一流店の味を極めてきたシェフが出会った、築150年の都指定有形文化財の建物“東京もひとつの地方”。東京にもいい食材がたくさんあるこの場所で伝えていきたい“新たな東京の魅力”一流店の味を極めてきたシェフが出会った、築150年の都指定有形文化財の建物築150年の都指定有形文化財の建物の内部は、温かみを残しつつモダンに改装。シェフが目の前で料理を仕上げるカウンターテーブルは7席都心から車でも電車でも約1時間と、気軽に豊かな自然と澄んだ空気に触れることができる、東京・あきる野市。この地を新たなスタートの地として選んだのは、帝国ホテルのメインダイニング【レ セゾン】でのスーシェフを担うなど、一流店の味を極めてきた松尾直幹(マツオナオキ)さんです。1982年、東京都西多摩生まれ。料理専門学校卒業後、推薦状を手に「帝国ホテル」へ。メインダイニング【レ セゾン】でスーシェフを担うなど料理人として21年勤務したのち、2023年10月に自身がオーナーシェフを務める【L’Arbre(ラルブル)】を開業「僕はもともと隣のとなり町、西多摩の瑞穂町出身なんですが、あきる野市はもともと環境がよいため、有機農法で野菜をつくる農家さんが多くいました。その中でも農薬どころか有機物も使用しない育て方をされていた農家さんと出会い、僕も勉強してみたいという気持ちがあったので、【レ セゾン】時代の約9年前から自分で耕作を始め、近隣農家さんと一緒に畑を耕させてもらって約3年。今もここから約5分の場所で、30平方メートルほどの畑をお借りして、お店で使用する野菜などを育てさせてもらっています。その農家さんが、僕が西東京でお店をやりたいと思っていることを、周りの方に話してくださっていたおかげで、この建物のオーナーさんとのご縁に繋がりました」都指定有形文化財(建造物)である「小机家住宅」の建築面積は約90平米。当時は珍しかった洋風列柱廊や2階のバルコニーなどが配されている松尾さんが見た瞬間に「この場所でレストランを開きたい」と心を動かされたという建物は、都指定有形文化財(建造物)「小机(こづくえ)家住宅」。江戸時代に山林業で富を築いた小机家が、1875年(明治8年)頃に建てた木造2階建ての土蔵造りで、約150年前の建築とは思えぬ洋風の建築物に圧倒されます。「五日市の方たちでも、お店ができるまではこの建物自体をあまり知らない人がいたと思うんですが、改めて文化財である建物を認識していただいて、さらに食事を楽しみながら建物の内部を観ていただける機会にも繋がると思っています」カウンターで食事をとった後に、個室でゆっくりお茶を楽しむお客さまもいらっしゃるそう洋風の外観とはうってかわり、内部は伝統的な四間取りの形式を持ち、和風の意匠。メインのカウンターテーブル7席のほか、4名テーブルを据えた畳の個室が3部屋あり、臨機応変に個室を繋げることも可能です。“東京もひとつの地方”。東京にもいい食材がたくさんある帝国ホテルの【レ セゾン】時代、師匠であるフランス人シェフが、日本で過ごすうちに徐々に和の食材を取り入れていく姿を見て、その土地の風土とフランス料理を掛け合わせる大切さを学んできたという松尾さん。「とくに地方では“ローカル・ガストロノミー”という言葉がありますが、僕は“東京もひとつの地方”だと思っているんです。わざわざいろんな場所から食材を集めなくても、東京にもいい食材がたくさんある。東京をフィーチャーしているシェフはこれまであまりいなかったので、もともとこの地域に生まれてきた自分が、この場所で、これまで一緒に畑を耕してきた農家さんをはじめ、多くの生産者さんやその作物をもっと周知していければ、いろんなお客さまが来て、改めてこの地域が見直されるきっかけになるんじゃないかと考えました」【ラルブル】の料理はコースのみで、ランチが8品13,200円、ディナーが10品17,600円と、9品14,850円の2種類。お子さま用のメニューや、平日限定でメインの魚か肉を選べる9,900円のコースも実際に【ラルブル】では、松尾さんが自ら育てる野菜を含め、魚も肉もフルーツまで東京産の食材を使用。“東京ローカル・ガストロノミー”を体現しています。『八丈島 久保田さんの金目鯛とのらぼう菜』は、八丈島で獲れた青伊勢海老と車海老のアメリケーヌソースで。柚子と玉ねぎのチャツネもアクセントとして添えられます。直接、東京都八丈島の漁師・久保田さんから買い付けるという金目鯛は、調布の飛行場へ空輸されるため、新鮮な状態で仕入れが可能「八丈島は黒潮が入るのでマグロなどもおいしいですし、海が綺麗なので、金目鯛の味もクリアなんです。レモングラスと塩水で漬けて、水分を軽く飛ばして身を引き締めてから、オリーブオイルで皮目をパリッと焼き上げています」しっとりとジューシーな身は、肉に見紛うかのようなプリッとした食べ応えも魅力。付け合わせは、レモングラスとローリエの香りを付けたオリーブオイルでソテーしたのらぼう菜と、松尾さんが自然栽培農法で育てたじゃがいも「にしゆたか」。冷え込む地域だからこそ、野菜の甘みが増しておいしくなり、自然を色濃く反映した濃い黄色が印象的です。松尾さんが農家さんから借りている畑。またここ以外に、建物の敷地内でも野菜を育てています。「使用している野菜は比較的サイズが小さめですが、味はすごく濃いものが多いんです」「畑をやっている利点でもあるのですが、お店ではできるだけゴミを出さないようにしつつ、最低限出る生ゴミは堆肥化して、畑の肥料として使用し、そこで育った野菜がまた自分のお店へ戻ってくるように、まずは地域で無理のない循環を実現しています。お付き合いのある農家さんはほとんどが有機栽培なので、そもそもの食材にも農薬がなく、堆肥化することで土を汚す心配もありません」こちらは、松尾さんが育てた里芋と、西東京産の檜原舞茸を合わせた『檜原舞茸と、里芋団子』。薪も東京の「ナラの木」を使用して燻したという、檜原舞茸とアワビ茸からとった、香りまで味わい深いおだしで一度茹でてから焼きあげた里芋団子は、里芋を練った生地でさらに里芋を包んでおり、食感豊かな二層構造です。水分を十分に飛ばしてサクッとした歯ごたえに仕上げた檜原舞茸は、噛み締めることでジューシーな旨みも溢れ出す、こちらも新食感。仕上げにエシャロットの香りをまとわせ、数滴垂らしたウィスキーのウッディーな香りが、燻した舞茸の香りに良い添います。「元々、里芋団子は西東京のいろんな場所で食べられていたそうなんですが、食べる機会がなければどんどん文化として無くなっていってしまうので、食文化として繋いでいけるように、少しでもおいしく食べてもらえるように工夫しました」さらに肉料理には、これまで東京で「秋川牛」、「東京ビーフ」といった2つの黒毛和牛を生産してきた竹内孝司さん・孝英さん親子が、雌のA5ランクのものだけを選別した「東京和牛」を使用。東京和牛をじっくり火入れ。帝国ホテル時代、フレンチ以外に【鉄板焼 嘉門】でも3年間腕をふるい、肉の火入れにも職人としての矜持が光る「竹内さんの牧場では、牛の飲み水に湧き水を使用していたり、都内のワイナリーから出る搾りかすなどを飼料として与えたり、できる限りストレスなく自由に育てているので、肉の繊維が綺麗に入っているのが特徴です」。メインの『東京和牛とビーツ』は、しっかりとフレンチの粋を凝縮した赤ワインソースに、「青梅ファーム」のビーツと庭で穫れた銀杏を添えて。メインの「東京和牛」は、イチボかランプを使用することが多いそう。この日はイチボを、赤ワインソースでフランス料理のコースにはパンがつくように、通常“締め”のメニューは含まれませんが、【ラルブル】では、締めの『のしこみうどん』を提供。「こちらも奥多摩の郷土料理として、各家庭にレシピがあるものなのですが、基本は煮干しと椎茸でとっただしで葱など野菜とうどんを鉄鍋で煮込んだもの。うちでは少し異なりますが、チキンブイヨンと鰹節でとったスープで、のらぼう菜やブロッコリー、葱の青い部分を煮て、ミキサーでピューレ状にした汁と、ご近所の「久保島本舗」さんのやや細めの麺で軽やかに仕上げています」郷土料理へのオマージュを表現した『のしこみうどん』。山椒オイルと蕗のとうの緑がアクセント松尾さんが惚れ込んだという麺だけあり、柔らかな喉越しはどこまでも優しく、モダンな味わいながらどこかホッと和む味わいです。この場所で伝えていきたい“新たな東京の魅力”赤い「章姫(あきひめ)」から生まれた新たな品種が、ピンク色の「桃色あきひめ」デザートは、『五日市 中村さんの完熟イチゴとロゼシャンパーニュ』。パフェグラスを螺旋状に飾るイチゴは、五日市にあるイチゴ農家の中村さんが作る2種類のイチゴを使用。「一般的にスーパーのイチゴは9割くらい熟したものを農家さんが出荷していることが多いんですが、中村さんが作るイチゴは完熟なので、ヘタぎりぎりまで甘いんです」爽やかな甘みはもちろん、酸味が穏やかなのは、「桃色あきひめ」とそのルーツである「章姫」の特徴でもあるといいます。軽い口当たりのビスキュイ・ローズ・ド・ランスと、イチゴのコンポート、シャンパンのソルベに、2種類のイチゴが華を添える「“桃色あきひめ”は、中村さんが“あきひめ”の中から、1万株に1株くらい希少な確率で見つけたピンク色のイチゴを、毎年掛け合わせて継いでいくことで、徐々にここまで綺麗な淡いピンク色になっていったと聞きます。“白いイチゴ”って見た目が先行しがちですが、中村さんの“桃色あきひめ”はオリジナルで、すごくおいしいんです」こういった作り手のたゆまぬ努力や職人的な姿勢は、松尾さんが実際に訪ね、見聞きしたストーリー。古巣の帝国ホテルでの勤務時代から、休みがあれば生産者や農家さんを開拓し、“都内”といえど、その距離は小笠原諸島の漁師さんまで遠路はるばる足を運んでいるといいます。築150年の都指定有形文化財の建物で体験する、東京のローカル・ガストロノミー。地方にばかり目を向けがちだった昨今、新たな角度で東京を味わってみるのはいかがでしょうか。Restaurant L’Arbre【エリア】あきる野【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】15000円【ディナー平均予算】16000円【アクセス】武蔵五日市駅 徒歩10分自然派ワインを中心に、秋川で造られる少量生産の「雫酒」など日本酒も幅広く揃う。ペアリングは9,900円0
2024年02月28日トルコ料理はフランス料理や中華料理に並ぶ、世界三大料理のうちのひとつであることをご存知ですか? 日本ではケバブがよく知られていますが、ほかにもさまざまな食材を使った美味しい料理が数多くあります。そこで今回は、トルコ料理の特徴や歴史を解説するほか、おうちで作れるトルコ料理のレシピもご紹介。タジン鍋を活用するレシピも合わせてチェックしてみてくださいね!■トルコ料理の特徴や歴史を知ろう代表的なトルコ料理は、ケバブなどの肉料理です。イスラム教徒が多いので豚肉はほとんど使わず、主に羊肉・牛肉・鶏肉などを使います。地中海・エーゲ海・黒海に囲まれているため、ムール貝やサバなどの海産物も豊富。野菜もたっぷり使い、トマトやオリーブオイルでイタリア風に仕上げたり、香辛料やハーブでスパイシーな風味にしたりと、西洋と東洋の食文化が融合されているのが魅力です。これはトルコの歴史が影響しています。現在のトルコ人の祖先は中央アジアあたりの遊牧民で、羊やヤギなどの家畜を飼いながら、牧草地を求めて移動する生活を送っていました。これにより、食肉や乳(ミルク)を加工して保存する技術が早くから発展。ケバブなどの肉料理やヨーグルト・チーズといった乳製品を使った料理がたくさん作り出されたのです。そして、16世紀のオスマン帝国時代に宮廷料理が発展し、さまざまな地域から食材や調理法を取り入れ、多様なトルコ料理が誕生しました。ヨーロッパとアジアの中間に位置するトルコは、2つの地域を合わせた独自の文化を築き上げ、世界三大料理のひとつになったのです。■トルコ料理レシピ4選・トルコ風クミン肉団子トルコ風ハンバーグ「キョフテ」を再現。クミンパウダーを使ってスパイシーに仕上げ、さっぱりとしたヨーグルトをかけていただくのが本場流です。肉の美味しさが引き立ち、エキゾチックな味わいを楽しめます。・ジャジュク・トルコ風サラダ冷製スープのような見た目ですが、「ジャジュク」はトルコ料理ではサラダや前菜に分類されます。たっぷりのキュウリとヨーグルトで作り、爽やかな味わいが魅力です。こってりとした料理とよく合いますよ。・トルコ風肉ジャガサラダいつもの肉じゃがにキュウリやニンニクの効いたヨーグルトを加えて、トルコ風にアレンジ! 意外な組み合わせですが、さっぱりとコクのある味わいでサラダ感覚でいただける一品です。肉じゃがが余ったときのリメイクにも◎。・サンマサンドトルコ・イスタンブール名物「サバサンド」をサンマでアレンジしましょう。玉ネギやレタスなどを一緒にはさみ、レモンを絞るのがポイント。魚の臭みが和らぎ、シンプルで飽きのこない美味しさです。サンマの代わりにサバを使っても、もちろんOK!■タジン鍋を活用したレシピ3選トルコ料理もバラエティ豊かですが、地中海や中東、アフリカなどの料理に影響を受けた「モロッコ」にも、魅力的な煮込み料理「タジン」があります。そこで、アフリカ北部に位置するモロッコの伝統鍋「タジン鍋」を活用したレシピもあわせてご紹介。タジン鍋を持っていなくても厚手の鍋や蓋つきのフライパンで代用可能です。・モロッコ風レモンチキンふっくら蒸し上がった鶏肉に塩レモンの風味がアクセント。あっさりとしていますが、最低限の調味料で素材の旨味がしっかりと感じられます。野菜たっぷりで作っても◎ですよ。・モロッコ風チキンのタジン鶏肉とヒヨコ豆をトマト缶、塩レモン、スパイスで煮込む一品です。スパイスがない場合はカレー粉でもOK。レモンやトマトの酸味がまろやかになり、旨味たっぷりでパンにもご飯にもよく合います。・簡単ダイエット鍋ヘルシーで旨味あふれるメニューが作れるタジン鍋は、ダイエット中の食事作りにもってこい。お好みの野菜とスープの材料を入れたら、あとは放っておくだけです。つけダレでさっぱりと召し上がれ。トルコ料理は羊肉が多く使われていますが、それ以上に野菜が豊富で日本人好みのメニューも多いです。今回ご紹介したレシピはいずれも身近な材料で作れます。「いつもと違う料理が食べたい」「海外旅行気分を味わいたい」といったときは、ぜひトルコ料理を献立に加えてみてくださいね。
2024年02月22日玉ネギに似た「エシャロット」という野菜をご存じでしょうか。フランス料理ではソースや隠し味に使われる定番の食材であり、最近ではスーパーでの取り扱いも増えてきています。一方、似た名前で「エシャレット」という野菜もあり、混同されることが多いです。そこで今回は、エシャロットについて解説! エシャレットとの違いや、それぞれを美味しく食べられるレシピをご紹介します。ぜひ参考にしてください。【エシャロット】とは?エシャロットは玉ネギの一種で、ユリ科ネギ属の野菜です。国内で出回っているほとんどが輸入品で、日本ではあまりなじみがありませんが、フランス料理やイタリア料理ではよく使われています。見た目は細長くて小型。通常の玉ネギと同じように乾燥した茶色い皮に覆われていますが、皮を剥くと表面は薄紫色をしていて中身は白く、ひとつの塊ではなく2つ以上に分かれるのが特徴です。風味は玉ネギに似ていますが、ニンニクのような独特の香りがあり、ドレッシングやソースの材料としてよく使われています。ニンニクや玉ネギ同様、辛味成分のアリシンを豊富に含み、疲労回復の効果が期待できます。ほかにもビタミンB1・B2、ビタミンC、葉酸なども含んでおり、栄養価に優れているのもポイントです。【エシャロット】と【エシャレット】との違いエシャロットとよく似た名前で「エシャレット」という野菜がありますが、これはまったくの別物です。エシャレットは“若採りのらっきょう(根らっきょう)”のこと。見た目は白く、スーパーなどでは葉付きを束ねて売られています。一般的ならっきょうに比べるとくせが少なく、生のまま食べることが可能です。そもそも、なぜこのような似た名前がつけられたかというと、市場に出回りはじめた1950年代頃、若採りのらっきょうは「エシャロット」と呼ばれていました。しかし、徐々に西洋のエシャロットの流通量が増えるようになり、混同されるようになったので「エシャレット」と名前を変えたのです。【エシャロット】を使ったレシピ5選・牛フィレ肉のステーキステーキなどの肉料理には、フランスの王道ソース「ソース・ヴァン・ルージュ」がおすすめ! 赤ワインをベースにフォンドヴォーという出汁、刻んだエシャロットを加えます。エシャロットの甘みがポイントとなり、肉料理をワンランクUPしてくれますよ。・カキのフローレンス風グラタンカキを殻ごと使ってクリーミーなグラタンに。ホウレン草を合わせて焼き上げ、フローレンス風(フィレンツェ風)に仕上げます。ソースの隠し味にエシャロットを使うことでカキの旨味が引き立ち、奥深い味わいを楽しめます。・シャンパンに合うブイヤベース南仏の漁師町で生まれた煮込み料理、ブイヤベースを本格的に再現。エシャロット、ニンニク、セロリなどの香味野菜とタイム、サフランといったハーブを使って、魚介の旨味に香りを添えます。ワインやバゲットが進み、最後の一滴まで飲み干したくなりますよ。・鶏もも肉のプロヴァンス風煮込み鶏肉をトマト、オリーブ油、ニンニクでじっくり煮込んで、南仏のプロヴァンス風に。エシャロットやセロリといった香味野菜をたっぷり入れることで、トマトの酸味がまろやかになります。鶏肉はホロッと柔らかく、思わず笑顔になるほど美味です。・キノコのグラタンたっぷりのキノコの風味とエシャロットの香りが大人味のグラタンです。ホワイトソースはブランデーで芳醇な香りとコクをプラスし、より味わい深い仕上がりに。白ワインやシャンパンと相性の良い一品です。ご飯にかけたり、パンに添えたりしても◎。【エシャレット】を使ったレシピ3選こちらでは「エシャレット」="若採りのらっきょうを使ったレシピを紹介します。・豚肉とエシャレットのおかか炒めエシャレットは炒めると香りが和らぎ、甘みがUP! 豚肉やベーコンなどと相性が良く、塩コショウだけのシンプルな味付けがエシャレットの風味を引き立てます。シャキシャキとした歯応えが残るように、サッと炒める程度でOKです。・新ジャガとホタルイカの田楽みそエシャレットのシャキシャキ食感とピリッとした辛味を活かし、薬味としてネギの代わりに活用。葉の部分も一緒にみじん切りにして、トッピングしましょう。ホクホクのジャガイモと甘辛味の薬味みそが相性バッチリで、お酒がどんどん進みます。・赤ワインに合う生野菜とバーニャカウダエシャレットの風味をダイレクトに味わいたい方は、生でポリポリ食べるのがおすすめ。ピリッとする爽やかな辛味がアンチョビの効いたバーニャカウダソースとよく合います。ワインのおともに最高です。最近では、エシャロットもエシャレットもスーパーなどで見かけることが増えてきました。今回ご紹介したレシピを参考に、名前は似ているものの、まったく種類が異なる2つの野菜を食べ比べてみるのも良さそうですね。料理の幅がグンと広がりますよ。
2024年02月08日日本最大のフランス映画の祭典「横浜フランス映画祭 2024」よりメインビジュアルが到着した。1993年に始まり、横浜の文化イベントとして定着している横浜フランス映画祭。今期は3月20日(水・祝)から24日(日)までの5日間、春の横浜で開催される。今年もフランス人キャスト・監督が数多く来日してオープニングイベント並びに舞台挨拶(Q&A)を実施、また未来を担う学生に向けたマスタークラスや、日本の映画の作り手との橋渡しを担うサイドイベントを実施するなど、フランス映画と文化を存分に楽しめる一大イベントとなっている。ユニフランス代表のダニエラ・エルストナーは「フランス映画の多様性と豊かさ、活気あふれる表現、新しい一面を開花させたものを必ずお届けいたします」と映画祭開催について力強く宣言している。この度公開されたのは、フランスと日本にバックグラウンドを持つクリエイティブ・デュオMerch Studio.(マーチストゥディオ)による横浜みなとみらい21地区をイメージしたスタイリッシュなメインビジュアル。Merch Studio.は日本でも人気のパリ発祥ファッションブランド 「Carne Bollente(カルネボレンテ)」のデザインチームが最近活動を開始したデザイン事務所。デザインとファッション業界において合計10年の経験を誇り、「BEAMS JAPAN」、「UNDERCOVER」、「Agnes B.」など、名だたるブランドとのコラボレーションを成功に導いたクリエイティブ・デュオは、創設者兼クリエイティブ・ディレクターのテオドール・ファメリ(Theodore Famery)と、創設者兼マネージングディレクターの遠藤聖(Hijiri Endo)で構成され、若者を中心に多大な支持を得ている。2人は今回の取り組みについて「日仏のデュオとして、このプロジェクトに貢献できたことを光栄に思います」と語り、赤と青のコントラストが鮮やかな目を引くデザインについては、開催地である横浜みなとみらい21地区のシンボルである観覧車に、レッドカーペットに見立てた赤富士を組み合わせ、開催地のシンボルと映画の魅力をシームレスに融合させたデザインを目指したという。「私たちの目標は、みなさまをフランス映画の魅惑的な世界へと導くこと」と言い切るMerch Studio.は、日本の映画ファンに向けて、「ボンジュール・ヨコハマ!私たちが愛してやまない最も不思議な文化のひとつである『映画』を発見し、その世界にどっぷりと浸っていただけるよう、心からお祈りしています。私たちのデザインが少しでも皆様のフランス文化の楽しみのお役に立ち、忘れられない思い出作りに貢献できれば、こんなに嬉しいことはありません」と熱いメッセージを送った。映画祭会期中には、当デザインのグッズ(Tシャツ、トートバッグ等)が販売される予定。また、2月5日(月)には公式HPにて、作品ラインアップとチケット発売情報が掲載予定だ。「横浜フランス映画祭 2024」は3月20日(水・祝)~3月24日(日)、横浜みなとみらい21地区を中心に開催。(シネマカフェ編集部)
