フランスのグルメと雑貨が集結するイベント「フランス展 2024」が、2024年7月30日(火)から8月11日(日・祝)まで、ジェイアール京都伊勢丹にて開催。なお、会期を7月30日(火)から8月4日(日)までの「パート1」、8月6日(火)から8月11日(日・祝)までの「パート2」の2期に分けて実施する。フランスのグルメがジェイアール京都伊勢丹に集結ジェイアール京都伊勢丹では5年ぶりの開催となる「フランス展」。会期前半の「パート1」では、ワインに合うフレンチデリを中心とした59ブランドが、後半の「パート2」では、パフェやアイスクリームなどをはじめとする47ブランドが登場する。そば粉で作るクレープ「ガレット」「パート1」に出店する「ブレッツカフェ」が贈るのは、ブルターニュ地方の伝統料理として知られる、そば粉で作ったクレープ「ガレット」。バスク産の生ハムや卵、トマト、チーズなどを入れ、香ばしく焼き上げている。香り高いソースで味わう牛ステーキ「カフェ ビストロ オーボンモルソー」からは、オーストラリア産の牛ランプ肉を焼き上げたステーキがラインナップ。玉ねぎのようなエシャロットが香るソースと、フレンチフライを添えて提供される。“カプレーゼ”のような桃のパフェ「パート2」に登場する「エンメ」は、桃のパフェ「すももももももなカプレーゼパフェ」を用意。福島県産の桃を使用しながら、スモモの甘酸っぱいソルベやバジルのブランマンジェ、オリーブオイルのミルクソルベを合わせた、まるで“カプレーゼ”のようなパフェだ。外は香ばしく、中はもっちりとしたカヌレ焼菓子専門店「ベイクショップ ビアンベイク」のカヌレにも注目。石川県の奥能登で生産される生乳を使用し、外側は香ばしく、内側はもっちりとした食感に仕上げている。フランスにゆかりのある雑貨もまた、フランスにゆかりのある雑貨も併せてラインナップ。フランスのコレクターから直接買い付けたジュエリーを揃える「シータアンティーク」、ポーチやインテリアなどを展開する「メゾン エ クレアシオン」といったブランドが出店する。【詳細】「フランス展 2024」会期:・「パート1」2024年7月30日(火)〜8月4日(日)・「パート2」2024年8月6日(火)〜8月11日(日・祝)時間:10:00〜20:00 ※8月4日(日)・8月11日(日・祝)は18:00終了場所:ジェイアール京都伊勢丹 10階 催物場住所:京都府京都市下京区東塩小路町〈出店例〉■「パート1」・ブレッツカフェ「ガレットバスク」1,851円 ※各日限定50点・カフェ ビストロ オーボンモルソー「ステーキフリット」2,750円 ※各日限定50点・カズベイク「桃とブッラーターチーズとスパイスのパフェ」2,401円 ※各日限定50点・シータアンティーク「後ろ姿 two cats シルバーブローチ」46,200円、「ターコイズブレスレット」77,000円、「ブラウンガラスイヤリング」30,800円 ※全て限定1点■「パート2」・エンメ「すももももももなカプレーゼパフェ」1,980円 ※各日限定50点・ベイクショップ ビアンベイク「能登牛乳『のとそだち』カヌレ」521円 ※各日限定200点・メゾン エ クレアシオン「トワルトジュイポーチ」各5,280円 ※各限定5点※8月5日(月)は切替日のため終日閉場。※写真はイメージ。【問い合わせ先】TEL:075-352-1111(大代表)
2024年07月20日フレンチの魚料理の定番「ポワレ」。レストランのメニューで見かけたことがある方もいるでしょう。しかし、似た料理に「ムニエル」や「ソテー」もあり、その違いを説明するのは難しいですよね。そこで今回は、「ポワレ」について詳しく解説します。また、人気のポワレレシピ【3選】のほか、ポワレと合わせたい前菜やスープなどのレシピ【8選】も厳選。おしゃれでカジュアルなおうちフレンチを楽しみましょう!■「ポワレ(poêlé)」とは?ポワレとは、フライパンで肉や魚をカリッと香ばしく焼き上げる調理法のこと。もともとは「poêle(ポワル)」という深めの銅鍋で調理していたことから、その名が付けられました。最大の特徴は「アロゼ(arroser)」という工程。フランス語で「水をまく」を意味し、肉や魚を焼いている間に出た脂やソースを食材に回しかけて焼きます。表面が乾燥するのを防いで皮目はパリッと仕上がり、両面からゆっくり加熱されるため、中はふっくらジューシーに仕上がるのです。ポワレにアロゼを取り入れるようになったのは、1970年代以降に、フランスで「ヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)」というスタイルが広まったことがきっかけです。それ以前はフォン(出汁の一種)を入れて、蒸し焼きにする調理法を指していました。■「ムニエル」や「ソテー」との違いポワレと同じような調理法に、「ムニエル」や「ソテー」があります。どれも「焼く」を意味する調理法ですが、どのような違いがあるのでしょうか。まず「ムニエル(meunière)」とは、魚に小麦粉などの粉類をまぶし、バターなどで焼く調理法です。食材の旨味や香りを逃さず、しっとりとした食感に仕上がります。レモンソースやバルサミコソースなど、ソースをかけて食べるのが一般的です。次に「ソテー(sauté)」とは、少量の油で肉・魚・野菜などを一緒に炒めながら焼く調理法です。食材はできるだけ薄く切り、フライパンを揺すりながら短時間で調理します。ポワレやムニエルと異なり、複数の食材をひとつのフライパンで一緒に炒めるのが特徴です。「ポワレ」「ムニエル」「ソテー」の違いを理解することで、フランス料理がより身近に感じられますよね。■おうちで絶品フレンチ【ポワレ】のレシピ3選鯛やスズキなどの白身魚はポワレの定番食材。おもてなしや特別な日のメインデッシュにいかがですか?・スズキのポワレ フレッシュトマトのソース あっさりと上品なスズキにトマトソースを合わせれば、簡単にプロの味。しっかりとアロゼをして、皮目はパリッと焼き上げましょう。見た目も華やかになりますよ。バジルの爽やかな風味を効かせれば、さっぱりと食べられます。・真鯛のポワレポテトのうろこ仕立て・アルベールソース 鯛にホタテのペーストを塗り、うろこに見立てたジャガイモのスライス貼りつけて焼き上げる、ユニーク&おしゃれな一品。ふんわりした身とホクホクのジャガイモが一度に楽しめます。アルベールソースを覚えておくとワンランク上の仕上がりに。・サンマのポワレ・バルサミコソース サンマをフランスの技法でアレンジ! パリッと香ばしく焼いた皮目にはしっかりと味があり食べやすいです。また、バルサミコソースがサンマの旨味を一層引き立てます。これまで塩焼き一択だった方は試す価値アリです。■ポワレの献立にプラスしたい【サラダ・スープ・副菜】レシピ8選・キャロットラペ フランスの家庭料理の定番「キャロットラペ」。ニンジン1本をせん切りし、マリネ液に浸すだけでOK。さっぱりした風味のなかにニンジンの自然な甘さが引き立って、食べ飽きないおいしさです。食卓に彩りもプラスできますよ。・豆とトマトのフレンチサラダ 角切りにしたトマトとミックスビーンズを和えるだけで、おしゃれなデリ風サラダが完成。フレッシュバジルを加えることで、風味と彩りもUP。さっぱりと食べられて、ポワレのお口直しとしても最適です。・アスパラと生ハムのサラダ ササッと作れる、主役級のごちそうサラダです。生ハムでアスパラガスとカッテージチーズを巻いていただきます。ポワレの隣に1品あるだけで食卓を華やぎ、おもてなしの前菜やワインのおともにおすすめです。・マッシュルームのポタージュスープ キノコの旨味が凝縮した、濃厚ポタージュです。シンプルな材料で手軽に作れます。ポワレに添えれば、おしゃれな一汁一菜の献立に。パンに浸して食べたり、暑い日は冷製にしたりするのもいいですね。・フレンチオニオンスープ 飴色になるまで玉ネギを炒めることで、甘みとコクがUP! カリッと香ばしいパンに、ジュワッとスープがしみ込んでボリュームも満点です。玉ネギは体内の油分を薄めてくれるため、ポワレとも好相性ですよ。・ニンジンとズッキーニのソテー ポワレの油分を考えて、付け合せの野菜のソテーはオリーブ油、白ワイン、塩コショウとシンプルに。素材の甘みや旨味が引き立ち、お酒も進みます。旬の野菜でアレンジしてみてくださいね。・レンジでラタトゥイユ フランス南部の郷土料理「ラタトゥイユ」とポワレは相性抜群! 栄養満点であっさりと食べられるため、レストランではポワレのソースとして活用することも。こちらのレシピはレンジで簡単に作れて、暑い日にもうれしいですね。・ジャガマヨグラタン マヨグラタンならソース不要! ジャガイモはあらかじめレンジで火を通すので、表面がカリッと焼き上げればOKです。マヨネーズのコクで簡単においしく仕上がり、サイドメニューとして大活躍します。フランス料理を作るのはハードルが高いイメージがありますが、「ポワレ」はフライパンで焼くだけのシンプルな料理なので、おうちでも気軽に挑戦できます。特別な日やパーティーのメインディッシュに、ぜひ作ってみてくださいね。
2024年07月14日博多【和創作兜】博多【なべやこの】呉服町【展望レストランLAPUTA】博多【東京恵比寿 串亭 博多くうてん】博多【西新初喜くうてん博多店】博多【和創作兜】旬の食材にこだわった完全予約制の創作料理店カウンター席や2名用の掘りごたつ席などデートに最適博多駅から徒歩5分、音羽公園近くのビル1階の創作料理店。扉を開けると和を基調としたレトロモダンな空間が広がります。赤を基調とした落ち着いた佇まいのカウンター席や2名用の掘りごたつ席など、デートにぴったりの席を完備。ゆったりとした雰囲気の中で、上質なひとときが過ごせます。旬の食材を使用『本日のお刺身の盛り合わせ』(コース料理の一例)提供するのは完全予約制のおまかせコースのみ。その日仕入れた食材からメニューが決まります。長浜市場直送の旬の魚介を使用した料理や、肉料理をアレンジした創作料理の数々は、見た目でも楽しめるものばかり。地酒や地焼酎、希少なワインなどお酒のラインナップも充実しています。和 創作 兜【エリア】博多駅周辺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】6,000円 ~ 7,999円博多【なべやこの】糸島産ネギたっぷりの『ネギ鍋』と一品料理やお酒を共に木の温もりを感じられる、活気に溢れた店内博多駅から徒歩2分。糸島産ネギをたっぷり使った『ネギ鍋』や『モツ鍋』など博多名物を楽しむことができます。カウンター席は店内中央にあるキッチンから伸びるようにコの字型に設計されており、どの席に座っても調理中の料理人やスタッフの姿を見ることができるため、居心地のよいアットホームな空間。山盛りの糸島産白ネギをじっくり味わう『ネギ鍋』和食を中心に、厳選された食材を使った料理を提供。名物『ネギ鍋』は、山盛りの糸島産白ネギが主役。鍋にサッとくぐらせた糸島産美豚もしくは鹿児島県産A5黒牛のリブロースで、ネギを包みながらいただきます。こだわりの焼酎や日本酒、果肉入り生チューハイなど、お酒のバリエーションも豊富。なべやこの【エリア】博多駅周辺【ジャンル】鍋料理【ランチ平均予算】1000円【ディナー平均予算】4000円【アクセス】博多駅 徒歩2分呉服町【展望レストランLAPUTA】夜景を眺めながら、絶品のフランス料理を堪能ラグジュアリーな空間で洗練されたおもてなしを呉服町駅から徒歩11分、福岡サンパレスホテルの最上階でベイエリアや博多の街並みを一望できるレストランです。全席が窓側に配置されており、どの席に座っても美しい夜景を望むことができます。隣の席との間隔も広く取られているためゆったり過ごせて、普段使いはもちろん、誕生日などの記念日にもぴったり。予算に合わせたさまざまなコースを用意フランス料理界で最高の名誉のひとつである「ディシプル・ド・オーギュスト・エスコフィエ」を持つ料理長による本格的なフランス料理をコースで味わうことができます。食材は九州産にこだわり、伝統を守りつつも時代を反映した逸品揃い。四季折々の旬の食材を使用しているため、訪れるたびに異なる味わいを楽しむことができます。展望レストランLAPUTA【エリア】博多駅周辺【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】3000円【ディナー平均予算】6000円【アクセス】呉服町駅 徒歩11分博多【東京恵比寿 串亭 博多くうてん】旬の食材の揚げたてを楽しめる、串揚げ専門店調理の様子を五感で楽しめるカウンター席JR博多シティの「シティダイニングくうてん」にある串揚げ専門店。ブラウンを基調としたシックで落ち着いた店内で、揚げたてをゆっくりと楽しむことができます。デートには、目の前で繰り広げられる臨場感を楽しめるカウンター席が最適。テーブル席や個室もあり、さまざまなシーンに対応しています。薄い衣でヘルシーに揚げた串揚げは軽い口当たり季節ごとの旬の素材を中心にこだわりの食材を用いた串揚げを料理人のオススメで順番に提供する『おまかせ』と、厳選食材や人気の串揚げを中心に前菜からご飯物、甘味まで楽しめる贅沢なコース『おきまり』の二本立て。赤・白・スパークリングのワインをはじめとした串揚げに合うお酒も充実しています。東京恵比寿 串亭 博多くうてん【エリア】博多駅周辺【ジャンル】和食【ランチ平均予算】1320円【ディナー平均予算】5000円【アクセス】博多駅 徒歩1分博多【西新初喜くうてん博多店】精肉店こだわりの国産肉をしゃぶしゃぶやすき鍋でブラウンでまとめられたシックな空間1934年創業の老舗の精肉店【肉の勉強屋】から始まった【西新初喜】が、JR博多駅直結「シティダイニングくうてん」にも出店。本店に併設された精肉店から仕入れる和牛は、こだわりの国産銘柄ばかり。シンプルでモダンな雰囲気の店内は大切な人と過ごすのにぴったりで、広々とした個室も6部屋完備しています。黒毛和牛と大分県産の豚肉をリーズナブルに。『上選 錦雲豚・黒毛和牛しゃぶセット』提供されるのは、上質な和牛など食材にこだわったしゃぶしゃぶやすき鍋。地元福岡をはじめ、九州各地の新鮮な野菜と共にお肉が味わえます。新鮮で臭みのない『熊本直送 特選馬刺』など、精肉店ならではの肉料理も豊富。本店とは一味違ったここだけのメニューも展開しています。西新初喜くうてん博多店【エリア】博多駅周辺【ジャンル】しゃぶしゃぶ・すき焼き【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】5000円【アクセス】博多駅 徒歩1分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2024年07月05日今年の夏、世界中から注目を集める国といえば「フランス」。現地に行くのは難しくとも、日本のホテルでフランスの朝食「プティ・デジュネ」を楽しみませんか?2024年7月1日(月)〜9月8日(日)の期間中、WHG(ダブリュー・エイチ・ジー)ホテルズの全国15施設で朝食フェア「Spice Up Your Morning ~旅するプティ・デジュネ〜」が開催されます。まるでフランス各地を旅しているような料理はどれもおいしく、朝が楽しみになるクオリティーでした!日本でフランス気分!WHGホテルズの朝食フェアWHGホテルズは「ワシントンホテル」「ホテルグレイスリー」の総称。今回は新宿ワシントンホテル 本館、秋葉原ワシントンホテル、東京ベイ有明ワシントンホテル、横浜桜木町ワシントンホテル、浦和ワシントンホテル、仙台ワシントンホテル、関空泉大津ワシントンホテル、広島ワシントンホテル、キャナルシティ・福岡ワシントンホテル、ホテルグレイスリー札幌、ホテルグレイスリー田町、ホテルグレイスリー浅草、ホテルグレイスリー京都三条、ホテルグレイスリー大阪なんば、ホテルグレイスリー那覇の15施設で朝食フェア「Spice Up Your Morning ~旅するプティ・デジュネ〜」が開催されます。各ホテルによって提供メニューが異なりますが、全施設の朝食ビュッフェで食べられる注目の一品が「クロワッサンペルデュ」。パンペルデュはフランス語で「失われた、硬くてダメになった」という意味で、そのまま食べるのではなく卵液に浸して食べることで、硬いパンもおいしく食べられるというフランスの知恵が詰まった調理法です。それをアレンジしたクロワッサンペルデュは外はカリッと、中はしっとり!コーヒーや紅茶と一緒に食べれば、優雅な朝のひとときを過ごせます。新宿ワシントンホテル 本館、秋葉原ワシントンホテル、浦和ワシントンホテル、東京ベイ有明ワシントンホテル、ホテルグレイスリー田町、ホテルグレイスリー浅草で提供される「キャロット・ラペ」はフランスの定番サラダ。細切りのニンジンにオレンジ・レモンの風味をまとわせたサラダで、シャキシャキ食感がとてもおいしかったです!「白身魚のソテー バジルソース」はフランス南部・コルシカ島の郷土料理。バジル、オリーブオイル、ガーリックソースで仕上げていて、私も試食したところ「おいしい!」と思わず口に出してしまったほどの味わいでした。魚の臭みを消すためにバジルやニンニクのほか赤ワインヴィネガーも使用しているそうで、しっかりとしたフレンチの技法が使われた料理を朝食ビュッフェで味わえるとは、本当に贅沢です。こちらは秋葉原ワシントンホテル、ホテルグレイスリー田町、ホテルグレイスリー浅草で食べられます。フランスといえばパンやスイーツも有名。新宿ワシントンホテル 本館、ホテルグレイスリー大阪なんばで提供する「カヌレ」はフランス伝統の焼き菓子です。バニラとラム酒の風味が香り高く、これをビュッフェで好きなだけ味わえるのもうれしい!今回の朝食フェアでは、各ホテルの地域と共通の文化や風土を持つ、フランスの各地方の料理を意識して提供されているのもポイントです。例えば港町に位置する横浜桜木町ワシントンホテルとキャナルシティ・福岡ワシントンホテルでは、同じく港町の「ニース」の名物「ニース風サラダ」を提供。トマト・ゆで卵・アンチョビ・ツナ・インゲン豆・じゃがいもなどたっぷりの具材を合わせたサラダで、オリーブオイルのドレッシングとともにオリーブの実がほどよい塩気をプラスしてくれます。こちらは秋葉原ワシントンホテル、ホテルグレイスリー田町、ホテルグレイスリー浅草でも提供されますよ。南国・沖縄の「ホテルグレイスリー那覇」で提供される「ナスのボニファシオ風」は、地中海に浮かぶコルシカ島・ボニファシオ市の伝統料理。焼いたナスにナスのペーストやハーブ、卵、パン粉、トマトなどを混ぜたものをのせて、再度オーブンで焼き上げる料理です。食べてみると、まるでお肉が入っているかのような満足感と旨味を感じ、初めての味にテンションUP!こちらは秋葉原ワシントンホテル、ホテルグレイスリー田町、ホテルグレイスリー浅草でも提供されます。クレームブリュレも美味。1施設限定メニューに注目今回の朝食フェアでは参加ホテル全体で合計約30メニューを展開。中でも、「そこに行かないと食べられない」1施設限定メニューがあります。例えば「ムールフリット」は仙台ワシントンホテル限定。フランス北西部の半島・ブルターニュ地方で人気の料理で、ムール貝とフライドポテトと組み合わせて食べるのがブルターニュ流です。プリッとしたムール貝と、フライドポテトを一緒に食べるという日本人には無い発想が面白い!バニラ風味のカスタードを低温で焼き、キャラメリゼをのせたプリン「クレームブリュレ」は浦和ワシントンホテル限定。ザクッと音が鳴るほどキャラメリゼはカリッカリで、なめらかなクリームと一緒に食べれば至福のおいしさでした……。たくさんのメニューを楽しむなら、新宿ワシントンホテル 本館へ全国15施設で異なるメニューが食べられるので、どこのホテルを選ぶか悩むところなのですが、「たくさんフランス料理を食べ比べしたい」という人には「新宿ワシントンホテル 本館」が一押し。クロワッサンペルデュ、キャロット・ラペ、ヴィシソワーズ、カスレ、ラタトゥイユ、ポテ、リヨン風サラダ、プロフィットロール、カヌレ、マカロンを朝食ビュッフェで食べることができます。新宿ワシントンホテル 本館は東京新宿の都庁に隣接し、新宿駅・都庁前駅からは地下道で行ける東京観光に便利なホテル。現在2024年末までに7フロア分の客室のリニューアルを段階的に進めていて、「リニューアルスーペリアツイン」など改装したての客室もおすすめです。改装した客室は「ReFa」のシャワーヘッド付き!まるでフランスに行った気分になれる、WHGホテルズの朝食フェア「Spice Up Your Morning ~旅するプティ・デジュネ〜」。秋葉原ワシントンホテル、ホテルグレイスリー京都三条以外の13施設では、宿泊しなくとも朝食のみの利用も可能です。おうち近くのホテルで朝食を楽しんでもよし、行ってみたかった観光地のホテルで旅行しながら味わってみてもよし。この夏は、日本でフランス気分を楽しんでみてくださいね。・WHGホテルズの朝食フェア「Spice Up Your Morning ~旅するプティ・デジュネ〜」HP:※事前の予告なく、期間・提供内容が変更になる場合がございます。※施設によっては提供していないメニューもございます。予めご了承ください。・新宿ワシントンホテル 本館「リニューアルスーペリアツイン」HP:(撮影・取材・文:小浜みゆ)
