苦難の人、ゴッホの生涯。純粋過ぎるがゆえに…こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回の「偉人の凸凹学」シリーズは、「ひまわり」などの歴史的な傑作絵画を残した、後期印象派の巨匠・ゴッホです。皆さんは、ゴッホの人生を知っていますか?今でこそ、その絵画は、値が付けられない程の価値がありますが、生前、ゴッホの絵が売れたのは1枚だけだったとも言われています(諸説あり)。その才能は幾多の天才の中でも、際立って突出しているように思えますが、ゴッホほど苦しみに満ちた人生を送った画家も少ないのではないかと思います。Upload By 楽々かあさんオランダ出身の画家、フィンセント・ファン・ゴッホは、牧師の父を持ち、6人兄弟の事実上の長男として生まれました。少年時代から、純粋で思い詰めやすく、カッとなりやすい性格でもあったそうです。そのため、対人面でうまくいかないことが多く、学校を中退したり、失恋を繰り返したり、画商や伝道師の仕事をしたものの、クビになってしまうなど、挫折の連続でした。そして、ゴッホの最大の理解者で画商の、弟テオ(テオドルス)の勧めで画家となったものの絵は売れず、仕送りをしてもらって生涯ニート生活。以後亡くなるまでのわずか約10年間で、1600点の水彩・素描と800点以上の油彩画という、膨大な作品を残したのだそうです。ゴッホは印象派の画家達との交流や、ジャポニズムの影響なども受けながら、才能を開花させてゆきますが、その絵の価値はなかなか世間に認められませんでした。そして、南仏・アルルでの、友人ゴーギャンとの共同生活はうまくいかず、自らの耳を切り落としたという、有名な「耳切り事件」を起こします。以降、弟の結婚などで不安定になり、発作や錯乱を繰り返し、自ら精神病院に入院し、療養します。そして、ようやく才能が注目され始めた頃、拳銃で自殺(享年37才)。その半年後、後を追うように、弟のテオも衰弱して亡くなりました。その後、ゴッホの絵画が世間に認められたのは、テオの妻ヨーと、甥フィンセントの尽力があったからと言われています。こんな、苦難の連続だったゴッホを想うと、私は正直、「うちの子には才能なんてなくてもいいから、ゴッホのような人生は送らないで欲しい」と願ってしまいます。我が子には、死後にどれだけ賞賛を得るよりも、生きてる間に、毎日を幸せに生きて欲しいからです。私たちが、ゴッホの人生から学べることはなんでしょうか。完璧主義で、「0か100か」は、生きづらい!Upload By 楽々かあさんでは、このゴッホの「生きづらさ」の原因はなんだったのでしょうか。ゴッホが特に対人面でうまく行かなかったのには、私は、次のような理由があるように考えます。・物事を「0か100か」の両極端で捉え、柔軟になれない考え方・完璧主義でこだわりが強く、妥協できない考え方・他人と自分の間に上手な線引きができずに、多くを求め過ぎてしまう考え方…など。おそらく、ゴッホは生来、真面目で一途な性格の特徴があり、それを挫折と失敗の経験を繰り返すことで、より考え方の偏りを強めてしまったように見受けられます。例えば、恋愛で思い詰めている時、ゴッホにとっての「女性」は、「その人ただ一人」であり、その唯一の女性から拒否されることは、この世の全ての人から愛を得られないように、感じられたのかもしれません。ですから、フラれても「女の子なんていっぱいいるさ。次いこ、次!」とはならず、相手の家に押しかけて、自傷的な行動で訴えてしまいます。これでは、男性としての魅力以前の問題で、想いを寄せられた女性は、「ただひたすら重い、逃げ出したい」気持ちになるのではないでしょうか。また、「耳切り事件」に至ったのも、ゴッホと同じくらい自己主張が強いけれど、性格的には正反対で野性的なゴーギャンとの共同生活の中で、画風や芸術に対するお互いの考え方の違いを認めることができずに、激しい意見の衝突を繰り返して消耗し、思い詰めた行動に出てしまったのだと思います。「人は人」と要領よく線引きできずに、相手に「自分と同じ」ことを期待し過ぎてしまっていたのかもしれませんね。Upload By 楽々かあさんでも、ゴッホは、自己中心的な人物かというと、そうではありません。初期の名作「じゃがいもを食べる人たち」など、農夫や庶民の生活ぶりばかりを描いた多数の絵からは、貧しい暮らしの人々に深く共感した、ゴッホの優しさと、慈愛の目を感じ取ることができます。決して「人の気持ちが分からない」なんてことはなく、むしろ、他人の苦しみを我がことのように感じる共感力の高さや博愛精神があり、「人の役に立ちたい」気持ちも人一倍強かったように思います。ところが、そんな長所ですら、裏目に出てしまうのです。キリスト教の伝道師を志していた時のゴッホは、劣悪な環境で働く炭坑夫たちに深く同情し、一緒に炭だらけになり、自分の服すら(下着までも!)分け与えて、文字通り全てを捧げてしまいました。ゴッホは、聖書の教えを真面目に忠実に、実践しただけなのでしょうが、これは「教会の権威を落とす」行為として、伝道師の資格は剥奪されます。純粋で一途過ぎるが故に、ゴッホは「ほどほど」という考え方ができなかったのです。では、ゴッホと似たような「生きづらさ」が、我が子や身近な人、あるいは自分自身にある場合、どうしたらもう少しラクに物事を考えられるようになるのでしょうか。「ほどほど」な考え方を育てる声かけと工夫Upload By 楽々かあさんゴッホの絵画の色彩を見ると、代表作「ひまわり」や「星月夜」、「自画像」、「糸杉」など、青と黄や、赤と緑という、補色(反対の色)同士の鮮烈な対比や、明と暗がくっきりとした大胆な構図が見て取れます。だからこそ、見る人の心に迫る力強さを表現できるでしょうが、ゴッホの「生き方・考え方」という点から見れば、常に2つのものが対立する世界観が象徴されているように思えます。このように「0か100か」「白か黒か」という、絶対的な2択の思考は、何事にも完璧主義な人に多く見られます。例え、テストで90点をとっても、間違った10点のほうが気になるタイプです。これは、仕事面では、ゴッホのように完成度の高いものができる長所にもなりますが、対人面では難しさがでてしまいがちです。こういった考え方を緩めてあげるには、まずは言葉から、「中間の表現」が、イメージできるようにしてゆくといいと思います。「ちょっと」「大体」「ほぼ」「ほとんど」…など、日常生活には曖昧な表現が溢れていますが、つい「0か100か」で考えてしまう人は、「ちょっとって、一体どれぐらいだろう?」と具体的にイメージできずにいる場合が多いようです。そんなときは、具体的な数値を入れた声かけなどで、「翻訳」してあげると良いと思います。たとえば、・「ちょっとって言うのは、3日くらい待って欲しいって意味だよ」・「ほとんどって言うのは、90%くらいできてるってことだよ」といったように、具体的な程度を示します。また、実際に目の前で・「大体って言うのは、ここからここまでのことね」と、線等を引いて、見えるように範囲を示してあげると、分かりやすくなると思います。鮮烈で力強い色彩が魅力のゴッホですが、もしかしたら、曖昧な中間色のグレーやパステルカラーなどを多用していたら、考え方は、もう少し柔軟になっていたのかもしれませんね(そのときの絵画としての価値は分かりませんが)。Upload By 楽々かあさん次に、「絶対〜すべきだ」「必ず〜しなくてはならない」というような極端で決めつけた表現は、自分自身の思い込みも強めてしまうので、意識的に次のような言葉を使うようにしてみます。・「私は、多分〜だと思う」・「私は、なるべく〜したい」・「私は、できれば〜であって欲しい」このように、「例外」があることを受け容れる幅を持たせてあげるのです。同時に、「私は」と入れることで、主語を明確にすることも意識してみるといいと思います。日本人の場合は特に「私は、私は」と、主語を明示する言いまわしは馴染みが薄いかもしれません。ですが、主語を入れることで、その考えがあくまで「自分のもの」だと意識できるので、他の人の考え方との間に線引きをする練習になります。またこれは、こちらがゴッホのようなタイプに接するときにも、あくまで自分の意見であると伝えられるので、不要な対立を防ぐことができるかもしれません。もしかしたら、こんな風に、ほんの少しだけ、言葉の表現をマイルドにしていれば、仲違いをしてしまったゴッホとゴーギャンも、もうちょっと、うまくいったかもしれませんね。Upload By 楽々かあさんそして、誰でも挫折や失敗を繰り返していれば、どうしても自信をなくしてしまいます。自信をなくすと、余裕がなくなり、ますます他人の意見を受け容れる柔軟さが持てなくなったり、「次は失敗できない」と、自分自身にプレッシャーをかけて、不安感から思い込みを強めてしまいがちです。もしも私が、ゴッホの身近な人物だったら、「できているところに気づかせる」声かけなどをしていたかもしれません(ひょっとしたら、弟テオも実践済みだったかもしれませんが…)。・「結果的には残念だったけれど、こういった成果があったよね」・「(あなたは)失敗だと言うけれど、ここまではできているよね」…というように、結果や部分ではなく、物事をトータルで全体的に捉えられるように、気づかせてあげるといいと思います。また、・「Aという選択には、こんな良い点があるが、こんなデメリットもある」・「AとB以外にも、Cという選択もあるし、A+Bという方法もある」…と、「0か100か」の絶対的な2択にせず、複数の選択肢や、折衷案の提示などをしてあげると、物事を両面から見たり、多角的に捉えたりできるようになるかもしれません。また、他人に言われると納得できないことも、自分でメリット、デメリットを一覧表に書き出して点数などをつけて、比較検討する習慣などもいいと思います。実際、この後の時代の天才画家ピカソは、ゴッホと同じく突出した才能がありながら、画風の数々の変遷やキュビズムの表現に見られるように、物事を多角的に捉え、違った価値観を受け容れる柔軟さがあったようです。それにより少し要領よく世渡りし、生きてるうちに経済的にも成功し、女性にもモテ、91才まで長生きしたようです(でも、個人的には、私はピカソよりゴッホの絵のほうに、惹かれますが…)。究極の選択。ありふれた幸せか、人類の遺産か…!?Upload By 楽々かあさんもし、ゴッホがほんの少し、物事を柔軟に考え、曖昧さを許し、人は人と割り切れていたら…日々をもっとラクに生きられたのかもしれません。でも、その、ごくありふれた幸せが、溢れる才能と引き換えなのだとしたら…?私には、ゴッホは自らの苦しみの人生と引き換えに、その突出した才能を得たように思えてなりません。極端に偏っていなければ、なし得ないこともあるのだと思います。そんな「生きづらさ」を抱えるゴッホだからこそ、あのように鮮烈で力強く、見る者の心を直接揺さぶるような、素晴らしい傑作の数々が生まれたのではないでしょうか。あなたは、人類の歴史的な遺産と、一人の人間のありふれた幸せを、天秤にかけることはできますか?もちろん、選択肢は2択ではありませんけどね。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社「アスペルガーの偉人たち」イアン ジェイムズ ・著、草薙ゆり・訳(スペクトラム出版社)「ゴッホ (コミック版世界の伝記)」木村 泰司 ・監修、フカキ ショウコ・漫画(ポプラ社)「あの人の人生を知ろう~ゴッホ兄弟」文芸ジャンキー・パラダイス画像出典:「ヴァーチャル絵画館西洋美術史」Earl Art Gallery
2017年09月19日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。■『The Vogue Years』ロベルト・ドアノー(Robert Doisneau)「パリ市庁舎前のキス」で有名な写真家ロベルト・ドアノーがファッション雑誌『ヴォーグ』のために撮った写真。1949年から1952年までヴォーグ誌と独占契約しパリのアート界や社交界を独占的に撮っていたドワノーは、ヴォーグ誌との契約終了後も1960年代まで、友人で編集長だったシャルル-ルー・エドモンド(Edmonde Charles-Roux)のために撮影を続けた。華やかな衣装で舞踏会に集うカフェ・ソサエのメンバーやブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)のモデルデビュー当時の写真、モード写真の修正をするパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)など、これまで明かされることのなかった膨大な数の写真が明かされる。今年の春、グランパレ写真月間の一環として、ヴェルサイユ宮殿のエスパス・リショー(Espace Richaud)で開催された写真展カタログ。【書籍情報】『The Vogue Years』写真:Robert Doisneau出版社:Flammarion言語:英語ハードカバー/360ページ/310×240mm発刊:2017年価格:8,380円■Shelfオフィシャルサイト『The Vogue Years』購入ページ
