神戸が誇るランドマークホテル「ホテルオークラ神戸」(神戸市中央区)が、2018年6月13日(水曜日)から兵庫県立美術館「プラド美術館展」開催を記念した「プラド美術館展フェア」を実施しています。「元町」駅から徒歩10分の「ホテルオークラ神戸」は、神戸のウォーターフロントであるメリケンパークに立つランドマークホテル。神戸ポートタワーや六甲の山並みなど、客室の位置によって異なる風景を楽しむことが可能です。「三宮」駅からのシャトルバスも運行しています。チケット提示でレストランをおトクに利用可能「プラド美術館展フェア」は、「プラド美術館展」の最終日である2018年10月14日(日曜日)まで実施。会期中ホテル内の対象店舗で「プラド美術館展」のチケットもしくは半券を提示すると料金が10パーセントオフとなります。対象店舗は「レストラン エメラルド」(フランス料理)、「桃花林」(中国料理)、「カメリア」(カフェレストラン)、「山里」(和食堂)、「さざんか」(鉄板焼)、「メインバーエメラルド」の6店舗となります。「メインフロアデラックスルーム」(6階から15階)の宿泊に「プラド美術館展」のチケットと音声ガイドのレンタルをあわせた「展覧会チケット付ステイプラン」も販売されます。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社オークラニッコーホテルマネジメントのプレスリリース/PR TIMES※ホテルオークラ神戸※兵庫県立美術館
2018年06月16日体験型の展覧会「魔法の美術館:リミックス」が、長崎県美術館にて2018年7月21日(土)から9月2日(日)まで開催される。「魔法の美術館:リミックス」は、デジタルとアートが融合した作品世界を“見て、触って、参加する”ことで体感できる展覧会。子供から大人まで世代を超えて楽しめる、長崎初登場の17作品が集結し、まるで“イリュージョン”のようなアート空間を見せる。また、場内は自由に写真撮影ができる点もポイントだ。車のおもちゃをテーブル上に走らせると、車を辿るように道が表れ、風景が出来上がっていく坪倉輝明の《空想ジオラマ》は、子供の「くるまあそび」の世界を空想から可視化した作品だ。また、3DCGの立体物を構成する三角形の“頂点”に着目した《Vertexceed》では、複数の「頂点」に触れると映し出される映像が反応。“頂点”を通じて、現実空間を超えてデジタル空間へと介入する体験ができる。その他、藤本直明の《衝突と散乱》や森脇裕之の《センスピラー》など、人の動作に合わせて映像や光が変化する、幻想的で近未来的な作品が勢揃いする。【詳細】魔法の美術館:リミックス会期:2018年7月21日(土)~9月2日(日)開館時間:10:00~20:00(最終入場 19:30)休館日:7月23日(月)、8月27日(月)場所:長崎県美術館 企画展示室住所:長崎県長崎市出島町2-1観覧料:一般 1,200(1,000)円、中学・高校生 800(600)円、3歳~小学生 600(400)円※家族ペア券(一般+3歳~小学生) 1,400円(美術館の当日券売場でのみ販売)※()内は前売、15名以上の団体、障害者手帳保持者及び介護者1名までの料金※前売券の販売は7月31日(火)まで
2018年06月07日「魔法の美術館 光と遊ぶ、真夏のワンダーランド」展が、山梨県立美術館にて開催される。期間は2018年6月30日(土)から8月26日(日)まで。山梨県立美術館開館40周年記念「魔法の美術館 光と遊ぶ、真夏のワンダーランド」は、まるで魔法にかけられたように光ったり、動いたりと、映像や音が変化する体験型アートを集めた展覧会。体を動かすことで音や光を操ることができる作品や、絵本の世界に迷い込んだような幻想的な作品など、大人も子どもも直感的に楽しめる体験型アートの数々が展示される。また、場内の作品は全て撮影可能で、SNSにシェアすることもできる。坪倉輝明の《七色小道》は、人が通ると色や光が地面にあふれ、まるで七色に輝く小道を散歩しているかのような体験ができるアート作品。自分が歩くことによって生まれる色と、他の人が出す色が混ざり合うことで、"歩く"という行為が無意識のうちに互いに影響を与え合う様子を体感することができる。的場やすし、山野真吾、徳井太郎による《SplashDisplay》には、動き回る的にボールを命中させると、色鮮やかな光の粒が噴水のように舞い上がる。重田佑介+Zennyanの《よるにおもう》は、白い本を手にとって空間を歩き回ることにより、夜空を舞台に様々な星座のキャラクターが姿を現すアニメーションを楽しむことができ、まるで星空を旅しているような不思議な感覚を味わうことができる。【詳細】「魔法の美術館 光と遊ぶ、真夏のワンダーランド」会場:山梨県立美術館 特別展示室住所:山梨県甲府市貢川1-4-27会期:2018年6月30日(土)〜8月26日(日)休館日:7月2日(月)・9日(月)・17日(火)・23日(月)・30日(月)・8月6日(月)・20日(月)開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)観覧料:一般1,000円(840円)、大学生500円(420円)※( )内は20名以上の団体料金、前売料金、県内宿泊者割引料金。高校生以下の児童・生徒は無料(高校生は生徒手帳等持参)。県内65歳以上の人は無料(健康保険証等持参)。障害者手帳持参者、およびその介護者は無料。前売券は山梨県立美術館にて 5月30日(水)〜6月29日(金)まで販売。【問合せ先】山梨県立美術館TEL:055-228-3322
2018年06月01日東京の国立新美術館では、5月30日から9月3日まで「ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか」を開催する。アントワーヌ=ジャン・グロ 《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》1796年Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Hervé Lewandowski /distributed by AMF-DNPartcom人の似姿を描く肖像は、スマートフォンの高性能カメラで意のままに自分を撮ることが当たり前となった現代社会において、いまや最も身近な芸術と言えるかもしれない。しかし一方で、肖像は最も長い歴史を持つ芸術ジャンルでもある。本展では、3000年以上も前の古代メソポタミアの彫像や古代エジプトのマスクから、19世紀ヨーロッパの絵画・彫刻まで、極めて広範にわたる時代や地域の作品を対象にしながら、肖像が担ってきた社会的役割や表現上の特質を浮き彫りにする。ルーヴル美術館の古代オリエント美術、古代エジプト美術、古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術、イスラム美術、絵画、彫刻、美術工芸品、素描・版画の全8部門による全面協力のもと、各部門を代表する肖像の傑作およそ110点を一挙に堪能出来る、きわめて貴重な機会となる。ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ)《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》1560年頃Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado /distributed by AMF-DNPartcom今回のみどころの一つ、16世紀ヴェネツィア派の巨匠ヴェロネーゼによる『美しきナーニ』は、ルーヴル美術館が所蔵する数々のルネサンスの肖像画のなかでも、最高傑作の一つとして名高い作品。この至宝の肖像画が、27年ぶりに来日を果たす。さらに、古代エジプトのアメンヘテプ3世、マケドニアのアレクサンドロス大王、アウグストゥス帝やカラカラ帝らのローマ皇帝、ルイ14世を始めとする歴代のフランス国王、そしてフランス王妃マリー=アントワネットなど、歴史を彩った時の権力者たちの肖像が一堂に会す。中でも大きなみどころとなるのが、フランス皇帝として名を馳せたナポレオンのコーナー。将軍時代を経て、皇帝として最高権力を手にしながらも、追放先の孤島で孤独な最期を迎えることになったナポレオンの激動の人生を、アントワーヌ=ジャン・グロの傑作『アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)』を始めとする5点の作品でたどる。ジュゼッペ・アルチンボルド《春》1573年Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Jean-Gilles Berizzi /distributed by AMF-DNPartcom本展では、俳優の高橋一生がオフィシャルサポーターに就任し「音声ガイド」のナビゲーターにも挑戦。この他、パリのフランス流紅茶専門店「マリアージュ フレール」や、「とらや」とコラボレーションしたスペシャルグッズの販売、ホテル「コンラッド東京」や「ザ・リッツ・カールトン東京」でのコラボレーションメニューの提供、六本木の東京ミッドタウン内のショップ・レストラン&バーでも関連メニューが展開されるなど様々なイベントが目白押し。早割チケットや特典付きのお得なチケットも販売。詳細は展覧会ホームページ()にて。身近でありながら、奥深い肖像芸術の魅力に迫る、史上空前の本格的な展覧会をお見逃しなく。【展覧会情報】ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか会期:5月30日~9月3日会場:国立新美術館 企画展示室1E住所:東京都港区六本木7-22-2時間:10:00〜18:00(6月の金・土曜は20:00まで、7〜9月の金・土曜は21:00まで)※入場は閉館時間の30分前まで料金:一般1,600円(1,400円) 大学生1,200円(1,000円) 高校生800円(600円) 中学生以下無料※( )内は前売り及び20名以上の団体料金休館日:毎週火曜日(8月14日は開館)
