タワーマンションとは?タワーマンションとは、字のごとく通常のマンションよりも高いマンションのことをいいます。通常のマンションと異なる点は、以下の2つです。「階層」が段違い!タワーマンションは、通常20階建て以上のマンションのことをいいます。「高さ」そのものが違う!外観上でもわかるように、タワーマンションは通常のマンションに比べて段違いに高いです。一般的には「高さ60m以上」もしくは「高さ100m以上(環境アセスメント条例)」のものを、タワーマンションと認められています。※環境アセスメント条令・・・・環境に著しい影響を及ぼすおそれがある大規模な開発事業について、環境の保全上の見地から環境アセスメントと事後調査の手続について、条例により規定したもののこと一般のマンションとはまるで異なるタワーマンションですが、どのような魅力があるのでしょうか。おそらく、マンションからの眺望を想像された方も多いはず。しかしそれだけにとどまらないタワーマンションの魅力をご紹介!タワーマンションの魅力24時間のフロントコンシェルジュが、ホテルと同様のサービスをしてくれるゲストルームの貸出しがある(友人や家族など)ジムやプールなどの施設を利用できる高層の利点を活かし、ナイトプールやパーティールームなどの時間貸し施設を利用できる、などタワーマンションには、一般のマンションにはない施設やサービスがあります。また内装もシティホテルのような豪華なものとなっています。デメリットはあるの?一般のタワーマンションと比べて、ホテルと同様の豪華さ・サービスがメリットといえるタワーマンションですが、以下のようなデメリットもあると考えられます。デメリット敷地が広い分、侵入もされやすい部屋によっては、敷地から自室まで5分以上かかるなんて話もあります。マンション自体の敷地が広い分、侵入も容易であり、都内であれば治安が気がかりとなります。眺望は良いが、プライバシーの確保が懸念良好な眺めを保つ窓設計となっていますが、逆にいえばプライバシーに影響があるともいえます。高層だからとはいえ、どこからみられているかはわからないものです。サービスコストによる「管理」上の労力同じタワーマンションの部屋とはいえ、階数によって受けるサービスは異なってくる場合があります。当然、サービスの幅が広い分、コストもかかるでしょう。多くの人が同じ建物内に違った費用で住むとなると、管理上の労力バランスが異なってくることが考えられます。緊急避難が困難である地震や火災が起きた場合に、エレベーターが停止もしくは住居人で混雑する場合が考えられます。特に上階の住居人は、避難が困難であるといえます。こうしてみると、デメリットも多いように感じますね。後々後悔しないよう、メリットだけでなくデメリットも考慮したうえで、入居(購入)を検討するのがベターでしょう。
2017年11月29日団体信用生命保険とは団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローン専用の生命保険のことです。団信は、住宅ローンの債務者が死亡したときや高度障害状態になった場合に、住宅ローンの残金分から保険金として金融機関に支払われ、住宅ローンを清算することのできる保険です。団信の種類には、通常の団信に加えて三大疾病保障付保険、七大疾病保障付保険、八大疾病保障付保険などがあります。それぞれの保険料と保険内容をみてみましょう。団体信用生命保険保険料:保険料の別途支払いは、不要保障内容:死亡・高度障害三大疾病保障付保険保険料:住宅ローンの金利に0.3%程度上乗せ保障内容:死亡・高度障害に加えて、ガン・脳卒中・急性心筋梗塞七大疾病保障付保険、八大疾病保障付保険保険料:年齢・ローン残高・借入内容により、別途保険料の負担保障内容:死亡・高度障害に加えて、ガン・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧性疾患・糖尿病など金融機関によっても保険金が支払われる条件などが異なってくるので、加入する際には保険金支払いの条件などの確認を怠らないようにしましょう。就業不能時のリスク回避方法とは?団信を利用する前提に「住宅ローンの債務者が死亡したときや高度障害状態になった場合」といったものがありました。つまり病気やケガの場合には、この団信を利用することができません(対象外)。しかし万が一、大きな病気やケガをした場合には、就業不能となり、住宅ローンを支払うのが困難となります。そこで就業不能時の住宅ローン返済をサポートしてくれる「住宅ローンサポート保険」が活躍します。住宅ローンサポートとはこの保険は、上記のような住宅ローンの債務者が大きな病気やケガで働けなくなった場合に、収入の減少をカバーします。住宅ローンは、長期の借金ともいえます。この間に大きな病気やケガなどで、返済が滞ることも考えられます。住宅ローンサポート保険は、強制加入するものではありませんが、リスク回避として検討してみてもよいかもしれませんね。
2017年11月29日ハウスメーカーとはハウスメーカーとは、住宅販売を専門に行う業者のことをいいます。上記でいうところの住宅には、戸建てに限らず、アパートやマンションの建設も含みます。代表的なハウスメーカーには、以下のようなものがあります。代表的なハウスメーカー大和ハウスパナホームタマホーム三井ホームミサワホーム住友林業ヘーベルハウス(旭化成ホームズ)CMなどでもよく見かけますよね。そのため、これらのハウスメーカーをご存知な方も多いことと思います。一般的に知名度の高い業者は、全国的な規模で事業を展開しています。また販売する物件の規格がある程度統一されており、工期は早いことも、ハウスメーカーの特徴といえます。しかしこれは、ハウスメーカーごとによって異なるので、工事の質や工事費は同じとはいえません。上述した通り、ハウスメーカーは家を販売する業者のことです。しかし実際に住宅を建設するのは、下請会社の工務店です。工務店とは工務店とは、実際に住宅を建設する業者のことをいいます。工務店は、ハウスメーカーとは異なって全国展開ではなく、地域密着型の企業が多く見受けられます。そのため、きめ細やかな施行やアフターサービスが特徴的といえます。またハウスメーカーに依頼した場合、販売されている物件の規格がある程度統一されているものであると先述しました。しかし工務店の場合だと、間取りや外観などのデザインを顧客と考えていくスタイルをとっていることも特徴のひとつといえます。ハウスメーカーは「家を売る業者」工務店は「家を創る業者」といえるでしょう。ハウスメーカーと工務店をまとめてみた下表のような特徴が挙げられます。ハウスメーカー工務店工事が比較的短期間で済む詳細な見積書で見やすい技術力が高い(最新の工法や設備などを取り入れやすい)メンテナンスや保守点検が行き届いている資材は大量生産型。安定した品質である地域密着型で、きめ細やかな施行やアフターサービスが期待できる金融機関と提携していることが多く、依頼によって住宅ローンなども勧めてくれる間取りや外観などのデザインを顧客と考えていくスタイル(比較的自由度の高い設計)ブランド重視で安定を優先するのであれば、ハウスメーカー。間取りや外観にこだわりたいのであれば、工務店。こんな風に考えてみるのも、良いかもしれませんね。
2017年11月28日用途地域とは住みよい街づくりのために、計画的な街づくりをする区域のことを都市計画区域と言います。この都市計画区域内(準都市計画区域も可)では、土地の利用制限を設けています。たとえば、住宅街に工場が建っては、騒音や安全性が確保されません。住居の良好な環境を乱さぬよう、法律で規制しているわけです。このように、用途地域はその地域の用途や使用目的に合うように定められており、全部で12種類に分けて土地利用の効率化を図っています。12種類の用途地域用途地域は市町村が指定し、主に「住居系」「商業系」「工業系」の3つに大別されます。ひとつずつみていきましょう。住居系住居系では、「低層住居系」「中高層住居系」「住居系」の3種類に分けることができます。1.低層住居系(1)第1種低層住居系低層住宅のための良好な環境を保護する地域。小規模な店舗(駄菓子屋など)や小中学校などが可能。(2)第2種低層住居地域主として、鄭壮雄宅のための良好な環境を保護する地域。1503までの一定の店舗(コンビニエンスストアなど)や飲食店などが可能。2.中高層住居系(3)第1種中高層住居地域中高層住宅のための良好な環境を保護する地域。5003までの一定の店舗や飲食店が可能。(4)第2種中高層住居地域主として、中高層住宅のための良好な環境を保護する地域。病院や大学などのほかに、1,500平方メートルまでの一定の店舗や飲食店が可能。3.住居系(5)第1種住居地域住居の環境を保護する地域。ホテルや3,000平方メートルまでの一定の店舗や飲食店が可能。(6)第2種住居地域主として、住居の環境を保護する地域。パチンコ店やカラオケボックスなどが可能。(7)準住居地域幹線道路沿いの業務の利便に加えて住居との調和を図る地域。商業系商業系には2つの用途地域がある。(8)近隣商業地域近隣住民への日用品を供給する商業の利便を増進する地域。住宅や店舗、小規模な工場の建設も可能。(9)商業地域主として、商業の利便を増進する地域。工業系工業系には3つの用途地域がある。(10)準工業地域主として、環境悪化のおそれのない工業の利便を増進する地域。危険性や環境悪化に影響を及ぼす工場以外のほとんどの建物を建設することができる。(11)工業地域主として、工業の利便を増進する地域。住宅や店舗の建設は可能だが、学校や病院、ホテルなどの建設はできない。(12)工業専用地域専ら工業の利便を増進する地域。どのような工場でも建設が可能だが、学校や病院、ホテルなどの建設はできない。用途地域は、一般的に都市計画区域内に定められます。都市計画区域は、市街化区域と市街化調整区域に分ける場合があります。積極的に市街化する市街化区域では、用途地域を必ず定めます。一方、市街化を抑制する市街化調整区域では、原則として用途地域を定めないとされています。また市街化区域と市街化調整区域を定めない都市計画区域(非線引き区域)では、用途地域を定めることができるとされており、必ず定めるものではないとされています。
2017年11月27日情報セキュリティにはさまざまな専門用語がありますが、その多くのワードは「詳しくわからない」「他人に説明できるほどではない」という方が多いのではないでしょうか。マイナビニュースでは、カスペルスキー エヴァンジェリスト前田氏に寄稿いただき、"ググってもわからない"というセキュリティ用語を一から解説します。第6回のテーマは「ランサムウェア」です。著者プロフィール○前田 典彦(まえだ のりひこ)カスペルスキー 情報セキュリティラボ チーフセキュリティエヴァンゲリストマルウェアを中心としたインターネット上のさまざまな脅威解析調査の結果をもとにし、講演や執筆活動を中心とした情報セキュリティ普及啓発活動に従事○ランサムウェアに屈しないために今回は、マルウェアの一種である「ランサムウェア」について解説します。ランサムウェアは、英語表記では「ransomware」となり、ransomは身代金という意味です。身代金は、誘拐事件で犯人が人質と引き替えに要求する金銭であったり、近現代以前の戦争捕虜釈放の代償として、敵方に対して要求する金銭だったりします。マルウェアの世界でもこのワードは同じような意味合いで使用されています。コンピュータにおいて、人質あるいは捕虜として攻撃者に取られるものは、ファイルやデータ、あるいはそれらへのアクセスです。本稿執筆時点(2016年3月)で、国内でもランサムウェアの被害が報告・報道されるようになってきているうえ、その種類も多岐にわたることが知られ始めていることから、注目度が増しているマルウェアであると言えます。ただ、ランサムウェアのアイデアは10年以上前からマルウェアに使用されています。その後、時折被害が報告されてきましたが、ここ1~2年、発生数ならびに被害報告数が急増しているマルウェアの種類です。増加要因の1つには、マルウェア開発側(攻撃者側)の進化が挙げられます。マルウェア自体が技術的に洗練・高度化していることに加え、マルウェア開発や配布を"サービス"として提供するビジネスも実際に確認されています。こうしたビジネスは、「Malware as a Service(MaaS)」と呼ばれ、その中でもランサムウェアに特化したサービスは「Ransomware as a Service(RaaS)」と呼ばれます。また近年、ランサムウェアが増加している背景には、周辺の変化も関係しています。その変化は大きく分けて2点あります。初めに、クラウドサービスの普及・一般化に伴って、安価で手軽に利用できるIaaSやPaaSが増加したことが挙げられます。攻撃者は多くの場合、管理が甘いWebサーバなどのホスティングサービスに不正侵入したり、場合によっては、サービス事業者の管理者権限を奪取したりすることで、正規に運用されているサーバをマルウェア配布サーバやC&Cサーバに仕立てます。