アフタヌーンティー・リビング(Afternoon Tea LIVING)から、“ネコ”を主役にしたコレクション「Cat’s NapTime produced by Cat’s ISSUE」が登場。2020年2月19日(水)より発売される。「キャッツイシュー」との人気コラボアイテムが復刻!「Cat’s NapTime produced by Cat’s ISSUE」は、ネコ好きクリエイターと共に、ネコへの偏愛を発信するプロジェクト「キャッツイシュー(Cat’s ISSUE)」とのタッグによって誕生した“ネコ雑貨”コレクション。2018年に続き、コラボレーション第5弾を迎える今回は、過去のコラボレーションから厳選した人気アイテムを限定復刻。プロジェクトメンバーのひとり 坂本美雨の愛猫「サバ美」をデザインしたクッションをはじめ、人気ネコ「コムタン」の顔型マグカップ、ネコが丸まっているように見えるティーコージー、毛足の長い“尻尾”がぶら下がるポーチなどが再登場する。新デザインの日常グッズもさらに2月22日(土)の“ネコの日”に向けた新作も登場。美濃焼、作山窯の陶器にオリジナルアートを施したカップ&ソーサーや、クッション、ステンレスボトルといった日常のアイテムが、これまでになかった“ネコ”デザインで展開される。3,000円以上の購入者には、スペシャルノベルティなお「Cat’s NapTime produced by Cat’s ISSUE」のアイテムを3,000円以上購入した人には、先着でミニサイズのマグカップをプレゼント。無くなり次第終了となるので、気になる人は早めに店頭へと急いで。詳細「Cat’s NapTime produced by Cat’s ISSUE」発売日:2020年2月19日(水)取扱:アフタヌーンティー・リビング店舗アイテム例:クッション 3,200円+税カップ&ソーサー 各2,200円+税<数量限定/店舗限定>ティーコージー 2,000円+税ダイカットポーチ 各2,300円+税マグカップ 各2,000円+税■スペシャルノベルティ「Cat’s NapTime produced by Cat’s ISSUE」アイテムの3,000円+税以上購入者に、先着でスペシャルノベリティ(ミニマグカップ)をプレゼント。※ノベルティは、無くなり次第終了。※ノベルティは一会計につき、1点限り。※オンラインショップでのノベルティと配布方法は異なる。
2020年01月18日落ち着ける家を作りたい埼玉県入間市に、樹々の間に平屋の米軍住宅が並ぶ『ジョンソンタウン』と呼ばれる地区がある。広告やメディアの制作を行うクリエイティブディレクターの曽根原興史さんは、撮影の下見のためにここを訪れた際、いつかは住んでみたいと思ったそうだ。「とはいえ都内からは距離がありますし、妻はヘア&メイクなので、重いメイク道具持ってここから仕事場へ通うのは厳しいと反対するだろうと思っていました。ところが、以前住んでいた世田谷区の保育園問題で頭を悩ませていたのですが、ジョンソンタウンのすぐ側にある保育園には空きがあるとわかりました。さらに近所のスーパーマーケットや美味しい野菜が買える場所、自然豊かな環境などをリサーチして、ここに住むメリットを妻にプレゼンしました(笑)。めでたく採用となり、念願の米軍ハウス暮らしの夢が現実になりました」ジョンソンタウンの米軍ハウスは、賃貸でありながらリノベーションが可能なのも魅力なのだとか。「入居を決めた際、この家はちょうどリノベーションの途中でしたが、天井を抜いて欲しいというリクエストは間に合いました」そしてDIYで壁や扉を塗ったり、キッチンの扉を変えたり、好みの内装に仕上げていったそう。「この街の住人は、みなさん米軍ハウスが好きで住んでらっしゃる方ばかりなので、趣味が似ていることもあって、コミュニティの良さは抜群です。住民のカメラマンやロケバスの方と一緒に仕事をさせてもらっていますし、プロップ用にクルマを借りたり、大工仕事を手伝っていただいたりと、公私ともに仲良くさせていただいています」「アメリカのアンティークショップで、集合写真をたくさん買いました。その中に自分たちの写真をさりげなく混ぜています」リノベーションの際、天井を抜いた。「米軍住宅は、木造でも空間を広く取れる梁の構造になっています」曽根原さん一家は、興史さん、絵理子さん、7歳の翌太くん(登校中でこの日は不在)、2歳の百嶺ちゃんの4人家族。窓の向こうは以前のオーナーが増築した部分で、今はストックルームとして使っているそう。キッチンはリフォーム済みだったが、扉を曽根原さんの好みの木目のものに変えた。ドアをDIYでペイント。ペンキがところどころ剥がれてきて、いい感じの味が出ている。念願の平屋の米軍住宅。ファサードは以前の住人が増築している。庇に伸びたモッコウバラなど、植栽が素晴らしい。テラスには大きな屋根がかかっていて、アウトドアリビングとして気持ちよく過ごせるスペースになっている。玄関の扉はDIYでブルーにペイント。扉ののぞき窓のカーテンがかわいい。鍵は玄関入ってすぐの場所にとりつけたフックへ。仕事場の壁は自分でブルーにペイントひと部屋を曽根原さんの仕事場にしている。壁は自分でブルーにペイントしたのだそう。「漆喰にすることも考えたのですが、この時代のアメリカの住宅はペンキが似合うよとアドバイスいただきました。ペイントにして正解でした。ここで物撮りの撮影をする機会があるので、小物が映える色を選びました」米軍ハウスはDIYを楽しめる家でもあるのだとか。「DIYで家に手を入れるのが好きな方が向いていると思います。ありがたいことにDIYが得意な方が多く住んでらっしゃるので、いろいろと相談に乗っていただいてます」両袖のデスクに、レザーのイームズのアームシェルチェアを合わせて。「この事務所スペースも、前に住んでた方が増築しているようです」キャビネットの上の弾薬箱は小物の収納用に。「ミリタリーものには目がないです」横に長いデスクと、軍ものの折りたたみ式チェア。事務所スペースの外側には枕木が敷き詰めた。「枕木をネットで120本買い、自分で敷きました。引き取りに行って、運んで、敷いて……重労働でした(笑)」レンタルスタジオをリノベーション曽根原さんは、家から徒歩1〜2分、同じ『ジョンソンタウン』内にある撮影用のレンタルスタジオの運営もしている。「ここに越してきて5年が経った頃、以前もスタジオとして使われていたこの建物に空きが出まして、スタジオ経営に名乗りを上げました。内装デザインを新たに行ってリノベーションし、スタジオ『TACOMA』としてオープンさせました」日本の住宅は“センチ”を単位にして設計しているけれど、“インチ”を使うと、どこかしらアメリカらしい建物になるのだそう。「家具の制作や内装をお願いした『リクレイムドワークス』の岩田さんに、そんな重要なヒントをいただきました!」スタジオは撮影以外にも様々な使い方をしているのだそう。「ホームパーティをすることもあります。卓球台を持ち込むとかなり盛り上がります(笑)」「アメリカ西北部、ポートランドをイメージしてスタジオを作りました」「トラス構造は内部空間を広くとれることが特徴です。右側に見える柱2本は不要なのですが、スタジオとして空間を分けるために敢えて立てています」アメリカの古材で作ったダイニングテーブル。スツールで座ってちょうどいい高さにしている。トラス構造がよくわかる梁。壁を黄色に塗り分けた高さもインチで決めた。「バスルームはNY風のデザインにしました」
2019年12月30日子育てファミリーのリビングでありがちな「なんだかくつろげない」「片づけに時間がかかる」「キッズスペースのおもちゃが溢れる」といったお悩み。今回は、建築士で整理収納アドバイザーでもあるすはらひろこさんに、「小さい子がいるおうちのリビングを快適にする方法」を教えてもらいました。読者の皆さんの工夫も紹介します!イラスト/柴田ケイコ目指すべき理想はどんなリビング?今はSNSで「まるで、子どもがいないかのようにスッキリ整ったリビング」を公開しているママがたくさんいます。そうした人のノウハウを参考にするのは悪いことではありませんが、わが家と比べて「こんなにキレイにできない」と落ち込む必要はありません。もともと片づけが苦手な人が、そのレベルを目指そうとすると、苦行になってしまいます。片づけに追われる生活は楽しくないですよね。「リビングをもっと快適にしたい」と思ったとき、もっとも大切にしたいのはSNS映えではなく、「家族みんなが伸び伸びできて、居心地が良いこと」。そのためには、パパも一緒に、まず「どんなリビングにしたいか、どんなふうにリビングで過ごしたいか」、わが家の理想のリビングについて話し合ってみましょう。子どもが中学生くらいになれば、大人優先のインテリアにできますが、それまでは子どもも含め「ファミリーとしてどう過ごすか」という視点が重要です。お話を聞いたのは片づくおうちプランナー すはらひろこさん株式会社アビタ・クエスト代表取締役。一級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー。All About収納ガイド。インターネットやテレビ、セミナーなどを通じて片付け術を広く伝えている。著書に『片づけ・収納・掃除・洗濯の教科書』他多数。大人がくつろげるリビングのポイントは「収納」にあり!片付けの目標は3分! だから収納は3歩以内に人は散らかっている場所では、ゆったりできないもの。「簡単に片付くリビング」にすることが、くつろげるリビングへの近道です。片づけの目標時間は3分。毎回3分以内で原状復帰できれば、ママも疲れませんよね。「3分なんてムリ!」という場合は、収納を見直してみましょう。物の定位置が決まっていなかったり、決まっていても使う場所から遠かったりすると片づけに時間がかかります。家族も自分で戻してくれず、つい出しっぱなしに…ということも起こりがちです。物の定位置は「使う場所から3歩以内」にするのがポイント。掃除道具もすぐ手に取れる場所にしまっておくといいですね。とは言っても、一般的なマンションや建売住宅の間取りは、リビングの収納が不足することが多いようです。リビングに置くべきものを洗い出し、収納の容量と比べて収納が不足していれば買い足しを検討して。必要な収納スペースを確保したら、物をそれ以上増やさないように気を付けましょう。収納がギュウギュウになると物を戻しにくくなるので、常にゆとりがある状態を目指しましょう。【読者のうちのPoint】リビング収納の工夫● 家具を少なくし、引き出しは全てラベリングしています。(なまけものこ)● 引き出し付きのダイニングテーブルにして、頻繁に使う小物はここに。リモコン、ペン、印鑑、爪切り、塗り薬、ハンドクリームなど、さっと出せて便利です。(ぽんぽこぽん)● ノートパソコン、保護者会役員の資料、DM、読みかけの本、製作途中のドールハウスなど、一時保管用にワゴンを買ったらスッキリ!(ままち)【読者のうちのPoint】ママ&パパのくつろぎタイム● インテリアはすべて夫の好みで統一。家にいる時間が少ない分、家では気持ち良く過ごしてもらいたいです。私は子どもが寝てからウエアラブルネックスピーカーで音を気にせず海外ドラマなどを楽しむのがストレス発散になっています。(あちゅ)● リビングのカウンター下に収納場所を作り、夫のCD入れにして、夜、自由に聞けるようにしています。(ももなし)● お父さんのコレクションシェルフを設置しました! これを話題に子どもたちとも話ができるようです。(ニンニン)リビングに置いている家具、本当に必要?リビングを窮屈に感じるなら、当たり前のように置いている家具を「これって本当に必要?」と疑ってみましょう。場所を取っている固定ソファを座椅子やクッションに替えたり、ダイニングテーブルをローテーブルに替えたりすると、空間が広く感じられますよ。通称「人をダメにするソファ」を置いています。(める)キッズスペースのルールは「子どもの目線」で考える子どもの発達に合った使いやすい収納をかつては子ども部屋におもちゃや絵本を置く人が多かったのですが、今はリビングの一部をキッズスペースにする家庭が増えています。リビング学習が広まり、その前段階としてリビング中心の生活にしている人も多いようです。キッズスペースはなんとなく作るのではなく、「ここがあなたの場所」と明確に分かるようにすることがポイント。ラグやマットを敷くと、子どもでも分かりやすいですね。おもちゃの収納は、子どもの発達に合わせて「自分で出せる&しまえる方法」に。園の収納方法をまねするのもおすすめです。幼児期は、その子が扱いやすい大きさ・重さの収納ボックスを。場所を移動して使うものはキャスター付きボックスに入れると便利です。中身が見えない収納ボックスにはラベルを付けたり、工作やブロックの制作途中で一時保管したいときの置き場所なども決めておくといいですね。「おもちゃが溢れて困る」という場合は、「収納に入る量だけにする(=溢れた分は処分)」というルールにしてみて。新しいおもちゃをほしがったら、「あの中に入るかな?」と子どもに考えてもらいましょう。自分のおもちゃを自分で管理させることは、しつけの一環にもなります。絵本も自分で出し入れ、飾る作品は親子で相談を絵本も「自分で出せる&しまえる方法」で。表紙が見えると選びやすいでしょう。棚に入れるときはピッタリ詰めず、余裕を持たせた方が出し入れがラクです。子どもの作品は、展示エリアを決め、その範囲内に収めて。新しい作品は飾るかどうかを子どもと相談を。最新作にこだわらず、お気に入りを飾ってあげたり、リビングではなく廊下などに飾ってもいいですね。キッズスペースの片づけは時間を決めるキッズスペースは子どもが自由に伸び伸び遊べることを最優先に。そのエリア内なら、どれだけおもちゃや絵本を出しても許してあげましょう。いつもキレイにしておく必要はなく、「パパが帰ってくる前」「寝る前」など1日に1回、時間を決めてきちんと片づければOKです。【読者のうちのPoint】おもちゃの収納● 子どもが片づけやすいように、おもちゃの収納ケースにそれぞれラベリングしました。(すみたいママ)● リビングの隅にキッズスペースを作り、なるべくそこで遊ぶようにしています。おもちゃは箱にしまうなどして散らからないように。(ゆずいち)● おもちゃの場所を一カ所に決めて箱を置き、子どもが片づけやすいように。ソファで隠れる高さと位置に配置し、リビングに入った瞬間はおもちゃが目に入らないようにしています。(かわだ)● ジャンルごとに収納箱があるので、子どももポイポイ収納でお片付けしてくれます。また棚の高さが低いので子どもでも見やすいです。(Tママ)【読者のうちのPoint】本の収納● 寝る前に読む習慣があるので、読みたい本を自分で出して片づけもできるように動線を考えて、リビングと寝室の近くに置いています。(まろ)● おもちゃと本の棚が一体化している収納があり、自分で本を取ってこれます。(ここねこ)【読者のうちのPoint】作品展示スペース● 子どもの作品スペースはリビングに設置してパパと共有してます! ここに飾れる分だけで、増えたら古いものはファイルにしまっています。(アップルパイ)● 額に飾ると大変だし、そのまま壁に貼ると作品が傷んでしまうので、学校用の作品掲示ケースを購入。絵をスポッと上からポケットに入れるだけです。(のルル)すはらひろこさんからメッセージくつろぎも片づけもパパとシェアしよう!「わが家の理想のリビング」についてパパと話し合ったら、それをどう実現するか、維持するかも相談しましょう。リビングは家族全員が使う場所。すべてをママが1人で担う必要はありません。リビングの片づけは、遅い時間に帰宅するパパでもできる家事。「平日は育児も家事もする時間がない」というパパにこそシェアしましょう。収納場所にラベルを付けておくと、パパでも片づけやすくなります。3分程度で片づくリビングにしておけば、仕事で疲れて帰ってきても無理な負担ではないはず。それでママの笑顔が増えれば、ハッピーな家事シェアですよね。
2019年12月12日街の一角に建つ癒しの空間「街の中の庭となる、そんな家にできたらなと思いました」。古谷デザイン建築設計事務所の古谷俊一さんのご自宅は、昭和の風情の残る街並みに、まるでオアシスのように緑を湛えて佇んでいる。「子供の頃から田舎というものをもっていなかったので、緑を渇望していたところがあるんです。20年くらい植物を育ててきた経験を活かして植栽のプランを立てました」。1階の外構から2階、3階のバルコニーまで、緑の溢れる外観は、古谷さんがリノベーションを担当した、向かい側の「大森ロッヂ」との連続性も考えられている。「8棟の木造住宅が並ぶエリアに、庭のようにつながる建物にしたいと考えました。ちょうど真向かいに建てた店舗付き住居と相対する形で、フロアのレベルや意匠も揃えています」。改修した長屋の立ち並ぶ路地の入り口にある、街に向けて開かれた建物は、住居でもありサテライトオフィスでもあり、グリーンのナーセリーでもある。敷地をぐるりと取り囲むようにグリーンが生い茂る。それぞれの方角に適したグリーンを植樹。住宅街の路地の一角に、向かい側の店舗付き住居と対峙するように建つ。3層の木造住居。3階までグリーンが連続し、街の中にひとつの景観を生み出すかのよう。日本の建築物を踏襲したいむき出しの軒柱に、建物の隅にそれぞれ設けられたバルコニー。空間に“欠け”のある独特の外観が開かれた印象を与える。「この辺りは準防火地域なので、柱を現しにはできないんです。そこを、通常より太い燃え代設計にすることでクリアしています」。現しにこだわったのは、親しみやすさ、分かりやすさ、だという。「今は何でも包み隠してしまうけれど、建物がどういう構造で建っているのか、現しにすれば分かりますよね。お寺や昔の日本家屋の良さを、できるだけ踏襲したいという思いがあります」。軒柱のあるバルコニーは、書院造りの濡れ縁のイメージ。ここを介して、中と外が曖昧に区切られる。そして家全体を、頂点から四隅へ同じ角度で傾斜する宝形屋根が包む。「向かい側の家のデザインに合わせているのですが、御神輿をかついでいるような雰囲気で、縁起がいいじゃないですか(笑)。雨よけにも合理的なんです」。軒柱を現した設計は、縁側のある昔の日本家屋を思い起こさせる佇まい。自邸の玄関側。自然な木目の外壁は“選びに選んだ”サイディング。「縦に張ったことでつなぎ目が目立ちにくくなっています」。玄関には京都の「BOLTS HARDWARE STORE」の照明を外灯に使い、カッティングボードで名前を貼ることで表札代わりに。内でも外でもない廊下1階のサテライトオフィスとグリーンのナーセリーから、外階段でつながる2階には、居室とバスルームが。ここは廊下を外部テラスに見立てた。「外構の延長として、外からつながっている感じにしたいと思いました。天井に照明をつけたり、ドアノブを取り付けたりすると一気に室内の感じが出てしまうので工夫しています」。照明の代わりに、床の上に小さなライトを行灯のように配置。夜にはほのかな明かりが、3階につながる階段まで誘導する。取っ手の形状にこだわったドアノブとモルタライクの床も、室内という雰囲気を和らげている。「室内でも外でもない、そういう曖昧な空間が好きなんです。できるだけそんな場所をつくりたいですね」。玄関脇にはマンガの書庫を設けることを決めていた。家族全員の愛読書は2000冊程。「ここにあるのは2軍なんです(笑)」。シューズインクローゼット。奥の鏡は扉のように手前に引くことができ、外出前に全身をチェックできる。「BOLTS HARDWARE STORE」の照明を行灯のように点在させて。廊下の床はモルタライク。半室内のような空間が3階LDKヘとつながる。天然の素材感が心地いい2階の主寝室。緻密に計算して棚を取り付けたクローゼットを、カーテンで仕切っている。バスルームはFRPで。床には冷たさを感じにくいLIXILのサーモタイルを使用。洗面、バルコニーに接続させて動線も確保。生活のしやすさをベースに「妻が“ルーフバルコニーは絶対に欲しい”と言ったことが、設計のスタートです。コンセプトは実は後付けで(笑)。住宅は生活しやすいことがいちばんなので、そこから入っていかないと」。空中庭園のようなバルコニーの先に街が広がる3階のLDKで、そう語る古谷さん。「とってつけたようにしたくない」と設計したバルコニーにより、結果、室内はジグザグの形状になり、リビングとダイニングキッチンが緩やかに分かれている。「これによって隣家との距離感が保たれる、という効果も生んでいます。ただ、すべて居心地のよさを考えた結果なんです」。上を見上げると屋根の稜線の先に青い空が広がる。外から見ても癒されるグリーンの建物は、中にいても心地よく、開放感を味わえる空間だった。宝形屋根の欠けの部分から光が差し込む3階のLDK。リビングにはセルジュ・ムーユのシーリングランプを。LDKからフラットにつながるバルコニーでは、南側北側の二隅に無機の土を盛って屋上緑化を図り、空中庭園を造園。保水力が高いためプランターよりよく育つそう。南側にはエゴノキやアメリカハナズオウ、北側にはハギやヤマボウシなどを植え、四季折々の表情を楽しんでいる。バルコニーの配置により、LDKはジグザグに分かれる。奥のダイニングキッチンは、カウンターが緩やかな仕切りに。システムキッチンのまわりにカウンターを造作したことでコストもカット。収納の扉はグレーとブルーのリバーシブルで、アレンジが可能。リビングには、あぐらをかいて座れるIDÉEのソファー・AGLASを。たくさんの本を整然と収納できるよう、予め本のサイズを計って棚を造作。飾り棚にはスリランカ、北欧、台湾など旅先で買ってきた雑貨をディスプレイ。ブラインドは斜めになった開口の形に合わせ、スイスの「CRÉATION BAUMANN」社にオーダーしたもの。古谷デザイン建築設計事務所代表の古谷俊一さん。1階のサテライトオフィスで。古谷邸設計古谷デザイン建築設計事務所所在地東京都大田区構造木造規模地上3階延床面積142.05㎡
