクトルを同じ方向にして、そこに感情を投影させるのが大切です。■4:遊びに「縛り」をかけてみる子どもが飽きてしまったパズルやゲームも、家族だけの特別「縛り」ルールなどを設ければ、また新鮮な感覚で遊べます。たとえばしりとりなら、「好きな食べものくくり」にするなど。すると自然と遊びを工夫して考えることができるようになるでしょう。■5:質問で創造力をかきたてる創造力をかきたてる質問をわざとするのはよいことです。説明しようとすることで言語化能力が鍛えられ、子どもの興味もわかります。自分の頭で考えて答えることの楽しさが、きっとわかってくるでしょう。■6:対人関係における反射神経を上げる遊びのなかに、時間感覚を入れることをおすすめします。ゲームで自分の番が回ってきたら「必ず○秒以内に答える」など、常に制限時間の中でテンポよく答える習慣をつけるのです。問いに対してパッと答えられる能力は、今後の対人コミュニケーションにおいても大切な要素となるからです。■7:直面した現実に対応できる「機転力」を培う対人関係における「創造力」や「機転力」が弱いと、社会では「使えない」といわれることがあります。子どものころから人とたくさん遊ぶことで、社会に適応していく人間関係能力がついていきます。■8:キレない子にするための呼吸とマッサージ怒りっぽくてすぐキレてしまう子は、一様に呼吸が浅くなっています。腹底からの深い呼吸の仕方を教えてあげましょう。また、親子のスキンシップが足りないと情緒不安定になり感情に飲み込まれやすくなるようです。幼児だったらギュッとハグ、小学生になってハグを恥ずかしがる場合はマッサージをし合うのもいいでしょう。■9:異種混淆で免疫を高める対人対応力は、いろいろな人とたくさん接触してコミュニケーションすることで練られていきます。キャンプなどに参加して、いつもと違う人たちと濃く触れ合うなどはおすすめ。異質な環境や考え方のなかで遊ぶなど、人間関係にタフのなっておくことも成長には必要です。■10:時には混乱させてみる遊びには「競争、運、模倣、めまい」の要素があると、フランスの作家ロジェ・カイヨワ氏はいいます。めまいとは、回転してクラクラする状態をおもしろがるような「パニックの追求」のような意。混乱するようなワクワク感を求めていくことが、遊びの本質かもしれません。■11:よいおもちゃを与える五感や身体感覚が磨かれたり、いろいろな遊び方を自分で考えられたり、他者とコミュニケーションが深められるようなおもちゃがおすすめ。その意味でも、積み木やトランプはコストパフォーマンスが高めです。また、おばあちゃんに昔ながらの折り紙、あやとりなどを教えてもらうのもいいでしょう。■12:自発性を尊重する遊びはただおもしろいからやるものであって、スキル上達が目的ではありません。親はそこを勘違いせず、子どもの自発性をバックアップするような環境づくりをすることが大切なのです。*その他、『遊ぶ力は生きる力齋藤式「感育」おもちゃカタログ』には、「子どもがぐんぐん伸びる『おもちゃ厳選リスト』」など、育児中の親が知っておきたい情報が満載です。子どもの遊ばせ方をもっと知っておきたい親御さんは、ぜひ参考にしてみてほしいと思います。(文/齊藤カオリ)【参考】※齋藤孝(2015)『遊ぶ力は生きる力齋藤式「感育」おもちゃカタログ』光文社
2016年01月25日死は誰にでも訪れます。しかしそのことを考えて、不安に感じながら生きるのはイヤですよね。けれども、いつか来るそのときのために後悔しない生き方をしたいもの。そこでぜひともおすすめしたいのが、『悔いのない人生』(齋藤孝著、SBクリエイティブ)です。著者は、多数の著書を執筆し、テレビ番組にも出演する明治大学文学部の齋藤孝教授。多方面で活躍する齋藤教授は40代で体調を崩したことをきっかけに、死について考えるようになったといいます。『悔いのない人生』は、死にまつわるさまざまな問題を古典などからひもときながら、よりよく生きる方法を見つける一冊です。今回は第3章「老いと上手に付き合う」から、現在多くの人が抱えるストレスやネガティブな感情を吐き出すコツを紹介したいと思います。この章では、福岡藩の儒学者である貝原益軒の『養生訓』からヒントを探っているのです。