2点目は、ビットコインに代表される、金銭授受手段の多様化・普及です。従来の決済方法に比べて、ビットコインのような仮想通貨による金銭の授受は、"カネの流れ"の追跡が困難で、資金洗浄(マネーロンダリング)や不正に入手した闇資金の送金に適していると言えます。また、攻撃者にとっては、ユーザーを喫緊・緊急の事態に追い込みつつ金銭を要求するため、回収の可能性が高い(金銭が支払われる可能性が高い)ことも増加の一因でしょう。ランサムウェアに感染すると、ファイルが暗号化されて開けなくなる、あるいはファイルへのアクセスをブロックされてる(その結果ファイルを開けなくなる)ということが起きてしまいます。攻撃者は、ファイルを復号化する、あるいは、アクセスブロックを解除するために、金銭を要求してくる場合がほとんどです。また、ファイルやデータを使用できなくするという意味では、サボタージュ攻撃と呼ばれる、攻撃対象の業務を妨害したり破壊工作を図ったりする攻撃も行われます。このように、感染してしまったユーザーにとっては突然、普段使用しているパソコン内のファイルやデータが使用できなくなってしまうことから、マルウェアの動作と被害が非常に明確であるという点がランサムウェアの特徴の1つです。昨今のマルウェア、特に情報窃取を目的とするものはユーザーに感染を知られないように動作することを特徴としていますから、その正反対の性格であると言えるでしょう。先述の通り、ファイルを元通りに復号・復元して使用できるようにするため、多くの場合、攻撃者は金銭を要求してきます。例えば、暗号化タイプのランサムウェアの場合は、金銭と引き替えに復号化の「鍵」を渡すことを通知してきます。要求に応じて金銭を支払うべきか否かについては、一部の専門家が「感染時は、素直に金銭を支払うべきである」という助言をしている例もあるようです。また、被害事案の中には、攻撃者に屈して実際に金銭を支払った事例も報告されています。一例としては、米国のHollywood Presbyterian Medical Centerの被害事例があり、被害組織から公式発表がなされています。それによると、攻撃者の要求は40bitcoin(当時のレートで1万7000ドル)で、彼らはそれを支払ったということです。ただ、筆者としては明確に反対します。理由は2つあります。第1に相手は"攻撃者"であり"犯罪者"だからです。違法・不法なことを平気で行う者たちですから、要求通り金銭を支払ったとしても、鍵や復元方法を送ってくる保証はどこにもありません。第2は、攻撃者へ支払った金銭は、次のマルウェアや攻撃手法開発などへの原資となる可能性がある点です。間接的とはいえ、被害者が加害者の発展に貢献する道理はないと考えます。しかしながら業務上、どうしてもファイルを復号・復元する必要が生じることもあるでしょう。セキュリティ事業者の中には、ランサムウェアを解析した結果、復号やアクセスブロック解除の手法を解明している場合もあります。万が一被害に遭ってしまった場合は、使用しているウイルス対策ソフトの製造元や普段付き合いがあるセキュリティ事業者に相談してみることを推奨します。また、警察に相談する方法もあります。オランダ検察庁やオランダ警察と共同で、いくつかのランサムウェアの復号ツールを無償提供するサイトの公開も行っています。ただし、仮に善なる事業者や機関が復号化や復元に成功していたとしても、そのことが既に広く知られているとは限りません。非常に古い(つまり攻撃者が既に使用していない)ランサムウェアであれば別ですが、流行の真っただ中にあるようなものであれば、なおさらその傾向は強いものとなります。なぜなら、復号化・復元ができることが攻撃者側に知られてしまった場合、攻撃者は新たな暗号鍵で暗号化するランサムウェアを作成したり、復元手法を変更したりしてしまうためです。このことからも、繰り返しになりますが、まずは身近な専門家に相談することが、事態打開への早道であると言えます。このように、ランサムウェアは、普段使用しているファイルやデータを使用できなくすることから、予防策として最も効果が見込めるものは、こまめなバックアップです。バックアップ先は、オンラインではないほうが安全でしょう。バックアップ先・媒体は、オフラインであって、なおかつバックアップあるいはリストア時にのみ使用できるよう、システムとその運用を工夫しておくのが良いでしょう。バックアップを取っていることを攻撃者に知られた場合、攻撃者はバックアップ側にも攻撃を仕掛けてくる可能性があるからです。また、バックアップを複数世代取っておけば、さらに安全性を高めることにつながるはずです。なお、オンラインとは、インターネット経由であるか否かは関係ありません。加えて、パソコンのOSやMicrosoft Office、AcrobatやJavaなどの脆弱性(セキュリティホール)は、ランサムウェアを含むマルウェア全般で、感染の糸口として悪用される傾向が強いので、これらのソフトウェアを常に最新の状態に保つことも、基本対策の1つです。ウイルス対策ソフトを最新の状態で使用することも、同様に基本対策となります。
2016年04月06日『サザエさんの「花沢不動産」はなぜ潰れないのか?現役不動産屋が教える仕事とカネの裏事情』(齋藤智明著、宝島社)とはユニークなタイトルです。花沢不動産といえば、アニメ『サザエさん』にも頻繁に登場する磯野家のご近所。娘の花子はカツオの小学校のクラスメートで、「アハハ!」という豪快な笑い声と「磯野くーーん!」と呼ぶダミ声が印象的な女の子。将来はカツオと結婚して花沢不動産を継ぐという夢を持っています。花沢不動産もたびたび登場しますが、たしかにいつも店内にお客はゼロ。それなのに、社長で花子の父・金太郎はカツオにお寿司やうなぎをご馳走するなど、むしろ羽振りがよさそう。こうした“お客がいないのに潰れない”不動産屋、身近でもけっこう目にしますよね。そんな不動産屋あるあるについて、自らも不動産会社で働く著者が著したのが本書。そのなかから、タイトルにもなっている“客のいない花沢不動産の羽振りがいい不思議”の項に注目してみましょう。■花沢不動産のメイン業務は「賃貸管理」著者によれば、不動産会社にはデベロッパーとも呼ばれる「開発型」や不動産の有効活用に関する提案を行う「コンサル型」など、12もの業態があるそう。各社、このうちいくつかの業務を行い利益をあげるわけですが、花沢不動産の場合、「賃貸仲介型」と、大家さんから賃貸物件をあずかり管理する「賃貸管理型」の業務をメインに行っているようだ、と著者。「賃貸仲介型」は、文字通り賃貸物件を探している人々に物件を仲介し、仲介手数料を得る業態。窓にはびっしりと広告が貼られ、わたしたちが部屋を借りようと思ったときに訪ねる場所です。しかし、花沢不動産には、そんなお客さんがいたことはありませんよね。そこで重要になってくるのが「賃貸管理型」業務です。■賃貸管理型は縁の下の力持ち的な存在!「賃貸管理型」は、大家さんから直接物件の管理を任され、庭や建物の共用部分を定期的に掃除したり、家賃を集めたり、事故やクレームの対応をしたりと日々の建物の管理をします。部屋を借りようと思って名前の通った不動産会社の店舗を訪ねると、営業マンが適当な物件をみつくろい、その場で電話をかけて「○○アパートの××号室は案内可能ですか?」と確認しますが、その相手こそ、この賃貸管理型不動産屋。花沢不動産のような賃貸管理型の不動産屋は、そうした内見に備え、普段から空き物件を訪ねて換気をしたり、室内のほこりをきれいに掃除したりとメンテナンスを怠りません。隠れた苦労が多い賃貸管理型の不動産会社は、まさに縁の下の力持ちといえそうです。■花沢不動産のお客さんは地域の大家さん借り手が部屋を気に入れば契約成立。ここからやっと、賃貸管理型不動産会社のもうけが発生します。まず契約時。借り手は物件を仲介した不動産会社に仲介手数料を支払いますが、物件管理型の不動産会社は大家さんから仲介手数料を受け取ります。さらに、物件を管理すると定期的な収入が見込めます。まず、家賃の集金代行手数料。相場は家賃の3~5%で、かりに5%とすると家賃10万円×0.05=5,000円。部屋数100室、家賃平均10万円の物件を管理すれば、これだけで毎月50万円の収入になります。このほか、入居者から鍵交換手数料、保証会社をつければ保証委託契約の手数料、火災保険加入手数料などなど。2年ごとに訪れる賃貸契約の更新時手数料は、貸し手と借り手双方からダブルで受け取っているのだそう。花沢不動産の主なお客さんは、地域の大家さんたちだったのです。店内にお客がいなくても経営が安定しているのは、大家さんたちをしっかりとつなぎ止めているからなんですね。*このほか本書では、なかなか知ることのできない不動産業界の裏事情がたっぷり紹介されています。興味深いのは、良心的な不動産会社を見分ける方法。たとえば、賃貸物件を借りたときに支払う「賃貸仲介手数料」、“仲介手数料1ヶ月分”という表示を見かけますが、じつは規定額は家賃の0.5ヶ月分で、利用者の承諾があれば1ヶ月分まで受け取れるというルールなのだといいます。つまり、知らないうちに必要以上の金額を支払っている可能性があるのです。逆に“仲介手数料0円”の場合も、礼金を2ヶ月分としてその半額を大家さんから受け取るケースがあるとか。いずれにしても、良心的な対応を期待できる会社ではありません。雑学としてだけでなく、実用的な知識も満載。物件を借りたり買ったりする前にも読んでおきたい1冊です。(文/よりみちこ) 【参考】※齋藤智明(2016)『サザエさんの「花沢不動産」はなぜ潰れないのか?現役不動産屋が教える仕事とカネの裏事情』宝島社
2016年04月03日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「802.11ac Wave2」についてです。***現在、多くのスマートフォンがWi-Fi規格として「IEEE 802.11ac」をサポートしています。数あるWi-Fi規格のなかでも最新・最速という認識で問題ありませんが、チャネル幅やストリーム数など仕様の違いで伝送速度に差が出てきます。無線LANの業界団体「Wi-Fi Alliance」では、その違いに基づき「Wi-Fi CERTIFIED ac」という認定規格を設けています。IEEEが定めた規格とは異なるため、第1世代が「802.11ac Wave1」、第2世代が「802.11ac Wave2」と呼ばれます。つまり、大枠ではIEEE 802.11acに準じますが、チャネル幅やストリーム数が少ないものがWave1、それらを増やして高速化したものがWave2となります。周波数を複数束ねて一度に大容量データの転送を可能にする「チャネルボンディング」は、Wave1では最大80MHzですが、Wave2では最大160MHzにまで拡張されています。電波に指向性を持たせ、特定の端末との転送速度向上と電波干渉緩和を図る「ビームフォーミング」も、Wave2からサポートされます。操作感で大きな影響があると考えられるのが、MU-MIMO(Multi User-Multi input Multi Output)のサポートです。Wave1までは、端末とアクセスポイントの関係は1対1であり、混雑時には順番待ちの必要がありましたが、MU-MIMOでは同時に最大4基の端末(クライアント)を処理できるようになり、通信効率が改善されます。ただし、Wave2対応をうたうスマートフォンは2016年4月現在存在しません。MU-MIMOをサポートするスマートフォンは存在しますが、採用の本格化は2016年以降が見込まれます。Wave2対応を明記したルータなどのワイヤレス製品の普及もこれからのため、一般化するのはもう少し先となりそうです。
2016年04月03日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「LPDDR」についてです。***CPU/SoCが直接アクセスする主記憶装置(メインメモリー)には、高いデータ転送性能とともに省エネ性能が求められます。LPDDRは「Low Power DDR」の略称ということからもわかるとおり、DDR SDRAMの低電圧・低消費電力版という位置付けです。電力消費量にシビアなスマートフォンやタブレット、ノートパソコンにおいて主流のメモリー規格となっています。SDRAMを含むDRAM(ダイナミックRAM)は、回路規模を小さくして集積度を高めることで、チップあたり記憶容量を増やしてきました。シングル・データ・レート(SDR)SDRAMより低い動作電圧とすることでバス速度を向上させ、帯域幅を倍増させる(ダブル・データ・レート、DDR)ことで高速性を獲得しました。のちに集積度を高め、より低い電圧での動作を可能にした「DDR2 SDRAM」、その改良強化版としてデータ転送レートを2倍に高めた「DDR3 SDRAM」が登場しました。現在は、クロック周波数とデータ転送レートをより高めた「DDR4 SDRAM」が主流となりつつあります。DDR SDRAMの低電圧・低消費電力版であるLPDDR(SDRAM)には、データ保持に必要なリフレッシュ動作の間隔を自動調整する機能や、消えてもかまわないデータに対してはリフレッシュ動作を行わない機能、データは失われるが電力消費を極小化できる機能(ディープ・パワー・ダウン)など、消費電力を低減するしくみが盛り込まれています。どのLPDDRに対応するかは、CPU/SoCの仕様に依存します。スマートフォンの場合は、新世代CPU/SoCの導入にあわせて最新のLPDDRが採用されるというパターンが常です。2016年3月現在は、より低電圧で動作するLPDDR4の派生規格「LPDDR4X」が提唱されており、ハイエンドスマートフォン向けSoCの新製品「Helio P20」が対応を明らかにしています。
