世界50カ国以上で6500万人を超える会員を抱える動画配信サービス「Netflix」が9月2日から日本国内でサービスを開始する。このような欧米企業の日本進出は安易に"黒船"と表現されることが多いが、Netflixの場合、攘夷や開国といったニュアンスも踏まえ、真の黒船と言える。もし日本のコンテンツ製作者が開国に本気で取り組むなら、日本の作品を世界に問えるチャンスになる。日本で提供する作品が具体的に明らかになっていなかった7月中旬、4-6月期決算発表時にグローバル展開に話題が及んだ際、Netflix CEOのReed Hastings氏が日本についてコメントした。まず、2011年のHuluの日本進出に触れて、Huluがつまずいたのは料金が月額1480円と高額だったうえ、海外のドラマやテレビ番組ばかりでローカル・コンテンツが少なかったのが原因だったと指摘。Netflixは日本に根付くため、最初からユーザーにとってより魅力的な価格設定で、ローカルのオリジナル・コンテンツも提供すると明言した。ただし、日本での成功には時間がかかると付け加えた。「日本はブランドに対してとても慎重なユニークな市場である。おそらくサービスを軌道に乗せるのに、われわれにとって最も時間のかかる市場になるだろう。しかし、ひとたびブランドを受け入れたら、日本の社会は深い関わりを持ち続けてくれるから、長期的にはわれわれにとって重要な市場の1つになり得る」日本ではTV放送と競争するような有料のコンテンツ配信サービスが普及しにくいということを踏まえた発言である。特にNetflixのような欧米の企業が、人々の日常にまでサービスを浸透させるのは難しい。それでも東アジアへの進出の入り口として、急成長中で市場の大きい中国ではなく日本を優先した。それは、Netflixがグローバル戦略を遂行するうえで、日本が魅力のある市場であるからだ。○連動するオリジナル・コンテンツとグローバル展開筆者は、NetflixがDVDレンタルのオンラインサービスのスタートアップだった頃から同社のサービスを使い続けている。Netflixが米国で急成長できた理由は2つある。「それまでの常識を覆すサービス」を提供し、しかもそれが「消費者のためのサービスで、消費者にとって便利なサービス」になっていたためだ。NetflixがDVDレンタルのオンラインサービスを始めた時、まさかDVDレンタル・チェーンがなくなるなんて誰も想像もできなかったが、Netflixが便利すぎて、あっという間に米国の街からDVDレンタルストアが姿を消してしまった。映画やTV番組のストリーミングにしても、2007年にサービスを開始した頃は「携帯からPC、HDTVまでインターネットに接続しているすべての画面で利用できる」とNetflixがアピールしても消費者の反応は鈍かった。ところが、ブロードバンドがデスクトップPCからWi-Fi、そしてモバイルへと広がるにつれて、その便利さに多くの消費者が気づき始め、いつの間にかDVDがまったく売れなくなってしまった。そのNetflixが今取り組んでいるのがオリジナル・コンテンツとグローバル展開である。この2つは関係ないようでいて連動しているプロジェクトだ。Netflixが米国以外にサービスを拡大し始めたのは2010年9月、少し後の2011年にオリジナルコンテンツの獲得に乗り出した。そして「House of Cards」「Orange Is The New Black」「The Square」など、オリジナルドラマがエミー賞を獲得し、それらを武器に市場を拡大してきた。しかし、そのままでは英語圏のサービスにとどまってしまう。Netflixが目指しているのは、米国から世界への一方通行ではなく、あらゆるコンテンツをグローバルに配信するサービスである。今年の8月28日にスタートした「Narcos」はドラッグ問題を扱った犯罪ドラマで、米国のドラマであるもののラテンアメリカでの関心も高い。そして年内にはGaz Alazraki監督のスペイン語オリジナルコメディシリーズの提供が始まる。同監督の「We Are the Nobles」はメキシコ史上2位の売上を記録しており、英語圏でも同監督の新シリーズを心待ちにしているNetflixユーザーは多い。そして日本でのサービス開始に伴う日本語コンテンツの提供開始だ。Netflixは有料のオンデマンドサービスだから民放のようにスポンサーの制限はないし、TV放送のような時間枠の制限もない。趣味性が強かったり、実験的な内容であったりなど、従来のTV番組としては製作できなかった作品でもサポートできるのが、オンライン動画配信サービスのメリットだとNetflixは考えている。日本だけでは製作に十分な視聴者を集められなくても、グローバル規模だったら可能になるかもしれない。Netflixがグローバルに市場を広げるほどに、コンテンツ製作実現の可能性が広がる。Netflixの日本進出に対して、私たちはNetflixがどれぐらい日本のコンテンツをそろえられて、同社がどれほど日本市場について理解しているか、Netflixを日本のサービスとして見極めようとしている。日本において、日本の消費者に使われるのだから、私たちがNetflixを日本のサービスとして評価するのは当然である。しかし、同時にNetflixがグローバル規模のサービスでもあることも意識するべきだ。日本人のために日本で作られたコンテンツに世界の6500万人がリーチできる可能性があり、Netflixを通じて世界の視聴者からの反応や意見といったデータを収集できる。これは日本のコンテンツ製作者にとって大きなチャンスになる。Netflixが東アジアで初のサービス提供国に日本を選んだのは、DVDレンタルやこれまでのストリーミング動画配信サービスを通じて、日本のコンテンツが世界の人々に受け入れられてきたデータに基づいた判断だろう。海外を意識することと国内向けのコンテンツにはズレがあるかもしれないし、言葉の壁もある。でも、日本の作品が海外のトップ100チャート入りしたり、海外で話題になったりしたら、日本でのNetflixに対する認識が変わるだろうし、逆に日本以外の国のオリジナルコンテンツへの関心も高まりそうだ。それが日本でNetflixというブランドが受け入れられるということではないかと思う。
2015年09月01日日本オラクルは8月26日、ERP/EPMクラウド事業戦略に関する説明会を開催した。同社は2016年度のSaaSビジネスの取り組みとして5つの柱を立てているが、その1つが「ERP/EPM Cloud」となる。ERP/EPMクラウドを統括する、常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/EPMクラウド統括本部長の桐生卓氏は、ERPの近年のトレンドとして、2層型の導入が進んでいると説明した。導入とは、コアとなるERPとしてはグローバルで利用されるパッケージを採用し、事業や拠点単位でローカルのERPを採用し、双方のERPにおいてデータ連携を図るものだ。その目的としては、顧客や市場への最適化を図ること、迅速にビジネスを立ち上げること、事業再編やM&Aなどがあるという。迅速な立ち上げが求められる「ローカルERP」にはクラウド型のERPが採用されるケースが多く、同社としてはこの市場を狙っていく。しかし、桐生氏はこの「2層型ERPモデル」には、とりあえず単機能で安価なサービスや、現場レベルでバラバラにサービスを導入した結果、各サービスやシステム間で連携できないという問題が起こっていると指摘した。そこで、同社としては、「地域統括管理が可能」「広い言語や各国の法制度に対応」「多様な業種・業態への対応」「他の業務領域への拡張と連携」が可能な同社のOracle ERP/SCM Cloudによって、この課題を解決していくという。桐生氏はOracle ERP/SCM Cloudの特徴として「業務統合性」「データ統合性」「セキュア」を挙げた。業務統合性とは、企業の基幹業務を網羅しているうえ、各業務を全体最適化して稼働させるためのビジネス・プロセスを実装していることを指す。データ統合性とは、データモデルが単一であるため、業務とビジネス・プロセスを統合して、ビジネスデータをそのまま活用できることを指す。また、高いコンプライアンスを確保したデータセンターを活用しており、Oracle Application Cloud環境では統合されたID管理が行えるほか、顧客ごとにデータベースが切り離されており、「セキュア」な環境が保たれている。競合のERPベンダーに対するアドバンテージについては、「今、ERPには新たなプラットフォームへの対応が求められている。競合の場合、再構築するしかないのに対し、われわれはPaaSを用いてデータを移行することもできるし、ERP Cloudに移行するという手段も利用できる。さらに、SaaSをつなげていくことができ、新たな機能を使いたくなっても開発する必要がない。また、競合はERPの上流工程となるマーケティング、営業関連といったソリューションが欠けている」という説明がなされた。同日、製造業の製品企画を支援する新たなクラウドサービス「Oracle Innovation Management Cloud」が発表されており、同サービスの紹介も行われた。クラウド・アプリケーション事業統括 ソリューション・プロダクト本部ビジネス推進部 担当ディレクターの中島透氏は、「PLMに近い製品だが、PLMが製品開発・設計の効率化や迅速化を実現するのに対し、Oracle Innovation Management Cloudは製品設計に入る前の製品企画を支援するもの」と、新製品の特徴を説明した。製品設計の前に、事業の方向性、製品企画、法律関係など、製品設計の前の段階で考えるべきことがたくさんあり、その中でどの製品に注力すべきかについても決める必要があるが、これらに関わる情報を管理できる手段が「Oracle Innovation Management Cloud」となるという。「Oracle ERP Cloud」の1つである複数のプロジェクトを管理する「Oracle Project Portfolio Management Cloud」、製品ライフサイクル管理アプリケーション「Oracle Product Lifecycle Management」と連携することにより、商品化に向けた一連の流れを一元的に管理することが可能になる。中島氏によると、グローバルではすでに10社が採用しており、5万ユーザーの契約がなされているという。
2015年08月27日オリンパスは8月25日、プロ・アマチュアを問わずに参加できる「OLYMPUS グローバルオープンフォトコンテスト 2015」の作品応募受付を開始した。カメラだけでなく、スマートフォンで撮影した作品も対象。応募期間は8月25日から11月20日11時まで。OLYMPUS グローバルオープンフォトコンテスト 2015では、「ライフ」「フューチャー」「ヒューマン」「テクニカル」の4部門で作品を受け付ける。応募テーマは、ライフが「誕生」、フューチャーが「大切にしたい風景」、ヒューマンが「笑顔」、テクニカルが「マクロ」と「アート」だ。使用するカメラのメーカーや機種に制約はなく、スマートフォンのカメラで撮影した作品も応募できる。応募は1テーマにつき、1人5作品まで。画像フォーマットはJPEGで、画像サイズの上限は15MB。オリンパスの写真コミュニティ「フォトパス」の会員登録(無料)が必要だ。すべての応募者の中から選ばれるグランプリ受賞者には、OLYMPUS PENシリーズ最新モデル1台と副賞100万円を贈呈する。各テーマごとの賞として「テーマ賞」(1~3位)、「特別賞」、「入選」を設けており、受賞者には「OM-D E-M1」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」のセットなどをプレゼントする。結果発表は2016年2月頃、Webページ上で行う。また、コンテストサイトの訪問者の中から抽選でプレゼントが当たる「オーディエンス賞」企画も開催。1名にPENシリーズ最新モデル、300名に「MOLESKINE カスタムエディション・ハードカバーノートブック」をプレゼントする。
2015年08月26日新しいもの、楽しいことはどんどん取り入れるはずのファッション業界。とはいえ、それが最先端のテクノロジーだとしたらどうだろう…。これからのファッションを牽引していく世代にとって、オンラインショッピングなど、今や当たり前のこと。さらに、海外に目を向ければ今や名だたるファッションブランドが、最先端のテックを利用した新しいマーケティング戦略やショッピングの仕組みを利用して、イノベーションを起こしている。そのファッションとテクノロジーが巻き起こす旋風がいよいよ日本にも到来する時が来た。先頃、ファッション×テックの先駆的イベントとして注目される「Decoded Fashion」が、日本で初めて開催されたのだ。ここでは2回に渡ってレポートしよう。2015年7月9日に東京アメリカンクラブで開催された「Decoded Fashion(デコーデッド・ファッション)」は、ファッションやビューティで業界をリードする企業やブランドと、テックの分野でユニークなサービスを提供するテクノロジー業界の企業を結ぶグローバルなイベント。創設者のリズ・バセラーはコロンビア大学でジャーナリズムを学んだのち、報道番組のプロデューサーとして活躍。オバマ大統領の当選演説を扱った特別番組では、優れた番組に与えられるエミー賞にノミネートされるなど敏腕ぶりを発揮。その後、2010年にテック企業に転職し、翌年「Decoded Fashion」を設立。2012年には、最初のサミットがミラノで開催され、その後、ニューヨーク、ロンドンに広がり、今年、日本上陸を果たした。設立当時、テック企業に勤めていたリズは「ユニークなアイデアを持つスタートアップ企業のオーナー達と出会い、彼らがファッションに使えそうなアイデアを持っていた」と言う。ファッション業界にどのような問題があって、どのような提案ができるのか分からなかったというが、テクノロジーとファッションが出合うべき時が来たと感じたのだという。一瞬、錯覚するが、これは日本の話ではない。外の人からは意外に思えるかもしれないが、ファッション業界はどこの国でも、けっこう保守的なのだ。とにかく、リズの働きによって、テックとファッションは出合うことになった。『WIRED』の若林恵編集長も「(Decoded Fashionは)この取組みによってふたつの、互いに未知の業界の人びとがFace to Faceで遭遇できる「空間」をつくったのが素晴らしい」とコメントしている。グローバルリサーチ企業「スタイラス(Stylus)」のリテール部門を率いるケイティ・バロン氏は、アフターインターネットである現代において、消費者の行動を考える時のキーワードを3つ挙げている。「ソーシャライズド」「パーソナライズド」「リスポンシブ」がそれだ。このキーワードに沿って、具体的な事例を見てみよう。■「ソーシャライズド」ブランドにとって、インターネット上で確固たる地位を築くには、自分たちの商品、ブランド、ショップ等々がオンライン、オフライン問わず語られていることが大切だ。