■働く人の5割以上が不安を抱えているストレス社会と呼ばれる現代。平成25年の労働安全衛生調査によれば、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安や悩み、ストレスがある労働者の割合は52.3%となっています。会社のなかだけでなく、学校や友人関係など、なにかしらのストレスを抱えている人は多いもの。ストレスはうまく発散できればいいですが、溜め続けてしまうと、健康へ悪影響を与えてしまうこともあります。健康で楽しく生きていくためにも、ストレスを溜め込むのはNG。著者は、日常生活の中で思っていることを小出しにすることがストレス予防になるといいます。■定期的に感情を出すことを意識しよう自分の悩みや愚痴を誰かと共有することで、気持ちはスッキリするもの。しかし溜め込んでしまうと、具合が悪くなってきます。つまり、気軽に愚痴を言える場があることは、心の健康にとても大切なことというわけです。みなさんは家庭のなかで、悩み事や愚痴を話していますか?家族は、唯一外部にもれない秘密を共有できる存在。だからこそ、ネガティブな感情も素直に出すことができます。ささいな悩みや心境の変化を家族に吐き出すことも、ストレスを溜めないために大事なことになるのです。また会社で受けたストレスは、会社のなかで解消するのが望ましいといいます。「あのプロジェクトはここが大変だった」「●●がうまくいかなくて悔しかった」など、ちょっとしたことを言い合える関係が社内で築けていれば、ストレスも軽減されることでしょう。■何事も6~7割よければよしとしようそして、すべてのことを完璧にこなそうとする人はいませんか?そこが負担になり、楽しめなくなることもあるのではないでしょうか。これは自分に対してだけでなく、他人に対しても同じです。相手に求めすぎると、相手ができないことに対して苛立ってしまうこともあるはず。それがストレスになる可能性だってあります。「何事も六、七割よければよし」というように、ゆるく考えていた方が、日々機嫌よく過ごすことができると著者はいいます。人生を楽しむには、完璧を求めすぎないことも大切なのかもしれませんね。*日本人の平均寿命は、2014年で女性86.83歳、男性80.5歳。男女ともに寿命が80歳以上を超える長寿国です。そんな私たちが長い人生を悔いなく歩んでいくためのヒントを本書では紹介しています。ぜひ読んでみてください。(文/椎名恵麻)【参考】※齋藤孝(2015)『悔いのない人生』SBクリエイティブ※平成25年 労働安全衛生調査(実態調査)-厚生労働省
2015年12月22日世界カクテルコンペティション「ザ・シーバス マスターズ」で、アンダーズ 東京のバーテンダー齋藤隆一が3位を受賞。審査員を魅了した齋藤隆一によるカクテルが、アンダーズ 東京の「ルーフトップバー(ROOF TOP BAR)」にて提供されている。スコッチウイスキー「シーバスリーガル(CHIVAS REGAL)」が主催する、世界カクテルコンペティション「ザ・シーバス マスターズ」。第2回目となる今回は、“次世代のクラシックカクテルの探求”をテーマに12カ国でローカル大会が開催された。大会では、「シーバスリーガル」の誕生から今日に至るまでの年代を4分割し、各時代をイメージしたストーリー性のある4種類のカクテルを創作する、というお題が出された。日本大会ではアンダーズ 東京「ルーフトップバー」の齋藤隆一が優勝し、日本代表として7月13日、14日にニューヨークで開催された世界大会決勝に出場した。世界大会は6ラウンド構成で、課題やワークショップなどを行い、すべてのラウンドを通して創造性やスタイル、味わい、ミクソロジー技術などが総合的に審査された。各ローカル大会で優勝した4種類のカクテルのうちひとつが審査対象となった第1ラウンドで齋藤隆一は、クラシックカクテル「ジョンコリンズ(JOHN COLLINS)」を現代的日本版にアレンジした「パーソナルコリンズ(PERSONAL COLLINS)」を披露。審査員を魅了し、総合で3位に輝いた。なお、“2015 シーバスマスター”となる優勝はイギリス代表のジョシュ・レイノルズ(Josh Reynolds)が獲得した。現在、「ルーフトップバー」では、国内大会で優勝を勝ち取り、世界大会でも賞賛された齋藤隆一のカクテル「パーソナルコリンズ」が提供されている。