2016年03月21日情報セキュリティにはさまざまな専門用語がありますが、その多くのワードは「詳しくわからない」「他人に説明できるほどではない」という方が多いのではないでしょうか。マイナビニュースでは、カスペルスキー エヴァンジェリスト前田氏に寄稿いただき、"ググってもわからない"というセキュリティ用語を一から解説します。第5回は「アドウェア」です。著者プロフィール○前田 典彦(まえだ のりひこ)カスペルスキー 情報セキュリティラボ チーフセキュリティエヴァンゲリストマルウェアを中心としたインターネット上の様々な脅威解析調査の結果をもとにし、講演や執筆活動を中心とした情報セキュリティ普及啓発活動に従事○マルウェアとアドウェア前回は、「マルウェア」を俯瞰的に、歴史的経緯も交えて解説しました。今回は、マルウェアの一種であり、特に扱いが難しい部類とされる「アドウェア」に焦点を絞って考察します。アドウェアは英語で表記すると「Adware」です。「Ad」はadvertisingあるいはadvertisementに由来しており、広告・宣伝を意味します。アドウェアが入ってしまったパソコン上ではその名前の通り、大抵の場合は何らかの広告が表示されるようになります。広告を表示することそのものは、それほど悪意があることとみなされないのが一般的です。ただこのことが、アドウェアの扱いを難しくする一因となっているという見方もできます。そもそもアドウェアではなくとも、Webサイト上で広告が表示されることは非常に多いですし、昨今では、多くの人がスマートフォンを使用するようになり、アプリ内でも広告表示されるものが多く見られます。特に無料アプリの場合、アプリ使用者からの支払いではなく、広告によって収益が支えられているということも重要です。人によっては、広告をそれほど迷惑と思わない人もいるでしょう。ある種、「慣れ」といえるのかもしれません。また、広告主と広告代理店、広告表示の場を提供する人、広告表示機能をソフトウェアとして開発する人、広告をデザインする人などが関わり合い、一大経済エコシステムを形成しています。このような背景もあり、"広告を見せるだけ"であれば、「快く思わない人が中にもいるだろう」という理由だけでは、アドウェアを悪意あるもの(=マルウェア)として一律に取り扱うことが難しい状況にあります。ただ、世の中に出回っているアドウェアについて注意深く観察してみると、このような曖昧な捉え方で済むことばかりではありません。これまで述べたように、単に広告を表示するだけであれば問題になることはそれほど多くありませんが、アドウェアの中には宣伝を目的として、パソコン内に保存されているブラウザのキャッシュ情報などを勝手にネット経由で収集したり、ブラウザのホームページ設定を勝手に変更したり、検索結果を広告サイトに誘導したりするものが存在します。また、ソフトウェアをインストールする際に、同時に別のソフトウェアもインストールさせる手法をご存じの方も多いと思いますが、これを利用したアドウェアのインストールも存在します。ソフトウェアのインストール時に、細かい文字の使用許諾を読み飛ばす人は多いですし、画面に表示されるダイアログや注意書きも、よく読まずに「次へ」「OK」ボタンを押し、進む人が多い実情を巧妙に突いてくる手法といえます。もともとは、広告主にとって効果的な広告・宣伝を目的として考え出された手法かもしれませんが、このように度が過ぎているものがあるのです。さらに、アドウェアの中にはユーザーの入力情報を記録・窃取する「キーロガー機能」を搭載するものや、パソコン内に保存された情報を窃取するスパイウェアのような機能を備えるものが存在します。こういったものはグレーな性格を残したアドウェアというよりも、マルウェアの範疇にあるといえるでしょう。また、トロイの木馬などのマルウェアを通じて勝手にインストールされるものがあります。諸悪の根源こそトロイの木馬ですが、それを通じてインストールされるプログラム自体は「完全に悪質なものではない」ことが散見されるため、"いやらしさ"と"難しさ"があると言えます。仮に、"悪性ではないもの"をマルウェアであると判定してしまうと、それは誤検知(疑陽性)であるということになりますので、結局のところ、それぞれのプログラムを逐一判定する必要があります。ただ、アドウェアの中にはアンインストールが難しいものもあります。広告主(とその周辺ビジネスに関わる人々)にとっては、「アンインストールされては元も子もない」という意識があるでしょうから、この類のものは定期的に出現しますが、やはり「度を超えている」ことは否めません。このように、ユーザーが制御できる範囲を逸脱したアドウェアも存在することから、ウイルス対策ソフトの中には、こうしたアドウェアを検知し、削除する機能があります。ただ、アドウェアの中にも「単に広告を表示するだけのもの」から「マルウェアまがいの動きをするもの」まで、幅広く存在します。各ウイルス対策ソフトがどのアドウェアを検知するかは、各社のポリシーに依存して製品ごとに差異が出ます。また、アドウェア検知機能が搭載されていても、初期設定で機能がオフになっているケースがあるため、「ユーザー自身でオンにしていただきたい」というのが私の考えです。もちろん、アドウェア検知の機能名が、「アドウェアの検知」や「アドウェアからの保護」といったわかりやすいものであるとは限らないため、お使いの製品の設定を注意深く確認してください。
2016年03月10日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「AMOLED」についてです。***AMOLED(Active Matrix Organic Light Emitting Diode)とは、駆動方式にアクティブマトリクスを採用した表示装置です。その名が示すとおり有機EL(OLED)パネルの一種であり、スマートフォンでは2010年発売の「GALAXY S」以来Galaxyシリーズに継続採用されているほか、ポータブルオーディオなど小型家電向けディスプレイでの採用が進んでいます。有機ELパネルは視野角が広く応答性に優れ、高いピーク輝度と黒の沈み込みによる高いコントラストが特徴です。バックライトが必要ない自発光型のため、液晶パネルに比べ軽くて薄く、消費電力の面でも有利です。AMOLEDは有機ELパネルとしての基本特性を持ちますから、これらの長所をすべて引き継ぎます。さらにAMOLEDでは、パネル上の各画素にアクティブ素子(スイッチング素子)を割り当て、それぞれに制御信号を伝送できます。画素ひとつひとつについてオン/オフや輝度調整が可能になるため、精細かつ鮮やかな画像表現が可能になります。一方、有機ELであるがゆえのデメリットも併せ持ちます。自発光デバイスであるために直射日光下では見えにくく、映り込みや反射が目立つことがあります。単純マトリクス方式など他方式と比較すると構造が複雑なため製造が難しく、コスト面での課題もあります。長期間使用すると焼き付きが発生しやすいことも、不利な点といえるでしょう。Galaxyシリーズを除くと、これまでAMOLEDを搭載するスマートフォンは少数派でしたが、範囲をスマートデバイス全体に広げるとApple Watchなどの製品にも採用されています。映り込みや焼き付きを改善すべく技術改良も進められているため、今後も採用事例は増えることでしょう。
2016年03月05日●サービス誕生の背景にある、不動産市場の課題テクノロジーの力によって不動産業界に革新的な変化をもたらそうという「リアルエステート・テック(不動産テック)」という言葉が、金融業界で盛り上がる「フィンテック(金融テック)」と並んで昨年から話題になるようになってきた。不動産テックとは、これまで不動産会社が管理してきた中古物件の様々な情報をオープン化し、インターネットを通じて一般消費者が自身の物件価値の把握や売買のために有効活用することができるようにしようという動きで、今回取材したヤフーとソニー不動産が共同で運営する「おうちダイレクト」をはじめ、不動産情報サイトのHOME’Sが開始した「PRICE MAP」、求人サービスで知られるリブセンスが開始した「イエシル」など、既に様々なサービスが生まれている。こうした不動産テックは従来の不動産取引にあるどのような課題を解決し、何を目指しているのか。不動産の個人売買プラットフォーム「おうちダイレクト」をソニー不動産と共同で運営する、ヤフー 不動産本部で「Yahoo!不動産」のサービスマネージャーを務める山口隆志氏に話を伺った。2015年11月にサービスインした「おうちダイレクト」は、マンション所有者が自分自身で物件価格を決定して売り出し、購入検討者と直接対話しながら物件を売却することができるサービスだ。売買交渉のサポートや重要事項説明、売買契約や引き渡し時の手続きといった法令で定められている不動産取引業務は、ソニー不動産がサポートするという。そして、マンション所有者が自分の物件価値を把握するために、過去の売買履歴を基にしたビッグデータと、ソニーとソニー不動産が共同開発した機械学習ソリューションによって、物件の資産価値を独自のアルゴリズムで推定する「不動産価格推定エンジン」を提供している。実際に売り出すことができるマンションは現在のところ東京都23区内に限られているが、不動産価格推定エンジンのデータベースの量は既に1都3県の約5万棟のマンションに及ぶ。山口氏は、このサービスを生み出した背景について、現在の不動産市場が抱える課題を挙げている。それは、“一度購入した新築物件に一生住み続ける”というライフスタイルそのものに対する疑問だ。「本来であれば、子どもの成長などライフスタイルの変化に合わせて住み替えていくという選択肢があってもいいはず。しかし、日本では自分の所有する不動産をどのように活用していくのかという点に対するリテラシーが少ないのが現状だ」と山口氏は説明する。実際に、日本の住宅流通戸数に占める中古物件の割合は、約14.7%。これは、米国と比べると8分の1程度と非常に少ない数字だ。「日本では人口が減少し、空き家が増加しているのにも関わらず、その住戸活用が米国に比べて進んでいない。都市部における新築マンション建設が土地の枯渇などを背景に限界に達しようとしている中で、このままの状況では不動産市場そのものが減速してしまうという懸念がある」(山口氏)ではなぜ、私たちは購入したマンションを手放すことができないのか。最も大きなネックは、住み替えに掛かる膨大なコストだ。例えば、売却するために必要な手数料や税金などは、100万円以上掛かる場合があり、それに住宅ローンの残債、新居への引越し費用を加えると、コストは三重構造になる。加えて、不動産会社の査定に基づく肝心の物件売却価格は、提示されても情報不足のためにその良し悪しを判断することができず、結果的にこうしたコストを吸収できない場合が多い。山口氏によると、「おうちダイレクト」はこうした不動産売却時にマンション所有者が感じる不透明感や、コストファットになる構造をテクノロジーによって解決しようと生み出されたのだという。「もちろん、普通の人は複雑な手続きを代行してくれる不動産会社へ売却することが当たり前だろう。しかし、私たちは従来の方法での売却に(コスト負担などの点で)抵抗があった消費者に新しい選択肢を提供することによって、不動産売買のマーケット全体が拡大し、中古物件の市場そのものが活性化するのではないかと考えている。売買プロセスを見直し、ユーザー自身がDIY的に売却することができる環境を作ることで、売却する人にとっては住み替えるコストの最適化が期待できる。そうすれば、“住み替えたいけれど、動けない”という人々が動き出すのではないか」(山口氏)しかし、山口氏はこの個人が不動産物件を売却するというスタイルは、従来の不動産業界のエコシステムを駆逐する存在にはならないとしている。あくまでも、これまでどおり“住み続けるか”、“高いコストを掛けて住み替えるか”という2択の間で沈黙していた潜在顧客を呼び覚ますための、有力な“第3の選択肢”を生み出すことを目的としているという。