2018年05月17日『プーシキン美術館展―旅するフランス風景画』とは?【女子的アートナビ】vol. 108この展覧会では、ロシアを代表する美術館のひとつ、プーシキン美術館のコレクションから選び抜かれたフランスの風景画65点を紹介。モネやセザンヌ、ルソー、さらに美術史に名を遺すクロード・ロランなど17世紀から20世紀までの傑作が勢ぞろい。神話の物語や美しいパリの街並みなどの名画を見ながらフランスを旅するように楽しむことができます。スペシャルサポーターは水谷豊さん!同展のスペシャルサポーターは、俳優の水谷豊さん。音声ガイドのナビゲーターも担当された水谷さんがプレス内覧会に出席され、展覧会の見どころなどを語りました。まず、展覧会を見ての感想を問われると、「今回はテーマがフランス風景画ということで、どの絵も本当にすばらしく絵の中に引き込まれていくようで、旅しているような気分を味わえました」と回答。続いて、2つの作品についてコメントされました。クロード・モネの初来日作品《草上の昼食》、実物はいかがでしたか?水谷さん写真で見るのとは全然違いましたね。学芸員の方から知識を教えていただき絵の見方も変わったのですが、これがモネの青春時代の作品ということで、若い時から才能が花開いていたことがわかります。すばらしいです。《草上の昼食》は画家が26歳のときに描いた作品。学芸員の大橋さんのお話では、当時モネはまだたくさんのモデルを雇うことができなかったので、恋人のカミーユにいろいろな服を着せてポーズをとってもらい、いくつかスケッチを描いてから組み合わせて作品を制作したとのこと。この絵に登場する女性はすべてカミーユではないかと考えられているそうです。特にお気に入りの作品は?水谷さんいろいろありましたが、おもしろかったのはアンリ・ルソーの《馬を襲うジャガー》です。ルソーはパリにいて、植物園で熱帯植物を観察しながらジャングルに思いをはせてこの絵を描いたのですが、想像でここまで描けるのかというほどすばらしい作品です。われわれも(俳優というのは)妄想するのが仕事ですが(笑)、不思議なオーラがある作品です。ルソーは税関職員として働きながら絵を描いていた日曜画家。専門的な美術教育を受けていない彼の作品は批判されることもありましたが、ピカソやアポリネールなどからは高く評価されていました。特に南国のジャングルを描いた絵を多く残しています。最後に、水谷さんからメッセージ水谷さん名作と呼ぶのにふさわしい、たくさんの作品が東京都美術館にそろいました。訪れた人を世界の旅に連れて行ってくれる作品が集まっていると思います。僕は旅の案内人として関わらせていただき光栄です。たくさんの人にこの感動を味わっていただきたいです。ちなみに、水谷さんがナビゲーターとして出演されている音声ガイドも聞いてみたのですが、作品の背景や画家についての説明などもわかりやすく、展覧会の感動がより深くなる内容でした。そして、『相棒』ファンが喜ぶあの名セリフも入っています。ガイドは最後の最後までぜひ聞いてみてください。また、会場には作品と一緒にパリの地図なども掛けられ、どのあたりを描いた絵なのかがわかるようになっています。パリを訪れたことがある人はもちろん、行ったことがなくてもイメージすることができ、作品鑑賞がより楽しくなりますよ。フランスを旅する気分を味わえる展覧会は7月8日まで。Information会期:~7月8日(日)休室日:月曜日時間:9:30~17:30※金曜日は20時まで※入室は閉室の30分前まで会場:東京都美術館料金:一般 1600円/大学生・専門学校生1300円/高校生800円/中学生以下無料公式サイト:上野の東京都美術館で開催中の『プーシキン美術館展』に行ってきました。フランス風景画の名作が集まるこの展覧会では、俳優の水谷豊さんが音声ガイドを担当。プレス内覧会にも出席され、見どころを語ってくれました。
2018年04月28日フランスの風景画のコレクションが一堂に来日17世紀から20世紀の風景画が来日します。神話の物語や古代への憧憬、あるいは身近な自然や大都市パリの喧騒、果ては想像の世界に至るまで、描かれた時代と場所を軸にフランス近代風景画の流れをご紹介します。様々な情景を舞台にした風景画は、その土地のにおいや太陽の煌めき、風にそよぐ木々や街のさざめきをも感じさせてくれます。クロード・モネ《草上の昼食》1866年© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.なかでも、注目は初来日となるモネの『草上の昼食』。同時代の人物たちとみずみずしい自然の風景が見事に調和しています。印象派の誕生前夜、26歳となる若きモネの魅力溢れる作品です。ほかにもロラン、ブーシェ、コロー、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、ルソーらの作品が集います。初夏の上野で、巨匠たちが愛した光と色彩が躍る美しい風景を巡る「旅」を体感できます。展示構成第1部「風景画の展開クロード・ロランからバルビゾン派まで」1章近代風景画の源流/2章自然への賛美第2部「印象は以後の風景画」3章大都市パリの風景/4章パリ近郊--身近な自然へのまなざし5章南へ—新たな光と風景/6章海を渡って/想像の世界宗教画の背景として描かれていた風景でしたが、17世紀のオランダにおいて「風景画」として独立したカテゴリーになります。フランスの画家たちも次第に関心をしめし、イタリアで目にした古代の移籍や旅先の風景を描くようになります。19世紀に入ると、身近な自然を愛したバルビゾン派の画家たちが人気になります。そして19世紀半ばからは「パリ大改造」が行われ、街並みが大きく変わりました。印象派の画家たちは生まれ語ったパリを歩き、都市の情景を数多く描きます。さらに鉄道網の発達にともない、郊外や南仏の風景を描き、さらには海を渡って、想像の世界へと広がりました。『庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰』ムーラン・ド・ラ・ギャレットはパリのモンマルトルにあったダンスホール。喧騒から少し離れた木陰で楽し気に語らう男女5人が描かれています。後ろ姿の女性はルノワールのお気に入りのモデル・ニ二。その後ろから顔をのぞかせているのは画家のモネです。ピエール=オーギュスト・ルノワール《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》1876年© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.『サント・ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め』エクス・アン・プロヴァンスの近くにあったセザンヌの家の近くから見ることができた。この山はセザンヌが主題にしたモチーフのひとつで、30点以上の油絵と多数の水彩画にしています。ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め》1905-06年© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.『マタモエ、孔雀のいる風景』1891年、ゴーガンはタヒチ島へ赴きます。タヒチ語のマタモエの意味は議論されてきましたが、ゴーガンはフランス語では「死」というタイトルをつけました。文明化されたヨーロッパ人としての自身の死を示していたと考えられています。ポール・ゴーガン《マタモエ、孔雀のいる風景》1892年© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.『馬を襲うジャガー』アンリ・ルソーの作品は熱帯のジャングルを舞台にしたものが多数あるが、実際に南国に行ったことはなく、パリの植物園でスケッチしたさまざまな植物を組み合わせて、幻想的な風景を作りあげました。アンリ・ルソー《馬を襲うジャガー》1910年© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.展覧会概要会期:2018年4月14日(土)~7月8日(日)会場:東京都美術館企画展示室(東京・上野公園)休室日:月曜日※ただし、4月30(月)は開室開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)夜間開室:金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省お問い合わせ先:TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)大阪会場会場:国立国際美術館(大阪・中之島)会期:2018年7月21日(土)~10月14日(日)主催:国立国際美術館、朝日新聞社、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省
2018年04月12日芸術を宿した空間でホッと一息「カフェ ダール」は、原美術館の中庭に面したガラス張りのカフェ。ヨーロッパにある別荘のような中庭があり、木々の青々とした葉が日光に照らされて、キラキラと光る様子が一望できます。中庭にひっそりと隠れたアートを見つける、小さな散策を楽しみましょう。原美術館の展示に合わせて用意する「イメージケーキ」は、ここでしか味わえないオリジナルの限定メニュー。アーティスティックな遊び心たっぷりのケーキが味わえるので、展示が変わるたびに足を運んで食べたくなるほど。こだわりの食材で織り成す繊細な甘さがふんわりと広がっていきます。季節の味をゆっくり味わえる贅沢ランチ「カフェ ダール」はランチメニューも大人気。特に前菜、メイン、パンがセットになった「スペシャルA」ランチはボリュームたっぷりで、特別な日のランチにおすすめです。旬の食材のみずみずしさを舌で味わいながら、窓から覗く緑の美しさを目で堪能する贅沢は格別。上質な芸術と食を一度に味わいつくしましょう。日本の現代アートをじっくり鑑賞できる原美術館は、品川が誇る観光スポット。閑静な住宅街にあるため、都内でもゆっくりとした時間の流れを感じられる稀な美術館です。「カフェ ダール」は原美術館を訪れた人しか入れないので、静かな空間でアート作品の余韻に浸りながら食を楽しめます。文/萩原かおりスポット情報スポット名:カフェ ダール住所:東京都品川区北品川4-7- 25原美術館内電話番号:03-5423-1609
2018年02月16日世界各地の美術館から作品を集結企画展「ルドン―秘密の花園」を開催中の「三菱一号館美術館」(東京都千代田区)内にあるミュージアムショップ「Store 1894」では、会期中ヨーロッパで見つけたこだわりのチョコレートを販売しています。2018年2月8日(木曜日)にスタートした「ルドン―秘密の花園」は、幻想的な内面世界に目を向けた特異な画業で現在も世界中の人の心を魅了するオディロン・ルドンの作品およそ90点を展示する企画展。ルドンが描いた花や植物に焦点を当てた前例のない展覧会となっており、オルセー美術館やニューヨーク近代美術館といった世界各地の美術館に収蔵されている作品を鑑賞できます。ショップのみの利用も可能「Store 1894」で販売されているチョコレートはダイアナ妃も愛したチョコレートの名店「PRESTAT(プレスタ)」のトリュフチョコ(3402円)、美しい自然に囲まれたフランス中部の小さな農家で手作りされている「CHOC’FLEUR(ショックフルール)」(756円から2592円)など。チョコレート以外にも展覧会グッズや三菱一号館美術館のオリジナルグッズを中心に、世界中から集めた上質な商品をとりそろえています。営業時間は10時から18時。美術館の鑑賞券がなくても利用可能です。企画展「ルドン―秘密の花園」ならびにチョコレートの販売は2018年5月20日(日曜日)まで。毎月第2水曜日の17時以降「アフター5女子割」で当日入館料が一律1000円となります(女性限定)。(画像はプレスリリースより)【参考】※三菱地所株式会社のプレスリリース/PR TIMES※三菱一号館美術館
