いま、教育資金は「情報戦」です。たとえば、教育関係の公的な助成・補助金は、申請するからこそ、もらえるお金。申請しなければ、もらえません。また、いまや大学は、返さなくていい給付型の奨学金をこぞって増やしている時代です。これらを「知っている」のと「知らない」のでは、大違い! 充実してきた教育支援制度の情報を、教育資金に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんにピックアップしてもらいました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ ■低所得のひとり親家庭に給付するお金児童扶養手当死別や離婚などで母親または父親、父母がいない場合は祖父母などひとり親家庭で18歳未満の子どもを養育している人が、低所得の場合にもらうことのできる手当です。受け取れる額は、「養育している子どもの人数」と「親の収入(所得)」によって違い、とても複雑なので、詳細はお住まいの市区町村窓口に問い合わせをすることが大切です。申請をした後、1~3ヶ月程度の認定審査があり、認定日の月の翌月分から支給が開始されます。■幼稚園の月謝、入園費の補助私立幼稚園就園奨励費補助金私立幼稚園に通う場合は、ぜひ「私立幼稚園就園奨励費補助金」の活用を!国が自治体に依頼している補助金制度で、満3歳児から5歳児(年長)までの月謝と入園費を対象に受けることができます。きょうだいの人数、年齢、親の収入(住民税の額)、そして住んでいる自治体などで補助金の額は異なります。なお、千葉県野田市のように公立幼稚園に通う世帯にも助成しているところもあります。一方で市区町村によっては制度がない場合や国の基準よりも厳しく設定しているところなど助成額も異なるため、まずは自治体に問い合わせをしましょう。■高校の授業料の無償化高等学校等就学支援金(国の制度)家庭の所得に応じて、高等学校の授業料が支給されるシステムです。現金で直接、生徒や保護者が受け取れるというものではなく、学校設置者(学校法人など)が生徒本人に代わって受け取り、授業料と相殺されます。申請書類は、入学時は4月に、継続して支給を受ける届け出手続き関係は6月~7月頃に高校から配布されます。ただし、モデル世帯(給与所得のみの夫婦・16歳以上の高校生一人・中学生一人の4人世帯の例)で言えば、年収約910万円以上になると就学支援金は受けられません。■返さなくていい奨学金!?今回の取材で、筆者が一番驚いたのは、「返さなくていい奨学金」が増えていること。そのなかでも、最近の一大トレンドとなっているのは、「予約型」の奨学金です。これはおもに地方からの受験生が対象で、受験前に申し込み、合格したら支給をされる奨学金のことです。申し込みは、前年度の秋のことが多く、それゆえ「予約型」。つまり、現役生の場合は、この情報を「知っていて」、高校3年生のときに応募しておかなければなりません。現在、多くの大学は、予約型の奨学金を設けています。●早稲田大学「めざせ! 都の西北奨学金(予約型)」半期(春学期)の授業料が免除。●慶應義塾大学「学問のすゝめ奨学金(予約型)」地方の新入生500人に年額60万円~90万円を卒業まで支給します。国立大学でも、たくさんの奨学金給付があります。たとえば、一橋大学の「一橋大学学業優秀学生奨学金制度」では、前年度にとくに優秀な成績を収めた学部生12名以上に月8万円(年96万円)を毎月送金します。支給は1年間限定ですが、親の年収制限を設けるなど家計の経済状況は加味されません。奨学金といえども、返済義務があるものは、大学を卒業した途端、数百万円もの借金を背負うもの。返さなくていい奨学金を上手に活用することで、親の家計への負担を減らし、子どもの進学に役立てることができます。そんな時代がやってきたのは、喜ばしいこと。みなさんに制度を知ってもらい、活用して欲しいです。いかがでしたか? いつの時代も、「わが子にできるだけのことをしてあげたい」というのは、当然の親心。けれども、先行き不透明ないま、教育資金作りに不安を感じる人も多いことでしょう。この連載が、教育資金の「情報格差」を解消し、前向きな教育資金作りの第1歩を踏み出すキッカケになるとうれしいです。■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月29日出産費用の負担を軽減させるための制度、出産育児一時金の直接支払制度というものを利用すると、まとまった出産費用を用意しなくて済むようになります。こちらでは、これから出産をするみなさんが安心をして、出産育児一時金直接支払制度を利用することができるように、手続きの方法や差額分について、利用するメリットなど様々なギモンについて詳しくご説明していきます。出産育児一時金の直接支払制度とは出産育児一時金とは国が定めている制度で、女性が子供を出産する際に、勤め先や夫の健康保険に入っていればその健保から、国民健康保険に加入していれば自治体から出産費用の補助として給付金が支給される制度ものです。出産する子供ひとりにつき一律42万円、加入する健保によってはさらに付加給付金が上乗せされて支給されます。ただし産科医療制度に加入していない病院の場合は減額され、40万4000円の支給となります。そして出産育児一時金の直接支払制度とは、出産時の窓口実費負担を軽減させる制度です。直接支払制度を利用すると窓口での支払いは、出産費用から出産育児一時金の42万円を差し引いた金額が請求されます。 出産育児一時金直接支払制度のメリット出産をする際に出産育児一時金直接支払制度を利用することで得られるメリットには、次のようなことが上げられます。まとまったお金を用意しなくて済む金銭的にも余裕が出て心にもゆとりができる高額になりがちな出産費用ですが、出産育児一時金直接支払制度を利用することで医療機関の窓口で支払う額が軽減されます。まとまった大きな金額を支払わずに済むので、金銭的に余裕ができ、ゆとりのある心で子育てに入ることができます。 支払い額と支給金額に差額が発生したらどうする?出産育児一時金は42万円と定められていますが、実際に掛かる出産費用は出産する病院や検査内容によって大きく変わります。出産育児一時金の42万円を超える方もいれば下回る方もおり、金額の差は医療機関や入院する部屋などにもよりますが、大きな違いは出産する地域の差になります。都道府県別の平均的な出産費用北海道427,536円石川県456,037円岡山県479,016円青森県424,054円福井県453,697円広島県475,611円岩手県450,152円山梨県477,026円山口県426,973円宮城県513,764円長野県492,076円徳島県457,491円秋田県439,574円岐阜県474,691円香川県434,345円山形県486,012円静岡県481,314円愛媛県441,567円福島県461,714円愛知県497,657円福岡県459,253円茨城県496,897円三重県489,252円佐賀県430,352円栃木県525,763円滋賀県471,587円長崎県446,221円群馬県492,802円京都府472,706円熊本県441,449円埼玉県511,750円大阪府492,944円大分県422,215円千葉県492,400円兵庫県492,866円宮崎県420,879円東京都586,146円奈良県479,864円鹿児島県426,711円神奈川県534,153円和歌山県443,955円沖縄県414,548円新潟県486,386円鳥取県399,501円富山県457,650円島根県453,170円全国平均486,376円厚生労働省保健局/出産育児一時金の見直しについて:都道府県別の平均的な出産費用について(平成24年度)pdf上記の表図をみて分かる通り出産費用はの地域差がは大きいものになりますです。出産費用出産費が全国で一番安い鳥取県の出産費平均額は399,501円に対し、出産費が全国で一番高い東京都の出産費平均額は586,146円で約19万円もの差がついています。更に鳥取県と東京都で出産育児一時金を利用した場合を比較すると、鳥取県は約2万円下回り東京都は約17万円上回ります。地域によってこんなにも差があるのです。超えた分は医療機関の窓口で出産費用出産費が出産育児一時金の42万円を超えた場合は、超えた分の金額を医療機関の窓口で支払います。下回った分は後日振込出産費用出産費が出産育児一時金の42万円を下回った場合は、差額が銀行口座へ振り込まれます。加入しているされている健保の制度保健で付加給付金がある場合のほとんどは、差額が振り込まれるタイミングで付加給付金もが上乗せされて振り込まれます。 出産育児一時金直接支払制度の申請方法42万円もの補助金が出ることや窓口で支払わなくて済む制度を利用すると考えると、出産育児一時金直接支払制度の申請は面倒な書類が必要なのではないか……と心配になるかもしれませんが、出産育児一時金の申請や手続きは原則、必要ありません。しかし、被保険者と医療機関の間で直接支払制度利用の契約を結ぶ必要がありますので、医療機関で契約に必要な書類を手渡されます。書類の内容は医療機関によって異なりますが、大きな病院などでは被保険者証(保険証)の提出と書類にサインする程度の簡単な手続きで直接支払制度の契約が完了しますので、ほとんどの医療機関では直接支払制度を利用する為の特別な準備は必要ありませんないでしょう。出産育児一時金直接支払制度を利用しない場合出産育児一時金の直接支払制度を利用しない場合は、出産費用出産費の全額を窓口で支払った後日に出産育児一時金の42万円を受け取る流れになり、ご自分が加入している健康保険保険が定めている書類を提出し手続きを行う必要があります。また、海外で出産をした方も同様の手続きが必要です。直接支払制度の利用出産費用支払い受取利用する42万円以下窓口の支払いなし42万円の差額と付加給付金(制度がある場合)を受け取り42万円以上出産費用から42万円を差し引いた額を窓口で支払い付加給付金(制度がある場合)を受け取り利用しない–出産費用の全額を窓口で支払い42万円に付加給付金(制度がある場合)を上乗せで受け取り 予め確認が必要!負担が大きくなるケース出産育児一時金は日本に住む日本人であれば全員が利用できる制度ですが、一部の医療機関では出産する方の負担が大きくなる場合があります。小さな医療機関などでは直接支払制度を導入していないところがある他、産科医療保障制度というものに加入していない医療機関で出産場合した場合は出産育児一時金が減額になりますので、予め医療機関に確認しておくことが必要です。直接支払制度を導入していない医療機関もし、自分が出産する医療機関が直接支払制度を導入していない場合は受取代理制度という制度を利用する方法もあります。受取代理制度は直接支払制度と類似の制度で、出産育児一時金の受け取りを医療機関に委任する制度です。受取代理制度は直接支払制度に比べ面倒な手続きが必要になりますが、直接支払制度を導入していない医療機関でも出産育児一時金の42万円を差し引いた金額を窓口で支払うことになりますので、まとまった大きな金額を用意せずに済みます。受取代理制度の申請は事前手続きとなります。産科医療補償制度に加入していない医療機関出産育児一時金は42万円と説明しましたが、実は詳しい内訳をみると出産育児一時金は40万4千円と定められています。差額の1万6千円はというと産科医療補償制度の掛金分とされ、合わせた金額が42万円とされています。産科医療補償制度とは出産後に子どもが脳性まひなどの重度の障害を負った際に、家族へ保証金を支払う事を目的とした制度です。補償金の掛け金は出産する方が支払うことと定められていますが、出産育児一時金に産科医療補償制度の掛け金分として1万6千円が含まれています。一部の産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産をした場合は、産科医療補償制度の掛金も必要なくなるので出産育児一時金は掛金、1万6千円を差し引いた40万4千円となります。 まとめ出産には高額な費用が掛かるものです。出産育児一時金直接支払制度は面倒な手続きなく利用している方がほとんどですので、予め医療施設に確認をしゆとりのある出産をしましょう。また、出産前にある程度、自分のかかっている医療機関で必要となる出産費用を計算し、出産育児一時金を差し引いた差額を把握しておくと、より気持ちにゆとりが出るでしょう。
2018年09月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「高度プロフェッショナル制度」です。6月、8つの法律から成る働き方改革関連法が成立。長時間労働をなくすため、残業時間の上限が原則月45時間、年間360時間に定められました。上限を超えると使用者側に6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。また、「同一労働同一賃金」を導入。同じ企業で同じ仕事内容の場合、正規雇用と非正規雇用の待遇格差を是正することになりました。8つの法律の一つが「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」です。年収1075万円以上の専門職は、残業や休日、深夜労働などの割増賃金の支払い対象から外すというもの。証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが対象とされています。残業せずに自分の裁量で効率よく働けばいいという制度なのですが、現実問題、自分の仕事が終わったからと、残業せずに帰ることができるでしょうか。上司に新たな仕事を頼まれ、サービス残業を強いられるのではないか。家族が過労死した遺族らはこの法案に反対していました。優秀で責任感の強い真面目な人こそ、過労に至ります。本来、法律はそういう働き手を守るためにあるべきなのに、「高プロ」はそうではないと肩を落としていました。実はこの法案、第1次安倍内閣のころにも「ホワイトカラー・エグゼンプション」という名で推し進められましたが、猛反対にあい、潰されました。安倍内閣が、なんとしてもこの法律を通したかった背景には、アメリカからのリクエストがあります。「日米投資イニシアティブ」という、経済的にパートナーシップをとろうという交渉のなかで、アメリカは日本の雇用環境を、従来の終身雇用型の家族的なあり方ではなく、成果主義ですぐに首を切れる外資系スタイルに変えることを要望。そうして、日本企業でアメリカ人の雇用を増やすことを望んでいるのです。高プロは、労働者側に、拒否する権利を与えています。しかし、有給休暇の申請さえしづらい日本の職場環境で、対象者は拒否できるのか。また、現在は一部の高所得者、専門職のみが適用対象になっていますが、それも将来もっと広げられるのではないかと、危惧する声も上がっています。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年9月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2018年09月04日「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」そう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。この支給年齢の引き上げに加えて、政府と財務省がもくろんでいるのは「支給年金の減額」だ。「これは、現役世代から徴収する年金収入や、国庫金からの年金財源としての支出の上限を固定してしまう『マクロ経済スライド』によるもの。収入が固定されてしまうと、当然、それぞれに給付される年金額は大幅に減ってしまうというわけです」年金減額も“待ったなし”の状態――この状況に、50代の主婦は不安を漏らす。「65歳になっても年金が減るなら、60歳になったときに前倒しでもらっちゃったほうがいいんじゃないかしら……?」「前倒しにもデメリットがある」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。「前倒し受給というのは、60歳から64歳までの段階で『65歳になった』と仮定されるものです。すると、60歳からの5年間は『国民年金の任意加入』の対象外となってしまうんです。なぜなら、65歳になってしまうと、この『任意加入』の制度は利用することができないからです」中村さんが語る「国民年金の任意加入」とは、納付期間10年間という受給資格を満たしていない場合と、納付期間が40年未満の場合に追加で加入できる制度。60歳以降も保険料の納付済期間を増やすことができ、老齢基礎年金の額が増える。しかし、40代、50代の人でも未納の年金を後納できる制度がある。加谷さんがこう説明する。「通常、納め忘れた場合は2年までさかのぼることができます。さらに、後納制度というものを使えば、申請することで5年まで遡って納付できますが、この制度は今年の9月末で打ち切りとなるんです。未納がある人は急いで後納を検討した方がよいでしょう。具体的には9月28日が期限となります」自分の未納期間などは、年1回、誕生月に郵送されるはがき「ねんきん定期便」、パソコンやスマホで見られる「ねんきんネット」で把握できるようになっている。