2017年09月16日ファン・ゴッホと日本をテーマに世界中から選びぬかれた逸品が一堂に会する「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が、2017年8月26日(土)~2018年3月4日(日)の期間、札幌、東京、京都の3都市を巡回して開催されます。オランダのファン・ゴッホ美術館やクレラー=ミュラー美術館をはじめとした世界の名だたる美術館、そして個人のコレクションが集結し、日本美術がファン・ゴッホに与えた影響をさまざまな角度から見ることができます。ファン・ゴッホと日本・本展の構成1853年オランダに生まれたフィンセント・ファン・ゴッホは、1886年にパリに移り、自らの絵画表現を模索しました。そこで彼に大きな影響を与えたのが、日本の浮世絵でした。浮世絵版画を収集し、油彩で模写をして、構図や色彩を学んだのです。さらにファン・ゴッホは、浮世絵をはじめとする美術作品、日本を紹介した文章を咀嚼しながら、独自の日本イメージを醸成していきます。彼にとって日本は創意の源であり、夢に見た理想郷でした。本展の第1部は「ファン・ゴッホのジャポニスム」と題し、ファン・ゴッホが日本からどんな影響を受け、どんなイメージを抱いていたのかを多角的に検証します。そして「日本人のファン・ゴッホ巡礼」と題した第2部では、最初期における日本人のファン・ゴッホ巡礼を、ガシェ家の芳名録に基づいたおよそ80点の資料からたどります。●日本初!ファン・ゴッホ美術館との本格的国際共同プロジェクトファン・ゴッホの展覧会は日本で数多く開催されていますが、本展はオランダのファン・ゴッホ美術館との初の国際共同プロジェクトで、日本展終了後はファン・ゴッホ美術館でも開催されることになっています。「ゴッホと日本」をコンセプトに、本展の企画が立ちあがったのは6年前のこと。その後、2013年から共同企画として、ファン・ゴッホ美術館と日本の監修者・学芸員が作品選定や出品交渉を行ってきました。そうして出品される作品の中には、個人所蔵で普段はまったく見ることができない作品、日本初公開の作品も多く含まれています。ファン・ゴッホを生んだオランダと、ファン・ゴッホに大きな影響を与えた日本。この両国で本展が開催される意義は、とても大きなものになること間違いなしです!●第1部 ファン・ゴッホのジャポニスム●パリー夢のはじまりフィンセント・ファン・ゴッホ《花魁(溪斎英泉による)》1887年、油彩・綿布、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)ファン・ゴッホの生年は、日本では黒船来航の年にあたります。オランダは鎖国中の日本とも交易をおこなっていましたし、ファン・ゴッホの伯父ヤンは日本に滞在した経験もありましたが、オランダ時代のファン・ゴッホと日本との接点をうかがわせるものは、何も見つかっていません。ファン・ゴッホが日本に関心を抱くようになったのは、1886年にパリに移住したのちだと言われています。パリに移ったファン・ゴッホは、画商ビングの店で大量の浮世絵を見て、鮮やかな色彩、作品の質の高さに魅せられます。平坦で鮮やかな色面を使ったファン・ゴッホの画風は、浮世絵の研究を通じて培われていったのでした。1880年代、パリはジャポニスムの最盛期でした。1886年に刊行された『パリ・イリュストレ』誌の日本特集号に使われた英泉の花魁図を、ファン・ゴッホは拡大模写して《花魁》に描きこんでいます。フィンセント・ファン・ゴッホ《カフェ・ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ》1887年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)この頃から、ファン・ゴッホは日本と日本人を理想化しはじめていたようです。そして、浮世絵の中の鮮やかな色彩世界を求めて「フランスにおける日本」たる南仏へ旅立つのでした。●アルルー「日本」という名のユートピアフィンセント・ファン・ゴッホ《寝室》1888年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)1888年2月、ファン・ゴッホの南仏暮らしは大雪の中で始まりました。ファン・ゴッホがしたためた手紙には、「まるでもう日本の画家たちが描いた冬景色のようだった」、「この土地が、空気の透明さと明るい色彩効果のために、ぼくには日本のように美しく見える」と記されています。ファン・ゴッホにとって、南仏は「まさに日本そのもの」でした。「ここではもう浮世絵は必要ない。目の前にあるものを描きさえすればいい」と語るほど。夏に向かって日差しが強く明るくなるにつれ、ファン・ゴッホの絵も浮世絵のように鮮やかな色で描かれるようになります。浮世絵風の大胆な構図を取り入れるなどしたほか、ピエール・ロティの『お菊さん』を読み、日本を、そして日本人を理想化していきました。フィンセント・ファン・ゴッホ《アイリスの咲くアルル風景》1888年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)理想化された日本人は、まるで花のように自然の中に生き、深い思想と真の宗教を持ち、他人と兄弟のように生活する貧しく素朴な人々でした。つまりファン・ゴッホは、自分が持っていた芸術的、社会的、宗教的理想を、日本人に投影していったのです。フィンセント・ファン・ゴッホ《タラスコンの乗合馬車》1888年、油彩・カンヴァス、ヘンリー&ローズ・パールマン財団蔵(プリンストン大学美術館長期貸与)©The Henry and Rose Pearlman Collection / Art Resource, NY 札幌、東京の2会場のみ展示そんな理想を実現すべく、ゴーギャンと「黄色い家」ではじめた共同生活は、1888年12月、有名な「耳切り事件」によって破綻します。日本を夢見た、南仏での1年足らずの生活期間は、ファン・ゴッホがもっとも想像力に満ち、もっとも幸福な時期だったのでしょう。●サン・レミ、オーヴェールー遠ざかる日本の夢フィンセント・ファン・ゴッホ《蝶とけし》1889年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)「耳切り事件」のあともたびたび精神病の発作に襲われたファン・ゴッホが日本について語ることは、ほとんどなくなりました。しかし、発作の合間に描きつづけた作品のなかには、浮世絵の影響を感じさせるものもありました。フィンセント・ファン・ゴッホ《渓谷(レ・ペイルレ)》1889年、油彩・カンヴァス、クレラー=ミュラー美術館蔵© Kröller-Müller Museum,Otterlo1890年、サン・レミの療養所を出たファン・ゴッホは、パリで「現実」と直面します。そのひとつは弟テオが家庭を持ったこと、もうひとつは日本のイメージの急激な変化でした。1890年の近代化が進んだ日本は、もはや「楽園」ではなく、現実として見られるようになっていました。多くの人が「日本の夢」から目覚めさせられることになったのです。フィンセント・ファン・ゴッホ《オリーヴ園》1889年、油彩・カンヴァス、クレラー=ミュラー美術館蔵© Kröller-Müller Museum,Otterloフィンセント・ファン・ゴッホ《ポプラ林の中の二人》1890年、油彩・カンヴァス、シンシナティ美術館蔵(メアリー E. ジョンストン遺贈)© Cincinnati Art Museum, Bequest of Mary E. Johnston, 1967.14301890年7月28日、ファン・ゴッホの「日本の夢」に火をつけた画商ビングが大浮世絵展の功績を認められてレジオン・ドヌール勲章を授与されたその日、ファン・ゴッホはオーヴェールの屋根裏部屋で腹に銃弾を抱えたまま、瀕死で床に横たわっていました。そして翌29日、静かにこの世を去ったのでした。●第2部 日本人のファン・ゴッホ巡礼●オーヴェール巡礼の旅ファン・ゴッホはオーヴェールの墓地に、あとを追うように没した弟テオと、隣りあって埋葬されています。ファン・ゴッホの死からまもない頃、その作品や生涯を熱心に紹介したのが、小説家の武者小路実篤、画家の斎藤與里や岸田劉生、美術史家の児島喜久雄といった「白樺派」及びその周辺の文学者や美術家たちでした。その熱狂は徐々に広がり、大正から昭和初期にかけて、少なからぬ日本人がオーヴェールの地におもむきました。生前ほとんど売れなかったファン・ゴッホの作品の多くは、オーヴェールのガシェ医師の元に残され、医師亡きあとは同名の息子が大切に守っていました。当時パリで見ることができるファン・ゴッホ作品はわずかだったため、日本人たちはオーヴェールをファン・ゴッホ巡礼の地と定めることになりました。ガシェ家には、そんな日本人たちの名が記された芳名録が3冊残されました。現在はギメ東洋美術館に収蔵されている芳名録ですが、今回日本ではじめて公開され、近代日本の知識人たちによるオーヴェール巡礼の実相が紹介されることになりました。オーヴェールに詣でた洋画家には、佐伯祐三や前田寛治などがいました。ファン・ゴッホの強烈な色彩表現は、若い日本人画家たちに大きな影響を与えたのです。本展では、佐伯の《オーヴェールの教会》や前田の《ゴッホの墓》など、巡礼から生まれた日本近代絵画の名作のほか、写真や手紙などの豊富な資料も紹介されます。●クレラー=ミュラー・コレクションへの巡礼ファン・ゴッホに傾倒した白樺派は文学者が中心で、作品以上にその悲劇的な生涯への関心が強かったことが、日本でのファン・ゴッホ受容に見られる特質となっています。ガシェ家の芳名録では、歌人斎藤茂吉の署名がその象徴的な存在といえます。精神科医でもあった茂吉は医学研究のために欧州に留学し、西洋美術、とりわけファン・ゴッホへの関心を深めていきました。茂吉は、オーヴェールでファン・ゴッホを歌に詠んでいます。一向に澄みとほりたる/たましひの/ゴオホが寝たる/床を見にけり(斎藤茂吉)オーヴェールに先だって茂吉が訪ねたのは、オランダ・ハーグのクレラー=ミュラー家でした。そのクレラー=ミュラー家の芳名録にも、画家の荻須高徳や佐分眞ら日本人の名前が散見され、オーヴェールと並ぶファン・ゴッホ巡礼地となっていたことがわかります。クレラー=ミュラー家の芳名録や当時の展示風景写真、目録などの貴重な資料も、本展で紹介されます。日本の浮世絵がファン・ゴッホを突き動かし、ファン・ゴッホの作品が日本の近代美術や文学に大きな影響を及ぼしたことを考えると、ファン・ゴッホと日本の縁がいかに深いものかがわかりますね。現代でもとりわけ日本人に愛されるファン・ゴッホの軌跡を、日本との結びつきという切り口で見つめる本展。日本とオランダを巡回することからも、いかに力が入った企画かが伝わってきます!【展覧会詳細】名称:ゴッホ展 巡りゆく日本の夢■札幌展会場:北海道立近代美術館所在地:札幌市中央区北1条17丁目会期:2017年8月26日(土)~10月15日(日)休館日:月曜日(9/18、10/9は開館。翌火曜日休館)■東京展会場:東京都美術館所在地:台東区上野公園8-36会期:2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月・祝)休室日:月曜日(1/8は開館)、年末年始(12/31、1/1)■京都展会場:京都国立近代美術館所在地:京都市左京区岡崎円勝寺町26-1会期:2018年1月20日(土)~3月4日(日)休館日:月曜日(2/12は開館。翌火曜日休館)公式サイト:
2017年09月05日「親愛なる友フィンセント・ファン・ゴッホデジタルアート展」が、2017年9月17日(日)まで青山センタービル2Fまで開催。デジタルメディア技術を駆使し、芸術作品を従来の鑑賞方法とは異なる方法で、新しいアートとして提示するDASMUSEデジタルアート展。今回はフィンセント・ファン・ゴッホの世界をデジタルアートで表現する。一番の見所は、ゴッホの絵画を3Dプロジェクションマッピングによって、鮮やかで繊細な光と音楽とともに立体的に表現した20分間の動画だ。ゴッホの友人であり作品のモデルでもある郵便配達人、ジョセフルーランが3Dホログラムで投影され、ゴッホの作品世界のナビゲーターとして解説してくれる。世界初の「しゃべるホログラム」である。描かれた植物や星が絵画の中で揺れ動き、ゴッホは瞬きをする。まるで現実に生きているかのようにも見え、ゴッホの世界をより身近に感じることができる。その他、約80点の作品とともにゴッホの生涯をまとめた映像や、SNSと連動したプレゼントなど、ゴッホの世界観を楽しむコンテンツが満載となっている。8月23日(水)からは、まるでゴッホが窓から顔をのぞかせているかのように見えるホログラムを、展示会場の窓に投影する。【詳細】親愛なる友フィンセント・ファン・ゴッホデジタルアート展会期:2017年8月5日(土)~9月17日(日)開館時間 :平日10:00~21:00金・土・祝前日10:00~23:00日・祝日10:00~20:00場所:青山センタービル 2F住所:東京都港区南青山3丁目8-40 2Fチケット:一般1,600円 / 中・高校生1,200円 / 小学生800円※混雑した場合は入場規制の可能性有。※チケットは会期中1人1回限り有効。※価格はすべて税込。※購入後のキャンセル・返金は原則不可。※「身体障害者手帳または療育手帳のご提示」により、「介護者1名の入場料」が免除。但し、本人は入場券が必要。※車椅子で来場する場合は、事前申請が必要。※チケットの転売禁止。
