4月13日の午前7時半ごろ、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射。7時55分、政府はミサイル落下の可能性があるとして、北海道全域にJアラート(全国瞬時警報システム)を発出した。Jアラート発令を受けて、テレビ各局ではミサイル関連のニュース一色となった。「日本テレビでは『ZIP!』内で速報として報じ、TBSでは『ラヴィット!』の開始時刻を遅らせ、『THE TIME,』のスタジオから安住紳一郎アナ(49)がミサイル情報を伝えました。フジテレビでも『めざましテレビ』の放送時間を延長して警戒を呼びかけるなど、各局でイレギュラー対応が見られました」(テレビ局関係者)民放と同様にNHKでも「緊急ニュース」に切り替えられ、連続テレビ小説『らんまん』の第9話が休止に。公式サイトでは、《ニュースで休止となった「らんまん(9)」は午後0時45分から放送する予定です。あす午前8時からは、(9)と(10)を続けて放送します》とアナウンスされた。北朝鮮のミサイルによる朝ドラ休止は今回が初めてではなく、前作『舞いあがれ!』も第2話と第24話がJアラートによって流れた。ミサイルによる相次ぐ放送休止に、SNSでは朝ドラファンから悲痛の声が広がっている。《毎度、朝ドラにぶつけてくるな》《本当ミサイルこの時間ばっかだな》《「舞いあがれ!」もそうだったけど、なんで北朝鮮は朝ドラが始まった週にミサイル撃つの?》平日の地上波では、午前だけでなく午後にも放送される朝ドラ。加えて、BSでは午前7時30から放送されており、リアルタイムで1日3回の視聴機会がある。ただ、今後も北朝鮮によるミサイル発射によって朝ドラ放送の中止が続けば、放送時間が変更される可能性はあるだろうか?NHKの広報担当者は13日、本誌の取材に「現段階では変更予定はありません」と回答した。Jアラート発出後、政府は「落下の可能性がなくなったことが確認された」と訂正したが、北海道内では安全確認のため列車28本が運転を見合わせるといった影響も伝えられた。「いつもの番組」が見られないのは残念だが、命の安全がなによりも大切だ。
2023年04月13日10月19日午前10時過ぎ、北朝鮮が日本海に向けて計2発の弾道ミサイルを発射。今回発射されたミサイルは「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)」で、2発とも日本海に落下したと推定されている。岸田文雄首相(64)も、遊説先の福島市で「先月来、連続してミサイルを発射していることを遺憾に思う」と述べ、北朝鮮を非難。外務省も、弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会の決議違反だとして外交ルートを通じて北朝鮮側に抗議した。岸田首相は、東北を回る遊説日程を途中で切り上げ、東京の首相官邸に戻った。しかし、「もっと早く官邸に戻れたのでは」という声が党内から上がっている。「予定では、岸田総理は福島県を午前中に回って、その後は仙台駅前で演説、秋田県内に入って八郎潟町や秋田市での応援演説をするはずでした。ミサイルの1発目は10時15分、2発目は同16分とされていますが、総理は10時20分から土湯温泉で街頭演説を始めた。それが終わった後、仙台市に向かい、駅前の商業施設の前で応援演説に立っていました。つまり、北朝鮮がミサイルを発射していることがわかっているのにも関わらず、仙台に向かったわけです。党内では、『なぜもっと早く東京に戻らなかったのか』という声が聞こえます。なぜなら、官房長官も官邸を不在にして、自分の選挙区に行っていたのです」(自民党関係者)さらに衆院選の公示日とあって、ミサイルが発射された時点で、松野博一官房長官(59)も選挙区がある地元・千葉県に入っていたのだ。「首相が出張で官邸を離れる際、官房長官は都内で留守を預かるのが慣例となっています。何かあった際に、すぐに官邸に入って危機管理の指揮をとるためです。2014年の衆院選の時、当時の安倍晋三首相と菅義偉官房長官が選挙応援のため、同時に都内を離れてしまった時も、『危機管理上問題はないのか』という懸念が党内から示されたことがありました。今回、松野官房長官は、代理として磯崎仁彦官房副長官を指名して“留守番”をさせていました。磯崎副長官は参議院議員で衆院選は関係ないので、官邸に詰めていることができるからです。2014年の安倍氏と菅氏が官邸を同時に離れた時も、当時参院枠の官房副長官だった世耕弘成参院幹事長に留守を守らせていましたが、その前例にならった形と言えます」(政治部記者)ある自民党中堅議員は、「留守番がいればいいわけではない」と語り、「岸田総理は官邸に戻って、発射直後に国民への的確な情報提供などの指示を出し、『緊急時、必要ならば自衛隊機で戻れる体制も整えていた』と話していますが、すぐに戻らず仙台に向かってしまったのは良くなかったと思います。なぜなら、“万が一の事態”が起きて国家安全保障会議(NSC)を開催し、国民の生命に関わるようなことについて、速やかに意思決定を下さなければいけない局面が起きたとします。同会議の議長を務める総理や、総理の不在時に会議をまとめる役割を担う官房長官が“不在”で、はたして問題はないと言えるのでしょうか。“連絡がつくから大丈夫”と言っても、通信網が機能せず連絡がつけられないような事態になっていたら、どうするのでしょうか。岸田総理と松野官房長官の“官邸不在”が、危機管理上問題がなかったとは決して言えません」政権発足から2週間を過ぎた岸田首相に、“危機対応”という壁が立ちふさがった。
2021年10月20日デンマークの元料理人が北朝鮮に潜入、約10年間にわたりスパイとして武器密輸の実態を記録したドキュメンタリー映画『THE MOLE(ザ・モール)』が、10月15日(金)より公開されることが決定。場面写真5点が解禁された。タイトルの「ザ・モール」は英語でモグラという意味で、そこからスパイをも意味する。本作は平凡なデンマークの一般市民が、CIAさえ容易に情報を掴めなかった北朝鮮の国際的な闇取引(武器密輸)のネットワークに潜り込み、その実態を赤裸々に暴いたドキュメンタリー。元料理人のウルリクと架空の石油王に扮したミスター・ジェームズのコンビが、北朝鮮の関係者たちを巧みに欺きながら盗撮を重ね、想像を絶する闇取引の奥底へと踏み込んでいく様は正真正銘の“リアル”スパイ活動の記録。あらゆるフィクションを超えた命がけの潜入調査となっている。監督は、日本でも『誰がハマーショルドを殺したか』(19)で話題を呼んだマッツ・ブリュガー。映画デビュー作『ザ・レッド・チャペル』(09)で北朝鮮の怒りを買い、入国禁止となった因縁を持つ北欧の鬼才が、ウルリクらが撮影した映像素材にナレーションや撮り下ろしのインタビューシーンを新たに加え、全世界が騒然とするスパイ・ドキュメンタリーが完成した。なお、本作は2020年秋に英国BBCと北欧のテレビ局、さらに今年2月には「潜入10年 北朝鮮・武器ビジネスの闇」という題名でNHK-BSにて放送され、大きな反響を呼んだ。あまりにもショッキングな内容ゆえに「本当にドキュメンタリーなのか?」という声が各方面から上がったものの、専門家による映像の鑑定を行ったブリュガー監督は「100%ノンフィクション」と言明。すでに国連とEUも本作の告発に関心を示しており、今後新たな国際調査へと発展していく可能性もあるという。本作はTV放送版に含まれなかった未公開シーンを追加した再編版の上映となる。『THE MOLE(ザ・モール)』は10月15日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:THE MOLE 2021年10月15日よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開© 2020 Piraya Film I AS & Wingman Media ApS