2018年08月22日企業従事者は出産時に「育児休業制度」を取得することができます。ある程度の期間を休むことができるということはご存知だと思いますが、どういった内容かはご存知ですか?この記事では育児休業の内容や平成29年に改正された点や、意外と知らない企業側が講じなければいけない細かな点をご紹介します。 育児休業制度とは?企業従事者が出産時に取得することのできる育児休暇制度。正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言います。略称は「育児・介護休業法」、「育児・介護休業法のあらまし」です。制度が生まれた背景この制度が生まれた背景には日本の少子化、労働者の減少、地域差焼きの活力の減少があります。就労か結婚・出産・育児のどちらかを選ばなけれならないという状況を改善し、仕事と生活の調和を実現するために作られました。 平成29年の改正育児・介護休業法の概要平成29年10月に育児・介護休業法が一部改定されました。内容は以下のとおりです。育児休業期間の延長以前は1歳6ヶ月までとされていた育児休暇の取得期間が、子どもが受け入れ先保育園が決まらないなどの理由によっては、最長2歳になるまで取得可能になりました。合わせて育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。育児休業等の制度周知社員、従事者またはその配偶者が妊娠、出産を事業主が知った際、育児休業等に関する制度を周知する努力義務が創設されました。育児休暇の導入を促進事業主に対して、当該者の子どもが小学校入学までの間、育児に関する目的に対しての休暇制度を設ける努力義務が創設されました。 育児休業制度対象者この制度の対象は以下になります。・原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者・常勤の従事者であること(日々雇い入れられる人は対象外)期間採用の場合は以下に該当すれば育児休業の該当者とみなされます。・同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること・子どもが1歳6ヶ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと育児休暇に関する労使協定を結んだ場合は協定が優先されます。子の看護休暇子どもが看護が必要な場合も休暇を取ることができます。内容は以下のとおりです。子どもが小学校に入学するまでの間は1年の間に5日(子どもが2人以上の場合は10日)まで看病が必要な場合、予防接種や健康診断を受ける場合には休暇を取得することができます。所定外労働の制限3歳以下の子どもを持つ親に対して所定外労働についても定められています。事業主は、3歳に満たない子どもを養育する労働者が所定以上の労働を請求したとしても、事業が正常に運営できないなどの理由がない場合はその請求を受けてはいけません。時間外労働の制限時間外労働・残業についても以下のように定められています。事業主は、子どもが小学校未入学の子どもを擁する従事者に対しが1ヶ月に24時間、1年で150時間を超える時間外労働を従事者が希望しても、事業が正常に運営できないなどの理由がない場合はその請求を受けてはいけません。深夜業の制限深夜の労働に対しても制限があります。事業主は、子どもが小学校未入学の子どもを擁する従事者を、午後10時から午前5時までの間、事業が正常に運営できないなどの理由がない限り働かせてはいけません。短時間勤務制度労働時間の短縮に関しても定められています。事業主は、3歳に満たない子どもを持つ従事者が希望した場合は仕事と育児の両立が可能になる措置(就業時間の短縮)を取らなければなりません。育児休業等に関するハラスメントの防止措置育児休業が取りやすくなる環境整備について以下のように定められています。事業主は従事者が育児休業を取得しようと意思を表明した際に嫌がらせをされたり、職業環境が害されないように、相談しやすい環境、体制を講じなければなりません。
2018年07月22日■出産育児一時金とは?出産(正常分娩)は病気ではないので、健康保険は使えず、費用は全額自費負担となる。その代わりに出産費用の助成として健康保険からお金が支給される、その一時金のこと。■出産育児一時金のもらえる金額は?「子どもひとりにつき42万円」が基本。多胎の場合は、42万円 × 人数分となる。加入している健康保険組合や自治体によっては、「付加給付金」を上乗せしてもらえる場合も。■出産育児一時金をもらえる人は?自分が健康保険に加入しているか、パパの健康保険の被扶養者になっていて、妊娠4カ月(85日)以上で出産したママ。(流産・死産の場合も妊娠85日以降であれば適用)■出産育児一時金 手続きの概要健康保険制度から、産院へ直接お金を支払ってもらう「直接支払制度」が原則である。その流れをベースに説明しよう。①支給を受ける健康保険を決める「出産育児一時金」を、どの健康保険からもらうのかを決めておく。選択肢としては「自分の健康保険からもらう」「パパの健康保険の被扶養者としてもらう」のふたつ。②支払い制度を選択する手続きの方法は「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請」の3つだが、基本的には「直接支払制度」を使い、直接支払制度に対応していない産院の場合は「受取代理人制度」を利用する。「直接支払制度」の場合は、分娩予約から退院までの間に病院から説明を受けるので、内容を理解し承諾した上で、渡される申請書に必要事項を記入するだけでOK。「受取代理制度」の場合は、出産前に健康保険に利用する旨を届け出て手続き書類を受け取り、産後に書類に必要事項を記入し、加入している健康保険の窓口に提出する。③出産後、差額を精算出産入院する時に、出産育児一時金の支給を受ける健康保険証を提示する。出産費用が出産育児一時金の支給額より多かった場合は、退院する時に超過分を産院に支払う。出産費用が少なかったとき(「直接支払制度」の場合)は、必要書類を公的医療保険の窓口に提出すると後日指定口座に支払われる。「受取代理制度」の場合は、すでに書類を提出済なので2週間から2ヶ月くらいで自動的に指定口座に振り込まれる。◆コラム:産後申請する場合◆出産ギリギリまで働いていて、ギリギリのタイミングで里帰りをするなど、直接支払制度の申請に間に合わない場合などは、「産後申請」を使う。産院の窓口で出産費用を全額支払い、出産後に加入している健保に産後申請の書類を提出し、一時金を受け取るという流れ。産後申請の場合で、入院前に保証金が必要だったり、出産費用を支払うのが難しいケースは、加入先の健康保険に出産費用の貸付の相談ができる。■出産育児一時金 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日■乳幼児医療費助成とは?子どもにかかる医療費を、自治体が助成してくれる制度。各自治体が運営している制度なので、名称や助成内容などはさまざま。詳細は、住民票がある市区町村の役所やHPで確認を!■乳幼児医療費助成もらえる金額は?助成額は、自治体によって違う。たとえば、かかった医療費全額を助成する自治体もあれば一部の場合もあるし、助成の対象年齢も乳幼児に限らず、中学生まで対象にしている自治体も増えている。■乳幼児医療費助成もらえる人は?国民健康保険や会社の健康保険など、健康保険制度に加入し、乳幼児医療費助成の加入手続きをした人。加入の手続きが遅れた場合、さかのぼって助成が受けられるかも自治体によって異なる。■乳幼児医療費助成 手続きの概要①住んでいる市区町村の助成内容・手続き方法を確認する自分が住んでいる市区町村の助成内容や手続きの方法を、役所の窓口や自治体のHPで確認しておく。市区町村の境目に住んでいて、他自治体の医療機関を使う可能性がある人は、「他自治体の医療機関を受診した場合」もチェックしておく。②赤ちゃんの健康保険に加入手続きし、健康保険証を受け取る赤ちゃんが入る健康保険に加入手続きをする。加入の手続きをする際に、「いつごろ健康保険証が届くのか?」の目安を確認しておくと、乳幼児医療費助成の申請タイミングの参考になる。扶養者が国民健康保険の場合は、出生届を出した後で、乳幼児医療費助成の手続きができるのが一般的。③役所で手続き後、乳幼児医療証を受け取る赤ちゃんの健康保険証を持参して役所で助成を受ける手続きをする。健康保険証が届いていない場合でも、手続きできる自治体もある。手続き後、しばらくすると乳幼児医療証が届くので、これを医療機関の窓口に提示することで助成が受けられる。■乳幼児医療費助成 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日■未熟児養育医療制度とは?生まれてきた赤ちゃんが未熟児だった場合など、医師が入院療養が必要だと認めた赤ちゃんが、全国の「指定養育医療機関」で治療を受けた場合、その医療費を助成する制度。■未熟児養育医療制度でもらえる金額は、いくら?費用の全部、または一部(地域によっては保護者の所得に応じて一部自己負担金がかかる場合もある)を負担してもらえる。■未熟児養育医療制度をもらえる人は、どんな人?この制度が適用される赤ちゃんは、「出生時の体重が2000g以下の場合」または下記のような場合などだ。●助成の対象となる乳児(例)1、運動不安・けいれんがあるものなど2、体温が34度以下3、呼吸器・循環器系(強度のチアノーゼがあるなど)4、黄疸(生後数時間以内に現れるか、異常に強い黄疸のあるもの)など(エキサイト編集部作成)■未熟児養育医療制度の手続きの概要①医師に養育医療意見書をもらい、書類審査を受ける②出産時以降の状況を見て、医師に養育医療意見書を書いてもらう出生届を出す前に、手続きが開始するのが一般的。未熟児養育医療給付申請書、世帯調査書は自分で書き、自治体によっては扶養者の所得を証明する書類(源泉徴収票のコピーや確定申告書)と一緒に未熟児養育医療の申請をし、書類審査に通ると利用できる。◆コラム:未熟児養育医療制度を利用した私の実感◆「生まれた子が、未熟児だった」というのは、ママにとっては結構ショックな出来事。じつは、私にも経験がある。次男・三男が双子なため、二人とも早産で極小未熟児だったのだ。「ちゃんと産んであげられなくてごめん!」と、出産直後は相当自分を責め、大きな挫折感だった。退院は一緒にできず、双子が入院している病院に搾乳を届ける日々。未熟児は文字通り「未成熟な状態で生まれた児」なので、当初はトラブルも多かった(生後半年で入院6回)。「障害が残る可能性は、通常に生まれた子の10倍」と言われ、生後1年半の間、総合病院で生育の経過をチェックしてもらう「経過観察」にも通った。…と、いろいろあったが、あれから13年。 極小未熟児で生まれた双子は、何の遜色もない普通の中学1年生となった(現在、やや肥満気味ですらある)。「出産当初はショックだったけれど、過ぎてみればそれも懐かしい思い出」という現在の私の実感を伝えておきたい。■未熟児養育医療制度 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日■小児慢性特定疾患の医療費助成とは?子どもの病気の中で、国が指定した疾病の治療にかかる費用などを自治体が支援する制度。■小児慢性特定疾患の医療費助成でもらえる金額は、いくら?国の制度だが、運営は自治体に任されているので、自治体によって助成内容は違う。■小児慢性特定疾患の医療費助成をもらえる人は、どんな人?国が指定した疾病(小児慢性特定疾患)にかかっている18歳未満の子ども。何らかの健康保険に加入していることが条件。18歳をすぎても治療が必要なときは20歳まで延長できる。■小児慢性特定疾患の医療費助成手続きの概要●小児慢性特定疾病指定医にて受診を指定医療機関にて受診を受け、医師より小児慢性疾病の医療意見書を出してもらう。医療費助成の申請に医療意見書を添付し、各自治体に提出する。小児慢性特定疾病審査会で審査後、認定された場合は「小児慢性特定疾病の医療受給者証」が届く。指定機関で「小児慢性特定疾病の医療受給者証」を見せると助成が受けられる。◆コラム:小児慢性特定疾病情報センターのHPチェックを!◆小児慢性特定疾病情報センター小児慢性特定疾病情報センターは、小児慢性特定疾病の情報を一元化し、情報提供する目的で、構築されたポータルサイト。国立研究開発法人 国立成育医療研究センター(厚生労働省「小児慢性特定疾病登録管理データ運用事業」の補助事業)が運営している。≫ 小児慢性特定疾病情報センター ■小児慢性特定疾患の医療費助成 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「死刑制度」です。世界は廃止が主流。加害者の人権をどう捉えるか。1989年~‘95年に起きた一連のオウム真理教事件。関連する刑事裁判がすべて終結し、麻原彰晃死刑囚をはじめ、死刑が確定した13人の刑の執行もまもなく行われるといわれています。日本の死刑の歴史は古く、5世紀の仁徳天皇時代からあり、現在の刑法に定められたのは明治40年です。しかし、世界では死刑制度は廃止の方向に進んでいます。1990年時点で、死刑制度のあった国は96か国、廃止国は80か国。2009年には死刑存置国は58か国に減り、廃止国は139か国に増えました。イギリス、フランス、ドイツなど、ベラルーシ以外の欧州諸国や南米諸国は廃止。アフリカでも廃止国が増えており、アメリカで死刑が存置されているのは一部の州のみです。中国も国際社会からの批判を受け、適用を厳格化することにしました。多くの国が死刑制度を廃止にした主な理由は、人権的な問題と、実は死刑が凶悪犯罪の抑止力にはならないと証明されたからです。国連人権理事会は、日本政府にも死刑制度の廃止や一時停止の勧告を行いましたが、政府は世論が求めていないからと、検討する構えを見せていません。平成26年度の内閣府の世論調査によると、80.3%の人が「死刑もやむを得ない」と答えました。「死刑は廃止すべき」が9.7%、「わからない、一概にいえない」が9.9%。「やむを得ない」と答えた人のうち5割以上の人が、その理由を「被害者やその家族の気持ちがおさまらない」「凶悪な犯罪は命をもって償うべき」としています。そして、「死刑を廃止すると、凶悪犯罪が増える」と考える人が57.7%いました。しかし一方で、袴田事件や名張毒ぶどう酒事件といった死刑判決が確定した事件が、再審でのDNA鑑定により冤罪だったことなど、問題も複数起きており見過ごせません。日弁連は、人権擁護の観点から死刑制度廃止を訴え続けていて、再来年、国連犯罪防止刑事司法会議が日本で開催されるまでに、進展を見せたいと考えています。加害者とはいえ、人が人を殺してもよいのか。終身刑ではなく、死刑でなくてはならない理由は何か?みなさんはどう思いますか?堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年5月23日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年05月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「徴兵制度」です。戦争の形も変わり兵役制度も変化してきています。今年の1月よりスウェーデンは、8年前に廃止していた徴兵制度を復活させました。ロシアの脅威に備えるためです。続いてフランスでも今年、マクロン大統領が、18~21歳の男女を対象に兵役を課すことを発表しました。ロシアへの対抗、テロ対策の強化が主な理由です。また、アメリカのNATO軍への負担が大きいため、トランプ大統領がヨーロッパ各国にも公平に参加してほしいと依頼したことも起因していると思われます。ただ今回のフランスの兵役は1か月なので、軍事訓練というよりは国威発揚を促すことに重きがおかれているのではないでしょうか。日本人は、徴兵制度というと太平洋戦争のときのイメージを持つかもしれませんが、いまは無人攻撃機やサイバー攻撃などが増え、かつての大量の歩兵による肉弾戦とは戦争の形が変わっています。それにともない、兵役の内容も変化してきているんですね。たとえばIT先進国のイスラエルでは、18~19歳から男子が3年、女子は2年の兵役義務があります。軍隊で心身ともに鍛えながら、同時にさまざまな最新のIT技術を学んで身につけます。退役後はそのスキルをいかし、起業するケースが多いんですね。また、マレーシアでも男女が徴兵され、3か月間の共同生活を行います。ただし、軍事訓練というよりは社会奉仕活動がメインなのだそうです。現在、男女ともに兵役のある国はこの2国のほか、ノルウェー、スウェーデンのみ。男性のみ義務がある国は、韓国、北朝鮮、シンガポール、ベトナム、タイ、スイス、ロシアなど。アメリカやイギリス、ドイツ、イタリアなどには徴兵制度がありません。かつてはあったのですが、冷戦が終わったときにほとんどが廃止されたんです。日本に徴兵制度が復活する可能性は低いでしょう。ただ、現在自衛隊が定員割れしています。「予備自衛官補」という、18~34歳の学生や一般社会人が基本訓練を受け、災害時や有事に徴集されるという制度も設けています。現在の自衛隊の人手不足を考えると、災害救助や救急救命のノウハウを学ぶための短期間の徴兵制度なら、あってもよいのではという声もあります。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年4月11日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年04月06日2015年4月、「子ども・子育て支援新制度」がスタートしました。そのうちのひとつ「病児保育」は、子どもの急病で出社できないというワーママに役立つ制度として注目されていますが、2016年、少し遅れてスタートした「お迎え制度」をご存知でしょうか?今回は、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さんが解説してくれました。「お迎え制度」ってどんな制度?「子どもが急病でお迎えに行かなきゃ…」。子育てと仕事を両立するママなら、多くの人が経験したことがあると思います。しかし「お迎え制度」を活用すれば、その心配はなくなるそう。「これまでは、保育園や幼稚園、認定こども園などの施設に預けていた子どもが急に体調が悪くなったとき、お母さんに連絡して迎えに来てもらうのが一般的でした。しかしこの制度は、病児保育を行う施設のスタッフなどが代わりに迎えに行き、かかりつけ医で診察してもらってから預かるというもので、お母さんやお父さんが仕事中に早退しなくてもよくなったのです」(大川さん、以下同)子どもの急病による早退問題は、働くママにとって、重要なこと。この制度はそんな人たちにとって、大きなメリットとなるのです。デメリットも認識しよう!一方で、この制度にはまだ危ない面もあるのだとか。大川さんは、デメリットとして2つのことを挙げます。「まずひとつ目は、『子どもの精神的不安』です。知らない人に知らない場所へ連れていかれるというのは、子どもにとっては、大きな心理的負担。子どもにとってもなじみのある施設、せめて一度は使ったことがある施設にするなどの配慮が必要です」そしてもうひとつは、「重症化したときの対処」。「体調が悪くなるといっても、軽度のものから重症化の恐れがあるものまで様々あります。施設のスタッフが園にお迎えに行って、かかりつけ医に診察してもらったとき、もしも『すぐに入院する必要がある』と言われたらどうしますか?家族ではないスタッフに、勝手な判断はできませんよね。そのため、あらかじめ保護者と綿密な話し合いをして、緊急時にどうするかを決め、同意を取っておく必要があります」さらに、大川さんは、「『お迎え制度』を含む病児保育は、母親の就労支援の面ばかりがクローズアップされますが、本来は子どものための制度」とも。ママにとっては、子どもの急病が原因での急な早退や欠席を避けられるメリットはありますが、「早退しなくてよくなった」だけではなく、子どものことを考え、もっと慎重に利用すべき制度なのかもしれません。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月26日2015年4月、子育て世帯やママを取り巻く環境は、大きく変わりました。それは、「子ども・子育て支援新制度」が始まったから。この「子ども・子育て支援新制度」には、保育園や幼稚園を利用するための認定について、子どもにかかるお金のことなど、様々なことが定められていますが、「病児保育」も注目したい項目のひとつ。そんな「病児保育」について、「病児保育の施設には3つある」、そう話すのは、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さん。「病児保育」を行う3つの施設って?先ほど、大川さんが言っていた「3つの施設」。これらについて、解説してくれました。「ひとつ目は、病院やクリニックに併設されている『医療機関併設型』。2つ目は、幼稚園や保育園などに併設された『保育園併設型』。