2019年11月20日普通の家では面白くない東京・世田谷の閑静な住宅街に建つ加納邸。2年半ほど前に建て替えたというその家は、ガルバリウム鋼板の黒い外壁と、2階が浮いたように見えるキャンティレバー状の構造が異彩を放っている。「長年住んでいた以前の家は、中庭を囲むように建つユニークな構造でした。とても気に入っていたのですが、雨漏りや設備が老朽化したため、思い切って建て替えることにしたのです」と幸典さん。「普通の家では面白くない」と、感性の合う建築家を探したという。もともとインテリアが大好きで、ライフオーガナイザーの資格も持つ奥さま。愛読している住宅雑誌で目に留まったのが、設計事務所『ステューディオ2アーキテクツ』の住宅だった。「段差をうまく利用した住宅で、限られたスペースの中での空間使いが巧みで面白いと思ったのです。依頼すると、以前住んでいた家をじっくり見ながら、私たちの思いを聴いてくださいました。以前の家で気に入っているところは活かしつつ、住みにくい点はクリアするといった感じで家づくりが進んでいきました」(奥さま)。切妻の屋根なりの天井が開放感をアップ。ルーフテラスに続く“リビング階段”は奥さまのリクエスト。住宅が密集しているため、窓を最小限にした。道路からはルーフテラスが全く見えない。上がり框のないフラットな玄関ホール。墨を混ぜたモルタルがシックな印象。車が眺められるギャラリー風ガレージ。多様なニーズの高床“パレット”加納さん夫妻の要望は、まずは、広い2階リビングと大容量の収納。「収納を多くすると空間が狭くなると思ったのですが、“パレット”を提案してもらい、どちらも実現することができました」(奥さま)“パレット”とは、多様なニーズに応えるための高床になった仕掛けのこと。2階の中央部分には、70cm高く上げたステージのような“パレット”を配置。約18畳のその床座は、家族が寛ぐリビングでありながら、ルーフテラスやロフトに連動した子どもたちの遊び場であり、時には食事をする大きなテーブル、家事をする作業台などさまざまな目的に対応している。さらに、床座の下部は巨大な床下収納になっていて、季節行事やイベントのグッズ、客用の布団などから日常的に使用するものまで何でも収納。また、来客時にはさっと仕舞える一時保管のスペースとしても重宝しているという。3段ほど高くなった“パレット”。「アイロンをしたり、洗濯物を畳んだりするのも便利です」と奥さま。床暖房も入っている。リビングの下はすべて収納になっている。使用頻度が少ないものは奥に入れるなど工夫が見られる。床座はデスクスペースにもなる。キッチン側に大きめの引き出しが2つ。頻繁に使用するものを中心に収納している。一時保管場所としても便利。引き出しを外すと奥のワークスペースまでつながる。トンネル状になり、子どもたちの格好の遊び場に。空の眺めを日常に取り込む「以前の家では、中庭を眺めながら暮らしていたので、今回も周囲からの視線を気にせず、空を感じて暮らしたいというのがありましたね」と話す幸典さん。その要望は、屋根の一部をくり抜くようにして設けた広いルーフテラスにより叶えられた。高さ制限ぎりぎりまで上げた天井高は5m。テラスに面した大きなガラス窓にはカーテンやブラインドは一切つけず、大開口からたっぷり入る自然光を楽しんでいる。周囲の家が目に入ることなく空へと視界が広がり、光や雲の動き、季節の移ろいを感じられる空間となった。「キッチンに立ってリビングを見ると、家族の様子とともに空が視界に入り、気持ちいいですね」と奥さま。最もお気に入りの場所というキッチンは、奥さまの憧れのブランド『クッチーナ』を設置。幸典さんの知人を通して、モデルルームで使用していたものを格安で購入したという。「現品のみのため、もとはペニンシュラタイプだったものを大工さんの力でアイランドタイプに変えてもらいました」ダイニングキッチンのスペースは、このキッチンに合わせて設計された。アウトドアリビングとしても活躍するルーフテラスは、“空庭”と呼んでいる。周囲の視線を気にせず寛げる“空庭”。「月を見ながらビールを飲むのが至福の時です」と幸典さん。『クッチーナ』のキッチンと横並びに配したダイニング。テーブルはコンクリート製をセレクト。「けっこう無機質なものが好きなんです」(奥さま)キッチンに立つと、目の前に大開口が広がる。「料理の合間に椅子に座り、ボーッと空を眺めていることもありますね」(奥さま)キッチンの奥がサニタリールーム。家事動線を考え、水回りをつなげた。洗面台もモデルルームで使用していたものを購入し、持ち込み、設置してもらった。それぞれの居場所でコンサルティング会社(株式会社CAN)を経営する幸典さんは、自宅を仕事場にしている。1階に書斎はあるものの、ほとんど2階のワークスペースで仕事をするという。基本的には、早朝から子どもたちが留守の間に仕事をするそうだが、帰宅した子どもたちの近くで仕事をすることも楽しいという。「子どもたちが大きくなっても、部屋に籠るのではなく、勉強などもなるべく2階でしてくれたらいいなと思っています」(幸典さん)2階にはロフトもあり、現在は主にお嬢さん(5歳)の遊び場に。息子さん(9歳)はオモチャを広げて遊ぶことから卒業し、“パレット”をデスクにしてゲームをしていることが多いという。家族が同じ空間で過ごしながらも、それぞれが自由に好きなことをしていられる2階の“パレットリビング”。家族のほどよい距離感が心地良い時間を運んでいる。“空庭”と同じ高さのロフト。リビングから死角のため、オモチャを広げっぱなしでもOK。仕事、宿題、ゲーム、お絵描きなど、ワークスペースでは各自が好きなことをしている。1階の玄関奥は、家族の寝室とプレイルームがある。子どもの成長に合わせて部屋を分ける予定。玄関からウォークインクローゼットあるいは書斎を通って奥の部屋へ。1階は回遊できる設計に。コピー機等を置いた、1階の書斎。玄関から寝室への通路にもなっている。ほとんど2階で仕事をするが、家族がいる時間にスカイプでの打ち合わせが入ったときなど使用。2階から1階の玄関ホールを見下ろす。「手で触るところは黒にしてもらった」と、アクセントカラーは黒をリクエストした奥さま。上部の黒い収納は、安全面を考えた柵との兼用。加納邸設計ステューディオ2アーキテクツ所在地東京都世田谷区構造木造規模地上2階延床面積117.25㎡
2019年11月18日正面にスチールの骨組みと緑山田邸を訪れてまず目を引くのは、その外構部分だ。スチールで組み上げられた骨組みに階段が組み込まれ、それらの間から緑が顔を出す。そしてその背後にある住居部分が半ば隠れていてその全体像をつかむことができない。設計したのはこの家に住む建築家の山田紗子(すずこ)さん。この家は夫と息子、そして自らの両親とともに暮らす住まいとしてつくられたものだ。「環境さえつくれば家はどんな感じであってもある程度いいものになるのではないかと楽観的に考えました。なので、その環境の部分――外構というか庭というか――をいかにつくるか、そして家のほうはそれに向かっていかに生活できるようにするかが出発点となりました」と話す。「適度に都市と細かくつながりながら見え隠れしているようなあり方が面白いのではと思った」(紗子さん)。玄関周りの外壁面を正面から見る。2つのテラスを結ぶ階段がダイナミックに宙を飛ぶ。そして「土地の広さが109㎡ほどなので、その半分は庭にしないとそのようにはならないだろう」と、まずは敷地の半分程度を庭にあてて残りを住居のために使うことに。外構部分のテラスと階段についてはこう説明する。「住居部分のボリュームスタディを進める中で、地上3層プラス半地下にすることでようやく求められている居住空間を収めることができたのですが、その3層に対してどのように緑を配置しても、上の方のレベルでは庭にアクセスできない。それでは外構が借景のような感じになってしまうので、テラスを張り出して、さらにそのテラスに行くための階段をつくろうということになりました」反時計回りに階段が地上の1層目につくられた書斎の前のテラスを経て最上層へのテラスへと至る。外構部分の緑とスチールがプライバシーを守るバッファ的な役割も担っている。階段がぐるりと円弧を描いて最上層のテラスへと至る。地上1層目につくられたテラスから最上層のテラスの方向を見る。最上層に設けられた寝室とテラス。このテラスは夫のマサシさんのお気に入りの場所。マサシさんは「緑に水をあげたりなどの手間はかかありますが、気持ちのいい生活の場がそういうものをぜんぶ押しのけている」と話す。自由な空間スチールの骨組みと緑が無造作に混在しているように見える前庭を横切って内部に入ると、こちらもまた庭に劣らぬおおらかな自由さのようなものが横溢した空間が現れる。この自由さの印象は、表層部分をきれいに仕上げてソフィスティケートされた空気感をつくり上げるのではなく、その真逆を行くような、素材の即物的ともいえる扱い方や一見無頓着そうにみえる素材の混在のありようなどから受けたのだが、紗子さんが設計しながら考えていたのは次のようなことだったという。「あまり計画的にきれいにゴールを決めてしまうよりも、生活の中で必要だと思ったことや欲求にたいしてぱっと動けるような設計のアイデアを考えて積み上げていくほうが面白いし、永続的に使っていける家にもなるのではないかというイメージがありました。またある意味、即物的にやっていくほうが、住みながら住まいと住んでいる人が対話しているような部分も生まれるし、建築自体も変わっていって、住んでいる人もまたそれにかかわることができるのではないかと」室内に“外部”が入ってくるような感覚をつくり出すべく、主寝室の壁に外壁と同じガルバリウム鋼板を使用した。ダイニングとキッチンを見る。天井は骨組みだけでなく配線なども表に出して視覚的にわかるようにしている。外を見ながら料理ができるキッチン。この配置は家族皆で料理ができるようにするためのものでもあった。即物的なあり方とモノの混在即物的ともいえる扱いには「モノとモノがどう組み合わさってつくられているのかがわかるにほうがいい」という紗子さんの考え方も反映している。「建物の骨組みがつねに見えているほうが、何によって囲われていて何によって守られているのかが体感できて特に子どもにとってはいいのではないか」。この考えは2011年の震災の体験も踏まえてのものだという。「震災の時に見えないものに対する恐怖みたいなものを強く感じて、自分を支えているものがいったいなんなのか、どこからきているのかがわからない現代の生活に対して、もうちょっと可視化していけないかと」一見無頓着な素材の混在については「基本的に外も中もモノがなるべくバラバラに混在しつつ一個に成り立っているような状態をつくりたかった」と話す。たとえば階段の手すりが左右同じ素材だと、一個にまとまりすぎてボックスのように確固とした存在になってしまう。そう見えないように、なるべくモノがただそこに集まってきて、結果的に階段になっているくらいの存在感であってほしいという思いがあったという。左は高さ4mあるスチールの開き戸を開けた状態。今夏の朝と夜はだいたいこのように開けていたという。「朝と夜、25度くらいに下がった時にこのドアを開けると家の暖気がぜんぶ逃げていってすごく涼しかった」(紗子さん)という。リビングを見下ろす。階段の手すりにスチールパイプを使ったのには「なるべく外の風景とつながるように」との思いもあった。即物的にモノとモノがただ組み合わさって出来上がっている状態をつくるべく現場に通って直接職人さんと話し合ったという。ドアの前に斜材設計に関して夫のマサシさんからのリクエストはほぼゼロだったというが、マサシさんは「ドアの前に木材が斜めに入ると聞いて、そこは“ホントに?”と思った」という。しかし「実際住んでみると些細な問題で、ドアの前に木の斜材が入っていても生活にはなんの支障もない」と話す。。さらにこの家では「場所の区別がないかもしれない」とも。「場所がすべてひとつながりになっているような感じで、かつ個室が互い違いに置かれているので、家全体に家族の気配が下から上まで感じられるようになっている」このように語るマサシさんのお気に入りは最上層の寝室前に設けられたテラスだ。「あのテラスで椅子に座ってお茶飲んだりとか、ヨガマットを敷いて本を読んだりして」適度に外のざわめきを感じながら過ごすのがいいという。リビングでくつろぐ山田さん夫妻と息子さん。奥の書斎前に座っているのは紗子さんのお母様。山田邸は2世帯住宅だが、もともと一緒に暮らしていたため、「2世帯」であることは設計時には特にテーマとはならなかったという。リビングの奥から見る。玄関から見上げるとダイナミックな風景が目に入る。リビング方向を見る。左は開き戸を開けた状態。開けることで中を外へとぐっと誘導するような空間の質が生まれる。玄関部分を見下ろす。半地下につくられた紗子さんの事務所。手前は設計途中につくられたこの家の模型。事務所側から玄関と紗子さんのお父様の寝室を見る。原始の生活?「人が自由になれるきっかけみたいなものが家の中にあるだけでいい」とも住宅設計の理想を語る紗子さんの好きな場所は地上の1層目につくられたリビング。「設計中からたぶんここがいちばん気に入るだろうと思っていたんですが、その通りになりました。ダイニングは木のいちばん上のような場所にいてパーンと外に開け放たれた感覚がありますが、リビングのほうは少し森の中にいるような空気感で、適度な暗さもあって居心地がいいですね」ソフィスティケートされた空間を追求しがちな現代住居とは反対方向を向いているように思える山田邸での生活は「原始の、自然の中での暮らしの感覚に近いのかもしれない」とふと思い至ったが、この家の自由さのようなものをはらんだ居心地の良さからそのように思えたのかもしれない。紗子さんお気に入りのリビングスペース。2、3年後に緑のボリュームが増えるとさらに森の中にいるような空気感が増すだろう。山田邸設計山田紗子建築設計事務所所在地東京都世田谷区構造木造規模地上2階+地下1階延床面積138.5㎡
2019年11月13日子どもの成長と共に、家庭学習も重要になってきます。hanaさんの小学生と中学生の子どもは、6年ほどリビング学習を続けているそう。家事をしながらでも目の届きやすいダイニングテーブルで子ども達が勉強するのは、都合が良かったといいます。そんなhanaさんですが、最近になって新たな学習スペースを設置しました。新たな学習スペースの設置理由、学習スペース追加のメリット、そしてリビング学習の今後についてどう考えているのかを聞きました。■ 新たな学習スペースの設置理由は?リビングダイニングの広さは10畳強。コンパクトなリビングダイニングに更なる学習スペースの設置は避けたいところでした。でも、子どもが2人いてリビングダイニングですごす時間が長いとなると、ダイニングテーブルの上には必然的に子どものモノが増えてきます。新たなスペースはモノの移動の効率性を考えて設置しました。場所はテレビの脇。普段は使うことのないコーナーに座卓を置き、学習スペースとしました。このコーナーにはセット購入した歴史漫画や四字熟語などの学習漫画を並べています。気軽に手に取ってラグで寛ぎながら読んでもらえたら、そして自然に内容が頭に残れば良いなという欲張りな思惑で置いています。また、毎週届く子ども新聞、中高生新聞もこの座卓が定位置です。■ 学習スペース追加のメリットは?マック / PIXTA(ピクスタ)一人がダイニングテーブルいっぱいに教科書や問題集などを広げて勉強し始めると、決まってスペースの取り合いになります。そういうときに、もう一人がこの座卓で勉強できるようになったので、いざこざも解消し平和です。また絵を描くのが大好きな子どもなので、すみっこで誰にも邪魔されずに絵を描けるスペースがあるのは落ち着くようです。黙々と絵を描いている様子を見ると、このスペースを作ってよかったと思っています。また、以前はインテリアに馴染むように、本などは緩やかに隠す方法を模索していましたが、今は常に目に入り、必要なときに取れる場所にあるということを優先にしています。ダイニングテーブルの後ろに本棚もあるのですが、そこも入りきらなくなってきているので、読んで欲しいなと思う本はこの学習スペースに意識的に置いておこうと考えています。■ リビング学習スペースの今後家族の成長と共に、その都度柔軟に変化させていくリビング学習スペース。上の子どもは中学生。そろそろ自室での学習に移行してくる時期に差し掛かっている様子です。どんな形であっても、家族の心地良い空間であり続けるリビングダイニングづくりを心掛けたいと考えています。