2021年07月02日北朝鮮で起きていることは、ニュース報道で知る程度よね。国交がないからだけでなく、国を挙げての秘密主義という鋼鉄のベールに包まれて、実態を知る人は日本にはわずか。でもさ、朝鮮半島にルーツを持つ在日コミュニティへの差別問題や、日本人の拉致事件をはじめ、あたしたちの生活にも直結することは山盛りじゃない。だからこそ、能動的に知るべきなんだと思うのよね。とくに、彼の地で暮らす人たちが、どういう状況にあって、どんな人たちなのかってことを。そこでこの作品『トゥルーノース』をオススメしますわ。主人公のヨハンとミヒの兄妹は、在日朝鮮人の帰還事業で北朝鮮に渡った両親とともに平壌で幸せに暮らしていたの。ところがある日、父親が政治犯の疑いをかけられて逮捕されちゃう。それだけじゃなく、兄妹と母親は連帯責任を負わされて、政治犯が収容される強制収容所にぶち込まれちゃうの。大人のみならず小さい子どもも強制労働させられて、食料はほんの少し。極寒の地で暖房やお風呂のないボロ小屋生活。おまけに収容者のなかには、看守に密告することで地位を得ている者もいて、いつ何時貶められるかわからない四面楚歌。最凶最悪の状況で、兄妹は育っていくのよ……。もう、これだけでも胸が苦しくなるってのに、なんとこれ、序盤なの。物語のメインとなるのは、その後のヨハン。このスチール写真のように可愛いヨハンは、収容所の荒んだ生活ですっかり別人に。密告しまくりのグループに入って闇落ちしてるのよ。心の底では、闇落ちしていることを「食料確保のため、母と妹のため」と言い聞かせているけど、実際は仲が良かった収容者にも暴力的に。そんなある日、彼のしでかしたことをきっかけに事件が勃発し、最愛のお母さんに危険が……。ううう、もうコレ以上は言えませんわ、つらすぎて……。こうしてストーリーを語るだけでも悲劇に次ぐ悲劇なんだけど、実際に作品を観ると、観終わるまではかなりスルスルとのみ込めちゃうのよ。なぜって?それはアニメーションだから。この物語をもしも実写で、役者さんのお芝居で描いていたら、途中で退席しちゃってたかもしれないほどよ。お見事としか言いようのない最良の方法・アニメーションで、人権とはなに?人間の生きる意味ってなに?ってことを教えてくれる良作。ただ悲惨な収容所の現実を描いているだけでなく、ユーモアのセンスがちりばめられているのも驚きよ。だって、にっちもさっちもいかない厳しい状況下にあったら、思い浮かべるのは「生への希望」だものね。だからこそ、登場人物ひとりひとりが、めちゃキャラ立ちしているし、訴えかけるメッセージも強烈。そうやって「人として正しく生きるにはどうするか」ってことまで言及しているのが素晴らしいの。ちなみにこれはフィクションだけど空想の産物じゃないの。無数の資料と証言はもちろん、韓国や日本、アメリカなどに散り散りになった収容所を体験した脱北者や元看守へのインタビューも参考にしているんですって。誰か一人をモデルにするんじゃなくて、あらゆる人のエピソードを織り交ぜたみんなの物語。生きる意味と人権を学ぶチャンスよ。ぜひスクリーンで!『トゥルーノース』2012年のドキュメンタリー映画『happy‐しあわせを探すあなたへ』のプロデューサーの初監督作。監督・脚本/清水ハン栄治声の出演/ジョエル・サットンほかTOHOシネマズ シャンテほかにて上映中。©2020 sumimasen※『anan』2021年6月16日号より。文・よしひろまさみち(by anan編集部)
2021年06月14日北朝鮮強制収容所の内情を生存者証言を参考に描きつつ、過酷な環境で生きていく家族とその仲間たちが成長していく姿を3Dアニメーションで活写した衝撃作『トゥルーノース』が6月4日(金)より公開決定。新予告編とポスタービジュアルが解禁となった。本作は、レオナルド・ディカプリオも激賞したドキュメンタリー映画『happy - しあわせを探すあなたへ』のプロデューサーを務めた清水ハン栄治の初監督作品。在日韓国人4世である清水監督は、幼い頃から帰還事業で北朝鮮に渡航後に消息を絶った人たちの話を聞いており、実際に収容体験をもつ脱北者や元看守などにインタビューを行い、10年もの歳月をかけて作り上げた。強制収容所内の恐るべき実態を描きつつ、家族愛、仲間との絆・ユーモア、死にゆく者への慈しみの心情などが、実写ではなく、あえて寓話的なアニメーションで描かれた本作は感動と評判を呼び、アニメ映画の世界最高峰を選ぶ権威あるアヌシー国際アニメーション映画祭「長編コントルシャン部門」にノミネート。韓国のプチョン国際アニメーション映画祭長編部門の特別賞をはじめ海外の映画祭を席捲、昨年の第33回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス部門」でも正式上映され話題となった。音楽監督はディズニー長編アニメ映画『ムーラン』(1998年)のマシュー・ワイルダーが担当した。今回解禁となる新予告編では、「12年前、私は母国から亡命しました。これは私の家族の物語です」とカメラに向かって語りかける男性の言葉から始まる。1995年北朝鮮・平壌、両親と幸せに暮らしていた主人公ヨハンは、突然父が政治犯の疑いで逮捕され、母と妹ミヒとともに悪名高き強制収容所に送還されてしまう。「お母さん心配しないで。僕が母さんとミヒを守る」とヨハンは決意するが、飢えと極寒の中、「お前らは皆使い捨てなんだよ」と過酷な労働を強いられる。そんな生存競争の中、ヨハンは次第に優しい心を失うが、家族を失ったことで本来の自分を取り戻していく――。「北朝鮮の人々のヒューマニティーを表現したかった」と監督併せて解禁されたポスタービジュアルには「それでも、生きていく。」というコピー、そして高い壁がそびえる場所に立ち、遥か遠くの空を自由に飛ぶ鳥を見つめる後ろ姿が配された。清水監督は「『トゥルーノース』というタイトルには2つの意味を込めました。ひとつは英語の慣用句で“絶対的な羅針盤”の意。人間として進むべき方向や生きる真の目的を、究極の環境でも見失わない主人公たちの葛藤を描きたかった。ふたつめに“ニュースでは報道されない北朝鮮の現実”。それは今日でも12万人以上が収容されている政治犯強制収容所での人権蹂躙と、抑圧の中でも健気に生きる北朝鮮の人々のヒューマニティーを表現したかったのです」と、本作に込めた思いを力強く語っている。『トゥルーノース』は6月4日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:トゥルーノース 2021年6月4日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開©2020 sumimasen