そして3つ目は、『単独型』というものです」(大川さん、以下同)では、それぞれの施設はどのような特徴があるのでしょうか?「『医療機関併設型』は、おもに病気は治っていないけど、悪化する可能性の低い子どもを預かる『病児保育』を担当していて、『保育園併設型』は、病気は治っているけど、円や学校には行けない子どもを預かる『病児後保育』を担当しています。というのも、いずれの場合も子どもの容体は安定しているとはいえ、悪化する可能性はゼロではありません。そのため、『病児保育』は医師が常駐している『医療機関併設型』で担当することが多いのです」「医療機関併設型」、「保育園併設型」の違いはわかりましたが、もうひとつの「単独型」は?「『単独型』はNPO法人などが運営している施設です。地域のドクターがチームを組んで、今日は○○病院、明日は××病院といったように、当番制で担当しています」これらの施設には課題もこのように、病児を受け入れてくれる施設はありますが、「まだ課題もある」と大川さんは続けます。「『子ども・子育て支援新制度』が施行された2015年以前から『病児保育』の取り組みはありました。当時は、病児2人に対し、保育士・看護師がひとり付くことになっていましたが、現在は、人員不足の観点から、保育士・看護師ひとり当たり3人になったのです。しかし、これでは病児へのケアが不十分になるとの懸念もあります」また、定員が少なく、現状は預けたくても預けられない状況もあるそうで、その点も解決すべき課題だと大川さん。共働き世帯や働くママが増え、病児保育の需要が高まっている昨今。子ども・子育て支援新制度が充実するには、まだ時間がかかりそうです。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月23日年末調整・確定申告の時期になると気になるのが、控除による節税方法や関連するお得な制度です。住宅関連の中では「住宅ローン控除」がよく知られた制度ですが、ほかにも意外と知られていないお得な制度や控除があるようです。住宅購入やリフォームを検討している人は、対象となる制度や条件などをチェックしてみましょう。(1)中古住宅の購入でも利用できる「住宅ローン控除」住宅関連の制度でも多くの人が利用している「住宅ローン控除」は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。一定の要件を満たした場合、年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除され、10年間で最大400万円(長期優良住宅の場合は最大500万円)が控除されます。所得税から控除しきれない場合は住民税から一部控除されます。また、中古住宅の場合でも新築の場合の要件に加え、耐久年数もしくは耐震基準といった中古特有の条件をクリアすれば、10年間で最大200万円(長期優良住宅などの場合は最大300万円)の控除を受けることができます。(2)夫婦共働きなら住宅ローン控除が夫婦で受けられる「ペアローン」「ペアローン」は共働き夫婦がそれぞれの名義で住宅ローンを組む場合に、二人とも住宅ローン控除を受けることのできるローン制度で、互いに相手の連帯保証人となります。住宅ローン控除が一人ずつ受けられることは大きなメリットですが、それぞれローンを組むため、契約時などの事務手数料は2倍かかってしまいます。また、夫婦の一方が仕事を辞めるなどした場合には、返済自体が厳しくなる可能性もあるため計画的に組みたいところです。(3)目安年収510万円以下の人が対象の「すまい給付金」「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設した制度です。取得する住宅の床面積が50平米以上などの条件をクリアした場合、消費税率8%の2017年12月現在だと、収入額510万円以下の人を対象に最大30万円(消費税率が10%になった場合は収入額が775万円以下の人を対象に最大30万円)が給付されます。収入額によって給付される額は異なり、例えば、消費税率8%の場合、収入額425万円以下だと最大の30万円、425万円超え475万円以下だと20万円、475万円超え510万円以下だと10万円が給付されます。※収入額はあくまで目安のため、給与所得者のいわゆる「額面収入」ではなく、市区町村が発行する課税証明書に記載される都道府県民税の所得割額に基づき決定されます。(4)工事費用の10%の控除を受けられる「住宅特定改修特別税額控除」「住宅特定改修特別税額控除」は、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事または三世代同居対応改修工事を行った場合に、標準的な工事費用の額の10%相当額が、その年分の所得税額から控除されるというものです。それぞれ工事限度額(それに応じた控除限度額)が設定されており、対象となる工事も指定されています。また、バリアフリー改修工事では申請できる特定の個人の条件も設定されています。(5)断熱改修やエコキュートの導入には「住宅省エネリノベーション促進事業費補助金」「住宅省エネリノベーション促進事業費補助金」とは、住宅の省エネ化を図るリノベーションを促進するために、省エネ性能が高い高性能建材(ガラス、窓、断熱材)を用いた断熱改修などを支援する国の制度によって交付される補助金です。省エネ性能が高い高性能建材では、一戸あたり補助対象費用の1/3以内もしくは150万円のいずれが低い金額、戸建て住宅での家庭用蓄電などの蓄電システムでは、定額5万円/kWhもしくは補助対象費用の1/3または50万円のいずれか低い金額、エコキュートなどの高効率給湯機の導入では、補助対象費用の1/3以内もしくは15万円のいずれが低い金額が補助金額の上限となります。ここまで、住宅関連のお得な制度と控除を紹介してきましたが、知っていると知らないとでは、支払わなければならない金額がだいぶ変わってくるようです。事前に情報を確認し、賢い住宅購入・リフォームを実現しましょう。
2017年12月27日こんにちは、ファイナンシャル・プランナーでライターのyossyです。2016年、”みまもり家族制度”事業を行う大手だった公益財団法人日本ライフ協会が公益認定取り消し・破綻という事態に陥り、利用者や利用検討者に衝撃が走りました。しかし、なぜみまもり家族制度のような事業が必要とされるのでしょうか。また、今後どのように活用していけばいいのでしょうか?●独り身高齢者の身元保証サービスいわゆる”みまもり家族”制度などの身元保証サービスというのは、主に下記のようなことを請け負ってくれる事業のことを指すことが多いです。日本ライフ協会以外にも、近しい事業を実施している企業・団体がたくさんあります。・賃貸住宅の更新や転居、入院、福祉施設への入所等に際して必要な身元保証の代行・困ったときに頼れる窓口・万が一の場合の対応や葬儀に関する手続きの代行高齢者向けの見守りサービスは、さまざまな企業・団体が実施していますが、身元引受人や葬儀・死後の手続きの代行までやっている部分に特徴があるといえるでしょう。はじめに100万円前後の費用が発生するケースも 少なくありません。親族・配偶者に先立たれてしまい、身元保証人がいない高齢者は多くいます。総務省によれば、平成28年時点で総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は27.3%。今後ますます高齢化が進み、「何かあったらどうしよう」と不安を抱える人が増えてくるでしょう。そういった不安を解消してくれるうれしいサービスなんですね。●成年後見制度とは成年後見制度というのは、自分自身が判断力を失ってしまったときのために後見人を立てられる制度 です。判断力がある人向けの”任意後見制度”と、すでに判断力が失われてきている人向けの”法定後見制度”があります。勘違いしやすいですが、後見人は、正常な判断ができなくなった本人に代わって契約行為などを行う人なので、身元引受人とは異なります。しかし、やむを得ない事情があれば、後見人がいることで入院等が認められるケースもあるようです。正常な判断ができなくなる前に、まずこちらの検討をしておきたいところですね。●信頼できる団体・企業、必要なサービスを「不安だから」という理由で急いで契約をしてしまうケースも多いようですが、初期投資額が高額なことも多いため、落ち着いて冷静に選びましょう。・賃貸住宅の保証のみ行うサービスを利用する・緊急時の駆け付けのみ行うサービスを利用する・万が一のときのために死後事務委任契約をしておくといった方法もあります。検討の結果、総合的にサービスを受けた方がいいと判断すれば、身元保証サービスを利用するといいでしょう。高齢者に必要とされる身元保証サービス。非常にうれしいサービスですが、慎重に比較検討したいですね。【参考リンク】・総務省|統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)(PDF)●ライター/yossy●モデル/貴子
2017年11月16日太陽光発電の売電に関する制度は、現在では2012年から施行されている「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に一本化されています。しかし、2009~2012年には「全量買取制度」と「余剰電力買取制度」の2つの制度が存在していました。この記事では、そのうち「全量買取制度(全量売電制度)」について詳しくご紹介します。現行の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」と照らし合わせながら、ぜひご参考になさってください。全量売電制度とはどんな制度?全量売電制度とは、太陽光発電設備で発電した電力の全量を電力会社に売電できる制度を指します。現在は再生可能エネルギーの固定価格買取制度へ移行していますが、移行以前からこの制度のもとで売電を行っていた方は、新制度移行後も従来と変わらない条件下で売電を行うことができます。全量買取制度と並んで、もっと規模の小さな発電設備を対象とした「余剰電力買取制度」があります。こちらは総出力10kW未満の設備を対象としており、主に一般家庭で自家用として使われる太陽光発電設備に適用されます。基本的には発電すればそのまま家庭用の電力として消費できますが、発電した全量を使うことなく余った電力(余剰電力)については、電力会社が決まった価格で買い取ることを国が約束する制度です。全量買取制度は主に事業者向け、余剰電力買取制度は主に一般家庭向けに設けられている制度と考えると分かりやすいでしょう。なお、これら2つの制度は2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に改められていますが、その内容は「余剰買取制度」と「全量買取制度」に二分されており、発電システムの最大出力10kWを境界に、それを満たさなければ余剰買取の対象となります。それ以上の出力なら全量買取と余剰買取のいずれかを選択可能としているため、2012年の制度変更以前と大きな差異はないと考えてよいでしょう。全量売電制度の対象は?全量買取制度は、比較的規模の大きな発電設備(具体的には総出力10kW以上)を対象とし、発電事業などを目的として設備を運用する場合が対象です。ちなみに、全量買取の対象となる発電設備を「産業用」、余剰買取の対象となる設備を「家庭用」と呼び分けることが多くなっています。なお、広い敷地に多くのソーラーパネルを設置できる一般住宅などでは、総出力がわずかに10kWを超えるようなケースもあり得ます。そのため、総出力10kW以上の発電設備に関しては全量買取とするか、余剰買取とするかを利用者が選択できる仕組みになっています。ただし、多くの一般住宅においては屋根上などにソーラーパネルを設置するケースが用いられるため、その総出力は概ね3~4kWが標準値といわれます。ゆえに、一般のご家庭で太陽光発電設備による売電をする場合は、余剰買取の対象になる場合がほとんどといってよいでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較固定買取期間とは?再生可能エネルギーの固定価格買取制度においては、規定の価格で電力買取を行う期限にあたる「固定買取期間」が規定されています。電力の買い取りを固定価格によって制度化した背景には「発電設備のさらなる普及」という目的がありますから、一定期間に得られる売電収入の固定化によって発電設備の導入コストを実質的に低減できる仕組みになっているのです。固定買取期間の長さには全量買取と余剰買取で差があり、全量買取の場合は20年間、余剰買取の場合は10年間と定められています。「20年固定価格で売電できるのなら、少し設備に費用をかけても全量買取にした方が得なのでは?」と考えてしまいますが、そもそも売電価格が異なります。2017年度の場合、余剰買取の売電価格は1kwhあたり28円~30円、全量買取の場合は1kwhあたり21円です。また、余剰買取の場合は発電設備の導入時に自治体などから補助金を受けられる場合がありますが、全量買取とした場合には補助金制度そのものがありません。それに、そもそも総出力が大きくなる発電設備を設置するには多くのコストがかかってしまいます。それらの兼ね合いを考慮し、現在の制度下で一般家庭においては余剰買取とするケースが大半となっています。また家庭用の太陽光発電設備の設置コストを考えても、10年の期間があれば売電である程度回収することができると考えられています。固定買取期間の経過後は電力会社と任意で売電契約をするか、あるいは売電を一切取りやめて自家消費用の発電のみに切り替えるかということになるでしょう。現状の予測としては、電力会社が自前で発電するコストよりは各家庭から電力を買い取る方が省コストになると考えられているため、当分は売電を継続できる可能性が高いといわれています。これらを踏まえ、今のところは「一般家庭では余剰買取」「発電事業をする業者などでは全量買取」とするケースが主体であると考えてよいでしょう。まとめこちらの記事では、太陽光発電の全量売電制度(全量買取制度)の詳細や、余剰買取制度との違いなどについてご紹介しました。設置する発電設備の総出力が10kwを超えると、全量買取か余剰買取のいずれかを選択することになります。一般家庭の場合は10kW以上の発電設備を設けるケースは稀ですが、もし大規模な太陽光発電設備を導入したいとお考えであれば、全量買取とするか余剰買取とするかは計画段階で決めておいた方がよいでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較
2017年10月31日ご自宅に太陽光発電設備の設置を考えている方なら「余剰電力買取制度」について聞いたことがあるかもしれません。実際に設備業者へ相談したご家庭などの場合、1度は説明を受けた経験があるのではないでしょうか。そこでこの記事では、一般家庭用の太陽光発電設備における「余剰電力買取制度」に関して、詳しくご紹介します。余剰電力買取制度ってどんな制度?一般家庭などで総出力が10kWに満たない太陽光発電設備を設置した場合に、ご家庭で消費する分の電力を発電した電力が上回った際には、その余剰分の電力を電力会社によって買い取ってもらえることが2009年から制度化されています。これを「余剰電力買取制度」と呼びます。家で使った電力の余り分を売ることができるという制度の仕組み上、ご自宅で消費する電力量が少なくなればなるほど売電できる電力量が増え、収入につなげられます。このため、太陽光発電による再生可能エネルギーを利用していてもご家庭での電力消費量を抑えたり、できるだけ節約したりしようというモチベーションの向上を図ることができるともいえます。この「余剰電力買取制度」そのものは2012年に終了し、それに代わり「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が新たに設けられ、今に至っています。ただし、一般家庭で太陽光発電を行う場合においては、特に各制度における差異を意識する機会はあまりないといってよいでしょう。【全量買取とは?】ちなみに、余剰電力買取制度が施行されていた時期、同時に「全量買取」という電力買取の方式が存在していました。こちらは、太陽光発電によって発電される電力を自分達で消費せず、すべて電力会社に売却する方式です。しかし、この方式を適用できるのは総出力が10kW以上となる太陽光発電設備を設置した場合に限られます。したがって、主に事業者や団体などが設置する大規模な発電設備にしか事実上は適用されないと考えられます。この全量買取と余剰電力買取制度を一本化し、現在施行されている「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」となったことが分かります。再生可能エネルギーの固定価格買取制度においても、総出力10kWを境にそれ以上の場合は発電電力の全量を買い取り、それ未満の場合は余剰電力を買い取る仕組みになっています。余剰電力買取制度の対象は?旧制度である「余剰電力買取制度」の対象に該当する太陽光発電システムは、総出力10kW未満のものと定められていました。現行の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」においても、総出力10kWに満たない小型の太陽光発電システムについては自家消費したうえで余った分の電力を買い取る方式によって売電を行っています。国内の一般的な一戸建て住宅で設置可能なソーラーパネルの総出力は、かなり広い面積の住宅であると考え多く見積もったとしても、概ね5kW程度までであるといわれています。また、余った電力を売電するために一般家庭向けの小規模な太陽光発電設備を設ける場合は、自治体によっては補助金を受けることができるケースがあります。しかし事業目的で発電を行うなど、発電した電力の全量を売電する目的で太陽光発電設備を設ける場合は、補助金を受けることができません。一般家庭で太陽光発電設備を設置するにはかなり高額な費用がかかるものです。補助金一切なしで、10kW以上の総出力をもつ大規模な発電システムを作ることは現実的ではないでしょう。したがって、ご家庭で太陽光発電を始めるならやはり、総出力10kW未満のソーラーパネルで余剰電力を買い取ってもらう方式をとることが一般的といえるでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較固定買取期間はいつまで?経過した後はどうなる?2009年から施行された「余剰電力買取制度」は、2012年からは「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に移行し、現在に至っています。なお、再生可能エネルギーの固定価格買取制度には、一般家庭や事業者などが民間の太陽光発電システムで発電した電力について、電力会社が決まった価格で買い取ることを国が約束してくれる「固定買取期間」が存在します。一般家庭で設置されることの多い、総出力10kW未満の太陽光発電設備の場合の固定買取期間は「10年間」とされています。2017年度(2018年3月末まで)に新たに太陽光発電設備を設置したケースを例にとると、総出力10kW未満の太陽光発電設備で余剰電力を売電する場合、1kwhあたり28円(出力規制ありの場合は30円)の売電価格となっています。この価格のまま、固定買取期間中である10年後までは余剰電力を買い取ってもらえるというわけです。なお、2018年4月以降は売電価格も1kwhあたり26円(出力規制ありの場合は28円)に下がることがほぼ決まっています。これから太陽光発電設備を設置して1kwhあたり28円(30円)で向こう10年間は売電を行いたいなら、早めに計画を進めて2018年3月末までに電力会社と売電契約を済ませるようにしましょう。まとめこちらの記事では、「太陽光発電における余剰電力買取制度」についてご紹介しました。余剰電力買取制度は、現在は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」となっていますが、旧制度の施行期間中に売電契約をしたご家庭や事業者は旧制度に基づく条件で引き続き売電を行うことができます。しかし、これから新規で設置した場合には現行の制度に基づいて売電を行うことになります。電力買取の価格は年度ごとに変動し、近年は家庭用太陽光発電設備の普及に伴い毎年2円ずつほど下がる傾向にあります。これから新規で太陽光発電設備を設置してより高い価格で売電するには、何より早めの準備が肝心といえるでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較