2024年01月24日和のテイストを随所に散りばめた心地よい空間染物に店名をあしらった暖簾が出迎えてくれます【TOUMIN】が店を構えるのは、西麻布の交差点から数分の場所でありながら、静かなエリアに建つビルの2階。扉を開けると、和の趣漂う大きな暖簾が目に飛び込んできます。こちらは、創業100年の染色を主体としたブランド「桐染(KIRISEN)」の平本友里氏による作品。優しく多彩な色で染められたデザインに、食事への期待が高まってきます。ちなみに、店名の「O」の文字をよく見ると、右下の部分に小さな丸がついているのですが、これは発酵して分裂する様子なのだとか。料理が完成する様子を楽しめる12席のカウンター店内に一歩入ると、贅沢な広さが印象的。カウンターとその上部のデザインには杉の木を使用し、グレーの塗料で仕上げることで、店内に統一感が生まれています。ゲスト側はカーペット、カウンター内の厨房はフローリングにしたことも、より寛いでいただきたいという井口氏の考えによるもの。料理はすべて目の前で仕上げられ、すべてカウンターの内側からゲストに提供されます。「ペアリングをご注文される方が多いので、料理とドリンクの提供のタイミングにも気を付けています」(井口氏)。壁に掛けられたアートは高橋功樹氏による作品折敷には箸が置かれ、グラスは木村硝子を使用店内に飾られた作品は、井口氏が惚れ込んだ日本ならではのものを厳選しています。壁に掛けられた大きな絵は高橋功樹氏によるもので、実際に高橋氏自身が来店して【TOUMIN】の空間に合うように製作したものです。店内の他の場所にも飾られていますのでご覧ください。野口悦士氏や池田優子氏、辻野剛氏など、使用する器も日本人作家によるものを好んでセレクトしています。「料理に使う食材同様、自分がよく知っている身近に感じられるような作品でゲストをもてなしたいと考えて選びました」と井口氏。シェフのもとで“冬眠”して旬を迎えた食材が鍵を握る爽やかな余韻の『兵庫県香住漁港 セイコ蟹 アスパラ菜の菜の花』月替わりのおまかせコース(17,600円 税込)は、発酵と野菜をテーマに全11品で構成されています。最初のすり流しに続く2皿目は『兵庫県香住漁港 セイコ蟹 アスパラ菜の菜の花』です。セイコ蟹と小田原のグリーンバスケットジャパンがつくるアスパラ菜の菜の花を主軸に多彩な要素が小さな器に詰まっています。蟹の内子は味噌と、外子は3週間発酵させたトマトと和え、身はシンプルにそのまま。野菜や発酵に精通した井口氏らしい根パセリのピューレや大葉のオイルがアクセントに。セイコ蟹というと日本料理で登場するイメージが強い食材ですが、しっかりとフランス料理の一皿に仕上がっています。カウンターで『エチュベ』の盛り付けを行う井口氏【TOUMIN】では、カウンター内に炭火の焼き台なども完備し、すべての調理を行っていますので、音や匂いが伝わってきます。そして、ゲストの目の前で盛り付けて料理を仕上げるプレゼンテーションもご馳走のひとつです。『エチュベ』の盛り付けの際は、まるでキャンバスに絵を描くようにソースや野菜を並べて完成します。ぜひシェフとの会話もお楽しみください。季節の移ろいを感じることができるスペシャリテ『エチュベ』メニューは月替わりですが、毎回登場するのがこちらの名刺代わりともいえる『エチュベ』です。20種類前後の野菜と6種類のソースを使い、目の前で鮮やかに盛り付けられる様子は圧巻。野菜は、焼く、蒸す、煮るなどそれぞれの野菜に適した様々な調理法で仕立てられています。ローストした米の泡などソースも個性豊か。こちらの皿と同じタイミングでパンが提供されるので、ソースをつけて余すことなくいただけます。口に運ぶごとにそれぞれの野菜のインパクトある風味が感じられ、身体がパワーチャージしている感覚に。野菜は、神奈川県小田原のグリーンバスケットジャパン、山梨県の53FARM、東京都青梅のOme Farmなど各地の15軒ほどの農家から取り寄せています。火入れが秀逸な『兵庫県柴山港 九絵 発酵みかん インカのめざめ』『兵庫県柴山港 九絵 発酵みかん インカのめざめ』は、コースの中盤に登場する魚料理。神経締めにして1週間ほど熟成させた九絵は、優しい甘みを感じる米麹のパウダーをまとわせてムニエルに仕上げています。奥に添えた円形のものは、白味噌と共に発酵させたみかんの皮をバーナーで炙ったもの。発酵による上品な旨み、甘み、苦みが、上品な九絵の味わいに寄り添います。葱のソースや細切りにしたジャガイモとも引き立て合い、組み合わせのユニークさを楽しめる一皿です。食することの喜びを感じるレストランのもてなしカウンター内の棚にも“旬”を待つ食材の数々厨房のテーブルの下に並ぶ塩漬けなどの瓶【TOUMIN】の店内には、トマト、ビーツ、マロン、プラム、ハチミツなど、たくさんの瓶が置かれています。いずれも発酵や塩漬け、シロップ漬けなどによって、それぞれの食材がよりおいしさを増す時期を待つように“冬眠”しているのです。井口氏はこう語ります。「旬が短い食材を単に冷凍しても風味は時間と共に減っていきますが、その食材にあった発酵などをすることで、意味のある時間の経過とともに更なる食べ頃の“旬”を迎えることができます。発酵することでふくよかな味や香りが増しますが、重くなりすぎず軽やかな点も魅力です。例えば、春が旬のホワイトアスパラガスを発酵し、半年後に秋が旬の秋刀魚と組み合わせたり、夏が旬の岩牡蠣と冬の蕪を組み合わせたり。料理のバリエーションが広がります」。アルコールペアリングで提供されるワインの一例【TOUMIN】のオリジナリティ溢れる料理の数々と引き立て合うのがドリンクのペアリングです。アルコールは、国内外の自然な造り手のワインをメインに日本酒を組み込んだラインアップ。遊び心を感じるような1本も入れるようにしているのだとか。ノンアルコールは、店内に並ぶコンブチャや発酵シロップを使って、上質な日本茶や和紅茶を合わせて作っています。“冬眠”した食材は、料理だけでなくドリンクにも登場するのでお楽しみに。アルコールペアリング(11,000円 税込)、ノンアルコールペアリング(7,150円 税込)。【TOUMIN】のシェフを務める井口和哉氏は、1988年、兵庫県生まれ。専門学校時代に感銘を受けた【タテルヨシノ銀座】の門を叩き、料理の世界へ。井口氏は、【タテルヨシノ銀座】、【ル・コントワール・ド・ブノワ】、【ミッシェル・ブラストーヤジャポン】という名だたるフランス料理店で研鑽を積んだ後、【Bistaurant RNSQ】【REVIVE KITCHEN THREE AOYAMA】という個性あるレストランでシェフを務めた腕の持ち主です。幼い頃、飲食店がすぐ近くにないような自然に囲まれた場所で育ったことも現在の料理に大きく影響しているのではないかと感じさせてくれます。「私たちにとっては日々の仕事ですが、お客様にとっては一生に一度のご来店かもしれません。3時間の食事をできるだけ心地よくご堪能いただけることを大切にしています」。料理の美味しさだけでなく、おもてなしに感銘を受けて料理人を志したという井口氏らしい言葉です。TOUMIN【エリア】西麻布【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】35000円【アクセス】乃木坂駅 徒歩10分
2024年01月24日新店はゲストとの距離が近いカウンタースタイルサステナビリティを考慮した結果、味わいも深まる銀座でも好評だったスペシャリテの意味新店はゲストとの距離が近いカウンタースタイル銀座4丁目の【ラルジャン】といえば、2020年12月にオープンし、「ミシュランガイド東京2022」から2年連続で一つ星を獲得したフレンチだ。元の立地は銀座4丁目交差点、日産のショールームが入るビルの7階。「和光」の時計塔が目の前にそびえたつ環境も話題を呼んでいた。時間があればシェフ仲間たちと視察旅行へ行くという加藤さんシェフの加藤順一さんは静岡県掛川市出身の41歳。実は学生時代の夢はお菓子屋さんだったが、「特に知識がないまま決めつけるのもなと、辻調(辻調理師専門学校)の全部をバランスよく学べる科に入ったんですけど、フランス料理に触れる機会が多くて気づいたら」と、その道を邁進していく。同校のフランス校を卒業後、和歌山の【オテル・ド・ヨシノ】やパリの三つ星【アストランス】で腕を磨き、2012年からはコペンハーゲンの【AOC】と【Marchal】で計2年ニュー・ノルディックを吸収。帰国後は御成門の【スブリム】のシェフに就任し、そこでもすぐにミシュラン一つ星を獲っていた。【ラルジャン】は銀座で確固たる人気を誇っていたが、物件の契約が終わったため移転。縁があって、虎ノ門駅から徒歩2分の「東京倶楽部ビルディング」の2階が新天地となる。「虎ノ門・霞ヶ関は、もともと飲食は少なかったけれど、ヒルズもできていま伸びているエリアなので、未来を見据えこちらに」と、ビジネス街のど真ん中にラグジュアリーなレストランを作った。火を使う料理は中の厨房で、それ意外は基本カウンター内で行う一度スケルトンにしてゼロから内装をデザイン。前店との大きな違いは、厨房を囲むL字型カウンターをメインとし、シェフの姿が見えること。「お客さんの近くでサービスできる店にしたかった」と、その形態へ変えた。シルバーを基調にした世界観は変わらず、鉱物を多くとり入れたデザインとなっている。カウンター頭上のライトは石を切ったシートを貼ったもので、その紋様を通した明かりが艶やかに灯る。また、大きな窓が並びその向こうに木々が見えるので、春以降は緑が気持ちよい。店の奥には個室を用意。4名までの個室だが広々とした空間で大きな窓もあるので解放感があるサステナビリティを考慮した結果、味わいも深まる料理は以前通り、旬の食材をフレンチと北欧のエッセンスで昇華させ、故郷・静岡の食材を東京に発信することにも力を入れている。そんなスタイルを保ちつつ、「より環境に配慮した料理にしたい」とも話す。「環境保護や資源保護もそうですし、関わっているすべての人が継続して商売をやれるように、自分にできることを考えています。例えば “はつ恋ぐりん”というデザートでは形がいびつで売り物にならない青りんごも使っています。見た目が悪くても味は変わりません。生産者のみなさんもジュースにしたり工夫されているけど、人手が足りないから半分以上は廃棄になってしまうそうで、そういうものをなんとか商品化できればと思っています」『高原コーチンのポトフ』では野菜の端材をガラと一緒に炊いてコンソメにするなど、食材を使いきることも意識。結果、野菜の甘みや滋味が出て、スープの味が深くなっている。根セロリの香りを生かすため、だし汁には穏やかなマグロ節を使用した『根セロリの藁焼き』『根セロリの藁焼き』も、余った根セロリをマカロンに流用するなど無駄がない。元は藁で包んだ丸ごとの根セロリをオーブンで5時間焼き、一番だしとサワークリームと合わせた一品。アイデアはデンマーク時代に遡る。枝に刺された根セロリの藁焼き。手を使って頬張るアクションも楽しい「デンマークでホームステイしていたのが暖炉のある家庭で、大きいダッチオーブンに洗っただけの野菜を切りもせずぎゅっと詰めて暖炉に入れていたんですよ。デンマークはドイツと隣接しているので食文化が似ていて、根菜と豚肉をよく食べる。ソーセージや豚の耳、ジャガイモ、ビーツ、根セロリ、にんじんを詰め、鍋の隙間に藁を入れて蓋をして、暖炉に入れていたんです。取り出して開けると、藁の凄くいい香りがして、特に根セロリと相性がよかったので、根セロリにフォーカスした料理を作ろうと思いました」最後、枝に刺して藁で炙るのは香りづけでもあるが、現地で原始的な鍋だったので食べた方もワイルドにしたとか。「デンマークではボルシチみたいな料理もよく出てきて、そういう時はバケツサイズのサワークリームが食卓にボンとあって、スプーンが刺さっていて好きなだけとる」なんて思い出も合わせ、サワークリームと一番だしのソースにディップして食べる。土や藁の香りを感じる根セロリは冬の森を連想させるが、それを東京のど真ん中のオフィス街で食べられるというのが面白い。銀座でも好評だったスペシャリテの意味加藤さんの料理は個人のストーリーが元になっていることが多いが、「フォアグラのテリーヌ 掛川茶仕立て」が最たるもの。銀座時代から続くそのスペシャリテは、加藤さんの履歴が形になったようなものだ。掛川の煎茶を纏った『フォアグラのテリーヌ 掛川茶仕立て』「スペシャリテを探っていた時、自分のアイデンティティとは何かを自問自答していたんです。僕の実家があるのはお茶が有名な静岡県・掛川で、家族もお茶をつくっているので、まずお茶を使おうと決まり、次に自分が経験してきたフランス料理を代表する食材、フォアグラを選びました。そして北欧料理からビジュアルのヒントを得て、北欧ではハーブを多用するのでお茶をハーブと捉え考えていきました。お茶自体は水分なので、油の塊のフォアグラとは相性がよくない。でも試行錯誤するうちに、フォアグラトーションにたどり着いたんです。一晩お酒でマリネしたフォアグラを、チキンブイヨンで10分ぐらい茹でることで油が抜けて、そのまま冷やし固めるとお茶の水分とのバランスがとれました」「フォアグラと甘みを重ねる料理は多いけど、苦みとの組み合わせはあまりなく挑戦しました」と加藤さん。カットすると通常のテリーヌの形状となる調和を強めるために、ラタフィアワインのジュレとピスタチオを添える。「自分には料理人として何があるのか?」の最初の答えが故郷であり、世界でひとつの掛川茶のテリーヌが完成した。『5種のミニャルディーズ』。マカロン以外の4つにも静岡の特産品を使用「移転してお客さんと近くなったことで、なぜこの組み合わせなのか?をより考えるようになりました。質問されることも多くなり、どこかで見たやり方や業者さんに勧められた産地では説得力がない。“僕の料理はこの産地のこの人のじゃなきゃ成り立たない”というしっかりした理由のある料理を作っていきたいです」他のスタッフにもそのストーリーをシェアして、接客に生かしてもらう。食材や調理の誇示ではなくアイデンティティを優先することで、感情に響く食体験を実現させる。「いまは、もっと自由にやろうと思っています。フレンチは“こうしなきゃ”というのが強いですし、特に銀座では守った方がいいと感じていたけれど、例えばコースの順番にしても和食ではまったく変わるし国によってもバラバラ。頭を柔らかくものごとを考えて表現していきたいと思っています」舞台を変えるごとに進化していく加藤さんの料理は、虎ノ門でさらにステージを上げそうだ。L’ARGENT【エリア】霞ヶ関【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】15000円【ディナー平均予算】20000円【アクセス】虎ノ門駅 徒歩1分
2024年01月10日チーム一丸となってKEIイズムを具現化伝統と革新、そして日本の美学を融合優美な雰囲気のなか、美食と景色を堪能チーム一丸となってKEIイズムを具現化六本木ミッドタウン内、リッツカールトン東京の45階にあるフレンチダイニング【Azure 45】。外資系ホテルといえば、フランスのスターシェフを冠にするのが定石でしたが、今回、お店はパリに構えているものの、日本人の三つ星シェフを監修者に迎えたというのは画期的な出来事です。監修者となった小林圭氏は、2011年に【Restaurant KEI】を開いた翌年にミシュラン1つ星を獲得するなどオープン当初から世界的に注目される存在でした。そして2020年、ついに3つ星に輝いたというニュースは、フランス国内でアジア人シェフの初の快挙ということもあって大きな喜びを日本に届けてくれました。1977年生まれ。1998年に21歳で渡仏した小林圭氏は、ジル・グジョン、アラン・デュカスという現代の巨匠の元で研鑽を積み、2011年、パリで自身の店を開きましたオープンにあたって、「フランス料理の美食の文化とその歴史を作ってきた偉大な巨匠にインスパイアされ、伝統的なフランス料理を現代的に解釈して生み出す新しい世界観を日本のリッツで伝えられることを嬉しく思う」と小林氏は話していました。その想いを託されているのが実際に厨房で指揮を執る料理長の村島輝樹氏です。「ホテルのレストランは緊張する、特別な日に食事に行く、というような敷居の高さを払拭したいと思っています。また、スターシェフの店で選ばれるのでもなく、フランス料理を食べる機会が少なかった人たちにも、【Azure 45】の料理やサービスで満足していただきフランス料理に興味を持つきっかけになってくれたら嬉しいですね。そのためにチーム一丸となって努力することが私たちの務めだと小林シェフと話しています」と村島氏。「フランス料理は難しいものではなく、五感をフルに使って楽しめる感性を刺激するもの。そういったことを伝えていくのが私たちの使命」と熱く語る村島氏外資系高級ホテルのメインダイニングというと価格も相当にお高くなると思いきや、ディナーコースは税・サービス込みで19,800円から、ランチは14,800円のコースもあります。「雰囲気やサービスのクオリティはもちろん、眺望もこの通り素晴らしいでしょう?「えっ、お得じゃない?」と喜んでもらい、また足を運んでいただけるレストランにしていきたいですね。小林シェフからは、星の評価ではなく、何よりも来てくださるお客様がいい時間を過ごし、満足していただけるために何をすればよいかをスタッフ一人一人が考え、お客様にとって世界一のレストランにしていこうと言われています」。ハイグレードのワインをグラス3種9,800円からペアリングで楽しめる伝統と革新、そして日本の美学を融合し新しい世界観を伝える小林氏が村島氏を料理長に抜擢した理由は、技術の高さはもちろんですが、フランス料理の歴史、伝統にも深く理解があるということも大きかったそうです。「小林シェフと同様に1990年代から本場フランスで修業し、同じ時代を進んでいたこともあってクラシックもかなり勉強しながら、小林シェフはアラン・デュカス、私はジョエル・ロブションという革新的な現代の巨匠の元で仕事をしていました。そういった背景も相まって料理を考えるイメージに共通性が多く、阿吽の呼吸で分かり合うことができるようです」と村島氏。クラシックな技法も熟知し、リスペクトしながらも現代の嗜好に合わせて繊細さ、軽やかさを出せるように工夫を重ね、さらに日本の感性、美学なども融合していくというのが2人のスタイル「私のスペシャリテ、仔鳩のローストですが、低温調理をしたあとに0℃前後で数日寝かせて身質をしっとりさせ、繊細なテクスチャーに持っていくという手法が偶然にも小林シェフと同じだったんです。ただ、私は3日間寝かせていましたが、小林シェフに1週間寝かせるともっといいよ、とアドバイスを受けてより繊細さが増しました」(村島氏)コースのメインで出されるしっとりなめらかな食感の『ランド産仔鳩のロースト』しっとり優しい口当たりの小鳩にほどよく絡む内臓を使った濃度のあるサルミソース、そしてトッピングされたナッツ類、下に敷かれたいちじく、アンディーブ、レンコン、スパイスなどさまざまな要素の食感や風味がアクセントになり、コースのフィナーレとはいえ食べ疲れることもなくするすると喉を通っていきます。「小林シェフは「伝統と現代性、食感と風味の完璧なバランスを追求し続けよう」と常に私たちに話しています。そのKEIイズムを具現化する努力が日々この厨房で繰り広げられています」(村島氏)『マグロのカネロニ』(前菜)。「キャビアをよりおいしく食べてもらうことを追求した一品です」と村島氏。季節によってはマグロのかわりに海老を使うことも「マグロの上にキャビアをトッピングするだけではキャビアの良さが伝わりづらい」と考え、キャビアを包み込むねっとりとした食感に加えてマグロとも相性の良いアボカドを使って、マグロのタルタルのロール仕立てにした前菜。下に敷いてあるのはリンゴのスライス。この甘味と酸味も重要な要素です。キャビアの塩気はまろやかになり、旨みがアボカドに溶け込み優しい味わいに。アボカドという親しみのある食材も、キャビアと合わせると優美で華やかな印象に変身。この一皿も食感のバランスや風味のバランスが見事、と感心させられました。釣りが趣味だという村島氏は、魚の扱いも見事です。身の厚いクエは、表面が乾かないよう気を配りながら、何度もオーブンから出し入れしてゆっくりゆっくり蒸しながら火を入れ、最後に皮目をパリッと焼いて食感のバランスを整えています。仕上げに蛤と昆布のだしをかけていただく日本的な感性が光る一皿、『クエ 蛤のだしで』「クエは日本では鍋料理で親しまれています。なので、ソースで食べるよりも温かな液体に浸して口に入れた方が、クエらしさをよりおいしく味わっていただけるのではないかと。クエの可能性を追求した一皿です」と村島氏。鍋料理を彷彿させるだしや和を感じる食器を使うことで、日本人客には親しみやすさを、外国人には日本の精神を伝え、日本人シェフだからできる新しいフレンチの表現を体感させてくれています。食材の魅力や可能性を追求したコースの最後を締めくくるデザートも五感に響く印象的な味わいで食後の余韻を長引かせてくれます。『フランボワーズのヴァシュラン フランボワーズとバラのコンフィチュール』小林圭氏のスペシャリテとして人気のメレンゲのデザート「ヴァシュラン」を、ペストリーシェフの小堀真弓さんがフランボワーズのメレンゲで1枚1枚花びらをつくり、大輪のバラの花で表現。フランボワーズのソルベ、ココナッツムースの組み合わせで、ゴージャスですが味わいは繊細で軽やかです。コースを締めくくる『タルトショコラ』食事の最後でもすっきりと食べられる、口溶け滑らかな温かいチョコレートです。チョコレートは、ヴァローナ社のセミビター、フルーティな酸味のあるもの、持続性のある香りがあるもの3種をブレンド。枯れ葉をモチーフにした、季節感のあるパリパリのチュイルを崩しながら頂きます。優美な雰囲気のなか、美食と景色を堪能最先端のフレンチを堪能できるレストランとして生まれ変わった【Azure 45】。ホテル全体のコンセプトと同様に西洋と東洋が融合した極めてエレガントな設え、ムーディーな照明はもちろん、ホテルならではの丁寧で安定感のあるサービスなど、何拍子も揃って思い出深い時間を過ごすことができます。どのテーブルからも最高の眺望を眺められるレイアウトアジュールはフランス語で「青」の意味。天井が高く、広い窓の向こうに広がるのは空の色に因んだ店名なのです。その空の色、そして景色もランチタイムとディナータイムで大きく表情を変えます。ランチタイムは東京湾に続く街並みや、天気がいい日なら房総半島を望むことができます2名席はどの席も景色がよく見えるように、窓に向かってセッティングされています世界中の人々が訪れる東京のラグジュアリーホテルのメインダイニンで、日本人シェフが表現するフレンチというのは極めて画期的です。今後このような流れで日本のフレンチシェフの活躍の場が、世界的な視野を持って次世代へ継承されていくことこそ小林氏、村島氏の願いです。「伝統と現代性、食感と風味の完璧なバランスを追求」することを標榜している小林氏ですが、複雑になり過ぎず、わかりやすいおいしさであることも大切にしているそうです。コースが進むうちにそういったKEIイズムも理解できるようになり、食べ終わる頃にはファンになっていること間違いなしです。ホテルというちょっと贅沢な場所ですが、記念日だけでなく、季節ごとに訪れてみてはいかがでしょう?Azure 45【エリア】六本木【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】26000円【アクセス】六本木駅