2021年03月12日1.「エミリー、パリへいく」(Netflix)Photo/Shutterstock仕事に恋に大忙しの人の大人女子におススメ!「セックス・アンド・ザ・シティ」や、「プラダを着た悪魔」の衣装を手がけた、パトリシア・フィールドがスタイリストを担当するロマンチック・コメディ。パリの広告会社につとめることになったアメリカ人エミリーが、言葉や文化の壁を越えて成長してゆく物語。見所は、SNS時代にふさわしい映像表現と、テンポのいい物語展開、そしてファッション!アメリカでは、エミリーの着た衣装が通販であっという間になくなってしまうという現象がおきているのだそう。恋に、仕事に、人生に前向きなエミリーの生き方と個性たっぷりの同僚や友人、そしてイケメン俳優たちから、沢山の元気をもらえること間違いなしです。2.「愛の不時着」(Netflix)Photo/Shutterstock2020年最大の配信系ドラマヒット作といえば、文句なしに本作でしょう。パラグライダーの事故で北朝鮮に流されてしまった財閥の跡取り娘・セリと、セリをかくまううちに、次第に愛し始める北朝鮮の将校、リ・ジョンヒョク。韓国ドラマって、シナリオもキャラクターも素晴らしくて、なぜ日本でこういうドラマが生まれないんだろう……と思ってしまうのですが、本作の根底に流れるのは、韓国と北朝鮮の緊張関係。ミサイルの発射や独裁政権など、とかく「不気味な国」としてとらえられる北朝鮮ですが、韓国と北朝鮮は「休戦中」であり、その要因のひとつになったのは私たちの国、日本でもあるんですよね。日本では政治的な発言が嫌われることが多いですが、韓国ドラマの多くの作品には、南北統一という複雑な悲願が流れているからこそ、ドラマが引き立つのかもしれません。3.「13の理由」……NetflixPhoto/ShutterstockNetflix Original シリーズ最大のヒットシリーズのひとつであり、全米のティーンエイジャーと社会に大きな影響を与えた作品。「なぜ彼女は自ら命を断ったのか?」高校生のクレイのもとに、カセットテープが届く。その内容は、2週間前に命を絶ったクラスメイト・ハンナが、自殺に至った「13の理由」が吹きこまれていた……。イジメや恋愛、家族との葛藤、そして、社会に深く根づくヒエラルキー。現代の若者が抱くすべての問題が凝縮されたシリーズは波紋を巻き起こし、ドラマを観たあとに、若い世代の自殺が急増してしまった……という悲しいニュースも流れました。それだけ、社会の問題に肉薄した本作。もちろん、切ないラブストーリーとしての要素もあり、主人公クレイのハンナに対する想いは胸を打ちます。4.「東京女子図鑑」……Amazon OriginalPhoto/Shutterstock東京で生きる女の本音が炸裂!?Netflixとくらべて、オリジナル作品は少ないものの、「バチェラー・ジャパン」や「ドキュメンタル」など、バラエティ系オリジナル番組に力を入れているAmazon Prime Video、筆者のオススメドラマはなんといっても「東京女子図鑑」です。水川あさみさん演じる主人公・綾が、23歳で上京し、40歳になるまでの、仕事、恋愛、結婚を、出会う男性と、その時時に住む街を通して描いた作品。秋田→三軒茶屋→恵比寿→銀座→豊洲→代々木上原と、綾が引っ越してゆく街の風景と出会う男性のタイプにおもわず「あるある!」と叫んでしまうこと請け合いです。5.「CIA分析官 ジャック・ライアン」……Amazon OriginalPhoto/Shutterstockアクションが苦手な人にもおすすめ!「LOST」「プリズン・ブレイク」「フリンジ」といった大ヒットドラマを手がけたプロデューサーが、世界的ベストセラー小説を連続ドラマ化。CIAのエージェントが、ヨーロッパや中東を舞台に、テロリストと戦う物語です。こうしたCIAエージェントとテロリストの戦いモノは、主人公が自ら身体をはり、アクションを繰り広げるものが多いのですが、本作の主人公、ジャック・ライアンは、元経済博士&会社勤務を経てCIAの「分析官」になったという経歴。新米分析官がヒーローへと成長してゆく様は、今をときめく大人女子も共感間違いなしです。■休日は、おうちで一気見!いかがでしたでしょうか?配信系サイトは日々新作ドラマが配信されるので見きれない……という方も多いと思いますが、今回オススメした作品はいずれも、自信をもっておすすめできる作品ばかりです。
2021年01月01日2020年6月5日、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父・横田滋さんが、入院先の病院で亡くなりました。87歳でした。1977年に、当時中学1年生だっためぐみさんが北朝鮮に拉致されて以来、妻の早紀江さんとともに40年以上、娘の救出活動を行ってきた滋さん。しかし、願い続けた再会は叶いませんでした。同月9日、妻の早紀江さん、息子の拓也さんと哲也さんは会見を開き、コメントをしています。横田早紀江さん「全身全霊で頑張った」会見で早紀江さんは「主人は思い残すことないほど全身全霊で頑張ったと思います。本当に静かな笑顔で天国に行きました」と語り、活動へのこれまでの支援に対し、感謝の言葉を述べました。息子の拓也さんは、姉・めぐみさんとの再会が叶わないまま父親が他界したことについて苦しい胸の内を明かしています。私の姉は1977年に北朝鮮に拉致をされ、なんの安否の情報もないままで苦しい中を走り続けた25年間でした。2002年の日朝首脳会談で北朝鮮にいると分かり、私たち横田家は北朝鮮という具体名が出てきたことによって、早期にこの問題が解決するのではないかと淡い期待を持ったのも事実です。そして、両親はこの淡い期待を現実にするために、18年間闘い続けてきたわけですが、残念ながら父・滋は6月5日の午後に他界してしまいました。父はめぐみの写真を撮るのが大好きで、本当に目の中に入れても痛くない、それほどかわいがっていた姉とどれだけ会いたかっただろうと考えると、悔しくて悔しくて仕方がありません。FNNプライムオンラインーより引用滋さんはいつも笑顔を絶やさない穏やかな人柄で、病床でも愚痴を決していわない、とても強い人だったそうです。最後の瞬間、早紀江さんが耳元で「お父さん、気持ちよく眠ってください。行く時まで忘れないで待っていてね」と声をかけると、うっすら片目を開けたという滋さん。その目元にはひと粒の涙が見えたといいます。日本政府が正式に認定している拉致被害者は17名ですが、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者として、現在も捜査を続けられている対象者は883名にも及びます。北朝鮮による拉致被害者家族は高齢化が進んでおり、一刻も早い解決と真相究明が求められていますが、なかなか進まない現状です。哲也さんは「父が果たせなかった遺志を受け継いで、墓前で帰ってきたよと報告することが使命だと思っています」と語りました。[文・構成/grape編集部]