店舗やプロダクトの良さもさることながら、オンライン上でもそのブランドの存在感があるかどうかとも言えるだろう。それはつまり顧客とブランドが、ブランドが提供する価値を共有しているかどうかという意味でもある。ブランドの持つプロダクトやストーリーといった価値にいつでも、どこからでもアクセスできることにより、ブランドは、オンライン、オフライン共にコンテンツを通じて顧客の購入を促すことが出来るということだ。実際の店舗のみならず、オンラインでもブランドのプロダクトやストーリーに出合えるということは消費者にとってみれば、これまでよりもずっと簡単に「お気に入り」にたどり着けるということだ。そして、ソーシャルな場にブランドがコンテンツを提示する時に忘れてはならないことがある。ロンドン発のスキンケアブランド「ロディアル(RODIAL)」の一例から考えてみよう。ロディアルでは、アメリカのファッションモデル、カイリー・ジェンナーをグローバル・アンバサダーに任命した。そして、彼女をロンドンのショップに招き、その様子をソーシャルメディアでレポートしてもらった。ここで大切なのはカイリーが元々、このブランドを気に入っていたということ。ブランドのCEO、マリア・ハッツィステファニス氏は、「消費者は、そのアンバサダーが本当に製品を気に入っているのか(あるいは宣伝なのか)をかしこく見抜く」と言っていたのはとても印象的だった。ブランドは、ソーシャルメディアでのレポートだとしても、そのコンテンツが真実であるのかと顧客から関心を寄せられていることを忘れてはいけないということだ。■「パーソナライズド」テクノロジーは、顧客とのコミュニケーションや販売の方法だけでなく、実際のモノ作りのスキームにも変化を与えようとしている。ニューヨークの真ん中に工場を持ち、イヤホンのオーダーメードを行う「ノーマル(NORMAL)」の創業者ニッキ・カウフマン氏は、自分の耳に合うイヤホンがないことに嫌気がさして、自分で会社を作ったのだという。ノーマルでは自分の耳のサイズにぴったりのイヤホンがたった2時間半で出来てしまう。これを可能にしたのは、3Dプリンターのテクノロジーだ。事業をスタートして1年後、顧客のデータから左右の耳の形が違う人が少なくとも20%はいるということも分かった。次の展開に活かせるデータだ。カウフマン氏は、「3Dプリンターを使って、大量生産ではなく、“あなた“のために作ることができるようになった」と言う。これはイヤホンの例だが、スタートアップ企業の中には、3Dプリンティングの技術を使い数時間でオーダーメイドのアイテムを作るシステムを構築しようと試行錯誤している企業もあった。まだ実現はしていないものの、テックによってアパレルのオーダーメイドが身近になる可能性は十分にある。この潮流が可能性を感じさせるのは、ここ数十年来変化の乏しかったファッション業界のスキームに風穴を開けるかもしれないということ。自宅にいながらにして、オンライン上で自分好みのファッションアイテムをオーダー出来る日がそう遠くない未来にやってくるかもしれない。■リスポンシブテクノロジーとファッションが出合えば、変わりやすい顧客の欲求にこれまでよりもずっと早く答えることができるだろう。例えば、「ハウスオブホーランド(HOUSE OF HOLLAND)」では、メンズコレクションでテクノロジーを使った新たな取組みを行った。VISAカードと連携して、ショーを見た顧客がパーソナルオーダーを入れられるスキームを整えたのだ。これまでショーが終わり、セレクトショップなどのバイヤーがオーダーをして、店頭に商品が並ぶという流れだったのが、顧客が直接欲しい商品をオーダーすることが可能になり、欲しいアイテムが顧客の元に届くまでの時間を短くすることができたのだ。また、デジタルが可能にした膨大なデータから顧客の興味関心を読み解いていくことも、今まさにその顧客が知りたいと思っている情報を届けることに繋がるだろう。パーソナルな興味関心をSNSやサイト上での行動からかなり正確に導きだすことが可能になるだろう。新しいもの好きと言われながら、歴史や伝統を慈しみ感性がモノを言うのがファッションの世界でもある。そのせいか、ビジネスのやり方自体が、旧態依然としているところもある。しかし確実に顧客はオンラインの世界でテクノロジーを享受し、コミュニティを構築している。アメリカでは以前から1980年から2000年の間に生まれたミレニアル世代が消費の中心として注目されて久しい。この世代にインターネットやデジタルテクノロジーは生まれながらのインフラ。ファッションの世界で働く私たちもそこに趣いて、顧客に思いを伝えられれば、双方にとって幸福な出会いがあるはずだ。テックによって蓄積される膨大なデータは、どこに顧客がいるのか、どんな風にそのドアをノックするのか、必ずや教えてくれるはずだ。
2015年08月26日8月23日、Apple Store, Ginzaにおいて『TEACHER’S NIGHT:語学学習とiBooks テキストブックの最新事例』が開催された。早稲田大学グローバルエデュケーションセンターのヴァレリオ・ルイジ・アルベリッツィ准教授が登壇し、同氏自身が制作し講義で使用しているデジタル教材の事例を通じて、iPad/iPhoneを使った学習の可能性を語った。○デジタル教材を導入する意義アルベリッツィ氏が日本語を学んだ1990年代、教材といえば文型を覚えるための理論編と会話的なアプローチの応用編を並べた典型的なテキストブックだった。しかし、この学習方法では「頭で分かっていてもなかなか話せない」。現在も大学の講義では紙のテキストや辞書が使われ、テープレコーダーがないと授業ができないという先生もいるそうだ。また、学生がただ聞くしかない"一斉講義型"の授業も存在し、「Death by PowerPoint (つまらないプレゼンで聴衆が寝る状況の例え)」ならぬ「Death by 講義型授業」を引き起こしていると、ユーモアを交えながらアルベリッツィ氏は指摘した。しかし、問題は笑って済まされない。学生による授業評価が科目の抹消にもつながる可能性がある現在。低い評価が続けば、学生がイタリア語を学ぶ機会が失われてしまう。一方で大学には「グローバルな人材の育成」が求められている。そのためにはどんな教育が必要なのか。それを考える時、アルベリッツィ氏はいつもある詩人の言葉を思い出すという。アルベリッツィ氏 「学生のバケツに知識を詰め、単位を取ればすぐひっくり返されるようでは、グローバルな人材は育ちません。では、何をするべきか。ポイントは、自分の頭で考える授業を目指すことです」教育の場はとかく保守的になりがちだが、「何らかの形で学生に届かせるために、色々なツールを試す必要がある」と氏は述べる。ここで間違ってはいけないのは、ただiPadを渡しただけでは何も変わらない、ということ。アルベリッツィ氏は、デジタル教材を使う教育の最も大きな課題は「能力を発揮させるために、デバイスと学習者に合ったコンテンツを作成」することだと強調した。○iPadを中心とした学習環境へ続いて、アルベリッツィ氏のデジタル教材における現在までの試みが紹介された。氏が現職に就いた2012年の時点で、大学の施設はどこでもICT教育ができる環境になっていたが、氏が利用可能な機材は用意されていなかった。そこで、まずは学生が持っているスマートフォンで、音声認識ソフト『Dragon Dictation』を「発音ドリル」として活用した。2013年春に初めて15冊のデジタルブックを中心にiTunes Uの「イタリア語入門」コースを作成し、内容を徐々に拡充。単語学習には『Qizlet』を導入。iPadは旧世代含めた10台の貸し出し機を使用していたが、2014年に学内の研究助成金や個人的な寄付、この取り組みを評価したイタリア文化会館からの寄贈により、一人一台を用意できる環境が整った。現在の環境はひとつの完成形といえるだろう。アルベリッツィ氏 「今年度はiPadを中心に、講義ではデジタルブックとiTunes U、単語学習はQuizlet、資料参照には『Padlet』を使います。そして今年から黒板を一切使わず、『MetaMoJi Note』というアプリで書き、授業が終わったら板書を学生の端末と大学のiTunes Uに送ります。さらに、実際に話して練習するロールプレイにおいても、台本を書いたり会話の様子を撮影し検証することにiPadを活用しています」○学習者の体験を中心に置いた教材デジタル教材が紙の教材と最も大きく違う点は、理解を助ける疑似体験的なコンテンツの存在だ。タップして意味を調べる、問題に回答し先生に送る、触れて回答を確認する。こうした作業が理解し覚えることに役立つと考える氏は、デジタル教材の制作においては「読み手としての学習者の体験を中心に置かなくてはならない」と強調する。例えば、欧米の大手出版社が出すデジタル教材は紙の発想から縦位置でデザインされたものが多く、テキストと並行するべき練習やインタラクティブな要素が、レイアウト的な制限から隅にやられたり、ページをめくらないと使えないことがある。こうした操作の煩わしさが学習を妨げるとして、氏の教材では読者の目がスワイプにそって情報を得ることができる横位置を用いている。さらに、見やすく連続した学習体験を目指し、コンテンツの所在がきちんと伝わり、機能を重視したレイアウトになるよう工夫を重ねてきた。アルベリッツィ氏 「最初に作ったテキストブックにもインタラクティビティはあるものの、ただ置いてあるだけでした。コンテンツの量や並べ方を整理し、枠線の種類やレイアウトを工夫して、読み手が情報を自分の力で見つけられるよう考えました」テキストブックの制作にiBooks Authorを用いる理由について氏は、簡単に使え、テンプレートが豊富なこと、そして利用できるデバイスの幅広さを挙げた。当初はiPadのみだったが、Macに対応し、昨年からはiPhone 6シリーズでも使えるようになった。iPhoneのシェアが高い学生にとってこれは大きな利点となる。また、サードパーティ製のウィジェットに対応したことで、インタラクティブな要素をより幅広く活用できるようになったことも理由に挙げられた。○挑戦、フィードバック、再挑戦最後にアルベリッツィ氏は、デジタル教材を使った講義の成果を示した。生徒からの評価は非常に高く、iPadが学習の役に立ったかという質問に対しては100%がポジティブな回答をした。また、期末テストの成績の推移を見ると、iPad導入以降単位を落とす割合が減っていることが分かる。特に一人一台を使えるようになってからは、不合格者の数が大きく減り、A+とAの割合が増えている。来期もイタリア語の学習を続けたいと回答した学生に理由を尋ねると、「もっと上達したいと思った」「話せるようになるのが楽しかった」など、学習に対する積極的な姿勢が見られた。もちろん、ただiPadを導入すれば成果が上がるわけではない。アルベリッツィ氏 「レベルの高いコンテンツを届けるには、裏の仕事が大事。単語学習には頻度別リストから現在のイタリア語で用いられる上位600語ずつのセットを作り、ロールプレイもその単語に対応させています」レイアウトやメディアの用い方から単語の選び方、学生からのフィードバックを改善に反映させるところまで、"どう学んでほしいか"という氏のコンセプトがクォリティの高い教材に反映されていると言える。教育が本来持つ進歩の可能性を示したイベントとなった。アルベリッツィ氏は最後に、来場者へ向けて次のように述べた。アルベリッツィ氏 「iBooks Authorをぜひ使ってみてください。使わなくては次の道が見えてきません。挑戦することがポイントなのです」
2015年08月26日●特徴的な機能を搭載TCLコミュニケーションとシネックスインフォテックは21日、5.5インチのSIMフリースマートフォン「ALCATEL ONETOUCH(アルカテルワンタッチ) IDOL 3」を発表した。上下逆さまでも使用できるなど、ユニークな仕様が特長の製品。価格は税別4万2,800円で、28日より家電量販店や直販サイトなどを通じて販売を開始する。本稿では、都内で開催された発表会の模様をお伝えする。○シンメトリーなデザインが特徴発表会にはTCLコミュニケーションのアラン・レジューネ氏が登壇して詳細を説明した。グローバルの170カ国で製品を展開する同社では、各国の市場を調査した上で、そのニーズに合った製品を厳選して販売している。高機能なIDOLシリーズを日本市場に投入する理由について、アラン氏は「日本の皆様は眼が肥えているため」と説明した。ALCATEL ONETOUCH IDOL 3は、Android 5.0を搭載した5.5インチ(1,920×1,080ピクセル)のスマートフォン。サイズ/重量は、高さ約152.7mm×幅約74.14mm×厚さ約7.4mm/約141gで、カラーバリエーションはダークグレー、メタリックシルバー、ソフトゴールドの3色で展開する。背面には1,300万画素のメインカメラを搭載。0.26秒で顔認証するFotoNation技術を搭載するほか、クラス最高級のセンサーにより逆光でも被写体を明るく撮影できる。前面にはディスプレイを挟むようにフロントスピーカーが配置されているほか、上端および下端の2箇所にマイクを搭載するなど、シンメトリックな構造がデザイン上の大きな特徴。端末を上下逆さまにするとUIも逆になるホームアプリを搭載しており、これにより上下逆さまの状態でも通話・カメラ・音楽などの各機能が使用可能となっている。アラン氏は「突然の電話にも、上下を確認しないで出られる」と使い勝手の良さをアピールした。●スピーカーにこだわり○JBL音質認証を取得音楽機能も充実。JBL音質認証を取得したフロントスピーカーにより3D HiFiサウンドを実現、映画館のような音響効果が楽しめる。また、圧縮された音楽データをリアルタイムに分析して失われたデータを補完するJBLのClari-Fi圧縮音楽再生テクノロジーを搭載。スピーカーでもイヤホンでも、常に高音質な音楽が楽しめる。なお、製品にはJBL製のイヤホンが同梱される。CPUはQualcomm MSM8939 Snapdragon 615(オクタコア、1.5GHz+1GHz)を搭載。RAMは2GB、ROMは16GB、外部ストレージはmicro SD(128GB)に対応する。バッテリー容量は2,910mAhで、連続通話時間は約13時間。ネットワークに関しては4G LTE(B1/B3/B7/B8/B19/B20)、W-CDMA(800MHz/850MHz/900MHz/1900MHz/2100MHz)に対応している。ビックカメラ、ヨドバシカメラのほかAmazon.co.cpやイオン、コジマ、上新電機、ソフマップ、直販サイトALCATEL ONETOUCHなどで販売する。アラン氏は「イノベーティブな製品を、多くの消費者の皆様に届けるのが我々のミッション。日本市場には、高機能でほかのスマートフォンと比較しても遜色のない製品を、リーズナブルな価格でお届けする」と話し、日本国内での展開に期待を寄せた。●☆Taku TakahashiさんによるDJプレイも○DJ MIXも楽しめる!サウンドの良さが特長のひとつであるALCATEL ONETOUCH IDOL 3には、イコライザーやサンプラー、エフェクトが豊富に搭載されている。専用のアプリを使えば、プロレベルのDJ MIXも、買ったその日から楽しめるようになっている。というわけで、会場では☆Taku TakahashiさんによるDJパフォーマンスが披露された。○100%ホームメイドの強み製品説明の後、質疑応答の時間が設けられた。ALCATEL ONETOUCH IDOL 3はグローバルモデルを日本市場向けにどのようにカスタマイズしたモデルか、という質問にアラン氏は「日本国内向けに対応バンドをカバーしたほか、ソフトウェアやUIもチューニングしている」と回答。このタイミングで日本市場に製品を投入する理由については「日本のマーケットでは現在、MVNOが流行している。私たちはこのタイミングで、別の切り口によるSIMフリー端末を発表して、利用者の選択肢の幅を広げたい」と説明している。“100%ホームメイド”を主張する同社。そこでスマートフォンの生産態勢について質問がおよぶと、アラン氏は「中国の恵州に、年間1億2千万台のスマートフォンを製造できる最新鋭の工場を構えている。垂直統合型の工場で、デザイン、マーケティング、品質管理、コスト管理など、すべて自社で行っている」と回答。こうした万全の設備により「適切なタイミングと適切な料金設定で、製品を市場にお届けできる。これが私たちの強みになっている」と説明した。