2015年08月06日日々のコミュニケーションについて、頭を悩ませている人は少なくないはず。そこでおすすめしたいのが、『大人のための会話の全技術』(齋藤孝著、KADOKAWA/中経出版)。明治大学文学部教授である著者が、時間をかけずに「会話の達人」になるためのメソッドを明かした一冊です。「挨拶」「雑談」「コメント」「質問」「説得」、果ては「謝罪」まで、さまざまな角度から会話の仕方が説明されていますが、きょうは「コミュニケーションに不可欠な四つの身体の使い方」を見てみたいと思います。■身体的コミュニケーションは重要コミュニケーションというと、ことばだけのやりとりだと思っていまいがち。しかし同じように、身体的コミュニケーションも重要。著者は特に、「目を見る」「微笑む」「うなずく」「相槌を打つ」の4つは、会話の雰囲気を温かくするために不可欠な要素だと考えているそうです。■4つの身体的コミュニケーション(1)目を見る目を見つめるという行為は、簡単なようで意外に難しいもの。見つめられると照れてしまいますし、恥ずかしいという感情が湧いてくるからです。しかし、目と目が合ったときにこそ、人と人との間に「線」がつながるのだといいます。そして、その「線」の上にことばを乗せることで、相手にきちんと気持ちが伝わるとも。たしかに「目が泳いでいる」人と話をしていると、聞いている人はなんとなく不安になってきます。きっちり目を合わせるくらいの気持ちで話してこそ、場をつかむ感覚も生まれてくるということです。(2)微笑む微笑みは、相手を受け入れているというサインのひとつ。コミュニケーションが生まれ、心の内側から微笑みが生まれてくれば、それが相手にも伝わるそうです。自分の話に微笑んでくれる人と、仏頂面をしている人がいたとしたら、誰でも微笑んでくれる人と話していたくなるはず。そんなことからもわかるとおり、微笑みはコミュニケーションにおける基本中の基本といっていいほど重要なものだというわけです。(3)うなずくうなずくという行為も、「あなたの話をしっかり聞いていますよ」というサイン。そこには「同意・同調する」という意味合いも含まれるものの、それは絶対的なものではないそうです。相手の意見に同調していない場合でも、敵対しているわけではないことを伝える意味合いがあるということ。また、うなずきには、「相手のことばを咀嚼して消化している」というイメージを醸し出す効果もあるのだとか。それが相手の自分に対する信頼感を生み、もっと近づきたいという気持ちにつながっていくということです。(4)相槌を打つこれも、近年の日本人が失いつつあるコミュニケーション技術のひとつ。しかし良好なコミュニケーションを築くために、「相槌を打つ」というテクニックを身につけるべき。相槌を打つ際は、「そうそう」「ああ、なるほど」「ほー」「そうなんですか」などと、相手の話に同意する意思を示すことばを発すると効果的。*コミュニケーションについて考えるときは、会話にばかり気持ちが向いてしまいがち。でもたしかに、身体的コミュニケーションも重要かもしれません。(文/印南敦史)【参考】※齋藤孝(2015)『大人のための会話の全技術』KADOKAWA/中経出版
2015年07月13日「サントリー オールフリー」より、コラーゲン2000m入りの「オールフリー コラーゲン」が6月30日(火)発売されるのを記念し、森三中の黒沢かずこが29日(月)都内で行われたイベントに登場した。黒沢さんは、「オールフリー」TV-CMシリーズに出演中の黒木華さんと「オールフリー コラーゲン」の新TV-CM「浴衣のふたり」に出演。この日も浴衣で艶やかな姿を見せた。「ひとりでのこういう場には慣れていなくて」と終始緊張しっぱなしの黒沢さんの前にサプライズで登場したのは、黒沢さん憧れの男性である齋藤孝教授。「テレビで見た通り、肌ツヤがいい!25年目の旦那として理想!」と大興奮で語っていると、司会者から「『オールフリー コラーゲン』の美味しさを歌で表現してください。」との無茶ぶりが。「めちゃくちゃ恥ずかしい!」