2017年08月25日2017年夏、アメリカ屈指の大美術館から古今東西の名作が来日!ゴッホの話題作2点も見られる注目の展覧会『ボストン美術館の至宝展ー東西の名品、珠玉のコレクション』に行ってきました!『ボストン美術館の至宝展』へ!【女子的アートナビ】vol. 82同展で紹介されているのは、古代エジプト美術や中国・日本美術、フランス・アメリカの絵画、さらには写真・版画や現代美術などの作品80点。ボストン美術館が誇る “珠玉の名品” がそろっているということで、期待を胸にプレス内覧会に潜入です!入り口の説明によると、この展覧会ではボストン美術館のコレクション収集に貢献したコレクターたちにも焦点をあてながら、作品を紹介しているとのこと。1870年に設立されたボストン美術館は、設立当初から公的資金に頼らず、個人コレクターやスポンサーからの寄贈などによってコレクションを形成。19世紀から20世紀の初頭には、冒険心のあるボストニアン(ボストンゆかりの人)たちが異国を旅して美術品を収集したそうです。慈善活動によって築き上げられたコレクションは、現在50万点近くにのぼるとのこと。ボストニアンたちの思いが詰まった大切な作品群を日本に貸してくれるなんて、ありがたいです!こちらは古代エジプト美術の展示室。《ツタンカーメン王頭部》をはじめ、ジュエリーやレリーフなどの名品11点を見ることができます。日本美術も充実!ボストン美術館の日本美術コレクションは、「世界でもっとも重要なコレクションのひとつ」といわれるほど質・量ともに充実。今回の展示室にも、野々村仁清の工芸品から曾我蕭白(そがしょうはく)、与謝蕪村、喜多川歌麿の絵画まで、見ごたえある作品が並んでいます。そのなかでも注目したいのが、英一蝶(はなぶさいっちょう)の巨大な《涅槃図(ねはんず)》。江戸時代に描かれた仏画の代表作で、高さが約2.9メートルもあります。涅槃図とは、お釈迦様がこの世から離れるときの様子を描いたもの。中央で横になっているのがお釈迦様で、周りでは多くの弟子や動物が嘆き悲しんでいます。この作品は、1911年にボストン美術館に収蔵されてから一度しか公開されなかったとのとこと。今回、日本に里帰りするため約1年かけて解体修理し、よみがえったそうです。会場では、修理の様子を伝える映像も見ることができました。いよいよ、ゴッホの友達が登場!次のフロアでは、フランス絵画が展示紹介されています。ボストン美術館が所蔵するヨーロッパ美術のなかでも、特に19世紀フランス絵画は名品ぞろい。今展でもミレーやモネ、ドガ、ルノワール、セザンヌなどの名作が19点も並んでいます。そして、いよいよゴッホの作品が出てきました!このお二人は、ゴッホの友達、ルーラン夫妻です。1888年にパリから南仏の町アルルに移り住んだゴッホにとって数少ない友人となったのが、郵便の仕事をしていたジョゼフ・ルーラン。彼とその妻、さらに3人の子供たちはゴッホのモデルとなり、20点以上もの肖像画が描かれました。このふたつの絵を見比べてみると雰囲気がちょっと違いますよね。夫の絵は背景がシンプルですが、妻の方はとっても華やか。東京都美術館学芸員の大橋菜都子さんによると、この絵は対作品として描かれたものではなく、制作時期も違うとのこと。ゴッホは1888年の夏に夫のジョゼフを描いた後、10月に画家のゴーガンと共同生活を開始。でも12月には有名な「耳切り事件」を起こして二人の生活は破綻します。その後、1889年の春ごろに描いたのがルーラン夫人の肖像画。その装飾的な背景などはゴーガンの影響を受けていると考えられているそうです。ちなみに、上の写真は《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》を美術館に寄贈したロバート・トリート・ペイン2世を紹介したパネル。職業は弁護士でボストン美術館の理事もつとめていたそうです。自分で購入した絵、それもゴッホを寄贈できるなんて、太っ腹!展覧会は、フランス絵画のあとにも、アメリカ絵画や版画に写真、現代アートへと続いています。著作権の関係で撮影はできませんでしたが、ジョージア・オキーフの魅惑的な花の絵やアンディ・ウォーホル、さらに村上隆の作品も展示されていました。また、会場を出たところにはルーラン夫妻に挟まれて記念撮影できるコーナーも用意されています!ボストニアンたちが収集した名品の数々を日本で見られる貴重なチャンス、ぜひお見逃しなく!Information会期:~10月9日(月・祝)※休室日は月曜日(ただし8月14日、9月18日、10月9日は開室)、9月19日(火)時間:9:30 ~ 17:30(※金曜日は20:00まで。8月11、18、25日は21:00まで)※入室は30分前まで会場:東京都美術館 企画展示室料金:一般 1,600円/大学生・専門学校生 1,300円/高校生 800円/65歳以上 1,000円
2017年08月22日「ゴッホ展巡りゆく日本の夢」を8月26日より北海道立近代美術館、10月24日より東京都美術館、1月20日より京都国立近代美術館にて開催します。今回、新たに出展が決定した《画家としての自画像》は、パリ滞在中の最後期に描かれた作品であり、12年ぶり2度目の来日となります。同時期に描かれた一連の自画像のなかでもひときわ大きく、かつ入念に仕上げられている作品です。細かな筆触で覆われた青色の上着や、原色が連なるパレットの描写には、彼がこの街で獲得した色彩表現が遺憾なく発揮されています。フィンセント・ファン・ゴッホ《寝室》1888年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)■展覧会の見どころ本展では、「ファン・ゴッホのジャポニスム」、「日本人のファン・ゴッホ巡礼」の二部に分けて構成し、ファン・ゴッホと日本との相互関係にスポットをあてます。第一部:ファン・ゴッホのジャポニスム《タラスコンの乗合馬車》、《雪景色》など4つの日本初公開作品を含むファン・ゴッホ作品約40点と、ファン・ゴッホが影響を受けた浮世絵など約50点を同時に展示。ファン・ゴッホが日本からどのような影響を受け、作品に投影したのかを多角的に検証します。第二部:日本人のファン・ゴッホ巡礼ファン・ゴッホゆかりの地オーヴェールを訪れた約240人の近代日本の知識人が記した3冊の「芳名録」を日本初公開。巡礼から生まれた日本近代絵画の名作をはじめ、当時の写真や手紙などオーヴェール巡礼の実相を、約90点の豊富な資料からたどります。フィンセント・ファン・ゴッホ《夾竹桃と本のある静物》1888年、油彩・カンヴァス、メトロポリタン美術館蔵(Mr. & Mrs. ジョン・L.・ローブ寄贈)©The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NYフィンセント・ファン・ゴッホ《画家としての自画像》1887年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)■通常前売券料金:一般1300円、大学生・専門学校生1100円、高校生600円、65歳以上800円(すべて税込)※中学生以下は無料販売期間:7月20日(木)-10月23日(月)販売先:東京都美術館ミュージアムショップ、展覧会公式サイト、各種プレイガイド■「ゴッホ展巡りゆく日本の夢」 展覧会 開催概要【札幌展】会期:2017年8月26日(土)~10月15日(日) 会場:北海道立近代美術館主催:北海道立近代美術館、北海道新聞社、NHK札幌放送局、NHKプラネット北海道開館時間:9:30~17:00※金・土曜日は20:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(9/18、10/9を除く)、9月19日(火)、10月10日(火)問い合わせ:011-644-6882観覧料:一般1500円(1300円)、高大生800円(600円)、中学生600円(400円)※( )内は前売と10人以上の団体料金 ※小学生以下無料(要保護者同伴)【東京展】会期:2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月・祝) 会場:東京都美術館主催:東京都美術館、NHK、NHKプロモーション開室時間:9:30~17:30※会期中の金曜日、11月1日(水)、2日(木)、4日(土)は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)休室日:月曜日(1/8を除く)年末年始休館 12月31日(日)、1月1日(月・祝)問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)観覧料:一般1600円(1300円)、大学生・専門学校生1300円(1100円)、高校生800円(600円)、65歳以上1,000円(800円)※( )内は前売と20人以上の団体料金 ※中学生以下は無料【京都展】会期:2018年1月20日(土)~3月4日(日) 会場:京都国立近代美術館主催:京都国立近代美術館、NHK京都放送局、NHKプラネット近畿、京都新聞開館時間:9:30~17:00※金・土曜日は20:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(2/12を除く)、2月13日(火)問い合わせ:075-761-4111観覧料:一般1500円(1300円)、大学生1100円(900円)、高校生600円(400円)※( )内は前売と20人以上の団体料金 ※中学生以下は無料
2017年08月21日東京・天王洲銀河劇場で舞台『遠い夏のゴッホ』(7月14~23日:東京・天王洲銀河劇場/7月29日、30日:大阪・森ノ宮ピロティホール)の公開ゲネプロが行われ、主演の安西慎太郎(23)らが囲み取材に応じた。本記事では、ゲネプロ中の写真と共に安西のコメントを振り返る。『遠い夏のゴッホ』は、2013年に松山ケンイチが初舞台として出演したことでも知られる作品。主人公がセミ、そのほかの登場人物もすべて人間以外という設定で生物賛歌を描き出す。恋人よりも1年早く羽化してしまったユウダチゼミ・ゴッホは、再会を誓って生き抜くことを心に決め、セミには絶対に不可能な越冬の大冒険に挑む。作・演出の西田シャトナー氏は、2013年の上演から構想を練り続け、脚本を改稿、新たな演出手法で究極の純愛を再び紡ぎ出す。ゴッホを演じた安西は、ゲネプロ前の囲み取材で、「場当たりを終えて、本当に変化する話だと思いました。照明も変化して、音楽も変化して、役者の気持ちも変化して、すべて舞台上で起こっている変化が、お客様の心を捉えた時に、すごい変化が起きるんじゃないかという可能性を感じました」と手応え十分。「まだゲネプロはこれからですが、お客様に届けられるだけの稽古はやってきましたし、それにふさわしいメンバーとスタッフさんがそろっておりますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思っております」と気を引き締めた。一方で、「いちばん大切にしようと思ったのが、虫の視点から描いているということ。人間の心の動きで考えてしまうところもありますが、ちゃんと虫の視点になって虫の内面を埋めるという作業」と、役柄と向き合う難しさも伝える。ゲネプロを終えてのカーテンコールではキャストと共に再登場すると、「明日初日を迎えます。このゲネプロより倍、12、いや13倍くらい面白くなるようにこれから一丸となって作っていきたいと思います」と意気込みのコメント。「あらためまして! 本日は誠に!」に続いて、キャスト全員で「ありがとうございました!」とあいさつした。この日の囲み取材には、安西のほか、山下聖菜、小澤亮太、木ノ本嶺浩、山本匠馬、陳内将、米原幸佑、平田裕一郎、兼崎健太郎、萩野崇、石坂勇、西田シャトナー氏が出席した。同作は本日初日を迎え、7月14日から23日までは東京・天王洲銀河劇場、7月29日・30日は大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。
2017年07月14日女優の山下聖菜(18)が13日、東京・天王洲銀河劇場で舞台『遠い夏のゴッホ』(7月14~23日:東京・天王洲銀河劇場/7月29日、30日:大阪・森ノ宮ピロティホール)の公開ゲネプロを行った。恋人への一途な思いを全身全霊で演じ切るその姿は、今年5月に主演した舞台『幻想奇譚 白蛇伝』のセリフ「運命を切り開く」を呼び覚ます。『遠い夏のゴッホ』は、2013年に松山ケンイチが初舞台として出演したことでも知られ、セミの主人公と人間ではない生き物たちによる生命賛歌の物語。初演から絶賛され、今回は主演に安西慎太郎を迎えた。作・演出の西田シャトナー氏は脚本を改稿、新たな演出手法で究極の純愛を再び紡ぎ出す。山下が演じるのは、ユウダチゼミのヒロイン・ベアトリーチェ役で、安西演じるユウダチゼミ・ゴッホの幼なじみ。好物であるキンイロケヤキの根の蜜を吸って穏やかな日々を過ごしていた中、1年早く羽化してしまったゴッホは「君が地上に出てくる来年まで、僕は必ず生き延びてみせる」と誓って、セミには絶対不可能な越冬の大冒険に挑む。ゲネプロ前の囲み取材で、「ゴッホが1年早く羽化してしまって、1年後に会える日を楽しみに強く生きている。その真っ直ぐな愛を見ていただきたいと思います」と役に込めた思いを語った山下。その言葉通り、舞台上のベアトリーチェは不安と希望の中でたくましく生き、ゴッホへの愛を胸に成長する姿を見せてくれる。今年5月、スタンディングオベーションで千秋楽を終えた主演舞台『幻想奇譚 白蛇伝』では、深い傷を負って下界へと落ちた白蛇の妖・白娘を演じた。命を救ってくれた心優しい薬売りの青年・許仙に愛を誓うが、妖と人間の愛を阻む者たちが次々と現れる。周囲に翻弄されながらも、白娘は「運命を切り開く」と懸命に愛を貫こうとする。『遠い夏のゴッホ』のゲネプロを終えた山下は、引き締まった表情で「ここからいろいろと改善点もあるんですが、初めて劇場で通したのでとりあえず終えられてよかったです」「見える世界が違いました。まずは自分の役を明日の初日に向けて固めて、周りの方ともきちんとコミュニケーションをとりながら『遠い夏のゴッホ』という世界観を老若男女、多くの方に届けたい」。初日を迎える14日、ベアトリーチェ役で女優としての運命を切り開く。