2015年08月22日A.T.カーニー日本法人会長であり、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターとしても活躍中の著者が、グローバル環境で能力を発揮するためのメソッドを明かした書籍、それが『グローバルエリートの仕事作法』(梅澤高明著、プレジデント社)。20年にわたって日米をまたにかけて戦略・マーケティング・組織関連のコンサルティングを実施してきたというだけあり、強い説得力を感じさせてくれる一冊です。■アメリカ人は数字に強いのか?日米のビジネスシーンを目の当たりにしてきた著者は、数字に強いことも日本のビジネスパーソンの強みだと記しています。でも、そもそもアメリカ人と日本人とでどのような差があるのかを知りたいところです。アメリカ人は数字でビジョンや目標を語ることが好き。事実、話にも「売上を2倍にする」「ユーザー数を10倍にする」など、大きな数値目標がよく出てくるそうです。ならば、アメリカ人は数字に強いのでしょうか?この問いについて著者は必ずしもそうは感じないといいます。それどころか、大雑把な数字をよく使う割には、きめ細かな計算が得意ではない人が少なくないのだとか。一方、算数の基礎ができていて、暗算も強いのが日本のビジネスパーソン。高学歴のインド人にはかなわないかもしれないけれども、それでも世界の平均的な水準よりずっと上だという印象を著者は持っているそうです。■暗算ができるとビジネス上で有利では具体的に、数字の強さはビジネスにおいてどのように活きてくるのでしょうか?当然のことながら、計算の正確さやスピードは電卓やエクセルの方が上ですから、決定的な差別化の武器にはならないでしょう。ただしそれでも、数字に強いと勢いに流されにくくなるというメリットがあるのだといいます。先に触れたとおり、特にアメリカでは大雑把に数字を扱う傾向があるため、現実的でない過大な目標を背負わされることがあるそうです。しかしそんなときに素早く暗算できれば、話がどんどん先に進む前に突っ込みを入れられるわけです。■数字で考えると冷静な判断が可能また、チームメンバーがエクセルで組み立てた定量分析に誤りがあったときなど、そのことにすぐ気づくのも、暗算で数字の全体感がつかめる人。ビジネスの現場では、数字で考えることによって冷静な判断ができるという場面は少なからずあるもの。決定的な差別要因にはならなかったとしても、強みとして積極的に活用すべき能力だと、著者は主張しています。*このように、実体験に基づいた考え方はなかなかに新鮮。視野を広げるためにも、読んでおくべき一冊だと思います。(文/印南敦史)【参考】※梅澤高明(2015)『グローバルエリートの仕事作法』プレジデント社
2015年08月19日日本が「戦後71年」への第一歩を踏み出す日となる8月15日(土)、激動する世界の現場を訪ね、グローバルな視点で、日本人が未来のために何ができるのかを考えてゆく「戦後70年 ニッポンの肖像戦後70年を越えて 日本人は何ができるのか」がNHKにて放送される。本番組の中で、石原さとみがウガンダを、寺島しのぶがフランスを訪れていることが明らかとなった。日本人だけでも310万人という甚大の犠牲を礎に、平和国家として歩んできた日本。一方、世界に目を転ずると、この70年、戦争の無い年はなかったと言っても過言ではないほど凄惨な争いが繰り返され続けてきた。そして、グローバル化が極限に達した現代の世界は、さまざまな“対立”が激化し、出口の見えない混沌とした状況が続いているのが事実でもある。本番組で、10万人が犠牲になった内戦の爪痕がいまも色濃く残るウガンダを訪ねた女優の石原さんは、「知る事の大事さ。やっぱり、知ったからには責任を持ちたいということをすごく感じました」と現地に訪れた感想を語る。「知らなくて良い事なんてない。知ってしまったら怖いし、避けたくなるかもしれないし、見て見ぬフリをしたくなるかもしれない。でも、まずは知る事が大事ということが、身をもって分かりました。そしてもうひとつ、一人の人を、目の前の人を励ませるって、すごく大事なことだと思いましたね」と心情を明かした。さらに寺島さんは、シャルリ・エブド事件の余波が続くフランスで、民族や宗教の対立をどう乗り越えればいいのかを見つめる。寺島さんは「日本は、いまはとても平和ですが、私たちはもっと世界に目を広げ、他の国で起こっていることや他の宗教について色々な人の話を聞き、いま話し合わなくてはいけないことをしっかりと話し合っていかなければいけないと思います」とコメントを寄せた。スタジオには世界を舞台に活動する各界の第一人者を招き、生放送で、明日の世界を考えていくという。日本を代表する2人の女優は、この旅を経験し、平和を実現していくために何が必要だと感じたのだろうか。NHKスペシャル「戦後70年 ニッポンの肖像戦後70年を越えて 日本人は何ができるのか」は8月15日(土)21時15分~放送。(text:cinemacafe.net)
2015年08月14日○キャッシュの実装が世代ごとに変わるNVIDIAのGPUL1Dキャッシュを持つ初代のFermi GPUでは、グローバルやローカル変数をL1Dキャッシュに割り当てることができ、通常のデータキャッシュとして使用することができた。しかし、ハードウェア的にはSM間のL1Dキャッシュのコヒーレンスをとるハードウェアはなく、グローバルメモリ経由のコヒーレンシの実現はGPUドライバが行っていたと推定される。このため、L1Dキャッシュをうまく使えば性能を改善することができるが、普通のCPUのL1Dキャッシュのように、あまり気にせずに使ってしまうと、グローバルメモリへの書き出しと、他のSMのグローバルメモリの読み込みが頻繁に起こって、逆に性能が低下するということが発生してしまう。第2世代のKepler GPUでは、ハードウェア的にはL1Dキャッシュは存在するのであるが、NVIDIAは、L1Dキャッシュはコンパイラが作り出す一時変数の格納だけに使い、一般のデータの格納はさせないという動作をデフォールトに変更した。性能の観点から、コンパイラは、出来るだけGPRレジスタファイルを使って演算を行っていくコードを作るが、各スレッドが使えるレジスタファイルエントリ数には制限があるので、ソースコードによってはレジスタ数が足りなくなることがある。このような場合は、使用中でありデータを保持する必要はあるが、すぐに使うわけではないという変数を保持しているレジスタエントリをグローバルメモリに書き出してレジスタを空けるSpill処理を行って、空いたレジスタを新たな用途に使う。そして、以前、追い出したデータが必要になると、空きレジスタがあれば、そこに退避したデータ読み込むFill処理を行う。また、空きレジスタが無ければ、どれかのレジスタをSpillして、そこにFillする。一般にSpillされたデータは、それほど遠くない将来にFillされるので、L1DキャッシュをSpillしたデータの格納に使うのは都合が良い。また、SM1のスレッドからSpillされたデータは他のSMで使われることは有り得ない。従って、Spillデータのキャッシュへの書き込みを他のSMのキャッシュに通知する必要はない。従って、コヒーレンシ維持のためのグローバルメモリへの書き込みと他のSMがグローバルメモリを読む必要もない。用途は制限されるがコヒーレンシ維持のためにドライバが介入する必要もなく、性能の見通しも良いので、現実的な解と言える。最近のMaxwell GPUでも、L1Dキャッシュをデフォールトではグローバル変数の格納に使わないという点は変わっていないが、ハードウェア的にはシェアードメモリと一体化して作るのではなく、テクスチャキャッシュと一体化するという実装に変更された。テクスチャキャッシュはグラフィックスでは貼り付ける壁紙のパターンを格納するメモリであるが、従来からリードオンリーのデータを格納するキャッシュとしても利用されてきた。しかし、テクスチャキャッシュと一体化したことが原因なのか、MaxwellではL1Dキャッシュはリードオンリーになり、レジスタのSpill/FillにはL2キャッシュが使われることになった。図3-20と図3-25を見比べると、シェアードメモリとキャッシュでは、行アドレスの供給方法が大きく異なる。シェアードメモリでは各バンクにアドレスデコーダが必要であるが、キャッシュの場合はバンクごとにタグマッチ回路を設けられないので、32バンク共通の1つのデコーダがあれば良い。このため、シェアードメモリとL1Dキャッシュを一体にするFermiやKeplerでは、回路的にはある程度の無駄が出ていると思われる。これと比べると、テクスチャキャッシュはキャッシュであるので、タグマッチ回路を持っており、これを拡張してL1Dキャッシュにも利用できると思われる。また、バンクごとにデコーダを必要としないので、データメモリ部のビット密度を高めることができると考えられる。
2015年08月14日●ロボットは人間の仕事を本当に奪うのか?産業革命以降、機械の高度化が人間の仕事を奪う、という議論は産業革命以降、長きにわたって世界中で繰り広げられてきた。近年でも、さまざまなICT技術の誕生、発達により、コンピュータが人々から仕事を奪うのではないか、という議論が繰り返されており、2013年に発行されたオックスフォード大学のMichael A. Osborne准教授らによるレポート「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」では、近い将来、702種類の職業がなくなる可能性が示された。そうした技術の進歩を受け、米国では今後10年で現在の仕事の47.1%を機械が代替すると言われるようになっている。こうした観点で見れば、コンピュータをはじめとするデジタル技術の進化は、人間から雇用を奪う悪しきもの、という見方をすることもできる。しかし、その一方で、「デジタル化は新たな雇用を生み出す可能性がある」とする人たちもおり、米シンクタンクのPew Research Centerが1896名を対象に2014年に行った調査(AI, Robotics, and the Future of Jobs)においても、48%の人が「デジタル化が雇用を奪うと思う」と回答する一方、52%の人が「デジタル化は雇用を生み出すと思う」と回答するなど、ネガティブな見方、ポジティブな見方がほぼ半分に分かれている状態となっている。では日本での捉え方は、というと、政府発行の「日本再興戦略」などにおいて積極的なロボットの活用が盛り込まれるなど、雇用喪失に対する危機意識は海外の反響と比べて、それほど高くない。こうした背景に、「日本の特殊な労働事情と将来的には労働力不足に陥るであろうという危惧がある」と指摘するのは、アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクターである石川雅崇氏だ。石川氏は、「前述の論文の見解を単なる仕事に当てはめていく場合、非常に多くの人とロボットの代替が起こる。確かにデジタル化の進展により人は単純労働から解放され、その領域は広がっていくこととなるが、現実にロボット化を進める場合、ROI(投資対効果)を考える必要があり、必然的にそれに見合った仕事、つまり低賃金労働ではなく、その上の中間層が担っている労働を代替する比率が高まっていく。しかし、日本の場合、分業化が海外ほど進んでいるわけではなく、1人でハイバリューな仕事をこなしたり、労働集約的にマルチに仕事をこなすといったことが日常的に行われているため、それを置き換えるのは至難と日本政府は見ている」と、そう簡単にロボットが人から仕事を奪えない理由を語る。また労働人口の減少問題も切実だ。内閣府の資料を元に、アクセンチュアが試算した日本の労働力は、2030年時点で、GDP予測に対して約1100万人分ほど不足するという計算結果を出している。こうした値を踏まえれば、必然的に政府としても女性活用やロボット活用を打ち出さざるを得ない状況に陥っているとする。事実、「日本再興戦略」の2014年版では、ロボット国内生産市場開拓として、2020年の市場規模を製造分野で現状の6000億円から1兆2000億円へ、サービスなどの非製造分野で600億円から1兆2000億円へとそれぞれ拡大することを掲げており、日常の中でのロボットの活用を1つの柱としている。「大きい市場としてはやはり製造業などの生産ラインでの活用だが、介護や医療での活用をはじめ、あらゆる生活シーン、これまでロボットがとらえられてこなかった分野に対しても、ロボットを活用することで、新たな価値を生み出していこう、というのが政府の目指しているところ」と石川氏は分析しており、「賛否の議論はあるものの、世界的に見てもポジティブな捉え方をする企業や調査機関が多い。欧州でも2020年までにテクノロジーの進化により、380万の新たな職種が生み出され、そうして生み出された仕事は、テクノロジーの進化によってなくなる仕事の2.6倍におよぶという報告もされている」と、新たな仕事が生まれることによって、企業で働く人に求められる能力が変化していくことにも言及する。「人とロボットがともに仕事をする職場ということになれば、人も働き方そのものを変えていく必要がある。ロボットが行うことで、より生産性は高くなることは確実で、そうなれば、人が担うべきところは、より高度なものとなる。企業はそうした時代の到来に向け、対応する準備を進めていく必要がある」(同)。●本当にロボットと人間が一緒に仕事をする日は来るのか?では、具体的に日本の企業がそうした来るべき将来に対し、どう備えれば良いのか。対応の方針として例えばIoTという成長が期待される市場を例にとって見た場合、単にモノを作って売る、といった従来型のビジネスモデルから、そのモノが生み出す"何か"をどのように活用するのか、といったサービスまで含めた機能的価値を提供することが求められるようになる。