と言いながら歌い出したものの、「おいしーね、おいしーね、おいしーね、夏だよね~♪あれ夏だよねって曲になってしまいました」とやり直し。あまりの勢いに、開場が唖然としていると、「36の独身女が突然大声だしてどうしたんだ?って感じになっていますけど、36の独身女が~たくさん集まって~あ~届いているかーい、届いているかーい、この思い~美味しいコラーゲンのオールフリー コラーゲーン♪」と見事歌に乗せて思いを伝えた。先日、森三中の大島美幸の出産に立ち会ったという黒沢さん。生まれたばかりの赤ちゃんの顔を見て「夫婦と同じ顔の赤ちゃんが出てきたので、この段階から似ていると、大きくなるのが心配。いいお嫁さんが見つかればいいんですけどね」と気の早い心配をしていた。また「笑福(えふ)」くんという名前を聞いた黒沢さんは、「この旦那さんはイニシャルで呼ぶんだ!と思ってびっくりしました。藤子F不二雄さんをイメージしているのかな、と思ったら、そういう名前でした。」と笑顔で話した。新TV-CM「浴衣のふたり」編は 6月30日(火)より全国にて放送。(text:cinemacafe.net)
2015年06月29日アップルは、App Storeに「新生活を始めよう」と題した特設ページを公開した。新学期、新生活向けのアプリ68本、iBoosの電子書籍14冊が紹介されている。その中からアプリを20本、電子書籍4冊をピックアップしてみた。○快適に暮らすお金のやりくり、睡眠、レシピなどなど、毎日使う、使えるアプリを何本かピックアップしてみた。スラップしてスヌーズ、デバイスをフリップしてアラームオフ、またはシェイクして起きることができるというアラームアプリ『Wake Alarm Clock』。iPhoneのハードウェアと連動したシンプルな操作でさまざまなアラーム機能を利用できる。眠りが深い人も、すぐ起きられる人も、これで快適な朝を迎えよう。『おしゃれ住宅ナビ』は、東京エリア(一部神奈川県を含む)の「おしゃれな」賃貸住宅だけを検索するためのアプリ。他の不動産検索アプリで、自分の趣味と合う部屋が見つからなかったという方におすすめだ。綺麗な写真を是非iOS端末でご覧頂きたい。金融機関の口座を一度登録するだけで、複数の預金残高やカード使用額を同一画面上で確認できる『Moneytree』は、各種ポイントカードの管理にも対応。高度で強固なセキュリティシステムを導入できているのもiOSならでは。写真や映像でレシピを楽しめる『Kitchen Stories』は、Retinaディスプレイで閲覧するのにピッタリだ。iPadの大きな画面で見たくなる。作り方をステップ・バイ・ステップの手順写真や動画でわかりやすく解説。各コンテンツは無料で利用できる。『Relaxia』は、睡眠導入に、浜辺の音や暖炉の音、雨と雷の音などを流しておけるアプリだ。iOSらしい直感的なユーザーインターフェースが特徴。収録されているサウンドを組み合わせて自分専用の環境音を設定しておくことができる。料理レシピ投稿・検索サイト『Cookpad』は、iOS向けアプリも提供している。190万品を超えるレシピの中から、毎日の食事はもちろん、おせち料理、クリスマスなどでのパーティー料理、バレンタインチョコや誕生日ケーキなどのスイーツまで、欲しいレシピを見つけられる。 近くのスーパーのチラシ・特売情報を通知してくるといった嬉しい機能も搭載する。ピックアップしたアプリは『Cookpad』を除き、利用できるのはiOS端末のみだ。○自分を磨く挫折を続けた語学、ダイエット、今度こそは上手くやろう、続けよう。意気込むアナタをサポートしてくれるアプリはこれだ。スピーキングの音声認識と多彩な言い回しフレーズで英会話学習が出来る『OKpanda英会話』。iOS 8の通知センター上では「本日のミニレッスン」があるのを知らせてくれる。『FitPort』は、iOS 8標準の『ヘルスケア』のデータをわかりやすく表示してくれるダッシュボードアプリだ。歩数、歩いた距離の自動表示(iPhone 5s/6/6 Plusに対応)、上った階段数の自動表示(iPhone 6/6 Plusに対応)する機能を装備する。