2024年01月05日実は【トゥール・ダルジャン】には思い出があります。ここは40年近く前、私が初めて正統派といわれるフランス料理をいただいた店なのです。なけなしのフラン紙幣を握りしめ、緊張して出かけた記憶があります。いろんな記憶はすでに飛んでいるのですが、そのとき食べた鴨のオレンジソースの味だけは今も鮮明に覚えています。フランス料理のもつ奥行きの深さ、おいしさに、本当に感動したのでした。パリの【トゥール・ダルジャン】パリの新装【トゥール・ダルジャン】は、場所や外観こそ同じですが、内装がけっこう華やかになっていました。メインダイニングの6階に案内され、席から雨で少し霞んだセーヌを眺めます。料理の説明を受け、分厚いワインリストを見ます。ひとつひとつに重みがあります。ただ、初めて行ったときの緊張はもはやありませんでした。サービスをしてくれる人が自分の子どものような歳ですし、全体がスマート・カジュアルな雰囲気に包まれていて、とてもアットホームな感じのなかで食事をいただくことができました。メニューから定番の『四季のコース』をお願いし、ワインはグラスで合わせてもらうことにしました。前菜とポルチーニの料理をいただき、魚はホタテのホワイトソースでした。全体的に軽やかですが、しっかりとしたフランス料理らしい深みのある味わいに、なんだかほっとします。そしてメインにはもちろん鴨をいただくのですが、幼鴨はブルーベリーやビーツの赤いソースで彩られ、酸味がしっかり効いた今風のものでした。やはりおいしい。40年前に感じた衝撃ではなく、今回は「ここに帰ってきたんだ」といった懐かしさを感じました。噛みしめるたび、時の流れがじわじわ、ひしひしと迫ってくるようで、素晴らしい時間を過ごすことができました。東京の【トゥール・ダルジャン】も40周年に帰国すると、東京の【トゥール・ダルジャン】から記念ディナーの案内が来ていました。2024年に東京店は40周年を迎えるというのです。なんだかご縁を感じました。わずか2週間のうちに、パリと東京の両方の【トゥール・ダルジャン】で食事ができるなんて。エグゼクティヴシェフ、ルノー・オージエさんの就任10周年でもあるということで、フランスよりジャック・ボリーシェフを迎えて特別ディナーを開催するとのことでした。ボリーさんは東京の【ロオジエ】でも長く活躍された重鎮で、2人はともにM.O.F(フランス国家最優秀職人章)受賞者。大御所ボリーさんとその志を同じM.O.F.受賞者として継承するオージエさんの饗宴はとても貴重です。左より、オージエシェフ、ボラー総支配人、テライユ社長、ボリーシェフ。東京の【トゥール・ダルジャン】にて【トゥール・ダルジャン】は東京の「ホテルニューオータニ」にあり、入口からして重厚感のあるつくりです。クリスチャン・ボラー東京店総支配人の話に続き、パリ本社から駆け付けたというアンドレ・テライユ社長も日仏の長きにわたる信頼関係を誇らしげに語られていました。このテライユ社長の先代とニューオータニのオーナーが飛行機の中で出会い、意気投合して日本のお店ができたという話を以前聞いたことがありました。歴史とはいろんな縁のつながりですね。さて料理は、オージエさんとボリーさんの4ハンズで、交互に彼らの皿が出てきます。シャンパーニュをいただき、まずは『生ウニのフリヴォリテ』(ボリー)から。軽やかにして濃厚、カレー風味のスパイス感も潜みます。『オマール海老のカルパッチョ』(オージエ)はシンプルで美しい皿。オージエシェフは日本庭園が好きで、それが料理の盛り付けにも影響することが多いと聞いたことがあります。今回は秋らしく、庭に落ちる葉のイメージでしょうか。『アマダイのヴァプール』(ボリー)も名物のひとつですが、芳醇なキャビアの塩味とフェンネルソースの香りに包まれた贅沢な一皿。わかりやすくておいしいですね。アルザスのリースリングに合わせていただきます。次は『黄金に輝く黒トリュフと根セロリのスフレ、黒トリュフソースと芳醇な白ワインソースの饗宴』(オージエ)と題された、これも名物ですね。料理を壊すのがもったいなくなるほどの、実に美しく豪華な一皿です。伝統の底力を感じた夜サンテミリオンの赤に合わせるように、鴨料理が出てきます。『幼鴨のロースト、ヴィーニュの燻香、マスカットベイリーソース旬菜のマルムラードと巨峰のパレ』(オージエ)ぶどうの古木で燻してあってすごくいい香り。マスカットベイリーのほどよい甘酸っぱいソースがクラシックな感じで、パリのそれとはまた違う幼鴨を愉しむことができました。デセールは『ビスキュイフォンダン、ミルクのアイスクリーム』(ボリー)。これもクラシックで安定のおいしさ。2人のミニャルディーズでコーヒーをいただきました。ボリーさん、オージエさんも最後にテーブルにきてくれて、和気あいあいな雰囲気に包まれます。驚いたのはボリーさんは77歳になった今でも毎朝5キロ走っているのだとか。いろんな底力を感じました。オージエシェフ、ボリーシェフ長年の伝統を維持することは想像以上に大変なことだと思います。伝統を守りながら常に時代にあった新しい料理をつくりあげていくには、日々の研鑽は不可欠でしょう。2人の話を聞いていて本当にそう思いました。伝統を受け継ぐ大御所たちの横綱相撲を体験させていただいた贅沢な一夜でした。トゥールダルジャン 東京【エリア】永田町【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】35000円【アクセス】赤坂見附駅 徒歩3分
2023年12月19日恵比寿から洗足池へ移転オープンしたフレンチの名店素材ありきのフレンチを追求した、自然なおいしさで魅了自然なおいしさを大切にしたオーガニックワインが充実恵比寿から洗足池へ移転オープンしたフレンチの名店2023年に恵比寿から洗足池へ移転オープンしたフレンチの名店【月夕堂】。店名は「花朝月夕」にちなみ、月が輝く秋の夜長のような楽しい一時を届けるという思いを込められたそう。オーナーシェフの廣瀬さんが繰り出す自然で誠実なおいしさの料理はそのままに、輝く月を水面に映す洗足池近くという風雅な立地が加わり、さらなる魅力を披露しています。風雅な店名にふさわしいインテリアまた「ゲスト一人一人の楽しみ方に寄り添う料理とサービスを」との思いから、ゲスト、生産者を主役とし、自身は脇役に徹するシェフの奥ゆかしい人柄も、この店が人気を集める理由のひとつです。誰もが自然体でくつろげる雰囲気そして一度味わうとまた食べたくなるシェフの皿は、引き算の料理。雑味や不要な食感を除きつつ、食材を磨くような調理と加熱の技で、素材の香りと五味を巧みに表現。自然でありつつ重厚な旨みに驚くことでしょう。素材ありきのフレンチを追求した、自然なおいしさで魅了メニューの軸は少量多皿の『季節の味わいを楽しめるコース』2種。多彩な旬食材を多様な調理法で仕上げた10品前後が絶妙なタイミングで提供されます。ここでは3品をご紹介しましょう。『身元のはっきりした30種ほどの野菜 色々な味わいで』約30種の野菜をソテー、ロティ、エチュべなど10種ほどの調理法で別々に仕上げ、田園の詩情を感じる盛付けに。野菜それぞれの食感、甘みや旨みを楽しめる『A5熊本牛のローストと貝類のタルタル 抹茶と貝のブイヨン』多種多様な構成要素を一緒に味わうことで生まれる、ドラマティックな感動と重厚な旨みにひたれます。サプライズ感のある盛付けも魅力『季節のジビエ』各地の山野で猟師が捕獲するジビエは、繊細で自然な肉質が格別。熱源を使い分けてゆっくり火入れし、素材の頂点のおいしさをテーブルへ。白糠の蝦夷鹿、丹波篠山の猪、新潟の青首鴨などが季節に応じて登場自然なおいしさを大切にしたオーガニックワインが充実店の料理と好相性のナチュラルな味わいのワインが充実。ブルゴーニュやロワールなどのフランス産が中心となり、手摘みで収穫するなど小さな畑から手作業でつくられるオーガニックワインが豊富に揃っています。料理との相性も抜群なワインを多数取り揃える素材のおいしさを存分に引き出して重ねた、ドラマティックな味わい、サプライズ感のある盛付けで織りなすコース料理は、特別な日のディナーにもぴったり。洗足池近くにあり、ディナーの前後に周辺を散策するなど、プチトリップ気分を味わうのもオススメです。料理人プロフィール:廣瀬龍一さん1970年、東京都生まれ。【月夕堂】オーナーシェフ。東京下町の商店街で育ち、8歳の時、母親の入院をきっかけに料理を始める。友達の家が青果店や精肉店、鮮魚店を営んでおり、食材を選んで料理をつくり、味わって喜んでもらえる食の素晴らしさに惹かれる。高校卒業後、プロの道を歩み始め、フレンチを中心に多彩な料理ジャンルの腕を磨く。1997年、恵比寿で今の店を創業して独立。2023年に移転し、洗足池で店の新たな歴史を紡ぐ。月夕堂【エリア】池上/洗足池【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】12000円【アクセス】洗足池駅 徒歩1分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年12月12日スパイス使いが光る! 鼻腔をくすぐるフレンチのディナーコース香りをもっと気軽に楽しめる、ランチ限定のスパイスカレー!生まれ育った街に構えた、アットホームなカウンターフレンチスパイス使いが光る! 鼻腔をくすぐるフレンチのディナーコース赤羽と言えば、大衆居酒屋が軒を連ねる呑兵衛の聖地というイメージですが、賑わう駅前を抜ければ落ち着いたエリアが続きます。赤羽駅から徒歩8分ほど、そんな静かな一角にひょっこり現れるのが【odorat】。店名に掲げたフランス語は「嗅覚」を意味しています。そんな【odorat】を体感できるのが、さまざまな素材や技法を駆使して香りを立たせた料理。あるものは皿が運ばれるやふわりと広がり、あるものは口に入れると弾けるようなアクセントに……。惜しまれつつ幕を閉じた名店【パリの朝市】でフランス料理人としてのキャリアをスタートし、自店を構えるにあたり押上の【スパイスカフェ】の門を叩いたという永瀬さん。その経歴を存分に生かして、オーセンティックなフレンチをベースに、スパイスやハーブなどの香りが効いた新しい味わいをつくり出しています。『白子 ごぼう』。日本の季節を味わえる旬素材をふんだんに取り入れるのも魅力の一つタラの白子のムニエルは、焦がしバターの芳醇さがトロリと濃厚な白子をぐっと引き立てます。さらに、ごぼうをなめらかなソースと素揚げにして添えて、セリの葉と根をあしらい、香りや食感をプラス。少々ちりばめた角切りのフレッシュトマトとケッパーも心地よいアクセントになっています。一口ごとに重層的な味わいが感じられて、食べ進めるのが楽しい一皿です。野菜は「THE HASUNE FARM」の無農薬・有機栽培のものを使い、板橋区という近隣ゆえの鮮度の良さも魅力に。『オオモンハタのパイ包み』。正統派フレンチの一品は軽やかさを感じる味わいに仕上げにもベルガモットを削りかけて、フレッシュな香りが際立つ焼き上がりとともに漂う香りがたまらないパイ包み焼きは、クラシックなフランス料理の真骨頂。オオモンハタを帆立のムースとちぢみほうれん草、パイ生地で包んで芳ばしく焼いています。好相性のオランデースソースに、小田原産ベルガモットの果汁と皮を忍ばせたのは永瀬さんならでは。サクッと口当たりのよいパイの中から、オオモンハタのふっくらと上品な旨みが広がり、ベルガモットの香りが爽やかな余韻を残します。オオモンハタは、「魚種が豊富で、質がいい」と永瀬さんが絶大な信頼を置き、多くの魚介を仕入れている高知県「与力水産」から届いたもの。蝦夷鹿や天然きのこといった野山の恵みを堪能できるメインディッシュ蝦夷鹿には赤ワインとフォン・ド・ヴォーで仕立てたソースを添えた、王道のスタイル。と思いきや、ソースにはネパール山椒とも呼ばれる「ティムールペッパー」を加えるのが【odorat】流。噛み締めると、パワフルな旨みがあふれ出る蝦夷鹿。それをどっしりと受け止めるソースに、ティムールペッパーの風味が華やかなインパクトを与えています。添えられたきのこは、長野県大鹿村から届いた天然もの。永瀬さんと修業時代をともにして、現在は「旅舎右馬允」を営む知人が山に入って採取したもので、その香り高さは抜群です。ご紹介した料理はすべてディナーコースより。食材や構成が異なる6,500円と9,000円の2つのコースがあります。スパイス使いが光る! 鼻腔をくすぐるフレンチのディナーコース香り立つ料理をより楽しむために、永瀬さんが考えたのはランチメニューとワインのラインナップ。ランチタイムには噂を聞きつけたカレーマニアも足を運ぶというスパイスカレーが登場。料理を引き立てるワインはナチュールで揃えたのもこだわりの一つです。ランチタイム限定16食のスパイスカレー。1種盛りは1,300円、2種合いがけは1,600円ランチ限定のカレーは定番『カシューナッツチキンカレー』と月替わりの2種類があり、この日はキリッとした辛さの『海老とトマトのカレー』がお目見え。ディナーのフレンチには【スパイスカフェ】仕込みのスパイス使いを駆使しているのと逆に、ランチのカレーにはフランス料理のエッセンスを効かせているそうです。例えば、『カシューナッツチキンカレー』はココナッツミルクの代わりにカシューナッツをピューレにしてコク深く、『海老とトマトのカレー』は海老の殻をブランデーでソテーして旨みを際立たせるといった具合。「新しいカレーをどんどん試したくなってしまう」と言うほど、永瀬さんの頭の中は新しいレシピのアイデアがいっぱい! どんなカレーが味わえるか、訪れたときのお楽しみに。白と赤を各3種類、スパークリングワインをグラス(800円~)で用意しているワインは産地を限定せず、フランスはもちろん、南アフリカやニュージーランド、日本のものまで幅広く取り揃えています。ナチュールを中心にしたのは、天然のきのこや山菜、無農薬野菜、ジビエといった自然そのものの味わいを持つ素材をふんだんに使っている料理だから。ナチュール特有のクセが強いものよりも飲みやすさを考慮してセレクトし、グラス主体で用意しているので料理に合わせて気軽に楽しむことができます。生まれ育った街に構えた、アットホームなカウンターフレンチL字カウンターに対面したオープンキッチン。料理もサービスも永瀬さんが1人でこなすワンオペレーション住宅も多い街並みに溶け込むように建つ【odorat】。店名を刻んだプレートをさり気なく掛けた瀟洒なエントランスが目印です。ドアを開けると、全8席のカウンターがキッチンを囲む、すっきりシンプルな空間になっています。独立して店を構えるならばこの地に決めていた、という赤羽は永瀬さんが生まれ育った場所。出歩けば、子ども時代を知るご近所さんから声が掛かることがあるほどの地元なのです。本格的なフレンチに馴染みが薄い赤羽だからこそ、いきなりディナーのフルコースはハードルが高いだろうと、ランチタイムに設けたスパイスカレーは永瀬さんの発案。昼は近隣に務める人のリピーターが、夜は「こんなお店が欲しかった!」とゆったり食事を楽しむ地元住まいの方が増えているそうです。生まれも育ちも赤羽っ子。「身近に楽しめるフレンチレストランを」と地元で開業へ聞けば永瀬さんのお父さんは元フランス料理人。原宿でフレンチレストラン【ナガセ】を営んだ後、【odorat】のほど近くにある洋風居酒屋【おもてなし厨房 七ガ瀬】を切り盛りしているそうです。厨房に立つ父の姿を見て、幼少の頃から料理に親しんだ永瀬さん。その若きシェフが築いた新店に、【おもてなし厨房 七ガ瀬】で話を聞きつけた常連さんがやってくることもあるとか。フレンチなのにほっと寛げてしまう、そんなコージーな雰囲気はあふれるような地元愛があるからなんだ……と納得!もちろん地元の方だけでなく、誰でもウェルカムな温かさは下町らしさが残る赤羽ならでは。ちょっと足を延ばしてでも訪れたい、そんな一軒が誕生しました。odorat【エリア】赤羽【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】1500円【ディナー平均予算】8000円【アクセス】赤羽駅 徒歩10分
2023年12月05日気持ち高まる瀟洒な一軒家レストラン一つ一つの食材に向き合う少量多皿のコースナチュラルワインや日本酒でペアリング瀟洒な一軒家というシチュエーションも魅力渋谷駅から10分ほど歩いた松濤の住宅街にある【啓蟄】。外観からレストランとは想像できない隠れ家的シチュエーションに、初めて訪れた人はきっと少しドキドキしながら扉に続くステップを上がっていくことになるでしょう。煉瓦の塀と緑の植栽に囲まれた一軒家。階段横の表札に控えめに【啓蟄】と刻まれています店内は、グレーを基調にスタイリッシュにリノベーションされていますが、緊張感を強いられるような雰囲気ではないのでご安心を。カウンターに立つのはソムリエの平野彩子さん。楽しく和やかな時間を過ごせるよう明るいサービスと細やかな配慮で接客してくれます。カウンターダイニングの設え。厨房は左奥にあり、セミオープンスタイルになっています一つ一つの食材に向き合う少量多皿のコースフランスの2つ星レストランでスーシェフという要職で技術だけではなくアイデアを出し、その店ならではの個性を生み出す鍛錬を積んできたシェフの松本祐季さん。日本に帰国して日本のフランス料理店が世界から注目を集めることができていないことにジレンマを感じたそうです。「世界と比べても遜色ない高い技術を持っている料理人はたくさんいるのに、認められていない。つまり、技術だけでなく、もっと独自性を磨いて、自分の店でしか体験できないことを提供できるようにならなくてはいけないと思っています」「理想は、花などの飾りはもちろんソースも添えずに満足してもらえる一皿」と話す松本さんそんな思いを込めてつけたのが【啓蟄】という店名です。これは、1年を24分した暦で、冬籠りしていた生き物が這い出てくる季節のこと。「地面から新しい命が芽吹くように、この店を訪れてくれた方の中に新しい驚きが生まれるような体験を提供したいという気持ちでつけました」と松本さん。食材のみが書かれたメニューを開き、どんな料理なのかを想像しつつ待つ時間も楽しい「時代の流行にあらがうスタイルかもしれませんが、高級食材と呼ばれるものに頼りたくないですし、映えを狙うようなこともしていません」と話す松本さんは、ただただ食材一つ一つに向き合い、アイデアと技術で勝負。自然の中で偶然生まれた形や色も活かしながらまだ知られていない組み合わせ、調理法、食べ方などで食材の新たな魅力を引き出しています。小さな鶉卵やラディッシュ、あるいはトマトを主役にした前菜など「その食材を使う意味を深く掘り下げ、構成要素はできるだけ少なくして一つの食材にフォーカスしたいと思っています。そして、できるだけ多くの食材を今までにないユニークな食べ方で味わってほしい」という意図から、1コース15~20皿の少量多皿で楽しませてくれるのです。味わいだけでなく瓢箪のような曲線、オレンジの色合いなどバターナッツの個性を愛でつつ、表面はカリッ、中はねっとりのコントラストも楽しめる一皿さっぱりとした上品な甘みからポタージュにされることが多いバターナッツですが、松本さんはバターナッツのユニークな形や独特の食感に魅力を感じ、半割りにして細かく包丁を入れ、チョリソーを挟んでグリルしました。表面はカリッ、シャキッ、内側はホクッとした食感のコントラスト、コリアンダーの香りのソースが印象的です。派手な演出によるサプライズではありませんが、バターナッツの魅力を存分に理解できる食べ方に感心させられます。このように、ほとんどのお皿は1つか2つの食材にフォーカスして、自然の創り出す美しさ、豊かさをお皿の上で表現しているのです。