2019年11月06日面積広めの旗竿敷地笹沼邸が立つのは旗竿敷地。敷地自体は約190㎡と広く、そのため土地の値段は当初の予算をオーバーしていたという。しかし「西側が開けていて、駅からの距離感や駅の規模感なども含めトータルで考えた時にいい敷地だと思った」と笹沼さんは話す。そして予算のオーバー分をうまくやりくりする手段として賃貸併用のアイデアに思い至ったという。賃貸のワンルームを2戸併設した笹沼邸の設計を依頼したのは奥さんの旧友であった北澤さん。建築のデザインに興味をもっていた笹沼さんは、北澤さんが妹島和世さん、西沢立衛さんのお2人が主宰するSANAAで働いていたこともあり「会ってみたい」と連絡を取って知り合ったのが5年ほど前のことだったという。2階右端と1階左端が賃貸部分。外壁は小波のガルバリウム。箱がずれたような構成になっているが、それをあまり強調したくなかったため、全体として大きな一軒の家のような連続性を感じさせる素材ということで選択された。ダイニング側から「まえにわ」を見る。この壁の裏側に2階の賃貸スペースへと上る階段がある。旗竿敷地に建てられた笹沼邸のエントランス部分。3つのリクエスト笹沼さんが北澤さんにこの家の設計でまずリクエストしたのは「友だちが来て楽しくなるような家にしてほしい」「外と中の関係をあいまいにしてほしい」「天井の高い家にしてほしい」の3点だった。はじめの2点が明確に表れているのはエントランス部分だ。上部に賃貸部分がつくられた「まえにわ」と呼ばれるスペースとダイニングキッチンのスペースがガラスの開口を介してつながっていて通常の玄関のように内と外との関係が切れていない。「そもそもスペースが限られた中で玄関をつくるのがもったいないと思い、縁側からスッと入るように外と中が連続するようなつくりにしました。正面にキッチンをつくったので1階は奥様がお店をやっているような感じになって、外と中とがつながりつつ楽しそうになっていいかなと」(北澤さん)エントランス側からダイニングキッチンを見る。2階はリビング。キッチンからエントランス側を見る。ハイサイドライトは朝日を入れるため施工途中で開けることに。このアイデアにたいして笹沼さんは「もともとふつうの家はいやだなと思っていたのと、建築によって生活が変わる楽しさみたいなのも許容しようと思っていたので楽しく受け入れました」と話す。外と中の関係があいまいということでは、2階上部にあるサンルームと呼ばれるスペースとテラスとのつながり、さらに、白い壁にところどころに開けられた開口を通して外部へと視線が気持ちよく抜けていく点も見逃せない。「リビングのハイサイドライトとか外からの視線が気にならないところは大きく開けてカーテンも付けていません。そうすると外の空気の動きとか天気の様子などが中にいてもすごく感じられて、体感として大きな外部環境にいるように感じられるのではないかと」(北澤さん)2階からダイニングキッチンを見下ろす。キッチンは奥さんの希望でアイランド式に。壁は塗装に見えるが薄手のクロスが貼られている。ずれつつ縦に展開天井の高さはダイニングキッチンが4745mmでリビングが4515mmとふつうの住宅よりも2mほど高い。笹沼さん曰く「どちらも住宅であまり経験したことがない高さでどんな感じになるのか全然イメージがわかなかった」。そしてまた天井が高いばかりでなく、ダイニングキッチンとリビングというプロポーションの近い箱状のスペースが2つ縦にずれながらつながり、さらにその上のサンルームへと、これもずれながらつながる構成も笹沼邸の大きな特徴だ。キッチンから2階へと上る階段を見る。ダイニングテーブルからの眺め。階段と2階部分の手すりにはさび止め効果のある常温亜鉛めっきが施されている。1階から見上げる。階段上部の梁だけが下の柱と揃えて白く天井が仕上げられている。2階リビングからサンルームに至る階段を見上げる。白の壁とそのほかの木の部分とのコントラストがきいている。2階のリビングからダイニングキッチンとその上につくられたサンルームを見る。サンルーム側からリビングを見下ろす。奥の木の扉を開けると左が書斎で、右はベッドルームに至る階段がある。奥さんは設計時には「子どももいるので階段が多いことなどに抵抗があった」というが、「住んでみたら各スペースの高さが違うことで室内でも見晴らしが良く、下に子どもがいても上の階から見えるので良かった」と思っているそうだ。笹沼邸では白い壁と天井などに使われた木のコントラストも特徴的だが、設計では当初、天井は梁を見せずに白い板を張って白い箱が連続しているようなイメージだったが、天井が減額対象となって、現状のような構造をそのまま見せるつくりとなった。抽象性の高いイメージから素材のコントラストを意識させるような構成へとシフトさせたということだろう。ダイニングキッチン上部につくられたサンルームからリビング方向を見る。湾曲した木の扉はトイレの扉。階段を上った先にはテラスがある。「いずれ、バーベキューパーティとかできたらいいなと思ってます」(笹沼さん)。テラスへと至る階段には家具的な佇まいも感じられる。「床がコンクリートということもあって、この1階のスペースには長い時間はいないかもと思っていたんですが、住んでみたら、人が来たときは皆ここに集まって、キッチンで何か作業をしながらでもお話がとてもしやすくて思っていたよりも好きな空間になりました。なので今はこの1階にいるのが長いですね」。奥さんはさらに、「夏は1階が涼しくて快適でしたが、冬は2階のリビングが長くなるのかな」と話す。季節により住む空間が変わる、というつくりも気に入っているようだ。奥さんはさらに「2階のリビングでゴロンとしてテレビを見るのも好き」と話すが、笹沼さんも「2階はプライバシーが他よりも保たれている場所なのでだらっとできる気持ちよさがある」としつつも1階の心地よさを強調する。「1階は天井が高いだけでなく光も溢れているし外気にも接することができて気持ち良く、いろんなことが体感できるので面白くて好きですね」と話す。「あとお風呂上りとかにテラスに出る階段に座って歯を磨くんですが、あそこは窓が3面開くので夜風がとても気持ちがいい」とも語る笹沼さん。「あそこでビールとか飲んだら気持ちいいだろうなって思ったりしますね」。これを実行するのは冷えたビールのうまい来夏あたりだろうか。奥さんが思っていた以上に好きになったと話すダイニングキッチンのスペース。どの方向にも視線が抜けて快適なスペースになっている。賃貸スペースを2つ併設した笹沼邸。北澤さんは「距離感がそれなりにありがながら関係性をうまくつくれる」ような構成を考えたという。敷地奥の1階にある賃貸スペースの前には「うしろにわ」がつくられている。内部は縦方向にずれながらつながっていたが、横方向でもずれつつつながる。笹沼邸設計北澤伸浩建築設計事務所所在地神奈川県横浜市構造木造規模地上2階延床面積159.6㎡(賃貸スペース含む)
2019年11月04日山林付きの土地を購入神奈川県鎌倉市の眺めの良い高台で暮らす黒沢征佑喜(まさゆき)さん一家。以前住んでいた東京都三鷹市周辺から土地探しを始め、予算の都合と自然豊かなのびのびと暮らせる環境を求めて徐々に南下していった。探し始めて2年近くが経ち、ようやく出会ったのが、この山林付きの住宅地。「この土地を見たとき、ここだ!と思いましたね。裏に山林があって、眺望も素晴らしくて。裏山っていろいろなことができそうじゃないですか。ツリーハウスを建てたり、ジップラインやスラックラインを設置したり。自宅でキャンプが楽しめるような、アウトドアライフを満喫できる家が夢だったんです」と目を輝かせる征佑喜さん。庭の手入れや山林の造成を徐々に始め、裏山に何を設けるか、目下構想中である。自然環境豊かな高台に建つ。西側に開けた大きな窓が気持ちいい。裏の山林。「まずは、石段を造り、その上に小屋を建てたい」と征佑喜さん。2階部分に設置した回廊と帯状に張った杉板で個性的な外観に。斜面に建つため、高い土台が必要だった。屋上をアウトドアリビングに「屋上がなければ家を建てる意味がない、というくらい屋上は必須でした(笑)」と征佑喜さん。念願の屋上にはルーフテラスを設け、2階のLDKからそのまま階段でつなげたことで気軽に出られる空間となった。リビングとほぼ同じ広さで約20畳のルーフテラスは、アウトドアリビングとして大活躍。ゲストを招いてバーベキューをしたり、テントを張ってキャンプをしたりと、まさに家にいながらにしてアウトドアライフを楽しんでいる。丹沢山系から富士山までが一望でき、自然環境に恵まれたこの地では、季節や天気の移ろいにも敏感になるという。広々としたルーフテラス。テントを張ってキャンプ気分を味わったり、日差しの強い日はタープを張って寛いだり。周囲の住宅よりも一際高い位置にあるため、近所の視線も気にならない。右側の階段を昇ると屋上へ。視線が抜けて開放的なスケルトン階段は、1階まで光を届け、排熱効果にも一役。腰掛けるのにもちょうどよい和室。ゲストを泊めるために設けたが、現在は征佑喜さんの部屋!?プラモデルなどの塗装を行う道具が揃う。「窓もあり、換気にも好都合だった」と征佑喜さんのお気に入りの場所。自ら一部(左側)に床材を敷き、塗装をする趣味の部屋にしてしまった征佑喜さん。朔くん(6歳)の好きな「ゾイドシリーズ」も征佑喜さんが塗った。自然の恵みを活かした設計土地探しから手伝ってもらったという「HAN環境・建築設計事務所」は、太陽や風、緑、土など自然の恵みを取り入れる“パッシブデザイン”に基づく設計を行っている。その考え方に、黒沢さん夫妻が興味を持たれたことがきっかけで設計を依頼した。黒沢邸の特徴ともいえる2階のリビングをぐるりと囲むように設けた回廊は、パッシブデザインの工夫のひとつ。強い西日をやわらげ、すだれをかけることでさらに日差しを遮断することができる。また、1階から屋上に続く階段の吹き抜けにより、排熱効果も抜群。季節によって異なる日差しの角度を計算して窓を配置し、採光や通風も考え抜かれているため、エアコンに頼らず、四季を通して快適に過ごせる。さらに、裏の山林の緑も生活にさりげなく取り入れている。2階のLDKにつながる階段脇に大きな窓を配すことで、階段を昇りながら、またキッチンやリビングからいつでも裏山の緑が目が入ってくる。「この土地の特徴を最大限に活かしてもらいました」とご夫妻も満足気である。リビング側からDKを見る。天井はあらわしにし、化粧材を加えてデザイン性を高めた。裏の山林が見える階段脇の窓。建築家・伊東豊雄デザインの照明が、リビングから見たときにちょうど中央にくるよう考えられている。2階のLDKを囲むように設置した回廊。ぐるぐる回遊でき、子どもたちも楽しそう。自分流の家事動線で「生活感が出すぎないように隠す収納にしています」とは妻の香織さん。キッチンまわりは、食器や調理器具、冷蔵庫に至るまですべて扉内に収納。急な来客でも苦労せず片付けられるという。また、アイランド型のキッチンとダイニングテーブルを横並びにしたのも香織さんの案。「テーブルに料理を並べるときなど、いちいち回り込まなくてよく、最短距離で動けて便利です」。また、香織さんの希望でキッチンの奥に洗濯室を設けた。洗濯機を1階のバスルーム脇ではなく、2階の洗濯室に置くことで、物干しスペースやキッチンにも近く、効率的に家事ができる。「洗濯物を持って2階に上がるのも、衣類が乾いているため軽く、苦ではありません」とのこと。香織さん自身が動きやすい家事動線を徹底的に考えた造りになっている。また、空間の有効活用にもこだわった。斜面に建つ黒沢邸は土台を高くしたため、その空間を利用して床下収納を設置。壁の一部をくり抜き、本棚も3つ取り付けた。「今年の正月から春にかけて、床下収納部分にフローリングを貼り、“隠れ部屋”を造りました。子どもたちとよく籠って、本を読んでいます」と征佑喜さん。自分たちらしく心地よい生活を求めて、コツコツと手を加え、楽しんで暮らしている黒沢さんご一家。自然の恵みをたっぷり受けた健康的な笑顔であふれていた。アイランドキッチンとダイニングテーブルは横並びに配置。北欧ビンテージ家具屋で購入したダイニングチェアは形は異なるが座面の生地を統一した。キッチンまわりの物は扉内にすべて収納。「すぐに片付けられて便利」と香織さん。キッチン奥の洗濯室。空ちゃん(9歳)はよくお手伝いしてくれるそう。洗濯室から続く回廊の南側は洗濯干しスペース。LDKからは、干した洗濯物が見えないようになっている。1階のサニタリールーム。洗濯機がないため、すっきり。間取り図に要望や疑問を付箋に書いて貼り、設計事務所と何度もやりとりした。2階から見下ろす。階段の真ん中で、朔くんがよく本を読んでいるという。壁をくり抜いて造作した本棚。本棚の右奥が子供部屋。奥の寝室の下が地下収納で、階段をずらして入る。地下収納をDIYした“隠れ部屋”。読書に心地よいスペース。黒沢邸設計HAN環境・建築設計事務所所在地神奈川県鎌倉市構造木造規模地上2階延床面積88.38㎡
2019年10月21日独り占めしない建築「もともとは祖父のものだったものを父が引き継いで、今はわたしが預かっているんです」とOさんが話すのはO邸の立つ敷地のこと。自分で手に入れたものではなくたまたま預ったものであり、いずれ息子さんに受け渡していくものなので独り占めをするような建築をつくりたくなかったという。「独り占めをしない」ということには、敷地の奥側につくった賃貸スペースで暮らす人たちも合わせて「皆で共有する」という気持ちも込められていた。さらに「身の丈に合った建築をつくろう」とも思ったという。「サイズ的にもそうですし、さらに金銭的にも、価値観の面でも自分の身の丈に合った、実感のもてる範囲でつくろうと」隠れて見えない奥の部分に賃貸スペースがつくられている。手前の1階が賃貸でその上がO邸の2階のテラス。通路に沿って緑が植えられている。生きる力が高まる家こうした気持ちをベースにしつつ、この家のコンセプトとしてOさんが意識していたのは「皆が穏やかに気持ちよく暮らせる」ということだった。さらに加えて「生きる力が高まる家にしたかった」とも話すOさん。こうした考えがたとえば無垢材を使用するという具体的なリクエストへとつながった。「建築家の浅利さんには、自然の物をできる限りそのまま使いたいんですとお伝えしました。自然物なので歪んだりあばれたりということがありますが、そうした中で、自然の力というのも感じることができますし」2階の造り付けの家具はすべてチークの無垢材で製作された。落ち着いた色合いとデザインで室内にシックな雰囲気が漂う。リビング側からダイニングとキッチンを見る。ダイニングからリビングを斜めに見る。奥にテラスが見える。無垢材にこだわる造り付けの家具の材として2階ではチークが、そのほかの階ではオーク材などが使用された。床はすべてオーク材だ。「こまやかすぎるものとは違って削れば何とでもなるような面もあるし、無垢材ゆえの、材そのものの美しさであるとかパワーが感じられるようにしたかった」。その結果、浅利さんはいつもの自分のデザインより多少ごつい感じのものになったというが、そこはやはり熟練の技で、ごつさよりも落ち着いたシックな空気感の漂うデザインに仕上げられている。Oさんの自然物への強いこだわりから外壁にはタイルを使用した。「要はマテリアルをずっと愛でていく感じですね。経年変化を楽しむことができて汚れてもOK。外壁に木を使うという選択肢もあったとは思いますが、木は基本的にすごく長くもつというものではない。そういう意味では土(タイル)にするというアイデアは自然に出てきましたね」(浅利さん)2階ダイニングから見る。食器棚の右に1階への階段、左に3階へと昇る階段がある。空間に落ち着きをもたらすためにシンメトリックにデザインされた2つの引き戸には墨汁が塗られている。キッチンから見る。左の開口からは賃貸スペースにいたる通路に沿って植えられた緑が見える。奥の左手に玄関扉がある。外部と同じせっ器質タイルが内部にも使われている。張るパターンのスタディが何度も重ねられたタイルは内外で2万3千枚を使用。施工に2カ月かかったという。レイヤーをつくる当初の案は賃貸を1階に配して2階以上をO邸にするというものだった。しかし、Oさんの強い希望から手前にO邸、奥に賃貸という配置に。「お互いの生活音などを意識することなく機嫌よく穏やかに過ごせるように」との思いからだったが、浅利さんは「最初は奥行き方向で豊かに長く暮らすというイメージをもっていた」という。そして身体感覚としては長過ぎるので、ちょうど居心地が良くなるくらいの空間にレイヤー状に刻んでいくプランを考えていたが、敷地の前後で賃貸とスペースを分けて奥行き方向の長さが短くなってからもその考えはそのまま踏襲した。「やはり人間にとって居心地のいいスケール感というものがあるので、そこに落とし込んであげるということですね。間に袖壁を入れていますがこれも居心地をつくるときにすごく大事だと思っていて、要は守られている感覚が生まれる。開放されているだけだと落ち着かないんですね」(浅利さん)「小さめの空間だからこそあえて区切ってレイヤーをつくって奥行きを感じるような工夫をしていろんなところに居場所をつくりましょうと提案をいただいて。そのなかで最大限豊かに暮らせるように、たとえば端の部分に開口を設けるとかいろんな工夫をしてくださいました」(Oさん)あえてダイニングとリビングの間に壁をつくっている。奥の壁もあってレイヤーが3つ重ねられ奥行き感が生まれている。窓際に立つのはOさんと建築家の浅利さん(右)。奥の壁は葉薫館と名付けられた賃貸スペースのもの。葉薫館には2世帯が入る。長いスパンで考える打ち合わせの中で浅利さんは「建築は極力シンプルなほうがいい、余計なことをしないほうがいい」とOさんに言い続けたという。「浅利さんが“何かしたいことがあっても、それはOさんが人生を歩む中で必ず変わっていくので、いまやりたいことは家具とか置き物でしておいたほうがいい。いまの感覚だけじゃなくて、自分の根幹にあるものを大事にしたほうがいいと思いますよ”とおっしゃって。これはその通りだなっていま思いますね」。こうしたやり取りからも、室内にシックな印象のある落ち着き感が生み出されたのだろう。さらにOさんは「浅利さんに描いていただいたスケッチからでは自分が感じ取れなかったものをいま日々の生活の中で少しずつ見つけているところです。これからもっともっとそうしたものがいろんなところで見つかってくると思うので、また自分が成長したときにそれまで見えていなかったものが見えてくるのかなと。それがいまから楽しみですね」と加える。テラスから見る。2階がリビングで3階が水回りスペース。3階の寝室前から左に子ども部屋と奥に水回りスペースを見る。3階の寝室。左の収納もオークの無垢材でつくられたもの。水回りスペースからテラス側を見る。シンメトリックにデザインされた子ども部屋。これも空間に落ち着きをもたらすための工夫。1階のOさんの書斎には靴を収納する棚がある。「革靴は働く父の姿に対する憧憬の象徴であり、同時に自らが歩んだ人生の足跡といえるもの」と話すOさん。革靴の手入れもここで行うという。この1階スペースは隣の賃貸スペースとつなげることもできる。昨年末に越したOさん一家。Oさんは2階奥に設けたテラスが気に入っているという。「毎朝コーヒーを淹れてテラスで飲んでいるんですが、晴れていればハンモックかけたり天幕をつけたりして」この空間を楽しんでいるという。「キッチンも素敵なものをつくっていただいたので自分でも料理をするようになって、そういうところでも生きる力が高まったなと思いますね」「居心地がいい」という感想はよく聞くが、「家によって生きる力が高まる」と聞くのは初めて。住宅に対してこれ以上の賛辞はないのではないか、と思った。戸外ながら緑と壁に囲まれて外からの視線も気にならない。息子さんがテラスで食事をしたいとよく言うので、朝もこの場所で一緒に食べてから会社に出かけることがあるという。右は目隠しのための壁。通路に沿って植えられた緑には、この敷地の住人だけでなく近隣の人たちも「気持ちよく暮らせるように」との思いが込められている。O邸/阿佐ヶ谷北の家設計ラブアーキテクチャー/浅利幸男所在地東京都杉並区構造木造規模地上3階延床面積139.03㎡(賃貸スペース除く)