「このサービスが、従来の不動産売買に取って代わりメジャーな存在になるとは考えていない。しかし、大きな選択肢のひとつになるのではないかと考えている」(山口氏)●反響は大きいものの、物件数の増加には啓蒙・啓発が課題このような考えを背景にスタートした「おうちダイレクト」だが、その滑り出しはスロースタートだ。サービス開始時は売り出せる物件の対象地域が都内6区に限られていたという事情があるものの、実際に公開されている売却物件数は十分とは言えない。この点について、山口氏は「多いか少ないかと言われたら、もう少し頑張らなくてはいけない数字。満足はしていない。しかし、自分の所有物件の価値を検索する機能の利用者は昨年12月時点で目標を達成しており、問合せも多い。潜在顧客の取り込みには成功しているのではないか」と評価する。なお、今後掲載する予定の審査中物件も控えているという。それでは、今後どのような戦略で物件数や利用者を増やしていくのか。1月14日に開始した売り出し物件の対象エリア拡大に加え、“自分自身で所有している不動産を売却する”という考え方そのものの啓蒙・啓発、そして実際の手続きのサポートが課題だという。山口氏によると、昨年12月と今年1月にはマンション売却を検討している人を対象にしたセミナーを実施。従来の売却方法と個人売却がどのように違うのか、実際にどのようにサービスを活用するのかなどについて説明を行い、質疑応答や個別相談も実施したのだという。「“自分で物件を売るとはどういうことか”という点の理解を深めてもらい、サービスに対するハードルを下げていきたい」(山口氏)また、これまでは不動産会社に任せていた物件広告の制作、書類の用意、売却時のリフォームやクリーニングなどをサポートするようなサービスも検討しているとのこと。そして、現在は1都3県に限定している不動産価格推定エンジンのデータベース量の拡大にも意欲的だ。「目指しているのは、世の中の全ての不動産情報をオープン化すること。自分の住宅の価値がどのような要素で決まっているのかを米国並みにクリアにすることで、不動産取引の透明性を確保したい。また、自分の住宅に対する投資(リフォームや修繕など)を物件価値に反映できるようにすることで、投資対効果を明確にしたい」(山口氏)。○社会の課題に対して、ひとつの選択肢を提示したいこのように、ヤフーとソニー不動産が物件の個人売買に本気で乗り出し、他社も様々なサービスを生み出して不動産テックを盛り上げている背景には、「2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場を倍増させる」という国の政策がある。山口氏も、新築マンションの着工件数が減少していることなどを踏まえて、「中古住宅市場が活性化するポテンシャルは十分にある」と語り、今後も「おうちダイレクト」のサービス拡充に取り組んでいきたい考えだ。「市場における勝者になるつもりはない。社会の課題に対してひとつの選択肢を提示するという意識で取り組んでいる。今後も、従来の不動産取引に対する疑問を解決するような挑戦は、様々な企業から生まれてくる。テクノロジー業界だけでなく不動産業界からも色々なチャレンジを生み出されれば、消費者の選択肢は更に増えるのではないか」(山口氏)そして、物件の個人売買が不動産所有者にとって有力な選択肢となるために、同社ではユーザーの声を踏まえて、物件の歴史や地域の情報を網羅したデータベースの網羅性の確保などサービスの改善に取り組み、売買事例を増やしていきたい考えだ。「まずは利便性を追求し、個人売買に対する不安を解消していくことによって、サービスに対する門戸を広げていきたい。キャズムを超えるまでは、サービス開発に徹底的に投資をして、本気で取り組む。数年後には、個人が物件を売却する“個売”が不動産所有者にとって有力な選択肢となる時代を生み出していきたい」(山口氏)
2016年02月09日情報セキュリティにはさまざまな専門用語がありますが、その多くのワードは「詳しくわからない」「他人に説明できるほどではない」という方が多いのではないでしょうか。マイナビニュースでは、カスペルスキー エヴァンジェリスト前田氏に寄稿いただき、"ググってもわからない"というセキュリティ用語を一から解説します。第4回は「マルウェア」です。著者プロフィール○前田 典彦(まえだ のりひこ)カスペルスキー 情報セキュリティラボ チーフセキュリティエヴァンゲリストマルウェアを中心としたインターネット上の様々な脅威解析調査の結果をもとにし、講演や執筆活動を中心とした情報セキュリティ普及啓発活動に従事○「マルウェア」という用語にまつわるあれこれ今回は、基本中の基本といえる「マルウェア」という用語について解説します。実は第3回まで、極力「マルウェア」という用語を使わず、代わりに「コンピューターウイルス」という言い方をしてきました。では、「マルウェア」と「コンピューターウイルス」は同義なのかというと、"完全に同じ意味とは言い切れない"ところが、ややこしくさせる一因だとも思っています。私がインターネットセキュリティに深く関わり始めたのは、今から約10年前(2000年代半ば)です。私の記憶では、すでに「マルウェア」という言葉が存在していました。では、さらに10年遡った1990年代は? と考えると、爆発的なネットの普及を下支えしたWindows 95の時代は、マルウェアよりもコンピューターウイルス(あるいは単にウイルス)という言い方が、より一般的だったように思います。「マルウェア」という用語はそもそも、英語の「malicious(悪意ある)」「software(ソフトウェア)」を略した言葉であり、造語です。一方のウイルスは、人間などの生命体に感染する「virus」になぞらえて、コンピューターに"感染"するソフトウェアを指しています。つまり、造語ではなく比喩表現としての用法であるわけです。双方の意味合いとしては、マルウェアの方が広く、ウイルスはマルウェアの一種別として捉えられることが一般的です。しかし、歴史を振り返ってみると、コンピューターに悪影響を与えるソフトウェアとしては、ほかのコンピューターへ次々に"感染"し、拡散していく機能を持つものが古くから知られています。このたぐいのソフトウェアが、「コンピューターウイルス」と呼ばれるようになりました。その後、コンピューターに悪影響を与えるソフトウェアとして、コンピューターウイルス以外にも様々な種類のものが出現するようになり、それらを総称する意味を込め、マルウェアという用語が誕生しました。つまり、マルウェアよりもコンピューターウイルスという言葉の方が先に誕生し、一般化したと言えます。また、"マルウェア"という用語が生まれる前からセキュリティ対策ソフトが存在していたため、現在でも「ウイルス対策ソフト」や「アンチウイルス」という呼び方が一般的です。これは、歴史的経緯によるものといえます。繰り返しになりますが、改めて言葉を精査してみると、コンピューターウイルスは狭義のウイルスです。マルウェアの種別の中でも、他者に感染する機能を備えたもの、あるいは感染の結果として出来上がったものが、"コンピューターウイルス"であり、正確な用語となります。ここまでの話を振り返れば、"マルウェア"には、非常に多くの種類が存在しているということになります。マルウェアの種別として使われる用語を、列挙してみましょう。コンピューターウイルス(Computer Virus)ファイルウイルス(File Virus)マクロウイルス(Macro Virus)ブートセクタウイルス(Bootsector Virus)ワーム(Worm)ネットワークワーム(Network Worm)メールワーム(Email Worm)トロイの木馬(Trojan)バンキング型トロイの木馬(Banking Trojan)ダウンローダー(Trojan Downloader)ドロッパー(Trojan Dropper)ボット(Bot)バックドア(Backdoor)ラット(RAT: Remote Access Trojan/Tool)スパイウェア(Spyware)ルートキット(Rootkit)クライムウェア(Crimeware)ランサムウェア(Ransomware)ワンクリックウェア(1-clickware)ポルノウェア(Pornware)ダイヤラー(Dialer)アドウェア(Adware)リスクウェア(Riskware)グレーウェア(Grayware)今回は時代の経過とともに、あまり使われなくなった用語(ダイヤラー)や、ほぼ同義として使われるもの(例:バックドアとラット)も含めて列挙しています。もちろん、これが全てではありません。更に厄介なことに、これまでに例を見ない攻撃手法・活動や技術を備えたものが出現すると、「○ウェア」とさまざまなベンダーが名付けるため、新しい用語がどんどんと生み出されています。しかし、たとえ新しい用語が出てこようと、コンピューターに悪影響を及ぼすもの、悪徳なソフトウェアは、すべて「マルウェア」と呼んで差し支えありません。こうしたマルウェアからコンピューターを保護するための最も基本的な対策は、ご存じだと思いますが「セキュリティ対策ソフトを導入すること」にほかなりません。では、上記のような新たな手法を擁する「○ウェア」が出現したとき、ユーザーの関心事は、「自身が使っている対策ソフトは新型○ウェアを検知できるのか」という点になるでしょう。これは、製品によって状況が異なる可能性があります。現状のライセンスの範囲内で対応・検知する製品もあれば、新バージョンで対応するケース、もしくは新モジュールの追加によって対応するケースなど、さまざまです。製品によっては、ベンダーを問わず、追加で費用が発生することもあるでしょう。そのため、どういう製品で対策を行うかという課題は、対応までの速度やマルウェア検知率だけでなく、そうした対応状況、コストも含めて多角的に検討する必要があることを、考えてみてください。次回は、今回紹介したマルウェアの中でも、「悪意あるもの」としての判定が難しい「アドウェア」について解説します。
2016年02月04日若い世代を中心に使われている「恋愛用語」をもとに、マーケティングライターの牛窪恵さんが現代の恋愛事情を解説!主な恋愛用語はこちら。【ソフレ】添い寝フレンド。害がなく気楽で、一緒に寝ることで癒しをくれる相手。【ヌクメン】身近な鑑賞系男子や芸能人など。見て妄想するだけで心温まり、満足できる。【ゲー彼/チャ友】オンラインゲームやチャット上の彼/友達。顔を合わせないから話しやすい。【カフェオレ様】外見は中性的ながら、仕事にも恋にも積極的で男らしい男性。女子の理想型。【熟メン】熟成された40代くらいの男性。多くが離婚やリストラなど挫折を経験。【ソロ男(だん)】「ソロ活動」を謳歌する独身男性。自分の時間を優先し結婚に不向き?さて、牛窪さんの分析は?* **最近の若い世代に顕著なのが「恋愛は面倒」と捉える人が多いこと。とはいえ、誰かとつながっていたい気持ちは男女ともに強く、気軽につながれて後腐れのない関係を求めがちな傾向があります。その最たるものが「ソフレ」の存在。人肌恋しいときにそばにいてくれる“友達”のいる女性が驚くほど増えているんです。今は男性側も癒しを求めるし、女性に対してできるだけ責任を負いたくないので「添い寝だけ」の関係が成立するんですね。「ゲー彼」などバーチャル世界の彼、そして「ヌクメン」のように見ているのみの相手を持って満足する人が多いのもその延長といえるでしょう。「カフェオレ様」は、外見はソフトでも、恋愛には積極的でグイグイきてくれる男性のこと。「いたらいいな」といわれていますが、実際にはほぼいない(笑)。やっぱり今どきの男性は自分からアプローチできないんです。そんな同年代の男性に業を煮やし、上下問わず年の離れた男性にいくのが「年の差恋愛」。経験豊富で頼りがいがあり、自分の女子力や気分も上げてくれる年上を求める女性は多くいますが、年上なら「ソロ男」よりも「熟メン」をおすすめしたいですね。熟メンの多くは挫折を経て人として熟成されていますから、相手に歩み寄れる人が多く、結婚にも向くんです。その他の現代恋愛用語もご紹介!【カモフレ】カモフラージュの彼。嫌な男を追い払ったり、付き合う前のイメトレ用に。【未恋男子】恋愛経験のない男性。ピュアだけにうまくリードすれば育てがいがある。【ソロ男】「ソロ活動」を謳歌する独身男性。自分の時間を優先し結婚に不向き?【熟メン】熟成された40代くらいの男性。多くが離婚やリストラなど挫折を経験。【連帯結婚】家事も育児も助け合える相手を選ぶ、恋愛にこだわらない多様な結婚の形。【同級生婚/地元婚】元同級生を選んだり、結婚後に自分の地元で暮らしてくれる人を選ぶ結婚。◇うしくぼ・めぐみマーケティングライター。TVのコメンテーターやトレンド分析などでも活躍。新著は『恋愛しない若者たちコンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー21)。※『anan』2016年2月3日号より。文・熊坂麻美(C) DragonImages