2024年06月29日7月WOWOWにて『ボンジュール!フランス映画の祭典』と題して、8本のフランス映画特集が放送・配信される。今回放送・配信されるのは、数あるフランス映画の中からWOWOW独自の切り口で厳選した40作品。映画史に名を刻む名作から誰もが知る定番作品まで、フランス映画ファンはもちろん、あまりフランス映画に馴染みのない人も楽しめる特集となっている。カトリーヌ・ドヌーヴや、リュック・ベッソンといった、フランス映画を語る上で欠かせないキーパーソンの特集のほか、【定番フランス映画5選】では、世界中で人気の『アメリ』や、ヌーヴェルヴァーグの不朽の名作『太陽がいっぱい』の4Kレストア版なども取り上げる。さらに、フランソワ・オゾンやセドリック・クラピッシュといった、現代のフランス映画界をけん引する監督の作品も放送。『私がやりました』『ダンサー イン Paris』といった彼らの最新作もテレビ初放送でお届けする。なお、本特集は放送後に全作品WOWOWオンデマンドでも配信される。<番組情報>『ボンジュール!フランス映画の祭典』【特集・作品ラインナップ】■巨匠たちが愛する女優 カトリーヌ・ドヌーヴ7月1日(月)~5日(金)・哀しみのトリスターナ・ロバと王女・うず潮(1975) [HDレストア版]・終電車・インドシナ [4Kレストア版]『ロバと王女』 (C)Ciné-Tamaris■超速タクシー始動!『TAXi』スペシャル7月7日(日)・TAXi・TAXi2・TAXi3・TAXi4・TAXi ダイヤモンド・ミッション『TAXi』 (C)ARP-TF1FILMS PRODUCTION -LE STUDIO CANAL+1997■フレンチ・ノワールの美学7月9日(火)~11日(木)・狼は天使の匂い・パリは霧にぬれて・夜の訪問者『狼は天使の匂い』 (C)1972 STUDIOCANAL - (C)1972 STUDIOCANAL - Meduza Distribuzione - Tous Droits Réservés■ヒットメーカー リュック・ベッソン7月15日(月・祝)・最後の戦い・サブウェイ・グラン・ブルー [オリジナル・バージョン]・ニキータ・レオン 完全版・フィフス・エレメント・ジャンヌ・ダルク・アデル/ファラオと復活の秘薬『レオン 完全版』 (C)1994 GAUMONT/LES FILMS DU DAUPHIN■ワールドシネマセレクション7月16日(火)~20日(土)・ウィ、シェフ!・エッフェル塔~創造者の愛~・シモーヌ フランスに最も愛された政治家・私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター・テノール! 人生はハーモニー『エッフェル塔~創造者の愛~』 (C) 2021 VVZ Production - Pathé Films - Constantin Film Produktion - M6 Films■唯一無二の世界観 フランソワ・オゾン監督7月21日(日)~26日(金)・私がやりました・すべてうまくいきますように・2重螺旋の恋人 [R15+指定版]・彼は秘密の女ともだち・危険なプロット・しあわせの雨傘『私がやりました』 (C)2023 MANDARIN & COMPAGNIE - FOZ - GAUMONT - FRANCE 2 CINÉMA - SCOPE PICTURES - PLAYTIME PRODUCTION■定番フランス映画5選7月22日(月)~26日(金)・太陽がいっぱい [4Kレストア版]・素直な悪女・突然炎のごとく(1962)・冒険者たち(1967) [4Kリマスター版]・アメリ『アメリ』 (C)2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILMS-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves■セドリック・クラピッシュ監督のエスプリ7月28日(日)~30日(火)・ダンサー イン Paris・猫が行方不明・青春シンドローム『ダンサー イン Paris』 (C)2022 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMAPhoto : EMMANUELLE JACOBSON-ROQUES全作品WOWOWシネマで放送放送後、WOWOWオンデマンドで配信詳細はこちら:
2024年06月18日洋食 富炉利× DEAR BUTTER SAND一日限りのスペシャルコースの全貌川手シェフがイベントにかけた思い洋食 富炉利(フロリ)× DEAR BUTTER SAND【フロリレージュ】の川手シェフが、自身初となるスイーツをプロデュースした【DEAR BUTTER SAND】が話題となり早くも1年。その1周年を記念したイベントが開催されました。情報解禁されてからも、気になるメニュー情報は「ハンバーグ×バターサンド」のみ。詳細は当日まで謎に包まれたイベントでありながら、予約開始からわずか1時間ほどで満席となり、その注目度が伺えます。一日限りのスペシャルコースの全貌テーブル上のディスプレイもイベント仕様そうして、期待に胸を膨らませながら訪れた当日。席まで案内されると、先に到着していたゲストらが同じように川手シェフの手元を眺めながら、目を輝かせていました。席について初めて、本日のコース内容がお目見えです早くもハンバーグを手ごねする川手シェフを横目に、ドリンクをオーダーします店内は、スタッフの方もゲストも心なしか高揚したようないい雰囲気で、皆笑顔でシェフらとの会話を楽しみながら、ハンバーグの登場を今か今かと待ち構えています。そうしていると1皿目がサーブされます。『ビシソワーズ』(左)と『グジェール』(右)『ビシソワーズ』とはじゃがいもの冷製スープで、中にはジャガイモのアイスと、上にバニラのオイルをたらして仕上げています。優しい口どけと柔らかい塩味が身体に染み込んでいくよう。バニラの芳醇な香りも絶妙です。一方『グジェール』とは、シュー生地にチーズを練り込んだブルゴーニュ地方の郷土料理で、中にはクリームチーズが入っていました。アペロにぴったりの、ワインが進む味わいです。『サーモン』続いてはスモークサーモンの前菜。サーモンの下にはトマトを合わせ、上からディル、レモンビネガーのドレッシング、ゆで卵には自家製マヨネーズを添えています。肉厚のサーモンと丸みのある酸味が調和して、最後はディルが爽やかに香り、夏の始まりにふさわしい一皿だと感じます。『ハンバーグ』には赤ワインを合わせてお待ちかねのハンバーグがついに登場です!見るからに肉肉しいボリューム感のあるビジュアルと、デミグラスソースの重厚な香りだけでご飯が食べられそうです。ちなみに、今回のイベントでご飯を提供するために炊飯器を新調して準備したそう。「デミグラスにはお米だよね」と。それだけでも川手シェフがこのイベントにかける思いの強さを感じます。お肉は、完全放牧で育てられている鹿児島県のブランド牛「里山牛」と黒毛和牛を半量ずつブレンド「これら全て自家製でつくっています。ハンバーグはもちろん、イチから手ごねです。実は“旨味爆弾”みたいなハンバーグは、和牛のラードを入れてしまえば簡単につくれるんです(笑)。しかしそうではなく、僕が心から愛する「里山牛」のひき肉と黒毛和牛を混ぜ合わせることによって、噛みながら味わいがジュワっと出てくるようなハンバーグをつくりたかったんです。火入れも、あえて中がロゼになるよう焼き上げています。そうすることで、肉の塊を食べているような感覚も味わっていただければと思いました」(川手シェフ)。デミグラスソースも、もちろん川手流。まずはフォンドボーからつくり初め、そこにさまざまなスパイスや香辛料を合わせ、濃厚なだけではなくコクや甘み、香ばしさを引き出します【DEAR BUTTER SAND】は2種類のフレーバーから好きな方をチョイスできますが、欲張りな私はプラス800円で両方をオーダーそしてデザートには【DEAR BUTTER SAND】。元祖『幸せの焦がしバターサンド』は、ボリューム感のある見た目に反してとてもなめらかでエアリー、一瞬の口溶けに驚きます。香ばしいガレットブルトンヌとふくよかな香りをまとったレーズンも至福で、あっという間に完食。「マロンショコラ」は、マロンペーストがずっしりで濃厚!マロン好きにはたまらない一口です。川手シェフがイベントにかけた思い瞬く間に至福のひとときが幕を閉じます。この短時間で【フロリレージュ】と川手シェフの魅力にどっぷり浸からせてしまう腕前には、尊敬の念を禁じえません。そんな今回のイベントにかけた思いを、川手シェフに伺いました。――まずはイベントを終えてみて、率直な感想をお聞かせください。川手シェフ:まずは無事にイベントを迎えられて、少しほっとしています。またたくさんの方にいらしていただき、【DEAR BUTTER SAND】のことが皆さまのもとに届きつつあるのかなと嬉しく思います。ハンバーグをメインに、いつもよりカジュアルなスタイルにしたことで、普段【フロリレージュ】に来られない方にもお店の魅力を知ってもらいたいと思っていました。今回、初めてお店に来てくださった方も結構いらっしゃって、その方々に「レストラン営業の時も来てみたいです」と多く言っていただいて、輪の広がりもあったように感じます。――メインをハンバーグにしたのは、どういう理由だったのですか?川手シェフ:自分の父親が洋食屋を営んでいたので、ハンバーグは僕が小さい頃から食べていたもので、本当に自分が好きなものなんです。それは【DEAR BUTTER SAND】の核にもなっていることです。僕にとって、ハンバーグとバターサンドは自分が好きなものの双璧なんです。自分自身の記憶を遡りながら、それらを繋ぎ合わせてイベントがしたいという思いでハンバーグに決めました。前菜についても、僕が「洋食屋の前菜」として思いつくものって意外と少ないんです。サーモンの前菜は、20年ぶりにレシピを引っ張り出してきました(笑)。最初のビシソワーズも、僕が料理人になりたての時につくっていたもの。そんな懐かしい繋がりの中で、形になるような料理を選んで構成しました。大盛況のうちに幕を閉じた「洋食 富炉利 × DEAR BUTTER SAND」。イベントを訪れた多くの美食家を唸らせた【フロリレージュ】と【DEAR BUTTER SAND】から、ますます目が離せません。【DEAR BUTTER SAND】DEAR = “親愛なる” 方と、この上ない幸せを分かち合える至高のバターサンド「DEAR BUTTER SAND」。「世界のベストレストラン50」、「アジアのベストレストラン50」入賞など、国際的に高い称賛を得ているフレンチの料理人、【フロリレージュ】川手寛康シェフの初プロデュース商品。縁起の良い六角形の“幸せの焦がしバターサンド”は、口にした瞬間に焦がしバターがとろけだす、新しいバターサンドに仕立てています。【フロリレージュ】「ミシュランガイド東京」や「アジアのベストレストラン50」など、輝かしい評価を得るフランス料理店。国内外の料理人や食通が注目する料理人・川手寛康氏が、二度目の移転を果たし、麻布台ヒルズを舞台に第3章をスタート。サステナビリティにも重きを置いた「プラントベース」で仕立てる料理は、誰もが知っている野菜を主役にしながらも、独自の感性が宿るものばかり。フロリレージュ(Florilege)【エリア】神谷町【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】15000円【ディナー平均予算】30000円【アクセス】神谷町駅
2024年06月12日“東京最幸の食体験”を提供するコンテンポラリーキュイジーヌフレンチミシュラン掲載店を含む飲食店を多数プロデュースする塩谷茂樹氏が、「今、東京で一番新しくおいしいフレンチ」を目指して新たなフレンチレストランを開業しました。店名の【アルギュロス】とは、ギリシア語で「銀」を意味する言葉で「慢心せずいつも金メダルを追い求める店にしたい」との思いが込められています。店内はカウンター8席のみの隠れ家的レストランです。プレートやテーブルにも銀を使用し、シックでありながらもラグジュアリーな雰囲気を演出していますシェフとしてキッチンに立つのは岡崎陽介氏。2003年に渡仏し、本場フランスの星付きレストランなと0で修行を積み、帰国後は名スペイン料理店【レストラン サンパウ】(※現在閉店)のエグゼクティブシェフやフレンチ【ラ メゾン ディセットゥドゥグレ】のシェフを歴任。そんな実力派のシェフと塩谷氏がタッグを組み、素材力とインスピレーションを武器に、ジャンルを超えたコンテンポラリーキュイジーヌフレンチに挑みます。ディナーコース36,300円からある日のコース一例“コーヒー”と“カヌレ”千葉大原の天然黒鮑の黄ワイン蒸し天城黒豚の肉まん本日特選素材毛蟹のタパス仕立てその日の料理直送のお魚をシンプルに時不知のサフランソースいぶさな牛炭焼きの辻農園白子筍添えその日のパティシエデザート2品プティフールとカフェ・茶北海道から即日出荷されて届いた毛蟹料理は10品のおまかせコースを提供。北は北海道・函館から南は長崎・五島列島まで、実際に足を運ぶことで生まれた、深い信頼関係がある生産者から毎日届く最高の食材を使用し、日本と世界の風土を描くよう料理を生み出します。今回はこのコースの中から一部を抜粋してご紹介します。“コーヒー”と“カヌレ”キャッチーなメニュー名に意表をつかれるアミューズ。カカオパウダーと黒ニンニクをベースに、少しの砂糖がほのかに甘みを感じさせる、お菓子ではなく前菜のカヌレと、濃厚で滋味深いすっぽんのスープのマリアージュからスタートします千葉大原の天然黒鮑の黄ワイン蒸し千葉県いすみ市の大原漁港から届いた立派な天然黒鮑黒鮑を使用した冷たい前菜。奥がシンプルな肝和えで、手前はハーブ、イタリアンセロリ、ミニオゼイユ、オキサリスなどのハーブと合わせていただきます。旨み、食感ともに最高です本日特選素材毛蟹のタパス仕立て【サンパウ】出身のシェフだからこそ、スペイン料理をオマージュして毛蟹はタパス仕立てで登場します。まずはむき身を、瀬戸内でつくられた魚醤とフェンネル(ウイキョウ)の芽と合わせて。プリップリの身に、すだちの爽やかとラベンダーオイルが華やかに香ります続いて小さな餃子のようなものが供されます。中には毛蟹の蒸し身、卵、生ハム、マイクロコリアンダー。ほろっと口の中でほどけて、毛蟹の旨みがジュワッと染み出します毛蟹最後の一皿はスープに。ベースはもちろん毛蟹ですが、隠し味にはバナナが入っていてほんのり甘みもあり、香味野菜がさらに毛蟹の味わいを引き立てています時不知のサフランソース魚料理はトキシラズ。春から夏にかけての季節外れに北海道で獲れる鮭です。皮はバリッと、身はミキュイに仕上げられ、シャープな印象の脂がしっかり乗り、身もフワフワで絶品です。付け合わせには福島県産のズッキーニとアスパラガスいぶさな牛炭焼きの辻農園白子筍添えメインのお肉は、年間10頭ほどしか出回らない宮崎県産の「竹の谷蔓牛」、23ヶ月の経産牛です。テールを煮詰めたシンプルなソースと、上からぶどう山椒を散らしています。付け合わせには、アク抜き不要で柔らかく旨み抜群の白子たけのこと、肉厚の小椋(おぐら)しいたけ「竹の谷蔓牛(たけのたにつるうし)」は特に赤身の質がよく、肉そのものの旨みが際立ちますその日のパティシエデザート旬のルバーブを使ったデセール。ルバーブをフレッシュ、ゼリー、シャーベットなど異なる食感にそれぞれ仕立てていて、その爽やかな酸味とローズゼラニウムの香りが印象に残りますメニューは食材によって、2ヶ月を目処に少しずつ変わっていくそう。季節ごとに、日本の豊かな風土を感じられる料理が、岡崎シェフの手によってどのように表現されるのかとても楽しみです。おいしいはもちろん、「最“幸”の時間だった」と思わせてくれる【アルギュロス】の今後に注目です。Argyros.【エリア】西麻布【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-【アクセス】六本木駅
2024年06月11日■『マカロンはキスの味』■今週のフランス語【bisou(ビズゥ)】=キスフランスでは挨拶で頬と頬を合わせて「チユッ」と音を立てるか、相手の左右の頬にビズゥをします。メールの最後の結びの挨拶として使うこともあります。作者 ムッシュー・タンのインタビューも配信中!【PROFILE】本名:Antoine Dole(アントワーヌ ドール)。フランスで累計1900万部を突破した大人気マンガ『Mortelle Adèle(毒舌アデル)』の著者。親日家でたびたび来日しており、お気に入りのスポットは上野公園。『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)でガドゥ誕生秘話が紹介された。
2024年06月11日ベーカリーやケーキ屋で人気な「クイニーアマン」はフランス菓子のひとつ。バターと砂糖をふんだんに使い、香ばしいデニッシュ生地が絶品です。出来立てのサクサク食感は格別。ぜひおうちで手作りしてみませんか?今回は、クイニーアマンの作り方をご紹介。「そもそもクイニーアマンって何?」という方のためにも、特徴や歴史についても解説します。また、フランスの人気お菓子やガレットのレシピ【7選】も厳選しました。午後のティータイムや朝食、ブランチにぜひお役立てください。■【クイニーアマン(Kouign-Amann)】とは?クイニーアマンとは、クロワッサンに似たパン生地に、たっぷりのバターと砂糖を折り込んで焼いたもの。一般的には円形や四角い形状で作られ、サクサクした層とキャラメリゼされた甘い外側が特徴です。フランス・ブルターニュ地方の伝統菓子であり、「アマン(Amann)」がバター、「クイニー(kouign)」がケーキを指し、「バターケーキ」という意味です。クイニーアマンは1850年代後半に、ブルターニュ地方のドゥアルヌネ(Douarnenez)という町のパン屋で誕生したとされています。当時小麦粉が不足した一方、バターが豊富に生産されていました。代替品としてバターを多く含む生地を焼いてみたところ、思いがけずおいしいパンが完成し、これがクイニーアマンの原型です。そして、ブルターニュ地方で人気を博し、フランス国内外で愛される伝統的な焼き菓子として定着しました。■焼き立てをおうちで【クイニーアマン】の作り方イングリッシュマフィン型を使うレシピです。生地は冷蔵庫で休ませながら伸ばすのがポイント。出来立てはサクッと香ばしく、バターの香りとグラニュー糖の甘みが口いっぱいに広がります。■ティータイムに【フランス菓子】の人気レシピ5選クイニーアマンのほか、フランス生まれのお菓子は多数あります。ここでは、簡単なものから中級者向けのレシピまで厳選。手作りのフランス菓子とともに、優雅なおうち時間を楽しんでみませんか?・ガレットガレットはフランス語で「丸く焼いたもの」という意味。発酵バターをたっぷり使って厚めに焼き上げ、リッチな風味とザクッとした歯ごたえが楽しめます。1枚で満足感があり、ワンランク上のクッキーを作りたいときにおすすめです。・ウフ・ア・ラ・ネージュフランス語で「ウフ」は卵、「ネージュ」は雪を意味し、茹でたメレンゲにカスタード風味のソースを添える一品です。ふわとろの口溶けがたまらなく、カラメルソースが全体の甘さを引き立ててくれます。余った卵白を消費したいときにも◎。・プルーンのファールもっちりとした食感のカスタード生地にプルーンを閉じ込めて焼き上げる、フランス・ブルゴーニュ地方の伝統菓子です。プルーンの酸味がいいアクセントになり、紅茶ともよく合います。・パン・デピスパン・デピスとは、「スパイスのパン」という意味で、シナモンやナツメグなどスパイスの良い香りが印象的。バターは使わず、ハチミツをたっぷり入れて焼き上げます。もっちりとした食感がやみつきになりますよ。そのまま食べてもおいしいですが、軽くトーストしてアイスを添えてもOK。・サントノーレ円盤状のパイ生地にカラメルシューを王冠のように飾り、中央にクリームを絞るケーキです。豪華な見た目で、フランスでは特別な日に食べられることが多いそう。やや難易度は高いですが、ひとつひとつの工程はそれほど難しくありませんよ。■朝食やブランチに【ガレット】の人気レシピ2選そば粉を使用したガレットはフランス・ブルターニュ地方の郷土料理。片面だけを焼き、フライパンの上でハムやチーズ、卵・野菜などをトッピングするのが特徴です。・たまご×キノコ×チーズのガレットマッシュルーム、マイタケ、シメジなどをハーブで炒め、たっぷりチーズと卵をからめていただきます。キノコの芳醇な香りが際立ち、爽やかなスパークリングや白ワインとも好相性。これだけで大満足できそうですね。・サーモン×クリームチーズのガレットサーモンやクリームチーズ、ベビーリーフや紫玉ネギを盛り合わせる、サラダ系ガレットです。アップル・ブランデーとも呼ばれる「カルヴァドス」の風味を効かせて、大人の味わいに。ヘルシーでおいしく、女子会や家飲みに良さそうですね。クイニーアマンは見た目も香りもすべてにおいて、そそられる要素がいっぱいです。ぜひ手作りして、焼き立ての香りとカリ&サク食感を楽しみましょう。また、美食の国「フランス」にはクイニーアマン以外にも魅力的なスイーツや料理が盛りだくさん。まずは簡単なものから挑戦してみて、プチ旅行気分を味わってみてくださいね。