2019年10月16日登場人物ぐっちゃん:2018年4月生まれの男の子。よく食べよく眠る元気いっぱいボーイ。ママ(chiiko):ぐっちゃんのお母さん。激しくて楽しいぐっちゃん育児を漫画にしている。あああああああっ!麦茶のプールへ、颯爽と駆け出して行ったぐっちゃん。とっても楽しそうな足踏みは、まるでダンスしているかのようですね!(編集部)chiikoさんが描くぐっちゃん漫画が動画になりました!ままのてで大人気の育児漫画が動画でも楽しめるようになりました♪今後もchiikoさんの漫画動画を随時更新していく予定です。その他育児に関するお役立ち情報が盛りだくさん!字幕付きのため、音声なしでもお楽しみいただけます。ぜひチャンネル登録してみてくださいね。過去のエピソード妊娠・育児に関するお役立ち情報発信中!ままのてのTwitter・Instagramをフォローすると、最新マンガの更新情報をご確認いただけます。ぜひフォローしてください!著者情報
2019年10月03日平屋にしたいこの周辺は一区画がゆったりと大きく、いわゆる住宅密集地とは違う雰囲気があったので気に入って購入したという伊藤邸の敷地は73坪。前面道路が広いのもポイントだったそうだ。広めの敷地が購入できたので平屋にしたいと思ったという伊藤さん。「今までずっとマンション暮らしだったこともあって、家族がいるかいないかがわかる空間で生活をしたいという気持ちがありました。たまたま広い土地を買うことができたので平屋にしたいという要望を出しました」道路側から見る。玄関部分以外はすべて壁柱によって2階に持ち上げられている。道路側より見る。敷地の東西の2辺には隣家の擁壁が迫る。敷地奥から見る。右端に道路が見える。壁柱で持ち上げるゼネコンに勤務する伊藤さんが設計を依頼したのはかつて会社の後輩だった齋藤隆太郎さん。「この実現した案は3つめのもので、2つめのものから高床式のような感じになって、丸柱だったのが最後にこのような壁柱になりました」と伊藤さんは説明する。壁柱というのは、2階レベルへと持ち上げた平屋を支えている1階部分の構造体のこと。丸柱だと前面道路から奥まで丸見えに近い状態になるため、防犯上の懸念から変更してもらったものという。手前のリビングからは光庭を介して向かいのダイニングが見える。リビングには南側の開口からもふんだんに光が入る。中央につくられた光庭伊藤邸は高床式ともいえるつくりのほかに、視線が多方向によく抜けるのも大きな特徴だ。これは伊藤さんからの家族の在・不在を確認できる「視線の抜け」についてのリクエストと、齋藤さんの「端から端まで抜けているような開放感へのこだわり」(伊藤さん)とがあいまって実現したもののようだ。中央の光庭を介して、リビングとダイニングとの間だけでなく、1・2階の間でも視線が抜けるが、この光庭を設けたのは齋藤さんからの提案だった。キッチンはリクエストでアイランド型に。洗い物をしながら空と緑が見える。リビングから見る。光庭が周囲の空間に十分な光をもたらす。左側にキッチンがある。伊藤さんはこの光庭を家の中心近くに配したつくりでは「誰がどこにいて何をやっているかがとてもわかりやすくて、リビングにいれば子どもが帰宅したときに階段のところで“ただいま” “お帰り”と声をかけ合って、それから自分たちの部屋のほうに移動してもずっとシースルーで見えますし、あるいはわたしがこちらでテレビを見ていても、むこうで家内と子どもが談笑しながらテレビを見ているとかというのも見ることがきるのでとても満足しています」と話す。さらに光庭の利点を続ける。「台所が北側にありますが、光庭からしっかり光が入るので明るいんですね。あとわたしが下でゴルフの練習しているときなどに飲み物がほしくなったらそこから声を出してドリンクを窓から落としてもらったり、あるいは玄関が回り込んだかたちになっていますが、上から見ると玄関前も丸見えですから防犯上もなかなか具合がいいなと」収納家具は造り付け。天井も木を使っているため全体的に柔らかな雰囲気にまとめられている。左奥は伊藤さんの書斎コーナー。切妻、片流れと異なる屋根の形の集合で伊藤邸はつくられている。リビングから光庭を正対して見る。ダイニング側から見る。ダイニングの背後には兄妹の部屋が並ぶ。1階の予想外の気持ちよさ壁柱で居住部分を2階に持ち上げたことでできた1階スペース。壁柱をうまく配置することで移動するごとに景色の変化が楽しめるのも魅力だ。伊藤さんはこの1階スペースが予想外に気持ちが良くて気に入っているという。「夏場でも風があちこちから吹いてくるので部屋の中にいるよりも涼しいんですね。だからわたしは下で本を読んだり、昼寝するのも気持ちが良くてとても気に入っています」2階の浴室。正面の窓からは道路が見える。造り付けの家具が階段部分の壁も兼ねる。1階部分には植栽が計7カ所配されている。この家では玄関部分だけが1階にある。存在感のある木の階段も印象的。1階の眺め。壁柱の向きや壁のくりぬき具合など、建築家がスタディを重ねたことがうかがえる。さらにまた予想外だったのは、玄関部分以外はすべて2階にあるので犬走りのような場所も含めて敷地がほぼ全面に近いかたちで有効活用できることだったという。こうして通常はその大半が建物で占められてしまう地上部分が大きく開放されて、ゴルフの練習をするときでも昼寝や読書をするときでも予想外の気持ちの良さをもたらすことに大きく寄与していることは間違いないだろう。敷地の奥側から見る。移動するごとに見える景色が変わるのが目に心地良い。手前が伊藤さんのゴルフの練習スペース。音が響くため、緑の網を2重にしている。通常は使われないことが多い敷地の奥の部分も活用されている。擁壁が心地の良い「囲われ感」を生んでいる。夏場でも涼しく、ベンチや椅子での読書が気持ちいいという。リビングから道路側を見る。主寝室はリビングの奥にある。伊藤邸設計齋藤隆太郎/DOG所在地千葉県松戸市構造RC造+木造規模地上2階延床面積144.00㎡
2019年09月23日写真スタジオからヒントを得てフードスタイリストとして活躍するつがねゆきこさん。4年前に建てた新築の一軒家は、仕事関係の人も多く訪れるため、1階のLDKをパブリックにも使えるようにと考えた。「注文住宅なのですが、こちらのリクエストをたくさん聞いてもらい、わがままを叶えました」。仕切りは設けずワンフロアのLDKに。水まわりも2階に配置して広々と取った空間は、ダイニングとリビングの間をレースのカーテンで仕切れるように。「引き戸をつけようか悩んでいたとき、仕事で伺った写真スタジオで見かけたアイデアなんです。スタジオの白くて広い空間が好きで。どこかイメージソースになっていますね」。ステンレスのアイランドキッチンに古材やアンティーク。古いものと新しいものがうまく調和したLDK。ダイニングとリビングの間はレースのカーテンで仕切った。普段は開け放しているが、子どものお昼寝の時などに便利。「引き戸にしなくて正解でした」。古いものと新しいものをMIX大きなステンレスのアイランドは、どうしても使いたかった食洗機を入れるために、業務用のメーカーにオーダーしたものだそう。「お鍋もフライパンも全部入るし、乾燥も強力なんですよ」。建築当初はキッチンの背面には、吊り戸棚を取り付けていた。「重たい感じがしたので取り外してオープンシェルフに代えました。後から色々と手を加えるつもりだったので、キッチンまわりの壁には下地材を入れてもらっているんです」。オープンシェルフの棚板には錆びた金具の取っ手がついていて、どうやら古材のよう。「お気に入りのアンティーク家具屋さんがあって、そこの修復士さんに背面側のリノベーションをお願いしました。壁ももともとブルーに塗っていたのをグリーンに塗り替えてもらいました」。壁の一部分だけにあしらったヘリンボーンの板は、修復士さんからすすめられたものなのだそう。「私の好みをよく知ってくださっていて、ヘリンボーン張りのアンティークの板がある、と教えてくれたんです。珍しいのですぐに購入して、余った材でTV台をつくりました」。「古い味のあるものが好き」というつがねさん。新築の新しくてきれいな雰囲気とどうなじませるかで頭を悩ませた。「建具や床材、壁材などは用意された何パターンかの中から選んだのですが、ベースは主張のないシンプルなものにしました。そうしておくと、古材などを合わせたときになじんでくれると思うんです」。アイランドキッチンは業務用厨房機器メーカーの北沢産業にオーダー。使い込むうちに味の出る、ツヤ消しのヘアライン仕上げに。キッチンは、つがねさんの身長に合わせて高さを設定。側面にはお子さんの“やること”、”やったこと”マグネットが。ドイツのASKOの食洗機がどうしても使いたかったもの。「お鍋、五徳、まな板、全部一度に入れられて大容量なんです」。アンティーク家具の修復士さんに依頼した背面側。オープンシェルフにはアンティークの扉を棚板として渡している。IKEAのキャビネットは施工時からのもので、右側の引出し式ゴミ箱は、つがねさん考案で夫が初めてDIYで作ったもの。ヘリンボーン状に張られていた古材の板を購入し、部屋のアクセントとして再生。つがねさんのお仕事グッズ。器やキッチンツールをRIMOWAのスーツケースに詰めて出動。作家ものやアンティークなど、自宅で使う食器類もたくさん保有している。家族の理想のライフスタイル「玄関を入ってすぐのところに手洗いが欲しい、というのと、リビングに造り付けのカウンターテーブルを設けることもリクエストしました。後から変えられないところは、ゆずれませんでしたね」。シンクは海外からの輸入ものをセレクト。リビングのテーブルに古材を渡し、古さをほどよくミックスした空間は、現在の使い勝手や、将来の住まい方も考えている。「子どもたちが小さいうちは家族みんなでほとんどの時間を1階で過ごし、2階は寝るだけ。大きくなっても帰ってすぐ自分の部屋にこもるのではなく、必ずリビングを通って少しでも一緒の時間を過ごすというのが理想です。今は私のワークスペースにしているカウンターテーブルも、いずれは子どもたちが勉強する場所にしたいと思っているんです」。リビングの一角に設けたワークスペース。いずれは子どもの勉強スペースにも。玄関を入ったところもディスプレイスペースに。ドアも1枚1枚場所に合わせて選んだ。家に帰ってすぐ手洗いができるよう玄関の近くに。TOTOの輸入もののシンクをセレクト。階段下の収納スペースは扉を設けず、オープンに。濃いブルーをDIYで塗り、外出時に必要なものを置いている。古材+アイアンのテーブルに一脚一脚違うアンティークのイス、手づくりのドライフラワーがシックな雰囲気。家族の成長に合わせてつがねさんは5歳の長男と2歳の長女、夫の4人暮らし(+猫2匹)。2階は寝るだけと割りきってシンプルに。「1階はやり尽くしてしまったので、最近は2階の子ども部屋を改装したくなってきて。長男側のスペースはブルーに、長女側はピンクにDIYで壁を塗ったところなんです。子どもの成長に合わせて、色々と変えていくつもりです」。壁を塗ったり、小さな棚板を取り付けたり、家族の写真を飾ったり。家にいるほとんどの時間をキッチンで過ごしながら、少しずつ手を加えているというつがねさん。「竣工時には最低限やりたいことはやらせてもらえました。これからはちょこちょこと変えていくのが楽しみですね」。階段には家族の思い出の写真をディスプレイ。長男側の子ども部屋は、夫と長男のふたりで塗装。長女・なつめちゃんと猫の小麦。なつめちゃん側のスペースはロマンチックに。見晴らしのよい屋上にはウッドデッキ、人工芝を敷き、子どもたちが遊べるように。BBQをすることも。1階のテラスにもDIYでウッドデッキと目隠しの壁を設けた。ガーデニングも進行中。外壁は2種類の素材を組み合わせて。ひとつひとつ考え抜いて完成。フードスタイリストつがねゆきこさんとなつめちゃん。
2019年09月02日リビングを外につくる中央線文化がいいと思って沿線で土地を探したという高橋さん。ゼネコンに勤務しながら“座二郎”というペンネームで漫画家としても活動している。高橋さんが「中央線の北側で西武線との間」で見つけたのは「安くて小さい土地」だった。「最初は既存の古家をリニューアルしようと思っていたんですが、容積率が6割くらいオーバーしていてローンが下りなかった。では新築しようとなったんですが、容積率・建ぺい率通りに建てるとあまりにも狭くなってしまう。それで、半分冗談でリビングを外にして“こんなふうにすればつくれるけど”って絵を描いたら、奥さんが乗り気になってしまって」コンパクトな敷地に立つ高橋邸。2階の窓を通して中を覗いてみない限り、内部のつくりはうかがいしれない。その案は中庭部分をリビングにして大きく取り、かつ豊かな空間にして、残りはなるべくコンパクトに収めるというものだった。「その一番最初の絵には、道路側に奥行きの浅い収納をつくってその中にテレビとかを収めている様がすでに描きこまれていました。リビングの機能はとにかくこの中庭側にぜんぶ収めるという考え方で、ピアノとかテレビや本棚といった、リビングをリビングたらしめるものはこの収納に入れていましたね。これでたぶんこの家は面白くなると思いました」2階から外部につくられたリビングを見る。左にダイニングキッチン。2階からリビングを見る。左手が道路側で、1階の左手奥の部分が玄関。外部にも収納がつくられている。玄関近くからリビングを見る。床は予算の関係で土間にしたができればタイルを敷きたかったという。1年を通してリビングとして使用するため床下暖房にすることにはこだわった。ダイニングキッチン側からリビングを見る。正面と右手に収納がつくられている。奥行きの浅い収納はガラス戸になっているためどこかウインドウディスプレイの趣も。この時代の暮らしの“標本”の陳列ケースのようにも見える。天井代わりに布をかけるこの中庭=リビングに立って見上げると白い布が天井代わりにかけられているが、これをたたんでしまえば空が直接目に入ってくる。この気持ち良さは格別のもので、天窓レベルでは味わえないインパクトがある。天井代わりに布を張るというこのアイデアは高橋さん一家がキャンプ好きであることも関係があるようだ。「家族でキャンプによく行くんですが、タープを張るのがすごく好きなんです。それで家でタープを張ったら面白いだろうなとずっと思っていました」。とても原始的・簡易なつくりで、日除けになりかつ風通しもあるという点が好きなのだとも。リビングから上を見上げると屋根がなく空を直接望むことができる。キャンプのタープのように日差しと雨を防ぐための布を梁の後ろに収納。屋根代わりの布を張るロープや金具などの道具は高橋さんが購入して据え付けた。屋根代わりの布を収納するとリビングの空気感が一変する。リビングにいながらにして空を直接眺められる気持ちの良さはキャンプで味わう戸外の気持ちの良さと通ずる。「これだけ開口が広く取れると戸外の気持ち良さを満喫できるので、この家ができてからキャンプに行く気が起きないんですよ。なぜわざわざそんな過酷な環境のところにまで出掛けて行かないといけないのかと(笑)」「外部につくられたリビング」ということでは暑さ、寒さが大丈夫なのか気になるところだが、「真冬は夜風が吹いたりするとちょっときついですが、陽が射している昼間は結構過ごしやすい」という。また「夏は上に布を張ってエアコンをかければリビングでもまったく暑くない」とのこと。リビングとダイニングキッチンが違和感なく連続・一体化しているが、片方が屋外でもう片方が屋内であることから他では味わえない不思議な感覚をおぼえる。階段からダイニングキッチンを見る。インテリアの色は奥さんのみのりさんが担当。徐々に高橋さん/座二郎の漫画の世界の色に近づいていったという。ダイニングキッチン(左)とリビング。浴室からリビング空間のほうを見る。漫画の世界と通ずる空間高橋さんが日頃の設計業務で扱う建物はRCと鉄骨ばかりで木造の経験がなかったため、この家の設計では学生時代からの友人で建築家の鈴木理考さんに相談に乗ってもらうことに。「木造については予算の組み方からまったくわからなかったので相談させてもらって、実施設計と確認申請をお願いしました」その鈴木さんが言うにはこの住宅自体が高橋さん/座二郎の漫画の世界に通ずるものがあるという。予算の都合で実現はできなかったが、初期案での中庭=リビングの周りを収納がめぐるつくりはまさしくモノが充満した座二郎の漫画の世界をほうふつとさせる。高橋さん自身も「モノがたくさん陳列されている感じがとても好きでそこにはけっこうこだわりましたね。色をたくさん使おうというのも決めていて、インテリアデザインをしている奥さんに色をたくさん使ってくれと頼みました」2階のコーナー部分は高橋さんがアクリル絵の具を使った作業の際に使う。収納部分にはライン照明が仕込まれていて、夜には奥の壁の色がボワーっと浮かび上がる。地下鉄の東西線をイメージしてつくった作品。タバコのハイライトの包み紙を使っている。高橋さんがつくった年賀状。2017年と2018年のもの。2018年のほうにはすでにこの家の初期のイメージが描かれている1畳程度の高橋さんの仕事部屋。中の棚は自分で製作した。ピンクの扉は紙をコラージュした上に色を塗っている。コンパクトな住宅ならではの工夫。トイレの扉を手前側まで引くと階段部分と仕切る間仕切りになる。扉の表側は黒く塗られた上に紙がコラージュされている。美しくデザインされた階段。鈴木さんの腕が振るわれた部分のひとつ。空は直接見えるが家具をガラスを通して見るという逆転現象が不思議な感覚を生んでいる。玄関近くの収納前につるされた緑。緑はこれから増やしていきたいという。非日常が家の中にこの家に住み始めてから5カ月ほど。屋根代わりの布を固定するロープや金具もいろいろ試して工夫をしているという。「ロープを止めておく道具はヨット用品です。ロープをぎゅっと押し込むとそれ以上引っ張っても動かないというもので、キャンプ用品と組み合わせて使っています」お子さんは最初屋根のない家には大反対だったが、今ではそれが嘘のように楽しみながら暮らしているようだ。「この家は子どもは楽しいところが一杯あるので。走っても楽しいし、なんでそんなに取り合うんだろうと思うくらいハンモックでよく遊んでいますね」。日差しが直接入り込む環境でのハンモックはまた楽しさ倍増だろう。奥さんは「外でくつろぐことは他の人にとっては非日常ですが、それが家の中でできるから楽しい」と話す。天気予報をいつも確認していないといけないし、布が帆のようにバタバタ揺れるから船のようでもあると話す高橋さん。「もう普通のマンションには暮らせないですね」と問いかけると笑いととともに「暮らせないですよ!」という返事が返ってきた。高橋邸設計鈴木理考建築都市事務所+座二郎所在地東京都杉並区構造木造規模地上2階延床面積57㎡