腕立て伏せやスクワットなど12種のエクササイズを7分間連続でこなすワークアウトプログラム『7分間エクササイズ - 7 Minute Workout Challenge』では集中トレーニングにトライできる。リサーチに基づいてエクササイズがセレクトされており、7分強の運動で、1時間以上の運動量に匹敵する効果が得られるとのことだ。『OKpanda英会話』と『FitPort』はiOS端末でしか利用できない。○仕事や勉強に役立つ「iOSならでは」な機能を搭載したアプリを中心に新社会人、新入学に使えるアプリをご紹介。iPhone/iPadを仕事に勉強に活用していこう!『Printer Pro』なら、添付ファイル、文書、WebページなどをiPhone/iPad から直接Wi-FiプリンタやUSB接続のプリンタに出力できる。印刷オプションを利用すれば仕上がりの設定が自由に行える。『Documents 5』はファイルの閲覧、視聴、ダウンロード、注釈付けといった作業をiPad/iPhone上で行えるアプリだ。iCloud driveとTouch IDに対応しているので、個人情報やプライバシーも安心して管理できる。勉強時間を計測したり、勉強時間と勉強した科目、学習内容をグラフ化したりできるのが『STUGUIN』だ。友人と学習の進捗度を報告しあえる機能も装備している。『読書管理ビブリア』は出会った本を記録しておくことができるアプリ。読んだ本のバーコードをiPhoneのカメラで読み込んで登録できる機能が特徴だ。読書のメモや感想を入力しておくこともできる。読書量に応じて登場するアプリ内キャラクター「賢者」のコメントも楽しい。『Evernote Scannable』は起動すると即座に紙文書(レシート、名刺、文書など)を検出して、タップする必要なく自動撮影できるスキャナアプリ。撮影した紙文書は、メール、メッセージ、カメラロール、iCloud Driveに保存でき、iOS標準の『連絡先』アプリと連携することも可能だ。『Printer Pro』と『STUGUIN』、『読書管理ビブリア』はiOSアプリのみで提供されている。○人とつながるみんな使っている『Facebook』『Twitter』『LinkedIn』以外にも、ユニークな人とつながることができるサービスが存在する。ここでは3本のアプリ/サービスを取り上げてみた。『Picsee』は、親しい人々とプライベートなカメラロールを共有して、写真によるコミュニケーションを楽しめるアプリ。撮影するだけで相手の端末に写真が届くので、お互いの視覚を共有しているような気分になれる。特定のユーザーのみシェアすることも簡単に行える。身の周りの風景や毎日の食事、趣味など、自分の興味関心を、同じものを好きな誰かと共有できるのが『Poin』だ。「場所」を中心として動いていた従来のSNSでなく、「個人」の趣味・好きなものを自分の部屋の中で楽しむ感覚で利用できる。ブログ、写真集、日記のような「ブック」を作って見せ合ってコミュニケーションをはかるという具合だ。『FireChat』はインターネットにつながっていなくても交流ができるというSNSアプリだ。iOS 7から搭載したマルチピアの無線接続機能を利用している。メッセージを送ったり、チャットや写真の共有ができる。野外フェスや大自然に囲まれたキャンプ場などでも実力を発揮してくれそう。『Picsee』と『Poin』はiOS端末のみの提供。○街を知る見知らぬ街で暮らすことになりそう、なった、という方も多いだろう。生活空間の変化にもバッチリ対応できるよう、アプリの準備も万端にしたいところ。新生活を始めた土地に一日も早く馴染むのに欠かせないアプリはこれ。リピーターが多いお店をランキングで表示してくれるのが『リピ店グルメランキング』だ。1タップで現在地周辺の人気店をチェックできる。iOS 8では通知センターから今日行く店を1ステップでチェックする機能を利用可能となっている。サービスは無料で使うことができるが、アプリ内課金でジャンル指定や予算別に絞込み検索が出来る機能も提供する。『comolib』は、子連れおでかけスポットの口コミが豊富に掲載されたアプリ。プロフィール登録をして使い続けると、登録ユーザー自身に合った施設をアプリのほうが提示してくれる。