2024年06月07日フランス人シェフと元デザイナーがタッグを組んだレストラン親しい人と普段よりちょっといい食事をして、非日常を味わいたい。そんな気分のときに、おすすめしたいフレンチレストランが東麻布にオープンしました。お目当ての店は、大通りから一本入ったビルの上階。温かな光がテラスの窓から溢れているところが、今回ご紹介する【OLINA】です。細い道路を入って上を見上げれば、人々を導く灯台のようなお店をすぐ見つけることができるでしょう。落ち着いた雰囲気のダイニング。オープンキッチンの気配を感じることができるこちらを営むのは、フランス人シェフのオリヴィエ・ガルシアさんとサービスを仕切るパートナーの高遠菜都子さん。オリヴィエさんはスペイン人の父とフランス人の母を持ち、オーストラリア、フランス、スウェーデンなど、ミシュラン星付きレストランを含む、様々なスタイルのレストランで経験を重ねてきました。一方、菜都子さんはファッションデザインを学ぶため2009年に渡仏後、トップメゾンでのインターンなどをしながらフランスで暮らしていました。スウェーデンでは Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)のデザイナーとして活躍していた人物です。シェフのオリヴィエ・ガルシアさん(右)と、サービスを担当する妻の高遠菜都子さん(左)レストランの扉を開き、席に案内されると、まず目に留まるのはスタッフのユニフォーム。一瞬“つなぎ”のように見えるユニークなデザインは、あまりレストランで見かけないタイプのもの。キッチンで料理に没頭するシェフ、ワインをセレクトしているソムリエ、料理を運ぶサービスマンなど働く人たちの姿を美しく魅せています。気になって尋ねたところ、実はこちら菜都子さんがデザインしたものだそう。Acne Studiosでもワークウエアをデザインしていた彼女にとって、“シェフもサービス担当も同じチーム。その境界線がないものをユニフォームにしたかった”という思いを込めたといいます。こうした、“ちょっと違う光るセンス”がこの随所に散らばっているのが【OLINA】の魅力。まったく違う道を歩んできた二人の経歴から生まれる感性やアイデアが、さまざまなところで感じられるのです。この日とどいた、タケイファーム・自然農園TOMからの野菜たち。みずみずしく、エネルギーに満ちています数多くの国でのバックボーンを持つオリヴィエは、実に好奇心が旺盛で柔らかい感性の持ち主。それは各国、文化の違うさまざまな人とコミュニケーションをとって磨かれてきたからこそでしょう。食材や器探しのために農家や工芸家を訪ね、ひとりひとりの話に耳を傾け、届いた食材や器を見るたびに、無限にインスピレーションが湧いてくるといいます。日本の四季を感じる、自由なフランス料理心地よい空気が流れているオープンキッチン加えてオリヴィエさんが日本で刺激を受けたのは、はっきりとした日本の四季。それぞれの食材が持つ、短くおいしい“ピーク”の旬の味わいを、自由自在に組み合わせ、料理に仕立てていきます。取材をしたのは4月も終わりのころ。この時につくってくれた「グリンピース」の料理には、いろんな生命が輝く海山の春を感じることができます。メインの食材はフレッシュで丸々としたグリンピースと、北海道で獲れる北海アサリでした。大粒のアサリはたっぷりとした食感を活かし、白ワインとエシャロットでサッとゆでたあとに備長炭で炙って香ばしく。グリンピースは皮を剥いて、シンプルに甘みを引き出しています。奥田誠二さんの信楽焼きに守られた『プチポワ・北海アサリ・発酵ビーツのピュレ』。土っぽい質感の和食器が、畑の土を連想させ、盛り付けられた料理のエネルギーを際立たせていますソースは、アサリをゆでたジュースに発酵ビーツのピュレを合わせて、旨みの奥行きを出したもの。そこにグリンピースと、アサリを盛り付け、豆苗をあしらい、グリンピースの鞘から作った泡をトッピング。豆苗の青い香りと、アサリの海の香り、そして炭火のスモーキーな香りが混じり合って、プチッとグリンピースを噛めば、春の甘みが口に広がります。わざわざアサリを炭火で炙ったのは、オリヴィエさんの春の思い出から。春になって温かくなると、親しい人と一緒に外でバーベキューをした記憶を、料理に写したかったのだそう。彼の料理は、真っ白な譜面に、自分の中から生まれる音符を紡いでいく曲のよう。オリヴィエさんは季節の食材を組み合わせながら、その時に生まれる感覚で新しい料理をつくっていくのです。『サクラマス・桜・白アスパラガス』コースの中盤に登場する魚料理は、季節の移ろいをそのまま現したような一皿でした。桜のチップで燻製をかけ、香りを移したオイルでコンフィにしたサクラマスがメイン食材。付け合わせの白アスパラガスは、さくらの葉の塩漬けを巻いて蒸し、添えています。ソースはブール・ブランですが、刻んだ桜の葉の塩漬けを入れてひと工夫。飾りのさくらんぼのピクルスとエディブルフラワーの下にはジュレが敷いてあります。これだけ桜の要素が一皿に盛り込まれているのに、料理から感じる桜の香りはほんのりと優しい。それはまるで散った花びらをそっと舞上げる春風のよう。そんな香りをまとい、しっとりと火が入ったサクラマスを、ソースの塩味と酸味が支え、ワインが合うフランス料理らしい骨格を作っています。この一皿から、オリヴィエさんが日本で初めて見た、はかない桜への思いを感じました。豊富なクラフトワインのラインナップも魅力『枝豆のミルフィーユ』デザートに登場したのは、この時期おいしくなる枝豆。こうした日本独特の食材を料理するのも楽しみの一つだとか。フランスでは冷凍のものは手に入るけれど、フレッシュないいものはないとのこと。この時期に手に入るぷっくりとした枝豆は、フレッシュな香りと、まるい甘みを活かし、可愛らしいミルフィーユになって登場します。とある日の、ペアリングのラインナップまた、ソムリエ・常盤 努氏が選ぶクラフトナチュラルワインのラインナップも見逃せません。欧州のワイナリーが中心ですが、少量しか生産していない希少なワインも多数あり。ペアリングは、最初はシャンパンまたはジントニックのチョイス。途中には貴醸酒の日本酒なども登場する幅の広いラインナップです。料理同様、従来の型にとらわれない自由な発想から生まれるペアリングの提案は、とても魅力的。オリヴィエさんのつくる、心地よい料理と、いいワイン。上質なのに、心が解けるような柔らかな空気が流れている【OLINA】は、大切な人といい時間を過ごしたいときに訪れたくなる場所です。OLINA【エリア】麻布十番【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】15000円【ディナー平均予算】18000円【アクセス】麻布十番駅 徒歩3分
2024年05月22日木の温かみを感じるノルディック・スタイルの空間食の未来を考えたSDGsなフレンチを探求シニアソムリエが200~300種のワインをセレクト木の温かみを感じるノルディック・スタイルの空間ガラスの向こうにあふれる緑を眺めながらの食事をゆったりとJR原宿駅から徒歩7分の場所にある、「持続可能なガストロノミー」を発信するレストラン【ラ・グランド・メゾン東京】。ランチ、ディナー共に繊細でクオリティの高いコース料理が堪能できます。食材へのこだわりはもちろん、熟慮された流れや構成に満足のひととき。記念日や誕生日はもちろん、特別感を味わいたい日に訪れたい一軒。自然環境を考えたナチュラルでいて上質な内装大きな窓から外を眺めると緑の森が広がり、都会の喧騒を忘れさせてくれます。木の温もりを感じる木目を活かしたテーブルなど、ノルディック・スタイルの空間が癒やしを与えてくれます。シックで上質な雰囲気漂う個室も完備されているので、シーンに合わせて利用してみては。食の未来を考えたSDGsなフレンチを探求全国の旬素材を中心に、フランスをはじめ世界各国から取り寄せた調味料を駆使。SDGsを念頭に置きながら、食材を余すところなく表現できるよう多彩な技法で調理します。ランチとディナーで、素材本来の魅力を満喫しませんか。その中でも、お店オススメのメニューを3品紹介します。『ホウボウ津本式サフラン』季節の魚をふっくらとした食感に仕上げる厳選した旬の鮮魚、サフランスープ、ジュリアンヌ野菜を同時に楽しめるのが魅力。美しい色のサフランスープは、目の前で注いでくれるのでふわりと立ち上る香りにうっとり。魚のやさしい味わいが広がります。『鴨椒ポワヴラード』鴨肉にポワヴラードソースを合わせたメインの肉料理シェフがその時々で選ぶ産地の鴨肉をじっくりとロースト。そこにフォンドボー・赤ワイン・ポルト酒などを煮詰めたグリーンペッパーのポワヴラードソースを添えます。鴨と相性抜群のソースを、季節の根菜の付け合わせにもからめながらどうぞ。『長野紅玉タルトタタン黒文字』ウイスキーやカルダモンの香りがふわり広がる酸味を活かした林檎のタルトタタンを主役に、さまざまな香辛料や香りを効果的に使った繊細なデザート。黒文字で香りづけしたアングレーズのアイスクリームを添えています。マルスウイスキーのソースを口に一緒に運びながら、味の変化を楽しんで。シニアソムリエが200~300種のワインをセレクト料理の内容に合わせてワインをペアリングしてみてはワインはスクールの講師やワイン関連書籍の共同執筆などの経験を持つシニアソムリエが選んだ銘柄がずらり。200~300種もの中から料理と合わせた提案をしてくれて、さらにノンアルコール希望の場合でもオススメのドリンクを教えてくれます。これからの時代を考え食材への取り組みに注目したいフレンチレストラン。「持続可能なガストロノミー」を目指し、素材の魅力を最大限に活かした料理の数々は視覚でも楽しめる美しさ。シニアソムリエの目利きによるワインと共にじっくりと味わってみては。料理人プロフィール:若月佑太さん1992年東京都生まれ。高校生の時に料理を始めたことが料理人を目指すきっかけに。栄養士の資格を取得した後、本格的に料理の道へ入る。イタリア料理店で5年間研鑽し、個人で出張シェフなどを経験。その後、ワインを中心としたバルをオープンし、渡仏してさらに技術を磨く。帰国後、【ラ・グランド・メゾン東京】へ。現在は、料理長として活躍している。※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。ラ・グランド・メゾン東京【エリア】原宿/明治神宮前【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】明治神宮前駅 徒歩5分
2024年05月17日【タワシタ】、【Äta(アタ)】で腕をふるった実力派シェフ食材への敬意によって突き動かされた、“コンポスト”への取り組み生産者と食べ手を優しく繋ぐ“ひと手間”【タワシタ】、【Äta(アタ)】で腕をふるった実力派シェフ白金高輪駅から徒歩3分。スタイリッシュながら温かみのある店内は、カウンターでシェフとの会話を楽しむもよし、半個室に仕切られたアンティークのテーブルで集うもよし。「基本はワンオペなので、テーブル席で4名の予約が入ったらカウンター席は2名まで」と、あくまで松野さんの目と手の届く範囲で、丁寧に向き合います。シックなオープンキッチンと、6席のカウンター松野さんが料理の世界を目指したきっかけは、中学生の頃に訪れた地元・山梨の町中華。中華鍋を勢いよく振る料理人の姿を見て、「自分もやってみたい」と憧れを抱いたといいます。「母親の料理の手伝いから始まり、中学校時代からずっと料理人になりたいと考えていました。高校には行かず、京都へ修業に出ようと思っていましたが、両親がともに地方公務員だったこともあり、当時は反対され(笑)、折り合いをつけるためにも高校・大学は卒業しました。大学3、4年も日本料理店で働いていましたし、一度は就職してみたものの、勤務帰りもその日本料理店でアルバイトをしていて、どうしても諦めきれず、1年で退社して料理の道へ進みました」オーナーシェフの松野 敦(マツノ アツシ)さん。1984年、山梨県生まれ。大学卒業後、25歳から料理人の道へ進み、2023年11月10日、【atti(アティ)】をオープンその後、「大好きなデザートづくりも学びたい」という好奇心から、フランス料理へ転向。フィリップ・バットンさんがオーナーを務める麻布十番の【ル・プティ・トノー】など人気フレンチレストランを経て、28歳から赤羽橋【タワシタ】でスーシェフに就任します。「【タワシタ】は、食材に対する考え方や、農家さんをはじめ生産者さんと“一緒に作る”という感覚を身をもって体験した場所。自分の今の料理のベースができたと思ってます」適度に仕切りを持たせた半個室仕様のテーブル席。インテリアを手掛けたのは、都内を中心に【Kabi】などの人気レストランを手掛ける長田 篤氏食材との出合いは、紹介はもちろん、全国の道の駅や八百屋を松野さんが自ら巡り、おいしいと思ったら記載されている生産者の方へ連絡をとり、「伺っていいですか」と開拓を重ねているといいます。「料理人がもつ知識だけでなく、農家さんに「これはどういう風に料理するとおいしいですか」と直接聞いてみると、思いもよらなかった調理法があったり、やはり生産者の方が一番おいしい食べ方を知っていることが多いんですよね。だから、一緒に食材のお話を聞いて、一緒に作らせてもらっているという感覚なんです」【atti】のカウンターもオープンキッチンを採用。ひとりでの食事も気負いなく楽しめる居心地のよさその後、2020年まで2年ほど勤めた【Äta(アタ)】では、シェフとして腕を振るった松野さん。人気店のカウンターキッチンを通して、お客さまの声や表情からダイレクトに感想が伝わってきたといいます。食材への敬意によって突き動かされた、“コンポスト”への取り組み松野さんが「“顔の見えるもの”しか使いたくない」と話すように、食材への敬意によって突き動かされたのが、生ゴミを堆肥化する“コンポスト”への取り組みです。野菜の皮やだしガラ、使い切った端材は、まとめて乾燥させ、ミミズや微生物などの働きを活用してコンポストに。自身が手掛ける家庭菜園の土に撒いたりと還元するそう。「自己満だと思うんですが、手間が少しかかっても、生ゴミを出すより、こうしてコンポストにすることで、自分も気持ちよくなるんです」と松野さん端材は野菜のだし取りに混ぜたり、最終的に乾燥させて野菜パウダーとしてパンに混ぜ込むことも。写真は、松野さんが国内外の約30種の小麦粉を取り寄せて、配合を研究して行き着いたという自家製カンパーニュ。表面はハード系、中はふわふわの食感「函館の農家さんを訪ねたときに、コンポストを行っている土の中に手を入れさせてもらったところ、土がめちゃくちゃ熱くて! 自然の力を実際に体感したのが大きいきっかけになりましたね。大人になって知ったのですが、実家でもお米を作りながらコンポストをやっており、一気に身近に感じて、もうちょっとその先も知りたいし、やってみたいと自然と思ったんです。おかげで、うちのお店では野菜のゴミは一切出ないんです」コース料理の前菜『桜鱒(サクラマス)と紅芯大根のジュレ』は、アクセントにした緑のソースが、カブや紅芯大根の皮、大根の葉など端材をミキサーでおろしたもの。函館で獲れた桜鱒(サクラマス)は軽く燻製し、紅芯大根のジュレと、紅芯大根のシャーベットでいただきます。春らしい一皿は、シャーベットの口どけと、スライスしたカブや大根の食感が、爽やかなコントラストまた、岐阜の橋場農園さんから卸してもらっている「天恵菇(テンケイコウ)」 という、ステーキしいたけと菌床しいたけ、干ししいたけを使った一皿は、それぞれの石づき部分や軸までソーセージに混ぜたり、煮出してソースにしたりと、余すことなく使用。ソーセージに混ぜた菌床椎茸は、あえて荒くミンチにすることで、香り・味わい・食感の全てでしいたけを感じられる仕上がりです。「天恵菇」は日本酒で水分を補いながらじっくりロースト。ぎゅうと肉質が詰まり、アワビのような食感はまさにステーキ凝縮したしいたけの旨みを、洗練された味わいに昇華しているのが、山梨の契約農家が無農薬で育てる柚子を使った「塩柚子」。塩に漬けて発酵させた「塩柚子」は、柔らかな塩みと香りが特徴で、まろやかな味わいに一役買います。「たくさんの要素を重ねた一皿も好きなんですが、何を食べてるか分からない料理にはしたくない。例えば「ここのしいたけがすごくおいしいから、しいたけのおいしさをきちんと味わってもらえる料理を作りたい」という想いが強くなってきて、食材を邪魔するパーツはできるだけ削っています」主役に引けをとらない新たまねぎは、以前旅した淡路島で出合ったという「浅田農園」のもの。一層一層の厚みもさることながら、甘みや瑞々しさも格別3品目は、北海道・十勝から仕入れている銘柄豚「蝦夷(えぞ)豚」。赤身メインの珍しい豚肉は、牛脂と豚脂で1ヶ月ほどコーティングして熟成をかけることで、しっかりとした旨みを蓄えています。ソースはフォンドボーベースに、白ワインとトマト、ペッパーとタイムを合わせた爽やかな味わい。オマール海老、ハマグリ、イカ、ムール貝からそれぞれだしをとり、絶妙なバランスで合わせた後に、煮詰めてソースに最後は、102週間熟成させ、プリッと弾力を増したサメカレイと、4種類の魚介のだしを使ったソースに、バニラの泡を合わせた魚料理。メニューは、夜は9品で12,000円(サービス料別)のコース1本。ランチにはそれに加えて、5,500円と6,600円のショートコースもあります。生産者と食べ手を優しく繋ぐ“ひと手間”また、昼夜ともにコースのみで展開される【atti】では、ワインペアリングにも注目。「ナチュールだからで選ぶのではなく、おいしさ重視で選んでいます」というこだわりに加え、希少なラインナップも、松野さんが意識している部分だといいます。「流行りのお店に行くと、だいたい同じ銘柄のワインを紹介されることが多いなと感じていて……。もちろん流行りはあると思うんですが、お客さまの立場になって考え、飲んだことがないワインや、なかなか置いてなさそうなワインのなかで、おいしいものを選ぶようにしています。固有品種が多く、ジョージアワインに替わり世界最古のワイン産地として注目を集めている、アルメニアのワインなどもオススメです」ワインペアリングは、6杯で7,700円(サービス料別※一皿目のシャンパンを除く)。写真左から2番目が、世界のワイン関係者が注目するアルメニア最高峰の造り手・ゾラ・ワインズの「カラシィ 2018」最後に、コース一本で勝負する松野さんにとってのこだわりを伺うと、その答えは「塩分」だといいます。「もちろんお酒は飲んでもらえたらありがたいですけど、今は飲めないお客さまも多いですし、うちではお酒を飲ませるために塩分を強くしたりしません。どんな方にも気持ちよく食事していただけるように、例えば「天恵菇」のステーキとソーセージに使用した「塩柚子」や、発酵させた梅干しなどで、コース全体で使用する塩分量を調整したり、乳酸菌の発酵ドリンク「コンブチャ」で柔らかな酸味を引き出して、ビネガーの代わりに使用するなど、ひと手間かけることで、塩みや酸味をバランスよく調整しています」生産者と食べ手を優しく繋ぐ、松野さんならではの料理。穏やかな味わいながら、食べ手に強烈なインパクトを残してくれるはずです。atti【エリア】白金/白金台【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】7000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】白金高輪駅 徒歩3分