2019年08月14日いつも散らかったリビングにイライラ!原因は?以前のわが家は、リビングの一角と、隣接した部屋におもちゃコーナーがありました。リビングで家事をしながら子どもたちを見守れるため効率的ではあるのですが、気づくと床にはいつもおもちゃが散らかっていて。日に何度も何度も片づけをしたり、時には不快でも散らかったまま過ごしたり…。おもちゃを散らかす子どもに対し、イライラしてしまうことが多くありました。そんなとき、子どもたちを観察していてあることに気づきました。子どもたちは、ちょっとおもちゃで遊んで、すぐ違うおもちゃを出すことが多く、なんとなく「そこにあるから」使っているようなのです。出かける前や食事の前などに片づけの時間を設けても、またすぐ、そこにあるおもちゃを手に取ってしまい、結果いつでも散らかっている状態に。そこで物は試しと、思いきってリビングからすべてのおもちゃを撤去し、別室(専用スペース)に移動することにしました。遊び専用スペースを用意し、集中する&片づけできる工夫を別の部屋におもちゃを移動すると聞いて戸惑う子どもたちでしたが、まず、「子どもだけの部屋ができるんだよ。おもちゃしか置けない特別スペースだからね!」と盛り上げました。同時に、「おもちゃはリビングには持ち出さない」という約束をしました。すると「特別」ということに反応し、「やったー!」と大喜びで承諾してくれました。遊び専用スペースには次のような工夫をしました。【遊びに集中する工夫】・専用スペースだけで遊べるような広さを確保する(わが家は約5畳スペース)・飾り棚やテーブルを用意し、ブロックの作りかけや完成品の一時置き場に。作品を出しておくことで大型のものに取り組んだり、ごっこ遊びにも使える【片づけがしやすい工夫】・ハサミなど危険なものは置かない。文房具類は管理が難しいためリビングに・自分で出し入れができるよう、おもちゃの収納は子どもの手の届く高さのみに・基本的にはおもちゃの種類別に収納ケースを用意。さっと片づけする時のために、ざっくりとなんでも収納できる箱も用意しておくその結果、子どもたち以前よりのびのびと遊びぶようになり、遊びへの集中力が増したように感じます。また、片づけもスムーズにできるようになりました。片づけせずに戻ってきたときも、その様子がリビングから見えないため、「もう!また散らかってる!」と怒鳴ることもなくなり、余裕のある時や来客前に片づければOK!と私自身が柔軟な対応ができるように。そのほか、あえて散らかしっぱなしにさせておくと、遊ぶ時に使いたいものが見つからず、本人がイヤな思いをすることに気づいたよう。この経験を通して、片づけをする大切さを学んでほしいと思っています。リビングで過ごす子どもたちの様子に変化が!リビングにおもちゃが落ちていることが激減し、スッキリしたわが家。さらに、うれしい変化も。リビングにはお絵描きの道具や図鑑、絵本を置くようにしていたため、お絵描きや読書を楽しむ時間が増えました。娘はあまり興味のなかったお絵描きが急に上手になり、息子は昆虫図鑑のなぞり書きにハマり、マイ昆虫図鑑を作りあげるほどに。また、たまりがちだった月に1度届く通信教材にも手が伸びるようになりました。工夫してストレスフリーなリビングに3歳の娘のために、工夫した点がもう1つ。娘は、息子の不在時は、ひとりで別室に行くことをイヤがりました。でも毎回それにつき合っていては家事が進みません。そこで、娘のハマっているおもちゃを1箱だけリビングに置くことに。遊ぶおもちゃにはマイブームがあり、それに合わせて箱の中身を入れ替えすれば1箱で充分ですし、片づけも簡単です。この1箱も娘の成長と共に別室に移動できたらな、と企んではいますが(笑)、今は、スッキリしたリビングをキープしつつ、年少ならではのかわいいごっこ遊びがそばで見られるという貴重な時間も大切にできるこの配置がベスト!と思っています。遊び専用スペースを設けて、改めて感じたのは、子どもはさまざまなおもちゃを組み合わせて、ダイナミックに遊ぶことで、自分自身の世界に入り込むことができるということ。そして、ブロックやパズルの作りかけを出しっぱなしが必要なこともあるということ。あちこちにおもちゃがあると、それに対しイライラしてしまうことがありましたが、今後は専用スペースを上手に活用して、子どもの遊びの世界を大切にしていきたいと思います。1日の中で、長い時間を過ごすリビング。子どもに散らかされがちという場合は、ぜひ環境を見直してみてくださいね。<文・写真:ライターnicoai>
2019年08月10日ウールリッチ(WOOLRICH)のアウトドアコレクション・ウールリッチ アウトドア(WOOLRICH OUTDOOR)より2019年秋冬の新作アイテムが登場。2019年8月下旬より、ウールリッチ直営店および各取扱店舗にて発売が予定されている。自然と“融和”するアイテムをウールリッチ アウトドアの2019年秋冬コレクションでは、手付かずの自然の中で“自然との融和”“自然との共生”を成すアイテムとスタイリングを提案。80から90年代のウールリッチのアウトドアウェアをベースに、高機能かつ自然に溶け込むような色使いのウェアを展開する。ウィンター パトロール ダウン パーカ中でも注目となるのが、「ウィンター パトロール ダウン パーカ」。通常のナイロンと比べて圧倒的に軽い“中空糸ナイロン”を使用した超軽量素材を採用。高い防寒性を誇りながらも、長時間着ても身体に負担が少ない快適な着心地を実現した。アークティック ダウンパーカブランドの代表作である「アークティックパーカ」を、よりアウトドア向けの機能にアップデートした「アークティック ダウンパーカ」は、650フィルパワーのダウンと高機能素材“ゴアテックス(GORE-TEX)”を使用。インナーの中綿の襟パーツは着脱可能になっており、汚れやすいパーツ単体で洗濯することが可能だ。ウィンター ロッジ オーバー コート「ウィンター ロッジ オーバー コート」は、50デニールのナイロン100%素材を縮ませたシワ感がポイント。大きめのサイズ設計となっており、アウターやバックパックの上から羽織ることで、より保温効果を高めることが出来る。ランチ ストライプ ワーク シャツクラシックな雰囲気の「ランチ ストライプ ワーク シャツ」も、アウター同様に機能性を重視。湿気を逃し動きやすいように、背面と袖下にコットン/ポリエステル素材を用いた。トレッキングの際に便利なサイズと位置にデザインしたポケットにも注目したい。ウィンター ロッジ パンツ「ウィンター ロッジ パンツ」と同様の素材を使用した「ウィンター ロッジ パンツ」。撥水加工を施しており、デイリーからアウトドアまで様々なシーンで活躍してくれる。腰回りにゆとりを持たせ、切り替えで動きやすく仕上げたパターンメイクも特徴だ。【詳細】ウールリッチ アウトドア 2019年秋冬コレクション発売時期:2019年8月下旬予定販売店舗:ウールリッチ直営店、各取扱店<アイテム価格例>・ウィンター パトロール ダウン パーカ 63,270円(税込)・アークティック ダウンパーカ 95,040円(税込)・ウィンター ロッジ オーバー コート 46,440円(税込)・ランチ ストライプ ワーク シャツ 23,760円(税込)・ウィンター ロッジ パンツ 24,840円(税込)【問い合わせ先】ウールリッチ カスタマーサービスTEL:0120-566-120
2019年08月04日夏はアウトドアが楽しい季節。外でのBBQも気持ちがいいですよね。最近はバーベキューに加えてアスレチックで遊べたり、ヨガでリフレッシュできたり、プラスアルファの体験ができるところが増えています。親子で行きたい最新アウトドアスポット&イベントをご紹介します。まずは都心で気軽に楽しめるスポットから。目次・「THE FARM TOKYO」・「the good day TOKYO w/wakasu BBQ 2019」・「THE FARM」・「THE HOUSE FARM」・「ちくらつなぐホテル」■ワクワクの食体験を満喫「THE FARM TOKYO」農機メーカーでおなじみのヤンマーが今年4月、東京八重洲口前の東京支社の跡地にビアテラス&ベーカリーカフェ「THE FARM TOKYO」を期間限定でオープンさせました。BBQは完全予約制。スタンダードコース(1人5,500円 税込)。写真はプレミアムコース(1人6,500円 税込)。いずれも150分飲み放題付き。12歳以下のキッズコース(2,000円 税込、ソフトドリンク飲み放題付き)もあり場内にはバンガローのようなウッドデッキで緑に囲まれながらBBQを楽しめるエリアがあり、BBQのほか、懐かしい飯盒炊飯やカレーも楽しめます。食材はどれもヤンマーが厳選したこだわりのもの。たとえば飯盒で炊くご飯には、鳥取県の エコファーム HOSOYA にて契約栽培している「ヤンマーこだわりのお米」 (鳥取県日南町産コシヒカリ)が使われています。(左上)「GRILL MOUNT HILL」の「コーンと青唐辛子のハーベストピッツァ」(1,480円 税込)/(左下)「PREMIUM Marché Shop」の「ベジスムージー」(各550円 税込)/(右)「PREMIUM Marché Shop」の「ベジヨーグルトソフト」(650円 税込)BBQ以外にも5つのエリアがあり、いろいろなメニューが楽しめます。ヤンマーが手がけるお米素材「ライスジュレ」を使用した生地のピザのもっちり食感は一度食べるとやみつきに! カラフルな野菜がトッピングされたソフトクリームや5種の野菜入りベジスムージーなども人気です。食料生産を支える最新トラクターがお出迎え。絶好の写真撮影スポットちなみになぜヤンマーがBBQスポット?と思うかもしれませんが、ヤンマーでは農機だけでなく食事業にも取り組んでいて、生産者と消費者をつなぐ“プレミアムマルシェ”という活動を展開しているんです。THE FARM TOKYOは「都会の真ん中に緑あふれる空間をつくり、自然と食と人をつなぐ」がコンセプト。家族でワクワクする食体験ができますよ。・THE FARM TOKYO場所:東京都中央区八重洲211(東京駅八重洲口正面 から徒歩 3 分)期間:2019年4月5日(金)~ 2019年10月31日(木)時間:平日11:00~20:00(BAKERY&COFFEE、PREMIUM MARCHE)、15:00~23:00(GRILL BAR) 、16:00~23:00(BBQ)/土日祝11:00~20:00(BAKERY&COFFEE、PREMIUM MARCHE)、11:00~23:00(GRILL BAR)、10:00~23:00(BBQ) ■ハンモックやヨガも「the good day TOKYO w/wakasu BBQ 2019」東京・新木場の若洲公園では2019年8月3日と4日の2日間、アウトドアイベント「the good day TOKYO w/ wakasu BBQ 2019」が開催されます。ハンモックでゆらり。小さな子連れでもリラックスして楽しめるこのイベントには多彩なアウトドアコンテンツが大集合。芝生の屋外広場には100個ものハンモックが用意され、みんなが思い思いにくつろぐゴキゲンな空間に。DJがかけてくれる心地よい音楽に耳を傾けながらまどろむのは最高です。ヨガレッスンを1日1回(17:00~18:00)開催会場では手ぶらBBQが楽しめるほか、「野外シネマ」や「DIYワークショップ」など親子で楽しめるコンテンツが盛りだくさん。ママのリフレッシュにぴったりな「ヨガレッスン」もあります。会場となる若洲公園では貸自転車やアスレチック、堤防釣りなどで思いっきりアクティブにも遊べます。・the good day TOKYO w/ wakasu BBQ 2019場所:新木場・若洲公園キャンプ場 東京都江東区若洲3-2-1日時:8月3日(土)11:30~21:00、8月4日(日)11:30~18:00料金:手ぶらBBQ付き入場チケット:大人(中学生以上)5,500円、小人(小学生以下)2,500円 次は週末や夏休みに行きたい郊外のスポットです。■アクティビティ充実の農園リゾート「THE FARM」THE FARM農園。貸農園もあり、インストラクターのレクチャーのもと野菜を育てることもできる東京から車で1時間半。千葉県香取市にある「THE FARM」はユニークな農園リゾートです。広々とした農園では1年を通じて約50品目の野菜を育てており、野菜の収穫体験や採った野菜を使ったBBQを楽しめます。プレミアムBBQセット(4,000円 税別/1人前、※注文は2人前~)BBQのプランによってはダッチオープンも付き、カレーなども楽しめます。自然の中で食べる本格的なダッチオーブン料理の味は格別!(左上)水との一体感を楽しめるカヌーツーリング/(左下)火おこし体験などができる「ブッシュクラフト」/(右)爽快なジップスライダー(体重25kg~)施設内ではジップスライダーやカヌーツーリング、火おこし体験、ミニ動物園など、さまざまなアクティビティを親子で楽しめます。温泉施設「かりんの湯」もあるので、遊んだあとの疲れもゆっくり癒せます。1日3棟限定のアスレチック付き宿泊施設「THE FARM CAMP アスレチック」日帰りもできますが、できればのんびり1泊2日の旅がおすすめ。宿泊施設はテント持ち込みから、コテージ、グランピングまで多彩。今年はアスレチックを併設したグランピング施設「THE FARM CAMP アスレチック」や最高グレードのコテージ「THE FARM コテージグランデ」などの新宿泊施設もお目見え。自然の中で家族みんながのびのび過ごせます。・THE FARM千葉県香取市西田部1309-29 0478-79-0666 ■心地よいエシカル体験ができる「THE HOUSE FARM」BBQは金額別に3コースあるので、手ぶらでOK。1人5,000円(税別、飲み物別)~神奈川・葉山で人気のプライベートレンタル邸宅“THE HOUSE”に今年6月、日帰りBBQが楽しめる「THE HOUSE FARM」がオープンしました。通称南葉山と呼ばれる湘南国際村の子安の里エリアにあります。石畳。1000平米の敷地を活用しているので広々エントランスを抜けると、様々なハーブや野の花が咲く石畳の道が。グリーンに心を癒されながら歩いていくと、小さなビーチと人工芝でできたBBQエリアが現れます。独立したキッチン付きのBBQエリア。ビーチは泳げないものの涼やかな印象をプラスBBQの食材や飲み物は用意してくれるので、手ぶらでOK。食材はほぼ湘南エリアで仕入れたもの。季節ごとに新しい食材が用意されるそうなのでリピートするのも楽しみになりそうです。特製サラダ。THE HOUSE FAMR内で収穫されたハーブやエディブルフラワー(食べられる花)も料理に使われるBBQエリアの反対側には「グリルダイニング」があり、葉山の人気レストラン「レストラン ラ・マーレ・ド・チャヤ」の料理長も務めた経験豊富な小林聡史シェフの料理が食べられます。THE HOUSE FARMでは、使い捨てプラスチックは不使用。また、できるだけゴミが出ないような食器を活用し、環境に優しい洗剤を採用したキッチンBBQなど、環境への配慮も徹底しています。フォルクスワーゲンの電気自動車e-Golfの無料レンタルもあり、エシカルをテーマとした様々な体験ができます。こうした体験は子どもたちの心を豊かにし、環境について考えるきっかけも与えてくれそうです。・THE HOUSE FARM場所:神奈川県横須賀市秋谷3621-2営業:木曜日定休、営業時間はHPをご確認ください ■南房総でカルチャー体験「ちくらつなぐホテル」海が近く、潮風を感じ、波の音を聞きながらのBBQも楽しめる千葉県の南房総市千倉町に2019年8月下旬にオープン予定の「ちくらつなぐホテル」。東京学芸大学附属世田谷小学校の保養所「青山荘(せいざんそう)」をフルリノベーションした宿泊施設です。広い庭の中央にはファイアープレイスが設けられ、敷地内でバーベキューを楽しめます。アクタス監修の客室(個室)は4名まで泊まれるので家族連れにぴったり宿泊は屋内の個室か大部屋、もしくは屋外のテントで。インテリアデザインは「ACTUS」をはじめとするオリジナルインテリアブランドを展開する(株)アクタスの監修で、機能的かつおしゃれな空間です。このホテルは過疎化が進むこの地域の地域創生への取り組みでもあるため、ただ「泊まる」だけではなく、「町を遊び尽くす、家族の学び舎」がコンセプト。地域の特性を生かしたアクティビティも豊富で、農家の人たちと野菜や果物の収穫をしたり、夕日や天の川を見上げて幻想的な時間を過ごしたりできます。こうした体験が子どもたちの生きる力やコミュニケーション能力を育んでくれそうです。・ちくらつなぐホテル千葉県南房総市千倉町北朝夷 29672019年8月下旬オープン予定・持込OK_BBQ(2時間制/食材持込OK、飲料持込不可)大人 1,200円/人~・手ぶら_BBQ(2時間制/食材付、飲料持込不可)大人 3,500円/人~・ちくら海鮮_BBQ(2時間制/食材付、飲料持込不可)大人 4,500円/人~ ※詳細は公式HPよりご確認ください利用時間:3部制(17:00~19:00、18:00~20:00、19:00~21:00) ※画像はイメージですBBQをはじめとするアウトドアレジャーは楽しいのはもちろん、子どもがたくさんのことを吸収してくれる絶好のチャンス。この夏、家族でおいしいBBQスポットへでかけてみませんか。
2019年07月25日縁側のすぐ先には裏山の緑「天気のいい日は縁側に子どもたちが集まってきて遊んでいます」と話すのは老子邸の奥さん。お子さんは「東京のマンションに住んでいるときよりも格段に元気に家の中を走り回ったりするようになった」という。奥さんの話に出た縁側は、アプローチから玄関へと至る前に現れる。中庭を囲むコの字形をしたその縁側のすぐ先には裏山の緑が間近に見える。老子邸はとても戸外感覚が溢れるつくりなのだ。老子邸のエントランス。玄関はいったん靴を脱いでウッドデッキの上に上がると左手に現れる。家づくりの考え方が変わっていった子育てを考えて逗子に越そうと考えた夫妻がこの土地を選んだのは、敷地のすぐ裏にまで迫る山に加え、前方にも緑が豊かに見えるというのがポイントだったという。しかし、現在のような家のつくりはまったく想像もしていなかったものだった。最初は「単純にちょっとおしゃれな家がいい」「無垢の木を使いたい」と漠然と考えていたという。その夫妻の考え方が「“住んでいて面白い家がいい”とうふうに変わっていった」という。そのきっかけになったのが建築家の岸本さんとのやり取りだった。「子どもには隠れる場所が必要」「子どもが外から自由に出入りするぐらいがちょうどいい」等々、子どもに対する目線の重要性などの話も聞きながら徐々に夫妻の家づくりの考え方がシフトしていったという。エントランスからウッドデッキにまで至ると視線は中庭越しにそのまま裏山へと抜ける。家にいるのに外にいるような「岸本さんと話をしていてもはじめはどんな家ができるのか想像がつかなかったんですが、お任せしてお願いをしたら楽しめる家になるんじゃないかなと思いました」と老子さん。設計に際しては岸本さんが「東京からわざわざ逗子に越してきて家を建てるというわけですから、お2人の要望を聞く前からこちらで何をするべきかはすでに半分ぐらいは決まっていた」と話す。それほど家づくりにおいては敷地環境の比重が大きかったが、夫妻の思いが大きく反映したものがひとつあった。それは「家にいるのに外にいるような感じで暮らしたい」というものだった。「どういう家がいいかというよりも、どういう生活がしたいかを箇条書きでもいいのでくださいと岸本さんに言われて」(奥さん)出したリクエストが戸外感覚溢れるつくりへとつながったのだ。中庭側からエントランス方向を見る。真ん中のドアが開いた部分が玄関。その右手に水回り関係が並ぶ。1階のこちらのサイドには奥から寝室、納戸、将来の子ども部屋が並ぶ。外にある居間第1案からほとんど変わっていないという設計案は「面白いというのが第一印象」だったが、奥さんは「びっくりして、もちろん抵抗もありました」と話す。そこで岸本さんにたくさんの質問を投げかけた。「玄関はどこ?」に始まり、いろんな「?」が奥さんの頭の中で渦巻いたという。「でも何回も何回も話をして、岸本さんが具体的な情景を例に出しながら説明してくれて。それで模型を見ながら、ああこういうことなのかなあとだんだんがわかるようになって納得していきました」(奥さん)「ふつうは玄関で内と外がはっきりと区切られていますが、そこを少しぼかしてだんだん内側に入っていくようにする。そうした中間ゾーンをできるだけ豊かにしようとしました。コの字の両端の部分は縁側の風情ですが、真ん中の部分も縁側であり玄関であり、また外にある居間でもあるというように」(岸本さん)水回り前の縁側でくつろぐ老子さん一家。老子さんは「自然の移り変わりをとても身近に感じ取れるようになった」という。「お風呂に入りながら外を見たいというのはリクエストしました」(老子さん)。下見板張りは陰をつくって壁の表情を出すためと家の内側だが外部という「ひっくり返った世界」をつくるため。多様な場所をつくる子どもたちが走り回るのには開放的で自然との距離が近く感じられる空気感も大きく作用しているが、老子邸ではそれに加えて多様な場所がつくられているというのも見逃せない。「場の差異をどうやってつくっていくかが重要だ」という岸本さんは、この家では凝縮された延床面積の中に小さな空間をつくってバリエーションを多様化させているという。階段途中に机の置かれたスペースや2階のロフトがそれで、ともに入口にアーチを設け壁を濃紺で仕上げている。さらに2階に畳の空間をつくったのも「空間が変わる体験を無意識のうちに感じてもらうため」の建築的仕掛けである。子どもに対する目線も意識してつくられたこの家では、実際に子どもたちが楽しそうに走り回るだけでなくいろんな場所で遊ぶという。「畳の間で遊んだり、友だちが来るとベンチ伝いに歩いたりロフトに大集合して遊だりしています。大きくなったらさらに遊ぶ場所が増えていくんだろうなと」(奥さん)玄関を入ったところから見る。階段途中に作業のできる小スペースが設けられている。ダイニングのほうとは対照的に「ちょっとふわっとしたウエットな感じ」(岸本さん)の空間。家の中心に位置するキッチン。食事をつくる際にも裏山の緑が眼に入る。左右の空間とは天井の仕上げを変えている。このキッチンで家族間のコミュニケ―ションが以前よりも活発になったという。キッチンの奥にロフトが設けられている。キッチン前から見る。ダイニングの奥に畳のスペースがつくられている。キッチンからも豊かな緑を眺めることができる。エントランスの上部、キッチンの外側につくられたベランダ。この場所でバーベキューをすることも。ダイニングからベンチがぐるりとめぐりベランダ近くまで続く。壁・天井には土佐和紙が貼られている。逗子という土地を選んで東京から越してきた老子一家。8月にこの家での暮らしが1年を迎えるという。「もともと外が好きでよく外に出るんですが、越してきてからさらにすぐに外に出るようになりました」という老子さん。夜はエントランスの上部につくられたベランダに出てコーヒーをよく飲むという。「ほんとうに想像以上の家に住めて楽しいし、楽しんでいます」との言葉からは、「この地での家づくりは大成功だった」との思いがにじみ出ているように感じられた。縁側であり、また“外にある居間”でもあるような空間。正面ファサード。白壁の部分にはガルバリウム鋼板が張られている。老子(おいご)邸設計acaa所在地神奈川県逗子市構造木造規模地上2階延床面積180.99㎡
