優しい夫と息子との幸せな生活が始まったと思ったのに…。まさか義母の「母性神話への強いこだわり」に悩まされることになるとは…!高野美鈴さんは、夫の直人さんと8ヶ月の息子・侑吾くんとの3人家族。直人さんは育休もとり積極的に育児を行い産後の美鈴さんをフルサポートしてくれて、美鈴さんは大きなストレスを抱えずに過ごしてきました。しかし…義母のエリさんは、そんな夫婦の様子に納得がいかないよう。育児は母親が関わってこそ!という「母性神話」への固定観念を夫婦に押し付けます。さらに直人さんの育児参加を制限するような言動が増え…。義母の「よかれと思って」はどんどんエスカレートしていき、美鈴さんはママ友や保健師さんとの会話でも「息子には母親の愛情が足りていないのでは」と感じるようになってしまいました。果たして義母と美鈴さんは分かりあうことができるのでしょうか?■前回のあらすじ帰宅した夫に号泣しながら、保健師から言われた愛情不足疑惑を告げる美鈴。義母の言う通りだったと落ち込む美鈴を夫は完全否定し、愛情深く育てていると言ってくれる。しかし、その慰めもあの完璧な義母のことを思うと美鈴の心には届かなくて…。感情的になった私の話を夫は真剣に聞いてくれて、「やれる範囲でやっていけばいい」と言ってくれました。一番身近に自分を肯定してくれる人がいて安心しましたし、他の人と比べたり言われたことを真に受けすぎないよう気をつけようと思えました。そんな時、また義母宅に行くことになったのですがー。次回に続く(全13話)※この漫画は実話を元に編集しています脚本・ 日野光里 /イラスト・ ニタヨメ
2023年10月01日元SKE48で女優の大場美奈が18日、自身のX(Twitter)を更新し、同日の試合でノーヒットノーランを達成した夫のソフトバンク・石川柊太投手を祝福した。○■プロ野球88人目通算99度目のノーヒットノーラン石川は、18日にペイペイドームで行われた西武戦に先発投手として登板。プロ野球史上88人目、通算99度目のノーヒットノーランを達成した。試合終了直後にXを更新した大場。「ノーヒットノーラン!本当におめでとう」と夫の偉業を称え、泣き顔と拍手の絵文字付きで投稿した。○■石川柊太と2023年1月に結婚大場は2022年にSKE48を卒業。今年1月に石川との結婚を発表し、Instagramで「皆様の応援、支えがあってこその私達です。今後も感謝と初心を忘れることなく、全てのことに励んでまいります」と抱負をつづっていた。
2023年08月18日タイ国プロボクサーの大場 綜(おおば・そう、Soh Ohba 1980年6月30日小樽市生まれ、チームバカボン横浜西代表)は、来る8月18日(金)に小樽市役所にて小樽市長 迫 俊哉(はざま・としや)氏と会談いたします。44歳の世界チャンピオン誕生なるか!?大場 綜は、2016年11月からタイで試合をしている日本人のタイ国プロボクサーです。実は伝説のチャンピオン故・大場 政夫氏を伯父にもつ“天才ボクサーの遺伝子を受け継ぐもの”です。大場はアマチュア時代を経て、伯父の故・大場 政夫氏の宿命のライバルであるタイの国民的英雄チャチャイ・チオノイ氏から支持もあり、タイ国でプロボクサーデビューしました。2016年9月25日にプロに転向すると発表した時はすでに36歳。プロボクサーとしては超遅咲きながら、そのわずか60日後、タイのランシットで2RTKO勝利を収めて鮮烈なデビューを果たしました。その後も連戦連勝。日本人初となるWBU世界スーパーフェザー級タイトル決定戦の承認も下り、44歳の世界チャンピオン誕生が現実として見えてきました。(世界戦は来年秋を予定)今回、大場が小樽市の子どもたちのために寄付をしたことがきっかけで、迫市長との会談が実現しました。【小樽市の子供たちのために100万円を寄付】大場は子どもの頃「こころ」に障害を抱え苦しんできました。しかしボクシングに出会えた事でその「こころ」が救われたと本人は語ります。近年、全国的にも不登校や引きこもり、犯罪の低年齢化など、子どもの「こころ」の問題がクローズアップされています。そうした子どもの「こころ」を理解し、対応できる教育機関や関係者などが社会的にも強く求められています。小樽市は、小樽市子ども・子育て支援事業計画を随時実行するなど、「子育てしやすい自治体」として全国的に評価されております。心身の発達やコミュニケーション等環境への適応に心配のあるお子さんに、集団療育や個別療育を通して発達を支援する「小樽市こども発達支援センター」には、様々な団体や自治体が視察に訪れています。全国的にも、ここまで子どもの「こころ」のケアに取り組んでいる自治体は珍しく、そうした小樽市の取り組みを後押しするために、大場は今年5月、小樽市に100万円を寄付しました。「こころ」の問題は誰にでも突然おこりえるもので、人知れず悩んでいる子どもは多くいるはずです。その苦しみを経験し、乗り越えた大場だからこそ語れること、そしてボクシングを通じて力になれることがあると考え、このたび小樽市長の迫 俊哉氏と、子どもの「こころ」の問題を中心に「子育てしやすい自治体」について会談します。【コロナ以降、ボクシング指導を受ける小中高生が急増】大場が主催するボクシング団体「チームバカボン横浜西」では、ストレス発散や「こころ」の問題を乗り越えるために、ボクシング指導を受ける小中高生が、コロナ以前と比べて1.5倍に増えています。そこで行うのはボイストレーニング教室とも連携して考案したメソッド、マインドフルネスを意識した特別なボクシング指導です。ボクサーならではの呼吸を実践し、アロマオイルのいい香りや瞑想誘導をして脳がα派の状態になったところでトレーニングを開始します。個人差はありますが、たった1回のトレーニングで効果が見えるケースもあり、最長でも6ヶ月ほどで子どもたちの表情は見違えるほど改善するそうです。医療機関での治療に抵抗がある子どもも、「ボクシングをやってカッコよくなろう!」と言うと楽しんで来てくれます。この指導法についても、会談で詳しくお話しします。■会談開催概要「子育てしやすい小樽市 子どもの為に「こころ」と「ボクシング」について」日時 :8月18日(金)14:00~場所 :小樽市役所 市長応接室アクセス:JR小樽駅(最寄り駅)前の国道5号を右折。約700メートルほど直進。「市役所下」交差点を右折。約300メートルほど先(徒歩13分・車5分)定員 :約10名※報道関係者向けのため一般の方のご参加はご遠慮ください■団体概要団体名 : チームバカボン横浜西(代表=大場 綜)所在地 : 〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸一丁目1の8 MBE126事業内容 : ボクシングジム・ボクシング指導・青少年育成(ボランティア)広報担当電話: 090-3706-0432URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月09日タイ国プロボクサーの大場 綜(おおば そう、Soh Ohba 1980年6月30日生まれ・チーム・バカボン横浜西代表)は、7月30日(日)タイ国ランシットにてPATタイ国インターナショナルスーパーフェザー級王座タイトル防衛戦を行います。43歳から世界タイトル狙う!【36歳でタイ国にてプロボクサーデビュー】2016年11月からタイで試合をしている日本人のタイ国プロボクサーです。36歳からタイ国にてプロボクサーデビューから連戦連勝。それもそのはず、大場 綜は伝説のチャンピオン、故・大場 政夫氏の甥っ子で天才ボクサーの遺伝子を引き継いでいます。故・大場 政夫氏を育てた優れた伝説のトレーナー、桑田 勇氏の最後の愛弟子としても知られています。日本人初WBUから世界スーパーフェザー級タイトル決定戦の承認も下り、44歳で世界チャンピオン誕生が本気で見えてきました。(世界戦は来年秋を予定)【コロナ以降、子供の精神障害が急増】コロナ以降、未だに子供たちの心にもさまざまな影響を及ぼしています。子供の精神障害が急増しています。(国立成育医療研究センター発表)大場 綜自身、幼少より心の病気・精神障害に苦しんでいました。誰よりも子供たちの心の苦しみをわかっているスポーツマンです。タイの国民の祝日である子供の日に次世代社会を担う子供たちを支援するためWBCの社会貢献活動の一つとして、この日は毎年ムエタイと国際形式のボクシングトーナメントが開催されます。大場は日本人選手として初めてこのイベントに参加しました。自身のボクサー経験を活かし、WBCムエタイや国際式ボクシングの普及を通じた青少年の健全育成や、日本とタイの友好促進にも関心を持っています。また、長年神奈川県に在住し、横須賀市観光協会に参加することで青少年の健全育成や横須賀市の街の活性化、発展、イメージ向上、観光客の増加に貢献することを目的にチームを開設しました。【子供達に伝えたい。今は苦しいかもしれないけど夢はかなう】大場 綜は故・大場 政夫氏の生まれ変わりと自負しています。小学生から心の苦しみをかかえつつも東京・千代田の帝拳ジムで練習を始めました。アマチュア時代を経て、伯父の故・大場 政夫氏の宿命のライバルであるタイの国民的英雄チャチャイ・チオノイ氏から支持もあり、タイ国でプロボクサーデビューしました。36歳の誕生日から3か月も経たない2016年9月25日にプロに転向すると発表し、そのわずか60日後の11月24日、タイのランシットで2RTKO勝利を収めてデビューしました。56歳まで現役を続けると表明しています。その後は子供たちの心のケアを中心としたボクシング指導やWBCムエタイ及び国際式ボクシングの普及や底辺拡大を通じた青少年健全育成促進を行っていきます。《タイ国ランシット・タイトル防衛戦試合概要》「PATタイ国インターナショナルスーパーフェザー級王座タイトル防衛戦」日時:7月30日(日)場所:タイ国ランシット(日本のマスコミの方、放映権フリー)費用:日本人小学生以下の親子は入場無料(大場 綜のサイン・タイ国のお土産付き)【団体概要】団体名 : チーム・バカボン横浜西(代表=大場 綜)所在地 : 〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1丁目1-8 MBE126事業内容 : ボクシングジム・ボクシング指導・青少年育成(ボランティア)広報部電話: 0120-9482-88 営業時間10:00~23:00URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年07月19日2023年1月28日、プロ野球『福岡ソフトバンクホークス』に所属する石川柊太選手が、結婚したことをTwitterで報告しました。お相手は、俳優の大場美奈さん。大場さんは、アイドルグループ『AKB48』と『SKE48』にかつて所属していた元アイドルとしても知られています。同日、2人は連名入りの文章をTwitterに投稿し、結婚への想いをつづりました。この度、石川柊太と大場美奈は入籍したことをご報告させていただきます。これからは温かく優しさに溢れ、笑顔の絶えない幸せな家庭を2人で築いていきます。皆様の応援、支えがあってこその私達です。今後も感謝と初心を忘れることなく全てのことに励んでまいります。まだまだ未熟な私達ですが、これからも変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。2023年1月28日石川柊太大場美奈@isikawaZZZーより引用ご報告です。 pic.twitter.com/HmkQVfflxL — 石川 柊太 (@isikawaZZZ) January 28, 2023 プロ野球選手とアイドルの結婚は、2022年12月にもありました。『北海道日本ハムファイターズ』に所属する宇佐見真吾選手と、アイドルグループ『ももいろクローバーZ』の高城れにさんが結婚。ももクロ高城れに&宇佐見真吾『結婚後初デート写真』を公開「熱すぎる!」「お幸せに」当時、Twitterでは『アイドルと結婚』というワードがトレンド入りするほど話題を呼んだのです。今回も、石川選手と大場さんの結婚を受けて、Twitterでは『アイドルと結婚』がトレンド入り。驚きや祝福の声が上がりました。2人はこれから、幸せな結婚生活を送ることでしょう。石川選手、大場さん、ご結婚おめでとうございます![文・構成/grape編集部]
2023年01月28日名古屋・栄を拠点に活動するSKE48の大場美奈が、4月23日SKE48劇場で劇場公演最後となる『僕の太陽』公演を開催した。大場は、2009年にAKB48第9期研究生としてオーディションに合格し、2013年よりSKE48チームKⅡで活動。2015年よりSKE48チームKIIリーダーに就任し、SKE48の中心メンバーとして活動。今月1日から3日間4公演の卒業コンサートを開催し、本日は大場のアイドル人生を締めくくる最後の公演となる。『僕の太陽』公演は「Dreamin’ girls」でスタート。「RUN RUN RUN」「未来の果実」「ビバ!ハリケーン」と続けてパフォーマンス後の自己紹介で“最後のキャッチフレーズ”として大場が「今日も私に恋して?みなるん!」と披露すると、客席中で大場のイラストが描かれたフラッグが振られ、大場は「かわいい!」と絶賛。ファンからのサプライズに感謝した。大場が憧れの先輩だという青海は、「全然実感が湧かなかったのにステージに立ってovertureを聞いたら急に実感して泣きそうになっちゃった」と目を潤ませたが、大場に開演前「おしりん(青木詩織)見たら大丈夫」と言われ、「泣きそうになったら、おしりんさんと目を合わしていきたいと思います」と笑いを誘い、和やかに公演は進んでいった。MC中「普段集まらないメンバーがいるから、楽屋から楽しい!お友達!」と満足気な笑顔を見せた大場。「夕日を見ているか?」で本編を終えると、アンコールでは事前に録音されたファンの皆様からの「みなるん」コールと大きな拍手が会場中に響きわたる。「BINGO!」「僕の太陽」まで公演曲10曲をパフォーマンス後、お待たせしている間楽しんでいただけるようメンバーのオフショットがモニターに映し出された。WアンコールではSKE48に移籍してTeam KⅡとして約8年活動し、劇場公演と言ったらこれだと思い選んだという「兆し」を真っ赤なオリジナルの衣装を着て披露。その後、SKE48の10thアニバーサリー衣装で登場すると、その衣装をまとったイラストの卒業フラッグに「素敵なフラッグを作ってくれてありがとうございます」と御礼を伝えた。「とても大切な曲」として2018年の世界選抜総選挙で自己最高となる第8位を獲得し、初の選抜入りを果たした「センチメンタルトレイン」を披露。「ファンの方からいただいた大切な8位だからそのポジションにいる私を見せたかった」とのことで、自身のポジションでのパフォーマンスを見せた。谷が「美奈ちゃんの姿、目に焼き付けてくださいね」と呼びかけると、大場がドレス姿で登場。自身の卒業曲「生まれ変わっても」を披露し、いよいよ卒業セレモニーに。ファンの皆様からの花冠、花束のプレゼントに続いて、荒井優希から「夢や目標をファンの方とかなえていく姿には学ぶことがたくさんありました。たくさんの時間を割いて、チームのことを考えてくれて本当にありがとう。いつも寄り添って、明るい気持ちにしてくれて、前向きにしてくれてありがとう」と、今までのことを振り返った感謝の手紙が涙ながらに送られた。最後の挨拶で大場は、涙ぐみながらこれまでのことを振り返り「SKE48に移籍し、本当に楽しく、第二のアイドル人生を歩めました」とファンの皆様やメンバー、スタッフ、関係者の皆様、家族への感謝の気持ちを伝え、1番大好きな曲だという「抱きしめちゃいけない」で最後の劇場公演を締めくくり、「皆さんに出会えて幸せです!」と充実した笑顔でステージを後にした。■大場美奈 コメント今日の卒業公演は私自身のたくさんの思い出が詰まった『僕の太陽』公演です。私がSKE48に移籍してから、とても仲が深まったメンバーを他のチームからも集めて、スペシャルな卒業公演をさせてもらいました。特別なメンバーで特別な公演を最後にやらせてもらったので今、とってもハッピーです! そんな卒業公演が出来たのは本当にありがたいなと思います。卒業コンサートも含めると、なんでこんなに私はいろんなことをしてもらえたのか不思議でしかないですが、支えてもらった皆さんに最後まで感謝の気持ちを伝えられたらなと思いながらパフォーマンスをしました。あとは今回劇場に来られず、直接推しメンの最後の姿が見られないファンの方はきっと悲しがってると思うので、劇場に来て下さったファンの方にはもちろん、そんな方たちにも届くようにという一心でスピーチしたので伝わっていたらいいなと思います。ファンのみんなとも、メンバー、スタッフの皆さんとも、一生の別れではないので、またすぐ会えると信じて、これからまた頑張ろうと思います。SKE48にいた約8年、AKB48時代を含めると約13年本当にありがとうございました。<公演情報>『僕の太陽』大場美奈卒業公演2022年4月23日(土) SKE48劇場17:00 開演【出演】■チームS:青海ひな乃 / 井上瑠夏■チームKⅡ:青木詩織 / 荒井優希 / 江籠裕奈 / 大場美奈 / 北野瑠華 / 鈴木愛菜 / 古畑奈和■チームE:斉藤真木子 / 谷真理佳 / 福士奈央【セットリスト】overture1. Dreamin’ girls2. RUN RUN RUN3. 未来の果実4. ビバ!ハリケーン5. 竹内先輩6. そんなこんなわけで7. デジャビュ8. 夕日を見ているか?EN1. BINGO!EN2. 僕の太陽EN3. 兆しEN4. センチメンタルトレインEN5. 生まれ変わってもEN6. 抱きしめちゃいけない■SKE48 OFFICIAL HP
2022年04月24日SKE48大場美奈のソロ卒業曲「生まれ変わっても」のMusic VideoがYouTubeで公開された。大場は2009年にAKB48の9期生として加入。チーム4キャプテン、チームBで活動し、2014年にSKE48へ移籍すると、2015年にはSKE48チームKIIのリーダーに就任しチームKIIのみならず、SKE48全体を牽引する存在として活躍。昨年10月にグループからの卒業を発表し、3月9日にリリースされるSKE48の29枚目シングル『心にFlower』が最後の作品となる。大場はファンと一緒に観る機会を作りたいと、2月26日にSKE48劇場でMV初解禁イベントを開催。「ファンの人たちと一緒に見たい、っていう私の願望をスタッフさんが叶えてくれてクローズドのイベントとして会場にいらしたファンの方たちと一緒に「生まれ変わっても」のMVを観ました。実は私自身もファンの方と同じ気持ちを味わいたいという意図で、ここでMVを観るのが初めてで。ファンの人達と一緒にMVを観て、(ファンの人達は)ここめっちゃ笑ってくれるんだ、とか、反応を直に感じられてより面白かったし、私も一緒になって画面を観ながら、『感動しちゃうな……泣きそうだな……でも泣くの我慢しよう』って思いながらMVが終わってファンの人たちを見たら、みんな泣いているのを見て、もう我慢するのが無理でした」と、MV初解禁イベントを振り返った。また、「このMVのコンセプトを考えるときに、MVを観て感動して泣いてしまうくらいの映像にしたい、と思って企画段階からスタッフさんと相談して作り上げたMVだったんですが、MVを観終わったファンの方々を見て、本当に素晴らしいMVが完成したんだな、と思ったんです。狙い通りというか、狙い通り以上の作品になったと思います」と、本MVが自身のイメージ以上の作品となったことを明かした。同MVは京都を拠点に活動し、演劇だけでなくテレビ番組制作やラジオ、映画祭など多方面で活躍する劇団・ヨーロッパ企画が脚本と監督を手掛けた。脚本を担当した石田剛太、監督の山口淳太よりコメントが寄せられている。■石田剛太(脚本)コメント脚本を担当いたしました。ヨーロッパ企画石田剛太です。大場美奈さんとは2年ほど前に東海テレビ「SKE48のバズらせます」という番組でご一緒させていただきました。そのときは京都で恋愛トリックムービーを撮影してバズらせようという企画だったのですが、まあバズらせることができませんでした。すみません。今回そのリベンジをする機会をいただけたと思いバズらせるMVをと意気込んでいました。大場さんとどんなMVにしようかと話しているうちに、大場さんがSKE48で大切にしてきたことやメンバーとの思い出、ファンのみなさんへの想いなんかが溢れてきて、それらを目一杯詰め込んだMVがいいんじゃないかと思いました。エモくて激アツでやっぱりかわいすぎて謝っちゃうような大場美奈さんの魅力が詰まったものになっていると思います。バズっていろんな人に見られてとかもうどうでもよくて、大場美奈ファンのみなさん1人ひとりに届いてほしいなと思っております。僕も大場美奈さんのいちファンですので。■山口淳太(監督)コメント大場美奈さんの卒業MV「生まれ変わっても」の監督をさせていただきました。12年間の大場さんのアイドル人生が走馬灯のように駆け巡るMVにしたいと思い、最高のスタッフとともに名古屋の街を走り回りました。大場さんは今回初めてご一緒させていただくにも関わらず、こちらの演出意図をすぐに汲み取って表現してくださり、何度も一緒に仕事をしてきたかのような錯覚をしてしまうほどでした。素敵な大場さんの表情をたくさん撮ることができ、大変光栄です。今回、見ている方も大場さんと一緒に走っているような体感をしていただきたく、長回し撮影を行いました。大場さん、そして、ファンの皆さまにも気に入っていただけると嬉しいです。最後になりましたが、大場さん、ご卒業おめでとうございます。大場美奈「生まれ変わっても」MV脚本:石田剛太(ヨーロッパ企画)/ 中田歩(ヨーロッパ企画)監督:山口淳太(ヨーロッパ企画)※初回盤 / 通常盤TYPE-Aに収録<リリース情報>SKE48 29thシングル『心にFlower』2022年3月9日(水) リリース【Type-A】・初回盤(CD+DVD):1,750円(税込)※オリジナル生写真(全18種中1種ランダム封入)※特典シリアルコード券封入SKE48『心にFlower』Type-A初回盤ジャケット・通常盤(CD+DVD):1,750円(税込)SKE48『心にFlower』Type-A通常盤ジャケット【CD収録内容】01. 心にFlower02. 生まれ変わっても(大場美奈)03. 心にFlower off vocal04. 生まれ変わっても off vocal【DVD収録内容】01.心にFlower Music Video02.生まれ変わっても(大場美奈)Music Video03.タイトル未定 特典映像【Type-B】・初回盤(CD+DVD):1,750円(税込)※オリジナル生写真(全18種中1種ランダム封入)※特典シリアルコード券封入SKE48『心にFlower』Type-B初回盤ジャケット・通常盤(CD+DVD):1,750円(税込)SKE48『心にFlower』Type-B通常盤ジャケット【CD収録内容】01. 心にFlower02. じゃないロマンティック ※バンテリンドーム ナゴヤイメージソング03. 心にFlower off vocal04. じゃないロマンティック off vocal【DVD収録内容】01. 心にFlower Music Video02. じゃないロマンティック Music Video03. タイトル未定 特典映像【Type-C】・初回盤(CD+DVD):1,750円(税込)※オリジナル生写真(全18種中1種ランダム封入)※特典シリアルコード券封入SKE48『心にFlower』Type-C初回盤ジャケット・通常盤(CD+DVD):1,750円(税込)SKE48『心にFlower』Type-C通常盤ジャケット【CD収録内容】01. 心にFlower02. 仲間よ ※FC岐阜 オフィシャルサポートソング03. 心にFlower off vocal04. 仲間よ off vocal【DVD収録内容】01. 心にFlower Music Video02. 仲間よ Music Video03. タイトル未定 特典映像【劇場盤】CD:1,150円(税込)※販売開始日時は後日改めてご案内します。SKE48『心にFlower』劇場盤ジャケット【CD収録内容】01. 心にFlower02. 電線は消えても(プリマステラ)03. 心にFlower off vocal04. 電線は消えても off vocal【ファンクラブ限定セット商品】(1) 初回盤TypeA+フォトブックハードカバー+クリアトレカ4枚セット(全18種ランダム)(2) 初回盤TypeB+フォトブックハードカバー+クリアトレカ4枚セット(全18種ランダム)(3) 初回盤TypeC+フォトブックハードカバー+クリアトレカ4枚セット(全18種ランダム)セット価格:8,250円(税込)<卒業コンサート情報>大場美奈卒業コンサート@パシフィコ横浜 Day1〜卒業してもずっと可愛くてすみません〜2022年4月1日(金) パシフィコ横浜国立大ホール開場 16:00 / 開演 17:00大場美奈卒業コンサート@KT Zepp Yokohama Day2〜明日、晴れたらいいのにな〜2022年4月2日(土) KT Zepp Yokohama開場 15:30 / 開演 16:30大場美奈卒業コンサート@KT Zepp Yokohama Day3〜るんるん、30歳のおたんじょうび会〜2022年4月3日(日) KT Zepp Yokohama昼公演:開場 11:30 / 開演 12:30夜公演:開場 17:00 / 開演 18:00※全公演内容が異なりますSKE48 オフィシャルサイト:
2022年03月01日2022年4月にSKE48を卒業する大場美奈が、2022年4月1日から3日連続で卒業コンサートを開催することが決定した。10月に東海ラジオ『SKE48 1+1+1は3じゃないよ!』内で、30歳を迎える来年4月に同グループを卒業すると発表していた大場。14日放送の東海ラジオ『SKE48大場美奈ちゃん! 東海ラジオで卒業発表してくれてありがとうスペシャル!』に須田亜香里、江籠裕奈、古畑奈和、熊崎晴香、林美澪とともに出演し、卒業コンサートの開催を告知した。コンサートは3日間予定されており、2022年4月1日は神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールで、2日と3日は神奈川・KZ Zepp Yokohamaで開催される。コメントは以下の通り。■大場美奈大きな会場での本祭が1日目ということで決定していたのですが、4月3日が私の誕生日なので何かしたい! と思い、4月2日と3日に後夜祭という形でお祭りをすることになりました。まだメンバーなどなにも考えられていないのですが、とにかく楽しみたいです。関東で3日間コンサートができるということが最近なかったので、みんなを楽しませたいと思います。いろんなメンバーにいろんなことをしてもらって楽しいことをしたいなと思っているので、来年の4月空けておいてください!