そうしたサービスを実現するためには、「これまでの機械技術(ハードウェア)中心の考えから、ソフトウェア中心の考えにシフトしていくことが必要」と述べるのは、石川氏と同じアクセンチュアの戦略コンサルティング本部でシニア・マネジャーを務める関口朋宏氏だ。「ソフトウェアエンジニアリングで世界を席巻しているGoogleやAmazon、Apple、Facebookの4社の時価総額は合計約150兆円。片や日本の製造業の時価総額上位4社の合計が約46兆円。連結社員の数は約19万人対約89万人と、1人あたりの成長に対する期待値は大きな隔たりがある」(同)。もちろん、製造業は労働集約的な部分があり、そうした面だけでは測り切れない部分があるが、「すでにはGoogleが自動車の世界に参入したり、ソフトバンクが電力事業に参入するなど、既存の市場に異業種からまったく異なる価値を持って参入していく企業が次々と出てきており、そうした企業が市場の競争の在り方を根底から変化させ、将来的に覇権を奪う可能性が出てきた」という流れが世界的に起こっており、海外の大手製造業なども、リーン・スタートアップを活用するなど、ソフトウェア開発の概念を取り入れ、スピーディな意志決定を図ろうとしているのも事実だ。関口氏は「日本もグローバルで戦っていくためには、こうした流れに乗るための備えをしていく必要がある」とも語っており、そうした方策として、「内製と外製の在り方の見直し」と、「顧客に寄り添うための意志決定の前線化と高速化」を挙げる。従来、日本は新卒を正規雇用し、その人材を長い間かけて育成していく、という流れが基本路線としてあった。もちろん、学生側も昨今の情勢を理解し、就業能力をなるべく早い段階から入手しよう、という動きも出てきており、入社時点でまったくの未経験、ということをなくそう、という動きもなくはない。しかし、それでもやはり人材の育成には相応の時間がかかり、スピード感が求められる市場では、競争に追いつけないことも出てくる。そのため、内部でなんでも用意するのではなく、外部からも柔軟に、そうした能力や知識、アイディアを手に入れる方法を考える必要がでてくる。もはや人材を獲得するという行為は、"採用"から"調達"へとパラダイムシフトが起こりつつあるといえる。調達という観点から考えると、クラウドソーシングの活用も1つの選択肢となる。クラウドソーシングは、ICT技術の発展により、市場の成長が見込まれる分野としても期待されるが、近年は、これまでの単なる労働力確保という意味合いのみならず、企業としての差別化要因としての活用や、専門家集団が集うコミュニティそのものとのコミュニケーションによる理解促進といった活用も世界的には進められるようになってきたという。しかし、関口氏は、「日本企業がこうしたものに踏み込めているかというと、だいぶ取り組み数は増えてはきたものの、まだ踏み込みの度合いは浅い。アイデアソンやハッカソンなども開催されているが、その多くが日本の中という閉じられた世界での開催であり、今後の成長を考えるのであれば、グローバルの中でアイデアや能力の収集を行っていくことが求められるはずだ」とする。一方で、企業の変化に併せて、従業員に求められる能力も必然的に変化していくこととなる。例えばハードウェアとソフトウェアが密接に絡む必要があるIoT市場は、GoogleやAmazonといったソフト側、日本の製造業のようなハード側双方から、成長市場と期待され、参入が相次いでいる。こうした分野は、ハードウェアとソフトウェアの融合が必須であり、これまでも組み込み分野のエンジニアには求められる能力ではあったが、ソフトウェアのエンジニアがハードウェアのことを、ハードウェアのエンジニアがソフトウェアのことを、互いにある程度、理解する必要が出てくる。もちろん、軸足はソフトウェア、ハードウェアのいずれかではあり、不得意な方は、別の得意な人や企業と組んで進めていくといったところが現実的な対応となるだろうが、より良い製品・サービスを実現していくためには、それこそかつての日本の半導体メーカーや電機メーカーのようなIDM(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型デバイスメーカー)的なすり合わせを双方が行っていく必要があり、やはりある程度、相手側の技術を理解する知識が必要となるため、単にどちらかのエキスパートであれば通用する、ということはなくなってくることとなる。相手が人ではなく、ロボット技術(人工知能)の場合も今後は増えてくる可能性もある。すでにソースコードを自動生成してくれるIDE(統合開発環境)や、最適な配線を自動で実行してくれるツールなどは存在しており、半導体ベンダなどもハードのことがよく分からないソフトエンジニアでもある程度のパフォーマンスを出せるハード設計ツールといったものも提供を開始している。この流れの先には、ソフトウェア/ハードウェアの垣根を越え、そうした機械と人間がコラボレーションする機会も増えてくる世界が見えてくる。そのような時代にあって、継続的に成長を続けていくためには、企業は組織の在り方そのものをどう変化させていくのか、そして人は、新たな能力や技術をいかに身に着けていくのかを、顧客の価値をどのようにしたら向上できるのか、といった観点から考えていく必要がある。デジタル化の発展により消えゆく仕事もある一方で、人と機械が協力することで、これまで以上の大きな、そして新しい価値を生み出すことが可能となる時代が、目前に迫っている。
2015年08月13日結婚しても、出産前は自由に働けたし、キャリアアップしたいと思っていた。出産後、まさかここまで家族の理解を得るのが難しいとは想像すらしていなかった。こんな状況なら、いっそのこと仕事を辞めたほうがいいのかも……。初めて出産して社会復帰するとき、自分はもちろん、家族も含めた周囲の人たちも、子育てと仕事の両立でどのようなことが起こるのか想像ができていません。そして、復帰してみると実にさまざまなことが起きます。「どうしてそこまでして働くのか」「生活に困っているわけじゃないのだから、子どもが小さいうちは働かなくてもいいのでは? 」なんてことを家族から言われることも。反対されながら働くのは、かなりのエネルギーを使います。そんな中、「そこまでしなくてもいいか」とあっさり辞めてしまう人もいます。今回は、ママが働く上で必要不可欠な「家族からの理解」を中心に、リアルケースを交えながらさまざまな家族のあり方をご紹介します。家族の形は多種多様で、何が正しいという解は難しいところもありますが、1つの考え方としてお役立てください。○ママの声を聴いてみて感じたこと今回、さまざまなママたちにヒアリングした結果、数多くの涙ぐましい努力を重ねてある程度の時間をかけた結果、理想に近い形を手に入れていることを感じました。一気にすべてを解決することは難しく、自分がどう働きたいのかの意志を持ち、少しずつ何らかのすり合わせをしています。子育てをしながら仕事をする場合、それまで無尽蔵のように見えた自分の時間が大幅に減ります。家事・育児の負担が一気に増えるためです。そのなかで出産前とほぼ同じの成果を出そうすると、主に以下の2つを考えることになります。1.仕事や家事を効率化して時間を捻出する2.人の手を借りて自分が使える時間を増やす今回は「家族からの理解」がテーマなので、2に絞って解説していきます。2の場合、住んでいるエリアや家族の状況により変わりますが、手を借りるとしたら以下の選択肢が想定されます。A.夫B.父母・義父母C.その他親戚D.知人(ママ友など)E.アウトソーシング(ファミリーサポートやベビーシッターなど)多くの場合は夫のみ、あるいは父母・義父母の手を借りるというケースで、親戚などを一切頼れない場合はアウトソーシングという選択をしています。夫や父母、義父母を頼る場合、当然肉体的にも時間的にも相手に負荷がかかるため、ここで「理解を得る」必要に迫られるわけです。なお、筆者の場合も、A、B、Eをフル活用して3人の子育てと、出張の多い仕事をなんとか両立させています。本当に「なんとか」です。続く後編では、どのような問題が起きやすく、どのようなことを周囲から言われるか、いくつかのケースを解説していきます。※画像は本文と関係ありません。○著者プロフィール株式会社グローバルステージ代表取締役 大洲早生李慶應義塾大学商学部商学科卒業後、株式会社日立製作所に入社。2003年より宣伝部愛知万博プロジェクトにて日立パビリオンの総合プロデュースおよび広報を手掛ける。4年半の単身赴任生活を送った後、2008年に双子を妊娠。両立不可能となり退職。その体験から働くママ支援プロジェクト「キラきゃりママ」を立ち上げる。直後に第三子を出産。「母と子のリアルを、みんなで支える」をビジョンに、働くママの支援活動を開始する。2011年4月に法人化、株式会社グローバルステージ代表取締役に就任し、ママと子どもを基軸としたマーケティング / PRコンサルティングを国内外で展開。2013年9月に一般社団法人日本ワーキングママ協会を立ち上げ、母たちが戦略的にキャリアを築き、能力を発揮できる社会の実現を目指す。6歳の男女双子、4歳男児の母。株式会社グローバルステージ東京ワーキングママ大学
2015年08月13日bitFlyerは12日、総額約5億1,000万円の第三者割当増資による資金調達を、三菱UFJキャピタル、電通デジタル・ホールディングス、QUICK、三井住友海上キャピタル、ベンチャーラボインベストメント等のファンド等を引き受け先として実施したと発表した。○セキュリティ環境の構築、経営基盤の確立など図るbitFlyerは、2015年1月に実施した資金調達以降、プロ向けビットコイン取引所「bitFlyer Lightning」、ブロックチェーン視覚化ツール「chainFlyer」、セキュリティを追求した最新のビットコインテクノロジーであるマルチ・シグネチャの導入、Android端末向けアプリ「bitFlyer for Android」、ビットコインによる広告サービス「adFlyer」などのサービス展開を進めてきた。今回の資金調達は、堅牢なセキュリティ環境の構築、自己資本増強による磐石な経営基盤の確立、健全な経営体制を堅持していくことを目的として実施するもの。併せて、各引受先とのシナジーを生かし、顧客基盤拡大を目的としたプロモーション、収益基盤強化、グローバルビジネス展開を進めていくという。今後は、引き続き強固なセキュリティの確保と利用者の利便性向上を追及し、サービス向上を図るとしている。
2015年08月12日○信号を伝送するために必要なエネルギーが問題図4.16は、計算処理のための回路の消費エネルギーとブロック間を接続するグローバルな配線を駆動するための消費エネルギーが、微細化でどのように変化したかを示すものである。回路の消費エネルギーは45nmプロセスから7nmまでに1/6に減少しているが、配線の駆動エネルギーは、60%にしか減少しない。結果として、微細化に伴ってグローバル配線を駆動するエネルギーの比率が大きくなる。このため、グローバル配線のエネルギーを減らすことが重要となる。図4.17は計算処理を行うループを大まかに描いたものである。右側の演算部分では、演算の実行のためにレジスタから8バイトのオペランドを2個読み出し、8バイトの結果を1個書き戻す。この図ではDRAMからチップ上の2次(あるいは3次)キャッシュに読み込まれるのは1ビットとなっているが、これは1回に64バイトをDRAMから読み込むとしても、キャッシュミスによるメモリの読み込みは平均的には512演算に1回程度と見ているからである。この図は2012年頃の22nmプロセスを想定しているが、右の演算部にデータを用意し、演算結果を格納するというデータの移動に掛かるエネルギーが82pJで、右側の実際に演算命令を実行する部分は14pJしかエネルギーを使っていない。この演算に必要なエネルギーが微細化によってどのように変化するかを示したのが、次の図4.18である。7nmまで微細化すると演算エネルギーは1/3程度になるが、トータルのエネルギーは38pJとなり約0.4倍にしか減っていない。DRAMアクセスのエネルギーを見てみると、読み出すアドレスを作り出して供給し、読み出したデータを受け取るというCPU側の作業に必要なエネルギーは0.8pJであるが、CPUへのデータ転送とDRAM内部で合計4pJを消費している。そして4pJの大部分はDRAM内部のデータを選択して送り出す部分で消費している。これに対して、DRAMのメモリ部分の消費電力は比較的小さくなっている。図4.20はDRAMのアクセス時間の内訳を示すものである。CPU内部では18ns、CPUとDRAM間に転送には6nsであり、別チップのDRAM内部では約40ns掛かっている。しかし、eDRAMの場合は、この時間は20ns程度となる。この差の20nsは同一チップ上のeDRAMのアクセスとDIMMアクセスの差であるので、信号を伝送するインタコネクトの差であるとすれば、まあ、アクセスタイムの大部分はインタコネクトという図4.20のコメントは正しい。一方、eDRAMの場合はインタコネクトが大部分というのは多少無理があると思われる。○メモリテクノロジの選択SRAM、DRAM、Flash、PCM、STT、FeRAM、MRAM、RRAMと言った各種のメモリテクノロジを比較したのが、次の図4.21である。図4.21の6つのグラフは、上段左からハーフピッチ(nm)、メモリセルサイズ(F2)、密度(Mb/mm2)。下段左からRd/Wrサイクルタイム (ns)、Rd/Wrエネルギー(pJ/bit)、書き変え可能回数となっている。現状では、密度が比較的高く、アクセス速度もかなり速いという特性を持つDRAMが第1レベルの大容量メモリ、速度や書き換え可能回数などに難点はあるが、高密度といいう点で大きなメリットがあるNAND FlashやPCM(Phase Change Memory)が第2レベルとして使われる。ここで興味深いのは、DRAMとNAND Flashはすでに実用化されているが、Borkar氏がNANDと並んでPCMを挙げている点である。ISC 2015の終了後の7月28日にIntelとMicronは連名で3D Xpointと呼ぶ新型の高密度NVRAMを発表している。筆者は、これはPCMではないかと考えており、Borkar氏の発表はこれを匂わせた記述になっていたのではないかと思っている。
