俳優の川崎麻世が16日に自身のアメブロを更新。出先で俳優の山田孝之と偶然遭遇し2人で晩酌したことを明かした。この日、川崎は「18年前から通ってる家族で経営する居酒屋がある」と明かし「経営し始めで24年が経つ」「ご夫妻でやっていたがお父さんがお亡くなりになって娘さんがあとを継いで美味しい料理を作ってくれる」と紹介。「今はお母さんと2人の娘さんでお母さんも安心して働いてる実にアットホームな落ち着く店だ」と行きつけの居酒屋についてつづった。続けて「ほんの数日前に扉を開けると超お久しぶりに俳優の山田孝之くんと遭遇した」と居酒屋にて山田と遭遇したことを報告。「最近お気に入りでよく来てるらしいなんか嬉しい」とコメントし「今まで数人で一緒に飲んだことはあったが2人で語ったのは初めてだった」と嬉しそうにつづった。また「いつ逢っても超ナチュラルで性格も最高」と山田との2ショットを公開。「楽しすぎて24時が回っていた」(原文ママ)といい「翌朝LINEをしたどうやら2人共楽しく酔ってたみたい『出逢いに感謝』」としみじみつづり、ブログを締めくくった。
2022年05月18日20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第三十二夜は、お蕎麦と合わせて飲みたい日本酒を厳選して3本ご紹介。蕎麦の香り、風味、のどごしにぴったりな日本酒3本を選びました!(左から)「美酒の設計 純米吟醸」「神開 吟吹雪 九號 生原酒」「多満自慢 純米無濾過」秋田県由利本荘市にある齋彌酒造店の代表銘柄「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」。こちらの「美酒の設計」は、兵庫県の山田錦を使用し、香りも華やかで蕎麦の香りと合わさって好相性。「美酒の設計純米吟醸」720ml 2,260円(ひいな購入時価格)/株式会社 齋彌酒造店滋賀県甲賀市にある藤本酒造の代表銘柄「神開」。その名のとおり、神様のお告げで井戸を掘ったところ良質な水が湧き出したという由来から命名された。9号酵母と吟吹雪という酒造好適米を使用。酸味がたまらない「神開 吟吹雪 九號 生原酒」720ml 1,760円(ひいな購入時価格)/藤本酒造株式会社東京都福生市にある石川酒造の代表銘柄「多満自慢(たまじまん)」。こちらは一番ベーシックな純米酒で破格のプライスながら、そのおいしさでデイリー酒にもってこい。アルコール度数は14度と少し低め。「多満自慢 純米無濾過」720ml 1,130円(ひいな購入時価格)/石川酒造株式会社娘・ひいな(以下、ひいな)「月に一度の晩酌がやってまいりました〜!」父・徹也(以下、テツヤ)「久しぶりだねぇ。髪の色変えたんだ?」ひいな「そう。毎回、髪色違うよね(笑)」テツヤ「今日はなんと特別ゲストをお呼びしております!」ひいな「どうぞ〜!」山崎智世(以下、山ちゃん)「失礼します!」テツヤ「フォトグラファーの山崎智世さんこと山ちゃんです。カナダからおかえり!」フォトグラファーの山崎智世さんは、現在カナダ在住。久しぶりの日本帰国で、伊藤家に居候中のところ、特別ゲストにご登場いただきました!ひいな「おかえりなさい〜!」山ちゃん「ただいま〜!」テツヤ「今、山ちゃんは伊藤家に居候中ってことでゲストに来てもらいました!」山ちゃん「伊藤さん家にはだいたい3週間くらいお世話になってます(笑)」テツヤ「だいぶいるね(笑)。いやぁ、山ちゃんが来てからね、酒量が増えちゃって(笑)」山ちゃん「私もですよ!お互いさまです」テツヤ「資源の日に出すゴミの量がすごくてさ(笑)。どんなに疲れて帰ってきても、ちょっとだけ付き合おうかなってなっちゃう」山ちゃん「昨日もね(笑)」テツヤ「早く寝ようと思ってたのに、結局夜中の2時半まで飲んじゃってさ」山ちゃん「俺はこれで寝るよ!って言いながら」テツヤ「あと一杯、って終わらなくて」ひいな「最近私が実家に帰ってくるとおかえりって言ってくれるしね。山ちゃんが帰っちゃうとさみしくなっちゃうね」山ちゃん「いらっしゃいってね。ひいなのことも小さい頃から知ってるし、なんか家族みたいな」ひいな「そうそう。カナダからおかえりなさい!」テツヤ「今回は、久しぶりに日本に帰国した山ちゃんに、ぜひおいしい日本酒をご紹介したいと思ってね」ひいな「日本酒って普段飲みますか?」山ちゃん「カナダでも買えるんだけどものすごく高いから、お正月しか飲めない」テツヤ「え〜お正月だけ?むしろカナダでどんな日本酒が飲めるのか気になるね」山ちゃん「すっごく高くて。『獺祭』『谷川岳』『加賀鳶』はあったかな」ひいな「どれもいいお酒ですね(笑)」山ちゃん「その3本を買って8,000円くらいしたかな」テツヤ「おぉ、いいお値段するね」山ちゃん「そう。だから日常的に日本酒を飲むのはなかなか難しいかな」テツヤ「そうなるよなぁ」山ちゃん「だから伊藤家に来て、いっぱいお酒があるのでたくさんいただいています」ひいな「今回はおうちでお蕎麦屋さんをしようと思って。お蕎麦屋さんに行くと日本酒飲みながらちょとっとつまみたいじゃない?」テツヤ「大人の贅沢だよね」ひいな「つまみながら飲みながら、日本を感じてもらう企画です!」テツヤ「山ちゃんにも久しぶりのそばでおもてなしってことで!」山ちゃん「おそば大好物です!」ひいな「よかった〜!」まずは、香りの華やかな純米吟醸「美酒の設計 純米吟醸」からひいな「お好きなおちょこをどうぞお選びください〜」テツヤ「蕎麦屋みたいだね」山ちゃん「わぁ〜!私はこれにしてみよ」テツヤ「いいねぇ」山ちゃん「3本あるけど、どれから飲むの?」ひいな「私の理想としては左の『美酒の設計』から。香りがすごいの。まず嗅いでみてほしい!」山ちゃん「う〜ん!いい匂い!」『美酒の設計』は、毎年お米のできに合わせて12種類ある酵母の中からどれを使うか選ぶというこだわりよう。テツヤ「『雪の茅舎』って蕎麦屋にあるイメージない?」ひいな「あるある!」テツヤ「『ゆきのぼうしゃ』って読めなくて、『これください』って指差したりして(笑)」ひいな「確かに読めない(笑)。これは今までの『雪の茅舎』のイメージが変わるかもしれないよ」テツヤ「お?そうなんだ。楽しみ!」ひいな「では、おつぎしますね」山ちゃん、おかえりなさい〜!一同「乾杯〜!」テツヤ「あぁ、うまい!」ひいな「おいしい…」山ちゃん「う〜〜〜ん!甘い!」ひいな「甘みがあるんだけど、ちゃんとお米って感じがするというか」山ちゃん「そうそう。おいしい」ひいな「この間、お蕎麦屋さんに行ったんだけど、こういう香りがあるお酒もいいなと思って選んでみた」テツヤ「ひいなも蕎麦屋で飲んだりするの?」ひいな「この前、おばあちゃんとお昼にお蕎麦屋さんで飲んだの」山ちゃん「それ最高だね」ひいな「おばあちゃんと2人で、のどぐろの天ぷら、筑前煮、もろみ味噌ときゅうり、蕎麦がきとか蕎麦前で食べたりしてね」テツヤ「何それ!いいなぁ」ひいな「すごくおいしかった。その時に香りがある日本酒もいいなと思ったんだよね」テツヤ 「この香りは蕎麦の邪魔にならないのかな?」ひいな「むしろ風味が豊かな感じになると思う。お蕎麦の香りにも合うと思うし、蕎麦を食べるまでの“蕎麦前”でも楽しめると思うよ!」テツヤ 「俺はね、蕎麦食べながら飲めるんだよね」ひいな 「本当に?」テツヤ 「蕎麦をつまみに飲む。蕎麦が固まっちゃったらお酒をかけちゃったりして」山ちゃん 「え!お蕎麦に日本酒かけるの?」テツヤ 「そう。あとはわさびじゃなくて七味を直接おそばにかけるの」ひいな「それで塩とかで食べるってこと?」テツヤ「いや、七味をそばにかけてからつゆにつけるの。そのほうが香りがいいの」2本目は、乳酸系の甘酸っぱい酸味を感じる「神開 吟吹雪 九號 生原酒」テツヤ「では、次いってみましょうか」ひいな「次は『神開』を!」一同「じゃ、乾杯!」テツヤ「これはね、俺が好きなやつですよ。ぬか漬けっぽい!」山ちゃん「あ、匂いが全然違うね!」ひいな「乳酸感があるよね」山ちゃん「初めて飲む味!でもおいしい」テツヤ「カナダじゃ飲めない味だよね、きっと」山ちゃん「うん、このクセがいいね。おいしい」ひいな「なんかこの2本でも、香りがあるところは一緒なのに、香りの系統が違うよね」テツヤ「うん、真逆だよね」山ちゃん「それぞれ違っておもしろいね」ひいな「でも、次のお酒飲んだら、また印象が変わるかも」山ちゃん「え〜!」テツヤ「マジか!」テツヤ「この酒は、蕎麦屋で腰を落ち着けて飲みたい感じだね。気軽に飲む感じというよりは、今日は俺3時間います!みたいな(笑)」ひいな「蕎麦屋で長期戦!最高だね」山ちゃん「そうそう。ちびちびいきたいね」ひいな「お蕎麦屋さんで日本酒を飲むようになったのって江戸時代かららしいんだけど」テツヤ「へぇ」ひいな「注文が来てからお蕎麦を切ると出てくるまでに時間がかかるでしょう?お蕎麦が出てくるのを待ってる間に“蕎麦前”を食べるっていうのが、江戸の粋な食べ方だったんだって」テツヤ「なるほど。蕎麦だけ食べるのは粋じゃないのか」ひいな「一杯ひっかけて、っていうのが通なんじゃない?」山ちゃん「なるほど、そういう食べ方だったんだね」こっくりとした旨みたっぷりな純米酒で飲み飽きない「多満自慢 純米無濾過」ひいな「3本目は『多満自慢』の中でも一番スタンダードなお酒です!なんとこのお酒すごくお安くて…」テツヤ「いくらなの?」ひいな「1,130円!(ライター注:石川酒造のオンラインショップではなんと990円で購入可能です!)」テツヤ「安すぎる!」山ちゃん「安い〜!」テツヤ「味が気になるよ」一同「乾杯!」テツヤ「う〜ま〜い〜」山ちゃん「あらぁ、好きかも」テツヤ「俺も『多満自慢』好きだな」ひいな「でしょう?おいしいでしょう?安心感があるおいしさだよね」山ちゃん「全部タイプが違うから、一番って決められないけど、すごく好き!」ひいな「このお酒を選んだ理由としては、一番穀物っぽさがあるなと思って。蕎麦に合わせるならこれかなって」山ちゃん「なるほど。早く合わせたい!」板わさ、だし巻き卵、わさび漬け…お好きな蕎麦前を準備してひいな「じゃ、蕎麦前からいきましょうか」山ちゃん「きゃ〜!きれいなたまご焼き!これ、ひいながつくったの?」ひいな「昨日練習しました」山ちゃん「お店みたい!」一同「いただきます!」テツヤ「子どもの頃から蕎麦屋で飲むのって憧れでさ。大人になったら蕎麦屋に行きたいって思ってた」山ちゃん「わかる!蕎麦屋で飲むのって憧れるよね」ひいな「ね!こうやっておうちでもできちゃう」山ちゃん「日本酒はやっぱり和食に合うから日本で飲むのがいいねぇ。カナダで飲むよりやっぱりいい!」ひいな「日本の風土で味わうのが一番おいしい?」山ちゃん「うん、そう思う!」ひいな「『神開』はさ、食事があって完成する感じしない?」山ちゃん「あります!」板わさの厚さにご不満の父・テツヤ(笑)。わさびをつけすぎて鼻にツーン!でもその刺激がたまらないんですよね。テツヤ「わさび漬けも合うな。そばにも絶対合うでしょう」ひいな「だし巻きも食べてみて」山ちゃん「ひいな、上手〜!すっごくおいしい!」テツヤ「こりゃ酒がすすむね〜」ひいな「おうち蕎麦屋最高だねぇ」山ちゃん「しあわせ〜」テツヤ「おうち蕎麦屋、楽しいね」ひいな「でしょう?おうち蕎麦屋やるならいいお酒をそろえて…」テツヤ「蕎麦前いろいろそろえて。あとはおいしいお蕎麦があれば完成じゃない?」山ちゃん「これはビールじゃないし、ワインじゃないよね」テツヤ「やっぱり日本酒でしょう!」ひいな「江戸時代は醤油が高級品だったから、蕎麦前に味噌が多いらしいよ」テツヤ「あぁ、焼き味噌とか蕎麦味噌とかね!」ひいな「最近一人暮らしをはじめて、ちょっとつまみたいけどつくる元気がない時はかまぼこを食べるんだけど」テツヤ「あぁいいね。立派な蕎麦前じゃん。でもさ、高級な蕎麦屋ってもう少し厚く切ってくれるんだけど…」ひいな「そうなの?厚めに切ったつもりだったんだけど(笑)」山ちゃん「もっと厚いんだ?これも十分厚いよ!」テツヤ「厚くてわさびがいっぱいついてくるの。今日は庶民的な感じで(笑)。カナダでかまぼこ売ってるの?」山ちゃん「売ってるけど。真っピンクのやつだよ」ひいな「私がいつも食べてる某スーパーの78円のかまぼこも真っピンクですよ(笑)」テツヤ&山ちゃん「安!」テツヤ「お酒に絶対合うし、ヘルシーだし、いいつまみだよ」いよいよ、お蕎麦が登場!日本酒との相性はいかに?のりをたっぷり、ネギもそえて。乾麺でも十分おいしい!伊藤家の定番の十割そばとそばつゆ。そばつゆはこの2つを1:1で割るのがおすすめとのこと!「山本かじの」の「北海道産100%国産 十割そば」、「にんべん」の「つゆの素ゴールド」、「上野藪蕎麦総本店」の「藪そばつゆ」。テツヤ「そろそろ、蕎麦食べながら飲みたいんですけど」ひいな「おまたせしました〜」一同「いただきます!」テツヤ「いやぁ、ほんと乾麺ってうまくなったよね」まずは山ちゃんからどうぞ〜!山ちゃん「おいしい〜!ほんとにおいし〜!」テツヤ「ちょっと固まってるから、日本酒かけちゃう?」ひいな「かけちゃおうか」テツヤ「どれかけちゃう?」ひいな「『多満自慢』にしようか。一番合いそう」ちょっと固まってしまったおそばに、たっぷりと日本酒を回しかけてほぐします。山ちゃん「わ、やっちゃった!」テツヤ「時間が経っちゃうと固まっちゃうからさ、こうやって日本酒かけるとほぐれるんだよ」山ちゃん「伊藤家では普通のことなんだね(笑)」テツヤ「おいしいよ」山ちゃん「乾麺って、こんなにおいしいんだ!」ひいな「お蕎麦に一番合うのって『多満自慢』かなってイメージだったんだけど『美酒の設計』もいいかも。やっぱり華やか系と合う!」テツヤ「なるほど。うん、すごくわかる」ひいな「そばの香りとお酒の香りが鼻から抜けて、さわやかなんだけど、豊かな感じがする」テツヤ「蕎麦屋に『雪の茅舎』が置いてあるのがわかる気がするね」山ちゃん「家で蕎麦屋楽しいね」テツヤ「最高だね。どう?日本感じた?」山ちゃん「感じました!伊藤家のホームステイでも」テツヤ「ちょっと太ったんでしょう?」山ちゃん「太りましたし、ウルルン滞在記みたいな。もう今から悲しくなってます」テツヤ「もう別れを感じて?」山ちゃん「そう。来年もお世話になろうかと」テツヤ「今度は、夫のブンちゃんも一緒に」山ちゃん「いいの?」ひいな「ぜひぜひ!外国の方に日本酒飲んでほしい!」蕎麦湯に日本酒!?日本酒の蕎麦湯割で、おうち蕎麦屋クライマックス!ひいな「あぁ、忘れるところだった!蕎麦湯持ってくるね!」テツヤ「蕎麦湯は薄いのより濃いほうが好きなんだよな」山ちゃん「茹でる時のお湯を少なくして、蕎麦湯を濃くすればいいんだよね?」テツヤ「でも、たっぷりのお湯で茹でるのがいいっていわれてるからね。でもさ、それだと蕎麦湯が薄くなっちゃうからさ」ひいな「あのね、やりたいことがあるんだけど。日本酒1:蕎麦湯3で割る飲み方があるらしくて」テツヤ「いいじゃない!やろう!」山ちゃん「どういうこと?日本酒で割ちゃうの?」ひいな「そう。そばつゆをお好みで足してください」テツヤ「焼酎の蕎麦湯割りみたいな感じだな」山ちゃん「焼酎の蕎麦割りってあるんですか?」テツヤ「あるある」山ちゃん「蕎麦屋で飲めるの?」テツヤ「蕎麦焼酎で割ったり」ひいな「日本酒で割ってもおいしいっていううわさを聞いたので」テツヤ「確かにうまいだろうね。その場合、この3種類どれがいいんだろうね」ひいな「どれがいいかな?」テツヤ「『多満自慢』かなぁ」ひいな「一番クセがないから合いそうだよね。焼酎のお湯割りみたいに蕎麦湯に日本酒を入れたほうがいいかな?」テツヤ「そのほうが良さそうだね!」ひいな「蕎麦湯どろっとしていていい感じ!」テツヤ「うん、いいね。どろっとしてる!」ひいな「鶏白湯みたい(笑)」テツヤ「俺は『多満自慢』にしてみた」山ちゃん「私は『神開』」ひいな「じゃ、私は『美酒の設計』にしてみようかな」テツヤ「そうだね、三者三様で」蕎麦湯に日本酒を加えて…。さてはてお味はいかに?熱々の蕎麦湯が甘酒みたいな甘みとおつゆのしょっぱさで絶妙なバランスに!テツヤ「いただきます!あれ?甘酒みたい(笑)!でもおいしい」山ちゃん「おいしい〜!」ひいな「おもしろい〜!甘酒だね」テツヤ「そばつゆも入れてみるか」ひいな「うんうん、入れよう」テツヤ「うわ、最高!おいしい!ぐびぐび飲んじゃうね。焼酎よりいいかも」ひいな「だし割りだね」テツヤ「そばつゆ入れて日本酒入れて蕎麦湯で割る。うまい!」山ちゃん「おもしろいね〜!」テツヤ「うまいね。ほんとにうまい。マジでうまい。酔っ払うかも(笑)」ひいな「最後にほっこり終われるね。おうち蕎麦屋大成功!」テツヤ「来年はブンちゃんも!」ひいな「伊藤家で待ってます〜!」山ちゃん「また来ます〜!」【ひいなのつぶやき】蕎麦前とお蕎麦のセットは、おうちにいながら簡単に外食気分を味わえるのでおすすめ日本酒を数種類用意するとより本格的に楽しめます!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Shu Yamamoto illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2022年05月08日Netflix『全裸監督』ワールドプレミアでの伊藤沙莉(’19年7月)若手実力派女優・伊藤沙莉(27)の熱愛が明らかになった。熱愛発覚の伊藤沙莉、ネットも祝福ムードのワケ相手は、脚本家の蓬莱竜太(46)。食事デートから愛の巣に帰るところを写真誌に直撃されると、「えーまじで、まじで。こういう感じなんですね(爆笑)。びっくりしたー!」彼女は気さくに対応。報道された翌日には、自身のツイッターで、「彼から猛アプローチっていうのはwwwお互いにってやつですよ(略)#18歳差」と、報告した。なお「#18歳差」というのは、20歳差と報じられたのを訂正したものだ。そこに兄の芸人・伊藤俊介(オズワルド)も便乗。「M-1も妹もおじさんに獲られました。(略)#俺とは13歳差」とツイートして、笑いをとった。注目すべきは世間の反応で、とにかく祝福ムード一色。そこから見えてくるのは、彼女が今、めったにないほどのおいしいポジションにいるということだ。というのも、彼女はいわゆる「美人女優」という枠で勝負していない。メインを張れるほどの顔ではないことが子役時代からコンプレックスだったとして、「容姿だけで、視界に入れてもらえなかったこともあって、それが嫌だった」と、告白している。しかし「美人女優」枠から早期に降りたことにより、彼女は演技で勝負している実力派という評価を獲得。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、とはこのことだ。そして、もうひとつのコンプレックスというのが低音のハスキーボイスだ。これもまた、ナレーションや声優の仕事などでも武器になっているほか、特に同性からの好感度につながっている。なぜなら、女性が女性の性格を想像する際、声やしゃべり方によって判断するところが大だからだ。甘えた高音で舌足らずに話す女性が、女性に好まれる「サバサバ」タイプに認定されることはまずない。伊藤本人は自らを「粘着質」だと分析。共演経験のある千葉雄大から「付き合っていた彼氏全員に、明日、私が死んでも後悔しないくらい私を愛してと伝えていた」というエピソードも暴露されている。そんなところもほどよくカムフラージュされるのである。では、実際、彼女はどういう人なのか。興味深いのは、今年2月『あさイチ』(NHK総合)でしていた発言だ。伊藤沙莉は“不思議ちゃん”占い師に「あなたは人間じゃない、妖精なんです」と言われたと告白。サンタクロースの手伝いをする種族だそうで「どうりでクリスマスも好きだし」と納得したという。子役時代にも共演した高岡早紀から「沙莉って妖精みたいだよね」とも言われたそうで「私、妖精ってカミングアウトしてないのに」と続け、MCたちのビミョーな反応に「不思議ちゃんになりたいわけじゃないんですけど」と付け加えた。いや、それって十分に不思議ちゃんだろう、と思わずツッコんでしまったが──。そんなところが熱愛の相手である、18歳上のおじさん業界人にはたまらない魅力なのだと思われる。しかも、不思議ちゃんは女優として売れ続けるために有利なキャラ。古くは大竹しのぶ、最近だと綾瀬はるか、吉高由里子などがこのタイプだ。思えば、熱愛の相手がイケメンの人気俳優とかではないのもよかった。まさに、嫌われない要素の集合体である。こうしてみると、伊藤ほど「持ってる」女優もなかなかいないのではないか。これほどおいしいポジションにいることを、世間に気づかせないところも含めて。PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)
2022年04月27日伊藤沙莉《私はお2人が友人なのは知っています。そして何より蓬莱竜太さんを知っています。信じているというのではなく、知っています。知った上であえて言えることは大丈夫です。ってことくらいです。》4月20日、自身のツイッターを更新した伊藤沙莉(さいり)。近年、演技派女優としてメキメキと頭角を表した彼女が何を釈明したのかというとーー。「18歳年上の脚本家・蓬莱(ほうらい)竜太さんとの熱愛を『フライデー』にキャッチされたことが発端です。同誌の直撃取材にも気さくに応じる2人の姿に、歳の差を感じさせない、お似合いの“実力派カップル”と祝福されていたのですが……」(スポーツ紙・芸能デスク)記事が配信された翌日の4月12日には、《温かく見守っていただけると幸いです》とツイッターで交際宣言。もとより好感度の高い彼女ではあるが、この熱愛スクープでますます“株を上げた”ように見えた。自宅お泊まりも浮気は「ない」すると今度は『文春オンライン』が、4月20日に【伊藤沙莉の18歳上恋人劇作家・蓬莱竜太氏が朝ドラ女優と“二股愛”】との記事を配信。『フライデー』報道の前日に、蓬莱氏が伊藤とは違う女性宅で一夜を過ごしたという内容で、この報道を受けて、伊藤は冒頭の“釈明ツイート”をするハメになったというわけだ。“二股”疑惑の相手とされたのが、伊藤と同い年の鈴木たまよ。宮崎あおいや多部未華子、松岡茉優らが顔を揃える俳優事務所に所属する女優で、主演作はなくともNHKの朝ドラ『わろてんか』をはじめ多くのドラマにも出演。4月20日放送の『悪女』(日本テレビ系)第2話にも登場した有望株と言えよう。前出の芸能デスクが、蓬莱氏と鈴木の“浮気”デートの一部始終を解説する。「文春報道によると、2人は韓国料理店で待ち合わせ。当初こそ鈴木さんに演技指導をしていたものの、お酒が進んで“オトナトーク”で盛り上がると、そのまま蓬莱さんは彼女の自宅マンションに入っていった、とあります。記事をそのまま受け取れば、“オトナの関係”にあることは容易に想像できます。一方で、“関係者の話”として他にも関係する女性がいた、との記述もあります」同誌の取材に対し、“彼女は長年にわたる友人で、この日の出来事を全て伊藤も承知している”などとして、「(男女関係は)ない」と明言した蓬莱氏。そして合わせるように《お2人が友人なのは知っています》と、“二股”疑惑を否定する伊藤だった。浮気ではない、人として大事にしたとはいえ、事の詳細を伝えている4月21日発売の『週刊文春』にて、気になったのが「同時に複数女性と交際の過去」を問われた際の彼の答えだ。《……浮気とかではなく、人として大事にしてきた。長い人生なので、(浮気が)なかったといえば嘘になる》芸能人の釈明会見に立ち会ってきた、ベテラン女性芸能リポーターは「いかにもな弁明ですね」と疑いの目を向ける。「さすがは脚本家といいますか、ドラマやお芝居で使われそうな台詞ですが、浮気とは言わずに“人として大事にしてきた”と言い退けてしまうところが、浮気男の詭弁にも聞こえて(苦笑)。離婚歴があるという蓬莱さんですが、失礼ながら原因は浮気なのでは?と勘繰ってしまいますよ。感性が鋭い女優さんほど、容姿や年齢に関係なく才能溢れる男性に惚れやすいとも言います。蓬莱さんはイケメンですが(笑)。沙莉ちゃんもその1人なのでしょうが、先々に不安を感じてしまうのは余計なお世話ですね」伊藤と鈴木の2人。面識はないようだが偶然にも共通点がある。2020年11月公開の映画『タイトル、拒絶』で主演した伊藤に対して、翌2021年2月に公演された舞台版『タイトル、拒絶』に出演していた鈴木。女優から“拒絶”されないことを願うばかりだ。
2022年04月21日女優の伊藤沙莉が20日、ツイッターを更新。交際中の脚本家・蓬莱竜太氏が年下女優の自宅で一夜を共にしたとする“二股愛”が文春オンラインで報じられたことに言及した。伊藤は「発言が難しいんですが」と切り出し、「記事にも書いてあります通り私はお2人が友人なのは知っています。そして何より蓬莱竜太さんを知っています」と説明。「信じているというのではなく、知っています」と続け、「知った上であえて言えることは大丈夫です。ってことくらいです」と心情を伝えた。さらに「可哀想でも被害者でもなんでもないです」と訴え、「軽率だったということは本人にも伝えましたしむしろお相手の方やその事務所の方々含め本当に先週の報道からの飛び火というか、ご迷惑をおかけしてしまっていると思います」と周辺への影響に胸を痛める伊藤。「前回同様、重なってしまいますが本当に。温かく、見守ってください」と呼びかけ、「伊藤は至って元気です」と結んでいる。伊藤と蓬莱氏の交際は11日の『FRIDAYデジタル』で報じられ、伊藤は翌日に「ひとまず、温かく見守っていただけると幸いです」とツイート。祝福の声が続々と寄せられる中、兄のオズワルド・伊藤俊介がツイッターで「#俺とは13歳差」「M-1も妹もおじさんに獲られました。一旦辞めさせて頂きます」と反応したことも話題になっていた。
2022年04月21日モーニング娘。の元メンバーでタレントの後藤真希の弟で、元EE JUMPでタレントの後藤祐樹の妻・千鶴さんが12日に自身のアメブロを更新。後藤と晩酌中の2ショットを公開した。この日、千鶴さんは「夜はまったりとテレビ時間です」と切り出し、「ワンコ達はご飯も食べてお風呂も入って、お散歩も終わってみんな良く頑張りました」と愛犬達についてコメント。「祐君とまったり遅めの晩ごはんとしまーす」と報告し「昨日祐君が買ってきてくれたチーズ達でワインを頂きまーす」とメニューを明かした。その後、更新したブログでは「チーズ&ワインでーす」と用意したワインやチーズなどの写真を公開し「トリュフチーズゴーダチーズシェーブルトリュフチーズでーす」と説明。最後に、後藤との2ショットとともに「皆様良い夜を!」と呼びかけ、ブログを締めくくった。
2022年04月13日4月11日、「FRIDAYデジタル」で熱愛が報じられた伊藤沙莉(27)。記事によると、お相手は脚本家の蓬莱竜太氏(46)。’21年6月に蓬莱氏が手がけた舞台『首切り王子と愚かな女』では、ヒロインを演じた沙莉。そのことをきっかけに急接近し、交際に発展したという。報道を受けて沙莉は12日にTwitterを更新し、《彼から猛アプローチっていうのはwwwお互いにってやつですよひとまず、温かく見守っていただけると幸いです》とツイート。交際を認めた一方で、蓬莱氏との年齢差をハッシュタグで《#18歳差》と記したのだった。そんな年上の恋人ができた沙莉に祝福が広がるなか、悲嘆に暮れる人物が。それは沙莉の兄で、お笑いコンビ・オズワルドの伊藤俊介(32)。伊藤は沙莉のツイートを引用し、《M-1も妹もおじさんに獲られました。一旦辞めさせて頂きます》とツイート。昨年出場し、惜しくも決勝戦で錦鯉に優勝を奪われた『M-1グランプリ』にかけて嘆いたのだ。さらに沙莉のツイートを真似るように、《#俺とは13歳差》とハッシュタグを添えている。仲睦まじげな兄妹愛を感じさせる2人のやりとりに、Twitter上では反響が相次いだ。《やはりこの兄妹、どっちもセンスハンパじゃない》《さいりちゃんの熱愛嬉しいし兄ちゃんのツイート好きwww》《それぞれ応援してます!》■「妹の“女の顔”を見たくない」3年連続で『M-1』決勝進出を果たし、バラエティ番組にも引っ張りだこの伊藤。そして沙莉も今年1月期に放送された『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)で刑事役を好演し、人気俳優として頭角を現している。そんな芸能界で活躍する2人だが、兄妹であることを数年前までは公表していなかった。「公表したのは4年ほど前です。自分よりも10年近くキャリアがある沙莉さんに、伊藤さんがプレッシャーを感じていたのだとか。ですが、ハマカーンの神田伸一郎さん(45)から『君が面白かったら問題ない』と言われ、伊藤さんは沙莉さんと兄妹であることを明るみにしたのです」(芸能関係者)一時は兄妹で一緒に暮らしていた時期もあり、沙莉は’20年4月に本誌のインタビューでこう語っていた。「ボロボロの家に住んでいたお兄ちゃんがほっとけなくて……1人暮らしをするタイミングで同居することにしたんです。同じ業界にいるので話も合いますし」一方で兄妹であることを公表して以降、伊藤は兄としての“複雑な気持ち”もたびたび吐露してきた。今年2月19日に放送された『まつもtoなかい~マッチングな夜~』(フジテレビ系)では、“最初で最後”として兄妹共演を果たしたことも記憶に新しい。沙莉との対談のなかで、「兄妹というより、父と娘のような関係」と語っていた伊藤。番組内では、今後、沙莉が芸人とラブシーンを演じる可能性について聞かれると「マジで勘弁してほしい」とバッサリ。松本人志(58)から「芸人と結婚するってなったらどうするの?」と問われると、「考えられないですね!芸人なんてカスばっかりだから!!」と嫌悪感を露わにしていた。ひとたび、妹の恋愛事情に触れると厳しくなる伊藤。それには理由があるという。「伊藤さんがこれまで交際してきた女性は、ほとんど沙莉さんに会わせてきたと話していました。ところが、沙莉さんの恋愛事情は知ろうとしてこなかったようです。別のトーク番組では、『妹の“女の顔”を見たくない』と語っていました。大切な妹だからこそ、“悪い人に引っかかって欲しくない”といった気持ちがあるのでしょう」(テレビ局関係者)公然の事実となった沙莉の熱愛。果たして伊藤が、蓬莱氏を紹介される日はやってくるだろうか。