2021年12月15日アイドルグループ・SKE48の大場美奈が、SAMURAI証券のアンバサダーに就任したことが24日、明らかになった。SAMURAI証券が運営する「SAMURAI FUND」では、エンタメ事業型クラウドファンディングを用意し、アーティストのプロデュースやイベントの開催を商品化していく予定。大場は、頑張る人をみんなで応援する「応援投資」を体験しながら、アンバサダーとして活動していく。大場は、「私はアイドルとして、いつも皆さんに応援していただく側だったりするのですが、今回皆さんと一緒に『応援投資』について学んでいきたいと思っています!」と意気込みを語った。
2021年05月24日発達障害・感覚過敏のある子は、電車通学のハードルが高過ぎる件出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムは、通学電車にまつわるお話を…。発達障害&グレーゾーンの子や、感覚過敏のある子は、電車通学…特に満員電車での負担がとても大きいでしょう。なぜなら、・感覚過敏のある子の身体接触等の苦手さ問題・ADHDのある子のうっかり忘れ問題・ASDのある子の予測不能な事態でのパニック問題…などがあるために、ハードルが特に高いのです。これらの問題は、決して大げさではなくて、せっかく受験で希望の学校に合格しても、「通学電車の負担が大きすぎて、不登校になったり、自主退学や転校を考える生徒さんもいる」と聞くほど。(実はうちのパパも若いころ、電車通勤の負担から大企業を辞めて、研究の道に入り直した人なのです)ですから、うちの長男・次男の中学受験では、最初の学校選びの段階で本人と相談しながら、例えどんなに素晴らしい学校でも、通学に1時間以上かかる学校や、複雑な乗り換えや混雑路線を使わざるを得ない学校などは、予め志望校リストから除外してしまいました。そして無事、長男・次男共に、ドア・ツー・ドアで1時間以内・乗り換え1回の私立中高一貫校に入学できたものの、小学校を卒業したばかりの当時若干12歳で、満員電車での通学に挑まなくてはなりませんでした。そこで、うちで親子で行ってきたさまざまな工夫や対策など、通学電車にまつわる諸問題の乗り越え方を、新型コロナの影響下での通学状況の変化も踏まえつつ、ご紹介していきますね。電車の使い方と身体接触に徐々に慣らす!出典 : うちでは、まず、「電車自体に慣れる」ところから、スタート。それまで、うちは地方在住なので普段の移動は車か自転車中心で、電車は年に1度の祖父母宅への新幹線での帰省程度でしたから。そこで、小学生の受験勉強時代から、学校見学や体験授業参加の際には、「実際の通学ルート」を使うことに。そして、本人用の交通系ICカードをつくり、券売機でのチャージの仕方、基本的なマナーなど、”いろはのい”から時間をかけて教えました。基本に慣れたら、次は、時間の余裕があるときに、トラブル時などを想定して、ワザと降車駅を乗り越してみたり、途中駅でトイレを借りたり、別の路線で遠回りして帰ってみたりも…。この際、「こういう時、どうすればいいと思う?」などの声かけで、なるべく本人が自分で判断できるようにして、それでも難しいときには、「駅員さんに聞いてみようか」「この場合は、こうすればいいんだよ」など、具体的に”困ったときには、どうすればいいか”を教えました。こうして、受験シーズンくらいには、電車にかなり慣れたので、「今日は〇太郎についていくから、かあちゃんを〇〇中学まで連れてって」と、(多少間違っても)なるべく手出し口出しせずに、見守るようにしました。出典 : そして、最後の難関、朝の通学時間帯の満員電車!志望校の合格後、長男と試しに朝のラッシュ時に一緒に電車に乗ると、今までとは別次元の混雑ぶり。身体接触が苦手な長男は「人が多すぎて、乗換駅で降りられない!!」「押されてどこにも掴まれない…」「いろんな匂いでキモチワルイ」とパニック寸前の涙目に。やはり、かなりハードルが高かったようです。そこで、本人と作戦会議をし、「満員電車よりも早起きのほうがマシ!」という結論に…。学校に門が開く時刻を聞き、朝は一番乗りで登校することにしました。ピーク時よりはかなりマシですが、それでも結構混んでいるので、入学後の最初の一週間ほどは、私も一緒に電車に乗って、「今日は一駅手前まで」「今日は乗換駅まで」と、様子を見ながら日毎に付き添う距離を短くしていき、最後は最寄り駅から見送るだけに。つまり、うちでは、親は「ステップを踏んで徐々に慣らし、だんだんと手を離す」ことで、子は「それでも無理なことは、人に相談し、できる工夫する」ことで、なんとかしました。ちなみに、3年後の今では、長男も混雑に慣れ、登校時間もずるずると遅くなってきましたが、「コロナのことで、ピーク時も多少人が減ってる気がする」とのこと(確かに、近隣地域ではマイカー・自転車通勤も増えています)。マスク着用の上、車内の換気もされているので、匂いへの負担も減ったよう。また、学校側も感染が拡大している時期は、オンライン授業や分散登校など、柔軟に対応してくれるので、潔癖で心配性の次男もホッとしている様子です。うっかり忘れの自覚と、持ち物の工夫と習慣化Upload By 楽々かあさん身体接触の次に懸念されたのは、うっかり屋の長男の電車での「忘れ物・落とし物」と、降車駅での「乗り過ごし」問題です。そこで、長男の通学用のリュックは、図のようになりました。元々、「よくなくすものには、ヒモをつける!」が、うちの忘れ物対策の鉄則。特に、定期とスマホと財布と家の鍵などの大事なモノは、フックのついたスプリング式のコード(通称「びょんびょん」。100円ショップのキーホルダーコーナー等で入手可能)をまとめ買いし、それぞれつけるように習慣化(※フックがかからない箇所は、カラビナやリング、バッグのタグなどと組み合わせる)。たったこれだけで、長男は今までスマホも定期も、一度も落としたことはありません(「びょんびょん」だらけで、年頃の子には少々カッコ悪いかもしれませんが、背に腹は変えられません!)また、今では長男も"自分はよく忘れる"自覚があるので、電車を降りるときには、座っていた座席を目視したり、制服やリュックのポケットなどを手触りで毎回ポンポンと確認したりする習慣をつけているのだそう。出典 : そして、「乗り過ごし」対策も、あまりに当たり前のようですが、長男自身が「自分で、気をつける!」ことで、対処しました。ここで大事なのは「どうすれば、気をつけられるか」を、具体的に考えることです。長男は、"自分がかなりうっかりしている"ことも十分自覚しているので、例えば、通学中にスマホで好きなサイトや動画を見ていると、つい、目的地の駅で降り忘れてしまうことをよ〜く知っています(実際、何度かやらかしました)。そこで、シンプルですが、学校の最寄り駅の数駅手前の大きな駅で、人が沢山乗り降りするので、「その駅になったら、スマホをやめて、アナウンスを聞く」ように習慣化しているそうです(これだと、視覚・聴覚を使っていても気づくとのこと)。スマホの乗り換え案内系のアプリにも、位置情報から降車駅が近づいたら通知やバイブレーション機能で知らせてくれるものもあるので、長男と似たようなお子さんは、自分が気づきやすく習慣化しやすい方法を見つけるといいでしょう。また、親の私のほうは、最初のころは位置情報アプリなどを使って、学校に無事到着したり、設定した範囲から長男が出たら通知が届くようにしたりもしました。ここでの大事なポイントは、自分(我が子)の特徴を自覚して工夫し、それを「習慣化する」ことだと思います。不測の事態には、事前知識と「こうすれば、大丈夫」という対処法!出典 : そして、「いつもと違うこと」「予測不能なこと」が苦手な子は、"電車が予定通り動かない”ことなどに遭遇すると、強い不安やストレスを感じたり、場合によってはパニックに陥ることもあるでしょう。でも、ご存知のように、電車の運行は、事故や故障などの他、急なゲリラ豪雨や、大雪、台風、地震などの気象条件や自然災害などによっても、突然止まったり、ダイヤが乱れたりすることがあります。うちではまず、「電車には、こういう可能性もある」と、予め、一緒に電車に乗っているときや、テレビのニュースなどを見ながら話し、さまざまなケースを”知識として”教えました。事前知識が少しでもあれば、実際にアクシデントが起こったときの衝撃がかなり違いますから。そして、前出の「通学リュック図」にあるように…・財布の中に非常用の千円札と保険証のコピー、自宅の連絡先・サバイバルセット(応急手当、ビニール袋、非常用トイレ、他)・晴雨兼用折りたたみ傘・頓服薬(頭痛・腹痛用など)…などを、常時入れっぱなしで「もしも」に備えています。それに加えて、特に役立った"不測の事態"への対策は、長男自身による「防災訓練」でした。出典 : 実は長男は、小さなころから「地震怖すぎる」等と、自然災害に対する恐怖心が人一倍強かったことで、逆に知識が豊富になり、日頃から防災意識が高く、何かと災害対策を実践するようになりました。その一環で、中1のあるときに、地震などで帰宅困難になったときを想定して、「おれ、1回、学校から家まで歩いて帰ってみる!」と言いだし、午前授業だけの日の帰りに、3時間ほどかけて徒歩帰宅しました(以来、年1度くらい、徒歩帰宅しています)。これで、「もし電車が止まっても、歩いて帰ればいい」と実感でき、かなり安心できたようです。そして実際に、この経験が大活躍しました。昨年の春のコロナ休校明けに、次男がようやく中学初登校できた日のこと。なんと、帰りの電車が、突然のトラブルで急に全線ストップしてしまいました。学校の最寄駅付近で、周囲が大混乱の中、合流して私に電話をかけてきた長男と次男によれば、「タクシー乗り場はすでに長蛇の列で無理そう」とのこと。でも、私が「もうすぐ長女が小学校から帰ってくるから、スグには車で迎えに行けない」と伝えると、「じゃあ、歩いて帰るか、〇次郎!おれ、道分かるから、大丈夫〜」と、長男は慌てず騒がず、次男と一緒に歩き出しました(乗換駅から復旧していたので、そこから通常ルートで帰宅)。やがて、「ただいま〜」と、ぐったり次男と共に、ケロリとした顔で無事帰宅した長男を見て、「あの〇太郎が、随分パニックに強くなったなあ」と、私は彼の成長を頼もしく感じました(ちなみに、現在は「痴漢冤罪怖すぎる」と、ネットで誤解されない対処法を検索しまくっています)。予測不能な事態も、事前の知識と、「こうすれば、大丈夫」という対処法が分かっていれば、案外落ち着ける場合も多いのではないでしょうか。多様な通勤通学方法の普及で、下がるハードルも…出典 : 現在、新型コロナウイルスによる影響が長期化する中で、発達障害&グレーゾーンや、感覚過敏のあるお子さんは特に、学校・日常生活の中での負担や不安・ストレスを感じる場面も多いことでしょう。その一方で、テレワークやオンライン授業の推進、通勤通学時間の分散化、マイカー通勤や徒歩・自転車通学の増加などによって、多様な通勤・通学方法が社会全体で模索される中で、高かった電車通学のハードルが多少下がってきた部分もあるように思います。これを機に、多様な子どもたちの通学の負担が少しでも減って、本来の学校生活に集中できるように願っています。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年04月20日中3発達凸凹男子、英語の成績向上の秘密はゲームにあった!?出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。かつて、小学校時代は学習面で悔しい思いをし、親子で悪戦苦闘の末、自分に合った私立中高一貫校に進学したうちの長男も、今では高等部進学間近な中学3年生。そんな負けず嫌いで努力家な彼は、学校の勉強も地道にコツコツがんばっている様子です。ところが、”英語”に関しては、なぜか、さしたる努力もせずに学年上位の好成績を維持しているのです。正直、母から見れば、毎日ゲームで遊んでるだけのようにしか思えません。そんな、「大好き」を活かした長男独自の英語学習法の秘訣を本人にインタビューし、根掘り葉掘り聞いてみました。長男・〇太郎:15才(中3)。小1のときにASDの診断を受け、ADHDとLDの傾向もある。現在は、日常・学校生活上で大きな支障はなく、「ただの変わり者」「フツーの宇宙人」として、マイペースに生きる日々。※会話中、一部配慮の行き届かない表現があるかもしれませんが、現役中学生のリアルな言葉を尊重したいと思います。どうかご容赦ください。(文責・インタビュアー:母大場美鈴)大好きなMinecraftを英語版でプレイ!Upload By 楽々かあさん公式サイト | Minecraftかあちゃん(以下、母):じゃあ、よろしくお願いします。早速だけど、結構キミは英語の成績がいいよね。でも、かあちゃんから見ると、あんまり必死で勉強しているようには見えないんだけど、何かコツがあるの?長男・◯太郎(以下、長男):うーん、英語はねえ、Minecraft(通称「マイクラ」)とかのゲームで触れてて、知ってる単語も結構多いんだよね。母:確かに、パソコンのゲームで遊びながら、英語が得意になってるようだけど…。じゃあ、特にマイクラについて詳しく聞きたいと思います。始めたのは、いつぐらいのときだったけ?長男:PC版は小4からだけど、その前からiPadでPE版もやってた。だから、マイクラ歴は長いよ。母:そうだね。でも、最初は日本語版でプレイしてたよね。これを小6くらいで、英語版に切り替えた理由はなんで?長男:理由は2つあって、1つ目は日本語のときの英字のフォントが、あんまり好きじゃなかったっていうか、ローマ字表記が読みづらかった。英語表示のほうが大きくて、すごい読みやすかったし、キレイだし、かっこいい。母:へえ〜!フォント表示のこだわりからとは、意外な理由だったね。で、もう1つは?長男:2つ目は、単語が分かるから。アイテム名とか、画面の下に英語で表示されるんだよ。母:どうして、英単語知りたいと思ったの?長男:「マルチプレイ(複数ユーザーが同時にゲームに参加すること)」っていうのがあるんだけど、そのマルチプレイをしてると、アイテムの殆どが英語表示だから、英語版のほうがプレイしやすかった。母:それまで日本語版で十分慣れてたから、英語表示になったとしても、あんまり操作には困らなかっただろうしね。それで、毎日英語版でプレイしてたら、いろんな単語が分かるようになった、ってこと?長男:いつの間にか勝手に覚えてた、みたいな…「勉強」って感じじゃなくて。趣味のことって自然に覚えるじゃん?それと同じ感覚じゃないの。Upload By 楽々かあさん母:じゃあ、「英語が分かるようになりたい」と思ったのは、中学から本格的に英語学習が始まるから?長男:いや、海外ユーザーの人達と話したいから、英語ができるようになりたかった。「この人達なんて言ってるんだろう」ってねえ…。母:なるほど。話したい相手がいるから、興味が湧いたんだね。”話す”というのは、チャット?(※マイクラのマルチプレイで使う、チャット機能のこと)チャットの相手の言いたいことを英語で分かりたかったのかな?長男:うん。あとは、アイテム名も英語で知りたかった。よく出てくるのは鉱石の名前。Obsidian、黒曜石とか!(笑)マイクラ・オリジナルの名詞も出てくるけど、実在する単語との組み合わせがあるんだよね。例えば、マイクラにはネザーっていう裏世界があるんだけど、そこで取れる水晶(Quartz)にネザーをつけて、”Nether Quartz”とか。やっぱり、よく拾うアイテムの単語は頭に入りやすい。だけど、だんだんと、いろんなアイテムに触れてるうちに、それ以外のものも結構覚える。よく使うのだけじゃなくて、プレイしてると勝手に自然と広がってく感じ。母:なるほどね。学校の授業で、マイクラで知った単語が役に立ったことってある?長男:マイクラ・オリジナルな単語は「んー?」って感じなんだけど(笑)、結構役に立ってる。とにかく単語の数が増えるよね。授業でも「あ、これ知ってる」って。でも、やっぱり大きいのは海外のユーザーとのチャットかも。最初は簡単な言葉で会話することが多かったけどね。だんだん、マイクラ以外の場面でも「これ、マイクラで対戦した人が使ってたな」って思ったりして、今まで知らなかった英語表現とかも増えた。例えば、よく使う略語から、「GG = Good game(いい試合だった)」とか、「R.I.P. = rest in peace(安らかに眠れ)」とか、ちょっとした一言、みたいなのも結構覚えた。母:なるほどね。海外ユーザーとの異文化交流で鍛えた「気にしない力」出典 : 母:そのチャットでの交流について、もう少し詳しく聞かせて。いつも「海外ユーザー」っていうけど、具体的には、一体どんな人達?長男:あはは。ホントのこと言っちゃうけど、 9割はしょーもない人!母:9割しょーもないんか〜い!(汗)長男:ほんとに、しょーもないことばっかり言う。意味不明なウケ狙いとか、ユーザー同士の喧嘩とか、放送禁止用語とか…あとは、「こうすると強くなるよ」って、ウソのコマンドを教えてくる人とか(笑)残りの1割の人たちは、ルールを丁寧に教えてくれたり、「こういう風に立ち回りしてくれると嬉しい」とか、具体的に言ってくれたり。母:雑談はする?プレイと関係ない、例えば、「コロナでそっちの国はどうだ?」とか。長男:日本のことは結構話すね。「日本に行くときは、どこ行ったらいい?」とか。あと、ときどき日本語を教えることもある。頑張って日本語を話そうとしてくれてて、「ARIGATO」とか覚えた言葉を「これで正しい?」って聞かれたりね。母:へえ。「海外」って、どこの国の人か分かる?長男:チャットの内容で、おおまかには推測できるけど。英語が母国語の人達と、非ネイティブ・スピーカーの人達もかなりいるね。日本と時差が少ない地域のプレイヤーが多いから、大体はアジア系か、ロシア系かな。ネイティブ・非ネイティブ関係なく、スグにしょーもない喧嘩を始めるんだよ(笑)母:以前、キミは「英語で喧嘩できるようになった」って言ってて、「おお!すごいなあ」って思ったけど、それはどんな感じ?煽り合い?長男:ははは(笑)。まあ、めちゃめちゃ煽ってくる人もいて、前はオレも煽り返すこともあったけど、最近は、あえて相手をほめたり、「ごめんね、悪いプレーしちゃった」とか、煽られても、オレはすごい親切にしたりしてる(笑)。Upload By 楽々かあさん母:相手の言葉をあんまり本気に捉えないようになったのは、煽られ慣れたから?長男:それもあるけど、どういう感覚でそういう言葉を使うのか、想像できるようになったというか…もう、息をするように言ってることが分かったから。まあ、挨拶みたいなモンなんだよ、海外の人にはさ。日本の中高校生とか、友達同士の冗談で、「バカ」とか、「シネ」とか、フツーに言ってると思うけど、それって海外の人にしたら「ものすごい喧嘩だな」って思うんじゃないかな。それと同じような感じってこと。母:あー、それは海外の人達には、結構キツイ感じがするだろうね。長男:でも、最近「BAKA」は、海外にすでに輸出されてる。日本のアニメの会話でもよく使われてるから、その影響もあるかも?母:でも、最近キミは、学校生活の中でもトラブルが減ったよね。他人にちょっとイヤなことを言われても、あんまり怒らなくなってきた気がするけど、それはチャットと同じように、受け流せるようになったのかな?長男:悪口とか、挑発とか、しょーもなさすぎて、返すのがめんどくさいからね。それはその人の意見だから、別に否定もしないし、オレはオレのできることだけやればいいかな。受け流すとか、スルーするとかさえしておけば、「まあ、いいや」ってしてたら、あんまり言われなくなった。母:対人面で細かいことを気にしないようになれたよね。例えば、かあちゃんに小言言われても「OK」って、軽く流すじゃん(笑)あれもチャットの影響?長男:海外ユーザー同士は、どれだけしょーもない悪口を言われても、9割は「OK」で受け流してる。「OK」って、すごい便利な言葉じゃない?「Yes」だと賛成しちゃってることになるけど、「OK」だったら、あくまで「あなたの意見は、分かりました」ってだけの返事だからね。母:これはイラッとしないための工夫なのかもね。海外では、いろんな文化や言語の人とやっていかないといけない環境も多いから、そういう「異文化交流の処世術」も、ゲームからうまく学べたのかもね。伝えたい相手がいるから、学校の勉強も自然と予習復習できる出典 : 母:そうやって、毎日遊びながらしてることは、学校の英語の勉強に、どんな風に活かされてると思う?長男:海外の人達とチャットで話すうちに、「こういう表現するには、どうしたらいいんだろう」って、文法を調べていったら、結構学校でもできるようになった。母:あー!最初にすごく伝えたいことがあるから、単語とか、文法とか、調べてくってことだね。長男:そう。後は、相手の話の流れや状況から、言葉の意味を推測する。例えば、「過去形」を授業で習う前に、チャットで"I killed enemy."って味方が言ったら、「kill」っていう単語は分かるんだけど、「なんで”-ed"がついてるんだろう?」って思った。でも、その人は、たくさん敵を倒してるのが画面で分かるから、「敵を倒し”た”」みたいな意味かなって推測できた。だけど今度は、"I broke〜"とか出てきて、なんで「break-ed」じゃなくて、「broke」なのかな?って、なる。だけど、その人は敵の拠点を破壊してたから、「ああ、この単語の場合はそう書くのか〜」って、見て分かる。母:あー、視覚的な情報もセットだと分かりやすいね。長男:あとは、言われたこととか、伝えたいことがあって、気になって教科書をどんどん読んでた。出典 : 母:へえ!授業より、先取りしてたってこと?長男:うん。オレのオススメの英語学習法としては、テスト勉強以前に、先に文法を覚えてしまって、残りは単語に力を入れたほうがいいと思う。単語は、めちゃめちゃ簡単な言葉でもいいから、分かりやすく覚えた方がいい。文法さえできれば、あとは単語をひたすら増やすだけ。母:なるほど。文法覚えてたら、応用しやすいよね。ゲームで興味が持てたことを、教科書の内容にも広げられたってことかな。長男:あとは、授業で習った内容を早速海外の人とチャットで使ってみる!母:あー!それ、すごくいいと思う!長男:「can」が典型的な例だけど、授業で「can」の表現を習った次の日から、「Can you pass me〜?」とか、「Can you give me 〜?」とか、チャットでスグに使った。母:なるほど。即・実践で繰り返し使うと、定着して身につけやすいよね。授業で習ったこともすぐに使えば、生きた会話になるね。長男:でも、最近の英語の授業内容は高校の範囲に入ってきて、ハイレベル過ぎて、あんまり実践で使いドコロがないやつが多い(笑)。まあ、全く使えなくはないけど…非ネイティブの人には「アナタの英語は難しすぎる」って言われちゃう。母:確かに日常会話なら、中学英語で必要十分だろうね(笑)。最後に、キミの英語の学習法をまとめると、大好きなゲームで遊ぶ中で、すごく知りたいことや伝えたいことがあるから、単語も文法も自然と覚えるし、それが授業の予習復習にもなる。そして、実践で何度も繰り返し使うと、頭の中にも定着するってことだね。確かにコレなら、遊びながら英語ができるようになる気がする。成績UPの謎が解けたよ、ありがとう。長男:Thx(Thanks).「大好き」が、学びの原動力に…ゲームに限らず、子どもが遊びながら楽しく続けられる「大好き」を、親も気長に見守っていると、「勉強しなくては」と意識することなく、自然と意欲的に自ら進んで学べること、身につけられることはたくさんあるような気がします。そして現在、新型コロナウイルスの影響下で、おうちでお子さんがゲームをする時間が長くなって、心配になるご家庭も多いでしょう。もちろん、ゲームやIT機器との上手なつき合い方を、根気よく身につけていく必要はあると思いますが、工夫次第・考え方次第で、この時代だからこその「学びの機会」と捉えることもできるのではないでしょうか。何より、人との直接的な接触や会話が減っている状況下でも、オンラインでもいいから、子ども達が人との関わりの機会や興味関心を失わないよう、広い世界にも目を向けていけるよう、私は願っています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年02月13日子どもを勇気づける「親の失敗体験」出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。子どもが落ち込んでいるときや失敗したとき、親はなんて声をかけていいのか、戸惑ってしまうこともありますよね。かける言葉が見当たらないこともあるし、励ますつもりだったのに、なぜか怒らせてしまう結果になったり…。こんなときには、まずは子ども自身の話を否定せずに「うん、うん」「そっか、そっか」と、最後まで聴いてあげるのがいいと思いますが、それでも気持ちを引きずってしまう場合などに、親ができる"とっておきの秘策"があるんです。それは、親自身の「失敗体験」を話してあげること!特に繊細な子や、失敗体験が多くなりがちな子などの場合、話のタイミングやその子の受け止め方によっては、親の立派な武勇伝や学歴自慢、成功体験などは、かえってプレッシャーになることもありますが、親の失敗体験やしくじりエピソード、黒歴史、短所や欠点についての話なら、ほぼ「ハズレ無し」で、どんな子も勇気づけ、元気にすることができると思います(うちの経験上!)。それでは、恥ずかしながら”うちの実例”エピソードを、いくつか紹介しますね。出典 : まずは、不器用すぎて失敗が多くなりがちな長男を始め、うちの3人の子ども達になぜか大人気で、もはや定番ネタと化した「クッキーがおもちになった話」から。大学時代、学園祭で私が所属していたサークルは毎年喫茶店を出店していたのですが、そこで手作りクッキーを手分けしてつくり、飲み物と一緒に添えて出すことになりました。私は、お菓子づくりだけはどうしても苦手で、それまで一度も成功した試しがありません。不安しかありませんでしたが、材料も受け取ってしまったし、仲間達に負担をかけるわけにも行かず、仕方なくつくる羽目に…。とはいえ、クッキーはごく一般的な、生地を伸ばして型抜きしてシートに並べて焼くだけの、誰にでもできる"ハズ"の簡単なモノ。もちろん私は、我流のアレンジなどは一切加えずに、レシピに書いてある通りに素直につくったつもりでした。ところが、オーブンレンジを開けて出てきたのは、見事に一枚につながった謎の物体…。どうしてこうなるのか。時間もなく、仕方なしに「ソレ」を四角く切り分けて持っていくと、「な、なんだコレは!」と、ざわつく仲間達。そのうちの勇気ある1人が試食して一言…「うん、おもちだね」。結局、心優しい仲間達が、「クッキーだと思わなければ、意外と美味しいかも?」「モチモチ新食感だね」等と笑いながら食べてくれ、その後も何度か飲み会でネタにされたりもしましたが、今では学生時代のいい思い出です。こんな母の失敗体験を、何かある度に「ねえねえ、あの、おもちの話、して〜!」と子ども達にワクワク顔で迫られ、読み聞かせのように何度も繰り返し話しました。わが子がこんなに喜んでくれるなら、「あの時、失敗して良かった」とすら思えてきます。出典 : 子どものゲーム依存などを心配されるご家庭も多いかと思います。うちは基本的には「やるべきことさえやっていれば、ゲーム時間に制限はつけない(ただし、夜9時就寝!)」というルールです。それでも、特に好きなことに熱中しやすい長男は、オンラインゲームにのめり込み過ぎて心配になることも…。でも、ここで正論のお説教をするよりも、私のしくじりエピソードを話すほうが、ずっと説得力が出るんです。実は私、ちょうど今のうちの子達の年頃に、「パズルゲーム中毒」のようになってしまい、ちょっとヤバかった時期があるんです。私は元々パズルが大好きで、小学生の頃はジグソーパズルやルービックキューブなどに、健全な範囲で夢中になっていたのですが、思春期のころは、ちょうどファミコンブーム全盛期。