2016年01月28日不動産投資に関する書籍は多く、しかしその多くはメリットばかりを強調する傾向にあります。でも現実的にはリスクも大きいものであるだけに、石橋はしっかり叩いて渡りたいところ。そこでおすすめしたいのが、『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』(ふどうさんぽ著、御井屋蒼大監修、日本実業出版社)です。著者の「ふどうさんぽ」とは、不動産投資家を目指す、あるいはすでに不動産を所有しているメンバーと、不動産投資に関する情報交換をするサークル。メンバーは1,000人を超え、中心メンバーは億を超える資産を持つ経験値の高い人達ばかりなのだとか。つまり本書では、豊富な経験に基づいた、さまざまな失敗事例が紹介されているわけです。しかし、それらを理解するためには、まず基本を知ることが重要。そこで、不動産投資の基本をおさらいしてみましょう。■「利益を得られる物件」を購入するべし不動産投資は、「購入して、保有(運用・管理)して、売却する」という3つの基礎構造によって成り立っているもの。購入手順はマイホームを買うときと同じで、物件を探してもらい、それに見合った物件が見つかれば紹介を受け、気に入れば購入、となります。しかし、ここで重要なのは「利益を得られる物件を購入しなければならない」ということ。「利益を得られる物件」を自分でイメージでき、具体的に条件を書き出すことができなければ、不動産仲介業者に自分の希望を伝えることは不可能。また購入時に銀行から融資を受けることも考えると、「利益が得られて、融資が受けられる」物件であることが必須となるわけです。たとえば相場で5,000万円の物件を、誤って6,000万円で買ってしまったとします。この物件で年間100万円のキャッシュフローが得られるとすると、10年間に1,000万円のプラスとなります。しかし10年間でローンの残高が4,000万円まで減ったものの、売却したら経年変化もあって3,000万円でしか売れなかったとなれば、キャッシュフローのプラス分1,000万円とキャピタルロスのマイナス分1,000万円で、差し引きトントンになってしまうことになります。もちろんオーナーは10年にわたり、不動産投資家としてきちんと働いてきたはず。ところが、最初に相場より高い物件を買ってしまったため、その労働すべてがチャラになってしまうということ。でもトントンならまだマシで、マイナスになってしまうこともあるのだとか。そんな場合は10年間タダ働きだったということになるだけでなく、「働いてお金をロスする」という意味不明の結果になってしまうのです。■必ず相場よりも安い物件を購入するべしこの例からもわかるように、「相場より高く買う」という失敗は、絶対に避けなければいけないと著者は強調しています。大切なのは、まず購入時に正確な相場を学び、必ず相場より安く、無理なら相場と同等の金額で購入すること。そしてそのためには、誠実で信頼できる不動産仲介業者から紹介してもらうべきだといいます。■物件の「売却額」も自分で算定するべしまた売却の際にも不動産仲介業者に協力してもらいますが、キャピタルゲインをいくら得られるかを計算し、売却額を自分で算定することが必要。相場を知るのはもちろんのこと、ローン残高を考えて、「これより下回ったらトータルでいくらの損になるのか」を知らなければならないということ。また、売買のタイミングも自分で知るべき。建物が劣化して使えなくなってから売るのか、使えなくなった建物を壊して土地だけ売るのか、減価償却が終わったタイミングで売るのかなどによって、利益が変わるのです。こうしたことをすべて考えたうえで、「どのような条件で手放したいか」を伝え、それに見合った広告を出してもらい、買い手を紹介されて売却となるわけです。そして購入時の金額と売却するときの差益がプラスであればキャピタルゲインとなり、マイナスならキャピタルロスとなるということ。もちろん世間の経済状況にも左右されるでしょうが、しっかり勉強し、必要ならコンサルティングなどプロのアドバイスに耳を傾けることが大切。そうすれば、好景気でも安く購入することや、不況でも利益を出して売却することが可能だと著者はいいます。*こうした基本をベースに、以後の章では数多くの失敗事例が具体的に紹介されています。「不動産屋さんと会話がかみあわなかった」というようなコミュニケーションの問題から、「部屋のなかで孤独死が発生してしまった」というようなシリアスな話までさまざま。不動産投資に関心があるなら、手にとってみればきっと役に立つ内容だと思います。(文/書評家・印南敦史)【参考】※ふどうさんぽ(2015)『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』日本実業出版社
2016年01月27日情報セキュリティにはさまざまな専門用語がありますが、その多くのワードは「詳しくわからない」「他人に説明できるほどではない」という方が多いのではないでしょうか。マイナビニュースでは、カスペルスキー エヴァンジェリスト前田氏に寄稿いただき、"ググってもわからない"というセキュリティ用語を一から解説します。第3回のテーマは「アンチウイルスの第三者評価」です。著者プロフィール○前田 典彦(まえだ のりひこ)カスペルスキー 情報セキュリティラボ チーフセキュリティエヴァンゲリストマルウェアを中心としたインターネット上のさまざまな脅威解析調査の結果をもとにし、講演や執筆活動を中心とした情報セキュリティ普及啓発活動に従事○アンチウイルスの第三者評価、見たことありますか?今回は、アンチウイルスの性能を評価・比較するうえで参考となる「第三者評価」について解説します。現在、有償無償を問わずに、アンチウイルスを開発する会社や組織は無数に存在します。全世界にいくつ存在して、どれだけの製品がリリースされているのか、正確な数を把握している人は、おそらくいないでしょう。そこで1つ、参考になるのが無料で多くのアンチウイルスソフトの検査ツールを利用できる「Virus Total」です。ここに参加している会社・組織・製品数が、今年9月の時点で「54」でしたので、少なくとも、これと同数以上のものが存在していると言って良いでしょう。日本国内においては、リリースされているアンチウイルス製品すべてを入手できるとは限りませんが、それでも、店頭やオンライン販売、フリーのダウンロードソフトなどで入手できるアンチウイルスが、数十は存在しています。価格以外でこれらを比較検討する時、性能は1つの大きな判断材料となるはずです。アンチウイルスの性能とは何かを考える際、前回・前々回で述べたような機能面の話は、重要な要素です。しかし、本質的に考えれば、マルウェアを何らかの方法で検知することがアンチウイルスの主たる仕事ですから、その検出精度こそが、性能を語るうえで最も重要な要素になるでしょう。ここで参考になるのが、今回の主題である「第三者評価」です。実は、営利・非営利の差異はありますが、アンチウイルスをテストして評価する機関が欧米を中心に複数存在しています。残念ながら、筆者が知る限りでは、日本国内に存在していません。ただ、国内で販売されているアンチウイルス製品を見ていると、「○テストで1位獲得!」などといった表現をセールスポイントとしてアピールしているものを目にすることがあります。1位になることは、素晴らしいことです。ですが、そのテストはどのような基準で何の評価を行っているのかなどを考慮せずに、単に「1位だから素晴らしいに違いない」ととらえるのは早計です。以下に、いくつかの評価機関を紹介しましょう。AV Comparatives(読み方:エーブイ コンパラティブス)独立系の評価機関。評価テストで使用するマルウェア検体数が非常に多いことで有名。テスト評価項目が多彩で、典型的なファイル検知テストのほかにも、ヒューリスティック検知テスト・誤検知率テスト・マルウェア駆除テスト・ファイアウォール評価テスト・パフォーマンステスト・OS毎の検知テストなど十数種類を定期的に実施している。AV Test(読み方:エーブイ テスト)ドイツが本拠地の独立系評価機関。個人・法人・モバイル向けの製品ごとに、検知率テスト・パフォーマンステスト・駆除テストなどを実施。マルウェアとスパムメールの全世界規模の調査集計も行っている。Virus Bulletin(読み方:ウイルス ブリテン)マルウェア検知率テストである「VB100」と、スパム判定率テストである「VBSpam」を二本柱とする評価機関。VB100では、Virus Bulletinが用意したマルウェアサンプルすべてを検知し、かつ誤検知をしないことが認証の条件。また、認証以外にRAP (Reactive and Proactive)テスト結果も公表している。MRG Effitas (読み方:エムアールジー エフィタス)360アセスメント(ItWテスト)とオンラインバンキングテストを二本柱とするイギリスの評価機関。2009年に設立されたMRG(Malware Research Group)が母体となっており、2つのセキュリティ製品を機能ごとに比較するVSテストも実施する。上記の例以外にも、NSS LabsやMatousec、メディアの評価テスト、モバイル系に特化した評価テストなど、数十の機関が実に年間100以上の評価テストを行っています。評価テストの結果は、公表されるものもあれば有償で購入できるものもあり、さまざまです。また、評価テストにも一定のルールが必要ではないかという業界全体の課題意識から、AMTSO(Anti-Malware Testing Standard Organization)という組織が立ち上がり、評価テストに関する標準化を推進する動きもあります。これら評価テストの結果を参考にする際、留意していただきたいポイントをいくつか紹介します。まず、それぞれの評価テストには、すべてのベンダーや製品が参加しているわけではないということです。各ベンダーが自主的に参加するエントリー方式を採用しているテストもあれば、テスト実施側が独自に評価対象製品を選択する場合もあり、中には製品をテストに使用することを禁じているベンダーも存在します。前述の4機関の紹介でも触れたように、テストの手法にも機関ごとに個性があることを知っておきましょう。すべてのテストで最優秀、もしくは1位を常に獲得できる製品がこの世に存在すれば単純にそのソフトウェアを利用すれば良いのですが、現実はそうではありません。ある評価テストで好成績を修めた製品が、別の評価テストではあまり良い成績ではないこともしばしばです。したがって、製品の比較検討を行う際の材料として評価テストを参考にするのであれば、複数の評価機関の継続したテスト結果を参考にするべきです。検知性能にムラがあるようでは安心してセキュリティを任せるわけにはいかないでしょう。さらに、テスト手法や条件、環境などを把握したうえでテスト結果を比較すれば、各製品の強みやクセが見えてくるかもしれません。また、第三者機関と言いつつも、テストによっては、ベンダーがテストのスポンサーになっているケースもあるということを、頭の片隅にとどめておきましょう。そうすればベンダーが掲げる「No.1」というセールストークに惑わされずに済みます。最後に、評価機関が実施するテストは"棄権"こそできますが、現実の攻撃は"パス"できないことを忘れずに。
2015年12月21日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「ACアダプタ」についてです。***ほとんどのスマートフォンはUSBケーブル経由で給電を行いますが、多くの場合ACアダプタが同梱されています。パソコンなどのUSBポートを備える電化製品から給電することも可能ですが、外出時にもコンセントがあれば電力をまかなえるACアダプタは必需品です。現在普及しているACアダプタは、大きく「トランス方式」と「スイッチング方式」に分かれます。どちらもAC(交流)からDC(直流)に変換するという機能は同じですが、前者の構造はシンプルでノイズが少ない反面、鉄心にコイルを巻いたトランスが格納されているために重く大きくなりがちです。後者は制御回路(IC)や高耐圧部品を必要とするためややコストが嵩みますが、効率に優れるうえ小型軽量化が可能です。スマートフォンに関して言えば、付属品のACアダプタは大半がスイッチング方式です。この方式では、DC変換のあとスイッチ素子が高速にオン/オフを繰り返す(スイッチング)ことでパルス波の交流に変換、それを数100kHzの高周波に変換することで小型・軽量なトランスで足りるようになり、大幅な小型化が可能になりました。スイッチング方式をさらに効率化するには、スイッチ素子がオン/オフを繰り返す動作を速める必要がありますが、制御回路の性能や損失電流の問題があります。先日、富士通研究所が発表したACアダプタは、動作抵抗が小さい窒化ガリウムHEMT(GaN-HEMT、窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ)をスイッチ素子として採用、あわせてスイッチングを高精度に制御するICを搭載することで損失電流を抑制し、さらなる小型軽量化と電力効率改善を実現しています。充電速度も向上します。発表によれば、モバイル機器充電時のACアダプターの消費電力を5割削減でき、従来の3分の1の時間での急速充電が可能になるとのことです。実用化は2017年が予定されていますが、メリットが大きいだけに、充電だけでなく普及の速度にも期待できそうです。