2017年07月14日2017年8月11日(金)から8月20日(日)の夏休み期間中、ポーラ美術館でピカソにフォーカスしたイベント、「情熱のピカソ・ウィーク」が開催されます。美術鑑賞会、ギャラリートークやデコパージュ体験のほか、箱根ならではの自然観察も楽しめる盛りだくさんなイベントです。「情熱のピカソ・ウィーク」期間中、小中学生の入館が無料に!「情熱のピカソ・ウィーク」は、8月11日(金)〜20日(日)までの開催です。期間中は、小中学生の入館が無料になります。対照的な画家ピカソとシャガールに光を当てる世界初の美術展、この機会に訪れてみてはいかがでしょうか。さまざまなイベントが用意されています。●夏休み子ども美術鑑賞会学芸員と子どもたちが同じ目線で対話をしながら作品を鑑賞し、自由な発想を引き出す「対話型ギャラリートーク」です。「ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌」展の会場をめぐります。実物の作品に楽しく触れる絶好の機会ですね。日時:8月11日(金)10:00〜12:00会場:ポーラ美術館講堂および展示室対象:小学校3年生から6年生定員:児童30名( 定員になり次第締切。)参加費:無料 参加する児童は入館料無料、保護者は1名まで無料、追加1名につき1,500円。※駐車料金は別途500円)参加方法:電話またはHP(問い合わせフォーム)より事前申込。参加者氏名(ふりがな)・学年・保護者氏名(ふりがな)・住所・電話番号(またはメールアドレス)を明記してください。締切:8月7日(月)●開館15周年記念特別講演会 「30年代のピカソ ― 愛と怒りの造形とルーツ」ファシズムの台頭とスペイン内戦の勃発。ヨーロッパが迫りくる第二次世界大戦の不安に覆われた1930年代、パブロ・ピカソはいかにして、その波に立ち向かったのでしょうか。《ゲルニカ》制作の経緯やシャガールとの知られざる交流について、ピカソ研究の第一人者である大髙先生を招いての講演会が開かれます。日時:8月12日(土)14:00〜15:30(開場13:50)講師:大髙保二郎(早稲田大学名誉教授)会場:ポーラ美術館講堂定員:先着100名参 加 費:無料 ※要当日入館券●箱根彫刻の森美術館×ポーラ美術館学芸員によるクロストーク「ここがすごいぞ!ピカソトーク!」日本最大のピカソ・コレクションを有する2つの美術館、彫刻の森美術館とポーラ美術館の学芸員が、ピカソ作品の魅力について語り合うクロストーク。彫刻の森美術館とポーラ美術館の両館にて計2回開催されます。日時:8月13日(日)14:00〜15:00(受付13:50~)ポーラ美術館 講堂および展示室8月20日(日)13:30〜14:30(受付13:20~)彫刻の森美術館ピカソ館講師:黒河内卓郎(彫刻の森美術館 学芸員)東海林洋(ポーラ美術館 学芸員)定員:各回先着30名参 加 費:無料 ※要当日入館券●夏休み子ども自然観察会夏の木漏れ日につつまれた遊歩道を、植物や動物などの豊富な知識をもつネイチャーガイドスタッフと散策します。日時:8月15日(火)・16日(水)11:00〜12:0014:00〜15:00会場:遊歩道(荒天中止)定員:各回先着20名様大人の方も参加可参 加 費:無料 ※要当日入館券協力:箱根ビジターセンター●夏休みクラフト体験「デコパージュで作るオリジナルフレーム」ピカソの絵画をイメージしながら、フレームを好きな模様に装飾するワークショップ。出来上がったフレームに、好きなピカソのポストカードを飾って持ち帰ることができます。日時:8月17日(木)・18日(金)11:00〜15:00 随時受付会場:1階 ミュージアムショップ参 加 費:600円(材料費・ポストカード代含む)●スパニッシュ・コネクション・コンサートフラメンコ・ギター、ヴァイオリン、タブラといった楽器と共に、音楽で旅をするというコンセプトのもと、2000年に結成されたスパニッシュ・コネクション。スペイン/フラメンコ音楽を中心に、情熱的なライブを開催します。日時:8月19日(土)17:00〜18:00出演:スパニッシュ・コネクション伊藤芳輝(Yoshiteru Ito) - Guitar/ 平松加奈(Kana Hiramatsu) - Violin /吉見征樹(Masaki Yoshimi) - tabla会場:地下1階カフェ チューン定員:100名参 加 費:無料※要当日入館券参加方法:事前申込制HPより申し込み●香水作りワークショップ「香りの教室」香りの専門家を講師に招き、香りのメカニズムや香料について学びながら、オリジナル香水作りを体験できます。日時:2017年8月20日(日)14:00〜15:30講師:山本めぐみ(ポーラ化成工業株式会社横浜研究所研究員)会場:ポーラ美術館講堂定員:先着20名参 加 費:1,500円 (アトマイザー付)参加方法:事前申込制HP(お問い合わせフォーム )より申し込み●特別クイズシート「ピカソとシャガールからの挑戦状」期間中、ピカソとシャガールにまつわるクイズシートを受け付けカウンターで配布されます(小中学生対象)。イラスト化された絵の一部をヒントに、展覧会場で本物の作品を探し、楽しみながらじっくりと鑑賞しましょう。●「ピカソとシャガール愛と平和の讃歌」について絵画の革新に挑み続け、力強い線描により対象を激しくデフォルメする「破壊と創造の画家」として知られるパブロ・ピカソ。そして、あざやかな色彩により絵画を光で満たし、生涯にわたって自身の人生の物語や故郷の風景を主題に取り組んだ、「物語と色彩の画家」シャガール。ポーラ美術館開館15周年記念展「ピカソとシャガール愛と平和の讃歌」では、20世紀の芸術を牽引した対照的な二人による約80点の作品を展覧し、二人の芸術の本質に迫ります。会期:2017年3月18日(土)~9月24日(日)※会期中無休開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)会場:ポーラ美術館所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285電話:0460-84-2111公式サイト:
2017年07月12日日本でも人気の画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853ー1890)は、浮世絵など日本美術に強い興味を抱いていたことが知られている。一方で日本でのゴッホブームも意外に早く始まっており、彼の死後30年が経った1920年代には、多くの日本人画家がフランス・オーヴェール(ゴッホの没した地)を訪れている。今夏開催される『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』は、ゴッホが愛した“日本”とその作品の軌跡をたどると共に、日本の画家や作家がゴッホから受けた影響までを展示する大規模な展覧会だ。オランダにあるファン・ゴッホ美術館と6年をかけた初の本格的共同企画展で、日本初公開作品も目白押しというから見逃せない。ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 チケット情報3月14日に行われた会見では、総合監修を務めた圀府寺司氏(大阪大学文学研究科教授)が本展のユニークな内容を解説。第1部「ファン・ゴッホのジャポニズム」では、オランダに生まれ、1886年にはパリに移ったゴッホが、浮世絵などから構図や色彩を学んでいく課程が示される。渓斎英泉の『雲龍打掛の花魁』を模写し、理想郷“日本”に似た風景を追い求めて移り住んだアルルでは『雪景色』(日本初公開)を描き上げたゴッホ。「雪の中で雪のように光った空を背景に白い山頂を見せた風景は、まるでもう日本人の画家たちが描いた冬景色のようだった」と自ら語るとおり、その灰色の色彩は確かに日本の寒村を思わせる。また『寝室』については「日本人はとても簡素な部屋で生活した」「(この作品では)陰影は消し去った。浮世絵のように平坦で、すっきりした色で彩色した」とも語っており、日本文化そのものへの敬愛がうかがえる。続く第2部「日本人のファン・ゴッホ巡礼」では、今度はゴッホに魅せられた日本人の、ゴッホへの想いが明らかにされる。ゴッホの死後まもなく彼の生涯や作品を紹介したのは、武者小路実篤や岸田劉生ら白樺派と、その周辺の文学者や画家たち。ゴッホを看取ったガシェ医師の家には、生前売れなかったゴッホの作品が残されていたこともあり、多くの日本人が同家を訪れて芳名録に署名した。本展ではこの芳名録(フランス・ギメ東洋美術館蔵)を日本初公開するほか、同地を描いた佐伯祐三ら日本人画家の作品や、日本画家の橋本関雪がガシェ家を訪問した際の記録映像など、貴重な動画も併せて公開される。本展は北海道立近代美術館(8月26日~10月15日)、東京都美術館(10月24日~2018年1月8日)、京都国立近代美術館(2018年1月20日~3月4日)と巡回。その後はアムステルダムのファン・ゴッホ美術館でも開催され、カタログは最新の情報を盛り込んで日本語、英語、オランダ語など数ヶ国語で出版される予定だ。ここでしか見られない、人間・ゴッホのリアルな姿。想像以上の日本との関わりに、新鮮な感動を呼び覚まされる展覧会になりそうだ。取材・文佐藤さくら
2017年06月30日箱根、仙石原にあるポーラ美術館が開館15周年展「ピカソとシャガール~愛と平和の賛歌~」を、2017年3月18日(土)から9月24日(日)まで開催する。【概要】ポーラ美術館開館15周年展「ピカソとシャガール~愛と平和の賛歌~」会期:2017年3月18日(土)~9月24日(日)※会期中無休、ただし展示替のため、5月12日(金)は一部閉室。6月21日(水)は休室(常設展示のみ)開館時間:9:00~17:00 (入館は16:30まで)出品点数:絵画(油彩画、水彩画、版画他:約80点)、タペストリー(3点)、合計約80点「破壊する画家」ピカソと「語る画家」シャガール。世界初の二人展パブロ・ピカソ(1881-1973)とマルク・シャガール(1887-1985)は、ともに20世紀を代表する芸術家と言っても過言ではない。ポーラ美術館開館15周年を記念する展覧会「ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌」では、二人のライバル関係に光を当て、彼らの初期から晩年までの作品をたどることで、それぞれの新たな芸術家像を浮かび上がらせていく。一見、対照的な芸術家に見える二人だが、これまでの作品を比べ合わせたとき、絵画における対象の変形や色彩といった二人が追究した課題において、また「愛」や「平和」という主題において、共通する取り組みも見られる。約80点の作品を通して、ときに近づき、あるいは相反して独自性を際立たせる二人の芸術の本質に迫る。展示される作品は、パリ国立ピカソ美術館から、近年評価が高まっている晩年における代表作「画家と子ども」ほか、「習作:アルルカン、ギヨーム・アポリネールとアンリ・ドロルメルの戯画的肖像画」等の版画を含む計6点を借用。更に、シャガールの円熟期の作品、「青い顔の婚約者」をはじめ、「サン=ポールの上の恋人たち」、「パエトーン」を貴重な個人コレクションより借用して展示を行う。シャガールが戦後に南フランスにアトリエを構え、豊かな自然のなかで色彩表現を一層成熟させたころの作品だ。また、幅6mを超える2点の巨大タペストリーにも注目。二人は、戦争、そして平和への願いを大型作品込めている。ピカソは、1937年にスペインの都市ゲルニカへ無差別の空爆を壁画《ゲルニカ》に、シャガールは第二次大戦後、記念碑的な壁画やステンドグラスを手がけた。戦後のフランスでは、人間性の復権を求めて伝統ある職人の仕事を見直す機運が高まり、芸術家たちと職人との協働が盛んに行われ、ピカソとシャガールの原画をもとに、卓越した技術を誇る織師の手によってタペストリーが制作された。本展覧会では、2人の画家の巨大タペストリーによって、それぞれの芸術家の格闘と、織り込まれた深遠なるメッセージを体感できる。※作品ごとに展示期間が異なる。【本展に出品されるタペストリーの展示期間】《ゲルニカ(タピスリ)》原画:パブロ・ピカソ期間:3月18日~5月11日《ミノトーロマシー》原画:パブロ・ピカソ期間:5月13日~9月24日《平和》原画:マルク・シャガール期間:全会期「愛のシャガール・ウィーク」で香水作りやトーク&コンサートを楽しむ2017年4月29日(土)から5月7日(日)のゴールデンウィーク中にシャガールにフォーカスをあてた「愛のシャガール・ウィーク」を開催。この期間、小・中学生は無料で入館できるので、家族には嬉しい企画だ。さらに、展覧会に関連した、ポーラ美術館館長による講演会やシャガールが愛したクレズマー音楽のコンサート、人気の香水作りワークショップ、箱根の自然を楽しめる自然観察会などイベント盛りだくさん。ぜひ、ゴールデンウィーク期間にあわせて足を運んでみて。【イベント概要】■4月29日(土) 館長による講演会「ピカソとシャガールの生涯ー20世紀最大の劇芸術」内容:開催中の企画展「ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌」展の開催を記念して、本展の監修者である当館館長木島俊介による講演会を開催。講師:木島俊介(ポーラ美術館館長)日時:2017年4月29日(土)14:00~15:00会場:地下1階講堂定員:先着100名様参加費:無料 ※当日入館券が必要■4月30日(日)香水作りワークショップ「香りの教室」人気講座、失敗しない香水作りワークショップ「香りの教室」香水は、ただ香料をまぜればできる、というものではなく、「いい香り」にするには、知識や経験が必要。初めての人でも失敗しない香水を作る法則で特許を取得しているポーラ化成工業から講師を招き、香水の香りのメカニズムや香料について学びながらその法則にそって、オリジナル香水作りを楽しめる。日程:2017年4月30日(日)14:00-15:30会場:ポーラ美術館地下1階講堂参加費:1,500円 (アトマイザー付)定員:先着20名参加方法:事前申込制。※お問い合わせフォームより申し込み。協力:ポーラ化成工業株式会社■5月3日(水)シャガールが描いた音楽 トーク&コンサート「シャガールの故郷で愛されたクレズマー音楽に触れる」オルケステル・ドレイデルが奏でる、シャガールが聴いていた東欧ユダヤ音楽・クレズマーの演奏に加え、音楽の魅力や絵画との関わりについて、演奏者と当館学芸員とのクロストークを楽しめます。出演:オルケステル・ドレイデル日程:2017年5月3日(水・祝)・トークイベント15:30~16:30・コンサート17:10~18:00※コンサート終了後、「強羅駅」「仙石案内所」行きの臨時バスを発車(無料)会場:地下1階講堂/カフェチューン定員:70名参加費:無料 ※当日入館券が必要URL:
2017年04月29日女優の山下聖菜(18)が、西田シャトナー氏の作・演出舞台「キティエンターテインメント×東映 PresentsSHATNER of WONDER #6『遠い夏のゴッホ』」でヒロインを演じることが21日、分かった。主演は安西慎太郎(23)。7月14日から23日まで東京・天王洲銀河劇場、7月29日・30日に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。『遠い夏のゴッホ』は、2013年に松山ケンイチが初舞台として出演したことでも知られる作品。主人公がセミ、そのほかの登場人物もすべて人間ではないという奇妙な設定ながら、究極の純愛を描いて話題に。恋人よりも1年早く羽化してしまったユウダチゼミ・ゴッホは、生き抜くことを心に決め、セミには絶対に不可能な越冬の大冒険に挑む。西田氏は、「演劇に再演は存在しない。すべては『上演の続き』である」という信念のもと、2013年の上演から構想を練り続け、脚本を改稿。演出手法も新たなものになるという。身体能力と演技力を兼ね備えた俳優陣をそろえ、「異種族である生物たちを演じ、なおその中にある種族を超えた普遍的感情」を演じる。山下は、2015年の舞台『NEW WORLD』で本格デビューを飾った女優。その鋭い眼差しが同事務所・スウィートパワーの先輩である黒木メイサをほうふつとさせるとしてマスコミでも注目を集め、舞台出演を重ねている。
2017年04月22日ピカソがデザインした陶器作品に焦点を当てた展覧会「Picasso Ceramics 不変の色彩を求めて」が、大阪・NUKAGA GALLERY OSAKAと東京・NUKAGA GALLERYの2会場で開催される。期間はそれぞれ2017年5月10日(水)から5月31日(水)、2017年6月8日(木)から6月29日(木)まで。20世紀を代表する芸術家として誰もがその名を知るパブロ・ピカソ。その絵画作品で広く知られるピカソだが、平面の絵画のみならず立体的な彫刻の分野にも関心を寄せており、1937年の大作ゲルニカで世界的な芸術家としての地位を確立したのち、60歳代のピカソは、南フランスのヴァロリスで陶芸の魅力に出会う。そこでは、油絵具とは全く異なる焼成の加減や釉薬の発色など、初めて扱う素材に苦心しながら、ヴァロリス・マドゥーラ窯の陶工の技術とピカソの大胆な発想によって独自の作品群が生み出された。そしてそれらは、絵画や彫刻といったジャンルを超越したひとつの芸術として確立され、同時代の日本の陶芸家たちにも注目されたという。本展では、1940年から60年代のピカソの陶器など立体作品を中心に、油彩や版画作品を展示。没後40年以上を経た今なお、世界で愛され一層の注目をあつめるピカソの陶器作品を一堂に紹介する。【開催概要】Picasso Ceramics 不変の色彩を求めて会期:2017年5月10日(水)~5月31日(水)/NUKAGA GALLERY OSAKA(大阪)2017年6月8日(木)~6月29日(木)/NUKAGA GALLERY(東京)開廊時間:10:00~18:00 ※日曜のみ休廊入場料:無料<会場詳細>■NUKAGA GALLERY OSAKA住所:大阪市北区西天満5-8-8 2FTEL:06-6362-1038アクセス:JR 大阪天満宮駅 徒歩5分、地下鉄谷町線 南森町駅(1番出口) 徒歩3分■NUKAGA GALLERY住所:東京都中央区銀座2-3-2 3FTEL:03-5524-5544アクセス:JR 有楽町駅(中央口) 徒歩5分、東京駅(八重洲南口) 徒歩10分、東京メトロ 有楽町線 銀座1丁目駅(3番出口)徒歩1分、丸の内線・銀座線・日比谷線 銀座駅(C6・C8・C9出口)徒歩4分、銀座線 京橋駅(2・3番出口)徒歩5分
2017年04月09日日本初、オランダのファン・ゴッホ美術館との国際共同プロジェクト「ゴッホ展巡りゆく日本の夢」が開催される。北海道立近代美術館では2017年8月26日(土)から、 東京都美術館では10月24日(火)から、 そして京都国立近代美術館では2018年1月20日(土)から順次開催される。日本を夢想したファン・ゴッホ。そして、ファン・ゴッホに憧憬した日本人。その交差の軌跡をたどる本展は、「ファン・ゴッホのジャポニスム」と「日本人のファン・ゴッホ巡礼」の2部構成に分け、関係性を両方向から検証する。第1部 日本に魅了されたファン・ゴッホファン・ゴッホは、パリの画商店で大量の浮世絵と出会い、鮮やかな色彩や質の高さにひどく感銘し、魅了された。その大きな衝撃は幾度となく彼自身の作品に投影され、肖像画の背景に描き込むほどだった。第1部では、国内外のコレクションより厳選した《タラスコンの乗合馬車》、《雪景色》など4つの作品を日本初公開。さらに、彼が描いた浮世絵の模写や構図や色彩の表現様式、理想郷として夢見ていた日本のイメージを反映した作品など約40点を展示する。また、浮世絵をはじめとする約60点の日本美術作品もあわせて公開。さまざまな角度から日本の影響を紐解いていく。第2部 日本人のファン・ゴッホ巡礼1890年、この世を去ったファン・ゴッホ。彼の最期を看取った医師・ポール=フェルディナン・ガシェ一家は、残されたファン・ゴッホの作品の多くを大切に所蔵していた。それら作品を一目見ようと、彼の生涯や作品に強い憧れを抱いた日本の小説家や学者、美術家たちは、ファン・ゴッホ終焉の地オーヴェールにあるガシェ家を訪れた。その記録として「芳名録」に、240人あまりの来訪者が名前を残したのだった。第2部では、フランスのギメ東洋美術館に所蔵されている3冊の「芳名録」を日本初公開。さらに、近代日本の知識人たちが訪れたオーヴェール巡礼の実相を、約80点の豊富な資料からたどる。加えて、ここでは洋画家・佐伯祐三の《オーヴェールの教会》、前田寛治の《ゴッホの墓》といった、巡礼によって描かれた日本近代絵画の名作も展観できる。さらには当時の写真や手紙などの資料、日本画家・橋本関雪がガシェ家訪問時に撮影した貴重な映像もあわせて紹介する。ゴッホの自画像が12年ぶりに来日さらに、ゴッホの自画像が12年ぶりに来日し、全会場で公開されることが決定した。本作は、パリ滞在中の最後期に描かれたもので、彼の自画像の中でも高さ60cmを超えるひときわ大きいもの。近くに寄って眺めると、実に細かなタッチが入念に重ねられている。画面全体は静謐としていながらも、青やオレンジなど様々な色彩の連なりに、ゴッホのエネルギーを感じさせる1枚だ。ウェスティン都ホテル京都では開催記念メニューもまた、ウェスティン都ホテル京都のレストラン「グランドビュー」では、出展作品やゴッホにちなんだシェフの感性溢れる料理の数々を、期間限定ランチで販売。南仏アルルの風景に見たてたノルウェーサーモンのマリネや、『種まく人』をイメージした彩りで盛り付けられた、牛肉の赤ワイン煮込みの京都産野菜添えなど。さらに、ティールーム「メイフェア」では、 南仏の風景をイメージしたレモン・ライム・ラズベリーのムースを使用したケーキも登場する。開催概要展覧会「ゴッホ展巡りゆく日本の夢」■札幌展会期:2017年8月26日(土)~10月15日(日)会場:北海道立近代美術館住所:北海道札幌市中央区北1条西17丁目開館時間:9:30~17:00※会期中の金曜日は19:30まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(9/18、10/9を除く)、9月19日(火)、10月10日(火)問い合わせ:011-644-6882観覧料:一般 1,500円(1,300円)、高大生800円(600円)、中学生600円(400円)、小学生以下無料(要保護者同伴)※()内は前売りと10人以上の団体料金■東京展会期:2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月・祝)※11月15日(水)、12月20日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料(要証明)会場:東京都美術館住所:東京都台東区上野公園8-36開室時間:9:30~17:30※会期中の金曜日、11月1日(水)、2日(木)、4日(土)は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)休室日:月曜日(1/8を除く)、年末年始休館 12月31日(日)、1月1日(月・祝)問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)観覧料:一般 1,600円(1,300円)、大学生・専門学校生 1,300円(1,100円)、高校生800円(600円)、65歳以上1,000円(800円)※()内は前売りと20人以上の団体料金※中学生以下は無料■京都展会期:2018年1月20日(土)~3月4日(日)会場:京都国立近代美術館住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町 京都国立近代美術館開館時間:9:30~17:00 ※金・土曜日は20:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(2/12を除く)、2月13日(火)問い合わせ:075-761-4111観覧料:一般 1,500円(1,300円)、 大学生 1,100円(900円)、高校生600円(400円)※()内は前売りと20人以上の団体料金※中学生以下は無料「ゴッホ展巡りゆく日本の夢」開催記念メニュー■「巡りゆく日本の夢」ランチコース開催場所:ウェスティン都ホテル京都 3階レストラン「グランドビュー」時間:11:30~14:30料金:1人 3,300円/チケット付 4,500円特典:「ゴッホ展」チケット半券を提示で開催記念メニュー料金を10%割引 ※他の特典・割引との併用不可メニュー内容:・ノルウェーサーモンのオレンジマリネ アルルの風景に見立てて・ムール貝入りピストースープ サフラン風味・牛肉の赤ワイン煮込み 京都産野菜添え『種まく人』 をイメージして・マンゴーのアイスクリーム クロカンブッシュ『ひまわり』をイメージして・コーヒーまたは紅茶■プロヴァンス開催場所:ウェスティン都ホテル京都 1階ティールーム「メイフェア」時間:10:30~21:00料金:・単品 (テイクアウト)600円、(イートイン)660円・ドリンクセット 1,650円特典:「ゴッホ展」チケット半券を提示で開催記念メニュー料金を10%割引 ※他の特典・割引との併用不可
2017年03月17日木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、『ゴッホの椅子』。愛知・名古屋の支店・ナディッフ愛知(愛知県名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下2階)によるご紹介です。■『ゴッホの椅子―人間国宝・黒田辰秋が愛した椅子。その魅力や歴史、作り方に迫る』久津輪雅本書は、1920年代から起こった民芸運動の指導者たちによって日本に紹介されたことから始まり、いつしか日本で「ゴッホの椅子」と呼ばれるようになった椅子にまつわる1冊。この「ゴッホの椅子」に出会い魅せられた工芸家・黒田辰秋を中心とした相関関係やスペインでの現地取材、ゴッホの椅子に魅せられた人々へのインタビューといった多様な角度から、ゴッホの絵画にも描かれたスペイン製の椅子のルーツを紐解いていく。当時はかなりの数が輸入され日本各地の百貨店で販売されたそうだが、日本に現存するオリジナルの椅子は日本各地の民芸館に数脚ずつ残るのみという。身近にある材料と僅かな道具で作られ、日用品として必要な最低限の要素だけを備えたこの椅子は、スペインでも日本でも機械での製材が一般的となった現代では、全ての工程を手で製作したものを製品として流通させているメーカーは無いのが現状である。そこで、有志によるゴッホの椅子復刻プロジェクトが発足、河井寛次郎記念館に保存されている椅子を実測するなどして再現する活動が起こり、生木を使ったワークショップ「ゴッホの椅子づくり」が開催され、本書にも実際の椅子の作り方と共に掲載されている。現在、日本初の2人展「ゴッホとゴーギャン」展が愛知県美術館へ巡回中。これに合わせてナディッフ愛知では、本書にも製作指導で登場する加藤慎輔氏の協力のもと、復刻版「ゴッホの椅子」の注文を3月20日まで受け付けている。(受注製作商品/大人椅子 3万5,000、子ども椅子 1万5,000円)【書籍情報】『ゴッホの椅子―人間国宝・黒田辰秋が愛した椅子。その魅力や歴史、作り方に迫る』著者:久津輪雅発行元:誠文堂新光社言語:日本語ソフトカバー/160ページ/247×185mm発売:2016年6月価格:2,300円【展覧会情報】「ゴッホとゴーギャン」展会場:愛知県美術館住所:知県名古屋市東区東桜1-13-2会期:2017年1月3日~3月20日料金:一般 1,500円、高校・大学生 1,200円、中学生以下無料