2022年04月12日女優の伊藤沙莉(27)が12日、ツイッターを通じ、自身の熱愛報道を受けて「温かく見守っていただけると幸いです」とつづった。前日のFRIDAYデジタルで、脚本家・蓬莱竜太(46)との熱愛が報じられた伊藤。記事では知人の証言として「蓬莱さんが猛アプローチをかけ」とあったが、「彼から猛アプローチっていうのはwww」と笑い飛ばして「お互いにってやつですよ」と訂正し、「#18歳差」のハッシュタグを添えて「ひとまず、温かく見守っていただけると幸いです」と呼びかけた。多くの祝福の声が寄せられる中、兄のオズワルド・伊藤俊介もこのツイートに反応。「#俺とは13歳差」「M-1も妹もおじさんに獲られました。一旦辞めさせて頂きます」と胸の内を明かしている。
2022年04月12日20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第三十一夜は、飲みやすいと評判の低アルコールな日本酒を3本ご紹介。日本酒をもっと気軽に!飲みやすさが段違いの低アルコールな日本酒3本(左から)「五橋 ride?桃色にごり 純米大吟醸」「飛良泉 飛囀 雛 山廃 純米吟醸」「御前酒 菩提酛 うすにごり生原酒 ukigumo」山口県岩国市にある酒井酒造の代表銘柄「五橋」の赤色酵母を使うことで甘酸っぱい発泡感で春のお酒にぴったり。アルコール度数はたったの11度!「五橋 ride?純米大吟醸桃色にごり」720ml 1,650円(ひいな購入時価格)/酒井酒造株式会社秋田県にかほ市にある飛良泉本舗。代表銘柄の「HITTEN(ひてん)シリーズ」の低アルコールタイプはピンクの文字が目印。度数は13度。「飛良泉 飛囀 -雛(HINA)-ライトタイプ 山廃 純米吟醸」720ml 1,760円(ひいな購入時価格)/株式会社飛良泉本舗岡山県真庭市にある御前酒蔵元がなんとセレクトショップ「BEAMS “TEAM JAPAN”」とコラボして生まれたお酒。岡山県産の雄町を使い、昔ながらの手法「菩提酛(ぼだいもと)」で仕込んだクラシックな1本。度数は13度。「御前酒 菩提酛 うすにごり生原酒 ukigumo」720ml 1,870円(ひいな購入時価格)/御前酒蔵元 株式会社辻本店娘・ひいな(以下、ひいな)「すっかり春だねぇ」父・徹也(以下、テツヤ)「今年も春が来たねぇ」ひいな「今回は、春にぴったりな低アルコール特集です!3月に紹介した復刻米のお酒『産土(うぶすな)』がアルコール度数13度だったんだけど」テツヤ「うんうん、すごく飲みやすくておいしかったよね」ひいな「そこで今回は、低アルコールな日本酒に着目してみました!」テツヤ「低アルコールの日本酒ってほかにもあるんだね。いいね!」ひいな「春だし、ぐいぐいっと飲んでほしいなと」テツヤ「春だと飲みたくなるもんね!」ひいな「なんかラベルも春っぽいでしょ?」テツヤ「うすにごり!」ひいな「そう!『ukigumo』はこだわりにこだわり抜いた日本酒なんだけど、そんなことを感じさせないクールな感じでしょ?3月に紹介したお酒はどれも達筆な筆文字が多かったけど、今回は横文字だったり、割とカジュアルめでライトだよね。春っぽいイメージにぴったり」テツヤ「いいねいいね。しかも低アルコール!」ひいな「こういうお酒がいまきてるという感じがあるんだよね」テツヤ「だってさ、やっぱり低アルコールのほうが飲みやすいもん」ひいな「アルコール度数が高いと、ちょっととっつきにくいなっていうイメージってやっぱりあるよね」テツヤ「低アルのほうが、お酒飲まない人たちにも、とっつきやすいかな。導入の日本酒としてももってこいな感じ?」ひいな「そうだよね。女子会しようか!となってお酒を持ち寄った時、日本酒持っていくとなるとちょっと考えちゃう。どういうのがいいかなって」テツヤ「そうだねぇ」ひいな「今回紹介する日本酒は、女子会でも持って行きやすいと思います!」テツヤ「いいね、いいね」ひいな「ワインみたいに軽く飲みたいっていうイメージで、日本酒でも低アルコールを求めてる方が多いので、最近増えてきた気がする」テツヤ「ワインって、度数どれくらいだっけ?12〜13度くらい?」ひいな「そうだね。だいたい、13度より低いくらいじゃないかな」テツヤ「もっとライトな日本酒あるといいなぁ」ひいな「今日ご用意した3本は、11度、13度、13度です」テツヤ「おぉ!味、想像つかないから楽しみ!」ひいな「左から山口、秋田、岡山です!楽しみにしててね」開栓要注意!発泡ありの甘酸っぱいお酒で、低アル春酒の定番に確定!ひいな「では『五橋(ごきょう)』から行こうかな。山口では『獺祭』よりももともと知名度があったお酒なんだよ」テツヤ「へぇ、同じ山口だもんな。このラベルはなんだ?バイクかな?」ひいな「『ride』っていうシリーズだからバイクなのかな。『五橋』の中でも5種類ブランドがあってね、ラベルも5種類違って。そのなかの『ride』シリーズをご用意しました!まずは飲んでみようか」テツヤ「それにしてもすごいピンクだね。味が想像できない」ひいな「『五橋 ride?純米大吟醸 桃色にごり』です」テツヤ「まさに桃色にごり!」ひいな「この間、『五橋』のYouTubeを見たの。発泡のお酒だから開け方をスタッフの方が紹介してて。でもね、軽く振ってから開けててびっくりしたの」テツヤ「マジで?吹いちゃわないのかな?“開栓ご注意”ってタグがついてるけど(笑)」ひいな「よし、やってみようか。にごり酒って上澄みだけで楽しむ場合と、全部混ぜて楽しむ場合があるんだけど、どっちがいい?」テツヤ「最初はやっぱり上澄みじゃない?」ひいな「よし、混ぜないでやってみようか。みなさんも開栓する時はしっかり冷やしてくださいね!そしたら吹かないはずなので!」テツヤ「冷やしておくこと、大事!」蓋を少しずつ開けてみると、なぜか勝手に混ざり始めるお酒。テツヤ「わわわ、閉めたほうがいい閉めたほうがいい」ひいな「いちごみるくみたいできれい〜」テツヤ「おいしそうだね(笑)。勝手にまざちゃったね(笑)。色がかわいいね。結果、吹かずに勝手に混ざってくれてよかったんじゃない?」ひいな「そうだね。おいしそう!みなさん、開栓する時ゆっくりガスを抜きながら開けてくださいね!私は飲食店で働いていた時、日本酒が吹き出して、お客様の頭にかぶせてしまったことがあるんだけど…」テツヤ「え〜〜〜〜!マジで?」ひいな「開栓注意とかも一切書いてなくて、普通に開けたたらボンって栓が飛んでってきれいにお酒が飛び出してお客様のつむじに…」テツヤ「放物線を描いたわけだ(笑)」ひいな「そのお客様はまたお店に来てださって。その節はたいへん失礼しました!」テツヤ「飲食店ではそういうこともあるんだな(笑)。要注意だな」ひいな「はい、気をつけます!」テツヤ「開けたてのシュワシュワとした発泡感がおいしいんだよな。このピンク色なのは酵母?」ひいな「そう、赤色酵母を使ってるから。山形の『ピンクのかっぱ』もそうだったよ」テツヤ「ますますどんな酒なのか気になる。うわ、シュワシュワだね。これは春の花見にぴったりじゃない?」完全に混ざり合い、いちごみるくのような日本酒に。乾杯!かわいい飲み物に見えますけど、日本酒です。いただきます〜!テツヤ&ひいな「乾杯〜」テツヤ「もうこりゃ花見だね。桜が目に浮かぶよ。ゴクゴクいっちゃうね」ひいな「ゴクゴクゴクゴク」テツヤ「もう飲み干したくなるくらいうまい。おいしい。日本酒って言われないと、なんだかよくわからないかもね」ひいな「そうそう。スパークリングワインでもないし…。スパークリングワインを使ったカクテルとかでこういうのありそうじゃない?」テツヤ「あぁ、そうかもね」ひいな「お米っていわれないとわからなくない?」テツヤ「お米の後味は感じるんだけどね」ひいな「あれ?いま気づいたんだけど、もしかしてハチマキうっすらピンクじゃない?」テツヤ「あ、バレた?」ひいな「やっぱり!薄ピンクだよね?『五橋』にぴったり!すごいマッチング!」テツヤ「そうそう。このお酒に合わせようと思ってさ」ひいな「わかりやすくおいしいでしょう?難しい知識とかなしに、素直に『おいしい!』って思ってもらえると思うな」テツヤ「いちごとかさ、甘酸っぱいのが好きな人にはたまらないでしょう?」ひいな「そうそう。甘すぎることなく、でもさわやかで飲みやすくて、さらっとしてて低アルコール。お米はしっかり50%まで削ってるから純米大吟醸。日本酒度はプラスは辛口、マイナスは甘口で表すでしょう?」テツヤ「これはいくつなの?」ひいな「いくつだと思う?」テツヤ「相当甘そうだけど?でもさ、ただの甘さじゃないもんな」ひいな「日本酒度が+15とかだと超辛口、辛口のお酒で+4とか8くらいかな。これはもちろんマイナスなんだけど…」テツヤ「ただ甘いっていうのとも違うよね。シュワシュワしてるのもあってさ」ひいな「ガス感は確かに味の感じ方に影響してるかもね」テツヤ「意外と低めなんじゃない?−4くらい?」ひいな「−50です!」テツヤ「え〜!!そんなに甘いんだ。でも、ぜんぜんいやな甘さじゃないよな」ひいな「酸度は2.0くらいが普通なんだけど、これは酸度が5.0なのね。酸度が高いから後味が丸まってるし、甘さとのバランスがいいんじゃないかな」テツヤ「なるほど」ひいな「すっきりと切れる感じ」テツヤ「たしかに切れるね。さっぱっりね」ひいな「そうそう。後に引かないから、意外と食前酒で飲んでも、次の料理を選ばないかもしれない」テツヤ「世のお父さんたちってさ、だいたいが辛口の酒が好きでさ。甘口は飲まない!なんて言っちゃう人は出会えない酒だよね。もったいないね」ひいな「飲まず嫌いってやつだよね。辛口好きなお父さんにも目をつぶって飲んでみてって言って飲んでもらったら、こういう日本酒もあるんだなっていうのを知ってもらえるのにな」テツヤ「確かに。見た目のピンクできっと選ばないというのもある(笑)」ひいな「そうなの。このピンクの見た目のままだと、これ日本酒だよって言っても、口つけてくれない可能性もあるかもしれない」テツヤ「日本酒のイメージとかけ離れすぎてるからな」ひいな「日本酒飲もう!っていう時には選ばないかもしれないね。フランクにみんなで日本酒とか飲んでみる?って言って楽しめる、敷居が高くない日本酒かな」テツヤ「そうそう。その気軽さを目指してるわけだもんな」ひいな「それでいて、低アルっていうね」テツヤ「実際、この低アルで十分な気がするな。色のイメージもあってピンク=甘いみたいな。ロゼ=甘口みたいなのが若干あるけども」ひいな「飲みやすいから減りも早いよね(笑)」テツヤ「一口でゴクゴクいけちゃうもんな」ひいな「友だちの家でパーティするならぜひ持っていきたい!」テツヤ「食前酒とか食後酒にもいいと思う」ひいな「いちごに合わせたり」テツヤ「フルーツも合うし、スイーツにも合いそう!」ひいな「いいね。いいね。こういうライトな日本酒から始めるのもいいと思うんだよね」テツヤ「そうだね。まずは飲みやすくて、おいしい低アルから」ひいな「ピンクじゃなかったらね、もっとほかの印象だったかもしれないんだけど」テツヤ「思ったよりさらっとした甘さで、おいしいお酒なんだけどね。イメージが固定されちゃうのかもしれない。日本酒度−50っていうからすごく甘口なのかなと思うけど、低アルだからすっきり飲めるっていう、バランスのよさもいい!」ひいな「軽めに飲めるのがいいよね」テツヤ「日本酒業界の方へ。11〜13度くらいのアルコール度数でいいんじゃないんでしょうか?そのほうが飲めるし、売れる気がするけどなぁ」ひいな「私もそう思う!」テツヤ「この『五橋』は見た目と味のギャップがすごかったな。勝手にすいません、舐めてました。めちゃくちゃおいしかったです」ひいな「素直でよろしい(笑)」日本酒らしさが感じられる定番の1本。数日置いて味の変化を楽しんで。ひいな「次のお酒に行こう!次は日本酒度−2.0、酸度2.0なので平均的なお酒ではあるんだけど『飛良泉』は第55回で『まる飛』っていうお酒を紹介したんだけど、今回は『飛良泉』から違うお酒を紹介したいなと思いまして」テツヤ「ひてん!」ひいな「ひな!山廃純米吟醸原酒」テツヤ「え、それで度数13度なの?名前だけ聞くとなんか濃そうなイメージだけど」ひいな「13度で原酒っていうのが気になるポイントだよね。雛のほかにも鸙(ひばり)鵆(ちどり)、鵠(はくちょう)っていう鳥の名前をつけているシリーズなんだけど、まずは飲んでみようか」美しい水のようななめらかさ!2本目、いただきます!テツヤ「きれいなクリアな色だね!」テツヤ&ひいな「乾杯!」ひいな「あぁ、私の好みのお酒です」テツヤ「あぁ、これはいい酒ですね」ひいな「そうなんです!いい酒なんです!」テツヤ「どんな飯にも合うんじゃない?」ひいな「これを飲んでる時、おでんを食べてたんだけど、出汁とも合う純米吟醸としていいなと思って」テツヤ「え、でも逆に、合わないものってあるの?」ひいな「なんだろうね」テツヤ「う〜ん、これさえあれば何にでも合う気がするけど。どうなの?」ひいな「むしろペアリングが難しいかもしれない。これに一番に合う料理を選ぶのが」テツヤ「なるほどね。何にでも合うだけに一番が見つからないと」ひいな「低アルでちゃんとおいしいって優秀なお酒だよね」テツヤ「温度帯で変化しそう」ひいな「冷酒でもおいしいけど、ちょっとぬるくしてもおいしそうだね」テツヤ「燗酒もいいと思うな」ひいな「お出汁系とも合うから」テツヤ「今日飲んだなかで一番、日本酒ぽい感じがするな。いい意味で。苦味もあるし。これが13度なら人に勧めやすいしいいな。ちょうどいいというか。さっきのはピンクだし、ちょっと奇を衒(てら)ってるというか…」ひいな「うんうん、わかるよ。万人受けするのはこっちだと思う」テツヤ「優秀というか、純粋に誰もがいいなって思うやつだよ、これは。バランスが抜群だね」ひいな「創業1487年創業の『飛来泉』なんだけど、この『HITEN(ひてん)』シリーズは、27代目の蔵元が新しい味わいとか次世代へ届けたいお酒を目指して生まれたんだって。低アルコールにしたのは、飲み疲れせずに軽くてスムースな飲み口にしたかったから」テツヤ「まさにテーマ通りだね。このくらいにしたら、日本酒もっと売れるぜ」ひいな「いいよね」テツヤ「めっちゃ気に入りました。今日イチかもしれない」ひいな「そうなんだ!うれしい!わかるよ」ひいな「蔵元さんが言ってたんだけどね。たとえばアイスクリームだって冷凍庫から出した途端よりも、ちょっと常温にして溶かした方がおいしいじゃない?」テツヤ「うんうん」ひいな「その要領で1〜3日開栓して冷蔵庫に保存してすると味わいがまろやかにおいしくなりますよっていうのをウェブサイトで言ってるくらいなの」テツヤ「へぇ、そっりゃ楽しみだね。明日明後日か」ひいな「おいしくしよう」テツヤ「残しておかなきゃ」ひいな「変化を楽しみながらちょっとずつ飲めるの最高!」こだわりの米、こだわりの製法で誕生。〈BEAMS〉との話題のコラボ日本酒!ひいな「最後は岡山の『御前酒』をご紹介します!今度は13度。ラベルだけ見てみて。これ、どっかのブランドとコラボしてます。どこでしょう?」テツヤ「え〜?食?ファッション?」ひいな「ファッションっていうか、セレクトショップっていうか…」テツヤ「え〜どこだろう?」ひいな「最近だと『仙禽』と〈UNITED ARROWS〉がコラボして雪だるまにアロウズのショップの袋をぶら下げててたりして」テツヤ「わかった、じゃ〈BEAMS〉だ!」ひいな「え、え、正解!すごいね、一発で当てたね」」テツヤ「わはは(笑)」ひいな「〈BEAMS〉だと、岡山の蔵元の辻本店さんがコラボしてできたお酒です」テツヤ「あれ?このタグ、〈BEAMS〉カラーじゃない?」ひいな「あ、ほんとだ!気づかなかった」テツヤ「このオレンジといえば〈BEAMS〉だもんな」ひいな「〈BEAMS〉が全国から集めた日本の名品を発信するっていう『チームジャパンプロジェクト』から生まれたお酒なの」テツヤ「へぇ、おもしろいね。日本酒に目をつけたんだ」ひいな「『御前酒 ukigumi 菩提酛 純米うすにごり生原酒』テツヤ「すごいな(笑)」ひいな「名前が強すぎて(笑)」テツヤ「菩提酛で、うすにごりで、生原酒」ひいな「強い総集編でもう最終回なのかな?っていうくらいラスボス感(笑)」テツヤ「そうだね(笑)」ひいな「菩提酛といえば、第56回の『風の森』の番外編をやった時に紹介してて」テツヤ「あったね」ひいな「まず飲んでみようか」光にかざしてた澱が、ボトルのなかでゆらゆらとたゆたう様子が美しかった。うすにごりは春のお酒のイメージですよね。テツヤ「すごく澱があって。くらげみたいに漂ってるね」ひいな「すごいでしょう?きめ細かいうすにごりはよくあるけど、こんなにも目に見えるうすにごりってなかなかないかも」テツヤ「フレッシュ感あるのかな?」(パコーン!!!開けようとしたらフタが吹っ飛びました!)テツヤ「すごい勢いで飛んでったね(笑)」ひいな「びっくりした〜」テツヤ「ガスがあったんだね」テツヤ&ひいな「気持ちを落ち着かせて(笑)。いただきます!」テツヤ「うわ〜!うんまい。これも13度?」ひいな「うん」テツヤ「やっぱりこくらいがいいね。おいしい。飲みやすい」ひいな「お米を噛んだみたいな甘みだよね」テツヤ「うん、米だね。あぁ、ちょうどいいな。昼飲みにこれくらいの感じ最高だな」ひいな「ね。低アルって言ってるけど13度あるんだけどね(笑)」テツヤ「13度の日本酒ってそんなに多くないの?」ひいな「うん、そんなに多くないかな」テツヤ「これからも増えてほしいなぁ」ひいな「私がお店に立ってたら、低アルコールをストックしておいて、ビール飲んだあとに何を飲もうかな?ってお客さんに、いきなり16度とかの日本酒はあれだから、飲みやすい日本酒があるんですけどっておすすめしやすいかなって思う」テツヤ「いいね、いいね。そういう選択増えてほしいな。日本酒としてのおいしさもちゃんとありつつ、ライトで酸味も旨みもあって」ひいな「これは特に米感もしっかりあるしね。雄町を使ってる」テツヤ「へぇ。そうなんだ」ひいな「地元のお米だからね。あと菩提酛っていう製法が何よりの特徴なんだけどね。奈良の正暦寺発祥で室町時代に生まれた製法で、大正時代には一回なくなっちゃって、ほぼ使われなくなったんだけど、昭和の末期に…」テツヤ「え、ちょっと待って。昭和の末期って言い方するの(笑)?ついこないだなんだけど(笑)」ひいな「歴史上だとそうなるらしい(笑)」テツヤ「バブルの頃ね(笑)」ひいな「昭和の末期に(笑)、菩提酛が2つの地域で復活したんだって。ひとつは奈良、もうひとつが岡山で、造り方に微妙に違いがあって。奈良式よりも岡山式のほうが手が込んでるというか、時間がかかる菩提酛ではあって。岡山は『御前酒』の前の杜氏をやっていた原田さんって方が岡山式の菩提酛を確立したんだって」テツヤ「へぇ!」ひいな「菩提酛で、しかもうすにごりって珍しくて。昭和61年の時点で菩提酛のにごり酒として『御前酒』を原田さんが商品化してるの」テツヤ「そんな前から造ってたんだ!」ひいな「そう。それを今回アレンジして〈BEAMS〉とコラボしたの。飲み味を少しライトにしたのかな?」テツヤ「そういう背景も含めて〈BEAMS〉っぽいよね。めちゃこだわりの1本なんだね」軽めの飲み心地で、低アルコールが日本酒のイメージを変える切り札に?ひいな「低アルコールの作り方っていくつかあって…」テツヤ「加水する!」ひいな「正解。詳しくなってきてるね(笑)」テツヤ「あとは…発酵時間を短くするとか?」ひいな「うんうん。あっという間に正解出ちゃった!」テツヤ「あとは…」ひいな「その2つだけだよ(笑)」テツヤ「あぁ、全部当てちゃったんだね(笑)」ひいな「大まかには2つあって、加水してアルコール度数を下げるのと、途中でアルコールの発酵を止めるパターン。あとは、赤色酵母自体が度数が上がらない酵母でもあるから、『ピンクのかっぱ』アルコール度数10度で低めだったしね」テツヤ「日本酒のアルコール度数が今の時代には少し高いのかもしれないね」ひいな「15度とか16度とかってさぁ飲むぞ!って意気込む感じあるじゃない?」テツヤ「あるある。今日飲むぞ!明日何もないから飲むぞ!みたいなね。日本酒ってさ、ブームにはなってるけど、実際には広がっているかといえばそこまでではないと思ってて」ひいな「一部では広がってるんだけど」テツヤ「低アルコールっていうところにヒントがあるんじゃないかなって今日飲んでみて思ったな。13%がひとつの基準になりそう」ひいな「うんうん」テツヤ「だってこんなにたくさん飲んでも疲れないもん(ライター注:撮影日には6〜9本ほど飲むことが多く、この日は6本目の収録中でした)。日本酒ってやっぱりだんだんと疲れてくるっていうかさ。おいしいし、大好きなんだよ?でもやっぱり何本も飲んでると疲れちゃうんだよな」ひいな「量を飲むか飲まないかは関係なくね」テツヤ「そう。量じゃなくてね、疲れちゃう感じがあるんだよね」ひいな「たしかにあるよね」テツヤ「よくさ、何人かで飲んでてワインだと5本開けちゃった!っていうことは聞くけど、四合瓶5本開けちゃった!ってあんまり聞かないもんねぇ。量が飲めないのもあるよね」ひいな「家で飲み比べできたら楽しいよね。何本か飲みたいもんね」テツヤ「もうちょっと気軽さ、カジュアルさがある、低アルって大事な気がするな。ワイン好きな人にも飲んでもらいやすいし。低アルのもっと種類が増えるといいね」ひいな「低アルがもっと増えて、日本酒を飲むきっかけが増えたらうれしいな。日本酒飲む人って、次の日を気にしがちなんだけど」テツヤ「そう、気合というか構えがいるんだよな。でもだいたい次の日ってなんかあるんだよ、みんな(笑)。だから低アルが定番になったら、ほかのものが高アルって言われる時代もくるんじゃない?」ひいな「そうかもね!」テツヤ「この企画、定番化してほしいな!ほかの低アルも飲んでみたい!」ひいな「ほかにもまだまだあるのでご紹介します!」テツヤ「ぜひ教えてよ」ひいな「夏にはロック用に19度のお酒を出すところもあれば、低アルを出してくるところと二極化するから、夏も楽しみにしててね」【ひいなのつぶやき】酒屋さんで買うものを迷った時に、難しい製法やお米の品種ではなく、シンプルに度数で選ぶのもおすすめです!気軽に日本酒を楽しめる時代がやってきました!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Shu Yamamoto illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2022年04月03日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第三十夜は、かつて使われていた米を復刻して造られたという限定酒を3本ご紹介。日本酒は米で選ぶ!?知る人ぞ知る、幻の復刻米を使った限定酒3本(左から)「鳳凰美田 純米吟醸 亀の尾」「美田 山廃純米 古醸 2018」「産土 2021 穂増」栃木県小山市美田地区にある小林酒造。マスカットのようなさわやかな飲み口で華やかな香り。復刻米「亀の尾」を使用。「鳳凰美田 純米吟醸 亀の尾」720ml 2,200円(ひいな購入時価格)/小林酒造株式会社福岡県三井郡にある蔵元「三井の寿(みいのことぶき)」の「美田」は、福岡県糸島産の復刻米「穀良都(こくりょうみやこ)」を使用。「美田 山廃純米 古醸 2018」720ml 1,485円(ひいな購入時価格)/株式会社みいの寿熊本県玉名郡「花の香酒造」は、熊本県に伝わる在来種「穂増(ほませ)」と呼ばれる復刻米を使用。2021年12月に発売されたばかりの「産土(うぶすな)」シリーズが日本酒好きな間で話題沸騰。「産土 2021 穂増」」720ml 2,530円(ひいな購入時価格)/花の香酒造株式会社娘・ひいな(以下、ひいな)「今回はマニアックなテーマでやろうと思ってて。復刻米って知ってる?」父・徹也(以下、テツヤ)「復刻米って、古代米みたいな感じ?」ひいな「うん。昔、流行ったお米があって、一度、途絶えちゃったんだけど、最近そうしたお米を復活させてお酒を造ってる蔵があって。今回はその3本をご紹介します!」テツヤ「へぇ〜。野菜もさ、在来種ってあるじゃない?そういうお米なのかな」ひいな「うん。その土地のお米だね」テツヤ「復刻米の日本酒って流行ってるの?」ひいな「うん。お米に関して今、2つの流れがあってね」テツヤ「うんうん」ひいな「『百万石乃白(ひゃくまんごくのしろ)』っていう石川県の品種とか、栃木県の『夢ささら』とか、最近、新しく品種改良されたお米ができている流れと、もうひとつは昔のお米を復活させる方向性と2つある気がしてて」テツヤ「なるほど。昔ながらの米を復活させるのは酒造りの原点回帰なわけだな。でも、栽培が大変なイメージあるけど」ひいな「そうなの。なぜなくなったのかっていう理由があるわけだからね」テツヤ「そうだよね」ひいな「栃木の『鳳凰美田』、福岡『美田』、熊本『産土(うぶすな)』の3本をご紹介します!」テツヤ「ひいなは北関東好きだねぇ。九州から2本か!」ひいな「今回の3本は〈住吉酒販〉で購入いたしました!」テツヤ「いつもお世話になっています!復刻米っていうのはさ、ラベルでわかるものなの?記載があるの?」ひいな「ラベルにお米の名前が書いてあるものもあるよ。この3本はラベルにお米の名前が書いてある」テツヤ「どんな味なのか気になる!早く飲もうぜ!」明治時代の復刻米「亀の尾」を使った「鳳凰美田 純米吟醸 亀の尾」ひいな「1本目は『鳳凰美田』です!」テツヤ「飲もう飲もう」テツヤ&ひいな「乾杯!」まずは「鳳凰美田」から。いただきます!テツヤ「うわ!うまいなこれ!吟醸?」ひいな「うん。純米吟醸」テツヤ「昼間に飲む純米吟醸っていいね。でも正直なところ、復刻米かどうかはよくわからないけど…」ひいな「『鳳凰美田』って結構テンション高いお酒が多くて。全体的に甘さが際立つお酒なんだけど、その中でもこの『亀の尾』っていう復刻米を使ったこのお酒は落ち着いてる感じがするというか」テツヤ「これで落ち着いてるんだ」ひいな「うん。これは『鳳凰美田』のなかでは落ち着いてるほうだと思うよ」テツヤ「そうなんだ。甘さのわりにあと口がキレるというかさ。これすごくうまいよ」ひいな「甘ったるくはないよね。上品な甘さがある」テツヤ「復刻米だから、そういう味わいになったのかな」ひいな「うん。そうだと思うよ。この『亀の尾』っていうお米は明治のお米なの。『亀の尾』の亀は、阿部亀治さんという方が、冷害で被害を受けた田んぼのなかで元気に育ってる3本の稲穂を見つけたことで名づけられたんだって」テツヤ「3本しかなかったんだ」ひいな「そう。冷害を乗り越えた3本だったの」テツヤ「丈夫に生きてたんだね」ひいな「阿部亀治さんが山形で見つけたお米なんだけどね。1925年ごろは、“東の亀の尾、西の雄町”って呼ばれてくらい有名なお米だったんだって」テツヤ「へぇ。あの雄町と!」ひいな「そう。雄町に匹敵するお米っていわれてたの。でも『亀の尾』が廃れた理由は、冷害には強いんだけど、虫に弱かったり化学肥料や農薬を使うとお米が極端にもろくなっちゃうらしくて」テツヤ「なるほど。それは育てるのが難しいお米なんだな」ひいな「そっか。農業の現代化に向いてなかったんだね。『夏子の酒』って漫画あるでしょう?」テツヤ「あるある」ひいな「幻の米で造った吟醸酒が忘れられないっていう話を聞いて種もみを探し始めて復活させて、そのお米で鑑評会で金賞を取るっていう物語があるんだけど、その幻の酒米のモデルが『亀の尾』なの」テツヤ「へぇ!いや、実に上品だね、このお酒。でもちゃんとジューシーさもあってうまい!これが『亀の尾』のうまさなんだろうな。