2024年05月13日特別メニューはハンバーグ×バターサンド!?世界が注目するレストラン【フロリレージュ】口福になれる『幸せの焦がしバターサンド』の魅力特別メニューはハンバーグ×バターサンド!?「あの【フロリレージュ】の川手シェフが、ついにプロデューススイーツを発売するらしい!」と話題になったのが2023年の5月。その【DEAR BUTTER SAND】の話題は、大きく業界を賑わせました。早くも1周年を迎えようとする現在もなお、多くのグルマンたちから手土産に、自分へのご褒美にと選ばれ続けています。その1周年を記念したイベント「洋食 富炉利 × DEAR BUTTER SAND」が、川手シェフの名舞台【フロリレージュ】にて1日限りで開催決定!注目のメニューは、川手シェフ自らがつくる特別なハンバーグ×『幸せの焦がしバターサンド』という、文字通りこの日ここでしか楽しめない内容で目が離せません。予約開始は2024年5月14日(火)16時を予定しています。世界が注目するレストラン【フロリレージュ】ある日のメニュー『茄子』「ミシュランガイド東京」や「アジアのベストレストラン50」など、輝かしい評価を得るフランス料理店【フロリレージュ】。2023年秋、2度目の移転となる麻布台ヒルズを舞台に第3章をスタートさせました。サステナビリティの一つとして動物性食品を減らし、野菜中心の「プラントベース」で仕立てる料理は、誰もが知っている野菜を主役に、独自の感性が宿り、多くのフーディを魅了しています。麻布台ヒルズでの新たな店内は「ターブル・ドット」のスタイルで13メートルのテーブルに調理スペース、バーステーション、客席がフラットに並び、ゲストと共に一つの大きなテーブルを囲むような「ターブル・ドット」は、長年の構想が実現したもの。より川手シェフの思いがお皿に伝わりやすいスタイルになりました。国内外から多くの注目を集める料理人、川手寛康氏。1978年生まれ、東京都出身。2009年、南青山に誕生した【フロリレージュ】は2015年に神宮前に移転し、2度目の移転は、2023年秋に開業を迎えた麻布台ヒルズへ。「詩華集」を意味する店名と、料理人を志した時以来抱き続けている思いはそのままに、「ターブル・ドット」と「プラントベース」という二つのコンセプトを掲げ、新たな幕を開けた口福になれる『幸せの焦がしバターサンド』の魅力そんな【フロリレージュ】の川手シェフが、自身初の洋菓子をプロデュースしたのが【DEAR BUTTER SAND】。幼い頃から大好きだったバターサンドを、フランス料理人ならではのフィルターを通して手掛けました。「クオリティの高い洋菓子に出合うと感銘を受けます。しかし、なかなか出合えるものではありません。バターサンドには、もっとおいしくなる伸びしろがあると感じ、フランス料理のフィルターを通して、感動してもらえるバターサンドをつくりたいと考えました」。バターサンドを構成する、サブレ生地、バタークリーム、レーズン全てにこだわったからこそ実現した唯一無二の味わいサブレ生地には、ブルターニュ地方の伝統菓子であるガレットブルトンヌをセレクト。ガリッと硬めの歯応えを感じると、驚くほど軽やかな口溶けが待っています。バタークリームには焦がしバターを採用し、よりフランス的な味わいに。ラムレーズンには、沖縄の「イエラム サンタマリア ゴールド」を使用。オーク樽で熟成することで生まれるふくよかな樽香が奥深さをプラスしています。2024年1月には、カカオと和栗、至高のマリアージュを楽しむ新フレーバーの「マロンショコラ」が誕生「マロンショコラ」ではサステナブルを意識したレストランをつくる川手シェフの強い想いから、フェアトレードの精神に基づいたフランス産の有機栽培カカオが採用されています。また、マロンペーストは芳醇な薫りやほくほくとした食感を重視して国産の和栗を使用し、ガレットブルトンヌにはショコラとの相性を高めるために、カカオ風味を加えるなど、シェフのこだわりが詰まった逸品に仕上がっています。『【2種アソート】幸せの焦がしバターサンド(6個入)』4,620円「洋食 富炉利 × DEAR BUTTER SAND」イベント詳細開催日時:2024年5月26日(日)時間:12:00~14:40(最終入店)コース内容:ハンバーグ+『幸せの焦がしバターサンド』予約開始日時:2024年5月14日(火)16:00から(※先着順)予約方法:イベントページからのWEB予約
2024年05月09日小さなお家のようなレストランに入ると、キッチンのなかに薪の竈が目に入りました。「熱源を薪にしたのは、梨農家だった祖母が料理で使っていたからなんです。僕は地の利を生かして鮮度で勝負するには、このやり方が一番かなと思いまして。いろいろ改良しながらやっているところです」。そう応えてくれたのはオーナーの萩春朋シェフ。奥様と二人で店を切り盛りしています。まずは、マリー・デュメのシャンパーニュの泡で喉を潤しましょう。そして桜の季節を感じるタラの芽のフライ。ほろ苦く、ほこほこした温かい感じをシンプルに塩でいただきます。そしてクロダイ。ちょうど甲殻類を食べて味が乗っている時期のもので、さっと炙った皮目から海の香りが立ち上がります。これを福島県産米「夢の香」でつくった、廣戸川の純米大吟醸といただきます。フグがチーズとともに出されます。近くの牧場のチーズと甲州を使った、いわきワイナリーの白が合わされます。おもしろい食感と風味。次は春を告げる山菜と魚です。甘くぬめりのあるカンゾウに、春小鯛。爽やかな一皿です。ピュイイフュメが出てきました。ナチュール感が満載の南豪バスケットレンジワインの赤と合わせたのは、旨さが凝集したようなアカヤマドリダケのスープ。個性のぶつかり合いのような味わいは、なかなか刺激的です。いい香りとともにケンサキイカが出てきました。さっと炙っただけなので、レア感もあって、柔らかく甘い。こういうケンサキイカは食べたことがありません。「いわきには7つの浜があって、それぞれ捕ってる魚が違います。ちょうどこの浜ではヤリイカが終わって、ケンサキイカに変わったところ。捕れたものをすぐ脱水して薪で焼くので、最高の鮮度だと思います」と萩シェフ。噛んだ時のねっとりした独特の食感に、調味料としての役割を添える薪香。イカのおいしさを改めて教えてもらった気がしました。お酒は仁井田本家の「しぜんしゅめろん」。生[仕込み、酵母無添加(蔵付き酵母)でメロンの醸造香がします。アナゴと海苔の一皿です。これも先ほどのお酒で、メロンの醸造香を感じながらいただきます。「震災前、アナゴはこのへんのブランド商品でした。今でもいいものが捕れます」とシェフ。長時間低温で調理したかのような柔らかで味わい深いアナゴです。そして海苔の香りが海の風を運んできます。「クリーミーなスープはアナゴを煮込んでつくるのですが、アナゴの脂身を熟成させています。食べる身は新鮮なものをそのままつかいます」。一皿のなかの時間差が、味にまた深みを加えているようです。サツマイモとイワナという料理が出てきます。サツマイモをまるごと薪で焼いて麹で発酵させたものに、新鮮なイワナのイクラが添えられます。ポテサラ風ですが、先ほどのフグとチーズのような、小洒落たフレンチを感じてしまう一皿です。ココファームの「ぴのぐり」を合わせます。萩シェフが竈でニンジンを焼いています。そういえば昔、庭で焚火をして焼き芋を焼いていたことを思い出します。萩シェフの料理から感じる奥深さは、こういった伝統を現代に、自分なりのアレンジで活かしているところにあるのかもしれないと思いました。タケノコです。ハマグリのソースに合わせていただきます。ワインはサヴォアからラヴィエールのシャルドネ。旨みをクリームでざっくりまとめてしまうのではなく、食材ひとつひとつの旨さがしっかり活きるよう工夫されている料理。そしてそれらが口の中で奏でる春のハーモニーのここちよさ。次に出てきたホワイトアスパラとモリーユも然り。これが旬の贅沢というものでしょう。ここでパンが出されます。福島の無農薬天日干しの小麦を、コスモスの花の酵母で発酵させたパンだということで、ほのかに花の香りを感じます。「メインの牛肉は二本松のエム牧場の短黒牛で、黒毛和牛と短角牛の掛け合わせです。脂の融点が低いのが特徴なので、旨みを閉じ込めるようにゆっくり焼きました」。これはもう味付けはいらないですね。合わせてもらった赤はサヴィニー=レ=ボーヌから。デザートは近くの牧場の牛乳でつくったレアチーズとアイスクリーム。そして福島の苺「ゆうやけベリー」。なめらかで甘いスイーツと大きな苺です。最後のお茶をいただきながら、静かに大地に思いを馳せる時間。改めて、日本の地方の豊かさを感じさせてくれるところでした。HAGI【エリア】いわき【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】15,000円 ~ 19,999円
2024年05月02日赤坂【赤坂うさぎや】銀座【現代茶寮銀座風月堂】銀座【銀座エスコフィエ】銀座【l’art et la maniere】市ヶ谷【ab restaurant】赤坂【赤坂うさぎや】和の情緒漂う古民家の個室でフレンチを楽しむとっておきの時間豊洲から仕入れる新鮮な魚介の美味しさを際立たせた『本日のお魚料理』1999年にオープンし、心からのもてなしが温かみあふれる【赤坂うさぎや】。和の空間で味わう料理は、月ごとに変わるコースメニューや季節を感じるアラカルトなど。フレンチならではのクラシックな肉料理、季節ごとの魚料理も人気です。世界各国から取り寄せる厳選ワインや国内の上質な銘柄ワイン、ウイスキーや、本格カクテルもぜひ。プライベートも確保されゆったりとした気持ちで過ごせる築100年以上の古民家を改装した一軒家レストランは、お寺の境内にあるという珍しいロケーションも特別感たっぷり。レトロモダンな雰囲気の中、食事に華を添えてくれるのが、プロのマジシャンによるテーブルマジック。2人の気分もさらに盛り上がることでしょう。赤坂うさぎや【エリア】赤坂【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】15000円【アクセス】赤坂駅 徒歩3分銀座【現代茶寮銀座風月堂】五感を使ってじっくりと味わうクラシカルなフレンチ一週間かけて仕上げる『季節のパテアンクルート自家製ピクルスと共に』クラシックで端正なフレンチが楽しめる【現代茶寮 銀座風月堂】。古典的でありながら、斬新さも垣間見えるのが魅力です。特徴は、一年を52の「旬」に区切ったこまやかな季節感の演出。定番のパテにも毎回異なる肉類が使用され、さまざまな味わいを楽しめます。バーテンダーとソムリエが厳選したドリンクが、繊細な料理をさらに引き立ててくれます。街の喧騒を忘れるような落ち着いたムード漂う個室シックでセンスのいい空間は、落ち着いたデートにぴったり。盛付けも美しい料理やこだわりのドリンクに、思わず2人の顔がほころぶはず。料理を引き立てる器や、細部までこだわったインテリアも堪能できます。クオリティの高いハイティーが楽しめるデートで、思い出に残る時間を過ごしませんか。現代茶寮銀座風月堂【エリア】銀座【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】16500円【ディナー平均予算】30250円【アクセス】銀座駅 徒歩3分銀座【銀座エスコフィエ】銀座で歴史を紡ぐフランス料理はお祝いデートにぴったり優雅なコース料理を囲む記念日はずっと心に残りそう創業は1950年。【銀座エスコフィエ】は、戦後の銀座に初めてつくられたと言われているフランス料理店です。「現代フランス料理の父」とも呼ばれているフランスの料理人の名を冠しているとあり、その調理法を忠実に守った質の高いコース料理が魅力。入手困難な鹿児島黒牛を扱うなど、食材へのこだわりもひとしおです。2名で過ごせる個室は格式のある雰囲気ロマンチックな時間が過ごせそうな個室は、デートやプロポーズの場所にぴったり。また、フランス料理にぜひ合わせたいソムリエ厳選のワインの状態は、フランスの各ワインの騎士団幹部のお墨付き。その味わいを損なわないようにと、グラスまで特注する徹底ぶりなので、ワイン好きなカップルにはたまらない一軒です。銀座エスコフィエ【エリア】銀座【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】6000円【ディナー平均予算】16000円【アクセス】銀座駅 徒歩1分銀座【l’art et la maniere】エレガントな空間で進化する銀座フレンチに心躍らせて日本の四季を感じ取りながらフランス料理の一皿に反映2009年に創業したフランス料理店【l’art et la maniere】。「正しい導き方」という意味の屋号通り、厳選した食材の最上の味わいを一皿に導きます。ランチ、ディナーとも緩急のついた3種類のコースで、こまやかにちりばめられた驚きも一緒に楽しんで。さらにパティシエによるアシェットデセールで、最後まで満ち足りた気分を味わえます。アネモネをモチーフにしたオリジナルの照明が非日常感あふれる個室2人で過ごしたい個室は、ブルゴーニュワインを彷彿とさせるバーガンディ色の設えが上品。コース料理と合わせて、熟練のソムリエにワインをペアリングしてもらうのはいかが? 幸せな魔法にかかったような食体験が、共通の思い出として刻まれるはずです。l’art et la maniere【エリア】銀座【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】10000円【ディナー平均予算】25000円【アクセス】銀座駅 徒歩2分市ヶ谷【ab restaurant】2つの異なる表情を持つ隠れ家レストランで特別な思い出を魚介が中心のシェフスペシャリテコース『急』では豪華食材が登場するさまざまなニーズに向けて、2つの異なる楽しみ方を提案してくれる【ab restaurant】。一つは1日3組限定・予約制のオートクチュールスタイル。もう一つは、予約不要でアラカルトも楽しめます。特別な日のデートなら、前者でスペシャルなコースを味わうのがオススメ。誕生日や記念日向けの演出も相談可能です。サプライズで個室を予約しておくのも素敵彩りあるコース料理と一緒に、ソムリエに相談しながら気分に合わせたワインを楽しんでみては。フランスワインを中心にさまざまな銘柄をそろえています。誕生日のお祝いなら、デザートプレートにメッセージを添える無料サービスも。ゆったりと時間の流れる個室で2人だけの思い出づくりを。ab restaurant【エリア】市ヶ谷【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】10000円【アクセス】市ヶ谷駅 徒歩6分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2024年04月20日“街場のレストランで当たり前の食体験”を再現今の感覚を大切にしながらフランスの古典料理を伝えるナチュールワインを幅広くセレクト“街場のレストランで当たり前の食体験”を再現麻布台ヒルズ タワープラザ3階のザ・コンランショップ 東京店に併設される形で誕生した【Orby Restaurant】。店名は創業者のテレンス・コンラン氏のミドルネームに由来。かつてのロンドン本店にレストランを設けるなど、食に対しても情熱を捧げていたサー・テレンス・コンランの想いを東京店に繋いだということだ。「モダンクラフトダイニング」を提唱する【Orby Restaurant】。自然光が降り注ぐ店内には、都会的で洗練された雰囲気が漂っているヘッドシェフとして白羽の矢が立ったのは、東京・三軒茶屋【uguisu】と西荻窪【organ】を営む紺野真さん。カジュアルなフレンチをベースに、ザ・コンランショップの本店がある英国のエレメントを加えた料理を提供するというのだが、仕込みはけして“カジュアル”ではない。例えば、フォン・ド・ヴォーやフォン・ブランなど、フランス料理の基本となる出汁は、一から作る。食材の仕入れについても、同様。ほぼ毎日、シェフが自ら豊洲に足を運ぶ。思わぬ食材との出会いがあれば、メニューに積極的に反映するそうだ。紺野真さん。1969年生まれ。ナチュールワインへの造詣も深い「僕が今までやってきた、街場のレストランのやり方を持ち込みたい」と、紺野さん。街場のレストランのやり方とは、つまり、マニュアル化されていないサービスのことである。46席の【Orby Restaurant】でそれを実践するのは並大抵ではないはずだが、「“人対人で料理とサービスを行う”街場の店のあり方に魅力を感じているからこそ、此処でも同じようにやってみたい。実現に向けて挑戦したい」と語る。いつかは、コースの利用が2回目以降のゲストには前回のお料理とかぶらないものを出すといったことにも対応したいそうだ。店内には左官仕上げのカウンターなど手仕事が光る今の感覚を大切にしながらフランスの古典料理を伝えるこの日のディナーコースのメニューには、「Chaud-Froid(ショーフロア)」という料理名がプリントされていた。ショーフロアとは、加熱した肉や魚をいったん冷ましてソースで表面を固めた冷たい料理のことだ。主に鶏の胸肉が使われるが、紺野さんは旬のホワイトアスパラガスを用い、それをイカ墨のソースでコーティングする。古典料理を愛し、今に伝えたいという紺野さんの熱い思いとクリエイティビティが発揮された一品だ。13,200円のディナーコースの料理の一例、『ホワイトアスパラガス ヤリイカ 卵 カラスミ』。器は陶芸家・伊藤環さんが紺野さんのリクエストに基づいて益子焼のプロダクトとして特別に作ったもの【Orby Restaurant】のシグネチャーメニュー『ヴェニソン・ウェリントン』にも、“古典料理を再構築して伝える”という姿勢が端的に表れている。『ヴェニソン・ウェリントン』、4,620円(税込)。メニューに載っていない場合もあるので、予約の際に確認するのが賢明英国の伝統料理“ビーフ・ウェリントン”をフレンチの技で洗練させた一品で、エゾ鹿のモモ肉をキノコのデュクセル、生ハム、パセリ風味のクレープで巻き、彩り豊かなパイ包みに仕立てている。また、フランスの古典菓子のひとつ『クレープ・シュゼット』も、バターの使用量を控えめにすることで軽やかな仕上がりを実現。くちどけのいいトンカ豆のアイスがすっきりとした後味を助長する。13,200円のコースのデザートの一例。『オレンジ クレープ トンカ豆』ナチュールワインを幅広くセレクトさて、紺野さんといえば、ナチュールワインの火付け役的存在としても有名だが、【Orby Restaurant】では【uguisu】や【organ】とはひと味違ったセレクトが楽しめる。フランス産に加え、オーストラリア産や日本産などニューワールドのワインも充実させているのだ。【Orby Restaurant】で味わえるナチュールワインの一例料理と同様に、ワインも顔ぶれがどんどん入れ替わる。バーカウンターもあり、スタンディングで気軽にドリンクと軽食を楽しむことも可能。開店して数ヶ月だが、リピーターが多いのも納得だ。紺野ワールドのファンの方はもちろん、はじめて体験する方も好奇心を刺激されて、再訪を望むに違いない。Orby Restaurant【エリア】麻布十番【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】5500円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】神谷町駅