さぞかし食材たちも喜んでいることでしょう。蕗のペーストを表面に塗った小さな鶉を蕗の葉で巻いてロースト。実山椒の香りをつけたフォンドボーソースで小さな鶉を使ったこの一皿は、淡白ながらも旨みのある鶉ならではの味わいを楽しめるよう考え抜かれたスペシャリテです。「フレンチはソースの味が強いので、時に素材感を失ってしまうこともあると感じていました。素材そのものの風味を味わってもらうためにソースの味を控え目にしつつ、でも満足感は感じてもらえるというのが僕の理想。蕗や実山椒など、日本で親しまれている個性的な香りの食材を調味料がわりに使えば、主役の食材を風味豊かに引き立てることができるという考えに至り完成した一皿なんです」と松本さん。味の構成はフレンチ、でもフランス人ではなく、日本人の松本さんだからこそできる一皿。これこそがイノベーティブなモダンフレンチと実感できます。食べればポップコーンの味! 気持ちもポップになるショートケーキデザートも意外性のある発想で楽しませてくれる松本さん。ポップコーンを粉砕したパウダーを小麦粉に混ぜて焼いたスポンジとポップコーンシロップを使ったクリームでショートケーキに。ゲストからの評判も高く、定番化しそうな一品です。同じようで一つ一つ反りや曲線の出かたが違う不均一な食器が揃う料理だけでなく、器にも「意図しながらも偶然生まれる微妙な変化や美しさ」を求める松本さん。「食事は手で触ることはないですが、触れることができる食器は触って何かを感じる質感のある作家さんのものを選んでいます。」固定観念に縛られない自由な器使いも松本さんのポリシーなのです。冷涼な地域のナチュラルワインや日本酒でペアリング松本さんの繊細な料理を引き立てるお酒を選んでいるソムリエの平野彩子さんは、山口県宇部市の予約困難レストラン【maison owl】の前身、【restaurant Noël 】に通っていた時に松本シェフと出会い、シェフの料理にお酒を合わせる仕事をしてみたいと上京したそうです。ソムリエの平野彩子さん。遊び心のあるお酒のセレクトに加え、明るく機転の効いたサービスも好評「食材の個性を生かすためにとても繊細な仕事を重ねた松本シェフの料理には、強い味のワインよりも冷涼な地域でつくられた透明感のあるワインや日本酒で合わせたいと、インポーターさんにも相談して品質の高いものを揃えています」と話す平野さん。ヨーロッパや北海道のナチュラルワインを中心にした、喉越しの美しいワインや、時に日本酒やカクテルも交えるなどゲストの好みも考慮しながら遊び心あるペアリングで楽しませてくれます。自然派ワイン好きに響く素晴らしい生産者のボトルが揃っています固定のメニューは持たず、その時々にとれる食材で今までにない感動を提供してくれる松本さんの料理。食材のさまざまな表情に出会え、そこに常に美酒が寄り添うペアリングも忘れがたく、願わくば足繁く通いたいと思ってしまう素敵なレストランです。ディナーは一斉スタートではないので都合の良い時間に予約できるのは嬉しい限り。また、「気軽に立ち寄れるようなレストランにできたらと、10月からは17時スタートの予約に限りショートコースも始めました」と松本さん。今後スタッフが充実すれば、バータイムにアラカルト、という展開も期待できるかもしれません。ジャズを中心にコージーな音楽が流れる落ち着きのある空間啓蟄【エリア】道玄坂/神泉【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】15000円【アクセス】渋谷駅 徒歩10分
2023年12月04日創作和食【日本料理DANK】鉄板焼【鉄板焼宝伝】フレンチ【étroit】日本料理【ます田】串揚【串揚専門店串兵衛】創作和食【日本料理DANK】料理のコンテストで受賞歴もある料理人による創作和食をコースで味わえる小鉢、お造り、焼き物、揚げ物、酢の物、煮物、ご飯もの、デザートが供される『ダンクコース』豊かな創作性のある日本料理で楽しませてくれる【日本料理DANK】。岡山県の特産品である黄ニラのオリジナル商品を手がけ、料理コンテストで優勝の実績もある名店です。地元の食材や魚介類を駆使する季節感あふれるメニューを、ぜひ御膳やコース料理で味わって。豊かなメニューのバリエーションに心躍る時間が過ごせます。高級感のある雰囲気の中、落ち着いて食事が楽しめますJR岡山駅から東へ15分歩くと、炭焼きの黒い壁が印象的な外観が現れます。店内は、料理人の包丁さばきを目の前で見られるカウンター席のほか、靴を脱いでくつろげる、掘りごたつ式の個室や半個室が用意されています。お酒は、岡山の地酒はもちろん全国から選りすぐった銘柄がずらり。美しい紅葉の余韻を感じながら、ゆったりとした時間を過ごせる一軒です。日本料理DANK【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】和食【ランチ平均予算】1980円【ディナー平均予算】4950円【アクセス】岡山駅 徒歩15分鉄板焼【鉄板焼宝伝】洞窟のような大人の隠れ家で繊細な火入れの鉄板焼が楽しめる写真の黄ニラなど、旬の野菜を牛肉で巻き絶妙な火入れで仕上げる『和牛サーロインうす焼 130g』【鉄板焼宝伝】で味わえるのは、厳選された国産食材を使った鉄板焼メニューの数々。鉄板焼一筋の料理人による『和牛サーロインうす焼』や『熟成和牛ハンバーグステーキ』など、素材に合わせた繊細な焼き加減で仕上げる料理が醍醐味です。鮮度の高い、旬の岡山産の野菜を盛り込んだ料理は表情が豊か。デザートが小さな洞穴のようなスペースに移動して楽しめるのも素敵です。センスあふれる空間で鉄板に向き合い料理が堪能できるシックな店構えの扉を開けると、まるで洞窟のような空間が広がります。むき出しのパイプを配した下がり天井で、まるで地底にある秘密基地のよう。非日常感あふれる、カウンター15席の店内で過ごすひとときに特別感を感じるはず。フランス産を中心にそろえたワインと上質な料理を、隠れ家のような雰囲気の中堪能してみては。鉄板焼宝伝【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】鉄板焼き【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】10000円【アクセス】岡山駅 徒歩10分フレンチ【étroit】伝統的なフレンチをベースに料理人の感性をプラスしたコースで魅了『フランス産仔鳩のロースト』などメインの肉料理は、クラシックな調理法をベースにこまやな遊び心を加える古き良き風情の漂う商店街に2023年にオープンした【e’troit】。地元で独立した料理人の池田さんは、東京やパリの名店で研鑽を積んだ腕前の持ち主。正統派フレンチを軸に、オリジナルのアレンジを加えた料理をコースで楽しめます。完全予約制の『季節のおまかせコース』で、地元産が中心の食材やフランス産ジビエなどを駆使した料理をじっくりと堪能して。ナチュラルな印象の空間に、アンティーク調の調度品が映えるまるでフランスの街角に佇む小さなレストランのよう。木の風合いに憩える空間には、アンティーク調の小物が飾られていて居心地も抜群です。センスの映える料理を盛り付ける器は作家モノが中心。岡山の備前焼をはじめ、古代の器・須恵器を現代作家が復活した器や沖縄の陶器・やちむんもそろい、独創的な料理の魅力を演出してくれます。幸福感に浸れるコース料理で至福のひとときを。étroit【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】5500円【ディナー平均予算】10000円【アクセス】岡山駅 徒歩3分日本料理【ます田】岡山のブランド牛が味わえる懐石料理のコースに大満足岡山のブランド牛、奈義牛も盛り込まれた豪華な『懐石コース』本格的な日本料理が楽しめる【ます田】。コース仕立ての『贅沢ランチ』は、品数が充実。季節の食材をふんだんに使った『懐石コース』なら、釜炊きご飯や鍋料理も味わえます。また、岡山ではなかなか手に入らない、新鮮で大きなサイズの穴子を使った料理が堪能できるのも魅力。繊細な和の手仕事を感じる料理の数々を、目と舌でじっくりと味わえる一軒です。ふわりとしたライトが温かみのある落ち着いた店内木の温もりあふれる和の空間で、紅葉の余韻に浸りながらくつろげます。日本料理と相性のいい日本酒や焼酎はもちろん、ワインも用意。全20席の店内には、目の前で腕をふるう料理人の姿を眺めながら食事が楽しめるカウンター席や、くつろげる座敷席があります。また、個室もあるので家族や仲間と特別な時間を過ごしたいときにオススメです。ます田【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】和食【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】5500円【アクセス】岡山駅 徒歩15分串揚【串揚専門店串兵衛】旬の素材を中心に珍しい食材を使う串揚げにも出合える一番人気の『車海老の串揚げ』は、カリカリ、ぷりっとした食感がたまらない季節の食材や珍しい素材を使った串揚げが魅力の【串揚専門店串兵衛】。材料は店主が全国各地へ赴き、自身の目や舌で確かめたものを厳選して仕入れ。高級食材を使ったプレミア揚げや、スポットで企画する「北海道フェア」や「沖縄フェア」なども訪れるのが楽しみな理由。手間を惜しまず下ごしらえし、衣はサクサク、中身はジューシーに仕上げます。円形のテーブル席をはじめ、さまざまな座席がありいろんなシーンで活用できる店内には落ち着いたカウンター席のほか、テーブル席や最大10名まで利用できる半個室の掘りごたつ式の席も完備。主役の串揚げと合わせたいのは、各地の銘酒。ワインとのペアリングも提案してくれるので、繊細な串揚げと共にゆったりと堪能を。串揚専門店串兵衛【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】和食【ランチ平均予算】1980円【ディナー平均予算】7000円【アクセス】城下電停駅 徒歩2分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年11月11日日本料理【あらし山遊月】日本料理【嵐野亭】フレンチ【嵐山MITATE】フレンチ【レストランル・プラ・プリュ】日本料理【湯どうふ竹むら】日本料理【あらし山遊月】嵐山の自然を愛でながら本格京料理に舌鼓を打つゆったりとくつろげる純和風の座敷渡月橋のたもとからすぐ、嵐山公園の中之島地区に店を構える【あらし山遊月】は、暖簾を掲げて90余年の日本料理店。格調高い純和風の店内はしっとりと落ち着いた雰囲気で、四季折々の美しさを見せる山並みを眺めながら食事を楽しむことができます。趣のある個室もあり、周りに気兼ねなく食事を楽しみたい時にピッタリです。限定のお膳『季節の膳』は追加料金で嵯峨森嘉もいただける旬の食材を用いた会席料理をはじめ、嵯峨名物の湯豆腐や季節の鍋物など、本格的な京料理が比較的リーズナブルにいただけます。国産の鴨ロースの柔らかさと、凝縮された旨みがたまらない『鴨ロースサラダ』や、厳選した天然昆布や鰹節のだしが香る『特別濃厚卵使用出汁巻き玉子』も見逃せません。思わず笑顔がこぼれるおいしさです。あらし山遊月【エリア】嵐山【ジャンル】和食【ランチ平均予算】3500円【ディナー平均予算】6000円【アクセス】嵐山駅 徒歩5分日本料理【嵐野亭】桂川と嵐山を一望できる眺望自慢のレストラン川岸を埋めつくす桜や山全体が染まる紅葉が一望のもと渡月橋から三条通を下流方面へ歩いてすぐの川岸に佇む【嵐野亭】。四季折々の美しさを見せる桂川や渡月橋の絶景をすべての席から堪能できる、眺望自慢のレストランです。店内にはオープンキッチンがあり、五感を使って料理が楽しめます。テラス席や完全個室があるので、シーンに合わせて利用できるのもうれしいポイントです。『比叡コース』、『嵐野コース』は昼・夜とも同額でいただける嵐山で70有余年にわたり和食レストランを営む「良彌」がプロデュースする同店では、和食一筋30年の料理人と、同じく洋食で30年腕を磨いた料理人による、それぞれの技を活かした和食のコースを提供。京野菜や近江牛の鉄板焼き、季節の天ぷらなど、料理人が厳選した素材を使った料理がいただけます。嵐野亭【エリア】嵐山【ジャンル】和食【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】8000円【アクセス】嵐山駅 徒歩10分フレンチ【嵐山MITATE】和モダンの空間でフレンチと京料理の融合を味わう大小さまざまな個室が用意されている嵐電嵐山駅から徒歩すぐの【嵐山MITATE】は、フレンチと京料理を巧みに融合させた唯一無二のコースがいただけるレストラン。古い日本家屋を改装した店内は、和の趣を残しつつモダンな雰囲気。全席個室で、2階の個室からは嵐山の趣深い風景が一望できます。和の情緒に包まれながら静かに食事を楽しめます。「升々のご繁栄を」の願いが込められた『シェフ見館孝司からのご挨拶の一品』美山の平飼い卵や黒毛和牛、京野菜など、使われている食材はどれもシェフが吟味した一級品。旬の食材でつくり上げる、四季折々のテーマに沿ったコースが味わえます。『シェフ見館孝司からのご挨拶の一品』は、美山卵とフォアグラの贅沢なプリン。また自然界の素材の「香り」を抽出し、ワインなどドリンクに加えた世界初の「香りのペアリング」もぜひ体験を。嵐山MITATE【エリア】嵐山【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】7000円【ディナー平均予算】11000円【アクセス】嵐山駅 徒歩1分フレンチ【レストランル・プラ・プリュ】まるでパリにいるような、愛され続ける本格ビストロアンティークが並ぶ店内はシックな雰囲気JR嵯峨嵐山駅から徒歩5分の丸太町通沿いに店を構える【レストランル・プラ・プリュ】は、1989年の開店以来愛され続けている本格フレンチビストロです。パリの街角にあるようなオシャレな外観の建物はシェフ自らのデザイン。中は落ち着いた色合いで設えられ、パリに迷い込んだかのような気分で食事が楽しめます。『鴨もも肉のコンフィ』火入れにこだわるシェフの技を味わえる京都の老舗フレンチや、フランスの星付き店で研鑽を積んだシェフが「本格的なフレンチを気軽にリーズナブルに味わってほしい」とオープン。シェフの本場仕込みの技が光る『鴨もも肉のコンフィ』や『塩漬け豚のポトフ』など、定番のフランス料理が味わえます。フランス産を中心に約100種類揃うワインとともに本場の味を堪能しましょう。レストランル・プラ・プリュ【エリア】嵯峨野/太秦【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】4000円【アクセス】JR嵯峨嵐山駅 徒歩5分日本料理【湯どうふ竹むら】嵯峨嵐山名物の森嘉の豆腐を味わいつくすレトロな雰囲気に包まれる座敷嵐電嵐山駅から徒歩3分、嵐山のメインストリートに面している【湯どうふ竹むら】。以前は歌舞伎役者の住まいだったという趣のある建物で『湯どうふ』をいただけます。四季によって表情を変える美しい庭の景色を楽しめるのも魅力。風情ある庭を眺めながら食べる『湯どうふ』の味は格別です。『湯どうふ』に『柚子釜』、『ひろうす』など豆腐料理が満喫できる地元の京都のみならず、全国にもファンが多い森嘉の豆腐は、国産大豆と湧水を使用し、伝統的な製法で作られた昔ながらの味。定番の『松コース』や、気軽な『コスモスコース』で、森嘉の豆腐が味わいつくせます。中でもイチオシは、看板メニューの『湯どうふ』。削りたての枕崎産鰹節を使っただし醤油が豆腐の味を引き立てます。湯どうふ竹むら【エリア】嵐山【ジャンル】和食【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】3000円【アクセス】嵐山駅 徒歩3分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年11月08日上質な空間ながら和やかな雰囲気が居心地抜群日本各地の食材をちりばめ和を追求した独自のフレンチグレードの高いワインもグラスで堪能できる上質な空間ながら和やかな雰囲気が居心地抜群訪れる度に親しみの増す、居心地のいいレストラン吉祥寺駅から徒歩15分の場所にある【レストランペティヤン】。腕を振るうのは、四季のある日本でしか表現できないフレンチのスタイルを追求する輿水シェフ。上質な雰囲気が漂う空間ながら、肩ひじ張らずに和やかなひとときを過ごせるのが魅力です。普段よりちょっとリッチなデートや、夫婦の記念日などで利用するのもオススメの一軒。ほどよい距離感の会話も心地いいカウンター席店内は洗練された雰囲気で5mの天然木を使用した温かみのあるカウンター席が印象的です。座席はカウンターとテーブル席の計12席を完備。一人で訪れて、カウンターでじっくりコース料理とワインを楽しむゲストの姿も。料理とワインについて、気軽に会話ができるのが醍醐味です。日本各地の食材をちりばめ和を追求した独自のフレンチ老舗のフレンチレストランで研鑽した料理人による、コース料理がランチ、ディナーともに満喫できます。器使いや、繊細な盛付けにも和のスピリットを感じる、この店ならではの料理に舌鼓を。その中でも、お店オススメのメニューを3品紹介します。『前菜』“素材よりも素材らしく”というコンセプトで仕立てた『前菜』全国各地から取り寄せる、旬の野菜や魚介を駆使した月替わりの『前菜』は、盛付けの美しさも魅力。素材のイメージを超える料理人の技術やセンスが感じられ、コース料理への期待が高まります。『炭火ロースト季節の肉料理』肉の旨みと炭の香りの融合にうっとりとさせられるメイン料理肉を炭火でローストした、盛付けも美しいメイン料理。炭火で火を入れることで、水分が抜けて凝縮された肉の旨みや、炭の香りが広がります。じっくりと噛みしめて味わうごとに、肉本来のおいしさが伝わる一皿。滋味深い味わいを、相性のいいワインと共に。『スープドポワソン』濃厚な旨みが印象的なスペシャリテ『スープドポワソン』唯一変わらずに作り続けているという一品。甲殻類、貝類、塩は使わずにスープを仕立てているので、甲殻類アレルギーの方でも楽しむことができます。ほかでは味わうことができないオリジナルレシピは、和の焼き物の器も素敵です。グレードの高いワインもグラスで堪能できる料理に合わせて選べるのがうれしいグラスワインこだわりの光るコース料理に合わせて選びたいのがワイン。グラスワインは銘柄を絞らず、ワインセラーから選べるのが贅沢。グレードの高いワインも、気軽なグラスでオーダーができます。フランスのブルゴーニュ地方のワインやシャンパーニュも豊富なので、相談しながらオーダーしてみては。フレンチをベースにしながらも、日本の四季をコース料理に投影するスタイルにお店の個性が感じられます。ご夫婦で切り盛りする和やかな空間に、ランチやディナーで訪れてみては。季節ごとの繊細な料理の数々と、グラスワインのペアリングで思い出に残る時間が過ごせそうです。料理人プロフィール:輿水烈旺(コシミズレオ)さん1994年、山梨県生まれ。二葉栄養専門学校卒業後、都内レストラン数店でフランス料理の修業を積む。さらに洋食店でパティシエを担当した後、吉祥寺の老舗フレンチレストランのシェフに就任する。お客様の顔を見ながら、一皿一皿に100%の力を注ぐ店をつくりたいという思いから、【レストランペティヤン】をオープン。レストランペティヤン【エリア】吉祥寺【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】7000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】吉祥寺駅 徒歩15分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年11月08日成長を感じるインテリア自然からインスパイアされる料理とデザート世界を旅するワインペアリング「変わった」ではなく、成長を感じるインテリア2023年6月、8年の歴史を刻んだ東麻布からアークヒルズ仙石山森タワー内に移転した【レストランローブ】。仙石山は都心ながらも緑豊かな環境にあり、自然からインスパイアされる料理、デザートを作る今橋英明シェフとパティシエ平瀬祥子さんがこの場所を選んだことに納得できます。開放的な空間は、東麻布の時のコンセプトをそのままに拡張したといった印象店内に入ると、泡をモチーフにした壁やクロスの色、ウエルカムオブジェをはじめとしたテーブルセッティング、そして舞台のようなアイランドキッチンが目に入ってきます。「お客様が“変わっちゃったね”と感じるリニューアルにはしたくありませんでした。前のお店の延長線上にありながら、成長を感じてもらえる空間作りを目指したんです。空間を広げ、個室を作り、スタッフも増やしてお客様の満足度を上げるための移転ですから」と今橋シェフ。メビウスの輪をモチーフにしたウエルカムオブジェや、壁にかかるアートは、実は3Dプリンターを使って制作されている「スタッフの充実で、僕や平瀬がすべての工程をやるというのではなく、それぞれにポジションを与えて責任を持ってやってもらうことができるようになり、若手をちゃんと育てることができる環境が整ってきました」と新店舗での意気込みを話す今橋シェフ。今橋シェフとパティシエでありマダムの役割も果たす平瀬さんの監督の元、総勢10人のスタッフたちがチーム一丸となってレストランを盛り上げている。その活気ある働きぶりを眺めるのも楽しい「サービスが手一杯なときは、シェフや私をはじめキッチンスタッフが料理を運ぶこともあり役割の境界線は曖昧にしています。