オムツ替えの有無、授乳室の有無、個室の有無、ベビーカー入店の可否など、子連れの外出時に必須な情報をベースに検索する機能も装備。定番中の定番『乗換案内』は電車だけでなく、全国500社以上のバス情報にも対応。3月14日開通の北陸新幹線・上野東京ラインにも、もちろん対応している。駅から駅までの検索から、今いる場所から行きたい場所への経路検索も可能となった。主要な機能は無料で使えるが、アプリ内課金で「Plusチケット」を購入することで。さらに便利な機能が使えるようになる。『リピ店グルメランキング』と『comolib』はiOSアプリのみで提供が行われている。○新生活におすすめのブック特設ページではアプリのほかにiBooksで購入できる電子書籍も紹介されている。『ビジネスの常識が一発でわかる本』/内山力、『大人のための読書の全技術』/齋藤孝、『ちゃんと話すための敬語の本』/橋本治、『池上彰の新聞活用術』/池上彰などのビジネス書、実用書が中心だが、iPhone/iPadを初めて使うというユーザー向けに、iOS 8.1のユーザーガイドもピックアップされている。
2015年03月13日東京都・渋谷の8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryでは、レディー・ガガの専属シューメイカーとして知られる舘鼻則孝の個展を開催する。開催期間は12月17日~2015年1月12日まで、開場時間は11:00~20:00。入場無料。同展は、舘鼻則孝のアーティストとしてのさまざまな側面をみせるべく、いくつかの美術館に収蔵され、彼のアイコンとも言えるヒールレスシューズのほか、かんざしをモチーフとしたオブジェなど、十数点を展示する。今回の個展に際して舘鼻は、「『ヒールレスシューズ』と称される私の大学卒業制作は、海外のファッション業界で注目されたところから始まりました。しかし、それは花魁の履く高下駄から着想を得たものなんです。日本の伝統的な染色技法である友禅染を学んだ大学時代には、古典に倣って着物や下駄の制作をしました。日本的な様式化された平面的な芸術と、西洋的な身体研究に基づく空間的な芸術は、相対する価値観のように感じられますが、それらが共存しているのが現代の日本でもあります。戦後の日本、西洋文化が流入してきた現代だからこそ共有できる価値観が、日本の文化価値を再構築する可能性を秘めているのではないでしょうか」と語っている。なお、舘鼻則孝は1985年生まれのアーティスト。2006年に東京藝術大学美術学部工芸科に入学、染織を専攻。2010年、大学卒業時に制作した底の厚い靴(ヒールレスシューズ)がレディー・ガガのスタイリストの目に留まり、専属シューメイカーとなったことで脚光を浴びる。近年は、「Future Beauty」(2012年、東京都現代美術館ほか)、「イメージメーカー展」(2014年、21_21 DESIGN SIGHT)などの展覧会に参加するなど、積極的にアートの領域に踏み込みながら、作品の発表を行なっている。
2014年12月01日渋谷ヒカリエ8階のアートギャラリーで、アーティスト舘鼻則孝の個展が開催される。期間は12月17日から1月12日まで。舘鼻則孝は東京藝術大学を卒業するとともに、レディー・ガガの専属シューメイカーとなったことで一躍注目を集めたデザイナー。花魁の高下駄にインスピレーションを得たという厚底靴は、後に“ヒールレスシューズ”と呼ばれ、ブランド「NORITAKA TATEHANA」を代表する作品となった。最近ではアーティスティックな作品を数多く発表しており、14年には世界で活躍するクリエイターによる幻想的で斬新な作品を集めた展覧会「イメージメーカー展」にも参加している。今回の展覧会にはヴァレリー・スティールが館長を務めるニューヨーク州立ファッション工科大学美術館、メトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館、京都服飾文化研究財団といった各地の美術館に収蔵された舘鼻則孝の作品が集結。ヒールレスシューズをはじめ、かんざしをモチーフとするオブジェなど、舘鼻の作品が十数点展示される。【イベント情報】舘鼻則孝 展会場:8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1会期:12月17日から1月12日時間:11:00から20:00料金:無料