そして、「上から落ちてくるT字やL字のブロックをキッチリ積んでいって、I字ブロックで一気に全消しする」という、例の元祖パズルゲームに私はどハマリして、もう本当に一日中、ぼーっとブロックを積んでは消し、積んでは消し…と、ひたすら繰り返していました。当時の私は、悶々と悩み続ける事も多く、自分で思考を止められずにしんどかったのですが、パズルゲームに無心で没頭している時間だけは、パズルに必要な部分以外の脳をオフにして、ほっとできたんですね。でも、その結果、ゲームをやめたくてもやめられない状態に…。それで結局、学校の成績が下がったり、ついゲームに手が伸びてしまって受験勉強に集中できなかったりもして、いろんなところに影響が出てしまいました。…こんな私の実体験を子ども達に切々と語ると、結構真剣に耳を傾けてくれるんです。やっぱり、経験者のリアルな話は重みが違いますからね。当然、こんな自分のダメっぷりをわが子の前で晒せば、親としての威厳なんて簡単に地に堕ちてしまいます。でも、だからこそ、子どもと同じ目線で語る言葉のほうが、難しい年頃の子達の心にも、ちゃんと届くんじゃないかな、なんて思います。まあ、長男は「でもさ、もし、かあちゃんがゲームに浪費した時間を勉強とかに全フリしてたら、人生の分岐ルートも違って、オレ達も生まれてなかったかもよ。だから、今、オレ達がいるのはテ◯リスのおかげ」なんて、言ってくれたりも…。出典 : そして、次男が小学校時代、体調を崩して学校に行けない日が続いていた時に、本当に役に立ったのが私自身の不登校の経験でした。私は、小学3年生のころ、1ヶ月ほどですが、同じように体調不良がきっかけで急に学校に行けなくなったことがあります。だからこそ、本人は「本当は学校行きたい」と言うけれども、どうしても身体が思うように動かないときの気持ちがよーく分かるので、かつて私の母がそうしてくれたように、無理に行かせたり、説得を試みたりはしませんでした。そして、家でテレビをぼーっと見ながら過ごす次男との母子2人の時間に、当時のいろんな思い出話をしました。例えば…「あの頃、かあちゃんはさ、学校って人が多くて疲れちゃったんだよね。いつもザワザワしてるしさ〜、休み時間はちっとも休めないしさ〜」…なんて切り出すと、我慢強い次男も、「そうそう、そうなんだよ」なんて、少しずつ本音や溜め込んだ不満を話してくれたりも。それから、「こういうとき、かあちゃんのかあちゃんがね、忙しい仕事の合間に『何か食べたいものある?』って聞きに来てくれたのが嬉しかったんだよね。で、〇次郎は今、何か食べたいものある?」…と、懐かしい思い出と共に希望を聞くと、嬉しそうにリクエストしたり…と、普段は兄や妹になんとなく遠慮している次男も、時折こっそり私に甘えてくれるようにもなりました。そうしている間に、本当にゆっくり、ゆっくりと、次男の体調は回復していきました。Upload By 楽々かあさんまた、春のコロナ休校が終わり、学校が再開された直後に、朝「行きたくない」と長女の登校しぶりが続いたときも、私の過去の「ズル休みの経験」が活きました。長女は悪知恵を働かせて、朝の検温を愛犬の脇の下で計って、「37.5度」という、なかなか”いい数字”を出して、得意そうに体温計を見せてきましたが、実は、体温の偽装に関しては私もプロなのです(良い子はマネしないでね)。「かあちゃんも小学生のとき、ズル休みしたくてさ〜…」と、当時、水銀体温計で、「心配されて病院に連れて行かれるほどの高熱ではなく、かつ、親が一応念の為、休ませておこうと思えるラインの、ちょうどいい数字」を出すにはどうしたらいいか、あんな方法やこんな方法で試行錯誤したことを話すと、ちょっと尊敬(?)の眼差しを送ってくれました。それから、運動が苦手だった私が「マラソン大会がイヤ過ぎて、毎年前日にお腹を出して寝た」だとか、「運動会が消えてなくなるように、台風の進路に全身全霊で念を送った」だとか、ちょっとカッコ悪い思い出話を気前よく披露すると、苦手な行事を前に沈んでいた子ども達を笑顔にすることもできました。どんなにネガティブな気持ちだって、身近な人に分かってもらえたり、「自分だけじゃない」と思えたりすることで、気がラクになることも結構あるのではないでしょうか。親の失敗体験は財産!出典 : こうして見ると、私は自分の失敗体験やしくじりエピソード、黒歴史…あるいは短所や欠点なども「あってよかった」と、財産のように思えてきます。ちょっとくらい失敗したって、間違ったって、寄り道したって、結構なんとかなるものだし、少々できないことや苦手なことがあっても、ちゃんと大人になれますから。「失敗のお手本」が目の前にあれば、子どもだって思い切って失敗できるハズ。そして、不思議なことに、子どもに自分の失敗体験を話してみると、なんだか親のほうも元気になるんです。それは、「親だって、完璧じゃなくてもいい」「子どもの前で、立派な親であり続ける必要はない」…と思えると、少しだけ”いい親”のプレッシャーから解放されて、肩の荷を降ろすことができるから…なのかもしれませんね。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年12月18日出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。「ちょっと待って」「ちゃんとやって」「キチンとして」…日常生活や、学校生活の中でよく使われる言葉ではありますが、小さな子だけでなく、こんなアバウトであいまいな表現が、イメージしにくくてピンと来ない子、イマイチ伝わりにくい子は案外多いんじゃないでしょうか。だって、「ちょっと」や「ちゃんと」って、目には見えませんからね。でも、”超・具体的に”、声かけを翻訳するだけで、どんな子にもガゼン、伝わりやすくなると思いますよ。そこで今回は、家庭でも園・学校でも即!使える、あいまい言葉の「声かけ変換」のコツを直伝します。「ちょっと」「もうすぐ」「だいたい」は、具体的な時間や目安を出典 : あいまいな言葉を子どもに伝わるように翻訳するコツは、「見えないものを具体的にイメージし、それを相手と共有できるようにすること」です。通常、「時間」や「相手の気持ち」などは、目には見えませんし、「適量」や「適度」などは、その人によって感覚が違います。更に「適切な行動」などになると、その人の主観や価値観次第でも変化するのではないでしょうか。そこを、人生経験の少ない小さな子や、空気を読むのが苦手な合理的なタイプの子などに、「察して、推し量るべし」と求めるのは、少々ハードルが高いことだと思います。そこで、子どもが経験値を積むまでは、こちらと同じイメージを共有できるように、具体的な数字・目安・行動などで伝えることで、分かってくれること、実行できることも結構多いんですよ。まずは、「ちょっと」「もうすぐ」など、時間に関する基本の伝え方から。Upload By 楽々かあさん例えば、お出かけ前に「早く、早く!」なんて、何度も子どもに急かされると、こちらにも都合があるので「ちょっと待って」と、連発したくなりますが…「ちょっと」とは、あとどれぐらいの時間なのかが分かるように、「あと3分待って」「9時45分になったら、出かけよう」など、具体的な数字を入れて伝えると納得しやすいでしょう。この時、まだ時計が読めない小さな子や、なかなか時間を意識しにくい子などは、スマホのゲージ付きのタイマーアプリや砂時計など、「時間が見えるようになっているもの」を併用して見せるとGood!また、ハッキリとした時間が伝えにくい場合には、「かあちゃんが、この洗濯物をたたみ終わるまで待って」など、具体的な行動などで区切りや目安を伝えてあげると納得できることも。運が良ければ、お子さんが一緒にお手伝いしてくれるかもしれませんしね。Upload By 楽々かあさん子どもは待つのが苦手なことが多いもの。ましてや、楽しみなことが目の前にあったら、「ワクワクし過ぎて、待ちきれない!」のは尚更でしょう。また、いつまで待てばいいのか分からなくて不安になったり、漠然と待っているとどうしたらいいのか戸惑ったりすることも。そんな時に、「もうすぐだから」と、大人がうまいことお茶を濁そうと思っても、子どものほうは、なかなか納得してくれないこともあります。例えば、人気のお店や映画などの長蛇の列に並んでいる時には、「あと、〇人だよ」「今、◯番目だよ」など、時間同様、人数や回数などの具体的な数字を伝えて、「ゴールが見える」ようにすると安心できるかもしれません(事前予約や座席指定をしたり、空いている時間帯や場所を選んだりするのも、お互いに疲れないための賢いテです)。この時、整理券や番号札などがあると、なお分かりやすいのですが、お店で配ってない場合はメモ帳などに番号を書いて渡してあげると、落ち着けることもあります。小さな子には、指で見せてあげるだけでも違うと思いますよ。また、「〇〇して待ってようか?」など、具体的な待ち方を提案したり、予めゲーム機やマンガなど、その子の好きなものを持参したりなどして、待ち時間に「何をして待てばいいのか」がハッキリしていると、結構気長に待てることも(大人だって、応接室でお茶菓子を出されたら、多少の時間は大丈夫ですよね)。そして、大人と子どもの時間感覚は違うので、「冬休みまで、もうすぐだから」など、大人にとっては数週間後の話も「もうすぐ」かもしれませんが、子どもにとってはとてつもなく先の話に感じられることも。こんな時は、一緒にカレンダーを毎日斜線で消していったり、メモ帳パッドで日めくりカウントダウンを作ってあげたりするのもいいかもしれません。出典 : 例えば、子どもが宿題などで、些細なことにこだわって、なかなか自分で今やっていることを終われないときに、親が助け舟を出すつもりで「だいだいでOK」なんて言ってあげても、真面目で完璧主義タイプの子などは納得できないことも。そんなときには、「だいたい」とは、何%くらいのことなのか、ひとまずの目安を具体的な数字で伝えてあげるだけでも、気持ちに区切りをつけやすくなるでしょう(時間に余裕のある時には、本人が納得できるまでトコトンやらせてあげるのも、いいと思います)。この時、ワークなどの課題に1ページずつふせんを貼って「今日は、ふせん◯枚取れれば大丈夫」とか、優先順位をつけた一覧表を作って「最低限ココまでできれば、十分だよ」などと、ひとまずの合格ラインを引いてあげると、安心できる子もいるでしょう。また、宿題などで、完璧さを求め過ぎてなかなか終わらず、子ども本人も悩んでいる場合などは、あえて「字を雑に書く練習」をしてみたり、「ココだけは完璧に」「ココからは、"できれば"でOK」など、時間をかけて一緒に「妥協ラインを引く練習」をしていくと、その子も少しラクになれるかもしれません。「ちゃんと」「しっかり」「キチンと」とは、どんな行動なのかを「ちゃんと」「しっかり」「キチンと」などの言葉も、その人それぞれの主観や価値観次第で、「どの程度が合格ラインなのか」が変わってきますし、どんなことをすれば「ちゃんと」になるのか、「具体的な行動」をなかなか明確にイメージできない子もいます。ここは、どんな行動をすればいいのか、何ができていればいいのか、こちらが想定している「ちゃんと」の「中身」まで取り出して、具体的に翻訳して伝えると動きやすくなるでしょう。出典 : 「もう!男子〜、ちゃんと掃除やって!」…なんて、学校の掃除の時間の班行動などで、しっかりさんタイプの子が大変そうにしているときもあるでしょう。みんなで何かをする場面で、単独行動を取りがちな子や、他人事のようにぼんやりしちゃう子などには、「誰が、どこからどこまで、何をやればいいのか」それぞれの子の担当する範囲や役割を明確にして、具体的な行動で「個別に」お願いすると、自分から"ちゃんと”動いてくれるかもしれません。とはいえ、最初から、ここまで子ども同士に期待するのはハードルが高いので、まずは周りの大人が声かけのお手本を見せてあげると、しっかりさんも助かるんじゃないでしょうか。大人が目の前で繰り返し声かけのお手本を見せていると、自然と子ども達がマネしてくれること、いつの間にか身に着けてくれることも、多いと思いますよ。出典 : 大人が子どもに対して「しっかりしている」と感じるとき、その子は自分で判断して、「自分が何をしたらいいのかが分かり、それを実行できている」ことが多いのではないでしょうか。逆に言えば、「やるべきこと」を把握し、それを実行できれば、どんな子も”しっかり”できるかもしれませんね。つまり、子どもに”しっかり”やって欲しいときには、「今やること」「次にやること」「何と何ができればいいか」等を確認できる声かけなどをするといいでしょう。この時、一緒に「やることリスト」に書き出したり、計画表を作ったり、ふせんなどを使って物事の優先順位づけをしたり…と、頭の中の整理整頓ができるようにすると、先のことを見通して動くことが苦手な子でも、実行力がUPすると思います。こうして、最初は大人の声かけで促されつつも、「有言実行できた」経験値を貯めていくと、次第に自分で判断し、"しっかり”できるようになってくるでしょう。Upload By 楽々かあさん例えば、子どもの服装や姿勢をだらしないと感じて、大人が「キチンとして」と、注意したとしても…子ども本人が、周りからどう見られるのかをあんまり意識していない場合、「キチンと」しないといけない場面でも、その場に合った適切な服装や行動ができないこともあります。でも、その子に悪気はなく、単に知らない・気づいていないだけのことも多いので、「どういった服装や行動をすれば、キチンと見えるのか」を、具体的に伝えればOK!その際、写真・動画や、大人や友達などが目の前で”キチンと”している具体的な「実例」を見せるのも、分かりやすくていいと思います。また、既に「キチンとする」とは、どうしたらいいのかは(知識として)知っているけど、”今がそのタイミング”だと気づいてないこともあります。この場合は、「周りの人の服装を見てごらん」「ここでは、どうすればいいと思う?」等と、周りに気づかせたり、適切な行動を思い出せる声かけをしたりすると、”キチンと”してくれるでしょう(まあ、その子が「シャツをインするのはダサいから、絶対ヤダ」等と、強固な意思を持って”あえて”そうしている場合は、この限りではありません)。このように、見えない空気が見えるように、あいまいな言葉を「超・具体的に」翻訳する声かけを意識すると、”ちゃんと”分かってくれること、”しっかり”"キチンと”できることだって多いんです。できるようになってきたら、あいまい言葉にも慣れるように…出典 : …とはいえ、周りの人達みんながいつもそんな風に、親切に丁寧に言ってくれるわけではありませんよね。そこで、「超・具体的に」翻訳する声かけで、子どもが「どうしたらいいのか」だんだん分かってきたら…あえて「ちょっと」「だいたい」「ちゃんと」などをフツーに使ってみて、あいまいな言葉の表現にも、徐々に慣らしていくといいでしょう。そして、実際にそれができたら、「そうそう、それくらいが”だいたい”」とフィードバックしたり、うまくできなかったら、「もう”ちょっと”こうしてくれる?」等と微調整したりして、あいまいな言葉のイメージを子どもと共有できるようにするとGood!こうして、少しずつ手を離していくと、少々空気を読むのが苦手な子でも、だんだんと「通訳なしでも大丈夫」になっていくと思いますよ。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年11月17日SKE48・大場美奈の2nd写真集のタイトルが『答え合わせ』(18日発売)に決定し、新たなビジュアルが公開された。今回新たに公開された限定版カバーのビジュアルは、ざっくりと胸元の開いたレースのワンピース姿と、華奢な肩から背中を見せつける花柄のワンピース姿。レースのワンピース姿では、ファンにはおなじみの胸元のセクシーなほくろも捉えている。現役アイドルとして、また等身大の28歳の女性としての大場の内面に深く迫るため、今回は女性カメラマンと2人きりで寝食を共にしながら撮影。コロナ禍も考慮のうえ“Stay home”した。笑って、泣いて、悩んで、怒って、食べて、疲れて、でも喜んで……様々な感情と表情を見せる、大場の「今」が詰まったドキュメンタリーのような1冊に仕上がった。大場は「撮影中はとにかくカメラマンさんと2人きりでの撮影なこともあり、皆さんにどうしたら喜んでもらえるか? その中で今どうしようか? と、ゆとりなく考えていましたが、とっても見ごたえのある一冊になりました」と自信を覗かせる。タイトルは秋元康氏が考えたとのことで「写真集を見ながらすごくぴったりだなと思い、とっても気に入っています」と喜びを見せ、「今年イベント開催が出来ることは、とっても嬉しいことなので皆さんが安心して来れるように、そして皆さんにとって大切な一冊になるように全力でお待ちしています」とファンに呼びかけた。発売日当日の18日(17:00~)には、東京・渋谷の「MAGNET bySHIBUYA109」5階イベントスペースで発売記念トーク会を開催予定。9日発売の『週刊ポスト』『スピリッツ』(小学館)では、本作のアザーカットが掲載される。(C)田口まき/小学館
2020年11月06日親子で学校がしんどかった頃、支え続けてくれたスクールカウンセラー出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。現在、新型コロナウイルスによる影響下で、登校をしぶりがちだったり、学校生活に戸惑いや負担感を感じるお子さんも、少なからずいるでしょう。また、親だって、子育ての悩みや不安があっても、他の人には気軽に相談しづらい方もいるのではないでしょうか。そんな「学校、しんどいな」「子育て、大変だな」という時、うちでは長男が小1の頃から現在まで、スクールカウンセラーを親子で活用し、支え続けて頂きました。そこで、今回はスクールカウンセラーの基本的な利用のしかたと、相談できることや活用法などを、うちの親子の実体験からご紹介します。出典 : 「スクールカウンセラー」は、学校の中で、児童・生徒、保護者、教員などの心のケアを中心に支援をしてくれる身近な相談役です。一般的に、臨床心理士・公認心理師・精神科医などの専門の資格がある先生が配置されることが多く、子どもの発達面についても詳しいことが多いようです。ただし、現在その配置数は年々増加傾向にあるとはいえ、各学校専属のカウンセラーはまだ少なく、大抵は自治体ごとなどで複数の学校を巡回している先生が多いかと思います。うちでお世話になったスクールカウンセラーの先生も、公立小学校も私立中学も、複数校のかけ持ちです。スクールカウンセラー等活用事業:文部科学省こういった事情から、スクールカウンセラーの利用は「第2・第4の○曜日」など、決まった回数、決まった曜日が相談日になっていることが多いでしょう。また、自治体によっては、在籍校ではなく、近隣の他校に訪問する必要があることも(あえて、他校での相談を希望する方もいるようです)。ですので、もし、「ちょっと相談してみようかな?」と思ったら、まずは学校のお便りなどをチェックしてみるといいでしょう。うちの小学校では、月に一度配布される「スクールカウンセラーだより」に、先生の来校日や予約のしかたが書いてあります(分からなければ、管理職の先生等にお問い合わせを)。うちの小学校の場合、予約は予約担当の先生(教頭先生、特別支援コーディネーターの先生)か、事務職の方に電話で希望日時を伝えて調整していただきましたが、「利用日時を在籍校の先生方に知られたくない」などの場合は、カウンセラーの先生の来校日に電話をして、本人に直接予約を取ることもできるようです。また、一度利用すると、次の予約を相談時間内に口頭で取ることもできました。うちでは長男にも小学生の頃から「予約の取り方」を電話の横で一つひとつ教え、自分で予約をして1人でも相談できるようになり、中学でも(勝手に)活用しているようです。スクールカウンセラーって実際どう?話聴くだけ…?出典 : 「スクールカウンセラーって、実際どうなの…?」「話を聴いてくれるだけじゃないの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。でも、スクールカウンセラーの相談内容は、子どもの心のケアはもちろん、発達面の心配や不登校の悩み、学校の先生や友人関係のこと、いじめ対応、進路や就学の相談、家庭問題や親自身のこと…など多岐に渡り、実は「話を聴く」以外の働きかけも沢山あるんですよ。実際に、うちでは主に…・子どもの発達のこと・学校との連携や仲介・子ども自身の相談・代理相談と親のケア…などを相談してきました。また、最初に、「ここで話したことには『守秘義務』が課され、本人から希望しない限り、学校の先生なども含めて、他人に知られることはありません」と、(子どもにも)説明がありました。では、それぞれ、うちではどう相談し、学校生活に活かしてきたのか、可能な範囲で紹介しますね。出典 : 「子どもの発達のことが気になるんだけど、専門の医療機関は敷居が高い」「初診の予約がなかなか取れない」などや、「発達障害の診断はついたものの、その後どうしたらいいのか分からない」「検査結果が上手に学校生活に活かせない」などでお悩みの場合、スクールカウンセラーが助けになってくれるかもしれません。私は、長男が小1で発達障害の診断がついた頃、初めてスクールカウンセラーを利用しました。担当してくれた先生は、臨床心理士の資格もあり、発達面についても詳しい方でした。当時の私は「発達障害」という言葉を知ったばかりで、右も左も分からない状況の中、知能検査の結果などを持参しながら、「専門病院でこんな風に言われたのですが…」と、恐る恐る相談しました。すると、カウンセラーの先生は、数字だけではよく分からなかった知能検査の結果を見立てながら、「この数値が高いので、〇太郎君はこういうことが得意で、こういうことが苦手だと思います」「こことここの差がこんなに開いているので、学校では〜することが、かなり負担なんじゃないかな」など、ひとつひとつ詳しく解説してくれ、「あー、そういう意味だったのか!」と、ストンと納得できたことを覚えています。そして、当時の長男は漢字書き取りの宿題を泣くほど嫌がり、「国語のある日は学校行きたくない」と、毎朝登校しぶりが続いていました(国語って、毎日ありますよね…)。私も親としての自信をすっかりなくして抑うつ的な気持ちが続き、外出するのもつらく感じていました。こんな悩みは、幼稚園からの長いつき合いでも、普通に元気に学校に通えているお友達のママ友さんにも打ち明けられず、私は1人で抱え込み思いつめていたので、話を否定せずに聴き、一緒に「どうしたらいいか」考えてくれる存在がいたこと自体が、何よりの助けになった気がします。私も、カウンセリングの最初の数回は泣いてばかりだったように思いますが、相談を重ねるうち、次第に気持ちや頭の中が整理され、長男に対しても、学校に対しても、なんらかの前向きな行動につなげる力を頂きました。また、長男のことが落ち着いてきてからも継続的にカウンセリングをお願いし、その際、「発達障害の診断が出るほどではない」グレーゾーンの次男や長女のことも、最近の様子などを報告しながら一緒に成長を見守って頂きました。Upload By 楽々かあさん「担任の先生のやり方が我が子に合わないようだけど、モンスターペアレントだと思われないか心配」「配慮をお願いしたいけど、先生も忙しそうで言いづらい」「学校に理解を求めたいけど、口下手で上手に伝えられない」…などでお悩みの場合も、スクールカウンセラーを頼ってみてはどうでしょうか。私は子どものことで、学校に配慮や理解をお願いしたい時に助言を頂いたり、時には、スクールカウンセラーの先生が直接、担任の先生などに「カドが立たないように」上手にこちらの要望を伝えて下さったり…と、親と学校の間の仲介役となって調整して下さいました。また、私は長男が小学生の時、毎年担任の先生に「サポートブック」を作って連携をお願いしてきたのですが、その際も、担任の先生に渡す前に、スクールカウンセラーの先生に一旦チェックしていただきました。第三者の客観的な視点から、「学校に過剰な要求をしていないか」「担任の先生の負担にならないか」…などへのご意見を頂けたのは(お互いのためにも)助かりました。そして、子どもと担任の先生やクラスメイトとの関係が気になる時などは、スクールカウンセラーの先生が、実際に休み時間や授業中に教室の様子を見に行くことも。うちでは、校内で長男に声をかけてくれたり、クラスの子や他のクラスの先生からもそれとなく様子を聞いてくれたりしました。親は大抵、わが子の話からしか学校の様子が分かりませんし、また、一見その子の個性の問題に思えることでも、クラス全体の雰囲気や子ども同士の関係などが影響していることもあります。そこを、「〇太郎君は、クラスで全く孤立しているワケでもなさそうですよ」「今、教室が結構騒がしいようで、〇次郎君にはきついかも…」など、第三者の視点から様子を教えて頂き、私も安心できたり、家での接し方を変えたりすることができました。また、教室の状況次第で、管理職の先生方などにも連携を取って頂けるように働きかけてもくれました。出典 : こうして、なにかある度に、私はスクールカウンセラーの先生に相談してきたのですが、長男が小学校高学年になった頃、前述のように「自分で相談できるように」徐々に慣らしていくことにしました。その理由は、改善傾向にあるとは言え、発達障害・グレーゾーンの子に対する公的な支援体制は、(特に地方では)まだまだ十分とは言えず、また、子どもの成長に伴い、「なんでも親が解決!」とはいかなくなるからです。そして、思春期の子には、親には話しにくい悩みもあれば、時には親への不満だって出るのも健全な成長の証でしょう。だから、子どもが自分で、親以外の誰かに助けを求めたり、相談したりできる力を、親が間近でフォローできるうちから、ゆっくり身につけておこうと思ったのです。そこで、長男の場合、最初は親子面談で予約しました。私は「初回は挨拶程度でも十分」と考えていたのですが、まあ、よく喋ったこと!(笑)とにかく言いたいこと、誰かに聞いて欲しいことが沢山あった長男は、親以外でそれを否定せずに受け止めてくれる存在が身近にいたことが、すごく嬉しかったようです。それ以来、相談時間をとても楽しみにしていました(ちなみに、カウンセリングは授業中の時間帯でも可能なので、正当に教室を抜け出せるのも良かったようです)。そして、長男が自分1人で相談できるようになると、カウンセラーの先生は、中学受験前の面接の練習にもつき合ってくれたり、時には一緒に給食を食べてくれたりもしたようです。後日、お礼を伝えると、「〇太郎君と話すの、私もすごく楽しいんですよ。素直でユニークで、いろんなこと考えてて…」なんて聞き、私もなんだか嬉しくなりました。出典 : でも、カウンセリングに積極的になれる子ばかりではありませんよね。うちの次男もそうでした。次男は、5年生の頃、登校前になるとお腹が痛くなって、学校に行けない時期が続きました。そこで私は長男同様に、次男も一度、親子でカウンセリングを受けてみたものの、控えめで繊細な次男は「うーん、僕は『さあ、どうぞ、悩み事を何でも話して下さい』ってカンジが、どうも苦手なんだよね…」とのこと。なので、次男の場合、それ以降は無理に本人をカウンセリングに連れて行くことはせず、親だけでの代理相談で続けてもらいました。そこで、家での次男の様子や、お医者さんから聞いたことなどを詳しく伝えると、カウンセラーの先生は、「おうちではこんな風に接してみてはどうでしょうか?」と助言してくれたり、担任の先生や保健の先生などともやりとりしてくれ、いろんなことが複雑に絡まっていた当時の次男への「支援の中継地点」のようになって、働きかけて下さいました。そして、突然「不登校の子を支える親」となった私の心のケアも同時にして頂きました。子どもが学校に行けなかったり、その子の個性や親の育て方などに何か問題があるかのように周りから思われたりすることが続くと、親はどうしても自分を責めがちになりますから、同じようにつらい思いをされている方もいるでしょう。私自身も事態が長期化してくると、「一番つらいのは子ども」だと分かっていても、正直かなりストレスや疲労を溜めがちに…。