2015年12月13日情報セキュリティにはさまざまな専門用語がありますが、その多くのワードは「詳しくわからない」「他人に説明できるほどではない」という方が多いのではないでしょうか。マイナビニュースでは、カスペルスキー エヴァンジェリスト前田氏に寄稿いただき、"ググってもわからない"というセキュリティ用語を一から解説します。第2回は「エンドポイントセキュリティ」です。著者プロフィール○前田 典彦(まえだ のりひこ)カスペルスキー 情報セキュリティラボ チーフセキュリティエヴァンゲリストマルウェアを中心としたインターネット上の様々な脅威解析調査の結果をもとにし、講演や執筆活動を中心とした情報セキュリティ普及啓発活動に従事○エンドポイントセキュリティとは前回は、アンチウイルスソフトの仕組みについて解説しました。今回は、アンチウイルスをネットワーク、あるいはシステム上のどこに配置できるのかという点を考察します。これを語る上で重要な用語として、エンドポイント(endpoint)があります。エンドポイントは、文字通り「終端」「終点」という意味です。ネットワーク・システム上の終端は、一般的にはPC端末と捉えられがちですが、ウイルス対策におけるエンドポイントは「ウイルスが到達するところ」。つまり、攻撃者がウイルスに感染させる場所と考えるのが妥当です。したがって、PC端末のみがエンドポイントであるとは限りません。ただし、大半のウイルスは、PC端末上で動作するよう設計されています。マルウェア製作者=攻撃者の意図が、ここに表れていると言って良いでしょう。また、OSという切り口で見ると、その感染・攻撃対象の大半はWindowsですが、Mac OSやAndroidも対象です。さらに、ウイルスの種類は少ないですが、iOSやLinuxも例外ではありません。そして、端末というとデスクトップやノートPCを連想しがちですが、ここで説明する"エンドポイント"には、スマートフォンやタブレット、サーバーも含みます。ウイルスが、こうしたエンドポイントや端末へ到達する前に、それを検知する技術や製品があります。メールサーバー用のウイルス対策やWeb通信を中継するプロキシサーバーと連携するウイルス対策、あるいはサンドボックス機能を搭載するファイアウォールといった製品群です。サンドボックス機能搭載型ファイアウォールを称する製品群の多くは、エンドポイントとインターネットとの間に物理的、または論理的に配置されています。ウイルスがエンドポイントに到達する前に、製品内の仮想環境でプログラムを実行し、その動作を元にウイルスの判定を行います。万が一、エンドポイントが感染してしまった場合でも、ウイルスが行う攻撃者との通信を検出して、それを止めるという手法もあります。ここで発生する通信の多くは、攻撃者が感染端末の遠隔操作や攻撃ツールのインストール、窃取データの保管などに利用する攻撃指令サーバー(C&Cサーバー)との間で発生します。ここで注意したい点がいくつかあります。メールサーバー用のウイルス対策やプロキシサーバー連携型(製品によってはサーバーと一体型)のウイルス対策は、パターンマッチングやそれを基礎にしたヒューリスティック検知といった、比較的古典的なウイルス検知手法がメインです。サンドボックス機能搭載型ファイアウォールは、仮想環境を搭載するため、製品のリソースが大きくなり、配置に苦慮することもあります。また、仮想環境内での実行を検出するウイルス側の(悪い意味での)技術進歩に対抗し続ける必要もあります。例えば仮想環境であることをウイルス自身が検出するケースがあり、その場合、ウイルスとしての動作を行わないという"検知回避技術"を実装するウイルスも少なくありません。エンドポイント上での対策としては、アンチウイルスの導入が最も普及しています。アンチウイルス自身が持つ検知機構については、前回の解説を参照していただくとして、エンドポイントで動作するアンチウイルスの最大の利点は、ウイルスが動作する環境そのもので精査できるということでしょう。多重防御や多層防御という言い回しが、製品・ソリューション紹介などでよく使用されます。これは、エンドポイントのセキュリティ以外でも、セキュリティソリューションの導入を勧める場面で使われることが多いようです。しかし、アンチウイルス自体もウイルスを検知する手法として、多重・多層の機能を内部に備えていることを忘れてはなりません。防御に100パーセントはあり得ませんが、少なくとも、仮想環境での検知を備えていれば従来型の検知手法は不要ということにはなりません。また、エンドポイント到達前に検知できる製品を導入したからと言って、エンドポイントのセキュリティが不要ということにもなりません。それぞれの利点と不得意点を理解し、補完できるものとして捉えることが妥当でしょう。次回は、今回解説したエンドポイントセキュリティの第三者的評価について解説します。
2015年12月08日多国間不動産トランザクション事業及び多国間不動産ブロックチェーン事業を展開する世界は8日、仮想通貨ビットコインを活用した不動産決済支援サービスを開始したと発表した。サービス提供の第一弾として2015年12月6日、香港人投資家が日本の不動産を決済する際、世界の決済支援サービスを利用したという(※同社調べ)。サービス提供第一弾では、日本デジタルマネー協会の協力のもと、ビットコイン取引所である「coincheck」を運営するレジュプレスと、同じくビットコイン取引所「Pegapay」を運営するヴァロンの2社を選定し、決済が行われたとしている。ビットコインを活用した決済は土日祝日でも着金確認ができ、手数料数円と、「従来の海外送金と比較して圧倒的なコストダウンが可能になる」(世界)。ビットコインはブロックチェーンの高度なセキュリティ技術が活用され、取引の際にカード番号や個人情報を入力する必要がない。また決済コストが安価で、土日祝祭日でも着金確認が可能といったメリットがある。世界によると、2014年9月末時点の投資額は330億円以上となっているという。2014年6月、世界最大オンライン旅行会社がホテル予約でビットコインの利用を開始。同年7月には大手コンピューター会社が公式ホームページを通じた自社製品の販売で、ビットコインによる決済受け付けを開始するなど、「世界的な商業流通量はまだ小規模であるものの、実際に製品やサービスの支払いに使用されている」(世界)。世界は、2012年1月設立。資本金4,500万円。2015年ジグソーなどを引受先とする第三者割当増資を実施。多国間不動産トランザクション事業及び多国間不動産ブロックチェーンサービス事業を展開。世界が運営する中国・香港・台湾投資家向け不動産情報サービスの利用者は50,000人以上(2015年12月時点)。2014年販売支援実績額は約10億円。2015年3月に台湾最大の金融ポータルcnYESと業務提携し、台湾人をはじめとした中華圏100万人以上へ不動産情報を提供している。世界は今後、不動産のクロスボーダー取引活発化と仮想通貨普及の流れに合わせ、「中華圏の投資家に向け同サービスを拡充、拡大していく」としている。
2015年12月08日情報セキュリティにはさまざまな専門用語がありますが、その多くは「詳しくわからない」「他人に説明できるほどではない」という方が多いのではないでしょうか。そこで、マイナビニュースでは、カスペルスキーでエヴァンジェリストを務める前田氏に寄稿いただき、"ググってもわからない"セキュリティ用語を一から解説します。第1回のテーマは「アンチウイルス」です。著者プロフィール○前田 典彦(まえだ のりひこ)カスペルスキー 情報セキュリティラボ チーフセキュリティエヴァンゲリストマルウェアを中心としたインターネット上の様々な脅威解析調査の結果をもとにし、講演や執筆活動を中心とした情報セキュリティ普及啓発活動に従事○そもそもアンチウイルスとは?アンチウイルス(ウイルス対策)ソフトウェアは、企業や団体で導入していないところを探すほうが難しいほど、セキュリティ対策としては浸透しているものです。それほどまでに一般化したこともあり「ウイルスの侵入を防ぐためのソフトウェア」という漠然としたイメージが定着していますが、実際にどのような仕組みになっているのか、調査・確認をする人は、それほど多くないと思います。そこで今回は、アンチウイルス・ソフトウェアの一般的な動作とマルウェアの検出ロジックを解説します。○どうやってマルウェアを検出するのか?アンチウイルス・ソフトウェアが悪性のプログラムコードやファイル(本稿では総称してマルウェアと言います)を検出する手法は、単一かつ画一ではありません。多くの製品の場合、複数の検知機能を組み合わせることでそれを実現しています。その代表格が、伝統的な手法であるパターンマッチングです。あるコードに対して、それと一致する定義ファイルを作成し、各クライアント端末に配布します。クライアント端末内に一致するコードがあれば、マルウェアと判定するのです。この手法は、攻撃者がマルウェアを作成することに対して常に"後追い"となるので、一致する定義ファイルを作成するまでは検知できません。そのせいか、この点だけを強調して「アンチウイルスでは検知できないマルウェアが増えている」「ウイルス対策は時代遅れ」などの発言を見聞きする機会が増えている印象があります。ですが、パターンマッチングのみでマルウェアを検知しようとする製品はほとんどなく、各社の製品はこれ以外にも複数の検知機能を実装しています。○ヒューリスティック検知とは?パターンマッチングに続き、その弱点を補完するものとして「ヒューリスティック検知」という手法が各社で開発され、実装されていますが、それも10年以上前のこととなっています。出始めの頃は、パターンマッチングに比べて誤検出(悪性ではないものをマルウェアとして検出すること)が発生しやすい問題もありましたが、各社の開発が進むにつれ、現在の検知精度は非常に高いものとなっています。ここで注意すべきことがあります。ヒューリスティックという用語は、開発各社によって微妙に意味合いが異なり、同じような名称の機能であっても、実はその手法が技術的に異なることもあるのです。パターンマッチングが「完全一致検索」だとします。これに対して「あいまい検索」のような手法もヒューリスティックの一種ですし、「ふるまい検出型(プログラムの動作あるいは動作の結果を判定してマルウェア検知を行う機能)」の手法をヒューリスティックと呼ぶ製品もあります。もともと、ヒューリスティック(heuristic)という用語自体が、コンピュータやプログラムの世界では「推測、あるいは経験則的に最適解を選択する」という意味合いですので、こうした状況もやむを得ないのかもしれません。ここで筆者が言いたいことは、ヒューリスティック検知という手法は、製品によって差異があるので、機能を比較する際に、同一視することは注意が必要だということです。○性能差はどこで生まれる?上記以外にも、アンチウイルス・ソフトウェアには、マルウェアを検知するためにさまざまな手法が採用されています。代表例としては、プログラムによる通信を判別するファイアウォール機能や、Web閲覧の内容を精査するWebアンチウイルス機能、メールに特化したメール・アンチウイルス機能、ルートキット検知に特化した機能などですが、ここでは説明しきれないほどの多くの検知機能が各社で開発されています。また、各社から製品として出荷される際には、これら多くの機能が組み合わさった形で1つの製品に内包されていることもあれば、機能ごとにある程度切り出された形で製品化されているものもあります。そのうえ、初期状態ですべての機能が有効化されているとは限りません。この辺りは、完全にメーカー各社に依存する世界です。さらに言えば、マルウェア検知の中心機構となる「エンジン」ですが、他社が開発したものを複数搭載する製品も存在します。ただ、機能の豊富さやエンジンを複数搭載することが、単純比例的にアンチウイルス・ソフトウェアの検知力を高めるとは限りません。それぞれの機能が本来の目的を果たしうる"質"を持ち、それらが一体となり、初めて「あらゆる脅威に対して多重防御を実現」できるのです。結論としては、マルウェアの侵入経路や攻撃手法に合わせて、あるいはそれを先取りする形で、各社は検知機能を開発し、実装しています。各社製品のマルウェア検知能力は、これら機能の組み合わせで成立しており、当然のことながら、メーカー各社は検知の能力と精度を高めるために、技術力・開発力でしのぎを削っています。加えて、検知能力の原動力となるマルウェアの収集力や解析能力、攻撃者の心理から脅威のトレンドまでを調査する研究力が、製品の性能を大きく左右することも忘れてはなりません。