2019年07月10日大屋根が印象的な斬新な外観文教都市・浦和の閑静な住宅街。戸建てが建ち並ぶ中、ひときわ大きな屋根が目に飛び込んでくる。小さな家型の平屋と、白くシンプルな2階建ての家を大きな切妻屋根でつないだ斬新な外観である。Yさんご一家がこの家で暮らし始めて2年が過ぎた。「中古物件を購入したため、ここには古い家が建っていました。取り壊して建て替えるにあたり、建築家を探し、出会ったのが井上玄さんです。井上さんの作品は、シンプルで格好よく、奇抜すぎないところが気に入りました。年齢も近く、家族構成も似ていたので、生活のイメージが伝わりやすいかなと思い、設計を依頼しました」。自宅で仕事をするYさんがまず出したリクエストは、仕事場と居住空間を分けたいということ。また、敷地が三方道路に面しているため、庭から子どもが道路に飛び出す危険性を懸念し、子どもが安全に遊べる場所がほしいと伝えたという。その要望を受けて井上さんが提案したのは、仕事場と居住空間を離して配置しつつも大屋根でつなぎ、2階に半屋外空間を造るというもの。これは、子どもたちが自由に遊べる庭であり、ダイニングと一体となったアウトドアリビングでもある。この半屋外空間は地上から約2mの位置に設置し、壁は視線を遮る最低限の高さに設定。開口を3つ設け、風と視線が抜けるようにしたことで、街に対して開放的でありながらプライバシーも程よく守られた心地よい空間となった。「こういう家は全く想像していなかったので、専門家の発想力はすごいと思いました」と、井上さんのアイディアにYさんも脱帽だったようだ。ピンクのレンガタイルが美しい家型の部分はYさんのオフィス、奥の白い家がYさん夫妻と2人の息子さん(7歳、5歳)が暮らす住居スペース。大きな屋根の下に登場したアウトドアリビングは2階に位置する。隣家の緑も借景に一役。玄関を開けると、土足で上がれる階段がある。昇りきったところからアウトドアリビングに出ることができる。アウトドアリビングへの出入り口手前、階段脇にあるシューズクローゼット内に洗面台を設置。部屋に入る前に手が洗えて衛生的。譲り受けたレンガタイルピンクのレンガタイルが印象的な家型の平屋部分はYさんの仕事場。「雑誌を見ていて、このレンガタイルを使いたいと井上さんに相談したら、そのレンガタイル会社の社長と連絡を取ってくれて会わせてもらえたんです。交渉の末、“中途半端に余っているものなら売ってもいいよ”と譲ってもらえることになり、オフィス部分や住居スペースの一部に使っています。全部レンガにするよりも、ポイントに使うことで、かえってかわいい感じに仕上がりました」。2階のダイニング・キッチンとアウトドアリビングの床は、譲り受けた白化粧タイルで統一。大屋根裏の軒天と屋内の天井はロシアンバーチ材を使用し、床とともに一体感を演出している。グリーンで彩られたオフィスへのアプローチ。シンボルツリーのアオダモは、夜にはライトアップされ、美しい葉の影が軒天に映し出される。色関係の仕事をするYさん。仕事柄、照明は大事とのことで、オフィスをはじめすべての照明は専門家にお任せした。作業台として使用しているのは、カール・ハンセン&サンの「PK52」。オフィスの扉は井上さんのデザイン。ドアに取っ手や鍵穴がなく、まるで窓のよう。フレームに手をかけて開ければよいのだが、どうやって開ければいいか、迷う人がほとんどだそう。フィンランドのガラスアーティスト、オイバ・トイッカのロリーポップシリーズがズラリ。バードシリーズ(右)は、住居スペースにも大小の鳥たちが置かれていた。オフィスにはミニキッチンやトイレ(左)も完備。右奥の階段から住居スペースへ。ダイニングから一続きのアウトドアリビング。床は白化粧タイルで統一。ダイニングテーブルは自作、ダイニングチェアはカール・ハンセン&サンの「CH88」。子ども用の椅子は、最初茶色だったストッケの「トリップトラップ」をYさんがペインティングした。ホコリをためない部屋造り「ホコリがたまりにくく、掃除がしやすい家というのもテーマのひとつ」というYさん。各部屋、ホコリ対策も万全である。家具はなるべく造作にし、ファブリック類は極力使用していない。キッチンには、吊り戸棚を設けず、キッチンボックスを造作。収納する家電のサイズを全て図り、ぴったり収まるようにした。2階のダイニングから、存在感を究極まで抑えた極薄の鉄の階段を上がると、2.5階にあたるリビングフロアに。ホコリがたまりやすいソファを避け、フリッツ・ハンセンの「PK22」や柳宗理の「バタフライスツール」を置いた。ダイニング同様、レザーや木にこだわり、さりげなく名作たちを配置している。また、掃除機がかけやすいフローティングタイプの壁面収納には扉を付け、エアコンも収納の中に。ホコリ対策を徹底している。畳の小上がりは、子どもたちがゴロゴロできるスペース。「最初、和室のキッチン側の建具はなかったのですが、住み始めてから心臓が飛び出るくらい危険だと感じ(笑)、慌てて自身がデザインしたものを取り付けてもらいました」。真っ白でシンプルなキッチン。カーブを描いた入り口がかわいらしいキッチンボックスには、冷蔵庫をはじめとした家電から食材、食器、給湯器類のリモコンまで収納。天窓からの光がスツールを美しく照らしていた。ダイニングからリビングへ上がる階段は、「できるだけ薄くしたかった」と踏板に鉄を使用。蹴込み部分は強度のためにやむなく半分設置した。手すりは1本のラインでつながっているようなイメージに。2.5階のリビングから2階を見る。床の白化粧タイルと天井までの大きな開口が明るい空間を印象づける。Y邸の家具は木とレザーが中心。奥の窓からシンボルツリーがのぞく。腰掛けるのにもちょうどよい和室の小上がり。無印良品の家具の上に設置された建具は、Yさん自らデザインしたもの。収納は扉を付け、ホコリの侵入を防ぐ。エアコンも収納し、使用するときには扉を開けられるようになっている。動線を考え尽くしたスキップフロアキッチンから数段降りた1.5階には、サニタリールームと家事室がある。このフロアはテラスの物干しスペースと同じレベルでつながっているため、洗濯後、すぐに干すことができて便利。また、洗面台の下には、以前から使用していた衣装ケースのサイズに合わせた収納を設置。洗濯物を取り込んだら、作業台でたたみ、そのままケースに収納と、家事動線に無駄がない。また、「こういうのがあったらいいな、という妻の発想から生まれました」というのが、サニタリールームと家事室をしっかり仕切ることができるパネル。シーツなど大きな洗濯物を乾燥させるときには閉め切ったほうが効率もよい。また急な来客時などは家事室の目隠しとして重宝しているという。家事室の下には、約8畳の床下収納室がある。「仕事で使用する資材をたっぷり置けるスペースがほしい」というYさんのリクエストだったが、期待以上に広いスペースが確保でき、プライベートのものも充分に収納できるという。さらに、半階下の子ども部屋は将来2つに区切ることを想定。現在置かれたベッドには、転落防止のためにかわいらしいパネルが張られている。これはYさんがDIYしたもの。大きな板をホームセンターで購入し、カーブを描いたデザインに切断。淡い色を塗り、子供らしく楽しい雰囲気を盛り上げている。そして、奥の階段を上がるとYさんのオフィスにつながる。居住スペースとの程よい距離感がYさんも気に入っているという。洗面室から洗濯機などが見えないように置いた。右側のドアから大屋根の下に出ることができ、物干しスペースに。奥の下がったところが物干しスペース。壁により、道路から洗濯物が見えない設計に。夏は子供のプールスペースとしても活用。サニタリースペースと家事スペース。作業台を広くとっている。作業台の下には衣類を収納。衣装ケースのサイズに合わせて造作した。洗面室と家事室の間のパネルを閉めると、完全に仕切ることができる。約7畳の子ども部屋。将来は2部屋に区切れるようにしている。ベッドまわりはYさんがDIY。仕事で使う資材を中心に収納した、床下収納室。高さ140cmで約8畳のスペースは広々とした空間。子ども部屋がコンパクトなため、子ども部屋の前に約3畳のウォークインクローゼットを設置。遊び場がたくさんあり、子どもたちも大喜び。家まわりもオシャレに美観にこだわるYさんは、エクステリアも妥協しなかった。玄関前の駐車スペースには、直径を変えた円を描き、その隙間に芝や花を植えた。また、人通りの多い道路側には季節によって表情が変わる花木をセレクト。Yさんの街へ緑を提供する視点や遊び心が、道行く人の目を楽しませている。「近所の方に、いつも楽しませてもらっていますよ、と声をかけていただくと嬉しくなりますね。2階のテラスもそうですが、子どもと一緒に植物の名前を覚えたり、グリーンを植えて育てたりする時間は豊かな気持ちになれます。これからもそんな時間を大事にしていきたいですね」。Y邸のインターホンは最低限のボタンのみ表に出したデザイン。表札もシンプルにかっこよくと、Yさん自ら彫った。トイレにも木をさりげなく使い、アクセントに。照明が美しい。2階のテラスまわりにはプランターが置けるスペースを確保。水をあげると、下の植栽にもかかるようになっている。幼稚園や駅に向かう人が行き交う道路側の植栽。花などを話題に近所の方たちとのコミュニケーションの場でもある。三方道路に囲まれた敷地。駐車スペースに施した円が軽やかな気分にさせてくれる。「福島の田舎育ちなので自然が大好き」というYさん。グリーンに囲まれ、読書やティータイムを過ごしてリフレッシュ。Y邸設計株式会社 GEN INOUE所在地埼玉県さいたま市構造木造規模地上2階延床面積138.61㎡
2019年07月01日京都・城陽市にある、アウトドア体験ができるテーマパーク「LOGOS LAND(ロゴス ランド)」をご紹介。食べる・遊ぶ・泊まる、を満喫できるスポットで、家族や仲間と充実したひとときを過ごしてみませんか。「LOGOS LAND」について2018年6月にオープン。京都・城陽市とアウトドアブランド「LOGOS」のコラボレーションによって誕生した全く新しいコンセプトのテーマパークです。コンセプトは“外で、食べて、遊んで、泊まる。”東京ドーム2個分の広大な敷地に、キャンプ体験ができるホテルやBBQエリア、大人も子どもも楽しめる遊び場など、アウトドアレジャーを満喫できる施設が揃っています。室内でキャンプ体験ができる宿泊施設プラムイン城陽室内でキャンプ体験ができる画期的なホテル。天候に左右されずにテント泊が楽しめるので、キャンプ初体験の方や小さなお子さまも安心して利用できます。■テントタイプ定員:2~8人料金:大人 8,500円(税抜)/小人(小学生)6,500円(税抜)/未就学児 2,000円(税抜)/3才未満無料備考:1泊朝食付き/大浴場利用可(タオル・バスタオル付き)アイリスイン城陽客室や中庭テラスでの“プライベートBBQ”に対応したホテルで、テント部屋やターブ部屋など「LOGOS」のテーマに沿ったさまざまなタイプのお部屋をご用意。■おうちでアウトドアタイプ定員:2~6人※2人エキストラベッド対応料金:大人 8,500円(税抜)/小人(小学生)6,500円(税抜)/未就学児 2,000円(税抜)/3才未満無料備考:1泊朝食付き/大浴場利用可(タオル・バスタオル付き)/中庭テラスでのBBQあり(別途料金)※宿泊プランはシーズンによって異なります。手ぶらでBBQを満喫できるスペース「プラムイン城陽」3FにあるBBQテラスと「LOGOS BBQスタジアム」にて、BBQを楽しめます。どちらもテーブル・ベンチ・グリル・炭・トング・食器など、必要な基本セットを無料で貸出しているため、道具を用意する必要なく気軽にBBQを満喫できますよ。食事プランも豊富にご用意お肉や野菜がセットになった食事プランも豊富にご用意。すべて飲み放題付きです。また、好きな食材を持ち込めるプランもあります。BBQテラスのオプションとして焚き火を追加できます。ロゴススマートガーデンシリーズのセットを使用して、焼きマシュマロなどを楽しんで。自然の中で思いっきり遊べるフィールド新感覚の巨大トランポリン「ふわふわドーム」をはじめ、大型アスレチック「バンクーバー砦」や最長140mの滑り台「ローラースライダー」など、無料で楽しめるお子さま向けの遊具が充実しています。サンシェードやシートをレンタルして、ピクニックを楽しむのもおすすめです。カフェやレストラン「LOGOS」のショップも併設「プラムイン城陽」の1Fには、アウトドア料理を提供する「ロゴスファミリーレストラン」があります。ダッチオーブンやスキレット、ホットサンドパンなどLOGOSの調理アイテムを使った作る、イタリアンベースの本格的なアウトドア料理を堪能できます。「アイリスイン城陽」の1Fロビーには、アウトドアに便利なアイテムを販売する「LOGOS」の京都初となる直営店「ロゴスショップ」、2FにはLOGOSオリジナルブレンドコーヒーやメイプルソフトなどの軽食やドリンクを提供する「ロゴスカフェ」がオープンしています。「LOGOS LAND」概要営業時間【LOGOS LAND園内】9:00~17:00※季節によって変動あり【総合受付】9:00~22:00【BBQテラス】11:00~20:30【BBQスタジアム】10:30~21:00【プラムイン城陽】9:00~22:00【アイリスイン城陽】9:00~22:00【ロゴスファミリーレストラン】7:00~9:00/11:00~21:00【ロゴスカフェ】9:00~18:00【ロゴスショップ】10:00~18:00(3月~8月の休前日のみ19:00まで)【レンタル窓口】10:00~18:00※休園日:不定期アクセス【車】京奈和自動車道入口より、国道24号線にて運動公園線を東へ。【電車&バス】JR奈良線・城陽駅前、または近鉄京都線・寺田駅前から路線バスに乗車し、プラムイン城陽停留所で下車。スポット情報スポット名:LOGOS LAND住所:京都府城陽市寺田大川原24-4
2019年06月29日ライフスタイルと両立する家「100年経っても色あせない家をつくりたいと最初にお伝えしました」。こう話すのはKさん。「シンプルで普遍的なものであり、かつ、家具なども含めた自分たちのライフスタイルと両立する家にしたい」。そんなことも最初の打ち合わせ時に建築家に話をしたという。奥さんが「それと“ガレージがほしい”“家族の気配が感じられるつくりにしたい”あと“開放的な間取りにして、できたら風の流れも意識してつくってほしい”というのもはじめにお話しをしました」と補足する。1階のリビング。テラスの右手にダイニング・キッチンがある。西海岸の空気感も感じられる室内の素材は素朴で素材感の感じられるものが選ばれ、また、さまざまな素材を使いながらも全体としての調和が図られた。設計者にとって施主のライフスタイルを考慮するのは家づくりにおいて必須だが、Kさんは自身、経営する会社でファッションを軸に食や住も含めたライススタイルの提案を行っていて人一倍ライススタイルへの思いは強い。そこで建築家の井上さんはこのKさんの「生活の中に入っていって」設計のための事前調査を行ったという。「井上さんは、僕がどんな本を読んでどんな曲を聴き、またどんな絵を飾っていてどんな食器で食事をしているのかをすべて調べた上で、それを彼の中で進化させたものを提案してくれて」1階リビング。左手にテラス、奥には階段室がある。ベイマツの梁とスチール梁との組み合わせ・対比がデザイン的にとてもうまくきいている。リビングの壁に設置された棚にはKさんがアメリカを中心に世界各地を旅して集めた種々さまざまな小物が置かれている。テラスに開かれたL形プラン「家もものづくりなので設計者と施主がセッションしていかないとダメだと思う」とも話すKさん。夫妻との“セッション”を重ね、徐々に現在のL字形の平面の周りに4枚のコンクリート壁を置く案が出来上がっていった。テラスに面した部分だけは全面開放に近いつくりとし壁は設けていない。コンクリート以外の部分で木造を多用し、木の梁にさらに鉄骨の梁を組み合わせた特徴的ともいえるつくりも、K夫妻とのセッションを経て井上さんが導き出したものだ。「西海岸のカジュアルなファッションを扱うところから仕事をスタートされていて、Kさんがそういう世界観がお好きだというのはわかっていました。ただその一方で以前うちの事務所でつくったコンクリート住宅のテイストもお好きということで、それにライススタイルも考えあわせたうえで提案をしました。Kさんから見せていただいた写真の中には西海岸の住宅のものも当然ありましたね」奥にこの部屋のために製作されたオリジナルスピーカーの置かれたリビング。天井をやや低めに抑え落ち着いた色合いのこのスペースはしっとりとした大人の空間。居心地の良い距離感「部屋の間の仕切りがなくて行き来がスムーズ」(奥さん)というのはオープンなスタイルが好まれる西海岸らしい部分かもしれない。リビングとダイニング・キッチンのある1階ではテレビボードの壁以外にはスペースを仕切る要素がない。この壁はダイニングとリビングをゆるく仕切っていて「なんとなくいることはわかるみたいな感じの居心地の良い距離感」(奥さん)をつくり出している。