チームとして働いていると、それぞれが自分で何をするべきか考え、行動できる人になっていくのではないかと思っています」(平瀬さん)「自分たちがやってきたことを押し付けるのではなく、教えるべきは“考え方”だと思っています。働きやすい環境でスタッフの生活を守りながら彼らが社会人、料理人、サービスマンとしての土台を作る場所でありたいですね」(今橋シェフ)「東麻布でお店を始めた時の気持ちと何も変わりはないのですが、より心地よい空間になったことでレストランの価値を高められることを嬉しく思っています」と話す平瀬さん。アイランドキッチンの奥にオーブンの熱の影響を受けないガラス張りのアトリエも併設。「溶けやすいデザートも万全の環境で準備をすることができるようになりました」と本当に嬉しそうです。客席に目を配り、ベストタイミング、ベストポーションで作りたてのデザートを提供する平瀬さん自然からインスパイアされる料理とデザート【レストランローブ】の料理は、自然や環境、季節の風景、生産者、そして料理人が積み上げてきた経験などいろいろなつながりから生まれるストーリー性を大事にしています。また今橋シェフは一時期、料理人をしながら農業にも従事していた経験を持ち、自然を敬愛し、生産者を思う気持ちは人一倍熱いようです。シェフが働いていた鎌倉の野菜農家・加藤宏一氏から届く多種多彩な野菜、ハーブをその野菜の特性に合わせた仕込み、料理で楽しませてくれるのです。なかでもスペシャリテの一つとして人気なのが土佐あかうしを使ったタルタルです。土佐あかうしは、実は今橋シェフの父親が高知出身ということもきっかけとなって牧場を訪ね、生育される環境や生産者のこだわりに惚れ込んだとのことです。『土佐あかうし 旨み』軽く炙った土佐あかうしのタルタルに昆布のゼリーシートをのせ、ビーツのピクルスや赤紫蘇、ゆかりなどをトッピング。16,500円からのコースの前菜海の見える斜面に放牧されている土佐あかうし。「眼下の海では牡蠣が漁れると聞いて、昆布のゼリーシートの下に、牡蠣のムースも忍ばせています。海と山、生き物の循環といったことも料理の発想のベースになっています」と今橋シェフ。お皿の上は、お肉の色のつながりでビーツ、赤紫蘇、たで、ゆかりを使った赤のコーディネートに。もちろん、香りや食感などもセレクトのポイントになっていますが、さまざまなつながりの連想で一つの物語がお皿の上に誕生するというわけです。『夏牡蠣 鎌倉野菜』。多彩な季節の野菜と牡蠣のムースで山と海を満喫。9,900円からのコースの前菜こちらは、夏のスペシャリテ。ズッキーニ、枝豆、モロヘイヤ、胡瓜、つるむらさきなどの夏野菜を生のまま、あるいは茹でたり、ソテーしたりとそれぞれにあった下拵えを施してからたっぷりのバジルを使ったピストゥのソースを絡め、すだちの酸も効かせて爽やかな味わいに仕立てています。その上に夏牡蠣のムースをのせ、昆布だしのゼリーでカバー。海の岩場を連想させるようなお皿を使うなど、料理とアートの一体感も今橋シェフならではのスタイルです。メイン料理となる小鳩のグリルは、仔鳩を木片や藁で軽く香りをつけながら炭火焼きにして、鳩の肝のソースで深みのある旨みをプラスしています。小鳩の下に敷いたのは骨のだしや炭のオイルスパイスなどを使って炊いた黒豆。フランスではレンズ豆で合わせるところを日本の食材を使うことで親しみやすい一皿に仕立てられているのです。『小鳩 有機黒豆』。さっぱりとした仔鳩を日本の黒豆と共に。25,300円のコースのメイン「フランスの文化と日本の文化が響き合い、新しい美味を生み出すことが【レストランローブ】のフィロソフィー」と話す今橋シェフの言葉は、お料理を食べることで理解することができます。コースのフィナーレを飾るデザートの前には、新しいテーブルクロスが重ねられ新たな舞台が用意されます。「今、この瞬間のおいしさを味わってもらうためにベストを尽くすことを心がけている」と話す平瀬さん。今橋シェフの料理の余韻に自然につながっていくよう、軽やかなテクスチャー、爽やかな味わい、そして美しい盛り付けで楽しませてくれます。また、季節はもちろん、その日の天候や気候、そしてゲストの食べている表情にも配慮して、臨機応変にデザートを変えることもあるそうです。晩夏から初秋のデザートとしてゲストを驚かせる平瀬さんのスペシャリテの一つがこちら。『茄子 カカオ』。芳ばしい焼き茄子がなんとアイスに!25,300円のコースのデザートやわらかなチョコレートのシフォン、ロースマリーの香りのクリーム、オレンジのマーマレード、そして茄子の葉っぱをイメージしたチュイルで茄子畑を表現しているそうです。現代アートのような盛り付けで瞬間の美も楽しませてくれる平瀬さんのデザート。柑橘風味の砂糖菓子、緑茶、ミント、ゆずを使ったアイス、わらび餅などで儚い口溶け軽やかな味わいです。『梨 柑橘』。柑橘の風味で食後感を軽やかに演出。9,900円からのコースのデザート平瀬さんは、2020年のゴ・エ・ミヨでベストパティシエ賞を受賞。’22年には金沢に【パティスリーローブ花鏡庵】を開きました。そのドキュメンタリーは人気TV番組『情熱大陸』でも特集され、話題に。レストランデザートだけでなく活躍の場を広げている注目のパティシエです。世界を旅するワインペアリング東麻布時代からワインの監修やサービスをしてきたベテランソムリエ石田博氏。ワインのセレクトはフランス・ブルゴーニュ地方のグランヴァンを用意しつつも、世界を視野に品質の高いワインをセレクトしています。料理を際立たせるペアリングでは、頭の中で世界旅行を楽しみつつ新たなおいしさに遭遇することができるのです。日本のワインならではの紫蘇のような香りを持つグレイスのロゼ、しっかりとしたミネラル感が特徴のギリシャワインなどワールドワイドなラインナップワインのセレクションやユニークなペアリングに加え、温度と香りにこだわるサービスも心がけているそうで、料理が出る少し前にグラスに注ぎ、その上に蓋をすることでグラス内に香りを充満させてからゲストの元へ運ぶようにしているとのこと。料理とワインの味わいはもちろん、香りマリアージュも瞬間の感動を楽しませてくれるのです。お話を伺ったアシスタントマネージャー/ソムリエの宮沢里香さん。石田氏は次世代へバトンを渡せるように若手の活躍を支援する縁の下の力持ち、というスタンスに隠れ家的だった東麻布から、ついに表舞台へと羽ばたく規模へと成長し、グランメゾンの風格をも備えた【レストラン ローブ】。公私共にパートナーを組む今橋シェフと平瀬さん、経験豊かなソムリエ石田博氏筆頭に、互いを高め合いながらチーム一丸となって進化を目指しています。2018年からミシュラン1つ星を獲得、ゴ・エ・ミヨでの評価も得ている【レストランローブ】。新たな場所でさらに成長をする姿に期待がますます高まる「レストランは長く続けてこそ、と思っています。私たちもお客様も心豊かに過ごせるお店になるようこれからも成長し続けたい」と真摯に話す今橋シェフと平瀬さん。レストランの在り方、役目などを深く掘り下げ「よりよいもの」を実現するために努力し続ける人柄にも感銘。その成長を感じられるよう通い続けたいレストランです。レストランローブ【エリア】六本木【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】10000円【ディナー平均予算】20000円【アクセス】六本木一丁目駅 徒歩5分
2023年10月16日池下【BistroLavie】車道【POPINO】名古屋【Bistrotcoba】原【街の農家レストランVerger(ベルジェ)】名古屋【RHUBARBE】池下【BistroLavie】フランスの定番メニューをたっぷりと楽しめる6時間煮込んでつくる『カスレ』はボリューム抜群池下駅から徒歩2分。フランスのグルメガイド「ゴ・エ・ミヨ2020愛知」にも選出された【BistroLavie】は、シンプルでありながらゲストが喜ぶにぎやかさを兼ね備えた料理を提供してくれるビストロ。『カスレ』や血のソーセージなど、仲間とシェアして食べたいボリュームたっぷりのメニューがそろっています。センスよくまとめられたオシャレな店内には、半個室のテーブル席もあり螺旋階段横にある木製のドアを開けると、料理と同じくシンプルでセンスを感じられる空間が広がっています。クラシックな木の床とテーブルが印象的な店内には、半個室のスペースも完備。席の間隔もゆったりとしているので、リラックスして料理を楽しむことができます。BistroLavie【エリア】千種/今池/池下【ジャンル】ビストロ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】6000円【アクセス】池下駅 徒歩2分車道【POPINO】パリのビストロさながらの空間でカジュアルに時間を過ごすオーストラリア産子羊の味わいを堪能できる『穀物飼育の子羊のロースト~子羊フォンとハーブのソース~』車道駅から徒歩3分の場所にある【POPINO】。「一つの枠にとらわれず、おいしい物を提供していきたい」と話すシェフの言葉どおり、提供されるメニューはフレンチとイタリアンの垣根を越えた逸品。味、料理との相性がしっかりと書き込まれたワインリストも必見です。落ち着ける雰囲気の中、リラックスして料理を楽しめる空間白いテーブルクロスに赤いチェア、アーチ型の壁など、店内は本場のビストロそのままの雰囲気。落ち着けるテーブル席はもちろん、アルコールのボトルとワイングラスが並ぶカウンター席もオススメ。デリが併設されているので、お弁当やお惣菜などを自宅で楽しむこともできます。POPINO【エリア】千種/今池/池下【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】1500円【ディナー平均予算】5000円【アクセス】車道駅 徒歩3分名古屋【Bistrotcoba】スパイスやハーブを使ったメニューを提供する“オリエンタルビストロ”濃厚なソースがたまらない『シェフのスペシャリテ!!白身魚のパイアンクルートアメリケーヌソース 』名古屋駅から徒歩10分の場所にある【Bistrotcoba】。フランス料理の定番パイ包み焼きや洋食の王道ビーフカツレツなど、シェフがおいしいと思える料理を提供しています。ニューワールド系のものなど、ワインも豊富にラインナップ。料理とのマリアージュをたっぷりと楽しめます。店内にはくつろげるテーブル席とカウンター席が用意されている温かみのある木製のテーブルやチェアと無機質なコンクリートの壁のコントラストが印象的な店内。天井から床、インテリアまで、すべてオーナー夫妻のチョイスしたものでそろえられています。16名以上なら貸し切りパーティーにも対応。デートや食事会など、さまざまなシーンで使いたいお店です。Bistrotcoba【エリア】名駅【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】6000円【アクセス】名古屋駅 徒歩10分原【街の農家レストランVerger(ベルジェ)】フレンチやイタリアンの技を活かした洋食メニューに舌鼓赤ワインで8時間かけて煮込む『黒毛和牛のビーフシチュー』原駅から徒歩13分の場所にある【街の農家レストランVerger(ベルジェ)】は、その名前とおり、農家出身のシェフが手掛けるメニューが楽しめるお店です。フレンチやイタリアンの技を使ってつくられるのは、昔ながらの洋食。旬の食材を使った色とりどりのメニューを目で、舌で味わうことができます。ゆったりとくつろいで食事ができるカジュアルな店内木とレンガをベースにした空間は、温かみがあり、柔らかな印象。洋梨をイメージした色の椅子やワイン樽のテーブルなど、カジュアルでリラックスした時間を過ごせるつくりになっています。フリードリンク付きのコースや季節の限定デザートなどが用意されているのもポイント。さまざまなニーズに応えてくれるうれしいレストランです。街の農家レストランVerger(ベルジェ)【エリア】天白区/八事【ジャンル】洋食【ランチ平均予算】1500円【ディナー平均予算】2500円【アクセス】原駅 徒歩13分名古屋【RHUBARBE】名古屋市内に3店舗展開するカジュアルレストラン目にも鮮やかなガレットやクレープなどを楽しめる名古屋駅から徒歩3分。市内3店舗目の出店となる【RHUBARBE】は、ガレットやクレープ、ビストロ料理、そして自然派ワインをたっぷりと楽しめるお店です。ランチのオススメはスープやサラダがセットになったガレット。ディナーにはアラカルトも豊富に用意されています。店内は天井が高く開放的な空間お店は、ビル3階にありながらフランスのカフェのようなオープンカフェスタイルを楽しめるつくり。店内も天井が高く、オープンな空間になっています。土曜、日曜、祝日は通し営業なのもうれしいところ。ガレットやクレープなどのおいしい料理を、時間を気にせず楽しめます。RHUBARBE【エリア】名駅【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】4000円【アクセス】名古屋駅 徒歩3分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年10月15日四条【ryu no hige】北山【ルルソンキボア】烏丸御池【La princesse kyoto(ラ プランセス 京都)】三条【れすとらん西島】京都市役所前【BISTRO ELGINO】四条【ryu no hige】繊細な京料理にフランス料理の遊び心を織り交ぜたフレンチ割烹繊細で華やかな盛付けが目を引く『天使の海老桜鱒と春野菜のオランデーズ』地下鉄四条駅から徒歩2分の【ryu no hige】は、京料理とフレンチを融合させたフレンチ割烹の店。繊細な京料理と、独創的なフランス料理が織りなす世界観は、まさに唯一無二です。京野菜をはじめとした季節の食材や、店主自ら手掛けた信楽焼の器を用いるなど、こだわりの演出をちりばめた独創的なコースがいただけます。開放感のあるフロアは落ち着いた雰囲気白を基調とした開放的な店内は、しっとりと上品な雰囲気。記念日や歓送迎会、接待など、大切な人を喜ばせたいという思いに応えてくれる空間になっています。デートや女子会にもオススメ。素材を活かす京料理と目に鮮やかなフレンチの技法が調和したメニューを楽しみながら、くつろぎの時間を過ごしましょう。ryu no hige【エリア】四条烏丸/烏丸御池【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】4000円【ディナー平均予算】6000円【アクセス】四条駅 徒歩2分北山【ルルソンキボア】旬の京野菜をふんだんに使った日本人の口に合うフランス料理地元産の珍しい品種の旬野菜をふんだんに使用地下鉄北山駅から歩いて10分ほどの【ルルソンキボア】は、地元の人から愛される店。京都ならではの旬の野菜がいただけます。彩りがきれいな『オードブル』は、京野菜や大原野菜といっためずらしい野菜を使用。春菊のソースを添えた『米沢牛のロースト』は、シェフの遊び心を感じられるメニューです。アンティークな雰囲気がオシャレな店内店名の【ルルソンキボア】は、“酔いどれ子熊”を意味するそう。「肩肘張らずにもっと親近感を持ってほしい」という思いが込められています。店内にはアンティークのカップや人形が置かれ、落ち着いた雰囲気。会話をゆっくり楽しみながら、野菜たっぷりで色彩豊かなフランス料理が堪能できます。ルルソンキボア【エリア】上賀茂/北山【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】3500円【ディナー平均予算】5500円【アクセス】北山駅 徒歩10分烏丸御池【La princesse kyoto(ラ プランセス 京都)】創作料理とクラフトビールを楽しむフレンチバル白い卵に思わずびっくり?『ランチ限定白いオムライス』烏丸御池駅から徒歩3分の【La princesse kyoto(ラ プランセス 京都)】は、フレンチを身近に楽しめるバル。創作フレンチとワイン、クラフトビールが楽しめます。『ランチ限定白いオムライス』は栄養たっぷりの希少な白い卵を使用。大粒の牡蠣と和牛を卵で絡めていただく『牡蠣と和牛のすき焼き』もオススメです。色彩豊かでエキゾチックな雰囲気が漂う店内飲食店が並ぶビルの一角に店を構える【La princesse kyoto(ラ プランセス 京都)】の店内は、鮮やかなクロス類がオシャレ。女性客も多く、気軽に立ち寄れる雰囲気です。カウンターやカップルシートがあり、デートにもぴったり。フレンチとクラフトビールのマリアージュを楽しみながら、ゆっくり語らうのもいいですね。La princesse kyoto(ラ プランセス 京都)【エリア】四条烏丸/烏丸御池【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】1000円【ディナー平均予算】4000円【アクセス】烏丸御池駅 徒歩3分三条【れすとらん西島】カウンターで楽しむ、旬の京野菜の本格フレンチコースあっさりと食べやすい国産牛に季節の野菜を添えた『牛フィレステーキ』京阪三条駅から程近い、木屋町通りの北にある【れすとらん西島】。毎朝仕入れる旬の京野菜を使い、京風にアレンジされたフレンチが味わえるお店です。昼夜ともにメニューはコースのみですが、一皿の中で「旬」を楽しむことができる『前菜』からメインの『牛フィレステーキ』まで、季節を彩る野菜が添えられます。オープンキッチンを眺めながら、ゆったり過ごせるカウンター席天然木を多用した落ち着いた雰囲気の店内には、厨房に面したカウンター席のみ。背もたれ付きの椅子でゆったりくつろげ、目の前で調理される様子を楽しみながら料理を味わうことができます。デートや記念日のちょっと贅沢な食事はもちろん、軽くカーブしている席に座れば、小グループでもみんなで会話が弾みます。れすとらん西島【エリア】四条河原町周辺/寺町【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】3800円【ディナー平均予算】6500円【アクセス】三条駅京都市役所前【BISTRO ELGINO】色鮮やかな旬野菜が心と身体にやさしい大人のビストロ人参の食感や甘みの違いを楽しめる『ボタン海老のミキュイニンジンのバリエ』地下鉄京都市役所前駅から徒歩1分の【BISTRO ELGINO】は、京都の旬の野菜を多彩に使用したメニューが自慢のビストロです。野菜は肉や魚の添えものではなく、主役になることもしばしば。京人参、金時人参、黄色人参が色鮮やかな前菜『ボタン海老のミキュイニンジンのバリエ』など、美しくおいしい料理が気分を盛り上げてくれます。ラグジュアリーな店内。窓の外に見える緑にも癒される駅からすぐの好立地ながら、ビルの2Fにあるため、知る人ぞ知る隠れ家として愛されているお店です。本場フランスでの修業経験を持つシェフが腕をふるう料理は、おいしくて体にやさしいだけでなく、アートのような美しさ。ホテルのダイニングのような高級感のある店内で、ちょっと贅沢な食事が楽しめ、ランチにもディナーにもオススメです。BISTRO ELGINO【エリア】四条河原町周辺/寺町【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】6000円【ディナー平均予算】10000円【アクセス】京都市役所前駅 徒歩1分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年10月05日「SHIGUCHI」のオーナーはイギリス生まれのショウヤ・グリッグさん。名宿「坐忘林」を立ち上げた一人として有名ですが、若いころはパンクバンドで活躍した経験もあるというアーティスト。ここは彼の作品を中心に彼が収集した絵画や陶器、古美術品などが展示された森の中の芸術空間になっています。移築された古民家3棟に5つの宿泊施設が用意され、それぞれ地、水、火、風、空と名前が付けられています。ギャラリー・ステイを謳うだけあって、森のなかの美術館に滞在する感覚です。ショウヤさんは言います。「若いころ、息苦しさを感じて旅をするうち辿り着いた北海道で、自転車で4か月かけて北海道を全部回ってみたんです。なによりこの自然に圧倒され、日本人の凄さに圧倒されました。そして歴史を掘り下げていくうち、ここが縄文時代から続く豊かな大地だってことに気づいたんです」。それ以来彼の日本暮らしはもう30年になるといいます。ニセコの地価が暴騰するまえに原野を購入し、そこに自分のアートライフの拠点を創り上げていきました。数年前に開催されたイベント「ダイニング・アウト」で私はここを訪れていますが、羊蹄山を目の前にいただいた、ミラノの徳吉シェフの料理には感動しました。ただそれがショウヤさんの家の庭だったとは。ショウヤさんから見せてもらった作品は、モノクロームの写真を和紙にプリントし、手彩色を加えたものでしたが、水墨画の趣があり、観ているとだんだんと心が落ち着いてくる自分に気づきます。とくに作品の中に占める余白が、私には非常に魅力的に映りました。「日常生活で頭の中は雑音、雑念でいっぱい。でもこの深い自然と対峙しているといろんな気づきがあります。見えないものが見える気がする。作品の余白はそれらを現しているのかもしれない」と彼は言います。目に見えないけど意味のある余白、それは見えているものを引き立てる役割があります。引き算の美学と称して、素材を引き立てるために余計なことをしない日本料理にもつながっていくようです。ギャラリーにはそのほか、北海道の歴史やアイヌ文化を学べる作品も多くあり、宿泊用の部屋にも細部にまで凝った意匠がみられます。滞在者にとって、もうひとつの魅力は、目の前を流れる川の音を聞きながら入るお湯でしょうか。