2017年02月02日日本初上陸の作品15点を含んだ選りすぐりの作品たち1885年に創立されたデトロイト美術館はアメリカの公共美術館として初めてゴッホ、マティスの作品を取り入れた美術館で、コレクションは約6万5千点、年間の70万人以上の来訪客を誇る、アメリカを代表する美術館の1つです。今回はその中から選び抜かれた52点が展示されています。また、今回の展覧会の大きな特徴がカメラ撮影OKということ(月曜火曜のみ。フラッシュは禁止、一部SNS投稿禁止作品もあります)。美術展は撮影禁止のことが多いので、この機会に巨匠の名作をカメラに収めちゃいましょう!目玉作品のゴッホの「自画像」は一生に一度は見ておきたい!麦わら帽子をかぶり明るい色彩で描かれたゴッホの自画像は一番人気の作品だけあって撮影可能日と週末は特に混雑するそう。それもそのはず、この「自画像」はなんと100億円の価値があると言われている作品! 並んででも間近で写真をおきたくなります。他にも息子をモデルにしたルノワールの「白い服の道化師」やモネが妻カミーユを描いた「グラジオラス」など、有名作品が目白押しです。ヨーロッパ近代絵画の顔とも言える珠玉の作品を間近で見られて、カメラ撮影までできちゃう今回の展覧会。年末年始も開館しているのでお休み中にぜひ立ち寄って「奇跡のコレクション」に触れてみては?取材・文/藤井ちひろ店舗情報店名:デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~TEL・予約:03-5777-8600(ハローダイヤル)住所:東京都台東区上野公園1-2上野の森美術館アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分営業時間:9:30~16:30(但し、毎週金曜日9:30-20:00)※入館は閉館の30分前まで)2016年10月7日(金)~1月21日(土)
2016年12月29日スープ専門店スープストックトーキョーは、2016年10月24日(月)より、新商品「“ゴッホ”の麦畑のスープ(サフランと野菜のプロヴァンス風)」「“ゴーギャン”の麦畑のスープ(豚肉の煮込みプロヴァンス風)」の提供を開始する。ゴッホとゴーギャン、表現の異なるふたりの名画家の魅力に迫る「ゴッホとゴーギャン展」の開催を記念してスープストックトーキョーが考案したのは、二人の作品から着想を得たフレンチテイストのスープだ。「“ゴッホ”の麦畑のスープ」は、スペルト小麦のぷちぷちとした食感とサフランの風味でプロヴァンスの麦畑をイメージしたスープ。細かく刻んだ野菜で、ゴッホの鮮やかな色彩と力強い筆のタッチを表現した。一方の「“ゴーギャン”の麦畑のスープ」は、低温で煮込んだ豚肉に、ひよこ豆のペーストや大麦を合わせ、仕上げに紫玉ねぎのソテーをトッピングした一杯。記憶や想像から絵を描くゴーギャンの幻想的な作風をイメージしている。東京都美術館で開催中の展覧会を鑑賞した後は、ふたりの天才の作品に思いを馳せながら、味わい深い南仏風のスープで舌鼓を打ってみてはいかがだろう。【商品情報】「“ゴッホ”の麦畑のスープ(サフランと野菜のプロヴァンス風)」「“ゴーギャン”の麦畑のスープ(豚肉の煮込みプロヴァンス風)」販売期間:2016年10月24日(月)〜11月25日(金)※一週間ずつ交互に販売。※11月21日からの最終週は2商品ともに販売予定。販売価格:Rサイズ単品 630円(税込)販売店舗:Soup Stock Tokyo 全店(also Soup Stock Tokyo、おおきなスープストックトーキョー、家で食べるスープストックトーキョー各店を除く)
2016年10月15日「ゴッホとゴーギャン展」が10月8日により東京都美術館にて開催されている。本美術展はファン・ゴッホとゴーギャンという19世紀末に活躍した2人の偉大な画家をその交流からアルルでの共同生活を中心に、作風の変遷を初期から晩年まで辿ることができる、アジアで初めての美術展だ。展示は第1章「近代絵画のパイオニア」、第2章「新しい絵画、新たな刺激と仲間との出会い」では2人が影響を受けた画家の作品や、同時代に刺激しあった画家とのエピソードにまつわる作品があるが、一転して第3章以降の共同生活後はすべて2人の作品のみで構成。10月23日にアルルに到着し、12月25日にゴーギャンが去るまでの2ヶ月に与えあった影響の大きさを感じることができる。時代ごとに展示室の壁面の色が変えられているが、アルルの黄色い家で過ごした当時の作品が並ぶ展示室の壁は鮮やかな黄色だ。また、作品の近くには画商として活躍していたファン・ゴッホの弟テオや画家のピサロやベルナールなどへの書簡から引用したその当時の2人の感情を配し、当時の絵画に対する思いや、お互いへの印象などが来場者にもわかるようになっている。ファン・ゴッホが使用した絵具のなかには耐久性の低いものもあり、近年の研究によって年月の経過や光の影響で変色したり、色が薄れてしまうものがあることも判明。そのため、ファン・ゴッホ美術館では1885年後半以降のファン・ゴッホの絵画に当てる照明を75ルクスに制限している。これは国際博物館協会が油彩画に推奨する照度の150ルクスから180ルクスよりの半分以下だ。そのため、所蔵がファン・ゴッホ美術館以外の作品も含め、本展覧会では低い照度を設定している。会期は12月18日まで。東京都美術館での展示終了後は、2017年1月3日より愛知県立美術館にて巡回展示される。【展覧会情報】「ゴッホとゴーギャン展」■東京会場会場:東京都美術館 企画展示室住所:東京都台東区上野公園8-36会期:2016年10月8日~12月18日時間:9:30~17:30金曜日、11月2日、11月3日、11月5日は20:00まで※入室は閉室30分前まで料金:一般1,600円、大学生・専門学校生1,300円、高校生800円 、65歳以上1,000円休室日:月曜日、10月11日 ※ただし、10月10日は開室■愛知会場会場:愛知県美術館住所:名古屋市東区東桜1-13-2会期:2017年1月3日~3月20日時間:10:00~18:00金曜日は20:00まで※入館は閉館30分前まで休館日:毎週月曜日(ただし1月9日、3月20日は開館)、1月10日
2016年10月12日世界的な画家、フィンセント・ファン・ゴッホとポール・ゴーギャンに焦点を当てた日本初となる展覧会「ゴッホとゴーギャン展」が10月8日(土)から東京都美術館にて開催。この度、音声ガイドナレーターを務める声優の小野大輔と杉田智和の収録が行われ、コメントが到着した。19世紀末に活躍し、いまなお世界中の人々に愛されてやまないフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)とポール・ゴーギャン(1848-1903)。生い立ちや性格だけではなく、絵画表現も大きく異なる2人の画家。ファン・ゴッホは現実の世界から着想を得て、力強い筆触と鮮やかな色彩による作品を生み出し、ゴーギャンは、装飾的な線と色面を用いて、目には見えない世界をも絵画に表現しようとした。1888年、彼らは南仏アルルで約2か月の共同生活を送り、ともに制作し、時には激しい議論を重ねながら刺激を与え合ったという。本展では、この共同生活の記事を中心に、2人が影響を受けた画家との関係にも触れながら、共同生活後のそれぞれの歩みを展観。代表作を含む油彩画約60点を展示し、2人の画家の関係性や芸術性に光を当てる。本展の音声ガイドナレーターを務めるのは、実力派人気声優たち。ゴッホ役を務めるのは、アニメ「黒執事」「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」「進撃の巨人」など話題作でメインキャストを多数演じる小野さん。ゴーギャン役には、同じく「銀魂」「暗殺教室」ほか多くの人気作品に出演する杉田さん。「涼宮ハルヒの憂鬱」ほか数々の作品で共演を重ねる2人が、ゴッホとゴーギャンの関係性を身近に伝える“手紙”を紹介しながら、展覧会をナビゲートする。小野さんは、「僕自身も、展覧会に行くと必ず音声ガイドを聴いています。皆さんの絵を見る時間がより有意義になればと思い気合が入りました」と、初の音声ガイトに意欲十分。ゴッホを演じるにあたっては「ゴッホとゴーギャンは性格も作風も真逆の2人。杉田君の声と良い意味で対照的になるように意識して演じました」と明かした。一方、杉田さんは「展覧会は高尚なもの、という先入観や厳かな空気に萎縮しないように意識しました」と収録をふり返る。杉田さんもこれが初の音声ガイドだそうで、収録にあたりゴーギャンの人生を個人的に学んだという。その上で、「画家本人たちは後の世でこのように語られるとは思わなかっただろうなと思いました」と感想を寄せた。2人の起用について主催者は「手紙に垣間見える2人の心情を伝えるには、“聴かせる”声優さんにお願いしたい、可能であれば、『先輩後輩』『同士』『兄弟』のような関係を共演されたり、演じられる方がいればと…。今回、小野さんと杉田さんにお願いしたのは、なによりもナレーションの技術があることが最大の理由ですが、過去に共演歴もあり、ゴッホとゴーギャンの名画を前に、二人の関係性を身近に感じて頂けるのではないかと思ったからです。是非会場で、ゴッホとゴーギャンの残した『言葉』を堪能してください」と明かした。「ゴッホとゴーギャン展」は10月8日(土)から12月18日(日)まで東京都美術館にて開催。(text:cinemacafe.net)
2016年10月05日画家であるゴッホと彼を支え続けた弟テオの半生を描く『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』の上演にあたり、韓国発のこのミュージカルを日本版として創作していく3人が顔を揃えた。上演台本・演出の河原雅彦、ヴィンセント役の橋本さとし、弟テオ役の岸祐二である。韓国では、キャストふたりだけで濃密な物語を紡いでいくこと、さらに、プロジェクション・マッピングを駆使し、ゴッホの絵画がそのまま美術の一部になったりする舞台美術が話題を集めたこの舞台。さて、日本版が目指すものは。ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』チケット情報韓国での公演を目にしてきた河原は、やはりプロジェクション・マッピングの使い方が印象に残ったそうだ。「今はマッピングと芝居が連動する舞台も珍しくないんですけども、より細かく複雑な使い方をしていて、面白いアイデアがいっぱい詰まっていた。ここでの映像は、すでに作品の一部として内包されていて、細部まで仕上がっているので、それは構造上外せない。その分じゃあ、演出として何ができるのかと思いヴィンセントとテオの関係を調べていくうちに気が付いたのは、ふたりはただ狂った兄とやさしい弟ではなく、もっと人間っぽかったということ。いびつで生々しいふたりを提示することで、韓国版とはまた違うエンターテインメントを作れるんじゃないかと思ってるんです」。橋本も言う。「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホといえば狂人的なイメージがあるけど、おそらく彼としてはただ普通に生きてるだけだったと思うんです。それが周りの常識からはみ出していただけで。だから、僕としてはどこかのほほーんと存在していたいなと思うんですね」。そのヴィンセント本人が無意識に放つものを信じ続けたテオを岸は、「兄を助けることが自分の救いになるという共依存の関係だったんじゃないか」と分析し、「そういう根底にあるいびつな感情とか、感情のぶつかり合いを、この作品では音楽に乗せることで見やすく変換しているんです」と付け加える。「あの爽やかな曲のなかにいびつさをどう出していくか。陽のメロディのなかに陰な部分を組み入れることで、ヴィンセントとテオのエキセントリックで複雑なものが出たらいいなと思いますね」と橋本も意欲的だ。「韓国版のように『こんな兄弟愛、素敵でしょ?』というシンプルな手触りにはならないと思います(笑)。でも、ふたりのこの過剰さは、ピュアだから生まれたものだし、過剰さは時にファンタジーにも似た感動を覚える。ゴッホって色々な切り口で語れる面白い題材だなと改めて思います」と河原が最後に語る。どこまでも突き抜けて生きた人間を観ることは、それが叶わない現状を少しでも打破する力になるかもしれない。公演は9月2日(金)東京・かめありリリオホール、9月7日(水)から24日(土)まで東京・紀伊國屋サザンシアターにて。チケットの一般発売は7月23日(土)午前10時より。取材・文:大内弓子