こんな、親のほうもしんどい時期に、「自分を気にかけてくれる人がいる」「大変さを分かってくれる人がいる」というだけでも、かなり違うのではないでしょうか。どんなに大変な時でも「自分を孤独にしない」努力だけは、したほうがいいように思います(私の経験上!)。親子でスクールカウンセラーを利用してきて…出典 : こうして、小学校時代、私達親子は長い間継続して、スクールカウンセラーのお世話になってきました。そのおかげもあり、長男は「自分の言葉で、自分のことを説明する」のが、かなり上手になりました。そして、中学でも自分で定期的にスクールカウンセラーを利用しているようです(ほぼ、雑談をしに行っているだけみたいですが、本人は「超楽しい!」そうです)。そして、次男のことの相談時間の終わりに、私は中学で自分らしく過ごしている長男の近況などを伝えると、スクールカウンセラーの先生は目を細めながら、(少々手のかかる子だった)長男の成長を「〇太郎君、本当に良かったですね〜」って、一緒に心から喜んでくれました。でも、そのカウンセラーの先生はコロナ休校中の間に、いつの間にか転任されていきました。お別れのご挨拶もできなかったけれど、その後、心配をかけた次男も回復し、無事小学校を卒業して、「おかげさまで、お兄ちゃんと一緒に、毎日元気に中学に通ってますよ」って、いつか報告できたらいいな…と思っています。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年09月14日家で子どもと過ごす時間が増えると、正直キツイ!?出典 : こんにちは。「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。新型コロナウイルスの影響が長期化してきて、おうちで子どもと過ごす時間が増えたり、学校のスケジュールに合わせて様々な予定変更に対応しないといけなかったり……が続いていますよね。率直に伺いましょう。正直、キツイですか?……ですよね。どんなに可愛いわが子でも、一緒にいる時間が長くなったり、不安を抱えたままの生活が続いたりすれば、誰だってストレスを感じるのは当たり前です。ましてや、ちょっとしたお出かけにも何かと神経を使うし、お友だちとワーッと密に遊ぶ機会もつくりづらかったり、おじいちゃんおばあちゃんのおうちにも気軽に行きづらかったりと、子ども達がのびのびと遊ぶことが難しい状況です。親のほうも、テレワークや、きょうだい児のお世話をしながら、宿題を見たり遊び相手になったりですから、余裕だってなくなりますよね。さらには、繊細で不安感の強い子や、元気で活発な子の子育てをしていれば尚更大変でしょう。まずは、「こんな状況では、お互いにイライラするのは当たり前」だと思って、つい怒ってしまう自分がいても、必要以上にできないことを責めないのが大事なのではないでしょうか。その上で、「できる範囲」「気が向いた時だけ」「余裕のある時だけ」でいいので、子育てと親子のコミュニケーションをちょっとだけ効率UPする「声かけ変換」を、脳トレの1つだと思って試してみませんか?日々の小さな「イラッ」「ムカッ」だって、チリも積もれば大きなストレスになります。伝え方ひとつ、言い方ひとつで、子どもにちゃんと伝わる回数が増えれば、いつの間にか、子どもと過ごすおうち時間が少しだけラクに感じられるかもしれません。親子コミュニケーションの効率をUPする「声かけ変換表」がコレ!Upload By 楽々かあさんかつては怒ってばかりだった私・楽々かあさんが、うちの(ちょっと手のかかる)3人の子ども達を相手に、悪戦苦闘・試行錯誤し、長年の「うちの子研究」の末に、ようやくたどり着いた「子どもに伝わりやすい声かけ」を、[before]→[after]で一覧表にまとめたのが「声かけ変換表」です。2014年に私が手作りしたオリジナルの「声かけ変換表」がネットで拡散されて話題になったので、記憶力の良い方は覚えてくださっているかもしれませんね。あれから更に6年経って、その後の子ども達の成長や思春期のことなども踏まえてパワーアップした【決定版】が、新著刊行に伴って開設された「あさ出版特設サイト」より公開され、どなたでも無料ダウンロードできるんですよ。よかったら、プリントアウトしてご家庭の冷蔵庫やトイレの壁に貼るなど、毎日の子育てのヒントにご活用いただけたら嬉しいです。では、この「声かけ変換」の発想で、おうち時間でありがちな場面での小さな「伝わらない」イライラを減らす声かけのコツを、うちのリアルな「実例」でご紹介します!出典 : 私は筋金入りのインドア派なので、おうち時間自体は全く苦になりません。今は、動画配信サービスなども充実し、家でいくらでも映画やドラマが見放題ですから、窓の外から聞こえるセミの声をよそに、エアコンの効いた部屋で涼し〜く快適にくつろいでいると……突然、2階から長男がドタドタと駆け下りてきて、バーン!と居間のドアを開け放ち、「充電!充電!おー、ココにあった」などと、また嵐のように立ち去ろうとするではありませんか。ちょっと待て〜い!!ドア、開けっ放しで行く気ッ!?でも、ココで私が長男をギロリと睨みつつ、少々ドスの効いた声で……「ア・ツ・イ!」と、言ったとしても、「だよね〜。夏だしね〜」……としか、本人は思いません。うちの長男は空気を読むのが苦手なので、それが「貴重なエアコンの冷気が逃げていくから、ドアを閉めて欲しい」という言外の意図まで察するのは難しいんです。これは、長男ばかりの責任ではありません。私のほうも言葉を省略し過ぎているんですね。実は、子育てに限らず、私は対人関係のイライラやトラブルの原因の多くは、当人同士の性格や相性の問題などではなく、「言葉の過不足」から生じているのではないかと思っています。ですから、ここでは、「暑いから、ドアを閉めてくれる?」と、言葉を省略せずに「して欲しい行動」を最後まで伝えれば、大抵は、ちゃんと分かってくれます。※時々の換気も大事!出典 : 家族の昼ごはんのために、折角、お母様が熱気ムンムンのキッチンに独り決死の覚悟で立って、グツグツ煮立ったお鍋でそうめんを茹でて差し上げたというのに、子ども達がオンライン・ゲームに夢中で、ちーっとも食事が始まらなかったら、そりゃあ、腹も立つというモノ。「いい加減にしなさい!」……って、ブチッと電源を引っこ抜きたくなりますが、まあ、子どもには子どもの都合もあるんですね。うちの子曰く、「オンライン・ゲームって、急にやめられないんだよ。勝手に抜けると次に入れてもらえなかったりすんのッ!」とのこと。私も小中学生の頃には、ドラクエに夢中だったので「そんなの知ったこっちゃない」とも思えず、一応、子どもの都合も聞いてみます。例えば……「その対戦、あと何分で終われそう?」「次のセーブポイントまで、どれくらい?」……とか。子どもの世界に話しを合わせながら伝えてみると、意外と素直に終われることも多いんです。そして、ココで大事なのは、たとえ多少約束の時間をオーバー気味だったとしても、最終的にゲームをやめて来られたら、「終われたね」……と、できたことに注目してフィードバックしてあげること。こうすると、次も同じように終われたり、だんだんともう少し早めに行動できたりする確率UPです。出典 : 親の休息時間確保のために、やむを得ず、子どもに動画を見せっ放しにしていると、いつの間にか「迷惑系」などと呼ばれるモノまで見ていることも……。テレビのニュースでも、国内外の大人や無謀な若者達の迷惑行為や、感染リスクを軽視する行動などが時折報じられたりもします。大人達があまり「いいお手本」を示せていないのに、「あれもダメ、コレもダメ」と、子どもの行動を制限することを理解させ、十分納得させるには、なかなか説得力を出しにくい状況なのかもしれません(もちろん、「いいお手本」になる情報もたくさんありますが……)。それでも、親や周りの大人達は、お互いを守るための行動を、子どもに根気よく理解させていく必要があるでしょう。例えば、子どもが久しぶりの外食で食事中にマスクを外している時に、ついはしゃいで大きな声で騒いでしまう場合などに、「メーワクだよ!」……の一言で済ませると、その場ではとりあえずやめられても、親が見ていない時やみんながやっていない時にできなかったり、逆に、話していい時でも過剰に意識しすぎたり……なんて可能性も。ここは、少しだけ丁寧に、「大きな声で話すとちっちゃいツバ(飛沫)が飛びやすくて、もしも自分が感染してて、そこにウイルスが入っていたら、周りの人に移してしまうかもしれないから、これくらい(←実例)の小さな声で話そう」とか、「〜食事が終わって、マスクつけてから話そう」……など、「メーワク」の中身を、具体的に「どんな行動(言葉)で、誰がどんな思いをしたり、どんな不便や負担をかけたり、どんなリスクにつながったりするのか」、子どもが納得できる理由を説明するといいでしょう。それと同時に「やっていいこと」もセットで伝えると、たとえ親が見ていない時でも周りに配慮する行動ができる確率がUPすると思います(テイクアウトにしたり、屋外で広々と食事できる場所を選ぶのもGood!)。そして、子どもにして欲しい行動があったら、親や周りの大人はその子の目の前で、繰り返し繰り返し、実際にお手本を見せてあげ続けることで、いつの間にか身につけられることって、本当に多いんです。変換できても、できなくても、親ががんばってることは同じ!出典 : こんな風に、伝え方ひとつで、お互いに言いたいことがまっすぐ相手に伝わるようになると、日常の親子のコミュニケーションのすれ違いから生じるストレスが次第に減っていくでしょう。でも、私が声を大にして伝えたいのは、声かけを「変換できても、できなくても、親が毎日子育てをがんばっていることは同じ!」だということ。「声かけ変換」は、子育てをちょっとラクして効率をUPする「省エネ術」のようなものですから、たとえ上手に変換できなかった時も、あなたが子育てをがんばっていることには全く変わりありません。ですから、たとえ、つい子どもにイライラしてしまっても、このような状況では尚更、そんなの当たり前です。こんな時は、子どもと物理的に少し距離を置く「家庭内ソーシャルディスタンス」をとりながら、冷たい麦茶でも飲んで一息入れつつ、「しゃあない、しゃあない、あるある〜」と、自分にも声かけを。そして、子どもと同じように、自分自身の「できてること」「がんばれていること」「フツーにこなせていること」などにも、ちゃんと目を向けてあげて下さいね。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年08月17日子どもの勉強、親が教えないとダメ!?出典 : こんにちは。「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。毎日の宿題に加えて、新型コロナウイルスの影響による休校や夏休みなど、何かと家で親が子どもの勉強を見る機会が増えていますね。でも、子どもが自主的にサクサク進めてくれればいいのですが、なかなか「そうもいかない」「ちっとも捗らない」ってご家庭も多いんじゃないでしょうか。親のほうも、テレワークやきょうだい児のお世話があって「そんなに気長に教えられない」ってこともありますし、「子どもに勉強を教えるなんて、どうしたらいいか分からない」って方もいるでしょう。大丈夫。学習内容自体は親が1から10まで教えなくても、検索すれば大抵のことは分かりやすい動画や学習サイトがあります。それに、2019年4月施行の改正学校教育法で制度化されたデジタル教科書が今年の4月からより本格的に導入されるようになり、教科書会社も各種のデジタルコンテンツを用意しています。お子さんがお使いの今年度の教科書をよーく見てみると、ところどころQRコードがついていたり、巻頭や巻末にURLが掲載されていませんか?(もし、見当たらなければ、教科書会社の名前で検索を!)すると、お使いの教科書に合わせた、「コンパスの使い方」などのワンポイント動画や解説アニメーション、観察・実験動画、国語の教科書のお話をプロが朗読した音声、ダウンロードしてプリントできる補助教材などを、誰もが利用できるようになっているんですよ。ですから、親は「教える」よりも、もっと大事な「その子の目線に合わせてあげること」に限られた時間とエネルギーを使って、子どものやる気をUPさせていくといいでしょう。子ども目線の簡単アイディアと声かけで、宿題はずーっとラクになります!出典 : では、宿題がちっとも進まなかったり、がんばってるけど上手にできなかったり、途中で投げ出したりする子を前に、親はどうしたらいいのでしょうか。実は、子どもが宿題や勉強をサクサク進めない時、そこには、ちゃーんと理由があるんです。もちろん「暑い!」「ゲームやりたい!」「アイス食べたい!」なんて雑念が次々と浮かんでいることもありますが、ちょっとした動きが苦手だったり、ほんの少しのことでつまずいていたり、「メンドクサイ」「つまらない」「漢字キライ」など、今までの経験による勉強のイメージから戦意喪失していることも…。そこを、子ども目線で気づいて、簡単な工夫やちょっとした声かけをしてあげるだけで、宿題への取り組みハードルが下がれば、ずーっとラクに取り組めますし、ちょっとのことで「できた!」が増えればやる気UP。自分でサクサク進められる、学習の好循環に入っていけます!最初だけ、親はひと手間かかりますが、長い目で見ればこれが夢の「自学自習」への近道かもしれません。では、宿題がサクサクできちゃう、子ども目線に合わせたとっておきの簡単アイデアと声かけのコツを3つ、お伝えします。Upload By 楽々かあさん子どもがなかなか「できない」「うまくいかない」という時は、その「動き」をよーく観察してみると、サポートのヒントが見えてきます。例えば算数の宿題で、定規や分度器を問題用紙の図形の線にうまく合わせられない…なんて場合。その子の目線では透明のアクリルの線が見えづらいのかもしれません。こんな時は、定規や分度器の「フチ」を赤や黒のマジックでキューッと塗ってあげれば一発解決することも。他にも、分度器のメモリが2つあって読みづらい時には、片方をマイナスドライバーで削ってあげたり、真ん中に赤い刺繍糸をテープでくっつけてあげるだけでも、とても見やすくなります。Upload By 楽々かあさんまた、ちょっとした数字や文字・記号の暗記が「そんなに覚えらんない!」って場合は、子どもが覚えるまでは、カラーシールなどに書いて貼っておけばOK。例えば、三角定規のそれぞれの角度や、時計の「分」の表示、鍵盤ハーモニカやキーボードのキーの配置など、結構幅広く応用できます!そのうち子どもが見慣れて覚えたら、シールをはがせばいいだけですしね。こんな『小さなつまずき』に気づくには、子どもがなかなかできない時も、まずは先入観のない目で、「どこで困っているのかな」「何が難しいのかな」と、行動に注目して見てあげるのが大事です。そして、じっくり観察しても子どもがどこでつまずいているのか分からない時は、「どこが難しい?」「どうしたらできそう?」など、本人の話をよーく聴いてみるのもテ。意外な部分で困っていることって、案外多いんですよ。Upload By 楽々かあさん日々の漢字書き取りや計算ドリルの宿題や、夏休みの課題などがたーくさんあると、誰だってやる気ぐらいなくします。こんな時は「ゲームの前に5分だけ、がんばろうか」などと短時間で区切ったり、「ここまでできたら、おやつにしよう」などのゴール設定、あるいは、宿題の範囲全ページにふせんを貼って「今日は何個くらい、ふせん取れそう?」と本人に都合を聞くなど、声かけしながら課題を小分けにするのがいいでしょう。それから、個別の宿題内容でも、「小分け」作戦は有効です。例えば、子どもが「筆算のケタが増えちゃって、難しい〜!!」なんて時には、指やエンピツ、下敷きなどで、一桁ずつ隠しながら、順番に一個ずつ解けば、ずーっと簡単になります。計算問題のプリントに問題がずらっと並んでるのを見るだけで戦意喪失しちゃう子は、プリントを折りたたんだり下敷きで隠したりして、数問だけ見えるようにすれば、「これぐらいなら、できそうな気がする」かもしれません。そして、子どもが1コずつでもがんばれたら、「OK」「できてるよ」「がんばったね」と、わんこそばの合いの手のように声かけしてあげると、膨大な宿題も最後まで完走できる確率UPです。Upload By 楽々かあさん子どもが勉強に対して自信をなくしがちな時や、うっかりミスが多い子には特に、親が意識して『できてるところに気づいてあげる』ようにするといいでしょう。休校中の自宅学習や夏休みの課題では、親が解答の丸つけをする機会も増えると思いますが、そんな時もちょっとしたコツで、ペケが多い子も自信回復したり、やる気UPすることができます。例えば、筆算の答えが間違っていても、途中の計算を一つひとつ、『合っているところまで』マルをつけてあげると、精神的なダメージも軽減される上、どこで間違ったのか気づきやすいので、だんだん計算ミスが減ることも。Upload By 楽々かあさん同様に、漢字の語句の添削なども、『合っている字、合っている部分』まで、部分的にマルをつけてあげるとGood!(そして、お子さんが自分で『どこが間違っているのか』気がつけば、尚ヨシ)誰だって、ペケや訂正ばかりでは自信をなくすのは当たり前です。少し遠回りでも、親に時間の余裕がある時だけでもいいので、できたところまで丁寧に丸つけして、ほめコメントを書いてあげると嬉しいと思いますよ。そして、言葉でも「ココまでは、できているよ」「ここは、よく書けているね」など、その都度『小さなできた』に気づけるように声かけしてあげるといいでしょう。夢の「自学自習」は、急がば回れ!出典 : こうやって、親が子どもの目線に合わせた簡単な工夫でサポートしたり、ちょっとした声かけを続けてあげたりすると、宿題や勉強のハードルが下がって、学習習慣が定着しやすくなります。そして、最初はちょっと手間がかかるように思えても、子どもの目の前で、苦手なことも工夫次第でできる方法を見せたり、できないことより、できてることに気づく声かけを続けたりすると、次第にお子さん自身が自分でも同じように工夫したり、ものの見方を変換できるようになったりするかもしれません。憧れの「自学自習」への近道は、「急がば、回れ」なんじゃないでしょうか。いつかはお子さんから、「宿題?ああ、もうとっくに終わってるよ」なんて言葉が返ってくる日も、夢ではないかもしれません。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年07月13日ウイルスがもたらした時代の転換点、日常にも大きな変化がこんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる!声かけ変換』(6.27刊行予定)著者・楽々かあさんこと大場美鈴です。まず、今このコラムを読んで下さっている方が、この数ヶ月間を乗り越えて下さったことに感謝いたします。私達は今、時代の転換点にいるのでしょう。たった1つの未知のウイルスによって、それまでの世界は一変し、「当たり前の日常」「フツーの日々」も、これからは書き換えざるを得なくなってしまいました。うちでも「かあちゃん、今のこと、そのうち歴史の教科書に載るのかな?」「多分、そうだと思うよ」なんて会話を子ども達としました。近い未来の期末テストも、夏休みも、修学旅行も、予定変更を余儀なくされるのはもちろん、少し先の未来の、子ども達の進学や就職などにも少なからず影響があるでしょう。このような状況下では、発達障害のある子を始め、時代の大きな変化に負担を感じたり、外出や人と関わることが不安になったり、新しい日常習慣やコミュニケーションの取り方に戸惑いを覚えるお子さん、そして大人の方も多いことでしょう。それでも、次の時代に適応して生きていくためには、これから、どうしたらいいのでしょうか。その答えは、世界中の人々が、暗中模索しながら時間をかけて探しだすものなのかもしれません。ですから、ここでは、次の時代を生き抜くためのヒント・考えるキッカケの1つとして、休校中のうちの3人の子ども達を観察して私が気づいた「適応戦略」の例を、書き留めておきたいと思います。世界がどうであれ、マイペースに生きる出典 : うちで最も新型コロナウイルスの影響が少なかったのが、中3の長男です。彼は公教育の中では「空気が読めない」「協調性がない」「集団行動が苦手」など、マイナス面がクローズアップされがちでしたが、こういった非常事態では、その「周りに流されない」マイペースさが、驚くほど頼もしい強みとして発揮されました。連日良くないニュースが続いても、学校が休校になってもケロリとしていて、オンライン学習で勉強をコツコツ進めながら、むしろ飄々と(不謹慎にも)この状況を楽しんでいるかのような様子すらありました。そして、テレビの報道等で人と人との接触を避け、社会的な距離を取るように推奨されると……「ダイジョウブ〜!オレはオールウェイズ・ソーシャル・ディスタンシ〜ンだし!だから、いつもどおりの通常運転でオケ。あはは」……とのこと。小さな頃より「ぼっち上等!!」で生きてきた長男。以前は私も親として、なかなか仲の良い友だちができない・友だちづきあいが続かないことを心配したこともありましたが、3ヶ月間も家にいて、人とほとんど合わない生活を続けてもほぼノーダメージ(むしろ快適?)だった長男を見ていると、「この子はこれでいいんだな」と思いました。とはいえ、完全な孤立状態ではなく、家の中ではいつもどおり兄妹同士で毎日じゃれあい、中学のオンライン授業でも先生やクラスメイトとのつながりは維持されてもいました(LINEの未読通知は700件くらい溜めていたようですが……)。また、大好きなオンラインゲームでは急増した海外の新規プレイヤーに古参風を吹かせつつ、毎日楽しくバトりながら交流してストレス発散していました(これも、いつもどおり)。世界がどうであれ、なにがどうであれ、マイペースに生きる力は強みなのかもしれません。新しいコミュニケーションをチャンスに変える出典 : 一方で、社会的な面での影響が大きかったのが、中1になったばかりの次男です。次男は休校開始の当時、小学6年生。兄と同じ私立中学に進学することになった次男は、長年小学校で一緒に学んできた友だち達とはこれでお別れなのに、最後の小学校生活はある日突然終わりを告げ、なんとか行われた卒業式も簡略化されて、足早に手短に「卒業」しました。新しい友だちと会えることを楽しみにしていた中学の入学式も、イスを離してマスク着用で顔も分からず、お互いの会話も控えた上で、小一時間程度で終了し即帰宅。それ以来つい最近まで、クラスメイトと直接会う機会はありませんでした。なので、次男は当初、「なんか、あんまり中学生になった実感が湧かない」なんて話していました。元々気持ちを切り替えることが苦手な彼にとってはなおさら、そう思うのも無理もありません。でも、中学校で双方向のオンライン授業が開始されてからは、次男の気持ちが前に向かって進み始めました。最初は緊張していたものの、「おうちで授業」の生活のリズムができると、次第に中学生らしい顔つきになっていきました。そして、シャイで引っ込み思案だったはずの次男が、オンライン授業中に時折自ら積極的に発言する姿をキッチン越しにチラ見して、私はかなり驚いていました。その理由を、彼はこう評します。「直接人と会話すると、自分に向けられる視線が気になって緊張しちゃうんだけど、オンライン授業だと誰がどこを見てるのか、ハッキリと分からないでしょ。だから、かえって安心して相手の顔を見て、話すことができるんだよね」繊細な次男は小学校時代、新しい環境に慣れるまでに時間がかかり、人の顔と名前を覚えることも苦手なので、中学入学後のことが私は内心気がかりでしたが、思わぬ形で不安が解消することに。そして、最近分散登校でようやく「実際に」再会したクラスメイトとは、ディスプレイ越しにお互いの顔を見慣れていたせいか、案外気軽に話せたのだとか。もしかしたら、それまで「人と話すのが苦手」だと気後れしがちだった人も、新しいコミュニケーションのカタチを、活躍の場を広げるチャンスに変えられるのかもしれませんね。小さな楽しみ、ささやかな喜びを大事にする出典 : そして、うちの3兄妹の中で、新型コロナウイルス関連の影響で、一番精神的なダメージが大きかったのが小4の長女でした。長女は、うちの子達の中では、いわば最も「フツー寄り」の子です。軽いLD傾向はあるものの、協調性も豊かで空気も読め、友だちも多く、学校も大好き。毎日、学校から帰るとすぐに公園で友だちと駆け回ってあそんでいた、明るく活発な元気印の女の子です。……そんな彼女が、家にこもりきりの生活で、すっかりおとなしくなってしまいました。いつもと違う娘の様子が心配で、私が「人が少ない時間に、犬の散歩くらいなら大丈夫だよ」と外へ誘っても、「いい。コロナ怖いから、家にいる……」と頑なに拒否。マイペースに自粛生活を送る兄達と違い、長女は「空気が読める」分、ネガティブな情報の影響なども受けやすく、過剰に不安を強めてしまったようです。また、長女の小学校ではメール配信での課題の指示やプリント学習などには対応して下さったものの、顔が見える双方向のオンライン授業までは難しく、学習面でも兄達のようにはいきませんでした。何より、人と関わることが大好きな長女だからこそ、この状況はキツかったと思います。そこで私は、まずは「情報のバランスを取る」ことをしました。ネガティブなニュースばかりの時には、ポジティブなニュースを選んで伝えたり、情報そのものが多すぎる時にはテレビを消しました。世界の状況はどうにもならなくても、情報の量や内容・質はある程度自分でコントロールできます。そして、様々なことが制限されている中で、少しでも長女が「自由」を感じられるように、可能な範囲でなるべく「選択肢から選ぶ」「本人の意思を聞く」などを意識してみました。例えば、子ども達を留守番させて買い物に行く前に、「お昼、何食べたい?」「おやつ、何がいい?」など、ランチやおやつのリクエスト受付けタイムを作って(ただし、品切れ中のこともあるので、第3希望くらいまで聞く)、好きなものを選んで食べることなどで「小さな自由」を増やしました。それから、今の環境でも「できること」を探しました。長女の大好きな動物柄の布で一緒にマスクを作ったり、お絵かきセットをネット注文で揃えたり、つまみ食いしながら料理のお手伝い、パパとストレッチ、動画を見ながらダンス、おうちキャンプ、愛犬と日向ぼっこ……(きっと、日本中の多くのご家庭で同じような光景が見られたことと思います)。……そうしているうちに、長女は限られた環境の中でも、少しずつ「小さな楽しみ」や、「ささやかな喜び」を見つけて、表情が明るくなっていきました。制限の多い不自由な環境の中では、「ネガティブな情報」よりも「いい情報」や「少しでもマシなこと」に、「できないこと」よりも「できること」に、「足りないもの」よりも「今、あるもの」のほうに意識を向けようとすること自体が、生きる意欲を失わないためにも大切なのかもしれません。時代の転換点だからこそ、今を大事に……出典 : 総じて、私が今回の経験を通して実感したのは、世の中が一変するできごとがあった時には、あらゆる価値観がひっくり返るのだ、ということです。それまで、マイナス材料だと思われていたことがプラスに転じたり、自分や社会システムを変革するチャンスになったりする場合もあります。「集団心理」や「平等意識」などがリスクやネックになる可能性もあれば、「個々の意識や行動」が大きく結果を変える、あるいは、「違い」や「独自性」が問題解決への糸口になる可能性だってあります。強さが弱みになり、弱さが強みになることもあります。まさにこれが「時代の転換点」なのだと思います。また、日本国内では緊急事態宣言がひとまず解除されたとはいえ、まだまだ感染リスクや世界情勢や経済など社会的な不安要素も多く、少し先の見通しも難しい中、将来的にも今の子ども達には(大人達にも)、厳しい現実や無理難題が待っているのかもしれません。それでも、新たな時代に適応していくためには、それぞれが自分のできることをできる範囲で続けながら、今を大事に、一日一日を地道に着実に生きることが、結局は近道になるのではないでしょうか。2020年6月27日、このコラムの著者 楽々かあさんの新刊が発売されます!