石をくりぬいた湯舟には24時間源泉かけ流しの湯が張られ、ゆったりと外の緑を眺めながら、ぼーっとする時間。この時間こそ至福なのかもしれません。エクスペリエンス・ショウ・ダイニングさて、彼のこんな世界観はどう料理に落とされていくのでしょう。ギャラリーでアペリティフをいただいていたらショウヤさんがディナーに誘ってくれ、私はメインダイニングの円形の大きなテーブルにつきました。メインダイニングの名前は【SOMOZA】、これはショウヤさんの3人の子どもたちの名前を掛け合わせたそうです。ここでも仕口がなされていますね。BGMはここでも静かに流れる川の音。グラナディエゾのグジェールでシャンパーニュをいただいていると、シェフの小関達弥さんが大きな塩釜を持ってきてくれました。蓋をとるとスモーク。中には地鶏と蛸のクロケットや松ぼっくりで燻したほっけの昆布締めなど。縄文をイメージしたインパクトのある料理で、本物の縄文土器が添えられています。「当時の文献や資料を調べ、再現しています。もちろん技法や味付けや食材は現在のもので、当時よりおいしいと思いますが、縄文人が今現れて食べても懐かく感じてくれるようなものをイメージしています」とシェフ。いきなりの縄文スタイル料理には驚きましたが、ショウヤさんはここでの食事を「エクスペリエンス・ショウ・ダイニング」と名付けたいと言いました。自分の世界観を具現化したギャラリーと食がつながると、いろんなイメージやストーリーがうまれるし、それを体験した人には新しい気づきが与えられるはずと。「人間、自然、環境、料理、あらゆるものがつながって面白い動きが生まれたらもっといいんです。生きている映画と同じで、お客がさんが自ら俳優になって動くような空間をつくりたい」。帆立とふきのとうのコンフィに続き、短角牛ミスジが出てきました。牡蛎の燻製と山菜が敷かれ、マグロ節の出汁をかけてしゃぶしゃぶ風にしていただきます。ソムリエは余市を中心にした日本ワインを合わせてくれます。「縄文パン」ですと出てきたのが、やま芋、そば粉、くるみ、たまごなど縄文時代の人がたべていたであろう食材を中心につくられた特製のパン。どことなく懐かしさを感じる味わいです。「すでに当時パンも焼かれていたという証拠が残っています。動物の血を混ぜたりもしていたようです。おそらく専門に料理をする人もいて、栄養価の高い組み合わせを考えたんだと思います」と小関シェフ。そう思って味わうと、遠い昔にイメージが広がります。それを余市の「パンセ」というワインと合わせます。人間は考える葦であると言ったパスカルの著書と一緒で、「考えよ」と言う意味です。意味深ですね。サーモンのベニエが出てきました。これがスペシャリティだとシェフ。鮭はアイヌの人たちには神聖なものですし、それを自分の学んだフレンチの技法で当時の要素を入れながら調理していく作業は、ショウヤさんの行為にも近いものなのでしょう。ニセアカシアとオリーブオイルのヌガーグラッセを口直しでいただいた後は、北十勝ファームの短角牛サーロインの塩釜焼きです。にんにくや生姜や味噌のつまった椎茸や舞茸が添えられます。ソースに蕪の藁焼きが使われ、これもどこか懐かしさを感じるテイストです。お酒が進むとショウヤさんは饒舌になり、イメージは過去に未来に広がります。我々はセックスピストルズと京都の哲学の道と、間宮林蔵とワインと文化人類学と室町時代の話をしているうち、すっかり夜が更けてしまいました。部屋にもどってふたたび静かに風呂に入りました。そこにあるのは夜のとばりの降りた静寂です。聞こえるのは川の水の音だけ。大きな余白の中に自分ひとりだけいる感覚。新たな気づきがあるということ話はこれでもういいのかもしれませんが、やはり朝のことも少し触れておくことにします。朝、少し散歩してから、遅めの食事をいただきました。採れたて野菜や鳥の味噌汁をいただき、笹の葉で巻いた卵焼きにときしらず。シェフと少し話をしました。【ミシェル・ブラス・トーヤ】でキャリアをスタートし、フランスで学んだシェフは、帰国して出張料理人をしていたときにショウヤさんから声をかけられたそうです。ショウヤさんの考えに賛同するところが多かったため、試行錯誤しながらではあるが創造的な料理人生活をおくれているとのこと。とくに先人の叡智をリスペクトしている点が2人の共通点で、そこに自分のクリエーションを入れていけるところが楽しいとのことでした。「土器ができたとき料理は飛躍的に進歩したと思います。それまでは焼くか燻すかくらいだったところに、煮炊きや蒸しといったことが加わって料理のバリエーションは広がりました」とシェフ。「ショウヤさんにはいろんな気づきをもらいました。目の前に笹がいっぱいあることは知ってはいましたが、それを料理に使うとは気づかなかった。彼と働くまでは見えてなかったんですよ。そういうことが今朝の卵焼きにつながったりしています」。新たな気づきという豊かさ。そういった意味ではこういったエクスペリエンスこそが本当の贅沢なのかもしれません。ちょっと幸せな気分でコーヒーをいただいています。SOMOZA【エリア】ニセコ/倶知安【ジャンル】イノベーティブ・フュージョン【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】30,000円 ~
2023年09月27日海外に行くと、生まれ育った国との文化の違いに驚かされることがあるでしょう。なかでも毎日食べる料理には、その違いが顕著にあらわれるもの。フランス人のパートナーであるガイックさんと、2人の間に生まれた息子さんとフランスで生活をする、しばひろ(@hirokokokoron)さんは、食文化の違いを目の当たりにしたようです。『クリーム入りクロワッサンへのフランス人の反応』ある日、クロワッサンの食べ方についてガイックさんと論争が勃発したという、しばひろさん。ほかのフランス人に意見を求めたようですが…。2人がいい争っていたのは、クリーム入りクロワッサンはアリかナシかという問題。クロワッサンといえば、バターが折り込まれたサクサクの生地が特徴の、フランス発祥のパンですよね。日本では近年、クリームやチョコレートなどが入ったクロワッサンの人気が高まっており、しばひろさんもおいしいと感じていたのだとか。しかし、本場であるフランス出身のガイックさんは『クリーム入りクロワッサン』に対して「だめなことだ」と反発!ほかのフランス人の意見も聞いたところ、「異端」「なんで台無しにするの」「冒とくだ」と散々ないわれようです。フランス人のクロワッサン愛の強さに「そ、そんなに…?」とたじろいでしまう、しばひろさんだったのでした…。【ネットの声】・日本に例えると、寿司にチーズをかけたり、タルタルソースをかける感じなのかな?・『クロワッサン愛』がすごい…!国によっては食べ物へのこだわりや、タブーがあるのですね。・『あんバタークロワッサン』を知ったらどうなるんだろう…。ガイックさんにとってクロワッサンは、バターの味やサクサクとした食感を楽しむものなのだそう。そのため、クリームを入れてしまうのはもったいないと感じてしまうようです。フランス人のゆるぎないクロワッサンへのプライドを、ひしひしと感じますね…!また、しばひろさんはX(Twitter)のほか、Instagramとブログでもさまざまなエピソードを公開しています。そちらもご覧ください。【しばひろ】Instagram:hirokokokoroブログ:ガイックとのフランス暮らし[文・構成/grape編集部]
2023年09月17日寿司【豊寿司】フランス料理【LEGENTILHOMME】イタリア料理【teatro di massa (テアトロディマッサ)】日本料理【割烹三徳六味】鮨【鮨処うえの】寿司【豊寿司】ネタは「道内近海」ものが中心。寿司“通”が信頼を寄せる名物店マグロは厳選した大間(青森)か戸井(函館)のものを1本買い!すすきの駅からすぐの【豊寿司】が大切にするのは、昭和53年の創業当時から受け継ぐ伝統の味。食材を吟味し、ネタとシャリの調和に心血を注ぐ、昔ながらのシンプルな握りを提供し続けています。自慢のネタは道内の近海ものがメイン。今日もうまい寿司を求めて“通”が集います。白木が清々しいカウンター席。寿司の醍醐味が楽しめます定期的に改装をするという店内は、老舗の堅苦しさを感じさせない和やかな雰囲気。道内随一の歓楽街の喧騒を忘れさせる和みに満ちています。落ち着いたカウンター席がメインですが、小上がりの座敷席も用意。寿司に合うという地酒のセレクトも見事なので、オススメの握りとじっくり味わいたい。豊寿司【エリア】すすきの【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】15000円【アクセス】すすきの駅 徒歩5分フランス料理【LEGENTILHOMME】四季折々のトラディショナル料理を届ける、老舗のグランメゾンロゼ色に焼き上げた『北海道産青首鴨のローストトリュフのソース』すすきの駅から徒歩6分。【LEGENTILHOMME】は、北海道に正統派フランス料理を根付かせた草分け的存在のグランメゾンです。楽しめるのは、クラシカルな技法を大切に、北海道の豊かな滋味を取り入れて今なお進化を続ける料理。ファン垂涎のフランスワインとのマリアージュは圧巻です。サービスや内装、アートも含めた空間作りはグランメゾンならではフランス在住の洋画家・山崎修氏の絵画が飾られた店内は、ゲストを非日常へと誘う上質な空間。窓際にあるテーブル席は、最大10名までの個室として利用することも可能です。国内屈指の貯蔵数といわれるワインは800種8000本。カジュアルなものから通を唸らせるヴィンテージまで多彩です。LEGENTILHOMME【エリア】すすきの【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】4000円【ディナー平均予算】18000円【アクセス】すすきの駅 徒歩6分イタリア料理【teatro di massa (テアトロディマッサ)】“劇場空間”で堪能する、北海道食材を駆使した最先端のイタリア料理季節感溢れるコース『~起点~segni di riferimeto』※写真はコースの一例すすきの駅が最寄り駅の【teatro di massa】。北海道の旬の素材を通し、最新の技術で再構築した北イタリアの郷土料理が、コースを中心に楽しめる一軒です。21時以降(最終入店は22時)はバータイムに。アラカルトとともに、常時100種類ほどそろう北イタリア産などのワインと満喫できます。店内が一つの劇場空間に。シェフとスタッフの連携も見もの劇場にいるような臨場感を目指し、カウンター内には360°見渡せる開放的なオープンキッチンを設置。視覚、聴覚、嗅覚、触覚のすべてで、シェフが作り上げる料理をダイレクトに感じることができます。テーブル席は、仕切ることで最大8名までの個室(事前予約要)としても利用OK!teatro di massa (テアトロディマッサ)【エリア】すすきの【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】4000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】すすきの駅 徒歩7分日本料理【割烹三徳六味】美しい料理と繊細な味わい。豊穣の地で出合う日本料理の神髄『お椀~鰻のくりからと冬瓜、白まい茸』※写真はコースの一例すすきの西端の住宅街に位置する【割烹三徳六味】の最寄り駅は、円山公園駅。北海道の旬食材に加え、その季節においしい各地の素材と、羊蹄山の水、3年寝かせた利尻香深の昆布、枕崎の血合い抜きの本枯節で丁寧に引いただしで魅せる、札幌屈指の日本料理店です。繊細で美しい料理をぜひご賞味あれ。2人の距離がグッと縮まるカウンター席。1人の来店も安心ですラグジュアリーさのなかにも、落ち着いた上品さが満ちる店内を占めるのはカウンター席。さらに、2名から利用できる掘りごたつ式座敷の個室は2部屋あり、つなげれば8名まで収容することが可能です。青竹の酒器など、季節の趣向で楽しむ全国の地酒と一緒に、最上の時間にひたれます。割烹三徳六味【エリア】円山公園/西28丁目【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】20000円【アクセス】円山公園駅 徒歩7分鮨【鮨処うえの】職人技が活きる江戸前寿司。確かな目利きのネタを存分に堪能鮮やかなオレンジが目を引く、ミョウバン不使用の道東産『バフンウニ』豊水すすきの駅徒歩2分の【鮨処うえの】は、四季に応じて一番おいしい魚介にこだわった、江戸前寿司が味わえるお店です。素材は、札幌の市場はもちろん九州や築地など、全国各地から厳選。江戸前ならではのひと手間かけた珠玉のネタが、大将のアイデアが光るおまかせコースで楽しめます。1人でふらりと立ち寄れる気さくさと心地よいサービスも魅力隠れ家的なこぢんまりとした店内にあるのは、8~9名が座れるカウンターと6名用の掘りごたつ式座敷。大将の温かな笑顔が満ちる落ち着いた雰囲気のなかで、肩ひじ張らずに過ごすことができます。デートや接待はもちろん、ファミリーにもオススメ。料理を引きたてる豊富な日本酒も自慢です。鮨処うえの【エリア】すすきの【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】23000円【アクセス】豊水すすきの駅 徒歩2分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年08月21日東京から新幹線を利用して約1時間半、長年シャッター通りと化していた群馬県前橋市の地元商店街がアートとデザインの街へと変貌を遂げています。その象徴のひとつ、複数のギャラリーとレストラン、住居が一体となった複合施設「まえばしガレリア」の一角に【cépages(セパージュ)】がオープンしました。日本を代表する有名ギャラリーに囲まれた【cépages】建物自体も芸術性を感じさせる空間で料理とワインのマリアージュという“アート”を披露する大役を担ったのは、石橋和樹シェフと内藤大治朗シェフソムリエのふたり。同世代で元同僚、なぜか気が合って職場が離れても連絡を取り合い一緒に食事をしていたと言うだけあって息はピッタリ。このふたりが創り出すマリアージュに期待が持てます。石橋シェフに誘われて二つ返事で群馬へ転居したと話す内藤シェフソムリエ石橋シェフは調理師専門学校卒業後、日比谷の東京有数のグランメゾン【アピシウス】で8年修業したのちに日本のテロワールレストランの代表格、「ミシュランガイド東京」で三つ星を獲得している青山【レフェルヴェソンス】でセクションシェフを務めた伝統と革新、両方に通じる逸材です。学生時代のアルバイト先は浅草【オマージュ】。そこからフランス料理一筋の石橋シェフ12皿前後のおまかせコースは33,000円、ワインペアリング33,000円というなかなか強気な設定ですが、それだけ自信があるということ。群馬県産を中心とした国内の食材をフランス料理のテクニックと東京の感性を組み合わせた日本人だからできるフランス料理に昇華させ、群馬の食文化と共に発信します。ウェルカムシャンパンは常時2種類を用意していますはじめの皿はレモンのコンフィチュールやシブレットを中に忍ばせタルタル仕立てにしたアオリイカです。白い世界かと思いきやアオリイカの下で潜んでいたのは真っ黒の「HALキャビア」。塩分濃度を抑えた養殖のキャビアはアオリイカの優しいうまみに寄り添います。仕上げにコブミカンの葉で作ったオイルとライムを閉じ込めたオリーブオイルの泡の香りが芳しく、食欲をそそります。シャンパンとの相性も良く、次なる皿への期待度が高まります。アオリイカはねっとりとしていますが、細かく刻んでいるので泡とともに溶けてしまいます2皿目は前橋市民のソウルフード「焼きまんじゅう」をフランス料理にという型破りな発想から生まれたスペシャリテ。フォアグラにブリオッシュを合わせるフランス料理とイメージが重なったそう。館林の小麦を独自で配合した生地を焼きまんじゅうに見立て、その上にフォアグラのテリーヌをのせ、高知県のサトウキビの搾り汁を煮詰めたシロップ「ボカ」を塗りながら焼きあげました。カリっとサクッとした揚げ焼き風の生地にトロッとしたフォアグラ、独特な風味と優しい甘さを持つ「ボカ」との三位一体の未知なるおいしさが口中を刺激します。『ハンガリーフォアグラ焼きまんじゅう高知ボカ』スペシャリテに合わせたのは「シャトーディケム」の「ソーテルヌ」。2005年のヴィンテージは状態も良く独特の香りと甘さが最強マリアージュを完成させました上州地鶏のコンソメと卵で作った『フラン』の上に北海道噴火湾の「毛蟹」の餡をかけたひと皿。山椒オイルを回しかけ香りよく仕上げています。影の立役者は「針生姜」の食感と刺激。【レフェルヴェソンス】で作っていた山椒オイルや生姜を効かせた料理からインスピレーションを得たそう。この小さな器の中にたくさんの滋味が詰まっています。その場にいた全員が口にした瞬間「おいしい」と言った料理『フラン』とのペアリングはフランス・ブルゴーニュの辛口ワイン「David Butterfield CORTON GRAND CRU 2012」。薫香やミネラル感、凝縮した果実味が毛蟹と卵の深い味わいを引き立てます「群馬は海がないので養殖の技術が秀でています。水替え不要の循環システムを開発して、そこで養殖したヒラメは薬剤を使わないので安心安全、しかもおいしいんです」とシェフ。そのヒラメをムースにしてほうれん草を巻きフランス料理の定番、パイ包み焼きに。ソースは酸味とクリームのコクがある「ヴァン・ブラン」と「スープドポワソン」を煮詰めてガラムマサラを加え、スパイスのメリハリを効かせた「ヴァン・ルージュ」の2種類。フランス料理に欠かせないソースは後半になるにつれ濃厚になっていきます。そこでワインとのマリアージュが功を奏すると内藤氏メインには青森の「銀の鴨」を炭火でじんわりと内部まで火を通し、最後に藁で燻して香りをつけます。ぷっくりと弾ける寸前まで膨らんだ雄の鴨はほどよい歯ごたえとしみ出るうまみがあります。添えたのは上野村の麦味噌「十石味噌」と京都祇園の黒七味を牛のだしで煮詰めて黒ニンニクを効かせたソース。ひと口ではわからなくても食べ進めると鴨のきれいに澄んだ深い味わいが主張を始めます。地産地消の素晴らしさを体験できる鴨肉とソースのみというシンプルを極めた皿にはシェフの名店での経験が存分に活かされています。炭火でじっくりと火を入れていくと表面にうまみたっぷりのジュが溢れてきます700年の歴史ある越前刃物の代表格「佐治打刃物」のステーキナイフを使用。包丁のレジェンドと言われる佐治武士作のステーキナイフはスゥーッと肉に入り、力を入れずともスパッと繊維を切ってくれるさすがの代物メインの鴨にはどっしりとしながらもスルスルとした飲み心地の「Chateau Angelus 1er Grand Cru Classé 2004」を。ソースに使った味噌にマリアージュしたコクのあるメルロー主体のワインをセレクトこちらは日本料理のごとく「〆ごはん」が供されます。だからフランス料理には欠かせないはずのパンがありません。それはパンでお腹を膨らせて欲しくないという思いから。ゆえに使う米は極上品。群馬県川場村で日本百名山の武尊山から湧き出る天然水で育ったコシヒカリ「雪ほたか」をスペイン料理の雑炊「カルドッソ」を作る鍋で貝柱のだしと上州地鶏のコンソメとともに炊き込み、リゾットにしています。スペイン「Garcima社」製日本の「おじや」をイメージした「OJIYA」という名前の鉄製蓋付きの鍋でリゾットを作ります炊きあがる前に炭火で焼いたノドグロと木の芽をたっぷりのせて蓋を閉めて数分蒸らします。蓋を開けて全体を混ぜるとノドグロの脂を纏った米は艶々、見るからにおいしそう! 木の芽のいい香りに癒されながら口にするとしっとりと弾力のあるノドグロとうまみをたっぷり吸った米、そして生姜の辛味とノドグロの薫香が複雑に絡み合うのです。今まで何度となくリゾットは食してきたけれど、チーズやバターに頼らずここまで素材のうまみだけで勝負できるリゾットにはお目にかかったことがありません。さっぱりの奥に隠れていたコッテリが後から顔を出してきますオープン前の準備期間は食材探しに奔走した石橋シェフ。海がない群馬県は畜産物のレベルが非常に高く、特に鶏、卵、乳製品は国内トップレベルだと話します。たくさんの食材との出合いの中で初めて飲んだ高崎市の「栗本牛乳」の雑味のないピュアな味に衝撃を受け、どうしてもアイスクリームを作りたくなったそう。通常使われる乳化剤や安定剤は一切加えずに「栗本牛乳」、「与那国島の薪炊きの海塩」、「喜界島のきび砂糖」だけで作ります。食事のスピードに合わせて提供する1時間前にアイスクリームマシンをかけたできたてのアイスは史上最高とも言える極上のなめらかさと味わいを堪能できます。コースのプロローグとエピローグが白の世界だったのが印象的こちらに来てイチから創りあげることに魅力を感じたと話す石橋シェフ。温度感を最重要視するシェフの皿はすべてがミニマル。それゆえ、食材のよさとシェフの腕が問われるのです。日本人に馴染みのある和の要素を取り入れながらもしっかりとフランス料理に着地させている石橋シェフの感性と技術の高さは遠方からわざわざ足を運ぶ価値があります。その料理を完全に把握して魅力を十二分に伝える内藤氏のサービス力も素晴らしい。まもなく日本だけにとどまらず海外からも美食家たちが駆けつけるに違いない、そう思わせる店が誕生しました。メインのカウンターは6席、ダイニングは16席、21時からオープンするバーは12席という異なる3つの空間があり、シチュエーションにあった使い方ができるのも魅力ですcepages【エリア】前橋【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-