2020年06月09日朝鮮戦争のさなか、故郷・北朝鮮からモスクワ国立映画大学に留学し、その後ソ連に亡命した8人の若者の“その後”を追ったドキュメンタリー映画『さらばわが愛、北朝鮮』が、5月2日(土)より日本公開。この度、その予告編映像が解禁された。予告編でも登場するように、8人のうち3人はカザフスタンとソ連で映画製作者となった。キム・ジョンフンはカザフスタンで特殊効果の専門家となり、チェ・グギンは 『The Year of The Dragon』(英題・1980)で高く評価される映画監督としての地位を確立し、ウイグルのレジスタンス運動に結束を呼びかけた。ハン・ジン(後に改名してハン・デヨン)は、中央アジアに居住する朝鮮民族のための劇場、“高麗劇場”の作家となった。彼は1993年に亡くなっているが、本作では彼のロシア人妻がインタビューに答えている。第42回モントリオール世界映画祭ワールド・ドキュメンタリー部門(コンペティション部門)をはじめ、山形国際ドキュメンタリー映画祭2019、第9回釜山平和映画祭コンペティション部門、2019年ソウル国際女性映画祭ニュー・ウェイブ部門に出品。監督は、連作ドキュメンタリー「女性史三部作」(2000~04)や劇映画『ビューファインダー』(2010)などを発表する女性監督キム・ソヨン。今作はそれらに続く「亡命三部作」(2014~19)の完結篇にあたる。キム監督は、「製作に着手した際、8名のうち7名がすでに亡くなっていた。撮影当時の生存者はただ一人が最後のサバイバーであり、朝鮮戦争、南北朝鮮分断、金日成、そしてスターリンの目撃者でもある。彼らは、未だ語られない歴史についての生身のアーカイブである」との言葉を寄せている。『さらばわが愛、北朝鮮』は5月2日(土)より新宿K’s cinemaほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:さらばわが愛、北朝鮮 2020年5月2日より新宿K’s cinemaほか全国にて順次公開©822Films+Cinema Dal
2020年03月27日’59年に始まった、日本から北朝鮮への帰国事業。当時“地上の楽園”とうたわれ、在日朝鮮人とその日本人妻、子どもらが大勢、海を渡った。しかし、その地で待っていたのは飢えと病院に薬もない地獄の日々だった。日本人妻の1人、斎藤博子さん(78)は、家族の命を守ろうと働きづめの日々を送るが、夫や子どもは次々と死んでいく。行き詰った斎藤さんは、まず1人で脱北し、帰国。政治家は当てにならないと、日本から北朝鮮で生き残った子や孫を連れ戻す活動を始める。そして昨年、日本の裁判所に、北朝鮮政府と金正恩を訴えたーー。「北朝鮮は、“地上の楽園”だといわれていました。学費も医療費も無料。家も家具もすべて用意するから、身ひとつで来たらいい、と。それなのに、楽園どころか地獄でした。いや、地獄より、もっと怖いところです。残してきた子ども6人のうち、4人は亡くなったけど死に顔も見られませんでした。いつ、どこで死んだのか、わからない子もいる。それがいちばん心苦しくて……」斎藤さんは、ごつごつと骨張った手をさすりながら、そう言葉を絞り出した。斎藤さんは18年前の’01年8月、北朝鮮から脱北してきた。北朝鮮に渡ったのは、’61年。20歳のときだった。在日朝鮮人の夫と、その家族が、当時北朝鮮政府が奨励していた北朝鮮への“帰国事業”に応じたため、海を渡ったのだ。「帰国と言っても、夫の家族は韓国の出身でしたから、帰国でもなんでもないの。でも、義父はいちばん行きたがっていました。日本で差別され、いい仕事にも就けなくて苦労したから“地上の楽園”と聞いて心が動いたんでしょう」戦後、在日朝鮮人は60万人以上いて、その多くが韓国出身だった。北朝鮮政府は、朝鮮戦争で失った労働力を穴埋めするため、’59〜’84年にかけて、在日朝鮮人に対し帰還を奨励。「北朝鮮は地上の楽園だ」と喧伝し、帰国を促した。日本政府もこれを歓迎し、国会議員が党派を超えて後押しした。その結果、約9万人の在日朝鮮人が騙されて北朝鮮に渡ったのだ。そのなかには、斎藤さんのような日本人妻や、日本国籍を持つ子どもも約7,000人いたという。「自分の子や孫だけじゃない。私は日本に戻ってはじめて“拉致被害”を知ったんですが、拉致被害者の方々はじめ、北に捕らわれているすべての日本人を助けないといけない。それができない限り、私の仕事は終わりません。まだまだこれからです」斎藤さんが、こう考えるようになったのには、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」(以下、守る会)の名誉代表で、元・大阪経済大学准教授の山田文明さんとの出会いが大きかったという。「山田先生は、北朝鮮に家族がいるわけでもないのに帰国者のために必死になってくれています。脱北者を中国まで迎えに行ったり、帰国者の働き口をつくってくれたり。先生がこれほど親身になってくれているのに、私たちが黙っているわけにはいきません」大阪の八尾市に住む山田さんを頼って、近くに移り住む帰国者は多い。斎藤さんも、’09年に東京から大阪に住まいを移し、山田先生やほかの脱北者たちとともに、北朝鮮に残る日本人を救出してほしい、と訴えてきた。そして昨年8月、斎藤さんらは、新たな行動を起こした。同じように脱北してきた日本人5人とともに、北朝鮮政府とその責任者、国務委員会委員長の金正恩を“国家誘拐行為”と“出国妨害行為”の罪で提訴。損害賠償5億円を求めている(※)。「飢え死にする人が1年に多数いる国なんです。その中には多くの日本人もいる。騙して連れていった責任を北朝鮮政府には取ってほしい。最近は中国への渡航も厳しくなっているようです。ひどい状況を変えようとしない金正恩の責任も問いたい」「守る会」の山田さんは、裁判の意義をこう話す。「帰国事業で渡った人は、自分の意思で行ったのだから自己責任だ、という人がいます。しかし、“地上の楽園”と虚偽の説明を聞かされて、正しい判断ができなかった。そのうえ、今もなお出国が許されず、日本の家族と会うこともかないません。日本に残された家族の中には、北にいる子どもの写真を見せて脅され、拉致に協力させられた人もいます。つまり、帰国事業は“拉致問題”の原点なのです。これを解決しない限り拉致の解決もありません」斎藤さんは、いまの日本政府にも思うところがある。「トランプさん頼みではダメ。日本人を助けないで誰が助けるの?安倍首相みずから、金正恩に会いに行ってほしい」そして、最後にこう語った。「日本に帰ってはじめて、桜を美しいと感じられた。北朝鮮にも桜はあるんですよ。でも、向うにいたら見る余裕も美しいと感じる余裕もなくて。北に残っている日本人はみな同じ気持ちのはず。一日も早く、桜を見て『美しい』と思えるような国になってほしいんです」※弁護団は、不法行為があった地が日本国内なので、日本の裁判所が国際裁判管轄を有するとしている。「外国等に対する我が国の民事裁判権に対する法律」の外国等に対する我が国の第4条で、外国等はこの法律に別段の定めがある場合を除き、裁判権から免除されるとある。ここでいう「国」は日本が承認する国家を指すと考えられる。北朝鮮を日本政府は国家として承認していないので、外国等に当たらず日本の民事裁判権から免除されないとしている。
2019年09月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「北朝鮮の実情」です。予想外に開かれた平壌。互いに知ることが重要では?8月に平壌を視察してきました。想像以上に発展しており、現地の新聞や雑誌には、新しい工場建設の見出しが日々躍っていました。また、街なかでは外国人が多く歩いていました。北朝鮮と国交を断っている先進国はアメリカとフランスと日本のみ。世界の98%の国とは交流があるので、決して閉ざされた国ではないんですね。北朝鮮の人たちの話を聞くと、彼らの希望はとにかく経済発展させること。これまで国家予算は核開発にあてられ、国民は厳しい生活に耐えてきましたが、核兵器が完成して、ようやく生活や科学技術の向上を望めます。農村部との格差をなくすために、AR(拡張現実)技術を使って遠隔操作で教育を施すなど、教育にも力を入れていました。非核化に関しては、「アメリカが核を持っているかぎりは難しい」とコメント。ただ、9月9日の軍事パレードで大陸間弾道ミサイルの展示はなく、それは、米朝間交渉を円滑に進めるための配慮だといわれています。