2015年08月10日LGエレクトロニクス・ジャパンは8月6日、コードレス式のスティック型掃除機「VS84シリーズ」を発表した。発売は8月下旬。価格はオープンで、推定市場価格は税込54,800円前後だ。VS84シリーズはスティック型としてもハンディ型としても使用できる2in1のコードレスサイクロン式掃除機。LGエレクトロニクス・ジャパンはこれまで、ロボット掃除機と布団クリーナーを日本で発売。今回のVS84シリーズでスティック型掃除機の市場へ参入することになる。VS84シリーズには、着脱可能なリチウムイオンバッテリーが2つ付属。掃除中にバッテリーが切れた場合、もう一方のバッテリーに交換することで最大約60分(約30分×2)の連続運転を実現した。髪の毛やペットの毛が絡みにくい「お手入れかんたんブラシ」を採用。特殊な構造によって、毛をブラシの中央に集めて吸引するだけでなく、ブラシに絡みついた毛を引き離すためのヘア除去フックという機構も備えている。サイズはW270×D190×H1,105mm、重量は2.8kg。ダストカップ容量は0.35L。バッテリー1つにつき、4.5時間でフル充電される仕様だ。充電台ではバッテリー2つを同時に充電できる。運転時間は通常モードで約60分(約30分×2)、強モードで約40分(約20分×2)。カラーはメタリックシルバー、シルバー、ブルー。○「面倒くさくないお掃除」がコンセプトLGエレクトロニクス・ジャパンは8月6日、製品発表会を開催した。発表会には、LGエレクトロニクス・ジャパン 代表取締役社長 慶甲秀(キョン ガプス)氏が登壇し、「LGといえば、日本では液晶テレビやスマートフォンといったイメージがあるが、白物家電も手がけている総合家電メーカー。今回の新製品はグローバルで得たノウハウを活かして、日本に最適化されている」と説明した。LGエレクトロニクス・ジャパン マーケティング部長 首藤晃氏によれば、VS84シリーズはLGエレクトロニクスがグローバル展開している「CordZero」シリーズの一つ。『面倒くさくないお掃除』というコンセプトのもとで開発された。
2015年08月06日IIJグローバルソリューションズは8月5日、法人ユーザーが簡単に無線LAN環境を導入できるという、クラウドを利用したマネージド無線LANサービス「@WiFi(アットワイファイ)」を発表した。提供開始は9月1日、月額利用料金は2,500円程度(税別)から。新サービスは、無線LAN環境に必要な機器の調達から構築、導入後の運用管理までをワンストップで安価に提供するというもの。同社がユーザー企業に代わって無線LANアクセス・ポイントの認証や設定などをクラウド上で集中管理することにより、ユーザー企業は機器をLANに接続するだけで高速の無線LAN環境が利用開始でき、初期コストや運用保守の負担を軽減できる。無線LANアクセス・ポイントをインターネット接続したLANケーブルに繋ぐと、クラウド側から設定情報を自動的にダウンロードする。設定情報はクラウド上で管理するため、利用開始後のソフトウェアの更新や設定情報の更新はオンサイトで作業する必要が無く、運用管理の工数を軽減できるという。機器やソフトウェア、運用保守を含めた月額利用のサービスとして提供するため、ユーザー企業は資産管理が不要であり、低コストでスモール・スタートし、規模に応じて無線LAN環境を拡張できるとしている。またサポート・センターでは、ヘルプデスクによる24時間365日の障害対応をするとのことだ。同サービスは利用用途や設置場所の条件などに合わせ、2種類のサービス・タイプから選択できる。「Type-M」は「Cisco Meraki」製品群を採用、ユーザー企業はFacebookを利用する顧客獲得ツール機能(Facebook Wi-Fi)などを利用できるという。Facebook Wi-Fiは、来客ユーザーが店舗のFacebookチェックインを使用しWi-Fiネットワークに接続するもので、Wi-Fiサービスをマーケティング・ツールとして利用できるとのこと。また、専用の給電スイッチの併用により、電源工事が難しい設置環境でも導入可能としている。月額利用料金は3,860円(同)から。「Type-S」は、IIJが独自開発したというクラウド・ベースのサービス・アダブタである「SA-W1(エスエーダブルワン)」を採用。月額料金を抑えながら、セキュアな高速無線LAN環境を利用したい場合に適するという。提供開始は10月下旬、月額利用料金は2,500円程度(同)からとなる予定。なお、同社が提供するクラウド・コントローラ型のマネージドWANサービス「SmartWAN(スマートワン)」との併用により、複数の拠点における無線LAN環境を一元的に運用管理可能になるとのことだ。
2015年08月05日SAPジャパンは8月4日、代表取締役社長の福田譲氏が就任から1年経過したとして、 1年の総括と今後のビジネス戦略を説明する会見を開催した。初めに福田氏は、クラウドおよびソフトウェアの2015年上半期の売上が前年同期に比べて好調であることを明らかにした。特に、2015年第2四半期はクラウドビジネスが劇的に伸び、グローバルで前年同期比92%増の5億5500万ユーロを達成したという。こうした状況について、同社では「同社のビジネスがオンプレミスからクラウドへの移行期に入っている」と説明した。福田氏は続けて、就任会見時に今後フォーカスしていくとして挙げたエリア「SAPジャパンの人材のグローバル化」「Globalインダストリービジネスユニット」「ERPへの再フォーカス」「クラウド」「SAP HANA Platform」に対する取り組み状況について語った。「SAPジャパンの人材のグローバル化」だ。具体的には、グローバルな人材に育てるべく、新卒営業社員全員が各国の新卒社員と共に学ぶ研修を米国で半年受けてきた。「研修の前半を終えた時、担当者から日本人社員は研修に貢献していないので、もう帰国させてよいと言われた。そこで、日本の新入社員たちと話をし、後半は積極的に取り組めるようになった。研修前と後では、顔つきも変わった」と福田氏。加えて、ドイツ本社に加え、SAP HANAの開発拠点もある米国シリコンバレーに駐在オフィスを設置したという。グローバルの知見を最大限に生かす組織「Globalインダストリービジネスユニット」としては、東京電力を顧客とした「公益事業統括本部」と「自動車産業統括本部」が立ち上がっている。日本におけるIoTの活用およびインダストリー4.0の実現を支援する研究開発センターとして、「SAP Industry 4.0 Co-Innovation Center powered by COIL (Co-Innovation Lab) Tokyo」も開設された。同社の主要製品の1つである「SAP HANA Platform」は、第1段階では分析のプラットフォームとして展開されていたが、現在は、次のステップとして、「トランザクションのためのプラットフォーム」「イノベーションのためのプラットフォーム」として進化を遂げているという。福田氏は、「これまでのOLTPはデータの処理はできるが、そこから予測はできなかった。HANAの最新版『SAP HANA SPS10』では、企業システムとIoTを接続する機能を追加した」と語った。SAP S/4HANAは、国内では20社で導入が進んでいるという。福田氏は導入実績が20社というのが多いか少ないかは別にして、同社がHANAによってできるようになったことをうまく伝えられていないことを課題と感じていると話した。同社はSAP S/4HANAを導入したことで、決算の締めから発表日まで1週間以上短縮することが可能になったそうだが、それを顧客企業に説明することで、HANAのパワーを理解してもらえたそうだ。既存ユーザーの移行については、「大規模ユーザーがSAP Business Suiteからの移行作業を進めているため、これが完了すれば、技術的課題がクリアできると考えている」と、福田氏は語った。ちなみに、「HANAのプロジェクトはまだ2合目だが、すでに道は見えてきた」という。そして、同氏は、今年を含めた今後5年間でHANAが大きく普及するのではないかという見解を示した。今後、注力していくビジネスのポイントとしては、「IT主導のイノベーション」「ビジネス・バリューへのフォーカス」「投資拡大と人材育成」が挙げられた。福田氏は、日本企業は事業規模の割にIT投資が小さいのは、何らかの課題があると見て、ITによってどんな経営課題を解決できるのかなどを企業に説明していきたいと述べた。
2015年08月05日NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は8月3日、グローバルに展開するネットワーク・クラウド・データセンターなどを活用したセキュアなIoTソリューションを提供し、効果的なIoT活用を通して生産性向上や新たなビジネス展開に貢献するため、8月1日付けで「IoT推進室」を新設したと発表した。IoT推進室では、IoTソリューションに向けたサービスの開発と共に、アプリケーションプラットフォーム事業者やデバイス事業者などのパートナー企業との連携も進めていく。同社は、IoTソリューションに向けたサービスとして、グローバルに展開するネットワーク・クラウド・データセンターに加え、IoTデバイスから収集したデータの蓄積・可視化・分析を行うアプリケーションプラットフォームなどを複数のパートナーとの連携により、ワンストップで提供する。また、IoTソリューションを安全に利用するためのクラウドやデータセンターに直結したセキュアなネットワークを求めやすい価格でグローバルに提供する。そのほか、同社のIoTソリューションは世界130拠点以上に展開するデータセンター(クラウド拠点含む)から、データ格納場所を選択可能なほか、EUデータ保護指令などの各国規制に対応できる。遠隔データセンター間での大容量通信サービスも提供予定。
2015年08月04日前回に引き続き、ケニア取材のお話です。○成人の5.6%がHIVウイルスに感染しているケニアの現状「彼女はHIVポジティブです」病院を案内してくれたスタッフの言葉に少し驚いて示された方を見ると、若い女性の姿がありました。待合室の椅子に座っている女性は、いわゆるエイズ患者です。「この病院に通うようになり、診察を受け、薬をもらってラクになりましたが、それまでは頭痛がありました」同じ病院の産婦人科病棟では、赤ちゃんを抱いた若いお母さんに出会いました。彼女もまた、HIVポジティブ。妊娠中から医師の診察を受け、的確な対応をしたので赤ちゃんは感染を免れたと言います。こういう光景は、ケニアでは珍しくありません。なぜなら、死因の第1位がエイズであり、成人の5.6%がHIVウイルスに感染しているからです。○三大感染症をに対処するための投資「グローバルファンド」エイズはかつて、「かかったら死んでしまう」と恐れられていましたが、1990年代の後半に開発された「抗レトロウイルス薬」のおかげで、感染しても発症を防げるようになりました。ただし、HIVを体内から取り除く薬は現時点ではないため、薬を飲み続ける必要があります。病院などの医療インフラが整っておらず、薬を買う経済力を持たない人が多い途上国では、治療できずに亡くなる人がたくさんいます。そうした中、2000年には国連安全保障理事会でエイズ問題が取り上げられました。あまりに死者が多いので、国家存亡の危機と認識されたのです。同じ年に開かれた九州・沖縄サミットで、日本が提唱したことにより、2002年に感染症対策を支援するための「グローバルファンド」と呼ばれる基金が作られました。この基金は途上国の医療問題、特にエイズ、マラリア、結核の三大感染症に対処します。特徴は「ファンド」という名の通り、投資の発想で運営されていること。企業など民間部門と協力し、保健医療に携わる人材育成をしたり、医療NGOを支援し、若者向けにエイズ教育を行ったりします。病院のマネジメントシステムや医薬品の供給改善にも関わっています。これまで、「グローバルファンド」が支援した金額は合計で295億2473万米ドルにのぼり、そのうち、6割がサハラ以南のアフリカ向け。ケニアには7億2570万ドルが「投資」されています。リターンは明確で、グローバルファンドの國井修戦略投資効果局長は「人々の健康」と言います。國井さんは国際協力の経験が豊富な医師です。私が見学した病院で治療を受けていたエイズ患者の人々にも、投資の影響が及んでいるのでしょう。たまたま出会った患者が若い女性だったので、健康に暮らせれば、私たちと同じように、子育てや仕事をしながら普通に生きていけるんだろう、と思いました。○税金の使い方で守れる命がある日本政府は、この「グローバルファンド」に毎年100~300億円を出してきました。三大感染症で亡くなる人は年間300万人。これまで810万人のHIV感染者に抗レトロウイルス治療を提供し、結核やマラリアの予防や治療にも大きな成果を上げてきました。100億とか300億と聞いても、ピンとこないかもしれません。例えば、世論の反発を招いた新国立競技場と比較してみると分かりやすいと思います。当初1300億円で作る予定が、その後2520億円に跳ね上がりました。その差は1200億円。世論の反対が大きく白紙に戻ったものの、こういう金額を税金で払うことを認めようという議論さえあったことを思えば、数百万人の命がかかったプロジェクトにしては、100億円とか300億円というのは小さな金額ではないか、と私は思いました。自分のお金のことは、誰もが気になります。年金はいくらもらえるのか。貯金はいくらあればいいのか。どこに投資すればいいのか。自分と直接つながっている小さな金額だけでなく、自分の手を離れたように思える大きなお金の行く末も、注意深く見守ることが、将来のためには大事です。政府の投資は長期的には20代のみなさんの中高年から老年期に、国際社会での生きやすさという利子がついて、返ってくるからです。○著者プロフィール●治部れんげ豊島逸夫事務所副代表。1974年生まれ。1997年、一橋大学法学部卒業。同年日経BP社入社。記者として、「日経ビジネス」「日経マネー」などの経済誌の企画、取材、執筆、編集に携わる。2006年~2007年、フルブライト・ジャーナリスト・プログラムでアメリカ留学。ミシガン大学Center for the Education of Woman客員研究員として、アメリカ男性の家事育児分担と、それが妻のキャリアに与える影響について研究を行う。またツイッターでも情報発信している。○【連載】25歳のあなたへ。これからの貯”金”講座25歳。仕事や私生活それぞれに悩み不安を抱える年齢ではないだろうか。そんな25歳のあなたへ、日本を代表するアナリスト・豊島逸夫とウーマノミクスの旗手・治部れんげがタッグを組んだ。経済と金融の最新動向をはじめ、キャリア・育児といった幅広い情報をお届けする特別連載。こちらから。