復活させてくれてありがたいね」ひいな「地元に愛されるお酒を目指そうとして、昔ながらのお米である『亀の尾』に着目したんだろうね」テツヤ「原点に戻ったんだね」ひいな「新しいお米じゃなくてね」テツヤ「『亀の尾』で造ったほかのお酒も飲み比べてみたいな」ひいな「いいね。すごい数になっちゃうと思うけど」テツヤ「え、そうなの?結構、あるってこと?」ひいな「『亀の尾』は、平成9年から11年間、亀の尾サミットっていうのがあったりするくらい、復活してからは『亀の尾』を使ったお酒がたくさんあるの。『亀の尾』ってね、実はコシヒカリとかササニシキ、あきたこまちの先祖なの。『亀の尾』がルーツなんだって」テツヤ「へぇ。どれも寒いところの米だもんな」ひいな「そうだね、冷害に強いからね。しかも収穫量が多いらしい。粒が大きいから吟醸造りで削っても残るんだって」テツヤ「だけど、育てにくいんでしょう?」ひいな「そう(笑)」テツヤ「すごい手間ひまかけて育ててるっていうことなのかな。ということはお値段も張るんじゃないの?」ひいな「2,200円です!」テツヤ「ちょっと高めだけど、こだわりの米を使ってるんだから妥当だよね」ひいな「だよね」テツヤ「『亀の尾』だね。もう覚えた!」知る人ぞ知る、復刻米「穀良都」を使用した「美田 山廃純米 古醸 2018」テツヤ「あれ?さっきも『美田』じゃなかった?」ひいな「さっきは『鳳凰美田』で、こっちは『美田』」テツヤ「違うんだ?」ひいな「違う蔵のお酒だよ。よく『鳳凰美田』が好きな人って『美田』って略していう人がいるんだけど、私は『美田』といえばこっちのお酒を思い浮かべる」テツヤ「略しちゃダメだね(笑)。2018年って書いてあるけど熟成されてるの?」ひいな「そう」テツヤ「しかも糸島って書いてあるぞ。糸島の酒なの?」ひいな「福岡のお酒なんだけど、糸島産のお米を使ってるの」テツヤ「なるほど。復刻米を作ってるのが糸島なんだな」ひいな「これは『穀良都』っていうお米を使ってるんだけど。明治の時に生まれたお米なんだけど、山口県の農民の伊藤さんによって品種改良されて誕生したのが『穀良都』なの。まず、飲んでみる?」テツヤ「あぁ、そうだね。勝手に渋い感じを予想してるんだけど」ひいな「ちょっと強烈かもしれない」テツヤ「山廃で熟成酒だもんな」ひいな「香りだけでも、濃厚さを感じるかも」テツヤ「お?うまそうな匂いだぞ」ひいな「香ばしい感じあるよね」テツヤ「あ、色がついてるね。みりんみたい」ほんのりと色づいておいしそう。2本目いただきます!香りをじっくりと味わう父。テツヤ&ひいな「乾杯!」テツヤ「うわぁ〜匂いがもう独特だねぇ。これめちゃくちゃ好きかも!」ひいな「透明感のある熟成酒って感じがするよね、コクとか香ばしさもありながら」テツヤ「そして土っぽい。ミネラル感もあって。穀物を飲んでる感じっていうか。『穀良都』っていうお米の名前らしい味わいっていうか、大地を飲んでるって大げさかもしれないけど、すごい感じるね」ひいな「わかる。お米にフィーチャーしてる感じするよね。日本酒だから当たり前なんだけど」テツヤ「これはうまいよ。さっきの『鳳凰美田』は俺にはおしゃれすぎたな」ひいな「確かに(笑)。なんとこの『美田』、1,350円+税というお値打ち価格」テツヤ「安くない?そんな貴重なお米使ってるのに?」ひいな「申し訳ないよね。しかも熟成までしてるのに!」テツヤ「ほんとだよ!」ひいな「今日は冷やしちゃったけど、常温かお燗でもいいお酒だと思う」テツヤ「うん。匂いのイメージより飲みやすいし、和食とも合いそう。飲み始めのインパクトと違って水っぽくも感じるし、するするいく感じ」ひいな「今回、『穀良都』って私も初めて聞いたんだけど、相当めずらしいお米だと思う。山口で生まれたお米なんだけど、昭和初期、西日本で流行ってたらしくて、昭和天皇即位の時に献穀米になったくらい有名なメジャーなお米だったんだって。さっき紹介した『亀の尾』とか『山田錦』とかと同じくらい評価されたお米で、品質が高かったらしい。でも、稲穂の背が高くて、栽培に手間がかかるのが難点だったと」テツヤ「倒れやすいからな」ひいな「だから新しい品種がどんどん出てくると…」テツヤ「そっちにいっちゃうよな」ひいな「それで一度、衰退しちゃったんだけど、1996年に12粒の種もみから復刻に取り組み始めたんだって」テツヤ「すごいね。奇跡の米だね」ひいな「うん、裏にも幻の米って書いてある」テツヤ「そんな貴重なお米のお酒がこんな安く飲めちゃうの?そんな苦労して復刻したのにこの価格は安すぎるよ。値付け間違ってるよ!そんな貴重なお米だったら、もうちょっと主張してもいいのにね。『穀良都』って知る人ぞ知る感じなのかな?」ひいな「ほとんど知らないと思う。私も〈住吉酒販〉さんに教えていただいて初めて知ったの」テツヤ「ラベルに『穀良都』って書いてあっても米の名前だってわからないよな」ひいな「そうだよね。この『穀良都』は、精米時に砕けやすいらしくて大吟醸には向いてないんだって。だから昔ながらの純米造りがいいんじゃないかな」テツヤ「なるほど」ひいな「お米自体は、淡麗でキレのいいお酒になるらしいんだけど、もしかしたら熟成してるからこんな感じなのかもしれないね」テツヤ「燗にしてみたら落ち着くねぇ。おつまみがあるとさらにうまく感じるんだろうな」ひいな「住吉酒販だとチーズをおすすめしてくれるんだって」テツヤ「え!俺もチーズだって思ってた!」ひいな「え、ほんとに(笑)?」テツヤ「マジで。クリームチーズとかどうかなと思ったんだけど」ひいな「いいと思う。熟成系のチーズも合うと思うよきっと」テツヤ「あ!いぶりがっことクリームチーズとか最高じゃない?」ひいな「いいねぇ」幻の復刻米「穂増」を使用した「産土 2021 穂増」は2022年2月の発売以来、入手困難!ひいな「次のお酒は、2022年2月に発売になったばかりのお酒です!」テツヤ「おぉ!それは気になるねぇ」ひいな「第27回に、同じ蔵の『和水』ていう山田錦を使ったお酒をご紹介したんだけど、“ドメーヌ”がキーワードになっていて」(ライター注:ドメーヌとは水、米など、その土地のものでお酒を造ること)テツヤ「これも?」ひいな「そう。このお酒は『穂増(ほませ)』っていうお米を使っています。お酒は『産土』で、うぶすなと読みます」テツヤ「へぇ!」ひいな「2021年12月にこの産土シリーズが生まれたばっかりで、最近、すごく注目されてるお酒です!しかも、今日紹介するお米のなかで一番古いお米」」テツヤ「へぇ。いつ?」ひいな「穂増の元々の品種が江戸肥後米って名前なんだけど、江戸時代には九州全体で栽培されてたすごくメジャーなお米で、江戸末期には“天下第一”の米って呼ばれてたらしい」テツヤ「へぇ、ってことは、酒米じゃなくて食米だったってこと?」ひいな「そう。もともとは食米だったみたい」テツヤ「聞いたことなかったよ」ひいな「でね、このお米が復活したのは2017年で、なんとつい最近なの」テツヤ「うわぁ、そんな昔の米を最近復活させたんだ」ひいな「地元に根づいたお米で造りたい!ってなったんだろうね」テツヤ「いいことだね。それぞれの蔵の地域性があらわれるところだもんね、米って」ひいな「そうそう。飲んでみようか。13度だから、アルコール度数は低めかな」(パコーン!)ひいな「わっ!びっくりした(笑)」テツヤ「すごい勢いで開いたね(笑)」ひいな「生酒だから。発泡してるね」テツヤ「初穂増いただきます!」テツヤ&ひいな「乾杯!」しゅわしゅわと発泡してるのがわかります。「穂増」いただきます!テツヤ「うわ、何これ?いいねぇ。春飛び越えて初夏って感じだな」ひいな「おいしい!第27回で紹介した『和水』と共通点あるよね」テツヤ「うん、あるある」ひいな「最高に高揚感のあるお酒だな」テツヤ「これいくら?」ひいな「2,530円。自然栽培のお米を使ってるから」テツヤ「自然栽培って?」ひいな「肥料なし、農薬なしで育ててる」テツヤ「なるほど」ひいな「『穂増』自体、農薬が出る前の品種だから農薬を使うとうまく育てられないらしい」テツヤ「そっか。昔は農薬も肥料もないもんね。復刻米って実は今のオーガニックな流れに合う品種ってことなのかもね」ひいな「稲が倒れたり、脱粒(だつりゅう)って言って稲穂から種もみが落ちちゃうことが多かったらしくて。明治以降はもっと育てやすいお米に取って代わられちゃったんだって」テツヤ「なるほど。そうなっちゃうよね」ひいな「1970年くらいになると甘み、粘りがあるコシヒカリが主流になっていったんだけど、『穂増」の特性は粘りが少なくて、お米としての噛みごたえがあるというか」テツヤ「まさに大地の恵みだね。『産土』って名前にぴったりじゃない」テツヤ「ほんとに。産土シリーズはすごくこだわってるお酒だから、ぜひHPを見てほしい!」テツヤ「いやぁ、3本とも個性があっておもしろかったな。俺、復刻米の酒好きかも。ナチュールワインにより近い気がする」ひいな「ナチュールが好きな父にはぴったりかもしれないね」テツヤ「それぞれの個性があって、ストーリーがあるじゃない」ひいな「昔のお米を復刻させるってすごい大変なことだもんね」テツヤ「うん、これは買いたいし語りたくなるかも。日本酒を選ぶ時、お米で選ぶようになったら通だよな」ひいな「そうだね。これからはお米にも注目してほしいな」テツヤ「今日の3本はかなりお値打ちだったね。日本酒好きな人に教えなくなる」ひいな「どれを紹介しても、お土産で持っていっても喜ばれると思う」テツヤ「語っちゃうよね。これはね…って。いやぁ、最後に飲んだ『産土』の13度が軽くてよかったな」ひいな「次回(4月3日公開予定)は、まさにアルコール度数に着目した回なのでお楽しみに!」テツヤ「次号予告まで(笑)。乞うご期待です!」【ひいなのつぶやき】蔵の歴史や地域の背景を知ると、味わいもより深みが増す気がします!ぜひ、お米に注目して日本酒を選んでみてくださいひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Shu Yamamoto illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2022年03月06日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は「しぼりたての新酒」がテーマとなった第二十九夜の総集編をお届けします。1本目/にごりを雪に見立てた大人気の1本「仙禽 雪だるま しぼりたて活性にごり酒」栃木県さくら市にある「仙禽(せんきん)」は、『伊藤家の晩酌』第1回、第2回でも紹介したことがある記念すべき日本酒。中でも、人気の「雪だるま」は季節限定のにごり酒で、かわいいラベルが目印。しぼりたてでフレッシュなぷちぷちとした発泡感も味わえる。「仙禽 雪だるま しぼりたて活性にごり酒」720ml 1,800円(ひいな購入時価格)/株式会社せんきんあわせたおつまみは「大根の唐揚げの銀あんかけ」この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!2本目/今、注目すべき新酒の「天美 新酒 純米吟醸 にごり生」山口県下関市にある「長州酒造」は、かつて「菊川」という酒を造っていた児玉酒造から事業継承するかたちで、ゼロから「天美(てんび)」という新しい銘柄を生み出し、そのおいしさで瞬く間に入手困難な銘柄となり、わずか1年で一躍話題の日本酒に。「天美 新酒 純米吟醸 にごり生」720ml 1,980円(ひいな購入時価格)/長州酒造株式会社あわせたおつまみは、生姜醤油と塩で食べる「しいたけの海老しんじょう」この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!3本目/見事なバランス感で誰もが好きになる「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」長崎県壱岐市で1914年に創業した「重家酒造」は当時から焼酎と日本酒を製造。一度は日本酒の製造が途絶えたものの、2018年に日本酒造りを再開。他の酒蔵で修業し、壱岐産の山田錦の栽培を行い、「よこやま」シリーズが誕生。「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」720ml 1639円(ひいな購入時価格)/重家酒造株式会社さっぱりだけど濃厚な味わいの「じゃがいものニョッキ」この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!毎週日曜の夜更新。「伊藤家の晩酌」をチェック!娘・ひいなと父・テツヤが毎週織りなす愉快な親子晩酌。これまでの連載内容はこちらをクリック!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
2022年02月20日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第二十九夜の3本目は、麦焼酎発祥の地で、新たに生まれた長崎県のお酒。今宵3本目は、見事なバランス感で誰もが好きになる「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」。長崎県壱岐市で1914年に創業した「重家酒造」は当時から焼酎と日本酒を製造。一度は日本酒の製造が途絶えたものの、2018年に日本酒造りを再開。他の酒蔵で修業し、壱岐産の山田錦の栽培を行い、「よこやま」シリーズが誕生。「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」720ml 1639円(ひいな購入時価格)/重家酒造株式会社娘・ひいな(以下、ひいな)「本日ラスト!新酒3本目は『よこやまSILVER7』です!」父・徹也(以下、テツヤ)「へぇ。『シルバーセブン』ってめずらしい名前だね。どこの蔵?」ひいな「長崎県の壱岐」テツヤ「お!島だ!」ひいな「そう。壱岐島のお酒です」テツヤ「壱岐島に日本酒の蔵があるんだ」ひいな「壱岐にはもともと焼酎蔵がたくさんあって、重家(おもや)酒造っていう蔵で日本酒も造ってたんだけど、1990年から日本酒を造るのをお休みしたんだって」テツヤ「日本酒も造ってたんだね」ひいな「麦焼酎の『ちんぐ』を製造してる蔵なんだけど、2018年に日本酒蔵を建設したの。杜氏の横山太三さんという方が再建したんだけど、この蔵、前に紹介した『東洋美人』澄川酒造場とゆかりがあって。横山さんがこの蔵で修行をしてたんだって」テツヤ「おぉ!」ひいな「その修行を終えて壱岐に戻って、2018年に蔵を建設して日本酒が復活したの。1902年の壱岐島には17個の日本酒蔵があったんだって!」テツヤ「それはすごいね。そんなにあったんだ。壱岐は焼酎もあるけど、日本酒の島でもあったんだね」ひいな「激しい気候の変化と杜氏の高齢化で1990年には日本酒を造る蔵はゼロになっちゃった」テツヤ「あら。重家酒造が最後だったんだ」ひいな「そう。でも、2018年に復活して生まれたのが『横山五十』なの。横山さんが高校生の頃に日本酒造りを辞めたんだって。親が苦しい思いをしてるのを近くで見てたみたい。日本酒をもう一度やりたいと思ったきっかけは、〈はせがわ酒店〉の代表の方とお話ししたことで自分たちは日本酒を造りたいんだって目覚めて、壱岐で日本酒を復活させようと思ったらしい」テツヤ「新しく生まれた『よこやま』飲むのが楽しみだねぇ」ひいな「今回は徳利に入れてみるね」ガラスの器でいただきます!いただきます!さてはてお味はいかがでしょう?はぁ。おいしいねぇ。香りさわやか、味わいもフルーティでめちゃくちゃ飲みやすいよ!テツヤ「少しにごってる?発泡してる感じもあるね」ひいな「新酒だからね。このお酒は純米吟醸の生酒になります」テツヤ「いただきます!わぁすっきりしてる!」ひいな「うん、おいしい!」テツヤ「春酒って感じだな」ひいな「うんうん、春酒っぽいよね」テツヤ「2月だしもう新春だし、まさにぴったり!」ひいな「ほんとだね」テツヤ「いやぁ本当においしいね、このお酒。こういうお酒こそ、日本酒入門編にいいんじゃない?みんな好きだと思うな」ひいな「本当にそう思う。飲みやすいよね。特等の山田錦を使ってるっていうのもあって、いいお酒だと思う」酔っ払ってグラスをこぼす父・テツヤ。たまにはこういうことも起こります(笑)。テツヤ「失礼しました(笑)!新酒なのにもったいなかったね」ひいな「そろそろ、このお酒に合わせるおつまみを持ってくるね!」「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」に合わせるのは、さっぱりだけど濃厚な味わいの「じゃがいものニョッキ」。テツヤ「お?これはニョッキ?」ひいな「そう!じゃがいもをつぶしてニョッキにしてみました」テツヤ「めっちゃうまそう〜!イタリアンを日本酒に合わせちゃうんだな」ひいな「ニョッキを作ったのは実は人生で2度目で。1回目は料理家の広沢京子さんの福岡のお家に中学生の頃遊びに行った時、ニョッキの作り方を教えてもらったの」テツヤ「いいねぇ。思い出のニョッキだね」ひいな「そこまでの完成度ではないかもしれないけど」テツヤ「ニョッキってあんまり食べたことないんだよなぁ。うん、これはおいしい!日本酒にもめっちゃ合う」ひいな「合う?」テツヤ「合う、合う。イタリアンなのにすごく合ってる。ソースは何が入ってるの?」ひいな「生クリームと牛乳とチーズ」テツヤ「いやぁ、ニョッキと合わせたら、急にワイン飲んでる気持ちになってきたぞ」ひいな「たしかに(笑)」テツヤ「ニョッキ食べた途端、ワインになった」ひいな「わかる(笑)」テツヤ「この日本酒、ニョッキとめちゃくちゃ合う。びっくりするくらい合うよ。日本酒って、意外と乳製品と合うんだな」ひいな「そう。チーズとかクリームソースとかと合うよね」テツヤ「さらにこの新酒がすごく合う気がする。乳酸感があるからかな?」ひいな「あ、そうかもしれないね。発酵感がチーズとも合うよね」7号酵母から生まれた「よこやま」と「真澄」の味わいは似てる?テツヤ「どうしてこの日本酒の新酒を選んだの?新酒って他にもいっぱいあるわけじゃない?」ひいな「日本酒業界が今フォーカスしてる日本酒を紹介したいなと思って。2018年に蔵を再建した時に『横山五十』っていうお酒を出したんだけど、それがブレイクして。このお酒はそのシリーズなんだけど…」テツヤ「この『SILVER7』の意味は?」ひいな「7号酵母のこと」テツヤ「あぁ、そういうことか!」ひいな「7号酵母のお酒、一度紹介したことがあるんだけど覚えてる?」テツヤ「たしか九州のほうじゃなかった?」ひいな「惜しい!それは9号酵母。『真澄』のスパークリングを紹介したんだけど、『真澄』って7号酵母なの。7号酵母の発祥は『真澄』っていわれてるんだけど、その7号酵母を使ってるからどことなく『真澄』っぽさを感じるというか」テツヤ「なるほどね。そういうことか」ひいな「私の好きな味がする(笑)。『真澄』の控えめだけど華やかな感じがしていいなと思ったのが、このお酒を選んだ理由かな」テツヤ「確かに『真澄』っていわれたら『真澄』っぽいね(笑)」ひいな「でしょう?」テツヤ「長崎の『よこやま』と長野の『真澄』か。“長”つながりだね」ひいな「だね!」テツヤ「壱岐といえば、知り合いのお兄さんが壱岐で焼酎の酒蔵やってるって言ってたな」ひいな「わぁ、そうなんだ。日本酒は造ってないのかな?」テツヤ「原田酒造だ。焼酎とクラフトビールを造ってるんだって」ひいな「そうなんだ」テツヤ「麦焼酎なんだね。島でも米を作ったりしてるのかな」ひいな「壱岐って気候が豊からしくて。だから作物が育ちやすいから、米も育てやすいらしいよ。だから日本酒の蔵もたくさんあったんじゃないかな」テツヤ「なるほど。日本海側だし寒暖差もありそう」ひいな「そうそう。そのほうがお米は育ちやすいもんね。壱岐島のなかでも、アスパラガスが育つくらいミネラル豊富なところに蔵を造ったらしくて」テツヤ「アスパラガスってそうなの?」ひいな「水源の上に蔵を建てたんだって。理想の味わいにするためにタンクの規模をコンパクトにしていて、味の調節が効くようにもしているらしい」テツヤ「なるほど。小さいロットで造ることでいろいろな味わいで造れるわけだな」ひいな「そういうこと」テツヤ「壱岐って大きいのかな。人口どれくらいなんだろう。多いのかな(ライター注:壱岐市の人口は約2.5万人(令和3年時点)だそうです)」ひいな「日本酒の蔵がそんなにたくさんあったんだもんね」テツヤ「たしか神社がすごく多くて神聖なところだよね」ひいな「そうそう」テツヤ「島で日本酒が造られてるなんて知らなかったよ」ひいな「横山さんが復活してくれて本当によかったね」【ひいなのつぶやき】長崎の島で生まれた、人とのつながりが感じられる1本です!洋食とも合うフレッシュな日本酒、お試しあれ!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2022年02月06日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第二十九夜の2本目は、人気女性杜氏が醸す、日本酒界を賑わす山口県のお酒。今宵2本目は、今、注目すべき新酒の「天美 新酒 純米吟醸 にごり生」。山口県下関市にある「長州酒造」は、かつて「菊川」という酒を造っていた児玉酒造から事業継承するかたちで、ゼロから「天美(てんび)」という新しい銘柄を生み出し、そのおいしさで瞬く間に入手困難な銘柄となり、わずか1年で一躍話題の日本酒に。「天美 新酒 純米吟醸 にごり生」720ml 1,980円(ひいな購入時価格)/長州酒造株式会社娘・ひいな(以下、ひいな)「次の新酒は『天美(てんび)』でございます!『天美』って知ってる?」父・徹也(以下、テツヤ)「ううん。初めて聞いた」ひいな「天に美しいで『天美』なんだけど、なんとこの酒蔵は2020年11月に初めてお酒を出荷して、1周年を迎えたばかりなの」テツヤ「え?じゃ、コロナ禍にデビューしたんだ」ひいな「そう。下関で生まれた蔵なんだけど、女性杜氏の藤岡美樹さんが造ってらっしゃるお酒です」テツヤ「へぇ、これも山口のお酒か」開封時に振る際はお気をつけください!無事、あふれることなく開栓!ワイングラスでいただきます!うすいにごりがおいしそう。ひいな「まずは飲んでもらおうかな。では、おつぎします!」テツヤ「わ、思ったより軽そうな感じだね?」テツヤ&ひいな「乾杯!」テツヤ「うわぁ、こりゃおいしいね」ひいな「おいしい〜!」テツヤ「ほら、あのスポーツドリンクみたいじゃない?」ひいな「最近、いい日本酒のたとえでスポーツドリンクみたいだねってよく聞く」テツヤ「マジで?俺、最近、日本酒勉強してるから」ひいな「いつのまに(笑)」テツヤ「でも、本当にそんな味がするよ」ひいな「上質なお酒って、よくスポーツドリンクにたとえられるから大正解」テツヤ「俺もだんだん日本酒を語れるようになってきたね(笑)。これはうすにごり?」乾杯!ひいな「これはにごり生で、通称“あおてん”って呼ばれてて」テツヤ「あおてん?」ひいな「『天美』っていくつかあるんだけど」テツヤ「あ、わかった!青い『天美』だから“青天”か!」ひいな「そう!メジャーなのは“白天”で純米吟醸。“青天”は純米吟醸のにごり生なの」テツヤ「なんでそんなに人気になったの?」ひいな「それはやっぱりおいしいからじゃないかな」テツヤ「うん、確かにめちゃくちゃうまい」ひいな「だから、ぜんぜん手に入らないの」テツヤ「そうなんだ。よく手に入ったね」ひいな「〈はせがわ酒店〉に行ったらたまたま売ってて、すぐに買っちゃった」テツヤ「さすが〈はせがわ酒店〉!『天美』見つけたら、即買いだね。『天美』覚えておかないと」ひいな「うん、即買いで!あと“桃天”もあって、それがうすにごりになるかな」テツヤ「さっき飲んだうすにごりの『雪だるま』より濃い気がするんだけど」ひいな「そうだね。『雪だるま』はアルコール度数13度で『天美』は15度だしね。フローラルな感じなんだけど甘みがあって、食欲を増進させるような感じがあると思ってて」テツヤ「お酒自体の濃さがあるから、さっぱりしてるのに飲みごたえもあって」ひいな「そうだね。蔵の目指す酒質っていうのがあって、甘さとバランスの良いキレのいいお酒で、香り控えめで味わいに寄り添うようにしたいっていうのがあるらしいんだけど、その通りだなと思う」テツヤ「うんうん」「天美 新酒 純米吟醸 にごり生」に合わせるのは、生姜醤油と塩で食べる「しいたけの海老しんじょう」。テツヤ「さっきから揚げ物の匂いがしてるんだけど…」ひいな「あ、バレちゃった?」テツヤ「たしかに、揚げ物すごい合いそうだね。揚げ物を日本酒の酸で切るというか」ひいな「はい。合わせるのは揚げ物です(笑)」テツヤ「お?何だこれ?」ひいな「しいたけの海老しんじょうです」テツヤ「あぁ、うまそう!最高!かたちがなんともかわいいねぇ」ひいな「生姜醤油をつけてお召し上がりください」テツヤ「いいねぇ。なんで『天美』にしいたけ海老しんじょうだったの?」ひいな「『天美』に唯一足りないものって、だし感とかうまみ成分だと思ってて」テツヤ「たしかにすっきりしてるもんな」ひいな「それを補えるものって何だろう?って考えた時に、海老のうまみとしいたけのうまみのダブルはどうだろうと」テツヤ「うまみの塊を合わせたわけだな?俺、揚げ物は手で食べたい派なんだけど、こりゃ熱すぎてダメだわ」ひいな「やけどに気をつけて(笑)」テツヤ&ひいな「いただきます!」テツヤ「わぁ、こりゃおいしい。お酒ともすごく合ってるね。バッチリ。でもさ、生姜醤油もいいんだけど、塩でもおいしそうじゃない?」ひいな「塩も合うと思う!」テツヤ「この塩はさ、能登のはま塩って言って、桶で海水を撒いて揚げ浜式の製法で作られてる自然塩なんだって」ひいな「うん、おいしい!塩、めちゃ合うね」テツヤ「塩だった?」ひいな「うん。『天美』のやわらかい感じには、もしかしたら塩で合わせた時のだし感のほうが合うかもしれない」テツヤ「うん、だよな。この塩めちゃうまいな。まろやか!」ひいな「塩だけでも日本酒にも抜群に合う。能登に行かないと買えないの?」テツヤ「そう。『dancyu』の編集さんが買ってきてくれたのよ。しかも、この塩は先代の方が作った塩でなかなか手に入らないらしい」ひいな「貴重だね」揚げたてアツアツ。口のなか、やけどに注意。テツヤ「しいたけ海老しんじょうもうまいよ。どうやってこんなの作れるの?」ひいな「もともとはしいたけを焼いて、かさのところにだし醤油とか入れようかなって思ってたんだけど」テツヤ「それもいいね」ひいな「でもやっぱり海老のうまみをプラスしたくて。海老は完全にすりつぶしたほうがいいらしいんだけど、ちょっと歯ごたえを残して、つなぎのはんぺんの食感も残ってる感じにしてみた」テツヤ「はんぺんが入ってるからこんなにふわふわなんだな。食べる時はさ、海老じゃなくてしいたけ側を舌につけて食べたほうがうまいと思う」ひいな「え(笑)」テツヤ「絶対、味わい違うと思うよ」ひいな「うん、しいたけ感をより感じられるかも。お酒がからっぽになっちゃったね」飲み干しちゃいました。テツヤ「それくらいうまいってことだよ」ひいな「うまみに『天美』が合うでしょう?」テツヤ「うん、バランスいい。食べたあと味を切る感じがあるね。『伊藤家の晩酌』の中でもかなりいいつまみだと思います!」ひいな「よかった〜」1つの蔵から生まれるお酒を四季ごとに味わって、1年かけて追ってみたい!ひいな「蔵のスローガンはね、『微差は大差』なんだって。かっこよくない?」テツヤ「どういうこと、どういうこと?」ひいな「ちょっとの差は大きい差になってしまうっていうこと」テツヤ「なるほど。それは日々酒造りに向き合ってるなかで生まれた哲学なんだろうな」ひいな「日本酒が苦手な人でも感動する極上の一杯をって造られてるから、本当になんの抵抗もなく飲めるお酒って感じがするな」テツヤ「うんうん」ひいな「この蔵はね、昔、『菊川』っていうお酒を造ってた児玉酒造ってところがあって、そこが製造量の減少に伴って製造を停止しちゃったんだって。そしたら、長州産業株式会社っていう太陽光発電システムを開発している会社が、事業を継承するかたちで長州酒造に改名して、そこに杜氏として藤岡さんを迎え入れたんだって」テツヤ「あぁ、そういうことか」ひいな「杜氏の藤岡さんは、東京農業大学の醸造科を出てるんだけど、奈良県の『やたがらす』っていうお酒を造ってるところにいたり、香川県の『川鶴』とか、三重県の『作(ざく)』とかを造ってた有名な方で、新しいこの蔵に就任したの」テツヤ「へぇ!どれも聞いたことあるお酒ばっかり。知る人ぞ知る杜氏なんだな。藤岡さんの造る味の系統ってあるのかな?」ひいな「こういう造りをしたいっていうのはあると思うよ。実はさ、『天美』のほかにも別の蔵から『天賊(てんぶ)』ってお酒もあって」テツヤ「どこが出してるの?」ひいな「芋焼酎の『富乃宝山』を出してる、鹿児島県の西酒造」テツヤ「おぉ」ひいな「この『天美』と『天賊』が2020年に人気だったツートップで」テツヤ「へぇ。全然知らなかった。山口県と鹿児島県、西のほうのお酒がトレンドなのかな。しかも『天美』はまだ1年の蔵なのに!」ひいな「そう。この1年ですごいファンがついたの」テツヤ「自粛期間にみんな家で飲んでたんだな。でも毎年、トレンドって変わるでしょう?」ひいな「そう。でも流行りがあるなかでも『天美』はすごく好感を持ってて。これからも応援していきたいなと思う酒蔵で。春に出る“桃天”も楽しみにしてて」テツヤ「たとえばさ、季節ごとに変わる日本酒をそろえてさ、たくさんの種類じゃなくていいから、いくつかお気に入りの蔵の日本酒を1年通して飲める宿とかあったらいいよねぇ」ひいな「あぁ、素敵だね」テツヤ「常連の宿にしてさ、こういう季節になりましたよ、今年のお酒はこうですよっていうほうが通いたくなるなぁって」ひいな「1週間に3〜4回通うお店よりも、1年間に4回、四季に合わせて行くことに価値があるよね」テツヤ「たしかにね。季節が変わるタイミングで通うって素敵だな」ひいな「どこの蔵を年追っかける?」テツヤ「どこだろう?1年中、いつ飲んでもうまい酒がいいよね。今まで100回以上連載やってきたけど、もう一回全部を飲み比べてみたい!」ひいな「やりたい!大試飲会!」テツヤ「で、俺の蔵ベスト3を選ぶ!」ひいな「今年も長くつきあっていきたい、おいしい酒蔵を探していきたいねぇ」【ひいなのつぶやき】杜氏の藤岡さんがこだわり抜いたからこそ、世間が愛しているお酒だと感じています!「微差は大差」を舌で味わいましょう!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2022年01月23日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第二十九夜の1本目は冬の雰囲気を盛り上げる栃木県のにごり酒。今宵1本目は、にごりを雪に見立てた大人気の1本「仙禽 雪だるま しぼりたて活性にごり酒」。栃木県さくら市にある「仙禽(せんきん)」は、『伊藤家の晩酌』第1回、第2回でも紹介したことがある記念すべき日本酒。中でも、人気の「雪だるま」は季節限定のにごり酒で、かわいいラベルが目印。しぼりたてでフレッシュなぷちぷちとした発泡感も味わえる。「仙禽 雪だるま しぼりたて活性にごり酒」720ml 1,800円(ひいな購入時価格)/株式会社せんきん娘・ひいな(以下、ひいな)「あけましておめでとうございます!」父・徹也(以下、テツヤ)「あけましておめでとう!」ひいな「今年もどうぞよろしくお願いいたします!新年第1回目は、恒例の新酒特集です。今回から3回にわたって新酒を紹介いたします!」テツヤ「いやぁ、かわいいね、雪だるま。雪積もってるねぇ」ひいな「雪に見立てたにごりがかわいいよね」テツヤ「にごり酒かぁ。冬だねぇ。この雪のところはどうするの?」ひいな「一回開けてから振れば大丈夫なんだけど…」テツヤ「雪だるまにハラハラと散る雪がいいんじゃない?」フタに穴が空いてるのは発泡している証拠。雪が舞うのはきれいだけど吹き出してしまわないか心配…。いよいよオープン!セーフ!吹き出さずに開栓できました。ひいな「やっちゃおうか」テツヤ「うわ〜かわいい、雪が舞って白くなって」ひいな「このお酒、実は『仙禽』なの」テツヤ「おぉ?ひいなの好きなあの『仙禽』?」ひいな「そうそう。第1回、第2回でも紹介した『仙禽』。私が日本酒にはまったきっかけのお酒なんだけど、冬に出る季節商品『雪だるま』を今回はご紹介します!」テツヤ「『仙禽』かぁ。うまいだろうなぁ」ひいな「やっぱり、『仙禽』といえば“あまさん”だから」テツヤ「あまさん?」ひいな「甘みと酸味で“甘酸”は健在だから。まず飲んでみようかな」テツヤ「白くてきれいだねぇ。にごりっていうほどドロっとはしてないね。さらっとしてる感じ」ひいな「そうなの」ワイングラスでいただきます!あけましておめでとうございます!ゴクリといただきます。テツヤ&ひいな