2020年06月13日休校で自宅待機...不安やストレスを感じやすい子どもたちへの対応はこんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」他・著者、楽々かあさんこと大場美鈴です。世の中、大変なことになってきましたね。新型コロナウィルスの世界的な拡がりに伴い、日本では園や学校が突然休校となり、春休みまで自宅待機をしているお子さんも多いですよね。こういった状況では、どんな子もストレスを感じやすいと思いますが、特に、発達障害・グレーゾーンで、「いつもと違うこと」「予測できないこと」に不安を感じやすいお子さんや、活発でエネルギッシュで活動的なお子さんが、変化の多いイレギュラーな状況や行動範囲が制限される期間が続くほどストレスをためがちになるのも無理のないことだと思います。また、親のほうも、やむを得ず子どもを一人で留守番させたり、学童や放課後等デイサービス、高齢のご家族に預ける中で相互の感染リスクが心配になったり、ご自身の仕事のことや今後の世界経済や物流への影響、学校再開の目処などへの、不安要素は尽きないことでしょう。こんな時に少しでも子ども達の不安とストレスを減らす方法を、うちの経験を踏まえて紹介します。保護者の方にも負担なく、手軽に簡単におうちでできる工夫をできる限り紹介しますので、少しでもヒントになると嬉しいです。不安な気持ちを安心させる工夫Upload By 楽々かあさんまずは、安心させる工夫から。「いつもと違う」ことが不安な時には、できるだけ、小さなことでもいいので、「いつもと同じこと」を続けると、安心できるかもしれません。お子さんが毎日習慣にしていたことは、同じようにできるといいでしょう。例えば…・朝、学校に行く時と同じ時間に起床し、同じ時間に朝食を食べる…など。いつもと同じ「朝のルーティン」をこなすだけでも違いますし、親が朝はバタバタして難しくても、お風呂や就寝時間などの生活習慣を「いつもと同じ」にしたり、家族が毎日決まって行う習慣(挨拶、ゴミ出し、コーヒーを淹れる…など)を目の前で続けるのも、安心感があると思いますよ。その他、お子さんが「いつもやっていること」があれば、可能な範囲で続けさせてあげると、落ち着きやすくなるでしょう。また、不安感が強い時やお留守番の時なども、お子さんが慣れ親しんでいる「安心グッズ」を身近に用意しておくとGood!感覚が敏感な子は特に、「いつもと同じ」色やニオイ、音、さわり心地、味・食感などがあると安心感を得やすいので、例えば…・肌触りの良い毛布や、使い古しの布団でくるむ・愛着のあるぬいぐるみ・キャラグッズなどを見えるところに・落ち着く音がするモノ(ノイズ音、波の音など)や、お気に入りの音楽をBGMに・お昼ごはんに給食メニューを一部再現(紙パックの牛乳、ソフトめん、冷凍みかんなど)…などなど。うちでは、愛犬の肉球や、母のぷにぷにの二の腕、パパの加齢臭の染み込んだ枕などが、子ども達に人気の「安心グッズ」です(笑)。そして何より、子どもが不安な時には、保護者の方と一緒に過ごせれば落ち着きやすいと思いますが、諸事情でなかなか難しい場合には、・時々、見守りカメラやスマホのビデオ通話などで、お互いに顔が見えるようにする・遠方のおじいちゃん・おばあちゃんと電話でお話しする・親の仕事中の様子などを動画で撮って、メッセージで送信…など、「離れていても一緒にいるよ」というメッセージが伝わる方法を、ご家庭に合った方法で工夫できるといいでしょう。持て余したエネルギーを有効活用する工夫Upload By 楽々かあさん次に、活発なお子さんなどが、エネルギーを持て余している場合(…日頃から、大変ですよね)。ただでさえ、じっとしているのが苦手な子が、「家から出てはダメ」「近所迷惑になるから、家の中で騒いでもダメ」「くれぐれも、勝手にゲームセンターなどには行かないように!」…など、やむを得ない非常事態とはいえ、「あれもダメ、これもダメ」ばかりでは、当然ストレスは溜まりますよね。ここは「やってはいけないこと」より、「やっていいこと・できること」を教えてあげるといいでしょう(ちなみにうちの長男は一日中オンラインゲームでも全く飽きないようですが、それはそれで、親の小言も増えがちに…苦笑)ご存知のように、軽く体を動かすことは、ストレスを和らげてくれます。既に、家の中でできるあそびや運動・体操などは、ネット上でも沢山動画などがアップされていますが、ここではシンプルな方法を。・親子ストレッチ、深呼吸、くすぐりあそび・お風呂そうじ、床の雑巾がけ、窓拭き、庭の草むしりなどのお手伝い・トランポリン、バランスボール、フラフープ、エアロバイクなどの室内器具を使った「ながら運動」…などが、手軽でオススメです。園児〜小学校低学年くらいのお子さんには、・夏場のビニールプールを出して、ボールプールに(ボールがなければ、ぬいぐるみプールやレゴプールなども)・浮き輪やダンボール、椅子の脚、マットレスなどを組み合わせて、簡易アスレチック…などの工夫もできます。中高生のお子さんがヒマそうにしていたら…・家具の配置換えや家の補修、DIY、粗大ごみの解体、車の洗車を手伝ってもらう…などもいいでしょう。また、「絶対に、一歩も家から出てはいけない」ワケではないので(2020年3月10日時点)、人混みを避けた、空いている時間帯や場所を選んだ上で、少し外の空気を吸ってくるのもいいと思います。うちでは、人の少ない早朝の時間帯に、犬の散歩に行ったり、自転車やランニングで近所を軽く一周してくるなどで、リフレッシュしていますよ。親子でストレスをスカッと解消できる工夫Upload By 楽々かあさん自宅待機が長期化してくると、子ども達の(そして親も)ストレスが爆発することもあるでしょう。そんな時に、「怒ってはダメ」「みんなガマンしているんだよ」なんて言い聞かせても、納得できない子もいますよね。ここは、正論よりも親子でスカッとできる方法を工夫するのが現実的。手軽にできるストレス解消法は…・空き缶・ペットボトルつぶし!・クッション、サンドバッグ、パンチボールなどをパンチ!キック!・お風呂で水風船を叩き割る!・穴を開けた箱や重ねた紙袋に向かって「あ”ー!!!」と叫ぶ!…などなど。親も一緒にやると、結構スッキリして楽しいですよ。サンドバッグは、布団や毛布をくるくる丸めてヒモなどで縛るだけでも自作できますし、パンチボールは、家にあるゴムボールや丸めた服などを、ネットや体操袋に入れて吊るせば代用できます。市販のボクシング用のミットとグローブ(なければ、重ねた手袋と小さめクッションでも可)で、親がスパーリングの相手になってあげると、お互いいい運動になりますよ。また、うちでは長女の要望で床一面に模造紙を広げて落書きOKにしたり、3兄妹で大量に作った紙飛行機でサバイバルゲームを始めたり、自分達で次々とあそびのアイデアを思いついては、意外と飽きずに楽しく過ごせています。子どもはあそびの天才ですからね。子どもに笑顔が戻ったら、ストレスが解消されたサインです。未知の経験は、誰もが不安になるからこそ…こんな時には、誰だって、不安になるのは当たり前です。でも、そんな中だからこそ、できることや気づくこともあります。これからを生きる子ども達には、もしかしたら、今後も新型コロナウィルスだけでなく、地球環境の変化や、グローバル化や情報化社会のメリット・デメリットとも、共存しながら工夫して生きていく、柔軟でたくましい力が必要とされるのかもしれません。一刻も早く、子ども達が(大人達も)、何事もなく平穏無事に過ぎていく、当たり前の日常を取り戻せますように…。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2020年03月10日学校選びで後悔しないために…出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、発達障害&グレーゾーンの子が中学受験を考え始めた時のご参考に、うちの経験を元にした、「発達障害目線」からの志望校選びのポイントを2回に渡ってお伝えするコラムの<後編>です。<前編>では、「その子に合った環境なら、多少の個性の違いは気にならない」ことだってあるので、その子の個性を活かしやすい、前向きな環境選びのポイント4つをお伝えしました。ただし、どんなに素晴らしい学校に出会ったとしても、受験期も入学後も「現実の壁」に突き当たることもあります。特に、人一倍感受性の強い子や、真面目で思いつめやすい子なら尚更影響が大きいでしょう。万が一、入学した後で「学校に行くのがつらい」「やめたい」となった場合、そこからリカバリーし軌道修正していくのは、親子共に多大なエネルギーと時間が必要になってしまう可能性も(でも、もし、そうなったらなったで「なんとかなる」と親子で思えることも大事です!)。今回の<後編>では、入学後に「こんなハズではなかった」「知らなかった、聞いてなかった」と親子で後悔するリスクを減らすために、事前によく調べた上で、親子でじっくり話し合い検討しておいたほうがいいと思う、現実的なポイント3つを中心にお伝えします。出典 : もし、お子さんが希望の学校に合格しても、満員電車や遠距離通学の負担等が大きくて学校に通えなかったら、つらい想いを経験してしまいます。どんなに素晴らしい学校でも「現実的に我が子が自分で通えるか」は、よく検討したほうがいいでしょう。うちでは早い段階から、「ドア・ツー・ドアで片道1時間以内、電車の乗り換えは1回まで」の学校にまず絞ってから、志望校選びをしました(また、現在長男は「通勤通学の混雑時間帯を避けて、早めに登校する」などの工夫もしています)。感覚過敏があり身体接触が苦手な子や、自律神経や思春期のホルモンバランスの乱れから、起立性調節障害、自律神経失調症、過敏性腸症候群などの傾向がある子は特に、毎日の通学負担は無視できないポイントです。また、発達障害のある・なしに関わらず、特に思春期の女の子は、混雑路線の電車通学や、部活動等で帰宅時間が遅くなるのも心配でしょう。・自転車通学やスクールバスなど、電車以外の通学手段もあるか・電車通学でも「乗り換えが少ない」「混雑路線や混雑駅を避けられる」等のルートがあるか・体調に不安のある子は、途中駅に寄りやすいトイレがあるか・学校・駅周辺の夜間の街灯の設置や治安はどうか・万が一の災害やトラブルなどの時に、親が迎えに行くまでどのくらいかかるか(自宅・職場からの距離など)…などをチェックし、できるだけ負担の少ない通学手段・時間を選べるといいでしょう。併発している疾患がある場合には、主治医ともよく相談し「どの程度の負担までなら大丈夫そうか」意見を聞いてみるのも大事です。また、通学の負担の「体感での」確認は、見学会・文化祭等で学校に足を運ぶ度に、「実際に使用する通学手段・ルートで(できれば、同じ通学時間帯で)」親子で何度も体験・確認するのがいいでしょう(この過程で、子どももある程度慣れることもあります)。出典 : 発達障害のある子の中には、IQ(知能指数)の非常に高い子や、寝食を忘れて勉強に没頭できる子、人並み外れたガッツがある子などもいて、いわゆる「超難関校・超進学校」の中にも「入学してみたら、類友ばかり」なんて話も…。でも、そういったタイプ以外の子には、ただでさえ中学受験勉強は、まだまだ幼い小学生には負担が大きなもの。ましてや、過度なストレスやプレッシャーに弱い子は特に、精神的に不安定になったり、余計に集中力や注意力が落ちてしまう可能性も(特に、現在二次障害があるお子さんは、受験勉強を始める以前に、まずはそのケアと解決が最優先でしょう)。子どもの健全で健康な発達には、十分な睡眠やあそびの時間も大切な栄養なんです。そして、発達障害に限らず、過剰な受験勉強を強いられて、心身の健康のバランスを崩し、その後の学校生活や思春期の人格形成に影響したり、燃え尽きて生きる意欲を失ってしまう…などの教育虐待や、過剰な受験競争・学歴偏重社会の影響も、昨今、国内外問わず問題視されてもいます。偏差値や知名度だけを見ていたら、「その子にとって」本当にいい学校・合っている環境が見えにくくなるかもしれません。それに、少し先の大学受験を視野に入れる場合も、近年の大学入試での推薦・AO型入試の増加傾向等から、「より偏差値の高い学校が、より偏差値の高い有名大学に入りやすい」とも限りません。世の中の価値観が多様化していく中で、学校・大学の偏差値順のランキングも存在意義が薄れつつあるようにも思えます。また、正直な話、進学校で学力的にギリギリ合格ラインだと、入学後に中高一貫校の進度の早い授業スピードについていけなかったり、大量の宿題がこなせなくて、不登校になるお子さんも少なからずいるようです。ですから、あくまで1つの考え方ではありますが、その子のペースで無理のない受験勉強をし、入学後も余裕を持って勉強に励むことができる、「背伸びし過ぎない」難易度の学校を選ぶのも、私には賢い選択のように思えます。苦手なことや失敗が多くて自信をなくしがちな子でも、比較的上位合格できる学校や、得意分野の強みを活かせる学校で、「できる子」として扱われて自信をつけるのもアリでしょう。こういった受験生の過剰な勉強の負担を考慮し、1科目・2科目入試、選択科目入試、推薦・AO型入試等、多様な入試方式を採用する学校も増えていますので是非、早めのチェックを。そして実は、「中高一貫」だからと言って、無条件に全員が高等部に進学できるとは限らない場合もあるのは、注意したい点です。高等部進学に際して、「成績評価に1がないこと」「進学試験にパスすること」などの一定の条件が課せられる学校もあるからです。また、学校によっては、成績不振の生徒にはさりげなく転校や、他校の高校受験を勧められる…なんて話も時々あるようです。その子の進路に関わる大事なことなのに、入学後に「聞いてなかった」「知らなかった」というリスクは大き過ぎます。こういった情報は説明会ではどの学校でもあまり触れられませんでしたが、もし、学習面で不安がある場合、在校生や保護者の方に実情を訊ねてみるといいでしょう(高等部進学に関する規定は、生徒手帳の校則等に書いてある場合もあります)。記事 「教育虐待をしないために親に心がけてほしいこと」おおたとしまさ出典 : そして最後に、いじめの予防と対応です。特に、発達障害のある子は「みんなと違う」ことで、いじめの対象になりやすく、また、親や先生に上手に相談できるスキルが弱くて深刻化しやすい傾向があると私は思っています。特に思春期は、その子の人格形成においてとても大事な時期なので、「いじめのない学校を」と希望されるご家庭も多いでしょう。でも、残念ながら、「家庭環境に恵まれた子が多いから」「この学校は優秀なお子さんが多いから」…等の理由で、私立中学にいじめがないとは言い切れません。また、学校の口コミサイトなどに「いじめはありません」等と書かれていても、鵜呑みにしないのが賢明です(状況は日々変化する上、書き込んでいる人の立場によって「いじめの事実」が見えないこともありますから…)。つまり、どんな学校でも「いじめは起こるもの」を前提に、事前にできる予防の対策をし、発生後に迅速に対応できる体制があるか、を見るといいでしょう(特に私立は、教育委員会などの上位組織もなく、何かあった時に学校内で収めてしまいがちです)。・校舎の造りや雰囲気(照明や採光の明るさ、防犯設備の有無、掃除や掲示物の状態など)・スクールカウンセラーの配置や外部機関との連携体制があるか・先生と生徒、先生同士のコミュニケーションが取れているか(職員室の配置や様子、先生の親しみやすさなど)・情報の公開性(学校に不利・不都合な情報でも公式HP等で公開し掲載されているか、など)…などの「風通しの良さ」が、いじめ対応のポイントだと、私は思います。こういった雰囲気は、なかなか外からはハッキリと見えにくいものですが、全体的に明るくオープンで「空気が軽い」印象がする学校は、ある程度いじめに対して、心理的な予防効果があるように思います。また、先生方のコミュニケーション力は、いじめ対応においても、とても大事な要素でしょう(特に管理職)。見学会や説明会の際、挨拶程度でもいいので、校長先生や教職員を見かけたら話しかけてみるといいでしょう。また、文化祭や最寄駅などでの、在校生同士の様子や表情の豊かさなども参考になると思います。子ども自身の意思がなければ、どんな環境でも適応が難しいから…出典 : 最後に…もっとも大切なのは、やはりお子さん自身の意思です。そしてご承知の通り、現実的には受験は合格・不合格があり、必ずしも希望が叶うとは限りません。それでも、第一志望以外の学校でも気持ちを切り替えて前向きになれる子はいいのですが、それがなかなかできなかったり(親のほうが結果を受け容れられない場合も)、親や塾から無理矢理勧められた学校に不本意ながら通うお子さんは、その後の学校生活への適応が難しくなる傾向があると聞きます。実際、長男の中学でも、入学直後から情緒が不安定だったり、数ヶ月で不登校になるお子さんも何人かいました。どんな学校でも、どんな環境でも、本人の意思を伴わなければ不満やストレス、環境への違和感を、より強く感じやすくなるのだと思います。ですから、元々気持ちの切り替えが苦手な子や、真面目で思いつめやすい子は特に、お子さんが本心から「行きたい学校」「行ってもいい学校」しか基本的に受験しないことを、私はオススメしたいです。うちの長男の場合、中学受験以外の選択肢も含めて、小学校卒業以降のあらゆる進路の可能性を親子で検討しましたが、結局、本人が気に入った第1志望1校だけを一般入試とAO型入試の複数回受験し、他校は受験しませんでした(もし、不合格だった場合は、「公立中学に在籍しつつ、自治体の教育支援センターとホームスクールの併用で前向きな不登校」という選択が、うちの「滑り止め」でした)。ここまで2回に渡って、うちの経験から私立中学の志望校選びのポイントを「発達障害目線」でお伝えしましたが、なかなか、ご家庭の全ての希望を満たし、尚且つ、現実的に合格可能な学校と出会うのは難しいかもしれません(特に、うちのような地方在住の場合、私立学校の選択肢も少ないでしょう)。その子にとって「絶対に外せないこと」「ある程度妥協できること」「そんなに気にならないこと」などの優先順位をつけながら、親子でよく話し合って志望校を比較検討されるのがいいでしょう(一覧表にして点数などをつけるのもいいですよ)。でも、中学受験に限らず、「どんな環境でなら、その子らしく生きていけるのか」その子の個性と相談しながら、親子で一緒に探っていくこと自体が、自立に向かうための大事なプロセスだと私は思っています。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2019年10月02日自分に合った環境なら、「みんなと違う」は気にならないUpload By 楽々かあさんこんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。私は、発達障害の「障害」とは、その子の「個性」と「環境」の間にある…と考えています。ですから、本人側から環境に合わせる努力や工夫も大事ですが、自分が適応しやすい環境を選ぶことでも、「みんなと違う」が気にならなくなる場合もあると思います。現在中学2年生の長男は、私立中高一貫校を受験し、第一志望校に無事合格。自分の個性に合った環境で充実して過ごせるようになり、私はそこに「障害」を感じなくなりました。中学受験は、あくまで「環境選び」の1つの選択肢に過ぎませんが、独自の校風や教育方針などの「環境」が、その子の「個性」とぴったり合っていれば、少々個性的でも学校生活を楽しく過ごせるお子さんは結構いるように思います。ただし、私立中学の場合、特別支援学級設置校は現在全国で1校のみ(文部科学省H29年度資料より)ですし、障害者差別解消法による「合理的配慮」も「努力義務」の範囲になるため、基本的に「特別支援教育」や「特別な配慮」は、現状あまり期待できないと思っていた方がいいでしょう(※ただし、発達障害・不登校対応ができる学校や、公言せずとも一定の理解や配慮がある学校もあります)。そのため、まずは、入学の前提条件として、お子さんがある程度、特別な配慮がなくても教室で落ち着いて過ごせ、通常学級での授業や学級活動への参加に大きな支障がないことが必要な場合が多いと思います。また、将来の自立に向けて必要な、ソーシャルスキルや生活スキルを身につけるための発達支援(療育)・トレーニングは、必要に応じて医療・支援機関の手も借りながら、家庭が主体となって学業と並行して継続的に取り組んでゆく必要もあるでしょう(これは、公立中学の通常学級、フリースクール・ホームスクール等で学ぶ場合や、高校進学〜それ以降の進路を選択した場合も同じです)。その上で、もし、中学受験をお子さん自身が強く希望したり、ご家庭の教育方針と合うのであれば、様々な学校を実際に見学し、比較検討してみるといいでしょう。その際、うちの経験上、発達障害傾向のある子の場合、志望校選びの段階で偏差値や知名度などよりも、ずっと優先して考えた方がいいことがあります。環境の影響を受けやすい発達障害傾向のある子は、毎日の小さな負担の積み重ねが、いつの間にか、「適応できない」「努力では乗り越えられない」大きな障害物となってしまうこともあるからです。発達障害&グレーゾーンの子が中学受験を考え始めた時に、志望校選びのポイントを7つ、ご参考までに独自の「発達障害目線」で、2回に渡ってお伝えします。今回の<前編>では、その子の個性を活かしやすい、前向きな志望校選びのポイント4つです。文部科学省「特別支援教育資料(平成29年度)」より出典 : まずは校風です。校風とは「学校の雰囲気」という漠然としたものですが、校訓や募集要項やアドミッション・ポリシーなどで、「こういう子に来て欲しい」と学校側は意思表示していますから、学校の公式HP・資料請求などで、すぐに確認できます。そして、教育方針。私立学校は特色ある独自の教育を打ち出していることが多く、「サイエンス教育に重点を置いている」「国際教育に力を入れている」「スポーツの強豪校である」「情操教育を大事にしている」…などなど、学校自体も個性的です。つまり、「学校の個性」と「その子の個性」がピッタリ合っていれば、同じ子の同じ部分が短所から長所に変わることも。例えば、うちの長男の「空気が読めない」という部分を、現在の中学では「積極的に自分の意見が言える」と肯定的に高く評価してくれます(こういった学校の考え方は、建学の精神、校訓や募集要項、過去問等にもハッキリ表れていました)。そして、凸凹差が大きくても、特定の分野に興味関心が高い子、一芸に秀でた子、一つのことに集中できる子等を歓迎し、得意分野を伸ばしてくれる教育方針とマッチすれば、「できる子」として扱ってもらえる可能性も高いでしょう。また、留学生や帰国子女を積極的に受け入れるなど、多様な個性や文化背景のある生徒が集まる学校や、博愛精神を大事にする学校などでは、多様性を認める教育がなされ、多少の個性やものの感じ方・考え方の違いは、大らかに受け容れてもらえることも。こういった、個性的な生徒を求めている学校は、「推薦・AO型入試」などを実施している場合も多いので、入試方式も早めにチェックしておきたいところ(推薦・AO型入試は、説明会への参加、事前の資料準備や面談、面接練習などが必要なことが多いです)。出典 : 学校の規模も、発達障害傾向のある子にとっては、大事な要素だと思います。感覚過敏があると、教室でのザワザワ音や他の人の動きなどが気になってしまい、負担が大きくなります。うちの長男は「人が多ければ多いほど、集中できない」とのこと。また、グレーゾーンの次男も人の顔と名前が覚えにくく、学級数が多い小学校ではクラス替えによる負担が大きく、対人関係でなかなか自信が持てませんでした。こういった子は、小規模校や少人数クラス編成の学校のほうが負担が少なく、落ち着いて過ごせる可能性が高いでしょう(ただし、クラス数が少ないと、いじめやトラブル等の際にクラス替えによる解決が難しくなることも。また、少人数でも静かとは限りません)。そして、中学では小学校と違い、担任の先生がずっと同じ教室にはいないので、大人の目が届きにくくもなります。また、集団の規模が大きくなればなるほど、「個別に、柔軟に」は、物理的に難しくなるでしょう(ただし、「干渉されない大規模校のが気が楽」「ビシッと管理されるほうが落ち着く」という子もいると思うので、一概に大規模校が合わないとは言えません)。そのため、小規模校や少人数クラス編成の学校は、アットホームな雰囲気で先生方も生徒一人ひとりの顔を覚えやすく、目も届きやすいでしょう。また、大規模校でも、副担任制の採用や少人数授業や補習制度など、教員の配置が手厚く面倒見の良い学校も。生徒数・クラス数・教員数も、学校の公式HPや学校案内・募集要項等に大抵記載されています(ただし、入試の際の募集定員数と実際の在籍生徒数がかなり違う学校もあるため、「実際のところ」も、よくご確認を)。出典 : 思春期は、いわゆる「フツーの子」でさえ、身体面・精神面で不安定になりがちです。ましてや発達障害傾向のある子は、環境の変化に敏感なことも多く、心身に大きな負担のかからない、安定した生活環境が大事だと思います。ただし、設備の「体感」は公式HPや学校案内だけでは掴めないので、実際にお子さん自身が見学会や文化祭・体験授業等に足を運んで確認してくるのがいいでしょう。学校の設備面のチェック・ポイントは…・エアコンの設置・稼働状況(各教室の他、体育館や部活動の施設なども)・教室環境(教室の広さ、机と机のパーソナルスペース、教室前方のモノや掲示物の配置など)・教室の照明、黒板・ホワイトボードの色(視覚過敏やLDのある子に見やすい色・明るさか)・個人ロッカーの有無(忘れ物の多い子、体力に不安のある子等は、「置き勉」の可否)・保健室や図書室、自習室やオープンスペースの有無(静かに休息できる場所はあるか)…など、「その子にとって特に負担がかかりやすい部分」を重点的に、よく見ておくべし!また、味覚や触覚過敏で偏食傾向のある子は、食の選択肢がある、弁当持参や学食・購買が充実している学校などが、負担が少ないでしょう。その中学のランチはどうなっているか、学園祭などで在校生に「お昼、どうしてますか?」って聞いてみるのもテ。それから、一般的には楽しいハズの行事・イベントも、「いつもと違うこと」が多いと負担になる子もいるでしょう(ただし、私立は運動会や各種セレモニーなどの事前練習等はほとんど行わないか、あっても効率的な場合が多いと思います)。年間行事予定も、学校HPや学校案内に大抵写真付きで載っていますから、一緒に眺めて「こんな行事があるんだね」「修学旅行はここに行くんだね。大丈夫そう?」等、親子で話し合いながら、お子さんの反応を見ておくといいでしょう。出典 : 傾向のある子は特に、ICTの導入状況はよく確認しておきたいポイントです。ICTが全校で導入され、iPadやPCが一人一台使える環境なら学習への負担が減りますし、特別な許可も必要ないので「〇〇くんだけズルイ」だなんて思われることもありません。また、ICTが普及していれば、校内の無線LANや電子黒板等も整備され、先生方もデジタルツールに慣れているので、デジタル教科書や電子辞書の使用、作文・課題のワープロ提出、ノート代わりの黒板の撮影なども、柔軟に理解されやすいと思います。長男の学校の場合、全校生徒1人1台iPadを所有し、授業中の電子辞書アプリの使用や、課題のワープロ打ち提出などは、特に先生の許可も必要なく、発達障害のある・なしに関係なく「みんなフツーにそうしてる」とのこと。そして、学習面では、授業内容やレベルなど「何を学ぶか」も大事ですが、「どう学ぶか」の学習手段・方法のほうが、より重要なポイントだと私は考えます。先生が一方的に話して、ひたすら黒板を写す…という伝統的な講義型の一斉授業だけでは、負担が大きかったり集中できなかった子も、「その子に合った学び方」なら、学習意欲と学力を大きく伸ばしてもらえる可能性も。多様な学習手段・方法の例は、ICTの活用の他にも…・実験やフィールドワークなどの体験型・探求型の学習・教科を越えた問題解決型の統合的な学習・言葉で学びをアウトプットするプレゼンテーションや、ディベート形式の学習・少人数授業、習熟度別クラス編成、個別課題や補習など、それぞれのペースや到達度に合わせた学習…など、近年様々に試みられていますが、その学校で取り入れている中で「その子に合った学び方」があるか、じっくりチェック。学校側が柔軟に新しい方法を取り入れてアップデートし、「学び方」の選択肢が多ければ、その子の凸の強みが活かせるチャンスも増えます(「その子に合った学び方」は何かが分からなければ、事前に専門家に相談し把握しておくといいでしょう)。また、柔軟性・合理性の高い学校なら、個別の事情に合わせて、ちょっとした私物の持ち込みや学用品のカスタマイズ程度なら、気軽に理解が得られることも。学習環境の確認は、小学生向けに体験授業などを行う学校も増えているので、気になる学校があれば参加してみるといいでしょう。その子の個性を活かしやすい環境を…出典 : 今回の<前編>では、「発達障害目線」から「こんな環境なら、その子の個性を活かしやすい」という、私立中学の志望校選びの前向きなオススメポイントを中心にお伝えしました。次回<後編>では、入学の学校生活を考えると「ちょっと不安な点・心配な点」に対して、押さえておきたい現実的なポイントを中心にお伝えします。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』2016年/刊/ポプラ社
2019年09月20日アイドルグループ・SKE48の須田亜香里と大場美奈が、30日に放送されるTBSラジオ『伊集院光とらじおと』(毎週月曜~木曜 8:30~)にゲスト出演することが決定した。2人は、10時からの「伊集院光とらじおとゲストと」のコーナーに生出演する。6月16日に行われた「第10回AKB48世界選抜総選挙」では、須田が2位、大場が8位を獲得している。そして10周年を迎えたSKE48の活動を追ったドキュメンタリー映画『アイドル』が公開中だ。松井珠理奈が体調不良のため活動を休止していた夏、SKE48メンバーたちは何を考え、何を実行してきたのか。そして10周年の先に見据える未来とは。同番組のパーソナリティ・伊集院光が、素顔に迫っていく。