2018年02月16日東京・品川にある原美術館では、創業者であり館長の原俊夫が自ら選定した「現代美術に魅せられて―原俊夫による原美術館コレクション展(My Favorites: Toshio Hara Selects from the Permanent Collection)」を、前期と後期に分けて2018年1月6日より開催する。草間彌生「自己消滅」1980 年 ミクストメディア サイズ可変©Yayoi Kusama一つひとつ丹念に収集した1950年代以降の絵画、立体、写真、映像、インスタレーションなど所蔵作品約1,000点の「原美術館コレクション」から、館長の原俊夫が初めて自ら選びキュレーションするコレクションが揃う。1970年代後半より1980年代前半までの初期収蔵作品を主とする前期を2018年1月6日から3月11日まで、企画展の開催などをきっかけに収蔵された作品を主とする後期を3月21日から6月3日まで行い、約40年に渡る原美術館の活動の一端を紹介する。ナム ジュン パイク「キャンドルテレビ」1980 年 テレビ、ろうそく 33x41x24 cm©Nam June Paik前期は、アメリカの作家で戦後絵画に大きな影響を与えた抽象表現主義のジャクソン・ポロックやマーク・ロスコ、その後続世代を代表するロバート・ラウシェンバーグやジャスパー・ジョーンズ、世界を席巻したポップアートの代表者であるアンディ・ウォーホルやロイ・リキテンシュタインなどの作品を展示。前衛的、実験的精神に溢れたヨーロッパの作家たちとして、絵画のジャン・デュビュッフェやカレル・アペル、彫刻のアルマンやセザール、ジャン・ティンゲリー。日本の作家からは、戦後日本美術を牽引した今井俊満、河原温、工藤哲巳、宮脇愛子などの作品が集結する。また、今も現役で活躍する草間彌生、篠原有司男、杉本博司、李禹煥、さらに世界に影響を与えたアジアの作家として、ナム・ジュン・パイクや艾未未(アイ・ウェイウェイ)などの作品が一堂に会する。蜷川実花「PLANT A TREE」2011 年 C プリント 48.5x72.8 cm©mika ninagawa Courtesy of Tomio Koyama Gallery後期は、安藤正子、荒木経惟、ヤン・ファーブル、加藤泉、ウィリアム・ケントリッジ、森村泰昌、奈良美智、名和晃平、蜷川実花、野口里佳、マリック・シディベ、杉本博司、束芋、ミカリーン・トーマス、アドリアナ・ヴァレジョン、やなぎみわの作品展示を予定。詳細は後日、ウェブサイト()にて発表する。原美術館の歴史を物語る作品が集結する貴重な機会、現代美術の魅力を存分に感じてみては。【イベント情報】現代美術に魅せられて―原俊夫による原美術館コレクション展会期:2018年1月6日〜6月3日(前期1月6日~3月11日/後期3月21日〜6月3日)会場:原美術館住所:東京都品川区北品川 4-7-25時間:11:00〜17:00(祝日を除く水曜は20:00まで)休館日:月曜(祝日は開館)、1月9日、5月1日(展示替え休館3月12日~20日)
2017年12月21日ファッションや映画など多様な文化を滋養にして、美しくしなやかに生き方を主張するパリジェンヌたち。世田谷美術館で開催する『ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち』のキャッチコピーも「『パリジェンヌ』は流行じゃなくて、生き方です!」とある。アメリカ・ボストン美術館所蔵のマネやドガ、ルノワールなど印象派の絵画のほか、写真やイラスト、服飾資料なども展示し、多角的に“パリジェンヌ”の源泉をたどる本展。その記者発表会が9月5日、三軒茶屋の世田谷文化生活情報センターで行われた。【チケット情報はこちら】会見では世田谷美術館・学芸部主査の塚田美紀氏が登壇し、5つのチャプターに分けられた本展について解説。チャプター1では、ルイ14世の死去により、文化の中心がヴェルサイユから、裕福な市民のサロンがあるパリへと移行する様子を紹介。技巧を凝らしたドレスや、日本の有田焼まで取り入れたティーセットも展示される。チャプター2では、フランス革命後、19世紀に見られた女性への視線が示される。小説家として活躍するような進歩的な女性も当時は登場していたが、フラゴナールの『良き母親』に見られるように「パリジェンヌの実態というよりは、社会的に期待されたイメージ」(塚田氏)が数多く描かれた。チャプター3では、19世紀半ばにパリの街の大改造が行われたことで、市民の消費も拡大。パリジェンヌのモードが発展を遂げ、ついには世界中で注目を浴びるに至った様子が示される。サージェントの『チャールズ・E.インチズ夫人』は、パリジェンヌ風のドレスに身を包んだアメリカの女主人を描いた名作だ。続くチャプター4では、いよいよ19世紀後半にルノワールやドガら印象派の巨匠たちの作品が登場する。中でも注目は、マネの大作『街の歌い手』。今回は約70年ぶりの修復後、初の公開となる。その後も画家たちのミューズとなった多くの女性たちや、カサットやモリゾなどの女性画家、またサラ・ベルナールら女優の台頭によって、パリジェンヌの名声は高まってゆく。チャプター5では、20世紀に入ってのカルダンやバレンシアガのドレスや、踊り子のイラスト、モデルや女優の写真までを紹介。5つのチャプターをたどることで、パリジェンヌが後世の文化にいかに影響を与えたかを改めて感じられる内容になっている。本展は2018年1月13日(土)から4月1日(日)まで東京・世田谷美術館で開催。その後は4月11日(水)から6月10日(日)まで広島・広島県立美術館にも巡回予定。取材・文佐藤さくらPhotographs(C)Museum of Fine Arts, Boston
2017年09月19日女子的アートナビ番外編、今回はパリで超有名な美術館のひとつ、オルセー美術館の取材レポをお届けします!もとは〇〇だった!【女子的アートナビ】番外編オルセー美術館は、パリ左岸、セーヌ川沿いにあります。もとは駅だった場所を使っているので、建物や内部もちょっと独特。あとで館内の写真もお見せしますが、駅の風情も感じられるステキな空間になっています。こちらは入り口の写真。時刻は開館30分前の9時ですが、すでに人が並び始めています。現在、パリではテロ防止のため、美術館や教会等の施設に入る際、手荷物検査やボディーチェックが行われています。特に人気の美術館では、入場までに30分以上待つこともあるので、朝一番や閉館前など比較的空いている時間帯に行くと入りやすいです。空間がとってもおしゃれ♡それでは、館内に入ります!オルセー美術館はルーヴル美術館、ポンピドゥー・センター(国立近代美術館)と並ぶパリ三大美術館のひとつ。主に1848年から1914年までの西洋美術作品が展示されています。1900年のパリ万博にあわせて建設された駅舎を再利用しているので、丸天井の空間がそのまま残されていて開放感たっぷり。装飾などもおしゃれです!大人気の印象派ギャラリーへ館内は3つのフロアにわかれているので、まずは最上階の5階にある印象派ギャラリーから鑑賞スタート。モネ、マネ、ルノワールやシスレー、セザンヌなどなどの超有名な作品かズラリと並んでいます!オルセー美術館の展覧会は日本でもたびたび開かれているので、何度か目にしたこともある絵画も展示されていますが、やはり現地で見るのは格別。上の写真はエドゥアール・マネの傑作《草上の昼食》です。こんな名画、なかなか日本では見ることができません!この作品は4人の男女が森の中でピクニックをしている場面を描いたものですが、男性たちはスーツにネクタイまでつけているのに、手前にいる女性はヌード。しかも現実世界にいる女性のようです。当時、ヌードは神話世界に出てくる女神を描くのが一般的だったので、この絵は「下品だ!」とかなり批判を浴びたようです。2階にはゴッホの人気作も!2階にあるゴッホとゴーガンの展示室にきました。やはりゴッホの人気は絶大!人が集まり、熱気ムンムンです。こちらはゴッホの《星月夜》。ローヌ川の左岸からガス灯がきらめくアルルの街の夜景を描いたもので、青と黄色のコントラストがとてもきれいです。画家自身も愛着を持っていた作品で、オルセーのなかでも人気作のひとつです。このほか、2階ではスーラやシニャックなど新印象派の絵画やロダンなどの彫刻、アールヌーヴォーの家具なども見ることができます。熊もヌードも見られる地上階へ!地上階に降りてきました。ここには、ロダンの弟子、フランソワ・ポンポンの彫刻《白熊》があります。シンプルな造形なのに、すごい熊っぽくて愛らしさ満点!来館者にも大人気の作品です。こちらはマネの《オランピア》。古典的な絵画の構図をまねていますが、横たわる女性は現実世界の娼婦として描かれています。先ほどご紹介した《草上の昼食》と同じく、この絵も当時は大ブーイングを受けたそう。これらの問題作品も、今では近代絵画の傑作といわれています。私はマネが好きなので、ご紹介作品が偏ってしまいましたが、オルセー美術館にはほかにもクールベやナビ派、ロートレックの絵画などまだまだ多くのすばらしい作品があります。館内にはおしゃれなカフェやレストランもあるので、休憩しながら丸一日滞在するのがおすすめです。ミュージアムショップもすごい!ミュージアムショップは美術館を出たところにあります。オルセー美術館の所蔵作品をモチーフにしたステーショナリーや食器、スカーフなどがいっぱい!思わず買ってしまったのが、ポンポンの《白熊》ミニチュア版。小さくてもかわいい!ゴッホの《星月夜》がプリントされたマイクロファイバーも入手。発色がきれいです。夕刻、美術館を出ると、入り口にはまだ人が並んでいました。ふだんは18時閉館ですが、木曜日だけは21時45分までOK。なので、木曜夜に訪れると入りやすいかもしれません。オルセー美術館は作品だけでなく、駅舎を利用した建物も、レストランのランチもショップのグッズも何もかもがステキでした。パリに行く機会があったら、ぜひぜひ足を運んでみてくださいね!※本記事の写真はオルセー美術館の許可を得て撮影・掲載しています。
2017年09月12日ツタンカーメンから村上隆まで…ボストン美術館の至宝が登場(写真左)フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年、(右)フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年何世代もの偉大なコレクターたちに支えられ、卓越した美術作品を収蔵するボストン美術館。北米で一番歴史のある美術館から、古代エジプトや中国美術、日本美術、はたまたフランス絵画やアメリカ絵画、版画・写真、現代美術といった珠玉の美術作品80点が堂々来日しました。<ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション>は、上野の東京都美術館で開催中。東京会場での会期は2017年7月20日(木)〜10月9日(月・祝)となっています。巡回展となる本展は、東京会場の後、神戸、名古屋へと場所を移し開催予定です。まるで美術の百科事典、ボストン美術館のエッセンスをぎゅっと凝縮した貴重な機会を見逃すことなかれ。初里帰りの涅槃図やゴッホの傑作も大注目まず注目したいのが、本展で初めての里帰りを果たした、英一蝶(日本 1652-1724)の《涅槃図》(1713)です。横たわる釈迦の周りで生きとし生けるものすべてが感情豊かに嘆き悲しむ様子を描いた本作は、1911年にボストン美術館コレクションに収蔵されました。そして2016年8月から2017年5月まで大規模な修理が施され、その彩りを今に伝えます。古来の伝統を今の技術者が後世に残してゆく、大きな営みを細部までじっくりとご覧あれ。そしておなじみフィンセント・ファン・ゴッホ(オランダ 1853-1890)の描いたルーラン夫妻の肖像もそろって来日。ゴッホの親しい友人であったジョゼフ・ルーランをはじめ、ゴッホはその家族をモデルに20点以上もの肖像を描いたといいます。その中から《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》(1888)と《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》(1889)の傑作2点が満を持してやってきました。(写真左)クロード・モネ《ルーアン大聖堂、正面》1894年、(右)クロード・モネ《アンティーブ、午後の効果》1888年他にもお馴染みのモネの睡蓮といった印象派の絵画や、近代的な手法を用いた写真コレクション、今日も根強い人気を誇るアンディ・ウォーホルなど、見どころを挙げれば尽きることはない本展。美術ファンは垂涎間違いなし!取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション催行期間:2017年07月20日 〜 2017年10月09日住所:東京都台東区上野公園8−36東京都美術館企画展示室電話番号:03-5777-8600