2017年10月30日「市役所の人たちがしきりに成年後見制度の利用を勧めるので、利用してみたらとんでもないことになりました。わが家のお金なのに、人さまに頭を下げないとビタ一文、使えなくなってしまったのです。制度を利用したメリットは何もない。悪いことばかり。こんな制度と知っていれば絶対に利用しませんでした」 東京都の三多摩地区に住む山村洋子さん(70代・仮名)は怒りに声を震わせた――。 いま成年後見制度を巡るトラブルが全国で多発していることは、あまり知られていない。成年後見制度は、介護保険と同じく’00年から始まった。認知症の高齢者や知的障がい者など、判断能力が十分でない人の財産を守るために設けられた制度である。本人や家族からの申し立てを受けて、家庭裁判所が選任した後見人が、認知症の人などを保護・支援するものだ。発足した当初、後見人の約9割は、子どもなどの親族がなっていた。 ところが制度発足から17年を経た現在、弁護士や司法書士など、親族以外が後見人になるケースが全体の7割以上に上っている。じつはこうした親族以外が後見人に選任されることで、逆に多くの認知症の高齢者と、その家族が苦しんでいる現実が生じているのだ。トラブルが表面化しないのは、家裁(国家)と法律家(弁護士、司法書士ら)が相手なので、ほとんどの市民が“泣き寝入り”しているからにすぎない。 冒頭に紹介した山村洋子さんも、夫の後見人弁護士が実質的に何もせずに報酬だけ持っていくことに強い理不尽さを感じている。洋子さんにとって、成年後見制度は「夫婦の財産に家裁が穴をあけて、弁護士や司法書士にお金を流し込む制度」にしか見えないという。 洋子さんは昨年暮れ、自治体側の熱心な勧めで後見制度の利用を決めた。洋子さんと夫(80代)は夫婦共有名義の一戸建てで長年暮らしたが、昨年7月、夫は認知症が原因で特別養護老人ホーム入所。夫と一緒に暮らすことを望む洋子さんは「自宅を売却して、その資金で夫と一緒に入れる老人ホームを探そう」と思い、市役所主催の無料法律相談会に2度出席したところ、行政書士と弁護士から「認知症があるなら後見人をつけるしかない」と言われた。 「後見制度を利用しないですむ方法や、制度のデメリットについての説明は一切ありませんでした。弁護士が“自分で後見申立ての書類が書けないなら、手数料30万円で弁護士が代行する”と言ったので、金額の高さにビックリして相談室を出ました」 そこに、待ち構えていたかのように社会福祉協議会(社協)の女性職員が「お手伝いしましょうか」と近づいてきたという。職員は「弁護士に頼まなくても申立て書類は自分で書けます。ご主人の後見人にはあなたがなれますよ」とキッパリ言った。その言葉を信じた洋子さんは、職員に言われるままに書類に自分の氏名と住所を書き、そのほかの項目はすべて職員が記入。 後日、申立書は家裁に提出され、洋子さんは「これで私が後見人になって夫の世話をできる」と安心して家裁の審判を待った。ところが今年3月、家裁から洋子さんに届いた通知書には、洋子さんが名前も知らない弁護士を後見人に選任したと書かれていたというのだ。 それ以来、洋子さんの生活は一変した。まず、夫名義の通帳や銀行カードなどは、すべて弁護士に提出して、弁護士が管理。夫の預金からお金を引き出したいときは、いちいち弁護士に相談して許可を得なければならなくなった。 「それまでは、私のわずかな年金と夫の年金を合算して家計を切り盛りしていたので、夫の年金を取り上げられて生活は一気に苦しくなりました。弁護士は“今後、私の許可なしにご主人の財産は1円たりとも使えない”という態度。夫の財産を減らさないことしか、弁護士の頭にはなく、毎月10万円しか渡してくれない。赤の他人に土足で家を踏み荒らされたようで、怒りのあまり、頭がおかしくなりそうです」 洋子さんは「家の売却はやめるので後見人を辞めてほしい」と頼んだが、弁護士は聞く耳を持たないという。後見制度では、後見人は自分が辞めるか、家裁から解任されない限り、続けられるのだ。とくに弁護士が後見人の場合は、被後見人(認知症などで後見人がみつけられた人)の財産を横領しない限り、事実上、解任されることはない。要は、いったん弁護士が後見人につくと。被後見人が亡くなるまで自分の財産から毎月報酬を支払う仕組みなのだ。 こうした後見人への報酬は被後見人の資産の額に応じて決められる。東京家裁立川支部が’13年1月にホームページ上に公表した、弁護士など第三者への“報酬の目安”によると、資産が1,000万円を超えれば、年間で40~50万円、5,000万円以上だと70万円程度で、これが毎年の基本報酬。これ以外に、弁護士らが被後見人の家を売却したら約100万円の報酬を払うなど、各種ボーナスも発生する。 東京大学医学系研究科元特任助教で、成年後見制度に詳しい宮内康二・一般社団法人「後見の杜」代表はこう語る。 「全国的に、おひとりさま高齢者や高齢者夫婦の2人暮らし世帯に、行政や司法が後見を勧める傾向が見られます。行政は孤独死や空き家問題への対策が面倒なので、高齢者を後見人に任せたいのかもしれません。しかし、後見人への報酬などの不都合を事前に説明しないのでは、トラブルが起きるのは当然です」
2017年08月11日「ふるさと納税」と呼ばれる制度をご存じでしょうか?この制度は税制を通じてふるさとに貢献するための制度であり、この制度をより利用しやすくするために平成27年には「ワンストップ特例制度」が新設されました。今回は、ふるさと納税に関する概要とワンストップ特例制度について解説していきます。■ふるさと納税の仕組みは?ワンストップ特例制度って何だろう?ふるさと納税は自治体への寄付に関する制度です。自治体に寄付をした場合に、この制度が適用されると税金の一部(所得税と住民税)が控除されます。対象となる金額は、自己負担額である2,000円を除いた寄付金額の全額です。例えば、あなたが自治体に対して50,000円の寄付をしたとしましょう。自己負担額は一律2,000円なので、ふるさと納税の対象は「50,000円-2,000円=48,000円」となります。この48,000円分の税金が、所得税と住民税から控除される仕組みです。では、ふるさと納税はどのような目的で整えられた制度なのでしょうか?ふるさと納税ができた背景には、日本の現代社会が大きく関係しています。現代の日本では、若年層が地方から都会へと移り住むケースが少なくありません。そうなると、地方出身の方は育った自治体に対して恩返しをすることが難しいため、その問題を解決するためにふるさと納税は制度として整えられました。ふるさと納税では、自分が生まれた街以外への寄付も対象とされています。そのため、学生時代に数年暮らした自治体や配偶者の故郷など、様々な自治体を積極的に応援しやすくなりました。ふるさと納税を通して寄付をした資金は、自治体ごとに少し異なります。各自治体が寄付金の使い道や考え方などをホームページで公表しているので、興味を持った方は一度確認してみてはいかがでしょうか?そのような情報を調べることで、応援したくなる自治体が見つかるかもしれません。【税制改革でふるさと納税はどう変わった?】平成27年の税制改革によって、ふるさと納税は以下の2点が変更されました。・ふるさと納税枠が拡大された・ワンストップ特例制度が新設されたふるさと納税枠は従来の2倍ほどに拡大され、控除対象となる金額が拡大されました。これにより、以前に比べて選んだ自治体をさらに応援しやすくなったと言えます。ワンストップ特例制度についても、ふるさと納税を利用しやすくなるために新設された制度と言えます。控除を受けるためには確定申告が必要になるケースが多いですが、この制度の新設により一定の条件を満たすことで確定申告は不要となりました。つまり、控除を受けるために余計な手間を発生させないための制度です。では、具体的にどのような条件を満たせば、確定申告が不要になるのでしょうか?主な条件としては以下の3つが挙げられます。・寄付をする自治体が5つ以下・サラリーマンなど、確定申告をする必要がない方・申告特例申請書を寄付をした自治体に提出した方上記の中で間違えやすいポイントとしては、寄付をする自治体の数です。ワンストップ特例制度は1年間の寄付が対象となりますが、同じ自治体に何回か寄付をした場合でも、寄付をした自治体は1つとして数えられます。■従来は確定申告が必要だった?ワンストップ特例制度が導入される前は、ふるさと納税には確定申告が必要でした。サラリーマンのように確定申告が必要ない方であっても、ふるさと納税で控除を受けるには確定申告で所定の手続きをする必要がありました具体的には、以下のような手順で控除申請が行われていました。【STEP1】証明書類を用意するふるさと納税を行うと、寄付したことを証明する書類が発行されます。自治体ごとに具体的な必要書類は異なりますが、多くの自治体では確定申告時にこの証明書類が必要です。【STEP2】確定申告書を作成する確定申告については、寄付をした翌年の3月15日までに行う必要がありました。それまでに確定申告書を作成し、税務署や役所などに提出をすることで控除の申請となります。本来確定申告をする必要がない方にとって、上記の手続きは面倒なものです。中には、この手続きによって「ふるさと納税を諦めた…」という方もいることでしょう。元々確定申告の必要がある方にとっては大きな手間ではありませんが、必要がないサラリーマンなどにとっては大きな手間と負担です。そこで導入されたのが、前述でもご紹介したワンストップ特例制度です。この制度の導入により手続きが簡略化され、上記の手続きをしなくても控除を受けられるようになりました。「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する必要はありますが、控除に必要なほかの書類や情報に関しては、この制度を利用することで自治体側がそろえてくれます。確定申告書を作成する場合と比べると、手間や負担を大きく抑えられる方法と言えるでしょう。では、このワンストップ特例制度が導入されたことで、ふるさと納税の実績はどのように変化したのでしょうか?平成27年度の実績を見ると、この制度が導入されたことで状況が変わったことが確認できます。・受入額は約1,653億円であり、前年の約4.3倍・受入件数は約726万件であり、前年の約3.8倍(総務省:ふるさと納税に関する現況調査結果)上記の結果を見ると、ふるさと納税の利用は今後ますます増加する可能性があると言えるでしょう。ワンストップ特例制度を活用することで、余計な手間を減らしつつ好きな自治体に貢献することができ、控除というメリットも得られます。興味を持った方は、一度好きな自治体への寄付を検討してみてはいかがでしょうか?■こんな場合には要注意!ワンストップ特例制度が適用されないケースがある?ワンストップ特例制度には条件が備わっているので、ふるさと納税をしたからと言って必ずしも利用できるわけではありません。では、実際にどのようなケースに該当すると、ワンストップ特例制度が適用されないのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。【その1】確定申告が元々必要な方ふるさと納税をしなかったとしても、元々確定申告が必要な方は多く見られます。そのような方については、基本的にワンストップ特例制度が適用されることはありません。確定申告が元々必要な方としては、以下のケースなどが挙げられます。・年収が2,000万円を超えているサラリーマン・給与所得が一ヶ所ではなく、複数の企業などから給与が支払われている方・事業所得がある方・不動産所得がある方・副業や投資をしている方確定申告が必要な方は確定申告時に寄付の証明書類を用意しておき、ふるさと納税の控除申請をきちんと行うようにしましょう。【その2】寄付をした自治体の数が多い場合前述でご紹介しましたが、ワンストップ特例制度を利用するには寄付をする自治体を5つまでに抑えなくてはなりません。寄付をした自治体が6つを超えると、確定申告をしなければ寄付した金額は控除がされないので注意が必要です。【その3】その他の還付申告を伴う方ふるさと納税以外にも、還付申告が必要になる制度はいくつか見受けられます。そのような制度を利用する方は、確定申告をしなければふるさと納税の控除を受けることができません。還付申告が必要なほかの制度としては、医療費控除や住宅ローン控除などが挙げられるでしょう。なお、住宅ローン控除については2年目から確定申告が必要ないケースもあります。住宅ローン控除は複数年に及ぶケースが一般的ですが、2年目以降は年末調整で処理がされるので、サラリーマンの方などは確定申告をする必要がありません。ただし、1年目については確定申告が必ず必要になるので、ワンストップ特例制度は適用されないことを覚えておきましょう。■「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」提出後の注意点申告特例申請書を提出した場合であっても、以下のケースに該当する場合は確定申告が必要になる可能性があります。以下でご紹介するケースを確認し、自分が該当していないかをきちんと確かめた上で行動をするようにしましょう。【ケースその1】その年の年収が2,000万円を超えた場合ひとつの勤務先に勤めているサラリーマンであっても、年収が2,000万円を超えると年末調整の対象ではなくなります。つまり、翌年の3月に確定申告をする必要性が生じてくるので、ワンストップ特例制度が利用できません。昇給などにより年収が変化しそうな方は、2,000万円を超えないかどうか事前に確認しておくことが望ましいでしょう。【ケースその2】その年の途中から収入源が増えた場合その年の途中から収入源が増えた場合も、確定申告が必要になるので注意が必要です。雇用形態が変更になった方や、不労収入がある方などは特に意識しておきましょう。【ケースその3】急な病気やけがで多くの医療費がかかった場合急な病気やけがで医療費がかかると、医療費控除の対象に含まれることがあります。ふるさと納税の控除に加えてこの医療費控除も受けたい場合には、確定申告できちんと控除申請をしなければなりません。このようなケースで確定申告を怠ると、「ワンストップ特例制度は利用できるものの医療費控除は適用されなかった」といった状況に陥る可能性があるので注意してください。■ワンストップ特例制度の申し込みは?提出期限はある?ここまでワンストップ特例制度の概要についてご紹介してきましたが、そもそもこの制度を利用するためにはどのような手順で申し込むのでしょうか?以下では、ワンストップ特例制度の申し込み方をステップに分けて解説していきます。【STEP1】申告特例申請書を郵送してもらう前述でもご紹介しましたが、ワンストップ特例制度の申し込みには申告特例申請書が必要になります。しかし、この申告特例申請書は必ずしも郵送されるものではありません。ふるさと納税を希望する場合は、各自治体の払込取扱票に記載をした上で寄付を行います。この払込取扱票に申告特例申請書の欄があるので、必ず「申請書送付を希望する」の欄にチェックを入れるようにしましょう。この欄にチェックを入れることで、自治体から申告特例申請書が郵送されてきます。もしチェックを入れ忘れた場合、待っていても自宅に申請書が届かなかった場合などは、各自治体のホームページから申請書をダウンロードすることが可能です。【STEP2】申告特例申請書を提出する申告特例申請書を手に入れたら、案内などに従いながら必要事項を記入していきます。必要事項をすべて記入し終わったら、ふるさと納税で寄付をした自治体に返送をしましょう。【STEP3】受領されれば完了返送した申告特例申請書が自治体に受領されれば、申し込みは完了となります。申請にはある程度の時間がかかり、記入漏れがあるとさらに手間が発生してしまうので、ワンストップ特例制度の申し込みは早めに行うことが大切です。【2016年以降はマイナンバーも必要!】2016年以降からは申請時にマイナンバーの記載が必要になりました。申請書にマイナンバーの記入欄があるので、自分のマイナンバーを確認した上できちんと記入するようにしましょう。また、マイナンバーに加えて本人確認書類が必要になる点も忘れてはいけません。本人確認書類については、以下のものを用意しておきましょう。・個人番号カードを持っている場合個人番号カードの表面と裏面をそれぞれコピーしたものが必要です。・通知カードしか持っていない場合通知カードのコピーに加えて、顔写真が貼られている本人確認書類のコピーが必要です。具体的なものとしては、運転免許証やパスポートなどが挙げられます。・通知カードを無くしてしまった場合マイナンバーが記載されている住民票の写しに加えて、運転免許証やパスポートなどのコピーが必要です。ワンストップ特例制度の申請は1年中受け付けていますが、提出の期限があります。税金の計算は毎年1月~12月までの期間に基づき行われるので、申請書類の提出はふるさと納税をした翌年の1月10日までであり、この期日までに自治体に到着することが必要となります。この期限を過ぎてしまうと、ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用を受けることができなくなるため注意してください。■まとめ今回は、ふるさと納税とワンストップ特例制度についてご紹介してきました。ワンストップ特例制度の開始により、サラリーマンでも利用しやすくなったふるさと納税。この機会に地方創生への想いも込めて、ふるさとへの恩返しやお世話になった地域への貢献の方法として、ふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか?