2022年01月09日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は「燗酒にぴったり」がテーマとなった第二十八夜の総集編をお届けします。1本目/熱燗好きが、熱燗のために造ったという「月波ノ波」と「月波ノ月」長野県大町市にある薄井商店の代表銘柄といえば「白馬錦」。「山と、水と、ともに生きる。」という蔵のコンセプト通り、北アルプスのふもとで酒造りを行う。長野県小谷村との共同開発で生まれた「月波」シリーズは、夏でも冬でも熱燗が大好き!という小谷村の方々の熱燗への熱い思いによって生まれたお酒。左:普通酒「月波ノ波」990円右:純米酒「月波ノ月」1,430円(各720ml、ひいな購入時価格)/株式会社薄井商店あわせたおつまみは〈道の駅おたり〉で買った地元グルメセット左上から時計回りに。唐辛子が効いたピリッと辛い「こしょうみそ」、〈おたり生ハム工房〉の「熟成生ハムニンニクオリーブ」と「原木熟成プロシュートペースト」は止まらないおいしさ。酸味と食感が抜群の「野沢菜ふぶき」の4つ。この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!2本目/香り華やか&フルーティで上品な甘みの「東洋美人 純米大吟醸 ASIAN BEAUTY」山口県萩市にある「澄川酒造場」は、2021年で創業100周年を迎えた。山口県産の山田錦を使い「王道の酒造り」にこだわる。日本酒を飲んだことのない人にも飲んでもらえるよう「0杯から1杯へ」を目標においしさと親しみやすさを追求。リーズナブルな価格で純米大吟醸が楽しめる1本。「東洋美人 純米大吟醸 ASIAN BEAUTY」750ml 1,375円(ひいな購入時価格)/株式会社澄川酒造場あわせたおつまみは、「牛肉の西京漬焼き」この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!3本目/70度まで熱くする“ふつふつ燗”で!「玉川 山廃純米 雄町 無濾過生原酒」京都府丹後市にある「木下酒造」は1842年創業。「変化がおもしろいお酒」の玉川。蔵の推奨は「適温は高め」、55度以上にしっかりと熱くし、燗冷ましで変化を楽しむことを勧めている。アルコール度数は20度と強め。「玉川 山廃純米 雄町 無濾過生原酒」720ml 1,705円(ひいな購入時価格)/木下酒造有限会社あわせたおつまみは、ごまだれたっぷりの「坦々風水餃子」この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!毎週日曜の夜更新。「伊藤家の晩酌」をチェック!娘・ひいなと父・テツヤが毎週織りなす愉快な親子晩酌。これまでの連載内容はこちらをクリック!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
2021年12月26日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、寒い季節に飲みたくなる燗酒にぴったりな日本酒をご紹介。第二十八夜の3本目は、熱燗にしておいしささらに増す、京都のお酒。今宵3本目は、70度まで熱くする“ふつふつ燗”で!「玉川 山廃純米 雄町 無濾過生原酒」。京都府丹後市にある「木下酒造」は1842年創業。「変化がおもしろいお酒」の玉川。蔵の推奨は「適温は高め」、55度以上にしっかりと熱くし、燗冷ましで変化を楽しむことを勧めている。アルコール度数は20度と強め。「玉川 山廃純米 雄町 無濾過生原酒」720ml 1,705円(ひいな購入時価格)/木下酒造有限会社娘・ひいな(以下、ひいな)「3本目の燗酒は『玉川』です」父・徹也(以下、テツヤ)「『玉川』?初めて聞いた」ひいな「京都のお酒なんだけどね」テツヤ「ラベル、いいね。かわいい。俺、好きなやつ」ひいな「今の杜氏さんになってからかな、ここ10何年かでラベルチェンジもしたの」テツヤ「柚木沙弥郎さんっぽさもあるっていうか、すごいかわいい」ひいな「山廃純米無濾過生原酒です」テツヤ「うわ〜。濃そうだね」ひいな「飲む前にお酒の情報を。これは試験的に造ってるシリーズらしくて、これは雄町を使って山廃純米を造ってみたら好評で、毎年1タンクしか造ってないんだって」テツヤ「普段は雄町じゃないの?」ひいな「うん。いろんなお米を使ってるみたい。この蔵は割とアルコール度数が高いものを造ることで有名なんだけど、これも19度〜20度もある」テツヤ「うわ、ほんとだ!高い!」ひいな「日本酒のアルコール度数って22度未満だから相当高いよね」テツヤ「俺が知ってる日本酒のなかで一番高いよ!」ひいな「私もそうかも。同じ蔵が出してる『Ice Breaker(アイスブレーカー)』っていうお酒があるんだけど、それはロックにして飲むことをおすすめしてる日本酒なの」テツヤ「わぁ、そういう日本酒もあるんだね、おもしろね」ひいな「そういうユニークな発想で酒造りをしてるのが、杜氏のフィリップ・ハーパーさんっていう方で、イギリス出身でオックスフォード大を出てるんだって」テツヤ「へぇ。ロックで飲むってウイスキーから着想したのかな」ひいな「ね。HPを見たら『玉川』の特徴を紹介する7つの項目があって、燗の一般論と玉川のお薦めがおもしろかったから紹介するね。一般的なとびきり燗は55度だけど、『玉川』をおいしく飲む温度帯の最低ラインが55度なんだって」テツヤ「最低が?」ひいな「そう。つまり55度以上に熱くしていいっていうこと」テツヤ「そりゃすごいな。アルコール度数が高いから温度を高くしてもアルコールが抜けないってことなのかな?」ひいな「うん。へたらないし、ガンガン燗にしたほうがおいしい」テツヤ「そりゃ頼もしいね」ひいな「燗酒の温度に正解はないから、いろんな温度帯で遊んでいただきたいって書いてあって」テツヤ「いいね、いいね。公式にお墨付きをいただいたわけだ」ひいな「ね。いろいろ試してみないとね!」テツヤ「今度は何度くらいにしてみるの?」ひいな「がんがん飛ばそうと思ってる(笑)」テツヤ「飛ばしちゃうんだ(笑)」ひいな「温度を上げるっていう意味ね(笑)」テツヤ「スペックだけ聞いてると強そうだもんな。雄町で山廃で無濾過生原酒で度数も高くて」ひいな「2020BYだから少し寝かしてある」テツヤ「少し熟成もしてるんだね。うわぁ、高そうなお酒じゃない?」ひいな「1,705円」テツヤ「お?そんなに高くないね。これはどうやってお燗にするの?」ひいな「またやかんにちろりスタイルで」テツヤ「いいね、いいね。温めよう!」ひいな「正直、常温だと『玉川』は苦手なんだけど熱燗にしたらすごい好きなんだよね」テツヤ「おぉ!もう開けただけで匂いにクセがあるぞ」ひいな「まずは常温でいただきます!」ひいな&テツヤ「乾杯!」まずは常温でいただきます!常温だとなかなかクセのあるお味のようで。ひいな「どう?」テツヤ「うわぁ濃いね〜これはクセあるねぇ」ひいな「紹興酒みたいだよね」テツヤ「そうそう。日本酒じゃないね。これは燗に期待しちゃうなぁ」ひいな「さっき紹介した『玉川』の特徴の1つ目には『変化が面白い玉川』書いてあって『時間軸や温度の違いによる味の変化は日本酒の最大の魅力』って書いてあって、極端な熱燗もOKって言ってます!」テツヤ「そりゃいいね。やっちゃおう!どこまで上げる?」ひいな「あちちち。いま70度かな」テツヤ「そんなに?アルコール飛んじゃわないか心配だけど」ひいな「大丈夫、大丈夫。飲んでみよう」湯気が立つほど熱々に。70度の日本酒。ふうふうしていただきます!お茶飲むみたいにゆっくりと。テツヤ&ひいな「いただきます!」テツヤ「うわ〜おいしくなった!」ひいな「おいし〜!」テツヤ「クセがなくなったのかな?」ひいな「クセが心地よくなる、っていう感じかな」テツヤ「常温の時にあったえぐみみたいなのが消えたね。酸とコクがましてめちゃおいしくなった」ひいな「あぁ、本当においしい〜」テツヤ「こりゃいい酒なんじゃない?熱くしたほうが絶対おいしいよ。ボディがしっかりしてるからこんなに温度上げてもおいしいんだな」ひいな「酸もしっかり残ってるしね」テツヤ「熱燗を意識して造っただけあるね。最低温度が55度なんだもんな」ひいな「そうそう」テツヤ「これは町の集会所で飲むやかん酒っていうよりは、薪ストーブの前でちびちび飲みたい感じだな(笑)」ひいな「わかる(笑)」テツヤ「いやぁ、それにしても化けたね〜!燗にした時の酒の味を想像して酒を造るってすごいよなぁ。でもさ、意外とわからないままなのかもしれないよね。あとからタイトルつけるみたいなさ」ひいな「確かに」テツヤ「意外とこんなのができちゃったっていう感じかもなって。このひいなのお燗の実験も功を奏してるっていうか、日本酒の可能性を広げてるよね」ひいな「ありがとうございます」テツヤ「日本酒を70度にするなんて初めてだよ!」「玉川 山廃純米 雄町 無濾過生原酒」に合わせるのは、ごまだれたっぷりの「坦々風水餃子」。テツヤ「うわ〜うまそう!」ひいな「坦々風水餃子です」テツヤ「ごまだれで食べるんだね。うまい〜!この酸味は何?」ひいな「ポン酢を隠し味に入れてみたよ」テツヤ「なるほど〜。このお酒に合うね。中華だね。紹興酒だね」ひいな「これは絶対にごまだれだな!と思って。ごまだれのなかでもごまをもっと感じたい!と思ってごまを追加したんだけど、ラー油も入れてアクセントにしました」テツヤ「いいね、いいね。うまいよ」ひいな「クセとクセを合わせる感じで」テツヤ「お酒と合わせるといい調和になってる。ポン酢の酸味が『玉川』の酸味とも合ってるし」ひいな「よかった」テツヤ「お燗って楽しいね。こんなにおいしくなるなんてね」ひいな「自分でひと手間加えて、日本酒をおいしくするのが楽しいよね」テツヤ「そうそう。自分で調整しておいしさを追求する楽しさがあるよね」ひいな「ちなみに『玉川』はどれだけ温度を上げてもOKって言ってて、熟成もOKって言ってる蔵だからやってみるのもいいと思う」テツヤ「さっきの70度のおいしさを知っちゃうと、50〜55度ってちょっとつまらなく感じちゃうな。間違いのない味だけど、さっきのほうがパンチがあって好きだな。ふりきったほうが絶対いいよ」ひいな「そうそう。50度くらいって無難でしょ?」テツヤ「可もなく不可もなくって感じだね。温度が高いほうが酸も感じた」ひいな「でも、50度がふつうの熱燗っていわれる温度なの。このお酒は、燗にしたほうが酸が立つけど、冷やして酸が立つお酒もあるし、そのお酒に合わせたおいしい温度帯があるんだよね。このお酒の蔵の推奨は55度以上だから」テツヤ「もう一回飲みたいから温めよう!」ひいな「酒造のスタッフさんは55度以下に低くつけることはありませんって書いてたよ。ぬる燗にすることはありません!って」テツヤ「おいしさを知ってるから、そう断言できるんだね。絶対さっきのほうがおいしいもんな」ひいな「ね。ほんとに」テツヤ「不思議だよ。温度によってこんなに違うなんて」ひいな「好みに合わせて冷たくも、温かくもできるのがいいよね」テツヤ「こうやって自分で温度を変えて味わいの変化を楽しめるのが日本酒の良さでもあるって、まさに蔵の言う通り!」ひいな「そうそう。その自由度が楽しい!」熱燗のまだまだ底知れぬ奥深さに、のめり込んでしまいそう!?70度にまで温めるには沸騰させたお湯が必要です。70度にして、また乾杯!テツヤ「70度になったよ!」ひいな「あぁ、おいしい!」テツヤ「やっぱりこれだね。圧倒的に70度だね」ひいな「ぜんぜんおいしさが違うね」テツヤ「いやぁ、熱燗は奥が深いなぁ。追求しがいがあるね」ひいな「前回、燗酒特集やった時は、燗冷ましがかっこいいって思ってた自分がいたんだけど…」テツヤ「あぁ、去年やったね」ひいな「ちょっと今は恥ずかしい」テツヤ「そうなんだ。でも燗冷ましもありでしょう?」ひいな「もちろん!ぜんぜん今でもありなんだけど、燗酒の先輩の〈つきや酒店〉の知香良くんから教えてもらったのがね、一度ある温度まで上げて、そこに常温のお酒を加えて、また温度を上げるっていうことをすると味が全然違うって」テツヤ「なんだかもうすごい世界だな(笑)」ひいな「確かにぜんぜん違ったの」テツヤ「熱燗にすることで飛んでしまう成分をきっとお酒を加えることで補うんだろうな」ひいな「そういうことだと思う。燗酒は奥が本当に深いよ」テツヤ「実験だね」ひいな「知香良くんのお燗を飲んだら、自分のお酒を飲むのにちょっと時間がかかるくらい本当においしいんだよね」テツヤ「知香良くん、今日、ゲストできてるんでしょう?」ひいな「いつかお燗の特集に来てもらおう(笑)」テツヤ「また来年か?」ひいな「日本酒の知識も大切なんだけど、おいしく飲む方法をもっともっと知りたいな」テツヤ「そうだね。実験あるのみ!この3回じゃ収まりきらない燗酒特集だね。燗酒って正解がないからさ」ひいな「おいしいって思ったら正解だと思う」テツヤ「おいしさの感覚も変わっていくしね。外の気温とかさ」ひいな「そうそう。お酒の流行りとかもあるしね。これからも研究していきたいね」テツヤ「燗酒ばんざい!」ひいな「来年もお楽しみに!」【ひいなのつぶやき】遊び心ある「玉川」を、オリジナリティあふれる飲み方で楽しんでみてください!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年12月26日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、寒い季節に飲みたくなる燗酒にぴったりな日本酒をご紹介。第二十八夜の2本目は、リーズナブルで飲みやすい山口のお酒。今宵2本目は、香り華やか&フルーティで上品な甘みの「東洋美人 純米大吟醸 ASIAN BEAUTY」。山口県萩市にある「澄川酒造場」は、2021年で創業100周年を迎えた。山口県産の山田錦を使い「王道の酒造り」にこだわる。日本酒を飲んだことのない人にも飲んでもらえるよう「0杯から1杯へ」を目標においしさと親しみやすさを追求。リーズナブルな価格で純米大吟醸が楽しめる1本。「東洋美人 純米大吟醸 ASIAN BEAUTY」750ml 1,375円(ひいな購入時価格)/株式会社澄川酒造場娘・ひいな(以下、ひいな)「熱燗特集2本目です!」父・徹也(以下、テツヤ)「ウェ〜イ。もうすでに4本くらい飲んだ気になってるんだけど(笑)。熱燗は酔いが回るねぇ」ひいな「ね(笑)。今回紹介する『東洋美人』は、大学生の時にハマってよく飲んでたお酒で。渋谷の東急百貨店の地下に酒屋さんがあったんだけど、あそこで買って、よく路上で飲んでたの」テツヤ「路上なんだ(笑)。聞いてないな」ひいな「一合瓶を2人で1つずつ買って飲んだりしてね」テツヤ「おぉ、青春だねぇ。思い出の酒だねぇ」ひいな「そんな『東洋美人』を熱燗で飲んでみたいと思います!」テツヤ「熱燗が合うんだ?」ひいな「実は今回、やってみたいことがあって…」テツヤ「なになに?」ひいな「純米大吟醸をとびきり燗にしてみたい!っていう野望があって」テツヤ「そりゃ実験だ!」ひいな「そう。実験をしてみたくて」テツヤ「確かに家でしかできないことだもんな」ひいな「まずはそのままで飲んでみよう。『東洋美人 純米大吟醸 ASIAN BEAUTY』です!」テツヤ「わぁ〜!知らなかったよ『東洋美人』」ひいな「山口県萩のお酒です!」テツヤ「へぇ」ひいな「このお酒はね、テンション高いんだ、ほんとに」テツヤ「華やかなんだな?」ひいな「そうそう。純米大吟醸らしいお酒だよ」テツヤ&ひいな「いただきます!」まずは常温でいただきます!純米大吟醸らしく、香りにバナナ香が。テツヤ「え?華やかだけど、意外と地味じゃない?」ひいな「そう?確かに振り切る感じはないかもね。いわゆるバナナ香を感じてもらえるかと」テツヤ「確かにフルーティ」ひいな「甘ったるくはないけど、テンション高めではある」テツヤ「うん。高めではあるね」ひいな「じゃ、さっそく燗をつけてみるね。今まではサーモスにお湯を入れて熱燗にしてたじゃない?」テツヤ「そうそう」ひいな「サーモスだと50度くらいしか上がらないから、今回はそれ以上あげたいので……」テツヤ「やかんのたっぷりのお湯であっためるんだな!」ひいな「そう。たっぷりのお湯で燗にします!」テツヤ「とびきり燗って何度まで温めるの?」ひいな「55度以上かな」テツヤ「どんな味になるのか楽しみだなぁ。熱燗にしたらどう変化するんだろうね。このままで十分おいしいからさ」ひいな「これは完全にやってみたかったことを今回やってみるだけだから」テツヤ「合わなくてもいいんだな」ひいな「そう。まずは試してみないとね!」60度まで上げちゃいました!テツヤ「60度までいった!」ひいな「いいね。そろそろ飲もうか」ひいな&テツヤ「乾杯〜」熱々のとびきり燗でいただきます。2回目のいただきます!温めたことで香りも味も変化。テツヤ「なんかおもしろい匂いがするね。あ、おいしい!」ひいな「おいしいでしょう?」テツヤ「常温より華やかになったけど、うわついた華やかさじゃないっていうか。さっきより飲みやすくなったね」ひいな「すごい勝手なイメージだけどさ、東洋美人感あるよね」テツヤ「うんうん。酸味もちゃんと残ってるしおいしいよ。純米大吟醸の熱燗ってこうなんだ!っていう感じ」ひいな「純米吟醸、純米大吟醸レベルになると、『お燗につけてください』って言っても断るお店があるくらいなのね」テツヤ「そうそう。なんかやっちゃいけない感じっていうか、タブーな感じあるよね」ひいな「生酒と純米大吟醸の熱燗はタブーなイメージがある」テツヤ「やったことないだけなんじゃないかなぁ」ひいな「うんうん。それもあるよね」テツヤ「もっと柔軟においしいものを追求したいよね。お酒なんだからさ」「東洋美人 純米大吟醸 ASIAN BEAUTY」に合わせるのは「牛肉の西京漬焼き」。ひいな「今回、思いついたアテが2つあって。そのうちの一つは口のなかがパサパサしそうだからやめて、もう一つにしてみたよ」テツヤ「その却下したほうが気になるんだけど」ひいな「フィナンシェ」テツヤ「え?何?」ひいな「マドレーヌみたいな」テツヤ「おぉ〜。甘いものと合わせるのね」ひいな「それもいいかなって」テツヤ「あぁ、でもわかるわかる。この甘みに合うと思う」ひいな「でも口のなかの水分奪われて、水飲みたくなりそうだなと思って和食にしました」テツヤ「急に変わったね(笑)」ひいな「牛肉の西京漬焼きです!」テツヤ「なんか想像してたのと違った!うまそ〜!フィナンシェからこっちへ大きく振ったねぇ」ひいな「白味噌と純米酒をたっぷり入れて、みりんとお砂糖で味付けしてみたよ」テツヤ「『東洋美人』に漬けたの?」ひいな「今回は違うお酒で漬けました。でも良いお酒だよ(笑)」テツヤ「ぜいたくだなぁ」ひいな「いろいろレシピがあるんだけど、今回はお酒を使って風味を合わせてみようかと。味は濃いめにしましたので、白髪ねぎと合わせてお召し上がりください」テツヤ「一口で?」ひいな「うん」テツヤ「いただきます!うん、おいしい!この味噌の甘さがお酒と合うね」ネギをたっぷり巻いて。甘いお味噌と甘いお酒が好相性。ひいな「でしょう?黒砂糖を使ってみたよ」テツヤ「お酒の酸味と味噌の甘みが合うねぇ。肉もやわらかいねぇ」ひいな「お味噌に漬け込んでるからね。このお酒を調べてたら、納得することがあって」テツヤ「うんうん」ひいな「どこかのお酒の“イズム”を引き継いでる感じがして」テツヤ「イズム?どこだろう?」ひいな「どこだと思う?」テツヤ「え〜!俺でもわかる?」ひいな「『東洋美人』は、四代目の方が実習先で学んだ経験をもとに造ってるんだって」テツヤ「ようは、その実習先っていうのが知られてるところなんだな」ひいな「確かにこの上品さはね、似てるなって」テツヤ「俺、蔵に行ったことある?」ひいな「ないんじゃないかな?」テツヤ「俺、飲んだことある?」ひいな「『伊藤家の晩酌』の中ではないかな。でも絶対飲んだことはあると思う」テツヤ「じゃ、わかんないな」ひいな「『十四代』を造ってる高木酒造」テツヤ「へぇ」ひいな「そこで実習を積んだんだって。『十四代』は飲んだことあるでしょう?」テツヤ「あるある」ひいな「『十四代』の命を削る酒造りに感銘を受けたって書いてあって」テツヤ「そりゃすごい」ひいな「王道の日本酒造りを意識してたりとか」テツヤ「純米大吟醸らしさってみんなが想像するものに当てていくっていうことだな。スタンダード」ひいな「このお酒も、純米大吟醸だなって誰もが思う味わいというか」テツヤ「あぁ。なるほどね」ひいな「純米大吟醸って華やかで、あとにべたってするところもあると思うんだけど、それがないのが『東洋美人』のいいところで。あと『0杯から1杯へ』ってうのを目標にしてるらしくて」テツヤ「あぁ、なるほど」ひいな「日本酒をまったく飲まない人が飲むようになるっていうのが目標らしい」テツヤ「フィナンシェに合わせようとしたってことはさ、お菓子にも合わせられるってことだもんな」ひいな「入り口を狭めちゃうのは王道って言えないのかなって思う」テツヤ「確かに」ひいな「この純米大吟醸を嫌いな人っているのかな?って考えたらすごく少ないと思うんだよね」ひいな「うんうん、わかるよ。俺はお燗にした方が好きだったな」編集・小倉「俺も」ライター・薮下「私も」ひいな「これは蔵の人に伝えないとね」テツヤ「純米大吟醸=冷酒が当たり前なんだもんな。これがスタンダードになると、俺たちが今まで知ってた純米大吟醸はなんだって話になるよな。新しい感じがするなぁ」日本酒にもっと自由を!純米大吟醸を熱燗にしてもおいしいことを証明したい。テツヤ「でもさ、純米大吟醸ってことはお高いの?そんなお酒を温めちゃったの?」ひいな「結構安くてびっくりしたの。いくらだと思う?750mlだから四合瓶より30ml多いね」テツヤ「2,000円以下なわけないよな。2400円!」ひいな「なんと1,375円!」テツヤ「え〜!安い!それは燗にしてもいいよな(笑)。なんでなんで?」ひいな「安くてこのクオリティなんだよ!」テツヤ「こりゃいいね」ひいな「大学生の時に私がハマった理由は安さだったんだよね」テツヤ「なるほどね。純米大吟醸でその価格はすごいね。お求めやすい純米大吟醸なんだな」ひいな「ちなみに、2016年の日露首脳会談の晩餐会でプーチン大統領が『東洋美人』の『一番纏』を飲んで大絶賛したらしいよ」テツヤ「好きそうな感じするよね(笑)」ひいな「2019年にはJALのビジネスクラスでも出たりとか『東洋美人』は人気のお酒なの」テツヤ「知らなかったよ」ひいな「2013年に萩で集中豪雨があって床上浸水で1万本以上流されちゃったんだって。被災後には1500人以上の方が復興を手伝って、2014年に3階建の蔵を建設したんだって」テツヤ「いろいろあったけど、今があるんだね」ひいな「山口県産の山田錦を使ってて、2021年で100周年なんだって」テツヤ「すばらしいね。そういうタイミングで行けたら最高だったのにね」ひいな「今回ね、このお酒を燗にすることで熱燗の間口を広げたいなと思ったんだよね。純米大吟醸を熱燗にしたらダメとか、『東洋美人』みたいなきれいなお酒を熱燗にするなんてもったいないとか言われがちなんだけど、そういうお酒を燗にすることで、やってもいいんだって思ってもらえたらいいなと思って」テツヤ「うんうん。日本酒もさ、もっと自由に飲めたらいいよね」ひいな「やっぱり純米大吟醸を熱燗にすると、やっちゃいけない背徳感があるというか(笑)。でもやったら奥深さますじゃん!ほらみたことか!っていう感じもある」テツヤ「わかるわかる。やってみたらうまかったんだから大成功!でもさ、もっと温度が低いと違う味わいてことだよね?」ひいな「これ40度くらいでも燗にしてみたんだけど、いまいちパッとしなかった。別に燗にしてなくてもいいかなって思っちゃった」テツヤ「やっぱりとびきり燗にしないといけないんだな。この値段だったら罪悪感なくできるのがうれしいよね」ひいな「そういってもらえてよかった!」テツヤ「絶対にやっちゃいけないのかもしれないけど、燗冷ましをロックで飲みたいな」ひいな「もう意味がわからないね(笑)」テツヤ「なんかこのフルーティさが梅酒っぽいっていうかさ。甘みがあるから、氷入れて飲んでみたいなと思って」ひいな「あとはご自由にどうぞ!」【ひいなのつぶやき】固定観念を取っ払うと新たな発見が生まれることを、この回で証明できたと思います!“純米大吟醸燗”、ぜひお試しあれ!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年12月19日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、寒い季節に飲みたくなる燗酒にぴったりな日本酒をご紹介。第二十八夜の1本目は、燗酒のために造られたという、お手頃な長野のお酒。今宵1本目は、熱燗好きが、熱燗のために造ったという「月波ノ波」と「月波ノ月」から。長野県大町市にある薄井商店の代表銘柄といえば「白馬錦」。