2015年07月31日ソフトバンクは7月28日、IoT/M2Mソリューションの活用やビジネスでの展開を考える企業向けに、「IoT/M2Mマネジメントサービス」を発表した。2015年秋から提供開始の予定。IoT/M2Mソリューションでは、多くの管理対象物がネットワークに繋がることによる運用管理負荷の増大・コストの増加・グローバル展開する際の管理の煩雑さが、多くの企業の課題になっているという。新サービスはこのような課題に対し、対象物に繋がるモバイル回線の管理機能に加えて機器などの障害の簡易診断機能を備えることで企業のサービス品質の向上を図ると共に、管理業務の自動化によりネットワーク・コストおよび運用管理コストを削減するとしている。さらに、グローバル展開する場合も米Jasper Technologiesの単一プラットフォームによる管理が可能なため、ユーザー企業の運用・管理の煩雑さを解消し、グローバルでのIoTビジネスの展開・拡張を支援するという。サービスの提供にあたっては、同プラットフォームを利用する世界中の通信事業者と連携し、広範囲でのIoT/M2Mサービス展開とコスト最適化を実現すると共に、インターネット接続により複数の国や地域からでも統一したWebベースでの管理が可能な機能を提供するとのこと。同サービスの主な機能としては、「リアルタイム回線状況管理」「接続ライフサイクルマネジメント」「リアルタイム障害診断」「料金プラン・通信量管理」の4点がある。リアルタイム回線状況管理機能では、国内外の回線利用状況確認が可能であり、回線とIoT機器を紐づけた管理も可能。接続ライフサイクルマネジメント機能には、機器に対する回線開通停止/IoTサービス開始時の回線開通作業/在庫保管時などの回線停止作業/IoTサービスを再開する時の開通作業を含む。リアルタイム障害診断機能には、サーバへのデータ未到達時の簡易障害切り分けや、SIMを搭載した機器の圏外・圏内確認を含む。料金プラン・通信量管理機能では、回線ごとの利用金額や利用データ量の閲覧が可能。同社は同サービスの利用例として、テレマティクス、工作機械のリモート・モニタリング、盗難防止ソリューションの3種類を想定している。テレマティクスでは、データ通信機能を搭載した車を海外で販売・利用する際、複数キャリアの通信を専用のWeb管理ポータルを通じて一括管理が可能という。また、リアルタイム障害診断機能による障害箇所の特定と切り分けや、API連携により企業の基幹システムと連動した管理が可能とのこと。工作機械のリモート・モニタリングでは、データ通信機能を搭載した工作機械を海外各地に展開する際に、複数キャリアの通信を専用のWeb管理ポータルを通じて一括管理可能している。テレマティクスと同様に、リアルタイム障害診断機能やAPI連携の利用も可能という。さらに、機械のファームウエアのバージョンアップ時など一時的に大容量データ通信する場合はフレキシブルな料金体系で対応し、想定外の大容量データが発生した際の自動通知が可能している。盗難防止ソリューションでは、データ通信の頻度が低い場合はフレキシブルな料金体系で対応するとのこと。また、専用のWebポータルを使った回線とデバイスの一括管理が可能という。
2015年07月29日ソフトバンクは7月28日、グローバルIoT/M2Mマネジメントサービスの提供を今年の秋に開始すると発表した。同サービスでは、対象物につながるモバイル回線の管理機能に加え機器などの障害の簡易診断機能を備えることで企業のサービス品質の向上を図るとともに、管理業務の自動化によりネットワークコストならびに運用管理コストを削減することができる。また、米Jasper Technologiesのプラットフォームを採用しているため、グローバル展開する場合でも単一プラットフォームでの管理が可能だ。主要な機能としては、国内外の回線利用状況を確認できる「リアルタイム回線状況管理」、機器に対する回線開通停止などが可能となる「接続ライフサイクルマネジメント」、サーバーへのデータ未到達時の簡易障害切り分けやSIMを搭載した機器の圏外・圏内確認ができる「リアルタイム障害診断」、回線ごとの利用金額・データ量の確認ができる「料金プラン・通信量管理」などが備わっている。これらの機能により、テレマティクスや工作機械のリモートモニタリング、盗難防止ソリューションなどでの活用が期待できるという。サービスの提供にあたっては、同プラットフォームを利用する世界中の通信事業者と連携し、広範囲でのIoT/M2Mサービス展開とコスト最適化を実現するとともに、インターネット接続により複数の国や地域からでも統一されたウェブベースでの管理ができる機能を提供するとしている。
2015年07月28日●グローバルと日本とで受け止め方が異なるIoTこの数年、「IoT」という言葉がビジネスの分野で使われない日はないが、この正式名称であるInternet of Thingsや日本語訳のモノのインターネットと言われても、いまいちピンと来ない人も多いのではないだろうか。特に日本では、そうした傾向が顕著であると指摘するのは、コンサルティング大手のアクセンチュアだ。同社が実施した世界約1400社(うち日本は50社)のCEOを対象とした「経営者がIoTをどのようにとらえているのか」に関する調査(グローバルCEO調査 2015)でも、グローバルでは約7割の企業が競合がIoTの活用によりビジネスモデルを変化させると思うが、日本企業だけを見ればわずか16%であり、IoTにより競合が市場を一変させる製品やサービスを投入する可能性があると思っているか、という問いに対してもグローバルでは62%の企業がそう思うと答えたのに対し、日本ではやはり16%という結果となった。IoTの仕組みは、簡単に述べれば人が介在しない機器が、自動的にセンサなどから情報を収集し、それを集め、分析・解析し、ビジネスに役立てよう、というものだ。特に産業界でのIoTの活用についてアクセンチュアではIndustrial IoT(IIoT)という言葉を用いている(筆者は、昨年来、産業分野向けIoTを同社と同じようにIIoTと呼び、コンシューマ分野向けをConsumer IoT、CIoTと呼んでいるが、同社ではそうした呼び名はしておらず、IoTの中でも特に重要な分野としてIIoTという名称を用いている、としている)。では、こうした世界と日本の経営者の意識に差異はどこから生まれてくるのか。同社の調査では、IIoTがもたらすであろう期待(効果)が異なる点を指摘している。グローバルで見た場合、約6割の経営者が新たな収益源の創出に貢献すると考えているが、日本の経営者の場合、約6割がオペレーションの効率化や生産性向上のためのツールとしてとらえているというのだ。また、その恩恵を受ける分野として見ているのは、大半の経営者はITや小売りといった業界に限られるとの見方を示しており、次いで多い製造業や金融の4つの業界に集中してしまっており、まんべんなくすべての分野で恩恵を受けるというグローバルの潮流とはかけ離れたものとなっている。もちろん一部の日本の経営者も新たな収益源との期待をしているが、経営者の考え方次第で2極化しているともいえる。●単にものを作って売るビジネスからサービスを提供するビジネスへ近年、価格や製品開発などさまざまな角度の競争激化により、日本の電機メーカー各社がBtoCからBtoBへとビジネスの主戦場を移そうとしている。皆が皆、コンシューマにものを売るBtoCから、企業間取引などを中心としたBtoBへと市場をシフトさせれば、当然、そこにも新たな競争が発生することとなる。IIoTは、そうした産業分野において、ものづくり産業が勝ち残るために必要となるツールであり、同社執行役員 戦略コンサルティング本部 統括本部長である清水新氏は「ものづくりを行ってきた企業が、単にものを売るだけでは、ビジネスの拡大に限界がある。ものを売るのではなく、アイデアを売る方向に進むべきであることを示すのがIIoTだ」と指摘する。例えば、GEは航空機のエンジンの製造をしてきたが、同市場はグローバルで8兆円程度だ。すでにセンサをエンジンにつけることで遠隔監視を行い、状況を逐次把握し、状況に応じた保守を行うというサービスを展開していたが、対象が"航空機のエンジン"である限り、市場規模は変わらない。そこで同社は、そうした遠隔監視による保守で培った技術を航空機のメンテナンスへと分野を拡大、機体全体の監視による予防保全などを提供することで、メンテナンスコストの削減などを提供することに成功した。さらに、コストにシビアなLCCを中心に航空会社としては、機体のメンテナンス不良により飛行できなかった分のロスを減らしたい、飛行した分だけメンテナンスコストを支払いたい、というニーズがあることを受け、運航コストの削減や定時到着率の向上など、顧客の収益の最大化までつなげることに成功したという。「ものづくりは単にものを作って売るというものから、サービスへ。IIoTは成果を売る仕組みを構築できる。世界は成果を売る、という経済に変化してきている。飛行機であれば、飛んだ分だけ、自動車であれば走った分だけ、今までのものづくりのビジネス手法とはまったく異なる」と清水氏は指摘する。これまでのビジネスは、機能や性能、品質を提供し、顧客からのクレームなどの反応を聞いて、そこから求められるものを類推し、次に生かす、といった手法であったものが、IIoTにより、提供する製品にセンサを取り付け、今、現場で何が起こっているのか、顧客のビジネスモデルそのものや、何に困っているのか、といったレベルの話題を知ることができるようになる。こうなると、これまでの職人的な技による技術の洗練や安定した製品供給能力の提供だけではなく、最新技術を組み合わせて顧客に提供する力や、収集したデータを分析し、何が問題なのかといった解析する能力といった、サービスの提供を進化させていく必要がある。「確かに技術は重要と日本の経営者は語るが、では、誰が担当するのか、という話になるとCIO、という返答が返ってくるなど、温度差が見える」と清水氏はCEOの在り方にも言及する。なぜCIOではなくCEOか。端的に言えば、ものを売れば、その場で売り上げがあがるが、サービスを提供する場合、長期的な視点が必要であり、単年度(短期)の売り上げにこだわり続ければ、実現できず、そうした発想とメトリクスの変化をCEOが受け入れる必要性があるためだ。「規模が大きな企業が内部で新しいことをやるのは難しいが、それを実現させるのがCEOの仕事」とCEOの意識変革を促す清水氏はこうも述べている「これまでのエコシステムとはまったく異なる姿が求められる可能性がある。さまざまな分野のエキスパートたちを導き、ビジネスと技術を融合させる人が重要になってくる。さまざまな産業分野に新たなプレーヤーが参入し、新たな価値が生み出されるようになってきた。その結果、今までのビジネスモデルでは戦いにさえならない可能性も出てきた。将来を考えたうえで、今、何が必要であるかを提示する必要がある。幸い、まったく別の業界からの参入者が、いきなり新たなビジネスプラットフォームを構築することはまだできないと思える。業界別に、どの業界の企業が顧客の課題を一番早く解決するかの戦いになっていくだろう」。ものづくり産業の構造を単なるものを作って売る、というものから、新たな価値を生み出して、それを売る、というものへと変えるIIoTの存在感は、日々増してきている。日本のものづくり産業がそうした動きをどのようにとらえ、変化を追及していくのか。新たに生じるであろう競争を勝ち残るための時間はそれほど残されていないものと思われる。
2015年07月27日デルは7月7日、代表取締役社長の郡信一郎氏が退任し、8月1日付で平手智行氏(前ベライゾンジャパン合同会社 執行役員社長)が、新たに代表取締役社長に就任する人事を発表したが、7月24日、同社は新社長就任に関する記者説明会を都内のホテルで開催した。○やリ残したことはない最初に登壇した郡氏は2011年からの約4年間の社長業を振り返り、「2011年の社長就任時には、デルがソリューションを提供できる信頼できるパートナーだということを多くのお客様に知ってもらいたいと述べた。それ以降、総合ITカンパニーを目指し、パソコンのデルからソリューションプロバイダーのデルへ、さらに直販のデルから直間両輪のデルにするべく、組織や社員のマインドを変えてきた。結果、お客様をサポートする領域も広がり、幅広いソリューションを提供できるようになった」「デルはこれまで18億ドルの投資を行い、30以上の企業を買収してきた。そして、これらをいち早く日本の市場に投入すべく、デル・ソフトウェアの設立やSecureWorksの事業を日本で開始した。SecureWorksは直近で200%近い成長を遂げている。これにより、これまで弊社が得意としていたハードウェアに加えて、ソリューションも提供できるようになり、End to Endでセキュリティソリューションを提供できようになった」「直間両輪の面では、パートナーと組みやすくするべく、人員を倍にする強化や自営保守の導入、型番のパートナーとの共通化による簡素化を図ってきた。これにより、これまでデルを競合と考えてきた企業も、協業パートナーとしてとらえてもらえるようになった」と、ソリューションプロバイダーとして順調に成長してきた実績を強調。その上で、「やり残したと感じるものはない」と、満足感を示した。そして、新社長となる平手氏を「グローバルで抱負な経験を持っており、真のソリューションプバイダとしてデルを新たな時代に切り開く上で、最適な人材だ」と紹介。「平手はグローバルの視点で、大きな実績を残しており、行動力、決断力などのリーダーシップを高く評価している。また、われわれがさらに大きなソリューションを提供していく上で必要な、直間(販売)での豊富な経験を持っている」と、新社長に選ばれた理由を説明した。なお、郡氏は8月から米デル 日本アジア太平洋地域担当 副社長 グローバルセールスオペレーションに就き、営業の計画、戦略、リソースの配分など、アジア各国の営業支援を行うという。郡氏は今回の人事について、「私の希望であり、今後は国境を越えた経営の力を蓄えていきたいと思っている。デルには国籍を問わずグローバルで活躍できる風土がある。今回の私の人事が、日本の社員がグローバルで活躍したいと思うきっかけになればうれしいことだ」と述べた○デルはソリューションプロバイダとしていい品揃えになってきた続いて登壇した新社長となる平手氏は、「私は約25年、IBMを中心に製造、流通、金融、通信などIT業界でさまざまな役割を担ってきた。デルは、ソリューションプロバイダとして、いい品揃えになってきた。会長のマイケル・デルはお客様に必要なものを、お客様が必要な形で届けるため、株の非公開化を行うなど、ブレない経営をしている。IBMはプロダクトからソリューションに大きく転換したが、それをIBMで先導した立場、お客様の業務に役立てる視点で、お客様に足りないものをパートナーとともに、ソリューションに仕立て提供していきたい」と抱負を語った。同氏は具体的な戦略については、「デルについてはまだ勉強中で、具体的な戦略はこれからだ」と、今回発表は行わなかったが、「お客様が経営視点で求めるものは、スピード、フレキシビリティ、コストが共通の課題だ。デルが提供できるソリューションはアプリの下のプラットフォームレイヤにあると思うが、以前はアプリケーションレイヤで提供していたものが、最近はその下のインフラで提供されるようになっている。これにより、コスト、スピード、フレキシビリティ、コネクティビティをお客様に提供できる。これがお客様の経営にメリットをもたらす価値だ。インフラは、インテグレートした形で提供していかないと、お客様に価値を見出してもらえない」と、インテグレートされたインフラソリューションを提供することがデルの役割であるという認識を示した。そして、同氏は今回社長を引き受けた理由を、「マイケル・デルの志が、常にお客様、市場のためにというところにある点に魅力を感じた。また、デルが持っているソリューションで、お客様にいい化学反応を起こすことができると思ったからだ」と説明した。郡氏は平手氏対する要望については、「デルが持っているグローバルでの組織の力を使って、日本のお客様にはまだまだやれることがあると思っている。われわれは、お客さまの本業にインパクトを与えるソリューションを提供していかなればならない。それが、現在のデルの目標だ。平手には、変化するお客様のニーズに対応していってほしいと思っている」と述べた。