2017年08月25日東京・上野にある東京都美術館で「ボストン美術館の至宝展ー東西の名品、珠玉のコレクション」が、2017年7月20日(木)~10月9日(月・祝)まで開催されています。ゴッホの傑作であるルーラン夫妻の肖像画や、日本を代表する浮世絵師・喜多川歌麿の作品など世界を代表する名作80点がこぞって来日。古代エジプト、日本美術、中国美術、フランス絵画、現代美術など、盛りだくさんの展覧会の見どころを、アソビュー編集部員が取材してきました。ボストン美術館とはアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン市にある美術館・ボストン美術館。地元市民をはじめとした多くの美術コレクターの作品寄贈によって、1870年に設立されました。アメリカ独立100周年の1876年に開館し、2020年には設立150年を迎えます。国や州の財政的援助を受けることなくコレクションの拡充、施設の拡張を続けており、世界屈指の規模を誇ります。選りすぐりの傑作80点を展示!約40年ぶりに来日する至宝たちは必見ボストン美術館のコレクションを対象とした展覧会は、過去に何度か開催されてきました。しかし、古代エジプト・日本美術・中国美術・フランス絵画・現代美術から現代アートまで幅広いジャンルの傑作が展示され、総合的に楽しめる展覧会が開催されるのは、日本で約40年ぶり。またとないこの機会を逃したら、次に開催されるのはまた40年後かもしれません。世界の至宝が年代、ジャンル問わず一堂に会する「ボストン美術館の至宝展」の気になる内容を見ていきましょう!沢山ある作品の中から編集部員が厳選した「これだけは見てほしい!」至宝をご紹介します。1章古代エジプト美術1876年の開館当初から、館内で重要な位置を占めていた古代エジプト美術。地元の収集家よって貴重なコレクションからの寄贈を受け、確かな出土品の獲得に努めてきました。1905年からはアメリカのハーバード大学と共同で発掘調査も開始。その発掘成果は、今日で40,000点を超えボストン美術館の古代エジプト美術コレクションの中核となっています。今回の展覧会では、エジプトの都市・ギザで発掘された古王国時代の出土品を中心に、11点がボストンから来日しています。●「墓のレリーフの断片供物の行列をみる墓主ケネブ」今から4,000年以上前のギザに居住していた建築家の大家族のひとりだった、ケネブの墓から発掘されたこの断片。断片の上部に描かれているのは、神々への最高の捧げものである雄牛を引いた二人の男です。一体どこへ向かっているの?と問いかけたくなる彼らは、この断片とは別の区画に描かれているケネブのもとへと向かっているそう。ちなみに、左下に頭部だけのぞかせている人物は、ケネブの兄弟にあたるペピィメルアンクプタハが描かれたものです。●「ツタンカーメン王頭部」額に長方形の布を当て、耳を出す形で頭を覆うネメス頭巾を被った姿が印象的な、「ツタンカーメン王東部」。若くして亡くなった謎の少年王・ツタンカーメン王を象ったこの石像頭部は、彼の墓ではなくツタンカーメン王が信仰を復活させた古代エジプトの太陽神・アメン神を主祭神とするカルナック神殿から出土した作品の可能性が高い、と伝えられています。凛とした顔だち、彼を象徴するネメス頭巾が特徴的な至宝です!2章 中国美術古代エジプト美術に続き、中国美術作品も多く保有されています。作品の余白などに描かれた絵と、関連した文書や詩が添えられている中国美術特有の作品が、多数展示されています。●徽宗、「五色鸚鵡図巻」1110年代頃中国の王朝・北栄の第8代皇帝の徽宗(きそう)によって描かれた作品です。徽宗が花鳥画を専門分野としていたことは、歴史的にも文献的にも知られること。1000年以上も前に書かれた作品にも関わらず、真筆であると広く受け入れられてきました。題詩によると、中国南部の地である嶺表から、“ズグロゴシキインコ“という珍しい鶏が宮廷へと献上された出来事を記念して描いた絵と言われています。杏の花が咲きほこる庭園を鶏が飛ぶ姿を記録するために皇帝が描き上げた、淡く優しい色使いの作品は必見です。●陳容、「五龍図巻」1244年約10メートルに及ぶ長大な絵巻。沸き立つに描かれるのは9匹の龍が、沸き立つ雲と荒れ狂う波の中を飛翔する姿が筆墨によって描かれている存在感抜群の作品です。作者である陳容(ちんよう)は、画家をはじめ、地方官吏・書家・詩人でもあり多才な人物だったと言われています。画家としては、水墨画を得意とし竜画の名手としても名高かったそうです。実物の他に、見やすいように拡大展示もされています。じっくりと細部まで鑑賞し、墨に墨を重ねる「破墨」や墨をはね散らす「溌墨」と呼ばれる巧みな技法が使われている箇所を見つけてみてください。3章 日本美術今回の展覧会でも大きな注目を集めている、日本美術コレクション。日本国外で最も日本美術作品を所蔵しているボストン美術館には、なんと約10万点に及ぶ日本作家の作品があるのだとか!19世紀後期に日本を愛し、日本中を旅した偉大なコレクター達が収集した美術品たちは、ボストン美術館のあるアメリカにおいて、日本文化の敷衍や正当な評価の生み出しにも貢献しました。日本から渡米し、初めての日本へ里帰りする作品にも要注目です。●司馬江漢、「秋景芦雁図」1700後~1800初年哀愁ただよう雁(カリ)が目を引く、司馬絵江漢の絵画作品。司馬江漢は、江戸時代の蘭学者(オランダ語を通じて輸入された西洋学問の研究者)であり、画家でもありました。確かによく見ると、作品右上の落款には、横書きのオランダ語のサインも添えらえています。彼は、狩野派、浮世絵など様々な画流を学びましたが、特に洋風画の開拓者として知られています。この作品も西洋画にヒントを得て、水平線を低く描き、遠近法を用いた景色を後景に描くことで、画面上に奥行きと広がりある世界が演出されているのです。ちなみに、作品名にもあるように、この作品が描かれている季節は“秋”ですが、「冬景芦雁図」という“冬”バージョンの作品も。雪景色が広がり、その中にうずくまる雁が描かれた作品「冬景芦雁図」は、この機会にぜひ合わせてみてほしい作品です。●英一蝶、「涅槃図」1713年とにかく大きい!至宝がずらりと並ぶ館内でもひと際目立つ「涅槃図」。それもそのはず、画面だけでも高さ約2.9m、幅約1.7m、表具を含めれば高さ約4.8m、幅約2.3mにも及びます。涅槃(ねはん)に入る釈迦と悲しみにくれる人々、動物、羅漢たちがぎっしりと描かれています。鮮やかな色彩も美しいです。作品の大きさと劣化がが目立ち、収蔵されているボストン美術館でも25年以上公開ができていなかったこの作品。なんと、今回の展覧会開催を機に画面の亀裂や汚れ、糊離れなどの改善を主におよそ170年ぶりに本格的な解体修理が実施されました。現地のコレクターにより渡米した「涅槃図」は、今回約130年ぶりに初めて日本に里帰りを果たします。作品解説もしっかりとされているので、ぜひ立ち止まってチェックしてみてください!●鳥居派、「絵看板鈴木栄小町」1758年現代の街中広告や電車内のつり革広告のような役割を果たしていた、絵看板。人々を歌舞伎の芝居へと引き込むポスターとして芝居小屋の軒下に飾られ、画面には主役の演者たちが演じる選りすぐりの場面が描かれています。美術品というよりは、飾られる期間が限られる宣伝物だった絵看板は、ほとんどが破棄されており現存しているものはほんのわずか。そんな貴重なこの作品は、現存される看板絵の中でもっとも古いものなのだそうです。●喜多川歌麿「三味線を弾く美人図」1805年頃近年、国内外問わず巻き起こっている“浮世絵ブーム”!北斎、広重、写楽と並び世界的に知られる浮世絵師、喜多川歌麿が晩年に手がけた「三味線を弾く美人図」も展示されています。浮世絵黄金期に美人画絵師として活躍した歌麿の集大成と言われるこの作品は、“横長の軸” “上半身のみの構図”といった珍しい構図が特徴!三味線の調律をしているこの美人は手の込んだ髪飾りを身に着けていることから、芸者または娘浄瑠璃師が描かれているのではないか、と示唆されています。4章 フランス美術数多くのヨーロッパ美術コレクションの中から、世界的に特に名高い19世紀フランス絵画のコレクションが厳選されて来日しています。特に、モネ、ルノワール、ピサロ、ミレー、そしてヴァン・ゴッホの作品は見逃せません!まさにフランス美術における至宝がずらっと並ぶこの章は、見どころ満載です。●カミーユ・ピサロ、「ポントワーズ、道を照らす陽光」1874年019世紀のパリ郊外にある小さな町が優しく描かれたこの作品。比較的幅の広い筆遣い特徴的な表現は、ピサロの初期作品にみられる特有の技法です。都会を離れ、田園地帯に実際に身を置いて制作されたこの作品は、身の回りにあるごく普通の情景が率直に描かれた作品となっています。●クロード・モネ、「睡蓮」1905年1日本でもファンが多い、フランスの印象派を代表する画家・モネの作品です。画面に描かれる睡蓮の花はもちろん、この絵の見どころはなんと言っても“水面”。画面上には“水辺に浮かぶ睡蓮”しか描かれていないものの、水面に映る光や空、岸辺の樹々から水辺を囲む周囲の世界を垣間見られます。水平線などこれといった区別や線引きを表すものはないにも関わらず、画面の下から上へと遠ざかるように奥行きを感じさせるこの作品は、1909年にパリで発表された彼の名作の一つです。●アンリ・ファンタン=ラトゥール、「卓上の花と果物」1865年2まるで写真みたい!と絵の繊細さに思わず驚いてしまうファンタン=ラトゥールの静物画。彼は、独特かつ保守的な様式での制作を好み、とにかく細部まで実物をそのまま描写する静物画、その中でも特に花の絵画を専門とする画家でした。●フィンセント・ヴァン・ゴッホ、「郵便配達人ジョセフ・ルーラン」1888年、「子守唄ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」1889年3ゴッホは、1888年にパリを発って南フランスを発って南フランスにある小さな町・アルルに移住しました。