「山と、水と、ともに生きる。」という蔵のコンセプト通り、北アルプスのふもとで酒造りを行う。長野県小谷村との共同開発で生まれた「月波」シリーズは、夏でも冬でも熱燗が大好き!という小谷村の方々の熱燗への熱い思いによって生まれたお酒。左:普通酒「月波ノ波」990円右:純米酒「月波ノ月」1,430円(各720ml、ひいな購入時価格)/株式会社薄井商店娘・ひいな(以下、ひいな)「今回は何度目かの熱燗特集です!」父・徹也(以下、テツヤ)「ウェ〜イ。さっき確認したら3回目だったよ」ひいな「毎年やってるんだね(笑)。今回はね、いろんな熱燗のバリエーションを紹介したくて」テツヤ「ぬる燗、熱燗とか温度によっていろいろあるけどさ、さらにバリーエーションがあるんだな」ひいな「今回は、熱燗で遊び心を取り入れようっていうのがテーマ」テツヤ「日本酒は、ちょっと真面目すぎるところがあるからな〜」ひいな「そうだね。まだまだ固いところがあるからね」長野県に取材に行ってきました〜!有名な「白馬錦」を造っている蔵が手がけた新しいお酒です。ひいな「ということで、熱燗1本目は〈薄井商店〉の『月波』というシリーズをご紹介します!」テツヤ「このお酒はこの間、ひいなと一緒に長野の小谷村(おたりむら)に取材に行って飲んできた日本酒なんだよね」ひいな「『白馬錦』っていうお酒を造っている薄井商店さんの蔵に伺ったんだよね。この『月波』シリーズは『月波ノ月』ってお酒と『月波ノ波』っていう2種類あって。『月』が純米酒で『波』が普通酒なんだけど」〈薄井商店〉さんに伺いました!タンク1本で「月波」シリーズを造っています。原酒は同じ。テツヤ「普通酒ってなんだっけ?」ひいな「原料とか精米歩合などが定められた特定名称酒(純米酒、本醸造酒、吟醸酒など)に属さないお酒のことを普通酒っていうんだけど」テツヤ「なるほど」ひいな「私は純米酒が好きだから『月』がいいかなと思ってたんだけどね…」テツヤ「うんうん、ひいなは純米酒好きだからな」ひいな「でもね、長野ではずっと『波』を飲んでたんだよねぇ」テツヤ「そうそう」ひいな「まずは普通に常温で飲んでみようか」テツヤ「熱燗にしたらどんなふうに味が変わるのか比較しないとね」まずは常温で。いただきます!ひいな「じゃ、まずは純米酒の『月』から」テツヤ「じゃ、俺は普通酒の『波』から」ひいな&テツヤ「いただきます!」テツヤ「常温でも普通にうまいよ!」ひいな「じゃ、今度は交換して私が『波』を」テツヤ「じゃ、俺は『月』を」ひいな&テツヤ「いただきます〜!」テツヤ「あぁ、俺やっぱり『波』のほうが好きだわ」ひいな「でしょう?私も」テツヤ「何なんだろう。波のほうがスーッっと入ってくるよね」ひいな「純米酒のほうがバランスがいいとか言われがちだけど、普通酒の『波』ほうが整ってる感じがするかな」テツヤ「これ、絶対、熱燗したらうまいだろう!って酒だよな」ひいな「小谷の人はさ、やかんで燗をつけるんだよね」テツヤ「そうそう。やかんに直接入れてね」ひいな「今日はそのやかん酒をぜひみなさんにもご紹介したくて、実践してみたいと思います!」小谷村直伝!やかんで直接、火にかける燗酒の作り方。やかんに直接日本酒を注いで火にかけます。ひいな「今回は、普通酒の『波』を燗にしてみようか。まず日本酒をやかんに直接入れます」テツヤ「湯煎じゃないんだよな」ひいな「そう。やかんに入れて、直火で温めるんだよね」テツヤ「しかもさ、やかんっていうのがいいよね」ひいな「アルコールが飛んじゃわないように、必ずふたをしてください!小谷村の方曰く、ふたをするのがポイントだそうです!」テツヤ「アルコールを余すことなくいただくためにも、ふたは忘れずに!」ひいな「じゃ、火をつけるね」テツヤ「火加減はどうするの?温度ってどうやって測るの?」ひいな「鍋肌がふつふつしてきたな、っていうぐらいでいいみたい」テツヤ「あぁ、沸騰する前のふつふつで止めるんだな」ひいな「実は、〈薄井商店〉の社長さんにいただいたものがありまして…」ひいな「その名も『おかんメーター』!」テツヤ「すごいレトロだよな。どこで売ってんだろう(笑)」ひいな「私も初めて見たよ」編集・小倉「僕、〈東急ハンズ〉で見たことありますよ(ライター注:各ネットショップなどでも購入できるようです)」ふつふつするまで火にかけたら、70度近くまでいきました!ひいな「こんふうにやかんにそのまま入れて温度が計れます」テツヤ「ぬる燗と熱燗の間ってなんていうか知ってた?」ひいな「上燗?」テツヤ「あたり!温度によって何燗なのか書いてくれてるのがありがたいね。今日はどのあたりにするの?」ひいな「今日はかなり熱めで。とびきり燗って言われる温度かな」テツヤ「おかんメーターには書いてないや。とびきり燗は何度なの?」ひいな「55度以上かな」テツヤ「熱々だな」ひいな「今回は、繊細な温度のぬる燗とかじゃなくてガチガチのお燗を」テツヤ「おぉ!温度ぐんぐん上がってきた!あっという間に60度超えた!」ひいな「ふつふつしてくるぐらいが60度くらいなんだね。あ、70度までいっちゃった!」テツヤ「もういいんじゃないの?」ひいな「もういいね(笑)」熱々のお酒を湯呑みに注いで…。ふぅふぅしながら飲む熱燗、たまりませんね。(注:お茶ではありません)テツヤ「わぁ、湯気が立ってる!」ひいな「じゃあ、いただきましょう」ひいな&テツヤ「あぁ、うまいよ。香りが全然変わったね」ひいな「あぁ、これだ。これだね!」テツヤ「さっきの常温よりぜんぜんうまいよな」ひいな「余計なものが飛ぶんだろうね」テツヤ「甘みがすごく残るよね。ぜんぜんいやな甘みじゃなくってさ。するっとお茶みたいに飲めちゃうな(笑)」ひいな「そうそう。火を通すことでお酒の味が平坦になって、ずっと飲み続けられるお酒になるっていうか」テツヤ「やっぱりさ、やかん酒は湯呑みだよな。おちょこより湯呑みが似合うよ」ひいな「本当にお茶を飲んでるみたいな感覚だよね」「月波ノ波」に合わせるのは、〈道の駅おたり〉で買った地元グルメセット!左上から時計回りに。唐辛子が効いたピリッと辛い「こしょうみそ」、〈おたり生ハム工房〉の「熟成生ハムニンニクオリーブ」と「原木熟成プロシュートペースト」は止まらないおいしさ。酸味と食感が抜群の「野沢菜ふぶき」の4つ。ひいな「これに合わせるおつまみは、小谷の道の駅で売ってる、地元名産品の数々です!」テツヤ「絶対うまいだろ!ってやつばっかりセレクトしたもんな」ひいな「このプロシュートペースト、気になるよね」テツヤ「〈おたり生ハム工房〉は、小谷で豚を放し飼いで飼育してるところがあってね。その豚を加工してプロシュートを作ってて。栂池高原のゲレンデの上にある変電室みたいな小屋にぶら下がってるんだよね」ひいな「そう。すごい数ぶら下がってたよね。その生ハムを使ったパテと、生ハムをにんにくオリーブオイルにつけこんだものと…あと、取材に同行してくれたカメラマンさんの米谷亨さんおすすめの野沢菜も」テツヤ「そうそう。米ちゃんが『これすごくおいしいんですよぉ〜』って教えてくれたんだよね」ひいな「モノマネすごい似てる(笑)。このこしょうみそは、いわゆる唐辛子味噌で『白馬錦』の〈薄井商店〉さんに行った時、『ちょっと待ってて』って社長がかばんの中から、こしょうみそを出してくれたんだよね」テツヤ「そうそう。自家製のね」ひいな「いつも持ち歩いてるんだ!ってびっくりした(笑)」テツヤ「熱燗に合わせるつまみの定番なんだね」じひいな「じゃ、そろそろ、やかん酒に合わせてみようか!」ひいな&テツヤ「いただきます!」テツヤ「この野沢菜本当にうまいな!米ちゃん、ありがとう!」ひいな「うん、本当においしいね、この野沢菜。日本酒も、燗冷ましになってきて、どのおつまみとも合う〜!」テツヤ「全部ごはんのお供だよな」ひいな「ごはんのお供ってことはお酒のお供だから(笑)」テツヤ「プロシュートと小豆島のオリーブオイルのやつも最高だな。生ハムのうまみとやかん酒が合わさったら、口の中でスープになったよ。この〈おたり生ハム工房〉さん、ヤバいね」ひいな「じゃ、そろそろ、あれを…」〈おたり生ハム工房〉の小谷産原木熟成プロシュート買ってきてしまった伊藤家。やかん酒のいいつまみになります。プロシュートを食べたいだけ削ります!なんと贅沢!テツヤ「原木で買ってきちゃったね(笑)」ひいな「食べ放題やりたい!」テツヤ「あぁ、最高!日本酒にも最高に合うよ。ワインよりも合う気がする」ひいな「やかん酒の味の平坦さに、プロシュートの味の盛り上がり方がすごいから合うんだよね。やかん酒がなんでも受け止めてくれる感じかな」テツヤ「日本でプロシュート作ってるところって少ないんだって。温度管理がむずかしいのかな。これ24ヶ月熟成らしいんだけど」ひいな「うまみがぎっしり詰まってる」テツヤ「ちょっと発酵した香りもあって。クセになるよね」ひいな「買ってきてよかった」テツヤ「カメラ機材より、プロシュート2本のほうが重かったもんな(笑)」ひいな「1本は誕生日プレゼントであげたんだよね」テツヤ「ありがとう。自分で削ってつまんで。永遠に飲んでられる、最高のプレゼントです!」熱燗のために開発された「月波」シリーズ。「月」と「波」どっちがお好き?テツヤ「このさ、湯気が出た日本酒を湯呑みに入れて、ふぅふぅ言いながら飲む感じがいいんだよなぁ」ひいな「冷めてきて飲むのもまたいいんだよねぇ。それが燗冷まし。どの温度帯でもおいしいのがやかん酒の特徴だなと思ってて」テツヤ「確かに。沸かしたてより、少し冷めてきた今がうまいぞ。うまみが出てきた感じ。出汁っぽさもあるっていうか。ほんとにずっと飲めるよ。やかん酒、小谷村で初めて飲んだ時も最高だったもんな」ひいな「そう!小谷村で行ったジンギスカン屋さんは大きいやかんで出してくれてね」テツヤ「あれは大きかったよなぁ」ひいな「朝10時からジンギスカン屋さんでやかん酒(笑)」テツヤ「ジンギスカンみたいな濃いやつを合わせるのがすごいよかったんだよね」ひいな「この『月波』シリーズは熱燗をつけるために造られたお酒なんだって」テツヤ「それをコンセプトに開発されたんだよね。夏でも熱燗にするって言っててびっくりしたよね。夏は冷酒だとばっかり思ってたからさ。普段からやかん酒を飲むって言ってたけど、やっぱりお茶みたいな感覚なのかな」ひいな「そうかもね。昔から飲んできた伝統があるんだろうね」テツヤ「村の寄り合いがあれば、やかん酒を飲むんだろうな」白馬錦もいただきました!ひいな「〈薄井商店〉の代表銘柄の『白馬錦』もお燗にしておいしいお酒なんだけど、それで〈道の駅おたり〉の方から〈薄井商店〉さんに『お燗にしておいしいお酒を造ってください』っていう依頼がきて造ったんだって」テツヤ「お燗好きな人たちからのオーダーだったんだな」ひいな「小谷百姓七人衆っていう若手の生産者さんたちが造った地元の『ひとごこち』っていうお米だけを使って造ってるんだって」一面、黄金色のたんぼ。『月波』のふるさとです。テツヤ「『月』もおいしいんだけど『波』がほんとうにいい。おすすめ。これ、確か安いんだよな?」ひいな「うん。普通酒の『波』は990円。純米の『月』が1430円」テツヤ「安くてうまいとか最高だよ。気兼ねなくやかん酒にできるしね」ひいな「うん、断然、やかん酒だよね」テツヤ「なんか飲めば飲むほど、長野の酒って感じがするよな。魚じゃないっていうかさ」ひいな「あぁ、分かる気がする!」テツヤ「ほら、みそとか野沢菜とかと合わせるイメージ。雪深いところで熱々のやかん酒を飲むの。あったまるな〜。もうこれはやかん酒のチャンピオンだな」ひいな「うん、チャンピオンだね!」【ひいなのつぶやき】奥の深いお燗酒ですが“やかん”で温めちゃうのも立派な楽しみ方のひとつ!難しいことはさて置おき、温める過程も楽しんじゃいましょう!薄井商店を父娘で訪ねた蔵元レポートはこちらひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年12月05日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は第二十五、二十六夜の総集編をお届けします。お宅にお邪魔した料理家さんは…ワタナベマキ保存食や乾物を使った料理に定評があり、ライフスタイルを紹介した著書も多数。近著に『ワタナベマキの梅料理』(NHK出版)、『ワタナベマキのスパイス使い』(グラフィック社)が好評発売中。冷水希三子ひやみず・きみこ/奈良県生まれ。レストランやカフェ勤務を経て、フードコーディネーターとして独立。旬の食材を生かした料理が人気。現在は料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ製作を中心に書籍、雑誌、広告など活躍の場を広げる。公式HPはこちらワタナベさん1品目/甘み、塩気、花椒の辛味が三位一体!「豚肉とトウモロコシの花椒和え」あわせた日本酒は「開華 遠心分離酒(純米吟醸生酒)」栃木県佐野市の第一酒造は、1673年創業で県内でも最も歴史のある酒蔵。創業当時から農家として米作りから酒造りも行う。さらりとした飲みやすさと、ふくよかな米の味わいが両立するバランスのいいお酒『開華 遠心分離酒(純米吟醸生酒)』720ml 2,145円(税込・ひいな購入時価格)/第一酒造株式会社この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!ワタナベさん2品目/夏の香り漂う香味野菜と、鮎のほろ苦さが大人の味わい「鮎の塩焼きと香味野菜の和えもの」あわせた日本酒は「櫛羅 純米 無濾過生原酒」奈良県御所(ごせ)市にある、櫛羅(くじら)という町にある千代酒造。櫛羅の地で育てられた山田錦を100%使用。他にも「篠峯」という銘柄も人気。「櫛羅 純米 無濾過生原酒」720ml 1500円(税込・ひいな購入時価格)/千代酒造株式会社この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!ワタナベさん3品目/梨とプラムを使った「フルーツのスパイスシロップ漬け」あわせた日本酒は「結ゆい 赤磐雄町 特別純米 亀口直汲み 無濾過生原酒」茨城県結城市にある結城酒造。蔵に嫁入りしたという女将・浦里美智子さんが杜氏として手がけたのが「結ゆい(むすびゆい)」。ごく少量生産ながらその味わいにファンがつき、人気の銘柄に。岡山県産雄町を使ったフレッシュな1本「結ゆい 赤磐雄町 特別純米 亀口直汲み 無濾過生原酒」720ml 1760円(ひいな購入時価格)/結城酒造株式会社この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!冷水さん1品目/生クリームを使ったフランスの煮込み料理「チキンときのこのフリカッセ」あわせた日本酒は「東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK」佐賀県多久市にある東鶴酒造。県産の酒造好適米「さがの華」を100%使い、地元の山から流れ込む伏流水に、黒麹で仕込むことでコクと厚みが生まれた一本。「東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK」720ml 1,760円(ひいな購入時価格)/東鶴酒造株式会社この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!冷水さん2品目/フェンネルの根を使った「フェンネルとイカとオレンジのサラダ」あわせた日本酒は「卯酒 月見うさぎ」福島県本宮市にある大天狗酒造。JR本宮駅からすぐの場所にある小さな蔵で福島県産の米、麹、水で仕込んだ丁寧な一本。夏を越して熟成感が増した純米吟醸酒は秋の夜長にぴったり。「卯酒 月見うさぎ」720ml 1,540円(ひいな購入時価格)/大天狗酒造株式会社この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!冷水さん3品目/こんがり焼いた鯖に酸味のあるソースを合わせた「鯖のトマトバターソース」あわせた日本酒は「長陽福娘 山廃特別純米 山田錦」山口県萩市にある岩崎酒造。萩産の山田錦と地元阿武川の水を使った山廃仕込み。旨みと酸が料理を引き立てる。「長陽福娘 山廃特別純米 山田錦」720ml 1,485円(ひいな購入時価格)/岩崎酒造株式会社この日の晩酌の詳細はこちらをクリック!過去の連載はこちら娘・ひいなと父・テツヤが毎週織りなす愉快な親子晩酌。これまでの連載内容はこちらをクリック!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年11月21日©STUDIO ITO DESIGN連載【From cities 世界の都市に憧れて】では、パリ、ミラノ、NY etc...世界の都市の街のこと、注目アドレスやリアルなシティスナップなど、現地からの最旬情報をお届け! 近い未来、また気兼ねなく海外へ行き来できるようになったら行ってみたい、暫くは、そんな気持ちも込めてお送りしていきます。第22回目は、本連載の第19回にて掲載した「理想の暮らしを考えるアイデア。ミラノ在住インテリア・プロダクトデザイナー・伊藤節さんと伊藤志信さんの家《前編》」に続く《後編》です。©STUDIO ITO DESIGN(前編記事より引用)ミラノで暮らす日本人インテリア・プロダクトデザイナー・伊藤節さんと伊藤志信さんの素敵な家にフォーカス。2年前にリフォームされた夫妻のご自宅をレポートします。随所に登場する彼らが手掛けた家具も必見。早速チェックして。リフォームとインテリアコーディネートで理想的な生活空間に。インテリア・プロダクトデザイナー、伊藤節さんと伊藤志信さんが暮らす家「テラスはミラノという大都市に住む上で、自然に触れられる大事なスペース。二人とも緑が好きなので、緑で囲まれたテラスに。植物プランターの空間には、自身でデザインした線材の彫刻を置いています。テラスの面積は、100㎡以上。テラスと室内を隔てている扉を開放すると、屋外と屋内(キッチン部分)をフラットに繋ぐことができます」(インテリア・プロダクトデザイナー 伊藤節さん、伊藤志信さん)■Terrace©STUDIO ITO DESIGN©STUDIO ITO DESIGNテラスにあるアウトドアファニチャーは、伊藤さん夫妻がデザインしたもの。これらの家具は、天気によって配置を変えて楽しむという。©STUDIO ITO DESIGNテラスの素敵なプランター。愛猫も一緒にスナップ。©STUDIO ITO DESIGNキッチンスペースは、テラスの扉を開放するとフラットに繋がる間取りに。キッチンで調理した料理をテラスのテーブルに運び、パスタとワインで昼食を楽しむこともしばしばあるのだそう。■Stair Space©STUDIO ITO DESIGNテラスに続いて紹介するのは、階段の踊り場。オリジナルは、1950年代のミラノの4階層マンションで、階段のリンギエラ(手摺)は当時のものを採用。照明代わりにバックライトつきの絵画が飾られている。同スペースに設置された彫刻的なコートハンガーも印象的。■Living Room©STUDIO ITO DESIGNこちらは、天井高4m超のリビング。家全体に採用されているロールカーテンの生地は、伊藤さん夫妻がデザインし、コモの繊維会社が織ったファブリック。常に室内の空気が回るように、天井のストラクチャーには、シーリングファンが設置されている。天井はスカイライト仕様になっており、部屋は常に明るく、気持ちが良い。■Dining corner©STUDIO ITO DESIGNダイニングの一角には、サボテンとシダーウッドを使った愛猫の彫刻作品が。このアートピースも伊藤さん夫妻の作品なのだそう。前後編で2記事にわたって展開した“伊藤節さんと伊藤志信さんのご自宅レポート”、いかがでしたか?インテリア・プロダクトデザイナーならではのこだわりが詰まった家とその室内スタイリング。ぜひ、マイホームや部屋作りの参考にしてみてくださいね。■デザイナー:伊藤節・伊藤志信©STUDIO ITO DESIGN建築、インテリア、スペースからプロダクト、パッケージデザインまで多岐にわたるデザインを総合的に行っているデザイナー。1997年ミラノにデザイン事務所を設立し、世界各国のクライアントに対する幅広いデザイン開発、デザインコンサルタント業務に携わる。世界中で展示会、講演会を行い、東大先端研をはじめイタリアと日本の数多くの大学でも教育、研究活動を行っている。URL:studioito.com>>連載【From cities 世界の都市に憧れて】一覧はこちらから
2021年11月10日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回も伊藤家を飛び出し、出張篇を全3回でお届け。料理家の冷水希三子さんのお宅にお邪魔し、ワインに合う洋風な料理を作っていただきました。第二十七夜の3本目は、濃厚なバターソースにも合う福島のお酒。3品目は、こんがり焼いた鯖に酸味のあるソースを合わせた「鯖のトマトバターソース」。父・徹也(以下、テツヤ)「こりゃ、いい鯖だねぇ。立派!」冷水希三子(以下、冷水)「これはどうだろう?イメージ通りかな?」娘・ひいな(以下、ひいな)「正直に言っていいですか?まだわからないです(笑)」テツヤ「自信なさげだね(笑)」テツヤ&ひいな「うわ〜おいしそう〜!」ひいな「焼き目がほんとに美しい。バターのいい香り!予想とは違ったけど合うと思います!」冷水「お!」テツヤ「お!」鯖に塩をしてしばらく置き、バターとオリーブオイルを使ってフライパンでこんがりと焼き目がつくまで焼く。時々油をまわしかける。小鍋にバター、プチトマト、玉ネギ、ケイパー、レモン汁を加えてトマトバターソースを作り、焼いた鯖にたっぷりとかける。レモンの酸味の効いた濃厚なソースに、香ばしい鯖が最高の組み合わせ。冷水「はい、鯖のトマトバターソースです」ひいな「もう絶対おいしい!」テツヤ「バターソースなんておいしいに決まってるよね。鯖も好きなんだよな」ひいな「おいしいよねぇ。トマトバターソースってお聞きしてたんですけど、どんなソースなのか想像がつかなくて」テツヤ「あぁ、確かに。これはいわゆるトマトソースって感じじゃないもんな」ひいな「トマトが崩れたような、もっとトマトをベースにした感じかと思ってたんですけど」冷水「うんうん」ひいな「想像してたのとは少し違ってたんですけど(笑)、でも今回は合うと思います!」冷水「よかった!」テツヤ「期待しよう!」冷水さんに取り分けていただいて…。さぁ、みんなでいただきます!ひいな&テツヤ「いただきます!」冷水「どうぞ!」ひいな「身がやわらかい!!!」テツヤ「身がぷっくりとして、本当に立派なサバだねぇ。これは本当にうまい!」ひいな「おいしすぎる…」テツヤ「もう何もいらん!」冷水「お酒は…(笑)?」ひいな「もうね、これは絶対お酒に合うと思う!」冷水「お酒飲もう?鯖がなくなっちゃいそうだから(笑)」ひいな「はい。もう飲みましょう!」テツヤ「早く早く!」「鯖のトマトバターソース」に合わせるのは「長陽福娘 山廃特別純米 山田錦」山口県萩市にある岩崎酒造。萩産の山田錦と地元阿武川の水を使った山廃仕込み。旨みと酸が料理を引き立てる。「長陽福娘 山廃特別純米 山田錦」720ml 1,485円(ひいな購入時価格)/岩崎酒造株式会社ひいな「このお酒が3本の中で一番渋いです」テツヤ「山廃か!」ひいな「『長陽福娘(ちょうようふくむすめ)』っていうお酒です!」冷水「日本酒らしい名前だね」テツヤ「この空間で存在感あるね。和と洋の融合だね!」ひいな「では、注ぎますね」一同「いただきます!」早く飲みたくて、日本酒が待ちきれない3人。いただきます!!鯖に合うほどよい酸味がいい感じ。テツヤ「おぉ。ぜんぜん違う!山廃だもんね」ひいな「ケイパーとの相性がいいんじゃないかと思ってるんですけど、どうですか?」テツヤ「うん、これはいいね」冷水「うん、合う合う!」ひいな「よかった〜!トマトとケイパーの酸味が合うと思います」冷水「うんうん。バターにも合うね。料理と日本酒を一緒に食べて飲むほうがいいね。両方がおいしくなる」テツヤ「いいね、いいね」ひいな「このお酒は酸度が普通の日本酒よりもやや高めなんだけど、濃いめでも淡白な味でも何でもいけるって蔵は言ってて」冷水「バターと鯖もOKだもんね」テツヤ「濃いめの味つけでもバッチリ合ってるもんな。鯖とトマトとケイパー以外何が入ってるの?」冷水「ソースにちょっとだけ玉ネギが入ってる」テツヤ「そうか。それもいい味だしてるんだね」冷水「あとはレモンが結構たっぷり入ってるかな」テツヤ「うん、この酸味、すごく合うよ」ひいな「この蔵は山口県の萩にあって。お米は山田錦を使ってるんだけど萩で作られたものなんだって。『長陽福娘』っていう名前の由来は明治34年の創業当時の蔵元の岩崎さんに女の子が次々と誕生して、すくすく育ってほしいということで名づけられました」冷水「なるほど」ひいな「萩の昔の呼び名の長陽に『重陽の節供』の重陽にもかけてるんだって」テツヤ「福娘って縁起がいいねぇ。親心だねぇ」ひいな「阿武川の中軟水を使ってるそうなんだけど、やわらかくてまろやかな飲み心地のこのお酒の優しい味わいを作り出す一因になってる。そのお水がおもしろくてね。蔵で水を磨くんだって」冷水「水を磨くってどういうこと?」テツヤ「水の大吟醸か?」ひいな「水を濾過して紫外線で殺菌をしてるらしい」冷水「へぇ、すごいね」ひいな「鉄分とか有機物って発酵する時の妨げになるから、あらかじめ水をきれいな状態にしておくらしくて。それはなかなか珍しいかもしれない」テツヤ「へぇ。そういう蔵はあんまりないんだな。日本酒の世界って奥深いねぇ」ひいな「蔵ごとに、それぞれこだわりがあるよねぇ」冷水「蔵でお米を育てたりもしてるんでしょう?」ひいな「そうです。自社田を持ってところもありますし」冷水「きっと自分たちで作りたくなるんよね」ひいな「そうですね。水もお米もこだわりたいんでしょうね。昔はお酒を仕込む冬の時期だけ蔵人を雇っていたんですだけど、夏場も雇うためには田んぼから手がけるっていう蔵も増えてますね」冷水「なるほど。そのほうがいいよね」テツヤ「昔の漫画とかにもさ、夏が終わって杜氏さんが蔵にやってくるっていうシーンがあるもんな」ひいな「何の漫画?」テツヤ「『夏子の酒』」ひいな「へぇ」あっという間に鯖を平らげた父・テツヤ。骨で余韻を味わいます(笑)。冷水「ひいなちゃん、鯖とこのお酒、すごく合ってた!」テツヤ「これ、めちゃくちゃメインだね。主役だよ!」冷水「うん、メインだよね!」ひいな「2本目に飲んだ『卯酒』と合わせてみますか?」冷水「あ、鯖がなくなっちゃった?」テツヤ「大丈夫。骨をしゃぶるよ(笑)」冷水「(笑)」テツヤ「まだ口の中に鯖の余韻があるから大丈夫」一同「いいただきます!」ひいな「鯖と『卯酒』すごく合いますね」一同「うん。そうだね。鯖に合ってる」冷水「うんうん。こっちのほうが合ってるね」「ワインと日本酒の境目がない」という冷水さんの日本酒のつきあい方。ひいな「冷水さんが最初に飲んだことのある日本酒ってどんな思い出ですか?あんまりいい印象がなかったりします?」冷水「日本酒か。いつ飲んだんだろう?」テツヤ「冷ちゃん世代もね、そんないい印象ないよね?」冷水「たぶん、最初はあんまりいい思い出ないよね」テツヤ「そうそう。酔うための酒みたいなさ」ひいな「どういう時に日本酒を飲まれます?」冷水「和食と合わせてかな。家ではほぼ飲まなくて。和食屋さん行ったり、お寿司屋さんに行ったら必ず飲むよ。ワインを置いてるところもあるけど、そういう時は日本酒」テツヤ「へぇ。ワインじゃなく」冷水「うん。途中で味を変えたい時にワイン飲んだりとか。私の中では今、ワインと日本酒の境目がなくて」テツヤ「あぁ〜」冷水「日本酒とワイン、交互に飲んでも大丈夫」テツヤ「なるほどね」ひいな「一番いい日本酒とのつきあい方をされてますね」テツヤ「そうだね」ひいな「そうなってほしいよね」テツヤ「そうやってさ、ワインと日本酒、行ったり来たりできたらいいよね」冷水「ワインもずっと飲んでるとね、他のが飲みたくなる」テツヤ「そうそう。気分転換に違うお酒を飲みたくなるよね。1本目に飲んだ『東鶴』もワインみたいだいだったもんね」ひいな「うん。今は日本酒もいろいろあるから」テツヤ「バターソースとかフリカッセとかフレンチとも日本酒を合わせられるっていうことがわかったよね。本当にうまかったなぁ。こんなの食べられるレストランがあったら即予約しちゃうよね!」冷水「ほんと?やったね!」テツヤ「冷ちゃんの料理の中でこれくらい濃い味つけってめずらしくない?」冷水「そう。これは結構ね、ガツンと」テツヤ「そうだよね。それはやっぱりお酒に合わせた感じなんだ」冷水「うん。今回はひいなちゃんが日本酒を選びやすいようにと思って。味が想像できるようにと思ってメニューを選んだんだけど、フェンネルは難しかったね」テツヤ「ひっかけ問題があったね(笑)」ひいな「(笑)。