経済制裁のダメージは受けていて、ある女子学生は「おしゃれな雑貨が入ってこなくなった」と話していました。最新医療現場では日本やドイツ製の医療機器も置かれており、すべてを自国製で賄うのは難しいため、一刻も早い国際社会との連携を願っています。拉致問題について学生に意見を聞いてみると、そんなことが自国であったことに衝撃を受けた、と話していました。でも彼らの主張は、それよりもまず戦時賠償解決のほうが先立つんですね。交流を断っているため、お互いに50年くらい前のイメージのまま止まっています。これは両国政府の反日、反北朝鮮プロパガンダが浸透しているといえます。北朝鮮の方々は、過去の日本に対しては厳しい認識を持っていますが、日本の国民性や技術力に対しては期待を抱いており、互いに協力したいという声もたくさん聞きました。北朝鮮も日々変化しています。外交官同士が雑談レベルで話せる関係を持ち、互いの最新のニーズを知ることが大事だと思います。韓国や中国との間にある問題と同様、対立する道具にするのではなく、知恵を出し合って、解決する機運を高めていきたいですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年10月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年10月14日「北朝鮮にいってきた人がいる」そう聞いた途端、たくさんの疑問が湧き上がってきた。「なんで?」「どうやって?」「どんな国なの?」「旅行で?」「食べ物は美味しかった?」、エトセトラ。ニュースやSNSを通して毎日のように北朝鮮の話題を目にする。けれど、私たちの多くはそこにどんな人が住んでいて、どんな生活を送っていて、どんな気持ちを抱えて日々過ごしているのかを知らない。一番よく耳にするのに、一番よく知らない。情報量と認識の歪さが筆者をこう思わせる。「なんか怖い」「暗い」「しめっぽい」「本当に人が住んでいるのかな」。それはもはや異国というよりは異世界の感覚で、要するに筆者は北朝鮮がわからないのだ。知らない、わからない、はたいていの場合、知りたい、という好奇心に帰着するわけだけど、北朝鮮の事に限って言えば、知る術さえないというのが正直なところだった。だから、北朝鮮に行って、北朝鮮の建築の写真を撮ったフォトグラファーがいるということを知ったとき、迷わず彼の話を聞いてみたいと思った。 その人の名前はOliver Wainwright (オリバー・ウィンライト)。ロンドン在住のライターでフォトグラファーだ。北朝鮮への旅で彼が撮影した建築物の写真は『INSIDE NORTH KOREA』という書籍にまとめられている。彼は一体どうして北朝鮮に行って、そこで何を感じたのだろうか。-建築の仕事に携わるなかで、なぜ北朝鮮に行こうと思ったんですか?北朝鮮に行こうと思い立ったのは、2014年のことです。私は、ヴェネツィア建築ビエンナーレ*1で北朝鮮の建築家が描いた絵を見ました。その絵からは、孤立した彼らの母国で、 “観光の未来”がどのように描いているのかが見て取れました。 そこには宇宙間を移動する軍用の輸送船や、崖の上にピッタリ密着するように建っている円錐状の鏡面ガラス貼りのホテルが描かれていたんです。そうした未来予想図は、明らかに一昔前のものでした。宇宙家族ジェットソン(1960年代からアメリカで人気を博したアニメ)や、ダン・デアコミック(1950年代のイギリスのSFコミック)に描かれていそうなものだったんです。さらに、キュレーターを務めていたNick Bonner(ニック・ボナー)氏が、この絵のなかに描かれているような建築物は、実際に北朝鮮の首都、平壌(ピョンヤン)で建設されているものとそう遠くないのだと教えてくれました。 そのとき、彼が冗談を言ってるのかとも思いましたが、それが冗談なのか本当なのか答えを知る方法は一つしかないと思いました。その翌年に彼が平壌の建築物を回るツアーを企画していたので、私は迷いなく参加を決めました。(*1)イタリア・ヴェネツィアで2年に一度開催される、国際展覧会「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の建築部門-この旅において、最も興味深かった建築物は何ですか?平壌では、1989年に第13回世界青年学生祭典(共産主義圏におけるオリンピックのようなもの)が開催されました。この期間に向けて、国家プロジェクトとして建てられた多くの建築物は、この国の建築において興味深いものばかりです。また、超巨大な綾羅島メーデー・スタジアムは、今なお、世界最大のスタジアムとして知られており、大きく開いた花びらのような形をしています。 他にも、コンクリート製のティピー(アメリカインディアンの移動式住居。テントのような形状をしている)のような形に設計された国際アイススケートリンクがあります。Chongchun Sports Street(忠誠スポーツストリート)には、大きなコンクリートアリーナがいくつかあり、それぞれがそこで行われる競技を表現したような設計です。たとえば、ウェイトリフティングのアリーナは大きなダンベルの形をしていて、バドミントンアリーナの屋根はバドミントンのシャトルのような形をしています。-日本に住む多くの人は北朝鮮の人々の生活を知りません。だからこそ、この本から学ぶものは大きいと思います。最後に、まだ北朝鮮に行ったことのない人々にメッセージをお願いします。 私がこの本を書いた理由の一つに、実際に北朝鮮に訪問して、自分自身の目で北朝鮮を見る人が増えて欲しいという思いがありました。北京には北朝鮮ツアーを企画しているいくつかの企業があり、北朝鮮に行くこと自体はそんなに難しいことではありません。実際に行ってみて、北朝鮮の人々は本当に友好的で好奇心に満ち溢れ、外国の人々に会ってみたいと感じているようだと思わされました。また地元のガイドの人は、皆さんが考えるような機械的に書かれた原稿を棒読みをする警備員のようなものではなく、人情に溢れた普通の人です。北朝鮮という国において人々は依然として貧困に苦しんでいます。けれど、現在バブルの渦中にあり、スマートフォンや車、 お店やレストランにアクセスできる平壌では、私たちが普段送っているものに近い“現実的な生活”を送れる可能性が示唆されています。ファッションは日々変化していて、人々は西洋式の服を着て、カフェに行ったりしています。 実際に入ってみると想像以上に親しみやすい国だった北朝鮮(少なくとも私がいった平壌)には外から見る以上に多くの側面があります。▶︎これまでの「GOOD ART GALLERY」・#16 持っている服を体にぐるぐる巻き。「自分の選択した服」が持つ意味を視覚的に考えさせる写真家・#15 「肌荒れって美しい」。ニキビに美を見出した女性フォトグラファーが、世の中の“美の基準”を再定義する・#14 現代社会で軽視されがちな“感情”の大切さをアートを通じて思い出させてくれる「ビジュアル哲学者」▶︎オススメ記事・12作目: メディアが報道しない、北朝鮮の“普通の暮らし”とは。撮影監督が韓国籍を放棄して挑んだドキュメンタリー『ワンダーランド北朝鮮』|GOOD CINEMA PICKS・#005 「アーティストは稼げない職業だとは思わない」。アフリカにフィルム写真を広める21歳の写真家の夢|ノマド・ライター マキが届ける『ナイロビ、クリエイティブ起業家の肖像』All photos via Oliver WainwrightText by Kotona HayashiーBe inspired!