2018年10月26日発達障害のある子ども達の存在は、人類のためにも意味があるのでは?出典 : こんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、いつもとは少し違った視点から、発達障害について考えてみたいと思います。学校などでは、集団行動が苦手で何かと注意・叱責されたり、出る杭が打たれたり、時にトラブルを起こしては「問題児」のレッテルを貼られがちな発達障害のある子ども達。もちろん、いずれは自立し社会の一員として、周りの人たちと助け合いながら共に生きていけるように、大人達が根気よく一つひとつ教えながら導いていく必要のあることは、他のお子さん達よりも多いと思います。でも、毎日実際に子育てしていると、子ども達のユニークで斬新な発想に驚かされたり、予想だにしなかった出来事に出会うことも多く、それまでの私の常識や固定概念をひっくり返されることばかり。これって、本当に「脳機能の障害・欠如」なのだろうか?こういった個性豊かな子ども達が存在すること自体、人類にとって何か意味があるんじゃないのか?…と、私は世の中に問い直したい気持ちになるのです。(※現在、こういったものの見方は「ニューロ・ダイバーシティ(神経多様性・脳の多様性)」というキーワードを軸に、海外では自閉権利運動(autism rights movement, ARM)などが展開され、さまざまな立場からの議論があるようですが、本記事ではあくまで発達障害のある子を育てる一人の母親・地域の子ども達を見守る一人の大人としての実感を基に、筆者個人の見解を述べています。)ニューロ・ダイバーシティニューロ・ダイバーシティ|ウィキペディアでは、学校などの小さな社会から離れ、もう少し視野を広げた「人類目線」だと見えてくる、「発達障害のある子ども達は、人類の未来にとって必要」と私が考える理由を7つ、以下に挙げます。出典 : 「なんで校長先生は髪の毛がないんですか?さわっていいですか?」「ハナゲ出ているよ、〇〇さん。とってあげようか?」「ねえ、おばさん?おばあさん?どっちなの?」…正直すぎて容赦なくタブーに斬り込む、恐れ知らずの子ども達(悪気はないんです、すみません)。実は、その場の状況や相手の表情などから判断し、「空気を読む」「本音と建前を使い分ける」「忖度する」ことが苦手な子は、少々デリカシーに欠け、見たまま、思ったまま、感じたままを率直に口に出してしまうことも。鋭い言葉は諸刃の刃。時に皆から一斉に冷ややかな視線を浴び、時に思わぬところにも敵を作り、時に集団の批判の的になってしまい、本人も痛手を負った経験だってあるかもしれません。でも、考えてみれば…。非合理的な古い慣習や旧態依然とした組織の体質、権力者による閉鎖的な管理・支配体制、一部の人だけがずーっと得をするシステムなどが、いつの間にか出来上がっている時。それでも、その小さな社会では誰もが「常識」「そういうもの」と疑問を持たずに受け入れ、たとえ「何かがおかしい」と感じても空気を読んで言いたいことが言えずにいる中…。「こんなのはオカシイ!」「なんでこんなことしなきゃならないの!?」「アホらしい」「ムダ」と、ブラックな常識に根本から疑問を投げかけ、エライ人に面と向かってバッサリと異を唱えられる、貴重な人材になれるのではないでしょうか。空気なんて読んでいたら、できないこと、成し遂げられないこと、いつまで経っても変われないことは、いくらでもあります。出典 : 皆が並んでいる時に並ばない、皆が座っている時に立ち歩き、皆が立っている時に座り込む…こんな天邪鬼な行動をして先生方の手を焼かせ、独り離れたところでプイッと顔を背けているお子さんを、小学校でも時折見かけます。大人にすれば「言うこと聞かない子」「反抗的」のように映るので、きっと、彼は毎日怒られてばかりでしょう。でも、もしも、自然災害や大きな事故などの非常事態で、皆が同じ方向に逃げたとしたらどうでしょうか。全員助かる可能性もありますが、反対の結果になる可能性だってあるんです。「皆が同じ行動をとる」ことは、人類が生き延びていく上では大きなリスクと言えるでしょう。「皆がどうしようと、おれはこうする!」と、自分の直感力を信じて単独行動をとり別方向に逃げて助かることもあるかもしれません。「人と違う行動をする子」が集団の中に1人くらいいることは、人類にとってはリスクヘッジの一つと言えるのではないでしょうか。出典 : 感覚の過敏さなどがあると、特定の音やニオイ、味や食感、色・形、触感、過去の経験等による極端な苦手さや恐怖心・不安感から、こだわりが強くなってしまう場合もあります。そのため、偏食家でテコでも給食を食べなかったり、体育館やエアータオルのあるトイレなど、特定の場所に入ることに抵抗したり、通学路で絶対に通りたがらない道があったりで、親や先生が困り果ててしまうこともあるでしょう。反面、そういった子達は恐るべき直感力と鋭敏さを持ち合わせてもいます(例えば、味覚が鋭いうちの長男は、水道水が家のどこの蛇口から出たのか「利き水」できます)。そして強い信念で、誰も気にしないような些細なことがどうしても気になったり、一つのことにとてつもなく興味を惹かれて、納得ゆくまで没頭できるのです。その強いこだわりと粘り強い意志は、他の人がとっくに諦め投げ出すような無理難題にも、不屈の精神で最後まで諦めずに立ち向かえる力になるかもしれません。「自閉症者が人類社会に「不可欠」である理由 〜実は障害ではない! 最新研究が明かした驚きの真相」(正高 信男)|gendai.ismedia.jp出典 : 教室の机の中や、ランドセルやロッカー、道具箱…そして頭の中までグッチャグチャ!短期の記憶力の相対的な弱さや、感覚の敏感さから受け取る情報量が多くて処理が追いつかない、などの理由で情報の取捨選択や、モノや記憶の整理整頓が苦手な子もいます。すると、テキパキと物事を片付けられずに、見かねた隣の席の子が置きっ放しの体操服をたたんでくれながらも、「ちゃんとしなよ」「もう!だらしないんだから…」とため息をつかれては、少々肩身の狭い日々を過ごしているかもしれません。でも反面、「いいこと思いついた!」と一見無関係の情報同士が結びつき発想の飛躍が起こって、イタズラな笑みを浮かべて突然のひらめきが舞い降りることもあるんです(さらに大人に怒られる結果を招く場合もありますが…)。こんな子ども達は、斬新な発想や柔軟なアイデアで新しいものを生み出して、時代を切り拓く力を持っています。そして、この力は逆境にとても強いようにも思います。行動範囲や使える物資の限られた困難な窮地の中でこそ、創意工夫は生まれてくるからです。もしも人類のライフラインが途絶え、電波も宅配サービスも届かないサバイバル生活に突入したら…その辺にある材料で火を起こしてお湯を沸かし、不安な子ども達を手作りのおもちゃで笑わせてくれるのは、小学生の頃、道具箱がゴミだらけだった少年かもしれない、と思うのです。出典 : もしも本当に、人類が火星に移住することになったら、真っ先に手を上げて飛び込んでいくのは、人一倍好奇心が強く行動力のある人達でしょう。強い好奇心や行動力は、裏目にでると「落ち着きがない」「じっとしてられない」と注意や叱責を受けがちです。エネルギッシュで計画的に先を見通すことが苦手な子は、周りの人たちをハラハラさせ、学校ではトラブルも多かったかもしれません。しかも、小さな頃から本当に危なっかしくて親は片時も目が離せず、気の休まる暇のない育児をしながら育て上げた、大事な命です。でも、そんな周りの心配や苦労をよそに、やっぱり、チャンスがあれば行っちゃうんでしょうねえ…火星。「危ないから」って止めたって、親の言うことなんて、聞きゃあしないんでしょうねえ…火星。危ないことだと分かっていても、好奇心のほうが勝ってしまう。大人が何度口酸っぱく注意しても懲りずに同じ失敗を繰り返す。リスクを冒してでも、新しい世界に飛び込んで開拓していける、生まれながらのチャレンジャー。…私はそれを「欠陥・欠如」だとは、とても思えないのです。この果てしないエネルギーが溢れる子ども達を、一体何がこんなにも突き動かすのでしょう。人類のために、この子達に与えられた役割があるように思えてなりません。「ADHDの進化論:ADHD的性質が人類にグレートジャーニー(生存圏の拡大)をさせたのかもしれない」(荒川泰之)|“好き”を”学び”に。”学び”を"仕事"に。出典 : うっかりさん・あわてんぼさんは、多動性・衝動性・不注意性が高いのでミスや失敗が多くなりがちです。ガチャガチャとモノを壊したり、調理実習や科学実験の手順や量を間違えるので、「手を出さないで」「余計なことしないで」なんて、クラスの班行動の蚊帳の外に置かれてしまう経験も多いかもしれませんね。でも実は、人類の生活を一変させるような大発明や大発見には、うっかりミスによる失敗からの偶然の産物も驚くほど多いのです。例えば、2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんのタンパク質をイオン化して分析計測できる方法の発見も、間違った試料同士をうっかり混ぜてしまい、しかも、それを「もったいないから」と実験を続けた結果起こったミラクルの結果です。それに、将来もしもAIが暴走した時に、「つい、うっかり」つまずいて電源を引っこ抜いたり、精密機器にコーヒーをこぼしてしまって、人類を奇跡的に救出できるのは、誰も予測できない行動が取れる多動性・衝動性・不注意性の高い人物かもしれません。そして、偶然から生まれるミラクルは、「失敗」という名のクジを引く回数が多ければ多いほど、当たる確率が高くなるのではないでしょうか。社会全体が些細なミスや失敗を責め続けていたら、当たるものも当たりません。日本にできることはたくさんある 島津製作所 田中耕一記念質量分析研究所長、2002年ノーベル化学賞 受賞者 田中耕一 氏|サイエンスポータル出典 : 「どうして自分はこんなにみんなと違うんだろう…」「どうしてこんなに簡単なことが、当たり前にできないんだろう…」…実は、個性の豊かな子ども達は、少しづつ、周りと自分の違いに気づき始めるお年頃になると、自分のアイデンティティについて思い悩みもするようです(かつて、私自身もそうであったように…)。そして、親や先生と衝突したり、友達とうまくいかなかったり、上級生に生意気だと目をつけられたり、勉強や部活で努力がなかなか実を結ばなかったり…と、孤独感や挫折を多く経験したり、ストレスから心身の体調を崩したり、学校に行けなくなる子もいるようです。また、せっかくの素敵な個性を抑えて、出る杭が打たれないように、努力で「フツーにする」ことで自分に負担をかけながら、一見問題なく集団に適応しているように見える子もいます。でも、発達障害に限らず、どんな子でも、どんな個性でも、人間の多様性を確保することは、人類の未来のために必要なことです。イレギュラーな存在がなければ遺伝子の進化も、文明の進歩も起こらず、人類はとっくに滅亡していたことでしょう。必要だから、そこにいるんです。「ちゃんと並ばないから」と、大量に廃棄される曲がったキュウリのように、少しでも「規格外」のものを切り捨てていたら、人類は自らの首を締めることになり兼ねません。だってそれは、あらゆる可能性の芽や貴重な資源を捨てているのと同じだと、私は思うからです。発達障害のある子は人類に必要。だから、胸張って生きろ!!出典 : 「みんなと同じ」が求められがちな環境では特に、発達障害のある子も、そんなお子さんを育てるお母さん・お父さんも、マイナス面ばかりがクローズアップされて、つらい経験やしんどい想いが続いて、すっかり自信をなくしているかもしれません。「みんなと違う」ことで、不安になったり、苦しくなったり、イヤな思いをしたり、孤独を感じることもあるでしょう。大人になっても、社会の側に余裕がなければ風当たりが強くて、少々生きづらいかもしれません。つまずいてばかりだと「いつでも、前向きに」なんていかないかもしれません。でも、私はそんな豊かな個性の、愛すべき子ども達に伝えたい。「あなたたちは人類に必要なんだから、胸を張って生きるんだよ!!」と。
2018年10月23日中学進学の時にぶつかった「発達障害と成績表」の問題。出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、うちの長男の中学受験の経験をもとに、発達障害のある子の進路に関する少々シビアな現実をお伝えします。うちの長男は私立中学受験という選択をしました。その理由のひとつは、学区の公立中学の支援学級・通常学級からの卒業後の進路に親子で不安を感じたからです。うちの学区の公立中学は超マンモス校。「人が多いと集中できない」長男には、通常学級では少々負担が大きいように感じられたので、それまでは、中学では支援学級進学ものんびりと考えていました。ところが、5年生の時、学区の中学の見学会で支援学級を実際に見てみると、「この支援学級を卒業した後、長男の進路は一体どうなるのだろう」という疑問に、全く答えが見えなかったのです。学区の中学の特別支援学級に在籍する生徒さんの大部分は、卒業後は、特別支援学校へ進学されるようでした。つまり、長男が希望する普通高校進学を前提とした生徒さんはその特別支援学級では見当たらず、卒業後の進路について何の情報も得られませんでした。また、小学校では柔軟に対応して頂けた、支援学級の子が通常学級でも授業を受ける「交流級」や、通常学級から特別支援学級へ、特別支援学級から通常学級へ、という「転籍」も、うちの地域の中学ではあまり行われていないようでした。学区の中学の支援学級からは「卒業以降」の普通高校進学の道がプッツリと途切れていたのです。今後、公立中学の特別支援学級から、公立高校の通級・支援学級への道が拓かれてゆく期待もありますが、うちの長男には間に合いませんでした。現在、こういった状況は地域・学校ごとで大きく違うようなので、まずは、お子さんが小学校卒業後、学区の中学の支援学級進学をご希望の場合は、早めに見学・相談等をされることをオススメします(正直、うちはかなり遅い例です)。中学の一斉公開日などもチェックしておくといいでしょう。出典 : 地域の中学の支援学級の現状に不安を感じた私が資料を調べたところ、うちの県では公立中学の支援学級から、全日制普通高校への進学率は公立・私立合わせても、わずか2%程。定時制・通信制の高校を含めて、ようやく20%弱(某県教育委員会のデータより)。「たった2%!? そんなマサカ…」と、文部科学省による全国統計「特別支援教育資料」を見ると、平成28年度の中学校特別支援学級卒業者の状況(国・公・私立計)は、支援学級在籍者19,135人に対し、「高校等」の進学者は約35%にあたる6,842人。その内、全日制の普通高校に進学した生徒が一体何人いるのかは、このデータからは分かりませんでした。特別支援教育について「特別支援教育資料(平成28年度)」|文部科学省では、特別支援学校に進学しない・できないタイプの発達障害のある子は、一体どうしているのかというと、うちの自治体では今のところ、普通高校への進学を希望するならば、中学では通常学級に在籍せざるを得ないようです。勿論、通常学級でもうまくいく場合もあるでしょう。でも、長男も私も、学区の中学の通常学級は様々な面で、彼にとってかなりハードルが高い環境のように感じていました。また、仮に公立中学の通常学級で、勉強を精一杯がんばれたとしても、高校入試に影響する中学の内申書は「学力以外」の面での評価も大きく、長男の現状では内申点はほとんど期待できません(理由は後述)。ですから、中学の通常学級から高校進学を希望しても、内申重視の傾向が強い公立・私立高校や、「内申点が○点以上から」と条件のある推薦入試は、かなり厳しくなるでしょう。それすらも、負担の大きな環境の中、「長男が中学にちゃんと通えたら」という前提での話。そして長男は「学区の中学に行くなら、おれは不登校する」と、キッパリ宣言しました…!そこで、遅まきながら、公立中学以外の選択肢を模索し始め、親子で私立学校等の見学会や説明会などに参加してみると、「自分に合った、小規模の私立中高一貫校に行きたい」と、本人が強く希望するようになりました。長男は学ぶ意欲が強く、自分の意思で決めたことなら人一倍がんばれるタイプです。でも、ここでも「成績表」の問題が。出典 : 私立中学各校の募集要項を見ると、中学受験でも、願書提出の際に成績表のコピーや調査票が必要になる場合があります(必要ない学校もあります)。ただしその場合も、内申重視の高校入試と違い、「小学校の成績表は参考程度」という私立中学も多いようです。それでも、推薦入試を行うある中学の説明会では、小学校の成績表に「最低評価が1つでもあるとダメ」「年間の欠席日数が○日以下」などの条件があると聞きました。私立中学でも成績表によって受験資格が左右される場合もあるようです。4年生までの長男の通常学級の成績は、C評価の「がんばりましょう」ばかり。そして、5年生の特別支援学級の成績評価は「言葉による表現」で記載され、「みんなと同じ」段階別の数値によるものではありません。長男の志望校の出願に必要なのは6年生の成績表なので(※5年生からの成績表が必要な学校もあります)、合格・不合格以前に、今の特別支援学級在籍のままでは、必要書類を揃えて願書を提出できるのかすら分からない状況でした。(ちなみに、「特別支援学級の言葉による評価の成績表を、そのまま受験用に提出した場合どうなるのか」は、いろいろと調べてみたものの、ほとんど前例がないようで、結局分かりませんでした…)ただし、私がネット上などで目にした「特別支援学級では、成績評価・内申点がつかない」なんて話は、本来はあってはならないことのハズです。ですが、現実的には信じがたいことに今だに「地域・学校によって、対応してもらえない場合がある」ようなのです。特別支援学級からの進学ーあまりに大きな地域差の現状|togetterうちの自治体の場合「特別支援学級の成績表は、ご希望があれば段階別の評価でも出せます」と、小学校の特別支援コーディネーターの先生はおっしゃってました。しかし、地域の受験事情に詳しい方のお話では「○○市では、特別支援学級でもお願いすれば、みんなと同じ形の評価で出すことはできます。ただし、その内容が問題なのです」とのこと。つまり、書類として揃えることは可能だけれど、いくら「成績表は参考程度」であっても、内容が殆ど「がんばりましょう」ばかりでは結局厳しいことには変わりない…のだそうです。出典 : 一見これは、「成績が悪いのは、本人の実力なのだから仕方ない」とも思えますが、特別支援学級在籍で「みんなと同じ」評価を受けるために、通常学級の「みんなと同じ」テストや宿題の提出が必要、となれば、実質本人にかなりの負担がかかります。「おれは、人が少なければ、集中できる!」と、自分のペースで学ぶために希望して特別支援学級に転籍した長男ですが、特別支援学級は授業の進度が通常学級とは違うため、そのままでは「みんなと同じ」単元のテストができません。実質、自力で相当な努力をして通常学級との進度の溝を埋めるか、毎日のほとんどを交流学級で授業を受け、同じテスト・同じ課題をこなさなくては、マトモな成績がつかない…ということになります。「自分のペースで学べばできる」「落ち着いた環境で学べばできる」という子も多い中、「○年生の○学期までにココの単元まで終わる」と学習指導要領で決められた中でしか段階別の評価ができなければ、特別支援学級でしっかり学んでも「みんなと同じ」基準での成績評価は難しくなります。つまり、現行の成績評価の仕組み自体が、特別支援学級の児童・生徒の多様な学び方に対応できていないのです。こういった「特別支援学級からの受験」の厳しい現状を、私は長男に噛み砕いて説明しました。すると彼は「じゃあ、おれ、6年からは元のクラスに戻ってがんばる」と通常学級への復籍を決意。そして、小学校の学習とは別の努力が必要な中学受験用の勉強と並行して、5年生の特別支援学級では交流学級を増やしながら全科目学年相応まで学習を進め、6年生からは通常学級で進学に備えることになりました。…要するに「個人の努力と根性で乗り越えた」のです。正直、11歳12歳の子には、かなり負担が大きかったと思います。長男の場合、本人の強い意志と興味のあることへの過集中、そして、周囲の理解・サポートで頑張れたのだと思います。でも、さまざまな課題を抱えながら特別支援学級で学ぶお子さん達に、ここまでの努力や負担を強いなければ「皆と同じ土俵にすら立てない」というのは、私は甚だ疑問です(仮に、学区の公立中学の特別支援学級に進学したとしても、高校受験の際、長男は同じ経験をしていたことでしょう)。そして、発達障害への理解・支援体制には地域・学校ごとで格差があり、その子の進路まで大きく影響されてしまう現状にも、大きな問題を感じます。こういった状況の中で、本人・親が希望する・しないに関わらず「受験を希望するなら、現実的には支援学級を選択できない」地域・学校もあるのです。とにかく、小中学校の特別支援学級からの受験を希望する場合、早めに在籍・進学先の学校や教育委員会などに、成績評価への対応についても、正確な情報を問い合わせておく必要があるでしょう。尚、論外ではありますが、万が一、在学中の小中学校で「特別支援学級では、みんなと同じ形式の成績評価・内申点は出せない」などと言われた場合や、正当に受験し合格しているにも関わらず、発達障害があることや元の在籍級を理由に合格を取り消された場合などは、障害者差別解消法違反に該当する可能性があるため、法的に対応していく必要があるでしょう。また、在籍校から受験校・進学校に提出される内申書や指導要録で、もしも、不当な評価や事実に反する記載・入力ミスなどがあり、受験資格の有無や合否、入学後の対応等に本人に不利益な影響を及ぼした可能性が疑われる場合などには、自治体に対し「自己情報の開示請求」ができます。発達障害児進学に苦悩私立中高一貫校入学辞退迫られ両親「多様性認めて」|西日本新聞(2013.6.11)内申書や指導要録を見せてほしい(ふらっと相談室)|ふらっと人権情報ネットワーク出典 : そして、「絶対行きたい!」志望中学のためにガムシャラになった長男は、小学校のテストの点も急上昇。ところが、オールCから脱出したとはいえ、実力に対して、成績評価は思ったようには上がりませんでした。それは、例え学習内容を十分理解している子や、真面目に勉強に取り組んでいる子であっても…・課題や宿題に取り組んでも、提出し忘れる。忘れ物が多い。・ノートや提出物の字が汚い。読み書きに時間がかかり、板書を写しきれない。・先生の指示を聞き逃したり、授業の準備や片づけに時間がかかる。・不器用さや局所的な苦手さ等から、体育や音楽などの副教科が努力だけではどうにもならない。・コミュニケーション面の苦手さにより、授業中の挙手の回数や発言内容が不十分。・学校自体の負担が大きく、欠席等が多くなりがち。…などの理由から、どんなに学ぶ意欲が強くても、本来の学力以外の「意欲・関心・態度」などの面で、成績評価が低くなってしまう傾向があるためだと思われます。でも、「態度」の評価が低くても、長男は決して不真面目なワケではありません。発達障害があっても、まじめな子、おとなしい子、ガマン強い子、人一倍優しい子は沢山います。そして、適切なサポート・療育や環境の工夫、または自然な成長によって、落ち着いていく子も沢山います。長男の場合、空気を読めないが故に、自習中クラスの皆が騒いでいる中でも同調せず「マジメにやってたのオレだけだった」なんてこともありました。ですから、ここでいう「態度」とは、「先生に言われたことを、言われた通りにできる力」のことなのです。集団行動に遅れたり、先生の意図を察して動けない子は評価が低くなりがちなのだと思います(親としては、書字に困難さのあった長男がノートを必死で書こうとする姿は、例え黒板を写しきれなくても、涙が出そうなくらい「意欲・関心・態度」が高いように思えますが…)。字のキレイさや挙手の回数で、「どれだけその子が学ぶ意欲を持っているのか」を、客観的に評価できるのでしょうか。また、発達障害のある・なしに関わらず、公立小の担任の先生に「中学受験への理解があるか」や、先生との関係性によって、「学力的に十分でも、厳しめに評価をつけられた」なんて話も聞き及びます。高校入試の際も、評価の甘い中学と厳しい中学での格差により、同じような学力の生徒間でも「A中学の子は推薦もらえたけど、B中学の子は内申点が足りず、〇〇高校の推薦入試が受けられない」のもよくあることでしょう。そして、先生の「内申に書くぞ」の一言が、生徒を従わせるための安易なツールとして広く普及していること自体にも、そろそろ社会全体で疑問を感じたほうがいい時期なのかもしれません。現在、学校の成績表・内申書は相対評価から絶対評価へと変わり、子ども達にプラスになった面もありますが、実質「先生の主観」に影響される部分もあり、成績表・内申書自体の客観性・信頼性・妥当性が問われています。中学校における指導と評価の一体化をめざす学習評価の在り方 -目標分析からすすめる学習展開例-(京都市総合教育センター)|国立教育政策研究所未来を拓く扉が、挑戦する前に閉ざされないために…出典 : 結局、中学受験での小学校の成績表への不安点・疑問点を、うちではどうクリアしたか、というと…まず、志望校の説明会で、私は「小学校の成績表は、どの程度合否の参考にされるのでしょうか?」と思い切って質問し、成績表は本当に「参考程度」なことを直接確認しました(ただし、「出席日数と諸活動・所見欄だけはチェックする」学校は多いようです)。また、記載内容で特に気になる点については、個別相談会で本人同席の上、成績表と普段のテストを持参し、具体的に相談していきました。また、何度も志望校の体験授業などに親子で足を運び、面接でも彼の全体像を知って頂けたので、入試本番の結果は勿論、長男のことを十分理解して下さった上で「合格通知」を頂いたもの、と思っています。(ちなみに、公立・私立問わず入学手続きには、在籍校最終学年の担任の先生が記入する「指導要録抄本(指導要録の写し。原本は在籍校保管)」が必ず必要となります。これにより、受験の際に成績表の提出が必要なくても、学籍の記録や全学年の成績評価、出席日数、所見等が記録された書類が進学先に学校経由で送付されます。)指導要録(参考様式)|文部科学省それでも私は、「発達障害と成績表」の問題は、子ども自身の努力と根性だけで全て解決できるとは思えません。新しい学習指導要領で「主体的な学び」の必要性が叫ばれ、また、大学の推薦・AO型入試の増加傾向など、多様な人材が求められるように世の中が変化している中、成績表や内申書のあり方も、早急に見直す必要があるのではないでしょうか。発達障害のある・なしに関わらず、本当に学びたい意欲と可能性にあふれた子ども達が、たかが成績表や内申書の印象で、未来を拓く扉の前で門前払いされないよう、私は心から願っています。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年09月20日「あれ?ひょっとして音読できない…?」長女の発達が気になり、いつもの小児科へ…出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、グレーゾーンの娘のお話をしますね。小学校入学を心待ちにしていた娘。勉強もやる気まんまんで、ひらがなの練習も自ら進んでしていました。ところが、入学してしばらく経ったころのこと。宿題の教科書の音読が、ひらがな文があやふやで、ひと文字ひと文字拾い読み。「あれ?ひょっとして音読できない…?まあ、まだ小さいから、ひらがな読めない子も他にもいると思うケド…」なんせ、うちには字が書けない・漢字が覚えられないことで、本当に学習面でしんどい想いをしてきた長男がいます。もしかして、長女にもLD(学習障害/学習症)のうちの「ディスレクシア(読字障害/発達性読み書き障害)」の傾向があるのかもしれない…という不安が私の頭をよぎりました。そこで、まずは、「いつもの小児科」へ。うちでは、余程のことがなければ、子どもたちの発達面で気になることは、「いつもの小児科」で、カゼやアレルギー症状での受診のついでに、3人まとめてこまめに相談しています(そして「余程のこと」がある場合には、先生から専門病院に紹介状を書いて下さいます)。小さなころから娘の成長を見守り続けてくれた「いつもの小児科」の先生は、今までの成長の過程や、普段の娘の様子、他の病気との関連なども合わせて判断することができます。また、併設の内科で私も夫も時折診て頂くため、家族関係などもよくご存知の上、数多くのタイプのお子さんたちを毎日診続け、総合的な診察ができるので頼りになります。長女のように、乳児健診などで発達について特に何も言われなかった場合でも、もしも日頃のお子さんの様子から「あれ?」と疑問や不安を感じたら、まずは「いつもの小児科」で、気軽に相談してみるのがいいのではないでしょうか。「子どもの心の診療ネットワーク事業」国立成育医療研究センター娘は「発達の時差」があるだけなのかも…出典 : 「いつもの小児科」の先生は、「ひょっとして、娘にLDがあるのでは…?」という私の不安に対して、その場で絵本を読ませたり、口頭で簡単な計算問題などを出して、長女の様子(目の動かし方や、考える時間、話し方など)を観察し…「お母さん、これはね、全然大丈夫。心配いらないよ」と断言して下さいました。要するに、「これくらいであれば、通常の成長の個人差の範囲内」ということのようです。そして実際に、数ヶ月経った夏休みの最中に、娘はある時すっと、ひらがな文の音読がすらすらできるようになりました。娘は学習面では万事この調子で、「あれ?ココができないなあ」と思っても、成長を少しの間待てば、ゆっくり部分の発達も自然と育つことができるタイプのようでした。長女の発達のしかたは、発達の凸凹差が大きく「障害物」になっていた長男とはまた違っていて、部分的にほんの数ヶ月だけ、平均的な発達との間に「時差」があるだけなのかも…私はそう思うようになりました。