2024年04月19日石川を代表する名店【レスピラシオン】と銀座で革新的な料理を提供する【アルマーニ / リストランテ】【respiración(レスピラシオン)】のオーナーシェフ、梅 達郎(うめ たつろう)氏今回の豪華なコラボレーションは、【アルマーニ / リストランテ】のエグゼクティブシェフ、カルミネ・アマランテ氏と【レスピラシオン】のオーナーシェフ、梅氏が数年前に出会い、意気投合し「いつかは一緒に料理をしよう」と話していたことがきっかけで実現しました。それぞれ、イタリアと日本という自然災害が多い国で育ち、 “大変な時こそ人と人との繋がりが大切” ということを実感する2人のシェフの想いが重なり、2夜限りのスペシャルディナーが開催されることになりました。【アルマーニ / リストランテ】エグゼクティブシェフのカルミネ・アマランテ氏両店の料理の真髄にあるのはどちらも “厳選した食材ありき”ということ。チャリティーだからと食材を妥協するのではなく、質が高く豊かな食材が揃う能登だからこそ、今回のコラボレーションが実現しました。“前を向いて進んでいる”実際に足を運び感じた能登の生産者の想い能登島の生産者「NOTO高農園」を訪問し、能登食材の力強さを実感する二人今回のコラボレーションにあたり、両店のシェフは2024年2月に、ともに能登の生産者を実際に訪問。まだまだ被災状況は厳しい中、この状況と前向きに向き合い、丁寧に食材を育てる彼らの姿に触れてきたそうです。「NOTO高農園」は赤土の土づくりから味にこだわり、大地の力、能登島のを利用して自然のまま育てることを大切に有機野菜を生産。特に料理人からの信頼が大変厚い農園です能登半島から大橋でつながる能登島にある「NOTO高農園」では、当時断水しており、野菜ひとつを洗うことも困難な中「シェフたちに来てもらえると力になる」と、長年かけて育ててきた赤土の農園を案内してくれたそう。被災した生産者の生の声を聞くことは、きっと何事にも代えがたい経験さらに中能登町で年間約300種のハーブやエディブルフラワーを育てる「あんがとう農園」を訪れ、美しく味の濃いハーブの味わいに、シェフたちは料理への構想を膨らませたのだとか。いいこと、楽しいこと、面白いことをモットーに、自分たちのつくりたい野菜を無農薬で栽培する「あんがとう農園」まだまだ厳しい被災状況下、「おいしい食材を届ける」という想いのもと、大切に食材を育てる生産者の姿に心を打たれ、背筋がピンと伸びるようだと二人は話します。「大変な中でも前向きで、そして大切に食材を育てる生産者がいることをゲストにも伝えたい」とカルミネシェフ。「チャリティーということを意識しすぎずに、自由に感じてもらえれば」とは梅シェフ。2人のシェフが手を取り合い、この夜のために織りなす特別なコラボレーション。二度とないかもしれない貴重なディナーに、ぜひ足を運んでみていただきたいです。respiración 金沢 × ARMANI / RISTORANTE 銀座能登半島地震 チャリティーディナー詳細開催日:2024年4月18日(木)、19日(金)時間:18:000 / 19:000開催場所:【アルマーニ / リストランテ】住所:東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ / 銀座タワー 10階・11階電話番号:03-6274-7005価格:ペアリング付きディナー45,000円(税サ込み)*能登地方を中心とする能登半島地震で被災した地域 への復興支援として、売り上げの10%をNOTOFUEに寄付いたします。NOTOFUEは【レスピラシオン】も加盟しており「100年後の能登の食文化を創造する」を目的とする非営利団体です。アルマーニ / リストランテ【エリア】銀座【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】7500円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】銀座駅respiracionレスピラシオン【エリア】兼六園周辺【ジャンル】スペイン料理・地中海料理【ランチ平均予算】10000円【ディナー平均予算】17000円【アクセス】金沢駅 徒歩15分
2024年04月08日エールフランス航空は2024年4月1日より90周年記念特別運賃「ランデヴー」販売を開始いたしました。フランスをはじめ、ヨーロッパ各地の美しいデスティネーションと出会う旅にこの特別なキャンペーンをご利用ください。90周年記念特別運賃は4月15日まで公式ウェブサイトからご購入いただけます。ランデヴー・キャンペーン■パリ行き特別運賃エコノミークラス :160,270円からプレミアムエコノミークラス:266,930円からビジネスクラス :548,140円から【詳細とご利用規約】対象 :エールフランス航空運航の羽田・成田・関西発着便でフランス※および ヨーロッパを目的地とするフライト販売期間:2024年4月1日から2024年4月15日まで旅行期間:2024年4月8日発便から2024年9月30日発便まで税金・燃油サーチャージ等諸費が含まれます。・キャンペーン運賃の座席数には限りがあります。・航空券の条件は、運賃種別により異なります。その他、各運賃種別による規則・条件があります。詳しくはキャンペーンサイト でご確認ください。※海外県、海外領土を除くスケジュールは予告なく変更になる場合がございます。エールフランス航空 公式ウェブサイト: Facebook Air France 公式ページ: LINEオフィシャルアカウント: @airfranceX(旧Twitter)エールフランス航空 日本公式アカウント:@AirFranceJP 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年04月05日桜が咲き誇る日本の春をフィリップ・ミル氏がお皿の上で表現フィリップ・ミル氏。1974年生まれ、フランス出身。弱冠38歳にして国家最優秀職人賞(M.O.F.)を受賞。この4月、フランスのシャンパーニュ地方に “シャンパーニュの魂”を表現することをコンセプトとした新たなるレストラン【ARBANE】をオーブンしたばかり毎年桜の季節に同店で提供される『Menu Sakura』。桜が美しく咲き誇る景色に魅せられたフィリップ・ミル氏が、その情景から得たインスピレーションをもとに創り上げた特別なコースです。フィリップ・ミル氏の得意とする味わいや香りの緻密な構築、美しい盛り付けはそのままに、日本の旬食材を用いて桜の愛らしさや日本の春の華やかさをお皿の上で表現しています。春には桜が望めるオープンテラスが人気同店には、東京ミッドタウンのガーデンエリアに立ち並ぶ素晴らしい桜並木を見渡すことができるオープンテラスがあり、毎年ここから眺める桜を楽しみに訪れるゲストも多いのだそう。また、夜は4月15日(月)までライトアップが楽しめ、桜の開花前はまるで桜が咲いたような雰囲気のあるピンク色、桜が開花すると白色のライトアップで、幻想的な光に照らされた夜桜も鑑賞できます。シャンパーニュのように艶やかなデザインが施されたダイニングは優雅な印象『Menu Sakura』のディナーメニューをご紹介前菜『パレットレギューム私達の農園から』ピューレにした紫芋、ビーツ、バターナッツかぼちゃ、菊芋、デトックスジュレ(きゅうり、セロリ、りんごにシャンパーニュを合わせたジュレ)をマリネした大根で包み、お皿をパレットに見立て美しく配置。やさしい味わいの野菜にシャンパーニュを合わせ、ビーツの朱色を生かした野菜のソースで仕上げる前菜『甘エビのミキュイ蕪桜香るエミュルシオン』弾力ある食感と甘みが凝縮された甘エビのミキュイを中心に、リボンのように長くスライスした蕪をエビのオイルと和えて添え、桜エビと桜のクリスティヤンを飾りつけに。桜がほんのり香るピンク色の泡を加えて完成。テーブルの上でお花見が楽しめる一皿魚料理『金目鯛のヴァプールホワイトアスパラガス桜色のソースシャンパーニュ』金目鯛をしっとりと蒸し上げ、旬のおいしさを最大限に引き出したシンプルな一皿。金目鯛の下には、細く刻んで桜のオイルと和えたフレッシュのホワイトアスパラガスを。シャンパーニュを贅沢に使用した桜色のソースでいただきます肉料理『黒毛和牛ビーツとピンクペッパー』絶妙な火入れの黒毛和牛と、鮮やかな赤紫色が印象的なビーツのソースを合わせています。やわらかな肉質の黒毛和牛の旨みとビーツの甘みが絶妙な味わい。アクセントにはピンクペッパー、彩りにグリーンのハーブオイルを加えています。肉汁たっぷりの黒毛和牛とソースの相性も抜群デザート『フロマージュブラン苺とリュバーブ』『Menu Sakura』の最後を彩るにふさわしい、春を感じるフラワーモチーフのデザート。旬の苺と甘酸っぱいルバーブのパルフェに、フロマージュブランのムースを重ねています。チュイールでできた繊細な花びらの中心には、苺とルバーブのマリネで華やかさをプラステラスからは桜を見下ろし、テーブルの上でもお花見ができる同店の『Menu Sakura』。桜が散ってしまう前にぜひ訪れてみてください。『Menu Sakura』コース詳細▽提供期間2024年3月15日(金)~4月29日(月祝)▽料金<ランチコース>¥13,500(サービス料込)アミューズ・ブーシュ/前菜/魚料理/肉料理/デザート/小菓子、食後のお飲み物<ディナーコース>¥21,000(サービス料込)アミューズ・ブーシュ/前菜1/前菜2/魚料理/肉料理/デザート/小菓子、食後のお飲み物フィリップ・ミル 東京【エリア】六本木【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】8000円【ディナー平均予算】18000円【アクセス】六本木駅 徒歩1分
2024年04月05日わざわざ訪れる、という特別感ある立地妥協なきソースを使った秀逸なフランス料理ゲストとの距離の近さを大切にもてなすわざわざ訪れる、という特別感ある立地「淡島」の交差点からすぐのビルの1階にある【DAN】昨秋誕生したフランス料理店【DAN】が店を構えるのは、世田谷区の淡島通りと梅ヶ丘通りが交差する場所。最寄り駅の池ノ上から徒歩で約10分、下北沢、三軒茶屋、池尻大橋の3つの駅のおおよそ中心に位置します。公共交通機関で近くまで行く場合、渋谷からのバスが便利です。周囲には飲食店も少なく、わざわざ訪れる立地は到着までに期待が高まります。控えめな看板を目印に、扉を開けてくださいレストランを構える場所は、決して便利な場所ではありませんが、オーナーシェフの髙田氏はこう語ります。「自分にとっては馴染のあるエリアだったのですが、あえて都心から離れた落ち着いた場所を選びました。駅からのアクセスは不便ですが、地域に根付いたお店になればという考えがありましたので、迷いなくこの物件を決めました」。カウンターには季節の花が飾られています扉を開けると、小さな店内が広がります。カウンターが半円のD型に8席並び、そのすぐ内側には厨房があるというコンパクトな造り。どの席からも、シェフたちが鮮やかに調理する様子を楽しむことができます。白を基調にした内装デザインですが、壁や天井など、わずかな赤色を混ぜた白なので、自然とあたたかみを感じる空間です。妥協なきソースを使った秀逸なフランス料理色彩の優美さも印象的な『富士山サーモン 金柑』料理は1ヶ月半ごとに替わるおまかせコース1本で、アミューズ、冷前菜、温前菜、リゾット、魚料理、肉料理、デザート、フィナンシェ、食後のお茶という流れです。富士山サーモンに合わせるのは『ドクター コンスタンティン フランク サーモン ラン』『富士山サーモン 金柑』は、コース2皿目に登場する冷前菜です。静岡県産の上品な脂が特徴の富士山サーモンを、マリネして炙っています。サーモンの下の人参とオレンジのソース、上に添えているのは金柑のソースとスライス、ラペのように仕立てた人参。サワークリームやアルドイノというイタリア産のオリーブオイル、エディブルフラワーをトッピングして完成です。柑橘と人参の2種のソースがサーモンの旨みを引き立てています。食感の良さを存分に感じる『カリフラワー セトワーズ』温前菜として提供される『カリフラワー セトワーズ』は、シンプルながら後を引く、お酒も進む味わいです。食感のよさを大切にしたカリフラワーは、フライパンで焼き目を付け、オーブンで火入れ。そこに合わせるソースは、南仏の港町セートのイカを使った、トマトの煮込みの郷土料理をソースに仕立てたもの。細かく刻んだイカの歯応えも良く、イベリコベジョータのスライスがアクセントになっています。髙田氏曰く「若い頃に【レストランひらまつ 広尾】で感動したソースの素晴らしさは、今でも忘れられません。【DAN】はカジュアルなレストランですが、ソースをカジュアルにすることはなく、材料にも技法にも妥協なく作っています」。柚子胡椒の泡と青さ海苔のチップを添えた『蛤米』メインディッシュの前に登場する『蛤米』は、国産の白米に玄米を3割混ぜることで、口当たりのいいアルデンテに仕上げたリゾット。旨みたっぷりの蛤のだしと、あおさ海苔の磯の香りをたっぷりとまとったお米が身体に染み渡ります。今回は蛤ですが、これまで蟹や白子を主役にしたものも。チーズを使用せず、和のテイストが漂う軽やかな仕上がりで、ほっと和むような箸休めのような存在です。『蛤米』の器は、金井春樹氏による笠間焼「器は、若手の現代作家を主軸にセレクトしています。例えば、『蛤米』の器は笠間焼なのですが、まだ23歳という若さの金井春樹氏の作品です。そういった若手の作家さんを発掘して、【DAN】から広まっていったら嬉しいです」と髙田氏。他に、佐野元春氏やkei condo氏、鷲沢ワシ子氏などの器を使用しています。オレンジのコンフィチュールを添えた『フィナンシェ』デザートの後に続く『フィナンシェ』は、共に料理を担当する杉山徹氏によるものです。「少し山型になったシャンティーヌ型で焼き上げているので、表面はカリッと、中はふっくらとした口当たりをお楽しみいただけます。最後の一品まであたたまる料理をお楽しみいただきたいという思いで、提供時間を逆算して、焼きたてで手で持つのが大変なくらい熱々で提供しています」(杉山氏)。ワインは多彩な国をラインアップワインは、ソムリエの資格を持つ髙田氏が厳選。「高級過ぎる銘柄は避け、フランスのほか、日本、ジョージア、ニューヨーク、ポルトガルなど、面白みのあるものをセレクトしています」。グラスワインやボトルワインでのオーダーの他、ペアリングメニューも用意。シャンパーニュ、ワイン4種で5,900円。プラス800円でデザートワインを付けることもできます。ノンアルコールでは、クロモジやヒノキなどのフレーバーが楽しめる『FOREST SODA:森の香り』がおすすめです。ゲストとの距離の近さを大切にもてなす座り心地のいい椅子が心地よい距離感で並びます「店内の狭さを長所にしたいと考えています」と語る通り、【DAN】はその小さなな空間を活かしたもてなしが特徴です。カウンター席に座ると、料理を仕上げる厨房の台との距離の近さに驚くかもしれません。次々と機敏な動きで料理が完成していく様子を、ライブ感溢れる状況でじっくりと楽しむことができるのもこちらならでは。ひとりで訪れた際にも手持無沙汰になる心配もありません。オーナーシェフの髙田氏(左)と共に働くシェフの杉山氏(右)代官山の【メゾン ポール・ボキューズ】や【レストランひらまつ 広尾】、大阪の【ラ・フェット ひらまつ】など、日本屈指のフランス料理店である、ひらまつの系列店でおよそ10年にわたり腕を磨いた髙田氏。その後、カジュアルなレストランでの経験も積みたいという思いで、表参道の【L’AS(ラス)】で副料理長として3年半勤務しました。その際に出会ったのが杉山氏です。杉山氏は、【L’AS】で6年にわたり研鑽を積みました。そのため、息のぴったりと合ったコンビネーションでおもてなし。料理はふたりで考案しています。ワインについてもゲストの好みに合わせて丁寧に説明ゲストと料理人の距離の近さによって、自然と会話が生まれることも【DAN】の醍醐味です。すぐ目の前にシェフがいるので、気軽に話しかけることができます。「お客様との距離感こそ、最も大切にしたいものです。レストランで料理が美味しいことは当然。それ以上にたくさん会話をできたらと考えています。ぜひ一度訪れていただき、この空気感を味わっていただけたら嬉しいです」(髙田氏)。カジュアルで肩肘張らない雰囲気に加え、コースを9,350円に設定したのもこだわったところ。1万円を超えない設定にしたかったといいます。コースを終え、店を出る時には心も身体も満たされ、あたたかな気持ちに満たされていることでしょう。DAN【エリア】下北沢【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】12000円【アクセス】下北沢駅 徒歩17分