2015年07月27日世界115カ国に住む約7万人の出品者(パーソナルショッパー)から、世界中のブランド品をお得な価格で購入できるソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(以下、バイマ)」。日本にいながらにして、国内未入荷商品や海外限定商品など、現地に行かなければ手に入りづらいアイテムを気軽に購入できることから人気を集める。今や、会員数は250万人を突破するほどだ(2015年7月6日時点)。運営元のエニグモは、2004年の設立からわずか8年で東証マザーズ上場を果たし、CtoC(個人間売買)型ショッピングサービスとして大きな成功を収めた。最近では、米経済誌「Forbes」のアジア版「Forbes Asia」が毎年選出する「アジアの売上10億ドル以下の優良企業200社リスト(Forbes Asia’s 200 Best Under A Billion)」にも選出され、世界からも熱い視線を集める。しかし、同社はここまで順風満帆に歩んできたわけではない。幾多もの試練を乗り越えてきた強靭な企業である。同社CEOの須田将啓氏は、創立からの11年に「苦難や苦労はたくさんあった」と話す。同氏は大学院を卒業後、博報堂 ストラテジックプランニング局にて5年間、大手自動車メーカーからベンチャー企業まで幅広い領域のクライアントを担当したが、「30歳で起業しよう」と決めていたという。○ヤフオク! の一部分を切り出せばサービスとして通用する――― 起業までにどのような道のりがありましたか?そうですね。2002年のクリスマスに、前職の同僚だった田中禎人(2013年4月、共同CEOを退任)と残業していたところ、田中が「面白いアイデアがあるから聞いてくれ」と話しかけてきたんです。その会話の中で、田中の知人が以前海外で買った靴が、日本ではどうしても手に入らないので、海外在住の友人に購入してもらい、日本へ送ってもらっているという話を聞きました。彼は、現地に知り合いがいるおかげでそういったことができますが、海外に知人のいない人はそれができません。海外でしか手に入らないものを誰でも買えるようにする ―― これがバイマの発想の根幹でした。自分にもアイデアがあったので、田中の意見と合わせてブラッシュアップしていくうちに、市場はあるはずだと自信を持ったことを覚えています。しかし、当時のCtoC市場はヤフオク! の一人勝ち状態だった。よく「CtoCは市場が大きいほど強く、一度市場ができるとそこに皆が集まるから、後発サービスが勝つのは難しいだろう」と言われたほどです。ヤフオク!の半年後に日本に進出したeBayですら、彼らには勝てなかった。売り手は買い手がたくさん集まる "売れる場所" で売りたいですし、買い手は品数が豊富な場所で買いたいと思うのは当たり前ですよね。ただ、自分たちはヤフオク!内で海外から商品を取り寄せているユーザーがいることに気づいていました。その部分だけ抽出して集中すれば、ヤフオク!ほどの規模にはならなくても、ニーズは必ずあるだろうと。○スタート台に立つまでの2年間は困難の連続だった――― 2004年2月に会社を設立されましたが、それまでどんな出来事がありましたか?2003年の年明けから企画書を持っていくつかの会社を回り、出資者や協力者を探したものの、考え方や方向性の違い等で上手くいかなかったです。自分たちが思い通りにやるためには、自分たちで起業するのが一番だという結論に至ってから、仲間を集め始めました。ここまでも紆余曲折ありましたが、サービスサイトの公開時にも大変なことがありましたね。2004年夏にリリースする予定が、システムを発注していた会社に夜逃げされてしまい……2005年2月にようやくリリースできました。構想からサイトオープンまで2年以上ですか。産みの苦しみを味わい続けた時期だったと思います。サイトオープン後も、なかなか売上が伸びない日々が続きました。月間取扱額は50万円ほどで、売上が4万ほどだった時期もあります。ただ、思いがけない転機もありました。オープンから3カ月後くらいに、ジャフコさんをはじめとするVCから1.4億円の調達に成功したんです。当時、まだ目立った売上を出せていない企業が、これほど大きな資金調達に成功するケースは、非常にレアな事例だと思います。あとでジャフコさんに伺ったのですが、「大手企業を退職して起業する人がほとんどいなくて、エニグモが先駆けとなって成功すれば、日本のスタートアップ企業の発展に必ず良い影響があると思った」そうです。確かに自分たちが起業したあと、古巣の博報堂やさまざまな大手企業を辞めて独立・起業する人が出てきています。自分たちの起業という選択が、新しい流れにおける何らかのきっかけを作れたのかな。○エニグモ創業当時から変わらない、情熱と能力を兼ね備えたチーム――― ジャフコ側には、エニグモというチーム自体も魅力的な存在として映っていたのではないでしょうか。どうなのでしょう。最初のチームは、自分と大学時代の友人で今はCOOを務める安藤、元共同CEOの田中、彼と一緒に仕事していた同僚の4人だったんですよ。安藤に声をかけたのは、とにかくハズさない男だなと、行動を共にする中で知っていたから(笑)。もちろん、そういった感覚的なことだけではなく、彼が自分たちのチームに必要なSler(システム開発)の知識やスキルを持っていた点も大きいです。当時から何か起きても何とかしようとする情熱と能力があるチームだと、VCにも感じてもらえていたのかもしれません。――― その後、2008年に単月黒字化を実現しましたね。このときのことは、今でも強く印象に残っていて……すみません、この話をしようとするといつも、うまく喋れなくなってしまって……。それまで赤字の時期が続いていたわけですが、当時の責任者(以下、Aさん)はバイマというサービスが本当に大好きで、チームが結果を出すために朝から晩までとても頑張ってくれた。休日に書店でマネジメントの本を買い込んでいた、といった目撃情報もあるほどでした。社内制度として年に一度取得することができる1週間の長期休暇では、旅行先のハワイにバイマのチラシを持って行って、現地で一生懸命配ってくれていたそうです。それでも赤字が続いていて、Aさん自身も苦しんでいたと思います。自分は会社の代表ですから、何とかしなければと思い、苦渋の決断でしたが責任者を変えました。初めて単月黒字化したのはその月のことです。その後Aさんには、得意とする部署を任せたいと伝えましたが、残ってもらうことはできなかった。エニグモというチームのリーダーとして、社員の適材適所を把握し、現状に素早く対処することがどれだけ大切か、それに気付かされた出来事でした。何においてもそうですが特に、チームで動く際、計画通りにいくことは難しい。たとえ順調に見えてもイレギュラーな問題が発生することもあるでしょう。最近では、そういった課題に直面しても「まぁ大丈夫だろう」と試行錯誤しながら解決策を見つけ出し、結果的に計画通りにかつ楽しみながら進めていける、そんなチームになってきている気がします。創業時の雰囲気とは少しずつ変わってきていますが、さまざまな困難を乗り越えられる情熱と能力は引き継がれているのかなと。○CtoC市場において「スモールBtoC」が活発化していく――― チームの情熱と能力のほか、CtoC市場での勝因は何があったのでしょうか。タイミングも良かったと思います。当時は、カメラ付き携帯電話が普及し始めた頃でした。商品の写真を携帯で撮影・掲載し、注文も携帯で受けられるとなると、いつでもどこでもセンスさえあれば、誰でもバイヤーになれる環境が生まれます。田舎で埋もれているハイセンスな商品も、バイヤーが "発掘" すれば世界デビューできるわけで、これこそが革命的だったと思います。また、バイマは、パーソナルショッパーや購入者、エニグモ……関わるすべての人が互いにWin Winになるほど、売上が上がっていくビジネスモデル。パーソナルショッパーは儲かれば嬉しいし、購入者は安く買えると嬉しい、購入が成立すればエニグモには手数料が入ってくるという仕組みです。叩いて安く仕入れたものを高く売るといったことが発生しにくく、パーソナルショッパー同士の競争もあり、価格が自然と適正になることも勝因の1つだったように思います。今後CtoC市場は、「スモールBtoC」が盛り上がっていくでしょう。完全なCtoCは、トラブルをコントロールできないことが多く、また完全なBtoCは、お金や組織の規模に左右されて今までとあまり変わらない。一方で、スモールBtoCは趣味ではなく、ある程度仕事として取り組むため、サービスレベルも一定に保たれますし、1対1でのやりとりがスムーズにできるのではないかと考えています。なにより、今まで日の目を見なかった個人に焦点があたり、多様性がうまれることは面白いのではないでしょうか。○日本のきめ細かいサービスで、世界に挑戦していく――― テレビCMも放映され、日本での認知度はますます上昇していると思いますが、海外進出についてはどうですか?確かにCMのパワーは大きかったです。梨花さんや清原亜希さん、小嶋陽菜さん、又吉直樹さんを起用したCMをW杯の放送中に流したところ、予想以上の反響でした。海外展開で言うと、2015年内にはバイマのグローバル版をリリースします。これは、弊社にとって大本命ともいえる戦略です。勝負する市場も流通額も、世界からの評価もすべて、これまでとは桁違いのものになる。今なら円安を逆手にとって、有利な立場で世界に出ていけます。また、現在バイマで活躍するパーソナルショッパーの76%が英語でのやりとりができますし、仕入れや検品も丁寧に対応する人ばかり。ちょっとしたほつれを取ったり、手紙を添えたり、限定切手を貼って送ってくれたりと、おもてなしのサービスも細やかで洗練されています。日本人が求めるサービスのクオリティは高いので、自然と鍛えられてきたのだと思います。パーソナルショッパー自身が英語を使えることで、この鍛えられたジャパンクオリティを最初から全面にアピールできる ―― これはグローバルで戦う上で強みになると確信しています。けど、今は純粋に、日本を背負って海外に出ていけることにワクワクしているというのが本音ですね。世界で大きな成功を収め、日本全体を元気にしたいです。
2015年07月25日グッチ(GUCCI)とドーバー ストリート マーケット(Dover Street Market)が初めてのコラボレーションを開始。このパートナーシップの第1弾として、7月25日、ドーバー ストリート マーケットの創設者、川久保玲のホームタウンである東京に立地するドーバー ストリート マーケット ギンザ(Dover Street Market Ginza)に、グッチのショップインショップがオープンする。住所は東京都中央区銀座6-9-5 ギンザコマツ西館 4F。その後、ファッションウィーク開催に合わせて9月10日にニューヨークとロンドン、そして今秋には新しい北京のショップにもオープン予定。東京・ニューヨーク・ロンドン・北京の4都市の全てのドーバー ストリート マーケットで、グッチの新クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレのデビューとなった15‐16AWコレクションまたは16年クルーズコレクションから展開をスタートする。このグローバル コラボレーションについて、グッチの社長兼CEOのマルコ・ビッザーリは「ドーバー ストリート マーケットからのグローバル コラボレーションの提案は、グッチの新しいビジョンを象徴しており、すぐに惹きつけられました。(中略)グッチのお客さまはもちろん、新たな魅力とより高いファッション性をもつブランドへと進化するグッチに注目してくださっている方々にも、きっとご満足いただけると思います」とコメント。ドーバー ストリート マーケットの社長 エイドリアン・ジョフィは、「私たちは常にルールを破り、リスクを負うことに信念をもってきました。グッチのような企業がそれを成し遂げたことに非常に驚いたことに加え、何よりも新しいコレクションに魅せられました。新しさと伝統の素晴らしい調和のなかに信頼すべき本物のコンセプトがあるからです。グッチの変革の一翼を担えることを誇らしく思います」と述べている。このショップインショップにて展開される商品は、15‐16AWのウィメンズとメンズのレディ・トゥ・ウェアとアクセサリー。またスペースは、ミケーレのデビューコレクションのショーからインスピレーションを得、彼自身がデザイン。コンクリートパネル、オールドローズピンクのカーペット、鮮やかなチェリーレッドベルベットのアームチェア、ラフなメタル製のローリングラック、オールドローズピンクのベルベットキルティング スクリーンパーティション、オークル、レッドパープル、グリーンベルベットのトルソーなど、これまでにない素材やディテールが取り入れられている。このショップはクルーズ コレクションの展開が始まるタイミングで、更にデザインを全面的にリニューアル。“生きたスペース”として進化を続けるという。
2015年07月24日野村ホールディングスは22日、ゆうちょ銀行、日本郵便および三井住友信託銀行と、新しい資産運用会社(以下新会社)の共同設立、資産運用商品の開発などに関する業務提携にかかる契約を締結した。○アセット・マネジメント分野のノウハウを新会社に提供野村ホールディングスは、日本を含むアジアをマザーマーケットとし、グローバルに拠点を持つ金融サービス・グループ。アセット・マネジメント・ビジネスに関しては、日本最大という資産運用会社である野村アセットマネジメントを中心に、質の高い運用力で投資信託ビジネスと投資顧問ビジネスをグローバルに展開しているという。ゆうちょ銀行および日本郵便は、グループの総合力を活かした商品・サービスの拡充等により、「トータル生活サポート企業」として発展し続けていくことを目指している。また、ゆうちょ銀行は、郵便局をメインとするきめ細かいネットワークを通じ、1億人規模の顧客の生活・資産形成に貢献するリテールサービスを推進することなどにより、顧客満足度No.1サービスを提供する「最も身近で信頼される銀行」を目指しているとしている。三井住友信託銀行をはじめとする三井住友トラスト・グループは、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行事業、資産運用・管理事業等を融合したビジネスモデルで独自の価値を創出し、国内最大規模という資産運用残高・資産管理残高を誇る金融グループとして、高付加価値サービスを提供しているという。ゆうちょ銀行、日本郵便、三井住友信託銀行および野村ホールディングスは、資産運用の新会社を共同で設立し、野村ホールディングスは、三井住友信託銀行とともにアセット・マネジメント分野のノウハウを新会社に提供するという。新会社は、ゆうちょ銀行や日本郵便が全国で把握した個人の資産運用ニーズに合ったわかりやすい投資信託商品を開発し、ゆうちょ銀行や郵便局の顧客の長期安定的な資産形成を手伝うとともに、貯蓄から投資への資金循環にも貢献していくとしてる。○新会社の概要本店所在地:東京都中央区代表者:未定(代表取締役社長および代表取締役副社長は、ゆうちょ銀行・日本郵便が指名する者を選任する予定。なお、代表者以外の取締役は、三井住友信託銀行および野村ホールディングスそれぞれが指名する者を1名ずつ選任する予定)事業内容:金融商品取引業(投資運用業)資本金:5億円出資比率(営業開始時点):ゆうちょ銀行45%、三井住友信託銀行30%、野村ホールディングス20%、日本郵便5%○今後の予定8月~9月:準備会社設立、金融商品取引業に係る登録申請準備など10月(ゆうちょ銀行および日本郵便による出資は、準備が整い次第実施予定)~2016年1月:新会社による金融商品取引業に係る登録申請、新商品の導入準備など2016年2月:ゆうちょ銀行・日本郵便(郵便局)において、新会社が開発した投資信託商品の販売開始(新会社における営業の開始は、金融商品取引業の登録を受けることが条件)このたびの提携が野村ホールディングスの連結業績に与える影響は現在のところ軽微と考えているというが、業績に与える影響が生じた場合には、すみやかに開示するとしている。