2018年08月09日北朝鮮についての報道で目にするのは、「軍事パレード」「ミサイル発射実験」「飢餓」などのキーワード。日本のテレビニュースでも、同国で放送された番組の映像が映されることがあるが、それは北朝鮮の実際の姿に近いのだろうか。外からのアクセスが容易でない国家について、内情を詳しく知ることは難しい。今回の『GOOD CINEMA PICKS』で紹介するのは、限りなく日常の姿を撮ろうと北朝鮮に三度入国したのちに撮影された、初の北朝鮮政府公認ドキュメンタリー『ワンダーランド北朝鮮』だ。そこに映る、人々の“普通の生活”とはどんなものだろうか。©Kundschafter Filmproduktion GmbH北朝鮮国民のサステイナブルで、幸せそうな生活朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の国民の生活と聞いて思い浮かぶのは、困窮した、そして統制された生活かもしれない。本作に映る人々には、自給自足に近い暮らしをしている人も、工場や施設で働いている人もいるが、共通しているのは「素朴で穏やかな生活」を送っているように見える点だ。本作の監督はそんな様子を目の当たりにし、自身が子ども時代を過ごした1970年代の韓国を思い出したとインタビューで話している。また観客を驚かせるのは、北朝鮮の暮らしが他国と比べて非常にサステイナブルなところだろう。地熱発電、風力発電、太陽光発電など自然のエネルギーが推奨されて使われているようだ。さらに農村部の家庭では家畜などの糞から発生するメタンガスを利用して調理したり、畑で余った藁で暖をとったりするなど、使えるものを無駄なく使う循環型のライフスタイルが成立している。国が経済制裁下にあるからこそ、そのような生活をするしかないのだと推測できるが、それは地に足の着いた平和なライフスタイルとして目に映る。©Kundschafter Filmproduktion GmbH韓国籍を捨て、北朝鮮公認ドキュメンタリーを撮影した監督北朝鮮への入国には制限があるし、映像を撮るには許可が必要だ。隠し撮りをしたことや身分を偽っていたことなどが理由で、同国を取材したジャーナリストや監督が入国禁止になったり、逮捕されたりしたことが過去に幾度もある。だが本作の監督チョ・ソンヨン氏は、事前に複数回同国を訪れて取材対象者や取材場所を選び、信頼関係を構築してから撮影したという点で、ほかのドキュメンタリー製作者と異なった。さらに撮影のため、彼女が韓国籍を放棄しドイツのパスポートを取得して北朝鮮に入国したことからは、人々の想像を絶する覚悟と、計り知れない熱意が感じられる。韓国人が北朝鮮に渡航することが、韓国国家からの「裏切り行為」とみなされて処罰の対象となるという背景があるため、彼女が安全に取材へ行くのにほかの選択肢はなかったのだ。写真右がチョ・ソンヨン監督©Kundschafter Filmproduktion GmbHメディアが描くイメージは作られたものなのか監督が映したかったのは、「北朝鮮の人々の日常」。本作を見て、どのくらい北朝鮮について知ることができるのか、それはわからない。だが一般的なメディアでは見られない、自給自足に近い生活をしながら平和そうに暮らす人々の姿を見ることはできる。そのような生活をしている人ばかりだと断言はできないが、それも北朝鮮の一面ではないだろうか。物事を何か一つ疑い始めれば、本作が映している同国の日常についてのみならず、メディアの映す映像が現実なのか、それともプロパガンダなのか判断するのは決してたやすくないと思わされる。最後に、作中でも日本(大日本帝国)からの独立戦争に関して触れられていたが、朝鮮半島の分断には日本の戦争・植民地支配の歴史が大きく関係していることを私たちは忘れてはならない。予告編※動画が見られない方はこちら映画『ワンダーランド北朝鮮』Website2018年6月30日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー2監督:チョ・ソンヒョン配給:ユナイテッドピープル2016年/109分/ドイツ・北朝鮮/ドキュメンタリーシアター・イメージフォーラムでのトークショー(15分~20分程度)6月30日(土)11:00~上映後トーク宮西有紀さん(日本国際ボランティアセンター(JVC)コリア事業担当)6月30日(土)13:15~上映後トーク礒?敦仁さん(慶應義塾大学 准教授(北朝鮮政治)「北朝鮮入門」著者)7月 1日(日)11:00~上映後トーク菱田雄介さん(写真家/最新写真集「border | korea」)7月 1日(日)13:15~上映後トーク高英起さん(北朝鮮情報サイト「デイリーNKジャパン」東京支局長)&うねこさん(先軍女子)詳細はこちら
2018年06月25日(写真:アフロ) 朝鮮半島の平和を予感させる4月27日の南北会談以降、大きな注目を集める北朝鮮。しかし、これまでの報道は政治的な話題一色で、一般市民の生活は謎が多い。 そこで、関心が高い「観光名所」に焦点をしぼり、本誌が徹底解剖! 観光名所について教えてくれるのは、北朝鮮の観光事情に詳しい、日本在住のポーランド人、エミル・トルシュコフスキさん。 ■“インスタ映え観光地”白頭山は絶景を独り占め! 中国との国境にそびえる標高2,744メートルの火山「白頭山」。山頂にはエメラルドグリーンの水をたたえるカルデラ湖があり、まさに絶景! 「観光客が少なくガラガラなので、写真スポットを選び放題です」(エミルさん・以下同) ■観光ガイドには“お土産持参”が暗黙のルール! 北朝鮮ツアー初日に観光ガイドにお土産を渡すと、その後のコミュニケーションがスムーズになるという。 「海外の人気商品は喜ばれます。男性は高級ウイスキーやたばこ、女性なら化粧品。SK-IIは女性ガイドから好評でした」 ■記念写真は“指導者のポーズ”をまねするのはNG! 北朝鮮では、独自の写真撮影ルールに注意。 「金一族の銅像などが写真のフレームから見切れてしまうのは不敬と考えられるので撮影するときは気をつけて。記念撮影の際に銅像のポーズをまねたりするのもNG」 ■北朝鮮美女がもてなす“キャバクラ”がある! 平壌ではキャバクラ体験も可能。 「美女たちがお酒をついでくれるほか、北朝鮮の歌や踊りを披露してくれます。部屋ではカラオケも可能で、お客の歌を盛り上げてくれたり、手をつないで一緒に踊ってくれたりも」 エミルさんは、北朝鮮の観光についてこう続ける。 「現在、アメリカと韓国を除くほとんどの国の国民が、観光目的で北朝鮮へ入国できます。日本人も例外ではありません。ただし、ツアー参加が必須で、個人旅行はNG。ツアー中は北朝鮮ガイドが1グループにつき最低2人同伴し、移動はすべてドライバー付きの専用車。英語、フランス語、日本語など多言語に対応したガイドがいて、意思疎通は問題なし。日本語ガイドは、日本文化への理解も深く、『壁ドン』など最近の流行語を知っていたのには驚きました(笑)。人気の女性ガイドだとリピーターがつき、ブランドのバッグや高価な電化製品のプレゼントをもらう人もいます」 現在、日本の外務省は渡航自粛要請を出しているものの、国内のいくつかの旅行会社で北朝鮮ツアーを扱っている。 「危険な国というイメージが強いですが、詐欺や強盗といった、他国でありがちな犯罪に遭ったという話は聞いたことがありません。開発が進んでいないぶん、美しい自然が残り、開城には世界遺産もある。見どころは多いですよ」 今はまだ“近くて遠い国”だが、未知の魅力を発掘できる日も近い!?