2024年04月03日帝国ホテルのシェフだった祖父に憧れてフレンチの世界へひと皿ごとにメインの食材を決め、一番おいしい食べ方を表現夫婦で試食を行い、コースをブラッシュアップ帝国ホテルのシェフだった祖父に憧れてフレンチの世界へ実は元バスケ青年で、高校時代は都選抜になるほどの選手だった池田邦彦さん。そのままバスケを続けることも可能だったが、「幼い時から料理人を志していました」と、高校卒業後は服部栄養専門学校へ。道標となったのは祖父だった。シェフの池田さん。1988年、東京都の生まれ「母方の祖父が帝国ホテルでフレンチの料理長をやっていたので、料理人は身近な職業で憧れがありました。家族でホテルへ食べに行った時、長いコック帽を被った祖父が奥から出てきて挨拶をする様子がすごく格好よかった。母も料理にはかなりこだわりがあり、和食より洋食がスタンダードという環境で育ったこともあって、自然と料理人になるなら洋食と思うようになりました。ジャンルに迷うことも少しありましたが、やっぱりフレンチは格好よくて、お皿の上が華やかで、一番憧れました」シンプルで強い動機をいまも忘れていない雰囲気の池田さん。家庭料理が調理工程や食材にこだわるものだったから、必然的に素材の細かな違いも分かるようになっていった。いまも週に一回はバスケをするという池田さん。学生時代のポジションはシューティングガードだった専門学校在学中の2008年に東京でミシュランが始まると、アルバイト代で星付き店を食べ歩き、「一番ビビっときたのがトロワグロ」と魅了された。「当時のシェフがリオネル・ベカ氏(現エスキス)で、その料理に衝撃を受けたんです。働く前に4回食事に行き、“やっぱりこのお店で働きたい”と思いました。いつかはフランスにとも考えていたので、本店がフランスの三つ星というのも大きかったです」とはいえ新卒を直にとらない【キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ】。ホテル内のレストランだったため、ホテル入社か経験者が採用の前提となり、池田さんは配属も確約できないなかホテルの入社試験を受けることに。少しでも配属の確率を上げるため在学中に研修も申し込み、なんとかトロワグロでキャリアをスタートさせた。入ってみると周りは辻調グループフランス校を首席で卒業するようなエリートばかりで、シェフとの会話はフランス語。言葉の壁でつまずいたものの食らいつき、リオネル氏の後にはギヨーム・ブラカヴァル氏(現エスト)にも師事した。在職中にフランス本店での修業も叶い、28歳までの6年間、個性豊かなシェフのもとでグランメゾンの技術と美学を学んだ。カウンター席はもちろん、テーブル席からも調理風景がよく見える店内独立すると、2021年に経堂で【キャトル ヴァン ドゥーズ】を開業した。店名は自身の名(邦彦)にちなみ、フランス語で「92」を指す。2023年11月には千歳船橋に移転し、経堂の時と同じくカウンターを大切にした店を造った。くもりガラスの扉がついた個室も1室用意。扉を開けて、店内の活気を感じながら食事するのも一興調理がよく見えるのはもちろん、こだわったのは、座る人と料理人の目線を同じ高さにすることによる話しやすさ。淡いブルーグレーの壁とネイビーに塗った椅子や床の色合わせがお洒落で、テーブル席はゆっくり話したい日にも合う心地よさだ。ひと皿ごとにメインの食材を決め、一番おいしい食べ方を表現芽キャベツの春の香りと、ウズラの旨みが重なる温前菜昼は6,000円、夜は8,000円からコースを提供。8割が常連ということもあり、「飽きさせない」ことを意識して毎月内容を変える。「スペシャリテがあると前後の組み合わせが狭まる」とあえてスペシャリテをつくらず、毎回の構成が新鮮だ。同じ料理を出したことは一度もない。「ひと皿ごとにメインの食材を決めて、一番おいしい食べ方を表現しています」と話し、例えば春の温前菜にはウズラが乗るが、実は芽キャベツが主役。野菜のほとんどは福島県郡山市にある鈴木農場から。シェフが「野菜に対しての考え方が変わった」と話す若手生産者の野菜はすべてが滋味深い「福島の鈴木農場さんの芽キャベツを食べて本当にびっくりしたことがきっかけ。この芽キャベツの甘さを感じてほしくて、合わせる食材を考えました。鈴なりの状態で届き、葉が詰まりすぎずふわっとしていて、甘みが強い芽キャベツです。ここに肉本来の旨みを足したいけれど強すぎてもいけない。ウズラは味が強くない肉でサイズ感も小さめで合うと思いました。芽キャベツは焦げると香りが出る野菜でもあるのでローストして、ウズラもローストにしています」粒マスタードとアンチョビのソースも相まって、芽キャベツとウズラを一緒に食べると春の香りが追いかけるように出てくる。豊かな土壌でつくられた野菜に合わせるのは、ミネラル豊富な土の味がするピノ・グリージョだ。夫婦で試食を行い、コースをブラッシュアップ『フォアグラのポワレ ビーツ 西洋かりん』リオネル・ベカ氏の影響で、果実やハーブ、スパイスを効果的に使う。フォアグラのポワレには西洋かりんのソースや、カルダモンや八角を効かせたりんごのコンポートを合わせ、クラシックの技術に遊び心や甘美さを感じさせる。メインの肉は、池田さんが「気に入って使っている」という北海道白糠町の蝦夷鹿はハンターさんから仕入れたり、和牛であれば月に5頭しか出荷されない島根県のかつべ牛を使用。かつべ牛は、サーロインであっても脂がさらりと軽やかで、そんな肉に柑橘のソースを合わせて前述の鈴木農場の野菜を添える。さっくりとした歯応えに焼き上げられた、島根県産かつべ牛のサーロイン小麦粉は極力使わず、ソースの濃度は野菜で補填し、バターの使用量も一般的なフレンチの十分の一。焦がしバターにしても、上ずみを捨てて焦がした旨みだけをピューレに使うなど、最後まで心地よく食べてもらうための工夫が多いのも特徴だ。食感の異なる素材が並び、飽きずに完食できるチョコレートのデザートまた、夫婦で営むフレンチということも店の個性。妻の亜弓さんは【ミシェル・トロワグロ】出身で、パティシエとして有名店を渡り歩き、いまは接客とデザートを担当。メインの肉までの流れを考えたうえで、シェフがデザートの食材をリクエストしているので全体が上手く締まる。かつべ牛がメインの場合なら、「軽いチョコレートのデザート」がよいという話し合いがあったとか。そこで亜弓さんは、フルーツのピューレを加えたガナッシュクリームやいちごのアイスクリーム等を添えた軽やかなチョコレートケーキを完成させた。今回の魚料理は『長崎県産ホウボウのポワレ』デザートに限らず、コース内容が固まってきたら二人で試食会を304回は行い、話し合ってコースを決定するというから、亜弓さんは心強い存在だ。ちなみに、「いつも料理のことを考えていて、料理しない日はほとんどないです」と、家庭での食事も池田さんが作る。和食も中華も作り、鮨も握る。さまざまなジャンルの料理をつくるのが好きななかでも、「自分にとって一番難しいのは、やっぱりフレンチ」と、理想を求めて奮闘する日々。客によって味つけを変える心配りまでするから仕事は尽きない。ワインは池田さんのフランス料理に合うものを、人気の銘柄から希少なものまで幅広く取り揃える「お客さまの反応を聞くのが一番楽しいですし、何回も来ていただけるのが一番嬉しい。この規模のお店で一番いい瞬間は、そこなのかなと思います」グランメゾンを知りつつも“通えるフレンチ”を貫き、「フレンチはもうここでいい」と声をかけ、20回以上通う常連もいる。なじみのフレンチで季節の移り変わりを感じたい人におすすめだ。Quatre-vingt-douze【エリア】千歳船橋/成城学園前【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】8000円【ディナー平均予算】12000円【アクセス】千歳船橋駅 徒歩1分
2024年04月02日内装はもとより香りや音でも独自の世界観を演出フランス料理の技術と日本の食材を巧みに融合日本の職人が手がけた器が五感に訴えかける内装はもとより香りや音でも独自の世界観を演出ガウディをイメージしたという重厚感のある扉を開ける瞬間、心が躍る【apothéose】が居を構えるのは、虎ノ門ヒルズ駅直結のステーションタワー最上階。49階という抜群のロケーションで、「五感を刺激する食体験」が得られます。特別な時間を過ごせるファインダイニングで、料理だけではなくサウンド、香り、設え、すべてにこだわりを詰め込んだ世界観をまるごと体感できるのが醍醐味。所々にセンスがあふれる空間デザインも満喫したい店内の内装を手がけたのは、デンマーク・コペンハーゲンを拠点に活動するデザイナーユニット「スペース・コペンハーゲン」。個室もあり、くつろげる空間で香りや音に至るまでこだわり抜いた世界観に浸れます。パリで高評価を博したフランス料理に、日本の風土が育んだ食材を活かしたコースをぜひ。フランス人ソムリエが選んだワインが料理をさらに引き立てます。フランス料理の技術と日本の食材を巧みに融合料理人・北村さんの原動力は最高の食材との出合い。産地を訪問し生産者と語り、その栽培方法や思いを聞くからこそ、気持ちのこもった一皿が生まれます。活気があふれる厨房で、素材を確かめながら日々微調整するコースには、心地のいい裏切りも。きっと好奇心が満たされるはず。その中でも、お店オススメのメニューを3品紹介します。コースの一例『「米」天城軍鶏のラビオリ~小田原いのちの壱のブイヨン 北の華ニラオイル』コースの最後に日本人がほっと和める、お米のブイヨンを使った一品パリで考案した、日本らしさを感じるお米のブイヨンを使用。ラビオリには天城にある「堀江養鶏」の軍鶏の雄のモモ肉を詰め、北海道のブランドニラ「北の華」を使ったオイルで味に変化を加えています。『コースの一例「豚」十勝エレゾの三元豚の炭焼き~色々季節の根菜 黒オリーブソース』香りが爽やかなインドネシア産の黒胡椒がアクセントジビエにも精通する北海道・十勝の「エレゾ」から仕入れた三元豚が主役。じっくりとフライパンでアロゼし、土佐の備長炭で火を入れます。季節の根菜のソテーとピュレ、さらに黒オリーブのソースも添えて。コースの一例『「柑橘」小田原八木下農園の柑橘類のパフェ~アシェットスタイル』柑橘づくしの爽やかなデザートで締めくくり修業を始めた原点だという、小田原「八木下農園」の柑橘で仕立てたデザート。農園から届く旬の柑橘の種類により、シェフパティシエがその腕を発揮します。変化し続ける内容に注目してみてください。日本の職人が手がけた器が五感に訴えかける料理の魅力をさらに引き立てる器選びにも注目したい器にもこだわり、料理人・北村さんの故郷である滋賀県の「信楽焼」など、伝統的な器の窯元に依頼した皿を使用。3Dプリンターを使い、新素材で生み出された石川県「secca」の器や「高村刃物製作所」のステーキナイフなど、職人技に感銘を受ける器やカトラリーも心を満たしてくれます。伝統的な歴史のあるフランス料理を、15年在仏した北村さんのフィルターを通して表現。日本の風土で生産者が心を込めて育てた食材を、本来の味わいを引き出しながら美しいディナーコースに。デザイン性の高い空間で、記憶に残る食体験を刻みませんか。料理人プロフィール:北村啓太さん1980年生まれ、滋賀県出身。辻調理師専門学校 を卒業後、成澤由浩氏率いる【ラ・ナプール】へ。2003年青山に移転した【レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ】でスーシェフを務めたのち2008年に渡仏。三つ星【ピエール・ガニェール】やビストロなどで修業し、2017年、パリ【エール】のシェフに。2000年より5年連続ミシュラン一つ星の評価を得る。2023年11月、東京虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内に【apothéose】を構える。apothéose【エリア】虎ノ門【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-【アクセス】虎ノ門ヒルズ駅※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2024年03月28日一流店の味を極めてきたシェフが出会った、築150年の都指定有形文化財の建物“東京もひとつの地方”。東京にもいい食材がたくさんあるこの場所で伝えていきたい“新たな東京の魅力”一流店の味を極めてきたシェフが出会った、築150年の都指定有形文化財の建物築150年の都指定有形文化財の建物の内部は、温かみを残しつつモダンに改装。シェフが目の前で料理を仕上げるカウンターテーブルは7席都心から車でも電車でも約1時間と、気軽に豊かな自然と澄んだ空気に触れることができる、東京・あきる野市。この地を新たなスタートの地として選んだのは、帝国ホテルのメインダイニング【レ セゾン】でのスーシェフを担うなど、一流店の味を極めてきた松尾直幹(マツオナオキ)さんです。1982年、東京都西多摩生まれ。料理専門学校卒業後、推薦状を手に「帝国ホテル」へ。メインダイニング【レ セゾン】でスーシェフを担うなど料理人として21年勤務したのち、2023年10月に自身がオーナーシェフを務める【L’Arbre(ラルブル)】を開業「僕はもともと隣のとなり町、西多摩の瑞穂町出身なんですが、あきる野市はもともと環境がよいため、有機農法で野菜をつくる農家さんが多くいました。その中でも農薬どころか有機物も使用しない育て方をされていた農家さんと出会い、僕も勉強してみたいという気持ちがあったので、【レ セゾン】時代の約9年前から自分で耕作を始め、近隣農家さんと一緒に畑を耕させてもらって約3年。今もここから約5分の場所で、30平方メートルほどの畑をお借りして、お店で使用する野菜などを育てさせてもらっています。その農家さんが、僕が西東京でお店をやりたいと思っていることを、周りの方に話してくださっていたおかげで、この建物のオーナーさんとのご縁に繋がりました」都指定有形文化財(建造物)である「小机家住宅」の建築面積は約90平米。当時は珍しかった洋風列柱廊や2階のバルコニーなどが配されている松尾さんが見た瞬間に「この場所でレストランを開きたい」と心を動かされたという建物は、都指定有形文化財(建造物)「小机(こづくえ)家住宅」。江戸時代に山林業で富を築いた小机家が、1875年(明治8年)頃に建てた木造2階建ての土蔵造りで、約150年前の建築とは思えぬ洋風の建築物に圧倒されます。「五日市の方たちでも、お店ができるまではこの建物自体をあまり知らない人がいたと思うんですが、改めて文化財である建物を認識していただいて、さらに食事を楽しみながら建物の内部を観ていただける機会にも繋がると思っています」カウンターで食事をとった後に、個室でゆっくりお茶を楽しむお客さまもいらっしゃるそう洋風の外観とはうってかわり、内部は伝統的な四間取りの形式を持ち、和風の意匠。メインのカウンターテーブル7席のほか、4名テーブルを据えた畳の個室が3部屋あり、臨機応変に個室を繋げることも可能です。“東京もひとつの地方”。東京にもいい食材がたくさんある帝国ホテルの【レ セゾン】時代、師匠であるフランス人シェフが、日本で過ごすうちに徐々に和の食材を取り入れていく姿を見て、その土地の風土とフランス料理を掛け合わせる大切さを学んできたという松尾さん。「とくに地方では“ローカル・ガストロノミー”という言葉がありますが、僕は“東京もひとつの地方”だと思っているんです。わざわざいろんな場所から食材を集めなくても、東京にもいい食材がたくさんある。東京をフィーチャーしているシェフはこれまであまりいなかったので、もともとこの地域に生まれてきた自分が、この場所で、これまで一緒に畑を耕してきた農家さんをはじめ、多くの生産者さんやその作物をもっと周知していければ、いろんなお客さまが来て、改めてこの地域が見直されるきっかけになるんじゃないかと考えました」【ラルブル】の料理はコースのみで、ランチが8品13,200円、ディナーが10品17,600円と、9品14,850円の2種類。お子さま用のメニューや、平日限定でメインの魚か肉を選べる9,900円のコースも実際に【ラルブル】では、松尾さんが自ら育てる野菜を含め、魚も肉もフルーツまで東京産の食材を使用。“東京ローカル・ガストロノミー”を体現しています。『八丈島 久保田さんの金目鯛とのらぼう菜』は、八丈島で獲れた青伊勢海老と車海老のアメリケーヌソースで。柚子と玉ねぎのチャツネもアクセントとして添えられます。直接、東京都八丈島の漁師・久保田さんから買い付けるという金目鯛は、調布の飛行場へ空輸されるため、新鮮な状態で仕入れが可能「八丈島は黒潮が入るのでマグロなどもおいしいですし、海が綺麗なので、金目鯛の味もクリアなんです。レモングラスと塩水で漬けて、水分を軽く飛ばして身を引き締めてから、オリーブオイルで皮目をパリッと焼き上げています」しっとりとジューシーな身は、肉に見紛うかのようなプリッとした食べ応えも魅力。付け合わせは、レモングラスとローリエの香りを付けたオリーブオイルでソテーしたのらぼう菜と、松尾さんが自然栽培農法で育てたじゃがいも「にしゆたか」。冷え込む地域だからこそ、野菜の甘みが増しておいしくなり、自然を色濃く反映した濃い黄色が印象的です。松尾さんが農家さんから借りている畑。またここ以外に、建物の敷地内でも野菜を育てています。「使用している野菜は比較的サイズが小さめですが、味はすごく濃いものが多いんです」「畑をやっている利点でもあるのですが、お店ではできるだけゴミを出さないようにしつつ、最低限出る生ゴミは堆肥化して、畑の肥料として使用し、そこで育った野菜がまた自分のお店へ戻ってくるように、まずは地域で無理のない循環を実現しています。お付き合いのある農家さんはほとんどが有機栽培なので、そもそもの食材にも農薬がなく、堆肥化することで土を汚す心配もありません」こちらは、松尾さんが育てた里芋と、西東京産の檜原舞茸を合わせた『檜原舞茸と、里芋団子』。薪も東京の「ナラの木」を使用して燻したという、檜原舞茸とアワビ茸からとった、香りまで味わい深いおだしで一度茹でてから焼きあげた里芋団子は、里芋を練った生地でさらに里芋を包んでおり、食感豊かな二層構造です。水分を十分に飛ばしてサクッとした歯ごたえに仕上げた檜原舞茸は、噛み締めることでジューシーな旨みも溢れ出す、こちらも新食感。仕上げにエシャロットの香りをまとわせ、数滴垂らしたウィスキーのウッディーな香りが、燻した舞茸の香りに良い添います。「元々、里芋団子は西東京のいろんな場所で食べられていたそうなんですが、食べる機会がなければどんどん文化として無くなっていってしまうので、食文化として繋いでいけるように、少しでもおいしく食べてもらえるように工夫しました」さらに肉料理には、これまで東京で「秋川牛」、「東京ビーフ」といった2つの黒毛和牛を生産してきた竹内孝司さん・孝英さん親子が、雌のA5ランクのものだけを選別した「東京和牛」を使用。東京和牛をじっくり火入れ。帝国ホテル時代、フレンチ以外に【鉄板焼 嘉門】でも3年間腕をふるい、肉の火入れにも職人としての矜持が光る「竹内さんの牧場では、牛の飲み水に湧き水を使用していたり、都内のワイナリーから出る搾りかすなどを飼料として与えたり、できる限りストレスなく自由に育てているので、肉の繊維が綺麗に入っているのが特徴です」。メインの『東京和牛とビーツ』は、しっかりとフレンチの粋を凝縮した赤ワインソースに、「青梅ファーム」のビーツと庭で穫れた銀杏を添えて。メインの「東京和牛」は、イチボかランプを使用することが多いそう。この日はイチボを、赤ワインソースでフランス料理のコースにはパンがつくように、通常“締め”のメニューは含まれませんが、【ラルブル】では、締めの『のしこみうどん』を提供。「こちらも奥多摩の郷土料理として、各家庭にレシピがあるものなのですが、基本は煮干しと椎茸でとっただしで葱など野菜とうどんを鉄鍋で煮込んだもの。うちでは少し異なりますが、チキンブイヨンと鰹節でとったスープで、のらぼう菜やブロッコリー、葱の青い部分を煮て、ミキサーでピューレ状にした汁と、ご近所の「久保島本舗」さんのやや細めの麺で軽やかに仕上げています」郷土料理へのオマージュを表現した『のしこみうどん』。山椒オイルと蕗のとうの緑がアクセント松尾さんが惚れ込んだという麺だけあり、柔らかな喉越しはどこまでも優しく、モダンな味わいながらどこかホッと和む味わいです。この場所で伝えていきたい“新たな東京の魅力”赤い「章姫(あきひめ)」から生まれた新たな品種が、ピンク色の「桃色あきひめ」デザートは、『五日市 中村さんの完熟イチゴとロゼシャンパーニュ』。パフェグラスを螺旋状に飾るイチゴは、五日市にあるイチゴ農家の中村さんが作る2種類のイチゴを使用。「一般的にスーパーのイチゴは9割くらい熟したものを農家さんが出荷していることが多いんですが、中村さんが作るイチゴは完熟なので、ヘタぎりぎりまで甘いんです」爽やかな甘みはもちろん、酸味が穏やかなのは、「桃色あきひめ」とそのルーツである「章姫」の特徴でもあるといいます。軽い口当たりのビスキュイ・ローズ・ド・ランスと、イチゴのコンポート、シャンパンのソルベに、2種類のイチゴが華を添える「“桃色あきひめ”は、中村さんが“あきひめ”の中から、1万株に1株くらい希少な確率で見つけたピンク色のイチゴを、毎年掛け合わせて継いでいくことで、徐々にここまで綺麗な淡いピンク色になっていったと聞きます。“白いイチゴ”って見た目が先行しがちですが、中村さんの“桃色あきひめ”はオリジナルで、すごくおいしいんです」こういった作り手のたゆまぬ努力や職人的な姿勢は、松尾さんが実際に訪ね、見聞きしたストーリー。古巣の帝国ホテルでの勤務時代から、休みがあれば生産者や農家さんを開拓し、“都内”といえど、その距離は小笠原諸島の漁師さんまで遠路はるばる足を運んでいるといいます。築150年の都指定有形文化財の建物で体験する、東京のローカル・ガストロノミー。地方にばかり目を向けがちだった昨今、新たな角度で東京を味わってみるのはいかがでしょうか。Restaurant L’Arbre【エリア】あきる野【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】15000円【ディナー平均予算】16000円【アクセス】武蔵五日市駅 徒歩10分自然派ワインを中心に、秋川で造られる少量生産の「雫酒」など日本酒も幅広く揃う。ペアリングは9,900円0