2016年07月04日「デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜」が東京・上野にある上野の森美術館で、2016年10月7日(金)から2017年1月21日(土)まで開催。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソほか、まさに近代ヨーロッパ絵画の「顔」ともいうべき巨匠たち。1885年に創立したデトロイト美術館には、自動車業界の有力者らの資金援助を通じ、世界屈指のコレクションが集結。ゴッホやマティスの作品をアメリカの公共美術館として初めて購入したのもデトロイト美術館だという。100を超えるギャラリーには、古代エジプトから現代美術まで65,000点を超える作品を所蔵。それらの多様性も同館の特徴で、アフリカ、アジア、オセアニア、イスラム、古代美術などどの分野でも重要な品々を誇る。本展では、その中からコレクションの中核を成している印象派、ポスト印象派、20世紀フランス・ドイツの数々の傑作の中から選りすぐりの全52点を紹介。日本初公開の15点を含む作品を、4章に分けて解説する。展覧会の入り口である第1章では、印象派を代表するモネ、ドガ、ルノワールらの絵画などを中心に展示。戸外での作品を重視し、黒色や褐色を避けた鮮やかな配色を用いることで映し出される、その時代のパリの街並みや市民の日常生活が魅力的だ。第2章のポスト印象派では、日本初上陸となるゴッホ晩年の作品《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》やゴーギャンの《自画像》など、この時代を代表する画家たちの傑作を中心に展開。この章では、アール・ヌーヴォーと連動し、挿絵や版画、ポスター、家具などジャンルの垣根を越え創作活動をした「ナビ派」モールス・ドニやピエール・ボナールの作品も楽しむことができる。20世紀のフランス・ドイツ絵画は、第3・4章に分けて紹介。ドイツ人館長ヴィルヘルム・R・ヴァレンティナーの時代に収集されたものや、ピカソがキュビズム時代に描いた作品など、多様性とダイナミズムが息衝く時代を体感できる。また、2016年12月17日(土)、24日(土)、25日(日)の3日間は、夜間特別開館「クリスマス・ナイトミュージアム」を実施。夜間開館中は、展示室内に特設クリスマスツリーを設置し、通路に色鮮やかな電飾を飾り音楽を展示室内に流すなど、クリスマス仕様にイメージチェンジしている。【概要】デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜会期:2016年10月7日(金)~2017年1月21日(土)※休館日は10月21日(金)会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2開館時間:9:30~16:30(毎週金曜日、10月22日(土) 9:30〜20:00)※入館は閉館の30分前まで。観覧料:一般 1,600円、高校・大学生 1,200円、小・中学生 600円、小学生未満 無料※前売・団体は各200円引き(団体は20名以上、小・中学生は100円引き)<br />※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名様は無料。(要証明)【クリスマス・ナイトミュージアム概要】日程:2016年12月17日(土)、12月24日(土)、12月25日(日)時間:17:30〜19:00(入館は18:30まで)会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2料金:ペアチケット3,000円(税込)【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600(全日/8:00~22:00)■巡回予定・大阪市立美術館 会期:2016年7月9日(土)〜9月25日(日)住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1‐82※休館日:月曜日 (但し、7月18日、8月15日、9月19日は開館、7月19日は休館)開館時間:9:30~17:00 (入場は16:30まで)観覧料:一般 1,500円(1,300円)、高校・大学生 1,000円(800円)※()内は前売りおよび20名以上の団体割引料金※ペア券(一般のみ)プレイガイドのみで販売。販売期間は4月27日から7月8日まで※中学生以下、障がい手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。(要証明)。※本展は大阪市内在住の65歳以上も一般料金。・豊田市美術館会期:2016年4月27日(水)〜6月26日(日)※休館日:月曜日(但し、5/2は開館)住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1観覧料:一般 1,400円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料※前売・団体は各200円引き(団体は20名以上)※豊田市内在住、在学の高校生、障がい者手帳の所持者、市内75歳以上は無料(要証明)
2016年07月01日9月22日(木・祝)まで、東京都美術館にて「ポンピドゥー・センター傑作展―ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで―」が開催中だ。ポンピドゥー・センターは、フランスを代表する近現代美術の殿堂。世界屈指のコレクションより、今回ピカソの代表作「ミューズ」が初来日するほか、マティス、デュシャンなど、誰もが知る巨匠の傑作など、絵画、彫刻、写真、映像、デザインなど、多彩なジャンルから合わせて約70点が一堂に会する。展示内容は、20世紀に登場した様々な“イズム”など従来の枠組みにとらわれず、1906~1977年に時間軸を設定し、フランス20世紀美術を1年1作家1作品でたどる。展示デザインは、パリを拠点に活躍している気鋭の建築家・田根剛氏が手がけた独創的な空間。20世紀フランスの傑出した作品を巡りながら、アートな時間を過ごしてみては?(text:cinemacafe.net)
2016年06月17日19世紀末に活躍した偉大なる画家、ヴィンセント・ファン・ゴッホとポール・ゴーギャンの2人に焦点を当てた展覧会が開催される。ファン・ゴッホとゴーギャンは、1888年に南仏アルルで約2ヶ月の共同生活を送っていた。お互いの作品を評価し合い、時に議論を重ねながら刺激を与えあった時期の作品を中心に、画業の初期から共同生活後のそれぞれの歩みと作品の変遷を追うことができる展示となる。この展示にあたり行われた記者会見のため来日した本展の監修者で美術史家のシラール・ファン・ヒューフテンさんによると、この2人の芸術家について共同で紹介する展示はヨーロッパやアメリカではあったものの、アジアでは今回が初めてだという。「まず、多くの展覧会が彼らの作品を求めていること。美術館や個人の皆様も大切な宝を一時でも手放されるのはやはり躊躇されます。とくに、返却間もないとそのハードルは高くなります。またすでに他の展覧会のために予約をされていたり、絵画そのものの状態がよくなく、持ち出すことができない作品も多々あります」(ヒューフテンさん)今回は多くの困難を乗り越え、ファン・ゴッホとゴーギャンがそれぞれに「最高傑作」と認めたそれぞれの「収穫」が来日する。ゴーギャンの「収穫」は、日本初公開となる「ブドウの収穫、人間の悲惨」だ。同じアルルの農民の収穫の様子を異なるアプローチで捕え、描き出した作品を同時に鑑賞できる稀有な機会となっている。本展ではファン・ゴッホとゴーギャンの作品以外にも、1880年代の2人に影響を与えたバルビゾン派や印象派の作品、同時期にパリで活躍していたトゥールーズ・ロートレックなどのアバンギャルドな作品も展示。「ゴッホとゴーギャン展」は2016年10月8日から12月18日まで東京都美術館、2017年1月3日から3月20日までは愛知県美術館にて開催される予定だ。【展覧会情報】「ゴッホとゴーギャン展」■東京会場会場:東京都美術館 企画展示室住所:東京都台東区上野公園8-36会期:2016年10月8日~12月18日時間:9:30~17:30(金曜日、11月2日、11月3日、11月5日は20:00まで)料金:一般1,600円、大学生・専門学校生1,300円、高校生800円 、65歳以上1,000円休室日:月曜日、10月11日 ※ただし、10月10日は開室■愛知会場会場:愛知県美術館住所:名古屋市東区東桜1-13-2会期:2017年1月3日~3月20日時間:10:00~18:00金曜日は20:00まで(入館は開館30分前まで)休館日:毎週月曜日(ただし1月9日、3月20日は開館)、1月10日
2016年06月12日展覧会「ゴッホとゴーギャン展」が、2016年10月8日(土)から12月18日(日)までの間、東京都美術館で開催。また、2017年1月3日(火)から3月20日(月・祝)のまでの期間は、愛知県美術館にて巡回する。世界中の人々に愛され続けている画家、フィンセント・ファン・ゴッホとポール・ゴーギャン。それぞれ別々で展覧会を開催することは珍しくないが、二人の画家の関係性に焦点を当てた展覧会は日本初だ。本展では、所蔵する美術館からの借用が特に難しいというゴッホとゴーギャンの貴重な作品に加え、彼らに影響を与えた、モネやミレーらの作品約10点を含む、約60点が展示される。展覧会は年代順に5章で構成。ゴッホとゴーギャンが画家を志した当初の代表作品から、二人が共同生活中に描いた絵画、その共同生活が破たんした後のピースへと、順を追って鑑賞することができる。最終章では、ゴッホ死去の翌年、タヒチへ渡ってからゴーギャンが描いた作品も登場。注目はゴッホとゴーギャンが“収穫”という同じ主題を描き、お互いに最高傑作と認め合った2つの絵画だ。二人の絵画を見比べることができる特別な機会となる。また、お互いのことを念頭に描いた、ゴッホ作《ゴーギャンの椅子》と、ゴーギャン作《肘掛け椅子のひまわり》にも注目したい。日常生活や風景を写実的に浮き上がらせたゴッホと、次第に想像の世界を描くようになるゴーギャンとの芸術観の違いや影響関係を、実際の絵画を通して見ることができる。【開催詳細】ゴッホとゴーギャン展■東京展会場:東京都美術館 企画棟 企画展示室住所:東京都台東区上野公園8-36会期:2016年10月8日(土)~12月18日(日)休室日:月曜日、10月11日(火) ※ただし、10月10日(月・祝)は開室開室時間:9:30~17:30※金曜日、11月2日(水)、3日(木・祝)、5日(土)は9:30~20:00※入室は閉室の30分前まで入館料:一般 1,600(1,300)円、大学生・専門学校生 1,300(1,100)円、高校生 800(600)円、65歳以上 1,000(800)円※かっこ内は前売り券、団体での料金。※団体は20名以上。※中学生以下は無料。※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳を持参、およびその付添いの1名まで無料。※いずれも証明できるものを持参。前売券販売期間:2016年7月1日(金)~10月7日(金)まで予定【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600■愛知展会場:愛知県美術館住所:愛知県名古屋市東区東桜1-13-2会期:2017年1月3日(火)~3月20日(月・祝)休館日:月曜日、1月10日(火) ※1月9日(月・祝)、3月20日(月・祝)は開館。開館時間:10:00~18:00 ※金曜日は10:00~20:00※入館は閉館の30分前まで入館料:一般 1,500(1,300)円、高・大学生 1,200(1,000)円※かっこ内は前売り券、団体での料金。※前売りペアチケット 2,400円(一般のみ、2016年8月11日(木・祝)~9月30日(金)までの期間限定発売)※団体は20名以上。※中学生以下は無料。※「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」を持参、またその手帳に「第1種」または「1級」との記載者に付き添って観覧する1名まで当日料金が半額。※いずれも証明できるものを持参。前売券販売開始:2016年10月1日(土) ※販売期間は各販売所によって異なる。【問い合わせ先】TEL:052-201-3766
2016年06月10日横浜みなとみらいにある「横浜美術館」では、横浜の地元企業である富士ゼロックスと横浜美術館のコラボによる企画展「複製技術と美術家たち-ピカソからウォーホルまで」が6月5日(日)まで開催中だ。本展では、1988年以来「版画もしくはそれに類する手段で複数制作されたもので、その時代の精神や文化を表徴する作品」を指針として、欧米と日本の重要な作家による版画、写真、コピー・アート(ゼログラフィーによる作品)、アーティストブックなどを収集した富士ゼロックス版画コレクションが展示される。その数は現在約950点を擁し、その中の約350点がまとまって展示されるのは本展が初めて。さらに、版画コレクションに加えて、横浜美術館が擁する150点が合わせて展示され、約500点の作品展示を通して、写真印刷や映像などの「複製技術」が発達・普及し、誰もが複製を通して美術を楽しむことができる時代に、ピカソをはじめ20世紀の欧米を中心とする美術家たちが、どのような芸術のビジョンをもって作品をつくっていったのかを検証する。中でも、ドイツの文芸批評家ヴァルター・ベンヤミン(1892年ー1940年)の写真や美術に関する考察や発言に注目し、彼が著作中で言及した写真や美術の作品を展示している。ベンヤミンの論文「複製技術時代の芸術作品」は、その後の美術、写真、映画の評論だけでなく、メディア論や社会学、思想研究に大きなインパクトを与えたが、ベンヤミンの著述に登場する代表的な写真家や美術家たちの実作品を、美術史の流れの中で鑑賞することができる貴重な機会となる。さらに、この企画展では、富士ゼロックスのクラウド発信型音声ガイドサービス「SkyDesk Media Trek(スカイデスク・メディアトレック)」を提供しており、自分のスマートフォンやタブレットに、専用アプリをダウンロードして、無料で音声による展示作品の解説を楽しむことができる。解説は担当学芸員が書き下ろし、作品を目の前にしながら、制作の背景や他の作品とのつながりを知ることができるので、美術史に疎くても安心して作品を鑑賞することができる。気持ちの良い初夏の週末、横浜みなとみらいにお出かけのついでに、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろう。(text:cinemacafe.net)