2023年08月08日フランス現地時間2023年6月20日、日本人シェフの関谷健一朗さんが、『フランス国家最優秀職人章 (Meilleur Ouvrier de France 以下、M.O.F.)』の授章式に参加しました。『M.O.F.』は、フランス文化において、もっとも優れた継承者たるにふさわしい高度な技術を持つ職人に与えられるフランス国家の称号。特に食の世界における『M.O.F.』は、フランス料理界最高峰の栄誉として知られており、受章に求められるものは優れた技術力はもちろん、伝統への敬意に加えて、技術を習得した上での高い革新性、美意識も考慮されます。関谷さんは、1924年以来、99年続く『M.O.F.』の料理部門の中で、フランス人以外では史上初の受章となりました。過去の『M.O.F.』の受章者には、ジョエル・ロブションさんをはじめ、世界的に著名なシェフが名を連ねており、関谷さんは「少しずつの積み重ねが、今回の受章につながったと思っています」と、コメントしています。今回、フランスの国家最優秀職人章という名誉ある章を頂けたことを、大変嬉しく思っております。今まで20年近く料理人として歩んできました。少しずつの積み重ねが、今回の受章につながったと思っています。また、このような章がいただけたのは決して私ひとりの力ではなく、サポートして下さいました多くの方々のお力添えあってのことです。ここまで支えてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。また、日本人である私をフランス文化の、いち担い手として認めて下さったこの国の方々にも、心から感謝致します。次の世代へと受け継がれていくのはその技術、知識、情熱、そして職人としての誇りだと思っています。この栄誉ある章をいただけたことをより一層の励みとし、私もそれらをしっかりと継承し、フランス料理の更なる発展のために努力したいと思っております。関谷さんは、ホテルでの経験を経て2002年に渡仏。2010年に、東京都の六本木にある『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』のシェフ着任にしました。2021年には、東京のミシュラン三つ星レストラン『ガストロノミー“ジョエル・ロブション”』の総料理長に就任しています。関谷さんが成し遂げた日本人初の快挙は日本でも報じられ、「おめでとうございます」「同じ日本人として誇らしい」と注目を集めました。なお、500名以上の応募者から今年、『M.O.F.』の料理部門の称号を得たのはわずか8名で、改めて関谷さんの功績の大きさを実感します。[文・構成/grape編集部]
2023年06月21日薪火が旨みを引き出す! 素材本来の味わいを際立たせた料理たち素材感を生かしたメニューに合う、ナチュラルワインをセレクト薪火を囲み、音楽やアート、ファッションが融合する唯一無二の空間薪火が旨みを引き出す! 素材本来の味わいを際立たせた料理たち2020年7月に日本橋兜町【Neki】、2022年11月に【songbook】をオープンした西恭平シェフ小田急線の東北沢駅から世田谷代田駅までを繋ぐ複合施設「下北線路街」が2022年に開業。新たな表情を見せる街、世田谷代田にオープンしたのが【songbook】です。駅から徒歩4分ほどで到着するや、目に留まるのはエントランスにぎっしりと積まれた薪。イノベーティブフレンチ【Neki】の西恭平シェフが、新たに手がけるのは薪火料理なのです。皮はパリッと焼き上げ、内側はふっくらと仕上げる火入れ。噛むごとにシャポンの旨みが広がる「シンプルな調理ゆえに、素材そのものの味わいを引き出せる」と薪火の魅力について語る西シェフ。その真骨頂とも言える一品が、メインディッシュの『鹿児島県産 シャポンの薪火焼き』です。『鹿児島県産 シャポンの薪火焼き』3,800円旨みが強く、脂のりがよい去勢鶏「シャポン」は薪火の強い火力で焼き上げることにより、皮はパリッと香ばしく、身は旨みを湛えたジューシーさに! 添えられた野菜は高知県「中里自然農園」から届いたもの。こちらも薪窯でローストして、輪郭のしっかりとした味を際立たせています。薪窯の強い火力で、香ばしく焼き上げられるピッツァこちらの看板メニューはピッツァ。メニューにはお馴染みの「マルゲリータ」などが並びつつ、「鹿肉/ししとう/モッツアレラ」「魚介/ビスク/セミドライトマト」といったピッツェリアでは決して目にすることがない具材を使っているのが西シェフ率いる【songbook】ならでは。『鴨コンフィ/ゴボウ/ビガラード/九条ネギ』3,000円3種類の小麦粉をブレンドした生地はふっくらもっちりとした口当たり。そこに鴨のコンフィ、ゴボウ、鴨と好相性のビガラードソースといったパンチのある味わいを重ね、フレッシュな九条ネギ、散りばめた実山椒がほんのりと爽やかなアクセントに。一口ごとに後を引くバランスのよさです。『イワシのマリネ/オレンジ/ディル』1,300円もちろん、薪窯料理以外のお楽しみもいろいろ。前菜の一品、銚子産の脂がのったイワシのマリネは、瑞々しい葉玉ねぎとオレンジ、ディルで爽やかに仕上げ、あしらったニンジンの彩りもよい一皿に。『バスクチーズケーキ/シャンティ/ブランデー』1,000円デザートにも薪火の力が生かされています。薪窯でじっくりと火を入れることで、ほっくりとした甘みを存分に引き出した、さつまいもを練り込んたバスクチーズケーキ。バスクチーズケーキの表面も薪火で焦がして風味よく、ブランデーがほんのりと香るシャンティで大人の味わいを楽しめます。素材感を生かしたメニューに合う、ナチュラルワインをセレクト薪火というシンプルな調理によって本来の味わいを引き出すからこそ、素材は各地から選りすぐりのものを取り入れています。<左から>「ドメーヌ・ジャン・フォイヤールモルゴン2020 コート・デュ・ピィ」、「ドメーヌ・ブルノ・デュシェンラ・ルナ ロゼ2021」、「グート・オッガウエメラム2020」素材の旨みあふれる料理に合うドリンクとして、国内外から幅広くセレクトしたナチュラルワインがメインに。ボトルは6,930円から、その日によってラインナップが異なるグラスは1,100円から揃えているので、家族や友人で好きなボトルを開けても、料理に合わせて様々なグラスワインを楽しんでもOK。お酒は他に、クラフトビール、ジンやウイスキーもあります。『自家製コンブチャ』770円ノンアルコールドリンクでは『自家製コンブチャ』に注目を。ライムやシークワーサー、フレッシュハーブのフレーバーが心地よく、前菜にはもちろん、しっかりとした味わいの肉や魚、ピッツァにもぴったり。ヘルシー派にも嬉しい発酵ドリンクです。薪火を囲み、音楽やアート、ファッションが融合する唯一無二の空間「料理はもちろん、音楽やアート、ファッションなどをリミックスしたリミックスした空間を楽しんでほしい」と西シェフ「レストランを構成する要素は料理だけではないはず」と語る西シェフ。確かに【songbook】では、レストランに足を踏み入れたときの高揚感とともに、ほっと寛いだ心地にもなれます。それは、どの席からも一望できる薪火のおかげ。オープンキッチンの中央に構えた薪窯で揺らぐ炎が、温かく迎えてくれるのです。薪窯を中央に構えたキッチンをゆるやかに囲むカウンターやわらかな弧を描くカウンター7席、窓際には2席、テーブル4席というコンパクトな空間では、パチパチと薪が燃える音、焼き上がりとともに広がる香りなど、料理が完成するまでのプロセスもお楽しみの一つ。空間に温もりをもたらす薪窯の炎登場した料理には、河合竜彦さん、田中直純さん、村上祐仁さんといった西シェフが選んだ作家たちのうつわが使われていて、さりげなく目を楽しませてくれます。店内の一角にはレコードプレーヤーが置かれ、西シェフがセレクトした音楽がやさしく奏でられているさらに内装は【wineshop flow】や【Kabi】などを手がける長田篤さんが、スタッフTシャツのデザインは音楽レーベル「Sound Sports」が担当。【songbook】をイメージしたバックプリントのスタッフTシャツグラフィックデザイナーのYUSUKE MURAKAMIさんによる【songbook】のキービジュアル料理、音楽、ファッション、アート……多彩なジャンルをミックスして、西シェフ曰く「自分のフィルターを通して再構築した」という【songbook】。薪火を囲み、料理を味わい、これまでにないレストランカルチャーを体感できる一軒です。songbook【エリア】下北沢【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】3000円【ディナー平均予算】9000円【アクセス】世田谷代田駅 徒歩2分
2023年05月18日西宮北口【ルーナプレヌ】夙川【フィオーレジャルディーノ】芦屋川【BOTTEGA BLU.】岡本【MASTERPIECEORGANICCAFE&BAR】岡本【trattoria 漣】西宮北口【ルーナプレヌ】ワインにもぴったりの創作料理。ホッと和むイタリアンフレンチカナッペや季節野菜のマリネ、ミラノサラミなど盛り合わせは日替わり西宮北口駅から徒歩3分というロケーションの【ルーナプレヌ】は、イタリアンフレンチのお店です。アラカルトを楽しむなら、まずは日替わりの『オードブル盛り合わせ』からスタートを。バラエティー豊かな7種の味わいでワインにもぴったり。夜のおまかせコースのリーズナブルさもうれしい限りです。何気なく雑貨が並べられた空間は心地よく、カフェのような気軽さ温かなウッド調のインテリアと、いろんな形のライトが自由に彩りを添える店内に配されるのはテーブル席。キュートな雰囲気は圧倒的な女性人気を誇り、パーティや女子会も盛んです。フレッシュフルーツが入った自慢の『自家製サングリア』でぜひ乾杯を。もちろんデートにもオススメです。ルーナプレヌ【エリア】西宮【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】5000円【アクセス】西宮北口駅 徒歩3分夙川【フィオーレジャルディーノ】産直の旬素材で描く本格イタリアン。パノラマ&厳選ワインも魅力海の幸のスペシャリテ『魚介たっぷりカチュッコ フィオーレ風』夙川駅から徒歩3分。【フィオーレジャルディーノ】は、六甲山周辺を一望できるビルの最上階というロケーションも自慢の一軒です。味わえるのは、高知直送という旬の魚介や和歌山の新鮮野菜といった厳選素材で四季を織り込む、コースを中心とした本格イタリアン。贅沢ランチも人気です。六甲山を背景にした街並みが目の前に広がる、窓に面したカウンター席窓際にカウンター席が並ぶ店内には、イタリアの食堂のような活気とアットホームな雰囲気が漂います。とはいえ、緑あふれる昼の眺望、夜景きらめくディーナータイムともに特別な時間を過ごすには最適。落ち着いたテーブル席も人気です。シェフの実弟がセレクトした厳選ワインも見逃せません。フィオーレジャルディーノ【エリア】夙川(しゅくがわ)【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】5000円【アクセス】夙川駅 徒歩3分芦屋川【BOTTEGA BLU.】「本場の味を、ちょっとだけカジュアルに」を貫く地産地消のイタリアン兵庫県産の食材をメインに、旬の魚介が楽しめる『本日の魚料理』本場イタリアで修業を積んだシェフが腕をふるう【BOTTEGA BLU.】は、芦屋川駅から徒歩圏内。地産地消をモットーに、兵庫県産の食材を中心としたこだわりのイタリア料理が満喫できます。パスタやパン、ソースなどはすべて手作り。自然の恵みが感じられる本場の味わいに触れてみてください。テーブル席の奥には、心地いいテラス席もセッティングやさしい配色の店内は、穏やかなアットホームな雰囲気。やわらかな陽光が差し込むなか、ゆったりとくつろいで過ごすことができます。ヨーロッパ産を中心にセレクトした、世界各国の自然派ワインも豊富。ディナーメニュー同様に日替わりで楽しめるグラスワインで、食事のひとときを彩ってみては。BOTTEGA BLU.【エリア】芦屋【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】3300円【ディナー平均予算】8200円【アクセス】芦屋駅 徒歩1分岡本【MASTERPIECEORGANICCAFE&BAR】隠れ家ビストロで出合う、心と体に響くこだわり素材のナチュラルフレンチコク深い味わいの『特選A5黒毛和牛ブルゴーニュ風赤ワイン煮』岡本駅から徒歩3分に位置する【MASTERPIECEORGANICCAFE&BAR】が供するのは、オーガニック食材をふんだんに使った身体に優しいナチュラルフレンチ。有機野菜だけでなく、A5国産黒毛和牛や備中高原地鶏をはじめとした有機畜産肉など、選び抜いた食材を駆使する逸品が堪能できます。4名が基本のテーブル席。デートにも使いたいオシャレさが魅力36名までのキャパシティを誇る半地下の店内は、やさしい日差しに包まれる温かな雰囲気。ドイツの古板をリユースした床は趣深く、白を基調とした空間をレトロに演出しています。ワインにも妥協せず、世界各国から集められたシェフ自慢のラインアップは見事。特別な時間に花を添えます。MASTERPIECEORGANICCAFE&BAR【エリア】岡本/本山【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】5000円【アクセス】摂津本山駅 徒歩2分岡本【trattoria 漣】和テイストと融合した洗練のイタリアン。飲み放題コースも話題の一軒旨みたっぷりの牛肉に、ピリッと刺激を与える有馬山椒がアクセント岡本駅から徒歩3分にある【trattoria 漣】で味わえるのは、和テイストの食材や調味料を融合した独創的なイタリアン。一軒。有馬山椒で豊かな香りを纏わせた『淡路牛ロースのタリアータ~有馬山椒のソース~』など、どこか馴染み深い味わいに仕上がった逸品が楽しめます。丹波篠山の契約農家の新鮮野菜など、素材にもこだわりあり。カジュアルさが魅力の店内。カウンターでは料理人との会話を楽しんでオシャレな空間に配置されるのは、オープンキッチンに面したカウンター席とテーブル席。片側がベンチシートになった座席も用意されています。ワインはもちろん日本酒までそろう酒類の幅広さから、飲み放題のプランも人気。デートに加え、パーティや女子会などに人気が集まっています。trattoria 漣【エリア】岡本/本山【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】1000円【ディナー平均予算】4000円【アクセス】摂津本山駅 徒歩3分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年05月08日パリを舞台にした『パリタクシー』がミニシアターランキング初週1位のヒットとなり注目を集めるフランス映画。間もなく公開の新作映画の中から、様々な視点によって「人生」をとらえた、5月5日(金・祝)公開のフランス映画3本をピックアップ!名曲の数々で巡る人生『ジュリア(s)』ピアニストとしての成功を夢見るジュリアの人生を、些細な偶然と選択の積み重ねで枝分かれし、交差する4つの人生として描くヒューマンドラマ。2010年製作の『ピアノ調律師』で、第37回セザール賞短編映画賞を獲得したオリバー・トレイナーが長編監督デビューを飾る。主演には『社会から虐げられた女たち』(21)や『ブラック・ボックス 音声分析捜査』(21)のルー・ドゥ・ラージュが務め、ラファエル・ペルソナ、イザベル・カレ、グレゴリー・ガドゥボワなどの演技派が脇を固める。名曲の数々で彩られる並行世界を辿る、ジュリアの4つの人生…。その選択とあらゆる可能性を肯定する、感動の「人生賛歌」だ。料理で世界を変える『ウィ、シェフ!』『パリ、ジュテーム』(06)、『イングロリアス・バスターズ』(09)、『インセプション』(10)、『ヒューゴの不思議な発明』(11)など、大物監督たちの下で助監督を経験し、初監督作『社会の片隅で』以降、移民大国フランスが抱える深刻な問題を社会派コメディとして発表してきた39歳のルイ=ジュリアン・プティが監督を務める本作は、実在のシェフ、カトリーヌ・グロージャンをモデルに物語を構築した、料理が人と人を繋ぐ物語。主演の「シェフ」ことカティ・マリーを演じるのはセドリック・クラピッシュ監督『フランス、幸せのメソッド』や、レア・セドゥ主演の『美女と野獣』(14)や日本でも大ヒットした『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(18)など、オールラウンダーとして大活躍のオドレイ・ラミー。親身で少し気弱な人のいい施設長には『唇を閉ざせ』(07)、『最強のふたり』(11)などのフランスの名優、フランソワ・クリュゼが扮する。わたしは母親で、娘で、恋人『それでも私は生きていく』第66回ベルリン国際映画祭で銀熊(監督)賞を受賞し、いまやフランス映画界を代表する存在となったミア・ハンセン=ラブ監督の8作目。自身の経験を基に“悲しみ”と“喜び”、正反対の状況に直面する一人の女性の心の機微を繊細に描き、“人生讃歌”とも言える上質なヒューマンドラマに仕上げた。中でも光るのが主人公サンドラを演じるレア・セドゥの存在感。彼女の起用について、「人間味のある人物としてカメラで捉えたかった」と監督が語る通り、複雑な心境を見事に表現し、第75回カンヌ国際映画祭にてヨーロッパ・シネマ・レーベルを受賞した。エリック・ロメール監督作品を思わせる陽光や草木の緑など、35ミリフィルムで撮影された温かみのある色彩にも注目だ。『パリタクシー』は全国にて公開中。『ジュリア(s)』『ウィ、シェフ!』『それでも私は生きていく』は5月5日(金・祝)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:それでも私は生きていく 2023年5月5日より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開
2023年04月23日このエリアには見どころが多く、そぞろ歩きするだけでも楽しいところ。そんな場所にジャン-ジョルジュの新店がオープンしたというので、ランチをいただきにきました。ジャン-ジョルジュ氏は世界的に有名なシェフで、経営者ですが、今回はシェフが自らキッチンに立ち、オリジナル・メニューを披露してくれるということで、期待に胸を膨らませてやってきました。コンテンポラリー・アートの中で味わう京風フレンチジャン-ジョルジュの新店【Jean-Georges at The Shinmonzen (ジャンジョルジュ アット ザ シンモンゼン)】はこの「The Shinmonzen」内にあります。受付を済ませ、ウエルカム・シャンパンを川風のここちよいテラスでいただきます。ほどよい広さのレストランではジャン-ジョルジュ氏自らが出迎えてくれ、案内される席につきます。うに、ツナ、ますのアミューズからスタートです。「一口で食べてください」とシェフ。ワインは今回でペアリングでお願いしました。そしてキャビアを乗せたハーブの香りのエッグ・トーストは、シェフのシグネチャーのひとつ。これも一口で、とシェフは笑いますが、キャビアの量を考えるともったいない。ゆっくりとシャンパーニュにあわせていただきます。真鯛のカルパッチョは春エンドウで飾られて出てきました。バターミルクのヴィネグレット・ソースはとても爽やかです。そして春を代表するアスパラガス。ヨーロッパの春といえばやはりこれですからね。温かいアスパラにシイタケ、シメジ、マイタケといったキノコ野菜のソース。すごく和のテイストを感じる仕上げになっています。アマダイが出てきました。サクサクの松かさ揚げにされたアマダイは中の白身がふんわりと柔らかく、皮との食感のバランスがすばらしい。これも和のテイストですね。添えられた甘い京人参はターメリックの香りをまとい、レモンとネギの爽やかなソースとの相性も面白い。京の伝統へのリスペクトとアップデートやはり京料理や、和のテイストが重要視されているのかと思っていたら、なんと、車エビがローストされ、そば粉にくるまれて揚げたものが出てきました。そば粉でつくるブルターニュの郷土料理のガレット風ですが、これは天ぷらそばの京風再構築かと思いました。メインは京丹波平井牛のテンダーロイン。キャラメリゼされた表面が美しく、また柔らかで旨みの凝縮した肉は、出していただいたワインと絶妙なマリアージュを見せてくれたのですが、出汁風ソースにマスタード……よく見ると、これおでんですよね。テンダーロインは厚揚げに見えてきました。これ箸で食べても面白いかもしれません。シェフはテーブルの各自といろんな話をしながら、一生懸命お皿を運んでくれます。気さくな人柄が伺えます。デザートは春の苺。球状のホワイトチョコを割ると中に柚子クリーム、ピスタチオのソルベが下に入っています。綺麗なデザートです。ホテルの宿泊者にはジャン-ジョルジュの朝食も提供するそうです。世界でこことロンドンだけだとか。「The Shinmonzen」はかなり高価なホテルではありますが、俵屋のような伝統的な宿の朝食を知る人には、またもうひとつアップデートされた京の伝統を味わえるのかもしれません。Jean-Georges at The Shinmonzen【エリア】祇園【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-