2015年12月02日今回は、"知らないと怖い"名義に関する用語のあれこれについて解説します。○保証人と連帯保証人 - 似ているけど大きな違いが!保証人…債務者が返済不能になったときに、債務者に代わって返済義務を負う人のことです。大切な点は債務者が返済できないときですので、保証人は債権者に、まずは債務者に請求するように言い渡すことができます(「催告の抗弁権」)。住宅ローンを借りる場合も保証人は必要です。ただしほとんどケースは保証人の代わりに保証会社を利用し保証料を支払う形で住宅ローンを利用しています。今まで扱った事例の中で、かなり昔ですが1例だけ父親が保証人になったケースがありました。(※住宅ローンの保証料 : 保証会社に所定の保証料を支払うことにより、保証人を立てる必要がなくなります。保証料の支払いは借り入れの際に一括し払うか、一部又は全部を返済額に組み入れる場合があります。保証料はかなり高額で、1,000万円を35年返済の場合一括支払いの場合は20万円から80万円程度です。当初の期間より短い期間で一括返済した場合は、その分の保証料が戻ってきます。注意が必要なのは、保証料の支払いによって返済が難しくなった場合に代わりに返済してくれるものではありません。債権者が保証会社に代わるだけです)(※証券化ローン(フラット35等)の場合は、債務者が支払い不能となり、貸付金の返済が滞るリスクは投資家が負うので、保証料は不要です)連帯保証人…保証人との違いは、債務者が返済できないときに限らず、債権者の請求があったときは返済の義務がある点です。返済能力はあってもなかなか支払わない債務者に対して、債権者は連帯保証人に請求することができ、債務者とほぼ同じ扱いです。「催告の抗弁権」は連帯保証人には無いのです。1日でも返済が遅れれば、請求される場合があります。(※住宅ローンの連帯保証人については下記の連帯債務者の項目を参照ください)○債務者と連帯債務者 - 連帯債務者は万一の場合のリスクについて充分な検討と対策が必要債務者…お金を借りた本人のことで、住宅ローンであれば、借り入れた人が債務者となります。貸した側は債権者です。連帯債務者…フラット35の例で言えば、「収入合算」の場合の合算者、「親子リレー返済」を利用する場合の後継者は連帯債務者になる必要があります。また、共有名義にする場合、共有者は連帯債務者になることができます。夫婦や親子などが共同でお金を借りた場合はそれぞれが「本人」となります。連帯債務者は、借入れた金額全額に対して返済の義務を負います。債務者が死亡した場合は、団体信用生命保険に加入していれば、保険金で残債が支払われますが、債務者が保険金の支払い対象とならない理由で返済不能になった場合は連帯債務者が返済しなければなりません。注意が必要な点は、連帯債務者を保護する保険等が万全でないことです。フラット35を例にすれば、夫婦の場合は一緒に団体信用生命保険に加入できますが、親子リレーの場合はどちらかのみとなります。○担保提供者 - ローンの債権者以外でも担保提供しなければならないケースがある住宅ローンを借りる場合は、その住宅に抵当権を設定して、その住宅を担保として提供しなければなりません。フラット35の場合、建物の敷地にも抵当権が設定されます。敷地の所有者が配偶者や直系親族の場合も同様です。つまり、親の土地に子供が住まいを建ててフラット35を借り入れた場合、親の土地に抵当権が設定されます。親は担保提供者となります。同様に夫婦・親子などで共有名義にした場合、共有名義者は自分の持分にも、抵当権設定と言う形で担保を提供する必要があります。○団体信用生命保険(団信) - 有利な団信。任意加入の場合でも是非加入を!団体信用生命保険…住宅ローン返済中に債務者に万一の場合、債務者に代わって残債が支払われる制度です。民間ローンは、原則強制加入です。特約料は毎年ローン残高に応じた額を支払う場合と毎月の返済=金利に組込まれている場合があり、その分金利は高くなります。また最近は「癌になったとき…」など特徴を持たせたタイプもありますので、金利は表面的な利率だけでなく、含まれている内容にも注意ください。デュエット…フラット35は、連帯債務者である夫婦二人で加入できる公庫団体信用生命保険制度があります。どちらか一方に万一の場合は、持分にかかわらず残りの住宅ローン全額が支払われます。特約料は1.55倍になりますが、連帯債務者の場合の万一のリスクをよく考えれば、検討すべき商品です。親子リレー…親子リレーで融資を受ける場合は、親子で加入はできず、どちらかの加入になります。ただし親が団信に加入し、80歳の誕生日の属する月の末日の保障が終了する日に到達した場合は、子が団信に加入できます。(※各銀行によって異なる場合がありますので、詳細は個別にお問合せください)<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年11月10日ヤフーとソニー不動産は11月5日、新しい不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」の提供を開始した。同プラットフォームは、1都3県(東京都/神奈川県/埼玉県/千葉県)の約5万棟のマンションに関する情報をデータベース化し、マンションの所有者と購入検討者を従来よりもダイレクトに結びつけるサービス。マンション所有者は、不動産仲介会社を介さず「自分のマンションを、自分が決めた価格で、自分で売り出す」ことができ、売却方法の選択肢を広げることが可能。マンション購入検討者は、まだ売り出されていないマンションについての「購入希望の意思表明」や、売り出し中のマンション所有者に対する「物件に関する質問」を直接できるようになり、より能動的に物件購入を検討することができる。これにより、マンション所有者による物件の売り出しから、購入検討者による物件見学の申込みまでがWebサイト上で完結。その後の物件見学から売買代金の決済・物件の引渡しまでのオフラインにおける不動産取引実務は、ソニー不動産がサポートしていく。また、同プラットフォームにおいて、マンション所有者は、自分の住戸の推定成約価格(以下、システム推定価格)を把握することが可能。このシステム推定価格は、ソニーR&Dのディープラーニング(深層学習)技術を核とし、ソニー不動産が持つ不動産査定のノウハウや不動産取引の知識を導入して共同開発した機械学習ソリューション「不動産価格推定エンジン」によって算出される。同エンジンでは、さまざまな不動産関連情報を元にデータを解析し、不動産売買における成約価格を統計的に推定。その推定精度は、MER(Median Error Rate : 誤差率の中央値)で6.08%(1都3県)、5.39%(東京都23区)となる。加えて、簡単な情報入力と所有者確認手続きのみで、不動産仲介会社に相談することなく自分の住戸の物件情報を「Yahoo!不動産」に無料で掲載し、購入希望者を募ることが可能に。物件掲載時の売り出し価格については、システム推定価格を参考にしながら、所有者が自由に設定できる。なお、サービスを開始時は、東京都心6区(千代田区/中央区/港区/渋谷区/品川区/江東区)のマンションを売り出しの対象とし、その後サービスエリアを随時拡大していく予定だ。一方、マンション購入検討者は、データベース化されたすべてのマンションについて、売り出し中の住戸がそのマンション内にない場合であっても、「買いたいリクエスト」を出すことで購入検討中という意思表明できる。さらに、リクエストをしておくと、そのマンションのタイプごとのシステム推定価格を知ることができるほか、そのマンションの住戸が売り出されたときに通知が届くようになる。同プラットフォームは、マンション所有者向けPC版の提供を11月5日に開始し、11月16日に購入検討者向けPC版サービスを、2016年1月下旬にスマートフォン版サービスの提供を開始する。
2015年11月06日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「キャップレス防水」についてです。***コネクターのように金属部分が露出している部品を防水対応させるときは、シリコンのような柔軟性で周囲にフィットし、水の侵入を妨げる部材を保護カバー(キャップ)として使うことが一般的です。しかし、端子を取り付けるときにはキャップを外さなければならないうえ、外したキャップの保管場所という悩ましい問題が発生します。長期間使用するうちにキャップの形状が変化し、そこから水もれが発生することもあります。「キャップレス防水」は、文字どおりキャップなしでの防水を実現します。コネクター部分に防水処理が施されているため、キャップを取り付けないまま水に濡れても故障しません。キャップのように頻繁に着脱することで次第に変形し、やがては防水性能が損なわれてしまうトラブルもありません。キャップの紛失も生じないため、防水性能を長期間維持できます。ただし、端子部分が水に濡れたまま装着(通電)すると故障の原因になるため、水滴を拭き取るなどしてからの装着が前提です。この機構を採用したスマートフォンは、「Optimus G」や「AQUOS PHONE ZETA」、「DIGNO R」など多数存在します。2015年春発表の「Xperia Z4」にも、マイクロUSB端子とヘッドホン端子部分にキャップレス防水が採用されています。ただし、キャップレス防水そのものは防水等級と無関係です。Xperia Z4を例にすると、防水等級は短時間の噴流に耐えられる程度の「IPX5」であり、常温で30分ほど水没させても支障ない「IPX7」には及びません。キャップレス防水に対応したコネクタは、水密性を発揮できるよう高精度に取り付けられているため、完全に元どおりとしないかぎりその部分から浸水してしまう可能性があり、自己流の分解は控えたほうが無難といえるでしょう。
2015年10月20日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「マルチキャリアMVNO」についてです。***マルチキャリアMVNOとは、複数(マルチ)の携帯電話会社(キャリア)に対応する仮想移動体通信事業者(MVNO)という意味合いで用いられる造語で、定義が確立しているわけではありません。とはいえ、今後同じアプローチで製品展開を行うMVNOは増えそうです。これまでのMVNOサービスは、特定の携帯電話会社と提携する形で展開されてきました。A社のSIMはドコモの回線、B社のSIMはauの回線……とサービス会社ごとに決められているため、MVNOを利用する場合はどの携帯電話会社の回線かを事前に吟味する必要がありました。一方マルチキャリアMVNOは、購入後に自由なタイミングで回線(契約プラン)を切り替えることが可能になります。異なる携帯電話会社の回線を選べることは、端末の選択肢が増えることを意味します。たとえば、ドコモとauに対応したマルチキャリアMVNOサービスであれば、ドコモかauで販売されたスマートフォン(ドコモまたはauにSIMロックされた端末)はSIMロック解除申請することなく利用できます。SIMフリー/SIMロック解除済端末の場合、利用するエリアに応じてドコモとauで快適なほうの回線を使う、といった使い方も可能になります。auの回線を利用したMVNOサービスを提供してきた「mineo」は、9月からドコモ回線にも対応、個人向けでは日本初となるマルチキャリアMVNOサービスを開始しました。au回線を使うプランを「au(A)プラン」、ドコモ回線を使うプランを「ドコモ(D)プラン」という名称で提供し、両プランは安価な手数料で切り替えることができます。対応端末はDプランが約200端末、Aプランが約50端末と制約がある(サービス開始前段階)うえ、VoLTE対応は11月以降でSIMの交換が必要など導入のハードルも存在します。しかし、ドコモ/au間でパケットの融通を可能にするなどの配慮もあり、マルチキャリアMVNOの可能性を感じさせるサービスとなっています。