フェンネル、サラダってちゃんと調べてればよかったです」テツヤ「確かにあのフェンネルの根っこは見たことなかったし、勉強になったね」冷水「今回は和食と合わせてるわけじゃなくて、冒険してるんだから」テツヤ「そうそう。普段合わせたことのない料理との組み合わせがおもしろいわけだから」ひいな「今回も本当においしかったです」テツヤ「冷ちゃん、どうもありがとう。これからも冷ちゃんの撮影の時は、夜が遅くなると思っていただいて…」ひいな「了解です(笑)」冷水希三子ひやみず・きみこ/奈良県生まれ。レストランやカフェ勤務を経て、フードコーディネーターとして独立。旬の食材を生かした料理が人気。現在は料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ製作を中心に書籍、雑誌、広告など活躍の場を広げる。公式HPはこちら【ひいなのつぶやき】冷水さんの食材選びや味のメリハリのつけ方に、とても感動した出張篇でした。そして日本酒の可能性をより感じました!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年11月07日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回も伊藤家を飛び出し、出張篇を全3回でお届け。料理家の冷水希三子さんのお宅にお邪魔し、ワインに合う洋風な料理を作っていただきました。第二十七夜の2本目は、スッキリとした飲み口強めの福島のお酒。フェンネルの根を使った「フェンネルとイカとオレンジのサラダ」。父・徹也(以下、テツヤ)「さっきからずっと作ってる様子見ながら『おいしそう』を連発してるよね」娘・ひいな(以下、ひいな)「食べる前から興奮してるよね(笑)」冷水希三子(以下、冷水)「次はフェンネルを使ったサラダです」テツヤ「え?これがフェンネル?」ひいな「セロリみたい」テツヤ「え、そういうふうに売ってるの?俺、初めて見たかも!」冷水「ほんとに?」テツヤ「こんなふうに売ってるんだ。きれいだなぁ」ひいな「葉っぱしか見たことなかった」テツヤ「どこで買えるの?」冷水「〈紀伊國屋〉は年中、売ってるよ」フェンネルの全貌がこちら!今回は葉っぱではなく、白い根をサラダにしていただきます。ひいな「その白いところは食べられるんですか?」冷水「ここを食べるんです」ひいな「え〜!」冷水「葉っぱは風味づけとかに使って、ここをサラダに」ひいな「葉っぱを使ったサラダなんだとばっかり思ってました…」テツヤ「まるっと葉っぱから根っこまで使えるんだ。どんな味なんだろ。楽しみ!」冷水「昔のレシピとかには『フェンネル(セロリで代用)』って書かれてて、ぜんぜん味が違うんやけどね(笑)」ひいな「うわぁ。味の想像がつかないです…」冷水「食べたことないとね。香りはフェンネル」ひいな「なるほど…」テツヤ「確かに、見た目はセロリに似てるね。日本でも作ってる農家さんがいるんだね」冷水「うん。日本でも作ってる農家さんはいて、長野が多いのかな」テツヤ「気候的に作りやすいのかな。うわ、固そう?」ひいな「ね。食感も想像がつかない。わ、イカとオレンジが入ってきれい〜」フェンネルの根を薄切りにする。香りづけに葉も少しだけ刻んでおく。イカはさっと茹で、オレンジは皮をむく。フェンネル、イカ、オレンジに、オリーブオイル、塩、かぼすをたっぷりしぼって混ぜ合わせたら完成。冷水「ひいなちゃんが、だんだんと無口になってきたけど…大丈夫?」ひいな「…イメージしてたのと全然違いました。葉っぱだと思ってて。想像してたのと違ったな、と思って(笑)」テツヤ「そういう驚きもいいよ。どんなマッチングになるか、楽しみにしようよ」ひいな「フェンネル=葉っぱだと思い込んでました」冷水「セロリとイカとオレンジのサラダって言った方がわかりやすかったかな」ひいな「でもそれだと風味が違いますよね?」冷水「うん。これはオレンジをポイントに日本酒を選んだの?」ひいな「いや、どちらかというと、フェンネルですね」テツヤ「そりゃ、困ったね。でも、食べてみようよ!おいしそう〜」冷水「きっと日本酒に合うと思うよ」ひいな「急にドキドキしてきました」冷水「たこきゅうりと似たようなもんだし(笑)」ひいな「食感が楽しそうですね」テツヤ「ね。食べよう食べよう!イカが大好物なんだよ」ひいな「私も!」冷水「ご家族で(笑)。さぁどうぞ」見たことも食べたこともないフェンネルの根を使ったサラダが登場!どんな味なのか興味津々。さぁ召し上がれ。一同「いただきます!」ひいな「フェンネルの味、気になるね」テツヤ「こりゃセロリじゃないよ(笑)」冷水「ね!」テツヤ「どっちかっていうとカブに近い?」ひいな「食感が思ってたよりやわらかいね」テツヤ「オレンジがさわやか〜」ひいな「かぼすも入ってたから、そのさわやかな酸味もあって。おいし〜」テツヤ「こりゃバクバク食べちゃうね」ひいな「日本酒と合わせる前に食べ過ぎちゃうからお酒持ってくるね!」「フェンネルとイカとオレンジのサラダ」に合わせるのは「卯酒 月見うさぎ」。福島県本宮市にある大天狗酒造。JR本宮駅からすぐの場所にある小さな蔵で福島県産の米、麹、水で仕込んだ丁寧な一本。夏を越して熟成感が増した純米吟醸酒は秋の夜長にぴったり。「卯酒 月見うさぎ」720ml 1,540円(ひいな購入時価格)/大天狗酒造株式会社ひいな「…ちょっといいですか?」テツヤ「どうしたの?」ひいな「このサラダに、この日本酒は合わないかもしれない…(笑)」テツヤ&冷水「(笑)」ショックを隠せない娘・ひいなの横で励ます(?)父・テツヤ。テツヤ「いいじゃない、いいじゃない。そういう回があってもいいじゃない」ひいな「このお酒はね、すっごくおいしかったの。大天狗酒造っていう、福島県の蔵に行っていろいろ飲み比べさせていただいて、フェンネルと合うと思って選んだの。だけど、完全にオレンジとイカの存在を忘れてて…」テツヤ「そうかそうか。酸味がね」ひいな「柑橘と合うかな?っていうのがすごく不安です…」冷水「飲もう!」テツヤ「合わなかったら合わなかったで」ひいな「でもね、お酒としてはおいしいんだよ?ほんとにおいしいの。でも…」テツヤ「そういう予感って当たっちゃうんだよな」ひいな「うん。割と当たっちゃう。もともと、この蔵がキリっとサラッとしたお酒を造る蔵で、その中でもこのお酒は割と香りがあるほうなんですよ」お酒の香りの印象とフェンネルの組み合わせは相性いいのですが…。冷水さんも香りは合わなくはないとおっしゃいますが…。冷水「香りをかいだ感じだと、合わなくはないと思うけど。香りは(笑)」ひいな「では、おつぎいたします」テツヤ「小さいおちょこだね」ひいな「この大きさがちょうどいい感じ」テツヤ「なるほど。強めってこと?」ひいな「そう。ゴクゴク飲むお酒ではないっていうか」冷水「そういうことね」ひいな「少しずつ楽しむお酒かな」いただきます!お味はいかに?しっかりとした味わいで口当たり強め。一同「いただきます!」冷水「おぅ。結構どっしり」テツヤ「なるほどね。小さいおちょこの意味がわかった」冷水「なるほどね。合わないね(笑)」テツヤ「さっそく(笑)。なんか焼酎っぽくない?」冷水「かぼすと焼酎は合うよ?」テツヤ「福島のお酒なんだよな?泡盛じゃないけど、そんなイメージがあるぞ」ひいな「言い訳をしていい?フェンネルって香りがあるでしょう?」テツヤ「うん。でもこの根っこは、そこまで香り強くないもんな」ひいな「フェンネルの香りに乗っかるお酒をイメージしたの。もうちょっと合うと思ったんだけどな〜」テツヤ「合わせるとちょっと苦く感じるかも」ひいな「合わなくはないけど、すごくう合うわけじゃない」テツヤ「いつもバッチリ合うお酒が多いからね。こういう組み合わせもあっていいと思うよ」冷水「うん、いいと思うよ」テツヤ「このお酒に何が合うのか冷ちゃんに教えてもらおうよ」冷水「むずかしいなぁ(笑)」ひいな「蔵はソーセージときのことシチューとチーズに合うっておっしゃってて」テツヤ「ということはフリカッセのほうが合うんじゃない?日本酒としては俺すごい好きだけどな」冷水「うん」ひいな「おいしいよね」テツヤ「甘くないし、すっきりしてるから食事に合うよ。余韻がいいね、このお酒」ひいな「冷水さんにフリカッセのきのこと合わせて飲んでみていただきたいです!」冷水「(フリカッセのきのこを一口)う〜ん…」テツヤ「素直な反応だね(笑)」ひいな「フリカッセと合わせると渋みが出てきますね…」冷水「それよりは、焼き魚とかのほうが合うかもね」ひいな「焼き魚!それは蔵も目からうろこだと思います」冷水「もしかしたら、次に紹介するサバの方が合うかも」ひいな「なるほど!じゃ、お酒少し残しときましょうか」テツヤ「うんうん。そうしよう」冷水「合わないわけじゃないんだけどね」ひいな「蔵のおすすめするソーセージとの組み合わせってどんな感じなんだろう」冷水「確かにこのお酒なら、ソーセージのパンチと塩味と脂に負けないのかも」ひいな「結構、強いですよね、お酒の印象」冷水「うん。でも、強いけどキレるから残らないというか」テツヤ「そうそう。するっと消えるよね」冷水「あ!お寿司とかいいかも」ひいな「お寿司!」冷水「炙ったお寿司!」テツヤ「あぁ〜!」冷水「のどぐろとか」テツヤ「脂と炙りの香ばしさだね」冷水「イカを炙ればよかったかね。茹でずに」テツヤ「それでサラダにするの?」冷水「そう。このサラダ、イカを炙ったバージョンと茹でるバージョン両方作るの」テツヤ「そりゃいいね。この企画のおもしろさはこういうところだよね」冷水「何が出てくるかわからないもんね」テツヤ「ひいなも勉強になったね」ひいな「一歩成長するために」テツヤ「こうやって教えてもらうのが一番いいからね。いやぁ、このフェンネルの根っこ、おいしいね。こうやって食べるんだね」冷水「イタリアンレストランに行くと前菜とかでよく出てくるよ」テツヤ「初めて食べたよ!」小さな蔵の20代の女性杜氏が造った日本酒を応援したい!ひいな「杜氏さんはね、小針さんっていう女性の方なんだけど、2018年に福島県の清酒アカデミーを卒業したばっかりで」テツヤ「え、ついこないだじゃん」ひいな「そう。杜氏として活動しはじめたのは最近なの」テツヤ「お若い方なの?」ひいな「うん。同年代だと思う」冷水「ひいなちゃんの同年代!」テツヤ「いいね、いいね。あれ?飲み始めより、今のほうがサラダに合う気がするぞ」ひいな「温度が上がってきたからかな」テツヤ「日本酒ってさ、飲む温度によって印象変わるもんね。福島のどのあたりの蔵なの?」ひいな「郡山から電車で5〜6駅くらい」テツヤ「海側?山側?それによって魚に合うか肉に合うか違いがありそうだよね(ライター注:ちょうど福島県中部、中通りに位置します)」ひいな「栄冠は君に輝く〜の歌を歌ってる、誰でしたっけ?」冷水「何それ何それ」テツヤ「高校野球の歌(ライター注:全国高等学校野球大会の歌)」ひいな「その方の出身地(ライター注:伊藤久男さんが本宮市出身です)」テツヤ「それで覚えてるんだ(笑)」ひいな「本町駅にその方の銅像があってボタンを押すとその曲が流れるの。大天狗酒造は日本の中で駅から一番近い蔵って言われてて。本当に駅から徒歩1分半で着きました。明治初期には倉庫業をやっていたそうで、その蔵を掃除したら2つの天狗のお面が出てきたから大天狗酒造っていう名前なんだって」テツヤ「縁起がいいねぇ」ひいな「名前と同じで、力強い味わいのお酒を醸したいっていうのが蔵のモットーなんだって」冷水「合ってるね」テツヤ「コンセプト通り」ひいな「すごく小規模なお酒造りをしていて、本当に倉庫を改築したみたいなところで造ってて」ひいな「写真見て。ほら、こんなにタンクが小さいの」冷水「わ、小さいね」ひいな「バケツで水を運んだり、麹室もこんな小さくて」冷水「わぁ」ひいな「ラベルも手貼り。小さい蔵だからすべて手作業」テツヤ「そうか、大切に飲まなきゃな」ひいな「ね」テツヤ「さっき飲んだ時より、いまのほうがだんだんおいしくなってきたよ」冷水「温度が上がって苦味が抜けてきた?」テツヤ「うん。常温に戻した方がいいんじゃない?」ひいな「お米は、県が独自に開発した福島産『夢の香』っていう酒造好適米を使っていて、『うつくしま夢酵母』っていう県が開発した酵母を使ってるから、完全に県に密着したお酒なの。ラベルも印象的でしょ」冷水「イラストなんだね。メルヘン」テツヤ「うさぎだから卯酒なんだな」ひいな「ビオンディ・チョッパーさんっていう有名なイラストレーターさんが描いた絵なんだって。うさぎの『卯』に酒で『うさけ』って読むんだけど、卯酒シリーズの秋バージョンがこの『月見うさぎ』。春は花見うさぎ、夏は夏空うさぎ、冬は雪うさぎがある」冷水「なるほど」ひいな「四季で楽しんでほしいっていうお酒かな」テツヤ「味も変わるのかな?」ひいな「造りが違うんじゃないかな。これは一回火入れのひやおろしだと思う。ちょっと熟成感もあるし、口開けてすぐでも尖ってない感じがするというか」テツヤ「このお酒はどんなつまみにも合うっていうお酒ではないのかもね」冷水「確かに」テツヤ「お酒の味を楽しみながらちびちび飲むっていうかさ」ひいな「燗酒もいいらしいよ」冷水「燗、合うかもね」テツヤ「少し肌寒くなってきたし、燗酒にしながらちびちびやりたいね」ひいな「いいね。秋にぴったり」冷水希三子ひやみず・きみこ/奈良県生まれ。レストランやカフェ勤務を経て、フードコーディネーターとして独立。旬の食材を生かした料理が人気。現在は料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ製作を中心に書籍、雑誌、広告など活躍の場を広げる。公式HPはこちら【ひいなのつぶやき】のどぐろのお寿司やソーセージと、この「卯酒」を合わせてみたい!フェンネルのサラダと相性の良い温度帯を探すのも今後の課題です!!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年10月24日©STUDIO ITO DESIGN連載【From cities 世界の都市に憧れて】では、パリ、ミラノ、NY etc...世界の都市の街のこと、注目アドレスやリアルなシティスナップなど、現地からの最旬情報をお届け! 近い未来、また気兼ねなく海外へ行き来できるようになったら行ってみたい、暫くは、そんな気持ちも込めてお送りしていきます。第19回目は、ミラノで暮らす日本人インテリア・プロダクトデザイナー・伊藤節さんと伊藤志信さんの素敵な家にフォーカス。2年前にリフォームされた夫妻のご自宅をレポートします。随所に登場する彼らが手掛けた家具も必見。早速チェックして。リフォームとインテリアコーディネートで理想的な生活空間に。インテリア・プロダクトデザイナー・伊藤節さんと伊藤志信さんが暮らす家「このミラノの家は、2年前にリフォーム。自分たちでデザイン設計し、増築と全面改装をしました。キッチン、壁や床のサーフェイス、作り付けのワンオフの家具も自分たちで設計。置きの家具も私たちのデザインした家具を中心にレイアウトしています」(インテリア・プロダクトデザイナー・伊藤節さん、伊藤志信さん)■Dining©STUDIO ITO DESIGN自身でデザインしたダイニングテーブル(280×120㎝)。脚は鉄、トップは、「カウリ」という5万年前の木を採掘して透明樹脂で補修し、イタリアの職人技術により、フラットに作り上げた。普段の食事の際はもちろん、会食にも使われるというこのテーブルは、自宅の食卓でありながら、プライベートと仕事、どちらのシーンでも関わるもの。■Nicchia sakana©STUDIO ITO DESIGNダイニングとリビングを繋ぐニッキアには、伊藤節さんの父でありイタリアに所縁のある彫刻家・伊藤鈞氏の魚の彫刻作品が。日中の光の変化、夜の照明によって色々な表情を見ることができる。■Cabinet©STUDIO ITO DESIGN二人で手がけ、イタリアの老舗ブランドから製品化されている和がコンセプトのキャビネット。オークの木の表面を炭化させ、鉄スラブと組み合わせて、黒いサーフェイス仕上げに。上部には、鮮やかなピンク色の陶器が飾られ、キャビネット周りのスタイリングにアクセントを添えている。ブラックとピンク。このカラーのコントラストがシックなキャビネットの魅力をいっそう引き立てている。ちなみに、この陶器の花器も彼らによってデザイン、製品化されたもの。■Living-light©STUDIO ITO DESIGNリビングの照明には、伊藤節さんの師匠である建築家、アンジェロ・マンジャロッティによる名品から、透明ヴェネチアンガラスのライトを。ライトの下に置かれたメタルと木のローテーブルは、二人がデザインし製品化されているもの。■Kitchen©STUDIO ITO DESIGN©STUDIO ITO DESIGNリビングにあるセカンドキッチンは、自然の描く模様が面白いトスカーナのカーニックグレーのマーブル製。■Living arm chair©STUDIO ITO DESIGNアームチェアスペースは、自身の作品で構成。なお、床に用いられている石材は、天然のベージュが美しいヴィチェンツァのライムストーン。この石は、ローマ時代から採掘されており、後期ルネッサンスの歴史的著名建築にも用いられている。■Living side table©STUDIO ITO DESIGN自身のデザインによるメタル製の可動式サイドテーブル。■Living scalupture©STUDIO ITO DESIGN季節による緑と、彫刻の空間を楽しむスペース。インテリア・プロダクトデザイナーならではのこだわりが詰まった家、いかがでしたか? ぜひ、部屋作りの参考にしてみてくださいね。次回の【From cities 世界の都市に憧れて】では、本記事《後編》として、引き続き、伊藤節さんと伊藤志信さんのご自宅レポートを展開。こだわりのテラスにフォーカスしていきます。■デザイナー:伊藤節・伊藤志信建築、インテリア、スペースからプロダクト、パッケージデザインまで多岐にわたるデザインを総合的に行っているデザイナー。1997年ミラノにデザイン事務所を設立し、世界各国のクライアントに対する幅広いデザイン開発、デザインコンサルタント業務に携わる。世界中で展示会、講演会を行い、東大先端研をはじめイタリアと日本の数多くの大学でも教育、研究活動を行っている。URL:studioito.com
2021年10月14日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回も伊藤家を飛び出し、出張篇を全3回でお届け。料理家の冷水希三子さんのお宅にお邪魔し、ワインに合う洋風な料理を作っていただきました。第二十七夜の1本目は、ナチュールワインのような甘酸っぱい佐賀のお酒。料理研究家の冷水希三子さんに作っていただいたのはフランス料理!?父・徹也(以下、テツヤ)「改めまして。料理家の冷水希三子さんです!」冷水希三子(以下、冷水)「こんにちは!」娘・ひいな(以下、ひいな)「今日は出張第2弾!冷水さんのお宅に参りました!」冷水「よろしくお願いします!」ひいな「父がいつもお世話になっております」冷水「いえいえ(笑)」テツヤ「いつもお世話になっております。撮影が終わるとたいてい、そのへんに寝ているという…」ひいな「冷水さんの料理を食べて、飲んで、寝る」テツヤ「そう」ひいな「困ったもんだねぇ。でも、しあわせだねぇ。うらやましいな」テツヤ「僕がね、料理の写真を撮るきっかけになったのが冷水さんなので」ひいな「そうなんだ!」冷水「そんな大げさな(笑)」テツヤ「2017年くらいまで、料理家さんとはほとんどご縁がなくて。料理家さんと料理を撮影する仕事をしたのは冷ちゃんが最初」ひいな「へぇ!伊藤徹也、第2の人生の原点なんだね」テツヤ「そう、原点!その頃、冷ちゃんは鎌倉に住んでてね」冷水「そうそう」テツヤ「料理家さんの家ってどんなだろうって思ったら…」冷水「小さいおうちの小さいキッチンで」ひいな「そうなんですか!」テツヤ「そうそう。でも、すごく光がよくてね」冷水「初めて仕事する方で、大御所さんって知ってたから…」テツヤ「大御所って(笑)」ひいな「まさか今では冷水さんの家の床で寝るようになるとは(笑)」冷水「ね(笑)」テツヤ「でもね、2〜3回目くらいの撮影から、編集さんが帰った後、ワイン持って海に行って飲んだりしてたんだよね」冷水「そうそう。料理の撮影の後は飲めるもんだと思ってるからね」テツヤ「車で撮影に行かないもんね」冷水「撮影する時は荷物を置きに前日入りしたり(笑)」テツヤ「搬入日を設けました(笑)」ひいな「飲むのに本気な父。さすが(笑)」テツヤ「今日は、冷ちゃんの料理をいただきながら日本酒を飲めるとあって、最高にしあわせな撮影です!」ひいな「今回、冷水さんから『チキンときのこのフリカッセ』というメニュー名をお聞きして、『フリカッセ』をあわてて調べました(笑)。クリーム系だっていうことはわかったんですけど」冷水「日本酒に合わせなさそうなメニューだよね。生クリームが日本酒に合うのかどうか…!?」テツヤ「もし合わなかったら、合わないって正直に言っていただいて」冷水「は、はい!」ひいな「遠慮なく言ってください!今回は個性派の日本酒をそろえてみました!」冷水「わぁ、楽しみ!」ひいな「楽しみにしていてください!」1品目は、生クリームを使ったフランスの煮込み料理「チキンときのこのフリカッセ」。ひいな「わ〜、いい香り!」テツヤ「いいね〜」冷水「さぁ、どうぞ!」さぁ、召し上がれ!ごろっと大きな骨つきの鶏肉で食べ応えたっぷり。ワインが飲みたくなるおいしさ(笑)。ひいな&テツヤ「いただきます!」ひいな「両手でいっちゃっていいですか?」冷水「どうぞ、どうぞ」テツヤ「え〜ワインください」冷水「え〜(笑)」ひいな「私もワインください!」冷水「ダメじゃん(笑)」レモン汁やハーブでマリネしておいたチキンをフライパンで焼く。こんがりときつね色に焼けたら…。チキン、きのこ、白ワイン、生クリームを加えて煮込む。「フリカッセ」とはフランスの家庭料理で「白い煮込み」という意味。テツヤ「いやだって、こりゃうまいよ。ワインでしょう?このクリームソースが決め手なのかな?ワイン少し入ってる?」冷水「入ってる」テツヤ「日本酒に合いそうな感じはあるけど…やっぱりワイン飲みたくなるね(笑)」冷水「今まで私が飲んできた数少ない日本酒のラインナップだと合うかどうかわからないけど、ひいなちゃんが選んできてくれた日本酒なら合う気はする」テツヤ「さぁ、どうなることやら」ひいな「私がイメージしていたフリカッセより、すごく軽いです」テツヤ「うん、確かに軽いね。ぜんぜん重くない」ひいな「だから、日本酒とも合わせやすそう」冷水「おっ!?」テツヤ「フリカッって聞いて、どういうお酒をセレクトしたの?」ひいな「どちらかというと、クリームソースと合わせるためにちょっと変わり種の日本酒というか、昔ながらの日本酒っぽくないやつをセレクトして、軽めに流そうかなと思っています」テツヤ「じゃ、食べた後、流す感じなんだね」ひいな「うん。チキン日本酒って行き来できるようなイメージで」冷水「なるほど」ひいな「でもどうしよう。合わなかったら…」冷水「大丈夫、大丈夫」テツヤ「まぁまぁ、飲んでみよう」「チキンときのこのフリカッセ」に合わせるのは、「東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK」。佐賀県多久市にある東鶴酒造。県産の酒造好適米「さがの華」を100%使い、地元の山から流れ込む伏流水に、黒麹で仕込むことでコクと厚みが生まれた一本。「東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK」720ml 1,760円(ひいな購入時価格)/東鶴酒造株式会社テツヤ「手描きのラベル、ワインぽくない?」冷水「うん、ワインっぽい」ひいな「でも、名前は昔ながらの『東鶴(あずまつる)』って言うんですけど」テツヤ「東に鶴で『東鶴』?」ひいな「そう」冷水「どこの日本酒?」ひいな「佐賀の多久市です」テツヤ「へぇ」b>ひいな「『東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK』です」テツヤ「生酒 BLACK」冷水「名前だけ聞くとね」テツヤ「ザ・日本酒だよね」ひいな「フリカッセと合うかどうかドキドキですが、香りを嗅いだら合うってわかるかもしれない」テツヤ「ほんと?」冷水「香りで合うのがわかるってすごい!」ひいな「ぜひ。冷水さんに嗅いでいただいてもいいですか?」ひいな「どうですか?」冷水「うん、合うと思う。でも、流すんじゃなくてクリームのソースが立ってくる感じの合わせ方だと思う」(父・テツヤも香りを嗅ぐ)テツヤ「うん。こりゃ、流すんじゃないね」ひいな「え〜。ずるい!」テツヤ「いや、いずれにしても合うと思うよ」ひいな「温度はね、常温よりちょっと冷たいくらいで飲んでもらおうと思って」テツヤ「さっき、冷蔵庫から出してしばらく外に置いてたもんな」ひいな「では、いただきましょう」冷水「伊藤家へようこそ!」ひいな「お邪魔します(笑)」みんなで乾杯〜!おどろくほどフルーティ!一同「乾杯〜!」冷水「あぁ、おいしい!」テツヤ「日本酒ぽくないね」冷水「うん。ワインっぽい」テツヤ「絶対フリカッセに合うよ。わかるよ」ひいな「すごいおいしいよね」テツヤ「酸味と甘みがね、なんかね…」ひいな「お!そのコメント数値的にも正しい」テツヤ「酸味と甘みのバランスがいいね。りんごみたいな、フルーティな酸があるよね」ひいな「たとえがうまくなってきたね(笑)」冷水「さすが(笑)」テツヤ「もうね、この連載も100回越えたからね」冷水「それはすごい!」ひいな「日本酒の酸度って数値であらわすと、1.6とか1.5とかそのあたりが普通なんだけど、これは3.4なの」テツヤ「高いんだね」ひいな「そう。だいぶ高いから酸度が高めということ。伊藤家は酸っぱいの好きだからね」テツヤ「結構、色もついてるよね」ひいな「ちょっと発泡してる感じもある。日本酒度ってプラスになればなるほど辛くて、マイナスになればなるほど簡単にいうと甘いっていわれてるんだけど、これは−11だから」テツヤ「甘口だね」ひいな「酸っぱいけど甘いっていうことだね」テツヤ「俺の第一印象は合ってたわけだ」冷水「すごいね!」ひいや「冷やしすぎると酸がもっと強く感じると思うので、今回はクリームに合わせてまろやかな感じがいいなと思ってほどほどの温度に。蔵が推奨してるの温度が15度らしくて」テツヤ「うん。ちょうどいい感じだよ」ワインだけじゃない!パンに合わせてもおいしい日本酒をとうとう発見!?ひいな「このお酒は佐賀のお酒なんだけど、BLACKっていってるのは黒麹を使ってるからなの」冷水「へぇ、黒麹を!」テツヤ「焼酎とかで使われる?」ひいな「そうそう。黒麹で仕込んでるからBLACK。もうひとつWHITEもあって」テツヤ「それは白麹なんだな」ひいな「そう。それとはまた別で、ワイン酵母で造ったお酒もあったりして、普通の酵母じゃなく挑戦的なことをしている蔵なの。今回、フリカッセと聞いてワイン酵母と合わせようかなと思ったんだけど、ワイン酵母のお酒のほうは風味が強くて、もしかしてフリカッセの邪魔をしてしまうかもしれないと思ってBLACK にしました。BLACKは、蔵元さんが赤ワインをイメージして作ったらしいんですよ」冷水「赤ワイン?」ひいな「そう。だから牛肉とかに合わせて、15度で飲んで欲しいって言ってて」冷水「なるほど。脂が固まらないようにね」テツヤ「だから流せるんだ」ひいな「『東鶴』は江戸末期に創業した老舗の蔵なんだけど、平成元年に一度休業してて、平成21年に蔵元杜氏として再スタートしたらしい」冷水「杜氏の方は若い方なの?」ひいな「年齢はちょっとわからないんです。でも、こういうデザインなのもあって、感性が若い方なのかなと」冷水「なんかね、ナチュールっぽさがあるというか」テツヤ「そうだね、ナチュールっぽいね」冷水「ナチュール系とかこういう日本酒って若い造り手さんが多いイメージがある。味の持って行き方の方向性が一緒というか」テツヤ「テロワール的な考え方が似てるよね」ひいな「うんうん」冷水「はい、パンも焼けました!」テツヤ&ひいな「わ〜い!」ひいな「このソースにつけたかった!」冷水「香川県にある〈360°〉っていうお店のパンなんです」テツヤ「へぇ。そりゃうれしいね」ひいな「このお酒、パンとの相性がすごくいいかもしれない」冷水「うんうん、合うね」テツヤ「パンと合う日本酒をすごく探してたんですよ!まさかこれだとは思わなかった」テツヤ「日本酒とパンか。いいね」冷水「ソースをぬぐったパンが合うね。なんでだろう。黒麹だから?」テツヤ「なんでだろうね」ひいな「パンに入ってるくるみとも合う」冷水「うん。香ばしさが合うのかな」ひいな「白麹よりも黒麹でお酒を造ったほうが、お酒はコクが出やすいっていうのがあって。