これは、小さなころは同学年の4月5月生まれの子より、例え健全に成長していてもなんとなく2月3月生まれの子を幼く感じてしまう、「早生まれ・遅生まれ」の差に、似ているのかもしれませんね。だから、私は「自然な成長を待てば、娘の場合は問題なし!」と、気楽に構えることにしました。ところが娘自身は、次第に学習に対する自信と意欲を失いかけていったのです。その理由は、「定型発達(ニューロティピカル)」に合わせた、学校の授業進行にありました。「定型発達症候群って何?」NHK発達障害プロジェクト「こんなハズじゃないのに…」学校でできない体験を積んでしまう娘出典 : 親バカな私から見れば、娘はよく機転が利く、しっかり者の利発な子です。言葉も達者で話がとても分かり易いし、観察力が鋭く、うっかり屋の私や長男が探し物をしていると、「あ、それ、ゲンカンに落ちてたよ」なんて、いつも教えてくれます。ですから、決して「勉強のできない子」ではないと思っています。…ところが学校では、ゆっくり部分が育つまでの「発達の時差」の間に、長女は「できない体験」を積み重ねてしまいます。大半の子がひらがな文をスラスラ読めるころでも、つかえつかえ、シドロモドロになって、悔しくて泣き出してしまう。それが自然とできるころには、クラスは漢字学習に入っていて、また「漢字混じりの文が読めない」となってしまう。"それができるころ"には、みんなはまた次の学習に…常にこの繰り返し。算数も同様に、数唱も、足し算も、繰り上がりも、みんなからワンテンポ遅れた「時差」がありました。出典 : テストでも、ひらがな文が音読で読めるようになってからも、どの教科もトンチンカンな答えでペケばかり。「こえに出してよめば、イミは分かるんだけど、テストのときは、おハナシしちゃダメでしょ。でも、アタマの中でこえを出すのが、◯子、まだむずかしいから、えを見て『たぶん、こうかな?』って、こたえかいてるの…」と、娘は半ベソで訴えます。私は、長男の経験から、テストが何点でも本人を責めないようにしていますが、それでも「こんなハズじゃないのに…ホントはもっとできるのに…」と、負けず嫌いな彼女はどこか納得いかずにいる様子。6歳の娘にだって、小さなプライドはあるのです。ほんの数ヶ月待てば自然とできるのに、「ティピカルな発達」に合わせた教科書どおりの一斉授業では、いつまで経ってもクラスの中で「できない体験」が続いてしまいがちです。大人になれば、100歳も101歳も大した違いではありませんが、小さな子にとっては、ほんの数ヶ月の部分的な「発達の時差」が、大きな違いに感じられてしまいます。実は、「障害」という診断がつく程ではなくとも、この「発達の時差」によって、娘のように人知れず、悔しい想いやできない体験を積み重ねてしまうお子さんは、通常学級の中にも一定の割合いるようです。私にはむしろ、なんでもまんべんなく、平均的に育ってゆく子のほうが貴重だとすら思えます。そしておそらく、娘のこの「発達の時差」は、同級生たちが成長期の終わりを迎えるころには、ほぼ自然に解消されるものと予想されますが、その間の10数年、「できない自分」というイメージを抱えたままになってしまうのは、なんとか避けたいところです。そのために、私は「今」何ができるのでしょう。ほんの数ヶ月の「発達の時差」の間にできること出典 : まず、大事なのは娘が「自分に対する自信と、勉強に対する意欲を失わないこと」です。ここを護ってあげないと、自分に否定的なイメージができたり、本来理解力のある子であっても、勉強に対する苦手意識ができてしまったり、興味が持てずに学習機会自体が減ってしまい、本当の「学力低下」へとつながってしまう可能性があるからです。これは、グレーゾーンの子であっても起こりうる、学習面での「二次障害」だと、私は思います。経験上、これだけはなんとしても回避したいところ。そのために…出典 : まず、担任の先生が、長女のテストの点などの印象だけで、「勉強ができない子」「サボっている子」などのマイナスイメージを持たないように、私は保護者面談などで、次のように伝えました。「◯◯クリニックの先生に診察していただいたところ、娘は発達面での心配はないとおっしゃっていました。一学期はできなかったひらがな文の音読も、自然とできるようになりました。、本人も勉強に対する意欲が強く努力家なので、テストや宿題の直しもイヤがらずに家でも頑張っています。◯子は、こういう成長のしかたをする子のようです」お子さんの発達の特徴については、「お医者さんがこう言っていた」「検査結果ではこうだった」「臨床心理士さんのお話では…」など、お医者さんや専門家の意見や、客観的な「証拠」があると、理解してもらいやすくなると思います(必要に応じて文書化すると良いでしょう)。また、親の感情ではなく「事実」を伝え、できないことや心配なことよりも、できるようになったことや本人の意欲など、ポジティブな情報のほうが多くなるように伝えます。そして、診断がつく程でもないグレーゾーンの子であっても、「こういう成長のしかたをする子です」と伝え、それが「本人の努力不足」や「親の育て方のせい」などではなく、個性の一部であることを分かってもらえるまで、丁寧に説明するのがいいでしょう。出典 : また、ゆっくり部分に「発達の時差」がある間、本人は宿題にすごく時間がかかったり、今の学習単元の内容が難しく感じられると思います。この負担を減らすために、長男同様、長女の場合も「一時的に」ツールを使い、私も宿題サポートをしています。こういった、補助的なツールやサポートは、負担の大きな時期だけして、できるようになったら卒業すればいいのです。例えば、宿題の音読の負担が大きな時は、長女は「耳からの情報」は良く受け取れるので、・最初は私が文を一節ずつ読み、その後を長女が復唱する。慣れてきたら文章を次第に長くしていき、最終的には全部一緒に読む。(例:母「むかしむかし」娘「むかしむかし」→母「あるところに」娘「あるところに」→…)・よく読み間違えるところにラインを引いたり、単語を◯で囲ったりする(娘の好きな色でOK!)…など。この場合のポイントは、教科書の文字をペンや指でなぞりながら「文字と音をセットで入力し、体感して読む」ことだと思います。長女が字を目で追わずに、私の声だけを頼りに読んでいたなら、手を添えたり、「字も一緒に見てね」と声かけしました。お母さんやおうちの方が一緒に読んでくれるだけでも、負担感がずいぶん違うと思います。Upload By 楽々かあさん同様に、計算ドリルの宿題も、指やブロック、お菓子、ビーズなどは好きなだけ使って良いことにし、必要があれば、私の両手も両足も、その辺に寝転がっている次男の足の指も使いました(笑)。LDのある子に限らず、小さな子は数や量の感覚が未発達なことが多いので、「その子のタイミング」が来るまで、実物を見て、触って、確かめながら考えればいいんです。そして、長男の時の反省を活かし、長女が「宿題イヤだな、つらいな」とならないよう、「なるべく」明るく楽しいイメージでできるように心がけました(とはいえ、私もいつもニコニコしながら気長につき合えた訳ではありませんので、ご安心下さい)。そうしているうちに、「きょうは1人で読めるよ」「あ、これはユビつかわなくても、◯子わかる!」が増えてきました。出典 : そして、私の想像上の生き物である「フツーの一年生」とではなく、長女自身との比較で、「その子なりに」できるようになったこと、頑張れていること、小さな進歩などを、キモチ大盛り気味で伝えています。「最近、漢字が入ってる文も、読めるようになってきたね」「テスト、よくがんばったね。ペケのとこも意味は合ってるモン、かあちゃんならマルにしちゃう(長女の手のひらに◯)」「◯子は本当に丁寧でいい字を書くね。かあちゃん、この字大好き!」…とか。そして、学習以外のところでも、「◯子は本当に細かいことによく気がつくね。観察力がある証拠だね」「なるほど〜、さすが◯子の話は分かりやすい!賢いなあ(ナデナデ)」「◯子は踊りをすぐ覚えちゃうね。身体の動きの記憶力がいいんじゃない?」…などと、学校のテストや成績表には反映されにくい、長女のいいところ、すごいところ、素敵なところを、できるだけその都度言葉にして伝えるようにしています。長女が自分のことを肯定的に思え、好きでい続けられるのなら、私は喜んで親バカになります。たった一度の、わが子の育児です。謙虚さや奥ゆかしさが「美徳」とされる国であっても、親がわが子の素晴らしさを本人に伝えるのに、誰に遠慮することもありません。大人たちには「今」何ができるだろう出典 : 長女は今、宿題に進んで取り組み、教科書以外の勉強も自分で沢山発見しては、私に教えてくれます。それでも、「きょうはつかれてるから、がっこう休みたい。ママといっしょにいたい」と、くっついて離れないときもあります。学校のテストや成績表だけで、子どもが「自分は勉強ができない」と思い込んだり、進学を諦めたり、将来の夢が消えてしまったり、大人になっても「勉強=つらくて苦しいもの」と苦手意識を持ってしまうのは、あまりにもモッタイナイことだと、私は思います。「成長のしかたの違い」だけで、無限に広がるその子の可能性の芽が間引かれていかないように…。「個性の違い」だけで、未来を担う子どもたちのキラキラした瞳が曇らないように…。私たち大人には「今」何ができるでしょうか。
2018年06月21日SKE48の大場美奈が、16日にナゴヤドームで行われた開票イベント「第10回AKB48世界選抜総選挙」で5万3,998票を獲得して8位になり、初めて選抜入りを果たした。2009年にAKB48の9期生として加入し、2014年にSKE48に移籍。総選挙の最高順位は2016年の22位、2017年は26位だった。名前を読み上げられた大場は、ガッツポーズしながら溢れ出る涙を拭った。マイクの前に立ち、「今26歳でアイドルになって9年目です」とあらためて自己紹介しながら、「新しい夢を叶えることができました。これは、ファンのみなさんと一緒に叶えた夢です。48グループは努力をすれば絶対に夢を叶えられます」と断言。「次はテレビを見ている皆さんに私を覚えてもらえるように頑張る。それが次の夢です」と新たな目標を発表し、「私は5年前に名古屋に来て、SKE48に出会えて本当に良かったです。今とっても幸せです! ありがとうございました!」と精いっぱい声を張り上げて感謝の言葉を伝えた。
2018年06月16日「小学校教育、どうだった?」学校ギライの長男に聞いてみた出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。小学校時代、うちでは学校に長男への合理的配慮をお願いするなど、あの手この手でサポートしながら、なんとか卒業しました。それでも結局6年間、彼は学校自体あんまり好きではありませんでした。親も先生も、そして長男自身も、できる限り努力してきた結果なので、私は「そもそも、今の公教育の仕組み自体が長男に合わないのかな」とも感じました。そして彼は「みんなと同じ」公立中学への進学を希望せず、自分に合った私立中学を選択しました。今回の「息子インタビュー」では、生意気にも、現在の日本の教育制度や、同世代の子ども達や親達に伝えたいことを、正直者の12才の彼が、素直な言葉で語ってくれました。※一部、正直過ぎて、やや配慮に欠ける表現があるかもしれませんが、彼の素直な言葉を尊重したいと思いますので、どうかご容赦下さい(文責・インタビュアー:製造責任者・母)。公立の学校の問題点出典 : かあちゃん(以下、母):じゃあ、今回は「学校」について。私立を受験したのは、今の公立の学校自体、キミには合わないところがあったからだよね。長男・◯太郎(以下、長男):うん。例えばね、給食で弟みたいに軽い牛乳アレルギーの子でも、牛乳だけじゃなくて、牛乳をちょっとでも含むもの全てが「全部ダメ」みたいなのがおかしい(※母注:次男に関しては後日相談し、対応して頂けました)。母:まあ、一部の重症なアレルギーのある子にとっては命に関わるから、切実に必要なことなんだけれども、一律に「ダメ」だとね。長男:「軽い人も重症の人も同じ」みたいな。母:沢山の子ども達がいるから、凄く困っている子もいれば、ちょっとだけ困っている子もいるよね。長男:公立の学校はどの子も1つの方法で、まとめてやろうとしちゃう。母:なるほどね。それは勉強でも同じじゃないかなと、かあちゃんも思う時があるけど…。Upload By 楽々かあさん長男:だから、おれは成績は全部Cで構わない。全部Aでも、Cでも、カンケーない。成績表は、ただ単に「教室で集中しているか、どうか」を、あくまで先生から見て数値化したもの。だから、成績良くするのは、スゲーカンタンだよ!母:え!?どうしたらいいの?長男:ごはん貰うときのうちのワンコみたいにね、お利口におすわりして、鉛筆をカツカツ言わせながら、黒板に書いてあることをその通りにノートに書けば、先生はAくれるよ!母:そ、そっかあ…(破壊力あるコメント…汗)。長男:だから、成績表のAとか、Cとか、ホントにどーでもいい。学校の成績が悪くても、頭いい子は沢山いるよ。今の学校のやり方が合う子はいいけど…。学校では、学ぶための城の中で「門が1つしか開いてない」みたいな。母:「学びの城の門が1つしか開いてない」!長男:(絵に描きながら)そう、いろんな城があって、ルートがある。学びの城は、まず最初に第一の石垣があって、これは(公立の)小学校で「ここしか門が開いてない」みたいなカンジ。そんでも、城の攻略では、この石垣を登って近道するってテもあれば、正攻法で攻めたり。こっちは、遠回りだけれど、ゆっくり学べるみたいなルート。母:学ぶスピードは人によって違うもんね。子どもが勉強をキライになる理由出典 : 母:じゃあ今、「勉強がキライ、苦手、つまらない」って子がいるとしたら、それはなんでだと思う?長男:まず、「キライ」と「苦手」と「つまらない」は、それぞれ(理由が)違う。「苦手」は内容が難しいんだけど「=キライ」とは限らない。「つまらない」は、簡単すぎて興味が持てない、とか。「キライ」はね、得意なことでもなるよ。母:簡単過ぎても、難しすぎても、その子のレベルに合ってないってことかな?長男:そう、合ってない。「キライ」の理由は何種類かあって、まず「簡単すぎる」、あとは…例えば「自分よりもっとできる子がいるから」とか。それから「難し過ぎる」とか、「教える人が怖い」とか。母:…確かにそれは勉強キライになるだろうね。長男:「勉強がつまらない」のは、多分ずっと同じステージのダンジョンで、レベル上げしてるのと同じだからだと思う。スライムやゴブリンの経験値2とか5ばっかり倒してるから「つまんね」ってなる。自分と同レベか、その前後。特に自分よりちょっと強めの敵レベルで戦うのが一番いいんじゃない。母:今のその子にちょうどいい学習のレベルがあるんだね。それから、「苦手=キライではない」って言ったけど、キミの場合は国語がそうだよね。「苦手だけど好き」になるにはどうしたらいい?長男:「苦手でも好き」になるには、ゲーム感覚でやるとか。母:ああ、なるほど。そういうの最近では「ゲーミフィケーション」っていうよ。ホントのゲームだけじゃなくて、うちの「ポイント手帳」や「ごほうび設定」もその1つだね。じゃあ、授業中ねり消しつくったり、教科書の偉い人にヒゲ描いてる子はどうしたらいいと思う?長男:それはもう教え方が悪い!母:あはは。ハッキリ言うね(汗)その子のせいじゃないんだね。長男:そうそう。教え方が悪いんだよ。なんかつまらないから、落書きしちゃうみたいな。例えば、歴史の教科書もムスッとしたおっさんの部将じゃ、女子は興味が持てないかも。例えば、アニメやゲームに出てくるようなカッコイイ部将の絵を使うといいと思う!母:あはは。確かにイケメン部将なら、教科書開くのも楽しいよね。ただ、かあちゃんは、教科書の印象だけでなくて、さっき言ってたみたいに、授業や宿題が作業ゲー化してるのもあると思う。今の子ども達は、楽しいゲームの展開に慣れているからね。12才、凸凹男子が夢見る「理想の学校」とは…?出典 : 母:キミは前「もっと学校が選べるようになったらいいのになあ」って言ってたけれど、具体的にどういうこと?長男:今のやり方で、楽しくできる子はいいんだけど…。例えば「もっと自由にやりたい」とか、「実際に見てみたい」とか…社会なら修学旅行や社会科見学、理科なら実験を沢山したりとか…。母:体験中心の?長男:そう、おれみたいに体験中心の勉強が好きな子もいれば、友達の中でワイワイやるのが好きな子も、1人でじっくりやるのが好きな子もいる。パソコンやゲームで学びたい子もいると思う。いろんな子に対応している学校ができたらいい。母:なるほど。公立校でもいろんな学び方があっていいよね。長男:うん。学校はまず、楽しく学べるというのが一番大切だと思う。おれの「理想の学校」は、学年じゃなくてレベルで分ける。例えば、1レベから10レベまであって、「国語はおれ難しいから1レベ」って、国語の時間になったら1レベの教室へ行く。「算数は得意だから、5レベの教室」って。まず最初にテストをして、「今ここらへんだよ」って決めて。母:それは「習熟度別クラス編成」だね。例えば、算数は10レベだけど、国語は1レベってコトもある?出典 : 長男:うん。算数だけは「めちゃ天才!」みたいな子もいる。そしてレベル別に分けたら、更にコース分けする。パズルコースとか、動画コースとか、体験コースとか…。そんで給食はね、食堂で好きな子と一緒に好きなメニューを食べればいい。それから、スクールバスと、あそびの部屋と…。母:夢が広がっているね(笑)。キミの理想の学校は、要するに「いろいろ自分で選べる」ってことかな?長男:そう自分で選べる!自分で何でも選べると、小さな事でもうれしいじゃん。母:逆に言うと、今、公教育はあんまり選択肢がなくて「ここに住んでいるからこの学校」「教科書はこれ」「今年の担任はこの先生」「今日の宿題はこれ」…って決められちゃうことが多いかな。長男:もうねえ、効率ばっかり求めちゃって。「公立は効率を求める」。ダジャレできた!だははははは。母:あはは。でも、未だに大量のプリントが毎日学校から届くのを見ると、効率良くない面もあるかもね。先生達がコピー機の前に並んだり、授業で毎回プリントを配って集めて丸付けする時間に、「個人の努力」以外にもできることはあると思うな。長男:とにかく公立は、楽しさよりも「みんな同じで」って考えてる人がいるから。母:自分の意思で選んで学べたら、日本の子ども達は、もっと学校や勉強が好きになるかな?長男:そう!勉強がキライな子に、大人達はどうしたらいい?出典 : 母:じゃあ、今勉強がキライだと思っている子には、周りの大人達はどうしたらいいと思う?長男:その子の性格もあるから、とにかく、いろいろやらせてみる。それで、楽しそうすることとか、集中してたことを沢山やっていく。それで、その子に合ったレベルの内容にする。母:試しにいろいろやってみると、その子の得意な方法や好きなことが見つかるよね。パズルが得意な子も、ゲームが好きな子も、漫画描くのが好きな子もいて「これだったらできる!」みたいなのがあるよね。出典 : 長男:勉強もね、毎日「できないできない」言われるより「君はできるねえ」って、ほめられてやったほうがいい。「鶏口牛後」って言うでしょ。だから、親のとるべき行動はね、「ほ・め・る」。母:うん、なるほど。長男:ほめるのが大事だと思う。時には叱る事も大切だけど、できたことはほめてあげてほしい。できないことも無理に責めずに、できないことをできるようになったら、ほめる。ふざけてる時には、叱って欲しい。できないからじゃなくて、ふざけてる時に叱る。同じ0点でも、ふざけて0点なら叱っていいけれど、がんばって0点だったら、「しょうがないね」ってしてあげて欲しい。それで、一問でもできたらほめる。母:キミの場合は、具体的になんて言葉でやる気出た?長男:(受験勉強の)最後のほう、おれ、漢字が結構書けるようになったじゃん。そん時に、かあちゃんが「およよ〜?」って(笑)母:あはは。かあちゃんも、キミが苦手な漢字を書けるようになったのは、驚いたし、嬉しかったんだよ。長男:そう、親も一緒に嬉しいと思うから、自分も嬉しい。できないから叱るのは、良くない。否定的になっちゃうと思う。出典 : 長男:それから、仕事とかで忙しくても、やっぱり親は子どもと話す時間を作ってあげて欲しい。時間は10分、15分でいいから、相談時間を毎日つくる。母:親と話せる時間があると子どもは安心するよね。親もね、忙しい人もいっぱいいると思うけど…。長男:でも、10分くらいのスキマ時間はあると思う。子どもも、その決めた時間までは、解放しない。親の都合もある。でも「この時間だけは」っていう。母:例えば、気になることとか、不安なこととか?長男:楽しかったことも、嬉しかったことも。それでもう、話す事が尽きたら「一緒にマリオカートやろう」でもいい。ゲームを親と一緒にやるのは、おれ、一番楽しいんだよ。母:そうだね。子どもがいろんなことを親に話す時間があれば、勉強にも集中しやすくなるだろうね。今、学校がキライな同世代の仲間達へのメッセージ出典 : 母:今、学校がキライな子も結構いると思うけど、どう思う?長男:学校キライな理由に、「クラスがぎゃーぎゃー騒がしいから」って子もいると思う。そういう子は、やっぱり家で自分で勉強するのがいいと思う。それなら成績がCだらけでも、親は叱るべきではないトコ。だって、これは、環境がよくない。うるさいのが楽しい子もいるけど、やっぱり、学校ってうるさくなりやすい。母:確かに、人が多くて集中できない子は、人数が少ない環境なら、勉強が頭に入る可能性があるね。長男:だから、教室がうるさいとか、先生が怖いとかは、環境が悪いんだから相談しなきゃ。うるさければ、先生に「イヤーマフ使っていいですか」とか、相談する。でも、怖い先生に「先生が怖いです」って言ったら、大変なことに…(笑)だから、スクールカウンセラーか、親に。母:ははは(汗)。相談する人は選べばいいよね。最後に◯太郎から、今、学校が好きじゃない子に伝えたいメッセージは?長男:「自分に合ったことを、時間をかけて探して」って、思う。時間をかけて、いろいろ試して、自分のカタチに合うものをやって、そこを拠点にして、興味の輪をどんどんと広げてって欲しい。母:そうだね。その子の世界が広がっていくといいね。今回、面白い話を、いっぱいありがとうね。学びの主人公は子ども自身だから…出典 : 子どもって本当に、一見何も考えてないようで、いろいろ考えているんです。何も聞いてないようで、意外と聞いている。何も見てないようで、ちゃんと見ている。何も傷ついてないようで、かなり繊細。そして、何も知らないようで、結構いろんなことに気づき、分かり始めている…。だからこそ大人達は、これからの教育についても、子ども達自身の意思や気持ちに、もっと耳を傾けてゆく必要があるのかもしれません。だって、学びながら成長してゆく物語の主人公は、ひとりひとりの、子ども自身なのですから…。☆2回に渡り、うちの凸凹長男のインタビューを掲載させていただき、ありがとうございました。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年05月15日Upload By 楽々かあさんこんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。まずはご報告。うちの「あの」長男が、無謀にも約一年間の自宅学習で中学受験に挑戦し、第一志望の中高一貫校に無事、合格しました!小学校時代、字を書くのが苦手で、ノートもロクに書けなかった長男。漢字は何回書いても覚えられないし、得意なハズの算数もミスばかり。折角やった宿題は提出し忘れ、持ち帰ったテストはくっちゃくちゃ!成績表はC評価の「がんばりましょう」ばっかり…。そんな発達凸凹男子の彼の強い希望が叶ったこと、そして、受験勉強をきっかけに「おれ、勉強好き〜」と、今は言えるようになったことが、私は何より嬉しいんです。今回、親子で一緒に歩んだ日々を振り返りながら、「みんなと同じ」学び方が合わない子や、発達凸凹の差が大きい子が「勉強が好きになる」勉強法…そして、しんどい時期の乗り切り方などを、息子にインタビューを敢行!前・後編の2回に分けて、彼自身の言葉で語ってもらいました(文責・インタビュアー:製造責任者・母)。好きなことを入口にした、ボクの勉強法出典 : かあちゃん(以下、母):まずは、第一志望合格おめでとうございます。長男・◯太郎(以下、長男):Thank you!母:(笑)じゃあ、まずは志望校に合格した、今の素直な気持ちは…?長男:1つは嬉しいという気持ち。もう一つは「勉強大丈夫かなぁ」という不安もある。母:なるほど、中学での勉強に対する不安もあるんだね。第一志望の学校、すごく気に入ってたけど、どういうところが良かったの?長男:教育に新しい方法を取り入れてるトコと、明るい感じがしたこと。あと、おれの好きなカレー屋さんが近くにあったから!母:…いや、確か校則で「買い食い禁止」だから、まっすぐ帰ってネ(汗)。でも、かあちゃんも、小規模校でチャレンジ精神を大事にする校風だし、全校でICT導入済みで、すごくキミの個性にピッタリだと思う。自分に合った学校への希望が叶って、本当に良かった。Upload By 楽々かあさん母:じゃあ、具体的に勉強のことを聞くよ。キミは受験勉強を始めたのが正直かなり遅かったけど、そこからすごくがんばれたし、勉強楽しそうになったよね。「勉強ができるようになった」「楽しくできるようになった」その理由は…?長男:…とにかく歴史が楽しかったから。歴史に興味を持てたのは、かあちゃんが買ってくれたPCゲーム「信長の野望」とかがきっかけで!母:(笑)ソレだね。キミは元々PCゲーム大好きだから、「信長の野望」にすぐハマったよね。自分の好きなことからまず入っていって、そこから他の勉強にも広がっていったね。長男:他の普通のゲームでも、例えば、おれが前から大好きな「マインクラフト」でも、世界遺産の歴史的な建造物を再現して作ったりすれば、それは立派な学習になる。母:なんでも工夫次第で活かせるよね。それに、自分の好きなことや興味のあることだと、結構集中できるかな?長男:うん!母:でも、これだけだとゲームで遊んでるだけになっちゃうでしょ?ただのゲーム好きな子が「もっといろんなことを知りたい」って思えるには何が必要?長男:やっぱり、最初のうちは、興味を持てそうなところからやって…興味の輪を広げる!母:「興味の輪を広げる!」いい表現だね、これ。長男:おれは、歴史で興味を持ったけど、これはあくまで一例だから。例えば、算数の分数が好きな子もいれば、理科の元素記号とかが好きな子もいる。だから、まず自分の好きなことからやる!それで、自分の形に合うものからはめていく。母:ほうほう、ちょっとイメージを図に書いてくれる?Upload By 楽々かあさん長男:それぞれの子でいろんな形と穴があって、自分の持っているピースもそれぞれ違うから。だから、自分の好きなものから、ドンドン順番にはめていって、そして最後に、最初はあんまり興味持てなかったことも、埋めていくっていうか…。母:好きなものが広がると、興味も広がっていくよね。キミの場合は「信長の野望」が入り口で、そこから歴史全体が好きになって…長男:そう、戦国時代から…次が同じ武士つながりで、室町・鎌倉・幕末と明治維新とか、プラス江戸時代とかって感じで、次に日本の地理とか…。最初は1コだった「勉強の拠点」が、どんどん広がっていって…。母:なるほど!「信長の野望」と同じで、自分の拠点が増えて領土が広がっていくんだね。まずは歴史を一国制覇したら、地理でも「信濃川」「越後平野」とか、旧国名に因んだ地名は自然と覚えちゃうし、戦国モノは漢字もいっぱい出てくるもんね。長男:そう、漢字も見慣れる。社会を制覇したら、他のところにも勢力を広げる。母:興味が持てれば、勉強は全然苦にならない?長男:うん。母:でも、やっぱり問題集解いたり、「墾田永年私財法」とか覚えることも必要でしょ?(笑)それも嫌じゃない?長男:うん!興味持てれば!「マインクラフト」公式サイト「信長の野望」30周年記念サイト:GAMECITY(コーエーテクモゲームス)Upload By 楽々かあさん母:あとは「体験する」っていうのが、大事だよね。長男:そう!実際に見て、やってみる!まずは、地元の城とか、近所の郷土資料館とかでもいい。それで、実際に体験したら、思ったことをまとめる。ただ見ただけだと「楽しかった〜」で終わっちゃって、ただの観光になっちゃう。母:じゃあ、更にそれを勉強に活かすにはどうしたらいいの?長男:家族に「こういうところが面白かったんだよ」って話す!これだったら家族も、お土産より喜ぶ。母:人に話すって凄く大事だね、アウトプットするの。長男:そう、ノートに絵を入れて描いたり、家族に話して、外側に自分の考えをまとめる。母:実際に甲冑着てみると「もし戦場に出たら、こんな凄い重いのを着て、素早く動けないな」みたいなことも分かったよね。長男:映画だと、普通に歩けているように見えるけれど、あれはプロだから。それか、軽い素材でできてるのかも。実際の戦国時代で身軽に動けてるのは、相当鍛えてるからだと思う。だから、「実際どうなのか」自分で確かめる。火縄銃の実演見学も、空砲でもあんなにすごい音がしたらねえ…実際の戦場では火薬バンバンつめてさ、もっともっとスッゲー音がすると思う!!(瞳キラキラ)Upload By 楽々かあさん母:ああいう音は、体験しないとわからないね。長男:「どんくらい凄い音なのか」とか、まず行く前に予想立てる。母:おお、いいね。長男:城の天守閣からの景色はどんなか…「めちゃめちゃキレイだろう」みたいな予想。火縄銃の音は「スピーカー音30くらいかな」とか。で、実際見た後で、やっぱり「景色高くて怖かった」とか「スピーカー音50位だった」とか。あと本の図では、城のお堀があんまり深くなさそうだったけど、実際は予想以上にめちゃくちゃ深かったとか。実際に感じたことをまとめるといい。母:感覚が敏感なキミは肌で感じ取るのが得意だろうし、更にそれを人に話すのは、すごく◯太郎に合った勉強法だと思う。自分で体験してみないと分からないことは沢山あるよね。それからキミの場合、実際体験したことは、テストでも結構覚えてられるんじゃない?