その時に、町内で最も親しい友人となり、彼のお気に入りのモデルとなったのが地元で郵便の仕事をしていたジョセフ・ルーランでした。ちなみに、夫・ジョセフをモデルにした油彩画はこの作品を合わせて、全部で6作品あり、本作は一番最初に描かれたものです。また、ほぼ全身を描いた唯一の作品としても有名です。ゴッホは、のちにジョセフの妻・オーギュスティーヌと3人の子供たちの肖像画も手がけました。夫妻の肖像画が来日するのは、今回が初めて!展覧会の目玉作品として注目を集めています。●エドガー・ドガ、「腕を組んだバレエの踊り子」1872年4フランスの印象派画家のドガは、踊り子をモデルとした作品を多数残している「踊り子の画家」として有名です。ここでいう“踊り子”とは、パリのオペラ座のバレリーナを指します。裕福な銀行家の息子だったドガはオペラ座の定期会員となり、会員しか許されない舞台裏に出入りすることも許されていました。よって彼は生涯にわたり、その時にみた踊り子の自然なしぐさや表情が描写された作品を生涯多数残しています。ちなみに、この作品はドガがなくなったとき、彼のアトリエに未完成のまま残されていたものなのだそうです。5章 アメリカ絵画5絵画の最終章を飾るのは、もちろんボストン美術館のあるアメリカ美術です。18世紀から20世紀半ばまで、様々な年代の作品を楽しめるアメリカ絵画コレクションは見ごたえ抜群です!●ジョン・シングルトン・コプリー、「ジョン・エイモリー」1768年6縦横それぞれ1メートル以上ある、大きなキャンパスに描かれたダイナミックな当時の貿易商の肖像画です。手には自分宛ての手紙、背後には帆船が描かれ、海運業で利益を得ていた彼の功績がそれらのアイテムによって表現されています。●ジョン・シンガー・サージェント、「ロベール・ド・セヴリュー」1879年7子犬と少年のどこかぎこちない表情が愛らしい、この作品。野心的なアメリカ人画家・サージェントは主にイギリスを拠点として活躍しましたが、イタリアに生まれフランスで美術教育を受けた生い立ちから、欧州各国の影響を受けた独特な画風が特徴的です。伝統的な古典技法を用いて多数の肖像画を手掛けた「最後の肖像画家」とも呼ばれています。●ジョン・シンガー・サージェント 、「フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル」1903年8これもまたサージェントの縦1.52メートル・横1.03メートルほどある大きな肖像画です。モデルとなった夫人は、音楽と美術を愛した教養のある国際人で二児の母親でもあり、作品からもどこか知性や母性を感じられる温かみがあります。ブロンズの髪やシルクドレスの質感、うっすら赤らんだ頬の巧みな描写と優しい色合いに、思わずうっとりしてしまいます。6章版画・写真919世紀半ばから20世紀にかけてのアメリカを描写した収集作品の中から、アメリカを代表する芸術家のホーマー、ホッパー、シーラー、アダムの4人の作品が展示されています。モノクロの世界に映しだされた、当時の人々の暮らしや自然の美しさにはどこか懐かしさすら感じます。7章現代美術19世紀~20世紀以前の作品が多く収蔵されていることで知られるボストン美術館ですが、現代アートをけん引するアーティストの作品も多数展示されています。今回は、ウォーホル、村上隆をはじめ、色鮮やかな風景画が有名なホックニーや写真から映画まで幅広い制作領域をもっているテイラー=ジョンソンの作品が大集結!ケヒンデ・ワイリーの「ジョン、初代バイロン男爵」など、現代アートらしいポップで鮮やかな作品たちが、見る人を元気にしてくれます。展覧会限定のオリジナルグッズも要チェック!ミュージアムショップには、ボストン美術展限定のオリジナルグッズも多数販売されています!気になった作品がモチーフとなったグッズは、つい欲しくなってしまうはず。注目作品はの多くは、どれもグッズになっています。オリジナル巾着にあめが入ったオフィシャルグッズは、お土産にも喜ばれそう。巾着には、ゴッホの“ルーラン夫妻”や、歌麿の“三味線を弾いた弾く美人”など展覧会の注目作品の数々でモデルになった人物がランダムにプリントされています。まさに、これぞ夢のコラボ!といった限定グッズはここでしか手に入らないので要チェックです!退館するときも必見!「会場限定記念号外」とフォトスポット展覧会を見終えて最後の最後に置いてあるのが、この「会場限定記念号外」。訪れた人しか手に入らないこの号外は、「涅槃図」や“ルーラン夫妻”、「睡蓮」などの主要作品がすべてもれなく掲載されています。もちろん、号外なので無料です。来館記念に一部持ち帰ってみてはいかがでしょうか。今回の展覧会の大注目作品であるゴッホの「ルーラン夫妻」と記念撮影ができるフォトスポットもあります。ボストン美術館の至宝展では、今しか見られない至宝たちが勢ぞろい。期間中には、タイアップイベントやスペシャルコンテンツも続々と登場予定です。これを逃したらしばらく見られないかも!?普段あまりアートに触れない人でも気軽に楽しめる、この夏イチ押しの展覧会です。イベント詳細名称:ボストン美術館の至宝展ー東西の名品、珠玉のコレクション会場:東京都美術館 企画展示室住所:東京都台東区上野公園8−36会期:2017年7月20日(木)~10月9日(月・祝)開催時間:9:30~17:30 ※金曜は20:00まで、7月21日、28日、8月4日、11日、18日、25日は21:00まで ※入室は閉室の30分前まで 休室日:月曜日、9月19日(火) ※ただし、8月14日(月)、9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開室料金:一般 1,600円(1,400円)、大学生・専門学校生 1,300円(1,100円)、高校生 800円(600円)、65歳以上 1,000円(800円)公式サイト:
2017年07月21日展覧会「魔法の美術館― 光と遊ぶ超体感型ミュージアム」が神戸ファッション美術館にて開催される。会期は、2018年7月14日(土)から9月2日(日)まで。体感型の光のアートを楽しむ「魔法の美術館」「魔法の美術館」は、見て、参加して、楽しむ、体感型の展覧会。来館者の動きに合わせて、色とりどりの光や影のモチーフ、映像、音が変化する作品などが、美しくも不思議な空間を演出する。日本を代表する気鋭のアーティストが作り出した魔法のような空間に入り込み、心ゆくまで遊びつくすことが可能だ。登場する全21点の作品すべて写真撮影も自由となっており、SNSに投稿して楽しむこともできる。動く影が幻想的な「Lifelog_シャンデリア+Lifelog_モビール」小松宏誠の「Lifelog_シャンデリア+Lifelog_モビール」は、天井から吊り下げられた繊細な造形のシャンデリアや、展示されたモビールが回転。壁に映し出された影の動きを楽しめる幻想的な作品だ。自分がキュビスムの世界に「.hito」自分のキュビスム的な姿を楽しめる「.hito」。イスに座ると自分がキュビスム的な姿になり、動きに合わせて変化する。ポリゴンチックになった自分の動きを楽しんで。自分の歩いた道から波紋のように光が広がる「七色小道」「七色小道」は、一見ただの通路に見える道。歩き出すと、自分の跡から様々な色や光が広がっていき、他の人が出す色と混ざりあう。ただ歩いているだけで無意識のうちにお互いに影響を与え合っている様子を参加型アートという形で表現した。時間の経過によって広がった光は形を変えながら消えてしまうので、常に違う姿の「七色小道」を楽しむことができる。【詳細】魔法の美術館― 光と遊ぶ超体感型ミュージアム会期:2018年7月14日(土)~9月2日(日)開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)休館日:月曜日、2018年7月17日(火) ※7月16日(月・祝)は開館場所:神戸ファッション美術館住所:兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1入館料:一般 1,000(800)円、大学生・65歳以上 500(400)円、高校生以下 無料※()内は前売り(館内のみ)、または30人以上の団体料金。※小学生以下は保護者(高校生以上)の同伴が必要。出品アーティスト:田中陽、坪倉輝明、藤本直明、小松宏誠、徳井太郎/清水雄大、藤元翔平、重田佑介+Zennyan、岡田憲一、宮本昌典/小岩原直志
2017年06月11日東京・品川の「原美術館」では、5月10日(水)~5月19日(金)まで、蜷川実花の個展「蜷川実花 うつくしい日々」を開催する。本展は、蜷川実花が、父・幸雄の死に向き合う日々を撮影した写真約60点で構成されている。「うつくしい日々」が撮影されたのは昨年の春。本展は同じ季節に開催される10日間という絶好のタイミングでの展示となる。原美術館では、2015年に蜷川実花の個展「Self-image」展を開催した。あれから1年の間に写された蜷川幸雄と蜷川実花の“うつくしい日々”は、作家本人が「どうしてこんな写真が撮れたのかわからない」また「逝く人の目で撮った写真」と表現するように、彼女のこれまでの作品とは一線を画すものとなった。人の生死、喜びと悲しみが共存する個人宅であった原美術館が、作品世界とリンクし、その公開に相応しいという思いから、スケジュール上、たった10日間の展示となるが、開催することが急きょ決定された。ぜひこの機会をお見逃しなく。開館時間は、11時~17時。水曜は20時まで。入館は閉館時刻の30分前まで。関連イベントとして、5月14日(日)11時半~13時に「対談 蜷川実花×飯沢耕太郎」を開催。会期中無休。(text:cinemacafe.net)