WHITEはあっさりしてるというか」冷水「この料理には生クリームを使ってるから、BLACKのほうがコクがあっていいと思う」ひいな「特にソースにつけたパンと!」テツヤ「このソース、いつまででも舐めてられるんだけど」冷水「(笑)」テツヤ「ソースも残らずね」ひいな「パンにつけてね」テツヤ「冷ちゃんは普段、料理に日本酒って合わせたりする?なんとなくワインのイメージがあるけど」冷水「そうだね。ワインが多いかな。みんなもワインを持ってきてくれるし。でも和食屋さんに行ったら日本酒飲むかな」テツヤ「この日本酒はどうだった?」冷水「好き、好き」ひいな「あぁ、よかった〜!」テツヤ「ということはマッチング成功なんじゃないの?」ひいな「1本目、無事成功しました!」冷水希三子ひやみず・きみこ/奈良県生まれ。レストランやカフェ勤務を経て、フードコーディネーターとして独立。旬の食材を生かした料理が人気。現在は料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ製作を中心に書籍、雑誌、広告など活躍の場を広げる。公式HPはこちら【ひいなのつぶやき】フリカッセと黒麹。日本酒界のペアリングとは思えないこの2つの言葉。なんとかペアリングが成功してホッとしています(笑)。ぜひお試しください!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年10月10日こんにちは、梅マイスターの豊島です。秋は夜が長くなり、お月様も綺麗なので、晩酌時間が楽しくなりますね。私もついついお酒に飲まれてしまいます(笑)が、おうちで晩酌することが大好きです!今はワイワイ楽しい外食も控えなくてはなりませんが、趣向を変えて、おうちを居酒屋に変身させちゃいましょう。筆でメニュー書いて、お品書きを作って楽しむもよし。飲みながら気分良く、チャチャッと簡単メニューを作るもよし。おうちなので自由に楽しめます!そこで今回は、楽しいおうち飲みのための「簡単美味しいおうち居酒屋レシピ」をご紹介します。■全部5分以内!スピーディーなお通し仕事が終わって、まっすぐ冷蔵庫へ。プシュッと缶を開けてゴクゴク、プハァ!この瞬間がたまりませんよね。最初の1本は良いのですが、やっぱり2本目からは腰を据えて飲みたいものです。そんな時にオススメの5分以内で作れる、お通し的な簡単レシピをご紹介します。キュウリのラー油和えたたきキュウリをラー油とお醤油で和えただけの簡単レシピ。すりこ木で叩いたキュウリは断面が凸凹になるので、味がすぐ染み込みます。キュウリを叩き割る瞬間、日頃のストレスをさりげなく解消できちゃう、ちょっぴり癖になる簡単レシピです。ズッキーニのタラコ和え火を通しても、生でも頂くことができるズッキーニ。薄くスライスしたらレンジで2分チンしてタラコと和えるだけ。ズッキーニはカロリー控えめですが、ビタミンやミネラルが豊富でとってもバランスの良い野菜です。酒飲み女子は美容のことも忘れずに晩酌しましょうね。クリームチーズ昆布和えクリームチーズと塩昆布を和えただけの簡単レシピ。少し時間をおくことで、塩昆布の旨味がクリームチーズと相まって、ワインや日本酒にぴったりのお通しレシピになりますよ。ゴマ油香る!漬けホタテお刺身で頂くホタテを、醤油とごま油に漬けて5分で完成の「漬けホタテ」は焼酎や日本酒のおつまみにぴったりです。漬け込むことでさらにねっとり食感を楽しむことができますよ。ネギチャーシューのおつまみ切って和えるだけの簡単レシピ。ネギに含まれるアリシンは、チャーシューの豚肉に含まれるビタミンB1の吸収を高めてくれます。5分でできるスピード小鉢でもしっかり栄養の相乗効果が得られるのが嬉しいですよね。射込みちくわお弁当に入れても喜ばれる「射込みちくわ」を、わさび醤油でいただけば、ちょっぴり大人テイストなお通しに早変わり。5分で作れるお通しレシピを豆皿に乗せて並べたら、もうそれだけでおうち居酒屋というより、おうち割烹(笑)になっちゃいます!簡単お通しレシピは見た目も味も楽しめます。■焼くだけ!お酒が進むと欲しくなる小皿レシピお酒が進んでくると欲しくなるのが、食べ応えがある温かいおつまみ系ですよね。いつも使う食材に少しだけ手を加えることで、居酒屋さんで頂く小皿レシピが完成します!おつまみに!ニンニク香る枝豆ペペロンチーノニンニクと枝豆をオリーブオイルで炒めただけなのに、こんなに美味しいなんて!と感動間違いなしのおつまみレシピ。お酒を選ばず何にでもぴったり合う一品です。厚揚げのチーズ焼き細めに切った厚揚げに、ピザ用チーズを乗せた「厚揚げのチーズ焼き」。途中で回しかけたしょうゆと、上にのせたネギが和風テイストでとっても美味しい!厚揚げは食べ応えもあり栄養も◎。ビールをはじめ、いろいろなお酒に合いますよ。シシトウのおかか炒め栄養価も高く、緑が美しいししとうは、油で炒めることでβカロテンの吸収が高まります。カルシウム豊富なジャコを合わせれば、焼酎や日本酒にぴったりのおつまみが完成します。厚切りベーコンの黒コショウ焼きフライパンでベーコンを焼いて黒胡椒をたっぷりかけたシンプルな一品は、ビールやハイボール、ウイスキーのお供にぴったりです。下に水菜や千切りのキャベツやレタスなど、野菜をたっぷり敷き詰めて一緒に召し上がれば野菜不足も解消できます。油揚げの袋焼き・納豆チーズ半分に切った油揚げの中に、納豆にちりめんジャコや刻み葱を入れ、フライパンで焼いた「油揚げの袋焼き」。納豆以外にも、お餅とキムチ、ちぎりはんぺんと梅しそ、アボカドと納豆など、中に入れる具材のアレンジも色々楽しめます。お好みのお酒とお好みの具材で色々楽しんでみてくださいね。■缶詰にプラスαで簡単居酒屋レシピ酔いも回り始め、もう少し食べたいけど、手間暇かかるのは面倒…そんな時には、パパッと作れる缶詰を使ったレシピがオススメです。缶詰は保存が効くので、まとめ買いしておくと、買っておいて正解だった!と自分で自分を褒めてあげたくなりますよ。バターコーンビールのお供に忘れてはならない一品が「バターコーン」。少し刺激が欲しい時はアクセントに粗挽き胡椒やチリパウダーをかけても◎。ガーリックオイルサーディンご飯を作る気力がないけど美味しいお酒が飲みたい、そんな日は、オイルサーディンの缶を開け、ニンニクを乗せてトースターに入れるだけの簡単レシピ「ガーリックオイルサーディン」がオススメです。お料理は、無理して頑張る必要はありません。今日もお疲れ様。と自分へのご褒美タイムにオススメの一品です。焼き鳥缶のひとくちピザ餃子の皮に焼き鳥缶やチーズなど色々乗せて、ひとくちサイズのピザ仕立てにした、洗い物も少なくパパッと作れる簡単な「焼き鳥缶のひとくちピザ」。マヨネーズと焼き鳥が、照り焼き風味でお酒も進みます。サバ缶の和風グラタンワインが進むと、温かくて簡単でホクホクしたものが食べたくなりますよね。この夢を叶えてくれるのが「サバ缶の和風グラタン」です。耐熱皿にサバの味噌煮缶、ジャガイモと市販のホワイトソースを入れ、チーズを乗せてオーブンへ。火傷に気をつけながらホクホクな美味しさを味わってくださいね。■簡単ヘルシーな〆レシピ今日もいい日だった。と1日を振り返りつつ、そろそろラスト一杯。なんて時は、すでにちょっぴり小腹がすいていますよね。そこでストレスを溜めないヘルシーで簡単な〆レシピをご紹介します。焼きおにぎり茶漬けフライパンでカリッと焼いたおにぎりに出汁を注ぎ、とろろこんぶ、練り梅を崩しながら頂く〆にぴったりのお茶漬けは、お好みで塩昆布を入れても◎。あんかけ卵うどん茹でうどんで作るので10分で完成の簡単〆レシピ。ほっとするお出汁の美味しさと、溶き卵の優しさが身に染みる美味しさです。とろろこんぶを入れることでとろみと昆布の旨味が口いっぱいに溢れ、ヘルシーで大満足の一品に仕上がりますよ。ヘルシー担々麺中華麺を春雨に代用して作る本格的な坦々麺。もっとヘルシーにしたい時は、春雨をしらたきに変えても◎。混ぜるだけ簡単ヘルシー油そばお店でいただくことが多い油そばが、なんとおうちでも作れます。調理時間10分、カロリーも356kcalと控えめです。お酢を効かせるとよりさっぱり頂くことができますよ。■最後に…二日酔いを乗り切る「梅干し」レシピ二日酔いの朝誓うこと。「もうお酒は飲みません…神様ごめんなさい」です…いくら反省しても胃はムカムカするし、頭もズキズキ、飲み過ぎた自分が悪いことは百も承知ですが、二日酔いって本当に辛い。そんな時の解決策は「梅干し」です!梅干しに含まれるクエン酸には、疲労回復効果と体の老廃物を出しデトックスさせる効果もあるんですよ。軽めの二日酔いであれば、梅干しを食べると復活できます。とろろ昆布と梅干しのお吸い物食欲がなくても、このお吸い物を一杯飲むことで、胃腸が動き出し、気分も爽快にさせてくれます。水分もしっかり摂って二日酔いから復活し、今日も一日頑張っていきましょう!飲み過ぎ注意ですが、ストレスを溜めずに、お酒とも上手に付き合っていきましょう!出掛けられなくて寂しい時は、おうち居酒屋をオープンし、リモート飲み会もありですよね。朝昼晩と温度差が出てくるこの季節。ウイルスや風邪に気をつけつつ、毎日笑顔で過ごしていきましょう。
2021年09月28日コストコのおつまみが、晩酌のお供に最適だと話題沸騰中。ベーコン・海苔・チーズ……どれもお酒の美味しさを引き立ててくれる、優秀な商品たちです。楽しい晩酌の時間をさらに盛り上げてくれるのは、こちらの3つ!(1)ベーコンジャーキーこの投稿をInstagramで見るコストコ歴10年 ❥ あぴ(@apii_costco)がシェアした投稿お酒が自然とすすむスモーキーテイストなおつまみは、やはり外せませんよね。コストコなら、薄くスライスされた香ばしいベーコンジャーキーが、たっぷり堪能できます。そのまま食べられるため、おつまみを準備する手間が省けるのは嬉しいポイント。製造メーカーは伊藤ハムなので、海外の独特な味付けが苦手な方にもイチオシです。気になる容量は170gで、価格は1248円(税込)で購入できます。(2)韓国海苔この投稿をInstagramで見るコストコ歴10年 ❥ あぴ(@apii_costco)がシェアした投稿パリパリ食感がたまらない韓国海苔は、おつまみにかかせませんよね。そのままでもご飯に乗せても美味しいこちらの商品は、コストコにも置いています。塩加減が控えめなので、お子様でもパクパク食べられる嬉しい商品です。しかも10パックのセットで、1パック36枚の大ボリューム!価格は1298円(税込)とリーズナブルなため、リピーターが続出中です。(3)おつまみチーズ3種 アソートセットこの投稿をInstagramで見るコストコ歴10年 ❥ あぴ(@apii_costco)がシェアした投稿大容量は嬉しいけれど、同じ味だと途中で飽きてしまう……。そんなあなたにピッタリなのが、こちらの商品です。2種類のチーズを組み合わせた、ちくわ・たら・かにかまの3種類が味わえます。いずれもおつまみの定番である練り物なので、お酒がグビグビ進むはずです。容量は3種類×4本入りの合計12本で、お値段1158円(税込)で購入できます。コストコの絶品おつまみは、晩酌にピッタリなものばかり。おうちで過ごす時間が多いからこそ、こういったお酒を楽しませてくれる商品は嬉しいですよね。美味しいお酒と美味しいおつまみで、素敵なひとときを過ごしましょう。(恋愛jp編集部)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※こちらの記事では@apii_costco様のSNS投稿をご紹介しております。※記事内の情報は執筆時のものになります。価格変更や、販売終了の可能性もございますので、ご了承くださいませ。2021年9月13日現在
2021年09月24日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回から伊藤家を飛び出し、出張篇を全3回でお届け。「一番好きなお酒は日本酒!」という料理家のワタナベマキさんのお宅にお邪魔し、スパイスを使った料理を作っていただきました。スパイス×日本酒、その相性はいかに!?第二十六夜の最後を飾る3本目は、フルーツのエキスがたっぷりしみ出たシロップにベストマッチの茨城のお酒。スパイスを使ったメニュー3品目は、梨とプラムを使った「フルーツのスパイスシロップ漬け」。父・徹也(以下、テツヤ)「マキ先生は、料理の仕事を何年やってらっしゃるんですか?」ワタナベマキ(以下、マキ)「20年弱くらい経つかな?」テツヤ「たとえば、普通のお店だったら、メニューは門外不出なわけですよ。でも、マキ先生はおいしい料理をどんどん出さなきゃいけないっていうすごいお仕事ですよね。結構なペースで本を出されてるし、そのレシピったらすごい数じゃないですか。一体、どうやってインプットされてるんだろうって」マキ「たぶん、ひいなさんもそうだと思うんだけど、これとこれ合わせたら、おいしいんじゃないかな?という想像から始まるというか」娘・ひいな(以下、ひいな)「うんうん。わかります」マキ「お酒に合わせる料理っておもしろいんですよ。子どもに作る料理とお酒に合わせる料理ってやっぱり違って、お酒に合わせるからちょっとポイントを効かせたりだとか、ここを引き立たせようかなとか、そういう風に考えるかな」ひいな「なるほど。とても勉強になります!」テツヤ「それでいくと、このスパイスシロップ漬けが日本酒とどう合うのか、一番想像がつかないな」ひいな「これはデザートになるんですか?」マキ「デザートとというよりは、ちょっと、中休み的な?」テツヤ「一度、中休みしてこの後、また飲むぞ!的な」マキ「そうそう(笑)。普通のシロップ漬けなんですけど、このシロップと日本酒を割りたい!と思って」ひいな&テツヤ「わぁ〜!」テツヤ「まさかのシロップ割ときたか。もうマキ先生、根っからの酒飲みですね(笑)。最高です!」お酒好きのマキ先生だからこそ生まれた、日本酒のシロップ割!?ひいな「それでしたら、このお酒、最高に合うと思います」テツヤ「え?そうなの?事前に打ち合わせしてない?」マキ「裏でね、実はね…(笑)」ひいな「ね(笑)。八角が入ってるから、どんなシロップなのか気になります」八角、黒コショウ、クローブ、シナモンの入ったシロップに梨を漬けて冷蔵庫で冷やす。プラムを食べやすい大きさにカットして、シロップに加えて混ぜれば完成。スパイスの香りと梨のエキスがたっぷりと溶け出したシロップがむしろ主役。マキ「八角の他には黒コショウ、クローブ、シナモンが入っています。キンキンに冷やしてもおいしいですよ。じゃ、まずはシロップからどうぞ」テツヤ「わ!このシロップ、スパイスの風味がしっかり出ていて、めちゃくちゃいいですね」ひいな「プラム大好きなんです」マキ「プラムの酸味を加えました」ひいな「スパイスのいい香り〜」テツヤ「これ、ほんとにおいしい」マキ「よかった〜」ひいな「おいしいです!」テツヤ「これ、夏の疲れた時とかに最高ですね。梨のエキスがたっぷり出てて、控えめな甘さがまたね。体に染みわたるおいしさ」マキ「そうそう。フルーツを食べるというより、シロップを楽しんでほしい」テツヤ「これ、高校球児に食わせたいなぁ」一同「(笑)」シロップのおいしさにノックアウトされる父・テツヤ。ひんやり冷たいシロップの甘さが夏にぴったり。テツヤ「これ飲んだら、絶対、復活するでしょ?疲れ吹き飛ぶでしょ?」ひいな「確かに、体に沁みわたるおいしさだよね」マキ「これはね、私としても挑戦だったんです。ひいなさんがどんな日本酒を合わせてくれるだろうって」ひいな「実は、フルーツシロップ?ってなりました(笑)」テツヤ「どこまで聞いてたの?」ひいな「果物を使ったスパイスシロップ漬け的なものとは聞いてました」マキ「アバウトですね(笑)」テツヤ「その情報だけで、ひいなはどんな日本酒を選んだんだろう?そろそろお酒飲みたくない?」マキ「ぜひ!」ひいな「はい!お酒持ってくるね!」「フルーツのスパイスシロップ漬け」に合わせるのは、「結ゆい 赤磐雄町 特別純米 亀口直汲み 無濾過生原酒」。茨城県結城市にある結城酒造。蔵に嫁入りしたという女将・浦里美智子さんが杜氏として手がけたのが「結ゆい(むすびゆい)」。ごく少量生産ながらその味わいにファンがつき、人気の銘柄に。岡山県産雄町を使ったフレッシュな1本「結ゆい 赤磐雄町 特別純米 亀口直汲み 無濾過生原酒」720ml 1760円(ひいな購入時価格)/結城酒造株式会社ひいな「“むすびゆい”と読みます。ボトルの後ろにラベルの由来が書いてあって。『結城紬の糸の輪の中に“吉”が入るという文字デザインです。おいしいお酒で、人と人、人と酒、人と街を結び、未来へつなげたいという願いが込められています』とのこと」マキ「わぁ。いいですね」テツヤ「いまの時代にぴったりだね」マキ「本当ですね」ひいな「こちらのお酒をシロップに合わせたいと思います!」マキ「どんな味になるんだろう?」テツヤ「ね。どんな味かまったく想像できないんだよなぁ。俺は正直に言うからね。嘘つかないからね」ひいな「もちろん!正直な感想聞かせてね」一同「いただきます!」マキ「わ。香りがいい!」テツヤ「お?」マキ「うんうん。これは合う!」テツヤ「ヤバい。もうこれ絶対合うでしょ」ひいな「でしょ?シロップに合わせてまったりした味わいの日本酒を選びました」マキ「わ、わ、わ。おいしい!」テツヤ「シロップと日本酒とスパイスの香りがもうね、すんばらしい!」ひいな「日本酒とシロップ、2つのものが1つになってこんなにおいしいんだって感動してます」マキ「日本酒とすごく合うね。本当においしい」テツヤ「これ、腰抜かすレベルのおいしさだよ。マジでうまいよ」マキ「すごい相乗効果というか。ぴったり」ひいな「そう。どっちもさらにおいしくなってます」マキ「でも、このお酒だからだと思うな。2本目に飲んだ日本酒だと合わないと思うし」テツヤ「この日本酒だからこんなにも合うんだね」マキ「これは、ぜひともこの組み合わせで飲んでみてほしい」ひいな「とろりとした感じがシロップと合いそうだなと思って選んだんだけど、こんなにも合うとは私も驚きました」神がかったベストマッチに拍手で称えあいます。マキ「すごいよ!この組み合わせは!」テツヤ「このお酒さ、後味にちゃんと苦みがあるじゃない?それがちょうどシロップと果物の甘みに合うっていうか。ただ甘いだけじゃない苦味が加わることで味が深まるというか」マキ「そうそう。絶妙なおいしさ!」テツヤ「しかも、この日本酒とシロップを合わせることで、すーっと入っていくんだよね。こんな抜群の組み合わせ、なかなかないよ」ひいな「これはね、茨城のお酒なんだけどね。実はこのお酒を作った杜氏さんは、お酒造りとは無縁だった蔵に嫁いできたお嫁さんなの。日本酒の生産量400石のうちの50石だけ、美智子さんが酒造りを勉強して『結ゆい』を造ったんだって(ライター注:1石は180リットル。一升瓶なら100本分、四合瓶なら250本になる)マキ「わぁ。その50石が、このお酒になったんだ!」ひいな「もともと蔵出身でもなく、日本酒を勉強したわけでもない美智子さんが造ったおいしいお酒です。シロップ割してみたいです!」テツヤ「いいねぇ。単体で交互に飲んでも抜群に合うってわかるんだから、合わさっちゃったら絶対にうまいでしょう?」マキ「もうね、絶対おいしいよね」ひいな「うん、絶対合うと思います。フルーツポンチ的な」マキ「そうそう!」ひいな「大人のフルーツポンチ!」マキ「シロップ割、やってみましょう」テツヤ「このシロップ、ちょっと塩味入ってますか?」マキ「ちょっとお塩が入ってるんです。さすが!」テツヤ「なんとか少し塩気を感じた。それが重要なんですね?」マキ「そうなの。ちょっとだけね」テツヤ「シロップ割いただきます!わ、こりゃめちゃくちゃ合うわ」マキ「すごく合う!すばらしい!」テツヤ「こりゃすばらしい。ふたりがすばらしい!おもしろいね。この化学反応」マキ「このシロップ割、美智子さんにも飲んでほしいね」テツヤ「ほんとですね。最高の日本酒ポンチだよ。日本酒とシロップがこんなに合うなんて意外な発見でした。知らなかった」ひいな「ちなみにこのお酒、お米にもこだわってて。ラベルにもある通り、岡山県赤磐産の赤磐雄町(あかいわおまち)を使ってて。雄町の中でも最高品種っていわれてるんだけど、堀内由希子さんという女性の方がつくってらっしゃるの。お米づくりからお酒造りまで女性がタッグを組んでる。『亀口直汲み』っていうのは搾ってすぐ瓶詰めしてる」テツヤ「つまり、フレッシュっていうことだな」ひいな「そう。だから生酒で飲んでほしい」料理家さんとのコラボによって、今までにない新しい日本酒の可能性が広がった。テツヤ「このお酒はさ、もともと、どんなお料理と合わせるのがオススメなの?」マキ「確かに。なかなかシロップには合わせないですもんね」ひいな「う〜ん、何だろうね」テツヤ「マキ先生なら、このお酒には何が合いそうな気がしました?」ひいな「うん、聞きたい!」マキ「え、何だろう」テツヤ「結構、苦味、強いですよね」マキ「うんうん」テツヤ「その苦味がシロップと抜群に合うんだよね」ひいな「普通に飲むとしたら、お酒を開けて2週間くらい置いちゃうかもしれないですね」テツヤ「置いとくとどうなるの?」ひいな「口当たりがやわらかくなる」マキ「もっとやわらかくなるんだ」ひいな「そうなんです。あと、苦味が少し飛ぶ」マキ「なるほど、よりまろやかになるんだ。うーん。料理と合わせるなら……何なんだろう?シロップとの相性が良すぎて思いつかないな」テツヤ「酢豚とかどう?」ひいな「あぁ、酸味か。だったらトマトソースとかどうかな?」マキ「うんうん。フレッシュな感じとか、甘みに合うかもしれないね」ひいな「ですよね」テツヤ「今回さ、打ち合わせせずにここまでぴったりだとは思わなかったね」ひいな「自分でもびっくりでした」マキ「すごくおもしろかったねぇ」テツヤ「めちゃくちゃおもしろかったです」ひいな「味を想像するのがすごく楽しかったです。日本酒好きなマキ先生だから、日本酒に合わせてお料理を考えてくださったっていうのもよかった」マキ「私も。どんなお酒がくるんだろうっていうのを楽しみながら考えました。たとえば、花椒は効きすぎないようにっていうのを意識したり」テツヤ「あぁ、なるほど。日本酒じゃなかったらもう少し花椒効かせてみようってなるわけですね」マキ「そうそう。そうなると他のお酒になっちゃうと思う。テキーラとか」テツヤ「さすが、酒好きな方の発想ですね(笑)」マキ「(笑)。日本酒のこのふくよかさとか甘みとかと合わせるなら、ほんのり効かせる感じがちょうどいいかなって」テツヤ「あぁ。その加減がすばらしかったです。ほんとにおいしかった」マキ「こちらこそ!すごく楽しかった!」ひいな「すごくうれしい!」テツヤ「マキ先生の心からの『楽しかった』をいただきました!普通の料理本の撮影だと、マキ先生の作りたいものを撮るっていう仕事だから、コラボではないじゃないですか」マキ「そうそう」テツヤ「だから、今回はすごく予想外な展開というか、コラボっておもしろいなって思った」マキ「ね。私もおもしろかった」テツヤ「今までコラボするような機会ってありましたか?」マキ「ないですね。ひいなちゃんが初めてかな」ひいな「わぁ、光栄すぎます!」マキ「自分で選ぶお酒と人に選んでもらうお酒ってぜんぜん違うから、それがおもしろいし、そこからすごく広がるというか」ひいな「私もすごく勉強になりました」マキ「こちらこそ、私も勉強になりました。いいですね、このコラボ企画」テツヤ「いいケミだったね」一同「すばらしい!」マキ「お声がけいただき、どうもありがとうございました」ひいな「こちらこそ、ありがとうございました。本当においしかったです」テツヤ「新しい日本酒の可能性を見たね」ひいな「ね。神回だったね」テツヤ「そうだね。101回やってきて、神回きたね」ひいな「本当に楽しい。楽しくて仕方がない」テツヤ「いつかはぜひ、伊藤家にも来ていただいて」マキ「わ、ぜひぜひ。行きたい、行きたい!」テツヤ「3本とも大成功でした。ありがとうございました!」マキ「3本とも全部味わいが違って。すごいです、ひいなちゃんのセンス!」テツヤ「ひいな、おつかれさま!びっくりしたよ」ひいな「読者の人にもぜひ飲んで、食べてほしい!」テツヤ「日本酒飲んでもらうイベント、いつか実現させたいねぇ」マキ「それ楽しい、楽しい!」ひいな「蔵元さんもきっと喜んでくれると思うな」テツヤ「ほんとうにすばらしい1日だったね」ひいな「出張篇、大成功!」ワタナベマキ保存食や乾物を使った料理に定評があり、ライフスタイルを紹介した著書も多数。近著に『ワタナベマキの梅料理』(NHK出版)、『ワタナベマキのスパイス使い』(グラフィック社)が好評発売中。【ひいなのつぶやき】ワタナベマキさんのお力添えで、1人では生み出せないであろうペアリングが完成しました。味とまっすぐ向き合うって素敵なことだと感じました!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年09月05日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回から伊藤家を飛び出し、出張篇を全3回でお届け。「一番好きなお酒は日本酒!」という料理家のワタナベマキさんのお宅にお邪魔し、スパイスを使った料理を作っていただきました。スパイス×日本酒、その相性はいかに!?第二十六夜の2本目は、夏らしいさわやかさですっきり飲める奈良のお酒。連載第100回目を記念する特別ゲストは、料理家のワタナベマキさん!娘・ひいな(以下、ひいな)「お知らせがあります。なんと、『伊藤家の晩酌』、この回をもちまして、連載第100回目になりました!」父・徹也(以下、テツヤ)「イェ〜イ!」ワタナベマキ(以下、マキ)「すごい!何年やってるんですか?」テツヤ「2年ちょっとかな?」(ライター注:2019年7月21日に連載がスタートしました)ひいな「もうそんなに経つんだね。毎週日曜日にコツコツと続けてきたおかげです」マキ「毎週か。それはすごいね」テツヤ「サザエさんみたいにね(笑)。でもこの回から、毎週じゃなくて隔週掲載になるんですけどね」マキ「それでも隔週もすごいです」テツヤ「記念すべき100回目に、マキさんに出ていただけて本当にありがとうございます」マキ「そんな記念すべき日に、こちらこそ、ありがとうございます。うれしいです」ひいな「私、もしかしたら、こんなに長く物事を続けたことないかもしれない」テツヤ「あはは(笑)。連載100回ってなかなかないよね」マキ「ないない!」テツヤ「じゃ、孫の代まで続けていこうかね(笑)」マキ「それにしても、100回はすごいなぁ」夏の香り漂う香味野菜と、鮎のほろ苦さが大人の味わい「鮎の塩焼きと香味野菜の和えもの」。マキ「2品目は、夏らしく鮎を使いました。とてもシンプルに薬味と塩を効かせて焼いた鮎を和えたものなんですけど、アクセントにちょっと辛味を効かせたくて、夏なので青唐辛子を入れました」テツヤ「このおつまみは、延々と食べてられそうだな。酒が進むつまみですね」マキ「うん、延々と食べてられると思います(笑)」強めに塩を振った鮎を、こんがりと焼き目がつくまで焼く。焼いた鮎は熱いうちに頭と骨はずして、身をほぐし、熱いうちにスダチを回しかけることで臭みをとります。ミツバ、ショウガ、ミョウガを細かく切って水にさらしておく。青唐辛子はお好みで。鮎と薬味を和え、足りなければ塩を加えて味を調える。最後にゴマを加えて完成。マキ「今回は、苦味のある魚のほうが日本酒に合うかなと思って、鮎にしました」ひいな「苦味をまるごと生かすんですね」マキ「うんうん」テツヤ「夏にぴったりなつまみだなぁ。もうこれは全部混ざってるから、ひと口の中にいろいろな味が組み合わさってるんですね」ひいな「早く!食べたい!」一同「いただきます!」テツヤ「あぁ〜。うんうん」(一同、無言に)目をつぶって味わう、父・テツヤ。この表情でわかりまよね?マキ「どうですか?」テツヤ「っていうか、酒いらないかも?」マキ「え(笑)?」ひいな「わかる。おそうめん食べたくなる!」テツヤ「“何も足さない、何も引かない”って、確かウイスキーのコマーシャルあったけどさ、ほんとにすごいですね。完璧なバランス」ひいな「青唐辛子が効いてます。すごくおいしい!」テツヤ「旅館の先付けでこれでてきたら、もうずっとこれでいいってやつですね」マキ「鮎とスダチの酸味と薬味とのバランスがね」テツヤ「日本の夏の香りが詰まってる感じがね、もう最高です」マキ「そうそう」テツヤ「めっちゃ日本の夏ですね!」ひいな「本当においしいです!やっぱりお酒飲みたくなってきたので(笑)持ってきますね」「鮎の塩焼きと香味野菜の和えもの」に合わせるのは、「櫛羅 純米 無濾過生原酒」。奈良県御所(ごせ)市にある、櫛羅(くじら)という町にある千代酒造。櫛羅の地で育てられた山田錦を100%使用。他にも「篠峯」という銘柄も人気。「櫛羅 純米 無濾過生原酒」720ml 1500円(税込・ひいな購入時価格)/千代酒造株式会社ひいな「奈良県のお酒です!」