2014年11月26日今年最も活躍し、日本を沸かせたチームを表彰する「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー 2014」の表彰式が東京・原宿で開催された。○過去には「東京オリンピック招致委員会」や「はやぶさ」も同賞は2008年に設けられ、ビジネス・スポーツなどあらゆる業界においてその年最も顕著な業績を残したチームを表彰。過去には「東京五輪招致委員会」やJAXAの「小惑星探査機『はやぶさ』プロジェクトチーム」などが最優秀賞を受賞した。第7回目となる今回は、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」「WHILLプロジェクトチーム」「妖怪ウォッチ プロジェクトチーム」がノミネート。どのチームも、「一致団結」といった精神論的なチームワークではなく、個人のスキルが明確で、一人一人がリーダーシップを発揮できる「多様性・異質性」を持っているという。審査員は著書『声に出して読みたい日本語』などで知られる明治大学教授 齋藤孝さんと、厚生労働省イクメンプロジェクトなどに携わるプロデューサー おちまさとさん。齋藤さんは同賞について、「今の日本社会では、チームの実行力、周囲の人と一緒に新しい価値を見いだすことが求められています。ベストチーム賞は、その動きを後押しする賞であり、そのチームがあることで、日本に希望が生まれるような社会的意義のあるものを表彰しています」とコメント。おちさんは「チームには『役割を全うする』『スケジュール管理』の要素が大切です。この賞はそれを成し遂げたチームに贈りたいと考えています」と語った。○最優秀賞はクロスメディア戦略で人気爆発の「妖怪ウォッチ」2014年の最優秀賞チームは「妖怪ウォッチ プロジェクトチーム」。妖怪ウォッチは2013年7月に発売されたニンテンドー3DS専用ゲームソフトで、小学生を中心に人気が爆発し社会現象となっている。授賞式にはレベルファイブ 代表取締役 日野晃博さん、「ようかい体操第一」作詞・振り付け師のラッキィ池田さん、原作キャラクターのジバニャン・ケータくんらが登壇。また、ゲストプレゼンターとして妖怪ウォッチの大ファンだという加藤憲史郎くんも登場した。審査員の両名は、「コミックやアニメなどの多角メディア展開を前提として企画され、その全てが成功をおさめた極めて珍しい例。会社を超えたチーム力で、メンバー全員が役割を全うしている」と評価した。日野さんは「このチームは妖怪ウォッチをはやらせるために、ゲーム・アニメ・コミック・おもちゃなどのプロフェッショナルが集まったプロジェクトです。今の人気は、全員が役割を全うしたことでさらなる相乗効果が生まれ、会社を超えたチーム力が発揮できたからではないでしょうか。メンバーとミーティングをするときは『楽しいことを皆で考えよう!』というノリで話し合っています。メンバーは『悪ノリ仲間』ですね」と語った。妖怪ウォッチは子供向けではなく、ファミリー向けのコンテンツ。アニメ内に子供がわからないような大人向けのギャグが出てくるのも、そのノリの中から生まれたアイディアだという。またクロスメディア戦略によって、妖怪ウォッチを知る入り口が「アニメ」「ゲーム」「ダンス」「歌」など多様化。どのコンテンツにも負けないブームを巻き起こしたのだ。表彰式ではラッキィ池田さんの振り付け指導のもと、受賞者と審査員が「ようかい体操第一」を踊ることに。日野さんもジバニャンらとともに切れのあるダンスを披露した。○必要な物を必要な人に - 「ふんばろう東日本支援プロジェクトチーム」優秀賞は「ふんばろう東日本支援プロジェクトチーム」。東日本大震災を機に、2011年4月に立ち上がった被災地支援のボランティア組織だ。TwitterとWebを連動させ、被災者が必要なものを、必要なだけ送るという仕組みの支援活動を実施している。早稲田大学大学院 客員准教授の西條剛央さんは「チームというのは1人ではできないことをするためのもの、ヴィジョンを実現する仲間です。