2017年05月08日ロシアの女帝エカテリーナ2世のコレクションが基礎となり、日々進化し続けるエルミタージュ美術館。16世紀〜18世紀にかけて芸術分野における巨匠やその作品群は“オールドマスター”と呼ばれ、今なお多くの人々を魅了し続けています。そんなオールドマスター傑作の数々が、この春六本木に大集結。珠玉のコレクションを、ぜひその目で確かめて。珠玉のオールドマスター作品が目の前に18世紀、女帝エカテリーナ2世が美術品収集をはじめたことをきっかけに生まれたエルミタージュ美術館。エントランスを入ってすぐのエカテリーナ2世の肖像は、まるで「どうぞ私のコレクションを見ていって」と彼女が出迎えているかのよう。16世紀ルネサンス時代のティツィアーノや、17世紀オランダ市民絵画を代表するレンブラント、18世紀フランスを象徴するロココ主義のヴァトー。名だたる巨匠の作品が集結した本展は、エルミタージュ美術館展の決定版となっています。趣向を凝らした展示方法にも注目して展示室内は章ごとに赤や緑、金色など章のイメージに合った色で分かれています。同時代の作品を地域別に分けた本展は、それぞれの国の当時の風潮や雰囲気を味わうのにもうってつけです。またエカテリーナ2世の在位中に取得された作品のキャプションには王冠マークがついており、彼女の趣味趣向などを空想するのも楽しそう。巨匠の作品だからと身構えず、自分ならではの楽しみ方を見つけられるのも本展の魅力のひとつです。取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち催行期間:2017年03月18日 〜 2017年06月18日住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階森アーツセンターギャラリー電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年04月18日写真展「蜷川実花 うつくしい日々」を品川・原美術館で開催。会期は、2017年5月10日から19日(金)まで。2016年に父である演出家・蜷川幸雄を亡くした写真家・蜷川実花。10日間限定で開催される本展では、父親の死に向き合う日々を撮影した写真約60点を公開する。まず作品を見れば、それがよく知られているような蜷川実花のヴィヴィドで刺激的な世界観とは一線を画していることに驚かされるだろう。踏切を走る京王線の電車や道路標識。彼女が捉えるものは日常にありふれたものでありながらも、その作品が持つ生き生きと輝くような美しさに観るものはハッとさせられる。日差しを受けるピンク色の花々を捉えた画面には、朝特有の青みがかった光がキラキラと溢れる。新しい1日の訪れを告げる静けさと眩しさに思わず目をつむってしまいそうだ。スポットライトを強く受け舞台から無人の観客席を眺めるような撮られた作品からは、まるで演出家として活躍していた父・幸雄がそこに立っているかのように彼の面影が浮かんでくる。会場では、生活の中の何でもない一瞬を慈しむ彼女の、あるいは、蜷川幸雄の視線があちこちに顕れている。そして、その視線を通した風景は、どんな絶景を捉えた写真よりも美しく愛しい。それは”この世界に別れを告げること”に間近で向き合ったものにしか見いだせない輝きなのかもしれない。【詳細】蜷川実花 うつくしい日々会期:2017年5月10日〜19日(金) ※会期中無休会場:原美術館 住所:東京都品川区北品川4-7-25開館時間:11:00〜17:00 (水曜は20:00まで / 入館は閉館時刻の30分前まで)入館料:一般 1,100円、大高生 700円、小中生 500円※原美術館メンバーは無料※学期中の土曜日は小中高生の入場無料※20名以上の団体は1人100円引き■ギャラリーガイド日時:2017年5月14日(日) 14:30より30分程度【問い合わせ先】原美術館TEL:03-3445-0651
2017年04月16日東京・品川の「原美術館」では、3月26日(日)に、パリの有名パティスリー「ピエール・エルメ・パリ」、子どもたちの豊かで美しい未来を育むプロジェクトを手がける「Polar Inc.」が、1日限定イベント「“Paques” 復活祭 2017あなたのうさぎはどこ?~アートを見てチョコレートを探そう~」を開催する。本イベントは、美術館のギャラリーガイドや伝統行事のイベントを通して、「芸術や文化が日常にある生活」をより身近に感じてもらうことを目的とした、子ども対象の体験型イベント。パック(復活祭。英語ではイースター)は、キリスト教の最大お祭りとも言われ、十字架にかけられたイエス・キリストの復活を祝う記念日だ。日本でも最近、その文化が知られるようになり、巷のスイーツショップでは、卵やウサギ、あひるの形をしたお菓子が店頭に並ぶ光景が見られる。「ピエール・エルメ・パリ」と「原美術館」、「Polar Inc.」は、パックの伝統を紹介し、子どもたちにも知ってもらいたいという思いから、毎春、この伝統行事を原美術館の庭で開催している。参加者はバスケットを片手に、庭に隠されたイースターエッグやバニーを探すゲームを体験し、ホールでは復活祭の歴史や、それにちなんだチョコレートの説明や展示、「ピエール・エルメ・パリ」のフランス人パティシエによるチョコレートのデモンストレーションを見ることができる。さらに今年は、セルフポートレイトをテーマにしたアートワークショップも開催。イベントは、同日の13時~、15時~の2回開催となり、定員は20名(3歳~12歳以下の子ども、大人同伴可)。参加費は無料(子ども1名、大人1名分の入館料は無料)。3月7日(火)より「ピエール・エルメ・パリ」のオフィシャルサイトより申し込みを受け付け中。(text:cinemacafe.net)
2017年03月10日洗練された空間で「世界のアート」を体験するスイスの建築家マリオ・ボッタによって設計された、洗練された佇まいが印象的なこの美術館。展示会を作るにあたり世界的な専門家を招き、国際的にアートに貢献しているアーティストの参加も実現するという極めてクオリティの高い美術館。渋谷という街に居を構えながらも、内向きな地域主義に陥ることなく活動をしており、世界に向けてアートを発信しています。スリリングなパフォーマンスが圧巻! 「コンタクトゴンゾ展 Physicatopia」「コンタクトゴンゾ(contact Gonzo)」とは、2006年に垣尾優と塚原悠也によって結成された、セゾン文化財財団助成対象アーティスト(2011年〜)。現在のメンバーは塚原悠也、三ヶ尻敬悟、松見拓也、NAZEの4名で、肉体の衝突を起点とする独自の牧歌的崇高論を構築し、即興的なパフォーマンス作品や、映像、写真作品の制作、マガジンの編集などを行っています。「フィジカトピア(Physicatopia)」では、サッカースタジアム用のパフォーマンス作品『xapaxnannan』発表後に発見された文章に基づいた彫刻の他、未発表のものを含む過去のパフォーマンス作品記録映像を見ることができます。世界的なアーティストや専門家たちによって作り上げられる展示会は一見の価値あり。圧倒的なパワーを持ったコンテンポラリーアートは、静かに鑑賞するだけでなく、没入して体感できるのも魅力のひとつ。新しい閃きを感じたい人は、ぜひ訪れてみて。取材・文/西尾 宇宙スポット情報スポット名:ワタリウム美術館住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6電話番号:03-3402-3001
2017年02月24日歌川国芳の絵が、手触りふんわり「浮世絵手ぬぐい」奇抜で独特な世界観で国内外に数多くのファンを持つ歌川国芳。巨大な骸骨の妖怪が有名な『相馬の古内裏』や可愛い猫が描かれた『ねこ尽くし』など、そんな彼の有名な代表作があしらわれた手ぬぐいシリーズです。ふんわりとした肌触りも心地良く、歌川国芳好きにとってはたまらないグッズではないでしょうか。歌川国芳 浮世絵手ぬぐい(税込 648円)コレクションしたくなる美しさ! 「浮世絵絵はがき」お手頃な価格と豊富なバリエーションが魅力的なポストカード。家族、友人へのお土産としても、自分の思い出や記録を残すための記念品としてもピッタリ。気に入った絵や印象深かった絵のポストカードを是非見つけてみてください。浮世絵 絵はがき(税込 100円)真の浮世絵好きなら手に入れたい「複製浮世絵版画」忠実な製法で造り上げられた素晴らしい木版画。誰もが一度が目にしたことがあるであろう喜多川歌麿の『ビードロを吹く女』や葛飾北斎の『富嶽三十六景』など日本を代表する名作の数々が、江戸の技法を受け継ぐ職人技によって、最高のクオリティーで、時を超えて現代に蘇ります。複製浮世絵版画 (税込 14,040円)どれもこれもついつい欲しくなってしまうグッズばかり。素敵な思い出や記憶は、形として残しておきたいもの。お気に入りのグッズを探してみてください。取材・文/西尾 宇宙スポット情報スポット名:太田記念美術館住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10電話番号:03-5777-8600
2017年02月24日原美術館にて、ニューヨーク在住の女性作家、エリザベス ペイトンの日本の美術館では初となる個展「エリザベス ペイトン:Still life静/生」が、1月21日(土)~5月7日(日)の期間で開催となる。エリザベス ペイトンは、90年代半ば、親しい友人からミュージシャンやカルチャー・アイコン、歴史的な人物などを、特有の繊細なタッチの油絵で表現した肖像画が、時代に新風をもたらす“新しい具象画”と称され、近年では風景や静物、オペラからもインスピレーションを得るなどその表現を一層深め、各国で高く評価されている現代アーティストのひとり。本展は、日本では紹介される機会の少なかったペイトンの25年の画業を、作家自身が 選んだ約40点で一望する貴重な機会となる。ペイトンは、同時代の人物も歴史的人物と同じような距離感で描いている。例えば、「ニルヴァーナ」のヴォーカル、カート・コバーン(1967-1994)の肖像は、人物画という面とカートの生死を廻る聖人画という面を併せもっていたり、「Prince Eagle(Foutainebleau)」[プリンス イーグル(フォンテーヌブロー)、1999年]では、歴史あるフランスの城の水路脇を歩く友人を、壮麗な景観を背景にしながら内省的に描くなど、歴史的な文脈を含めたり、背景にすることで、作品世界に奥行きをもたらしている。彼女特有の色彩や繊細な線による美しい肖像画の数々を、ぜひこの機会に鑑賞したい。(text:cinemacafe.net)
2016年12月31日和菓子の老舗とコラボ! 個包装だからお土産にもぴったり◎江戸時代から続く老舗の和菓子店「榮太樓總本鋪」とのコラボ商品「ひとくち羊羹」(800円)。北海道産小豆の風味を活かした食べ切りサイズの羊羹は1つずつ小分けにされているから配りやすく、お土産におすすめ。パッケージはモネの「グラジオラス」とゴッホの「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」の2種類です。ヨーロッパ絵画×えびせん!?ヨーロッパ絵画×海老せんべいという意外なマッチングが目を引く「海老せんべい」(800円)は、もちろん日本での展覧会ならでは。マヨネーズ風味の海老せんべいは老若男女問わず人気の一品です。こちらも個包装されていて日持ちがするので、ちょっとしたお土産にも◎。集めて飾りたい 名作モチーフのマグカップルノワールとモネの作品をそれぞれあしらった「マグカップ」(各1890円)は内側が鮮やかなピンクやブルーになっていて、両方揃えたくなる可愛さです。マグを使うたびに憧れの名画を鑑賞したら、センスアップも期待できるかも?! 他にも、ゴッホのマグカップもあるのでじっくり選んでみて。取材・文/藤井ちひろ店舗情報店名:デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~TEL・予約:03-5777-8600(ハローダイヤル)住所:東京都台東区上野公園1-2上野の森美術館アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分営業時間:9:30~16:30(但し、毎週金曜日9:30-20:00)※入館は閉館の30分前まで)2016年10月7日(金)~1月21日(土)