2018年06月07日(写真:アフロ) 朝鮮半島の平和を予感させる4月27日の南北会談以降、大きな注目を集める北朝鮮。しかし、これまでの報道は政治的な話題一色で、一般市民の生活は謎が多い。 そこで、女性の関心が高い「グルメ」に焦点をしぼり、本誌が徹底解剖! グルメについて教えてくれるのは、北朝鮮でグルメ旅を楽しんだこともあるコリアン・フード・コラムニストの八田靖史さん。 ■平壌高麗ホテルの“平壌冷麺”は別次元のおいしさ! 南北会談で供されたのは平壌の名店「玉流館」のものだが、八田さんイチオシは高麗ホテルの冷麺。 「スープは肉のうま味が濃く、キリッとした仕上がり。韓国で食べる冷麺とは別次元のおいしさ」(八田さん・以下同) ■咸興にはバリエ豊かな“じゃがいもフルコース”がある! 日本海に面した咸興の特産品はじゃがいも。チヂミから寒天までじゃがいもづくし料理が楽しめる。 「印象的だったのはカステラ。ほんのりじゃがいもの風味を感じる上品な味で小麦のカステラと遜色ない出来に驚きました」 ■市販の“スナック菓子”は安心安全、素朴で優しい味! 北朝鮮製のスナック菓子は、添加物が使われていないものがほとんど。 「ヒマワリの種入りクッキーの原材料は、小麦粉、砂糖、ミルクパウダー、ヒマワリの種、卵、油と、家庭の手作り菓子とほぼ変わりません」 そして、八田さんはこう語る。 「同じ朝鮮半島でも韓国にはない料理、異なる食文化があり驚きの連続でした。たとえば、平壌冷麺と並んで有名な咸興冷麺は、じゃがいものでんぷん100%の麺が特徴で、かみ切るのが大変なほどコシが強い。韓国ならハサミで麺を切ったりしますが、北朝鮮では『縁を切るから縁起が悪い』と言って、ハサミは使いません」 高麗王朝の首都として栄えた開城では、宮中料理がルーツのコース料理「飯床器」が有名。高麗人参の蜜漬けやヤッパプという甘いおこわなど地域の料理が並ぶ。 「朝鮮半島の甘味の歴史は高麗王朝時代の開城で花開きました。ヤッパプもその当時の流行料理。これも、古都を擁する北朝鮮でこそ味わいたいスペシャル料理です」
2018年06月07日(写真:アフロ) 朝鮮半島の平和を予感させる4月27日の南北会談以降、大きな注目を集める北朝鮮。しかし、これまでの報道は政治的な話題一色で、一般市民の生活は謎が多い。 とくに気になるのが、女性の暮らし。そこで、女性の関心が高い「美容」に焦点をしぼり、北朝鮮の“女子力”の源を、本誌が徹底解剖! 美容について教えてくれるのは、北朝鮮社会に詳しい、國學院大學栃木短期大学非常勤講師の宮塚寿美子さん。 ■国内人気のコスメブランドは“春の香り”シリーズ! 化粧水からクリームまでひととおりのスキンケアがそろう北朝鮮コスメ「春の香り」。 「使い心地や香りは日本製に劣りますが、年々品質がよくなっているようです。いつか日本で販売される日が来るかも」(宮塚さん・以下同) ■ポカポカ温かい“泥パック美容”でお肌ツルツル! 宮塚さんは、侍中湖のそばで新陳代謝促進効果をうたう泥パックを体験。 「全身、湖の泥たっぷりの湯船につかります。じんわり温かく、いかにも効いてる!という感じ。駐在外国人にも人気で訪れる人も多いそう」 天然資源が豊富な北朝鮮には、泥パック施設のほか、温泉地も多く存在する。北朝鮮女性の関心も高いのだろうか。 「一般市民も訪れますが、北朝鮮では日本のように自由に移動できません。“旅行”というより、許可を得て労働の“対価”として保養所で休養するという感覚です」
2018年06月07日(写真:アフロ) 友好ムードを演出した南北首脳会談、世界中の注目を集める米朝首脳会談の行方……。よくも悪くも目が離せない北朝鮮。政治的なことはもちろん、同じくらいに気になるのが“金正恩夫人の笑顔”だったりする読者のために、ナゾめく北朝鮮のファーストレディーについて紹介! ’05年、韓国開催の「アジア陸上競技選手権大会」に李雪主は“美女応援団”の一員として参加。当時受けたインタビューで理想の結婚相手を「スポーツ選手」と答えていた。このとき、最高指導者夫人になるとは想像していなかったはず。そんな、北朝鮮の“シンデレラ”の素顔とは――。 ■出身は“一般庶民”! ある報道によると、父は元空軍のパイロット、母は教員。党幹部を家族にもつ“特権階級”ではなく、平壌の一般家庭で育った。 ■夫とラブラブ! 南北首脳会談の晩餐会では「たばこをやめるようお願いしているのに聞いてくれない」と苦笑しながら夫への愚痴を披露。 ■おしゃれ好き! ピンクやグリーンなどカラフルなスーツ姿でしばしば登場。ディオールのクラッチバッグを持っていたとの目撃談もあり。 北朝鮮社会に詳しい、國學院大學栃木短期大学非常勤講師の宮塚寿美子さんは、彼女がファーストレディーの座を射止めた理由をこう考える。 「無難な一般階級出身だったからこそ、という考え方もあります。北朝鮮の階級社会でトップに君臨するのは、金一族につながる家系。このような出身で、政策にあれこれ口を出す女性よりも、国母として後継者を生み育てる心身の丈夫な女性という視点で、彼女が選ばれたのでしょうね」(宮塚さん・以下同) 人民服姿の金正恩とは対照的に、上品なスーツを着こなす李雪主は、今や北朝鮮女性が注目するファッションリーダーでもある。今年3月、韓国の視察団が平壌を訪れた際に開催された夕食会では、ピンクのスーツ姿で登場。そのほか、テーブルクロス、カーテン、壁紙など、すべてピンクで統一されていた。もしや李雪主は、ピンクがお好き!? 「本人の意見を反映した可能性は高いでしょう。基本的に公の場のファッションは、李雪主の好みも取り入れつつ、女性の付き人が、欧米のファッション誌を参考にコーディネートしていると思います。同じ東洋の国である日本の皇室ファッションを意識している可能性もありますね」
2018年06月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「平昌五輪と北朝鮮」です。五輪を機に募る南北融和ムード。問題は閉会後。新年早々、約2年ぶりに韓国と北朝鮮の南北閣僚級会談が開かれ、北朝鮮は平昌オリンピックに参加することになりました。女子アイスホッケーは南北合同チームで出場するなど、南北融和ムードが広がってきています。会談は、北朝鮮がリードする流れになり、「朝鮮半島の問題は2国間で話す。核やミサイルは、アメリカがこちら側に銃口を向けているから身構えているだけ。我々の問題に水をさしているのはアメリカだ」というメッセージを国際社会に打ち出しました。金正恩体制の一番の脅威はアメリカ。友好関係にあるアメリカ、韓国、日本の分断を狙っているといわれています。北朝鮮にとっては、慰安婦問題や竹島問題など、日本と韓国の間も火種を抱えていたほうが都合がいいんですね。韓国の文在寅大統領は、公約で、南北問題に関しては融和政策をとると宣言していました。しかし、日本やアメリカとの良い関係は保ちたく、国内世論も気にしています。以前、取材で、韓国の退役軍人数名に北朝鮮についての思いを聞いたところ「アメリカ軍と行動を共にするけれども、北には自分らの親戚も住んでおり、かつての同胞なんだ」と、複雑な表情で本音を漏らしていました。もし、ここで北朝鮮が平昌オリンピックに参加しなかったら、国際的な緊張関係はますます高まったでしょうし、北朝鮮は交渉のカードを1枚失うことになります。また、北朝鮮国内に対しても、国際社会の一員であることを示すために参加は必須でした。問題はオリンピック後でしょう。