2017年04月18日保育所不足、待機児童問題、少子化問題の解決をめざすために2015年4月からスタートしている『子ども・子育て支援新制度』ですが、この制度によって具体的には何がどう変わったのでしょうか? 保育料や認定区分、認定こども園などの施設、制度の問題点などについて、改めて詳しく解説します。そもそも『子ども・子育て支援新制度』って何? 『子ども・子育て支援新制度』とは、「『量』と『質』の両面から子育てを社会全体で支え」るためにつくられた制度です(内閣府『子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK』より引用)。2012年に成立した「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部改正」「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という子ども・子育て関連3法をベースとして、2015年4月から施行されました。基本的に、実施する主体は市町村です。国は財政面でそれをサポートしています。そのため、自治体によって支援や事業の内容はことなります。また、2016年度からは子育て支援をする企業へのサポート(企業内保育施設への補助金など)もプラスされました。2014年度から8%に引き上げられた消費税の増収分が、この制度の財源にあてられています。「社会全体で支える」というのはそういうわけです。新制度のポイント1:1号~3号認定とは? ここからは、より身近な視点から新制度のポイントを解説します。ママたちにとってどんな影響があり、何がどう変わったのでしょうか? まずは新制度でスタートした「認定区分」について。お子さんが通える施設や保育料・保育時間にも関わるので、しっかり理解しておきましょう。新制度では、幼稚園や保育所などを利用したい場合、お住まいの市町村から「利用認定」を受ける必要があります。認定は、お子さんの年齢と保護者の状況によって以下のように「1号・2号・3号」に分けられています。・1号(教育標準時間認定):保育を必要とする事由のない、3~5歳の子ども・2号(保育認定):保育を必要とする事由のある、3~5歳の子ども・3号(保育認定):保育を必要とする事由のある、0~2歳の子どもこのうち、「保育を必要とする事由」とは、保護者自身の就労・求職活動・就学・疾病、妊娠・出産(産前産後2ヶ月)、同居親族の介護などのことです。新制度のポイント2:保育時間について「保育認定」である2号と3号は、保護者の状況によって保育時間が2つに区分されます。基本的には、両親ともにフルタイム勤務の場合「保育標準時間」認定となり、1日最長11時間まで追加料金なしで利用できます。両親もしくはどちらかがパートタイム勤務の場合は「保育短時間」認定となり、1日最長8時間までの利用となります。ただし、たとえば11時間の範囲内であっても、利用する保育所が設定している「通常保育時間」(施設によりますが、7時30分~18時くらいが一般的)の範囲を超える場合は、別途「延長保育料」を支払う必要があるので注意してください。詳しくはそれぞれの施設や市町村に確認しましょう。新制度のポイント3:認定こども園と地域型保育お子さんを預ける施設については、新制度の目玉として「認定こども園制度の改善」と「地域型保育の新設」の2つが挙げられます。■認定こども園とは? 認定こども園とは、保育所と幼稚園を一体化した施設です。2006年からスタートしていましたが、幼稚園と保育所で管轄省庁や財源がバラバラであるなど制度面で問題が多く、当初期待されたほど普及しませんでした。そこで今回の新制度では、認可・指導を一本化するなど制度面を改善しました。保護者にとっても、たとえば「保育認定」を受けたお子さんについては園ごとの個別申し込みではなく、認可保育所と同じように市町村を通じ一括で申し込めるなど、仕組みがわかりやすくなっています。■地域型保育とは? 「地域型保育」とは、0~2歳のお子さんを対象とした、保育所よりも小規模(20人未満)の施設のことです。こうした施設はこれまで認可外扱いでしたが、新制度では認可施設となりました。具体的には、「保育ママ(家庭的保育)」「小規模保育」「事業所内保育」「居宅訪問型保育」の4タイプがあります。新制度のポイント4:認定区分と利用できる施設の関係は? 新制度では、ポイント1の認定区分によって、利用できる施設が決まっています。・1号認定:幼稚園または認定こども園(1日4時間程度)・2号認定:保育所または認定こども園(夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も)・3号認定:保育所または認定こども園または地域型保育(夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も)ただし、共働き世帯でも幼稚園に通わせたい場合は1号認定を受けることができます。また、新制度に移行しない私立幼稚園やプレスクールなどは認定を受ける必要がありません。新制度のポイント5:保育料はどう変わった? 新制度導入後耳にしたのが「保育料が上がった」という不満の声です。実際のところ、保育料は上がったのでしょうか?結論からいうと、ほとんどの場合、大きな値上がりにはなっていません。それではなぜ「上がった感」があったのかというと、これには保育料の計算方法が変わったことが関係しています。新制度では、世帯の所得額に応じて国が定めた上限金額の範囲内で、市町村が保育料を定めています。2014年度までは世帯の「前年の所得税額」を基準に算定していましたが、2015年度からは「住民税の所得割課税額」が基準になりました。住民税は前年の所得をベースとしてその年の6月に確定するので、新制度が導入された2015年度は9月に保育料の切り替えがありました。4月~8月までは2013年の所得を基準とし、9月以降は2014年度の所得を基準にした保育料となったわけです。そのため、新制度開始から8月までの間は「保育料が高い!」と感じた方が多かったのかもしれません。新制度では低所得(年収360万円未満相当)の世帯やひとり親世帯、多子世帯への負担軽減もあります。たとえば2号・3号認定なら、第1子が未就学児の場合は所得額に関係なく第2子の保育料が半額、第3子以降は無料になります。低所得のひとり親世帯は、第1子の保育料が半額、第2子以降は無料です。また、幼稚園については、これまでは園ごとに一律の保育料を支払ったあとで「就園奨励費」という所得に応じた給付がおこなわれる仕組みでした。これが新制度に移行した園では、保育料そのものが市町村ごとに定める所得に応じた負担額に変更されています。子ども・子育て支援新制度の問題点とは? 施行から2年が経った『子ども・子育て支援新制度』ですが、いくつか問題点もあります。最大の問題点は、新制度下でも待機児童問題がいまだに深刻なことでしょう。2016年には『新語・流行語大賞』の候補に「保育園落ちた日本死ね」がノミネートされ話題になりました。待機児童問題の原因としては、慢性的な保育所不足にくわえて、新制度での解決策として期待されていた認定こども園や地域型保育が、当初の想定ほど増えていないことなどが挙げられます。さらに前提として、保育士不足という問題があります。施設を増やしたところで、保育士が足りないのです。新制度でも「職員の賃金改善」として3~4%の上乗せが実施されましたが、まだまだ十分とはいえません。2017年4月からは政府がさらに2%の賃金上乗せを実施するなど、ようやく「保育士の待遇改善」に本腰が入れられるようになってきたのが現状です。東京都では、2017年4月からさらに月額21,000円の賃金の上乗せを実施するなど、対策を進めています。まずは子育て世代が新制度をしっかり理解して『子ども・子育て支援新制度』にはこのように課題があるものの、行政が子育て支援政策に力を入れつつあることは事実です。新制度は市町村が主導するため、地域差が出やすいという問題点がありますが、市町村は私たちの声を反映しやすい身近な存在でもあります。まずは私たち子育て世代がこうした制度や取り組みをしっかり理解して、意思表示をしていくことが大切でしょう。【参照サイト】 制度の概要|内閣府 子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版)|内閣府 認定こども園に関するQ&A|内閣府
2017年04月14日「ふるさと納税」という言葉を耳にしたことはありませんか?このふるさと納税は、上手に利用すればサラリーマンでも節税対策をすることができる魅力的な制度と言えます。ただし、より効果的にふるさと納税を利用するためには、「ワンストップ特例制度」についても理解を深めておく必要があるでしょう。そこで今回は、ふるさと納税とワンストップ特例制度について解説していきます。■ふるさと納税はどんな制度?「ふるさと納税」と聞くと故郷に税金を納めるように聞こえますが、正しくは「ふるさと納税=自治体への寄付金」のことです。では、そんなふるさと納税はどのような目的があって整えられた制度なのでしょうか?現代では地方で生まれ育った子どもが、進学や就職を機に都会へ引っ越すケースが多く見られます。そのまま都会での生活に慣れて、都会で結婚をして長期間住み続けることも珍しくはありません。そうなると、その人は都会に対して地方税などを納めることになります。サービスに関しても都会のものを利用することになるでしょう。そのような方でも子どもの頃は、生まれ育った故郷のサービスを受けていたはずです。しかし、大人になってから都会へ移り住むことになると、故郷に対して税金を納めたりサービスの対価を支払ったりすることができません。これは自治体にとってはマイナス要因であり、本人にとっても「地元に貢献できない」といったデメリットが発生します。そこで整えられた制度がふるさと納税です。ふるさと納税では自分が選んだ地方自治体へ寄付をすることで、寄付をした金額の一部が税金控除の対象となります。所得税と住民税が安くなるので、この制度が整えられたことで積極的に寄付をしやすくなりました。寄付の対象となる自治体は自由に選べるので、生まれ育った自治体以外にも学生時代に過ごした街、自分の子どもが住んでいる街などに寄付をしても控除を受けることは可能です。ふるさと納税はこのような制度なので、「地方創生」という大きな役割も担っています。控除の対象となるのは自己負担額(2,000円)を除く寄付金の全額なので、人によっては節税対策としても活用できるでしょう。その上、自治体によってはふるさと納税をすることで、趣向を凝らした返礼品を受け取ることもできます。【寄付先は情報収集をしてから選んでみよう!】日本全国の自治体は、ふるさと納税に関する目的や寄付金の使い道などをホームページ上で公表しています。そのため、「寄付金が何に使われるか分からないから…」と悩む必要はありません。また、中にはふるさと納税を行う本人が、寄付金の使い道を選択できる自治体も見られます。そのような自治体を選べば、納得できる形で寄付をすることができるでしょう。ふるさと納税の寄付先は、情報収集をしてから選んでも遅くはありません。きちんと情報収集をしてから自治体を選べば、不本意な形で寄付をしてしまうことは防げるでしょう。■寄付金額の上限は?全額控除になるふるさと納税額の目安上記ではふるさと納税の概要をご紹介しましたが、必ずしも全額控除を受けられるわけではありません。例えば年間で50,000円の税金を納めている場合、それ以上の控除を受けることは難しいでしょう。納めた税額以上の控除を受けることは基本的にできないので、その点には注意が必要です。では、全額控除になる寄付金額は具体的にどれぐらいなのでしょうか?納税者の年収や家族構成により目安は異なりますが、以下ではいくつかのモデルケースをご紹介いたします。【その1】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が300万円の場合・独身または共働き夫婦では28,000円・共働きで高校生の子供が1人では19,000円・共働きで大学生の子供が1人では15,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では7,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では19,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では11,000円【その2】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が500万円の場合・独身または共働き夫婦では61,000円・共働きで高校生の子供が1人では49,000円・共働きで大学生の子供が1人では44,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では36,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では49,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では40,000円・配偶者に収入がなく大学生と高校生の子供2人では28,000円【その3】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が700万円の場合・独身または共働き夫婦では108,000円・共働きで高校生の子供が1人では86,000円・共働きで大学生の子供が1人では83,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では75,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では86,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では78,000円・配偶者に収入がなく大学生と高校生の子供2人では66,000円【その4】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が1,000万円の場合・独身または共働き夫婦では176,000円・共働きで高校生の子供が1人では166,000円・共働きで大学生の子供が1人では163,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では153,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では166,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では157,000円・配偶者に収入がなく大学生と高校生の子供2人では144,000円上記で紹介したモデルケースは、住宅ローン控除などほかの控除を受けていないサラリーマンの例です。年金収入だけの人や事業所得者、その他の控除を受けているサラリーマンの人などは上限額が異なる場合があるため注意してください。あくまでも目安としての年間上限額のため、実際の金額はお住まいの自治体に問い合わせることが大切です。■ふるさと納税の寄付金控除を受けるための手続きふるさと納税の寄付金控除は、原則として確定申告をしなければ受けられません。では、具体的にどのような手順で確定申告をすれば良いのでしょうか?以下で詳しく解説していきます。【STEP1】寄附金受領証明書を受け取るふるさと納税で寄付をすると、寄付先の自治体から「寄附金受領証明書」と呼ばれる書類が届きます。この書類は確定申告時に必要になるので、必ず無くさないように保管しておきましょう。自治体によっては、専用振込用紙の払込控が受領証になる場合もあります。【STEP2】受領証明書を添付して確定申告をする受領証明書を受け取ったら、確定申告書の指定された箇所にその証明書を貼り付けましょう。その後、確定申告書に必要事項を記入して提出をすれば手続きは完了です。この手続きにおいて注意するべきポイントは、確定申告の「期日」です。控除を受けたい場合には、寄付をした翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があるので必ず忘れないようにしましょう。上記の手続きが完了すると、所得税と住民税が以下のように控除されます。・所得税…寄付をした年の所得税から還付される・住民税…寄付をした翌年6月以降分の税額が減額されるなお、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って各項目を入力していくだけで簡単に確定申告書を作成できます。「確定申告書の作り方が分からない…」と悩んでいる方は、このようなサービスを積極的に活用してみましょう。確定申告書の提出については、お住まいの地域を管轄する税務署に郵送または持参するか、e-Tax(電子申告)を利用して申告する方法があります。ただし、e-Taxでの申告には事前の手続きが必要になるので注意してください。■ワンストップ特例制度によりサラリーマンは確定申告が不要になる場合も!上記ではふるさと納税による控除を受けるために、確定申告が必要になるとご紹介しました。しかし、実は一定の条件を満たすことで確定申告が不要になるケースがあります。それが「ワンストップ特例制度」と呼ばれる制度です。この制度が平成27年に新設されたことにより、多くの方がふるさと納税を利用しやすくなりました。平成27年から納税枠が約2倍に拡大されて、控除の範囲が広がった点も私たちにとっては嬉しいポイントです。例えば、元々確定申告をする必要がない方にとっては、確定申告の手間が増えることは負担です。「控除が少額なら行っても仕方ない…」と感じていた方も、中にはいるかもしれません。しかし、以下の条件を満たすサラリーマンの方であれば、ふるさと納税により寄付をしても確定申告なしで控除を受けられるようになりました。・ふるさと納税をした自治体が1年間に5つ以内の方・年収が2,000万円未満、副収入を得ていないなど、元々確定申告をする必要がない方上記の条件を満たしている方は、所定の手続きを済ませることでワンストップ特例制度が適用され、確定申告をしなくても控除対象になります。では、この制度の適用を受けるにはどのような手続きが必要になるのでしょうか?【ワンストップ特例制度で必要な手続き】ワンストップ特例制度の手続きでは、以下の書類が必要になります。・ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)・本人確認書類のコピーなど寄付をした自治体に対して、上記2つの書類を郵送することで手続きができます。なお、2017年3月現在ではマイナンバーの記載も必要になったので、マイナンバーが分かる書類もきちんと用意しておきましょう。この手続きを済ませると、自治体同士で納税者の情報が共有されて自動的に税金が減額されることになります。確定申告の手間を一気に省けるので、ふるさと納税を検討している方はワンストップ特例制度の利用も考えてみましょう。ただし、上記の申請を行った後に住所などが変更になった場合は、さらに手続きが必要になるので注意しておきましょう。このようなケースでは、寄付をした翌年の1月10日までに「申告特例申請事項変更届出書」を寄付先の自治体に提出をする必要があります。■ワンストップ特例制度の申し込み期限ふるさと納税のワンストップ特例制度は、1月~12月までいつでも申し込むことが可能です。ただし、所得税などの控除は1年単位で適用されるので、年をまたぐと前年分の申請ができなくなる可能性があります。寄付をする場合には、早めにワンストップ特例制度も申請しておきましょう。なお、年末に申請をする場合には特に注意が必要となります。申請から受領まではある程度の日数がかかりますし、自治体によっては12月の早い段階で受付を締め切ることもあります。各自治体で締め切りは異なるので、必ず寄付先の自治体に関する情報は事前に調べておきましょう。また、ふるさと納税の期限に関しても注意が必要です。受領証明書に記載されている受領日が12月31日を過ぎると、その年の控除申請ができなくなる恐れがあります。その場合は翌年分として扱われますが、節税対策としてふるさと納税の利用を検討している方は注意するべきポイントでしょう。なお、受領日の扱いは以下のように送金方法によって異なります。・クレジットカードの場合…決済が完了した日・銀行振り込みや払込取扱票による支払い…指定口座に支払いした日・現金書留…自治体が受領した日上記の送金方法による違いも意識しながら、ふるさと納税やワンストップ特例制度を上手に使いこなすようにしましょう。これらの制度を上手に活用すれば、節税対策をしながら社会貢献もできるはずです。■まとめ今回は確定申告不要でサラリーマンでも簡単に利用できる、ふるさと納税のワンストップ特例制度についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?ふるさと納税のワンストップ特例制度を上手に利用すれば、サラリーマンでも節税対策をすることができます。また、ふるさと納税を通して故郷やお世話になった地域に貢献することもできます。今回ご紹介した内容を参考にして、みなさんもふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか?