コンクリートでつくられた1階のテラスがまた「行き来がスムーズ」という感覚をつくり出すのに大きく寄与している。リビングとテラス、またダイニングとテラスの間で気軽に出入りすることができ、テラスを経由してのリビングとダイニングとの行き来もとてもスムーズなのだ。「とってもいいですね、あそこは」と奥さんが話すこのテラスは、もちろん、配置、スケール感、緑との関係などがしっかりとつくりこまれていて家族5人がのんびりとくつろげるスペースとなっている。ダイニング・キッチンから緑の美しいテラスを見る。緑はSOLSOのプランニングをもとに実際に畑で実物を見て選んだものが植えられている。ダイニングからリビングを見る。中からも行き来できるが、テラスを通っても気軽に移動できる。井上さん(左)とK夫妻。緑に囲まれたテラスでの集まりは自然と話が弾む。リビングからテラスを見る。ダイニング・キッチン部分の梁がそのまま外へと突き出して庇の下まで続く。手前はイームズのラウンジチェアとオットマン。Kさんはここで音楽を聴くことも多いという。左の収納には冷蔵庫が入っていて、テラスにいても気軽にビールを取り出せて便利という。ベンチ回りは数人で話をするのに小さくも大きくもなくちょうどいいスケール感。リビングの上は主寝室とウォークインクローゼット。右に置かれているのがアカプルコチェア。ダイニングからテラスを見る。リビングからテラスを見る。テラスのベンチの後ろには道路に下りる階段が設けられている。帰宅後のクールダウンにこの家に住み始めてから1年ほど。Kさんが「あそこが僕の指定席です」と指差したのはテラスに置かれたアカプルコチェア。「いつも夜の11~12時くらいに帰ってきてあのチェアに座って30分くらい音楽を聴きながらクールダウンするんですが、そのひと時がとてもいいですね」奥さんも「気に入ってるのはやはりテラスですね。夜は夜で、リビングのソファのところからテラスの緑を見ているとほっとする」と話す。また「緑も心地いいですけれど、光の変化というものもあって都心のわりには四季を感じ取ることができて気に入っています」とも。ダイニングからキッチンとテラスを見る。キッチンとテラスの間では食べ物、飲み物のやり取りが容易に行える。コンクリートの壁は出目地になっていて、光の当たり具合でさまざまに表情を変える。「壁そのものがアートになっているって素晴らしい」とKさん。1階の階段近くの壁にかけられているのはイームズがデザインした「レッグ・スプリント」。裏に照明が仕込まれている。階段途中からイームズのアームシェルチェアを見下ろす。開口を通して見える緑もSOLSOのプランニングによるもの。トイレもミニギャラリーとの思いで置くものすべてに気を配っている。2階の階段上はトップライトになっていて1階に下る階段を明るく照らす。2階。左手奥に主寝室。右に子ども部屋が3つ並ぶ。このうちは最高だよねKさんも「このテラスは都心にいながら鳥のさえずりも聴こえるし、太陽も空も見えるし、スノーインサマーの花が咲いたりと、そういった日々の変化も含めていいですよね」と話す。「3日にいっぺんは“このうちは最高だよね”って言っている」というKさん。建築好きの友人がたずねてきたときに「あーっ、アメリカの解釈ってこういうものもあったんだね」と言われたそうだ。アメリカのデザインやライフスタイルをそのまま移入するのではなく、井上さんとのセッションを経て、さらに家具や小物、さらに照明などで自らの世界観も表現してここにしかないオリジナルな空気感を創り出したKさんにとって、思わず膝を打った言葉だったのではないだろうか。地下1階の玄関側から奥のギャラリーを見る。正面が玄関、左にガレージがある。階段の厚みは「もう少しシャープにしたい」というKさんの希望で少し薄くした。夜にはネオン管を使ったアート作品で「すごく色気のある空間になる」という地下1階奥のギャラリースペース。「ここでお茶を飲みながら話をしてから1階に上がってまた違う空間を楽しんでもらう」というストーリーも考えられたという。玄関入ってすぐのギャラリースペース。ギャラリースペースの外部には大きなサボテンが置かれていて意外性の演出も。Kさんが「アメリカの普通の家のガレージみたいにモノをいっぱい突っ込んでおもちゃ箱にしてある」という地下1階のガレージ。地下2階の書斎。ゲストルームとしても使用できる。道路から見た外観。コンクリート、石、木の素材感の対比が生きている。右に白い花が咲いているのが見えるのがスノーインサマーの木。右の木の部分が地下1階のガレージ。テラスで話し込むKさん(右)と井上さん。K邸設計井上洋介建築研究所所在地東京都世田谷区構造RC造+S造+木造規模地上2階地下2階延床面積297.92㎡
2019年06月24日数十年後にかっこよく国産スギの外壁に包まれた、清々しい佇まい。たまプラーザで眼鏡店を営む矢田大輔さんは、それまで住んでいた築50年の家を、昨年秋にリノベーションした。「妻の祖母の家だったんです。かつてここで営んでいた町工場の名残りのある昭和の家が、全く違う雰囲気に生まれ変わりました」。経営する眼鏡店「Local」の店舗デザインを担当した「MOBLEY WORKS」の鰤岡力也さんに、この自宅も依頼。「学生時代からの付き合いでもあり、完全に信頼しているのでほとんどお任せでしたね。リノベーションするからには、鰤岡さん以外には頼みたくない、と思っていました」。矢田さんが唯一希望したのは、「10年、20年経ってもかっこいい家がいい」というもの。「“お前が死んだとき、オヤジいい家造ったな、と子どもが言ってくれるような家を造ってやる”。なんて、鰤岡さんは言っていましたね(笑)」。多摩のスギと張り方の構造にこだわった外壁は、湿度の高い日本の風土に適応。次第に色が変わっていく経年変化も楽しみのひとつ。施工はすわ製作所。リビングからダイニングを見る。ルーバーの衝立の左端は、リノベーションにあたって唯一残した柱。リビングからダイニング方向に向けて、床を斜め張りにしたことで、空間に奥行きが生まれた。床にはDIYでオイルを塗布。ソファーはジェルデのライトに合わせてデザインしてもらったもの。見通しのいいLDK無垢の床に漆喰の壁。シンプルだが細部の意匠にこだわった、広々とした1階のリビングダイニングを、心地よい風が吹き抜ける。「日本の風土にあう、理にかなった家だと思います」。例えば外壁は、防水シートを施した上にルーバーを縦横に張り巡らせ、すのこ状にしたもの。中に空間があくことで、風が通り抜け湿気を防いでくれる。「細かなところに何かと手間がかかり、大工さん泣かせだったと思います。玄関の籐を使った靴箱など、職人が減って行く今、あえて挑戦しているところもありますね」。1階は緩やかにつながったワンルーム。仕切りのない空間は、床の張り方で変化がつけられている。「玄関から入ってきたときに広がりを感じさせるように、リビングは斜めに張っています。ダイニングはまた雰囲気を変えて寄せ木張りに。すべて鰤岡さんのアイデアです」。そのリビングとダイニングの間には、あえて階段を設けている。「子どもが大きくなっても、必ず家族と顔を合わせて出入りしてほしい。そんな気持ちで階段の位置にはこだわりました」。リビングにいてもダイニングにいても、階段を通る家族と必ず目を合わせる。そのような意図で設けられた階段は、メモリーとして唯一残した柱とともに、家族の成長とつながりを見守り続けている。扉の枠の縁の加工や幅木の処理など、細かいところにこだわりが。照明は鰤岡さんからの結婚祝い。籐を用いた通気性のよいシューズボックス。奥にはアウトドアグッズなどを収めるクローゼットを設置。風と光が通り抜けるリビング。L字型のソファーは家族みんなで寛げる。キャビネットは米軍払い下げのもの。階段の上は吹き抜けになり、ここから家全体の気配がわかる。あえて設けた垂れ壁は、床の変化とともに空間を緩やかに分けるためのもの。アイアンの手すりは、グリップ感にこだわって加工した。キッチンをアクセントにキッチンは妻・康恵さんの希望でコの字型に。「眼鏡店の内装に合わせてモスグリーンを選びました。私の身長に合わせてオーダーしたので、使いやすいです」と康恵さん。大きなシンクや、火力の強いハーマンのコンロを使用することなどをリクエストして、鰤岡さんがデザインした。キッチンの奥にはパントリーが併設され、2方向から出入りできて動線もよい。「長い時間を過ごす1階にはお金をかけて、2階の寝室は素材だけにこだわりました」。蝋をつけて焼いたアイアンの手すりがついた階段をあがると、3部屋のベッドルーム。2階はもとの家の間取りを活かし、シンプルに設定した。「階段の上が吹き抜けなので、冬も1階でストーブをつけるだけで上まで暖かいんです。夏は夏で、風通しがよいので涼しいんです。真夏までエアコンはいらないくらいです」。モスグリーンのキッチンが、シンプルな内装のアクセントに。ダイニングの床は市松模様の寄せ木張りで変化をつけた。人造大理石の天板のキッチンには、収納もたっぷり設けた。白いサブウェイタイルに、目地はグレー系を選択。テラスとつながった明るいダイニング。テーブルは6〜7人でも囲めるサイズのものを鰤岡さんにオーダー。キッチン裏のパントリーは、洗面側からも入ることができる。子ども用に使っていたキャビネットを収納に。洗面にはクラシカルなシンクをセレクト。蛇口の経年変化も味を出す。バスルームはシンプルなグレーに統一。サブウェイタイルが雰囲気を出す。オクタゴン(八角形)がかっこいい取っ手。ドアの端にもベニヤを張りすっきりと見せている。細かなパーツも選び抜いたもの。カーキっぽいグレーは、お店のカラーとシンクロさせている。大切な思い出とともに「生活感のない感じにはしたくなかったですね。思い出のある大事なものが、さり気なく置かれている、そんな空間に味が出ると思うんです」。ともに50〜80年代のアメリカの、オーセンティックなものに惹かれるというご夫妻。ガラスのキャビネットには、子どもたちの思い出の品を大切に飾っている。「イームズのロッキングチェアは、長男がお腹にいるとき、妻のために買ってきたんです。1個1個のものに思い出がありますね」。家族で寛ぐ青いソファーは、バスケットボールをやっていたという、大輔さんの体格に合わせて、家族全員が腰かけられるよう造作した。「座り心地がいいので、夜、みんなでゆっくりTVを観る時間が増えました。昼間は部屋から素足でテラスに出ておやつを食べたり、ビニールプールで体を冷やしてはまた家に入ったり。子どもたちも家での思い出を増やしていってくれるといいですね」。メンテナンスしながら長く使い続けてほしいというメガネへの思いのように、この家も長く受け継がれいきそうだ。お子さんが初めてはいた靴や、生まれたときの時間でとめた時計など、思い出を大切に飾る。右の額は、康恵さんのお祖父さんが制作したシルクスクリーン。大輔さんの思いの詰まったシェルチェアで。ご夫婦のメガネがずらり。「Local」では、矢田さんがセレクトした輸入もののメガネを扱う。広々としたテラスで読書をする長男・夏奏君と長女・かのんちゃん。アウトドアでの読書タイムも楽しい。
2019年06月17日アフタヌーンティー・リビング(Afternoon Tea LIVING)と「ピーナッツ(PEANUTS)」が初めてコラボレーション。2019年7月10日(水)から販売する。アフタヌーンティー・リビングとピーナッツの初めてのコラボレーションでは、テーマとして「SNOOPY in Paris」を掲げた。デザインには、パリを想起させるエッフェル塔やフランスパンなどを採用し、トリコロールカラーで鮮やかに彩った。パリの街を楽しむスヌーピーや仲間たちの愛らしい姿には思わず目を奪われる。また、今回はアフタヌーンティーのロゴや復刻アートを採用しており、そのなかでも“Afternoon Tea”の文字でエッフェル塔を描いたアートは、2008年に発表されたアフタヌーンティーの人気アートを復刻したものだ。レトロな雰囲気が、今回のコラボレーションに絶妙にマッチする。展開アイテムはバリエーション豊富にラインナップ。コインケース、キーケース、スマートフォンケース、ハニカムランチボックス、ペットボトルホルダーなど、スヌーピーと一緒に旅したくなるようなアイテムが揃う。また、マスキングテープやペンセットといったステーショナリー類も見逃せない。さらに、ダイカットクッション、ルームランプ、アートボードなどインテリアアイテムも充実。部屋の雰囲気を一気にハッピーにしてくれそうだ。【詳細】SNOOPY in Paris発売日:2019年7月10日(水)■アイテム価格例コインケース 2,160円(税込)ハンドクリームセット(3本入り) 1,080円(税込)スマートフォンケース(iPhone10対応) 3,888円(税込)ミニミラー 648円(税込)マスキングテープ 各540円(税込)ハニカムランチボックス 1,296円(税込)ピンバッジセット 3,024円(税込)ショッピングバッグ 2,700円(税込)トラベルタンブラー 3,456円(税込)ペンセット(ペン3本/クリアペンケース付) 1,080円(税込)マグ(レッド) 1,296円(税込)ヒッカケスプーン 756円(税込)キーケース 4,320円(税込)ペットボトルホルダー 1,296円(税込)ダイカットクッション 3,456円(税込)(C) 2019 Peanuts Worldwide LLC
2019年06月15日本年ブランド誕生40周年を迎えるエリエールブランドの大王製紙株式会社は、アウトドア経験がある20〜40代男女500名を対象に、アウトドアでの振舞いと持ち物に関する調査を実施。その結果、アウトドアにおける持ち物の準備は特に気遣いが必要であること、特に「ウエットティシュー」は気遣いを感じさせるアイテムであることが判明した。アウトドアでの振舞いはチェックされている!?アウトドア中の振舞いについてきくと、約9割が気遣いできるかどうかが現れやすいと回答。また、約6割が「他人から振舞いをチェックされている」と感じており、アウトドアでの場は、「他人への気遣い」を見られている場でもあると言えそうだ。しかしながら持ち物の準備は難しいようで、具体的には「足りなくなったアイテム【タオル】:何枚か持って行ったが、子供が汚したり濡らしたりで足りなくなった」(43歳女性)、「足りなくなったアイテム【着替え】:濡れたが自然乾燥しか方法がなかった」(32歳男性)などといった声が挙がり、汚れる・濡れるなど予期せぬアクシデントが発生し、「失敗した」と感じる人が多いことがわかった。気遣いアイテム1位は「除菌シート」!では、「気遣い」を感じさせるアイテムとは何なのだろうか。アウトドア中に気遣いを感じるアイテムをきくと、1位は「除菌シート(ウエットティシューなど)」(76%)、2位は「虫よけ」(73%)、3位は「折りたたみイス」(52%)となった。実際に、約7割がアウトドアで「除菌したい」と感じたことが「ある」と回答している。一方で、「除菌したい」と感じた経験がある人だけに、その時十分に除菌を行なえたかきくと、「行なえなかった」人が約7割も見られた。除菌アイテムに求められる条件は、「手軽に持ち運びできる」「たっぷり使える」今回の調査では、アウトドアの場では参加者に気遣いができるか否かが出やすいこと、さらに除菌ニーズの高いアウトドアの場においては「除菌アイテム」は気遣いアイテムの代表であることがわかった。そんなアウトドア時におすすめなのが、手軽に大容量で除菌ができる「エリエール 除菌できるアルコールタオル」。小さなお子様などには手肌にやさしい「エリエール 除菌できるノンアルコールタオル」もおすすめだ。アウトドアのみならず、手指や食事の際の台拭きなど、気になる場所にぜひ使ってみてほしい。【参考】※商品情報
2019年06月14日〔3COINS〕でお買い物をしていると、おしゃれでかっこいいアウトドアグッズを発見!お手頃価格でも十分に使える優秀アイテムでした♪ということでさっそく、フェスなどの屋外イベントで大活躍してくれそうなグッズをご紹介します!《サコッシュ》●サイズ:25×22cm●材質:ポリエステル●耐荷重:10kgメッシュ素材のポケットが前面についた、軽くて涼しげなサコッシュ。キーリングも付いています。カラーはカーキとブラックが出ていますが、とくにブラックが人気だそうでお買い物部ではゲットならずでした。紐は長さ調整が可能、さらに取り外しもできるのでポーチとして使うこともできます。スマートフォンやペットボトル、お財布や薄手のタオルなど、フェスなどで持ち歩くものを入れるには十分な大きさです♪《レインカバー》●サイズ(約):60×43cm●材質:ポリエステルこちらはリュックサックやバックパックの上からかぶせるだけで、雨から持ち物を守ってくれるレインカバーです。完全防水ではないので強い雨風には対応できないこともあるようですが、直接バッグが濡れてしまうのと1枚布でカバーしているのとではだいぶ違いますよね。口はゴムになっているので、とっても簡単に着脱することができますよ。カラーはレッドの他にカーキもありました。畳めばコンパクトに《スポーツサンダル》●材質:EVA、ポリエステル最後はこちらのスポーツサンダルです。500円(税別)商品ですが、とっても軽くしっかりとした作りで履き心地は◎。面ファスナーで足を固定することができ、長さの調節も可能です。かっこいいデザインなので、レジャーシーンはもちろん私服と合わせてもよさそうですね♪〔スリコ〕ならアウトドアグッズもお手頃価格で手に入る♪交通費やごはん代などで費用がかさむ中、お手頃価格で必要なグッズをそろえることができるのはとても助かりますよね。みなさんもフェスなどのイベントへ出かける際には、一度〔3COINS〕の商品をチェックしてみてはいかがですか♪【3COINS】ちょこっと先取り!暑い夏に備えよう☆とっても有能ひんやりグッズ【3COINS】キュートな絵柄に癒やされる♡ケース付き扇子が登場!【3COINS】浮き輪とビニールプールが今年もやってきた!入荷待ちになる前に手に入れよう♪