2023年04月13日東銀座【TROIS VISAGES】フランス料理赤坂【MAZ】ペルー料理虎ノ門【港式料理鴻禧(こうき)】中華料理乃木坂【西麻布野口】日本料理東銀座【TROIS VISAGES】フランス料理食材の生産者、スタッフ、ゲストの3つの顔をコンセプトに、食材への敬意が伝わる料理が魅力『エノキのソーセージ』日本やパリの星付き店で修業した國長亮平シェフが腕を振るうフレンチレストラン【TROIS VISAGES】。ディナー、平日昼のテイクアウト、土曜昼のアフタヌーンティーをイメージしたデザート主体のランチコースの3つの異なるシーンを展開しています。高知産の“極みえのき”を使用し、豚挽き肉と合わせて豚腸に詰めた『エノキのソーセージ』など、食材を敬愛する姿勢から生まれたスペシャリテにも注目です。くつろげるカウンター席店名の【TROIS VISAGES】は、フランス語で「3つの顔」の意味。「ゲスト」「スタッフ」「食材の生産者」を大切にするという信念が込められています。店内のメインに置かれているのはL字型のカウンターテーブル。ダイニングチェアや照明など北欧テイストのインテリアもスタイリッシュで心地よさを演出してくれています。厨房でのシェフの存在感を感じながら、とっておきのひとときを。TROIS VISAGES【エリア】銀座【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】7500円【ディナー平均予算】18000円【アクセス】東銀座駅赤坂【MAZ】ペルー料理日本の食材も織り交ぜペルーの生物多様性を表現、未来につなぐ『オーシャン・ヘイズ(海抜-14m)』2022年7月にオープンしたばかりの【MAZ】は「ラテンアメリカベストレストラン50 2021」で南米No.1に輝いた、【セントラル】のヴィルヒリオ・マルティネスシェフが、ペルーに伝わる食の豊かさを伝えるお店。厨房を取り仕切るのは、大学在学時からマルティネス氏のもとで食の研究に加わり、【セントラル】のヘッドシェフも務めたサンティアゴ・フェルナンデスシェフ。日本とペルーの食材で表現する、イノベーティブなペルー料理が味わえます。落ち着いたトーンの色味で揃えられた内観お店はペルーらしさあふれるスタイリッシュなファインダイニング。ペルー産の天然素材を使った寛げるインテリアは、「水との関わり」がテーマです。壁のオブジェは、ペルーの湿地帯に見られる葦の仲間・トトラ葦を使ったアートピース。また、栃と栗を使ったテーブルは、【セントラル】の美意識を日本の伝統素材で表現したものになっています。MAZ【エリア】永田町【ジャンル】その他各国料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】45000円【アクセス】赤坂見附駅 徒歩1分虎ノ門【港式料理鴻禧(こうき)】中華料理香港の名店の味を引き継ぐ実力店。臨場感あふれるパフォーマンスも魅力【福臨門】仕込みの技が生きる名物の逸品『クリスピーチキン』美食家垂涎の名店【福臨門魚翅海鮮酒家】。その味を引き継ぐ新店が、虎ノ門に店を構えた【港式料理鴻禧】です。腕を振るうのは“トミーさん”こと覃志光シェフ。東京、大阪、名古屋の【福臨門酒家】で14年半研鑽を積んだ手練れで、【福臨門】の味を彷佛とさせるのが、老鶏、金華ハム、豚赤身肉でとる香港の高級スープ“上湯”。数々の料理を引き立たせるベースとなります。また、『クリスピーチキン』も名物の一つ。パリパリの皮と身のジューシーさがこの料理の真骨頂。客の目の前で仕上げるパフォーマンスもご馳走です。にぎやかな雰囲気で楽しめるカウンター席提供スタイルは中国料理では珍しい、2部制の一斉スタートを採用。最初に、トミーさんからその日の食材や料理についての説明があり、それから宴がはじまります。オープンキッチンのカウンター席には安全のために設置された耐熱ガラスが。ここでトミーシェフが鍋を振る様子や『クリスピーチキン』を揚げていく過程などを、正面からじっくりと見ることができます。港式料理鴻禧(こうき)【エリア】虎ノ門【ジャンル】中華料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】30000円【アクセス】虎ノ門駅 徒歩5分乃木坂【西麻布野口】日本料理昔の仕事を大切にしつつ、新しさを加味した料理が持ち味『穴子の押し寿司』個性あふれる和食店がYを競う西麻布界隈に、2022年1月11日に産声を上げた【西麻布野口】。銀座【小十】や神宮前【樋口】で研鑽を積んだ野口正太朗さんの独立店です。料理は奇をてらわず、食材のピュアな旨みを活かした王道の構成。郷土料理や行事食など古い仕事を大切にしながらも、新しい食材や考え方を取り入れるようにしています。提供するのは、旬の食材にこだわった月替わりの「おまかせコース」で、先付からデザートまでメリハリのある全13~14品。数寄屋造りを彷彿とさせる空間入り口を開ければ、まずは掛け軸のかかった床の間が。花は食材同様に四季を慈しみながら、野口さん自ら活けるいます。その先に広がるのは、数寄屋造りをイメージした静謐な空間。清々しい檜のカウンターがあり、1日限定の8名が同時に着席できます。西麻布野口【エリア】西麻布【ジャンル】和食【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】29000円【アクセス】乃木坂駅 徒歩8分
2023年04月12日素材を主役に、丹精込めてつくり上げる美しいメニュー生産者との繋がりを大切にして、各地から仕入れた素材が自慢ゆったりと寛いで美食を楽しめる温かみに満ちた空間素材を主役に、丹精込めてつくり上げる美しいメニュー長谷駅から海岸側へ、歩くことわずか1分という好立地に江ノ島電鉄線・長谷駅を降りてから海岸方面へわずか徒歩1分。都心ならば喧騒がつきものの駅近ながら、潮風が抜ける心地よさを感じるところに登場したのが【Sirius】です。加藤光一シェフが手掛けるのは、鎌倉をはじめとする日本各地の食材を生かし、引き立たせる料理。そのためにとことん手を尽くす一皿は、はっとするような鮮烈さや余韻が続く奥深さに満ちています。まさに山海の恵みを楽しめるメニューの一部を紹介します。『鎌倉野菜のバリエ』には自然派ワイン「カステル・デル・ピアーノ ドゥルリンダーナ」がおすすめ鎌倉と聞けば、農協連即売所・通称レンバイに並ぶような彩り豊かな「鎌倉野菜」を思い浮かべる人も少なくないのでは? そのイメージをそのまま表した一皿がこちらのサラダです。ふんだんに盛り込まれた鎌倉野菜は、それぞれの持ち味を引き出すように異なる調理を施され、セロリや大葉、塩漬けレモンなどを使った数種類のソースを添えて。瑞々しい葉野菜はシャキッパリッ、時にほろ苦かったり微かな辛みがあったり。ごぼうの香りやかぶの甘み、いんげんの青々しい風味。一口ごとに野菜の個性が際立ち、楽しいスターターになっています。『太刀魚のフリット ベアルネーズソース』指5本以上の太さがあるものが称されるという“ドラゴン太刀魚”はフリットに。その日の朝に挽いたばかりの自家製スパイスをまとわせ、皮目はパリッと炙っています。卵黄やビネガー等からつくるベアルネーズソースは相性抜群。さらに、刻んだ金柑、トマトと豆鼓、バジルなどのソースをあしらい、ふっくら肉厚な太刀魚を重層的な味わいで楽しめます。『目鯛のミキュイ サフランソース』鳥取産の目鯛は皮目を炭火で香ばしく焼き付けたあと、オーブンでサッと火入れしたミキュイに。川俣シャモのだしをベースにしたサフランソースとともに口当たりよく味わいつつ、上に添えたアオモジの花、揚げた紫ケールと白ねぎがアクセントになっています。『鹿もも肉の炭火焼き レバーとハツのブロシェット』メインディッシュの鹿肉は、名立たるレストランが信頼を寄せるハンターのイナバジローさんが仕留めたもの。クレピネット(網脂)で包んで炭火焼きにすることで、ジューシーな旨みを湛えた仕上がりになっています。もも肉はVむごとに力強い味わいが広がり、レバーとハツはマッシュルームやキャベツとともにブロシェット(串焼き)スタイルに。レバーの濃厚な風味とハツのプリッと心地いい食感に質の良さを実感します。料理のみならず、自家製パンのおいしさも評判に料理のおともになるパンはお店で焼き上げ、スライスしてテーブルに供されます。外はカリッ、中はみっちりもちっとした食感が印象的です。『チョコレートとグランマルニエのスフレ トンカ豆のアイスクリーム』デザートにはチョコレートとグランマルニエのスフレを。オーブンから漂う香りを楽しみつつ、運ばれてきた焼き立てのスフレにスプーンを入れるとふわっふわ!口どけは優しくなめらか、そこにチョコのコク深さが広がります。アイスクリームはトンカ豆が甘く爽やかに香り、熱々スフレとのコントラストも楽しい一皿に。キッチンを目の当たりにできるカウンターは全7席料理はランチが3,850円から、ディナーが7,700円からのコースの他、アラカルトもラインナップ。フルコースでとっておきの鎌倉ディナーを堪能しても良し、リピート時にアラカルトからお好みメニューをピックアップして楽しんでも良しです。生産者との繋がりを大切にして、各地から仕入れた素材が自慢仕入れた食材、生産者さんの魅力について語る加藤光一シェフ料理について加藤シェフに尋ねると、まず一言目に挙がるのが「加藤さんのセロリ」「鳥取のジローさん」「網元の加藤さん」といった生産者さんと食材について。熱を込めて素材の良さを語る加藤シェフの料理は、驚くほど丹念で丁寧な仕込みから始まります。『鎌倉野菜のバリエ』を彩る野菜は、あるものはボイル、あるものはグリルして。さらにあるものはローズマリー、あるものはタイムを添えてマリネに。手間を惜しまず、すべて異なる調理を施されて出番を待っているのです。『鎌倉野菜のバリエ』になる野菜はそれぞれに違う調理法を駆使しているジローさんの鹿は、旨みがしっかりとしたもも肉の下味はシンプルに塩で、レバーとハツはエシャロットやガーリックを使ってマリネに。炭火にかけた後も、時折火から離して休ませつつベストな火入れを見極めています。「素材そのものがおいしいから、それらをどうすれば生かせるか考えている」という加藤シェフ。素材を見極めて、その持ち味を底上げするように手を尽くすからこそ、おいしさがストレートに伝わります。オープンキッチンで奮闘する加藤シェフの姿から、それを目の当たりにできるはず。クレピネットで包んだ鹿肉は火入れを加減しながら焼き上げるこだわりの食材については、都内レストラン時代に関係を築いた生産者さん、鎌倉を拠点にして生まれた地元のものを中心に、さらに「気候の変化などで生産地が変動しているので」と常にアンテナを張っているそうです。幅広くセレクトしたワインはグラス1,100円~、ボトル5,000円~そうやって仕上げられた料理に欠かせないワインは、フランスに限定せずにイタリアやポルトガル、日本のものまで幅広く揃えています。いいと思ったものをピックアップするスタンスは、料理の食材と同様。グラスワインも用意されているので、迷ったときは相談すれば料理に合わせて提案していただけます。ノンアルコールもハイエンドなレストランで支持されている【NON】や【YOI LABO】のドリンクがセレクトされていて、ペアリングで楽しむことができます。お酒が飲めなくても楽しめるので、海沿いドライブで訪れたときもご安心を!ゆったりと寛いで美食を楽しめる温かみに満ちた空間店を構えるにあたり、現地を見て即決したという物件は元お豆腐屋さんだそうです。打ちっぱなしの床にアイシーなグレーの壁を基調にした空間は、クールになりがちなのに何故か温かさに満ちています。友人のショップから「もらってきた」という木根はまるでオブジェのようエントランスの植え込みから店内のコーナーまでに配されたグリーン、オブジェのように吊られて柔らかい影をつくる木の根。壁はあえて天井とトーンの違うライトグレーを使い、そこにはアートが飾られています。明るくゆったりとしたスペースに配されたテーブル席植物、インテリアデザイン、アートはどれも加藤シェフのご友人によるものだそう。「開店にあたり、いろいろな人に助けてもらいました」という、人の繋がりによって完成した空間だからこそ、この温もりを感じるのかもしれません。イセンハムさん作のアートが空間を引き立てているさらにレストランという空間をつくるのは、ここを訪れる“ひと”。地元食材についておすすめの食べ方を教えてくれるご近所の人、加藤シェフの修業先【キャンティ】【ラ・ブランシュ】を古くから通い詰めた人、鎌倉エリアを観光するために足を延ばしてきた人。さまざまな人たちから「日々、刺激を受けています」と語る加藤シェフ。おおいぬ座の一等星でもある【Sirius】という店名は、シェフのお名前「光一」から由来したものだそうです。さりげなくも自身の名を冠した新星で、素材への思いあふれる料理とともに迎えてくれます。Sirius【エリア】鎌倉/逗子【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】10000円【アクセス】長谷駅 徒歩1分
2023年04月06日フランス映画『ウィ、シェフ!』が2023年5月5日(金・祝)に公開される。フランス映画『ウィ、シェフ!』フランス映画『ウィ、シェフ!』は、天涯孤独のシェフ・カティが同伴者のいない未成年者という意味の“UAM”と呼ばれる移民の子どもたちと料理で心を通わせ、彼らの生きていく道を支援していく様を描いた映画だ。移民大国フランスの実在するシェフ、カトリーヌ・グロージャンをモデルに物語を構築し、移民の子どもたちを調理師として育成する社会活動を題材にした社会派コメディだ。物語は、⼀流レストランのシェフだったカティが、⾃⽴⽀援施設に就職するところから始まる。施設⻑のロレンゾが「⼦供たちをアシスタントにしてはどうか」と提案したことから、カティは少年たちに料理を指導することに。それぞれが帰国できない事情を抱え、料理には全くの素⼈、そしてフランス語も苦⼿な少年たちは、カティの厳しい指導に反発しながらも、料理を覚えようと奮闘。一生懸命に取り組む少年たちと、カティは次第に心を通わせていく。主演にオドレイ・ラミー主人公のカティは、『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』に出演したオドレイ・ラミー。ミシュラン一つ星レストラン「アピシウス」と「ディヴレック」のキッチンで、シェフ2名から数か月間の指導を受けた後、撮影に臨んだ。移民の少年たちを支援する施設長のロレンゾには、『最強のふたり』の大富豪役で日本でも人気のあるフランソワ・クリュゼを起用。また施設で暮らす少年たちを演じるのは、実際にパリの移民支援施設で暮らす若者たち300人以上の中からオーディションで選ばれた40名だ。カティ・マリー…オドレイ・ラミー主人公・人付き合いが苦手な天涯孤独のシェフ。有名レストランを辞め、移民支援施設の料理人として働く。ロレンゾ…フランソワ・クリュゼ移民支援施設の施設長。カティと対立しながらも、全身全霊で少年たちを支援する。サビーヌ…シャンタル・ヌーヴィル住み込み教師。ファトゥ…ファトゥ・カバカティの親友。監督はルイ=ジュリアン・プティ監督は、タランティーノ、ノーラン、スコセッシほか⼤物監督たちの下で助監督を経験してきたルイ=ジュリアン・プティ。これまでも、移⺠⼤国フランスが抱える深刻な問題を、涙と笑いの社会派コメディとして発表してきた。映画『ウィ、シェフ!』あらすじフランスの港町、ダンケルク。料理番組「ザ・コック」で有名なレストランで働くスーシェフ・カティは、料理を勝手にアレンジされ喧嘩し、店を辞めてしまう。やっと見つけた仕事は、移民支援施設の住み込み料理人だった。日々、移民の少年たちの働き口を探している施設長のロレンゾは、カティ1人の料理人の人手不足を解消するため、少年たちを料理のアシスタントにすることを提案。カティは料理に関して全く素人の少年たちや、少年たちを守るロレンゾと接するうちに、本気で彼らを“一流の料理人”に育て上げたいと思うように。その真摯な姿勢が伝わり、移民支援施設に調理師専門コース新設話が持ち上がったが、資金不足の高い壁が立ちはだかる。そこでカティは因縁の番組「ザ・コック」に出場し、優勝賞金5万ユーロ獲得を決意。カティと少年たちの人生と夢をかけた、料理バトルが始まった……。【作品詳細】映画『ウィ、シェフ!』公開日:2023年5月5日(金・祝)原題:LA BRIGADE監督:ルイ=ジュリアン・プティ脚本:ルイ=ジュリアン・プティ、リザ・ベンギーギ・デュケンヌ、ソフィー・ベンサドゥン出演:オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ、シャンタル・ヌーヴィル、ファトゥ・キャバ、ヤニック・カロンボ、アマドゥ・バー、ママドゥ・コイタ、アルファ・バリー、ヤダフ・アウェル、ブバカール・バルデ配給:アルバトロス・フィルム
2023年03月30日贅沢な小旅行穏やかな春を感じさせる日でした。40階にあるレストランからは、東京のビル群が広く見渡せます。席に着くと、今日はシャンパーニュだけで料理の流れを構成するということで、「ベレッシュ・エ・フィス」のリストが配られました。「ベレッシュ・エ・フィス」はモンターニュ・ド・ランスで一番標高の高い1級リュード村で1847年より続く醸造家です。そして今回は5代目ラファエル・ベレッシュさんが来日し、自社のシャンパーニュを「ビオデナミで自然な味わいとテロワールを感じてもらうため、マロラティック発酵せずドサージュも最小限。ピュアな果実味を感じていただけるのでは」と説明してくれました。田中一行シェフのレストラン【racine】も近いことですから、シャンパーニュ地方のテロワールを感じるにはいい組み合わせです。さて、アペリティフとして出てきたのが、両シェフによるレンズ豆のシリーズでフムス、キャビア、チュールにはアマゴの畳イワシが添えられ、それとホロホロ鳥のタルトレット。シャンパーニュはピノノワール、ムニエ、シャルドネで構成されるブリュット・レゼルブのマグナムが注がれます。マグナムは瓶内の空気量が通常より多く熟成がゆっくりなのでよりおいしく感じます。アミューズはパースニップとセップを使った小皿と、もうひとつはタラバガニ。ボイルしたタラバガニにビネグリット、ヨーグルト、バジルのソース。これは田中シェフの手になるものです。田中シェフは、フランスで日本人として史上最年少でミシュラン2つ星に輝いた人で、ランスでは基本その土地のもの、大量流通しない地元の小規模生産者の食材やお酒を使うことで高い評価を受けています。綺麗な一皿です。蟹の香りが立ち上がります。合わすのはロゼ・エクストラ・ブリュット・カンパニア・レメンシス2018。タラバガニの凝縮した旨さを若々しいロゼが引き立てます。アントレはバターソテーしたホタテのポアロソース。トリュフの香りに包まれています。白そばの実が粘り気を出し、エシャレットとからんで面白いテクスチャーです。これはマルコンシェフのスペシャリテだとか。マルコンシェフはキノコの魔術師とか秘境の3つ星とか言われています。人口200人ほどのオーヴェルニュの小さな村に世界中の食通を呼べる実力者で、地元の伝統を重んじ、サステイナブル・キュイジーヌにも積極的です。シャンパーニュは、エクストラ・ブリュット・ル・グラン・プルミエクリュ2014。シャルドネとピノノワールですが、白亜の土壌のしっかりしたミネラル感がホタテによく合います。ヒラメの料理とウサギの料理が出るから、それに合わせてほしい、とエクストラ・ブリュット・アイ・グランクリュ2014が出されます。アイは村の名前で、ここのグランクリュを購入してつくった代表作のシャンパーニュです。ピノノワール80%、シャルドネ20%のパワフルなもの。「貝を煮詰めたブイヨンを感じる」とベレッシュさん。確かにマリンアロマのようなものを感じます。ヒラメの料理は田中シェフのもの。野菜の彩りが美しく、バターナッツのソースが薫り高く、どこかフランスの郊外の田園風景と重なってきます。田中シェフのレストラン【racine】では1回の食事で25皿ほどの料理を出し、月に一度そのメニューを変えるのだとか。またひと月のなかで日々変わっていくものも多いため、あえてスペシャリテのようなものは用意しないそうです。ウサギの料理はマルコンシェフのもの。竹串には肝臓、腎臓が。肩から腰にかけての肉はほうれん草に包まれ、円柱状に盛り付けられた肩肉など、あらゆる部位が雑穀の上で一体化して表現されています。これも同様に田園風景が広がります。そこにグランクリュを合わせます。これも素晴らしい土壌のなせる業でしょう。複雑味が豊かで余韻があります。テロワールとともに生きるそしてメインはうずらの料理です。田中シェフの手になるもの。美しいトリュフを纏い、優しい香りが立ち上がります。そこにブリュット・ルフレ・ダンタンのマグナム。「祖父の時代からつくっている手法でつくっています。熟成期間も短くすっきりしていますが、これがこの土地の昔ながらのシャンパーニュなんです」とベレッシュさん。テロワールとともに生きた生産者へのオマージュですね。温かく柔らかなうずらの料理に寄り添います。食事の余韻を残しながらのデセールは2品。パイナップルとココナッツの一皿と、林檎とモリーユの一皿。モリーユのデセールは珍しいかもしれません。蜂蜜でコンポートした林檎にモリーユが添えられ、マスカルポーネ、林檎のソルベ、栗のチュイル。モリーユのリキュールが添えられます。これも野趣に富むフランスの田園を感じます。ミルクリキュール、セップのマカロン、チョコレートタルト、林檎とライムなどミニャルディーズとコーヒーをいただいたころには、もう陽が傾き始めていました。厨房での作業を終えたシェフが出てきて、話を聞きました。午後の豊かな数時間、シャンパーニュとオーヴェルニュをめぐる小旅行でした。ベッラ・ヴィスタ【エリア】永田町【ジャンル】洋食【ランチ平均予算】6,000円 ~ 7,999円【ディナー平均予算】20,000円 ~ 29,999円
2023年03月28日