核兵器やミサイルの問題が解決されないまま、韓国と北朝鮮の友好ムードが吉と出るか凶と出るか。鍵を握るのは中国、ロシア、アメリカです。最悪のシナリオは、このまま北朝鮮の核の保有を世界が認めるということ。そうなれば、日本と韓国は安全保障を根本から見直さなければなりません。また、他の国々も核の保有を主張しだすかもしれません。いずれにせよ、北朝鮮にとって、いま平昌オリンピックが開催されたことは、自国を優位に持っていくための絶好のチャンスだったんですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年2月28日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年02月25日ファイア・アイは9月16日、北朝鮮からの脅威が疑われる「ハングルワードプロセッサー(HWP)」に対する最新ゼロデイ攻撃について解説した。HWPは、韓国企業の「Hancom」が開発した韓国語に対応したワードプロセッサ・ソフトウェアで、韓国の政府機関や公共機関などで広く利用されている。今回のゼロデイ攻撃では、HWPに未知の脆弱性(CVE-2015-6585)を悪用した複数の悪意ある文書が見つかった。悪意のある文書は、北朝鮮の脅威アクターと疑われる関連性あると見られている。HPWの「HWP 2014」バージョンでは、韓国産業規格のKS規格で標準化されたHWPファイル形式(HWPX)のサポートをしている。HWPX形式の文書が初期設定で使用するファイル拡張子は.hwpxであるが、従来のHWPファイルである.hwpが使用することもできる。新たな形式であるOWPML(Open Word-Processor Markup Language)は、zipアーカイブ内でXMLファイルを使用する。HWP文書とHWPX文書の構造的な違いは、Microsoft Wordの.docファイルと.docxファイルのそれに類似している。段落テキストは、データ記録型として本文の各段落の内容を保存している。.hwpxファイル内の段落テキストのタグを解析すると、hwpapp.dllの論理エラーにより、型の取り違えのシナリオが発生する。こうした脆弱性とヒープ・スプレー攻撃を組み合わせることで、コードの実行に影響を及ぼすことが可能となる。HWPXファイルの構造は、一連のディレクトリやXMLファイルを格納するアーカイブ(zip)ファイルに類似している。「Contents」ディレクトリ内のXMLは、HWPXファイルが格納するデータと、データのレンダリング方法を定義している。Contents/section1.xmlには、脆弱性を発動させるXMLが格納されている。パーサーは、linesegアイテム用のオブジェクトを作成し、その中の属性を解析・保存する。hp:tエレメントには、数字、Unicodeキャラクター、タブ、改行が格納されおり、Unicodeは、型の取り違えが発生した後の実行ファイルのリダイレクトに使用される。これは、メモリの中に段落テキストを構成している。このコンテンツの定義にlinesegアレイが含まれているため、パーサーはlinesegオブジェクトを複製し、段落テキストの末尾に追加する。その場所はptrParaText+10*4で、linesegの属性に基づき、段落テキストをさらに解析している。2番目のlinesegのtextpos属性は「5」であるため、パーサーはオフセット5から始まる段落テキストの解析を行い、これによってパーサーは、SECTION_COLUMN_DEF(0002)制御文字の中央にジャンプする。この結果、121c1000はオブジェクト・ポインタとして扱われる。ヒープ・スプレー攻撃により、エクスプロイトは同アドレスで偽のクラスを提供する。HWPがこの偽のクラスを使用すると、エクスプロイトによって提供されたアドレスが呼び出される。これは、下図のシェルコードを示している。このシェルコードは、ヒープスプレー・データ内でタグ(SVCHSVCH)を検索し、悪意あるペイロードを見つけ出したあと、シンプルなXOR(排他的論理和)でデコードを行い、「%temp%\svchost.exe」にドロップしたうえで実行する。悪意あるHWPX文書は「HANGMAN」と呼ばれるバックドアの類似コピーをインストールする。HANGMANは、ファイル、プロセス、ファイルシステム管理のアップロードとダウンロード、システム情報の収集、構成のアップデートを行うことが可能。このバックドアは、通信プロトコルとしてSSLを採用しており、通信を開始する際に、コマンド&コントロール(C2)サーバに正規のSSLハンドシェイクを送信する。次に、SSLヘッダ・メッセージを使用して通信を継続するが、メッセージのペイロードはカスタム・バイナリ・プロトコルとなる。HANGMANのサンプルはいずれも、PEインポート・ハッシュ、コンパイル日時(2015年8月18日15:08:28)、C2に使用されるハードコードIPアドレスが同一のものであった。C2用IPアドレスの1つは、コンパイル日時が4カ月早い(2015年4月8日00:53:29)MACKTRUCKバックドアの亜種でも使用されたもの。MACKTRUCKはこれまで、北朝鮮の関与が疑われる脅威アクターの標的型攻撃で使用されていた。HWPX文書がドロップするHANGMANの亜種で使用される関数は、私たちがPEACHPITと呼ぶバックドアなど、北朝鮮の関与が疑われるアクターで使用された他のマルウェア・ファミリーに見られるものと非常によく似ている。PEACHPITとHANGMANのいずれも、WindowsコマンドがリモートC2サーバからバックドアに渡される関数を採用している。渡されるコマンドにリダイレクト文字(>)が含まれるかを確認した後、感染したホストマシン上では、以下の形式のいずれかにより、コマンドが実行される。cmd.exe /u /c [PASSED_COMMAND] >[RESULT_PATH] 2>&1cmd.exe /u /c [PASSED_COMMAND] 2>[RESULT_PATH]次に、感染したホストマシン上では、コマンドの実行結果が%tmp%/[hexdecimal].tmpに保存される。上の関数は、これまでの他のマルウェア・ファミリーでは広く観察されてはおらず、比較的独自性が高いものと思われる。この事実は、PEACHPITとHANGMANの作成者が同じ開発者グループであるか、少なくとも同一のソースコードを一部共有していることを暗示している。PEACHPITなどのバックドアの使用の観察例が極めて限定的であることを考えると、両バックドアは開発履歴が共通なだけでなく、同一もしくは緊密な関係にある脅威アクターによって使用された可能性があると、結論づけるのが妥当であるとまとめている。
2015年09月18日衆議院は13日、同日の本会議において、「北朝鮮による「人工衛星」打ち上げに抗議する決議案」(小平忠正氏ほか14人提出)を議題とし、佐藤勉氏が、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、新党きづな、みんなの党、国民新党、新党大地・真民主、たちあがれ日本を代表して趣旨弁明を行った後、全会一致で可決した。この決議に対し、野田内閣総理大臣は所見を述べた。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月13日