2019年06月13日遊び心に感動「面白いし、楽しいです」と我が家について語るのは藤川家の奥さん。雑誌を見ていて納谷新さん設計の家に目がとまったという。「どこか不思議な感じがあって、どちらの方角にも空が見えて、リビングには大きな窓がある。さらに、地中にもぐっているスペースもあって、それで、ぜひ見てみたいと思って」その家は以前このサイトでも紹介した納谷さんの自邸だった(2014年09月22日の記事「すべての空間を居心地よく、楽しくしたかった」)。建築家への設計依頼を考えていた夫妻はさっそく見学にうかがうことに。「主人が気に入ったのは屋上緑化で、サッカーやフットサルが好きな人なので、屋上一面にはられた芝生を見て感動していました。わたしも“こんなことできるんだ”ってその遊び心に感動して。材料の選択とか、構造をそのまま見せているところも良くて、 “ここはこうしてほしい”とか細かいことを言わなくてもわたしが好きなテイストでつくっていただけるだろうと思って設計をお願いしました」ダイニングとキッチンのあるレベルから見る。右手の吹き抜け部分にリビングがある。居場所をたくさんつくる設計に際しては、「楽しい家にしたい」という希望とともに、納谷邸のようにいろいろな居場所をつくってほしいとも伝えた。「納谷邸で階段の途中に中2階のような場所があって、一方にはキャンプの道具が置いてありもう一方は畳になっているんですね。その畳のスペースで奥さんが洗濯物をたたんだりしているそうなんですが、“気分転換にその端に腰かけて脚をぶらんと下げて外の景色を見たりもしています”って聞いて、“あ、すごくいいな”と思って」「わたしは以前山登りをしていたんですが、山だったらどこに腰かけてもいい。それに近い感じがあってどこに座ってもいいというのがいいと思ったし、面白い居場所がいろいろとあるのもいいなと」リビングから見る。奥さんの希望で大きな開口がつくられた。天井には奥さんが好きという木製の梁がリビングからキッチンまで整然と並ぶ。キッチンからデッキと中庭を見る。ダイニングからキッチンを見る。大きな開口を通して畳のスペースのある棟を見る。半地下+分棟式に納谷さんにはさらに具体的に納谷邸で気にいった点をいくつか伝えたが、設計では前提として特殊な敷地条件を考慮する必要があった。敷地は藤川さんの実家が購入したものだったが、長い間空き地の状態で、周囲の住宅の中庭のような存在になっていたという。そこで、高さにおいてもボリューム感においても周囲に対して圧迫感を与えない立ち方になるように、1層目を半分地下に埋めて2層目を分棟することに。さらに吹抜けもつくり、藤川邸の最大の特徴といえる屋根の部分も緑化する予定で設計がスタートした。斜めに張られたデッキの上から見る。正面の棟には上階にダイニングとキッチン、下階に寝室、その途中のレベルにリビングが設けられている。右のデッキの上に張られた人工芝の上で朝食やランチを食べることもあるという。ダイニングに設けられた扉の前から見る。右手の畳のあるスペースの前を通ってぐるりとデッキの上をめぐるとキッチン近くにまで達する。屋上にデッキを張る「うちの主人が納谷邸の屋上緑化をすごく気に入ったので、屋上は緑化する計画だったんですが、予算的にも難しいことからあきらめてデッキにしようと。デッキにすれば出てすぐその上で遊べるし、ダイニングともつながっているのもなんかちょっとうれしいなと」藤川さんと娘さんは日曜日などにデッキのいちばん高い部分に敷いた人工芝の上で朝ごはんやランチを食べて過ごすこともあるという。「キッチンから出てぱっと食事を渡すことができるし回収も楽なので、あそこはけっこう活用していますね。あの人工芝は緑化をやめたのでそれにかわる面白いものが何かほしいねって話をしていたときに納谷さんに勧められたんです」デッキには正面のダイニングとキッチン部分に設けられた扉からだけでなく、左手の畳のスペースからも出入りすることができる。巣穴と畳の部屋納谷邸と同様に下階は地面を掘り下げてつくった。「納谷さんの家よりももぐっている感があるので、巣穴みたいな感じがするんですね。よく寝室の窓からから中庭にウサギを出して遊ばせるんですが、そのときに動物の巣穴ってこんな感じなのかなあと」リビングから半地下のスペースを経て階段を上がるとデッキと同じレベルに畳のスペースが設けられている。「ふだんはそんなには行かないんですが、娘の友だちが来たら必ず開放しています。デッキから行ったりいったん下に降りてから階段で上がったりとすごく楽しそうに遊び回っています。大人の方が来たらぜひあそこに泊ってもらいたいとも思っていて、とても使い勝手のあるいい部屋だなと思っています」右側と正面のデッキの高さは庭から150㎝。寝室の窓を開けて中庭を見る。寝室から見る。この窓から飼っているウサギを中庭に出して遊ばせるという。子ども部屋から畳のスペースに上る階段を見る。畳のスペースの下にあるスタディルームと左に中庭。畳のスペースに上る階段近くからリビングの方向を見る。畳のあるスペースにはいったん半地下のスペースに下ってからまた上がる。畳のスペースからもデッキへと直接出ることができる。天井はぐっと低くしており、梁まで130~147cm。子どもたちは階段から上ったりデッキから入ってきたりとこのスペースを秘密基地のような感覚で楽しんでいるという。奥さんが一番気持ちがいいといってあげてくれたのはダイニングとリビングだった。「ダイニングの椅子に座っていることが多いんですが、庭の緑を目に入れながら生活できるのがすごくいいですね。疲れたときにリビングに大の字になって寝ることがあるんですが、見上げたときに天井の構造(梁)が目に気持ち良くて、その時もこの家に住んで良かったなって」娘さんに思いきりこの家を楽しんでもらいたいと話す奥さん、自身もこの家をとても楽しんでいるように見えた。外壁のエンジ色は緑と補色関係にあることと、いずれデッキが退色してグレーになることを見越して決められた。敷地は四方を住宅に囲まれた旗竿敷地。当初は右側のほうへと寄せて建てる予定だったが、それだと実家の窓をふさいでしまうため左側へと移動した。それによって、窓を通して実家とのやり取りが容易にできるようになったという。藤川邸設計納谷建築設計事務所所在地東京都杉並区構造木造規模地上2階延床面積125.55㎡
2019年06月12日運河沿いの物件を求めて東京の下町、門前仲町の運河沿いにひっそりと建つ5階建ての小さなビル。このビルを自宅兼事務所として住んでいるのが、アトリエハコ建築設計事務所を営む七島幸之さんと佐野友美さんご夫婦。二人で事務所を構えておよそ15年目。世田谷から門前仲町に自宅と事務所を移して2軒目の住処だ。「このあたりを散歩していて貸しに出ているのを見つけたんです。良かったのは、賃貸だけど改装してもいいという物件だったことです。ここはそもそも舟屋さんだったみたいです。その後いくつかの会社が入ったりしていたみたいですが。それまで住んでいたマンションが事務所を兼用するには使いにくかったこともあり、これはおもしろそうだね、と借りることにしました」。1階の入り口と、七島さんの仕事場。右側の天井高は2mほどと低い。左側は吹き抜け。吹き抜けからの見下ろし。2人分の仕事スペース建物は、1フロア20㎡に満たない広さの空間が5層になっている。入り口を入ると吹き抜けのある七島さんの仕事机と吹き抜けに目いっぱいの高さで備え付けられた本棚に圧倒される。「狭いけれど、この吹き抜けの高さがあるのが気に入って借りました。本棚は大工さんにつくってもらって。天井が全体的に少し低いのですが、吹き抜けもあるし窓も多くて光が入ってくるので圧迫感は少ないです」と佐野さん。2階は佐野さんの仕事場。ちょうど目線の高さに桜の木の葉と運河がみえる。「ここにいると気持ちよくて仕事がはかどらないんです」と笑う佐野さん。吹き抜けの開口で階下の七島さんの仕事場とゆるやかにつながる。「このぐらいの距離感がお互いにちょうどいいんです」。入り口から奥を見る。左側の天井高が低いため、高低差をさほど感じない。階段周りは白く塗装して明るく。フロアごとに使い方を決めて3階から上はプライベートのフロアになる。こちらも桜の木と運河が目の前に臨めるリビングダイニングスペース。舟底天井の和室だったこのスペースは天井をはがした。というのも、キッチンを窓側から奥に移動するのに配水管を通し一部床上げしたため。一段床が下がっているキッチンカウンター奥の作業スペースに立つと、自然とカウンター向かいに居る人や景色とちょうどよい高さ関係になる。「水が近くにあるので少し涼しいんですよね。桜もここだけ咲くのが遅いんです」。ベランダには景色を楽しめるようテーブルを置いている。「ここでごはんを食べたり、友人を呼んでお花見をするときに使ったりしています。お花見の時期、窓も開けて楽しんでいると、通りかかった人が飲食店と間違えて来ることもあるんです」。4階は寝室と浴室。大工に合板で洗面台をつくってもらい、自分たちでタイルを張った。障子は元々あったものを残して、やわらかく光を取り入れている。5階は納戸として使っているが、見晴らしのいいテラスで思い切り洗濯物を干せる。元は和室だった3階のリビング。ベランダにはテーブルを。キッチンカウンターのガスレンジは作業スペースをとるために設置方向を工夫した。もともと台所があった場所の壁のタイルはそのままに。4階寝室のトイレは古い建具をそのまま利用。布団の下を収納に。左はOSB合板で仕切ったウォークインクロゼット。障子を開ければ見晴らしのいい景色が広がる。自分たちでタイルを張った洗面台。4階で洗濯し、5階のテラスで干す。この建物に新たに設置した風呂場。コンパクトだが、浴槽は普通サイズを縦方向に入れているので、湯船にはゆったり浸かれる。数字にこだわらず、工夫する仕事でも狭小住宅を手がけることが多いという二人。「東京で家づくりを考えると、その後の暮らしが不安になるぐらい高い土地を買わなければいけないですよね。でも、何LDKだとか、何平米だとかっていう数字にこだわらなければ、いくらでもやりようはあると考えています。この家はその実験台。自分たちで日々の生活を工夫しながら実践しているんです。打ち合わせで施主の方がここに来られると、みなさん安心した表情で帰っていかれますね」。階段の上り下りの不便さや、断熱ができずに少し寒かったりするこの家と、バランスを取り合う二人。家の中を探検するような、発見する楽しみのある暮らしぶりが伺えた。運河と桜の木を見下ろせる、気持ちのいいテラス。外観。木々の緑がカーテン代わり。
2019年06月10日時間とともに植物と建物が一体となる世田谷区内の緑道と車道が交わる角地に建つ、構造設計士の多田脩二さん、由喜さんの住まい。建物から溢れるような植栽が緑道の緑と一体になり、この一角が大きく豊かな緑の空間になっている。建物の各層から緑がこぼれる立体庭園というコンセプトの住まいは、外から中の様子は伺えないが、一歩建物の中に入ると、外とつながる広々とした空間が広がる。設計は建築家の新関謙一郎さん。実は多田邸は、脩二さんよりも由喜さんが積極的に住まい造りにかかわったのだそう。「夫の仕事が忙しく、週末の家族サービスといえば夫が構造設計に関わった物件のオープンハウスに行くことでした。中でも、新関さんの設計した建物は、中に入ると外観からは予想できない広がりがあって、その空気感やデザイン性が素晴らしく、いつかは新関さんの設計した建物に住みたいと思うようになりました」美しい緑は、作庭家の長濱香代子さんが手がけた。竣工から5年目の今年、土を替えるなどの植栽の手入れを行ったそう。「長濱さんは、埼玉の農家の方と一緒に土作りからしっかり行っているので、手をかけなくても植物が生き生きと育ちます」緑のプランターが建物の各所に設けられていて、上下の位置を少しづつズラすことで、それぞれの場所で雨と光が当たるようになっている。「植栽のプランターは鉄筋コンクリートの構成の一部になっていて、梁の役目も果たしています」竣工5年目の多田邸。年月とともに緑のボリュームが変化していく。緑道の樹々と一体となった建物。緑に歓迎されながら洗い出しの階段を昇り、2階の居住スペースのあるテラスへ。新関さんの設計らしい物語性のある階段。窓を開け放てば、内と外がゆるやかにつながる。開放感が感じられる住まい。最上階は、低い窓の外に屋上の緑が広がる。茶室にいるかのような落ち着く空間。最上階の屋上の緑。ベンチの後ろのコンクリートのスラブの中にも深型のプランターがセットされている。最上階のプランターにはアガパンサスが植えてある。水やりはタイマーがセットされた潅水ホースで行うので手間がかからない。こだわり抜いたキッチンの設計由喜さんはご自宅で料理教室「こゆきの食卓」を開催していることもあり、キッチンの設計には細かな部分までこだわった。「調理器具や食器の数が多いので、効率よく収納できるよう引き出しの大きさを考えました。調理器具には電気を使うものが意外と多いです。後で困らないようにあらかじめコンセントの位置や数にもこだわりました」キッチンのカウンターの高さは92cm。「背の高い方や男性でも使いやすい高さです。たくさんの方が楽しく集まれる空間を創っていきたいと思っています」奥のI型キッチンの天板とカウンターテーブルは共にコンクリート打ち放し。ガスコンロはカウンター側に作った。長女の大学2年生の美久璃さん。そして弟が2人の5人家族。収納力抜群のキッチン。引き出しの高さは、あらかじめ収納したいものの大きさを測って決めたのだそう。モルタルのカウンターテーブルの裏側にもコンセントを設置。テーブル越しにも緑が見える。スタッキングできるグリーンの椅子はアンティーク。「テーブルは友だちからのお下がりのロイズ・アンティークスです」コンクリートの打設に立ち会い、頑丈な家に3階のバスルームは、まるでリゾートホテルにいるかのような非日常空間。煤を混ぜた黒いモルタルで壁や浴槽が作られている。「新関さんと沖縄のリゾートの仕事をご一緒させていただいた時、バスルームが素晴らしかったので、我が家にも作っていただきました」半地下には脩二さんの事務所がある。「以前は住まいと事務所が別々だったので、経費の面では一体になって良かったかもしれません」そして2階から4階が住居スペースの、計4層の建物になっている。「当初は木造で作ることも考えたのですが、4層はやはり難しく、RCで造ることにしました。しっかりした躯体を作りたかったので、コンクリートを打設する際は現場に来て、自分も手伝いながらコンクリートが密になるようにしっかり打ちました。コンクリート内の気泡は少ないほうが頑丈な建物にになるんです」頑丈な躯体と、年月とともに変化を見せる植物。これから先、さらに素敵な家になっていくに違いない。2階の浴室。床は玄昌岩、壁や洗面カウンター、浴槽は、煤を混ぜたモルタルに防水加工を施してある。幅広の水が滝のように流れる水栓。緑道に面した事務所のエントランス。「この入口はほとんど使っていないので、どんどん葉が茂ります(笑)」脩二さんの事務所。天井高3mのたっぷりとした空間。天窓からコンクリートの壁に落ちる光が美しい。約1m下げて半地下の事務所空間を作った。
2019年05月29日一目惚れの敷地正方形の敷地を探していたという建築家の古澤さん。「見た瞬間にここだと思った」敷地は約45㎡の狭小地で、私道(位置指定道路)の突き当りに位置する。そして、住宅に両脇を挟まれたその私道は古澤邸のためだけに存在しているかのように見える。「正面性もあって一目惚れでした。そして、ここだったら街とつながったような生活ができるんじゃないかと」私道奥の真正面に立つ古澤邸。敷地は約45㎡。建物の半分近くが外部空間になっている。外部空間が半分当初の計画ではプランの真ん中に螺旋階段をもうけていたが、「図式的には美しいけれども、求心力が強すぎて生活が束縛されそうな感じがしたため」、多数の案を経て現在のプランへと変更を行った。しかし、道路に面した建物の半分近くを外部空間にするというコンセプトははじめと変わらずに維持した。「こういう繁華街に近い場所ではどうしても外部が少なくなってしまう。さらに、子どもを育てるうえでも外があるほうが絶対いいと思ったので」と古澤さん。2階バルコニー。都会ではどうしても外部空間が少なくなってしまうため、2~4階でバルコニーを4カ所もうけた。2階の入口近くから外階段越しにバルコニーを見る。コンクリート階段が途中からスチールにかわる。2階へ上る階段途中から見る。梁とスラブを分離する試行錯誤を重ねて行き着いたプランは中央に十字形を配したものだった。図面を見る限りこのプランにも空間を支配するような図式の強さが感じられるが、十字の四隅に柱を設けて十字の交点の部分には柱を置いていないため、ある意味、螺旋のプランとは違って中心といえるものもなく、十字形によって「生活が束縛されそうな感じ」はまったくしない。十字形を意識させない要素としてはこのほか、梁と床/天井のスラブが分離していることが挙げられる。通常は梁と同じレベルにスラブがつくられるが、古澤邸では上下の梁の間にもうけられている。そのため床レベルから見ると天井までの途中に梁が見えることになる。2階スペース。柱から出ているのはスラブではなく梁。この梁が上から見ると十字の形になっている。梁が直角にぶつかっている部分が建物の中央になる。2階スペース。左からキッチン、階段室、バルコニー。ガラス面が大きいが、梁が視線をほどよくさえぎるためプライバシーの面ではあまり気にならないという。この構造は構造家との話し合いの中から生まれたものという。「梁とスラブが一体になっていることに疑いをもつ人はいないと思いますが、ラーメン構造というのは柱梁構造のためスラブは本来、構造的に不要です。ジャングルジムのようなものなので、ある意味、スラブは柱や梁とは別の要素なんですね」こうしてできた空間ではスラブと梁が絵画のフレームのようになって外部空間をさまざまなプロポ―ションで切り取るだけでなく、視線が内外ともに斜めにも抜けて都会の狭小敷地では得難い開放性も獲得している。さらにはまた、正面がガラス張りのため、内へと閉じがちの都会生活では珍しく街とのほどよい距離感と関係性もつくり出されている。4階からの見下げ。基本的に外の階段をコンクリート、内部は木にしているが、それだけでは対比的になりすぎるので途中にスチールの階段もつくっている。寝室のある4階スペース。柱から出た梁によって十字の形ができているのがわかる。階段部分の吹き抜けは1階から4階まで続く。狭小住宅では上下移動の体験が重要になるため、歩くごとに風景が変わる、街を散歩するような楽しさを目指した。2階と3階を見る。2つの床の途中に存在感のある梁があるため、スキップフロアと勘違いする人が多いという。スラブがピン角でぶつかる部分はスチールで接合されている。3階バルコニー。和室のある3階スペース。3階和室から見る。厳しさとは真逆の居心地がいい引っ越しをしてから1カ月という古澤さん一家。間仕切り壁のような存在感のある梁はモノを置く棚としても活用しているというが、はじめてチャレンジしたつくりの空間の中で古澤さんは「モノをどこに置くのかがまったく決まらなかった」と話す。「ようやく落ち着いてきましたが、いろんなところにモノを置いていいきっかけがあるから、しばらくの間、毎日のようにモノが移動していました」家族の戸惑いは、古澤さんよりもさらに大きかった。「最初は開放的すぎて全部外につながっている気がして自分の部屋がないような感じがしました」と娘さん。しかし今は心地よい開放感に慣れて外の目が気にならなくなり、カーテンも開けて暮らしているという。いろいろなプロポーションの開口部が外をさまざまに切り取って風景の変化を楽しませてくれる。1階玄関内部から外を見る。壁と天井のスリットから光が入る。1階。木のボックスの内部はトイレ。階段越しに玄関のほうを見る。階段途中から見る。梁とスラブが分離することで、通常ではありえないような外との関係性が建物のいたるところで生まれている。古澤さんと息子さんの2人がいるのは梁の上。40×40cmの梁は棚としても使えるし、腰かけたりすることもできる。奥さんも「家の中まで見えてしまうのかなと思っていたんですが、意外に見えないので、外からの視線はだんだん気にならなくなってきました」と話す。「あと、頭をコンクリートの梁にぶつけたりするととても痛いのですが、そうした厳しさとは真逆の居心地の良さがあってそれがとても気に入っています。コンクリートでなければ、このような快適な開放性は得られなかったんだろうなと」奥さんは古澤さんに「狭い面積の中でバルコニーを広く取りすぎてもったいない」と設計中ずっと言っていたそうだ。しかし「外とつながって空間が広く感じられるし、よくあそこでお茶を飲んだりして楽しんでいるので、これで良かったなと思って」いるという。設計で外を意識的に多く取り込んだ古澤さんもこう話す。「昨日も友人たちをまねいてバルコニーで食事をしたんですが、外というのはやはり気持ちがいいですね。外とつながっているというのは街とつながっているというのと同じなので、そのあたりの気持ちの良さに住んでみてあらためて気づいたような気がします」。古澤さんはまたこの気持ちの良さを「街と体験が一体化する」という建築家らしい表現でも伝えてくれた。古澤邸設計古澤大輔/リライト_D+日本大学理工学部古澤研究室所在地東京都杉並区構造RC造規模地上4階延床面積90.59㎡
2019年05月27日