2017年04月13日*画像はイメージです:など性的少数者のカップルを公的に認める「同性パートナーシップ制度」が6月から札幌市でも導入されることになりました。4月に導入される予定を2カ月延期しての導入となります。延期の理由は市民への周知期間を設けるためだそうですが、たしかに当事者ではない人にとっては、この制度がどのようなものなのか、イメージしづらいかもしれません。制度が持つ法的効力など、桜丘法律事務所の大窪和久弁護士に伺いました。 ■法的効力はない!?結婚とは別物札幌市の同性パートナーシップ制度と同様の制度は、2015年に東京都渋谷区が全国で初めて導入したのを皮切りに、世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市で実施されています。このように導入自治体が増えつつある同性パートナーシップ制度ですが、これは結婚とはどのように違うのでしょうか?「結婚をすることにより、民法に基づき夫婦間において様々な効力が生じます。夫婦間において親族関係が生じますし、同居の義務および扶養の義務も負うことになります。他方、同性パートナーシップは自治体の条例に基づいて同性のパートナーについてその関係を認める書面を自治体が発行するというものですが、民法上の効力が生じるものではありません」(大窪弁護士)憲法や民法によってその条件や権利などが定められている結婚とは違い、同性パートナーシップ制度には、法的な効力はないのです。結婚と同じ制度だと勘違いする方も多そうですが、法的には別物の制度と考えてよいでしょう。 ■制度による民間企業への影響それでは、法的効力がない同性パートナーシップ制度には何の意味もないのでしょうか?税制、保険、医療現場、相続などの面で夫婦が持つ権利と同じような権利を持つことは許されないのでしょうか?「前述の通り、婚姻と異なり民法上の効力が生じるものではありませんので、夫婦と同等の権利があるわけではありません。親族関係も生じず財産の相続をするということにもなりません。また税制上控除が認められるということもありません。もっとも、同性のパートナーであるという証明はなされるので、これを受けて民間の事業者がパートナー向けのサービスを行うということはありうると思います」(大窪弁護士)現段階では、同性パートナーとして認められても法的な保障は期待できません。しかし、制度施行をきっかけに民間や自治体のサービスが拡大する事例はすでにいくつもあります。例えば、ドコモでは渋谷区での制度施行をきっかけに、家族割サービスを同性パートナーにも認めるようになりました。また、同性パートナーを保険金の受取人として認める生命保険会社も増えてきました。 ■導入自治体は今後も増える?なぜこのような制度が必要とされ、導入自治体が増えているのでしょうか?「同性の法律婚は現在認められておりませんが、現実には同性でパートナーとなっている人は沢山いらっしゃいます。しかし、パートナーであることについて社会的に認められてきていないことから、住宅で同居することを断られてしまうであるとか、病院の面会を断られてしまうという弊害があります。法律婚という形は現在とることはできなくても、パートナーとして行政が認めることでそうした弊害を解消するということは必要です。現在導入自治体は一部ですが、同性パートナーシップ制度があるからその自治体に転入するという人も増えておりますので、今後導入自治体は増えていくのではないかと思います」(大窪弁護士)千葉市では、結婚や事実婚をしている職員に認めている休暇制度を同性パートナーを持つ職員にも認めるよう就業規則が改正されました。同様の制度を持つ企業も増えています。自治体による同性パートナーシップ制度導入に加え、民間企業のサービス範囲の拡大、雇用者の権利拡大など、性的少数者を取り巻く環境は少しずつ不便や実質的な不平等を減らす向かう方向に変化しているのです。 *取材対応弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)【画像】イメージです*Syda Productions / Shutterstock
2017年03月31日特別支援教室とは?出典 : 特別支援教室は、発達障害のある子どもたちをはじめとした個別のニーズに対応し、より適切で効果的な教育を行うために、小・中学校への導入が予定されている設備・制度です。文部科学省は、特別支援教室構想を掲げ、それに伴い全国各地でモデル事業が行なわれてきました。とりわけ、2016年4月からは、東京都内の小学校で本格的な導入が始まりました。具体的な導入計画については、後に詳しく説明します。2005年以降、文部科学省は「インクルーシブ教育」の推進に力を入れてきました。インクルーシブ教育(または単にインクルージョン)とは、障害の有無にかかわりなく子どもたちに教育をするという理念・制度・実践をいいます。インクルーシブ教育では、障害のある子どもたちが、単に障害のない子どもたちと同じ学校に通うだけでなく、本当の意味で他の子どもたちと同じ教育を受けるということが目指されています。こうした教育を実現するためには、障害のある子どもだけが「特別なニーズ」を持っているという考えを見直し、「すべての子どもに等しく教育をし、その中でニーズのある子どもには適切に対応する」ことが重要です。たとえ障害のある子どもたちが通常校に通っているとしても、障害のない子どもたちから区別され、普段から別の教室で勉強しているなら、それは同じ教育を受けているとは言えない、これがインクルーシブ教育の基本的な考え方です。文部科学省の特別支援教室構想も、その一環として位置づけられています。文部科学省は、発達障害の診断を受けていない子どもたちの中にも、実際には「特別なニーズ」とされてきた個別のニーズを持つ子どもたちが少なくないのではないかと考えています。そして、そうしたニーズに気づき適切な教育をするために、また、その他の子どもたちが発達障害をよりよく理解できる環境を作るために、特別支援教室の導入を進めています。参考: 中央教育審議会「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」(2005年12月)特別支援教室という制度では、「障害のある子ども」と「障害のない子ども」を分けて支援するのではなく、必要に応じて誰にでも支援やサポートを提供します。これは、「障害のある子どもが障害に応じて支援を受ける」という、特別支援学級や「通級による指導」のスタンスとは大きく違うものです。参考:Frank Bowe, Making Inclusion Work (Upper Saddle River, NJ: Pearson, 2005).参考:Gary Thomas and Andrew Loxley, Deconstructing Special Education and Constructing Inclusion, 2nd ed. (Open University Press, 2007).参考:高橋純一、松﨑博文「障害児教育におけるインクルーシブ教育への変遷と課題」『人間発達文化学類論集』19号(2014年)13–26ページ特別支援教室って、どんな制度?出典 : 全国に先駆けて東京都の小学校で特別支援教室が2016年4月から順次導入されています。ここでは東京都の小学校におけるモデル事業をもとに、特別支援教室が実際にはどのような制度なのかを説明します。特別支援教室とは、情緒障害や発達障害のある子どもたちを中心に、教育の場でサポートを必要とする子どもたちにサポートを提供しようとする制度です。基本的には、現在の「情緒障害等通級指導学級」(以下「通級」とする)を置き換えるものだとされています。ただし、「通級」には、情緒障害や発達障害以外の障害(吃音や難聴など)に関連したサポートを行うものもあります。ここで紹介する特別支援教室は、主に情緒障害や発達障害に関連した制度ですので、それ以外の「通級」までまとめて特別支援教室に置き換わるわけではないことに注意が必要です。特別支援教室の最大の特徴は、子どもたちが普段通っている学校でそのまま支援を受けられるということです。これまでは、障害のある子どもたちが特別な支援・サポートを受ける際に、普段通っている学校とは別の学校の「通級」に通ったり、特別支援学級や特別支援学校に籍を置く必要がある場合も少なくありませんでした。しかし、特別支援教室は各小学校にそれぞれ導入されます。2つの学校に通う必要がなくなることで、特別支援教育を受ける子どもたちの負担が軽くなることが期待されています。また、特別支援学級や特別支援学校でのサポートまでは必要としない通常学級に在籍する子どもが、個別のニーズに合わせて弾力的な支援が受けやすくなると考えられます。特別支援教室で教える内容は、基本的には情緒障害等通級指導学級(通級)と同じです。つまり、子どもの障害に応じて、障害の状態に応じて「自立活動」や「教科の補充指導」などが、それぞれに合った方法で指導されます。特別支援教室で指導を受けられるのは、情緒障害や発達障害のあるお子さんです。東京都は、対象として通常学級での学習におおむね参加できる「高機能自閉症・アスペルガー症候群」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」を挙げています。例えば高機能自閉症・アスペルガー症候群の子どもがコミュニケーションを取るのが苦手な場合、ロールプレイなどで適切な会話を学んだり、相手の気持ちを考えるなどの指導が行われます。また、学習障害がある場合、自分に合った学習方法を習得するための指導なども行われます。現在のところ、それ以外の障害(吃音や難聴など)に関連して「通級」に通っているお子さんについては、特別支援教室での指導は想定されていません。出典 : 特別支援教室に携わる人として、「巡回指導教員」「特別支援教室専門員」「臨床発達心理士等」という役割が新たに定められました。「通級」の担当教員は、役割の名前が「巡回指導教員」に変わります。巡回指導教員は、「通級」と同じように特別支援教室で子どもに指導をするほか、在籍する通常教室の担任と密に連携し、特別支援教育を受ける子どもだけでなく子どもが在籍するクラスでも連携して支援を行い、担任に助言をします。「特別支援教室専門員」は、特別支援教室の導入によって新しく配置されます。非常勤の職員で、特別支援教育で必要になる教材を作ったり、対象となる子どもの行動を記録したりします。新たに「臨床発達心理士等」も巡回することになります。「臨床発達心理士」「特別支援教育士」「学校心理士」の資格を持っている人が子どもの行動観察を行い、障害の状態を把握し、巡回指導教員や担任教員に専門的な指導を行います。東京都教育委員会「東京都公立学校特別支援教室専門員について」特別支援教室のメリットとデメリットは?「通級」と比べると?出典 : 保護者にとって最も気になるのが、既存の「通級」から何が変わるのか、また何が変わらないのかということではないでしょうか。ここでは、メリット・デメリットとともに説明します。「通級」が地域の拠点校にのみ設置されたのに対し、特別支援教室は各学校にそれぞれ設置されることが予定されています。つまり、これまでであれば、通級による指導を受けるために定期的に別の学校に出向く必要があったのに対し、これからは普段通っている学校で同じような指導を受けることができるようになります。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン2つの制度の違いは、基本的にはこの点に尽きます。たったこれだけの違いですが、「通級」から特別支援教室に変わることのメリットやデメリットは、必ずしも小さなものではありません。以下ではそれをいくつか紹介します。特別支援教室は、そもそもインクルーシブ教育を推進するための構想です。そのため、特別支援教室のメリットは、何といっても日本の教育をインクルーシブなものに変えるという点にあります。つまり、障害のある子どもたちと障害のない子どもたちが、それぞれに必要なサポートを受けつつ、基本的に分け隔てなく教育を受けることができる、そのような社会の実現に向けた第一歩が、この特別支援教室なのです。しかし、障害のある子どもたちや、その親御さんにも、直接的なメリットがあります。それは、これまでの「通級」とは違い、普段通っている学校でそのままサポートを受けられるということです。子どもにとっては別の学校に通う負担が減り、また障害に関連したサポートをする先生と、クラスの担任の先生との連携が、「通級」の場合よりも一層密になることが期待されます。しかし、特別支援教室にはデメリットや課題も指摘されています。まず、これまでの「通級指導学級」と同じ水準のサポートが特別支援教室で提供されるのかどうか、必ずしも明らかではありません。というのも、各学校に特別支援教室を導入するためには、これまでよりも明らかに多くのスタッフが必要です。加えて、特別支援教室では、将来的には「障害」の有無にかかわらず子どもたちの支援・サポートを行うことを目標としています。裏を返せば、これまでと同様に限られた資源の中で、これまでよりも多くの子どもたちにサポートをしようとしています。つまり、もしスタッフが十分に増えないまま特別支援教室を導入すれば、少ないスタッフでより多くの子どもを支援することになり、サポートの質が低下するおそれがあります。このことから「障害のある子ども」としてこれまで特別に支援を受けてきた子どもたちに対して、従来の特別支援教育が提供してきたサポートの質が保たれなくなるのではないか、と懸念する声もあります。もう一つ、重要な点があります。特に変化が苦手な自閉傾向がある子どもたちにとって、サポート環境が変わるということそのものが重大な出来事となりえます。この観点から見ると、特別支援教室という制度の良し悪しとは別に、制度の移行にスムーズに適応できるような仕組みについて考えていくことが求められます。特別支援教室とその他の制度との違いは?出典 : 障害のある子どもの学びの場は、今までご紹介してきた特別支援教室や「通級」だけではありません。日本の制度では、代表的なものに「特別支援学校」や「特別支援学級」があります。これらの制度は、それぞれどのように違うのでしょうか?特別支援学校とは、かつて「盲学校」「聾学校」「養護学校」と呼ばれていた学校で、現在でも学校名にこうした言葉がついている場合があります。一部の例外を除いて、基本的には障害のある子どもたちだけが学ぶ学校です(一部に、障害のない子どもたちが学ぶ学級を併置した「併置校」も存在します)。また、学校数自体が少ないので、寄宿舎がある特別支援学校もあります。特別支援学校では、特別支援学校学習指導要領に従い、その他の学校で教えられる教科に加えて、それとは異なる特有の教科が教えられます。こうした教科の多くは、学校を卒業した後に就く職業に関連した、職業訓練的な性格の強いものです。また、教える先生の資格という面から見ても、特別支援学校で教える先生は「特別支援学校教諭」という、一般の学校の先生とは異なる免許を持っています。特別支援教室と特別支援学校の最大の違いは、そもそも通う学校が違うという点です。これは比較的わかりやすい違いでしょう。ところで、自閉症・発達障害・学習障害などがある子どもたちを対象とする特別支援学校はあるのでしょうか。基本的には、現在のところありません。ただし、お子さんに別の障害がある場合には、その障害に応じて特別支援学校に通うことができるでしょう。たとえば、視覚障害と発達障害があるお子さんや、知的障害が合併した発達障害のあるお子さんのような場合です。特別支援学級は、かつては「特殊学級」と呼ばれていました。現在でも、関連条文から「81条学級」と呼ばれることがあります。(以下では「特別支援学級」に統一します。)特別支援学級は、一般の小中学校に置かれます(制度上は高校にも設置できますが、実例は多くありません)。多くの場合、障害の種類ごとに分かれ、学校ごとに「あすなろ学級」「なかよし学級」など様々な名前がついています。お子さんが特別支援学級で教育を受ける場合、その学校の通常学級ではなく特別支援学級に在籍することになります。そして、特別活動などを除き、通常学級の子どもたちとは違う教室で授業を受けることになります。制度上は、特別支援学級での教育は一般の小中学校と同じ学習指導要領に則った教育ですが、子どもの実態に応じて特別支援学校を参考にしたカリキュラムが組まれることもあります。先生の資格という面から見ると、特別支援学級で教える先生に求められる資格は、「特別支援学校教諭」ではなく「小学校教諭」や「中学校教諭」です。特別支援教室と特別支援学級の最大の違いは、お子さんがどの教室に所属するかです。特別支援教室の場合は、お子さんは通常学級に在籍し普段は他の子どもたちと同じ授業を受けつつ、必要に応じて別の教室で別の教育を受けることになります。これに対して特別支援学級の場合は、お子さんは特別支援学級に在籍し、別の教室で別の授業を受けることが基本となります。出典 : 最も違いがわかりにくいのが、特別支援教室と「情緒障害等通級指導教室」の違いではないでしょうか。情緒障害等通級指導教室は、「通級指導教室(情緒障害等)」「通級教室」「通級学級」などと書かれる場合が見られますが、どれも制度上は同じものです。以下ではまとめて「通級」と呼ぶことにします。先に説明したように、「通級」には、吃音や難聴のある子どもたちへのサポートを行うものもあります。通級と特別支援教室は、どちらの制度も、お子さんが障害のない子どもたちと同じ学校の同じ教室で学びつつ、必要に応じて別の教育を受けるという点で共通しています。