2024年02月28日トルコ料理はフランス料理や中華料理に並ぶ、世界三大料理のうちのひとつであることをご存知ですか? 日本ではケバブがよく知られていますが、ほかにもさまざまな食材を使った美味しい料理が数多くあります。そこで今回は、トルコ料理の特徴や歴史を解説するほか、おうちで作れるトルコ料理のレシピもご紹介。タジン鍋を活用するレシピも合わせてチェックしてみてくださいね!■トルコ料理の特徴や歴史を知ろう代表的なトルコ料理は、ケバブなどの肉料理です。イスラム教徒が多いので豚肉はほとんど使わず、主に羊肉・牛肉・鶏肉などを使います。地中海・エーゲ海・黒海に囲まれているため、ムール貝やサバなどの海産物も豊富。野菜もたっぷり使い、トマトやオリーブオイルでイタリア風に仕上げたり、香辛料やハーブでスパイシーな風味にしたりと、西洋と東洋の食文化が融合されているのが魅力です。これはトルコの歴史が影響しています。現在のトルコ人の祖先は中央アジアあたりの遊牧民で、羊やヤギなどの家畜を飼いながら、牧草地を求めて移動する生活を送っていました。これにより、食肉や乳(ミルク)を加工して保存する技術が早くから発展。ケバブなどの肉料理やヨーグルト・チーズといった乳製品を使った料理がたくさん作り出されたのです。そして、16世紀のオスマン帝国時代に宮廷料理が発展し、さまざまな地域から食材や調理法を取り入れ、多様なトルコ料理が誕生しました。ヨーロッパとアジアの中間に位置するトルコは、2つの地域を合わせた独自の文化を築き上げ、世界三大料理のひとつになったのです。■トルコ料理レシピ4選・トルコ風クミン肉団子トルコ風ハンバーグ「キョフテ」を再現。クミンパウダーを使ってスパイシーに仕上げ、さっぱりとしたヨーグルトをかけていただくのが本場流です。肉の美味しさが引き立ち、エキゾチックな味わいを楽しめます。・ジャジュク・トルコ風サラダ冷製スープのような見た目ですが、「ジャジュク」はトルコ料理ではサラダや前菜に分類されます。たっぷりのキュウリとヨーグルトで作り、爽やかな味わいが魅力です。こってりとした料理とよく合いますよ。・トルコ風肉ジャガサラダいつもの肉じゃがにキュウリやニンニクの効いたヨーグルトを加えて、トルコ風にアレンジ! 意外な組み合わせですが、さっぱりとコクのある味わいでサラダ感覚でいただける一品です。肉じゃがが余ったときのリメイクにも◎。・サンマサンドトルコ・イスタンブール名物「サバサンド」をサンマでアレンジしましょう。玉ネギやレタスなどを一緒にはさみ、レモンを絞るのがポイント。魚の臭みが和らぎ、シンプルで飽きのこない美味しさです。サンマの代わりにサバを使っても、もちろんOK!■タジン鍋を活用したレシピ3選トルコ料理もバラエティ豊かですが、地中海や中東、アフリカなどの料理に影響を受けた「モロッコ」にも、魅力的な煮込み料理「タジン」があります。そこで、アフリカ北部に位置するモロッコの伝統鍋「タジン鍋」を活用したレシピもあわせてご紹介。タジン鍋を持っていなくても厚手の鍋や蓋つきのフライパンで代用可能です。・モロッコ風レモンチキンふっくら蒸し上がった鶏肉に塩レモンの風味がアクセント。あっさりとしていますが、最低限の調味料で素材の旨味がしっかりと感じられます。野菜たっぷりで作っても◎ですよ。・モロッコ風チキンのタジン鶏肉とヒヨコ豆をトマト缶、塩レモン、スパイスで煮込む一品です。スパイスがない場合はカレー粉でもOK。レモンやトマトの酸味がまろやかになり、旨味たっぷりでパンにもご飯にもよく合います。・簡単ダイエット鍋ヘルシーで旨味あふれるメニューが作れるタジン鍋は、ダイエット中の食事作りにもってこい。お好みの野菜とスープの材料を入れたら、あとは放っておくだけです。つけダレでさっぱりと召し上がれ。トルコ料理は羊肉が多く使われていますが、それ以上に野菜が豊富で日本人好みのメニューも多いです。今回ご紹介したレシピはいずれも身近な材料で作れます。「いつもと違う料理が食べたい」「海外旅行気分を味わいたい」といったときは、ぜひトルコ料理を献立に加えてみてくださいね。
2024年02月22日玉ネギに似た「エシャロット」という野菜をご存じでしょうか。フランス料理ではソースや隠し味に使われる定番の食材であり、最近ではスーパーでの取り扱いも増えてきています。一方、似た名前で「エシャレット」という野菜もあり、混同されることが多いです。そこで今回は、エシャロットについて解説! エシャレットとの違いや、それぞれを美味しく食べられるレシピをご紹介します。ぜひ参考にしてください。【エシャロット】とは?エシャロットは玉ネギの一種で、ユリ科ネギ属の野菜です。国内で出回っているほとんどが輸入品で、日本ではあまりなじみがありませんが、フランス料理やイタリア料理ではよく使われています。見た目は細長くて小型。通常の玉ネギと同じように乾燥した茶色い皮に覆われていますが、皮を剥くと表面は薄紫色をしていて中身は白く、ひとつの塊ではなく2つ以上に分かれるのが特徴です。風味は玉ネギに似ていますが、ニンニクのような独特の香りがあり、ドレッシングやソースの材料としてよく使われています。ニンニクや玉ネギ同様、辛味成分のアリシンを豊富に含み、疲労回復の効果が期待できます。ほかにもビタミンB1・B2、ビタミンC、葉酸なども含んでおり、栄養価に優れているのもポイントです。【エシャロット】と【エシャレット】との違いエシャロットとよく似た名前で「エシャレット」という野菜がありますが、これはまったくの別物です。エシャレットは“若採りのらっきょう(根らっきょう)”のこと。見た目は白く、スーパーなどでは葉付きを束ねて売られています。一般的ならっきょうに比べるとくせが少なく、生のまま食べることが可能です。そもそも、なぜこのような似た名前がつけられたかというと、市場に出回りはじめた1950年代頃、若採りのらっきょうは「エシャロット」と呼ばれていました。しかし、徐々に西洋のエシャロットの流通量が増えるようになり、混同されるようになったので「エシャレット」と名前を変えたのです。【エシャロット】を使ったレシピ5選・牛フィレ肉のステーキステーキなどの肉料理には、フランスの王道ソース「ソース・ヴァン・ルージュ」がおすすめ! 赤ワインをベースにフォンドヴォーという出汁、刻んだエシャロットを加えます。エシャロットの甘みがポイントとなり、肉料理をワンランクUPしてくれますよ。・カキのフローレンス風グラタンカキを殻ごと使ってクリーミーなグラタンに。ホウレン草を合わせて焼き上げ、フローレンス風(フィレンツェ風)に仕上げます。ソースの隠し味にエシャロットを使うことでカキの旨味が引き立ち、奥深い味わいを楽しめます。・シャンパンに合うブイヤベース南仏の漁師町で生まれた煮込み料理、ブイヤベースを本格的に再現。エシャロット、ニンニク、セロリなどの香味野菜とタイム、サフランといったハーブを使って、魚介の旨味に香りを添えます。ワインやバゲットが進み、最後の一滴まで飲み干したくなりますよ。・鶏もも肉のプロヴァンス風煮込み鶏肉をトマト、オリーブ油、ニンニクでじっくり煮込んで、南仏のプロヴァンス風に。エシャロットやセロリといった香味野菜をたっぷり入れることで、トマトの酸味がまろやかになります。鶏肉はホロッと柔らかく、思わず笑顔になるほど美味です。・キノコのグラタンたっぷりのキノコの風味とエシャロットの香りが大人味のグラタンです。ホワイトソースはブランデーで芳醇な香りとコクをプラスし、より味わい深い仕上がりに。白ワインやシャンパンと相性の良い一品です。ご飯にかけたり、パンに添えたりしても◎。【エシャレット】を使ったレシピ3選こちらでは「エシャレット」="若採りのらっきょうを使ったレシピを紹介します。・豚肉とエシャレットのおかか炒めエシャレットは炒めると香りが和らぎ、甘みがUP! 豚肉やベーコンなどと相性が良く、塩コショウだけのシンプルな味付けがエシャレットの風味を引き立てます。シャキシャキとした歯応えが残るように、サッと炒める程度でOKです。・新ジャガとホタルイカの田楽みそエシャレットのシャキシャキ食感とピリッとした辛味を活かし、薬味としてネギの代わりに活用。葉の部分も一緒にみじん切りにして、トッピングしましょう。ホクホクのジャガイモと甘辛味の薬味みそが相性バッチリで、お酒がどんどん進みます。・赤ワインに合う生野菜とバーニャカウダエシャレットの風味をダイレクトに味わいたい方は、生でポリポリ食べるのがおすすめ。ピリッとする爽やかな辛味がアンチョビの効いたバーニャカウダソースとよく合います。ワインのおともに最高です。最近では、エシャロットもエシャレットもスーパーなどで見かけることが増えてきました。今回ご紹介したレシピを参考に、名前は似ているものの、まったく種類が異なる2つの野菜を食べ比べてみるのも良さそうですね。料理の幅がグンと広がりますよ。
2024年02月08日和のテイストを随所に散りばめた心地よい空間染物に店名をあしらった暖簾が出迎えてくれます【TOUMIN】が店を構えるのは、西麻布の交差点から数分の場所でありながら、静かなエリアに建つビルの2階。扉を開けると、和の趣漂う大きな暖簾が目に飛び込んできます。こちらは、創業100年の染色を主体としたブランド「桐染(KIRISEN)」の平本友里氏による作品。優しく多彩な色で染められたデザインに、食事への期待が高まってきます。ちなみに、店名の「O」の文字をよく見ると、右下の部分に小さな丸がついているのですが、これは発酵して分裂する様子なのだとか。料理が完成する様子を楽しめる12席のカウンター店内に一歩入ると、贅沢な広さが印象的。カウンターとその上部のデザインには杉の木を使用し、グレーの塗料で仕上げることで、店内に統一感が生まれています。ゲスト側はカーペット、カウンター内の厨房はフローリングにしたことも、より寛いでいただきたいという井口氏の考えによるもの。料理はすべて目の前で仕上げられ、すべてカウンターの内側からゲストに提供されます。「ペアリングをご注文される方が多いので、料理とドリンクの提供のタイミングにも気を付けています」(井口氏)。壁に掛けられたアートは高橋功樹氏による作品折敷には箸が置かれ、グラスは木村硝子を使用店内に飾られた作品は、井口氏が惚れ込んだ日本ならではのものを厳選しています。壁に掛けられた大きな絵は高橋功樹氏によるもので、実際に高橋氏自身が来店して【TOUMIN】の空間に合うように製作したものです。店内の他の場所にも飾られていますのでご覧ください。野口悦士氏や池田優子氏、辻野剛氏など、使用する器も日本人作家によるものを好んでセレクトしています。「料理に使う食材同様、自分がよく知っている身近に感じられるような作品でゲストをもてなしたいと考えて選びました」と井口氏。シェフのもとで“冬眠”して旬を迎えた食材が鍵を握る爽やかな余韻の『兵庫県香住漁港 セイコ蟹 アスパラ菜の菜の花』月替わりのおまかせコース(17,600円 税込)は、発酵と野菜をテーマに全11品で構成されています。最初のすり流しに続く2皿目は『兵庫県香住漁港 セイコ蟹 アスパラ菜の菜の花』です。セイコ蟹と小田原のグリーンバスケットジャパンがつくるアスパラ菜の菜の花を主軸に多彩な要素が小さな器に詰まっています。蟹の内子は味噌と、外子は3週間発酵させたトマトと和え、身はシンプルにそのまま。野菜や発酵に精通した井口氏らしい根パセリのピューレや大葉のオイルがアクセントに。セイコ蟹というと日本料理で登場するイメージが強い食材ですが、しっかりとフランス料理の一皿に仕上がっています。カウンターで『エチュベ』の盛り付けを行う井口氏【TOUMIN】では、カウンター内に炭火の焼き台なども完備し、すべての調理を行っていますので、音や匂いが伝わってきます。そして、ゲストの目の前で盛り付けて料理を仕上げるプレゼンテーションもご馳走のひとつです。『エチュベ』の盛り付けの際は、まるでキャンバスに絵を描くようにソースや野菜を並べて完成します。ぜひシェフとの会話もお楽しみください。季節の移ろいを感じることができるスペシャリテ『エチュベ』メニューは月替わりですが、毎回登場するのがこちらの名刺代わりともいえる『エチュベ』です。20種類前後の野菜と6種類のソースを使い、目の前で鮮やかに盛り付けられる様子は圧巻。野菜は、焼く、蒸す、煮るなどそれぞれの野菜に適した様々な調理法で仕立てられています。ローストした米の泡などソースも個性豊か。こちらの皿と同じタイミングでパンが提供されるので、ソースをつけて余すことなくいただけます。口に運ぶごとにそれぞれの野菜のインパクトある風味が感じられ、身体がパワーチャージしている感覚に。野菜は、神奈川県小田原のグリーンバスケットジャパン、山梨県の53FARM、東京都青梅のOme Farmなど各地の15軒ほどの農家から取り寄せています。火入れが秀逸な『兵庫県柴山港 九絵 発酵みかん インカのめざめ』『兵庫県柴山港 九絵 発酵みかん インカのめざめ』は、コースの中盤に登場する魚料理。神経締めにして1週間ほど熟成させた九絵は、優しい甘みを感じる米麹のパウダーをまとわせてムニエルに仕上げています。奥に添えた円形のものは、白味噌と共に発酵させたみかんの皮をバーナーで炙ったもの。発酵による上品な旨み、甘み、苦みが、上品な九絵の味わいに寄り添います。葱のソースや細切りにしたジャガイモとも引き立て合い、組み合わせのユニークさを楽しめる一皿です。食することの喜びを感じるレストランのもてなしカウンター内の棚にも“旬”を待つ食材の数々厨房のテーブルの下に並ぶ塩漬けなどの瓶【TOUMIN】の店内には、トマト、ビーツ、マロン、プラム、ハチミツなど、たくさんの瓶が置かれています。いずれも発酵や塩漬け、シロップ漬けなどによって、それぞれの食材がよりおいしさを増す時期を待つように“冬眠”しているのです。井口氏はこう語ります。「旬が短い食材を単に冷凍しても風味は時間と共に減っていきますが、その食材にあった発酵などをすることで、意味のある時間の経過とともに更なる食べ頃の“旬”を迎えることができます。発酵することでふくよかな味や香りが増しますが、重くなりすぎず軽やかな点も魅力です。例えば、春が旬のホワイトアスパラガスを発酵し、半年後に秋が旬の秋刀魚と組み合わせたり、夏が旬の岩牡蠣と冬の蕪を組み合わせたり。料理のバリエーションが広がります」。アルコールペアリングで提供されるワインの一例【TOUMIN】のオリジナリティ溢れる料理の数々と引き立て合うのがドリンクのペアリングです。アルコールは、国内外の自然な造り手のワインをメインに日本酒を組み込んだラインアップ。遊び心を感じるような1本も入れるようにしているのだとか。ノンアルコールは、店内に並ぶコンブチャや発酵シロップを使って、上質な日本茶や和紅茶を合わせて作っています。“冬眠”した食材は、料理だけでなくドリンクにも登場するのでお楽しみに。アルコールペアリング(11,000円 税込)、ノンアルコールペアリング(7,150円 税込)。【TOUMIN】のシェフを務める井口和哉氏は、1988年、兵庫県生まれ。専門学校時代に感銘を受けた【タテルヨシノ銀座】の門を叩き、料理の世界へ。井口氏は、【タテルヨシノ銀座】、【ル・コントワール・ド・ブノワ】、【ミッシェル・ブラストーヤジャポン】という名だたるフランス料理店で研鑽を積んだ後、【Bistaurant RNSQ】【REVIVE KITCHEN THREE AOYAMA】という個性あるレストランでシェフを務めた腕の持ち主です。幼い頃、飲食店がすぐ近くにないような自然に囲まれた場所で育ったことも現在の料理に大きく影響しているのではないかと感じさせてくれます。「私たちにとっては日々の仕事ですが、お客様にとっては一生に一度のご来店かもしれません。3時間の食事をできるだけ心地よくご堪能いただけることを大切にしています」。料理の美味しさだけでなく、おもてなしに感銘を受けて料理人を志したという井口氏らしい言葉です。TOUMIN【エリア】西麻布【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】35000円【アクセス】乃木坂駅 徒歩10分
2024年01月24日新店はゲストとの距離が近いカウンタースタイルサステナビリティを考慮した結果、味わいも深まる銀座でも好評だったスペシャリテの意味新店はゲストとの距離が近いカウンタースタイル銀座4丁目の【ラルジャン】といえば、2020年12月にオープンし、「ミシュランガイド東京2022」から2年連続で一つ星を獲得したフレンチだ。元の立地は銀座4丁目交差点、日産のショールームが入るビルの7階。「和光」の時計塔が目の前にそびえたつ環境も話題を呼んでいた。時間があればシェフ仲間たちと視察旅行へ行くという加藤さんシェフの加藤順一さんは静岡県掛川市出身の41歳。実は学生時代の夢はお菓子屋さんだったが、「特に知識がないまま決めつけるのもなと、辻調(辻調理師専門学校)の全部をバランスよく学べる科に入ったんですけど、フランス料理に触れる機会が多くて気づいたら」と、その道を邁進していく。同校のフランス校を卒業後、和歌山の【オテル・ド・ヨシノ】やパリの三つ星【アストランス】で腕を磨き、2012年からはコペンハーゲンの【AOC】と【Marchal】で計2年ニュー・ノルディックを吸収。帰国後は御成門の【スブリム】のシェフに就任し、そこでもすぐにミシュラン一つ星を獲っていた。【ラルジャン】は銀座で確固たる人気を誇っていたが、物件の契約が終わったため移転。縁があって、虎ノ門駅から徒歩2分の「東京倶楽部ビルディング」の2階が新天地となる。「虎ノ門・霞ヶ関は、もともと飲食は少なかったけれど、ヒルズもできていま伸びているエリアなので、未来を見据えこちらに」と、ビジネス街のど真ん中にラグジュアリーなレストランを作った。火を使う料理は中の厨房で、それ意外は基本カウンター内で行う一度スケルトンにしてゼロから内装をデザイン。前店との大きな違いは、厨房を囲むL字型カウンターをメインとし、シェフの姿が見えること。「お客さんの近くでサービスできる店にしたかった」と、その形態へ変えた。シルバーを基調にした世界観は変わらず、鉱物を多くとり入れたデザインとなっている。カウンター頭上のライトは石を切ったシートを貼ったもので、その紋様を通した明かりが艶やかに灯る。また、大きな窓が並びその向こうに木々が見えるので、春以降は緑が気持ちよい。店の奥には個室を用意。4名までの個室だが広々とした空間で大きな窓もあるので解放感があるサステナビリティを考慮した結果、味わいも深まる料理は以前通り、旬の食材をフレンチと北欧のエッセンスで昇華させ、故郷・静岡の食材を東京に発信することにも力を入れている。そんなスタイルを保ちつつ、「より環境に配慮した料理にしたい」とも話す。「環境保護や資源保護もそうですし、関わっているすべての人が継続して商売をやれるように、自分にできることを考えています。例えば “はつ恋ぐりん”というデザートでは形がいびつで売り物にならない青りんごも使っています。見た目が悪くても味は変わりません。生産者のみなさんもジュースにしたり工夫されているけど、人手が足りないから半分以上は廃棄になってしまうそうで、そういうものをなんとか商品化できればと思っています」『高原コーチンのポトフ』では野菜の端材をガラと一緒に炊いてコンソメにするなど、食材を使いきることも意識。結果、野菜の甘みや滋味が出て、スープの味が深くなっている。根セロリの香りを生かすため、だし汁には穏やかなマグロ節を使用した『根セロリの藁焼き』『根セロリの藁焼き』も、余った根セロリをマカロンに流用するなど無駄がない。元は藁で包んだ丸ごとの根セロリをオーブンで5時間焼き、一番だしとサワークリームと合わせた一品。アイデアはデンマーク時代に遡る。枝に刺された根セロリの藁焼き。手を使って頬張るアクションも楽しい「デンマークでホームステイしていたのが暖炉のある家庭で、大きいダッチオーブンに洗っただけの野菜を切りもせずぎゅっと詰めて暖炉に入れていたんですよ。デンマークはドイツと隣接しているので食文化が似ていて、根菜と豚肉をよく食べる。ソーセージや豚の耳、ジャガイモ、ビーツ、根セロリ、にんじんを詰め、鍋の隙間に藁を入れて蓋をして、暖炉に入れていたんです。取り出して開けると、藁の凄くいい香りがして、特に根セロリと相性がよかったので、根セロリにフォーカスした料理を作ろうと思いました」最後、枝に刺して藁で炙るのは香りづけでもあるが、現地で原始的な鍋だったので食べた方もワイルドにしたとか。「デンマークではボルシチみたいな料理もよく出てきて、そういう時はバケツサイズのサワークリームが食卓にボンとあって、スプーンが刺さっていて好きなだけとる」なんて思い出も合わせ、サワークリームと一番だしのソースにディップして食べる。土や藁の香りを感じる根セロリは冬の森を連想させるが、それを東京のど真ん中のオフィス街で食べられるというのが面白い。銀座でも好評だったスペシャリテの意味加藤さんの料理は個人のストーリーが元になっていることが多いが、「フォアグラのテリーヌ 掛川茶仕立て」が最たるもの。銀座時代から続くそのスペシャリテは、加藤さんの履歴が形になったようなものだ。掛川の煎茶を纏った『フォアグラのテリーヌ 掛川茶仕立て』「スペシャリテを探っていた時、自分のアイデンティティとは何かを自問自答していたんです。僕の実家があるのはお茶が有名な静岡県・掛川で、家族もお茶をつくっているので、まずお茶を使おうと決まり、次に自分が経験してきたフランス料理を代表する食材、フォアグラを選びました。そして北欧料理からビジュアルのヒントを得て、北欧ではハーブを多用するのでお茶をハーブと捉え考えていきました。お茶自体は水分なので、油の塊のフォアグラとは相性がよくない。でも試行錯誤するうちに、フォアグラトーションにたどり着いたんです。一晩お酒でマリネしたフォアグラを、チキンブイヨンで10分ぐらい茹でることで油が抜けて、そのまま冷やし固めるとお茶の水分とのバランスがとれました」「フォアグラと甘みを重ねる料理は多いけど、苦みとの組み合わせはあまりなく挑戦しました」と加藤さん。カットすると通常のテリーヌの形状となる調和を強めるために、ラタフィアワインのジュレとピスタチオを添える。「自分には料理人として何があるのか?」の最初の答えが故郷であり、世界でひとつの掛川茶のテリーヌが完成した。『5種のミニャルディーズ』。マカロン以外の4つにも静岡の特産品を使用「移転してお客さんと近くなったことで、なぜこの組み合わせなのか?をより考えるようになりました。質問されることも多くなり、どこかで見たやり方や業者さんに勧められた産地では説得力がない。“僕の料理はこの産地のこの人のじゃなきゃ成り立たない”というしっかりした理由のある料理を作っていきたいです」他のスタッフにもそのストーリーをシェアして、接客に生かしてもらう。食材や調理の誇示ではなくアイデンティティを優先することで、感情に響く食体験を実現させる。「いまは、もっと自由にやろうと思っています。フレンチは“こうしなきゃ”というのが強いですし、特に銀座では守った方がいいと感じていたけれど、例えばコースの順番にしても和食ではまったく変わるし国によってもバラバラ。頭を柔らかくものごとを考えて表現していきたいと思っています」舞台を変えるごとに進化していく加藤さんの料理は、虎ノ門でさらにステージを上げそうだ。L’ARGENT【エリア】霞ヶ関【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】15000円【ディナー平均予算】20000円【アクセス】虎ノ門駅 徒歩1分