2015年07月23日「624ドル」と「379ドル」、どちらかがPC、そしてもう片方がスマートフォンの平均販売価格である。379ドルから説明すると、これはStatisticaのデスクトップPCの平均販売価格(グローバル)だ。2014年は417ドルだったが、前半が終了した時点で2015年は400ドルを下回ってしまった。624ドルは、スマートフォンといっても、iPhoneの平均販売価格(グローバル)である。7月に入って、各社から4-6月期決算が発表され始めたが、コンシューマー向けPCに関しては厳しい結果が続いている。原因はPC需要の低迷による出荷数の減少だ。Gartnerのレポートによると、第2四半期は前年同期比9.5%減の6840万台。タブレットを含まないIDCのレポートだと、同11.8%減の6610万台である。ちなみに、1-3月期のiPhoneの販売台数は6117万台。Appleが21日に発表する4-6月期決算について、アナリストは5100~5300万台程度のiPhoneの出荷台数を予測している。PC全体の販売台数には届かないものの、624ドルという平均販売価格を考えると驚嘆に値する数字である。もっとも、スマートフォンすべてが高い値札をつけて売れるわけではない。iPhoneが例外なのだ。Android端末の平均販売価格は185ドルである。ハイエンド端末が伸び悩み、PCと同じように低価格競争の泥沼にはまり込んでいる。しばらく前に、スマートフォン・メーカー8社(上場企業のみのためXiaomiやMicromaxは含まれない)の営業損益を推測したCanaccord Genuityのレポートが話題になったが、2015年第1四半期の営業損益において、Appleの営業利益が全体の92%を占めた。もう1つ付け加えると、PCがまったく売れていないわけでもない。不振のPC市場にあって、Macだけは好調な伸びを維持している。Macの平均販売価格は1200ドルを超えるが、IDCの6月期のMacの出荷台数予測は16%増である。○飽和後市場を制するAppleAppleは先週、第6世代のiPod touchを発表したが、気づいたらAppleを除いて今もデジタル音楽プレーヤーを扱っている大手メーカーはソニーぐらいである。デジタル音楽プレーヤーは斜陽市場になり、iPodはAppleのWebサイトのメニューから消えるような存在になったものの、デジタル音楽プレーヤー市場を独占するiPodは決して小さな存在ではない。AppleがiPodを今も提供し続けられるのは、同社がプラットフォームの会社であるからだ。新しいiPod touchがApple Music用の端末やゲーム端末として優れているように、iTunesやApp Storeのエコシステムの上でiPodは生き伸びている。iPhoneユーザーがiPhoneを入り口にMacも使い始めるなど、"ハロー効果"が今日のApple製品の躍進につながっている。しかし、数年前にはMacが高すぎると言われていたし、1~2年前には低価格スマートフォン市場への参入が急務と言われ続けていた。Apple製品同士を使う相乗効果があるとはいっても、そもそもApple製品は安くはないし、Appleは安売りをしない。もっと安い端末でそろえられるプラットフォームだって選択できるのに、Appleは堅調な伸びを実現している。注目すべきなのは、PC市場でも、デジタル音楽プレーヤー市場でも、同社が"飽和後の市場"においてライバルを寄せ付けない存在になっているという点だ。スマートフォン市場でも、そうなる兆候が見え始めている。成長から飽和に向かう過程において、Apple製品は低価格な製品にシェアを奪われるが、より安くを目指す競争の先は質の低下と市場の衰退である。Appleのこだわりはブランド価値、デザイン、体験、そしてユーザー満足度であり、価格で競争する気は毛頭ないようだ。高くて売れない製品だらけになる可能性もあるが、実際には米国など飽和にさしかかろうとしている市場において、Android端末を数台使い続けた後にiPhoneにスイッチして定着するユーザーが増えている。デバイスやサービスを使いこなせるようになったユーザーは、使い続けることを考え始める。最初は疑心を抱いて出費に消極的でも、もっと便利に使うために効果的に投資し始めようとする。そんなユーザーが求める価値の提供が、ユーザーとのしっかりとした関係に結実する。価値を生み出し続けるのは容易に実践できることではないが、ユーザーを導くビジョンが確かなものであれば、市場の成長・成熟・衰退の波に左右されずに長く安定した存在でいられ続ける。今日のAppleの好調ぶりから学べることは多い。
2015年07月21日リコーは、再生複合機のビジネスを今夏から中国で開始すると発表した。同社は、先進国を中心に再生複合機を年間6万台販売しており、今回の中国でのビジネスの開始により、3年後には中国での販売台数1万台を加えて、グローバルで8万台を目指す。中国でのビジネスの開始に当たっては、複合機メーカーとして初めて(リコー発表)、使用済み複合機の中国への輸入と再生製造の認可を国家品質監督検査検疫総局から取得。再生処理を行う中国の工場(福州)に使用済み複合機を集め、7月から製造を開始。8月からリコーチャイナ(上海)を通じて販売する予定。工場に集める使用済み複合機は、静岡県御殿場市に新たに開所する「リコー環境事業開発センター」をはじめ、世界各国から回収するという。リコーでは今後、他の新興国への拡大も視野に入れていくという。
2015年07月17日○日本"向け"だけでなく、日本"発"のサービス展開も視野にTwitter Japanは7月14日、都内で記者向けのラウンドテーブルを開催し、日本でエンジニア部門を新設すると発表した。同社が米国以外でエンジニア部門を設置することは初めてで、具体的な採用人数は非公開。特に上限を決めておらず、「良いエンジニアがいれば積極的に採用していきたい」のだという。○日本でエンジニア部門を新設する理由は?日本は米国に次いで世界で2番目にTwitterのユーザー数が多い。また、「電車の遅延情報をツイートで得る」「テレビを観ながらのツイート」「地震や台風など、災害情報の情報収集」といった、他国では少ない、見慣れない先進的な使い方をしているため、「Twitter社にとって日本は特別な国であるという認識を持っている」と、Twitter Japanで執行役員 事業成長戦略本部長を務める牧野 友衛氏は語る。Twitterは2011年に世界で2番目の現地法人オフィスを日本に設けており、ツイートのリアルタイム検索(ヤフー、NTTドコモ)、ツイートデータの再販(エヌ・ティ・ティ・データ)、テレビ番組ごとのツイート分析(ビデオリサーチ)など、ビジネスパートナーとの連携を進めてきた。また、日本のユーザーを更に増やすため、日本市場に特化したサービス開発が必要と考え、2014年末にユーザーの利用調査、開発そしてマーケティングを展開する事業成長戦略チームを設けた。今回来日した米国本社のシニア エンジニアリング ディレクターのアカッシュ ガーグ氏は、日本でエンジニア部門を新設することについて、「経営陣の中でも日本は非常に重要な市場と認識している。新たなチームを作ることで、これまでの成長を継続するとともに、さらに成長させていきたい。まずは、日本でディレクタークラスのエンジニアの採用を進める予定で、その人を基盤としてチームを拡大していきたい」とコメントしている。事業成長戦略チームの手掛けるサービスは日本向けが前提だが、日本をイノベーションセンターと捉え、先進的事例を活かしたサービスを開発することで、日本向けだけでなくグローバルへの展開も視野に入れているという。○日本限定の「ニュース」機能、開発の狙いとは?7月1日は、事業成長戦略チーム初のサービスとして、「ニュース」機能を提供している。「ニュース」機能は、ツイートされている約200媒体のニュースをアルゴリズムを用いて整理することで、タイムラインにあふれる膨大なツイートの中からユーザーが得たいニュースを見つけやすくするサービスだ。このサービス開発責任者である鈴木 宏輔氏は、開発の狙いを次のように語る。「現状はTwitterのユーザーには若い人が多いので、30代以上の男性をターゲットユーザーとして開発した。Twitterには既に様々なコンテンツがあるが、利用していないユーザーにとっては見つけるのが難しい。コンテンツを整理して簡単にアクセスできるようにすることが必要だと考え、ニュースに特化した。ニュースは逐次更新されるので、一日に何度も最新のニュースをチェックしてもらうことで、滞在時間を増やしたい。また、ユーザーが、ツイートの閲覧・リツイートなどのアクション・自らのツイートなどTwitterの使い方に慣れられるように、そしてTwitterが情報収集ツールとして価値があるということを認識させたい」(鈴木氏)「ニュース」機能は、現時点で日本限定かつiOSアプリ限定のサービスであるが、Androidアプリは「鋭意開発中で、すぐ出したいと思っている。将来的には全てのプラットフォームで展開する」(鈴木氏)予定だという。また、今後は日本以外の幾つかの国での展開も予定しているという。なお、事業成長戦略チームはユーザー数の拡大をミッションにしているため、「ニュース」機能のマネタイズは、現時点でのサービスロードマップには載せていないという。○「CEO交代による方向性や戦略の変更はない」(アカッシュ氏)質疑応答では、7月1日付で最高経営責任者(CEO)がDick Costolo氏からJack Dorsey氏に交代したことについて、今後のビジネスに影響があるのか、Twitter社の戦略や方向性に変更がないか?という質問が出た。アカッシュ氏は、「Dick Costolo氏が辞任したのは個人的な理由であり、引き続き取締役会にも残る。元々、旧CEOのDick氏、暫定CEOのJack Dorsey氏、製品担当上級副社長のKevin Weil氏、エンジニアリング担当上級副社長のAlex Roetter氏は、Twitterのグローバル展開というビジョンを共有していた。今後も方向性は変わらないし、戦略への影響はない」と回答した。
2015年07月17日武蔵野美術大学は、 同学の魅力を長澤忠徳学長自らが語る3部構成のセミナー「WEEKEND 学長トーク」を開催する。会場は東京・六本木の同学デザイン・ラウンジ。開催日時はVol.1が2015年7月10日、Vol.2が7月24日、Vol.3が8月7日で、各日とも18:30~20:30。参加は無料だが、事前申込が必要。なお、Vol.1はすでに受付終了となっている。「WEEKEND 学長トーク」は、2015年度より学長に就任した長澤教授が、冊子では伝わらない本学の魅力を自ら"生"の声で伝えるトークセミナー。6月に行われたオープンキャンパスでも開催されたもので、参加した高校生の間でも非常に好評だったという。第1回目となるVol.1では「美術大学は誤解されている?」をテーマに、美大の本当の姿や、美大で学ぶメリットについて言及。Vol.2では「もともと美大はグローバル!」と題し、現在推進している同学のグローバル教育や、美大のリアルな就職活動状況を紹介するという。そしてVol.3では「今、だからムサビ。」を掲げ、"ムサビ"の素晴らしさや、"ムサビ"とはどういう大学なのかを語りつくすとのこと。各回とも定員は65名(先着順)。詳細および参加申込みは、同学デザインラウンジWebサイトから。なお、同学は日本のクリエイティブ産業を盛り上げ、牽引していく人材育成を目指し、問題自体を発見・提議する「課題発見型」の教育プログラムを行っている。これらの教育によって実施された地域活性化の事例としては、全国各地の小中学校に赴き、教室の黒板に本格的な絵を描き驚きと感動をプレゼントする「黒板ジャック」や、米の副産物である稲わらを活用したアート作品「わらアート」などが有名で、同学は今後もアートやデザインでコミュニケーションを図っていくとしている。
2015年07月10日富士通は7月9日、グローバルにビジネスを展開する日本企業向けに、世界各拠点の人事と給与の状況を一元的に把握する人事給与・人材管理業務のアウトソーシング「FUJITSU BPOサービス グローバルHCMサービス(グローバルHCMサービス)」の提供を開始すると発表した。同社は、145カ国以上での導入実績があり、25を超える言語、あらゆる通貨に対応可能としている英国、NGA Human Resources(NGA)の人事給与業務システム「euHReka(ユリーカ)」と、世界177カ国、4,200社以上で利用されているというSAPジャパンのタレントマネジメントシステム「SuccessFactors(サクセスファクターズ)」を連携させ、富士通が日本国内で培ってきたBPOサービスのノウハウと経験を融合し、日本企業のグローバル展開を支援することを目的としている。各企業の世界各国における人事給与・人材管理業務を、富士通がワンストップで請け負い、各国の法改正にも標準サービスで対応するため、海外企業との統合・合併などにも迅速に対応できるとしている。また、NGAの世界30カ所以上のサービス拠点を通して本サービスを展開し、各国の社会保障制度や税制度などの法定要件、慣習的な業務プロセスなどを考慮した各国別の業務オペレーションモデルとドキュメントのテンプレートを提供するという。これにより、顧客企業各拠点のプロセスやソリューションを標準化し、導入工数を抑えることができるため、通常は12カ月程度必要な導入期間を7~10カ月に短縮できるとしている。さらに、本サービスでは、人事給与業務システム「euHReka」のデータとタレントマネジメントシステム「SuccessFactors」のデータをリアルタイムで連携させて提供するという。これにより、人事給与コストの状況を見ながら人材の能力や育成状況、配置を効率的に管理でき、戦略的な人材活用を可能としている。FUJITSU BPOサービス・グローバルHCMサービスの販売価格は、月額運用費用が従業員一人当たり1,000円~。※別途、初期導入費用(個別見積)が必要
2015年07月10日