テツヤ「へぇ」ひいな「『櫛羅』と書いて『くじら』と読みます」マキ「おもしろい字を書くんですね。どうしてこの名前なんだろう」ひいな「『櫛羅』っていう町に蔵があるみたいで」テツヤ「へぇ、そうなんだ」マキ「すてきなボトル!」ひいな「そうなんです。このお酒も無ろ過生原酒になります。お注ぎしますね」無ろ過生原酒の透明ボトルが夏らしく涼しげ。2本目、乾杯!いただきます!口に含み、じっくり味わいます。一同「乾杯!」マキ「『櫛羅』、いただきます!」テツヤ「わ、これ発泡してるじゃん!」マキ「うん!本当だ!」ひいな「うん、発泡してるね」テツヤ「これ、マキさん好きなお酒じゃないですか?」マキ「うん。好き、好き。この発泡感がいいね、すごく」テツヤ「これはね、つまみに合わせる前から合うってわかるわ」マキ「うん、絶対おいしいよね」テツヤ「ひいな、すごいね」ひいな「やりましたね」テツヤ「ツーストライク!」マキ「あぁ。おいしいなぁ。すごく合う」ひいな「わぁ、よかった!」テツヤ「想像力ってすばらしいねぇ」マキ「本当だね」ひいな「鮎ってお聞きしたので、ほろ苦さにマッチするんじゃないかなと思ったのと、青唐辛子のさわやかな辛さにすごく合ってるね」テツヤ「うんうん、合ってる」マキ「本当においしい。このお酒、微発泡でさわやかなのにすごく深みがある。だから鮎の苦味とも合うというか」ひいな「そうなんです。苦味と合いますよね。微発泡感もいいし。お酒にも少し苦味があって」テツヤ「あぁ、わかるわかる。これはもう延々と食べてたいし、ずっと飲んでたいね」マキ「うれしいなぁ」テツヤ「この料理は、どういうふうに生まれたものなんですか?鮎を使うことが前提だったんですか?」マキ「うん。夏のお魚を使いたくて」テツヤ「魚料理というのが決まってたんですね」マキ「そう。魚料理がいいなと思って。1品目が豚肉の和えものだから、2品目は焼き目をつけてちょっと香ばしさを出した料理にしようかなと」テツヤ「魚鮎焼くときて…」マキ「そうすると酸味入れたくなっちゃって。スダチを」ひいな「そうやってお料理を組み立てていくんですね。勉強になります!」マキ「でもね、柚子胡椒にしようか、スダチと塩と生の青唐辛子にしようか、すごく悩んだんです。でも青唐辛子が旬だからフレッシュなほうがいいかなと思って」ひいな「すばらしいです」テツヤ「試作はなし?」マキ「あ、そうですね(笑)」テツヤ「わ、すごい。脳内調理だ!」ひいな「脳内調理って言葉が初めて出た(笑)」テツヤ「想像力ってほんとにすごいね」マキ「どんな料理かな?って想像しながらのお酒選びってどうでしたか?」ひいな「スパイスに合うお酒というのは、自分の中で何本かストックがあって」テツヤ「お!そうなんだ」マキ「わ、すごい、すごい!」ひいな「1本目みたいに幅広く合わせられるものと、もうひとつはとがってるところをぶつけるお酒」テツヤ「あえてね」ひいな「あとは貴醸酒みたいなまったりしたやつを合わせるとか、いろいろ考えたんだけど、今回は事前にいただいてた情報は“香ばしく焼いた鮎と香味野菜”っていうのをお聞きしていて。まず、香味野菜に合わせるのを考えようと思って」テツヤ「魚じゃなくて」ひいな「うん。浜松町にある〈浅野日本酒店〉で相談して。いろいろ飲み比べてみたら、このとがり具合と微発泡な感じは、香味野菜に刺さるかなと思って合わせてみました」テツヤ&マキ「おぉ〜!」マキ「刺さる、刺さる」テツヤ「俺、一度も行ったことないんだけどさ、京都の川床で一杯やってる気分だね、今」マキ「いいねぇ。川の音、聞きながらね」テツヤ「もうそうやって気持ちだけでもね、夏を感じないと。すごくさわやかだよね。お酒もおつまみも」ひいな「ね。本当に夏らしい味わい!」日本酒の味わいの表現の多様さ。甘み、酸味、苦味……複雑な味わいをどう表現するか?ひいな「このお酒の第一印象が『とがっていて、おいしい!』しかなくて(笑)、ほかの方はどういう評価をされているのかを調べてみたの」テツヤ「うんうん。気になるね」ひいな「あるサイトでは、香りはふわりと穏やか。かつ、熟したメロンのように上品って書いてあって」テツヤ「わかる。ちょっと苦味がある感じがメロンっていうか」マキ「瓜っぽい?ちょっとした苦味があるのかも」ひいな「果物じゃない感じありますよね。キュウリっぽさというか」マキ「あるある。塩もみしたキュウリも合うと思うな」ひいな「あぁ、いいですね。ほかには生酒らしいピチピチ感にピリッとした辛味と存在感のある酸味が特徴的、って書いてあって。鴨肉や白味魚に合うと」テツヤ「お!」マキ「合ってた!」ひいな「こりゃ、合うわけだと」日本酒×料理の大成功のマリアージュに、マキさんもおおよろこび!ひいな「鮎を塩強めで焼いたとおっしゃってましたけど、このお酒はしょうゆとか味噌とかじゃなく、塩味が合うと思います」マキ「うんうん、確かに塩が合いますね」テツヤ「香味野菜のさわやかさと鮎の香ばしさにスダチの酸味と鮎の苦味と、いろいろな味が絡み合って複雑な味わいだもんね」ひいな「日本酒も、甘みと苦味と酸味といろいろな味があるから合うのかな」マキ「うんうん。飲めば飲むほど、複雑な味がする」ひいな「このお酒の豆知識をひとつ」マキ「はい!知りたい、知りたい」ひいな「『櫛羅』は山田錦という酒造好適米を使ってるんですけど、奈良県御所(ごせ)市の櫛羅地区でつくられた山田錦100%なんです。山田錦といえば、兵庫県の特A地区のものが一番有名なんですけど、そこと比べて、櫛羅地区は、砂っぽくて肥料も水も抜けやすいんですって」テツヤ「そりゃ、田んぼに適してないだろうね」マキ「お米がつくりにくい場所ってことだよね?」ひいな「そうなんです。そんな場所で育った山田錦なんです」テツヤ「もしかして、そういう場所だからこそ生命力があるっていうか、旨味が凝縮するのかな?ほら、トマトとかもお水を与えない農法とかあるじゃないですか」マキ「そうですね。そのほうが甘みが増したりね」テツヤ「本当においしいもん、このお酒」マキ「ずっと飲み続けられます」テツヤ「マキさんお気に入りの近くの酒屋さんで売ってるといいんですけど」マキ「そうですねぇ。あるといいんだけど」テツヤ「日本酒って、自分が行く酒屋にどんな種類のお酒があるかによりますよね」マキ「そうそう。だから、知らないお酒がまだまだいっぱいある。いいお酒を教えてもらっちゃいました!」ひいな「こちらこそ、勉強になりました!」テツヤ「新たな扉をマキさんが開いてくれたね」マキ「うれしい。鮎って香りも味わいも広がるお魚だから、ほんとに日本酒と合うと思います」テツヤ「マキさんが日本酒好きって一般的に知られてるんですか?」マキ「いや、そんなに…」テツヤ「お酒を飲むイメージないですもんね」マキ「そうそう。でも私の料理を食べたことある人には、『お酒飲むんでしょ?』って言われる(笑)」テツヤ「お酒飲む人にはすぐわかるんですね(笑)。これからは酒のお仕事もぜひ」マキ「こんないいお仕事ないです!」テツヤ「いやぁ最高でした。ほんとに」マキ「わ〜い!」ワタナベマキ保存食や乾物を使った料理に定評があり、ライフスタイルを紹介した著書も多数。近著に『ワタナベマキの梅料理』(NHK出版)、8月10日に『ワタナベマキのスパイス使い』(グラフィック社)を発売したばかり。【ひいなのつぶやき】料理を分割して考えると、日本酒のペアリングもやりやすくなることが今回、わかりました!塩味・苦味・香味×「櫛羅」。正解が生まれました!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年08月22日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回から伊藤家を飛び出し、出張篇を全3回でお届け。「一番好きなお酒は日本酒!」という料理家のワタナベマキさんのお宅にお邪魔し、スパイスを使った料理を作っていただきました。スパイス×日本酒、その相性はいかに!?第二十六夜の1本目は、ピリッと刺激的な花椒(ホアジャオ)に合わせる栃木のお酒。「日本酒が大好き!」という料理家のワタナベマキさんが、おつまみに選んだものは!?料理家ワタナベマキさんのお宅にお邪魔させていただきました!娘・ひいな(以下、ひいな)「いつも父がお世話になっています。父とワタナベさんがお会いするのは何回目ですか?」父・徹也(以下、テツヤ)「まだ、7回目くらいですよね?」ワタナベマキ(以下、マキ)「それくらいかな?」ひいな「短い間にぎゅっとたくさんお会いしてる感じなんだね」テツヤ「そうそう」マキ「本の撮影でご一緒させていただいて」(ライター注:8月10日発売の『ワタナベマキのスパイス使い』(グラフィック社)という料理本を父・テツヤが撮影しています)テツヤ「こんなずうずうしいお願いを……ご快諾いただきありがとうございます」マキ「いえいえ。こちらこそ。とてもうれしいです」テツヤ「日本酒が一番好きと聞いて、これは出ていただかないと!と即お声がけしました」マキ「はい。日本酒が一番好きなんです。そんなにたくさん詳しいっていうわけではなくて、いつも同じものばかりで。だから、ひいなさんからたくさん日本酒のこと聞きたい!教えてください!」ひいな「こちらこそ、楽しみです!今からもう、おなかがすいてしょうがないです(笑)」テツヤ「マキさんは、日本酒の中でも、何を好んで飲まれるんですか?」マキ「私は辛口が好きなんですけど、近所の酒屋さんに勧められるまま。日本酒が一番酔わなくて。ワインとかすぐ酔っちゃうんですけど」テツヤ「日本酒が体に合うんですね」マキ「日本酒はぜんぜん平気なんです」ひいな「えぇ!それはいいですね」テツヤ「お酒の相性って、人それぞれ違いますもんね。おもしろいなぁ」ひいな「お料理と日本酒の組み合わせって、どうですか?」マキ「日本酒ってやっぱりお米でできてるから、すごく合わせやすいというかどんな料理にも合うなと。あと、私は酸味が好きで、料理にも酸味を使うので日本酒はキリッとしたものが合うかなと思います」ひいな「なるほど。料理の酸味に対してのペアリングなんですね」マキ「あと、後味がすっきりしているものが好きですね。お酒を飲んで、また料理に戻れるっていうか」ひいな「やわらかいお水みたいな感じですよね」マキ「たしかに。うんうん」テツヤ「今回はマキさんにどんな料理を作ってくださるかを聞いてから、ひいなが日本酒を選んだんだよね」ひいな「うん。初めての試みです。撮影の前に、どういう料理を作ってくださるのかというのをお聞きして、それに合わせた日本酒を持ってきました!」テツヤ「おぉ、楽しみだなぁ」マキ「楽しみです!」1品目は、甘み、塩気、花椒の辛味が三位一体!「豚肉とトウモロコシの花椒和え」。マキ「1品目は、豚肉とトウモロコシの花椒(ホアジャオ)和えです」テツヤ「ホアジャオかぁ!」ひいな「伊藤家、ホアジャオ大好きです!」マキ「夏なのでスパイスを使ったものを作りたくて。シンプルにホアジャオと塩で味付けしました。トウモロコシの甘みにピリッとした辛さと塩気を合わせて」テツヤ「味付けは塩だけですか?」マキ「あとはお酢がちょっとだけ。酒粕からできた赤酢を使いました」ホアジャオはフライパンで炒って、香りを出して。生のトウモロコシをごま油で焼き目がつくまでしっかりと炒める。水にさらした紫玉ネギ、炒めたトウモロコシ、ゆでた豚肉を、すりつぶしたホアジャオと塩で和え、赤酢を少し加えて酸味を足してできあがり。テツヤ「夏を感じる一品ですね」ひいな「ね。おいしそう。色合いがかわいい!」マキ「トウモロコシの黄色がね」ひいな「元気になる色!」テツヤ「料理家さんに取り分けてもらうなんて!」ひいな「ほんとうに贅沢!ありがとうございます」できたてアツアツのお料理を取り分けていただいて……。マキさんの愛猫はっとりくんの箸置き。豚肉にトウモロコシをたっぷり巻いていただきます!テツヤ「これぞ、出張篇の醍醐味だね。むしゃむしゃ食べちゃいそうだけど、日本酒のために取っておかないと!」マキ「そうでした(笑)」一同「いただきます!」テツヤ「もったいないな、食べるのが(笑)」ひいな「ね。もったいない!」テツヤ「どうですか?マキ先生」マキ「う〜ん、お酒と早く合わせたい!」テツヤ「早くお酒を(笑)!」マキ「どうですか?」テツヤ「最高です。めちゃくちゃ食べちゃいます」ひいな「うん!おいしい!」テツヤ「トウモロコシの甘みとホアジャオ、すごく合いますね」ひいな「うん、ホアジャオの香りがすごくいい」テツヤ「ね。あとからくるね」マキ「豚肉でトウモロコシを包んで、一緒に食べてもらうといいかなと思います」ひいな「では、そろそろ、お酒持ってきますね」「豚肉とトウモロコシの花椒和え」に合わせるのは、「開華 遠心分離酒(純米吟醸生酒)」。栃木県佐野市の第一酒造は、1673年創業で県内でも最も歴史のある酒蔵。創業当時から農家として米作りから酒造りも行う。さらりとした飲みやすさと、ふくよかな米の味わいが両立するバランスのいいお酒『開華 遠心分離酒(純米吟醸生酒)』720ml 2,145円(税込・ひいな購入時価格)/第一酒造株式会社ひいな「これは栃木県佐野市にある第一酒造の『開華(かいか)』というお酒です。蔵に行って買ってきたお酒なんですけど」マキ「へぇ、すごい!」待望の日本酒が登場して、マキさんも大よろこび!ひいな「実は、私が第一酒造のアンバサダーをさせていただいているんです!」マキ「わぁ!アンバサダーなんて素敵!もともとここのお酒が好きで?」ひいな「そうなんです。もともとここのお酒が好きで飲んでいて、アンバサダー募集してる!ってなって応募して選んでいただきました」マキ「わぁ、それはすごい!」テツヤ「すごいですよね(笑)」ひいな「この前、蔵に行ってきて。そこで、蔵の方に『ワタナベマキさんという料理家さんにスパイスを使った料理を作っていただくんですけど、どのお酒がいいと思いますか?』ってお聞きして、何種類も試飲して選んできた1本がこちらです!」テツヤ「おぉ!」ひいな「『開華』の純米吟醸 遠心分離生酒です」マキ「ひいなさんの選りすぐりの1本!」テツヤ「今日は、マキさんに酒器もたくさんご用意いただいて」マキ「夏だからガラスの酒器をたくさん用意しておきました」ひいな「どれも素敵です!じゃ、1本目はガラスの酒器にしましょうか。では、お注ぎしますね」まずは、マキさんから。マキさんに注いでいただいて……。さて、みんなで乾杯です!マキ「わ〜い!」ひいな「とりあえず飲んでみてほしいな」一同「いただきます!乾杯!」テツヤ「お?おいしいぞ、これ。香りもフルーティ!」マキ「うんうん。おいしい〜」はてさて、お味はいかに?ひいな「まろやかで、まとまってる感じもありますよね」マキ「すっきりとした軽やかさもあって」テツヤ「味わい深さも感じるな」ひいな「そうなの!重たくないのにうまみがちゃんとあるっていうのがこのお酒のいいところで」マキ「ほんとだ。なんだろう。飲んだ時はすごくすっきり。あれ?違う。後味がすっきりしてるのか」テツヤ「ふくよかさ、ありますよね」マキ「そうそう。飲んだ時にふくよかで、後味がスーッと消えていく感じ」ひいな「酸味もありますよね」テツヤ「酸味あるね」マキ「うん。これはすいすい飲めちゃう」テツヤ「料理のスパイスをお酒で流す感じですかね」マキ「うん、それがいいと思う!」テツヤ「これはめちゃくちゃ合うんじゃないか?」マキ「うん。豚肉とすごく合ってる」ひいな「相性いいね!」テツヤ「ひいなは、マキさんからメニュー名を聞いて、味を想像しながら日本酒を選んだんだよな?」マキ「ホアジャオだっていうのはお伝えしてたけど……」ひいな「あと、豚肉とトウモロコシという材料はお聞きしてました。でもどういう味付けなのかはわからなかったので」テツヤ「こういうのだとは想像してなかったなぁ。このお酒、料理にすごく合ってる!」ひいな「わ〜い!」(パチパチパチパチ)スパイス×日本酒。お題をいただいて、新たな可能性の扉を開いた!?ひいな「このお酒、『遠心分離』のお酒なんだけど、小さいタンクにもろみをいれて、遠心分離でぐるぐる回すと、まわりに酒粕がこびりつくの。その真ん中から採れたお酒には、無駄な圧力がかかってなくて」テツヤ「あぁ、なるほど。普通は、押したりして搾り出すんだもんね」マキ「あぁ、そうか」ひいな「圧力をかけない遠心分離のおかげで、クセがなくなるんだって」マキ「遠心分離をやってる蔵はほかにもあるの?」ひいな「そんなに多くないですね。機械の費用が割とかかるので少ないみたいで」テツヤ「一般的ではないよね。お魚でも家畜でもストレスがないほうがおいしいっていうじゃないですか。同じことなのかもしれないですね」マキ「確かに。食べ物でいうと余分なアクとか、そういうものが出てこない、自然のままの味になるのかも」ひいな「第一酒造のお酒は、基本的に火入れしてあるものが多いんですけど、これはフレッシュな生酒でピチピチな感じをそのまま生かしたお酒になってます」マキ「余計な雑味とかが出てないんだね。ピュアっていうことか」テツヤ「マキさんは、日本酒に合わせる料理で、どうしてスパイスが頭に浮かんだんですか?」マキ「スパイス料理は自分でもよく作るんだけど、日本酒を飲む時っていつもありきたりで。スパイスを使ったお料理だったら、どういう日本酒を持ってきてくれるんだろう?って」テツヤ「ひいなへの挑戦状でもあったわけですね!」マキ「スパイスと合う日本酒が知りたい!と思いまして」ひいな「なるほど」マキ「日本酒にスパイス料理って組み合わせ、思い浮かばない人もいるのかもしれないけど」ひいな「確かに、スパイス料理には日本酒じゃないと思う人もいるかもしれないですよね」ひいな「ナチュールとか無難に合わせそうな感じもしますしね」マキ「そうそう。どういうタイプの日本酒が合うんだろうっていうのが知りたかった」ひいな「今回、ホアジャオを使うって聞いた時に、ホアジャオに対して、ど直球で日本酒を合わせるのは無理だと思ったの」マキ「うんうん」ひいな「ホアジャオを包み込めるような、受け口の広いお酒を持ってくれば合うんじゃないかなって」テツヤ「たしかに包み込む感じあるよ」ひいな「よかった」テツヤ「マキさんが日本酒を飲みたいっていうのはどういう時なんですか?」マキ「日本酒は週末に。だらだら飲める時に飲むかな」テツヤ「昼間から?」マキ「そうそう」テツヤ「え〜、全然想像できないけど(笑)」マキ「飲んでます(笑)。飲むと手元が危うくなるし、すぐ真っ赤になるし、何もできなくなるから何もしません(笑)!」テツヤ「おつまみは自分で作るんですか?」マキ「先に作っちゃって、それをゆっくり食べながら」テツヤ「そりゃ贅沢だなぁ」マキ「いやいや、簡単なものを。自分だとやっぱり簡単なものになっちゃいます」ひいな「わ、1本空いちゃった!」テツヤ「撮影中に飲み干したのは初めてだね(笑)。マキさん、顔赤くなってますよ(笑)」マキ「すぐ赤くなっちゃうんですよ。もうちょっとしたら引いてくるから、待っててください。あ、でも写真に残っちゃうんですね、わぁ(笑)」テツヤ「レタッチ効かないんで、そのままになります(笑)」マキ「飲み続けると、引いてくるから!」テツヤ「じゃ、このまま飲み続けましょう!」ワタナベマキ保存食や乾物を使った料理に定評があり、ライフスタイルを紹介した著書も多数。近著に『ワタナベマキの梅料理』(NHK出版)、8月10日に『ワタナベマキのスパイス使い』(グラフィック社)を発売したばかり。【ひいなのつぶやき】ワタナベマキ先生との光栄すぎるコラボ企画はスパイスがテーマ!花椒×遠心分離のコラボは、この業界では珍しいのではないでしょうか!続きをお楽しみに!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita
2021年08月08日弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?番外編の今夜は、福島県の仁井田本家からコンセプトの違う3本を飲み比べ。(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)今宵は番外編!熱狂的なファンを持つ仁井田本家から、人気の3本をセレクト。福島県郡山市にある1711年創業の老舗酒蔵「仁井田本家」。無肥料、無農薬の自然栽培米を使い、自然を生かした酒造りにファンが多い。父・徹也(以下、テツヤ)「ずらりとグラスが並んだねぇ」娘・ひいな(以下、ひいな)「次は番外編として、今までどうして出てこなかったんだろう?っていうお酒をご紹介します」テツヤ「『越乃寒梅』?『八海山』?」ひいな「違います(笑)。私が20歳になりたての頃によく買ってたお酒なんだけど」テツヤ「4年前ってことか。なんだろう?」ひいな「『にいだしぜんしゅ』を出してる仁井田本家のお酒です!」テツヤ「おぉ。仁井田本家の3本なんだな。仁井田本家ってどこにあるの?」ひいな「福島県の郡山市」テツヤ「へぇ」ひいな「今回の番外編は、仁井田本家の3本を飲み比べてみたいと思います!」テツヤ「イェ〜イ!」ひいな「仁井田本家さんとのつきあいは、福島のお酒フェアみたいなイベントが新橋駅で2年前ぐらいにあった時に、女将さんがPRで来てらっしゃって」テツヤ「新橋の駅前といえば、SL広場でやってたのかな?」ひいな「そうそう。そこで女将さんと初めて名刺交換させていただいて」テツヤ「へぇ」ひいな「この間、Clubhouseでも女将さんとお話しして、私のこと覚えてくださったの!」テツヤ「あらあら、ありがとうございます」ひいな「その仁井田本家さんのお酒を今回は3本、ご紹介します!」テツヤ「はい!」ひいな「『にいだしぜんしゅ』の純米原酒、『おだやか』の純米吟醸、『田村』の純米吟醸の3本です」テツヤ「同じ蔵でも見た目からぜんぜん違うんだねぇ」ひいな「それぞれコンセプトが違ってるお酒だから、味わいもいろいろでおもしろいと思うよ。とりあえず飲んでみようかな」テツヤ「じゃ、飲んでどれが好きかって正直に言ってもいい?」ひいな「いいよ、いいよ」テツヤ「この中だと『にいだしぜんしゅ』の純米原酒が一番濃そうだよね」自然栽培米の旨みを存分に味わえる「にいだしぜんしゅ 純米原酒」ラベルもシンプルな手書き文字。720ml 1540円(税込・ひいな購入時価格)/有限会社仁井田本家ひいな「そうだね。『にいだしぜんしゅ』から飲んでみる?」テツヤ「OK!お。結構、色ついてるね」まずは「しぜんしゅ 純米原酒」からいただきます!お味はいかに?ひいな&テツヤ「乾杯!」ひいな「蔵のコンセプトとしては、100年後に誇れるものを造るっていうのが一貫してあって」テツヤ「あぁ、おいしいね。でも、めっちゃ濃い!本当に不思議なんだけど、なんとか本家って書いてある酒って全部うまそうなんだよな。次、『おだやか』いただきます!」ひいな「早い(笑)」かえるのラベルが目印。白糀酒母仕込みの甘みと酸味が飲みやすい「おだやか 純米吟醸」。720ml 1650円(税込・ひいな購入時価格)/有限会社仁井田本家テツヤ「うわ、『おだやか』は白いね!色もぜんぜん違うね。全部純米なんだ」ひいな「そう、純米と純米吟醸。どう?」テツヤ「うん。酸味があって、飲みやすいね」ひいな「でしょう?」テツヤ「となると、『田村』が断然気になるな。早く全部飲んでみていい?」ひいな「いいよ(笑)」自社田米を使った生もと仕込みの「田村 純米吟醸」1760円(各720ml、税込・ひいな購入時価格)/有限会社仁井田本家テツヤ「俺、『田村』が一番いいわ」ひいな「え?本当に?」テツヤ「この『田村』が一番スーッと入ってこない?」ひいな「『田村』は、雑味が多いのが売りかと思ってたんだけど」テツヤ「俺、雑味、大好きなんだよね」ひいな「さすが。お酒弱い人の意見じゃないね(笑)」テツヤ「俺は『田村』が好みだけど、ひいなは?」ひいな「私は『おだやか』派」テツヤ「俺は、断然『田村』だけど、日本酒知ってる人は『おだやか』なのかな?」ひいな「いやいや(笑)。玄人こそ『田村』だと思うよ」テツヤ「じゃ、俺は玄人だな」ひいな「すごい意外だわ。どうして『田村』が好きだと思ったの?」テツヤ「『田村』はね、ぬか臭さもありつつキレもある。抜ける感じがあるっていうか」ひいな「なるほどね。意外だなぁ」テツヤ「いいじゃない、意外で(笑)。みんなはどう?どれが好きだった?」ライター・ヤブシタ「私は断然『おだやか』ですね」母・美樹「私も『おだやか』かな」編集・小倉「僕は『にいだしぜんしゅ』ですね」ひいな「わぁ、バラけたね。同じ蔵でも3種類お酒を出してて、好き嫌いが分かれるところがいいなと思ってて」テツヤ「すごいよね、確かに。同じ蔵なのに、こんなに意見が分かれるなんてね。でも、同じ蔵が出してるお酒っていう感じは通底してるよね」ひいな「そうそう。そうなの!」燗酒にして味わいの変化を楽しむ。ふくよかな味わいがさらに増し増しに。ひいな「『にいだしぜんしゅ』のいいところは、燗につけるとおいしいところなんだよね」テツヤ「え、そうなんだ。じゃ、燗にしてみようか」ひいな「どれにする?『にいだしぜんしゅ』がおいしいと思うけど」テツヤ「『おだやか』は?俺の中でまだピンときてないから、燗にして飲んで変化を楽しんでみたいね」ひいな「了解」(「おだやか」を燗につけて……)テツヤ「何度くらい?」ひいな「45度いかないくらいかな」テツヤ「『おだやか』がどう変わるかな?」ひいな「このお酒はね、自然派白麹酒母仕込みで、日本酒本来の味わいと香りをあえて控えめにすることで、冷やしておいしい現代のどんな食事にも合うお酒なんだって」テツヤ「それを燗にしちゃうんだな(笑)」ひいな「そう(笑)。『おだやか』を燗にする日が来るとは思わなかったな。今の杜氏が18代目の仁井田穏彦(やすひこ)さんなんだけど」テツヤ「え、ちょっと待って。18代目?すごいな。将軍家みたいだね」ひいな「修業先から実家に戻った時に立ち上げたブランドで、穏彦さんの穏の字をとって『おだやか』なんだって。燗できました!」テツヤ「いただきます!わー!ひいな、俺こっちのほう好き。めっちゃ味が変化したね。同じ酒とは思えないよ」ひいな「本当?」テツヤ「『おだやか』が今一番に躍り出たね。急に開いた感じ!さっきの冷酒の『おだやか』より100倍好きかも。温めて正解だと思う」ひいな「この『おだやか』の燗が好きなら、『にいだしぜんしゅ』の燗はもっとヤバいと思うよ」テツヤ「もっとおいしい?」ひいな「うん」テツヤ「じゃ、全部燗にして比較してみようよ」ひいな「やってみよう!」(「にいだしぜんしゅ」を燗にして……)テツヤ「今度は何度?」ひいな「53度くらい」テツヤ「濃そうだね。あぁー!これは古酒だよ。紹興酒みたい。こりゃうまいなぁ」ひいな「おいしいね」テツヤ「これは麻婆豆腐に合わせたくなる味だね。こんなに味が変わるなら『田村』はどうなっちゃうんだろう」ひいな「『田村』は燗にしたら、もっとおいしくなると思うよ」テツヤ「俺は『田村』派なんだから、『田村』の燗も飲まないと」(「田村」を燗にして……)ひいな「これが『田村』の燗です。どう?」テツヤ「あれ?燗にすると3本の差がなくなってきて、正直よくわからなくなってきた(笑)。冷えてた時は、田村がダントツだったんだけどさ。『田村』のほうが酸は立ってるけど、入りは確かに『にいだしぜんしゅ』と似てるな……」ひいな「3本とも同じ入り口ではあるけど、後味の抜け方が違うというか。より似てるところが際立つのかもね」テツヤ「うん、うん」「おだやか」のラベルに描かれた“かえる”の意味とは?ひいな「『田村』は、この『にいだしぜんしゅ』の30周年を機にうまれた日本酒で、全量自社田の米なんだって。生もとの三段仕込み。福島県郡山市田村町の天然水と自然栽培米を田村町の人が醸すっていうことで、完全にドメーヌ化してるんだって」テツヤ「蔵の一番の売りは『田村』なの?」ひいな「『おだやか』のラベルにはかえるが描かれるんだけど、自然と調和してるっていうのを表してるんだって。それぞれお酒、全部に力を入れてるんじゃないかな」テツヤ「へぇ。なるほどなぁ」ひいな「このお酒はね、経堂にある〈つきや商店〉さんで買ったんだけど、仁井田本家さんのお酒をたくさん取り扱っていて、ここで3種類とも手に入れたの。店主の息子さんが林 知香良(ちから)さんっていう方なんだけど、私と同じ年で、24歳で酒屋さんを継いで、学校の先生をやりながら土日はお店にいるんだって」テツヤ「お若いんだねぇ」ひいな「『にいだしぜんしゅ』ってね、ファンの方が熱狂的なのが有名で」テツヤ「へぇ、そうなんだ」ひいな「昔は、東京で日本酒のイベントとかがあるとかえるのTシャツを着たファンの方たちがそれこそ全国から押し寄せてたの。仁井田本家の良さを押し出そうっていう熱意がすごくて」テツヤ「すごいね(笑)。そんなにファンがいるんだ。熱狂的なんだね。ファンのみなさんにも、この記事読んでもらえるといいね」ひいな「ね!」【ひいなのつぶやき】日本酒好きなら必ず通る道「仁井田本家」。銘柄も温度帯によっても楽しめるのはファンにとってはたまらないですね!!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中
2021年07月25日