2024年01月10日チーム一丸となってKEIイズムを具現化伝統と革新、そして日本の美学を融合優美な雰囲気のなか、美食と景色を堪能チーム一丸となってKEIイズムを具現化六本木ミッドタウン内、リッツカールトン東京の45階にあるフレンチダイニング【Azure 45】。外資系ホテルといえば、フランスのスターシェフを冠にするのが定石でしたが、今回、お店はパリに構えているものの、日本人の三つ星シェフを監修者に迎えたというのは画期的な出来事です。監修者となった小林圭氏は、2011年に【Restaurant KEI】を開いた翌年にミシュラン1つ星を獲得するなどオープン当初から世界的に注目される存在でした。そして2020年、ついに3つ星に輝いたというニュースは、フランス国内でアジア人シェフの初の快挙ということもあって大きな喜びを日本に届けてくれました。1977年生まれ。1998年に21歳で渡仏した小林圭氏は、ジル・グジョン、アラン・デュカスという現代の巨匠の元で研鑽を積み、2011年、パリで自身の店を開きましたオープンにあたって、「フランス料理の美食の文化とその歴史を作ってきた偉大な巨匠にインスパイアされ、伝統的なフランス料理を現代的に解釈して生み出す新しい世界観を日本のリッツで伝えられることを嬉しく思う」と小林氏は話していました。その想いを託されているのが実際に厨房で指揮を執る料理長の村島輝樹氏です。「ホテルのレストランは緊張する、特別な日に食事に行く、というような敷居の高さを払拭したいと思っています。また、スターシェフの店で選ばれるのでもなく、フランス料理を食べる機会が少なかった人たちにも、【Azure 45】の料理やサービスで満足していただきフランス料理に興味を持つきっかけになってくれたら嬉しいですね。そのためにチーム一丸となって努力することが私たちの務めだと小林シェフと話しています」と村島氏。「フランス料理は難しいものではなく、五感をフルに使って楽しめる感性を刺激するもの。そういったことを伝えていくのが私たちの使命」と熱く語る村島氏外資系高級ホテルのメインダイニングというと価格も相当にお高くなると思いきや、ディナーコースは税・サービス込みで19,800円から、ランチは14,800円のコースもあります。「雰囲気やサービスのクオリティはもちろん、眺望もこの通り素晴らしいでしょう?「えっ、お得じゃない?」と喜んでもらい、また足を運んでいただけるレストランにしていきたいですね。小林シェフからは、星の評価ではなく、何よりも来てくださるお客様がいい時間を過ごし、満足していただけるために何をすればよいかをスタッフ一人一人が考え、お客様にとって世界一のレストランにしていこうと言われています」。ハイグレードのワインをグラス3種9,800円からペアリングで楽しめる伝統と革新、そして日本の美学を融合し新しい世界観を伝える小林氏が村島氏を料理長に抜擢した理由は、技術の高さはもちろんですが、フランス料理の歴史、伝統にも深く理解があるということも大きかったそうです。「小林シェフと同様に1990年代から本場フランスで修業し、同じ時代を進んでいたこともあってクラシックもかなり勉強しながら、小林シェフはアラン・デュカス、私はジョエル・ロブションという革新的な現代の巨匠の元で仕事をしていました。そういった背景も相まって料理を考えるイメージに共通性が多く、阿吽の呼吸で分かり合うことができるようです」と村島氏。クラシックな技法も熟知し、リスペクトしながらも現代の嗜好に合わせて繊細さ、軽やかさを出せるように工夫を重ね、さらに日本の感性、美学なども融合していくというのが2人のスタイル「私のスペシャリテ、仔鳩のローストですが、低温調理をしたあとに0℃前後で数日寝かせて身質をしっとりさせ、繊細なテクスチャーに持っていくという手法が偶然にも小林シェフと同じだったんです。ただ、私は3日間寝かせていましたが、小林シェフに1週間寝かせるともっといいよ、とアドバイスを受けてより繊細さが増しました」(村島氏)コースのメインで出されるしっとりなめらかな食感の『ランド産仔鳩のロースト』しっとり優しい口当たりの小鳩にほどよく絡む内臓を使った濃度のあるサルミソース、そしてトッピングされたナッツ類、下に敷かれたいちじく、アンディーブ、レンコン、スパイスなどさまざまな要素の食感や風味がアクセントになり、コースのフィナーレとはいえ食べ疲れることもなくするすると喉を通っていきます。「小林シェフは「伝統と現代性、食感と風味の完璧なバランスを追求し続けよう」と常に私たちに話しています。そのKEIイズムを具現化する努力が日々この厨房で繰り広げられています」(村島氏)『マグロのカネロニ』(前菜)。「キャビアをよりおいしく食べてもらうことを追求した一品です」と村島氏。季節によってはマグロのかわりに海老を使うことも「マグロの上にキャビアをトッピングするだけではキャビアの良さが伝わりづらい」と考え、キャビアを包み込むねっとりとした食感に加えてマグロとも相性の良いアボカドを使って、マグロのタルタルのロール仕立てにした前菜。下に敷いてあるのはリンゴのスライス。この甘味と酸味も重要な要素です。キャビアの塩気はまろやかになり、旨みがアボカドに溶け込み優しい味わいに。アボカドという親しみのある食材も、キャビアと合わせると優美で華やかな印象に変身。この一皿も食感のバランスや風味のバランスが見事、と感心させられました。釣りが趣味だという村島氏は、魚の扱いも見事です。身の厚いクエは、表面が乾かないよう気を配りながら、何度もオーブンから出し入れしてゆっくりゆっくり蒸しながら火を入れ、最後に皮目をパリッと焼いて食感のバランスを整えています。仕上げに蛤と昆布のだしをかけていただく日本的な感性が光る一皿、『クエ 蛤のだしで』「クエは日本では鍋料理で親しまれています。なので、ソースで食べるよりも温かな液体に浸して口に入れた方が、クエらしさをよりおいしく味わっていただけるのではないかと。クエの可能性を追求した一皿です」と村島氏。鍋料理を彷彿させるだしや和を感じる食器を使うことで、日本人客には親しみやすさを、外国人には日本の精神を伝え、日本人シェフだからできる新しいフレンチの表現を体感させてくれています。食材の魅力や可能性を追求したコースの最後を締めくくるデザートも五感に響く印象的な味わいで食後の余韻を長引かせてくれます。『フランボワーズのヴァシュラン フランボワーズとバラのコンフィチュール』小林圭氏のスペシャリテとして人気のメレンゲのデザート「ヴァシュラン」を、ペストリーシェフの小堀真弓さんがフランボワーズのメレンゲで1枚1枚花びらをつくり、大輪のバラの花で表現。フランボワーズのソルベ、ココナッツムースの組み合わせで、ゴージャスですが味わいは繊細で軽やかです。コースを締めくくる『タルトショコラ』食事の最後でもすっきりと食べられる、口溶け滑らかな温かいチョコレートです。チョコレートは、ヴァローナ社のセミビター、フルーティな酸味のあるもの、持続性のある香りがあるもの3種をブレンド。枯れ葉をモチーフにした、季節感のあるパリパリのチュイルを崩しながら頂きます。優美な雰囲気のなか、美食と景色を堪能最先端のフレンチを堪能できるレストランとして生まれ変わった【Azure 45】。ホテル全体のコンセプトと同様に西洋と東洋が融合した極めてエレガントな設え、ムーディーな照明はもちろん、ホテルならではの丁寧で安定感のあるサービスなど、何拍子も揃って思い出深い時間を過ごすことができます。どのテーブルからも最高の眺望を眺められるレイアウトアジュールはフランス語で「青」の意味。天井が高く、広い窓の向こうに広がるのは空の色に因んだ店名なのです。その空の色、そして景色もランチタイムとディナータイムで大きく表情を変えます。ランチタイムは東京湾に続く街並みや、天気がいい日なら房総半島を望むことができます2名席はどの席も景色がよく見えるように、窓に向かってセッティングされています世界中の人々が訪れる東京のラグジュアリーホテルのメインダイニンで、日本人シェフが表現するフレンチというのは極めて画期的です。今後このような流れで日本のフレンチシェフの活躍の場が、世界的な視野を持って次世代へ継承されていくことこそ小林氏、村島氏の願いです。「伝統と現代性、食感と風味の完璧なバランスを追求」することを標榜している小林氏ですが、複雑になり過ぎず、わかりやすいおいしさであることも大切にしているそうです。コースが進むうちにそういったKEIイズムも理解できるようになり、食べ終わる頃にはファンになっていること間違いなしです。ホテルというちょっと贅沢な場所ですが、記念日だけでなく、季節ごとに訪れてみてはいかがでしょう?Azure 45【エリア】六本木【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】26000円【アクセス】六本木駅
2024年01月05日実は【トゥール・ダルジャン】には思い出があります。ここは40年近く前、私が初めて正統派といわれるフランス料理をいただいた店なのです。なけなしのフラン紙幣を握りしめ、緊張して出かけた記憶があります。いろんな記憶はすでに飛んでいるのですが、そのとき食べた鴨のオレンジソースの味だけは今も鮮明に覚えています。フランス料理のもつ奥行きの深さ、おいしさに、本当に感動したのでした。パリの【トゥール・ダルジャン】パリの新装【トゥール・ダルジャン】は、場所や外観こそ同じですが、内装がけっこう華やかになっていました。メインダイニングの6階に案内され、席から雨で少し霞んだセーヌを眺めます。料理の説明を受け、分厚いワインリストを見ます。ひとつひとつに重みがあります。ただ、初めて行ったときの緊張はもはやありませんでした。サービスをしてくれる人が自分の子どものような歳ですし、全体がスマート・カジュアルな雰囲気に包まれていて、とてもアットホームな感じのなかで食事をいただくことができました。メニューから定番の『四季のコース』をお願いし、ワインはグラスで合わせてもらうことにしました。前菜とポルチーニの料理をいただき、魚はホタテのホワイトソースでした。全体的に軽やかですが、しっかりとしたフランス料理らしい深みのある味わいに、なんだかほっとします。そしてメインにはもちろん鴨をいただくのですが、幼鴨はブルーベリーやビーツの赤いソースで彩られ、酸味がしっかり効いた今風のものでした。やはりおいしい。40年前に感じた衝撃ではなく、今回は「ここに帰ってきたんだ」といった懐かしさを感じました。噛みしめるたび、時の流れがじわじわ、ひしひしと迫ってくるようで、素晴らしい時間を過ごすことができました。東京の【トゥール・ダルジャン】も40周年に帰国すると、東京の【トゥール・ダルジャン】から記念ディナーの案内が来ていました。2024年に東京店は40周年を迎えるというのです。なんだかご縁を感じました。わずか2週間のうちに、パリと東京の両方の【トゥール・ダルジャン】で食事ができるなんて。エグゼクティヴシェフ、ルノー・オージエさんの就任10周年でもあるということで、フランスよりジャック・ボリーシェフを迎えて特別ディナーを開催するとのことでした。ボリーさんは東京の【ロオジエ】でも長く活躍された重鎮で、2人はともにM.O.F(フランス国家最優秀職人章)受賞者。大御所ボリーさんとその志を同じM.O.F.受賞者として継承するオージエさんの饗宴はとても貴重です。左より、オージエシェフ、ボラー総支配人、テライユ社長、ボリーシェフ。東京の【トゥール・ダルジャン】にて【トゥール・ダルジャン】は東京の「ホテルニューオータニ」にあり、入口からして重厚感のあるつくりです。クリスチャン・ボラー東京店総支配人の話に続き、パリ本社から駆け付けたというアンドレ・テライユ社長も日仏の長きにわたる信頼関係を誇らしげに語られていました。このテライユ社長の先代とニューオータニのオーナーが飛行機の中で出会い、意気投合して日本のお店ができたという話を以前聞いたことがありました。歴史とはいろんな縁のつながりですね。さて料理は、オージエさんとボリーさんの4ハンズで、交互に彼らの皿が出てきます。シャンパーニュをいただき、まずは『生ウニのフリヴォリテ』(ボリー)から。軽やかにして濃厚、カレー風味のスパイス感も潜みます。『オマール海老のカルパッチョ』(オージエ)はシンプルで美しい皿。オージエシェフは日本庭園が好きで、それが料理の盛り付けにも影響することが多いと聞いたことがあります。今回は秋らしく、庭に落ちる葉のイメージでしょうか。『アマダイのヴァプール』(ボリー)も名物のひとつですが、芳醇なキャビアの塩味とフェンネルソースの香りに包まれた贅沢な一皿。わかりやすくておいしいですね。アルザスのリースリングに合わせていただきます。次は『黄金に輝く黒トリュフと根セロリのスフレ、黒トリュフソースと芳醇な白ワインソースの饗宴』(オージエ)と題された、これも名物ですね。料理を壊すのがもったいなくなるほどの、実に美しく豪華な一皿です。伝統の底力を感じた夜サンテミリオンの赤に合わせるように、鴨料理が出てきます。『幼鴨のロースト、ヴィーニュの燻香、マスカットベイリーソース旬菜のマルムラードと巨峰のパレ』(オージエ)ぶどうの古木で燻してあってすごくいい香り。マスカットベイリーのほどよい甘酸っぱいソースがクラシックな感じで、パリのそれとはまた違う幼鴨を愉しむことができました。デセールは『ビスキュイフォンダン、ミルクのアイスクリーム』(ボリー)。これもクラシックで安定のおいしさ。2人のミニャルディーズでコーヒーをいただきました。ボリーさん、オージエさんも最後にテーブルにきてくれて、和気あいあいな雰囲気に包まれます。驚いたのはボリーさんは77歳になった今でも毎朝5キロ走っているのだとか。いろんな底力を感じました。オージエシェフ、ボリーシェフ長年の伝統を維持することは想像以上に大変なことだと思います。伝統を守りながら常に時代にあった新しい料理をつくりあげていくには、日々の研鑽は不可欠でしょう。2人の話を聞いていて本当にそう思いました。伝統を受け継ぐ大御所たちの横綱相撲を体験させていただいた贅沢な一夜でした。トゥールダルジャン 東京【エリア】永田町【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】35000円【アクセス】赤坂見附駅 徒歩3分
2023年12月19日恵比寿から洗足池へ移転オープンしたフレンチの名店素材ありきのフレンチを追求した、自然なおいしさで魅了自然なおいしさを大切にしたオーガニックワインが充実恵比寿から洗足池へ移転オープンしたフレンチの名店2023年に恵比寿から洗足池へ移転オープンしたフレンチの名店【月夕堂】。店名は「花朝月夕」にちなみ、月が輝く秋の夜長のような楽しい一時を届けるという思いを込められたそう。オーナーシェフの廣瀬さんが繰り出す自然で誠実なおいしさの料理はそのままに、輝く月を水面に映す洗足池近くという風雅な立地が加わり、さらなる魅力を披露しています。風雅な店名にふさわしいインテリアまた「ゲスト一人一人の楽しみ方に寄り添う料理とサービスを」との思いから、ゲスト、生産者を主役とし、自身は脇役に徹するシェフの奥ゆかしい人柄も、この店が人気を集める理由のひとつです。誰もが自然体でくつろげる雰囲気そして一度味わうとまた食べたくなるシェフの皿は、引き算の料理。雑味や不要な食感を除きつつ、食材を磨くような調理と加熱の技で、素材の香りと五味を巧みに表現。自然でありつつ重厚な旨みに驚くことでしょう。素材ありきのフレンチを追求した、自然なおいしさで魅了メニューの軸は少量多皿の『季節の味わいを楽しめるコース』2種。多彩な旬食材を多様な調理法で仕上げた10品前後が絶妙なタイミングで提供されます。ここでは3品をご紹介しましょう。『身元のはっきりした30種ほどの野菜 色々な味わいで』約30種の野菜をソテー、ロティ、エチュべなど10種ほどの調理法で別々に仕上げ、田園の詩情を感じる盛付けに。野菜それぞれの食感、甘みや旨みを楽しめる『A5熊本牛のローストと貝類のタルタル 抹茶と貝のブイヨン』多種多様な構成要素を一緒に味わうことで生まれる、ドラマティックな感動と重厚な旨みにひたれます。サプライズ感のある盛付けも魅力『季節のジビエ』各地の山野で猟師が捕獲するジビエは、繊細で自然な肉質が格別。熱源を使い分けてゆっくり火入れし、素材の頂点のおいしさをテーブルへ。白糠の蝦夷鹿、丹波篠山の猪、新潟の青首鴨などが季節に応じて登場自然なおいしさを大切にしたオーガニックワインが充実店の料理と好相性のナチュラルな味わいのワインが充実。ブルゴーニュやロワールなどのフランス産が中心となり、手摘みで収穫するなど小さな畑から手作業でつくられるオーガニックワインが豊富に揃っています。料理との相性も抜群なワインを多数取り揃える素材のおいしさを存分に引き出して重ねた、ドラマティックな味わい、サプライズ感のある盛付けで織りなすコース料理は、特別な日のディナーにもぴったり。洗足池近くにあり、ディナーの前後に周辺を散策するなど、プチトリップ気分を味わうのもオススメです。料理人プロフィール:廣瀬龍一さん1970年、東京都生まれ。【月夕堂】オーナーシェフ。東京下町の商店街で育ち、8歳の時、母親の入院をきっかけに料理を始める。友達の家が青果店や精肉店、鮮魚店を営んでおり、食材を選んで料理をつくり、味わって喜んでもらえる食の素晴らしさに惹かれる。高校卒業後、プロの道を歩み始め、フレンチを中心に多彩な料理ジャンルの腕を磨く。1997年、恵比寿で今の店を創業して独立。2023年に移転し、洗足池で店の新たな歴史を紡ぐ。月夕堂【エリア】池上/洗足池【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】12000円【アクセス】洗足池駅 徒歩1分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年12月12日