長男:そう結構覚えてる。本だけだと受験用の勉強はなおさら難しい。YouTubeとかの面白動画だったら、覚えるのはカンタンだけど。母:(笑)。やっぱり「楽しい」と思えるかどうかが大事かな?理科の実験もいろいろやってみたけど、家ですべての実験ができるわけじゃないよネ。長男:例えば爆発の実験とか、危険なのは動画で見る。でも、スチールウール燃やす程度だったら、ウチでスグできる。母:そうだね。スチールウール燃えるの、キレイだったね。あとは、YouTubeで塾の先生とかが、面白く分かりやすい解説動画を沢山UPしてたよね。そういうのも含めて「ひたすら問題集を解く」じゃなくて、自分に合った方法で勉強したのがすごく良かったなと思う。長男:結局、勉強の中で一番大事なのは、「興味の輪」を広げられるか、広げられないか、だとおれは思う。受験勉強中に本当につらかったのは、過去の記憶。出典 : 母:じゃあ逆に、この一年間で一番つらかったことを聞いてもいい?長男:……学校。母:うーん、やっぱりそうかあ。学校の何がつらかったかな?長男:もう、ずーっと前に、他の子に言われたヤなこととか…。母:そうだね。何年も昔のことを、ちょっとしたキッカケで何度も思い出しちゃうんだよね…。かあちゃんも、見ててつらかったけど、勉強してる最中に急にイヤな体験を、よく思い出してたよね…。長男:イヤな体験は「忘れようとしても忘れられない」みたいな、そういうのがある。母:そうだね。特に、受験勉強を始めて最初の三か月くらいは、ヤなことしょっちゅう思い出して、一旦ストップしたり…◯太郎にはつらい時期だったと思う。やっぱり、勉強に興味が持てても、いろいろ気になる事があると、余計に集中力が落ちたり、ミスが増えたり、ぼーっとするのが増えちゃうように思うんだよね。長男:うん…。出典 : 母:でも、多分◯太郎と同じように、学校でイヤなことがあって、勉強に集中できなかったり、「学校行きたくないなあ…」なんて思ってる子は結構いると思うんだけどネ。かあちゃんはネガティブなことも、決して思っちゃダメなワケじゃなくて「そういう時どうしたらいいか」が大事だと思う。キミはどうしてきたっけ?長男:うーん。おれは「スクールカウンセラーの先生に話す」とかした。母:そうだね。スクールカウンセラーの先生と、何度も相談させてもらったよね。長男:思い切って話した。母:そうすると、少しスッキリしたりする?長男:する。母:じゃあ、カウンセラーの先生は、どんなカンジで話を聴いてくれたのかな?長男:フレンドリーに話してくれた。あと、相談しながら一緒に給食食べてくれたし。だから、相談するのは「ちょっと恥ずかしい」とか、「初めてだから、よく分かんない」って利用しない子は多いかもしれないけど、友だちだと思って一回やってみるといいと思う。それでも不安な時は、親にも一緒について行ってもらうとか。母:慣れるまでの最初の何回かは、かあちゃん隣にいたもんね。それだと安心して相談できたかな?家の中だけじゃなくて、学校にも味方がいたのは、キミに取って大きいことだったかな、と思う。長男:そう、そう。一緒に勉強してくれた母と、いつも通りにしてくれた家族。出典 : 母:では、キミが勉強してる時、家族や周りの人が「してくれてよかった、助かったこと」ってある?長男:まず、かあちゃん。ずっと一緒に毎日勉強につき合ってくれてありがとう。母:そっか(照)。一緒にやったこと自体が、よかったんだね。長男:それから、弟と妹ととうちゃん。一緒にゲームしたり、フツーに息抜きしてくれて、今まで通りに接してくれたこと…うん。そしてMy dog は癒し。ぺろぺろしてね、おやつをねだってきてね、カワイイ。母:そうか。他の家族はいつも通りだったのが、かえって気が楽だったかな?長男:うん!それから勉強も、休憩を挟んで、朝・昼・夜に分けて、ちょこちょこやるのがいいと思う。母:まぁ無理しすぎないと言うか…集中できる時間も個人差あるもんね。キミはあんまり、毎日何時間も続けて勉強だと、ちょっと負担が大き過ぎるから「それはやめよう」って思ってた。成長期にしっかり睡眠を取るのも大事だしね。長男:それに、遊ぶのも大切なことだから。おやつ食べたりさ。そういう時間を作る方が、より集中しやすいと思う。母:うん、そうだね。じゃあ一旦、おやつタイムにしよう!(笑)その子に合った学び方なら、できる子は沢山いる…!出典 : この一年間での、自分の学び方に合わせた主体的な勉強は、多感な少年の心も成長させてくれました。そして、例え今、お子さんの学校の成績がイマイチでも、それはその子の本当の「学力」を表しているのではないと思います。「自分に合った学び方なら、勉強ができる子は沢山いる!」…私はそう、心から確信しています。☆次回「後編」では、長男が生意気にも、現在の日本の教育制度について思うことを正直に語ります。お楽しみに〜!大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年04月29日我が子の取扱説明書「サポートブック」Upload By 楽々かあさんこんにちは。楽々かあさんこと、大場美鈴です。うちでは、通常学級・支援級の担任の先生に、発達障害のある長男のことを詳しく知って頂き、集団生活の中でのパニックやトラブルを事前に予防したり、困ったときの伝え方のコツを伝えるために、「サポートブック」を作って渡してきました。「サポートブック」とは、いわば「我が子の取り扱い説明書」のようなもの、と思って頂けたらと思います。(※今回ご紹介するのは、私の自作の「楽々式サポートブック」のフォーマットが前提ですが、支援機関や行政機関等でも配布されています。ご家庭のニーズに合ったフォーマットのものをご使用になるといいでしょう)それを毎年の担任の先生に渡しながら、試行錯誤で学校と連携し、小学校時代をなんとか乗り切ってきました。ただし率直に言うと、「発達障害」という言葉がようやく広まったばかりの現在の日本では、残念ながら、まだまだ「レッテル貼り」と背中合わせの面があるようにも感じられます。それでも、発達障害のある子の困り感やその具体的な対応は、こちらから言わなければ伝わらないこと・気づかれないことは沢山あるように思います。特にうちの長男は、知的・言葉の発達面で大きな心配がなく、一見「フツーの子」と見分けがつきにくいタイプのため、通常学級の中で「障害」として伝えるメリット・デメリットの間で悩みながら、迷いながら、私も歩んできました。それでも、長男にとって環境との段差の大きい時期は、学校で注意や叱責を受け続けたり、友だち関係でつらい思いをしたり、授業中を無為にぼーっと過ごし続けるよりは、キチンと「形にして」対応を伝え、サポートをお願いしたほうが良いと判断したのです。その伝達手段の一つが「サポートブック」でした。では、その具体的な内容を、うちの実物の写真とともに、著書『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』より転載し、【特別公開】致します。Upload By 楽々かあさん私たち親子の「サポートブック」の内容と渡し方のコツ学校とよりしっかり連携したい、毎年の担任の先生にノウハウを引き継いで欲しい、という場合「サポートブック」を作って渡してみるといいかもしれません。「サポートブック」は、支援者(担任の先生や支援機関のスタッフさんなど)に我が子をサポートしていただく場合に、具体的な対応や話のきっかけのヒントになる、子ども本人の情報をまとめたものです。私が作った「楽々式サポートブック」では、次のような内容を必要に応じて記入します(サポートブックの記入内容は配布機関等によって異なります)。Upload By 楽々かあさん①プロフィール: 名前、生年月日、家族構成、住所、緊急連絡先、かかりつけ医、相談先・支援機関②発達の特徴・特別な個性: 診断の有無、診断名、投薬の有無、薬名、発達・知能検査の有無、言葉の心配の有無、知的な心配の有無、多動性・衝動性・不注意性の有無、学習の困りの有無、感覚の過敏性の有無、言語理解の特徴、その他発達上の心配③検査結果のまとめ: 検査の種類、実施機関、検査年月日と当時の年齢、IQ値、特に優れた項目、特に心配な項目、全体的なバランスや発達の特徴、主治医または臨床心理士等の意見・助言のまとめ(またはコピーを添付)④人間関係MAP: 家族、同居・別居の親族、本人が心を開いている友人、よく トラブルになる友達、頼れる先生や近所の人など、人的な援助資源の書き込みMAP⑤発達の凸凹~体質的な得手・不得手〜: 得意な行動・作業、苦手な行動・作業⑥いいところリスト: できること・がんばっていること⑦すごいところリスト: 特技・とても詳しいこと⑧好き・嫌い: 好きなこと・もの、嫌がること・もの、落ち着くこと・もの⑨パニック・問題行動記録: いつ、前の状況や要因、本人の行動、その時の対応⑩サポートの必要レベル: 生活面・学習面・社会面のサポートの必要性の程度⑪サポートテクニック集: 本人のつまずき、その困りの理由、サポート方法(家庭で実際に効果があり、学校でも対応可能なアイデアを、具体的な実例や声かけ例で書く。必要なら写真も添付)⑫引継ぎ時のサポートブック取り扱いの希望: 進級時等の引き継ぎの希望などUpload By 楽々かあさん検査結果などの実際の資料を添付したり、第三者にチェックしてもらえると、説得力があり、信頼性の高いものになります。そして、先生と子どものコミュニケーションのヒントとなるよう、少しでもできていること、がんばれていること、いいところ・長所や、特別な才能のあるところなど、ポジティブな情報は必ず入れます。子どもの心配な面については、「行動・困り」でみるようにします。「ワガママ」といった人格的な表現は避け、どんな具体的な行動が心配なのか、その背景にはどんな発達上の困りがあるのか、を書いていきます。お母さんの育児テクニック・うちの子ノウハウは、対応の「実例・具体案」として伝えます。声かけなどもできるだけ具体的な台詞を書き、写真も添付したりするといいと思います。Upload By 楽々かあさん進級等で担任の先生が変わっても支援のノウハウを活かして欲しい場合は、直接担任の先生個人に渡すのではなく、まず、特別支援コーディネーターやスクールカウンセラーなど、発達障害に理解の深い先生にアポイントをとって「サポートブックを作って渡したい」旨を相談し、内容をチェックして貰うといいと思います。担任の先生に渡す場合も、できれば管理・指導的立場の先生にご同席いただき、一緒に説明しながら手渡せるといいと思います。これは、継続的なサポートをお願いするのと同時に、担任の先生1人に過大な負担を強いることを避けるためでもあります。Upload By 楽々かあさん家庭での対応はあくまで「参考」ですので、学校の集団教育の中ではそのまま取り入れるのは難しい場合もあります。私は、あまり多くを期待し過ぎず、実際の状況に合わせて、先生自らの判断にお任せする気持ちで渡しています。「サポートブック」は、我が子をサポートして貰うことと同時に、支援者である先生もサポートするもの、という視点を持って作ると、学校と家庭がお互いにサポートし合う、良好な連携関係につながって行くと思います。(以上、『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』p.226-p.229より転載)本文出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p.226-p.229より「サポートブック」を先生に渡して、実際どうだったの…!?出典 : では、ここからは更に一歩踏み込んで、「ぶっちゃけ、どうだったの?」という実際の結果と、率直な私の意見です。先述の通り、うちでは、サポートブックを記入したら、まず内容を一度スクールカウンセラーの先生にもチェックして頂きました。私の親としての想いはどうしても強くなりがちなので、第三者の客観的な意見も伺えればベターです。そして、事前にアポイントを取って面談をお願いし、特別支援コーディネーターの先生同席の元、その年の担任の先生に渡しました。面談のタイミングは、新学年のクラスに早めに慣れるためには、1学期の早いうちがいいのですが、新しいクラスへの子どもの反応と、担任の先生の個性や教育方針などを見極めた上で、ご判断するのがいいかもしれません。ですから、最初の授業参観の後や、家庭訪問の時期などが良いのではないでしょうか。そして、実際に毎年渡してみての結果ですが…正直に言うと、先生によって受け止め方に差があり、子どもにとって、プラスにも、マイナスにもなる可能性があると言えると思います。うちの場合、1.快く受け取り、よく活用して、自分でも工夫を考えて下さった先生2.パラパラと目を通す感じで、参考程度にして下さった先生3.一切目を通さず、かえって「できない子」「面倒な親」として扱われてしまった先生…がいます。私は「お母さんがその子の最大の専門家」だと思っていますが、教育者として自信のある先生程、現実的には素人扱いされがちなお母さんの家庭でのノウハウは、すんなりとは受け容れにくいのかもしれません。但し、3.の先生の場合、私は後に、近隣の福祉系大学の発達相談室に、知能検査の結果や長男のテストやノートを持参して相談にゆきました。そこで、臨床心理士でもある大学の先生からご助言を頂き、それを自分で文書にまとめて「◯◯大学の◯◯先生が、こうおっしゃってました」と伝えると、急に動いて頂けました。例え、同じことを伝える場合でも「相手によっては、伝え方を変えたほうが良い」という教訓です。サポートブックに限らず、学校連携で「うまくいかないな」「なかなか分かってもらえないな」と思った時、無理にお母さん1人でなんとかしようとすると、ただでさえ大変な育児の上に、更に消耗してしまいます。また、子どもが先生と親の板挟みになってしまうのも避けたいところ。ここは、管理職の先生やスクールカウンセラーに間に入って頂いたり、医療・福祉教育の専門家や第三者の外部機関・支援団体、周りの人達(パパや同じクラスのお母さん達など)にも頼るなど、省エネしながら、上手に「別ルート」を考えましょう。出典 : もちろん、サポートブックが長男にとって良い結果につながることもありました。1.の先生は、元々工夫するのが好きなタイプ。サポートブックをヒントに、以前のコラムでご紹介した「ファイルに紐を一本つけて、プリントくちゃくちゃ対策」のアイデア等、ご自身でも柔軟にいろいろと考えて下さったようです。2.の先生は、真面目で根気強いタイプ。サポートブックの対応そのままではないけれど、「こういう子に伝わりやすい方法があるんだな」ということに気づいて下さり、ご自身でも発達障害に関する書籍を手に取ってみて、ご多忙の中勉強して下さったようです。ですから、うちの試行錯誤の経験上言える事は、集団教育の中では家庭とは状況も違い、担任の先生にも個性や教育方針があるので「ダメ元」で渡してみる。それで少しでも何かのきっかけになればラッキー!もし、うまく行かなければ、別のアプローチをしたり、家庭でフォローすればいい…くらいの気持ちでいるといいと思います。そして、子ども・周りのお子さん達の成長や関係性、授業内容、環境の変化などによって、困っていることが変わったり、できるようになったこともあるので、うちではサポートブックは毎年学年末に回収して、情報の見直し・更新をしました。また、グレーゾーンの次男の場合は、もう少し簡潔にまとめた、紙一枚の「サポートシート」をワープロ打ちの文書で作成し、それを元に面談で相談させて頂くと、話がスムーズに運びました。(詳しくは、文末「楽々かあさん公式HP」または、本書の続編「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」p.186-をご参照下さい)その上で、「成長に伴い、やや落ち着いてきた」「サポートや療育で、できることが増えた」など、比較的集団教育への適応が良くなってきた場合、「もう大丈夫」と思ったら「特別扱いが必要な子」というイメージを固定化させないためにも、サポートブックは返却して頂くのがいいと思います。そして、長男が6年生の時には、中学以降を見据えて、学校生活上で困った事があれば「自分で周りの人に相談できるように」練習したかったので、「サポートブックはナシ」で挑戦してみました(私自身は、長男の話や意思を聞きながら「誰になんて相談したらいいか」教え、裏で根回し…いえ、補助的にフォローしました)。大場美鈴/著「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」2017年/刊/ポプラ社どうか、子ども・親・先生に、社会全体でサポートを…出典 : 「子どもも頑張っている、親も頑張っている、先生も頑張っている…それなのに、なんでうまくいかないんだろう」「その子のために何かしてあげたい、という気持ちは同じなのに、なんで親と先生がスレ違ってしまうんだろう」…私は、そんなもどかしさを、今だにまだまだ存在する学校側の理解不足や対応の遅れに直面した、お母さん達からの切実な訴えのお声と、毎日お疲れ気味の現場の先生方の姿を目にする度に、痛切に感じます。「個人の努力」でできることには限界もあります。私は、「サポートブックが、子どもと親と先生をつなぐ架け橋になれれば…」と願っています。ですが、本来公教育があるべき姿は、サポートブックがなくても、どんな学校でもどんな先生でも、発達障害のある・なしに関わらず、どんな子でも安心してお任せできる状態だとも思っています。どうか、学校全体、地域全体、社会全体で、毎日本当に頑張っている子ども・親・先生を支えてあげて下さい。楽々かあさん公式HP「楽々式サポートブックの書きかた・渡しかた」大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』2016年/刊/ポプラ社
2018年03月20日支援の本質ってなんだろう?出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今日現在、「発達障害」などの言葉の認知度が上がり、通級指導教室や特別支援学級を希望する児童・生徒が急増し、学校現場がそれに追いつけない現状があると聞き及んでいます。そのため、支援級・通常学級の先生方への、発達障害に対する充分な理解と実践ノウハウの普及、教育現場への予算と人材の確保は、早急な対応が求められていると思います。また、2019年からは、教員の養成課程でも特別支援教育に関する単位を1単位以上取得することが義務となるなど、充分ではないながらも、制度上前進している部分もあります。しかし、これらは切実に必要なことですが、発達障害はあくまでその子の個性の「一部」であり、また、ASDとADHDとLDが複合している場合など、タイプ別のマニュアル対応だけでは難しいかもしれません。それから、通常級で「みんなと違う」特別扱いを気にする・されるなど、気持ちの問題もあります。そして、発達障害のある子だけへの対応では解決が難しい、いわゆる「フツーの子」達が抱える根深くて深刻な問題もあり、実際の教育現場の実情に合った経験則や実践知も必要なのです。その中で、うちではこれまで毎年学校の先生方と連携しながら、長男への配慮をお願いし、これまでの6年間を手探り状態で歩んできました。ただ、そんな長男が6年間で1度だけ、「支援要らず」だった学年があります。それは、A先生が担任だった、通常学級の2年生のとき。A先生の「通常運転」だけで、長男は1年間落ち着いて過ごせたのです。私も、特別な配慮をお願いしたり、面談の機会を作っていただくこともなく、連絡帳のやりとりも最小限で済み、安心してお任せすることができました。今、変わりつつある公教育を前に、私は時々、そんなA先生を思い出しては「支援の本質」について、考えさせられるのです。A先生が、毎日当たり前のように、どんな子にも自然に行っていたスゴ腕の職人技を、私はここでみなさんにお伝えしたいと思います。「A先生が怖くて学校行けない!」息子を前に先生が取った行動は…出典 : 年生に進級し、担任の先生と初顔合わせの始業式の日。長男が泣きながら帰るなり「A先生が怖い!おれ、もう学校行けない!」なんて言うので、「どんなヒドイ先生に当たったの!?」と、私は内心焦りました。実は、幼稚園児時代から小1まで、長男はずっと優しくて若い女性の担任ばかり。「先生=優しい女の人」という強い思い込みがあり、そこに人生初の男性の先生。しかもA先生は、超ベテランのご年配で、お坊さんのようによく通る声に、日焼けしてシワの刻み込まれた貫禄十分なお顔立ち。その第一印象にびっくり仰天した長男は、「いつもと違う見慣れぬモノ」に、パニックになってしまったのです。翌朝、子羊のように震えて「ムリ!怖い!」と座り込んで、玄関から一歩も動けず、欠席してしまった長男。私は学校に電話して、A先生に状況をそのまま正直に伝えました。すると、A先生は慌てる様子もなく「分かりました」と、短いやり取りだけで電話を切ったのです。この対応には私も少々不安になりました。ところが、その日の夜。玄関のチャイムが鳴るので出てみると、なんとA先生がにこやかに立っているのです。そして先生は「◯太郎君と、ちょっとだけお話させて下さい」と私に告げました。それから、長男と先生は玄関先で10分程度雑談をしました。この短時間の間でA先生は、長男の緊張と警戒心を魔法のように解いてくれたのです。長男の笑い声が聞こえて来た頃、A先生は「じゃあ、明日待ってるよ」と軽く長男の肩をポンと叩き、また親の私を責めるような様子もなく、「遅くにすみませんでした」と、ニコリと笑ってさっと帰っていきました。後から「A先生と何話してたの?」と聞くと、「うーん、別に。家で何するのが好きかとか、そんなこと。…あとね、A先生も子どもの頃、学校が怖くて、イヤだったんだって!」と、ちょっと嬉しそうに話す長男。A先生は、短い雑談の中で、長男の気持ちにしっかり寄り添って下さったのです。「学校に来なさい」と強制したり、長々とお説教することもなく、今の「学校が怖い、好きじゃない」という長男の気持ちを、否定せずにそのまま受け止めてくれました。それが、頑なだった長男の心の扉を、ほんの少し開いてくれたようでした。長男は「いやあ、A先生があんなに面白い人だったなんて…」と、見た目の印象だけで決めつけてしまったことを、少し恥じらっているようでした。翌日、長男は無事登校することができました。それからの1年間、支援要らずで、落ち着いて過ごすことができたその後すぐ、私はA先生に、長男には(当時の基準で)アスペルガー症候群の診断があることを伝えましたが、A先生は「そうですか。まあボチボチやっていきますワ」とだけ言うだけ。特に特別支援について詳しい様子もなく、最初のうちは正直不安でした。ところが私の不安をよそに、最終的には何事もなく1年間無事に終えることができたのです。ここで、長男に特に良かったと思われる、教師生活推定約35年・A先生の「スゴ技」を、私なりに分析しながら、紹介させて頂きますね(A先生の方法が全てのお子さんに合っている訳ではないでしょうが、ご一考の価値はあると思います)。出典 : あまりに当たり前のようで、見落としがちなことかもしれませんが、A先生は、・大きめの落ち着いた声で、分かりやすい言葉で、ゆっくりひとつひとつ話す…ことを、毎日ごく自然にしていました。たったこれだけで、「人の話を聞かない」などと注意されがちな長男も、ずっと聞き取りやすくなります。長男は、早口で高いトーンの声や、矢継ぎ早に次々指示を出されると、それだけで「聞こえなく」なってしまうのです。実は、その年の担任の先生の「声の聞き取りやすさ」次第で長男の成績も上下する程です。また、A先生は「声のトーンと表情の使い分け」も上手でした。長男は気持ちの切り替えや、人の表情から微妙な感情を正確に読み取ることが苦手なため、悪気はなくても、つい調子に乗ってハメを外してしまったり、夢中になると周りの状況に気づかずに、集団の中で目立つ行動を取って、何かと注意されがちに…。ところがA先生は、普段は目尻を下げて穏やかに接していましたが、長男が行き過ぎた行動を取ると、いかめしい表情と低く険しい声で、短い言葉でビシッと注意し、キッチリブレーキをかけるので、長男もハッと気づきやすいのです。また、クラスのどのお子さんにも、A先生はこのように接していたので、長男だけが何度も注意されて目立ってしまうこともありませんでした。出典 : 私が特に「神業だ!」と感動したA先生の行動は…・毎日、同じ時間・同じタイミングで行動する…ということ。A先生は、毎日キッカリ同じ時間に教室に入り、全く同じタイミングで子ども達から提出物と連絡帳を集めます。学校という場所は、感覚が敏感な子には、情報量が多過ぎて混沌としているように思えたり、「いつもと違うこと」が苦手な子は、毎日の天候の変化や様々な行事、クラスの子達の動きなど、予測できないことに不安や負担を感じやすいようです。そんな中、毎日同じことを同じ時間にする、A先生の安定した行動パターンは、長男に大きな安心感を与えてくれたようです。また、毎日同じタイミングで連絡帳を集めると、それが習慣として定着しやすく、うっかり忘れの多い長男でも、提出物を出し忘れることは、ほとんどありませんでした。また、A先生は感情も大変安定している方でした。少々元気のよい子どもたちをA先生が一喝する場面も見かけましたが、そこに先生自身の感情が巻き込まれることはありませんでした。子どもひとりひとりと先生が、日頃から信頼関係で結ばれているからこそ、時に厳しい態度でも、素直に受け容れられていたように思います。そして、子ども達が良くない行動をやめたら、何事もなかったように、いつもの「通常運転モード」に戻るのです。これらの安定した行動パターンは、実際にやってみると簡単にできることではなく、もはや「芸術」の域なのかもしれません。出典 : 先生は授業中、時折脱線しては、いろんな話を子ども達に披露して下さったようです。ユーモラスなA先生自身の経験談や身近な例え話は、なかなか教科書中心の授業では集中力が続かない長男も、興味を持ちやすかったようです。「A先生、釣りが好きなんだって。おれもやってみたい」なんて、言い出したこともありました。また、書字にやや困難さがあった長男が、大の苦手の漢字書き取りの宿題も、A先生は、いい意味でテキトーに、ぐるぐるっと大きなマルをつけるだけの大らかな添削で、細かなミスや字形の悪さには、片目をつぶってくれました。おかげで、一生懸命がんばっても字が上手に書けない長男にも、さほどプレッシャーにならず、毎日泣かずに宿題に取り組めるようになりました。そして、最初のうちは、A先生は長男を大きな声で注意せずにいてくれましたが、クラスに慣れてからは、長男だけを特別扱いすることはありませんでした。他のお子さん達と同じように、廊下を走れば「コラー!!」と、雷を落とされていたようです。でも、学年末の面談のときにA先生は「最近は、怒られてもケロリとしていて、また男の子達と校庭へ走っていっちゃうんですよ」なんて目を細めながら、どことなく嬉しそうに語って下さいました。このA先生のクラスでは、長男は「落ち着きのない問題児」ではなく、「ただの健全で元気な男の子」でいられたのです。出典 : そして、A先生は長男だけでなく、クラスのどんなお子さんにも同じように、大らかで肯定的な温かい目線で接していました。おかげで、どの子も素直にのびのびと過ごし、その年には集団から孤立しがちな長男にも、仲良しの友だちができたのです。実は、発達障害の診断のある・なしに関わらず、学校生活を送る上で障害となることがあれば、通常学級でも合理的配慮をお願いするのは、法的な根拠もあり、本来、堂々と主張して良いことなのです。ですが、現在日本では、発達障害への社会的な理解や支援体制が、まだまだ十分とまでは言えないようで、特に、通常学級の中で配慮をお願いすると、他のお子さん達から「◯◯君だけズルイ」などと思われてしまう場合もあるようです。いわゆる「フツーの子」であっても、子どもはみんな発達の途上にあることに、変わりないのでしょう。私は、障害のある子・方への配慮が当たり前の風景となる社会を望んでいますが、一方でそれぞれが必要とすることは違っても、どんな子も、大人から大事に特別に扱って欲しいと願う気持ちは、同じなのだと思います。支援の本質とは、ひとりひとりの個性や気持ちに寄り添い、信頼関係を築いて、子どもたち全てを肯定的な温かい目で、大らかに成長を見守ってあげること。本当の意味でのインクルーシブ教育とは、どんな子も特別で、どんな個性でも大事にしてあげること。…なんじゃないかな、なんて、A先生を思い出しては、私はいつも思うのです。変わりつつある教育の中で…出典 : そんなA先生は、長男のクラスを担任して下さった翌年、定年退職されました。今頃、毎日大好きな釣りを楽しまれていることでしょう。でも、ひょっとしたら、お父さんお母さんの懐かしい思い出の中にも、こんな先生に心当たりがあるかもしれませんね。こういった経験豊富な先生方は、それぞれ性格や教え方の違いはあっても、総じて大らかで、感情が安定している方が多いように思えます(勿論、ベテランだからといって、必ずしもうまくいく訳ではありませんし、お子さんとの相性もあるでしょう)。一方で、残念ながらこんな達人の先生方は、毎年、A先生のように、次々と定年退職されていく現実があります。日本の他の伝統産業と同じように、教育現場でも深刻な後継者不足・人手不足の問題が、今まさに現実になっているのを痛感する日々です。もちろん、若い先生の中にも、柔軟に新しい方法を取り入れて下さったり、発達障害について熱心に勉強して下さる方がいます。日本の教育は現在、過渡期にある特別支援教育だけでなく、いじめや不登校、親の経済力による教育格差、そして先生方の過剰な雑務や長時間労働の問題など、課題が山積みである以上、やはり大きく変わっていく必要があると私も思います。でも、そんな中で、日本の伝統的な教育制度の中で長く培われた、こんなに素晴らしい職人技と、どんな子も大らかに見守る温かい目線が、熱意溢れる若い世代の先生方にも、途絶えることなく受け継がれていくことを、私は切実に願ってやみません。
2018年02月24日