どちらの制度も、特別支援学校(障害のない子どもたちとは別の学校に通う)とも、特別支援学級(障害のない子どもたちと同じ学校に通うけれども、普段から別教室で学ぶ)とも、大きく違う制度です。その上で、「通級」と特別支援教室の最大の違いは、その「別の教育を受ける」教室がどこにあるかです。「通級」の場合には、お子さんは別の教育を受けるために普段とは違う学校に出向く必要がありました。これに対し、特別支援教室は各学校に設置されますので、「通級」とは異なり別の学校に行く必要がありません。現在、特別支援教室は導入に向けたモデル事業が行われている段階で、その形態や指導内容についてはまだ研究や検討が行われています。そのため、自治体や学校によって、今回ご紹介した東京都の特別支援教室とは違う方法で導入されていたり、今後導入される可能性もあります。また、横浜市は、2004年に「横浜市障害児教育プラン」を定め、独自に先駆的な特別支援教育を進めてきました。その中で「特別支援教室」という言葉を使っています。しかし、この「特別支援教室」は、名称は同じでも文部科学省が推進する「特別支援教室」(この記事で説明しているもの)と必ずしも同じではありません。具体的な説明は省きますが、横浜市の「特別支援教室」は文部科学省の「特別支援教室」よりも少し狭い概念だと考えていただければよいでしょう。どのように特別支援教室が導入されているか、また今後導入されるかはそれぞれお住まいの地域によって異なるので注意が必要です。横浜市特別支援教育推進会議「「特別支援教室」の展開方策などについて 」(2006年8月)特別支援教室を利用するために必要なことは?出典 : 一例として、東京都中央区の事例を紹介します。ただし、実際に必要な手続きは自治体ごとに異なりますので、詳しくは学校や各自治体の担当者にお問い合わせください。まず、すでに「通級」を利用されていて新年度も継続して指導を受けたい場合です。この場合は、原則そのまま移行しますので、特別な手続きは必要ありません。新年度も継続して指導を受けたいという旨を、在籍校の担任教員や通級指導教員にご相談ください。次に、まだ「通級」を利用されていない場合についてです。新年度に新たに入学する子どもについては、就学相談でご相談ください。それ以外の子ども(すでに学校に通っており、新たに特別支援教育を受けようと考えの場合)については、在籍校の担任教員にご相談ください。このように、特別支援教室で指導を受けるためにまずすべきことは、新入生の場合は就学相談、それ以外の場合は担任教員への相談だといえます。繰り返しになりますが、具体的な手続きにつきましては学校や各自治体にお問い合わせください。特別支援教室|東京都中央区特別支援教室の今後は?出典 : 最後に、特別支援教室構想の展望について簡単にご紹介します。東京都の小学校では、モデル事業として特別支援教室の導入が既に始まっています。都の計画では、平成28年度以降、準備の整った市区町村から順次導入され、平成30年度までには全ての市区町村に特別支援教室が設置されることとなっています。これに対して、中学校への特別支援教室の導入は、まだ始まっていません。都の計画では、平成30年度以降、準備の整った市区町村から順次導入され、平成33年度までには全ての市区町村に特別支援教室が設置されることとなっています。東京都以外に目を向けると、いくつかの自治体では特別支援教室の導入に向けた動きが見られます。しかし、それらの動きは、基本的にはまだ本格化していません。東京都のモデル事業にならった特別支援教室が全国的な制度となるかどうかは、まだ未知数だといえます。東京都教育委員会「東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画――共生社会の実現に向けた特別支援教育の推進」(2017年2月)まとめ出典 : 特別支援教室は、インクルーシブ教育を実現するための制度として、長年の構想を経てようやく実現に向かいつつある制度です。今後の展望にはまだ不確定な面が多くありますが、これから少しずつ、障害のある子どもたちが少ない負担で適切な教育を受けられる制度として確立していくことでしょう。既に「通級」で指導を受けられている場合はもちろん、そうでない場合でも、また「障害」という診断の有無にかかわらず、少しでもお子さんにとってメリットがあるとお考えであれば、一度担任の先生や各自治体に相談されることをおすすめします。
2017年03月30日少子化の一因ともいわれる、出産費用の問題。こんなにお金がかかるのかと驚き、ふたりめをためらっているママもいるかもしれませんね。しかし、健康保険をはじめ、さまざまな助成制度があるのをご存じでしょうか。プレママをフォローする制度もあるので要チェックです!■出産する前にもらえる助成制度●里帰り出産の場合臨月が近づく前に実家へ帰り、里帰り出産をする人も多いのではないでしょうか。妊婦には検診費の助成制度がありますが、住まいの自治体にある病院を利用することを前提としており、里帰り中には利用できない可能性も。しかし、国内の医療機関を利用していれば、里帰り出産でも検診内容によって3,000~1万円程度の助成を受けられる場合があります。また自治体によっては里帰り先でかかった健診代を戻してくれる場合もあります。条件は自治体によってまちまちですので、里帰り出産を検討している場合は、事前に確認しておくと安心です。●切迫早産、帝王切開の場合また、切迫早産や帝王切開などで高額な医療費が発生した場合も、自己負担の限度額を超えた分が戻ってくる制度として「高額療養費制度」があります。この条件は収入や年齢によって異なるので、注意が必要です。この「高額療養費制度」は、あとから還付されるものですが、切迫早産などであらかじめ入院することがわかっている場合には「限度額適用認定証」をもらっておくと、窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。■出産後にもらえるお金出産したらもらえるお金としては、「出産育児一時金」があります。出産育児一時金は、健康保険または国民健康保険に加入していれば、受け取り資格が発生します。支給額は1人あたり42万円なので、双子の場合は84万円が支給されるのです。共働き夫婦で、別々の健康保険組合に加入している場合は、どちらか一方のみ支給されます。ダブルで84万円受給できるわけではないのでご注意を。<支給方法>・組合などから直接病院へ支払う出産関連費用が42万円未満の場合は、あとから申請することで差額を受け取ることができます。たとえば、病院へ支払う額が30万円だったら、残り12万円を受け取ることができます。・病院に支払った後、領収書を添えて申請するこの制度は、出産を希望する家庭には広く知られていますが、「夫婦だけの時間をもう少し楽しみたい」と思っているときに妊娠した場合などは、意外と知らなかったりするもの。妊娠が発覚したら、まずは自治体などに助成制度の有無について問い合わせるといいでしょう。■還付金が戻ってくるもの厚生労働省の発表によれば、出産費用の妊婦の合計負担額は49万9,615円(厚生労働省「正常分娩分の平均的な出産費用について」(平成27年度・病院、診療所、助産所の合計)。このため出産育児一時金の42万円あれば、大部分はカバーできるかもしれません。しかし、実際には地域差などがあり、それ以上に費用がかかる場合も。そんなときは、確定申告をして「医療費控除」を受けましょう。一家の医療費が10万円を超えた場合は、その分を収入から差し引いた額を所得として申告できます。ただし、申告時には一時金の42万円や、医療保険からの入院給付金、高額療養費で戻ってくる分はカウントできません。実際に戻ってくるお金は、医療費控除に所得税率をかけたものになり、申告額が全額戻ってくるわけではありません。でも医療費控除を申告すると、住民税も軽減されるメリットもあるのです。医療費には、病院での診察・治療費だけでなく、ドラッグストアで購入した薬や病院への交通費も含まれますので、出産の有無にかかわらず、領収書をキープしておくことをおすすめします。■産後にもらえる助成金出産にかかる費用は少なくないとはいえ、一時的なものです。しかし、子どもが生まれればそれからずっと、何かとお金がかかるもの。それが二人目を躊躇(ちゅうちょ)する原因ともいわれています。子どもに対する制度としては、「児童手当」があります。中学3年生までの子がいれば、1人当たり月5,000~1.5万円が支給されます。さらに、自治体によって対象者や助成範囲が異なりますが、乳幼児の医療費助成制度もあります。これらを上手に活用することで、家計の負担を軽減できるでしょう。また、二人目が生まれれば、自転車も幼児が2人乗れるタイプにする必要がありますが、この無償貸与または購入費の助成を行う自治体も。たとえば、兵庫県川西市では、中古の電動アシスト付き幼児二人同乗用自転車を無償で譲渡する制度があります。このように、自治体ごとに子育てファミリーを応援するユニークな制度が設けられています。意外と知られていない制度も多いので、情報収集は欠かせません。子育てにはお金がかかりますが、それだけを理由に出産をあきらめることは、本当にもったいない気がします。会社によっては、出産祝い金が支給されることもありますし、まずは助成制度を調べてみませんか? ※2017年2月現在の情報です。最新情報は各自治体・団体のWEBサイトでご確認ください
2017年03月02日エムティーアイ運営の健康情報サービス「ルナルナ」はこのほど、シンクパールと共同で実施した「職場での婦人科検診制度について」の調査結果を発表した。同調査は2月18・19日、20~50代以上の女性1万1,676名を対象にインターネットで実施したもの。初めて婦人科検診を受けたきっかけについて聞くと、「自治体からのお知らせ・クーポン」(34.7%)が最も多く、次いで「自分の職場の健康診断」(24.1%)となった。最近では著名人の乳がんや子宮頸がんなどの婦人科疾患発症が話題になっているが、そういった報道によって自身の意識や行動に変化はあったか尋ねたところ、41.2%が「自分の健康について考えるようになった」と回答した。33.5%は「実際に検診に行った」と答えている。次に、20~50代以上の働く女性を対象に、自身の職場に婦人科検診を受けられる制度はあるか聞くと、「ない」が45.4%で、「自分の職場にある」(39.7%)を上回った。職業別でみると、「自分の職場にある」が半数を超えたのは正社員(51.4%)のみで、その他は検診制度がない人が多いことがわかった。「自分の職場」もしくは「家族の職場」に婦人科検診を受診できる制度があると回答した人に、実際に受けている検診の種類について尋ねたところ、乳がん検診は自己負担あり・なしに関わらず約30%が受けていることがわかった。子宮頸がん検診も、自己負担なし35.8%・自己負担あり30.2%で受診率は3割を超えている。職場に婦人科検診を受けられる制度がないと回答した人に、もし職場に受けられる制度があった場合に活用したいか尋ねると、58.2%が「自己負担がないなら受けたい」、33.1%が「自己負担があっても受けたい」と答えた。合わせると、9割以上の人が受診したいと回答している。
2017年03月02日新築・中古住宅の購入やリフォームで利用できる減税制度では、所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税などが減税できます。所得税の減税制度には、ローンを組んだ場合に利用できるローン型と、自己資金で購入・リフォームを行った場合に利用できる投資型がある点がポイントです。補助金と違い併用できる制度が多いため、もれなく申請しておきましょう。■新築住宅購入で利用できる減税制度新築受託を購入した際に利用できる減税制度には、以下の種類があります。【所得税の減税】住宅ローンを利用して新築住宅を購入した場合は、「住宅借入金等特別控除」、通称住宅ローン減税が利用できます。おもな要件としては、以下が挙げられます。■10年以上のローンを組んだ場合■その年の合計所得金額が30,000,000円以下■新築または新築住宅取得の日から6カ月以内に入居したこと控除額は、入居した年が平成26年4月1日~平成31年6月30日までの場合、「各年末のローン残高×1%」の計算式で算出します。控除期間は10年で、上限は400,000円です。さらに低炭素住宅、長期優良住宅の場合は、上限が500,000円になります。手続き方法は、1年目と2年目以降で異なります。■1年目確定定申告書に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」などの書類を添付して、納税地の所轄税務署長に提出します。■2年目以降提出書類が減るほか、給与取得者(自営業以外)は年末調整による適用が可能です。住宅ローンではなく自己資金で新築住宅を購入した場合は、「認定住宅新築等特別税額控除」を受けられます。対象は低炭素住宅および長期優良住宅(以下、認定住宅)です。おもな要件としては、以下が挙げられます。■住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が居住用に使われていること■その年の合計所得金額が30,000,000円以下■新築または新築住宅取得の日から6カ月以内に入居したこと控除額は、認定住宅の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10%です。「認定住宅の標準的なかかり増し費用」とは、1平方メートル当たり43,800円に、その認定住宅の床面積をかけて計算します。標準的なかかり増し費用の限度額は6,500,000円で、控除期間は最初の1年間のみです。手続き方法は、確定申告書に「認定住宅新築等特別税額控除額の計算明細書」などを添付して所轄の税務署に提出します。【登録免許税の減税】正式には「住宅に係る登録免許税の軽減措置」といい、新築住宅を購入した場合は以下それぞれの登録免許税が軽減されます。■所有権の保存登記にかかる税率本則の0.4%から0.15%に軽減されます。要件は住宅の床面積50平方メートル以上であることです。■所有権の移転登記にかかる税率本則の2.0%から0.3%に軽減されます。要件は、個人が居住に使っている部分の床面積が50平方メートル以上であることです。■抵当権の設定登記にかかる税率本則の0.4%から0.1%に軽減されます。新築住宅であれば床面積などの条件はありません。なお長期優良住宅および認定低炭素住宅の新築にかかる登録免許税の税率は、平成30年3月31日までは一律0.1%(戸建ての長期優良住宅の移転登記については0.2%)に軽減されます。手続きは特に必要ありません。【不動産取得税の減税】不動産取得税とは、住宅を建築するなどして不動産を取得した際に課税される制度です。都道府県に納税します。新築住宅を購入した場合は、この不動産取得税も軽減されます。新築住宅を取得した場合における不動産取得税軽減のおもな要件は、床面積が50平方メートル~240平方メートルであることです。控除額は、上限12,000,000円(価格が12,000,000円未満である場合はその額)で、認定長期優良住宅の新築の場合については、さらに上限が13,000,000円まで引き上げられます。また、住宅を新築したときの土地についても不動産取得税が軽減されます。要件としては、住宅について上記の床面積条件を満たしているとともに、土地を取得したタイミングによってそれぞれ条件を満たしている必要があります。住宅の新築より先に土地を取得した場合は、以下の条件を満たしていることが必要です。■土地を取得後3年以内にその土地の上に住宅が新築されていること住宅の新築よりあとに土地を取得した場合は、以下の条件を満たす必要があります。■住宅を新築した人が、新築後1年以内にその敷地を取得していること■新築未使用の住宅とその敷地を、新築後1年以内に同じ人が取得していること控除額は、以下のいずれか高い方の金額となります。■45,000円(税額が45,000円未満である場合はその額)■土地1平方メートル当たりの価格×住宅の床面積の2倍(一戸当たり200平方メートルが限度)×税率(3%)手続き方法は、住宅や住宅用土地を取得した日から60日以内に、不動産取得税申告書に売買契約書や登記事項証明書などの書類を添えて、所管する都税事務所に申告します。新築住宅を購入した場合は、市町村に支払う住宅用家屋の固定資産税が軽減されます。おもな要件としては、以下が挙げられます。■居住部分の床面積が1戸当たり50平方メートル~280平方メートル■平成29年3月31日までのあいだに新築された住宅控除額以下のとおりです。■床面積が120平方メートル以下の場合…2分の1■120平方メートルを超え280平方メートル以下の場合…120平方メートル分について2分の1控除期間は一般の住宅は3年間、長期優良住宅は5年間です。さらに二世帯住宅を新築した場合は、「各世帯が壁やドアによって遮断され、他方の世帯と構造上独立していること」などの条件を満たしていれば、2戸それぞれに固定資産税の減額措置を受けられます。また、住宅を新築した場合の土地(住宅用地)の固定資産税も、課税標準額の減額という形で減税されます。要件は特にありません。減額後の課税標準額は以下の通りです。■200平方メートル以下の小規模住宅用地その土地の価格の6分の1(200平方メートルを超える場合は住宅一戸当たり200平方メートルまでの部分)■上記以外の一般住宅用地その土地の価格の3分の1手続きは市町村によって異なるため、お住まいの市町村で確認をするようにしましょう。