2016年12月30日日本初上陸の作品15点を含んだ選りすぐりの作品たち1885年に創立されたデトロイト美術館はアメリカの公共美術館として初めてゴッホ、マティスの作品を取り入れた美術館で、コレクションは約6万5千点、年間の70万人以上の来訪客を誇る、アメリカを代表する美術館の1つです。今回はその中から選び抜かれた52点が展示されています。また、今回の展覧会の大きな特徴がカメラ撮影OKということ(月曜火曜のみ。フラッシュは禁止、一部SNS投稿禁止作品もあります)。美術展は撮影禁止のことが多いので、この機会に巨匠の名作をカメラに収めちゃいましょう!目玉作品のゴッホの「自画像」は一生に一度は見ておきたい!麦わら帽子をかぶり明るい色彩で描かれたゴッホの自画像は一番人気の作品だけあって撮影可能日と週末は特に混雑するそう。それもそのはず、この「自画像」はなんと100億円の価値があると言われている作品! 並んででも間近で写真をおきたくなります。他にも息子をモデルにしたルノワールの「白い服の道化師」やモネが妻カミーユを描いた「グラジオラス」など、有名作品が目白押しです。ヨーロッパ近代絵画の顔とも言える珠玉の作品を間近で見られて、カメラ撮影までできちゃう今回の展覧会。年末年始も開館しているのでお休み中にぜひ立ち寄って「奇跡のコレクション」に触れてみては?取材・文/藤井ちひろ店舗情報店名:デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~TEL・予約:03-5777-8600(ハローダイヤル)住所:東京都台東区上野公園1-2上野の森美術館アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分営業時間:9:30~16:30(但し、毎週金曜日9:30-20:00)※入館は閉館の30分前まで)2016年10月7日(金)~1月21日(土)
2016年12月29日「エリザベス ペイトン:Still life静/生」が、2017年1月21日(土)から5月7日(日)まで、東京・品川の原美術館で開催される。エリザベス・ペイトンは、1990年代初頭より絵画や素描、版画を中心に制作してきたアメリカの女性作家。中でも肖像画が特に知られているが、彼女の描く対象は、親しい友人からカート・コバーン(1967-1994)らカルチャーアイコン、バイエルン王のルートヴィヒ 2世(1845- 1886)をはじめとする歴史上の人物まで幅広い。自身にとって“憧れ”の存在や“美”を描いた肖像画の数々は、90年代半ば、時代に新風をもたらす“新しい具象画”と称された。そんなペイトン作品最大の魅力の一つは、人物像の美しさだろう。特有の色彩や繊細な線づかいをもって、対象の情熱や魅惑、そして美しさを引き出すペイトンは、控えめなサイズに大胆な描写を組み合わせることで、人物の外面と内面との間に生まれる緊張感も同時に表現している。日本ではこれまで紹介される機会が少なかったペイトンにとって、今回開催される展覧会は日本の美術館では初。多岐にわたるジャンルと主題を擁する作品約40点は、ペイトン自身が25年のキャリアを振り返り選んだものとなっている。【開催概要】「エリザベス ペイトン:Still life静/生」開催期間:2017年1月21日(土)〜5月7日(日)会場:原美術館住所:東京都品川区北品川4-7-25開館時間:11:00〜17:00(祝日を除く水曜は20:00まで/入館は閉館時刻の30分前まで)休館日:月曜日(祝日にあたる3月20日は開館)、3月21日入館料:一般1,100円、大高生700円、小中生500円※原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料、20名以上の団体は1人100円引アクセス:JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分/都営バス「反 96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分/京急線「北品川駅」より徒歩8分【作家略歴】エリザベス ペイトン(Elizabeth Peyton)1987年、ニューヨークのスクール オブ ヴィジュアルアーツを卒業。主な個展に「Here She Comes Now」展(バーデン バーデン州立美術館、ドイツ、2013年)や版画に焦点をあてた2011年の回顧展「Ghost」展(ミルドレッド レーン ケンパー美術館、セントルイス、アメリカ / オペルヴィレン財団、リュッセルスハイム、ドイツ)等がある。また、主要回顧展に、2009年から2010年にかけて各地を巡回した「Live Forever」展(ウォーカー アート センター、ミネアポリス)、ニューミュージアム(ニューヨーク)、ホワイトチャペルアートギャラリー(ロンドン)、ボネファンテン美術館(マーストリヒト、オランダ)がある。日本では、Gallery Side 2にて個展(1995年)、「エッセンシャル・ペインティング」展(国立国際美術館、2006年)に参加。2017年にはローマ フランス アカデミー「ヴィラ メディチ」にて個展を予定。ニューヨーク在住。
2016年12月11日アメリカの女性作家エリザベス・ペイトン(Elizabeth Peyton)が来年1月21日から5月7日まで、東京・品川の原美術館にて「エリザベス ペイトン:Still life静/生」を開催する。エリザベス・ペイトンは、絵画や素画、版画を中心に制作する女性作家。中でも肖像画でよく知られており、親しい友人や恋人、愛犬から、アーティスト、小説家、ミュージシャン、役者まで、様々な人物を対象にした作品を発表してきた。これらのペイトンの絵画は、透明感のある色彩や繊細な線によって、対象をただならぬ美しさを湛える存在に変貌させている。また、近年では街の風景や静物、オペラからインスピレーションを得た作品なども多く手掛けている。日本の美術館での初個展となる同展では、作家自身が25年のキャリアを振り返って選んだ作品約40点を展示。これまで日本では紹介される機会の少なかったペイトンの25年の画業を一望出来る貴重な機会となっている。【展覧会情報】「エリザベス ペイトン:Still life静/生」会場:原美術館住所:東京都品川区北品川4-7-25会期:17年1月21日~5月7日時間:11:00~17:00(祝日を除く水曜日は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,100円、高大生700円、小中生500円 ※原美術館メンバーや学期中の土曜日は小中高生も無料休館日:月曜日(3月20日は開館)、3月21日
2016年12月07日ロシアのエルミタージュ美術館が所蔵する絵画85点を展示する美術館展「大エルミタージュ美術館展オールドマスター西洋絵画の巨匠たち」が2017年3月18日(土)より開幕。同展のテーマソングに宇多田ヒカルの『人魚』が決定した。【チケット情報はこちら】フランスのルーヴル美術館、アメリカのメトロポリタン美術館とともに、世界三大美術館のひとつと言われているエルミタージュ美術館。同展では、美術館の絵画コレクションの中でも、質・量ともに群を抜く、16世紀ルネサンスから17世紀、18世紀のバロック、ロココの “オールドマスター”に焦点を当てて展示。ティツィアーノ、クラーナハ、レンブラント、スルバラン、ブーシェ、フラゴナールなどの作品から、油彩画のみ85点を国・地域別に紹介する。今回、テーマソングに決定した宇多田ヒカルの『人魚』は、9月にリリースした8年半ぶりとなるニューアルバム『Fantome』に収録。同作はオリコン週間CDランキング4週連続1位を獲得し、話題を呼んでいる。「大エルミタージュ美術館展オールドマスター西洋絵画の巨匠たち」は6月18日(日)まで、東京・森アーツセンターギャラリーで開催。その後、愛知、兵庫へ巡回する。現在、チケットぴあでは、東京展の早割チケットを販売中。■『大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち』【東京展】森アーツセンターギャラリー(東京都)2017年3月18日(土)~6月18日(日)【名古屋展】愛知県美術館(愛知県)2017年7月1日(土)~9月18日(月・祝)【神戸展】兵庫県立美術館(兵庫県)2017年10月3日(火)~2018年1月14日(日)※『Fantome』の「o」はサーカムフレックス付きが正式表記。
2016年11月04日アメリカを代表する美術館のひとつ、デトロイト美術館の名作を集めた「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」の東京展が、10月7日より上野の森美術館にて開催中。【チケット情報はこちら】1885年の創立以来、デトロイト市の財政破綻などの危機にも見舞われながら、自動車業界の資金援助もあり、世界屈指のコレクション数を誇る美術館として知られているデトロイト美術館。今回の巡回展では同美術館から、ゴッホの『自画像』やマティスの『窓』など、近代絵画における巨匠の作品52点を展示、うち15点が日本初公開作品となる。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソなどが描いた名画を存分に堪能することができる。開幕前日の10月6日に行われたプレス向け内覧会には、本展の音声ガイドナビゲーターを務めた女優の鈴木京香が出席。「何度観ても面白い展覧会です。私も何回も来たいと思いますので、ぜひ皆さんも足を運んで、名画との対話を楽しんで」とコメント。また、月・火曜日に限り、来場者が自由に絵画を撮影することができるという同展の特徴に触れ、「通常の展覧会ではあまり撮影ができない展示会が多いですが、デトロイト美術館展は自分のカメラで撮影できる点がとてもいいです。私もカメラが好きですので、来場した時にはぜひ撮影したいです」とアピールした。「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」は、2017年1月21日(土)まで東京・上野の森美術館で開催。チケットは発売中。