2015年10月19日ソニーとソニー不動産は8日、独自の機械学習技術を応用した「不動産価格推定エンジン」を開発したと発表した。○業界最高水準の精度を実現同技術は、両社が共同開発した機械学習ソリューション。ソニーR&Dのディープラーニング(深層学習)技術を核とし、ソニー不動産が持つ不動産査定のノウハウや不動産取引に特有の知識を導入している。様々な不動産関連情報を元に、独自のアルゴリズムに基づいてデータを解析し、不動産売買における成約価格を統計的に推定する。ソニー不動産広報は「不動産の査定は経験により差が出る場合がある。そこでソニーの機械学習技術を転用できないかと考えた」と話している。東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県のすべての中古マンションの推定成約価格を算出することができ、常に最新のデータを日々自動で学習する。推定精度はMER(Median Error Rate:誤差率の中央値)で5.48%と、業界最高水準の精度という。今後は、売却・購入コンサルティングサービスの利用者に対し、同エンジンで算出される推定成約価格を提供する新たなサービスを提供していく。また他のサービスとの連携も予定している。機械学習技術とは、人が持つ学習能力をコンピュータで実現しようとする技術。またディープラーニング(深層学習)技術は、近年急速に発展している機械学習技術の一つで、人間の脳の構造を模した計算モデルを用いる点に特徴がある。
2015年10月09日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「感圧タッチ」についてです。***感圧タッチ(Force Touch)とは、指先やスタイラスペンで押す力の強弱を利用した操作体系で、感圧センサーを利用したパネル(感圧方式)により実現されます。Apple Watchの液晶パネルやMacBookのトラックパッドに採用されたことで注目を集め、今後各社のスマートフォン/タブレットに採用されることが期待されています。従来の液晶パネルは、その多くがタッチセンサー技術として静電容量方式が採用されてきました。人体が発する静電気を感知する静電容量方式は、軽く触れただけで反応するため手書き入力しやすく、複数点の検出が可能(マルチタッチ)などのメリットがある反面、誤作動しやすいというデメリットがあります。感圧タッチを採用することのメリットには、操作バリエーションの増加が挙げられます。画面を軽くタッチしたときにはスタート、強めに押し込んだときはキャンセル、などとタッチの強弱でスマートフォン/タブレットの反応を変えることができます。たとえば、2015年8月にファーウェイが発表したAndroid端末「Ascend Mate S」は、操作時の指の力の入り方を感知し、画面の端を軽くスワイプしたときはムービー再生位置の調整、強くスワイプしたときは音量の調整と、同じ操作であるにもかかわらず力の入り具合で反応が異なります。ただし、感圧タッチのユーザインターフェイスは、Android OSでは正式にサポートされていません。公式発表されてはいませんが、前述したAscend Mate Sはファーウェイが持つ独自のユーザインターフェイス(Emotion UI)により感圧タッチを実現していると推測され、一般デベロッパーによる感圧タッチ対応のアプリは開発できないものと考えられます。いずれこの機能に完全対応したイラスト作成アプリが登場すれば、肉筆に近いタッチで描けるようになることでしょうが、それにはOSレベルでのサポートが待たれます。
2015年09月07日ビジネスメールもウェブメディアでも、小難しそうなカタカナ用語がいっぱい! しかも、その数は年々増えている気がします。前後の話の流れでなんとな~く意味を察して、理解できているような気がしていても、誰かから「どういう意味か説明して」と言われると…思わず口ごもってしまいませんか? かくいう筆者も、まさにそのパターンです。そんなわけで、最近頻繁に見聞きするカタカナ用語を調べ、筆者なりの解説にチャレンジしてみます。■誰かに聞かれても怖くない! 頻出するカタカナ用語をざっくり解説【エビデンス】証拠、根拠、証言、痕跡などの意味を持つ英単語。出典: IT用語辞典e-Words ビジネスシーンでの「言った・言わない」トラブルを避けるため、メールや録音など何らかのかたちで記録を残すことを意味します。「きちんとエビデンスを残しておいて」というような使われ方。医療業界では意味合いが少し異なり、「データに基づく科学的根拠」などを指します。【キュレーション】キュレーションとは、IT用語としては、人手で情報やコンテンツを収集・整理し、それによって新たな価値や意味を付与して共有することである。出典: IT用語辞典BINARY 最近よく目にするまとめサイトをイメージするとわかりやすいかもしれません。媒体そのものが記事作りをしているというより、あちこちにある記事を集めてコンテンツとして成り立たせていることが多いです。「キュレーター」は、情報をまとめる人を指す言葉として使われています。 【コンセンサス】意見の一致。合意。出典:三省堂 大辞林ちなみに「三省堂 ワードワイズ・ウェブ 」によれば、ビジネス用語として使うときには「根回し」のニュアンスを持つことが多いとの記述が。つまり、「●●にコンセンサスを取っておいて」と言われたなら、「●●に合意を取っておいて」もしくは「●●に合意を得られるよう根回ししておいて」と言っているんだな、と考えればよいわけですね。【サスティナブル】持続可能であるさま。特に、地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについていう。出典:デジタル大辞泉持続可能であるさま…? それだけだとわかりづらいですが、平たく言うと「これからもずっと安心して地球上で暮らし続けていけるような、地球環境にやさしいさま」ということです。「サスティナブルデザイン」は環境を配慮したデザイン、ということに。【バジェット】政府などの予算。予算案。また、特定の用途のための経費。出典:デジタル大辞泉それなら「予算」、「経費」と言えばよいのでは…と思ってしまいますが。調べてみるとどうやら「低予算」、「安価」というニュアンスの使われ方もしており、「バジェットホテル」、「バジェットレンタカー」など、形容詞的に使われているケースもありました。これらのカタカナ用語、数も使用頻度も年々増えていることを考えると、知っておいたほうがビジネスのやりとりがスムーズになると言えそうです。もしもよく意味がわからない用語に出くわしたら、知ったかぶりはせずに素直に聞いてみるのも手です。案外、聞かれた相手のほうだってモゴモゴしちゃうかもしれませんよ。
2015年09月06日フォレスト出版はこのほど、書籍『空き家を買って、不動産投資で儲ける!』を発売した。著者は収益不動産経営コンサルタント・全国古家再生協議会顧問の三木章裕氏。価格は1,500円(税抜)。○少額で誰でも簡単に始められる不動産投資法を紹介今、空き家が社会問題になっている。行政では、廃屋化する空き家が危険建築物として倒壊する恐れや、犯罪の温床になるということで対策を進めているが、実際に深刻な問題に直面しているのは、空き家を所有している家主だ。再建築不可物件など様々な理由から空き家が増え続けているのが現状だが、実はこうした物件が今、不動産投資物件として生まれ変わっており、家主の中には「空き家不動産投資」で成功している人も出てきているという。同書は、少額で誰でも簡単に始められる、新しい不動産投資法を紹介。投資の方法から資産づくりの指南、不動産投資をするための心得まで、初めて投資をする人にも分かりやすく説明している。著者はもともと、大阪で不動産業を営んでいたが、バブル崩壊で借金返済に追われ、物件を購入していた立場から、物件を紹介する事業を開始。巨額の借金返済という厳しい経験を通じて、クライアントに寄り添った失敗しない資産づくりを指導しているという。著者の三木章裕氏は1962年大阪生まれ。甲南大学経営学部卒、大阪学院大学大学院商学研究科卒。現在、収益不動産経営コンサルタント・全国古家再生推進協議会顧問としてクライアントの資産づくりをサポートしている。
2015年09月03日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「生体認証」についてです。***個人情報のかたまりともいえるスマートフォンは、セキュリティに対する市場の要求がますます高まりつつあります。かつてはロック解除時にパスコードやパターンを入力する程度でしたが、スマートフォンに資金決済の役割が期待されるようになった背景もあり、体の一部を判断材料とすることでより厳密に個人を特定できる「生体認証」をサポートする端末が増えています。現在スマートフォンで利用される生体認証は、「指紋認証」が主流です。高精度センサーで指紋を読み取ることで、端末の正統な所有者かどうかを判定します。以前はAndroid端末にもメーカー独自機能として採用されていましたが、指を押さえたままで認証する技術を持つ企業がAppleに買収されたことにより、Galaxy S6シリーズなど一部を除き、Android端末での採用事例は急減しました。バージョン4以降のAndorid OSでは顔認証もサポートされていますが、Android 5.0 Lollipopでは「トラステッドフェイス」として機能強化されました。登録済の顔とインカメラで映した顔が一致するかどうかで認証する技術で、まばたきしなければ認証が通らない(顔写真でだませない)などの改良が施されていますが、認証に時間がかかるうえ暗い場所では使えないため、あまり普及していません。Android OSの次期バージョン「Marshmallow」では、OS標準の機能として指紋認証をサポートします。指紋認証用センサーの搭載が条件にはなるものの、端末のロック解除はもちろんGoogle Playでの支払いなどにも利用できるようになります。今後はAndroid端末でも、指紋認証をサポートする機種が増えそうです。メーカー独自の技術も進展しています。富士通がARROWS NX F-04Gで採用した「虹彩認証」は、ひとりひとりで異なるとされる虹彩(瞳孔の周縁部分)のシワを検出、個人を特定します。最初の登録に時間がかかる、ロック解除以外使えないなど改良の余地はありつつも、認識精度の高さは指紋認証を上回るとされる技術ですから、今後普及する可能性は大です。
2015年08月31日三省堂は17日、IT(ICT)用語を解説した書籍『ICTことば辞典』(大谷和利、三橋ゆか里、江口晋太朗 著)の電子書籍版の配信をKindleストアおよび楽天Kobo電子書籍ストアで開始した。希望小売価格は税別1,600円。iBookstore、BookLive!、Reader Store、ブックパスなどからも購入可能。同書は、画像、図版、やさしい言葉を用いて、身近な事例を交えながら、IT(ICT)用語を解説した辞典。収録用語は250ワード。時代のニーズや話題性の高い項目を選び、"読む"ことにも重点を置き、一般書の面白さも兼ね備えたものになっているという。また、脳科学者の茂木健一郎氏や言語学者の投野由紀夫氏、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏、劇作家の柴幸男氏など、各界の第一線で活躍する10名のコラムも収録、幅広い視点からIT(ICT)の知識が身につくという。電子書籍版は前ページがフルカラーとなっており、文字の大きさや行間を任意のサイズに設定できる。
2015年08月17日スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は『MIL規格』についてです。***MIL規格は、米軍が調達する物資の規格/評価ガイドラインです。その対象は武器や大型運搬機、腕時計やスマートフォンなどの精密機器/電子機器、被服やアクセサリ類まで多岐にわたります。極端な気温の上下やほこりの多い場所など、過酷な条件下での使用に耐えうる製品であることの裏付けとなります。その規格番号は「MIL-○○○」の部分には標準を意味する「STD」、仕様を意味する「SPEC」などが入れられ、「△△△」の部分には規格番号、「□」の部分にはリビジョンがアルファベットで入れられます。「MIL-STD-810G」を例にすると、米軍標準810号の第7版ということがわかります。スマートフォンや小型電子機器に関係するMIL規格としては、耐環境性試験の規格であるMIL-STD-810、MIL-STD-188(電気通信)、MIL-STD-202(電子部品)などがあります。そのうちMIL-STD-810には、低高温環境での動作や許容範囲、湿度や水分/塩分に対する耐久力を測定するための基準とテスト方法が示されています。たとえば、京セラが2015年2月に発表したAndroid端末「DIGNO U」は、耐衝撃/耐振動/防湿/温度耐久/塩水耐久など複数のテストをクリアし、MIL-STD-810G準拠の製品として販売されています。そのうち耐衝撃性については、テスト方法(516.6:Shock-ProcedureIV)を示したうえで、製品を1.22mの高さから合板に26方向で落下させたことが明らかにされています。定められたテストのすべてをクリアする必要はなく、取得した認証についてテストの手順と結果を示せば足ります。MIL規格の詳細は、国防総省標準化プログラムのWEBサイト(下記)から参照できます。
2015年08月15日