■中古住宅購入で利用できる減税制度中古住宅の購入で利用できる減税制度には、以下のものがあります。【所得税の減税】中古住宅を購入した場合も住宅ローン減税が利用可能です。おもな要件としては、以下のものが挙げられます。■家屋が建築された日から購入した日までの期間が20年以下■一定の耐震基準を満たしていること■耐震改修が必要な住宅の場合は、改修の結果耐震基準を満たすと証明されていること■その年の合計所得額が30,000,000円以下■住宅の床面積が50平方メートル以上■10年以上のローンを組んでいること計算方法や控除期間は新築住宅の場合と同様です。なお低炭素住宅、長期優良住宅の適用はありません。【登録免許税の減税】中古住宅を購入した際も、登録免許税が軽減されます。おもな要件は以下となります。■床面積50平方メートル以上■耐震性の基準を満たしていること■購入時において、新築された日から10年以上経っていること■リフォーム工事が行われ、建物価格に占めるリフォーム工事の総額の割合が20%以上税率に関しては、本則2%から0.1%に軽減されます。手続き方法は、登記申請のタイミングで、登記事項証明書に住宅用家屋証明申請書を添えて市町村に提出します。【不動産取得税の減税】中古住宅の購入についても不動産取得税の減税措置があります。おもな要件は、耐震基準を満たしている点などです。控除額はその中古住宅の新築した日によって決定され、1,000,000円~12,000,000円となります。また、耐震基準に満たない中古住宅に対しても、取得後6カ月以内に耐震工事が行われるなどすれば、不動産取得税が減税されます。その場合の控除額は、その中古住宅が新築された日によって決まり、30,000円~126,000円です。さらに、耐震基準を満たしている中古住宅であれば、土地の取得についても不動産取得税が軽減されます。ただし、以下の要件を満たす必要があるので注意しておきましょう。■住宅より先に土地を取得した場合土地を取得して1年以内にその土地の上に建っている住宅を取得していること■住宅よりあとに土地を取得した場合住宅の取得後1年以内にその敷地を取得していること控除額や手続き方法は、新築住宅購入で土地を取得した場合と同様です。■住宅リフォームで利用できる減税制度住宅のリフォームを行った際に利用できる減税制度としては、以下のものが挙げられます。【所得税】所得税の減税制度には、耐震改修をした場合、バリアフリー改修を行った場合、省エネ改修を行った場合、同居対応を行った場合それぞれについて減税制度があります。このうち、耐震改修をした場合の所得税減税は、自己資金でリフォームを行った場合の投資型減税制度のみが利用できる点に注意しましょう。その他の改修については、投資型と住宅ローンを組んだ場合のローン型から減税制度を選択できます。〇耐震改修をした場合耐震改修をした場合の所得税減税における要件としては、以下が挙げられます。■昭和56年5月31日以前に着工されたものであること■現行の耐震基準に適合しないものであること控除額は、平成26年4月1日以降に耐震改修を行った場合、標準的な工事費用相当額の10%となります。標準的な工事費用相当額の上限は2,500,000円です。〇バリアフリー改修をした場合バリアフリー改修をした場合には、以下の4つのうちいずれかに該当する必要があります。■50歳以上■要介護または要支援の認定を受けている■障害者■要介護または要支援の認定を受けている家族、障害者、65歳以上の家族のいずれかと同居している対象となる工事のおもな条件は、バリアフリー改修工事費用から補助金などを控除した額が500,000円超であることなどです。控除額に関しては投資型の場合、平成26年4月1日以降に入居したケースでは、工事にかかる標準的な工事費用相当額の10%となります。標準的な工事費用相当額の上限は2,000,000円です。また、ローン型の控除額は以下の計算式で算出します。(対象となるバリアフリー改修工事費用-補助金など)×2%+該当部分の年末ローン残高×1%」このうち、「対象となるバリアフリー改修工事費用-補助金など」部分の上限は2,500,000円で、控除額全体の限度額は10,000,000円です。控除期間は5年となっています。〇省エネ改修をした場合省エネ改修をした場合には、以下の要件を満たす必要があります。■住宅の引き渡しまたは工事完了から6カ月以内に入居■床面積が50平方メートル以上対象となる工事のおもな条件は、すべての居室における窓全部の断熱工事を含む省エネ改修工事であることです。投資型の控除額は、平成26年4月1日以降に耐震改修を行った場合、標準的な工事費用相当額の10%となります。標準的な工事費用相当額の上限は2,500,000円です。また、ローン型の控除額以下の計算式で算出します。(対象となる省エネ改修工事費用-補助金など)×2%+該当部分の年末ローン残高×1%このうち、「対象となる省エネ改修工事費用-補助金など」部分の上限は2,500,000円で、控除額全体の限度額は10,000,000円です。控除期間は5年とされています。〇同居対応改修をした場合同居対応改修をした場合における所得税減税のおもな要件には、以下の項目があります。■住宅の引き渡しまたは工事完了から6カ月以内に入居■床面積が50平方メートル以上対象となる工事のおもな条件は、「調理室や浴室、便所、玄関いずれかの増設」などです。投資型の控除額は、工事にかかる標準的な工事費用相当額(上限:2,500,000円)の10%です。なお、耐震改修工事や省エネ改修工事、およびバリアフリー改修工事を併せて行った場合、標準的な工事費相当額の上限は9,500,000円となります。ローン型の控除額は、以下の計算式で算出します。(対象となる同居対応改修工事費用-補助金など)×2%+該当部分の年末ローン残高×1%このうち、「対象となる同居対応改修工事費用-補助金など」部分の上限は2,500,000円で、控除額全体の限度額は10,000,000円です。控除期間は5年となっています。これらの所得税減税の手続きをする際は、確定申告の際、増改築等工事証明書などの書類を所轄の税務署に提出しましょう。また、住宅ローンを利用してリフォームを行った場合は、住宅ローン減税制度を利用することも可能です。模様替え、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修など、さまざまな工事が対象となります。ただし建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人により「増改築等工事証明書」が発行されていることが条件です。控除額は「リフォームローンの年末残高-補助金など×1%」の計算式で算出します。上限は、入居した日が平成26年4月~平成31年6月の場合、4,000,000円です。控除期間は居住を開始した日から10年です。手続きについては、新築住宅購入を行った場合の住宅ローン減税申請方法と同様です。【固定資産税】固定資産税についても、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修をした場合に減額されます。〇耐震改修をした場合耐震改修の場合の要件としては、昭和57年1月1日以前から存在する住宅であることが必要です。工事の対象は以下の通りです。■現行の耐震基準に適合させるための耐震改修であること■改修工事費用から補助金などを控除した額が500,000円超であること控除額は、居住する家屋にかかる固定資産税額の2分の1です。ただし、1戸当たり家屋面積120平方メートル相当分が上限となります。控除期間は1年間です。〇バリアフリー改修をした場合バリアフリー改修のおもな要件としては、以下が挙げられます。■要介護もしくは要支援の認定を受けている者、障害者、65歳以上の者のいずれかが居住する住居であることまた、工事の対象は以下となります。■指定のバリアフリー改修工事であること■改修工事費用から補助金などを控除した額が500,000円超であること控除額は居住する家屋にかかる固定資産税額の3分の1です。ただし1戸当たり家屋面積100平方メートル相当分が上限となります。控除期間は1年間です。〇省エネ改修をした場合省エネ改修の場合の要件は以下のとおりです。■平成20年1月1日前から存在する住宅であること■床面積50平方メートル以上対象となる工事のおもな条件としては、「窓の断熱工事を含む省エネ改修工事であること」などがあります。控除額は居住する家屋にかかる固定資産税額の3分の1です。ただし1戸当たり家屋面積120平方メートル相当分が上限となります。控除期間は1年間です。手続き方法は、改修工事完了後3カ月以内に「固定資産税減額申告書」および必要書類を市区町村に提出します。■まとめいかがでしたか?購入する住宅の条件やリフォームの内容によって、さまざまな減税制度が適用されることがわかったのではないでしょうか。減税制度は補助金制度と違い、併用できる点がポイントです。今回ご紹介した内容を参考に、もれなく申請しておくようにしましょう。
2017年03月01日*画像はイメージです:■世界の裁判制度はいろいろ中国に限らず、日本と外国の国内法が全く同じ内容ということはあり得ませんから、法律の内容は世界の国の数だけ異なります。また、裁判制度も、国が違えば、大きく事情が異なります。日本で当たり前のことでも、外国では違って当然です。本稿では中国の裁判制度について触れてみます。 ■審級制度があるのは同じ日本では、地裁、高裁、最高裁の三審制が原則ですが、中国における裁判所である「法院」も、最高人民法院、高級人民法院、中級人民法院、基層人民法院の4階層あり、審級制度があります。この他、中国では軍事事項を扱う軍事法院がありますが、日本では戦前にあった軍法会議のような特別裁判所は憲法で設置が禁止されていますので、当然ありません。日本では、いったん確定した判決は強力な効力があり、確定判決を覆すための再審事由は極めて限定されており、再審が認められることは滅多にありませんが、中国では比較的再審が利用されているようです。 ■裁判官の質日本では、裁判官への任官は、司法試験に合格した上、司法修習中に起案で抜群の成績をとることが必要であり、事務書類能力や事実認定の証拠評価能力が優秀な人しかなれません。他方、中国では少し前まで、司法試験に合格しない人でも、軍人や役人などが裁判官として任官されており、法的素養がない裁判官も多くいました。コネによる判決や、地元優先の不当な判断を示す裁判官も多く、公平性についての信頼もありませんでしたので、裁判を回避して仲裁を利用することも多いです。 ■刑事事件の特徴刑事事件では、政治犯、社会秩序に対する罪、違法薬物に対する罪の法定刑が重く、死刑判決が下されることが日本よりも相当多いです。また、日本では、3年以下の懲役を言い渡す場合などにしか執行猶予を付すことができず、言渡し刑が無期懲役や死刑などの場合は、執行猶予はありませんが、中国では、死刑判決であっても執行猶予付きにすることができます。死刑執行になるかもしれない執行猶予は、大変恐ろしいです。 旅行も含めて外国滞在中は、当然、滞在国の国内刑法が適用されますから、日本の常識は通用しません。少し前には軍事施設であると知らずに写真を撮影して身柄拘束される事案が続発したこともありました。東南アジア各国でも、薬物事件や売春が死刑などの重い刑罰で禁止されていることがあります。外国では外国の国内法令が適用されますから、渡航前に禁止事項をよく確認の上、旅行中にも羽目をはずしすぎないように注意しましょう。 *著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)【画像】イメージです*Zerbor / Shutterstock
2017年02月13日企業の中には独自の社内制度を設けているところがたくさんあります。たとえば女性特有の不調を理由にした休暇取得、ランダムに選んだ社内メンバーとの飲み会代金を負担、生産性を高めるための30分のお昼寝タイムなどなど…。働く社員のことを考えたユニークな制度も多く、子育て支援を目的にしたものも増えてきています。でも子育て以上に大切なのが、良好な夫婦関係…! そこで今回は夫婦にうれしい制度を設けている企業を紹介していきましょう。■夫婦ゲンカの早期解決を会社が手助け!徳島で育児雑誌を発行する出版社、全国ワイヤーママグループは「夫婦ゲンカ特別休暇」を導入しています。読んで字のごとく、夫婦ゲンカが起こったときの仲直りのための休暇です。なんと年5日まで取得可能ということで、ケンカっ早い(笑)ご夫婦も安心。こんな休暇制度があれば「制度のお世話になってばかりじゃあ…」と、ケンカの抑制につながるかも…?こちらの会社は生後2年の間、社員の赤ちゃん用おむつが無料提供される制度もあります。夫婦にも子どもにもうれしい会社ですね。参考サイト ワイヤーオレンジ ■パートナーの誕生日は仕事をしなくてOK!婚活支援サービスを展開する株式会社パートナーエージェントが導入しているのは、恋人や配偶者の誕生月に休暇を申請できる「パートナーバースデー休暇」。福利厚生の一環ということですが、制度があっても「誰も取得していない」状態ではないも同然。こちらの会社は驚くなかれ、約6割の社員が取得しているといいます!夫婦で休みが異なる場合も「誕生日は一緒に過ごせる」という安心感を得ることができそうですね。大切な人と大切な日を過ごせるよう、会社が後押ししてくれるなんてステキです。参考サイト・ 社員の約6割が取得するパートナーバースデー休暇制度 ・ パートナーエージェント ■お小遣い支給で記念日を豪華に過ごそう!人材総合サービスを提供するエン・ジャパンが導入しているのは「結婚記念日お祝金制度」。これは既婚社員の結婚記念日に20,000円のお祝金が支給されるものです。社員やその家族をねぎらい充実した記念日を過ごしてもらうことで、仕事へのモチベーションアップを狙っているそう。何に使うかは個人にゆだねられますが、ディナーやギフト、旅行資金の一部にする人も多いようです。お金という現実的なものだからこそ、普段お祝いをしない人も「記念日費用」として楽しめるのかもしれませんね。参考サイト エン・ジャパン 社内制度の充実は、働く側にとってはうれしいことですよね。仕事に子育てに夫婦関係…。どれにも大切なのは誰かを思う、思いやりの気持ち。今回ご紹介した社内制度はそんな思いやりのひとつなのかもしれませんね。
2017年02月12日働かなくても毎月国からお金がもらえたら…?そんな一見夢のような制度、「ベーシックインカム」が西ヨーロッパで注目されている。
2017年01月10日■出産育児一時金とは?出産(正常分娩)は病気ではないので、健康保険は使えず、費用は全額自費負担となる。その代わりに出産費用の助成として健康保険からお金が支給される、その一時金のこと。■出産育児一時金のもらえる金額は、いくら?「子どもひとりにつき42万円」が基本。多胎の場合は、42万円 × 人数分となる。加入している健康保険組合や自治体によっては、「付加給付金」を上乗せしてもらえる場合も。■出産育児一時金をもらえる人は、どんな人?自分が健康保険に加入しているか、パパの健康保険の被扶養者になっていて、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産したママ(流産・死産の場合も妊娠85日以降であれば適用)。■出産育児一時金の手続きの概要公的医療保険から、産院へ直接お金を支払ってもらう「直接支払制度」が原則である。その流れをベースに説明しよう。①支給を受ける健康保険を決める「出産育児一時金」を、どの健康保険からもらうのかを決めておく。選択肢としては「自分の健康保険からもらう」「パパの健康保険の被扶養者としてもらう」のふたつ。②支払い制度を選択する手続きの方法は「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請」の3つだが、基本的には「直接支払制度」を使い、直接支払制度に対応していない産院の場合は「受取代理人制度」を利用する。「直接支払制度」の場合は、分娩予約から退院までの間に病院から説明を受けるので、内容を理解し承諾した上で、渡される申請書に必要事項を記入するだけでOK。「受取代理制度」の場合は、出産前に健康保険に利用する旨を届け出て手続き書類を受け取り、産後に書類に必要事項を記入し、加入している健康保険の窓口に提出する。③出産後、差額を精算出産入院する時に、出産育児一時金の支給を受ける健康保険証を提示する。出産費用が出産育児一時金の支給額より多かった場合は、退院する時に超過分を産院に支払う。出産費用が少なかったとき(「直接支払制度」の場合)は、必要書類を公的医療保険の窓口に提出すると後日指定口座に支払われる。「受取代理制度」の場合は、既に書類を提出済なので2週間から2ヶ月くらいで自動的に指定口座に振り込まれる。■コラム:産後申請する場合出産ギリギリまで働いていて、ギリギリのタイミングで里帰りをするなど、直接支払制度の申請に間に合わない場合などは、「産後申請」を使う。産院の窓口で出産費用を全額支払い、出産後に加入している健保に産後申請の書類を提出し、給付金を受け取るという流れ。産後申請の場合で、入院前に保証金が必要だったり、出産費用を支払うのが難しいケースは、加入先の健康保険に出産費用の貸付の相談ができる■出産育児一時金 DATA※この記事は2016年11月末現在の法令・情報に基づいて書いています。(監修:ファイナンシャルプランナー 畠中雅子/文:楢戸ひかる)
2017年01月10日