2016年10月27日●ヌードで撮りたいと言ったら、美術館が「いいよ」写真家・篠山紀信が新たな試みを行っている。東京・品川区の原美術館内で撮ったヌード写真を、原美術館に飾る写真展『篠山紀信展 快楽の館』(9月3日~2017年1月9日)を行い、さらに写真集としても発売しているのだ。巨匠でありながら、これほどのフットワークの軽さを見せた真意、『快楽の館』といったタイトルに込めた思い、そしてなぜヌードだったのか。○美術館の持つ「色気」――今回の美術展が行われた経緯を教えてください。まず原美術館から「展覧会をやりませんか」という話がありました。ぜひやらせていただきたいと案内してもらったら、ふだんは一般の人が入れない裏庭に大きな門があったり、苔むしている庭があったり、入り口の庭に大きな木が立っていたり、全然、普通の美術館とはたたずまいが違うんです。聞いてみたら、名だたる建築家が約80年近く前に建てた邸宅で、いろんな歴史があるらしいんですよね。建物自身も割と球形で素敵ですが、それでも邸宅として住んでいたわけだから、窓も扉もあるし、いわゆる普通の”美術館”のような無機質な空間ではない。そういった、原美術館自身の佇まいをすごく気に入っちゃったんだよね。「ここで作品を作れないですか?」と言ったら、館長が「それは面白いじゃない、やってもいいよ」と言ってくれました。――原美術館自体の魅力が大きかったのですね。そこで裸を撮ろうというのはどういうお気持ちだったんでしょうか?写真は"場"というのがとても重要ですが、原美術館の場合は、"場"自身がいろいろな歴史を持ち、随所に魅力的な空間があって、色っぽいんですよね僕に言わせると。セクシーなんです。そういう場所でヌードを撮ったら面白いなと思って言ったら、館長が「いいですよ」と。これは簡単なようで、なかなかないですよ。公立の美術館だったら、作品の確認や評議委員会にかけなければいけないなどいろいろなプロセスがあるのに、館長の一声で「何やってもいい」「ヌードでもいい」と言ってもらえるなんて! それでも最初は半分くらい今までの写真を持って行こうかと思ったんですが、原美術館を見ているうちに、全部ここで撮った新作の方が面白いんじゃないかな、と言ってしまいました。撮るのは自分なので、大変な事を言ってしまったんですが(笑)。こんな自由が与えられるということは、今後も絶対ないと思っています。――裸で、『快楽の館』というのはかなりインパクトのあるタイトルだなと思いました。『快楽の館』というタイトルは、アラン・ロブ・グリエというフランスの小説家の作品を日本語訳にした言葉からとりました。原題をそのまま訳すと「ランデブーの館」、つまりいろいろな人が集ってきて、いろいろなドラマが生まれるみたいな意味なんです。日々違う人が来て、出会っていく館という。撮っている間も、綺麗なモデルさんたちが一糸まとわず次から次へと来て、写真を撮る快楽がありました。だから、『快楽の館』というのは、実は僕の快楽なんじゃないかというくらいに楽しかったですね。ただ、ポスターから見るように、怪しげな館にヌードの人が集まった、エロティックな饗宴じゃないか、と思っている人が見ると、ちょっと違う作品かもしれません。●実は、男性の方が"裸"を恥ずかしがる?○有名モデルも、作品の下に一律――ヌードモデルさんの中に、壇蜜さんなども出演されていますよね。ここに壇蜜さん的な人がいればとてもぴったりだなと思い、実際に出ていただきましたが、今回は作品の下にモデルの名前は一切載っていないんです。有名な方も随分いますが、全員素人の方の部屋もありますし、作品の全責任は私にあります。男性の写真もありますしね。オカダ・カズチカさんという、新日本プロレスで人気の方ですけど、これも「オカダさんのヌード」ではなく、「快楽の館」の一員として出演していただきました。――男性のヌードを撮るときと、女性を撮るときと、違いはあるんですか?構造的に、男性の体は出っ張ってますからね(笑)。隠すのになかなか苦労します。あとはどちらかというと、男性の方が恥ずかしがり屋ですよね。女性は10分もすれば、自分が裸であるかなんて忘れちゃうところがあるんですけど、男性の気持ちをほぐすのは大変です。お世辞を言ったりするわけじゃないけど、モデルになってくれてありがたいという気持ちを全面に出します。リスペクトする気持ちがないと、ダメですよ。――全体的にはどれくらいの撮影日数がかかっているんでしょうか?結局10日間で全部撮りました。モデルは33名、写真点数は76点。4点の作品を集めたものなどもありますから、細かく言うと90点くらいありますね。でも溢れるくらいイメージは湧いてきましたから、行き詰まってどう撮っていいかわからないということは、全然なかった。僕はフライヤーにも、「美術館は作品の死体置き場だ」と書きました。だけど今度の場合は、美術館で見た写真が「今、立ってるここじゃん」という感覚がありますし、作品も生まれたての赤ん坊みたいなもので、そこに立ち会うと、不思議な感覚にとらわれると思うんですよね。これは写真以外だったらできない。これも写真の持つひとつの表現の力で、極めて写真的な行為なんですよ。絶対安全圏の中から、作品を上から目線で見てやるということではなく、ひょっとすると作品が自分にのしかかってくるかもしれないという面白さがあると思います。○規制があるのは当たり前――ヌードということでは、規制やコンプライアンス問題なども、昨今は厳しくなっているのかなと思いますが……。全部自由な表現なんて、どこにもないんですよ。必ず制約がありますから、その中でやればいいんです。ただ、ヌードというもの全体に関して、世の中の規制が強くなっていることは事実ですよね。飛行機に、ヌードが載っている週刊誌は入れないとか、TVも乳首とヘアはいけないとか。僕は『ヨルタモリ』で乳首出しちゃった※けど(笑)。※2015年7月26日放送の『ヨルタモリ』(フジテレビ)にて、宮沢りえ写真集『Santa Fe』の未公開写真を紹介。例えばヨーロッパで、性器をモチーフにしたアートが掲載された雑誌が出せるような地域であっても、宗教的なタブーが存在する場合もある。いろんな場所と時代によって制約が必ずあるので、全く自由なものはどこにもない。でもそれを、かいくぐりながらやるのがいいんですよ。たまに警察が来る時もありますけど(笑)。――根本的な話になってしまいますが、どうして篠山先生はヌードを撮られるんですか?商業的な場合は、様々な要望もありますからね(笑)。今度の場合で言えば、本当は服を着ていてもいいんですよ。凝ったヘアメイクとファッションで、いろんなことしてもいいんです。ただそうすると、表現の主体がそちらになってしまうじゃないですか。原美術館が持つ魔力、磁力、場所の持つ色気みたいなことを、直截に表現しようとした時に、あんまり何もない方がいいんですよ。裸の肉体がふっと出てきて、僕がいろいろそれを写真的に工夫することによって、思ってるものをストレートに出せるというのが、ヌードなんですよね。――同時に今回、講談社さんから写真集も発売されていますね。図録的な意味で作ってたんですけど、図録をはるかに超えちゃって、すっごく素敵な写真集になっちゃった(笑)。珍しく、僕が撮っている現場の写真も入っているんですよ。3台のカメラを使って撮る方法とか、秘密を種明かししていますからね。――展覧会が終わったら、飾ってある写真はすべて捨ててしまう、とも伺いました。壁にべたっと貼ってあるから、破くしかないんだもの(笑)。ありがたい作品を保存し、それを鑑賞し、というのではなく、見たら終わり・期日が来たら終わり。それも新しいよね。だからこれは鑑賞でなくて体感だと思うんですよ。ネットでわかった気にならないで、ぜひ作品を見て体感してもらいたいですね。なんてったって、作った僕が一番最初に見るのを楽しみにしていたんだから。■書籍情報篠山紀信『快楽の館』(講談社 3,500円+税)写真界の巨匠・篠山紀信が壇蜜をはじめとする美しき裸体30名を新撮! 2016年9月3日~2017年1月9日まで品川区の原美術館で行われる個展「快楽の館」の図録/写真集。美術館には展示されない貴重なカットやメイキングに加え、美女たちのヌードがズラッと並ぶ圧巻の"シノラマ"も特別収録。■展覧会篠山紀信展 快楽の館会期:2016年9月3日~2017年1月9日会場:原美術館 〒140-0001 東京都品川区北品川4-7-25
2016年10月04日展覧会「トーマス・ルフ展」が東京国立近代美術館で2016年8月30日(火)から11月13日(日)まで、石川・金沢21世紀美術館で2016年12月10日(土)から2017年3月12日(日)までの期間、開催される。トーマス・ルフは、アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、1990年代以降、現代の写真表現をリードしてきた存在だ。彼は自ら撮影したイメージだけでなくインターネット上のデジタル画像から古写真コレクションまで、あらゆる写真を素材に用いて新しい表現の可能性を探究している。美術館で開催される本格的な日本国内の回顧展は今回が初。待望されていた本展では世界が注目する彼の初期から、初公開の最新作までを紹介する。初期に発表し注目されるきっかけとなった高さ約2メートルにもなる巨大なポートレート作品や、それ以降の建築、都市風景、ヌード、天体などさまざまなテーマの作品全18シリーズ、東京会場約125点、金沢会場約160点の作品で構成。最新作「press++」シリーズでは本展が世界初公開となるものも。彼は、作品を通して現代人をとりまく世界のあり方についてのユニークな見方を提示する。【開催概要】トーマス・ルフ展■東京会場会期:2016年8月30日(火)〜11月13日(日)※月曜休館。ただし9月19日、10月10日は開館。9月20日(火)、10月11日(火)は休館。開館時間:10:00〜17:00 毎週金曜日は20:00まで。※入館は閉館の30分前まで会場:東京国立近代美術館住所:千代田区北の丸公園3-1TEL:ハローダイヤル 03-5777-8600料金:一般 1,600(1,400)円、大学生 1,200(1,000)円、高校生 800(600)円※()内は前売の料金。20名以上の団体は一般 1,300円、大学生 900円、高校生 500円となる。■金沢会場会期:2016年12月10日(土)〜2017年3月12日(日)※月曜休館。ただし1月2日、9日は開館。12月29日(木)〜1月1日(日)、1月10日(火)は休館。開館時間:10:00〜18:00 毎週金・土曜日は20:00まで。※入館は閉館の30分前まで。会場:金沢21世紀美術館住所:石川県金沢市広坂1-2-1料金:一般 1,000(800)円、大学生 800(600)円、小中高生 400(300)円※()内は前売、20名以上の団体の料金。
2016年08月25日原美術館にて、1960年代から現在まで常に写真界の先頭を走り続けてきた篠山紀信の個展「快楽の館」が、9月3日(土)~2017年1月9日(日)の期間開催される。美術館での篠山紀信展といえば、「篠山紀信 写真力」展が2012年以来全国各地の美術館を巡回中だが、本展はまったく異なるコンセプトによる、原美術館だけで開催するユニークな展覧会となる。写真作品「快楽の館」 カラー、モノクロあわせた約60点が展示される。テーマは、1938年完成の邸宅が元になった原美術館を、篠山紀信がカメラによって“快楽の館”に変貌させること。出品作品はすべて撮り下ろしの新作で、およそ30名にものぼるモデルを起用したヌード写真であり、そのすべてがこの原美術館で撮影されたものだ。「ここ(=原美術館)で撮った写真をここに帰す(=展示する)」というコンセプトは、原美術館で個展を開催することになったとき、まず篠山紀信氏が提案したアイデアなのだという。さらにプリントのいくつかは、まさに“撮影したその場所”の壁面に展示される。したがって、写真の中のイメージ=“かつて・ここに・あった”と、展覧会場にいるという現実=“いま・ここに・ある”が交錯し、幻惑的であると同時に、一種“倒錯”的とさえ言える鑑賞体験が生まれる。写真家篠山紀信にとって、もともと私邸だった原美術館という場は、“撮る欲望”をかきたて“撮る快楽”に浸れる場としての魅力を持っているのだという。そのため、本展は“ここだけ”で開催するもので、巡回展示は行われない。篠山紀信は日本大学芸術学部の卒業制作から現在に至るまで数多くのヌードを撮り、人が“裸であること”から創りだし得る表現に挑戦を続けている。今回も、当館を舞台に「快楽の館」を創りだすために、全作品の主題をヌードで一貫させた。原美術館だけでしか鑑賞し得ない、篠山紀信の恥美で幻惑的な世界をお見逃しなく。(text:cinemacafe.net)
2016年08月02日