このプロジェクトは、協会があるというわけではないので、実際は何人のメンバーがいるかはわかりません。でも被災者の方が本当に必要な物を送ることで、自立サポートにつながります」と述べた。西條さんは被災者と支援者を「遠い親戚のようなもの」だという。物資を受け取った被災者からお礼の手紙や電話が届くこともあるそうで、支援物資を一括して被災者に送るのとは異なる「人とのつながり」が生まれるのだ。それにより、継続的に支援しようという気持ちも芽生えるのだという。○乗ってみたい! - 次世代車いす「WHILL」プロジェクトチーム同じく優秀賞を受賞した「WHILLプロジェクトチーム」は、新しい次世代車いす「WHILL」を作り上げた。車椅子ユーザーも、そうでない人も乗ることができるだけでなく、「乗ってみたい」と思わせるデザインや仕組みがポイントだ。WHILL 代表取締役 内藤淳平さんは「車椅子ユーザーの方に『100メートル先のコンビニに行くのを諦める』という話を伺ったことがあります。移動するのが大変ですし、あまり見られたくないからと。そのような人も外に出られるように、近未来的で『乗ってみたい』と思わせるようなコンパクトなデザインにこだわりました。プロジェクトには部品を製造する町工場の方から、日米のユーザーまでたくさんの人が関わっています。タイヤのようにチームは『輪』であり、人と人とのつながりがWHILLを作り上げたのです」と語った。最初の開発資金はクラウドファンディングで調達し、30社以上のメーカーや、日米のテストユーザーとともに作り上げたというWHILL。1人では実現し得ないことを達成できたのもチームの力によるものだ。脚が不自由な人だけでなく、一般の人や高齢者なども使いたくなるパーソナルモビリティが普及する日も近いかもしれない。ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会は、「チーム力」で生まれた知恵や発想、活動に伴う苦労、達成した喜びを発表する場を設けることで、「新しいチームワーク」が周知され、ビジネスシーンや日々の生活において新たな発想のヒントとなり、日本の活力へつながっていってほしいとしている。
2014年11月21日世界のセレブに愛されるシューズデザイナー・舘鼻則孝(NORITAKA TATEHANA)が、シューズディレクター・北舘洋一郎と共に、新たにスニーカーブランド「ザ・ドウターズ(THE DAUGHTERS)」を7月31日にローンチする。デビュー時に展開されるのは、メンズ「アクター(ACTOR)」(4万1,790円)とウィメンズ「スターリング(STARRING)」(4万9,140円)の2型。日本の伝統技法であるオーガニック藍染めを施したインディゴレザーと、野球の公式球に使用されているベースボールレザーなどを使用。表面はレーザーを使用してデニムのようなデザインが施されている。新ブランドは、現在伊勢丹新宿店2階で開催されているポップアップショップで同日より発売される。また、8月3日と10日の14時から17時には、 舘鼻本人が来店しオーダーを受ける。北舘は、エア・ジョーダン、ポンプ・フューリーなどのプロジェクトに携わり、「世界のスニーカーカルチャーに影響を及ぼした50人」に選出されたシューズディレクター。大学時代より『ナンバー(Number)』『チェックメイト(Checkmate)』などでファッションとスポーツの執筆に携わり、その後、マイケル・ジョーダンを取材するためにシカゴへ移住。スポーツジャーナリストとして活動をスタートさせる。帰国後、1997年に「ザ・シックスマン(The 6th Man)」を創業し、数々のセレクトショップやブランドを開業。2000年にはナイキ(NIKE)とコラボレーションし「エア・ジョーダン1 Millennium model」をデザイン。2001年にはリーボック(Reebok)とのコラボレーションブランド「ジーアールユーヴィ(gruv)」を開始。その他に、ニューバランス(New Balance)や、漫画家・井上雄彦作『リアル(Real)』とのコラボシューズを発表している。
2013年07月31日