2016年05月28日横浜美術館で企画展「複製技術と美術家たち-ピカソからウォーホルまで」が開催される。会期は、2016年4月23日(土)から6月5日(日)まで。富士ゼロックスと横浜美術館のコラボレーションで実現した企画展「複製技術と美術家たち-ピカソからウォーホルまで」。富士ゼロックスは、1988年以来版画コレクションとして、欧米と日本の重要な作家による版画、写真、コピー・アートなどを収集しており、現在は約950点を所有している。今回の展覧会では、版画コレクションからの約300点に加え、横浜美術館が擁する100点を加えた約400点が集結。写真印刷や映像などの「複製技術」が発達・普及し、誰もが複製を通して美術を楽しむことができる時代に、ピカソをはじめ20世紀の欧米を中心とする美術家たちが、どのような芸術のビジョンをもって作品をつくっていったのかを検証する。またドイツの哲学者、ヴァルター・ベンヤミンが言及した美術や写真の実作品を展示。特にベンヤミンの写真や美術に関する考察や発言に注目し、彼が著作中で言及した写真や美術の作例を紹介する。鑑賞できるのは、ベンヤミンが終生愛好したクレー、パリの古い町並みを写真に残したアジェ、さらにピカソ、ブラック、アルプ、マックス・エルンストなどの作品、ポール・エリュアールがマン・レイと共作した詩画集などだ。展内では、富士ゼロックスのクラウド発信型音声ガイドサービス「スカイデスク・メディアトレック」を活用し、来場者が持つスマートフォンやタブレット端末に音声ガイドを配信するサービスが提供される。解説を聞きながら、作品の美しさに酔いしれてみては。【概要】複製技術と美術家たち-ピカソからウォーホルまで会期:2016年4月23日(土)~6月5日(日)開館時間:10:00~18:00(夜間開館 5月27日(金)は20:30まで)休館日:木曜日 ※5月6日(金)、ただし5月5日(木・祝)は無料開館入場料:一般1,300円、大学・高校生700円、中学生400円、小学生以下無料、65歳以上1,200円(要証明書)
2016年04月25日世界の"民泊"情報サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」では、ゴッホの代表作のひとつである「ファン・ゴッホの寝室」の部屋をそっくりに再現した「Vincent Van Gogh(フィンセント・ファン・ゴッホ)の寝室」が登場した。場所はアメリカ・イリノイ州シカゴのリバーノース地区。宿泊料金は1泊10ドル(最大2名まで)。このたび、Airbnbのリスティング(同サイトに掲載される宿泊先を指す言葉)として登場したこの部屋は、米・シカゴ美術館で3月10日まで開催されているゴッホの代表作の1つ「ファン・ゴッホの寝室」の3つのバージョンすべてが北米で初めて公開される展覧会を記念して作られたもの。南フランスの古い良き時代を彷彿とさせる、同作品をそっくり再現した部屋に、最大2名まで、1泊10ドルで宿泊することができるという。また、予約はAirbnbのWebサイトにて行えるが、2月はすでに満室となっており、3月以降の予約可能日については改めてシカゴ美術館より発表されるとのことだ。ちなみに、フランスのアルルにも「ファン・ゴッホの寝室」を再現した部屋(The Van Gogh room: Ze place to be)のリスティングが投稿されており、宿泊することができるという。宿泊料金は1泊47ドル。なお、Airbnbは、世界中のユニークな宿泊施設を掲載、発見、予約できる"民泊"情報サイト。2008年、2人のデザイナーが宿泊先を探していた3人の旅人を家に泊めたところからスタート。現在は、世界各地でAirbnbの無料アカウントが作られ、空いている部屋の掲載およびユニークな宿への予約に利用されている。
2016年02月16日20世紀の近代彫刻に大きな足跡を残したスペインの彫刻家、フリオ・ゴンザレス(1876~1942)。その作品を集めた回顧展『スペインの彫刻家フリオ・ゴンザレス―ピカソに鉄彫刻を教えた男』が11月28日から世田谷美術館ではじまります。バルセロナ生まれのゴンザレスは、鍛冶職人の家で育ち、金属加工の技を身につけます。21歳のとき、画家を目指してパリへ移住。金工作品や宝飾品をつくって生計を立てながら、画家として活動を始めます。50歳を過ぎたころから、彫刻家として作品の制作を開始。旧友ピカソに鉄の溶接技術を教え、ふたりでコラボレーションしたことで彫刻の新たな可能性に目覚め、その後は斬新な鉄彫刻の作品を次々と発表。国際的にも注目を集めますが、スペイン内戦、さらには第二次世界大戦がはじまり、混乱のなかで生涯を閉じます。本展では、彫刻を中心に金工作品やドローイングなど計94点を体系的に紹介。パリ時代に手がけたネックレスなどの宝飾品から、抽象的でのびやかな鉄の彫刻作品まで、繊細かつダイナミックな作品を楽しめます。特にオススメの作品は、展覧会のチラシにも使われている名品《ダフネ》。まるで空間に絵を描いたように見えるしなやかな作品で、その独特なフォルムには遊び心も感じられます。固い金属素材を自由自在に扱えるゴンザレスならではの傑作です。戦後の彫刻家たちにも大きな影響を与えたゴンザレス。その足跡をたどる展覧会に、ぜひ足を運んでみて。イベントデータ:『スペインの彫刻家フリオ・ゴンザレス』会期:2015年11月28日(土)~2016年1月31日(日)※休館日は毎週月曜日。ただし、2016年1月11日は開館、翌12日は休館。年末年始(12月28日~2016年1月4日)は休館。時間:10:00 ~ 18:00 ※入館は閉館の30分前まで会場:世田谷美術館料金:一般 1,000円/65歳以上 800円/大学・高校生 800円/中・小学生500円※画像無断転載禁止
2015年12月11日パブロ・ピカソといえば、世界で最も有名なアーティストのひとり。誰もが知っている現代美術の巨匠です。しかし、そのピカソがじつにキュートな陶芸作品を大量に残していることは、彼の絵画作品ほどには知られていないのではないのでしょうか。『ピカソの陶芸』(パイ・インターナショナル刊)はその名のとおり、陶芸だけを200点以上収録したピカソの作品集。知らなかったピカソがいっぱいで新鮮です。監修者の岡村多佳夫先生にお話を伺いました。岡村多佳夫(おかむら・たかお)美術評論家。早稲田大学大学院博士課程修了。専門はスペイン美術史、近・現代美術史。「生誕100年記念ダリ回顧展」など美術展の監修を多く手がける。著書に『ピカソ──巨匠の作品と生涯』(角川文庫)など多数。2014年、長年勤めた大学を退任。現在、個人で美術史の寺子屋を開講すべく準備中。「陶器では、君は何もできない」──当然、ピカソの絵画は有名ですが、陶芸作品は意外に知られていませんね。「絵画って、いちいち細かい決まりがあって、わけわかんないところがあるでしょう」──えっ、わけわかんないって、どういうことでしょう!?「絵画というのは描くにあたって、構図であるとか、主題であるとか、考えないとならないことがいろいろあるわけです。陶芸は、そういう難しいことは考えないで済むから。割れ物だから壊れていくことが前提で、次から次へと自分が描きたいものを描いている。形がある程度でき上がっているところに、好き勝手にどんどん描けるわけです」──形ができ上がっている、というのは?「ピカソは南フランスのマドゥーラ工房で陶芸をやっていたんだけれど、基本はその窯元にある焼き物に絵付けをしていたんです。だから、共同制作ですね」──半分、他人の手が介入しているし、焼き上がってくるまでどうなるかわからない、コントロールしきれないところがあったんですね。「ガラスも同様、火を使う芸術ってそうで、自分が手出しできない部分があるんですね。リトグラフなんかの版画も、刷り師によって変わってしまうけれども」──本のなかにも、「陶器は版画のような機能を持つ。焼くことは刷ることだ。そのときに君が表現したものが何かを知る。刷り上がったとき、それはもはや彫ったものではない。陶器では、君は何もできない」というピカソの言葉が紹介されていました。陶器制作には、自分の想像を超えるおもしろさがあったんでしょうね。「落書きのようなものだよね。息抜きでもあったんだと思いますよ」──息抜きでさえ、制作なんですねえ。「なんか描いてないとダメなんですよ、あの人は。マラソンランナーなんかでもよく、走ってないと体調が悪くなるなんていうけど、それと同じじゃないかな? それに、制作が娯楽、趣味だったんだと思います。だから描き続け、つくり続ける。ピカソは多作で知られてるけれど、数があるのも不思議ではないんです」陶芸は自由に描くためのツール──本では、作品の合間にピカソの言葉が時折挟まれているのが印象的です。本全体のリズムもつくる役割も果していますが、そのなかのひとつに「ラファエロのように描くには4年かかった。子どものように描くのは一生かかった」という言葉があります。「ただ描くだけではなく、アートに昇華する訓練を幼少時からやっているから。ピカソは、絵画とは何かということをずっと探求していました。絵でも陶芸でも、そこに精神性は求めていない。だから彼は抽象画を描かなかったんです。絵画という平面のなかで三次元のものを描くにあたり、どうやって本物らしく見せるか、つまり、表現の方法を追求していた。それが、あるときはキュビスムになったわけです。あれは形と、そのまわりの空気をどう表現するかという命題だから。だからこそ、デヴィッド・ホックニー然り、フランシス・ベーコン然り、横尾忠則然り、画家の連中はピカソを特別視していった。絵画とは何であるかを見せつけているという意味で、ピカソは特別な存在なんです」──ゴッホのような精神性の特異さによる表現ではなく、あくまでも表現のうえでのバリエーションが評価されているんですね。「子どもは、たとえば人間を描くとき、顔から描き始めますよね。画用紙いっぱいに顔から描くから、頭でっかちで、体はおまけでくっついてるみたいになる。大人から見るとそれは変なバランスだけれども、子どもにとっては普通のこと。いちばん見えてくるものは顔であって、そう見えてるから、そう描いているだけなんです。けれど、絵画としてそれをやろうとすると、難しい。それで苦労してるわけ」──だって、すでに大人の見方や考え方をもっちゃってるわけですもんね。「そう。彼は美術学校で学んでもいたわけだから。だから、わかる・わかんないは、どうでもいいんです。ガラクタでもなんでも、くっつけちゃえば新しいものになる。そういうものを考えていくのが好きだったんですね。でも、絵画の場合はいろんな取り決めがあるから。どうしてもフレームという制限があって、そのなかで構図を考えていくものだから、その時点で子どものように無邪気には描けないわけです。陶芸はその点で、自由気ままに制作できるツールだったんでしょう」──なるほど。ピカソが陶芸に没頭していった理由がわかった気がします!国内でピカソの陶芸作品を所蔵しているのは、箱根の彫刻の森美術館。また、洋菓子店ヨックモックはコレクションをもっているので、青山本店の店内に飾ってあるのが見られます。子どものように無邪気に、感性のまま描いたピカソの陶芸。本で、実物で、解放的なピカソにふれてみてください。『ピカソの陶芸』監修・解説 岡村多佳夫発行 パイ・インターナショナル価格 ¥2,300(税別)ピカソが没頭した陶芸の作品を201点収録。ピカソの陶芸の世界をポップで楽しく、テンポよく眺められるのは中島基文氏のブックデザインによる。時折挟まれている生前のピカソの写真や言葉が内容に厚みを加えている。
2015年09月03日オランダのデザイン会社であるバガブーはこのほど、ヴァン・ゴッホ美術館とのコラボレーションベビーカーを発表した。同社はベビーカーやその関連商品を制作する会社として1999年に創業。現在では世界50カ国以上で製品販売を行っている。今回発表となった「Bugaboo Bee3 + Van Goghコレクション」は、フィンセント・ファン・ゴッホの作品「花咲くアーモンド」の世界観を体現したデザインとなっている。ベビーカーの本体とハンドル部分には、アーモンドの木の色とマッチした光沢あるグリーンを採用し、絹のような滑らかさのサンキャノピーにはアーモンドの枝の柄をプリントした。「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ作品の中でも特にユニークで、新しい命の始まりを感じさせる情景を描いた『花咲くアーモンド』は、生まれたばかりのお子さまとその輝かしい未来を祝福するにふさわしく、コレクションに選びました」とバガブーはコメントしている。価格は9万7,900円(シャーシ、シート、サンキャノピーのセット)。「伊勢丹 新宿店」「日本橋三越本店」などで販売されている。なお同社では過去にもアンディ・ウォーホルやディーゼルなどとコラボレーションしたベビーカーを発売。独自の世界観を展開して話題となっている。
2015年04月21日